JP2001017529A - 創傷被覆材 - Google Patents

創傷被覆材

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JP2001017529A
JP2001017529A JP11189531A JP18953199A JP2001017529A JP 2001017529 A JP2001017529 A JP 2001017529A JP 11189531 A JP11189531 A JP 11189531A JP 18953199 A JP18953199 A JP 18953199A JP 2001017529 A JP2001017529 A JP 2001017529A
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wound
layer
wound dressing
nonwoven fabric
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Takao Komazawa
隆雄 駒沢
Hiroyoshi Kamatani
博善 鎌谷
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 創傷面から滲み出るかなりの量の滲出液を吸
収することができ、且つ滲出液中に含まれる水分を所望
な速度内で創傷被覆材を通して被覆材の外部表面に移し
て、この水分を周囲の環境中に蒸発させることによって
被覆材の有効寿命を延長することが出来ると同時に、創
面との親和性が良好で、創面の治癒促進作用を有する創
傷被覆材を提供する。 【解決手段】 疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織
布層、開孔を有するポリウレタンフイルム層、架橋ヒア
ルロン酸スポンジ層及び未架橋ヒアルロン酸スポンジ層
を含むことを特徴とする創傷被覆材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、創傷被覆材に関す
るものである。更に詳しくは、治癒過程中に多量に創傷
液を滲出する創面へ適用して、創傷の治癒を促進する用
途に適合する。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱傷、褥瘡(床ずれ)その他
外傷による創傷を治療する際の一つの方法として、傷口
に治療薬を塗布した後、その上にガーゼを被せ、被覆材
で固定する方法が取られてきた。このような場合、ガー
ゼを直接創傷面にあてるので、創傷面からの滲出液はガ
ーゼに直接吸収されることになるが、ガーゼの吸水能力
はそれほど高くなく、滲出液の貯留が起こる。この貯留
が逆に菌の発生を助長し、早期治癒が困難になる。特
に、創傷からの滲出液が多い創面では、治療薬の軟膏あ
るいはクリームが滲出液と混合してドロドロ状態になる
ため、頻繁に被覆材の交換を行い、軟膏あるいはクリー
ムを塗り換えなければならない。そして、被覆材の交換
を頻繁におこなえば、使用する医薬の量も増大し、被覆
材を交換する際の患者の苦痛も増す。また被覆材の交換
に要する医師の労力も無視できないといった問題点があ
った。
【0003】又、外部からの汚れ、細菌の浸入を阻止す
るために、合成材料のフイルム等が被覆材の一部に使用
されてきたが、これらの材料は、水分を蒸発させる機能
が劣るため、創面と被覆材との間に滲出液の貯留を起こ
し易く創傷治癒を遅延させる欠点がある。
【0004】さらには、創面との親和性が良好で、治癒
を促進する観点から、生体由来の材料、例えば、ヒアル
ロン酸等のグルコサミノグリカン、コラーゲン等が、創
傷被覆材等の医療の分野で取り上げられるようになって
きた。しかし、ヒアルロン酸は、生体に適用したときに
容易に溶融、分解し、比較的長期の形態保持性を要求さ
れる創傷被覆材の材料にはそのままの形態では不適当で
ある。コラーゲンは動物の真皮、腱、骨、筋膜等に豊富
に含まれ、また、異種動物由来のものでも酵素処理によ
りアテロコラーゲンとすると免疫原生を低下させること
が可能であるために多量に生産されて、比較的安価に入
手することが可能な有用な材料であるが、生理的条件下
