JP2002192543A - 産業廃棄物を用いた繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
産業廃棄物を用いた繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法Info
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Abstract
トの問題もなく、そのうえ強度に優れた成形物を容易に
提供すること。 【解決手段】 産業廃棄物と、FRTPとを混合する第
1工程と、該混合物を集積する第2工程と、該集積物に
高温ガスを接触させて加熱溶融し溶融物を得る第3工程
と、該溶融物を成形する第4工程とからなることを特徴
とするFRTP成形体の製造方法。
Description
樹脂(以下FRTPという)成形体の製造方法に関し、
特に、産業廃棄物として発生した材料とFRTPとを用
い、簡便なプロセスにてFRTP成形体を得る方法に関
する。
どは市場より回収した後、粉体状に粉砕され、熱可塑性
樹脂ペレットと混合した後、押し出し成形機にて混練・
溶融し成形材を得ることが公知である。例えば、特開平
10−166355号公報では、木粉と熱可塑性樹脂と
を二軸押出機にて溶融・混練し、木粉と熱可塑性樹脂が
複合されたペレットを製作し、これを射出成形にて成形
品を得る方法が開示されている。
うなテープ状のものは、例えば、特開平6−19864
9号公報に、市場より回収した後、ある長さに切断さ
れ、加熱することにより磁気テープの形状をカール状に
した後、集積して熱硬化タイプのバインダーを付与し、
加熱、加圧し、成形体を得ることが開示されている。
開平10−166355号公報に開示された方法では、
押出−射出と複数の工程を経て成形品を得るため、工程
が煩雑になり、管理上、コスト上および設備投資の面で
問題を有していた。また、成形品の強度・剛性を高める
ため、補強繊維を含有させているものの、前記方法で
は、上記工程中に補強繊維が短く切断され、充分な補強
効果が得られなかった。
示された方法では、廃磁気テープに電磁波特性を有する
金属繊維を混合させた後、バインダーを用いて成形して
いるものの、用いるバインダーが熱硬化タイプであり、
作業性や成形性が劣るといった問題を有していた。従っ
て、本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、産
業廃棄物を用いて、簡単な工程であり、かつ工程と原料
の点からコストを低減でき、そのうえ強度に優れた成形
物を容易に提供することを目的とする。
に、本発明は、木片、古紙、衣服、合成樹脂繊維屑、プ
ラスチック片、羊毛、磁気テープおよび籾殻の少なくと
も1つを含む産業廃棄物と、FRTPとを混合する第1
工程と、該混合物を集積する第2工程と、該集積物に高
温ガスを接触させて加熱溶融し溶融物を得る第3工程
と、該溶融物を成形する第4工程とからなることを特徴
とするFRTP成形体の製造方法を提供する。なお、本
発明において「集積」とは、産業廃棄物とFRTPとの
混合物を散布および/または堆積などさせて、該混合物
を所望の形状に集めることを意味する。
本発明をさらに詳しく説明する。本発明において成形用
原料として使用する産業廃棄物は、木片(木材チップ、
木毛、木材の粉砕物など)、古紙、衣服、合成樹脂繊維
屑、(強化繊維が含有されていない)プラスチック片、
羊毛、磁気テープおよび籾殻の少なくとも1つを含む産
業廃棄物であり、これらの材料は単独または組み合わせ
て用いることができる。これら産業廃棄物は、同一素
材、同一形態にて作成された1種類のもの、またはこれ
らを併用することもできる。
体に応じて、その形状を適宜選択することが可能である
が、大きいものはいずれにしても適当なサイズに形状調
整することが必要である。これらの材料のサイズは最長
部の平均長が3〜100mm、またはL/Dが10以上
であることが好ましい(Lは最長部の長さ、Dは短辺の
長さを示す)。例えば、前記最長部が100mmを越え
てもL/Dが10以上であれば好ましく使用できる。
