JP2002187954A - セルロース系ポリマーの製造方法 - Google Patents

セルロース系ポリマーの製造方法

Info

Publication number
JP2002187954A
JP2002187954A JP2001040751A JP2001040751A JP2002187954A JP 2002187954 A JP2002187954 A JP 2002187954A JP 2001040751 A JP2001040751 A JP 2001040751A JP 2001040751 A JP2001040751 A JP 2001040751A JP 2002187954 A JP2002187954 A JP 2002187954A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
solvent
temperature
critical
cellulose
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001040751A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadahisa Sato
忠久 佐藤
Kazuyoshi Yamakawa
一義 山川
Mitsuyuki Matsuoka
光進 松岡
Hiroshi Onishi
弘志 大西
Tadahiro Tsujimoto
忠宏 辻本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2001040751A priority Critical patent/JP2002187954A/ja
Publication of JP2002187954A publication Critical patent/JP2002187954A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/54Improvements relating to the production of bulk chemicals using solvents, e.g. supercritical solvents or ionic liquids

Landscapes

  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性が高く、環境負荷も小さく、更に設備
投資的負荷も低減しうる、易溶解性のセルロース系ポリ
マー粉体の製造方法と安全性の維持、環境負荷の問題に
対応した、溶解状態の極めて優れる、セルロース系ポリ
マー溶液の製造方法を提供する。 【解決手段】 セルロース系ポリマーの溶液を製造する
方法において、原料ポリマーを非塩素系有機溶媒に、そ
の亜臨界〜超臨界領域に属する温度及び圧力下で溶解さ
せる該ポリマー溶液の製造方法、および溶解させた後、
溶媒を除去する該ポリマー粉体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセルロース系ポリマ
ーの製造方法に関し、詳しくは溶媒に易溶解性のセルロ
ース系ポリマーの粉体、およびセルロース系ポリマーが
高い濃度で溶解した溶液の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】セルロース系ポリマー、とりわけセルロ
ースエステルは汎用合成樹脂に比べて、寸法安定性およ
び耐熱性が高く、粘着性であるという特色を有してい
る。そのためプラスチック、ラッカーなどの材料として
利用されると共に、種々の成形品、例えばフイルムや繊
維などに成形されている。セルロースエステルフイルム
は代表的な写真感光材料の支持体であり、またその光学
的等方性から液晶表示装置の部材(偏光板の保護フイル
ム、光学補償シートの支持体、カラーフィルターなど)
としても使用されている。さらに、環境保護の観点から
生分解性ポリマーのニーズは近年益々高まっており、そ
の結果セルロース系ポリマーの重要性が再認識されてき
ている。
【0003】したがって、セルロースエステルに代表さ
れるセルロース系ポリマーは今後も重要性が増してくる
と思われるが、従来それをフイルムなどに成形する際の
溶液化には溶媒として塩化メチレン等の塩素系溶媒がこ
れまで多用されてきた。その理由は溶解性が高く、かつ
低沸点で溶媒の除去が容易であるためである。しかしな
がら、塩素系溶媒は発癌性などの毒性がある物質であっ
たり、オゾン層破壊に代表される環境有害物質であるこ
とから使用が非常に制限されてきている。塩化メチレン
は後者の理由で大気への放出が厳しく制限されている。
【0004】そこで、近年これらの問題を解決するため
の研究が活発に行われており、一部その技術が公開され
ている。例えば1,3−ジオキサンや1,3−ジオキソ
ランなどの環状ジエーテルを用いる方法(特開平8−1
43708号、同8−323785号など)、トリフル
オロエタノールなどのフルオロアルコールを用いる方法
(特開平8−143709号、同11−60807号な
ど)が提案されている。しかしながら前者の環状ジエー
テルは必ずしも安全性の維持が万全でなく、可燃性が高
いなどの点で十分満足できるものではなかった。また後
者のフルオロアルコールはコストが高く、ポリマー成形
用という大量使用の溶媒としては実用的でない。
【0005】そこで、安全で出来るだけ廉価な溶剤の使
用が検討されているが、そのような溶媒にセルロースエ
ステルなどのセルロース系ポリマーを生産性上必要とさ
れる所定濃度で溶解することは単なる混合では困難であ
る。そこで、溶解度を上げるための手段が種々検討され
ている。それらの方法を具体的に挙げれば、(1)冷却
溶解法(Makromol. Chem.,143, 105(1971))という方法
を用いた方法(特開平9−95538号、同9−955
44号など)、(2)アセトンを主成分とする有機溶媒
中、超高圧をかける方法(特開平11−21379
号)、(3)超音波を用いる方法(特開平11−714