で再線維化するので、種々の親水化処理や架橋処理を必
要とする。架橋剤により化学架橋を導入することによ
り、形態保持性は向上するが、コラーゲンの特性である
ともいえる生体親和性が著しく損なわれるといった問題
点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】創傷被覆材は、創傷治
療を促進するために、いくつかの必要条件を備えていな
ければならない。例えば、創傷被覆材は、創傷面からの
滲出液を除去するために高度に吸収性で、液取り込み速
度が大きくなければならない。そして、吸収した液体が
創傷被覆材から漏れたり、寝具を汚したりすることを防
がなければならない。また、創傷被覆材は、創傷が呼吸
できるように通気性であると共に、外部からの細菌によ
る感染の可能性を最小限にして、創傷部をできるだけ無
菌状態に維持しなければならない。ところが、従来より
採用されている創傷被覆材では、これらの要求が十分満
たされていたとは言えない。
【0006】したがって、本発明の目的は、外部からの
細菌の感染の可能性を最小限にすると共に、創傷面から
滲み出るかなりの量の滲出液を吸収することが出来、且
つ滲出液中に含まれる水分を所望な速度内で創傷被覆材
を通して創傷被覆材の外部表面に移して、この水分を周
囲の環境中に蒸発させることによって創傷被覆材の有効
寿命を延長することが出来る創傷被覆材を提供すること
にある。さらには、創傷面との親和性が良好で、創傷面
の治癒促進作用を有する創傷被覆材を提供することを目
的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成したも
ので、本発明は以下のものである。 (1)疎水性繊維、高吸収性繊維からなる不織布層、開
孔を有するポリウレタンフイルム層、架橋ヒアルロン酸
スポンジ層及び未架橋ヒアルロン酸スポンジ層を含むこ
とを特徴とする創傷被覆材。 (2)疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織布層の目
付けが30〜300g/m2 である上記(1)の創傷被
覆材。 (3)開孔を有するポリウレタンフイルム層の厚みが5
〜100μmである上記(1)または(2)の創傷被覆
材。 (4)架橋ヒアルロン酸スポンジ層は、ヒアルロン酸が
エポキシ化合物で架橋されている上記(1)〜(3)の
いずれかの創傷被覆材。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の一実施態様として、図1
に示すような構造が挙げられる。すなわち、疎水性繊維
と高吸収性繊維からなる不織布層11は、創傷面から放
出された大量の創傷滲出液を吸収することができ、滲出
液内に含まれている水分を所望な速度内で、創傷被覆材
を通して創傷被覆材の外部表面に移して、この水分を周
囲の環境中に蒸発されるようにする能力を有している。
このように、吸収された液体からの水蒸気を大気中に発
散できるようにすることにより、当該創傷被覆材の交換
頻度を少なくすることが出来る。
【0009】本発明に用いる高吸収性繊維としては、木
材パルプ、木綿の天然繊維、レーヨン、キュプラの再生
繊維、アセテート等の半合成繊維等が用いられる。疎水
性繊維としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、
ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成繊維が好適であ
る。特に疎水性繊維と高吸収性繊維とを重量で6:4〜
8:2の比率で用いれば、疎水性の繊維が、滲出液を吸
収した高吸収性繊維から水分を受取り、外気層に該水分
を蒸発させる役をなし、特に好ましい。
【0010】疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織布
層11を構成する繊維の太さは0.3〜10デニール
(d)程度、好ましくは0.5〜5d程度のものが望ま
しい。
【0011】不織布を作る方法としては、既に公知の方
法、例えば次の方法で作ることができる。 紙を抄くのと同様に、水を使って短い繊維の層(ウェ
ブ)を作って、樹脂を含浸し、乾燥して固める湿式法。 水を使わずに機械的にウェブを作り、樹脂もしくは接
