JP3552763B2 - 蓄光性蛍光発色再帰反射シート - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は蓄光性蛍光発色再帰反射シート、更に詳しくは道路標識、工事標識等の標識類、自動車、オートバイ等の車両のナンバープレート類、衣服、救命具等の安全資材類、あるいは看板、車両等のマーキング等に用いると便利なものであって、特に耐光性に優れると共に、極めて長時間の残光特性を有する新規の蓄光性蛍光体を用いた蓄光性蛍光発色再帰反射シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ここではまず、再帰反射シートの従来技術を説明する。従来より光を光源方向に向けて再帰反射させる再帰反射シートはよく知られており、その再帰反射性能に基づく夜間の優れた視認性により上記のごとき利用分野で広く利用されている。
【0003】
例えば、再帰反射シートを用いた道路標識、工事標識等は夜間等において、走行する自動車等車両のヘッドライト等の光源からの光を光源方向、すなわち走行する車両の方向へ向けて反射させ、標識の観察者である車両の運転者に対し優れた視認性を提供し、しかして明確な情報伝達を可能にするという優れた特性を有していた。
【0004】
しかしながら、一般に再帰反射シートは光源より光を受けた時、光を光源方向に向けて再帰反射し光源方向にのみ優れた視認性を提供するものであるため、視認する場所は光源方向と異なっている場合は、その視認性が著しく劣るものとなる。このため、より高い安全性や宣伝効果等が求められるようになった近年においては、光源方向にのみ反射する再帰反射性能しか有しない従来型の再帰反射シートではその視認性が不十分であり、特に、夜間等において観察者が光源方向と異なる方向に位置するような場合においても、観察者に対し常に優れた視認性を提供することのできるような優れた再帰反射シートが強く望まれるようになってきた。
【0005】
このような要望にこたえるためには、再帰反射シートの視認性を向上させるための種々の試みがなされており、例えば、特開平5−178008号公報には、蓄光性発光物質を再帰反射シートと組み合わせ視認性を向上させることが提案されている。しかしながら、蓄光性発光性物質による発光は、その発光量が乏しく、視認性を著しく向上させることができない。
【0006】
また例えば、特願平4−217396号公報には蛍光着色材を再帰反射シートと組み合わせ視認性を向上させることが提案されている。しかしながら、蛍光着色材は一般に耐候性が悪く、交通標識等長期の耐候性を必要とするような用途には使用することが適当でないし、また、視認性においてもその向上効果は不十分である。
【0007】
そこで、出願人は、耐光性に優れると共に、極めて長時間の残光特性を有する新規の蓄光性蛍光体を再帰反射シートに組み合わせて使用することを考えたものである。ここで、本発明の要旨が、新規な蓄光性蛍光体に存することとなるので、蓄光性蛍光体の従来技術を説明しておく。
【0008】
一般に蛍光体の残光時間は極めて短く、外部刺激を停止すると速やかにその発光は減衰するが、まれに紫外線等で刺激した後その刺激を停止した後もかなりの長時間(数10分〜数時間)に渡り残光が肉眼で認められるものがあり、これらを通常の蛍光体とは区別して蓄光性蛍光体あるいは燐光体と呼んでいる。この蓄光性蛍光体としては、CaS:Bi(紫青色発光),CaSrS:Bi(青色発光),ZnS:Cu(緑色発光),ZnCdS:Cu(黄色〜橙色発光)等の硫化物蛍光体が知られているが、これらのいずれの硫化物蛍光体も、化学的に不安定であったり、耐光性に劣るなど実用面での問題点が多い。
【0009】
現在市場でもっぱら用いられる硫化亜鉛系蓄光性蛍光体(ZnS:Cu)も、特に湿気が存在すると紫外線により光分解して黒変したり輝度低下するため、屋外で直接日光に曝されるような用途での使用は困難であり、夜光時計や避難誘導標識、屋内の夜間表示等その用途は限定されていた。またこの硫化亜鉛系蛍光体を夜光時計に用いる場合であっても、肉眼でその時刻を認識可能な残光時間は約30分から2時間程度であり、実用的には、蛍光体に放射性物質を添加しそのエネルギーで刺激して常時発光する自発光性の夜光塗料を用いざるを得ないのが現状であった。
【0010】
そこで本発明者は、前述のごとき現状に鑑み、市販の硫化物系蛍光体に比べて遥かに長時間の残光特性を有し、更には化学的にも安定であり、かつ長期にわたり耐光性に優れる蓄光性蛍光体を開発したものである。この蓄光性蛍光体は、従来から知られている硫化物系蛍光体とは全く異なる新規の蓄光性蛍光体材料として、ユウロピウム等を賦活したアルカリ土類金属のアルミン酸塩に着目し、種々の実験を行った結果、この蓄光性蛍光体材料が、市販の硫化物系蛍光体に比べて遥かに長時間の残光特性を有し、更には酸化物系であることから化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れることが確認でき、従来の問題点がことごとく解消でき、放射能を含有しなくとも1晩中視認可能な夜光塗料あるいは顔料として、様々な用途に適用可能な長残光の蓄光性蛍光体である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、この新規な蓄光性蛍光体を用いた蓄光性蛍光発色樹脂組成物により蓄光性蛍光発色領域を形成し、再帰反射領域と適宜組み合わせることにより、前述したごとき従来技術の欠点を解消した卓越した再帰反射シートを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述したような蓄光性蛍光発色再帰反射シートとして、請求項1記載のものは、樹脂100重量部に対して、10〜300重量部の蓄光性蛍光体を有する蓄光性蛍光発色樹脂組成物により形成された蓄光性蛍光発色領域と、再帰反射領域とからなる蓄光性蛍光発色再帰反射シートであって、蓄光性蛍光体として、M1-XAl2 O4-X で表わされる組成の化合物で、Mは、カルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の金属元素からなる化合物を母結晶にしたものを用い、更にXが−0.33≦X≦0.60の範囲にあり、賦活剤としてユウロピウムを、Mで表す金属元素に対するモル%で0.001%以上10%以下添加し、共賦活剤としてネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムからなる群の少なくとも1つ以上の元素を、Mで表わす金属元素に対するモル%で0.001%以上10%以下添加し、再帰反射領域が、光透過性トップフィルムと、ベースフィルムと、両フィルム間に間隙を残したまま両フィルムを部分的に連結する連結部とからなり、連結部が、蓄光性蛍光発色樹脂組成物により形成され、トップフィルム及び/またはベースフィルムには再帰反射要素が配置されている再帰反射構造を有するように形成することを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の蓄光性蛍光発色再帰反射シートに用いる樹脂として、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂を主成分とすることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載のものは、請求項1または2記載の蓄光性蛍光発色再帰反射シートの再帰反射要素が、キューブコーナー型再帰反射要素としたことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載のものは、請求項1または2記載の蓄光性蛍光発色再帰反射シートの再帰反射要素が、レンズ型再帰反射要素としたことを特徴とする。
【0016】
本発明にかかわる蓄光性蛍光発色再帰反射シートは、通常の再帰反射領域に加え、蓄光性蛍光発色蛍光体を含有する蓄光性蛍光発色樹脂組成物により形成された蓄光性蛍光発色領域を有する点に大きな特徴がある。
【0017】
本発明の蓄光性蛍光発色再帰反射シートにおいて、再帰反射領域は再帰反射性能を有し、従来と同様、光源よりの光を光源方向に向けて再帰反射し、光源方向の観察者に対し優れた視認性を提供するように機能する。
【0018】
蓄光性蛍光発色領域は、200〜450nmの紫外線及び可視光を受けて発色し、蓄光性蛍光を他方向へ向けて放出することにより、光源方向のみならず光源方向以外の観察者に対しても優れた視認性を提供するよう機能する。
【0019】
本発明の蓄光性蛍光発色再帰反射シートにおいて、蓄光性蛍光発色領域は樹脂100重量部に対し、10〜300重量部、好ましくは50〜200重量部、更に好ましくは80〜150重量部の蓄光性蛍光体を含有する蓄光性蛍光発光樹脂組成物により形成される。