整するために、必要に応じて産業廃棄物を粉砕、スライ
ス、切断、または裁断する(以下このように形状調整さ
れた産業廃棄物を単に「形状調整物」と呼ぶ)。形状調
整物の形態としては特に限定はないが、四角状、丸状、
球状などの粒状物や、棒状、繊維状、テープ状などのい
ずれかの形態が挙げられる。上記最長部の平均長は3〜
100mmであることが好ましく、最長部の平均長が4
〜50mmであることがさらに好ましい。前記最長部の
平均長が3mm未満では、形状調整物とFRTPとの混
合状態が不均一となり、また、混合物の取扱が困難にな
るため好ましくない。一方、平均長が100mmを越
え、かつL/Dが10未満であると形状調整物とFRT
Pとの混合状態が不均一となり、また、混合物の取扱が
困難になるため好ましくない。
有機繊維、無機繊維などの強化繊維により補強されたも
のであり、該FRTP中の前記強化繊維の平均繊維長が
5mm以上であることが好ましい。平均繊維長が5mm
未満であると、得られるFRTP再成形体(形状調整物
とFRTPとから再成形したFRTP成形体)中の繊維
の平均繊維長が短くなり、十分な機械的強度を有する再
成形体を得ることができない。
用するFRTPを任意に切り出した5つの試料から樹脂
を焼失させて、それぞれの試料から任意に選んだ200
本の繊維の長さを測定して試料1つの平均繊維長を求
め、さらにその5つの試料の平均により求めることがで
きる。また、複数種のFRTPを用いる場合は、それぞ
れ異なったFRTPの平均繊維長を求め、その混合比に
より、平均繊維長を求めるものとする。
た廃FRTPや、FRTP成形に際して発生した端材や
不良品なども適当に形状調整して使用することができ
る。また、新材として押出成形によって得られたFRT
Pペレット、連続繊維に熱可塑性樹脂を溶融含浸させる
ことによって得らるL−FRTP基材(新材)を用いる
ことができる。前記FRTPは、最長部が3〜100m
m、またはL/Dが100以上であることが好ましい
(Lは最長部の長さ、Dは短辺の長さを示す)。例え
ば、前記最長部が100mmを越えても、前記L/Dが
100以上であれば好ましく採用できる。
満では形状調整物とFRTPとの混合状態が不均一とな
り、また、該混合物の取扱が困難になるため好ましくな
い。一方、FRTPの平均長が100mmを越え、かつ
L/Dが100mm未満であると、形状調整物とFRT
Pとの混合状態が不均一となり、また、混合物の取扱が
困難になるため好ましくない。なお、本発明において、
単に「FRTP」と称する場合は「L−FRTP」も含
む意味で用いている場合がある。
後述する集積物の嵩高さが増し、後述する高温ガスなど
の熱源を集積物に一括して接触させ、該集積物を容易に
溶融させることを可能にする。特にL−FRTP基材と
して、 平均径が0.1〜1.5mmの線材状形態をなし、 強化繊維含有率が15〜85質量%である線材状物を
用いることが好ましい。これにより前記集積物が嵩高に
なり易く、集積物と高温ガスなどの熱源との接触が容易
になるうえに、得られる再成形体の機械的強度が向上す
るために特に好ましい。また、L/Dが100以上であ
る連続した前記線材状物を用いる場合、前記線材状物が
柔軟であるため散布が容易になり好ましい。
る形態は特に限定はしないが、最長部が3〜100mm
の形状調整物と、最長部が3〜100mmのFRTPを
組み合わせて混合物を作成することが可能であり、また
L/D=10以上の木片、古紙、合成樹脂繊維屑または
磁気テープなどの形状調整物と、L/D=100以上の
L−FRTP線材を用いて比較的細長いカット状または
連続状物同士を混合することも可能である。また、最長
部が3〜100mmの形状調整物と、L/D=100以
上のL−FRTPを組み合わせや、L/D=10以上の
形状調整物と最長部が3〜100mmのFRTPを組み
合わせて混合物を作成することが可能である。
含まれている熱可塑性樹脂の量によって一概には規定で
きないが、優れた強度の再成形体を得るためには、前記
産業廃棄物100質量部当たり、約30〜500質量部
のFRTPを混合することが好ましい。FRTPの使用