着用繊維で結合させる乾式法。 乾式と同じ方式のウェブを、刺をつけた針で突っつい
て、機械的に繊維を交絡させるニードルパンチ法。 乾式と同じ方式のウェブを高圧水流で繊維を交絡させ
るスパンレース法。 繊維になる前の、溶けた原料樹脂を多数の小穴(ノズ
ル)から同時に吹き出して細い糸を作りながら、その連
続した多数の糸をあらゆる方向にクモの巣のように配置
して均一な厚さのウエブを作り、自然にまたは機械的に
糸同志をくっつけるスパンボンド法。
【0012】上記の不織布層11も、これらの公知の方
法、もしくは、これらの方法を組み合わせて作る事がで
きるが、製法によっては、繊維の方向によって不織布に
伸び易い方向と伸び難い方向とが出来る。本発明に用い
られる不織布は伸縮性が必要なため、伸長度が比較的大
きいものが用いられる。伸長度とは長さ60cm幅6c
mの不織布に1500gの荷重をぶら下げた場合に何c
m伸びるかを元の長さに対する百分率で表したもので、
本発明に用いられる不織布は好ましくは30〜200
%、より好ましくは、40〜150%のものが望まし
い。不織布層11の厚さとしては、柔軟性、耐久性、作
業性、吸収性等を考慮し好ましくは1〜20mm程度、
より好ましくは1〜10mm程度のものが望ましい。
【0013】不織布層11の目付けは、滲出液の保持力
の観点から、好ましくは目付け30〜300g/m2
より好ましくは、50〜200g/m2 のものが好適で
ある。
【0014】上記の疎水性繊維と高吸収性繊維からなる
不織布層11に更に、ポリウレタンフイルム層12を積
層することは、不織布層11の毛羽立ちを抑制すると同
時に創傷被覆材の柔軟性を調節するのに有効である。更
には、ポリウレタンフイルム層は架橋ヒアルロン酸スポ
ンジ層との密着性が良好であるために、ヒアルロン酸ス
ポンジ層の物理的強度、耐久性を更に向上させる事が出
来るといった長所がある。
【0015】ポリリウレタンフイルム層に用いるのに好
適なポリウレタン樹脂は、ジイソシアネート、ポリオー
ル、及び鎖延長剤の三成分を基本原料として製造され
る。反応は、先ずポリオールに対して過剰当量のジイソ
シアネートを50〜120℃で反応させ、末端にイソシ
アネート基をもつウレタンプレポリマーとした後、有機
溶媒中で0〜100℃において鎖延長剤により鎖延長す
れば良い。ここで、ウレタンプレポリマーにおけるジイ
ソシアネートとポリオールとの当量比は通常1.5〜
6:1であるが、良好な物性と透湿性を兼備させるには
1.8〜4.5:1とすることが好ましい。
【0016】本発明で用いられるジイソシアネートとし
ては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
m−およびp−フェニレンジイソシアネート、2,4−
および2,6−トリレンジイソシアネート等の芳香族ジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4−
4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,
4−シクロヘキシレンジイソシアネート等の脂環式ジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂
肪族ジイソシアネートが挙げられる。通常これらの化合
物は単独で用いられるが、2種以上を併用してもかまわ
ない。
【0017】本発明で用いられるポリオールとしては、
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、叉
はポリカーボネートポリオールが挙げられる。そして、
ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレンエー
テルグリコール、ポリテトラメチレングリコールがあげ
られる。ポリエステルポリオールとしては、ポリブチレ
ンアジペート、ポリカプロラクトングリコールが挙げら
れる。叉、ポリカーボネートポリオールとしては、1,
6−ヘキサンポリカーボネートジオールが挙げられる。
通常これらの化合物は単独で用いられるが、2種以上を
併用してもかまわない。
【0018】本発明で用いられる鎖延長剤としては、低
