JP2001017532A - 創傷被覆材 - Google Patents

創傷被覆材

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JP2001017532A
JP2001017532A JP11189534A JP18953499A JP2001017532A JP 2001017532 A JP2001017532 A JP 2001017532A JP 11189534 A JP11189534 A JP 11189534A JP 18953499 A JP18953499 A JP 18953499A JP 2001017532 A JP2001017532 A JP 2001017532A
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nonwoven fabric
wound
fabric layer
wound dressing
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Takao Komazawa
隆雄 駒沢
Hiroyoshi Kamatani
博善 鎌谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部からの細菌の感染の可能性を最小限にす
ると共に、創傷面から滲み出るかなりの量の滲出液を吸
収することができ、且つ滲出液中に含まれる水分を所望
な速度内で創傷被覆材を通して被覆材の外部表面に移し
て、この水分を周囲の環境中に蒸発させることによって
被覆材の有効寿命を延長することが出来ると同時に、創
面との親和性が良好で、創面の治癒促進作用を有する創
傷被覆材を提供する。 【解決手段】 疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織
布層、疎水性繊維からなる不織布層、架橋ヒアルロン酸
スポンジ層及び未架橋ヒアルロン酸スポンジ層を含むこ
とを特徴とする創傷被覆材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、創傷被覆材に関す
るものである。更に詳しくは、治癒過程中に多量に創傷
液を滲出する創面へ適用して、創傷の治癒を促進する用
途に適合する。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱傷、褥瘡(床ずれ)その他
外傷による創傷を治療する際の一つの方法として、傷口
に治療薬を塗布した後、その上にガーゼを被せ、被覆材
で固定する方法が取られてきた。このような場合、ガー
ゼを直接創傷面にあてるので、創傷面からの滲出液はガ
ーゼに直接吸収されることになるが、ガーゼの吸水能力
はそれほど高くなく、滲出液の貯留が起こる。この貯留
が逆に菌の発生を助長し、早期治癒が困難になる。特
に、創傷からの滲出液が多い創面では、治療薬の軟膏あ
るいはクリームが滲出液と混合してドロドロ状態になる
ため、頻繁に被覆材の交換を行い、軟膏あるいはクリー
ムを塗り換えなければならない。そして、被覆材の交換
を頻繁におこなえば、使用する医薬の量も増大し、被覆
材を交換する際の患者の苦痛も増す。また被覆材の交換
に要する医師の労力も無視できないといった問題点があ
った。
【0003】又、外部からの汚れ、細菌の浸入を阻止す
るために、合成材料のフイルム等が被覆材の一部に使用
されてきたが、これらの材料は、水分を蒸発させる機能
が劣るため、創面と被覆材との間に滲出液の貯留を起こ
し易く創傷治癒を遅延させる欠点がある。
【0004】さらには、創面との親和性が良好で、治癒
を促進する観点から、生体由来の材料、例えば、ヒアル
ロン酸等のグルコサミノグリカン、コラーゲン等が、創
傷被覆材等の医療の分野で取り上げられるようになって
きた。しかし、ヒアルロン酸は、生体に適用したときに
容易に溶融、分解し、比較的長期の形態保持性を要求さ
れる創傷被覆材の材料にはそのままの形態では不適当で
ある。コラーゲンは動物の真皮、腱、骨、筋膜等に豊富
に含まれ、また、異種動物由来のものでも酵素処理によ
りアテロコラーゲンとすると免疫原生を低下させること
