JP2002186257A - スイッチング電源回路 - Google Patents

スイッチング電源回路

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JP2002186257A
JP2002186257A JP2000383134A JP2000383134A JP2002186257A JP 2002186257 A JP2002186257 A JP 2002186257A JP 2000383134 A JP2000383134 A JP 2000383134A JP 2000383134 A JP2000383134 A JP 2000383134A JP 2002186257 A JP2002186257 A JP 2002186257A
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winding
control
boost
switching
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English (en)
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Masayuki Yasumura
昌之 安村
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高圧発生トランス等に対する銅板による磁気
シールドを不要とする。 【解決手段】 複合共振形コンバータ回路によるスイッ
チング電源回路おいて、コンバータ動作を陰極線管表示
装置で用いられている水平同期信号に同期するようにす
ることで、高圧発生トランスの漏洩磁束と水平同期信号
が干渉して電源ビートを発生させるということをなく
し、これによってトランスに漏洩磁束をシールドするた
めのシールド部材を設ける必要をなくす。高圧発生トラ
ンスHVTの一次側巻線と二次側巻線を疎結合としリン
ギング成分を抑制して電力変換効率を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばテレビジョ
ン受像器や映像モニタ装置などの、陰極線管(CRT)
を用いた表示装置に好適なスイッチング電源回路に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】例えばテレビジョン受像器用のスイッチ
ング電源として、一次側が一石構成の電圧共振形コンバ
ータ、二次側が半波整流方式電圧共振回路を組み合わせ
た複合共振形コンバータを用いるものを本出願人は提案
していた。この場合、交流入力電圧や負荷電力の変動に
対して、直流出力電圧を定電圧制御するためには、一次
側スイッチング素子のスイッチング周波数と導通角を同
時に制御する複合制御方式を採用していた。
【0003】図8の回路図は、先に本出願人が提案した
発明に基づいて構成することのできる、先行技術として
のテレビジョン受像器用のスイッチング電源回路の一例
を示している。この図に示す電源回路においては、先
ず、商用交流電源(交流入力電圧VAC)を入力して直流
入力電圧を得るための整流平滑回路として、ブリッジ整
流回路Di及び平滑コンデンサCiからなる全波整流回
路が備えられ、交流入力電圧VACの1倍のレベルに対応
する整流平滑電圧Eiを生成するようにされる。
【0004】上記整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を
入力して断続するスイッチングコンバータとしては、1
石のスイッチング素子Q1を備えて、いわゆるシングル
エンド方式によるスイッチング動作を行う電圧共振形コ
ンバータが備えられる。そしてこの図8の場合は、1石
のスイッチング素子Q1によりシングルエンド動作を行
う電圧共振形コンバータ回路として、自励式の構成が採
られる。この場合、スイッチング素子Q1には、高耐圧
のバイポーラトランジスタ(BJT;接合型トランジス
タ)が採用されている。
【0005】スイッチング素子Q1のベースと一次側ア
ース間には、駆動巻線NB、共振コンデンサCB、ベース
電流制限抵抗RBの直列接続回路よりなる自励発振駆動
用の直列共振回路が接続される。また、スイッチング素
子Q1のベースと平滑コンデンサCiの負極(1次側ア
ース)間に挿入されるクランプダイオードDDにより、
スイッチング素子Q1のオフ時に流れるクランプ電流の
経路を形成するようにされている。なお、起動抵抗RS
は、起動時のベース電流を整流平滑ラインから得るため
に挿入されるものである。
【0006】また、上記スイッチング素子Q1のコレク
タ−エミッタ間に対しては、並列共振コンデンサCrが
並列に接続されている。そして並列共振コンデンサCr
自身のキャパシタンスと、絶縁コンバータトランスPI
Tの一次巻線N1側のリーケージインダクタンスL1とに
より電圧共振形コンバータの一次側並列共振回路を形成
する。
【0007】この図に示す直交形制御トランスPRT
は、共振電流検出巻線ND、駆動巻線NB、及び制御巻線
NCが巻装された可飽和リアクトルである。この直交形
制御トランスPRTは、スイッチング素子Q1を駆動す
ると共に、定電圧制御のために設けられる。この直交形
制御トランスPRTには、図示するようにして、共振電
流検出巻線ND、駆動巻線NBが巻装され、また、これら
2つの巻線とは直交する方向に対して制御巻線NCが巻
