JP2002193823A - 悪酔い・二日酔い予防剤 - Google Patents

悪酔い・二日酔い予防剤

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 悪酔い・二日酔いの効果的予防剤を提供す
る。 【解決手段】 桑科植物の含有成分を有効成分とする桑
茶、乾燥粉砕物および抽出物からなる悪酔い・二日酔い
予防剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、桑科植物の含有成
分を有効成分とする新規用途に関するものである。さら
に詳しく説明すると、本発明は、桑科植物の葉、実ある
いは桑科植物から製した桑茶、乾燥粉砕物あるいは抽出
物等からなる悪酔い・二日酔い予防剤に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】飲酒などで経口摂取されたアルコール
は、胃や小腸などの消化管で吸収される。吸収されたア
ルコールは血液によって運ばれ大部分は肝臓で代謝され
る。アルコールは、先ずアルコールデヒドロゲナーゼ
(アルコール脱水素酵素)により、アセトアルデヒドに
なる。次いでアセトアルデヒド脱水素酵素によりアセト
アルデヒドが酢酸になり、さらにアセチルCoAとなっ
てクエン酸回路(TCA Cycle)に入り、最後は
炭酸ガスと水にまで分解されるのが、正常な代謝であ
る。大量飲酒によって引き起こされる悪酔い、二日酔い
は、この代謝が正常に機能しなくなった結果として発生
するものである。
【0003】健康な成人の肝臓が代謝できるアルコール
の量は、体重1kg当たり純アルコール換算で0.1g
/時間程度である。すなわち、体重65kgの健康な成
人の一日に代謝できるアルコールの総量はおおよそ16
0gとなる。翌朝までに8時間の睡眠を取ることを想定
すると、睡眠時間でアルコールを完全に分解できる晩酌
量はその3分の1となる。ビールならば大瓶2本、日本
酒では2合、ウィスキー/ブランディーならばダブル2
杯までが、肝臓にとって比較的安全な晩酌量といえる。
この量以上のアルコールを飲酒すると、肝臓における代
謝が追いつかず、翌日、アルコール感が残ることとな
る。このことは、翌日になっても肝臓はアルコールを代
謝し続けることになり、肝臓は疲弊して酵素の活性が低
下する。これは取りも直さずアルコール及び酢酸生成の
中間体であるアセトアルデヒドが血液中に放出されるこ
ととなる。すなわち、悪酔い・二日酔いが発生すると考
えられる。
【0004】適度な飲酒は、食欲増進、ストレス解消な
どの効果があるが、過剰の飲酒は、顔面紅潮、頭痛、眠
気、吐気などの悪酔い、二日酔いの症状が現れるばかり
ではなく、肝臓障害、膵臓炎などの弊害を引き起こす。
これらの症状を抑える方法としていくつかの方法が提案
されている。すなわち、血液中のアルコール濃度を低下
させる物質(特開平5―170659号、特開平5−2
46873号、特開平6−256201号、特開平11
−228428号、特開平11−2726116号公
報)、アセトアルデヒドの毒性を軽減する物質(特開平
6−40901号公報)などが開示されている。しかし
ながら、これらは、飲酒に伴う悪酔い・二日酔いを予防
する上で、未だ十分満足するものではなく、翌日におい
ても顔面紅潮、頭痛、眠気、吐気などの悪酔い、二日酔
い症状を十分に防止しうるものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ストレス解消、食欲増
進などの効果を期待する上で、アルコール飲料を健康的
に嗜むためには、悪酔い・二日酔いなどの好ましからざ
る副次作用を予防することが望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、桑茶を摂取
することで悪酔い、二日酔いなどの症状を予防し軽減す
ることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、桑