量が少なすぎると、FRTPが産業廃棄物の結合剤及び
強化剤として不充分であり、一方、FRTPの量が多す
ぎると、産業廃棄物のリサイクル使用の意味が薄くな
る。また、本発明は、形状調整物とFRTPに加えて、
熱可塑樹脂(新材)、フィラーおよび軽量骨材などの添
加剤を含有させることが可能である。フィラーとして
は、マイカ、タルクなどが挙げられ、軽量骨材として
は、ガラスバルーン、シリカバルーンおよびパーライト
などが挙げられる。
とFRTPとの混合物の集積物の嵩密度をρ1とし、前
記形状調整物およびFRTPの真の密度をρ0としたと
き、1/100≦ρ1/ρ0≦1/2となるようにする
ことが好ましい。これにより、両者の集積物中により多
くの空隙を有することを可能とし、容易に熱源としての
例えば高温ガスが集積物と接触し、集積物を溶融させる
ことが可能となる。
混合物を集積させたときの嵩密度ρ1は、容量が測定で
きる容器、例えば、メスシリンダー、ビーカーなどであ
って、前記形状調整物とFRTPとの混合物を堆積でき
る内径を有するものを用い、できるだけランダムに集積
させて測定することができる。一方、前記形状調整物と
FRTPとの混合物の真密度ρ0は、用いる材料の理論
密度を求めることによって得ることができる。ここで、
例えば、形状調整物とFRTPとが混合されているよう
な2種類の混合物の場合は、以下の式により真密度ρ0
を求めることとする。
はテープ状形態をなすL−FRTP基材または該基材が
ランダムもしくは等方向に配されたシートが、得られる
FRTP再成形体の少なくとも一部の表面または層に配
置されるように、L−FRTP基材を散布集積させるこ
とが好ましい。これにより、得られる成形体の面強度が
向上するため好ましく採用される。特にL−FRTP基
材として前記およびの特性を有する線材状物を用い
ることで集積物の加熱溶融が容易となり、溶融物の成形
性が向上する。さらにこれとともに、得られる再成形体
の表面または表面に近い層に、少量のL−FRTP基材
を配置することにより再成形体の面強度が容易に向上
し、再成形体全体の機械的強度がさらに向上するうえ
に、再成形体を軽量にすることが可能になるため、特に
好ましい。なお、この際に、後述する再成形体の上にさ
らに表面材が配置される場合は、L−FRTP基材は、
再成形体と表面材との間に配置されることになる。な
お、前記L−FRTP基材に用いる熱可塑性樹脂は特に
限定されず、通常の熱可塑性樹脂を用いることができる
が、産業廃棄物として得られるFRTPに用いることも
可能である。
させて溶融させるための隙間を設けるように集積させる
ことが好ましい。熱源としては、特に限定されないが、
高温ガス(熱風)を使用することが好ましく、以下、高
温ガス(熱風)を用いる例で説明する。前記集積物を高
温ガスが接触可能になるように集積させるための方法
は、前述した形状調整物とFRTPとの混合物を用いる
ことにより、通常の方法により集積すれば容易に嵩高な
集積物を得ることができるが、前記材料ができるだけ3
次元的に無方向に集積されるように、一定量ずつ均一に
集積することが好ましい。この場合、得られる再成形体
によっても異なるが、十分に前記嵩高な集積物を得るた
めには、前記材料同士がその嵩を維持できるような容器
を用いて前記材料を集積させることが好ましい。また、
L/Dが10以上の連続した形状調整物とL/Dが10
0以上の連続したFRTPを用いる場合は、それぞれを
湾曲するように集積させることが好ましい。さらに、連
続した形状調整物とFRTPとを纏めて同時に吹き出し
て集積させることができる。
を集積させたときの嵩密度をρ1としたとき、同混合物
の真の密度をρ0とすると、1/100≦ρ1/ρ0≦
1/2となるように集積させることが好ましく、これに
より、同混合物の集積物中により多くの空隙を有するこ
とを可能とし、容易に高温ガスが集積物に接触して集積
物を溶融させることが可能となる。
に限定はないが、例えば、容器として筒状体を用いる場
合、断面が円形、四角形、多辺異形などの各種のものを
採用することができる。筒状体の大きさは、特に限定は
