JP2002193374A - 記録媒体用ジャケット及び記録媒体用ジャケットの製造方法 - Google Patents

記録媒体用ジャケット及び記録媒体用ジャケットの製造方法

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JP2002193374A
JP2002193374A JP2001264980A JP2001264980A JP2002193374A JP 2002193374 A JP2002193374 A JP 2002193374A JP 2001264980 A JP2001264980 A JP 2001264980A JP 2001264980 A JP2001264980 A JP 2001264980A JP 2002193374 A JP2002193374 A JP 2002193374A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 開閉時の円滑性を低下させることなく強
度と耐久性を高めるとともに、造形的な美観にも優れた
記録媒体用ジャケットを提供することを課題とするもの
である。 【解決手段】 紙材10を折線50で折って重ね、外側
となる外側紙11と内側となる内側紙12が形成された
台紙13と、この台紙13に設けられ記録媒体22を着
脱自在に保持するホルダ部20と、前記台紙13に設け
られた平行な2本のスジ押し線40で曲げて形成された
少なくとも1つのヒンジ部30とを備え、前記スジ押し
線40は、外側紙11と内側紙12とに設けられたスジ
押し線401、402の積層構造を有し、台紙13の外
側方向に凸形状を呈するよう構成することで上記課題を
解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【従来の技術】本発明は、CD、DVD、MOを始めと
する記録媒体のディスク類を、保持して収納するための
折り畳み構造のジャケットに関する技術分野に属する。
【0002】従来、折り畳み構造を備えた記録媒体のジ
ャケットとしては、例えば、特公平7−14743号公
報に記載のものが知られている。
【0003】この特公平7−14743号公報に開示さ
れたディスク類のジャケットは、1枚の紙材を折り重ね
接着剤で接着して3つ折りに折り畳まれる台紙と、台紙
の折り畳みの際に内側となる内側紙の1面に固着されて
ディスク類を嵌合着脱可能に保持するホルダとからな
る。そして、台紙を折り畳むためのヒンジ部は、内側紙
側の長さ全部にわたって切り欠きされた帯形のスロット
と、外側紙側の長さ全部にわたってスロットより幅狭に
設けられた帯形のストリップとが組み合わされて形成さ
れている。
【0004】この記録媒体のジャケットでは、台紙を開
閉する際に、ヒンジ部の台紙に生じる形成応力を、スロ
ットとストリップで吸収することができるため、折り皺
を生じることなく円滑に閉塞、展開することができる。
また、台紙が1枚の紙材を折り重ねて形成されるため、
あらかじめ印刷、装飾等の意匠加工を施すことができ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】記録媒体用のジャケッ
トのヒンジ部は、開閉の度に変形するため、台紙の中で
も最も大きな負荷が係る部位である。しかし、特公平7
−14743号公報のジャケットでは、ヒンジ部が切り
欠きのスロットを設けたため紙材の単層構造であり、ヒ
ンジ部以外が積層構造である。そのため、ヒンジ部が構
造的な強度に乏しいだけでなく、全体の中でヒンジ部が
最も弱い部位となり、外部から受けるストレスもヒンジ
部に集中し、ヒンジ部が破損しやすくなるという課題を
有している。
【0006】また、スロットの切り欠きの端部が屈曲点
となり、ヒンジ部を開閉する度にストリップ側の紙面と
の間で摩擦を生じてしまう。そのため、この構造では、
多数回の閉塞や展開を繰り返すことによって、ヒンジ部
の耐久性をさらに劣化させるという課題も有している。
【0007】一方、記録媒体用のジャケットは、一般的
に販売時には店頭に陳列され、また購入者も棚等に並べ
て保管する。その際、タイトル等が表示されているヒン
ジ部の背側を揃えて並べられることが多いため、背側か
ら見た外観も優れたものであることが望まれる。そのた
め、折り皺を防止するだけでなく、造形面でも優れたジ
ャケットを得るという観点で、さらなる改良の余地があ
った。
【0008】このような従来の課題を考慮して、本発明
は、開閉時の円滑性を低下させることなく強度と耐久性
を高めるとともに、造形的な美観にも優れた記録媒体用
ジャケットを提供することと、この記録媒体用ジャケッ
トの製造方法において、製造コストを削減することを課
題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の記録媒体用ジャケットは、次のような手段
を採用する。
【0010】すなわち、請求項1では、紙材を折線で折
って重ね、外側となる外側紙と内側となる内側紙が形成
された台紙と、この台紙に設けられ記録媒体を着脱自在
に保持するホルダ部と、前記台紙に設けられた平行な2
本のスジ押し線で曲げて形成された少なくとも1つのヒ
ンジ部とを備え、前記スジ押し線は、外側紙と内側紙と
に設けられたスジ押し線の積層構造を有し、台紙の外側
方向に凸形状を呈している。
【0011】この手段では、ヒンジ部が、内側紙と外側
紙を重ねて積層されているため、強度が増し、閉塞や展
開に対する耐久性が備えられる。また、スジ押し線を設
けて折り曲げることで、折り曲げ時に折り方向を案内す
るとともに、折り皺の形成応力を吸収する。また、スジ
押し線を外側に凸状となる形状とし、これらスジ押し線
がヒンジ部の矩形の屈曲点として形成されるため、ヒン
ジ部の背側の形状が湾曲せず鋭角的にかたち作られる。
【0012】また、請求項2では、請求項1記載の記録
媒体用ジャケットにおいて、スジ押し線の積層構造で
は、内側紙のスジ押し線が、外側紙のスジ押し線の内側
に、着脱自在に嵌合されることを特徴とする。
【0013】この手段では、ヒンジ部を閉じたときに
は、外側紙のスジ押し線の内側に、内側紙のスジ押し線
が嵌まり込むため、積層構造による屈曲点の内外の曲率
半径の差が吸収され、応力が緩和される。また、ヒンジ
部を開いたときには、嵌合が弛み、ヒンジ部の展開角度
に応じて外側紙と内側紙との間隙が変化するため、ヒン
ジ部の台紙に係る張力も緩和される。
【0014】また、請求項3では、請求項2記載の記録
媒体用ジャケットにおいて、外側紙のスジ押し線の内寸
幅をw1とし、内側紙のスジ押し線の外寸幅をW2とし
たときに、w1≧W2であることを特徴とする。
【0015】この手段では、外側紙のスジ押し線と内側
紙のスジ押し線が、ヒンジ部を閉塞するときに速やかに
嵌合する。
【0016】また、請求項4では、請求項2または3記
載の記録媒体用ジャケットにおいて、外側紙のスジ押し
線の窪み寸法をD1とし、内側紙のスジ押し線の突出寸
法をL2としたときに、D1≧L2であることを特徴と
する。
【0017】この手段では、外側紙のスジ押しと内側紙
のスジ押しが、ヒンジ部を閉塞するときに速やかに嵌合
する。
【0018】また、請求項5では、請求項1から4のい
ずれかに記載の記録媒体用ジャケットにおいて、外側紙
と内側紙との間では、ヒンジ部を除く領域に接着領域が
設けられることを特徴とする。
【0019】この手段では、外側紙と内側紙の接着によ
り、台紙の形状が安定形成されるとともに、ヒンジ部で
は非接着とすることで、内側紙と外側紙の動きの自由度
が向上される。
【0020】また、請求項6では、請求項1から5のい
ずれかに記載の記録媒体用ジャケットにおいて、外側紙
と内側紙との間には、スペーサが配置されることを特徴
とする。
【0021】この手段では、外側紙と内側紙との間隙を
確保して、開閉時における外側紙と内側紙に掛かる張力
を緩和させる。
【0022】また、請求項7では、請求項1から6のい
ずれかに記載の記録媒体用ジャケットにおいて、スペー
サはヒンジ部に配置されることを特徴とする。
【0023】この手段では、ヒンジ部で外側紙と内側紙
との間隙が確保され、ヒンジ部の台紙に係る張力が緩和
される。
【0024】また、請求項8では、請求項6又は7記載
の記録媒体用ジャケットにおいて、スペーサは、紙材に
突設された折返片を、外側紙と内側紙との間隙に折り返
すことで形成される。
【0025】この手段では、紙材を折り重ねて台紙を形