【0020】
蓄光性蛍光発光樹脂組成物において、蓄光性蛍光体の添加量が10重量部未満では充分な蓄光性蛍光発色機能が得られないため優れた視認性が得られない。また、蓄光性蛍光体の添加量か300重量部を越えると蓄光性蛍光発色領域として形成された樹脂組成物が固く、脆くなり、組成物に必要な強度、柔軟性等の特性が損なわれてしまう。
【0021】
またここで、蓄光性蛍光発光樹脂組成物に使用される樹脂は、透光性を有し、かつフィルム状に加工可能であればたり、特にマトリックス相として分散相となる蓄光性蛍光体を分散、保持できる樹脂であれば、その材質は特に限定されるものではない。
【0022】
ただ、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッソ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等があげられ、これらはそれぞれ単独で又は共重合された形で、あるいはブレンドして用いられるが、これらの中では耐候性に優れ、加工適性の良好なアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッソ系樹脂が好ましく、特にアクリル系樹脂が最も好適である。また塩化ビニル系樹脂の場合には、安定剤として紫外線吸収剤等を添加して用いることができる。
【0023】
更に、この蓄光性蛍光発光樹脂組成物中には樹脂及び蓄光性蛍光体のほかに必要に応じて通常の着色剤、蛍光着色剤等のその他の着色剤や、光安定剤、熱安定剤、充填剤、架橋剤等の各種添加剤を配合してもよい。
更に、本発明の蓄光性蛍光発色再帰反射シートにおいて、再帰反射領域は、再帰反射要素を有するもので限り特に限定されるものでなく、例えば、再帰反射要素がシート表面に部分的に突出した構造のオープン型再帰反射構造や、再帰反射要素がシートの樹脂中に埋め込まれた構造の封入型再帰反射構造等によって形成されたものであってもよい。ただ、より優れた再帰反射性能を得るためには、光透過性トップフィルムと、ベースフィルムと、両フィルム間に間隙を残したまま両フィルムを部分的に連結する連結部より形成し、トップフィルム及び/又はベースフィルムには一層に並ぶ多数の再帰反射要素が配置されている間隙層保有再帰反射構造によって形成されたものが好ましい。
【0024】
中でも、トップフィルム及び/又はベースフィルムに配置されている多数の再帰反射要素として、屈折率約1.9のガラスビーズの約半球面を金属蒸着膜の光反射層で覆ったレンズ型再帰反射要素、又は相対する面が互いに約90°の角度で向かい合ったキューブコーナー型再帰反射要素を配置したものが好ましく、特にキューブコーナー型再帰反射要素を配置した間隙層保有再帰反射構造を用いた再帰反射領域は、最も高い再帰反射性能が得られ、最も好適である。
【0025】
しかしながら、本発明の蓄光性蛍光発色再帰反射シートの構造において、再帰反射領域と蓄光性蛍光発色領域の配置は特に限定されるものではなく、それぞれ所望の部位に、所望の形状で形成すればよく、例えば、再帰反射領域と蓄光性蛍光発色領域を別々に部分的に配置してもよく、また例えば、全面を再帰反射領域あるいは蓄光性蛍光発色領域として、その上部又は下部に蓄光性蛍光発色領域又は再帰反射領域を部分的に、又は全面にわたって配置してもよい。
【0026】
場合によっては、多層構造からなる再帰反射領域の中間層位置に、部分的又は全面にわたって蓄光性蛍光発色領域を配置することもできる。
ただし、光透過性の蓄光性蛍光発色領域を再帰反射領域の再帰反射要素の上部に配置する場合は、蓄光性蛍光発色領域の下部に位置する再帰反射要素の再帰反射性能が損なわれてしまうため、再帰反射要素の上部全面にわたって配置することは避けなければならない。
【0027】
また、光非透過性の再帰反射領域、あるいは再帰反射領域の光非透過性部分についても同様に、蓄光性蛍光発色領域の上部に配置すると、下部に位置する蓄光性蛍光発色領域の蓄光性蛍光発色性能が損なわれてしまうため、蓄光性蛍光発色領域の上部全面にわたって配置することは避けなければならない。
光透過性乃至光半透過性の蓄光性蛍光発色領域および再帰反射領域、あるいは再帰反射領域部分は、それぞれ互いの領域の上部全面にわたって形成することが可能で、この場合得られる蓄光性蛍光発色再帰反射シートは同一部分が蓄光性蛍光発色性能と再帰反射性能を共に有するシートになる。
【0028】
【実施例】
次に、まず最初に新規な蓄光性蛍光体について説明する。
ここにおける新規な蓄光性蛍光体は、M1-X Al2 O4-X で表わされる組成の化合物で、Mは、カルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の金属元素からなる化合物を母結晶にしたものを用い、更にXが−0.33≦X≦0.60の範囲にあるものである。
【0029】
ただ、説明の便宜のために、最初に、X=0であるMAl2 O4 で表わされる化合物について説明する。
更に、MAl2 O4 で表わされる化合物に関して、金属元素(M)の種類、賦活剤としてのユウロピウムの濃度あるいは共賦活剤の種類及び濃度を種々変更した場合について、順次説明する。
【0030】
最初に金属元素(M)としてストロンチウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用いるものの、共賦活剤を用いない場合の蓄光性蛍光体について、説明する。
SrAl2 O4 :Eu蛍光体の合成とその特性
試料1−(1)
試薬特級の炭酸ストロンチウム146.1 g(0.99モル)およびアルミナ102 g(1モル)に賦活剤としてユウロピウムを酸化ユウロピウム(Eu2 O3)で 1.76g(0.005 モル)添加し、更にフラックスとしてたとえば硼酸を 5g(0.08モル)添加し、ボールミルを用いて充分に混合した後、この試料を電気炉を用いて窒素−水素混合ガス(97:3)気流中(流量:0.1 リットル毎分)で、1300℃、1時間焼成した。その後室温まで約1時間かけて冷却し、得られた化合物粉体をふるいで分級し100メッシュを通過したものを蛍光体試料1−(1) とした。
【0031】
図1には、合成された蛍光体の結晶構造をXRD(X線回折)により解析した結果を示した。回折ピークの特性から得られた蛍光体はSrAl2 O4 のスピネル構造を有することが明かとなった。
図2には本蛍光体の励起スペクトル及び刺激停止後の残光の発光スペクトルを示した。
【0032】
図から、発光スペクトルのピーク波長が約520nmの緑色の発光であることが明らかとなった。
次にこのSrAl2 O4 :Eu蛍光体の残光特性を市販品で緑色に発光するZnS:Cu蓄光性蛍光体(根本特殊化学(株)製:品名GSS,発光ピーク波長:530nm)の残光特性と比較して測定した結果を、図3および表2に示した。
【0033】
残光特性の測定は、蛍光体粉末0.05gを内径8mmのアルミ製試料皿に秤り取り(試料厚さ:0.1g/cm2 )、約15時間暗中に保管して残光を消去した後、D65標準光源により200 ルックスの明るさで10分間刺激し、その後の残光を光電子増倍管を用いた輝度測定装置で計測したものである。
図3から明らかなように、本発明によるSrAl2 O4 :Eu蛍光体の残光は極めて大きくその減衰もゆるやかであり,経過時間とともにZnS:Cu蓄光性蛍光体との残光強度差が大きくなることが分かる。また図中に、肉眼で充分に認識可能な発光強度のレベル(約0.3mCd/m2 の輝度に相当)を破線で示したが、このSrAl2 O4 :Eu蛍光体の残光特性から約24時間後でもその発光が認識可能であると推定される。実際に刺激後15時間経過したこのSrAl2 O4 :Eu蛍光体を肉眼で観察したところその残光を充分に確認することができた。
【0034】
また表2中の試料1−(1) には、刺激停止後10分、30分および100分後の残光強度をZnS:Cu蓄光性蛍光体の強度に対する相対値で示した。この表から本発明によるSrAl2 O4 :Eu蛍光体の残光輝度は10分後でZnS:Cu蓄光性蛍光体の2.9 倍であり100分後では17倍であることが分かる。
さらに本発明によるSrAl2 O4 :Eu蛍光体を光刺激した際の室温から250℃までの熱発光特性(グローカーブ)をTLDリーダー(KYOKKO TLD-2000システム)を用いて調査した結果を図4に示した。図から本蛍光体の熱発光は約40℃、90℃、130℃の3つのグローピークからなり約130℃のピークがメイングローピークであることが分かる。図中の破線で示したZnS:Cu蓄光性蛍光体のメイングローピークが約40℃であることに照らして、本発明によるSrAl2 O4 :Eu蛍光体の50℃以上の高温に相当する深い捕獲準位が残光の時定数を大きくし、長時間にわたる蓄光特性に寄与していると考えられる。