63号)、(4)アセトン、トリアセチン、メタノール
もしくはエタノールと二酸化炭素等との高圧下二成分系
混合流体を用いる方法(特開平8−232115号、Jo
urnal of Supercritical Fluids,13,135(1998))、など
である。
【0006】上記(1)〜(4)の方法は、確かに溶解
度の改良には効果的であるが、工業的製法という観点で
見た場合にはそれぞれ問題がある。すなわち、(1)の
方法において十分な溶解度を得るためには−70℃以下
の極低温が必要であり、そのための設備化には高額な投
資が必要である。(2)の方法において短時間で十分な
溶解度を得るためには100MPa(約1000気圧)
近い超高圧が必要であり、やはり設備的に工業的実用化
は難しい。(3)の方法においては工業的規模で使用で
きる超音波発生装置を開発する必要があり、現時点では
実用化はかなり困難である。(4)の方法においては、
溶解させうるセルロース系ポリマーの量が少ない(特許
・論文で報告されている濃度は2〜4質量%)ため、フ
ィルム化等の成形に用いることは困難である。さらにこ
の二酸化炭素を用いて溶解する方法は、一旦溶解はする
ものの、室温で放置するとその一部がゲル化する欠点が
ある。このように、環境等に有害な塩素系溶媒を用いず
にセルロース系ポリマーを溶解して成形(フイルム化)
する技術で、設備投資額が小さく工業的に実用可能な方
法は未だ無いと言って良く、新しい方法の開発が強く望
まれているのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、安全性が高
く、環境負荷も小さく、更に設備投資的負荷も小さい
(すなわち安価に)、易溶解性のセルロース系ポリマー
粉体の製造方法を提供することを目的とする。また本発
明の目的は、上記のような、安全性の維持、環境負荷の
問題に対応した、溶解状態の極めて優れる、セルロース
系ポリマー溶液の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
達成のため種々検討を重ねた結果、セルロース系ポリマ
ーを非塩素系有機溶媒に分散攪拌し、臨界点、または超
臨界もしくは亜臨界領域の温度・圧力に曝すと該ポリマ
ーは極めてよく溶解すること、そしてその溶液を常温常
圧に戻しても該ポリマーは析出しないこと、そして更に
は一度溶解した該ポリマーは、溶媒を除去して粉体とし
た後もこの処理を受けていない該ポリマーに比べて優れ
た易溶解性を示すことを見出した。本発明はこれらの新
しい知見に基づきなされたものである。すなわち、本発
明の課題は以下の手段によって達成された。 (1)セルロース系ポリマーの粉体を製造するに当り、
原料ポリマーを非塩素系有機溶媒に、その亜臨界〜超臨
界領域に属する温度及び圧力下で溶解させた後、該溶媒
を除去することを特徴とする該ポリマー粉体の製造方
法。 (2)セルロース系ポリマーの溶液を製造するに当り、
原料ポリマーを非塩素系有機溶媒に、その亜臨界〜超臨
界領域に属する温度及び圧力下で溶解させることを特徴
とする該ポリマー溶液の製造方法。 (3)溶解させる温度及び圧力が、非塩素系有機溶媒の
亜臨界領域に属する温度及び圧力であることを特徴とす
る(1)または(2)項記載の製造方法。 (4)溶解させる温度及び圧力が、非塩素系有機溶媒の
沸点以上で臨界温度以下の温度であり、1.013MP
a(10kgf/cm)以上の圧力であることを特徴
とする(3)項記載の製造方法。 (5)溶解させる温度及び圧力が、非塩素系有機溶媒の
(沸点+50)K以上で臨界温度以下の温度であり、
1.013MPa(10kgf/cm)以上で臨界圧
力以下の圧力であることを特徴とする(3)項記載の製
造方法。 (6)溶解させる温度及び圧力が、非塩素系有機溶媒の
臨界温度以下で423K以上の温度であり、1.013
MPa(10kgf/cm)以上で臨界圧力以下の圧
力であることを特徴とする(1)または(2)項記載の
製造方法。 (7)溶解させる温度及び圧力が、非塩素系有機溶媒の
臨界温度以下で423K以上の温度であり、2.026
MPa(20kgf/cm)以上で臨界圧力以下の圧
力であることを特徴とする(1)または(2)項記載の
製造方法。 (8)溶解させる温度及び圧力が、423K以上の温度
であり、2.026MPa(20kgf/cm)ない
し7.084MPa(70kgf/cm)の圧力であ
ることを特徴とする(1)または(2)項記載の製造方
法。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。
【0010】本発明に用いられる原料セルロース系ポリ
マーとしてはセルロースエステルまたはセルロースエー
テルなどが挙げられる。セルロースエステルについて詳
しく述べれば、セルロースアセテート、セルロースブチ
レートもしくはセルロースプロピオネートなどの脂肪族
カルボン酸エステル、フタル酸半エステルなどの芳香族
カルボン酸エステル、硝酸セルロース、硫酸セルロース
もしくはリン酸セルロースなどの無機酸エステル、セル
ロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテー
トブチレート、セルロースアセテートフタレートもしく
は硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル、またはポリ
カプロラクトングラフト化セルロースアセテートなどの
セルロースエステル誘導体である。セルロースエーテル
について詳しく述べれば、メチルセルロース、エチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ベンジルセル
ロースもしくはカルボキシメチルセルロースなどであ
る。
【0011】好ましいセルロース系ポリマーはセルロー
スエステルであり、特に好ましくはセルロースアセテー
ト(アセチルセルロース)である。
【0012】セルロースエステルの置換度は、アシル基
がセルロース分子の水酸基に反応した度合いを表し、全
水酸基に反応した場合を3.00として表す。これはセ
