JP2002195961A - X線撮像装置 - Google Patents
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Abstract
線発生装置のままで簡単にX線のスペクトルを切り換え
ることができ、従来の装置に比して差分像を容易に画像
化することができ、また、実質的にリアルタイムの差分
像を得ることのできるX線撮像装置を提供する。 【解決手段】 集束された電子線の照射によりX線を発
生するターゲットとして、異なる元素を含む複数のター
ゲット材料を互いに接近させて配置した構造のものを用
い、その各ターゲット材料に対して電子線を選択的に照
射するべく当該電子線を偏向させる偏向手段を設けるこ
とで、電子線の偏向だけで異なるスペクトルのX線の発
生を可能とし、X線発生装置の取り換えを不要とすると
同時に、X線の切り換えのための時間を極めて短くする
ことを可能とする。
Description
びX線CT装置などのX線撮像装置に関する。
料に照射するX線のエネルギを適当に選択することによ
って、特定の物質の透過像のみを画像化できることが知
られている。
れぞれ試料に照射して得られる各X線透過像の差分をと
れば、スペクトルの差に応じたエネルギのX線を照射し
たときに得られる透過像と等価な画像が得られることも
知られている。
るスペクトルのX線を発生するためには、互いに異なる
材質からなるターゲットに電子線を照射する必要があ
る。従って、試料に対して2種類のスペクトルを持つX
線を照射してそれぞれの透過像を得るためには、互いに
異なる材質からなるターゲットを備えた2種類のX線発
生装置を用意しておき、各スペクトルのX線を照射する
ごとにX線発生装置を交換してX線を発生させる必要が
ある。これは大変な手間と労力がかかる作業であった。
ことなく、1つのX線発生装置のままで簡単にX線のス
ペクトルを切り換えることができ、もって従来の装置に
比して、特定の物質のX線透過像のみを容易に画像化す
ることのできるX線撮像装置を提供することにある。
め、本発明のX線撮像装置は、集束させた電子線をター
ゲットに照射してX線を発生させるX線発生手段を備え
たX線撮像装置において、上記ターゲットは、異なる元
素を含む複数の材料を互いに接近させて並べた構造を有
するとともに、そのターゲットの各材料に対して選択的
に電子線が照射されるように当該電子線を偏向させる偏
向手段と、上記各材料に電子線を照射することにより発
生する各X線を用いて得られる各X線透過像をそれぞれ
記憶する映像記憶手段と、その映像記憶手段に記憶され
た複数の映像から差分の映像を演算する差分演算手段を
備えていることによって特徴づけられる。
なる元素を含む複数の材料からなるターゲットを配置す
るとともに、電子線を偏向させる手段を設けて、ターゲ
ットの各材料に対して電子線を選択的に照射することに
よって複数種類のスペクトルのX線を発生させ、所期の
目的を達成しようとするものである。
て、電子線の照射により互いに異なるスペクトルのX線
を発生する複数の材料を互いに近接して配置したものを
用いるとともに、電子線の偏向により各材料に電子線を
照射できるようにすれば、1つのX線発生手段を用い
て、電子線を偏向させるだけで互いに異なるスペクトル
のX線を発生することが可能となる。このようにして発
生させた各スペクトルのX線を用いて撮像した試料のX
線透過像を映像記憶手段に個々に記憶し、その各透過像
の差分を演算することにより、特定のエネルギのX線透
過像を得ることができる。
実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形
態の全体構成図で、X線光学系の構成を表す模式図と電
気的構成を表すブロック図とを併記して示す図であり、
図2はそのX線発生装置1内のターゲット13の構造を