装される。
【0008】直交形制御トランスPRTにおいては、共
振電流検出巻線NDに得られたスイッチング出力がトラ
ンス結合を介して駆動巻線NBに誘起される。これによ
り、自励発振駆動回路を形成する直列共振回路(NB,
CB)からベース電流制限抵抗RBを介してスイッチング
素子Q1のベースにドライブ電流が出力される。これに
より、スイッチング素子Q1は、直列共振回路の共振周
波数により決定されるスイッチング周波数でスイッチン
グ動作を行うことになる。そして、そのコレクタに得ら
れるとされるスイッチング出力を絶縁コンバータトラン
スPITの一次巻線N1に伝達するようにされている。
【0009】絶縁コンバータトランスPITは、スイッ
チング素子Q1のスイッチング出力を二次側に伝送す
る。この絶縁コンバータトランスPITは、EE型コア
に対して一次巻線N1と二次巻線N2を分割して巻装し、
中央磁脚に対してはギャップGを形成することで、所要
の結合係数による疎結合の状態が得られるようにして、
飽和状態が得られにくいようにしている。
【0010】上記絶縁コンバータトランスPITの一次
巻線N1の巻始め端部は、スイッチング素子Q1のコレク
タと接続され、巻終り端部は検出巻線NDを介して平滑
コンデンサCiの正極(整流平滑電圧Ei)と接続され
ている。従って、一次巻線N1に対しては、スイッチン
グ素子Q1のスイッチング出力が供給されることで、ス
イッチング周波数に対応する周期の交番電圧が発生す
る。
【0011】絶縁コンバータトランスPITの二次側で
は、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線
N2に発生する。この場合、二次巻線N2に対しては、二
次側並列共振コンデンサC2が並列に接続されること
で、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次
側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって
並列共振回路が形成される。この並列共振回路により、
二次巻線N2に誘起される交番電圧は共振電圧となる。
つまり二次側において電圧共振動作が得られる。
【0012】即ち、この電源回路では、一次側にはスイ
ッチング動作を電圧共振形とするための並列共振回路が
備えられ、二次側には電圧共振動作を得るための並列共
振回路が備えられる。このように一次側及び二次側に対
して共振回路が備えられて動作する構成のスイッチング
コンバータが、本明細書でいう上述した「複合共振形ス
イッチングコンバータ」としての構成となる。
【0013】上記のようにして形成される電源回路の二
次側においては、高圧発生トランスHVT及び直流高電
圧を得るための整流平滑回路から成る高圧発生回路40
Aが設けられる。まず二次巻線N2に対して並列に、高
圧発生トランスHVTの一次巻線N4が接続される。こ
の場合、絶縁コンバータトランスPITが複合共振形ス
イッチングコンバータとして動作することによって、二
次側並列共振コンデンサC2の両端には共振パルス電圧
V2が発生する。そして高圧発生トランスHVTは、一
次巻線N4に印加される共振電圧V2を二次側に伝達す
る。この高圧発生トランスHVT及びその二次側の整流
平滑回路では、一次巻線N4に発生する共振電圧を昇圧
して、例えばCRTのアノード電圧レベルに対応した高
電圧を生成する。このため、高圧発生トランスHVTの
二次側には、5組の昇圧巻線NHV1,NHV2,NHV3,NH
V4,NHV5が層間フィルム同軸捲きによって分割されて
巻装されている。そして各々の昇圧巻線NHV1〜NHV5の
巻始め端部に対しては、高圧整流ダイオードDHV1,DH
V2,DHV3,DHV4,DHV5のアノード側が接続されてい
る。さらに、高圧整流ダイオードDHV1のカソードが平
滑コンデンサCOHVの正極端子に接続され、残る高圧整
流ダイオードDHV2〜DHV5の各カソードが、それぞれ昇
圧巻線NHV1〜NHV4の巻終り端部に対して接続される。
【0014】即ち、高圧発生トランスHVTの二次側に
は、[昇圧巻線NHV1、高圧整流ダイオードDHV1]、
[昇圧巻線NHV2、高圧整流ダイオードDHV2]、[昇圧
巻線NHV3、高圧整流ダイオードDHV3]、[昇圧巻線N
HV4、高圧整流ダイオードDHV4]、[昇圧巻線NHV5、
高圧整流ダイオードDHV5]という5組の半波整流回路
が直列に接続された、いわゆるマルチシングラー方式の
半波整流回路が形成されていることになる。
【0015】従って、高圧発生トランスHVTの二次側
においては、5組の半波整流回路が昇圧巻線NHV1〜NH
V5に誘起された電流を整流して平滑コンデンサCOHVに
対して充電するという動作が行われ、平滑コンデンサC
OHVの両端には、各昇圧巻線NHV1〜NHV5に誘起される
誘起電圧の約5倍に対応するレベルの直流高電圧EHVが
得られることになる。そして、この平滑コンデンサCOH
Vの両端に得られた直流高電圧EHVを、例えばCRTの
アノード電圧として利用するようにしている。
【0016】なお、この場合、高圧発生トランスHVT
の一次巻線N4は30〜50T(ターン)、昇圧巻線N
HV1〜NHV5はそれぞれ530T程度とされて、5層の層
間フィルム捲きで2650T程度とされる。結合係数は
0.9程度である。例えば直流高電圧EHVとして31.