ルロース分子の最小単位のグルコース単位の3個の水酸
基に3個のアシル基が置換されたことを意味する。本発
明に使用されるセルロースエステルの平均置換度は1〜
3であり、好ましくは2〜3である。
【0013】セルロースエステルにおいて重合度(粘度
平均;DP)は、オストワルド粘度計により測定される
固有粘度[η]からDP=[η]/Km(Km=6×1
)の式を用いて求められる。本発明で用いられる
セルロースエステルの重合度は10〜1000であり、
好ましくは50〜900である。特に好ましくは200
〜800である。
【0014】セルロースアセテートの場合、反応度を表
す方法として酢化度またはアセチル化度が用いられる。
酢化度は、セルロースの水酸基がアセチル化された時に
反応した酢酸(CHCOOH)を質量%として表した
ものであり、最大酢化度は62.5%になる。アセチル
化度は反応したアセチル基(CHCO)を質量%とし
て表したものであり、最大アセチル化度は44.8%に
なる。酢化度の方が良く用いられるが、本発明に用いら
れるセルロースアセテートの酢化度は30〜62.5%
の範囲であり、好ましくは43%以上である。特に好ま
しくは55%以上の酢化度のセルロースアセテートであ
る。
【0015】次に使用される非塩素系有機溶媒について
説明する。本発明に用いられる非塩素系有機溶媒は、好
ましくはエステル系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル
系溶媒、ケトン系溶媒、炭化水素系溶媒、ニトリル系溶
媒、アミン系溶媒またはフッ素原子置換炭化水素系溶媒
を主成分とする溶媒であるが、さらに好ましくは、炭素
数2ないし12のエステル系溶媒、炭素数1ないし6の
アルコール系溶媒、炭素数4ないし12のエーテル系溶
媒、炭素数3ないし20のケトン系溶媒、炭素数5ない
し12の炭化水素系溶媒、炭素数2ないし12のニトリ
ル系溶媒、炭素数3ないし12のアミン系溶媒または炭
素数5以上のフッ素原子置換炭化水素系溶媒を主成分と
する溶媒である。これらの溶媒は分子内に環状構造を有
していても良い。
【0016】更に詳しく述べれば、ギ酸メチル、ギ酸エ
チル、ギ酸プロピル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸
エチル、酢酸ブチル、炭酸ジメチルもしくはγ−ラクト
ンなどのエステル系溶媒、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、イソプロパノール、エトキシエタノール、
エチレングリコール、シクロヘキサノールもしくは2,
2,2,−トリフルオロエタノールなどのアルコール系
溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t
−ブチルメチルエーテル、ジメトキシメタン、ジエトキ
シメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、
1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、フラン、
アニソールもしくはフェネトールなどのエーテル系溶
媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、
イソプロピルメチルケトン、ジイソブチルケトン、シク
ロペンタノン、シクロヘキサノン、4−メチルシクロヘ
キサノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルシクロ
ヘキサノン、メトキシアセトンまたはペルフルオロアセ
トンなどのケトン系溶媒、ペンタン、シクロペンタン、
シクロヘキサンもしくはトルエンなどの炭化水素系溶
媒、アセトニトリル、プロピオニトリルもしくはイソプ
ロピオニトリルなどのニトリル系溶媒、プロピルアミ
ン、ジエチルアミン、トリメチルアミンもしくはトリエ
チルアミンなどのアミン系溶媒またはパーフルオロヘキ
サン、パーフルオロシクロヘキサン、フルオロベンゼン
もしくはトリフルオロメチルベンゼンなどのフッ素原子
置換炭化水素系溶媒を主成分とする溶媒である。
【0017】好ましい非塩素系有機溶媒は、炭素数2な
いし6のエステル系、炭素数3ないし6のケトン系溶媒
または炭素数1ないし4のアルコール系溶媒を主成分と
する溶媒であり、より好ましくは炭素数2ないし6のエ
ステル系溶媒を主成分とする溶媒であり、特に好ましく
は酢酸メチルもしくは酢酸エチルのエステル系溶媒を主
成分とする溶媒である。本発明に用いられる非塩素系有
機溶媒として、更に好ましくは、酢酸エチルを主成分と
しアセトンを併用する混合溶剤系であり、最も好ましく
は、この混合溶剤にメタノール、エタノールの如きアル
コールをも併用する混合溶媒である。
【0018】本発明において、溶媒の「主成分」の意味
は、該溶媒の単一溶媒(純度99質量%以上)であるこ
と、または2種類以上の溶媒の混合溶媒中で該溶媒が最
も比率(溶媒中の質量%)が高いことを意味する。混合
溶媒の場合、主成分以外の溶媒は本発明に規定する溶媒
でも良いし、本発明に規定する溶媒以外の他の溶媒でも
良い。本発明に規定する溶媒以外の溶媒として代表的な
ものを挙げれば、水である。
【0019】本発明に用いられる非塩素系有機溶媒が混
合溶媒の場合、主成分の溶媒の比率は30質量%以上で
あることが好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
また、混合溶媒の一部が水の場合、水の比率は5質量%
以下が好ましく、特に好ましくは2質量%以下である。
【0020】本発明に用いられる有機溶媒は環境に有害
な塩素系溶媒を実質的に含まない。ここで「実質的に含
まない」とは、溶媒中の塩素系溶媒の割合が5質量%未
満(好ましくは2質量%未満、特に好ましくは0質量
%)であることを意味する。塩素系溶媒とは、ジクロロ
メタン、クロロホルムまたはジクロロエタンなどの、分
子内に塩素原子を有する脂肪族炭化水素系溶媒である。
【0021】本発明において、原料セルロース系ポリマ
