JP2002189433A - 認証用シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 蛍光を発する耐久性の高い認証用シートを提
供する。 【解決手段】 基材上に、再帰反射性ガラスビーズと無
機蛍光体を含む再帰反射性ガラスビーズを所定のパター
ンで配置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線により蛍光
を発し、特定のパターンを示す認証用シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、入射した光をそのまま入射方
向に反射させる再帰反射性を示すビーズを用いた製品が
各種提案されている。そのような製品としては、例え
ば、道路標識、路面表示、自動車等のナンバープレー
ト、広告等が挙げられる。

【０００３】この種の再帰反射シートの典型例は、図１
に示すように、樹脂１中に透明ガラスビーズ２を混入さ
せた透明塗料３を基材４の表面上に塗布してなってい
る。必要に応じて、このガラスビーズ２の下半分に金属
反射膜を設けたり、又は基材４と透明塗料３の界面に金
属反射膜が設けられ、シートの表面側、すなわち上面側
から入射してきた光が再びシートの表面側に反射され
る。このような再帰反射シートにおいて、その視認性を
高めるため、樹脂１中に蛍光着色剤もしくは蛍光色素を
添加することも提案されている（例えば、特開平４−31
9107号公報及び特開平６−43819号公報）。

【０００４】また、図１に示すような再帰反射シート
は、身分証明書や磁気カード等の偽造防止にも利用され
ている。すなわち、特開昭59−58630号公報では、磁気
カードの磁気記録面と反対側の面に再帰反射シートを設
け、磁気記録と光学的識別パターンとの両方でチェック
することにより、この磁気カードの偽造を防止すること
が提案されている。また、特開平５−113502号公報で
は、情報層上に再帰反射シートを設けることにより、可
視光線が当たっている間には情報層を隠す、偽造防止フ
ィルムを提案している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の蛍光
着色剤を添加した再帰反射シートでは、使用されている
蛍光着色剤がいずれも有機物質であり、劣化し易い、す
なわち長期間使用後に蛍光発光能が低下し易いという問
題がある。また、偽造防止用に再帰反射シートを用いる
場合、この再帰反射シートは保護層あるいは情報隠蔽層
としては有効であるが、この再帰反射シート自体が情報
を有しているわけではなかった。

【０００６】本発明は、再帰反射シート中のガラスビー
ズ自体が蛍光性を有し、従って再帰反射シート自身が情
報表示機能を有すると共に、長期間使用後も蛍光発光能
が低下することのない再帰反射シートからなる認証用シ
ートを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたものであり、基材上に、再帰反射
性を示すガラスビーズと無機蛍光体を含む再帰反射性ガ
ラスビーズを所定のパターンで配置してなる認証用シー
トである。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明を説
明する。図２は、本発明の認証用シート５の一態様を示
すものであり、基材６上に再帰反射性を示すガラスビー
ズ７と無機蛍光体を含む再帰反射性ガラスビーズ８が配
置されている。

【０００９】基材としては特に限定されず、従来の再帰
反射シートに用いられている各種材料、例えば合成樹脂
（例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂等）、紙、アルミ
ニウム等の金属を用いることができる。この基材は光透
過型であっても不透過型であってもよい。

【００１０】ガラスビーズの母ガラスの組成は制限され
ないが、このガラスビーズは再帰反射性を示すことが必
要であり、この再帰反射性を高めるために屈折率が高
く、さらに機械的強度の高いシリカ、アルミナ、ジルコ
ニア系ガラスを用いることが好ましい。このシリカ、ア
ルミナ、ジルコニア源は特に制限されないが、例えば、
シリカ、アルミナ、ジルコニアのような単純酸化物のほ
か、ムライト、ジルコン、アルミン酸ジルコニウム等の
複酸化物を組み合わせて使用することもできる。また、
各元素に対して酸化物以外にも、水酸化物、酸塩化物、
塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩等も使用することがで
きる。