5KVが得られるようにする場合は、絶縁コンバータト
ランスPITの一次巻線N1=90T、二次巻線N2=
75T、共振コンデンサCr=2700pF、二次側並
列共振コンデンサC2=0.017μF、高圧発生トラ
ンスHVTの一次巻線N4=50T、昇圧巻線NHV1〜
NHV5=520Tが選定される。
【0017】直流高電圧EHVは、高圧抵抗R1,分割抵
抗R2によって分圧されて制御回路1に対して供給され
る。制御回路1においては、分圧された直流高電圧EHV
を用いて定電圧化のための制御信号を生成する。即ち制
御回路1では、直流高電圧EHVの電圧レベルの変化に応
じて、制御巻線NCに流す制御電流(直流電流)レベル
を可変するようにされている。これによって、駆動巻線
NBのインダクタンスLBが可変されて、自励発振駆動回
路内の直列共振回路の共振周波数、つまり、スイッチン
グ素子Q1のスイッチング周波数が可変制御される。こ
れにより直流高電圧EHVを定電圧化する。交流入力電圧
VAC=90V〜120V、高圧負荷電力PHV=126W
〜0Wの変動に対して、スイッチング周波数fsは、8
0KHz〜95KHzの範囲で制御される。ここで、ス
イッチング周波数を可変するのにあたってはスイッチン
グ素子Q1がオフとなる期間TOFFは一定とされたうえ
で、オンとなる期間TONを可変制御するように動作して
いる。本明細書では、このような複合的な制御を「複合
制御方式」ということとしている。
【0018】図9、図10は、上記図8に示した電源回
路における要部の動作を示す波形図である。図9は交流
入力電圧VAC=100V、最大高圧負荷電力PHV=12
6W(=31.5KV×4mA)時の動作波形であり、
図10は交流入力電圧VAC=100V、最大高圧負荷電
力PHV=0W(=31.5KV×0mA)時の動作波形
である。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記図8の
ような電源回路では、次のような問題を有している。絶
縁コンバータトランスPITは、図11(a)に示すよ
うに、例えばフェライト材によるE型コアCR1、CR
2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コ
アが備えられ、このEE型コアの中央磁脚に対して、分
割ボビンBを利用して一次巻線N1と、二次巻線N2をそ
れぞれ分割した状態で巻装している。そして、中央磁脚
に対しては図のようにギャップGを形成するようにして
いる。これによって、所要の結合係数による疎結合が得
られるようにしている。結合係数は、例えば0.8程度
とされる。これにより絶縁コンバータトランスPITの
近辺には約20%の漏洩磁束が発生する。この漏洩磁束
の周波数は、上述のスイッチング周波数fsの制御によ
り80KHz〜95KHzとなる。
【0020】また図12に高圧発生トランスHVTの断
面図を示すが、高圧発生トランスHVTは、例えばフェ
ライト材による2つのコの字形コアCR11,CR12
の各磁脚を対向するように組み合わせることで角形コア
CR30が形成されている。そして、コの字形コアCR
11の端部と、コの字形コアCR12の端部とが対向す
る部分にはギャップGが設けられている。例えば各ギャ
ップGは0.35mmとされる。そして、図示するよう
に、角形コアCR30の一方の磁脚に対して、低圧巻線
ボビンLBと高圧巻線ボビンHBを取り付けることで、
これら低圧巻線ボビンLB及び高圧巻線ボビンHBに対
して、それぞれ一次側巻線N4及び昇圧巻線NHVを分割
して巻装するようにしている。この場合、低圧巻線ボビ
ンLBには一次側巻線N4が巻装され、高圧巻線ボビン
HBには複数の昇圧巻線NHVが層間フィルムFを挿入し
て巻き上げる層間巻きによって巻装されることになる。
この高圧発生トランスHVTの場合も、その近辺には8
0KHz〜95KHz程度の周波数の漏洩磁束が発生す
る。
【0021】一方、テレビジョン受像器の水平同期信号
の周波数fhは、NTSC方式ではfh=15.75K
Hz、ハイビジョン方式ではfh=33.75KHz、
NTSC方式の倍速方式ではfh=31.5KHz、3
倍速方式ではfh=47.25KHz等、種々のテレビ
ジョン放送方式によって異なっている。この水平同期信
号に同期して動作している水平偏向回路に関しては、陰
極線管(CRT)のネック部に偏向ヨークが配され、ま
たプリント基板上には水平直線性補正コイル、ダイナミ
ックフォーカストランス等のリアクタ、インダクタが数
多くマウントされている。そして上記した絶縁コンバー
タトランスPITや高圧発生トランスHVTの漏洩磁束
がこれらの水平偏向回路の構成部品に結合すると、水平
同期周波数fhとスイッチング周波数fsの干渉による
斜縞の電源ビートがブラウン管面上に発生してしまう。
【0022】この対策のためには図11(a)に破線で
示すように、絶縁コンバータトランスPITのギャップ
Gの周辺に銅板を1ターン巻き付けて半田付けしたショ
ートリングSRを配している。図11(b)はショート
リングSRを巻き付けた状態の模式図である。ショート