ないが、形状調整物およびFRTPにおける最長部が1
00mm以下の場合は、形状調整物の平均長およびFR
TPおよび/またはL−FRTP基材の長さ以上の内径
(四角形の場合は内側の短辺の長さ)を有することが好
ましい。また、前記筒状体は、高温ガスを集積物に接触
させることができる構造であることが必要であり、高温
ガスを集積物に接触させるための導入口と排気口を有す
ることが好ましい。
ず、高温ガスを接触させるため導入口と排気口とを筒状
体の上下に設けた構造とすることが好ましい。例えば、
筒状体下部を金属などのメッシュまたはパンチングメタ
ルとして、そこから高温ガスを吹き入れてもよいし、逆
に筒状体上部から高温ガスを吹き入れて筒状体下部の金
属などのメッシュまたはパンチングメタルを介して排気
してもよい。また、金属などのメッシュやパンチングメ
タルの代わりに筒状体下部にスリットなどを入れてもよ
い。
メタルやワイヤーメッシュ上に有機繊維、無機繊維また
は天然繊維からなる織布または不織布などの通気性を有
する表面材を配置した上に形状調整物とFRTPとの混
合物を集積させることが好ましく、また、該混合物を集
積させた後に前記織布または不織布を集積物上に配置さ
せることが好ましい。これにより、加熱により軟化溶融
した集積物を容易に取り扱うことが可能となり、ひいて
は、得られる再成形体の表面性の改善や意匠性を付与さ
せることが可能となる。この時、用いる不織布や織物な
どは、集積物を構成する熱可塑性樹脂のうち最も低い軟
化点の熱可塑性樹脂より、高い軟化点の材料で構成され
ていることが好ましい。
しい方法としては、前記集積物に高温ガスを接触させ
て、集積物中の樹脂を溶融させる工程であり、高温ガス
を集積物に接触させる方法は、 イ)前述した容器などを用いて、混合物を集積させた
後、高温ガスを熱風にて集積物中に吹き込む方法、 ロ)混合物を集積させた後、好ましくは高温ガスが滞留
する雰囲気にて、前記集積物を導入し、高温ガスを熱風
にて集積物中に吹き込む方法、および ハ)高温ガス雰囲気中に集積物を導入して、実質的に集
積物に高温ガスを通過接触させ溶融させる方法が挙げら
れる。
適宜選択が可能であるが、再成形体が不連続物でそのま
ま成形が可能な場合には、バッチ式の前記イ)の方法が
好ましく用いられ、例えば、シート形状や長尺形状など
の連続物の成形については、前記ロ)およびハ)の方法
が好ましく採用される。
方法における風速は、用いる容器、混合物の形態や大き
さにもよるため特に限定しないが、集積物が吹き飛ばな
い範囲で風速を上げることが好ましく、0.3〜10m
/s、さらには0.5〜5m/sがより好ましい。こう
して高温ガスを集積物に接触させることにより、集積物
中の樹脂を溶融させ、集積物の自重で嵩を低くさせ、ま
たは外部からの押圧によって嵩を低くさせて、集積物が
纏まった状態の溶融物を得る方法が好適に採用される。
は、嵩高で表面積が大きいものであるため、溶融物を成
形機に移す際の取扱い性を良好にし、成形機に移すまで
の間に冷却されにくくするためには、低圧で押圧して溶
融物を作成することが好ましい。このときの押圧力は
0.1〜1.5kgf/cm2とすることが好ましい。
なお、押圧前に集積物の全体が加熱されており、集積物
が柔軟になっているため、押圧しても集積物を構成して
いる混合物中の強化繊維の折れや破損がなく、空隙を埋
めて比較的密な溶融物を得ることができ、それによって
最終的に得られる再成形体の機械的強度が低下せず、表
面外観を良好にすることができる。
るために前記導入口と排気口とを閉じ、高温ガスを遮断
することが好ましい。また、前記押圧はプランジャーを
用いることが好ましく、溶融物の温度を低下させないた
めに加熱プランジャーを用いることがより好ましい。ま
た、前記プランジャーは、押出面が前記筒状体の内側断
面に適合するものであることが好ましい。こうしてプラ
ンジャーにより押圧された溶融物は、空隙なく密な状態
であってもよいし、ハンドリングが可能な程度まで押圧
され、多少空隙の残る状態であっても構わない。
に含まれる熱可塑性樹脂によっても異なるが、用いる集