【0035】
試料1−(2) 〜(7)
次に前述と同様の方法で、ユウロピウムの濃度を変化させた表1で表した配合比のSrAl2 O4 :Eu蛍光体試料(試料1−(2) 〜(7) )を調整した。
【0036】
【表1】
【0037】
この試料1−(2) 〜(7) の残光特性を調査した結果を、1−(1) の残光特性を調査した結果と共に、表2中に示した。
この表2から、Euの添加量が0.0025〜0.05モルの範囲であると、10分後の輝度を含めてZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも残光特性に優れていることがわかる。ただEuの添加量が0.00001モルの場合、あるいは0.1モルの場合であっても、刺激停止後30分以上経過することによって、ZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも大きい輝度を有するようになることもわかる。
【0038】
またEuが高価であることから、経済性及び濃度クエンチングによる残光特性の低下を考慮すると、Euを0.1モル(10モル%)以上にすることに余り意味がないこととなる。逆に、残光特性から判断すると、Euが0.00001モル(0.001モル%)から0.00005モル(0.005モル%)の間では、10分後輝度でZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも輝度で劣るものの、刺激停止後30分以上経過することによって、ZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも大きい輝度が得られることから、賦活剤として用いるEuの添加効果が明らかである。
【0039】
更に、SrAl2 O4 :Eu蛍光体は酸化物系であることから、従来の硫化物系蓄光性蛍光体に比べて化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れるものである(表21及び22参照)。
【0040】
【表2】
【0041】
次に、金属元素(M)としてストロンチウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、更に共賦活剤としてジスプロシウムを用いた場合の蓄光性蛍光体について、実施例1として説明する。
実施例1.SrAl2 O4 :Eu、Dy蛍光体の合成とその特性
試料2−(1)
試薬特級の炭酸ストロンチウム144.6 g(0.98モル)およびアルミナ102 g(1モル)に賦活剤としてユウロピウムを酸化ユウロピウム(Eu2 O3)で1.76g(0 .005モル)、更に共賦活剤としてジスプロシウムを酸化ジスプロシウム(Dy2 O3)で1.87g(0.005 モル)添加し、更にフラックスとしてたとえば硼酸を5 g(0.08モル)添加し、ボールミルを用いて充分に混合した後、この試料を電気炉を用いて窒素−水素混合ガス(97:3)気流中(流量:0.1リットル毎分)で、1300℃、1時間焼成した。その後室温まで約1時間かけて冷却し、得られた化合物粉体をふるいで分級し100メッシュを通過したものを蛍光体試料2−(1) とした。
【0042】
この蛍光体の残光特性を前述と同様の方法で調査した結果を図5および表4の試料2−(1) に示した。
図5から明らかなように、本発明によるSrAl2 O4 :Eu,Dy蛍光体の残光輝度、特にその残光初期時の輝度はZnS:Cu蓄光性蛍光体と比較して極めて高く、またその減衰の時定数も大きいことから、画期的な高輝度蓄光性蛍光体であることが分かる。図中に示した視認可能な残光強度レベルとこのSrAl2 O4 :Eu,Dy蛍光体の残光特性から約16時間後でもその発光を識別可能である。
【0043】
表4には、刺激後10分、30分、100分後の残光強度をZnS:Cu蓄光性蛍光体の強度に対する相対値で示しているが、表から本発明によるSrAl2O4 :Eu,Dy蛍光体の残光輝度は10分後でZnS:Cu蓄光性蛍光体の12.5倍であり100分後では37倍であることが分かる。
さらに本発明によるSrAl2 O4 :Eu,Dy蛍光体を光刺激した際の室温から250℃までの熱発光特性(グローカーブ)を調査した結果を図6に示した。図6および図4から、共賦活剤として添加したDyの作用により熱発光のメイングローピーク温度が130℃から90℃に変化したことが分かる。この90℃の温度に相当する捕獲準位からの大きな発光が、SrAl2 O4 :Eu蛍光体と比較して、その残光初期時に高い輝度を示す原因と考えられる。
【0044】
試料2−(2) 〜(7)
次に前述と同様の方法で、ジスプロシウムの濃度を変化させた表3で表した配合比のSrAl2 O4 :Eu,Dy蛍光体試料(試料2−(2) 〜(7) )を調整した。
【0045】
【表3】
【0046】
この試料2−(2) 〜(7) の残光特性を調査した結果を、2−(1) の残光特性を調査した結果と共に、表4に示した。
この表4から、共賦活剤としてのDyの添加量は、10分後輝度を含めてZnS:Cu蓄光性蛍光体よりもはるかに優れていることを基準とすると、0.0025〜0.05モルが最適であることがわかる。ただDyの添加量が0.00001モルの場合であっても、刺激停止後30分以上経過することによって、ZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも大きい輝度を有するようになることから、賦活剤及び共賦活剤として用いたEu及びDyの添加効果が明らかである。またDyが高価であることから、経済性及び濃度クエンチングによる残光特性の低下を考慮すると、Dyを0.1モル(10モル%)以上にすることに余り意味がないこととなる。
【0047】
なお、SrAl2 O4 :Eu、Dy蛍光体は酸化物系であることから、従来の硫化物系蓄光性蛍光体に比べて化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れるものである(表21及び22参照)。
【0048】
【表4】
【0049】
次に、金属元素(M)としてストロンチウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、更に共賦活剤としてネオジムを用いた場合の蓄光性蛍光体について、実施例2として説明する。
実施例2.SrAl2 O4 :Eu、Nd蛍光体の合成とその特性
試料3−(1) 〜(7)
前述と同様の方法で、ネオジムの濃度を変化させた表5で示した配合比のSrAl2 O4 :Eu、Nd系蛍光体試料(試料3−(1) 〜(7) )を調整した。
【0050】
【表5】
【0051】
これらの試料3−(1) 〜(7) の残光特性を調査した結果を、表6に示した。
【0052】
【表6】
【0053】
この表6から、共賦活剤としてのNdの添加量が0.0025〜0.10モルの範囲であると、10分後の輝度を含めてZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも残光特性に優れていることがわかる。ただNdの添加量が0.00001モルの場合であっても、刺激停止後60分程度を経過することによって、ZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも大きい輝度を有するようになることから、賦活剤及び共賦活剤として用いたEu及びNdの添加効果が明らかである。またNdが高価であることから、経済性及び濃度クエンチングによる残光特性の低下を考慮すると、Ndを0.1モル(10モル%)以上にすることに余り意味がないこととなる。
【0054】
なお、SrAl2 O4 :Eu、Nd蛍光体は酸化物系であることから、従来の硫化物系蓄光性蛍光体に比べて化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れるものである(表21及び22参照)。
さらに本発明によるSrAl2 O4 :Eu、Nd蛍光体を光刺激した際の室温から250℃までの熱発光特性(グローカーブ)を、試料3−(4) について調査した結果を図7に示した。図から共賦活剤としてNdを添加した蛍光体の熱発光のメイングローピーク温度は約50℃であることが分かる。
【0055】
次に、金属元素(M)としてストロンチウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、更に共賦活剤として、サマリウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムの元素のいずれかを用いた場合の蓄光性蛍光体について、実施例3として説明する。
【0056】