リングSRは所要箇所Hが半田付けされる。このショー
トリングSRにより漏洩磁束を磁気シールドすること
で、電源ビートの発生を抑制する。また高圧発生トラン
スHVTには図12に破線で模式的に示すように、所要
箇所を半田付けしたに銅板による磁気シールド板MSを
配設し、漏洩磁束を抑制している。
【0023】しかしながら、このような絶縁コンバータ
トランスPITや高圧発生トランスHVTのシールド処
理のために、銅板の材料コストがかかることや、取付/
半田付け工程の必要性から、各トランス(PIT、HV
T)の製造工程の煩雑化やコストアップを招くという問
題があった。
【0024】また絶縁コンバータトランスPITでは、
フェライト磁心と銅板が振動によって可聴周波数帯域の
鳴きが生じないようにするために、トランス組立後にワ
ニス含浸を行って銅板を固定することも必要であった。
高圧発生トランスHVTでは、絶縁板の上に銅板を巻く
か、或いは銅板をトランスから離して実装しなければな
らない。これらのことも、絶縁コンバータトランスPI
Tや高圧発生トランスHVTの製造工程の煩雑化やコス
トアップを招く。
【0025】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記し
た課題を考慮して、陰極線管表示装置用のスイッチング
電源回路において、絶縁コンバータトランスPITや高
圧発生トランスHVTに対する漏洩磁束のシールド処理
を不要とすることを目的とする。
【0026】このため本発明は、交流入力電圧を整流平
滑した整流平滑電圧としての直流入力電圧を得る整流平
滑手段と、上記直流入力電圧をスイッチングして出力す
るスイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手
段と、上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とする
一次側共振回路が形成されるようにして備えられる一次
側並列共振コンデンサと、上記陰極線管表示装置で用い
る水平同期信号に同期した信号を用いて、上記スイッチ
ング素子に水平同期信号に同期したスイッチング動作を
させるスイッチング駆動手段と、少なくとも一次側に一
次巻線、二次側に二次巻線と昇圧巻線が施され、一次側
の巻線と二次側の巻線は疎結合、上記二次巻線と上記昇
圧巻線は密結合とされ、一次側の巻線に得られる上記ス
イッチング手段の出力を、上記二次巻線に伝送し、さら
に上記二次巻線に得られる電圧を上記昇圧巻線に伝送し
て、二次側から昇圧された高圧交番電圧を得るようにさ
れた高圧発生トランスと、上記二次巻線から上記昇圧巻
線に対して共振電圧が伝送されるようにする二次側共振
回路を形成するために、上記二次巻線に接続される二次
側並列共振コンデンサと、上記昇圧巻線に得られる高圧
交番電圧について半波整流動作を行うことで、直流高電
圧を得るように構成された直流高電圧生成手段と、上記
直流高電圧を定電圧化する定電圧制御手段と、を備えて
スイッチング電源回路を構成する。
【0027】また、上記高圧発生トランスの上記一次巻
線を巻き上げたブースト巻線と、該ブースト巻線に得ら
れる交番電圧を整流するブースト用整流ダイオードと、
該ブースト用整流ダイオードによる整流出力を平滑化す
るブースト用平滑コンデンサを備えることでブースト電
圧を生成し、このブースト電圧を上記整流平滑電圧に重
畳してブースト整流平滑電圧を得るようにされているブ
ースト手段をさらに備えるとともに、上記定電圧制御手
段は、上記ブースト電圧を設定するインダクタンス成分
として機能するようにして設けられる被制御巻線と、該
被制御巻線とその巻回方向が直交するようにされた制御
巻線とが巻装される直交形制御トランスを備え、上記直
流高電圧のレベルに応じて可変される制御電流を上記制
御巻線に流して上記被制御巻線のインダクタンスを変化
させることで、上記ブースト電圧を制御し、上記直流高
電圧を定電圧化するようする。
【0028】または上記定電圧制御手段は、上記高圧発
生トランスの上記一次巻線と直列接続され上記一次側共
振回路のインダクタンス成分として機能するようにして
設けられる被制御巻線と、該被制御巻線とその巻回方向
が直交するようにされた制御巻線とが巻装される直交形
制御トランスを備え、上記直流高電圧のレベルに応じて
可変される制御電流を上記制御巻線に流して上記被制御
巻線のインダクタンスを変化させることで、上記一次側
共振回路の電圧共振パルスを制御して、上記直流高電圧
に対する定電圧制御を行うようにする。
【0029】又は上記定電圧制御手段は、上記高圧発生
トランスの上記二次巻線と接続され上記二次側共振回路
のインダクタンス成分として機能するようにして設けら
れる被制御巻線と、該被制御巻線とその巻回方向が直交
するようにされた制御巻線とが巻装される直交形制御ト
ランスを備え、上記直流高電圧のレベルに応じて可変さ
れる制御電流を上記制御巻線に流して上記被制御巻線の
インダクタンスを変化させることで、上記二次側共振回
路の電圧共振周波数を制御して、上記直流高電圧に対す
る定電圧制御を行うようにする。