成する際に、折返片を外側紙と内側紙との間隙に折り返
して挿入するだけでスペーサが形成される。
【0026】また、請求項9では、請求項1から8のい
ずれかに記載の記録媒体用ジャケットにおいて、折線に
はヒンジ部で切り込みが設けられることを特徴とする。
【0027】この手段では、ヒンジ部における折線での
形成応力が緩和される。
【0028】また、前記課題を解決するために、本発明
の記録媒体用ジャケットの製造方法では、次のような手
段を採用する。
【0029】すなわち、請求項10では、2本1組のス
ジ押し線で形成されたヒンジ部を少なくとも1つ有し、
前記スジ押し線が台紙の外側に凸状となるスジ押し線の
積層構造を呈する記録媒体用ジャケットの製造方法であ
って、紙材を2列に区分する折線を形成する工程と、前
記折線に直交して紙材を区分し、かつ各列で突出方向の
異なるスジ押し線を、平行に2本1組で少なくとも1組
を形成する工程と、前記折線で紙材を折り重ね、ヒンジ
部を除く領域に接着領域を設けて台紙を形成するととも
に、各列の対向するスジ押し線を積層する工程と、前記
積層されたスジ押し線を2本1組とし、スジ押し線の凸
状が台紙の外側となる方向に折り曲げてヒンジ部を形成
する工程と、前記工程に前後して、記録媒体を収納する
ホルダ部を設ける工程と、を備えている。
【0030】この手段では、先に紙材の各列で凹凸方向
の異なるスジ押し線を設けてから、紙材を折線で折って
重ねることで、スジ押し線の積層構造が形成される。
【0031】また、請求項11では、請求項10記載の
記録媒体用ジャケットの製造方法において、折線を形成
する工程と、突出方向の異なるスジ押し線を形成する工
程を、同時に施すことを特徴とする。
【0032】この手段では、折線及びスジ押し線を設け
る工程が簡略化される。
【0033】また、請求項12では、請求項10または
11記載の記録媒体用ジャケットの製造方法において、
各列の対向するスジ押し線を積層する工程で、スジ刃を
用いて形状を馴染ませることを特徴とする。
【0034】この手段では、スジ押し線の積層構造の形
状に確実性が備えられる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(1)
として、記録媒体用ジャケットについて図面に基づいて
説明した後、その製造方法も合わせて説明する。図1は
実施の形態(1)を閉塞した状態の斜視図、図2は実施
の形態(1)を展開した状態の斜視図、図3は実施の形
態(1)の台紙の展開図、図4は図3のA−A線で切断
した断面モデル図、図5は図3のB−B線で切断した断
面モデル図、図6は実施の形態(1)の折り重ねを示す
斜視図、図7は実施の形態(1)の接着領域を示す説明
図、図8は図7のC−C線で切断した断面モデル図、図
9、図10はスジ押し線の形成時の加工を説明する断面
モデル図、図11はスジ押し線の積層時の加工を説明す
る断面モデル図である。
【0036】実施の形態(1)の記録媒体用ジャケット
1は、紙材10を折線50で折って重ね、外側となる外
側紙11と内側となる内側紙12が形成された台紙13
と、この台紙13に設けられ記録媒体22を着脱自在に
保持するホルダ部20と、前記台紙13に設けられた平
行な2本のスジ押し線40で曲げて形成された少なくと
も1つのヒンジ部30とを備え、前記スジ押し線40
は、外側紙11と内側紙12とに設けられたスジ押し線
401、402の積層構造を有し、台紙13の外側方向
に凸形状を呈している。
【0037】実施の形態(1)では、記録媒体用ジャケ
ット1として、台紙13が3つの四角形の区分131〜
133に分割され、各区分がヒンジ部30で開閉自在に
連結された3つ折りタイプを例示している。台紙13
が、2箇所のヒンジ部30に従って順次閉じられると、
図1に示すように、全体として適度な厚みを有する四角
形のジャケットが構成される。そして、この記録媒体用
ジャケット1を開くと、図2に示すように、内側紙12
に記録媒体22を保持するためのホルダ部20が付設さ
れたり、また解説文等の冊子の挿入が可能な袋部61が
設けられたりしている。実施の形態(1)では、中央に
位置する区分132にホルダ部20を、端部に位置する
区分131に袋部61を配置している。
【0038】台紙13は、長方形状を呈する1枚の紙材
10を折って重ねることで形成されている。図3に、紙
材10を裏面102側から見た状態を示している。ここ
で言う裏面102は、紙材10を折り重ね台紙13を形
成した際に中に隠れる側を指し、表側101は外部に露
出する側を指している。この紙材10には、後に外側紙
11と内側紙12とを形成するために、2列に区分する
折線50が設けられている。また、この折線50に直交
し、かつ折線50を境として、外側紙11の列にスジ押
し線401が、内側紙12の列にスジ押し線402が形
成される。これらスジ押し線401、402は紙材10
を縦断する一直線上に配置されており、ここでは、この
直線をスジ目41と称して説明する。実施の形態(1)
の紙材10には、平行な2本のスジ目41、41を1組
として、2組設けられている。1組のスジ目41、41
どうしの間隔は、3つ折り時の折り畳み代の相違から、
位置により(図3中の左右側で)異なっている。実施の
形態(1)では、区分131側が最終形状で上になるた
め、図3中の左側のスジ目41の間隔をL1、右側をL
2とすると、L1>L2となるよう設定している。な
お、紙材10の紙目は、スジ目41に平行とすることが
望ましい。これは、ヒンジ部30を形成する際に、スジ
押し線40で折り曲げ易くするためである。
【0039】スジ押し線401、402の形状は、図
4、図5に示すように、紙材10に設けた時点で、凹凸
の方向とその大きさを変えている。凹凸の方向は、後に
積層してヒンジ部30を形成した際に、台紙13の外側
が凸状となるスジ押し線40を構成するために、スジ押
し線402は裏面102側が凸状に、スジ押し線401
は表面101側が凸状になるように、中心線を一致させ
て形成している。また、そのスジの大きさは、外側紙1
1側のスジ押しの外寸幅W1、内寸幅をw1、窪み寸法
D1、突出寸法L1とし、内側紙のスジ押しの内寸幅W
2、内寸幅w2、窪み寸法D2、突出寸法L2とする
と、w1≧W2、D1≧L2となるよう形成している。
そして、これらスジ押し線401、402の形状として
は、台形と半円形の中間的な形状を示す。この形状は後
述するスジ押し工程での面板80の加工形状に依存す
る。ここでは、それぞれ底辺4011、4021と斜辺
4012、4022を有する略々台形として図示する。
これにより、積層されたスジ押し線40を構成した際
に、スジ押し線402がスジ押し線401の内側に、く
さび効果により速やかに嵌合する。なお、W1、w2、
L1、D2は、紙材10の厚みによって決まるため、こ
こでは特に規定していない。
【0040】また、紙材10には、端部に折返片52が
突設されている。この折返片52は、台紙13を形成す
る際に、外側紙11と内側紙12との間に折り返され
て、スペーサの機能を果たす。
【0041】この実施の形態(1)では、スジ目41、4
1の間の端部に折返片52が突設され、区分131の端
部にノリ代51も突設されている。これは、袋部61の
形成時に使用される。さらに、折線50のヒンジ部30
には切り込み53がスジ目41に交差するよう、実施の
形態(1)では4箇所設けられている。なお、図3で
は、切り込み53の位置を明確にするため、強調して示
している。
【0042】このようにスジ押し線401、402と折
線50が形成された紙材10は、図6に示すように、折
線50で折って重ねられて、台紙13が形成される。そ
の際、外側紙11と内側紙12との間で接着が行われ
て、台紙13の形状が安定的に維持される。この接着
は、図7に示すように、接着領域711、712(図中
でハッチングを施した領域)と、非接着領域721、7
22とに分けて部分的に行い、特にヒンジ部30を含む
部位を、非接着領域721とすることを特徴としてい
る。なお、図7中の非接着領域は、1組のスジ押し線4
0、40の間隔幅に適度な幅を加えた非接着領域721
と、区分131のノリ代51以外の非接着領域722で
ある。非接着領域721は、後述するようにヒンジ部3
0の動き易さを向上させるもので、非接着領域722
は、袋部61を形成するためである。一方、接着領域
は、区分131のノリ代51となる接着領域711と、
区分132、133に設けられた接着領域712であ