ーに対して用いられる溶媒量は、通常原料ポリマー1に
対する質量比で1〜200倍(ポリマー濃度0.5〜5
0質量%)であり、好ましくは3〜20倍(ポリマー濃
度5〜25質量%)である。
【0022】本発明によりセルロース系ポリマーの粉体
および溶液を製造する際、可塑剤、劣化防止剤、紫外線
吸収剤、または/およびライトパイピング防止染料を添
加しても良い。可塑剤としてはリン酸エステルまたはカ
ルボン酸エステルが主に用いられ、具体例を挙げればト
リフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、
もしくはビフェニルジフェニルホスフェートなどのリン
酸エステル、またはジエチルフタレート、ジオクチルフ
タレート、ジエチルヘキシルフタレート、クエン酸アセ
チルトリエチル、クエン酸トリブチル、オレイン酸ブチ
ル、もしくはセバチン酸ジブチルなどのカルボン酸エス
テルである。
【0023】劣化防止剤の具体例は、特開平5−197
073号に記載の化合物である。紫外線吸収剤の具体例
は、特開平7−11056号に記載の化合物である。ラ
イトパイピング防止染料は、フィルムベースを着色して
ライトパイピングを防止できる有機溶媒可溶性染料であ
り、具体的にはスピリットブラック(中央化学社製)や
ニグロシンベースEX(オリエント化学工業社製)が挙
げられる。
【0024】本発明では、原料セルロース系ポリマーを
前記溶媒を主成分とする非塩素系有機溶媒にその亜臨界
〜超臨界領域に属する温度及び圧力下で溶解させる。こ
こで、臨界点、超臨界領域および亜臨界領域について説
明する(参照:齋藤正三郎監修「超臨界流体の科学と技
術」1996年、三共ビジネス)。
【0025】物質は、温度・圧力(あるいは体積)など
の環境条件の変化により気体・液体・固体の三つの状態
の間を移り変わるが、これは分子間力と運動エネルギー
とのバランスで決定される。横軸に温度を、縦軸に圧力
をとって気液固三態の移り変わりを表したものを状態図
(相図)というが、その中で気体、液体、固体の三相が
共存し、平衡にある点を三重点という。三重点より温度
が高い場合は、液体とその蒸気が平衡になる。この時の
圧力は飽和蒸気圧であり、蒸発曲線(蒸気圧線)で表さ
れる。この曲線で表される圧力よりも低い圧力では液体
は全部気化し、またこれよりも高い圧力を加えれば蒸気
は全部液化する。圧力を一定にして温度も変化させても
この曲線を越えると液体が蒸気に、また蒸気が液体にな
る。この蒸発曲線には、高温、高圧側に終点があり、こ
れを臨界点(critical point)と呼ぶ。臨界点は物質を
特徴づける重要な点であり、液体と蒸気との区別がつか
なくなる状態で、気液の境界面も消失する。
【0026】臨界点より高温の状態では、気液共存状態
を生じることなく液体と気体の間を移り変わることがで
きる。臨界温度以上でかつ臨界圧力以上の状態にある流
体を超臨界流体といい、超臨界流体を与える温度・圧力
領域を超臨界領域という。超臨界流体は高い運動エネル
ギーを有する高密度流体と理解でき、溶質を溶解すると
いう点では液体的な挙動を、密度の可変性という点では
気体的な特徴を示す。超臨界流体の溶媒特性はいろいろ
あるが、低粘性で高拡散性であり固体材料への浸透性が
優れていることが重要な特性である。
【0027】臨界温度よりわずかに低い温度域での高密
度領域を一般に亜臨界領域と呼ぶが、本発明では亜臨界
領域を温度が有機溶媒の沸点以上で、圧力が10kgf
/cm2(1.013MPa)以上である領域と定義す
る。好ましい亜臨界領域は温度が(有機溶媒の沸点
(K)+50)K以上で、圧力が15kgf/cm
2(1.520MPa)以上である。より好ましい亜臨
界領域は温度が423K(150℃)以上で、圧力が2
0kgf/cm2(2.026MPa)以上である。特
に好ましい亜臨界領域は温度が423K(150℃)以
上で、圧力が2.026〜7.084MPa(20〜7
0kgf/cm)の範囲である。
【0028】臨界点近傍では分子が会合し、巨大分子と
なりクラスターが形成される。このクラスターの大きさ
が光の波長と同程度となると、超臨界流体に照射された
光は強い散乱を受け、その透過光はあたかも着色したか
のように観測される。この現象を臨界たんぱく光と言
う。通常流体の気液臨界点は、試料流体を観測用の覗き
窓をもつ容器(気液臨界点測定用セル)に封入し、外部
よりこの窓を通して気液境界面と臨界たんぱく光を観測
し、界面が消滅・生成し、たんぱく光が最も強く観測さ
れる状態を臨界点であるとして測定される。あるいは、
気液界面に生ずるメニスカスの消滅により測定される。
臨界点を規定するのは、臨界定数という臨界温度
(T)、臨界圧力(P)、臨界密度(ρ)であ
り、これらが測定される物理量である。混合物について
も同様にして臨界点が決定される。
【0029】以下に本発明に用いられる溶媒の中で代表
的な溶媒の臨界定数を挙げる(日本化学会編、改訂4版
「化学便覧」、基礎編II、1993年、106〜108
頁、丸善(株))。()内の数値は、順に臨界温度
(K)、臨界圧力(Mpa)、臨界密度(kgm−3
を表す。ギ酸メチル(487.2, 6.00, 349)、酢酸メチル
(506.8, 4.69, 325)、酢酸エチル(523.2, 3.83, 30
8)、メタノール(512.58,8.09, 272)、エタノール(5
13.9, 6.14, 276)、1−ブタノール(563.1, 4.42, 27
0)、ジイソプロピルエーテル(500.0, 2.88, 265)、
テトラヒドロフラン(540.2, 5.19, 322)、ジメトキシ
メタン(481, 3.95, 357)、アセトン(508.2, 4.70, 2
78)、エチルメチルケトン(535.6, 4.15, 270)、エタ
ン(305.3, 6.14, 276)、プロパン(369.82, 4.250, 2
17)、トルエン(591.79, 4.109, 292)、アセトニトリ
ル(545.5, 4.83, 237)、トリメチルアミン(432.8,
4.087,233)、ペルフルオロヘキサン(448.6, 1.87, 55