が可能であるために多量に生産されて、比較的安価に入
手することが可能な有用な材料であるが、生理的条件下
で再線維化するので、種々の親水化処理や架橋処理を必
要とする。架橋剤により化学架橋を導入することによ
り、形態保持性は向上するが、コラーゲンの特性である
ともいえる生体親和性が著しく損なわれるといった問題
点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】創傷被覆材は、創傷治
療を促進するために、いくつかの必要条件を備えていな
ければならない。例えば、創傷被覆材は、創傷面からの
滲出液を除去するために高度に吸収性で、液取り込み速
度が大きくなければならない。そして、吸収した液体が
創傷被覆材から漏れたり、寝具を汚したりすることを防
がなければならない。また、創傷被覆材は、創傷が呼吸
できるように通気性であると共に、外部からの細菌によ
る感染の可能性を最小限にして、創傷部をできるだけ無
菌状態に維持しなければならない。ところが、従来より
採用されている創傷被覆材では、これらの要求が十分満
たされていたとは言えない。
【0006】したがって、本発明の目的は、外部からの
細菌の感染の可能性を最小限にすると共に、創傷面から
滲み出るかなりの量の滲出液を吸収することが出来、且
つ滲出液中に含まれる水分を所望な速度内で創傷被覆材
を通して創傷被覆材の外部表面に移して、この水分を周
囲の環境中に蒸発させることによって創傷被覆材の有効
寿命を延長することが出来る創傷被覆材を提供すること
にある。さらには、創傷面との親和性が良好で、創傷面
の治癒促進作用を有する創傷被覆材を提供することを目
的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成したも
ので、本発明は以下のものである。 (1)疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織布層、疎
水性繊維からなる不織布層、架橋ヒアルロン酸スポンジ
層及びヒアルロン酸スポンジ層を含むことを特徴とする
創傷被覆材。 (2)疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織布層の目
付けが30〜300g/m2 である上記(1)の創傷被
覆材。 (3)疎水性繊維からなる不織布層の目付けが5〜10
0g/m2 である上記(1)または(2)の創傷被覆
材。 (4)疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織布層の両
側に疎水性繊維からなる不織布層を積層した上記(1)
〜(3)のいずれかに記載の創傷被覆材。 (5)架橋ヒアルロン酸スポンジ層は、ヒアルロン酸が
エポキシ化合物で架橋されている上記(1)〜(4)の
いずれかの創傷被覆材。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の一実施態様として、図1
に示すような構造が挙げられる。すなわち、疎水性繊維
と高吸収性繊維からなる不織布層11は、創傷面から放
出された大量の創傷滲出液を吸収することができ、滲出
液内に含まれている水分を所望な速度内で、創傷被覆材
を通して創傷被覆材の外部表面に移して、この水分を周
囲の環境中に蒸発されるようにする能力を有している。
このように、吸収された液体からの水蒸気を大気中に発
散できるようにすることにより、ヒアルロン酸スポンジ
層を積層した創傷被覆材の交換頻度を少なくすることが
出来る。
【0009】本発明に用いる高吸収性繊維としては、木
材パルプ、木綿の天然繊維、レーヨン、キュプラの再生
繊維、アセテート等の半合成繊維等が用いられる。疎水
性繊維としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、
ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成繊維が好適であ
る。特に疎水性繊維と高吸収性繊維とを重量で6:4〜
8:2の比率で用いれば、疎水性の繊維が、滲出液を吸
収した高吸収性繊維から水分を受取り、外気層に該水分
を蒸発させる役をなし、特に好ましい。疎水性繊維と高