る。接着領域712は、1つの区分内で3箇所に分布さ
せているが、これは一例であり、他の分布パターンで形
成しても良い。
【0043】台紙13には、記録媒体22を着脱自在に
保持するためのホルダケース21が、内側紙12の中央
に付設される。このホルダケース21は、記録媒体22
を中央の突起部23を用いて着脱するタイプであるが、
図に示した形式のホルダケースに限定されるものではな
い。
【0044】なお、紙材10には、あらかじめ意匠加工
が施されている。この意匠加工は、最終的に露見する表
面101に施されるもので、実施の形態(1)のように
1枚の紙材10を折り畳んで台紙を形成しているタイプ
では、紙材の片面のみに行われる。そのため、連続した
図柄を一括して加工することができるため、意匠加工の
作業が簡略化できる。意匠加工としては、印刷、装飾等
がある。
【0045】紙材10の素材としては、折り畳みや、意
匠加工が可能な素材であれば特に制約されるものではな
い。紙が好適であるが、必要に応じて他の材料が使用さ
れても良い。例えば薄いフィルム状のプラスチックや金
属フィルム(金属蒸着フィルムも含む)等でも良い。
【0046】上述のように、スジ押し線402がスジ押
し線401の内側に嵌まり込むよう寸法構成されて積層
されたスジ押し線40の機能について説明する。図1に
示すように記録媒体用ジャケット1を閉塞した状態で
は、ヒンジ部30は、2つの屈曲点によりコの字形状に
折り曲げられた状態となる。紙材10は所定の厚みを有
しているため、屈曲点の内側と外側では曲率半径が異な
っている。屈曲する際に、スジ押し線401、402は
いずれも、スジの開口を閉じるように丸みを帯び、外側
紙11の内側では窪み寸法D1が、内側紙12の内側で
は窪み寸法D2が、それぞれ曲率半径に略々等しくな
る。このときに、スジ押し線40では、外側のスジ押し
線401のスジの中に、内側のスジ押し線402を収納
しながら屈曲するため、内外の曲率半径の違いを吸収す
ることができ、これにより屈曲点で生じる形成応力を緩
和させることが可能となる。
【0047】またこの場合、ヒンジ部30の背の部分の
角度θが鋭角で得られ、美しい矩形をかたち作ることが
できる。例えば、仮に凸状の屈曲点が内側となるよう形
成した場合と比較すると、この場合には、屈曲によるス
ジ押し線の丸みが、台紙13のコの字形状の内側に位置
するため、内側紙12に挟まれてぶつかり合い、角度θ
が鈍角となる。さらに、ヒンジ部30の背の部分に湾曲
を生じさせ、ヒンジ部30の背側からみた外観に、緩慢
な印象を与え、造形面で不満足なものとなる。このヒン
ジ部30の背が湾曲しないという外観の特長は、特に複
数枚のジャケットを揃えて並べたときにその美観を認識
し易い。
【0048】さらに、ヒンジ部30では、外側紙11と
内側紙12とを接着していないため、スジ押し線40
1、402どうしの嵌合の着脱が自在に行われている。
上述したように、スジ押し線402は、スジ押し線40
1の内側に嵌合しやすい形状を有しているが、この状態
で接着により固定されてしまうと、ヒンジ部30が開閉
したときの外側紙11と内側紙12に掛かる張力の違い
を吸収することができず、ヒンジ部30に紙に裂罅を生
じてしまう。そのため、ヒンジ部30だけでなく、その
近傍を含む部位を非接着領域721とすることで、ヒン
ジ部30の展開角度に応じて、外側紙11と内側紙12
との間隙ΔGを自由に変化させ、応力による折り皺の発
生を防止することが可能となる。また、スジ押し線40
は、スジの開口の閉じ具合によって、ヒンジ部30の展
開角度の違いに容易に追従することができる。
【0049】ヒンジ部30に設けられたスペーサの折返
片52は、図8に示すように、外側紙11と内側紙12
との間に常に空気層60を形成する。この空気層60
は、上述の間隙ΔGの発生を促すとともに、接着した際
に紙の撓みを減少させる効果も有している。なお、この
折返片52は、ヒンジ部30全部にスペーサとして設け
る必要はなく、端部に部分的に設けるだけで十分機能す
る。
【0050】なお、スジ押し線401、402の寸法構
成は、上述した条件が最も理想的ではあるが、場合によ
っては、w1とW2の関係と、D1とL2の関係が、両
方同時に満たされていなくても良い。
【0051】次に、この記録媒体用ジャケット1の製造
方法について図面を用いて説明する。まず、ノリ代51
と折返片52が突設された紙材10に、あらかじめ意匠
加工が施される。この場合、表面101のみに一括して
行われる。
【0052】次に、図3に示すパターンに合わせて、紙
材10に、折線50とスジ押し線401、402が同時
に加工される。スジ押し線401は、図9に示すよう
に、面板80に設けた突起部84に紙材10を載置し、
突起部84の両側をスジ刃82、82で押さえることで
表面101側が凸状に形成される。一方、スジ押し線4
02は、面板80に設けた溝部83に紙材10を載置
し、スジ刃81を溝部83に合わせて押さえることで裏
面102側が凸状に形成される。また、実施の形態
(1)では、折線50もスジ押し線401と同じ方法で
形成する。この工程では、突起部84と溝部83が両方
形成された面板80を用いることでスジ押し線401、
402、折線50が同時に加工される。また、工程の後
に、折線50には切り込み53が形成される。なお、折
線50はスジ押し線402と必ずしも同じ方法で形成し
なくてもよい。
【0053】次に、図6に示すように折線50で紙材1
0を折り重ね、接着が行われる。接着は、図7に示す接
着領域にあらかじめ接着剤が塗布されており、外側紙1
1と内側紙12を固着させて台紙13を形成する。この
とき、ノリ代51と折返片52とが内側に折り込まれる
と同時に、対向する位置どうしのスジ押し線401とス
ジ押し線402が積層され、スジ押し線40が形成され
る。また、図11に示すように、積層されたスジ押し線
40を面板80の溝部84上に載置し、スジ刃81を用
いて馴染ませ、くせ付けすることで、スジ押し線40の
形状を確実なものとすることができる。
【0054】次に、台紙13に形成されたスジ押し線4
0の2本1組を、内側紙12が内側となる方向に折り曲
げてヒンジ部30を形成する。この方向に折り曲げるこ
とで、スジ押し線40では台紙13の外側が凸状とな
る。
【0055】最後に、ホルダケース21が、内側紙12
の中央に位置する区分に貼着され、記録媒体22の着脱
を可能とする。また、袋部61には、冊子等を収納が可
能となる。
【0056】なお、上述の工程は一例であり、必要に応
じて順序を入れ替えたり変更しても良い。例えば、スジ
押し線401、402と折線50の形成を別々に行った
りしても良い。
【0057】上述してきたように実施の形態(1)の記
録媒体用ジャケット1では、ヒンジ部30において、外
側紙11と内側紙12に欠落部を設けることなく積層し
ていることで、ヒンジ部以外の部位と同じレベルの構造
的な強度を確保することができる。また、ヒンジ部30
を形成するためのスジ押し線40が、外側紙11のスジ
押し線401内に内側紙12のスジ押し線402が嵌合
する積層構造であるため、開閉時の円滑性を損なうこと
なく、屈曲点での形成応力を緩和し、閉じた状態での折
り皺の防止することができる。また、スジ押し線40は
外側に凸状を呈していることで、ヒンジ部30の背の形
状が、湾曲を生じず美観に優れ、商品価値を高めること
ができる。また、スジ押し線401、402の嵌合は着
脱自在であるため、ヒンジ部30の展開角度に応じて外
側紙11と内側紙12との間隙ΔGが自由に変化し、展
開時の張力も緩和することができる。さらに、ヒンジ部
30の外側紙11と内側紙12との間は、折返片52に
よって常に空気層60が確保されているため、張力の緩
和をさらに確実に行うことができる。
【0058】これにより、実施の形態(1)の記録媒体
用ジャケット1では、閉塞、展開を繰り返しても破損し
にくく優れた耐久性が得られる。また、閉塞、展開のい
ずれの状態でも、台紙13に掛かる応力、張力を速やか
に緩和させているため、折り皺の発生を防止するととも
に、また造形的にも美しい形状を得ることができるもの
である。
【0059】次に、本発明の実施の形態(2)を図12
〜図14に示す。図12は実施の形態(2)の台紙の展
開図、図13は図12の台紙を使用した記録媒体用ジャ
ケットの展開時の要部を拡大した斜視図、図14は図1
3を閉塞させる際の要部を拡大した斜視図である。
【0060】この実施の形態(2)は、前述の実施の形態