【0030】また上記定電圧制御手段における上記直交
形制御トランスの上記制御巻線は、複数のリッツ線を束
ねて巻装する。
【0031】上記構成によれば、複合共振形スイッチン
グコンバータの動作を、水平同期周波数に同期させるこ
とができ、これによって絶縁コンバータトランスや高圧
発生トランスの漏洩磁束と水平同期周波数の干渉による
電源ビートが発生しないようになる。また直流高電圧の
安定化については、直交形制御トランスのインダクタン
ス制御によって、ブースト電圧の制御、もしくは一次側
電圧共振パルス電圧のパルス幅の制御、もしくは二次側
電圧共振周波数の制御が行われることで実現される。ま
た直交形制御トランスの上記制御巻線は、複数の線材を
束ねて巻装するものとすることで、起磁力を維持したま
ま制御巻線の時定数を小さくでき、高速過渡応答が改善
される。
【0032】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施の形
態としてのスイッチング電源回路の構成を示している。
この図1の回路は、いわゆるシングルエンド方式で自励
式によりスイッチング動作を行う電圧共振形コンバータ
を備えている。この電圧共振形コンバータに備えられる
1石のスイッチング素子Q1には、高耐圧のバイポーラ
トランジスタ(BJT;接合型トランジスタ)が採用さ
れている。
【0033】商用交流電源ACには、ブリッジ整流回路
Di及び平滑コンデンサCiから成る整流平滑回路が接
続されており、交流入力電圧VACのほぼ1倍のレベルに
対応する整流平滑電圧Eiを生成し、直流入力電圧とし
て後段の電圧共振形コンバータに供給する。
【0034】スイッチング素子Q1のベースは、起動抵
抗RSを介して平滑コンデンサCi(整流平滑電圧E
i)の正極側に接続されて、起動時のベース電流を整流
平滑ラインから得るようにしている。
【0035】また、スイッチング素子Q1のベースと一
次側アース間には、高圧発生トランスHVTの一次側に
巻数1T(ターン)で施されたドライブ巻線NBと、共
振コンデンサCB−インダクタLB−ベース電流制限抵抗
RBの直列回路よりなる自励発振駆動用の直列共振回路
が接続される。この自励発振回路によってスイッチング
素子Q1をオン/オフするスイッチング周波数fsが生
成される。例えば当該スイッチング電源回路が搭載され
るテレビジョン受像器等において水平同期周波数fh=
33.75KHzであるとすると、上記直列共振回路に
よるスイッチング周波数fs=33.5KHz程度に設
定する。
【0036】さらに本例の場合は、水平同期周波数fh
と同期をとるために、陰極線管表示装置の水平同期回路
系で用いられている水平発振パルス電圧、又は水平ドラ
イブパルス電圧、又は水平出力パルス電圧としての電圧
Vfhが、抵抗Rh、コンデンサChを介してスイッチ
ング素子Q1のベースに印加される。これによってスイ
ッチング素子Q1のスイッチング動作が、外部同期がと
られることになる。
【0037】また、スイッチング素子Q1のベースと平
滑コンデンサCiの負極(1次側アース)間に挿入され
るクランプダイオードDDにより、スイッチング素子Q1
のオフ時に流れるクランプ電流の経路を形成するように
されており、また、スイッチング素子Q1のコレクタ
は、高圧発生トランスHVTの一次巻線N4の一端と接
続され、エミッタは接地される。
【0038】また、スイッチング素子Q1 のコレクタ−
エミッタ間に対しては、並列共振コンデンサCrが並列
に接続されている。この並列共振コンデンサCrは、自
身のキャパシタンスと、高圧発生トランスHVTの一次
巻線N4、及び直交形制御トランスPRT(Power Regu
lating Transformer) の被制御巻線NR の直列接続によ
り得られる合成インダクタンス(L4+LR)とにより
電圧共振形コンバータの並列共振回路を形成する。そし
て、スイッチング素子Q1 のオフ時には、この並列共振
回路の作用によって共振コンデンサCrの両端電圧V1
は、図5(a)に示すように正弦波状のパルス波形とな
って電圧共振形の動作が得られるようになっている。
【0039】直交形制御トランスPRTは、被制御巻線
NR及び制御巻線NCが巻装された可飽和リアクトルであ
る。この直交形制御トランスPRTは、制御回路1によ
って制御巻線NCに流される制御電流によって被制御巻
線NRのインダクタンスLRが可変される。これによって
後述するブースト電圧VBを制御し、直流高電圧EHVの
安定化を行う。
【0040】この直交形制御トランスPRTの制御巻線
NCは、例えば各60μmφの3〜6束のリッツ線を用
いて、400〜200T(ターン)巻回されて成る。図
2に直交形制御トランスPRTの構造を示す。図2
(a)はその全体構造を説明するための外観斜視図、図
2(b)は巻装される巻線の巻線方向を説明するための
断面斜視図である。直交形制御トランスPRTは、2つ
のダブルコの字形コア21,22(フェライトコア)を
組み合わせた立体形コア20によって形成されている。
そして一方のダブルコの字形コア21は、4本の磁脚2
1a,21b,21c,21dを有し、また、他方のダ