吸収性繊維からなる不織布層11を構成する繊維の太さ
は0.3〜10デニール(d)程度、好ましくは0.5
〜5d程度のものが望ましい。
【0010】不織布を作る方法としては、既に公知の方
法、例えば次の方法で作ることができる。 紙を抄くのと同様に、水を使って短い繊維の層(ウェ
ブ)を作って、樹脂を含浸し、乾燥して固める湿式法。 水を使わずに機械的にウェブを作り、樹脂もしくは接
着用繊維で結合させる乾式法。 乾式と同じ方式のウェブを、刺をつけた針で突っつい
て、機械的に繊維を交絡させるニードルパンチ法。 乾式と同じ方式のウェブを高圧水流で繊維を交絡させ
るスパンレース法。 繊維になる前の、溶けた原料樹脂を多数の小穴(ノズ
ル)から同時に吹き出して細い糸を作りながら、その連
続した多数の糸をあらゆる方向にクモの巣のように配置
して均一な厚さのウエブを作り、自然にまたは機械的に
糸同志をくっつけるスパンボンド法。
【0011】上記の不織布層11も、これらの公知の方
法、もしくは、これらの方法を組み合わせて作る事がで
きるが、製法によっては、繊維の方向によって不織布に
伸び易い方向と伸び難い方向とが出来る。本発明に用い
られる不織布は伸縮性が必要なため、伸長度が比較的大
きいものが用いられる。伸長度とは長さ60cm幅6c
mの不織布に1500gの荷重をぶら下げた場合に何c
m伸びるかを元の長さに対する百分率で表したもので、
本発明に用いられる不織布は好ましくは30〜200
%、より好ましくは、40〜150%のものが望まし
い。不織布層11の厚さとしては、柔軟性、耐久性、作
業性、吸収性等を考慮し好ましくは1〜20mm程度、
より好ましくは1〜10mm程度のものが望ましい。
【0012】不織布層11の目付けは、滲出液の保持力
の観点から、好ましくは目付け30〜300g/m2
より好ましくは、50〜200g/m2 のものが好適で
ある。
【0013】上記の疎水性繊維と高吸収性繊維からなる
不織布層11に更に疎水性繊維からなる不織布層12を
積層した複合不織布層を用いることがより好ましい。疎
水性繊維からなる不織布層12は、疎水性繊維と高吸収
性繊維からなる不織布層11の毛羽立ちを抑制すると同
時に創傷被覆材の柔軟性を調節するのに有効である。
【0014】更には、疎水性繊維からなる不織布層12
は架橋ヒアルロン酸スポンジ層との密着性が良好である
ために、形成された架橋ヒアルロン酸スポンジの物理的
強度、耐久性を更に向上させることが出来るといった長
所がある。不織布層12に使用する疎水性繊維材料とし
ては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、
ナイロン、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これ
らの疎水性繊維材料の内、熱可塑性エラストマーは、常
温でゴム弾性を示し、伸縮性に富むので創傷被覆材とし
て好ましい材料である。熱可塑性エラストマーの中で
は、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル
系エラストマーが柔らかくて、伸縮性に富むので特に好
ましい。疎水性繊維材料は、市販品もしくはその改良品
を使用することができる。
【0015】不織布層12を構成する繊維の太さは、好
ましくは0.3〜10d程度、より好ましくは0.5〜
5d程度のものが望ましい。不織布層12を不織布層1
1に積層する方法としては、不織布層11と不織布層1
2を上記の方法で別々に作っておき、これら両方の不織
布層を加熱することにより密着させるとか、両方の不織
布層を熱可塑性樹脂とか接着用繊維を用いて結合させる
乾式法、さらには、不織布層11の一面に不織布12の
原料となる上記の疎水性繊維材料を直接ウェブ状に紡糸
して不織布層12を積層させるスパンボンド法等が挙げ
られる。尚、不織布層12と不織布層11とを熱可塑性
樹脂を介して結合させる場合、全面に熱可塑性樹脂を塗
布すると、創傷面からの滲出液を透過させる機能が損な
われるので、両者が容易に剥離しない程度の部分的接着
とするのが良い。
【0016】このようにして作成された不織布層12
は、透水性を有すると同時に平滑性を有するので、創傷