分子量ジオール叉はジアミンが用いられる。低分子量ジ
オールの代表例としては、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,6−ヘキサメチレングリコール等が挙
げられる。また低分子量ジアミンの代表例としては、エ
チレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、テトラメ
チレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジ
アミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキ
シルメタンジアミン、1,4−シクロヘキシレンジアミ
ン等の脂環式ジアミンが挙げられる。これらのうち、ポ
リウレタン層の諸物性のバランスからイソホロンジアミ
ンが好ましく、単独もしくは2種以上を併用して用いる
ことができる。
【0019】本発明のポリウレタン合成に用いる有機溶
媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、ジメチルスルホキシド等の溶解力の強い溶媒が適
するが、これらは単独またはトルエン、キシレン等の芳
香族系溶媒、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘ
キサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等
の酢酸エステル系の溶媒、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール等のアルコール系の溶媒の中から選ばれ
る1種または2種以上と混合して用いることも出来る。
ポリウレタン溶液の濃度は2〜30重量%、好ましくは
3〜25重量%である。
【0020】本発明において、上記不織布層11の片面
(内側)にポリウレタンフイルム層層12を設けるに
は、例えば、溶剤塗工法、ホットメルト塗工法、ラミネ
ート法等が用いられる。
【0021】溶剤塗工法の場合には、ポリウレタン樹脂
を溶剤に均一に溶解した後、不織布層11の上に塗布し
溶剤を乾燥することにより、ポリウレタン層12が得ら
れる。
【0022】ホットメルト塗工法の場合は、ポリウレタ
ン樹脂を窒素置換下、温度100〜220℃で加熱撹拌
して溶解した後、ホットメルトコータを使用して、不織
布層11の上に塗布した後、乾燥することによりポリウ
レタン層12が得られる。
【0023】ラミネート法では、先ず、支持体上に一旦
ポリウレタンを溶剤塗工法またはホットメルト塗工法に
より塗布し、乾燥若しくは半乾燥する乾式法か、もしく
は支持体上にポリウレタン樹脂溶液を塗布し、凝固浴中
で溶媒その他の可溶性物質を抽出した後、乾燥若しくは
半乾燥する湿式法でポリウレタン層を作成する。次いで
上記の方法で作成したポリウレタン層11を不織布層1
2に貼合わせる。貼合わせる方法としては、半乾燥状態
のポリウレタン層12を不織布層11と貼合わせた後、
乾燥させる方法、もしくは、乾燥させたポリウレタ層の
表面を適度に膨潤させる有機溶媒、例えばメタノール等
のアルコール類、その他の溶媒で膨潤させた後に不織布
層11と貼合せて乾燥させる方法がある。さらには、接
着剤により両者を積層する方法が採用される。尚、不織
布層11とポリウレタン層12とを接着剤を介して積層
する場合、全面に接着剤を塗布すると、透湿性ポリウレ
タン層12の機能が損なわれてしまうので、両者が容易
に剥離しない程度の部分的な接着とするのが好ましい。
【0024】上記の乾式法、もしくは湿式法でポリウレ
タン層12を作成するときに用いる支持体としては、特
に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、フ
ツ素あるいはシリコーン系の離型剤を塗布した離型紙あ
るいは布帛等が用いられる。
【0025】ポリウレタン層12の厚みは、例えばポリ
ウレタン溶液の濃度、または塗布する溶液の量等により
調節できる。ポリウレタン層12の厚みは特に限定され
ないが通常5〜100μm、好ましくは8〜50μmで
ある。5μm以下では塗布の際ピンホールができやす
く、またポリウレタン層がブロッキングしやすく取扱い