またここで、賦活剤及び各共賦活剤については、ユーロピウム及びネオジムあるいはジスプロシウムを用いた場合の例から、金属元素(M)に対して各々0.005モル程度添加した場合に高い残光輝度が得られることを考慮して、賦活剤のEu濃度0.5 モル%(0.005モル)、共賦活剤の濃度0.5 モル%(0.005モル)の試料についてのみ例示した。
実施例3.SrAl2 O4 :Eu系蛍光体におけるその他の共賦活剤の効果
既述の方法で、共賦活剤としてサマリウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを添加した蛍光体試料についてその残光特性を調査した結果を表7に示した。
【0057】
この表7から明らかなように、標準として用いた市販のZnS:Cu蛍光体の残光特性と比較して、いずれのSrAl2 O4 :Eu系蛍光体試料も、刺激停止後30分乃至100分以上の長時間を経過すると残光特性が向上するので、充分実用レベルにあることが分かる。
なお、SrAl2 O4 :Eu系蛍光体は酸化物系であることから、従来の硫化物系蓄光性蛍光体に比べて化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れるものである(表21及び22参照)。
【0058】
【表7】
【0059】
次に金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用いるものの、共賦活剤を用いない場合の蓄光性蛍光体、及び金属元素としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、共賦活剤としてネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムからなる群の少なくとも1つの元素を用いた場合を、実施例4として説明する。
実施例4.CaAl2 O4 :Eu系蓄光性蛍光体の合成とその特性
試薬特級の炭酸カルシウムおよびアルミナに賦活剤としてユウロピウムを酸化ユウロピウム(Eu2 O3)として加えただけのもの、これに共賦活剤として、ネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムの元素のいずれかをそれぞれその酸化物で添加したものに対して、更にフラックスとしてたとえば硼酸を 5g(0.08モル)添加し、ボールミルを用いて充分に混合した後、この試料を電気炉を用いて窒素−水素混合ガス(97:3)気流中(流量:0.1リットル毎分)で、1300℃、1時間焼成した。その後室温まで約1時間かけて冷却し、得られた化合物粉体をふるいで分級し100メッシュを通過したものを蛍光体試料5−(1) 〜(34)とした。
【0060】
なおここで得られた試料5−(2) のXRD解析の結果を図8に示した。図からこの蛍光体は、単斜晶系のCaAl2 O4 結晶からなることが明らかとなった。
次に、代表例として共賦活剤にネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ツリウムを用いた試料5−(10)、5−(16)、5−(22)及び5−(28)について、その熱発光特性(グローカーブ)を調査した結果を図9及び図10に示した。いずれも50℃以上の高温域にグローピークがあることから、これらの蛍光体が長い残光特性を有することが示唆されている。さらに試料についてその残光の発光スペクトルを測定したところ、図11で示したようにいずれの蛍光体もその発光ピーク波長は約442nmの青色発光であった。
【0061】
そこで従来から市販されている青色発光の蓄光性蛍光体のCaSrS:Bi(商品名BA−S:根本特殊化学(株)製 発光波長454nm)を標準としてそれぞれの残光特性を相対的に比較調査した結果を表8乃至表13に示した。表8からCaAl2 O4 :Eu蛍光体については、Euが0.005モル(0.5モル%)の場合、残光初期時の輝度は低いものの100分後で市販標準品とほぼ同等に近い輝度が得られるものがあり、更に表9乃至表13に示すように、共賦活剤を添加することにより大きく増感され、いずれの共賦活剤を用いても充分実用性の高い蛍光体を得ることができた。特にNd、SmおよびTmについてはその添加効果が極めて大きく市販品より一桁以上明るい超高輝度の青色発光の蓄光性蛍光体が得られることが明かであり画期的な蛍光体といえる。図12にはこのNd、SmおよびTmを共賦活することにより得られた高輝度蛍光体の長時間に亘る残光特性を調査した結果を示した。
【0062】
なお、詳細には金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用いるものの、共賦活剤を用いない場合の蓄光性蛍光体として、5−(1) 〜(6) に示した蓄光性蛍光体の残光特性について表8に示した。
【0063】
【表8】
【0064】
また金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、共賦活剤としてネオジムを用いた場合の蓄光性蛍光体として、5−(7) 〜(12)に示した蓄光性蛍光体の残光特性を表9に示した。
【0065】
【表9】
【0066】
更に金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、共賦活剤としてサマリウムを用いた場合の蓄光性蛍光体として、5−(13)〜(18)に示した蓄光性蛍光体の残光特性を表10に示した。
【0067】
【表10】
【0068】
また金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、共賦活剤としてジスプロシウムを用いた場合の蓄光性蛍光体として、5−(19)〜(24)に示した蓄光性蛍光体の残光特性を表11に示した。
【0069】
【表11】
【0070】
また金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、共賦活剤としてツリウムを用いた場合の蓄光性蛍光体として、5−(25)〜(30)に示した蓄光性蛍光体の残光特性を表12に示した。
【0071】
【表12】
【0072】
なお金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、共賦活剤としてホルミウム、エルビウム、イッテルビウム、ルテチウムの元素のいずれかを用いた場合の蓄光性蛍光体として、5−(31)〜(34)に示した蓄光性蛍光体の残光特性をまとめて表13に示した。
【0073】
なおこの5−(31)〜(34)に示した蓄光性蛍光体では、賦活剤としてのユーロピウム及び他の共賦活剤は共に、0.5 モル%づつ添加したものである。
【0074】
【表13】
【0075】
次に金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、共賦活剤としてネオジウムを用いるものの、同時に他の共賦活剤も添加した場合を実施例5として説明する。
実施例5.CaAl2 O4 :Eu,Nd系蓄光性蛍光体の合成とその特性
試薬特級の炭酸カルシウムおよびアルミナに賦活剤としてユウロピウムを酸化ユウロピウム(Eu2 O3)として加え、これに共賦活剤としてネオジムを加えたもの、及び、更に他の共賦活剤として、ネオジム以外のサマリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムの元素のいずれかをそれぞれその酸化物で添加したものに、フラックスとしてたとえば硼酸を 5g(0.08モル)添加し、ボールミルを用いて充分に混合した後、この試料を電気炉を用いて窒素−水素混合ガス(97:3)気流中(流量:0.1リットル毎分)で、1300℃、1時間焼成した。その後室温まで約1時間かけて冷却し、得られた化合物粉体をふるいで分級し100メッシュを通過したものを蛍光体試料6−(1) 〜(24)とした。
【0076】
ここでは、まず最初に、Eu:0.5 モル%、Nd:0.5 モル%、他の共賦活剤:0.5 モル%として、各種蛍光体試料を調整して、10分後輝度、30分後輝度及び100 分後輝度を測定した。その結果を、6−(1) 〜(7)として、表14に示す。
【0077】
【表14】
【0078】
この測定結果から、ネオジウムと共に添加する共賦活剤の中で、残光輝度が特に優れるものとしては、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム等であることが確認された。
そこでEu:0.5 モル%、Nd:0.5 モル%とした上で、ジスプロシウムの濃度を、0.1 モル%から10モル%に変えて実験を行った。その結果を、6−(8)〜(13)として、表15に示す。
【0079】
【表15】
【0080】