科植物含有成分を有効成分とする悪酔い、二日酔い予防
剤である。尚、従来は、桑科植物に悪酔い・二日酔いの
予防効果があることは全く知られていないことであっ
た。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明で使用する原料としては、桑科植物であれ
ば特に限定されるものではないが、ヤマグワMorus bomb
ycis Koidzumi、マグワMorus alba L.、シマグワMorus
australis Poir、ロソウMorus latifolia Poir.、モウ
コグワMorus mongolica Schneid、クロミグワMorus nig
ra L.、アカミグワMorus rubra L.、オガサワラグワMor
us boninensis Koidzumi.などを用いることができ、ま
たこれらの交配種や変種を用いることもできる。使用す
る部位はなんら限定されるものではなく、実、葉、枝
条、若枝、樹皮、幹、根、根皮、桑椹などを使用するこ
とができる。
【0008】例えば、桑葉抽出物を得るには、桑葉の乾
燥物に水又は含水エタノールなどのアルコール類を加え
て抽出する。この原料に使用する桑葉の乾燥物は、何ら
限定されるものではなく、乾燥物そのままを使用する以
外に焙煎機で焙煎した桑葉を使用することもできる。ま
たこれらの乾燥物を粉砕機で粉砕した粉末を使用するこ
ともできる。この抽出液を遠心分離器にかけて不溶物を
除去し、減圧濃縮した後、凍結乾燥することで桑葉抽出
物を得ることができる。
【0009】桑科植物の含有成分を有効成分とする悪酔
い・二日酔い予防剤は、水溶性高分子化合物、例えばデ
キストリン、CMC、アラビアガム、ゼラチンなどの賦
形剤とともに噴霧乾燥して得られる粉末状あるいは顆粒
状に成型しても好適に使用できるが、タブレット状ある
いはカプセル状にしても使用できる。
【0010】しかしながら、このことに制約されるもの
ではなく桑茶、粉末あるいは抽出物を添加した飲食物を
摂取することでも効果的にこの作用を発現させることが
できる。
【0011】例えば、飲酒の際に高濃度なアルコール飲
料を桑茶で割って飲むことでこれらの作用を発現するこ
ともできる。
【0012】本発明の桑科植物を悪酔い、二日酔いの予
防として用いるには、後述の実施例を考慮して、桑葉抽
出物として0.25mg/kg体重以上、桑葉乾燥粉砕物な
らば1mg/kg体重以上を摂取すればよい。摂取量の上限
は存在しない。
【0013】本発明の悪酔い・二日酔い予防剤がその効
果を十分に発揮させるためには、例えば、桑葉抽出物を
利用するならば、1回あたり0.01〜4gを含有する
ことが望ましい。
【0014】本発明の悪酔い・二日酔い予防剤を効果的
に発現するためには、アルコール飲料の飲酒前、飲酒中
または飲酒直後に摂取することが望ましい。
【0015】本発明の悪酔い・二日酔い予防剤は、特に
食品群を指定するものではないが、例えば、パン、マカ
ロニ、スパゲティ、めん類などに代表される小麦粉製
品、即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、即席
スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物などに代表され
る即席食品、ジャム、マーマレード、煮豆、シリアル
(穀物加工品)などに代表される農産加工品、佃煮、魚
肉ハム・ソーセージ、水産練り製品などに代表される水
産加工品、畜肉ハム・ソーセージ、ペーストなどに代表
される畜肉加工品、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲
料、チーズ、粉乳類、アイスクリーム、クリームなどに
代表される乳製品、醤油、味噌、ソース類、トマト加工
調味料、みりん類、食酢類、カレーの素類、たれ類、ド
レッシング類、めんつゆ類、スパイス類、などに代表さ
れる基礎・複合調味料、キャラメル・キャンディー、チ
ューインガム、チョコレート、クッキー・ビスケット、