にくい。50μm以上では十分な透湿性を得にくい傾向
がある。又、ポリウレタン層が硬くなり、皮膚との密着
性が損なわれやすい傾向にある。
【0026】上記の方法で得られるポリウレタン層は、
実用上十分な強度、伸び、耐久性がある。
【0027】本発明の創傷被覆材は、治癒過程で多量に
創傷液を滲出する創面に適用して、創傷の治癒を促進す
る用途に使用するのを目的としている。従って、透湿
性、通気性を有するポリウレタンフイルムを用いても、
創傷面からの大量の滲出液を透過させることは出来ない
ので、ポリウレタンフイルムに開孔を形成して、創傷面
からの滲出液を創傷被覆材の吸収性繊維に吸収させる必
要がある。
【0028】開孔の形状としては、針穴状、パンチ穴
状、十文字状、あるいは一文字状のスリット状開孔等を
挙げることができる。スリットは、長さ方向に所定の間
隔に形成したものの他、ランダムに形成したもの、リン
グ状に形成したものなどその形状、数量など任意であ
り、その長さも特に限定されない。これらの開孔を形成
させる方法としては、例えば、多数のカッター刃の埋め
込まれたローラ等をポリウレタンフイルムの面に転がす
等の方法を採用することが出来る。
【0029】本発明の創傷被覆材においては、ポリウレ
タンフイルム層のみならず、ポリウレタンフイルム層と
不織布層の両層に開孔を形成しても良い。
【0030】本発明の他の目的とするところは、生体材
料であるヒアルロン酸を使用することにより、創面の治
癒促進作用を有する創傷被覆材を提供することにある。
すなわち、ヒアルロン酸は創傷治癒課程において創面に
高度に水和した微小環境を提供する。このような微小環
境内では、種々の細胞が創面を移動する際の細胞膜と基
質との接着−脱着が制御され、細胞の移動が容易になる
ので創傷の治癒が促進されることが知られている。従っ
て、未架橋のヒアルロン酸を創傷面と接触するように貼
付するのが好ましい。特に、創傷面との密着性の向上を
はかるためにヒアルロン酸はスポンジ状にするのが好ま
しい。
【0031】ヒアルロン酸のスポンジ状シートは、一般
的には、ヒアルロン酸の0.2〜2.0重量%、好まし
くは0.5〜1重量%水溶液を作成した後、−20℃〜
−100℃、好ましくは−40〜−80℃の冷凍庫で急
冷凍結して真空乾燥するか、若しくは、凍結乾燥機の中
で−30〜−50℃に徐々に凍結した後、真空乾燥する
事により得られる。スポンジ状シートの形成方法として
は、上記のような凍結乾燥方法を挙げることができる
が、これに限定されることはなく、当業者は適宜の方法
を採用することが出来る。
【0032】ヒアルロン酸は創傷治癒過程において優れ
た働きをするが、生体に適用したときに滲出液に溶解し
やすいといった性質があるので、比較的長期の形態保持
性を要求される創傷被覆材の材料に使用する場合には、
ヒアルロン酸の治癒促進効果を持続させるための補強材
を併用する必要がある。そこで本創傷被覆材では、ヒア
ルロン酸に架橋剤による化学架橋を導入することにより
形態の保持性の向上をはかると同時に、未架橋ヒアルロ
ン酸層による治癒の促進機能とを併せ持たせるようにし
た。
【0033】即ち、ヒアルロン酸を架橋することによ
り、滲出液に不溶性となり、創傷面に適用しても形態が
十分に保持されている。従って、上記創傷被覆材を創傷
面に適用したときに、例え未架橋ヒアルロン酸が創傷面
からの滲出液により溶解しても、架橋ヒアルロン酸スポ
ンジ層に保持されて、ヒアルロン酸の治癒促進効果が失
われることなく発現することが出来るといった特徴があ
る。
【0034】架橋すべきヒアルロン酸としては、例え
ば、分子量が好ましくは50万〜300万、より好まし
くは180万〜220万程度のものが用いられる。
【0035】また、架橋剤としては、水溶性の多官能エ
ポキシ化合物を用いることができる。多官能エポキシ化
合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プ
ロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレ
ングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレング
リコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシ
ジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、
トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソル
ビトールポリグリシジルエーテル、コハク酸ジグリシジ
ルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステルなどが挙
げられる。
【0036】架橋反応は、一般的には、ヒアルロン酸の
0.2〜2.0重量%、好ましくは、0.5〜1重量%
水溶液を製造し、溶液のpHを4〜7、好ましくは約5
〜6に調整した後、エポキシ化合物をヒアルロン酸の繰
り返し単位に対して、1/20〜2モル、好ましくは、
約1/10〜1/2モル程度となるように加えた反応液
を用いて行うことができる。溶媒としては、上記の水の
他、アルコール−水系を用いることができる。
【0037】反応温度は、例えば、20〜80℃、好ま
しくは40〜60℃程度で行えば良く、反応時間は、好
ましくは2〜10時間、より好ましくは4〜6時間であ
る。
【0038】ヒアルロン酸の架橋度は、架橋反応に用い
るエポキシ化合物の種類、割合、反応条件により決定さ
れるが、架橋度により成形後のヒアルロン酸スポンジの
生体内分解性、含水率、加水分解率が変化するので、創
傷被覆材の適用部位や、使用目的に応じて架橋度を適宜
選択すべきである。一般には、生体内(例えば、ウイス
ター系ラットの皮下)に埋入して1週間放置した後に5
〜30重量%程度が残存するヒアルロン酸スポンジを用
いることが好ましい。
【0039】未架橋ヒアルロン酸スポンジ層及び架橋ヒ
アルロン酸スポンジ層は、成形容器に先ずヒアルロン酸
水溶液を注入し、その上に上記のエポキシ化合物で架橋
させたヒアルロン酸水溶液を注入した後、−20℃〜−
100℃、好ましくは−40〜−80℃の冷凍庫で急冷
凍結して凍結乾燥することにより製造しても良いし、凍
結乾燥機の中で−30〜−50℃に徐々に冷却した後、
真空乾燥する事により製造しても良い。さらには、成形
容器に先ずヒアルロン酸水溶液を注入し、−20℃〜−
100℃、好ましくは−40〜−80℃の冷凍庫で急冷
凍結した後、その上に上記のエポキシ化合物で架橋させ
たヒアルロン酸溶液を注入し、再度−20℃〜−100
℃、好ましくは−40〜−80℃の冷凍庫で急冷凍結し
て凍結乾燥することにより、未架橋及び架橋ヒアルロン
酸スポンジを製造しても良い。スポンジ状シートの形成
方法としては、上記のような凍結乾燥方法を挙げること
ができるが、これに限定されることはなく、当業者は適
宜の方法を採用することが出来る。
【0040】未架橋ヒアルロン酸スポンジ層及び架橋ヒ
アルロン酸スポンジ層の厚さは、創傷被覆材の使用目的
や、適用部位により任意に設定すればよいが、好ましく
は未架橋ヒアルロン酸スポンジ層と架橋スポンジ層の厚
さの和が0.5〜20mm、より好ましくは1〜10m
m程度である。また、未架橋ヒアルロン酸スポンジ層と
架橋ヒアルロン酸スポンジ層の厚みは、成形容器に注入
する未架橋ヒアルロン酸溶液と架橋ヒアルロン酸溶液の
割合を変える事により、任意に設定することが出来る。
【0041】尚、本発明の創傷被覆材の各構成部材であ
る、不織布層、ポリウレタンフイルム層及びヒアルロン
酸スポンジ層の任意の構成部材、あるいはその全部の構
成部材に抗菌剤を配合しておくことが好ましい。抗菌剤
としては、サルファ剤、ペニシリン、ナリジキシン、ス
ルファジアジン銀、硫酸ポリミキシン、硫酸ゲンタマイ
シンなど、任意の抗菌剤を用いることが出来るが、最も
好ましいのは、抗菌スペクトルが広く、耐性菌が出現し
にくいスルファジアジン銀を使用することである。抗菌
剤の含有量は、薬剤の種類、創傷被覆材の使用目的や適
用部位により決定すれば良いが、スルファジアジン銀を
使用する場合には、創傷被覆材の含有量または塗布量は
20〜500μg/cm2 、好ましくは50〜400μ
g/cm 2 である。このような含有量にすることによ
り、創傷面における細菌増殖の抑制を可能にすると同時
に、滲出液を吸収した創傷被覆材の内部での細胞増殖も
効果的に抑制することが出来る。