Eu:0.5 モル%、Nd:0.5 モル%とした上で、ホルミウムの濃度を、0.1モル%から10モル%に変えて実験を行った。その結果を、6−(14)〜(18)として、表16に示す。
【0081】
【表16】
【0082】
Eu:0.5 モル%、Nd:0.5 モル%とした上で、エルビウムの濃度を、0.1モル%から 5モル%に変えて実験を行った。その結果を、6−(19)〜(24)として、表17に示す。
【0083】
【表17】
【0084】
このような測定結果から、共賦活剤を複数種混合すると、残光輝度が向上するものがあることが確認された。また更に、その場合、Eu:0.5 モル%、Nd:0.5 モル%とした上で、他の共賦活剤も0.5 モル%程度添加した場合が、最も優れた残光特性を示すことも確認された。
次に金属元素(M)としてバリウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、更に共賦活剤としてネオジムあるいはサマリウムを用いた場合の蓄光性蛍光体について、実施例6として説明する。
実施例6.BaAl2 O4 :Eu系蛍光体
ここでは、Euを0.5 モル%添加した上で、更にNdあるいはSmを各々0.5モル%添加したものを、7−(1) ,(2) として示す。
【0085】
また図13には本蛍光体のうち、共賦活剤としてネオジムを用いたものの、励起スペクトル及び刺激停止後30分を経過した後の残光の発光スペクトルを示した。
更に図14には、共賦活剤としてサマリウムを用いたものの、励起スペクトル及び刺激停止後30分を経過した後の残光の発光スペクトルを示した。
【0086】
発光スペクトルのピーク波長はいずれも約500nmで緑色の発光であることから、表18には、その残光特性を市販品で緑色に発光するZnS:Cu蓄光性蛍光体(根本特殊化学(株)製:品名GSS,発光ピーク波長:530nm)と比較して、刺激停止後10分、30分および100分後の残光強度を相対値で示した。
【0087】
【表18】
【0088】
この表18から、BaAl2 O4 :Eu,NdはZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも刺激停止後30分程度は残光輝度に優れていることがわかる。またBaAl2 O4 :Eu,SmはZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも若干残光輝度が劣る結果が得られた。しかしながらEuあるいは他の共賦活剤を添加せず、BaAl2 O4 結晶のみで実験した結果、蛍光及び残光がまったく認められないことが確認されているので、Eu及びNdあるいはSm添加による賦活効果が得られることは明らかである。
【0089】
なお、BaAl2 O4 :Eu系蛍光体は酸化物系であることから、従来の硫化物系蓄光性蛍光体に比べて化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れるものである(表21及び22参照)。
次に金属元素(M)として、カルシウムとストロンチウムとの混合物を用いた場合について、実施例7として説明する。
実施例7.SrX Ca1-X Al2 O4 系蓄光性蛍光体の合成とその特性
試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸カルシウムをそれぞれ比率を変えて調合しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウムを、共賦活剤としてネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムのいずれかの元素を添加したものに、フラックスとして例えば硼酸を 5g(0.08 モル)添加し、既述の方法によりでSrX Ca1-X Al2 O4 系蛍光体試料を合成した。
【0090】
得られた蛍光体の代表特性としてSr0.5 Ca0.5 Al2 O4 :Eu,Dy蛍光体(Eu0.5モル%、Dy0.5モル%添加)の残光の発光スペクトルを調査した結果を図15に示した。図からSrの一部がCaに置換されるとその発光スペクトルは短波長側にシフトし、SrAl2 O4 系蛍光体による発光とCaAl2 O4 系蛍光体の発光の中間色の残光を得られることが明かとなった。
【0091】
次に賦活剤および共賦活剤としてEuおよびDyをそれぞれ0.5モル%添加したSrx Ca1-x Al2 O4 系蛍光体試料の残光特性を調査した結果を図16に示した。
この図16からいずれの蛍光体についても図中の破線で示した市販標準品と比較して同等以上の優れた残光特性を有する実用性の高い蓄光性蛍光体が得られることが分かる。
【0092】
次に金属元素(M)として、ストロンチウムとバリウムとの混合物を用いた場合について、実施例8として説明する。
実施例8.SrX Ba1-X Al2 O4 系蓄光性蛍光体の合成とその特性
試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸バリウムをそれぞれ比率を変えて調合しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウムを、共賦活剤としてネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムのいずれかの元素を添加したものに、フラックスとして例えば硼酸を 5g(0.08 モル)添加し、既述の方法によりSrX Ba1-X Al2 O4 系蛍光体試料を合成した。
【0093】
得られた蛍光体の代表特性としてEuを0.5モル%、Dyを0.5モル%添加して調整したSrX Ba1-X Al2 O4 系蛍光体試料の残光特性を調査した結果を図17に示した。
この図17からいずれの蛍光体についても図中の破線で示した市販標準品と比較して同等以上の優れた残光特性を有する実用性の高い蓄光性蛍光体が得られることが分かる。
【0094】
次に金属元素(M)として、複数の金属元素を用い、かつ賦活剤としてユウロピウムを用い、更には共賦活剤を2種類用いた場合について、実施例9として説明する。
実施例9.Ca1-X SrX Al2 O4 :Eu、Nd,X蛍光体の合成とその特性
試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸カルシウムをそれぞれ比率を変えて調合しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウム0.5モル%を、共賦活剤としてネオジム0.5モル%を加え、更に他の共賦活剤として、ジスプロシウム、ホルミウムの元素のいずれかを0.5モル%添加したものに、フラックスとして例えば硼酸を 5g(0.08 モル)添加し、既述の方法によりでCa1-X SrX Al2 O4 :Eu、Nd,X系蛍光体試料11−(1) 〜(6) を合成し、その残光特性を調査した。
【0095】
まず試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸カルシウムをそれぞれ比率を変えて調合しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウム0.5モル%を、共賦活剤としてネオジウム0.5モル%を加え、更に他の共賦活剤として、ジスプロシウムを0.5モル%添加したものを11−(1) 〜(3) として、表19に示す。
【0096】
【表19】
【0097】
また試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸カルシウムをそれぞれ比率を変えて調合しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウム0.5モル%を、共賦活剤としてネオジウム0.5モル%を加え、更に他の共賦活剤として、ホルミウムを0.5モル%添加したものを11−(4) 〜(6) として、表20に示す。
【0098】
【表20】
【0099】
これらの測定結果から、金属元素(M)が、カルシウム及びストロンチウムからなる複数の金属元素(M)を用い、賦活剤としてユウロピウムを添加し、かつ複数の共賦活剤を添加した場合であっても、10分後輝度を含めて、CaSrS:Biに比べて優れていることが確認できた。
実施例10.耐湿特性試験
本発明により得られた蓄光性蛍光体の耐湿特性を調査した結果を表21に示した。
【0100】
この調査では、複数の蛍光体試料を、40℃、95%RHに調湿した恒温恒湿槽中に500時間放置しその前後における輝度変化を測定した。
表から、いずれの組成の蛍光体も湿度に対してほとんど影響を受けず安定であることが分かる。
【0101】
【表21】
【0102】
実施例11.耐光性試験結果
本発明により得られた蓄光性蛍光体の耐光性試験を行なった結果を硫化亜鉛系蛍光体の結果と比較して表22に示した。