面との密着性が良好であり、創傷面からの滲出液は疎水
性で且つ透水性の不織布層12を通過し、疎水性繊維と
高吸収性繊維からなる不織布層11に吸収され易い特徴
がある。
【0017】不織布層12は、不織布層11の毛羽立ち
を抑制すると同時に創傷被覆材の柔軟性を調節するのが
一つの目的であるから、出来るだけ薄くて、柔らかい程
良い。不織布層12の目付としては、5〜100g/m
2 が好ましい。疎水性繊維からなる不織布層12は疎水
性繊維と高吸収性繊維からなる不織布層11の片面のみ
に積層しても良いが、疎水性繊維からなる不織布層12
を疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織布層11の両
面に積層しても良い。疎水性繊維からなる不織布層12
を疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織布層11の両
面に積層した場合には、創傷面に接する側(内側)の不
織布層12にヒアルロン酸スポンジ層を積層すれば良
い。この場合、創傷面に接する反対側(外側)の不織布
層12はガーゼや、綿布に比べて均一で緻密であるため
に、水蒸気の透過性を保持した状態で、外部からの細菌
の侵入を阻止するといったバリヤ−機能をも兼ね備えて
いるので更に好ましい。
【0018】本発明の他の目的とするところは、生体材
料であるヒアルロン酸を使用することにより、創面の治
癒促進作用を有する創傷被覆材を提供することにある。
すなわち、ヒアルロン酸は創傷治癒課程において創面に
高度に水和した微小環境を提供する。このような微小環
境内では、種々の細胞が創面を移動する際の細胞膜と基
質との接着−脱着が制御され、細胞の移動が容易になる
ので創傷の治癒が促進されることが知られている。従っ
て、未架橋のヒアルロン酸スポンジ面を創傷面と接触す
るように貼付するのが好ましい。特に、創傷面との密着
性の向上をはかるためにヒアルロン酸はスポンジ状にす
るのが好ましい。
【0019】ヒアルロン酸のスポンジ状シートは、一般
的には、ヒアルロン酸の0.2〜2.0重量%、好まし
くは0.5〜1重量%水溶液を作成した後、−20℃〜
−100℃、好ましくは−40〜−80℃の冷凍庫で急
冷凍結して真空乾燥するか、若しくは、凍結乾燥機の中
で−30〜−50℃に徐々に凍結した後、真空乾燥する
事により得られる。スポンジ状シートの形成方法として
は、上記のような凍結乾燥方法を挙げることができる
が、これに限定されることはなく、当業者は適宜の方法
を採用することが出来る。
【0020】ヒアルロン酸は創傷治癒過程において優れ
た働きをするが、生体に適用したときに滲出液に溶解し
やすいといった性質があるので、比較的長期の形態保持
性を要求される創傷被覆材の材料に使用する場合には、
ヒアルロン酸の効果を持続させるための補強材を併用す
る必要がある。そこで本創傷被覆材では、ヒアルロン酸
に架橋剤による化学架橋を導入することにより形態の保
持性の向上をはかると同時に、未架橋ヒアルロン酸層に
よる治癒の促進機能とを併せ持たせるようにした。
【0021】即ち、ヒアルロン酸を架橋することによ
り、滲出液に不溶性となり、創傷面に適用しても形態が
十分に保持されている。従って、上記創傷被覆材を創傷
面に適用したときに、例え未架橋ヒアルロン酸が創傷面
からの滲出液により溶解しても、架橋ヒアルロン酸スポ
ンジ層に保持されて、ヒアルロン酸の治癒促進効果は失
われることなく発現することが出来るといった特徴があ
る。
【0022】架橋すべきヒアルロン酸としては、例え
ば、分子量が好ましくは50万〜300万、より好まし
くは180万〜220万程度のものが用いられる。ま
た、架橋剤としては、水溶性の多官能エポキシ化合物を
用いることができる。多官能エポキシ化合物としては、
例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジ
エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレ
ングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコ
ールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジ
グリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリ
シジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、
グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロール
プロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグ
リシジルエーテル、コハク酸ジグリシジルエステル、ア
ジピン酸ジグリシジルエステルなどが挙げられる。
【0023】架橋反応は、一般的には、ヒアルロン酸の
0.2〜2.0重量%、好ましくは、0.5〜1重量%
水溶液を製造し、溶液のpHを4〜7、好ましくは約5
〜6に調整した後、エポキシ化合物をヒアルロン酸の繰
り返し単位に対して、1/20〜2モル、好ましくは、
約1/10〜1/2モル程度となるように加えた反応液
を用いて行うことができる。溶媒としては、上記の水の
他、アルコール−水系を用いることができる。
【0024】反応温度は、例えば、20〜80℃、好ま
しくは40〜60℃程度で行えば良く、反応時間は、好
ましくは2〜10時間、より好ましくは4〜6時間であ
る。
【0025】ヒアルロン酸の架橋度は、架橋反応に用い
るエポキシ化合物の種類、割合、反応条件により決定さ
れるが、架橋度により成形後のヒアルロン酸スポンジの
生体内分解性、含水率、加水分解率が変化するので、創
傷被覆材の適用部位や、使用目的に応じて架橋度を適宜
選択すべきである。一般には、生体内(例えば、ウイス
ター系ラットの皮下)に埋入して1週間放置した後に5
〜30重量%程度が残存するヒアルロン酸スポンジを用
いることが好ましい。
【0026】架橋ヒアルロン酸スポンジ層及び未架橋ヒ
アルロン酸スポンジ層は、成形容器に先ずヒアルロン酸
水溶液を注入し、その上に上記のエポキシ化合物で架橋
させたヒアルロン酸溶液を注入した後、−20℃〜−1
00℃、好ましくは−40〜−80℃の冷凍庫で急冷凍
結して凍結乾燥することにより、ヒアルロン酸スポンジ
を製造しても良いし、凍結乾燥機の中で−30〜−50
℃に徐々に凍結した後、真空乾燥する事により製造して
も良い。スポンジ状シートの形成方法としては、上記の
ような凍結乾燥方法を挙げることができるが、これに限
定されることはなく、当業者は適宜の方法を採用するこ
とが出来る。
【0027】架橋ヒアルロン酸スポンジ層及び未架橋ヒ
アルロン酸スポンジ層の厚さは、創傷被覆材の使用目的
や、適用部位により任意に設定すればよいが、好ましく
は架橋ヒアルロン酸スポンジ層と未架橋スポンジ層の厚
さの和が1〜20mm、より好ましくは2〜10mm程
度である。また、未架橋ヒアルロン酸スポンジ層と架橋
ヒアルロン酸スポンジ層の厚みは、成形容器に注入する
未架橋ヒアルロン酸溶液と架橋ヒアルロン酸溶液の割合
を変える事により、任意に設定することが出来る。
【0028】本発明の創傷被覆材の各構成部材である、
不織布層及びヒアルロン酸スポンジ層の任意の構成部
材、あるいはその全部の構成部材に抗菌剤を配合してお
くことが好ましい。抗菌剤としては、サルファ剤、ペニ
シリン、ナリジキシン、スルファジアジン銀、硫酸ポリ
ミキシン、硫酸ゲンタマイシンなど、任意の抗菌剤を用
いることが出来るが、最も好ましいのは、抗菌スペクト
ルが広く、耐性菌が出現しにくいスルファジアジン銀を
使用することである。抗菌剤の含有量は、薬剤の種類、
創傷被覆材の使用目的や適用部位により決定すれば良い
が、スルファジアジン銀を使用する場合には、創傷被覆
材の含有量または塗布量は20〜500μg/cm2
好ましくは50〜400μg/cm2 である。このよう
な含有量にすることにより、創傷面における細菌増殖の
抑制を可能にすると同時に、滲出液を吸収した創傷被覆
材の内部での細胞増殖も効果的に抑制することが出来
る。本発明の創傷被覆材はヒアルロン酸側が創傷面に接
するように使用されるが、包帯状、あるいは、数cm角
から数十cm角のパット状など任意の形状で用いること
ができる。創傷の程度や深度、創面の面積等に応じて適