【0042】本発明の創傷被覆材は未架橋ヒアルロン酸
スポンジ層が創傷面に接するように使用されるが、包帯
状、あるいは、数cm角から数十cm角のパット状など
任意の形状で用いることができる。創傷の程度や深度、
創面の面積等に応じて適宜選択して用いることができ
る。
【0043】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細に示
し、本発明の効果を具体的に説明するが、本発明は、以
下の実施例に限定されるものではない。
【0044】実施例1 不織布層11の製造 疎水性繊維と高吸収性繊維とからなる不織布層11は、
平均繊度1.5dのポリエステル繊維と2.0dのレー
ヨン繊維を重量比で70対30の割合で混合した後、極
めて薄い繊維の層(ウェブ)を作り、このウェブを重ね
合わせて目付けが120g/m2 に成るようにした後、
このウェブ層を刺をつけた針で突っついて、繊維同志を
お互いに機械的に絡み合わせて(ニードルパンチ法)作
成した。この不織布層に抗菌剤として、スルファジアジ
ン銀が50μg/cm2 になるように塗着した。
【0045】実施例2 ポリウレタン溶液の製造 数平均分子量2,000のポリテトラメチレングリコー
ル700重量部、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネート180.6重量部を乾燥窒素下において
フラスコ中で75℃で5時間間反応させ、末端にイソシ
アネート基を有するウレタンプレポリマーとした後、ジ
メチルアセトアミド溶媒中で鎖延長剤にイソホロンジア
ミンを用い温度を20℃に保ちながら2時間鎖延長反応
を行い、ポリウレタン固形濃度25wt%の無色透明で
粘稠なポリウレタン溶液を得た。
【0046】実施例3 複合ポリウレタンフイルム層の
作成(対照実験用創傷被覆材) 実施例2で得られたポリウレタン樹脂25wt%を含む
ジメチルアセトアミド溶液にメチルエチルケトンを加え
て、15wt%のポリウレタン溶液を調整した。
【0047】この溶液を乾燥時にポリウレタン層の厚み
が10μmに成るように表面にシリコン系被膜が形成さ
れた離型紙に塗布した。次に熱風乾燥機に入れて100
℃にて3分間乾燥して溶媒を除去した。得られたポリウ
レタンフイルム層を実施例1で作成した不織布層11の
片面に接着剤を介して部分接着した。次いで、ポリウレ
タン層から離型紙を剥すことにより、不織布層とポリウ
レタン層を含む複合層を得た。次いで、長さ3mmのス
リット状の開孔を直線状に10mmおきに設け、該線の
ピッチ(線と線の並行間隔)が10mmとなるようにし
て、開孔を有する複合ポリウレタンフイルム層を作成し
た。
【0048】実施例4 創傷被覆材の製造 先ず最初に、醗酵法で作成された分子量200万のヒア
ルロン酸の1%水溶液(pH=6)を作成した。その一
部に架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエ−
テルをヒアルロン酸の繰り返し単位の分子量に対して1
/5モル量となるように加え、50℃に設定した乾燥機
内に5時間静置して分子間架橋反応を行った。次いで、
内容積200mlのポリスチレン容器(縦10cm、横
10cm、高さ2cm)に上記の1%ヒアルロン酸水溶
液25ccを注入し、−80℃の冷凍倉で急速凍結し
た。その上に架橋反応を行ったヒアルロン酸水溶液25
ccを注入した。
【0049】上記実施例3で製造した複合ポリウレタン
フイルム層を10cmx10cmのサイズになるように
切断し、ポリウレタンフイルム層12が架橋ヒアルロン
酸層と接するように乗せた。このポリスチレン容器を再
度−80℃の冷凍庫で急冷凍結した後、真空乾燥するこ
とにより架橋及び未架橋ヒアルロン酸スポンジ層を有す
る創傷被覆材を作成した。
【0050】実施例5 動物実験 上記、実施例3、及び4で得た創傷被覆材をエチレンオ
キサイドガスで滅菌処理した後、以下の実験に供した。
即ち、麻酔下で日本白色家兎(3カ月齢)の両背部を剃
毛し、イソジンで消毒した後、直径55mmの円形の全
層皮膚欠損創を家兎の両背部に作成し、右背部に実施例
4で製造したヒアルロン酸スポンジ層を積層した創傷被
覆材を適用し、左背部に対照実験として実施例3で製造