ケーキ・パイ、スナック・クラッカー、和菓子・米菓子
・豆菓子、デザート菓子などに代表される菓子類、炭酸
飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲
料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳・豆乳飲料、
コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ
飲料、栄養・健康飲料、アルコール飲料などに代表され
る嗜好飲料、アイスキャンディ、シャーベットなどに代
表される氷菓子、蜂蜜、メープルシロップ、砂糖などに
代表される甘味料、ふりかけ、お茶漬けのり、各種健康
食品などに使用することができる。
【0016】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (調製例1)乾燥した桑葉(一の瀬)345kgをハン
マーミル、さらには振動ミルにて微粉砕した後、殺菌し
て325kgの桑葉乾燥粉砕物を調製した。この粉砕物
の化学分析結果は、下記のとおりである。 水分 5.4 % たんぱく質 20.7 % 脂質 3.7 % 繊維 11.7 % 灰分 13.2 % 糖質 46.7 % 鉄 101 mg/100g カルシウム 2.33 % ナトリウム 3.42 mg/100g カリウム 2.79 % マグネシウム 362 mg/100g 亜鉛 60.8 ppm 総ビタミンC 28 mg/100g レチノール(V.A) 670 IU カロチン 7440 μg ビタミンA効力 4130 IU ビタミンB1 0.59 mg ビタミンB2 1.35 mg ナイアシン 4.0 mg ビタミンC 31.6 mg (調製例2)桑葉(一ノ瀬)を約1cmの幅に裁断し、
伊達式製茶機を用いて乾燥桑葉を調製した。調製条件は
次のとおりである。桑葉を蒸機で蒸し、粗揉機で75
℃、40分間、中揉機で60〜70℃、30分間、それ
ぞれ処理した後、透気式乾燥機で60〜70℃、25分
間乾燥した。このようにして製した乾燥桑葉を焙煎機に
て焙煎して、桑茶を調製した。 (調製例3)調製例1で得た粉砕物10kgに蒸留水2
0kgを加えて加温しながら撹拌抽出した。この抽出液
にエタノール16kgを加えて一晩放置し、生じた沈殿
物を遠心分離により除去した後、減圧濃縮した。この濃
縮物を凍結乾燥することによって、1.9kgの桑葉抽
出物を得た。 (調製例4)調製例3で得た桑葉抽出物(1.9kg)
に調製例1で得た桑葉乾燥粉砕物(2.6kg)とデキ
ストリン(0.5kg)を加えて高速ニーダーで混合
し、さらにオシレーター造粒機で造粒した。これを打錠
機にて250mgのタブレットを調製した。 実施例1(アセトアルデヒド急性致死抑制試験) CDF1雄性マウス(7週齢:日本チャールズリバー)
を1週間予備飼育後実験に供した。室温23±1〜2
℃、湿度55±5%、換気回数12から5回/時間(オ
ールフレッシュエアー方式)、照明時間(12時間/
日)に飼育条件を設定した飼育室に6匹ずつ飼育した。
固形飼料CE−2(日本クレア)及び飲料水は自由摂取
とした。
【0017】アセトアルデヒドは、蒸留水にて希釈して
投与量が11mmol/kgとなるように調製した。
【0018】調製例3で得られた抽出物を、投与量が1
0mg/kg、100mg/kgとなるように蒸留水に溶解して
試験に供した。すべての摂取量を10cc/kgとした。
【0019】マウスは1群15匹とし、コントロールと
して蒸留水をそして定量の試験サンプルを腹腔腔内に投
与して、30分後にアセトアルデヒドを腹腔腔内に投与
した。アセトアルデヒド投与後2時間及び2週間経過し
た生存率を観察し、X2検定を行った。
【0020】結果は、表1に掲げるようにコントロール
群の2時間後及び2週間後の生存率がそれぞれ20%で
あったのに対して、調製例3で得られた抽出物を10mg
/kg投与群の生存率はそれぞれ53.3%、46.7%
であり、100mg/kg投与群においてはそれぞれ93.