積物中の熱可塑性樹脂の種類のうち最も低い軟化点の熱
可塑性樹脂の軟化点より高い温度で、かつ樹脂の分解温
度より低い温度であることが好ましい。前記高温ガスの
温度が前記樹脂の軟化点より低い場合は、樹脂を溶融さ
せることが不可能となり好ましくない。また、高温ガス
の温度が樹脂の分解温度より高い場合は、樹脂の劣化が
生じ好ましくない。
の他に、熱板プレスによる上下面または下面からの加
熱、または遠赤外線による加熱、もしくは高温槽内に集
積物を配置しての加熱など、いずれの方法においても目
的とする軟化溶融物を得ることが可能であるが、生産効
率や生産コストの点で熱風による加熱が好ましく、前記
熱風はヒーターと送風機を組み合わせた装置などによっ
て得ることができる。
は特に限定されるものではなく、空気、不活性ガス、還
元性ガスなどが挙げられるが、このうち空気および/ま
たは不活性ガスが好ましく採用される。使用する形状調
整物またはFRTP中の熱可塑性樹脂が、熱などによる
酸化劣化で、得られる再成形体の強度や外観にさほど悪
影響を与えないのであれば、空気を用いることがコスト
的に有利であり、影響を与える場合は、不活性ガスや還
元性ガスを単独または混合して用いることが好ましい。
ここでいう不活性ガスとは、希ガス類元素の気体や化学
的に不活性なN 2やCO2のような気体を含むものであ
る。また、これらのガスに酸化を防止するために還元性
ガスを加えてもよい。
断力を加えずに溶融物を作成するために、得られる溶融
物中の強化繊維の残存平均繊維長は、前記混合物中の繊
維の平均長のまま維持される。すなわち、溶融物中の強
化繊維の残存平均繊維長は、混合物中の平均繊維長の9
5%以上であることが好ましく、97%以上であること
がより好ましい。これにより、混合物中の強化繊維の破
損を防止し、剪断力を加えた場合の繊維の嵩高膨張によ
る流動性の低下、あるいは空気の巻き込みによる樹脂劣
化の発生を抑制し、得られる再成形体の機械的強度を低
下させないことになる。
する方法は特に限定されないが、好ましい成形方法はプ
レス成形である。例えば、前述した容器などを用いて、
混合物を集積させた後、高温ガスを吹き込む前記イ)の
方法では、上記のようにして形成された溶融物を取出
し、例えば、人手、コンベヤー、ロボットなどで移動さ
せて成形型に供給することが好ましい。これらの供給方
法は、溶融物中の熱可塑性樹脂の流動性、固化時間、再
成形体の表面外観性を考慮して適宜選択することができ
る。
る条件は、用いる溶融物中の熱可塑性樹脂の流動性、固
化時間、再成形体の表面外観性を考慮して適宜選択すれ
ばよいが、一般には、通常、熱可塑性樹脂などで用いら
れているスタンピング成形などのプレス成形の条件を採
用することができる。すなわち、成形型はヒーターなど
で加温されることが好ましく、その温度は溶融物中の熱
可塑性樹脂の軟化点未満で、通常の熱可塑性樹脂を成形
する場合の型温に準じていればよい。また、プレス圧力
は40〜300kgf/cm2が好適である。
好ましくは高温ガスが滞留する雰囲気にて、前記集積物
を導入し、高温ガスを吹き込む方法、または前記ハ)の
方法で高温ガス雰囲気中に集積物を導入して、実質的に
集積物に高温ガスを通過接触させ溶融させる方法では、
得られた溶融物を熱可塑性樹脂の軟化点未満に温度コン
トロールもしくは室温状態に調整された成形型にて、前
記のプレス成形する方法の他に、連続的に前述と同状態
に温度設定された圧延ロールなどを用いて、シート状物
または長尺状物などの再成形体を好適に得ることが可能
となる。
体を得ることも可能であるが、前記第4工程により一
旦、例えば、シート状物などの所望の形状とした成形前
材料(以下成形材料という)を得ることが可能である。
この場合、シート状物などの前記成形材料を必要により
所定の大きさにカットし、これを遠赤外線加熱炉や熱風
循環式高温槽などで混合物中の熱可塑性樹脂の軟化点以
上に加熱し、さらに、これを熱可塑性樹脂の軟化点未満
に温度コントロールもしくは室温状態に調整された所定
の形状をなす金型内に移送し、プレスにて押圧すること
により、軟化溶融状態にある熱可塑性樹脂の固化を促進