【００１１】上記母ガラスに加え、リチウム、ナトリウ
ム、カリウム等のアルカリ金属や、マグネシウム、カル
シウム、バリウム等のアルカリ土類金属のほか、イット
リウム等をガラス修飾化合物として添加してもよい。こ
のガラス修飾化合物は、単純酸化物や複酸化物のほか、
水酸化物、酸塩化物、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩
の形態で使用することができる。また、このガラス修飾
化合物は２種類以上を添加することも可能である。

【００１２】以上のようなガラス材料を混合し、融解、
急冷することによりガラス化し、ビーズとする。得られ
たガラスビーズは熱処理を施してもよい。この熱処理温
度は、850〜1100℃が好ましい。1100℃を超える熱処理
では、ビーズが白濁し、再帰反射性を示さないことがあ
るからである。

【００１３】このガラスビーズとは別に、上記のガラス
材料に無機蛍光体を添加し、同様にしてガラスビーズを
製造する。従来のような有機蛍光体は、ガラス材料の融
解における高温において分解してしまうため、本発明で
は用いることができない。この無機蛍光体としては、ユ
ウロピウム、ジスプロシウム、サマリウム等を用いるこ
とができる。この無機蛍光体は、単純酸化物や複酸化物
のほか、水酸化物、酸塩化物、塩化物、硝酸塩、酢酸
塩、硫酸塩の形態で使用することができる。この無機蛍
光体の添加量は、得られる無機蛍光体含有ガラスビーズ
に紫外線を照射した際に蛍光を発するような量であれば
よく、また得られる認証用シートの用途によっても異な
るが、一般に、0.5wt％程度であればよい。

【００１４】これらのガラスビーズ及び無機蛍光体含有
ガラスビーズの粒径は、好ましくは30μm以上、より好
ましくは45μm以上、最も好ましくは50μm以上である。
これより粒径が小さいと、再帰反射性を示さなくなるお
それがあるからである。一方、粒径の上限は特に制限は
ないが、あまりに大きいと、このガラスビーズによって
パターンを形成することが困難になり、また再帰反射性
を示さなくなるおそれもあるため、200μm程度であるこ
とが好ましい。

【００１５】こうして得たガラスビーズ及び蛍光体含有
ガラスビーズを基材上に配置し、接着剤を用いて接着す
るか、又は透明樹脂を用いてガラスビーズの一部が露出
するように埋め込むことにより、本発明の認証用シート
が得られる。この際、蛍光体含有ガラスビーズを所定の
パターンで配置することにより、周囲のガラスビーズは
蛍光体含有ガラスビーズと屈折率は同じであるため、紫
外線を照射しない状態では何ら模様を示さないが、紫外
線を照射することにより蛍光体含有ガラスビーズが蛍光
を発し、それにより所定のパターンが現れることにな
り、再帰反射シート自身に情報表示機能を付与すること
ができる。

【００１６】さらに、このガラスビーズは、構成元素、
組成比等によっては発現する蛍光色を変えることができ
るため、そのような蛍光色の異なるもの同士を、あるい
は蛍光を示さない同屈折率のものと組み合わせて配置す
ることにより、通常の可視光線下では一様な再帰反射性
を示すが、紫外線照射下では蛍光色・模様に差異が現れ
るシートが容易に得られる。この蛍光による差異は、ガ
ラスビーズそのものによる偽造防止効果にいっそうの確
実さを与え、また個別差の認証を可能にする。例えば、
本発明の認証シートをアトラクションや公園等の入場券
や社員証等の身分証明書に利用した場合、通常のカラー
コピーでは偽造することのできない利点を有すると同時
に、このような入場券や身分証明書の外観やデザインに
大きく影響しない利点を有する。さらに、蛍光色の異な
るビーズの配置等をあらかじめ登録することにより、個
別差の認証をも可能にする。