模式的に示す斜視図である。
管であり、電子銃11からの電子線を集束させる集束コ
イル12と、集束された電子線が照射されるターゲット
13のほかに、集束後の電子線を偏向させる偏向コイル
14を内蔵している。このX線発生装置1は、X線駆動
回路5から供給される管電圧・管電流によって駆動制御
される。
のターゲット材料からなるパターン13b,13cを互
いに近接して形成したものであり、この例は、IC内部
の銅配線を強調して映像化する場合のターゲットの構成
例を示すものであり、下地13aとしてアルミニウム
(Al)を用い、その表面に、製膜装置を用いてそれぞ
れストライプ状の銅(Cu)パターン13bとタングス
テン(W)パターン13cを形成している。各パターン
13b,13cの線幅はそれぞれ2〜5μmとし、相互
の間隔も同寸法程度としている。
駆動制御され、ターゲット13の銅パターン13bおよ
びタングステンパターン13cのうちのいずれか一方に
対して選択的に電子線を導く。電子線は集束コイル12
によって1μm程度にまで絞られるので、偏向コイル1
4の駆動によって電子線を銅パターン13bとタングス
テンパターン13cのいずれかにのみ照射することがで
きる。電子線を銅パターン13bに照射すると、銅に固
有のスペクトルを有するX線が発生し、また、タングス
テンパターン13cに電子線を照射した場合には、タン
グステンに固有のスペクトルを有するX線が発生する。
なお、この偏向制御回路6および前記したX線駆動回路
5は、後述する制御部41の制御下に置かれている。
設けられている。また、これらのX線発生装置1とX線
カメラ2の間には、透視すべき試料Wを保持または載置
するための試料台3が配置されている。
イアとCCDを組み合わせてなる公知の2次元X線カメ
ラであり、その各画素出力は、制御部41の制御下にあ
るキャプチャーボードなどの画像取り込み回路42を介
して映像記憶部43に格納される。この映像記憶部43
では、複数のフレーム分の画像を個別に記憶することが
でき、制御部41からの指令に基づき、銅パターン13
bに電子線を照射することにより発生したX線を用いて
得た試料WのX線透過像と、タングステンパターン13
cに電子線を照射することにより発生したX線を用いて
得た同じ試料WのX線透過像をそれぞれ個別に記憶す
る。
に基づき、映像記憶部43に記憶されている上記した同
じ試料Wの異なるX線による2種のX線透過像の、互い
に対応する各画素の濃淡情報の差を算出して、画像処理
部45に供給する。画像処理部45では、差分演算後の
画素情報を用いて試料WのX線透過像を構築し、表示器
46の画面上に表示する。
路42、映像記憶部43、差分演算部44、画像処理部
45および表示器46は、実際にはコンピュータおよび
その汎用的な周辺機器によって構成され、コンピュータ
にインストールされているプログラムにより上記した各
種機能を実行するものである。
たようにIC内部の銅配線を強調したX線透過像を得る
場合を例にとって、その作用を詳細に述べる。CuのX
線吸収係数は、図3(A)に示す通りであって、そのK
吸収端は8.99keV(波長1.38Å)である。ま
た、Cuに対して電子線を照射することによって発生す
るX線のスペクトルは、同図(B)に示す通り、CuK
αを主体とするものであって、このCuKαのエネルギ
は8.05keV(波長1.54Å)で、CuのK吸収
端よりも少し小さいエネルギである。更に、Wに対して
電子線を照射することによって発生するX線のスペクト
ルは、同図(C)に示す通りであって、CuのK吸収端
付近では連続的な強度を有している。
りIC内部の銅配線を強調したX線透過像を得るに当た
っては、まず、例えば銅パターン13bに電子線を照射
して発生したX線により試料Wの透過像を撮像し、映像
記憶部43に格納する。このときに得られる像は、8.