させ、所定形状の再成形体を得ることが可能となる。
中の強化繊維の残存平均繊維長が前記混合物の状態にお
ける平均繊維長のまま維持される。すなわち、再成形体
の強化繊維の残存平均繊維長は、混合物の平均繊維長の
95%以上となり易くなり、これにより、得られる再成
形体の機械的強度が低下せず、特に衝撃強度が良好な再
成形体が得られる。なお、本発明の理解が容易になるよ
うに、本発明の方法の1例を図1に図解的に示す。
らに具体的に説明する。 実施例1 産業廃棄物として公共輸送機関である電車の吊り広告を
シュレッダーにて約2×6mmに破砕した(以下A材と
する。)。次に、FRTPとして、これも廃材を用い、
熱可塑性樹脂がポリプロピレン、平均繊維長が50m
m、ガラス含有率40質量%からなる自動車天井板の端
材を用い、該端材を破砕機により5mm角程度に破砕
し、最長部の平均長が7mmの破砕物(以下B材とす
る。)を得た。このA材とB材を質量比で50:50に
混合した。前記混合物を堆積させたときのρ1/ρ0は
0.13であった。この時、自動車天井板の端材には表
皮材として表面層にポリエチレンテレフタレート製の不
織布および通気止め用の樹脂フィルムが貼付されてお
り、これらを取り除かずそのまま破砕した。
を所定量均一に散布し堆積物を作成した。さらにこの堆
積物が飛散しないように、堆積物の上に同ワイヤーメッ
シュを載せた。この時、堆積物の嵩密度を減少させない
ために押圧をかけずにワイヤーメッシュを載せた。
部ワイヤーメッシュの下方から上方に向け、空気を加熱
した200℃の熱風を30秒間通過させた。この時の熱
風の流速は、2m/secとした。熱風は堆積物の空隙
を通過し集積物に熱風を接触させて、集積物中の熱可塑
性樹脂を軟化させることにより、堆積物全体を軟化溶融
させた。表面温度40℃に設定した縦300mm、横2
00mm、高さ20mm、厚み3.2mmの箱形となる
金型内に上記軟化溶融物を置き、油圧プレスにて60k
gf/cm2の圧力で30秒間押圧し、3.2mm厚の
浅底の箱形成形体を作成した。この成形体の底面の平面
部から試験片を切り出し、諸物性を測定した。その結果
を表1に示す。なお、物性値は試験片のTD/MDの平
均値から算出した(以下の例も同様とする)。
カットしたガラス含有率が40質量%、断面の平均径
1.0mm、長さ30mmのほぼ円形を有する断面形状
の線材をC材(L−FRTP)として作成した。次いで
実施例1に示すA材と前記C材とを質量比でA:C=5
0:50に混合して混合物を得た。この混合物を実施例
1と同様の方法で成形体を作製し、この成形体の底面の
平坦部から試験片を切り出し、諸物性を測定した。その
結果を表1に示す。なお、前記混合物を散布堆積させた
ときのρ1/ρ0は0.04であった。
2と同様の方法で成形体を作製し、この成形体の底面の
平坦部から試験片を切り出し、諸物性を測定した。その
結果を表1に示す。なお、前記混合物を散布堆積させた
ときのρ1/ρ0は0.06であった。
カットしたガラス含有率が75質量%、断面の平均径
0.5mm、長さ30mmのほぼ円形を有する断面形状
の線材をD材(L−FRTP)として作成した。
ヤーメッシュ上に均一に散布させ、その上にA材:B材
=50:50の混合物を2317g/m2の量で散布堆
積させ、その上に、さらにD材を300g/m2の量で
均一に散布させた。次に、この状態において実施例1と
同様に成形体を作製し、この成形体の底面の平坦部から
試験片を切り出し、諸物性を測定した。その結果を表1
に示す。なお、この時の材料の質量比率は、A:B:D
=39.7:39.7:20.6となり、D材の10.
3質量%がそれぞれの表面層に配置されていることにな
る。ρ1/ρ0は0.13であった。
に散布させ、その上にA材:B材=30:70の混合物
を2688g/m2の量で散布堆積させ、その上に、さ
らにD材を300g/m2の量で均一に散布させた。次
に、この状態において実施例1と同様に成形体を作製
し、この成形体の底面の平坦部から試験片を切り出し、
諸物性を測定した。その結果を表1に示す。なお、この
時の材料の質量比率は、A:B:D=24.5:57.