(1)の紙材10の端部に突設されて、ヒンジ部30に配
設されている折返片52の別形態である。
【0061】図12に示す紙材10は、区分131に折
返片52a、区分132に折返片52b、区分133に
折返片52cがそれぞれヒンジ部30以外の端部に突設
され、さらに、区分131及び133には、のり代51
a、51bが突設されている。その他の構成は、前述の
実施の形態(1)と同様とする。
【0062】この実施の形態(2)の記録媒体用ジャケッ
ト1では、図13及び図14に示すように、折返片52
a、52b、52cはヒンジ部30以外の端部に幅広に
突設され、ヒンジ部30には、ヒンジ部30の両区分の
端部の各折返片によって形成される空気層60aが確保
される。また、折返片52a、52b、52cは記録媒
体用ジャケット1内部全体にわたって空気層60aを形
成している。したがって、幅広に突設された折返片52
a、52b、52cが外側紙11と内側紙12との間に
折り曲げられて、確実な空気層60aを提供するととも
に、記録媒体用ジャケット1の全体において、ヒンジ部
30が開閉したときの外側紙11と内側紙12に掛かる
張力はより緩和されることになる。
【0063】さらに、記録媒体用ジャケット1の端部
は、外側紙11と内側紙12との間に折り曲げられる折
返片52a、52b、52cによって、例えば、折返片
52aが突設されている端部において、外側紙11、折
返片52a、内側紙12の3層となっている。したがっ
て、各折返片52a、52b、52cは、記録媒体用ジ
ャケット1の強度及び耐久性を向上させる補強材として
の効果もあり、記録媒体用ジャケット1は、記録媒体用
ジャケット1の強度及び耐久性が確保されたまま、より
薄い紙材の採用を可能とする。また、のり代51a及び
51bは、袋部61を形成しない場合に突設され、各折
返片52a、52b、52c同様に補強効果を提供し、
記録媒体用ジャケット内部の空気層60の形成を助勢し
ている。また、各折返片が幅広なために重量感が増し
て、高級感を得られる効果もある。
【0064】さらに、折返片52a、52b、52cは
ヒンジ部30以外の紙材10の端部に突設されるので、
のり代としての機能も有している。また、図示しない
が、前述の実施の形態(1)の折返片52を備えたまま、
ヒンジ部30以外の紙材10の端部に突設させることも
可能で、この場合、スジ押し線401とスジ押し線40
2との間に空気層60aが形成されるとともに、前述の
実施の形態(1)の折返片52が、ヒンジ部30に確実な
空気層60aを提供し、空気層60aの圧壊を防止して
いる。なお、その他の作用、効果については、前述の実
施の形態(1)とほぼ同様である。
【0065】なお、実施の形態(1)では、ヒンジ部3
0を2つ有する3つ折りタイプで、ホルダ部20を1つ
有しているものを用いて説明してきたが、この形態に限
定されるものではない。例えば、閉じた状態の形状が縦
長や横長となる四角形のタイプでも良い。また2つ折り
タイプ、または4つ折り以上のタイプでも良い。
【0066】また、ホルダ部20や袋部61の数も1つ
に限定されず、2つ以上でも良い。さらに、ホルダ部2
0の形状も、実施の形態(1)のケース状のものに限定
されず、例えば袋部61の形状をホルダ部20として使
用するタイプでも良い。
【0067】次に、実施例を用いて本発明を詳細に説明
する。 (実施例1)紙の素材として、三菱製紙製のN−パール
デラックス(商品名)、K判、320g/m2を使用
し、紙目をスジ目40に平行とし、図3に示す形状の紙
材10を得た。そして、図9、10に示すようにスジ押
し加工を行って、スジ押し線401として、内寸法w1
=約1.2mm、窪み寸法D1=約0.7mm、スジ押
し線402として、外寸法W2=約1.0mm、突出寸
法L2=約0.5mmを形成し、スジ押し線401の内
側にスジ押し線402が嵌合される形状を得た。折線5
0はスジ押し線402と同様に形成した。そして、この
紙材10を折り曲げて台紙13を形成した。このとき、
ヒンジ部30の非接着領域721としては、スジ押し線
40、40で挟まれた領域の両外側に、それぞれ約3m
m幅を加えた領域とした。
【0068】この台紙13を用いて記録媒体用ジャケッ
ト1を形成し、折り皺や湾曲のないシャープで美しい形
状の外観を得ることができた。また、ヒンジ部30での
開閉の繰り返しを実施した結果、円滑に開閉できるだけ
でなく、劣化したり破損したりすることなく、初めの形
状を維持できることが確認できた。
【0069】
【発明の効果】以上、詳述してきたように、本発明の記
録媒体用ジャケットは、ヒンジ部を形成するスジ押し線
を、外側紙と内側紙とに設けられたスジ押し線の積層構
造とし、かつ台紙の外側方向に凸形状を呈するよう構成
することにより、台紙の閉塞、展開を円滑に行えるとと
もに、構造的な強度も確保することができるため、耐久
性が高くなる効果を有している。
【0070】また、スジ押し線の積層構造が着脱自在で
あるため、形成応力を吸収することができるとともに、
展開時の張力を吸収することができ、折り皺の発生を防
止することができる。加えて、外側が凸状のスジ押し線
であるため、湾曲面の発生を抑制することもでき、外観
を向上させ、商品価値を高めるという効果も有してい
る。
【0071】また、本発明の記録媒体用ジャケットの製
造方法では、紙材の状態で、突出方向の異なるスジ押し
線を同時に加工し、その後に折って重ねるだけで、簡単
にスジ押し線の積層構造を有する記録媒体用ジャケット
を形成することができるため、製造コストの削減も図る
という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態(1)を閉塞した状態の斜視図
である。
【図2】 実施の形態(1)を展開した状態の斜視図
である。
【図3】 実施の形態(1)の台紙の展開図である。
【図4】 図3のA−A線で切断した断面モデル図で
ある。
【図5】 図3のB−B線で切断した断面モデル図で
ある。
【図6】 実施の形態(1)の折り重ねを示す斜視図
である。
【図7】 実施の形態(1)の接着領域を示す説明図
である。
【図8】 図7のC−C線で切断した断面モデル図で
ある。
【図9】 スジ押し線の形成時の加工を説明する断面
モデル図である。
【図10】 スジ押し線の形成時の加工を説明する断面
モデル図である。
【図11】 スジ押し線の積層時の加工を説明する断面
モデル図である。
【図12】 実施の形態(2)の台紙の展開図である。
【図13】 実施の形態(2)の台紙を使用した記録媒
体用ジャケットの展開時の要部を拡大した斜視図であ
る。
【図14】 図13を閉塞させる際の要部を拡大した斜
視図である。
【符号の説明】
1 記録媒体用ジャケット 10 紙材 101 表面 102 裏面 11 外側紙 12 内側紙 13 台紙 131〜133 区分 20 ホルダ部 21 ホルダケース 22 記録媒体 23 突起部 30 ヒンジ部 40 スジ押し線 401 スジ押し線 402 スジ押し線 4011、4021 底辺 4012、4022 斜辺 41 スジ目 50 折線 51 ノリ代 52 折返片 53 切り込み 60 空気層 61 袋部 71 接着領域 72 非接着領域 80 面板 81、82 スジ刃 83、85 溝部 84 突起部
【手続補正書】
【提出日】平成14年4月17日(2002.4.1
7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 記録媒体用ジャケット及び記録媒体用
ジャケットの製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【従来の技術】本発明は、CD、DVD、MOを始めと
する記録媒体のディスク類を、保持して収納するための
折り畳み構造のジャケットに関する技術分野に属する。
【0002】従来、折り畳み構造を備えた記録媒体のジ
ャケットとしては、例えば、特公平7−14743号公
報に記載のものが知られている。
【0003】この特公平7−14743号公報に開示さ
れたディスク類のジャケットは、1枚の紙材を折り重ね
接着剤で接着して3つ折りに折り畳まれる台紙と、台紙
の折り畳みの際に内側となる内側紙の1面に固着されて
ディスク類を嵌合着脱可能に保持するホルダとからな
る。そして、台紙を折り畳むためのヒンジ部は、内側紙
側の長さ全部にわたって切り欠きされた帯形のスロット
と、外側紙側の長さ全部にわたってスロットより幅狭に