8)、ペルフルオロシクロヘキサン(457.1, 2.43, 65
4)、フルオロベンゼン(560.1, 4.551, 357)。
【0030】次に、原料セルロース系ポリマーを前記の
各溶媒の亜臨界〜超臨界領域に属する温度及び圧力下で
溶解させる方法について説明する。反応装置は高圧に耐
える、加熱可能な装置である必要がある。一般に用いら
れる装置はオートクレーブと呼ばれる装置で、用いる圧
力および溶媒により多様な装置が市販されており入手が
容易である。本発明において用いられる装置は、ステン
レス製で内圧30MPa(約300気圧)まで耐えうる
通常のオートクレーブでほとんど十分である。
【0031】具体的操作手順の代表例を次に示し本発明
を説明する。オートクレーブ中の内圧は、装置の容積と
導入した溶媒量、および温度で決まる。容積が可変でな
い一般のオートクレーブを用いる場合、目的の温度と圧
力を達成するにはオートクレーブに導入する溶媒量を調
整することが必要である。オートクレーブの容積にあっ
た溶媒の必要量は溶媒の臨界定数(文献値が知られてい
ない場合は前記の気液臨界点測定用セルを用いて測定)
等をもとに計算して決める。連続的に容積可変の特殊な
オートクレーブの場合は、内容積を変化させることによ
り温度一定で圧力を連続的に変化させることができるの
で、溶媒量の調整はさほど重要ではなくなる。溶解の最
適条件を決める場合などは、容積可変型オートクレーブ
は便利である。一般のオートクレーブを用いる場合、オ
ートクレーブ装置中にまず溶解させたいセルロース系ポ
リマーを必要量入れ、装置の蓋を閉じる。次に装置内を
真空ポンプで十分に減圧しバルブを閉める。次に溶媒の
導入口のバルブを開け、使用する溶媒の必要量を装置内
に導入する。溶媒導入終了後バルブを閉め、外部から加
熱して内部圧力変化を圧力ゲージで、内部温度変化をセ
ンサーで観測しながら目的の温度・圧力に調節する。
【0032】目的の温度・圧力に到達後、完全に溶解す
るために撹拌する時間は通常1分〜100時間であり、
好ましくは30分〜30時間である。特に好ましくは3
0分〜10時間である。覗き窓付きオートクレーブを用
いる場合は、内部の変化を観測しながら最適時間を決め
ることも可能である。また、本発明によるセルロースポ
リマーは易溶解性であり、そのままで高濃度液の調製が
できるが、溶液調製後さらに有機溶媒を蒸発などにより
除き、さらに濃縮することもできる。
【0033】次に粉体を得るには、上記のようにして得
たセルロース系ポリマーの溶液から溶媒を除去して、常
法により行うことができる。より具体的には、バンド式
乾燥機にかけ、溶媒を完全に除去した後、クラッシャー
(粉砕機)により粉末化する方法、または該有機溶媒溶
液をノズルから高圧噴射することによって微細粉末化す
る方法など、通常行われる方法で行うことができ、目的
により適宜使い分けるのが一般的である。
【0034】
【実施例】以下に実施例に基づき本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものでは
ない。 (実施例1)酢化度と重合度の異なるセルロースアセテ
ート粉体を秤量(表1に示した量)し、内容積200m
lの覗き窓付きのオートクレーブ容器に入れ、蓋をし
た。蓋の導入口にはそれぞれにバルブが設置された二股
管を接続し、一方を容器内空気を除くために真空ポンプ
に、もう一方を酢酸メチル65gを入れたボンベに接続
した。まずオートクレーブ容器内を脱気するために真空
ポンプを接続した管のバルブを開き、容器内を約200
Paの減圧にした後バルブを閉めた。次に溶媒をいれた
ボンベに接続した管のバルブを開け、溶媒を容器内に導
入し、バルブを閉めた。このようにして試料1〜3を作
成した。次に各試料を酢酸メチルの臨界温度以上である
内温510K(237℃)に加熱した。この時オートク
レーブ容器内圧力は約4.9MPaであった。加熱前は
いずれのセルロースアセテート溶液も膨潤スラリー状態
であったが510Kに加熱した後は全試料が均一透明溶
液となった。510Kで約30分攪拌後、加熱を止め、
徐々に室温に冷却した。室温に冷却し、大気圧下にこの
溶液を放置しても、全試料が均一溶液状態を維持した。
結果を表1にまとめた。
【0035】
【表1】
【0036】(実施例2)実施例1で得られた試料1〜
3を適当な粘性になるまで減圧濃縮し、次にバンド式乾
燥機にかけ、溶媒を完全に除去した後、クラッシャーに
かけ、セルロースアセテート粉体を得た。これらを試料
4〜6とした。これらを再度酢酸メチルに溶解したとこ
ろ、実施例1の処理をしない場合(加熱前のもの)に比
べて著しく高い溶解度を示した。結果を表2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】(実施例3)実施例1に示した方法におい
て、セルロースアセテート粉体の量(表3に記載)と溶
媒をギ酸メチル70gに変更する以外は全く同様にして
試料7〜9を作成した。次に各試料をギ酸メチルの臨界
温度以上である内温490K(217℃)に加熱した。
この時オートクレーブ容器内圧力は約6.2MPaであ
った。加熱前はいずれのセルロースアセテートも膨潤ス
ラリー状態であったが490Kに加熱した後は全試料が
均一透明溶液となった。490Kで約30分攪拌後、加
熱を止め、徐々に室温に冷却した。室温に冷却し、大気
圧下にこの溶液を放置しても、全試料が均一溶液状態を
維持した。結果を表3にまとめた。
【0039】
【表3】
【0040】(実施例4)実施例3で得られた試料7〜
9を実施例2に示した方法で処理してセルロースアセテ
ート粉体を得た。これらを試料10〜12とした。これ
らを再度ギ酸メチルに溶解したところ、実施例3の処理
をしない場合はほとんど解けなかったが、それに比べて
高い溶解度を示した。また試料10〜12の酢酸メチル
への溶解度も見てみたが、やはり溶解度は向上してい
た。結果を表4に示した。
【0041】
【表4】
【0042】(実施例5)実施例1に示した方法におい
て、セルロースアセテート粉体の量(表5に記載)と溶