ブルコの字形コア22も4本の磁脚22a,22b,2
2c,22dを有する。そして、これら2つのダブルコ
の字形コア21,22の互いの磁脚21a〜21d,2
2a〜22dの端部を接合することで立体形コア20が
形成されている。各ダブルコの字形コア21,22の各
接合部分はギャップGが設けられる。
【0041】この場合、例えばダブルコの字形コア21
の2本の磁脚21b,21cには制御巻線NC が巻回さ
れ、ダブルコの字形コア22の磁脚22c,22dには
被制御巻線NRが巻回されている。つまり被制御巻線NR
に対して制御巻線NC が直交する方向に巻回された可飽
和リアクトルとして構成される。
【0042】そして制御巻線NCは、図示するように例
えば各60μmφの3束のリッツ線NC1、NC2、NC3を束
ねた状態で、400T程度巻回される。なお、4束、5
束、6束のリッツ線を束ねて巻回してもよい。例えば6
束の場合は200T程度巻回する。このように複数束の
リッツ線を束ねて、ターン数を減らすことで、1束のリ
ッツ線を用いる場合に比べて、制御巻線NCの直流抵抗
値及びインダクタンスを下げることができ、即ち起磁力
を同等に維持したまま時定数を小さくできる。これは、
制御巻線NCに流される制御電流による被制御巻線NRの
インダクタンスLRの可変制御について、高速過渡応答
性を向上させるものとなる。
【0043】図1の回路において、スイッチング素子Q
1に得られるスイッチング出力は、高圧発生回路40を
形成する高圧発生トランスHVTの一次巻線N4に対し
て伝達される。高圧発生トランスHVTは、図示するよ
うに、一次側には上記ドライブ巻線NBのほかに、一次
巻線N4と、詳しくは後述するが一次巻線N4を巻き上
げたブースト巻線N5が巻装される。また二次側には、
二次巻線N6と、昇圧のための巻線として、5組の昇圧
巻線NHV1,NHV2,NHV3,NHV4,NHV5が巻装されて
いる。そして一次側の巻線である一次巻線N4、ブース
ト巻線N5、ドライブ巻線NBと、二次側の巻線である
二次巻線N6、昇圧巻線NHV1,NHV2,NHV3,NHV4,N
HV5との間は疎結合とされている。一方、二次巻線N6
と、昇圧巻線NHV1,NHV2,NHV3,NHV4,NHV5との
間は密結合とされている。
【0044】高圧発生トランスHVTの二次側では、一
次巻線N4により誘起された交番電圧が二次巻線N6に
発生する。この場合、二次巻線N6に対しては、二次側
並列共振コンデンサC6が並列に接続されることで、二
次巻線N6のリーケージインダクタンスL6と二次側並
列共振コンデンサC6のキャパシタンスとによって並列
共振回路が形成される。この並列共振回路により、二次
巻線N6に誘起される交番電圧は共振電圧となる。二次
巻線N6に発生する電圧I6及び共振電圧V6を図5
(e)(f)に示しているが、図示するようにこれらは
正弦波形である。つまり二次側において電圧共振動作が
得られる。即ち、この電源回路では、一次側にはスイッ
チング動作を電圧共振形とするための並列共振回路が備
えられ、二次側には電圧共振動作を得るための並列共振
回路が備えられた、複合共振形スイッチングコンバータ
としての構成を採る。
【0045】二次巻線N6に発生する共振電圧V6は、
二次巻線N6と密結合とされている昇圧巻線NHV1〜NH
V5に伝達される。昇圧巻線NHV1〜NHV5は、実際には、
分割されて各々独立した状態でコアに巻装されている。
そして二次巻線N6に発生する共振電圧V6として、正
弦波形の負極性のパルス電圧が、昇圧巻線NHV1〜NHV5
で昇圧されることになる。
【0046】昇圧巻線NHV1,NHV2,NHV3,NHV4,N
HV5は、それぞれ図1に示すようにして、高圧整流ダイ
オードDHV1,DHV2,DHV3,DHV4,DHV5の各々と直
列接続されることで、計5組の半波整流回路を形成し、
これら5組の半波整流回路がさらに直列に多段接続され
ているものである。そして、これら5組の半波整流回路
から成る多段型整流回路に対して平滑コンデンサCOHV
が並列に接続されている。
【0047】上記した二次側整流平滑回路の動作として
は次のようになる。複合共振形コンバータ動作として一
次側電圧共振コンバータのスイッチング素子Q1がオフ
の時に一次巻線N4に発生する正極性の正弦波パルス電
圧V1が高圧発生トランスHVTの一次巻線N4から二
次巻線N6に伝達され、さらに二次側共振回路に得られ
る正弦波形の負極性のパルス電圧が昇圧巻線NHV1〜NH
V5で昇圧されるが、高圧発生トランスHVTの二次側に
おいては、5組の半波整流回路が昇圧巻線NHV1〜NHV5
に誘起された電圧を、高圧整流ダイオードDHV1〜DHV5
により整流して平滑コンデンサCOHVに対して充電する
という動作が行われる。これによって、平滑コンデンサ
COHVの両端には、各昇圧巻線NHV1〜NHV5に誘起され
る電圧の5倍に対応するレベルの直流電圧が得られる。
そして、この平滑コンデンサCOHVの両端に得られた直
流電圧が直流高電圧EHVとして出力されることになる。
この直流高電圧EHVは、例えばCRTのアノード電圧と