宜選択して用いることができる。
【0029】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細に示
し、本発明の効果を具体的に説明するが、本発明は、以
下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 不織布層の製造(対照実験用創傷被覆材) 疎水性繊維と高吸収性繊維とからなる不織布層11は、
平均繊度1.5dのポリエステル繊維と2.0dのレー
ヨン繊維を重量比で70対30の割合で混合した後、極
めて薄い繊維の層(ウェブ)を作り、このウェブを重ね
合わせて目付けが100g/m2 に成るようにした後、
このウェブ層を刺をつけた針で突っついて、繊維同志を
お互いに機械的に絡み合わせて(ニードルパンチ法)作
成した。
【0030】このようにして作成した不織布層の吸収力
を測定するために、計量した不織布層を水に浸し、それ
を取り出し、30秒間したたらせた後、再び計量して水
の吸収量を測定した。この不織布層は、17g/gとい
う極端に高い吸収能力があることが判明した。そのた
め、創面からの滲出液の多い場合の被覆材の部材として
適している。一方、不織布層12は、離型紙の上に疎水
性のポリエステル系熱可塑性エラストマー(商品名:ペ
ルプレン、東洋紡績製)を用いいて、スパンボンド法で
作成し、その目付が30g/m2 になるようにした。
【0031】不織布層11と不織布層12とは、熱プレ
スで圧着させた後、離型紙を取り除いた。この不織布層
に抗菌剤として、スルファジアジン銀が50μg/cm
2 になるように塗着した。
【0032】実施例2 創傷被覆材の製造 醗酵法で作成された分子量200万のヒアルロン酸の1
%水溶液(pH=6)に架橋剤としてエチレングリコー
ルジグリシジルエ−テルをヒアルロン酸の繰り返し単位
の分子量に対して1/10モル量となるように加えた。
次いで、50℃に設定した乾燥機内に5時間静置して分
子間架橋反応を行った。
【0033】内容積200mlのポリスチレン容器(縦
10cm、横10cm、高さ2cm)に上記の1%ヒア
ルロン酸水溶液25ccを注入した。その上に、架橋反
応を行ったヒアルロン酸水溶液50ccを注入した。次
いで、上記実施例1で製造した不織布層を10cmx1
0cmのサイズになるように切断し、疎水性繊維からな
る不織布層12が下になるようにして、架橋反応を行っ
たヒアルロン酸水溶液の上に乗せた。このポリスチレン
容器を−80℃の冷凍庫で急冷凍結した後、真空乾燥す
ることにより創傷被覆材を作成した。
【0034】実施例3 動物実験 上記、実施例1、及び2で得た創傷被覆材をエチレンオ
キサイドガスで滅菌処理した後、以下の実験に供した。
即ち、麻酔下で日本白色家兎(3カ月齢)の両背部を剃
毛し、イソジンで消毒した後、直径55mmの円形の全
層皮膚欠損創を家兎の両背部に作成し、右背部に実施例
2で製造したヒアルロン酸スポンジ層を積層した創傷被
覆材を適用し、左背部に対照実験として実施例1で製造
したヒアルロン酸スポンジ層を積層していない創傷被覆
材を適用し、その上にガーゼをあてて伸縮性粘着テープ
で固定した。1週後、麻酔下で被覆材を除去して創面の
状態を観察し、創周辺をイソジンで消毒した後、再度、
ヒアルロン酸スポンジ層を積層した創傷被覆材ならびに
対照被覆材を適用し、ガーゼをあてて伸縮性粘着テープ
で固定した。以後、一週毎に新しい創傷被覆材の貼り換
えを行い、経時的に創傷の状態を観察した。
【0035】ヒアルロン酸スポンジ層を積層した創傷被
覆材を適用した場合、1週間で除去した際には、ヒアル
ロン酸は殆ど総てが分解吸収されたので、毎週新しく貼
付けた。また、滲出液は不織布層に吸い上げられて被覆
材下に滲出液の貯留は生じていなかった。
【0036】ヒアルロン酸スポンジ層を積層した創傷被
覆材を適用した右背部は、肉芽組織の形成と創周辺から
の収縮が促進され、創傷被覆材適用3週目の時点では、
皮膚欠損創の直径は10mm程度になった。
【0037】他方、ヒアルロン酸を含まない被覆材を適
用した左背部は、被覆材適用3週目の時点で、被覆材下
に滲出液の貯留は認められなかったものの、皮膚欠損創