設けられた帯形のストリップとが組み合わされて形成さ
れている。
【0004】この記録媒体のジャケットでは、台紙を開
閉する際に、ヒンジ部の台紙に生じる形成応力を、スロ
ットとストリップで吸収することができるため、折り皺
を生じることなく円滑に閉塞、展開することができる。
また、台紙が1枚の紙材を折り重ねて形成されるため、
あらかじめ印刷、装飾等の意匠加工を施すことができ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】記録媒体用のジャケッ
トのヒンジ部は、開閉の度に変形するため、台紙の中で
も最も大きな負荷が係る部位である。しかし、特公平7
−14743号公報のジャケットでは、ヒンジ部が切り
欠きのスロットを設けたため紙材の単層構造であり、ヒ
ンジ部以外が積層構造である。そのため、ヒンジ部が構
造的な強度に乏しいだけでなく、全体の中でヒンジ部が
最も弱い部位となり、外部から受けるストレスもヒンジ
部に集中し、ヒンジ部が破損しやすくなるという課題を
有している。
【0006】また、スロットの切り欠きの端部が屈曲点
となり、ヒンジ部を開閉する度にストリップ側の紙面と
の間で摩擦を生じてしまう。そのため、この構造では、
多数回の閉塞や展開を繰り返すことによって、ヒンジ部
の耐久性をさらに劣化させるという課題も有している。
【0007】一方、記録媒体用のジャケットは、一般的
に販売時には店頭に陳列され、また購入者も棚等に並べ
て保管する。その際、タイトル等が表示されているヒン
ジ部の背側を揃えて並べられることが多いため、背側か
ら見た外観も優れたものであることが望まれる。そのた
め、折り皺を防止するだけでなく、造形面でも優れたジ
ャケットを得るという観点で、さらなる改良の余地があ
った。
【0008】このような従来の課題を考慮して、本発明
は、開閉時の円滑性を低下させることなく強度と耐久性
を高めるとともに、造形的な美観にも優れた記録媒体用
ジャケットを提供することと、この記録媒体用ジャケッ
トの製造方法において、製造コストを削減することを課
題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の記録媒体用ジャケットは、次のような手段
を採用する。
【0010】すなわち、請求項1では、紙材を折線で折
って重ね、外側となる外側紙と内側となる内側紙が形成
された台紙と、この台紙に設けられ記録媒体を着脱自在
に保持するホルダ部と、前記台紙に設けられた平行な2
本のスジ押し線で曲げて形成された少なくとも1つのヒ
ンジ部とを備え、前記スジ押し線は、外側紙と内側紙と
に設けられたスジ押し線の積層構造を有し、前記積層構
造は、外側紙のスジ押し線の内寸幅をw1,窪み寸法を
D1とし、内側紙のスジ押し線の外寸幅をW2,突出寸
法をL2としたときに、w1≧W2かつD1≧L2であ
り、前記台紙の外側方向に凸形状を呈するよう、内側紙
のスジ押し線が外側紙のスジ押し線の内側に着脱自在に
嵌合され、前記折線とヒンジ部のスジ押し線との交差位
置には切り込みが設けられることを特徴とする。
【0011】この手段では、ヒンジ部が、内側紙と外側
紙を重ねて積層されているため、強度が増し、閉塞や展
開に対する耐久性が備えられる。また、スジ押し線を設
けて折り曲げることで、折り曲げ時に折り方向を案内す
るとともに、折り皺の形成応力を吸収する。また、スジ
押し線を外側に凸状となる形状とし、これらスジ押し線
がヒンジ部の矩形の屈曲点として形成されるため、ヒン
ジ部の背側の形状が湾曲せず鋭角的にかたち作られる。
【0012】また、ヒンジ部を閉じたときには、外側紙
のスジ押し線の内側に、内側紙のスジ押し線が嵌まり込
むため、積層構造による屈曲点の内外の曲率半径の差が
吸収され、応力が緩和される。ヒンジ部を開いたときに
は、嵌合が弛み、ヒンジ部の展開角度に応じて外側紙と
内側紙との間隙が変化するため、ヒンジ部の台紙に係る
張力も緩和される。外側紙のスジ押しと内側紙のスジ押
しが、ヒンジ部を閉塞するときに速やかに嵌合する。
【0013】さらに、折線にはヒンジ部で切り込みが設
けられているため、ヒンジ部における折線での形成応力
が緩和される。
【0014】また、請求項2では、紙材を折線で折って
重ね、外側となる外側紙と内側となる内側紙が形成され
た台紙と、この台紙に設けられ記録媒体を着脱自在に保
持するホルダ部と、前記台紙に設けられた平行な2本の
スジ押し線で曲げて形成された少なくとも1つのヒンジ
部とを備え、前記スジ押し線は、外側紙と内側紙とに設
けられたスジ押し線の積層構造を有し、前記積層構造
は、外側紙のスジ押し線の内寸幅をw1,窪み寸法をD
1とし、内側紙のスジ押し線の外寸幅をW2,突出寸法
をL2としたときに、w1≧W2かつD1≧L2であ
り、前記台紙の外側方向に凸形状を呈するよう、内側紙
のスジ押し線が外側紙のスジ押し線の内側に着脱自在に
嵌合され、外側紙と内側紙との間には、ヒンジ部でスペ
ーサが配置されることを特徴とする。
【0015】この手段では、上述のようにヒンジ部の強
度が増し、閉塞や展開に対する耐久性が備えられる。ま
た、特にヒンジ部で外側紙と内側紙との間隙が確保さ
れ、ヒンジ部の台紙にかかる張力が緩和される。
【0016】また、請求項3では、請求項1または2記
載の記録媒体用ジャケットにおいて、紙材に突設された
折返片を、外側紙と内側紙との間隙に折り返すことでス
ペーサが形成されることを特徴とする。
【0017】この手段では、紙材を折り重ねて台紙を形
成する際に、折返片を外側紙と内側紙との間隙に折り返
して挿入するだけでスペーサが形成される。
【0018】また、請求項4では、2本1組のスジ押し
線で形成されたヒンジ部を少なくとも1つ有し、前記ス
ジ押し線が台紙の外側に凸状となるスジ押し線の積層構
造を呈する記録媒体用ジャケットの製造方法であって、
紙材を2列に区分する折線を形成する工程と、前記折線
に直交して紙材を区分し、かつ各列で突出方向の異なる
スジ押し線を、平行に2本1組で少なくとも1組を形成
し、一方の列のスジ押し線が他方の列のスジ押し線の内
側に着脱自在に嵌合されるよう寸法形成する工程と、前
記折線で紙材を折り重ね、ヒンジ部を除く領域に接着領
域を設けて台紙を形成するとともに、一方の列のスジ押
し線が他方の列のスジ押し線の内側に着脱自在に嵌合さ
れるように積層する工程と、前記積層されたスジ押し線
を2本1組とし、スジ押し線の凸状が台紙の外側となる
方向に折り曲げてヒンジ部を形成する工程と、前記工程
に前後して、記録媒体を収納するホルダ部を設ける工程
とを備えることを特徴とする。
【0019】この手段では、先に紙材の各列で凹凸方向
の異なるスジ押し線を設けてから、紙材を折線で折って
重ねることで、スジ押し線の積層構造が形成される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(1)
として、記録媒体用ジャケットについて図面に基づいて
説明した後、その製造方法も合わせて説明する。図1は
実施の形態(1)を閉塞した状態の斜視図、図2は実施
の形態(1)を展開した状態の斜視図、図3は実施の形
態(1)の台紙の展開図、図4は図3のA−A線で切断
した断面モデル図、図5は図3のB−B線で切断した断
面モデル図、図6は実施の形態(1)の折り重ねを示す
斜視図、図7は実施の形態(1)の接着領域を示す説明
図、図8は図7のC−C線で切断した断面モデル図、図
9、図10はスジ押し線の形成時の加工を説明する断面
モデル図、図11はスジ押し線の積層時の加工を説明す
る断面モデル図である。
【0021】実施の形態(1)の記録媒体用ジャケット
1は、紙材10を折線50で折って重ね、外側となる外
側紙11と内側となる内側紙12が形成された台紙13
と、この台紙13に設けられ記録媒体22を着脱自在に
保持するホルダ部20と、前記台紙13に設けられた平
行な2本のスジ押し線40で曲げて形成された少なくと
も1つのヒンジ部30とを備え、前記スジ押し線40
は、外側紙11と内側紙12とに設けられたスジ押し線
401、402の積層構造を有し、台紙13の外側方向
に凸形状を呈している。
【0022】実施の形態(1)では、記録媒体用ジャケ
ット1として、台紙13が3つの四角形の区分131〜
133に分割され、各区分がヒンジ部30で開閉自在に
連結された3つ折りタイプを例示している。台紙13
が、2箇所のヒンジ部30に従って順次閉じられると、
図1に示すように、全体として適度な厚みを有する四角