この試験は、JIS規格に従い、試料を飽和湿度に調湿した透明容器内に入れ300Wの水銀灯下30cmの位置で3時間、6時間及び12時間光照射し、その後の輝度変化を測定した。
【0103】
表から従来の硫化亜鉛系蛍光体と比較して極めて安定であることが分かる。
【0104】
【表22】
【0105】
ただこの蓄光性蛍光体は、MAl2 O4 として示されているものの、M、Al、Oの組成が完全に1:2:4になっている場合だけであるとは限らない。種々の条件によって偶然に、この比率が若干ずれたりすることがある。もちろん、前述した効果を奏する範囲であれば、このような若干のずれは、前述した出願の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【0106】
そこで出願人は、意識して前記比率をずらせた蓄光性蛍光体について、輝度の測定を行った。
すると、前記比率に若干のずれがある場合の方が、残光輝度に優れている場合があることがわかった。
以下、M1-x Al2 O4-x の組成で表わされる蓄光性蛍光体を、金属元素(M)としてストロンチウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、更に共賦活剤としてジスプロシウムを用いた蓄光性蛍光体であるSr1-x Al2 O4-x :Eu,Dyを例として説明する。
【0107】
またここで、Eu及びDyの濃度としては、ストロンチウムに対して0.005 モルづつ添加したものである。
更に、実験した時のストロンチウムとアルミニウムとの比、Xの値、及びその時の蓄光性蛍光体としては、下記のように、試料(1) 〜(8) として示したものを使用した。
(1) Sr:Al= 1:1.5 X=-0.33 Sr1.33Al2 O4.33:Eu,Dy
(2) Sr:Al= 1:1.9 X=-0.05 Sr1.05Al2 O4.05:Eu,Dy
(3) Sr:Al= 1:2.0 X= 0 Sr1.00Al2 O4.00:Eu,Dy
(4) Sr:Al= 1:2.1 X= 0.05 Sr0.95Al2 O3.95:Eu,Dy
(5) Sr:Al= 1:2.5 X= 0.20 Sr0.80Al2 O3.80:Eu,Dy
(6) Sr:Al= 1:3.0 X= 0.33 Sr0.67Al2 O3.67:Eu,Dy
(7) Sr:Al= 1:4.0 X= 0.50 Sr0.50Al2 O3.50:Eu,Dy
(8) Sr:Al= 1:5.0 X= 0.60 Sr0.40Al2 O3.40:Eu,Dy
そしてこれらの試料(1) 〜(8) を、一旦、残光がない状態とした後、室内に20分放置し、3分後の輝度を目視にて確認した。その上で、X=0を100とした場合との残光輝度を測定した。その値が表23である。
【0108】
【表23】
【0109】
この表から、X=0であるSrAl2 O4 :Eu,Dyを示した試料(3) に比べて、試料(1) 、(2) は残光輝度が劣るものの、試料(4) 〜(6) は、試料(3) とほぼ同様かあるいは若干高い残光特性を示しているものもある。
このことから、金属元素(M)としてストロンチウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、更に共賦活剤としてジスプロシウムを用いた蓄光性蛍光体を、Sr1-x Al2 O4-x :Eu,Dyとして表すと、実用性のある残光輝度を示す範囲が、−0.33≦X≦0.60の範囲であることが確認できた。更に、望ましくは0≦X≦0.33の範囲であることが確認できた。
【0110】
次に、M1-x Al2 O4-x の組成で表わされる蓄光性蛍光体を、金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、更に共賦活剤としてジスプロシウムを用いた蓄光性蛍光体であるCa1-x Al2 O4-x :Eu,Dyを例として説明する。
またここで、Eu及びDyの濃度としては、カルシウムに対して0.005 モルづつ添加したものである。
【0111】
更に、実験した時のカルシウムとアルミニウムとの比、Xの値、及びその時の蓄光性蛍光体としては、下記のように、試料(1) 〜(8) として示したものを使用した。
(1) Ca:Al= 1:1.5 X=-0.33 Ca1.33Al2 O4.33:Eu,Dy
(2) Ca:Al= 1:1.9 X=-0.05 Ca1.05Al2 O4.05:Eu,Dy
(3) Ca:Al= 1:2.0 X= 0 Ca1.00Al2 O4.00:Eu,Dy
(4) Ca:Al= 1:2.1 X= 0.05 Ca0.95Al2 O3.95:Eu,Dy
(5) Ca:Al= 1:2.5 X= 0.20 Ca0.80Al2 O3.80:Eu,Dy
(6) Ca:Al= 1:3.0 X= 0.33 Ca0.67Al2 O3.67:Eu,Dy
(7) Ca:Al= 1:4.0 X= 0.50 Ca0.50Al2 O3.50:Eu,Dy
(8) Ca:Al= 1:5.0 X= 0.60 Ca0.40Al2 O3.40:Eu,Dy
そしてこれらの試料(1) 〜(8) を、一旦、残光がない状態とした後、室内に20分放置し、3分後の輝度を目視にて確認した。その上で、X=0を100とした場合との残光輝度を測定した。その値が表24である。
【0112】
【表24】
【0113】
この表から、X=0であるCaAl2 O4 :Eu,Dyを示した試料(3) に比べて、試料(1) 、(2) 、(4) 〜(6) はいずれも残光輝度が劣るものの、十分使用に耐えるものであった。
このことから、金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、更に共賦活剤としてジスプロシウムを用いた蓄光性蛍光体を、Ca1-x Al2 O4-x :Eu,Dyとして表すと、実用性のある残光輝度を示す範囲が、−0.33≦X≦0.60の範囲であることが確認できた。更に、望ましくは−0.33≦X≦0.05の範囲であることが確認できた。
【0114】
更に、M1-x Al2 O4-x の組成で表わされる蓄光性蛍光体を、金属元素(M)としてバリウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、更に共賦活剤としてジスプロシウムを用いた蓄光性蛍光体であるSr1-x Al2 O4-x :Eu,Dyを例として説明する。
またここで、Eu及びDyの濃度としては、バリウムに対して0.005 モルづつ添加したものである。
【0115】
更に、実験した時のバリウムとアルミニウムとの比、Xの値、及びその時の蓄光性蛍光体としては、下記のように、試料(1) 〜(7) として示したものを使用した。
(1) Ba:Al= 1:1.5 X=-0.33 Ba1.33Al2 O4.33:Eu,Dy
(2) Ba:Al= 1:1.9 X=-0.05 Ba1.05Al2 O4.05:Eu,Dy
(3) Ba:Al= 1:2.1 X= 0.05 Ba0.95Al2 O3.95:Eu,Dy
(4) Ba:Al= 1:2.5 X= 0.20 Ba0.80Al2 O3.80:Eu,Dy
(5) Ba:Al= 1:3.0 X= 0.33 Ba0.67Al2 O3.67:Eu,Dy
(6) Ba:Al= 1:4.0 X= 0.50 Ba0.50Al2 O3.50:Eu,Dy
(7) Ba:Al= 1:5.0 X= 0.60 Ba0.40Al2 O3.40:Eu,Dy
そしてこれらの試料(1) 〜(7) を、一旦、残光がない状態とした後、室内に20分放置し、3分後の輝度を目視にて確認した。その上で、X=0を100とした場合との残光輝度を測定した。その値が表25である。
【0116】
【表25】
【0117】
この表から、X=2.1であるBa0.95Al2 O3.95:Eu,Dyを示した試料(3) に比べて、試料(1) 、(2) は残光輝度が劣るものの、試料(4) 、(5) は、試料(3) より若干高い残光特性を示している。また試料(6) 、(7) に関しても、十分使用に耐えるものであった。
このことから、金属元素(M)としてバリウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、更に共賦活剤としてジスプロシウムを用いた蓄光性蛍光体を、Ba1-x Al2 O4-x :Eu,Dyとして表すと、実用性のある残光輝度を示す範囲が、−0.33≦X≦0.60の範囲であることが確認できた。更に、望ましくは0.05≦X≦0.50の範囲であることが確認できた。
【0118】
なお、以上の各実施例において、賦活剤としてのユウロピウム、共賦活剤としてのジスプロシウムの比率を変化させても、同一の傾向にあることが出願人によって確認されている。