3:18.2となり、D材の9.1質量%がそれぞれの
表面層に配置されていることになる。ρ1/ρ0は0.
1であった。
磁気テープを用い、これを粉砕し、平均で5mm角程度
の不定型な粉砕物(以下E材とする。)を得た。次いで
質量比率をE材:C材=50:50とし、これらを均一
に混合した。前記混合物を堆積させた時のρ1/ρ0は
0.12であった。この混合物を実施例2と同様の方法
で成形体を作製し、この成形体から試験片を切り出し、
諸物性を測定した。その結果を表1に示す。
C材=30:70に混合し、混合物を得た。この混合物
を実施例2と同様の方法で成形体を作製し、この成形体
から試験片を切り出し、諸物性を測定した。その結果を
表1に示す。尚、前記混合物を散布堆積させたときのρ
1/ρ0は0.10であった。
長部)6〜35mm、幅1〜2mm、厚み平均で0.1
mmに調整した不定型な線材状の粉砕物(以下F材とす
る。)を得た。次いで質量比率をF材:C材=30:7
0とし、これらを均一に混合した。前記混合物を堆積さ
せた時のρ1/ρ0は、0.07であった。この混合物
を実施例2と同様の方法で成形体を作製し、この成形体
から試験片を切り出し、諸物性を測定した。その結果を
表1に示す。
材とする。)を用い、次いで質量比率をG材:C材=3
0:70とし、これらを均一に混合した。前記混合物を
堆積させた時のρ1/ρ0は、0.16であった。この
混合物を実施例2と同様の方法で成形体を作製し、この
成形体から試験片を切り出し、諸物性を測定した。その
結果を表1に示す。
てH材とした。次いで、この造粒品をバージンの市販の
ポリプロピレン樹脂ペレット(I材)と質量比率におい
てH材:I材=15:85の割合で混合し、押し出し機
とスリットダイにてシート押し出しし、2.0mm厚み
のシート状物を作成した。このシート状物を遠赤外線に
て再加熱して軟化溶融物を得た。さらにこの溶融物を実
施例1と同工程にて成形体を作成し、この成形体の底面
の平坦部から試験片を切り出し、諸物性を測定した。そ
の結果を表2に示す。
プロピレン樹脂ペレット(I材)と質量比率においてH
材:I材=70:30の割合で混合し、押し出し機とス
リットダイにてシート押し出しし、2.0mm厚みのシ
ート状物を作成した。このシート状物を遠赤外線にて再
加熱して軟化溶融物を得た。さらにこの溶融物を実施例
1と同工程にて成形体を作成し、この成形体の底面の平
坦部から試験片を切り出し諸物性を測定した。その結果
を表2に示す。
を用いて成形体を得ることにより、リサイクル材として
用いた廃FRTPの破砕物、または、L−FRTP基材
の繊維長を損なうことなく、再成形体を得ることができ
る。結果として、再成形体は耐衝撃値においては、従来
のリサイクル材の成形方法より高い値を示すことにな
る。また、L−FRTP基材を組み合わせることによ
り、材料特性の内、特に曲げ強度・剛性が向上していく
こととなる。これは、この成形方法が常温下で混合する
のみで材料構成を決定することができ、それを高温ガス
を用いて簡便に溶融物を得ることができるからである。
従って、産業廃棄物などの廃材とFRTPとを自由に組
み合わせることができ、コストおよび要求性能に応じた
成形体が簡便な工程により製作可能となる。
産業廃棄物の再利用方法として、熱可塑性樹脂と強化繊
維で構成されたFRTPを用いることにより、FRTP
中の熱可塑性樹脂成分を産業廃棄物の結合材として作用
させ、かつ自由に材料構成を決定できることにより、簡
便にリサイクルをなし得る。また、産業廃棄物とFRT
Pとの混合物を空隙をもった状態で堆積させ、高温ガス
などにより加熱溶融することにより、簡便な工程であ
り、かつ混合物中の繊維の繊維長を損なうことなく再成
形体を得ることができる。さらに、この方式によりさら
にL−FRTP基材を容易に混合することができ、これ
により再成形体の諸物性を向上させることが簡単にでき
る。これらのことは、従来リサイクルが困難であった産
業廃棄物においても、FRTPと混合し、高温ガスを通
過させるだけで容易に再成形体を得ることができ、かつ
FRTPの繊維長を損なわないことが特筆すべき点であ
る。
Claims (13)
- 【請求項1】木片、古紙、衣服、合成樹脂繊維屑、プラ
スチック片、羊毛、磁気テープおよび籾殻の少なくとも
1つを含む産業廃棄物と、繊維強化熱可塑性樹脂(以下
FRTPという)とを混合する第1工程と、該混合物を
集積する第2工程と、該集積物に高温ガスを接触させて
加熱溶融し溶融物を得る第3工程と、該溶融物を成形す