形のジャケットが構成される。そして、この記録媒体用
ジャケット1を開くと、図2に示すように、内側紙12
に記録媒体22を保持するためのホルダ部20が付設さ
れたり、また解説文等の冊子の挿入が可能な袋部61が
設けられたりしている。実施の形態(1)では、中央に
位置する区分132にホルダ部20を、端部に位置する
区分131に袋部61を配置している。
【0023】台紙13は、長方形状を呈する1枚の紙材
10を折って重ねることで形成されている。図3に、紙
材10を裏面102側から見た状態を示している。ここ
で言う裏面102は、紙材10を折り重ね台紙13を形
成した際に中に隠れる側を指し、表側101は外部に露
出する側を指している。この紙材10には、後に外側紙
11と内側紙12とを形成するために、2列に区分する
折線50が設けられている。また、この折線50に直交
し、かつ折線50を境として、外側紙11の列にスジ押
し線401が、内側紙12の列にスジ押し線402が形
成される。これらスジ押し線401、402は紙材10
を縦断する一直線上に配置されており、ここでは、この
直線をスジ目41と称して説明する。実施の形態(1)
の紙材10には、平行な2本のスジ目41、41を1組
として、2組設けられている。1組のスジ目41、41
どうしの間隔は、3つ折り時の折り畳み代の相違から、
位置により(図3中の左右側で)異なっている。実施の
形態(1)では、区分131側が最終形状で上になるた
め、図3中の左側のスジ目41の間隔をL1、右側をL
2とすると、L1>L2となるよう設定している。な
お、紙材10の紙目は、スジ目41に平行とすることが
望ましい。これは、ヒンジ部30を形成する際に、スジ
押し線40で折り曲げ易くするためである。
【0024】スジ押し線401、402の形状は、図
4、図5に示すように、紙材10に設けた時点で、凹凸
の方向とその大きさを変えている。凹凸の方向は、後に
積層してヒンジ部30を形成した際に、台紙13の外側
が凸状となるスジ押し線40を構成するために、スジ押
し線402は裏面102側が凸状に、スジ押し線401
は表面101側が凸状になるように、中心線を一致させ
て形成している。また、そのスジの大きさは、外側紙1
1側のスジ押しの外寸幅W1、内寸幅をw1、窪み寸法
D1、突出寸法L1とし、内側紙のスジ押しの内寸幅W
2、内寸幅w2、窪み寸法D2、突出寸法L2とする
と、w1≧W2、D1≧L2となるよう形成している。
そして、これらスジ押し線401、402の形状として
は、台形と半円形の中間的な形状を示す。この形状は後
述するスジ押し工程での面板80の加工形状に依存す
る。ここでは、それぞれ底辺4011、4021と斜辺
4012、4022を有する略々台形として図示する。
これにより、積層されたスジ押し線40を構成した際
に、スジ押し線402がスジ押し線401の内側に、く
さび効果により速やかに嵌合する。なお、W1、w2、
L1、D2は、紙材10の厚みによって決まるため、こ
こでは特に規定していない。
【0025】また、紙材10には、端部に折返片52が
突設されている。この折返片52は、台紙13を形成す
る際に、外側紙11と内側紙12との間に折り返され
て、スペーサの機能を果たす。
【0026】この実施の形態(1)では、スジ目41、4
1の間の端部に折返片52が突設され、区分131の端
部にノリ代51も突設されている。これは、袋部61の
形成時に使用される。さらに、折線50のヒンジ部30
には切り込み53がスジ目41に交差するよう、実施の
形態(1)では4箇所設けられている。なお、図3で
は、切り込み53の位置を明確にするため、強調して示
している。
【0027】このようにスジ押し線401、402と折
線50が形成された紙材10は、図6に示すように、折
線50で折って重ねられて、台紙13が形成される。そ
の際、外側紙11と内側紙12との間で接着が行われ
て、台紙13の形状が安定的に維持される。この接着
は、図7に示すように、接着領域711、712(図中
でハッチングを施した領域)と、非接着領域721、7
22とに分けて部分的に行い、特にヒンジ部30を含む
部位を、非接着領域721とすることを特徴としてい
る。なお、図7中の非接着領域は、1組のスジ押し線4
0、40の間隔幅に適度な幅を加えた非接着領域721
と、区分131のノリ代51以外の非接着領域722で
ある。非接着領域721は、後述するようにヒンジ部3
0の動き易さを向上させるもので、非接着領域722
は、袋部61を形成するためである。一方、接着領域
は、区分131のノリ代51となる接着領域711と、
区分132、133に設けられた接着領域712であ
る。接着領域712は、1つの区分内で3箇所に分布さ
せているが、これは一例であり、他の分布パターンで形
成しても良い。
【0028】台紙13には、記録媒体22を着脱自在に
保持するためのホルダケース21が、内側紙12の中央
に付設される。このホルダケース21は、記録媒体22
を中央の突起部23を用いて着脱するタイプであるが、
図に示した形式のホルダケースに限定されるものではな
い。
【0029】なお、紙材10には、あらかじめ意匠加工
が施されている。この意匠加工は、最終的に露見する表
面101に施されるもので、実施の形態(1)のように
1枚の紙材10を折り畳んで台紙を形成しているタイプ
では、紙材の片面のみに行われる。そのため、連続した
図柄を一括して加工することができるため、意匠加工の
作業が簡略化できる。意匠加工としては、印刷、装飾等
がある。
【0030】紙材10の素材としては、折り畳みや、意
匠加工が可能な素材であれば特に制約されるものではな
い。紙が好適であるが、必要に応じて他の材料が使用さ
れても良い。例えば薄いフィルム状のプラスチックや金
属フィルム(金属蒸着フィルムも含む)等でも良い。
【0031】上述のように、スジ押し線402がスジ押
し線401の内側に嵌まり込むよう寸法構成されて積層
されたスジ押し線40の機能について説明する。図1に
示すように記録媒体用ジャケット1を閉塞した状態で
は、ヒンジ部30は、2つの屈曲点によりコの字形状に
折り曲げられた状態となる。紙材10は所定の厚みを有
しているため、屈曲点の内側と外側では曲率半径が異な
っている。屈曲する際に、スジ押し線401、402は
いずれも、スジの開口を閉じるように丸みを帯び、外側
紙11の内側では窪み寸法D1が、内側紙12の内側で
は窪み寸法D2が、それぞれ曲率半径に略々等しくな
る。このときに、スジ押し線40では、外側のスジ押し
線401のスジの中に、内側のスジ押し線402を収納
しながら屈曲するため、内外の曲率半径の違いを吸収す
ることができ、これにより屈曲点で生じる形成応力を緩
和させることが可能となる。
【0032】またこの場合、ヒンジ部30の背の部分の
角度θが鋭角で得られ、美しい矩形をかたち作ることが
できる。例えば、仮に凸状の屈曲点が内側となるよう形
成した場合と比較すると、この場合には、屈曲によるス
ジ押し線の丸みが、台紙13のコの字形状の内側に位置
するため、内側紙12に挟まれてぶつかり合い、角度θ
が鈍角となる。さらに、ヒンジ部30の背の部分に湾曲
を生じさせ、ヒンジ部30の背側からみた外観に、緩慢
な印象を与え、造形面で不満足なものとなる。このヒン
ジ部30の背が湾曲しないという外観の特長は、特に複
数枚のジャケットを揃えて並べたときにその美観を認識
し易い。
【0033】さらに、ヒンジ部30では、外側紙11と
内側紙12とを接着していないため、スジ押し線40
1、402どうしの嵌合の着脱が自在に行われている。
上述したように、スジ押し線402は、スジ押し線40
1の内側に嵌合しやすい形状を有しているが、この状態
で接着により固定されてしまうと、ヒンジ部30が開閉
したときの外側紙11と内側紙12に掛かる張力の違い
を吸収することができず、ヒンジ部30に紙に裂罅を生
じてしまう。そのため、ヒンジ部30だけでなく、その
近傍を含む部位を非接着領域721とすることで、ヒン
ジ部30の展開角度に応じて、外側紙11と内側紙12
との間隙ΔGを自由に変化させ、応力による折り皺の発
生を防止することが可能となる。また、スジ押し線40
は、スジの開口の閉じ具合によって、ヒンジ部30の展
開角度の違いに容易に追従することができる。
【0034】ヒンジ部30に設けられたスペーサの折返
片52は、図8に示すように、外側紙11と内側紙12
との間に常に空気層60を形成する。この空気層60
は、上述の間隙ΔGの発生を促すとともに、接着した際