【0119】
更に、共付活剤として、前記したジスプロシウムの他にも、ネオジウム、サマリウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムからなる群の少なくとも1つ以上の元素を、Mで表わす金属元素に対するモル%で0.001 %以上10%以下添加した場合にあっては、M1-x Al2 O4-x で表される化合物に関して、−0.33≦X≦0.60の範囲でXを設定すると、十分実用的な残光輝度を示すことが確認された。
【0120】
このような蓄光性蛍光体は、従来から知られている硫化物系蛍光体とは全く異なる新規の蓄光性蛍光体材料に関するものであり、市販の硫化物系蛍光体と比べても遥かに長時間、高輝度の残光特性を有し、更には酸化物系であることから化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れた蓄光性蛍光体である。
次に、このような蓄光性蛍光体の応用用途であると共に、本発明となっている蓄光性蛍光発色再帰反射シートについて説明する。
【0121】
図18〜21は本発明の蓄光性蛍光発色再帰反射シートの一例についての断面構成模式図である。
【0122】
図18は間隙層保有再帰反射構造による再帰反射領域を用いた本発明の蓄光性蛍光発色再帰反射シートの一例である。
【0123】
図18において、1は光透過性のトップ樹脂層、9は支持体層でこの中にガラスビーズ3が埋め込まれている。5bはトップ樹脂層1と支持体層9とを連結する連結部で、この連結部5bを配置することによりトップ樹脂層1と支持体層9との間に間隙層8を形成している。ガラスビーズ3の下半球面には光反射膜となる金属蒸着膜4が形成されており、光源方向に向けて光を再帰反射させる再帰反射要素として機能している。
【0124】
図18においてトップ樹脂層1上には蓄光性蛍光発光体樹脂組成物により形成された蓄光性蛍光発色層5aが部分的に配置され蓄光性蛍光発色領域7を形成している。そして、蓄光性蛍光発色領域7が配置されていない部分は再帰反射領域6となっている。
ここで、蓄光性蛍光発光体樹脂組成物はトップ樹脂層1と支持体層9とを連結する連結部5bにも含有されてよいが、この場合トップ樹脂層1は蓄光性蛍光発色に必要な波長の紫外線をすべて吸収するものであってはならない。蓄光性蛍光発色層5aおよび/あるいは5bの配置については特に限定されないが、蓄光性蛍光発色層5aが光非透過性の場合には、再帰反射領域6の全面にわたって配置することを避けなければならない。
【0125】
図19は間隙保有キューブコーナー型反射構造を用いた本発明の蓄光性蛍光発色再帰反射シートの一例である。
図19において、1は光透過性のトップ樹脂層であり、内側表面には相対する面が90℃の角度で向かい合ったキューブコーナー型反射要素が配置され、光源方向にむけて光を再帰反射させる再帰反射要素として機能している。5bはトップ樹脂層1と支持体層9との連結部であり、この連結部5bを配置することによりトップ樹脂層1と支持体層9との間に間隙層8を形成している。
【0126】
図19においてトップ樹脂層1上には蓄光性蛍光発光体樹脂組成物により形成された蓄光性蛍光発色層5aが部分的に配置され、蓄光性蛍光発色領域7を形成している。そして、蓄光性蛍光発色領域7が配置されていない部分は再帰反射領域6となっている。
ここで、蓄光性蛍光発光体樹脂組成物はトップ樹脂層1と支持体層9とを連結する連結部5bにも含有されてよいが、この場合トップ樹脂層1は蓄光性蛍光発色に必要な波長の紫外線をすべて吸収するものであってはならない。蓄光性蛍光発色層5aおよび/あるいは5bの配置については特に限定されないが、蓄光性蛍光発色層5aが光非透過性の場合には、再帰反射領域6の全面にわたって配置することを避けなければならない。
【0127】
図18及び図19において、連結部5bは本来再帰反射シートとしての非反射部分であり、再帰反射性能に寄与していない。該連結部5bに蓄光性蛍光発色領域7を設けることは、再帰反射性能に影響を与えず夜間の観察者に対して視認性を向上させるので好適である。
図18及び図19において蓄光性蛍光発色領域である連結部5bを支持体層9の部分的熱溶融変形によって形成することは、支持体層9と光透過性のトップ樹脂層1との間に高い密着性が得られるので好適である。
【0128】
図19において、連結部5b及び光透過性のトップ樹脂層1の上に蓄光性蛍光発色領域を設けることにより、キューブコーナー型再帰反射シートの持つ高い再帰発射性能を有する蓄光性蛍光発色再帰反射シートを得ることができる。
更に図20に示した蓄光性蛍光発色再帰反射シートは、図18に示した間隙層保有再帰反射構造による再帰反射領域を用いた蓄光性蛍光発色再帰反射シートの変形例である。
【0129】
ここでは、図18に示した蓄光性蛍光発色再帰反射シートの光透過性のトップ樹脂層1の間隙層8側に、細かいドット状の蓄光性蛍光発色層5cを設けたものである。このように蓄光性蛍光発色層5cを配置することによって、再帰反射領域6をせばめることともなるが、再帰反射の光によっても蓄光性蛍光発色が得られることとなる。なお細かいドット状の蓄光性蛍光発色層5c以外の構成は、図18と同様なので、説明を省略する。
【0130】
また図21に示した実施例は、間隙層保有再帰反射構造による再帰反射領域を用いた蓄光性蛍光発色再帰反射シートの一例である。
図21において、1は光透過性のトップ樹脂層、9は支持体層でこの中にガラスビーズ3が埋め込まれている。更にこの支持体層9自体は、蓄光性蛍光発光体樹脂組成物により形成されている。また、ガラスビーズ3の下半球面には光反射膜となる金属蒸着膜4が形成されており、光源方向に向けて光を再帰反射させる再帰反射要素として機能している。
【0131】
そして、これらトップ樹脂層1と、支持体層9とを適当な間隔を有するように配置し、更にこれら両者1,9を、エンボス加工によって一体化させたものである。その結果、エンボス加工によって押された支持体層9の一部がトップ樹脂層1側に変形してトップ樹脂層1と一体になると共に、エンボス加工によって押されていない部分が、トップ樹脂層1と支持体層9との間の間隙層8として機能するものである。
【0132】
更にこのように形成した場合、エンボス加工によって押された支持体層9が蓄光性蛍光発色領域として機能すると共に、エンボス加工によって押されていない部分が再帰反射領域6として機能するものである。
以下実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
蓄光性蛍光発色再帰反射シートの実施例1
既存の封入型再帰反射シート(ニッカポリマ(株)製、ニッカライト、SEG18012)のトップフィルム上に、アクリル系樹脂溶液(日本カーバイト(株)製 KP−1838S)100重量部、キレート系架橋剤(日本カーバイト(株)製 CK−401)10重量部及び蓄光性蛍光発色性顔料(根本特殊化学(株)製 N夜光)100重量部の混合溶液を150メッシュのシルクスクリーンを用いて印刷し、乾燥させて厚み約60μmの蓄光性蛍光発色層を得た。
【0133】
蓄光性蛍光発色層は線幅が約2mmの網目状模様であって、再帰反射シートの表面がこの網目状模様により約0.5cm2 の面積で区画された多数の反射領域を有するように形成した。
得られた蓄光性蛍光発色再帰反射シートは、表26に示すとおり蓄光性蛍光発色再帰反射シートとしての再帰反射性能及び蓄光性蛍光発色時の輝度共に本発明の目的を充分に満足するものであった。
蓄光性蛍光発色再帰反射シートの実施例2
厚さ約20μmのポリエチレン樹脂をラミネートした工程紙を約105℃に加熱し、この上に平均粒子径約65μm、屈折率1.91のガラスビーズを均一にかつ密に分散させ、ニップロールにより加圧しガラスビーズをその直径の約1/3までポリエチレン樹脂中に埋め込んだ。
【0134】
その後、このガラスビーズを埋め込んだ工程紙表面に真空蒸着機を用いてアルミニウムを約0.1μmの厚みで真空蒸着した。
次に、シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、メチルメタクリレート(MMA)−エチルアクリレート(EA)ー2ーヒドロキシエチルメタクリレート(2ーHEMA)共重合体のメチルイソブチルケトン/トルエン(1/1)溶液(重合組成比:MMA/EA/2−HEMA=20/60/15、固形分=50%)100重量部と、ヘキサメチレンジイソシアネート系の架橋剤の1ーメトキシプロピルアセテートー2/キシレン(1ー1)溶液(固形分=75%)14.2重量部の混合溶液を塗布、乾燥して厚み40μmの補強層を形成した。
【0135】