して利用される。
【0048】また、直流高電圧EHVが得られる平滑コン
デンサCOHVに対しては、分圧抵抗R1−R2の直列接続
回路が並列に設けられる。そして、この分圧抵抗R1−
R2の分圧点は、制御回路1に対して接続される。つま
り本実施の形態においては、制御回路1に対しては、検
出電圧として、直流高電圧EHVを分圧抵抗R1−R2によ
り分圧して得られる電圧レベルが入力されることにな
る。さらに、平滑コンデンサCOHVと二次側アース間に
は抵抗R3が挿入され、抵抗R3の一端側の電圧が、制
御回路1に対しての検出電圧として供給されている。
【0049】制御回路1は誤差電圧増幅器として構成さ
れ、直流高電圧EHVの変化に応じて、制御巻線NCに流
す制御電流(直流電流)レベルを可変することで、被制
御巻線NRのインダクタンスLRを可変制御する。これに
よりブースト電圧VBの制御を行い、直流高電圧EHVの
安定化を行う。
【0050】本実施の形態においては、高圧発生トラン
スHVTは、以下の図3又は図4のような構造を有して
構成されることで、一次側の巻線と二次側の巻線の間が
所要の結合係数kによる疎結合の状態が得られるように
されており、これによって、結果的には、回路内の電流
経路に重畳するリンギング電流を抑制することが可能と
なる。また二次巻線N6と昇圧巻線NHV1〜NHV5が密結
合とされる。
【0051】図3に示す高圧発生トランスHVTでは、
例えば先ず、フェライト材による2つのU字型コアCR
1,CR2の各磁脚を対向するように組み合わせること
でU−U字型コアCRを形成している。そして、U字型
コアCR1の磁脚端部と、U字型コアCR2の磁脚端部
との対向する部分にはギャップG1,G2をそれぞれ設
けるようにされる。そして、一次巻線N4(及び図示し
ていないがブースト巻線N5、ドライブ巻線NB)を巻
装した低圧巻線ボビンLB1をU−U字型コアCRの一
方の磁脚に対して貫通させるように取り付ける。さらに
U−U字型コアCRの他方の磁脚に対して貫通させるよ
うに、二次巻線N6を巻装した低圧巻線ボビンLB2を
取り付ける。またさらに、低圧巻線ボビンLB2が取り
付けられた磁脚に対して、昇圧巻線NHV(1〜5)を巻装
した高圧巻線ボビンHBを貫通させるようにして取り付
ける。これによって、一次側の巻線(N4、N5、N
B)と、二次側の巻線(N6、NHV1〜NHV5)とについ
て互いに独立するようにして分割して巻装した構造が得
られる。
【0052】高圧巻線ボビンHBに巻装する昇圧巻線N
HVとしては、例えば複数の昇圧巻線NHV(1〜5)の各々
を絶縁した状態で巻装する必要がある。このため、昇圧
巻線NHVの巻き方は、各昇圧巻線NHV(1〜5)を所定回
数巻装して得られる巻線層ごとに層間フィルムFを介在
させた、いわゆる層間巻きとされている。そして、上記
のようにして昇圧巻線NHV(1〜5)を巻装したうえで、
回路的には図1に示した態様が得られるように、各昇圧
巻線NHV(1〜5)に対して高圧整流ダイオードDHV(1〜
5)を接続して取り付ける。
【0053】また、昇圧巻線NHV(1〜5)の各々につい
て絶縁状態を得るために、分割巻き(スリット巻き)に
よる構造を採る高圧発生トランスHVTの構造を図4に
示す。なお、図4において図3と同一部分には同一符号
を付して説明を省略する。昇圧巻線NHVを分割巻きによ
って巻装する場合は、図示するように、高圧巻線ボビン
HB1の内側に対して一体的に仕切板DVを形成する。
これにより、隣り合う仕切板DVの間には、巻線領域で
あるスリットSが複数形成されることになる。そして、
この各スリットS内に対して昇圧巻線NHVを巻装するこ
とで各昇圧巻線NHV間の絶縁状態を得ることができる。
【0054】これら図3又は図4に示す高圧発生トラン
スHVTの構造によっては、二次巻線N6と昇圧巻線N
HV(1〜5)とについては、同一の磁脚に対して巻装され
ているで、互いの結合状態として密結合の状態が得られ
るようにされている。例えば実際としては、結合係数k
=0.98程度の密結合が得られているものである。一
方、U−U字型コアCRの互いに異なる磁脚に対して一
次側の巻線(N4、N5、NB)と、二次側の巻線(N
6、NHV1〜NHV5)とが巻装されている形態を有するこ
とで、一次側の巻線と二次側の巻線とについては、疎結
合の状態が得られることとなる。具体的には、結合係数
k=0.80程度の疎結合の状態を得ているものであ
る。
【0055】そしてまた本例の場合は、図12で説明し
たような銅板による磁気シールド板MSは設けられな
い。
【0056】また、先に図12に示した先行技術として
の高圧発生トランスHVTでは、一次側の一次巻線N4
と二次側の昇圧巻線NHVが同一磁脚に巻回されている都
合上、一次巻線N4と昇圧巻線NHVとの間での絶縁を確
保するため、例えば樹脂等の充填剤を充填してモールド
を行う必要があった。これに対して本実施の形態として
の図2及び図3に示す回路では、一次側の巻線(N4、
N5、NB)と、二次側の巻線(N6、NHV1〜NHV5)
とが互いに異なる磁脚に対して巻装されており、つま