る第4工程とからなることを特徴とするFRTP成形体
の製造方法。 - 【請求項2】前記産業廃棄物を、その最長部が3〜10
0mmとなるように形状調整して使用する請求項1に記
載のFRTP成形体の製造方法。 - 【請求項3】前記産業廃棄物を、長辺の長さ(L)/短
辺の長さ(D)=10以上となるように形状調整して使
用する請求項1または2に記載のFRTP成形体の製造
方法。 - 【請求項4】FRTPが、熱可塑性樹脂と強化繊維から
なる複合材であって、該複合材の最長部が3〜100m
mである請求項1〜3のいずれか1項に記載のFRTP
成形体の製造方法。 - 【請求項5】FRTPが、長辺の長さ(L)/短辺の長
さ(D)=100以上である請求項1〜4のいずれか1
項に記載のFRTP成形体の製造方法。 - 【請求項6】FRTPが、連続繊維に樹脂を含浸させた
長繊維強化熱可塑性樹脂(以下L−FRTPという)で
あり、該L−FRTPが、線材状、ペレット状またはテ
ープ状の形態をなす請求項1〜5のいずれか1項に記載
のFRTP成形体の製造方法。 - 【請求項7】前記形状調整された産業廃棄物とFRTP
との混合物の集積物に、L−FRTP基材がランダムも
しくは等方向に配されたシートを、得られるFRTP成
形体の少なくとも一部の表面または層に配置されるよう
に、L−FRTP基材を集積させる工程を含む請求項1
〜6のいずれか1項に記載のFRTP成形体の製造方
法。 - 【請求項8】前記線材状のL−FRTPの 平均径が0.1〜1.5mm 強化繊維含有率が15〜85質量% である請求項6または7に記載のFRTP成形体の製造
方法。 - 【請求項9】前記形状調整された産業廃棄物とFRTP
との混合物を集積する前または集積した後に、有機繊
維、無機繊維または天然繊維からなる織布または不織布
を配置させる請求項1〜8のいずれか1項に記載のFR
TP成形体の製造方法。 - 【請求項10】前記有機繊維、無機繊維または天然繊維
からなる織布または不織布が、前記FRTP中の熱可塑
性樹脂のうち、軟化点の最も低い熱可塑性樹脂の軟化点
よりも高い軟化点を有する請求項9に記載のFRTP成
形体の製造方法。 - 【請求項11】前記形状調整された産業廃棄物とFRT
Pとの混合物の集積物の嵩密度をρ1とし、前記産業廃
棄物とFRTPとの混合物の真密度をρ0としたとき、 1/100≦ρ1/ρ0≦1/2 となるようにする請求項1〜10のいずれか1項に記載
のFRTP成形体の製造方法。 - 【請求項12】産業廃棄物100質量部当たりFRTP
30〜500質量部を混合する請求項1〜11のいずれ
か1項に記載のFRTP成形体の製造方法。 - 【請求項13】前記第4工程によって得られたFRTP
成形体がシート状物であって、該シート状物をさらに加
熱溶融して溶融物を得た後、該溶融物を成形する請求項
1〜12のいずれか1項に記載のFRTP成形体の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000393322A JP2002192543A (ja) | 2000-12-25 | 2000-12-25 | 産業廃棄物を用いた繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法 |
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JP2000393322A JP2002192543A (ja) | 2000-12-25 | 2000-12-25 | 産業廃棄物を用いた繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2002192543A true JP2002192543A (ja) | 2002-07-10 |
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ID=18859142
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JP2000393322A Pending JP2002192543A (ja) | 2000-12-25 | 2000-12-25 | 産業廃棄物を用いた繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法 |
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