媒をジイソプロピルエーテル53gに変更する以外は全
く同様にして試料13〜15を作成した。次に各試料を
ジイソプロピルエーテルの亜臨界領域温度である450
K(177℃;内温)に加熱した。この時オートクレー
ブ容器内圧力は約2.0MPaであった。この状態で約
2時間攪拌すると、加熱前はいずれのセルロースアセテ
ート溶液も一部溶解状態であったが全試料が均一透明溶
液となった。加熱を止め、徐々に室温に冷却し、その後
大気圧下にこの溶液を放置しても、全試料が均一溶液状
態を維持した。結果を表5にまとめた。
【0043】
【表5】
【0044】(実施例6)実施例1に示した方法におい
て、溶媒を酢酸メチル50gとエタノール5gの混合溶
媒に変更する以外は全く同様にして試料16〜18を作
成した。次に各試料を混合溶媒の亜臨界領域温度である
473K(200℃;内温)に加熱した。この時オート
クレーブ容器内圧力は約3.8MPaであった。この状
態で約5時間攪拌すると、加熱前はいずれのセルロース
アセテート溶液も膨潤スラリー状態であったが全試料が
均一透明溶液となった。加熱を止め、徐々に室温に冷却
し、その後大気圧下にこの溶液を放置しても、全試料が
均一溶液状態を維持した。結果を表6にまとめた。
【0045】
【表6】
【0046】(実施例7)酢化度と重合度の異なるセル
ロースアセテート粉体を秤量(表7に示した量)し、内
容積200mlの覗き窓付きのオートクレーブ容器に入
れ、蓋をした。蓋の導入口にはそれぞれにバルブが設置
された二股管を接続し、一方を容器内空気を除くために
真空ポンプに、もう一方を窒素ガスを入れたボンベに接
続した。まずオートクレーブ容器内を脱気するために真
空ポンプを接続した管のバルブを開き、容器内を約20
0Paの減圧にした後バルブを閉めた。次に窒素ガスボ
ンベに接続した管のバルブを開け、窒素ガスを導入し、
バルブを閉めた。次に溶媒導入ポンプを接続し、管のバ
ルブを開け、必要な溶媒量を流量換算して容器内に導入
し、バルブを閉めた。アセトンを溶媒として試料19〜
21を作成した。アセトンの代りにエチルメチルケト
ン、シクロヘキサノンを用いる以外は同様にして試料2
2、23を作成した。次に各試料を溶媒の臨界温度以上
又は亜臨界温度に加熱した。この時のオートクレーブ容
器内圧力は表に示した。加熱前はいずれのセルロースア
セテート溶液も膨潤スラリー状態であったが表に示した
温度に加熱した後は全試料が均一透明溶液となった。加
熱後約30分攪拌後、加熱を止め、徐々に室温に冷却し
た。室温に冷却し、大気圧下にこの溶液を放置しても、
全試料が均一溶液状態を維持した。次に比較例として各
試料を特開平11−21379号及び同11−3229
46号記載のように静水圧加圧装置を用いて25℃で3
0分間加圧した。その結果、全てのサンプルは均一透明
溶液にならず、膨潤スラリー状態のままであった。結果
を表7にまとめた。
【0047】
【表7】
【0048】(実施例8)実施例7で得られた本発明の
試料19〜23を適当な粘性の溶液まで減圧濃縮し、次
にバンド式乾燥機にかけ溶媒を完全に除去した後、クラ
ッシャーによりセルロースアセテート粉体を得た。これ
らを試料24〜28とした。これらをアセトンに溶解し
たところ、実施例7の処理をしない場合(加熱前のも
の)に比べて著しく高い溶解度を示した。結果を表8に
示した。
【0049】
【表8】
【0050】(実施例9)実施例7に示した方法におい
て、溶媒を下記表9に示すケトン系溶媒50gとエタノ
ール5gの混合溶媒に変え、さらに下記表9に示すよう
に新たにトリクレジルホスフェートを各試料に加える以
外は全く同様にして試料29〜32を作成した。次に各
試料をケトン系溶媒の臨界温度以上に加熱した。この時
のオートクレーブ容器内圧力は表に示した。加熱前はい
ずれのセルロースアセテート溶液も膨潤スラリー状態で
あったが加熱した後は全試料が均一透明溶液となった。
加熱後約1時間攪拌後、加熱を止め、徐々に室温に冷却
した。室温に冷却し、大気圧下にこの溶液を放置して
も、全試料が均一溶液状態を維持した。次に比較例とし
て実施例7と同様に静水圧加圧装置を用いて25℃で3
0分間加圧した。その結果、全てのサンプルは均一透明
溶液にならず、膨潤スラリー状態のままであった。結果
を表9にまとめた。
【0051】
【表9】
【0052】(実施例10)酢化度と重合度の異なるセ
ルロースアセテート粉体を秤量(表10に示した量)
し、内容積50mlの覗き窓付きでかつ容積可変型のオ
ートクレーブ容器に入れ、蓋をした。蓋の導入口にはそ
れぞれにバルブが設置された二股管を接続し、一方を容
器内空気を除くために真空ポンプに、もう一方を溶媒3
0gを入れたボンベに接続した。まずオートクレーブ容
器内を脱気するために真空ポンプを接続した管のバルブ
を開き、容器内を約200Paの減圧にした後バルブを
閉めた。次に溶媒をいれたボンベに接続した管のバルブ
を開け、溶媒を容器内に導入し、バルブを閉めた。この
ようにして試料33〜37を作成した。用いた溶媒は表
10に示した。次に各試料を有機溶媒の臨界温度以上又
は亜臨界温度に加熱した。そしてオートクレーブの容積
を変化させることにより表10に示した容器内圧力に調
整した。加熱前はいずれのセルロースアセテート溶液も
膨潤スラリー状態であったが表10に示した温度・圧力
にした後は全試料が均一透明溶液となった。加熱後約3
0分攪拌後、加熱を止め、徐々に室温に冷却した。室温
に冷却し、大気圧下にこの溶液を放置しても、全試料が
均一溶液状態を維持した。次に比較例として各試料を特
開平11−21379号および同11−322946号
記載のように静水圧加圧装置を用いて25℃で30分間
加圧した。その結果、全てのサンプルは均一透明溶液に
ならず、膨潤スラリー状態のままであった。結果を表1
0にまとめた。
【0053】
【表10】
【0054】(実施例11)実施例10で得られた本発
明の試料33〜37を適当な粘性の溶液まで減圧濃縮
し、次にバンド式乾燥機にかけ溶媒を完全に除去した
後、クラッシャーによりセルロースアセテート粉体を得
た。これらを試料38〜42とした。これらを表10に