05keVの透過像ということができる。次に、タング
ステンパターン13cに電子線を照射してX線により試
料の透過像を撮像し、同じく映像記憶部43に格納す
る。このタングステンターゲット13cに電子線を照射
して発生したX線は、前記のようにそのエネルギ分布は
CuのK吸収端の付近において略フラットであるため
に、CuのK吸収端前後のエネルギが混合された状態で
試料Wに吸収される。
後、2つの透過像を構成する各画素について、差分演算
部44において互いに対応する画素どうしの濃淡情報の
差分を演算し、画像処理部45によりその演算後の画素
によって画像を構築して表示器46に表示すると、その
画像はCuのK吸収端の影響が強調された画像、従って
IC内部の銅配線が強調された画像となる。
ーゲット13として、下地13aの表面にCuとWの2
種類のパターン13bおよび13cをそれぞれ1つずつ
形成した例を示したが、図4に例示するように、銅パタ
ーン13bとタングステンパターン13cを複数組にわ
たって形成した方が、X線の発生点の調整の容易さや、
寿命などの点を考慮した場合、各組のパターンを予備と
して用いることができるが故に、むしろ好ましい。ま
た、ターゲットパターンはストライプ状だけでなく、点
状であってもよい。
アルミニウムに限定されるものではなく、任意の材質と
することができるが、この下地13aの材質としては、
あまりX線を発生しない材料またはターゲット物質で発
生したX線をあまり吸収しない材料とすることが望まし
い。
銅配線を強調したX線透視像を得るために、ターゲット
材料としてCuとWの2種類を設けた例を示したが、強
調すべき材料のK吸収端に対応して、その少し小さいエ
ネルギ位置にピークを有するX線を発生するターゲット
材料と、それよりも大きいエネルギ位置にピークを有す
るX線を発生するターゲット材料とからなる、最適の2
種類のターゲット材料を設けることが望ましい。また、
一つのターゲット13に設けるターゲット材料は2種類
に限らず、3種類以上として、そのなかから任意のもの
に対して電子線を照射し得るように構成してもよいこと
は勿論である。
線透視装置に本発明を適用した例を示したが、X線CT
装置にも本発明を等しく適用することができる。この場
合、X線光軸に直交する軸(図1においては鉛直方向の
軸)の回りに試料Wを回転させる必要があるが、その回
転軸の方向とターゲット材料を切り換える際の電子線の
移動方向を合致させておくことが好ましい。これは、断
層像を計算するときに、2種のX線の発生点が試料Wの
回転軸に対して直交する方向にずれると分解能の点で原
理的に望ましくなく、X線発生点が試料Wの回転軸に沿
って移動する場合には、その影響が少なくなるからであ
る。
等のX線発生手段内に配置され、集束された電子線の照
射によりX線を発生するターゲットに、互いに異なる元
素を含む複数種類のターゲット材料を互いに近接は位置
した構造のものを用いるとともに、その各ターゲット材
料に対して選択的に電子線を照射する偏向手段を設けて
いるので、X線発生手段を取り換えることなく照射X線
のエネルギを切り換えることが可能となり、手間をかけ
ずに容易に注目する物質に対応したエネルギ差分像を得
ることができる。
るだけで行われ、その切り換えに要する時間は極めて短
時間であるため、差分像をほぼリアルタイムで得ること
ができ、例えば試料が経時的に変化するようなものであ
っても、その変化の様子をリアルタイムで差分像で見る
ことができる。
系の構成を表す模式図と電気的構成を表すブロック図と
を併記して示す図である。
3の構造を模式的に示す斜視図である。
Cuの吸収係数を示すグラフで、(B)はCuに電子線
を照射したときに発生するX線のスペクトルを示すグラ
フ、(C)はWに電子線を照射したときに発生するX線
のスペクトルを示すグラフである。
ーゲット13の構造を模式的に示す斜視図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 集束させた電子線をターゲットに照射し
てX線を発生させるX線発生手段を備えたX線撮像装置
において、 上記ターゲットは、異なる元素を含む複数の材料を互い
に接近させて並べた構造を有するとともに、そのターゲ
ットの各材料に対して選択的に電子線が照射されるよう
に当該電子線を偏向させる偏向手段と、上記各材料に電
子線を照射することにより発生する各X線を用いて得ら
れる各X線透過像をそれぞれ記憶する映像記憶手段と、
その映像記憶手段に記憶された複数の映像から差分の映
像を演算する差分演算手段を備えていることを特徴とす
るX線撮像装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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