【００１７】

【実施例】実施例１ シリカ粉末（和光純薬工業（株）製）3.54g、酸化ジル
コニウム（和光純薬工業（株）製）6.15g、酸化アルミ
ニウム粉末（和光純薬工業（株）製）8g、炭酸ストロン
チウム（和光純薬工業（株）製）2.72g、酸化ユウロピ
ウム0.18g、及び酸化ジスプロシウム0.19gを水20gと混
合し、界面活性剤としてポイズ532A（花王（株）製）0.
2gを添加し溶解させた。この混合物を２時間攪拌混合
し、乾燥させた後、乾式でさらに１時間攪拌混合した。
得られた粉末を106〜180μmに造粒し、1200℃で30分間
仮焼した。この仮焼した粒子から180μmを超える粒径の
粒子を取り除いた。

【００１８】得られた粒子を水素−酸素バーナの炎中に
少しずつ供給して融解させ、炎で吹き飛んだ融液を空気
中で急冷し、粒径30〜125μmのガラスビーズを得た。こ
のガラスビーズは再帰反射性を示し、かつ紫外線照射に
より蛍光性を示した。生じた蛍光は、366nmの波長光源
の照射により青色であり、245nmの波長光源の照射によ
り赤色であった。また、急冷されたガラスビーズを950
℃において５分間熱処理した。得られたガラスビーズは
透明であり、再帰反射性を示し、かつ紫外線照射によ
り、より強い蛍光性を示した。

【００１９】実施例２〜９ 実施例１の手順に従い、以下の表１に示す原料組成にて
ガラスビーズを製造した。また、表中には得られたガラ
スビーズに紫外線を照射したときの蛍光色も示した。

【００２０】

【表１】

【００２１】比較例１ ユウロピウム及びジスプロシウムを除いた組成におい
て、実施例１と同様にしてガラスビーズを製造し、蛍光
性を有するか検討した。その結果、得られたガラスビー
ズは再帰反射性は示すものの、蛍光性は示さなかった。

【００２２】実施例１０ 上記実施例３及び７並びに比較例１にて得られたガラス
ビーズを用い、台紙に色ごとに規則的に、又はランダム
に配置させた。規則的なパターンで配置させたガラスビ
ーズは、可視光線下では均一な再帰反射性を示すが、紫
外線照射により規則的な配置パターンが明示された。一
方、ランダムに配置させたガラスビーズも、通常の可視
光線下では均一な再帰反射性を示し、紫外線照射ではラ
ンダムな模様が浮かび上がった。

【００２３】

【発明の効果】本発明の認証用シートは、通常の可視光
線下では再帰反射性を示し、紫外線を照射することによ
り、蛍光を発することによって無機蛍光体含有ガラスビ
ーズによって形成されたパターンを示す。この無機蛍光
体は長期にわたって蛍光発光能を維持し、従ってこの認
証用シートも長期にわたり使用することができるという
耐久性を有する。さらに、蛍光体がガラスビーズ内に封
入されているため、摩擦等によって除去されることがな
く、機械的耐久性も高い。この蛍光体含有ガラスビーズ
によって所定のパターンを設けることにより、情報表示
機能を与え、かつ優れた偽造防止及び認証システムを簡
易に構築することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の再帰反射シートの側断面図である。

【図２】本発明の認証用シートの側断面図である。

【符号の説明】

１…樹脂 ２、７…ガラスビーズ ３…透明塗料 ４、６…基材 ８…無機蛍光体含有ガラスビーズ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉元 崇紀 神奈川県相模原市南橋本３−８−８ 住友 スリーエム株式会社内 (72)発明者 成瀬 季則 神奈川県相模原市南橋本３−８−８ 住友 スリーエム株式会社内 Ｆターム(参考） 2C005 HA01 HB01 HB13 JA01 JB21 KA03 KA37 2D064 CA03 CA05 CA09 DA05 EA01 EB26 EB31 JA01 5C096 AA14 BA03 BA04 CA03 CC02 CC36 CE03 CE22 EA03

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基材上に、再帰反射性ガラスビーズと無
   機蛍光体を含む再帰反射性ガラスビーズを所定のパター
   ンで配置してなる認証用シート。