示したのと同じ溶媒に溶解したところ、実施例10の処
理をしない場合(加熱前のもの)に比べて著しく高い溶
解度を示した。結果を表11に示した。
【0055】
【表11】
【0056】(実施例12)酢化度と重合度の異なるセ
ルロースアセテート粉体を秤量(表12に示した量)
し、内容積50mlの覗き窓付きでかつ容積可変型のオ
ートクレーブ容器に入れ、蓋をした。蓋の導入口にはそ
れぞれにバルブが設置された二股管を接続し、一方を容
器内空気を除くために真空ポンプに、もう一方を溶媒4
0gを入れたボンベに接続した。まずオートクレーブ容
器内を脱気するために真空ポンプを接続した管のバルブ
を開き、容器内を約200Paの減圧にした後バルブを
閉めた。次に溶媒をいれたボンベに接続した管のバルブ
を開け、溶媒を容器内に導入し、バルブを閉めた。この
ようにして試料43〜45を作成した。用いた溶媒は表
12に示した。次に各試料を有機溶媒の臨界温度以上又
は亜臨界温度に加熱した。そしてオートクレーブの容積
を変化させることにより表12に示した容器内圧力に調
整した。加熱前はいずれのセルロースアセテート溶液も
膨潤スラリー状態であったが表12に示した温度・圧力
にした後は全試料が均一透明溶液となった。加熱後約3
0分攪拌後、加熱を止め、徐々に室温に冷却した。室温
に冷却し、大気圧下にこの溶液を1週間放置しても、全
試料が均一溶液状態を維持した。次に比較例として、用
いる溶媒を、有機溶媒40gと二酸化炭素10gとの混
合媒体に変更する以外は同様にして試料46〜48を作
成した。次に各試料を表12に示す温度・圧力下、約3
0分撹拌した。各試料は全試料がほぼ均一透明溶液にな
った。次に室温冷却後、排出口のバルブを開け二酸化炭
素を徐々に系外に放出した。得られた溶液を室温・大気
圧下に1週間放置したところ、いずれの試料も一部ゲル
化してしまうことが観測された。結果を表12にまとめ
た。
【0057】
【表12】
【0058】
【発明の効果】本発明により、非塩素系有機溶媒への溶
解性が優れたセルロース系ポリマーの粉体を製造するこ
とができ、また、濃度の高い溶解状態の良い安定なセル
ロース系ポリマー溶液を製造することができる。これに
より環境負荷や毒性の大きい塩化メチレンのような塩素
系溶媒を用いることなく、フイルムなどの成形材料を安
価に製造することが可能になった。この結果は生分解性
ポリマー等にセルロース系ポリマーを利用する可能性を
も拡大した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願2000−313643(P2000−313643) (32)優先日 平成12年10月13日(2000.10.13) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 松岡 光進 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 大西 弘志 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 辻本 忠宏 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 4C090 AA05 BA26 BD02 BD24 CA01 CA06 CA19 CA20 CA25 DA32 4F070 AA02 AC43 AE28 CA11 CA16 CA20 DA46 DA48 DB08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース系ポリマーの粉体を製造する
    に当り、原料ポリマーを非塩素系有機溶媒に、その亜臨
    界〜超臨界領域に属する温度及び圧力下で溶解させた
    後、該溶媒を除去することを特徴とする該ポリマー粉体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 セルロース系ポリマーの溶液を製造する
    に当り、原料ポリマーを非塩素系有機溶媒に、その亜臨
    界〜超臨界領域に属する温度及び圧力下で溶解させるこ
    とを特徴とする該ポリマー溶液の製造方法。
  3. 【請求項3】 溶解させる温度及び圧力が、非塩素系有
    機溶媒の亜臨界領域に属する温度及び圧力であることを
    特徴とする請求項1または2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 溶解させる温度及び圧力が、非塩素系有
    機溶媒の沸点以上で臨界温度以下の温度であり、1.0
    13MPa(10kgf/cm)以上の圧力であるこ
    とを特徴とする請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 溶解させる温度及び圧力が、非塩素系有
    機溶媒の(沸点+50)K以上で臨界温度以下の温度で
    あり、1.013MPa(10kgf/cm )以上で
    臨界圧力以下の圧力であることを特徴とする請求項3記
    載の製造方法。
  6. 【請求項6】 溶解させる温度及び圧力が、非塩素系有
    機溶媒の臨界温度以下で423K以上の温度であり、
    1.013MPa(10kgf/cm)以上で臨界圧
    力以下の圧力であることを特徴とする請求項1または2
    記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 溶解させる温度及び圧力が、非塩素系有
    機溶媒の臨界温度以下で423K以上の温度であり、
    2.026MPa(20kgf/cm)以上で臨界圧
    力以下の圧力であることを特徴とする請求項1または2
    記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 溶解させる温度及び圧力が、423K以
    上の温度であり、2.026MPa(20kgf/cm
    )ないし7.084MPa(70kgf/cm)の
    圧力であることを特徴とする請求項1または2記載の製