したヒアルロン酸スポンジ層を積層していない創傷被覆
材を適用し、その上にガーゼをあてて伸縮性粘着テープ
で固定した。1週後、麻酔下で被覆材を除去して創面の
状態を観察し、創周辺をイソジンで消毒した後、再度、
ヒアルロン酸スポンジ層を積層した創傷被覆材ならびに
対照被覆材を適用し、ガーゼをあてて伸縮性粘着テープ
で固定した。以後、一週毎に新しい創傷被覆材の貼り換
えを行い、経時的に創傷の状態を観察した。
【0051】ヒアルロン酸スポンジ層を積層した創傷被
覆材を適用した場合、1週間で除去した際には、ヒアル
ロン酸は殆ど総てが分解吸収されたので、毎週新しく貼
付けた。また、滲出液は不織布層に吸い上げられて被覆
材下に滲出液の貯留は生じていなかった。
【0052】ヒアルロン酸スポンジ層を積層した創傷被
覆材を適用した右背部は、肉芽組織の形成と創周辺から
の収縮が促進され、創傷被覆材適用3週目の時点では、
皮膚欠損創の直径は10mm程度になった。他方、ヒア
ルロン酸を含まない被覆材を適用した左背部は、被覆材
適用3週目の時点で、被覆材下に滲出液の貯留は認めら
れなかったものの、皮膚欠損創の直径は20mm程度で
あつた。
【0053】総合的に判断するとヒアルロン酸スポンジ
層を積層した創傷被覆材は、不織布層の存在により滲出
液を適度に吸収することが出来るので、被覆材下に滲出
液の貯留を生じることなく、ヒアルロン酸による治癒促
進効果が認められた。
【0054】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係る創傷被
覆材は以下の効果を奏する。 不織布層11は、疎水性繊維と高吸収性繊維から構成
されているので、創傷面から放出された大量の創傷滲出
液を吸収することができ、滲出液内に含まれている水分
を所望な速度で創傷被覆材を通して創傷被覆材の外側表
面にうつして、この水分を周囲の環境中に蒸発させる能
力を有しているので、この滲出液が創と創傷被覆材との
間に貯留されることがない。従って、創傷被覆材の取り
替え頻度を少なくすることができるので、作業の繁雑さ
が軽減され、治療者の手間が大いに省ける。 生体材料であるヒアルロン酸スポンジ層を創傷被覆材
に組み込むことにより、創傷治癒を促進することができ
るといった効果がある。 架橋ヒアルロン酸を積層する事により、ヒアルロン酸
の創傷治癒促進効果を持続させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における創傷被覆材の一実施態様を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C081 AA02 AA12 BA14 BB01 BB02 BC02 CA161 CA211 CC05 CD022 CD082 CE01 DA02 DA04 DA05 DA12 DC04 DC06 EA02 EA03 EA06 4F100 AJ05 AK41 AK51B BA03 BA07 BA10A BA10C DC11B DG15A DJ01C EJ17 EJ42 GB90 JB05A JB06A JC00 JC00C YY00A YY00B

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織
    布層と開孔を有するポリウレタンフイルム層と架橋ヒア
    ルロン酸スポンジ層及び未架橋ヒアルロン酸スポンジ層
    を含むことを特徴とする創傷被覆材。
  2. 【請求項2】 疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織
    布層の目付けが30〜300g/m2 である請求項1に
    記載の創傷被覆材。
  3. 【請求項3】 開孔を有するポリウレタンフイルム層の
    厚みが5〜100μmである請求項1または2に記載の
    創傷被覆材。
  4. 【請求項4】 架橋ヒアルロン酸スポンジ層は、ヒアル
    ロン酸がエポキシ化合物で架橋されていることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の創傷被覆材。
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