3%、86.7%であり、危険率5%以下で有意差を認
めた。
【0021】
【表1】
【0022】実施例2 ウィスター系雄性ラット(8〜10週齢:日本SLC)
を24時間絶食させた後、実験に供した。調製例3で得
られた抽出物6を、投与量が10mg/kg、100mg/kg
となるように蒸留水に溶解して試験に供した。
【0023】試験サンプルを10cc/kg経口投与した。
30分後に30%(w/v)のエタノールを経口投与し
た。エタノール投与後、0、30、60、90、12
0、180分後に無麻酔下で尾静脈からヘマトリットチ
ューブを使用して約100μl採血し、1200rpm
で5分間遠心分離した。得られた血漿20μlに0.3
3ml/Lの過塩素酸580μlを添加して混和した。
3000rpmで5分間遠心分離した後、上澄液のエタ
ノール濃度をエタノール測定キット(ベーリンガー/イ
ンゲルハイム山之内)を使用して測定した。
【0024】結果は、表2に掲げるようにきわめて顕著
な血液中のアルコール濃度の減少を示した。
【0025】
【表2】
【0026】実施例3 健康な男性20名(30〜60才)に飲酒前に調製例4
で得られたタブレット6粒を食させた。日本酒3合、ビ
ール大瓶1本宛を、食事をしながら3時間で飲酒した。
飲酒時の排尿の状態、悪酔い、二日酔いの状態を翌朝に
申告した。結果は、表3に示すように、タブレットを摂
取しない場合(コントロール)は、20名全員が悪酔
い、二日酔いを感じ、排尿時に二日酔い特有の匂いを感
じたと申告者が18名いた。タブレットを摂取したとき
には、いつもの飲酒時に比較して排尿の回数、量が増え
たと申告した者が17名であった。また悪酔い、二日酔
いがなく、目覚めもよく、また排尿時の匂いも感ずるこ
となかったのでタブレットを摂取した効果が有効であっ
たと申告者は15名であり、顕著な有効性が認められ
た。
【0027】
【表3】
【0028】 A:いつもの飲酒時と回数、量、匂いとも変わらない B:いつもの飲酒時に比較して回数、量が増え、二日酔
い特有の匂いがしない 実施例4 桑葉乾燥粉砕物あるいは抽出物を配合した下記するビス
ケット、チューインガム、チョコレート、キャンディ
ー、マルベリー飲料、およびホワイトマルベリーアルコ
ール飲料を常法によって製造した。いずれの飲食物も異
味等は感じられなかった。 [ビスケット] 砂糖 175重量部 無塩バター 150 〃 全卵 150 〃 小麦粉 500 〃 香料 適量 調製例1粉砕物 25 〃 ━━━━━━━━━━━━━━━━ 合計 1000重量部 [チューインガム] ガムベース 200重量部 砂糖 550 〃 ブドウ糖 80 〃 水飴 145 〃 グリセリン 5 〃 香料 適量 調製例3抽出物 20 〃 ━━━━━━━━━━━━━━━━ 合計 1000重量部 [チョコレート] カカオマス 440重量部 砂糖 430 〃 カカオバター 110 〃 レシチン 適量 香料 適量 調製例3抽出物 20 〃 ━━━━━━━━━━━━━━━━ 合計 1000重量部 [キャンディー] グラニュー糖 540重量部 水飴 440 〃 水 少量 酸味料 適量 香料 適量 着色料 適量 調製例3抽出物 20 〃 ━━━━━━━━━━━━━━━━ 合計 1000重量部 [マルベリー飲料] 転化糖 77 重量部 砂糖 65 〃 マルベリー果汁 40 〃 酸味料 1 〃 香料 1 〃 ビタミンC 0.5 〃 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 調製例3抽出物 5 〃 水を加えて1000重量部とする。 これを濾過し、焼酎(25度)を加えて1000重量部
とする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A21D 13/08 A21D 13/08 A23G 1/00 A23G 1/00 3/00 101 3/00 101 3/30 3/30 A23L 2/52 C12G 3/00 C12G 3/00 A23L 2/00 F Fターム(参考) 4B014 GB01 GB06 GB07 GB13 GG18 GK06 4B017 LC03 LG04 LG15 4B018 LB01 LB08 MD61 ME14 MF01 MF06 MF07 4B032 DB21 DK29 DL20 4C088 AB34 AC04 AC05 BA07 BA08 CA06 NA14 ZC37

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 桑科植物からなることを特徴とする悪酔
    い・二日酔い予防剤。
  2. 【請求項2】 桑科植物の葉から製した桑茶からなるこ
    とを特徴とする悪酔い・二日酔い予防剤。
  3. 【請求項3】 桑科植物の乾燥粉砕物からなることを特
    徴とする悪酔い・二日酔い予防剤。
  4. 【請求項4】 桑科植物の抽出物からなることを特徴と
    する悪酔い・二日酔い予防剤。
  5. 【請求項5】 桑科植物の実、葉、桑茶、桑科植物の乾
    燥粉砕物及び抽出物から選択される2種あるいは3種以
    上の物質を含有することを特徴とする悪酔い・二日酔い
    予防剤。
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