    造方法。
JP2001040751A 2000-02-18 2001-02-16 セルロース系ポリマーの製造方法 Pending JP2002187954A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001040751A JP2002187954A (ja) 2000-02-18 2001-02-16 セルロース系ポリマーの製造方法

Applications Claiming Priority (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000042081 2000-02-18
JP2000042066 2000-02-18
JP2000245918 2000-08-14
JP2000313643 2000-10-13
JP2000-313643 2000-10-13
JP2000-245918 2000-10-13
JP2000-42066 2000-10-13
JP2000-42081 2000-10-13
JP2001040751A JP2002187954A (ja) 2000-02-18 2001-02-16 セルロース系ポリマーの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002187954A true JP2002187954A (ja) 2002-07-05

Family

ID=27531414

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001040751A Pending JP2002187954A (ja) 2000-02-18 2001-02-16 セルロース系ポリマーの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002187954A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011213985A (ja) * 2010-03-17 2011-10-27 Shizuokaken Koritsu Daigaku Hojin トリアセチルセルロースブロック共重合体、その中間体、充填剤、および、界面活性剤

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011213985A (ja) * 2010-03-17 2011-10-27 Shizuokaken Koritsu Daigaku Hojin トリアセチルセルロースブロック共重合体、その中間体、充填剤、および、界面活性剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002241511A (ja) セルロースエステルフィルム及びその製造方法
KR20060044375A (ko) 필름을 제조하는 용액 캐스팅 방법
EP1125963B1 (en) Method of producing cellulose polymers
JP3619592B2 (ja) セルロースアセテート溶液およびその調製方法
JP3655960B2 (ja) セルロースエステル溶液およびセルロースエステルフイルムの製造方法
JP3712215B2 (ja) セルロースアセテート溶液、その調製方法およびセルロースアセテートフイルムの製造方法
JP2000095876A (ja) セルロースエステルフイルムの製造方法
JP4614116B2 (ja) セルロースアシレート溶液の調製方法
JP4408462B2 (ja) セルローストリアセテートフィルムの製造方法及びセルローストリアセテートフィルム
JP3619591B2 (ja) セルロースアセテートフイルムの製造方法
JP4115658B2 (ja) セルロース系ポリマーの製造方法
JP2002187954A (ja) セルロース系ポリマーの製造方法
JP4073524B2 (ja) セルロース混合エステル溶液及びその調製法
JP3974058B2 (ja) セルロースの混合脂肪酸エステル溶液の調製方法およびセルロースの混合脂肪酸エステルフイルムの製造方法
JP2001342257A (ja) セルロース系ポリマーの製造方法
JPH11322947A (ja) セルロースアシレート溶液の調製方法、セルロースアシレートフィルムの製造方法及びセルロースアシレートフィルム
JP3264361B2 (ja) セルロースアセテート溶液の製造方法
JPH1121379A (ja) セルローストリアセテート溶液、その調製方法及びセルローストリアセテートフィルムの製造方法
JP3691637B2 (ja) セルロースアセテート溶液の調製方法およびセルロースアセテートフイルムの製造方法
JP4114232B2 (ja) セルローストリアセテート溶液の調製方法、セルローストリアセテートフィルムの製造方法及びセルローストリアセテートフィルム
JP2002187952A (ja) セルロース系ポリマーの製造方法
JP4098176B2 (ja) セルロースアシレートフイルムとその可塑剤
JP3305955B2 (ja) セルロースアセテート溶液、その調製方法およびセルロースアセテートフイルムの製造方法
JP4184579B2 (ja) セルロースアセテートの冷却混合物
JP2000273199A (ja) セルロースエステルフィルムとその製造方法及び偏光板保護フィルムとそれを用いた偏光板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060111

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091201

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100309

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100706