に紙の撓みを減少させる効果も有している。なお、この
折返片52は、ヒンジ部30全部にスペーサとして設け
る必要はなく、端部に部分的に設けるだけで十分機能す
る。
【0035】なお、スジ押し線401、402の寸法構
成は、上述した条件が最も理想的ではあるが、場合によ
っては、w1とW2の関係と、D1とL2の関係が、両
方同時に満たされていなくても良い。
【0036】次に、この記録媒体用ジャケット1の製造
方法について図面を用いて説明する。まず、ノリ代51
と折返片52が突設された紙材10に、あらかじめ意匠
加工が施される。この場合、表面101のみに一括して
行われる。
【0037】次に、図3に示すパターンに合わせて、紙
材10に、折線50とスジ押し線401、402が同時
に加工される。スジ押し線401は、図9に示すよう
に、面板80に設けた突起部84に紙材10を載置し、
突起部84の両側をスジ刃82、82で押さえることで
表面101側が凸状に形成される。一方、スジ押し線4
02は、面板80に設けた溝部83に紙材10を載置
し、スジ刃81を溝部83に合わせて押さえることで裏
面102側が凸状に形成される。また、実施の形態
(1)では、折線50もスジ押し線401と同じ方法で
形成する。この工程では、突起部84と溝部83が両方
形成された面板80を用いることでスジ押し線401、
402、折線50が同時に加工される。また、工程の後
に、折線50には切り込み53が形成される。なお、折
線50はスジ押し線402と必ずしも同じ方法で形成し
なくてもよい。
【0038】次に、図6に示すように折線50で紙材1
0を折り重ね、接着が行われる。接着は、図7に示す接
着領域にあらかじめ接着剤が塗布されており、外側紙1
1と内側紙12を固着させて台紙13を形成する。この
とき、ノリ代51と折返片52とが内側に折り込まれる
と同時に、対向する位置どうしのスジ押し線401とス
ジ押し線402が積層され、スジ押し線40が形成され
る。また、図11に示すように、積層されたスジ押し線
40を面板80の溝部84上に載置し、スジ刃81を用
いて馴染ませ、くせ付けすることで、スジ押し線40の
形状を確実なものとすることができる。
【0039】次に、台紙13に形成されたスジ押し線4
0の2本1組を、内側紙12が内側となる方向に折り曲
げてヒンジ部30を形成する。この方向に折り曲げるこ
とで、スジ押し線40では台紙13の外側が凸状とな
る。
【0040】最後に、ホルダケース21が、内側紙12
の中央に位置する区分に貼着され、記録媒体22の着脱
を可能とする。また、袋部61には、冊子等を収納が可
能となる。
【0041】なお、上述の工程は一例であり、必要に応
じて順序を入れ替えたり変更しても良い。例えば、スジ
押し線401、402と折線50の形成を別々に行った
りしても良い。
【0042】上述してきたように実施の形態(1)の記
録媒体用ジャケット1では、ヒンジ部30において、外
側紙11と内側紙12に欠落部を設けることなく積層し
ていることで、ヒンジ部以外の部位と同じレベルの構造
的な強度を確保することができる。また、ヒンジ部30
を形成するためのスジ押し線40が、外側紙11のスジ
押し線401内に内側紙12のスジ押し線402が嵌合
する積層構造であるため、開閉時の円滑性を損なうこと
なく、屈曲点での形成応力を緩和し、閉じた状態での折
り皺の防止することができる。また、スジ押し線40は
外側に凸状を呈していることで、ヒンジ部30の背の形
状が、湾曲を生じず美観に優れ、商品価値を高めること
ができる。また、スジ押し線401、402の嵌合は着
脱自在であるため、ヒンジ部30の展開角度に応じて外
側紙11と内側紙12との間隙ΔGが自由に変化し、展
開時の張力も緩和することができる。さらに、ヒンジ部
30の外側紙11と内側紙12との間は、折返片52に
よって常に空気層60が確保されているため、張力の緩
和をさらに確実に行うことができる。
【0043】これにより、実施の形態(1)の記録媒体
用ジャケット1では、閉塞、展開を繰り返しても破損し
にくく優れた耐久性が得られる。また、閉塞、展開のい
ずれの状態でも、台紙13に掛かる応力、張力を速やか
に緩和させているため、折り皺の発生を防止するととも
に、また造形的にも美しい形状を得ることができるもの
である。
【0044】次に、本発明の実施の形態(2)を図12
〜図14に示す。図12は実施の形態(2)の台紙の展
開図、図13は図12の台紙を使用した記録媒体用ジャ
ケットの展開時の要部を拡大した斜視図、図14は図1
3を閉塞させる際の要部を拡大した斜視図である。
【0045】この実施の形態(2)は、前述の実施の形態
(1)の紙材10の端部に突設されて、ヒンジ部30に配
設されている折返片52の別形態である。
【0046】図12に示す紙材10は、区分131に折
返片52a、区分132に折返片52b、区分133に
折返片52cがそれぞれヒンジ部30以外の端部に突設
され、さらに、区分131及び133には、のり代51
a、51bが突設されている。その他の構成は、前述の
実施の形態(1)と同様とする。
【0047】この実施の形態(2)の記録媒体用ジャケッ
ト1では、図13及び図14に示すように、折返片52
a、52b、52cはヒンジ部30以外の端部に幅広に
突設され、ヒンジ部30には、ヒンジ部30の両区分の
端部の各折返片によって形成される空気層60aが確保
される。また、折返片52a、52b、52cは記録媒
体用ジャケット1内部全体にわたって空気層60aを形
成している。したがって、幅広に突設された折返片52
a、52b、52cが外側紙11と内側紙12との間に
折り曲げられて、確実な空気層60aを提供するととも
に、記録媒体用ジャケット1の全体において、ヒンジ部
30が開閉したときの外側紙11と内側紙12に掛かる
張力はより緩和されることになる。
【0048】さらに、記録媒体用ジャケット1の端部
は、外側紙11と内側紙12との間に折り曲げられる折
返片52a、52b、52cによって、例えば、折返片
52aが突設されている端部において、外側紙11、折
返片52a、内側紙12の3層となっている。したがっ
て、各折返片52a、52b、52cは、記録媒体用ジ
ャケット1の強度及び耐久性を向上させる補強材として
の効果もあり、記録媒体用ジャケット1は、記録媒体用
ジャケット1の強度及び耐久性が確保されたまま、より
薄い紙材の採用を可能とする。また、のり代51a及び
51bは、袋部61を形成しない場合に突設され、各折
返片52a、52b、52c同様に補強効果を提供し、
記録媒体用ジャケット内部の空気層60の形成を助勢し
ている。また、各折返片が幅広なために重量感が増し
て、高級感を得られる効果もある。
【0049】さらに、折返片52a、52b、52cは
ヒンジ部30以外の紙材10の端部に突設されるので、
のり代としての機能も有している。また、図示しない
が、前述の実施の形態(1)の折返片52を備えたまま、
ヒンジ部30以外の紙材10の端部に突設させることも
可能で、この場合、スジ押し線401とスジ押し線40
2との間に空気層60aが形成されるとともに、前述の
実施の形態(1)の折返片52が、ヒンジ部30に確実な
空気層60aを提供し、空気層60aの圧壊を防止して
いる。なお、その他の作用、効果については、前述の実
施の形態(1)とほぼ同様である。
【0050】なお、実施の形態(1)では、ヒンジ部3
0を2つ有する3つ折りタイプで、ホルダ部20を1つ
有しているものを用いて説明してきたが、この形態に限
定されるものではない。例えば、閉じた状態の形状が縦
長や横長となる四角形のタイプでも良い。また2つ折り
タイプ、または4つ折り以上のタイプでも良い。
【0051】また、ホルダ部20や袋部61の数も1つ
に限定されず、2つ以上でも良い。さらに、ホルダ部2
0の形状も、実施の形態(1)のケース状のものに限定
されず、例えば袋部61の形状をホルダ部20として使
用するタイプでも良い。
【0052】次に、実施例を用いて本発明を詳細に説明
する。 (実施例1)紙の素材として、三菱製紙製のN−パール
デラックス(商品名)、K判、320g/m2を使用
し、紙目をスジ目40に平行とし、図3に示す形状の紙
材10を得た。そして、図9、10に示すようにスジ押
し加工を行って、スジ押し線401として、内寸法w1
=約1.2mm、窪み寸法D1=約0.7mm、スジ押
し線402として、外寸法W2=約1.0mm、突出寸
法L2=約0.5mmを形成し、スジ押し線401の内