の直径は20mm程度であつた。総合的に判断するとヒ
アルロン酸スポンジ層を積層した創傷被覆材は、不織布
層の存在により滲出液を適度に吸収することが出来るの
で、被覆材下に滲出液の貯留を生じることなく、ヒアル
ロン酸による治癒促進効果が認められた。
【0038】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係る創傷被
覆材は以下の効果を奏する。 不織布層11は、疎水性繊維と高吸収性繊維から構成
されているので、創傷面から放出された大量の創傷滲出
液を吸収することができ、滲出液内に含まれている水分
を所望な速度で創傷被覆材を通して創傷被覆材の外側表
面にうつして、この水分を周囲の環境中に蒸発させる能
力を有しているので、この滲出液が創と創傷被覆材との
間に貯留されることがない。従って、創傷被覆材の取り
替え頻度を少なくすることができるので、作業の繁雑さ
が軽減され、治療者の手間が大いに省ける。 疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織布層12の両
側に疎水性繊維からなる不織布層11を積層した場合に
は、当該創傷被覆材の外部表面に緻密な不織布層12が
あるので、外部からの創面への汚れや細菌の浸入を防ぐ
と同時に、吸収した体液が創傷被覆材から漏れたり、寝
具を汚したりすることが無い。 生体材料であるヒアルロン酸スポンジ層を創傷被覆材
に組み込むことにより、創傷治癒を促進することができ
るといった効果がある。 架橋ヒアルロン酸スポンジ層を創傷被覆材に組み込む
ことにより、ヒアルロン酸の創傷治癒促進効果を持続さ
せることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における創傷被覆材の一実施態様を示
す。
フロントページの続き Fターム(参考) 4C081 AA02 AA12 BA14 BB01 BB02 BB09 BC02 CA021 CA091 CA161 CA231 CB042 CC05 CD022 CD082 CE01 DA02 DA04 DA05 DA12 DC04 DC06 DC13 EA02 EA03 4F100 AJ05 AK41 AK53C AL09 BA03 BA04 BA07 BA10B BA10C BA10D DG01B DG01D DG06 DG15A DG15B DG15D DJ01C EC01 EC012 EC09 EC092 EJ05 EJ05C EJ052 JB06A JB06B JB06D JB16 JC00 JD02 JD14 JD14A YY00A YY00B

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織
    布層、疎水性繊維からなる不織布層、架橋ヒアルロン酸
    スポンジ層及び未架橋ヒアルロン酸スポンジ層を含むこ
    とを特徴とする創傷被覆材。
  2. 【請求項2】 疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織
    布層の目付けが30〜300g/m2 である請求項1に
    記載の創傷被覆材。
  3. 【請求項3】 疎水性繊維からなる不織布層の目付けが
    5〜100g/m2である請求項1または2に記載の創
    傷被覆材。
  4. 【請求項4】 疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織
    布層の両側に疎水性繊維からなる不織布層を積層した請
    求項1〜3のいずれかに記載の創傷被覆材。
  5. 【請求項5】 架橋ヒアルロン酸スポンジ層は、ヒアル
    ロン酸がエポキシ化合物で架橋されている請求項1〜4
    のいずれかに記載の創傷被覆材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1190914A2 (en) 2000-09-22 2002-03-27 Sumitomo Wiring Systems, Ltd. Grommet
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