更に、この補強層の上に、メチルメタクレート(MMA)ーエチルアクリレート(EA)−2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)共重合体のメチルイソブチルケトン/トルエン(1ー1)溶液(重合組成比:MMA/EA/2−HEMA=40/55/5、固形分=40%)100重量部と、酸化チタン30重量部を混合して得られるアクリル樹脂溶液に対し、メチルメタクリレート(MMA)−ブチルアクリレート(BA)−スチレン(St)共重合体のメチルイソブチルケトン溶液(固形物=20%;多段重合型の内部架橋樹脂)10重量部及びセロソルブアセテート樹脂のメチルイソブチルケトン中の溶液(固形分=15%)13重量部を混合して得られる溶液を塗布、乾燥して厚み約80μmのバインダー層を形成することにより、補強層ーバインダー層積層物を得た。
【0136】
次にガラスビーズ埋め込み工程紙のアルミ蒸着側に上記積層物のバインダー層が面するように重ね合わせ、加圧してガラスビーズがバインダー層中に約1/3程度埋まり込むようにした。その後、35℃で14日間エージングして補強層の架橋を実質的に完結させた。
上記で得られた積層物よりポリエチレン樹脂ラミネート工程紙を引き剥がし、露出したガラスビーズ上にアクリル系樹脂溶液(日本カーバイト工業(株)製KP−1538S)100重量部、キレート系架橋剤(日本カーバイト(株)製CK−401)10重量部及び蓄光性蛍光発色性顔料(根本特殊化学(株)製N夜光)100重量部の混合溶液を150メッシュのシルクスクリーンを用いて印刷し、乾燥させて厚み約60μmの蓄光性蛍光発色層を得た。
【0137】
印刷によって得られた蓄光性蛍光発色層保有のシートと厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを80℃の加熱ロールを用いて圧着することにより、トップフィルムとベースフィルムの間に間隙を有する蓄光性蛍光発色再帰反射シートを得た。
蓄光性蛍光発色層は、線幅が約2mmの網目状模様であって、再帰反射シートの表面が該網目状模様により約0.5cm2 の面積で区画された多数の反射領域を有するように形成した。
【0138】
得られた蓄光性蛍光発色再帰反射シートは、表26に示すように、反射シートとしての再帰反射性能及び蓄光性蛍光発色時の輝度共に本発明の目的を充分に満足するものであった。
【0139】
【表26】
【0140】
なお、再帰反射性能及び蓄光性蛍光発色時の輝度の測定は、以下により実施した。
再帰反射による反射光量は、JIS Z 9117に準じて観測角12’、入射角5°により測定した。
蓄光性蛍光発色時の輝度は、試料の上方から、D65常用光源を用いて400lxで20分間照射した後、20分経過後の残光輝度を測定したものである。
【0141】
なお以上の説明において、再帰反射領域と蓄光性蛍光発色領域とは、再帰反射領域が全体の30〜70%で、蓄光性蛍光発色領域が70〜30%の範囲で、必要に応じて設定することができる。更に、例えば、直径が15cmと10cmとの同心円を形成し、内部を再帰反射領域とし、ドーナツ部を蓄光性蛍光発色領域とするような大型のシートとすることもできる。
【0142】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に用いられる蓄光性蛍光体は、従来から知られている硫化物系蛍光体とは全く異なる新規の蓄光性蛍光体材料に関するものであり、市販の硫化物系蛍光体と比べても遥かに長時間、高輝度の残光特性を有し、更には酸化物系であることから化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れている。したがってこのような蓄光性蛍光体を用いた本発明の蓄光性蛍光発色再帰反射シートによれば、夜間の光源方向にいる視認者に対する視認性が充分に得られ、かつ光源方向以外の方角にいる視認者に対しても蓄光性蛍光発色により優れた視認性が得られるだけでなく、長期間にわたって安定して使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】SrAl2 O4 :Eu蛍光体の結晶構造をXRDにより解析した結果を示したグラフである。
【図2】SrAl2 O4 :Eu蛍光体の励起スペクトルと刺激停止後30分を経過した後の発光スペクトルとを示したグラフである。
【図3】SrAl2 O4 :Eu蛍光体の残光特性をZn:S蛍光体の残光特性と比較した結果を示したグラフである。
【図4】SrAl2 O4 :Eu蛍光体の熱発光特性を示したグラフである。
【図5】SrAl2 O4 :Eu,Dy蛍光体の残光特性をZn:S蛍光体の残光特性と比較した結果を示したグラフである。
【図6】SrAl2 O4 :Eu,Dy蛍光体の熱発光特性を示したグラフである。
【図7】SrAl2 O4 :Eu,Nd蛍光体の熱発光特性を示したグラフである。
【図8】CaAl2 O4 :Eu系蛍光体の結晶構造をXRDにより解析した結果を示したグラフである。
【図9】CaAl2 O4 :Eu系蛍光体のうち共賦活剤としてネオジムあるいはサマリウムを用いた蛍光体の熱発光特性を示したグラフである。
【図10】CaAl2 O4 :Eu系蛍光体のうち共賦活剤としてジスプロシウムあるいはツリウムを用いた蛍光体の熱発光特性を示したグラフである。
【図11】CaAl2 O4 :Eu系蛍光体の刺激停止後5分を経過した後の発光スペクトルを示したグラフである。
【図12】CaAl2 O4 :Eu,Sm蛍光体及びCaAl2 O4 :Eu,Nd蛍光体の残光特性をZn:S蛍光体の残光特性と比較した結果を示したグラフである。
【図13】BaAl2 O4 :Eu,Nd蛍光体の励起スペクトルと刺激停止後30分を経過した後の発光スペクトルとを示したグラフである。
【図14】BaAl2 O4 :Eu,Sm蛍光体の励起スペクトルと刺激停止後30分を経過した後の発光スペクトルとを示したグラフである。
【図15】Sr0.5 Ca0.5 Al2 O4 :Eu,Dy蛍光体の発光スペクトルを示したグラフである。
【図16】Srx Ca1-x Al2 O4 :Eu,Dy蛍光体の残光特性をZn:S蛍光体及びCaSrS:Bi蛍光体の残光特性と比較したグラフである。
【図17】Srx Ba1-x Al2 O4 :Eu,Dy蛍光体の残光特性をZn:S蛍光体の残光特性と比較したグラフである。
【図18】カプセルレンズ型再帰反射シートの代表的な断面模式図である。
【図19】カプセルキューブコーナー型再帰反射シートの代表的な断面模式図である。
【図20】カプセルレンズ型再帰反射シートの他の実施例を示した断面模式図である。
【図21】エンボス加工によって形成された蓄光性蛍光発色再帰反射シートを示す断面模式図である。
【符号の説明】
1 トップ樹脂層 2 封入樹脂層
3 ガラスビーズ 4 金属蒸着幕
5,5a,5b,5c 蓄光性蛍光発色層
6 再帰反射領域 7 蓄光性蛍光発色領域
8 間隙層 9 支持体層
Claims (4)
- 樹脂100重量部に対して、10〜300重量部の蓄光性蛍光体を有する蓄光性蛍光発色樹脂組成物により形成された蓄光性蛍光発色領域と、再帰反射領域とからなる蓄光性蛍光発色再帰反射シートであって、
蓄光性蛍光体として、M1-X Al2 O4-Xで表わされる組成の化合物で、Mは、カルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の金属元素からなる化合物を母結晶にしたものを用い、更にXが−0.33≦X≦0.60の範囲にあり、賦活剤としてユウロピウムを、Mで表す金属元素に対するモル%で0.001%以上10%以下添加し、共賦活剤としてネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムからなる群の少なくとも1つ以上の元素を、Mで表わす金属元素に対するモル%で0.001%以上10%以下添加し、再帰反射領域が、光透過性トップフィルムと、ベースフィルムと、両フィルム間に間隙を残したまま両フィルムを部分的に連結する連結部とからなり、連結部が、蓄光性蛍光発色樹脂組成物により形成され、トップフィルム及び/またはベースフィルムには再帰反射要素が配置されている再帰反射構造を有するように形成した
ことを特徴とする蓄光性蛍光発色再帰反射シート。 - 樹脂を、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の蓄光性蛍光発色再帰反射シート。
- 再帰反射要素が、キューブコーナー型再帰反射要素としたことを特徴とする請求項1または2記載の蓄光性蛍光発色再帰反射シート。
- 再帰反射要素が、レンズ型再帰反射要素としたことを特徴とする請求項1または2記載の蓄光性蛍光発色再帰反射シート。
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