側にスジ押し線402が嵌合される形状を得た。折線5
0はスジ押し線402と同様に形成した。そして、この
紙材10を折り曲げて台紙13を形成した。このとき、
ヒンジ部30の非接着領域721としては、スジ押し線
40、40で挟まれた領域の両外側に、それぞれ約3m
m幅を加えた領域とした。
【0053】この台紙13を用いて記録媒体用ジャケッ
ト1を形成し、折り皺や湾曲のないシャープで美しい形
状の外観を得ることができた。また、ヒンジ部30での
開閉の繰り返しを実施した結果、円滑に開閉できるだけ
でなく、劣化したり破損したりすることなく、初めの形
状を維持できることが確認できた。
【0054】
【発明の効果】以上、詳述してきたように、本発明の記
録媒体用ジャケットは、ヒンジ部を形成するスジ押し線
を、外側紙と内側紙とに設けられたスジ押し線の積層構
造とし、かつ台紙の外側方向に凸形状を呈するよう構成
することにより、台紙の閉塞、展開を円滑に行えるとと
もに、構造的な強度も確保することができるため、耐久
性が高くなる効果を有している。
【0055】また、スジ押し線の積層構造が着脱自在で
あるため、形成応力を吸収することができるとともに、
展開時の張力を吸収することができ、折り皺の発生を防
止することができる。加えて、外側が凸状のスジ押し線
であるため、湾曲面の発生を抑制することもでき、外観
を向上させ、商品価値を高めるという効果も有してい
る。
【0056】また、本発明の記録媒体用ジャケットの製
造方法では、紙材の状態で、突出方向の異なるスジ押し
線を同時に加工し、その後に折って重ねるだけで、簡単
にスジ押し線の積層構造を有する記録媒体用ジャケット
を形成することができるため、製造コストの削減も図る
という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態(1)を閉塞した状態の斜視図
である。
【図2】 実施の形態(1)を展開した状態の斜視図
である。
【図3】 実施の形態(1)の台紙の展開図である。
【図4】 図3のA−A線で切断した断面モデル図で
ある。
【図5】 図3のB−B線で切断した断面モデル図で
ある。
【図6】 実施の形態(1)の折り重ねを示す斜視図
である。
【図7】 実施の形態(1)の接着領域を示す説明図
である。
【図8】 図7のC−C線で切断した断面モデル図で
ある。
【図9】 スジ押し線の形成時の加工を説明する断面
モデル図である。
【図10】 スジ押し線の形成時の加工を説明する断面
モデル図である。
【図11】 スジ押し線の積層時の加工を説明する断面
モデル図である。
【図12】 実施の形態(2)の台紙の展開図である。
【図13】 実施の形態(2)の台紙を使用した記録媒
体用ジャケットの展開時の要部を拡大した斜視図であ
る。
【図14】 図13を閉塞させる際の要部を拡大した斜
視図である。
【符号の説明】 1 記録媒体用ジャケット 10 紙材 101 表面 102 裏面 11 外側紙 12 内側紙 13 台紙 131〜133 区分 20 ホルダ部 21 ホルダケース 22 記録媒体 23 突起部 30 ヒンジ部 40 スジ押し線 401 スジ押し線 402 スジ押し線 4011、4021 底辺 4012、4022 斜辺 41 スジ目 50 折線 51 ノリ代 52 折返片 53 切り込み 60 空気層 61 袋部 71 接着領域 72 非接着領域 80 面板 81、82 スジ刃 83、85 溝部 84 突起部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松浦 裕之 東京都大田区鵜の木2丁目8番4号 株式 会社金羊社内 Fターム(参考) 3E036 AA01 CA10 EA01 FA05

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙材を折線で折って重ね、外側となる外
    側紙と内側となる内側紙が形成された台紙と、この台紙
    に設けられ記録媒体を着脱自在に保持するホルダ部と、
    前記台紙に設けられた平行な2本のスジ押し線で曲げて
    形成された少なくとも1つのヒンジ部とを備え、前記ス
    ジ押し線は、外側紙と内側紙とに設けられたスジ押し線
    の積層構造を有し、台紙の外側方向に凸形状を呈してい
    る記録媒体用ジャケット。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の記録媒体用ジャケットに
    おいて、スジ押し線の積層構造では、内側紙のスジ押し
    線が、外側紙のスジ押し線の内側に、着脱自在に嵌合さ
    れることを特徴とする記録媒体用ジャケット。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の記録媒体用ジャケットに
    おいて、外側紙のスジ押し線の内寸幅をw1とし、内側
    紙のスジ押し線の外寸幅をW2としたときに、w1≧W
    2であることを特徴とする記録媒体用ジャケット。
  4. 【請求項4】 請求項2または3記載の記録媒体用ジャ
    ケットにおいて、外側紙のスジ押し線の窪み寸法をD1
    とし、内側紙のスジ押し線の突出寸法をL2としたとき
    に、D1≧L2であることを特徴とする記録媒体用ジャ
    ケット。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれかに記載の記録
    媒体用ジャケットにおいて、外側紙と内側紙との間で
    は、ヒンジ部を除く領域に接着領域が設けられることを
    特徴とする記録媒体用ジャケット。
  6. 【請求項6】 請求項1から5のいずれかに記載の記録
    媒体用ジャケットにおいて、外側紙と内側紙との間に
    は、スペーサが配置されることを特徴とする記録媒体用
    ジャケット。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の記録媒
    体用ジャケットにおいて、スペーサはヒンジ部に配置さ
    れることを特徴とする記録媒体用ジャケット。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7記載の記録媒体用ジャケ
    ットにおいて、スペーサは、紙材に突設された折返片
    を、外側紙と内側紙との間隙に折り返すことで形成され
    る記録媒体用ジャケット。
  9. 【請求項9】 請求項1から8のいずれかに記載の記録
    媒体用ジャケットにおいて、折線にはヒンジ部で切り込
    みが設けられることを特徴とする記録媒体用ジャケッ
    ト。
  10. 【請求項10】 2本1組のスジ押し線で形成されたヒ
    ンジ部を少なくとも1つ有し、前記スジ押し線が台紙の
    外側に凸状となるスジ押し線の積層構造を呈する記録媒
    体用ジャケットの製造方法であって、紙材を2列に区分
    する折線を形成する工程と、前記折線に直交して紙材を
    区分し、かつ各列で突出方向の異なるスジ押し線を、平
    行に2本1組で少なくとも1組を形成する工程と、前記
    折線で紙材を折り重ね、ヒンジ部を除く領域に接着領域
    を設けて台紙を形成するとともに、各列の対向するスジ
    押し線を積層する工程と、前記積層されたスジ押し線を
    2本1組とし、スジ押し線の凸状が台紙の外側となる方
    向に折り曲げてヒンジ部を形成する工程と、前記工程に
    前後して、記録媒体を収納するホルダ部を設ける工程
    と、を備えた記録媒体用ジャケットの製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の記録媒体用ジャケッ
    トの製造方法において、折線を形成する工程と、突出方
    向の異なるスジ押し線を形成する工程を、同時に施すこ
    とを特徴とする記録媒体用ジャケットの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項10または11記載の記録媒体
    用ジャケットの製造方法において、各列の対向するスジ
    押し線を積層する工程で、スジ刃を用いて形状を馴染ま
    せることを特徴とする記録媒体用ジャケットの製造方
    法。
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