り、完全に互いの巻線が分離した位置に対して巻装され
ているために、上記のような絶縁確保のためのモールド
は不要となる。
【0057】このように樹脂等によるモールドを巻線に
対して施す必要がないことから、巻線の発熱を空気中に
輻射することができる。つまり、高圧発生トランスHV
Tの発熱を低下させることが可能になるものである。さ
らに、一次側の巻線(N4、N5、NB)と、二次側の
巻線(N6、NHV1〜NHV5)とが互いに異なる磁脚に対
して巻装されて、これらが完全に分離されていること
で、絶縁トランスとしての安全規格の空間、沿面距離に
ついて、既に充分確保されていることにもなるので、安
全規格の取得は非常に容易となるものである。
【0058】さらに、高圧発生トランスHVTとして、
一次側の巻線(N4、N5、NB)と、二次側の巻線
(N6、NHV1〜NHV5)とについて疎結合となる構造が
与えられることにより、結果的に、回路の電流経路に重
畳するリンギング電流を抑制することが可能となる。
【0059】図1の回路ではさらに、高圧発生トランス
HVTにおいて、一次巻線N4を巻き上げるようにして
ブースト巻線N5が備えられる。このブースト巻線N5
の端部は、ブースト電圧生成用の平滑コンデンサCiB
の正極と接続される。平滑コンデンサCiBの負極は平
滑コンデンサCiの正極(Eiライン)と接続される。
また、この図に示す電源回路においてはブースト用ダイ
オードDBが設けられる。このブースト用ダイオードDB
は、アノードが平滑コンデンサCiBの負極と平滑コン
デンサCiの正極との接続点(Eiライン)と接続さ
れ、カソードは直交型制御トランスPRTの被制御巻線
NRの直列接続を介して、一次巻線N4とブースト巻線
N5との接続点に対して接続される。このような接続形
態によると、ブースト巻線N5に得られたスイッチング
出力電圧をブースト用ダイオードDBにより整流して平
滑コンデンサCiBにより平滑化することで、平滑コン
デンサCiBの両端にブースト電圧VBを生成するブース
ト回路が形成されることになる。但し、上述のようにこ
のブースト回路には被制御巻線NRが直列に挿入されて
いる。
【0060】このブースト回路が設けられることで、ス
イッチング素子Q1を備えて成る電圧共振形スイッチン
グコンバータは、整流平滑電圧Eiに対して上記ブース
ト電圧VBを重畳して得られるブースト平滑電圧EBを動
作電源としてスイッチングを行うようにされる。つま
り、ブースト回路が動作することで、電圧共振形スイッ
チングコンバータに供給すべき見かけ上の直流入力電圧
レベルが上昇するものである。このようにして、ブース
ト回路によってブースト平滑電圧EBを得るようにされ
ていることで見かけ上の直流入力電圧の上昇が図られ、
例えば最大負荷電力としては、倍電圧整流回路により直
流入力電圧を得るようにした構成とほぼ同等となる程度
にまで増加させることが可能となる。
【0061】またブースト電圧VBは、 VB=(1+N5/N4)・(L4/(L4+LR))・
Ei で表され、つまり被制御巻線NRのインダクタンスLRを
可変すれば、ブースト電圧VBの制御が可能である。
【0062】上記のように制御回路1としては、直流高
電圧EHVが一定となるように直交形トランスPRTの制
御巻線NCに対して、直流高電圧EHVの変動に応じたレ
ベルの制御電流を流して、被制御巻線NRのインダクタ
ンスLRを可変するように動作する。被制御巻線NRのイ
ンダクタンスLRは、ブースト回路に対して直列に挿入
される回路形態となっており、インダクタンスLRの変
化によりブースト回路内のインピーダンス特性を可変す
る。この結果、上記式により表されるブースト電圧VB
は可変制御される。つまり、この図に示す電源回路では
直流高電圧EHVに基づいてブースト電圧VBを制御し、
高圧発生トランスHVTの一次側から二次側への伝達エ
ネルギーを制御することで、二次側の直流高電圧EHVを
定電圧化するものとなる。具体的には、交流入力電圧が
低く、高圧負荷が重いときは、被制御巻線NRのインダ
クタンスLRが減少されてブースト電圧VBが高くなり、
一次側に発生する電圧共振パルス電圧V1のピーク値が
上昇する。一方、交流入力電圧が高く高圧負荷が軽いと
きは、被制御巻線NRのインダクタンスLRが増加されて
ブースト電圧VBが低くなり、電圧共振パルス電圧V1の
ピーク値が下降する。これにより直流高電圧EHVの定電
圧化が行われる。
【0063】例えば一次巻線N4=60T、ブースト巻
線N5=20T、インダクタンスL4=1.5mH、共
振コンデンサCr=2200pF、二次巻線N6=65
T、共振コンデンサC6=6800pF、各昇圧巻線N
HV(1〜5)=530Tとした場合において、交流入力電
圧VAC=100V±10%、直流高電圧EHV=31.5
KV、直流高電流IHV=4mA〜0mAの範囲の交流入
力電圧及び負荷の変動に対して、インダクタンスLR=
100μH〜750μHの可変範囲で直流高電圧EHVの
定電圧制御が可能となる。なおインダクタンスLR=1
00μH〜750μHの可変に対して、ブースト電圧V
Bは、1.27×Ei〜0.9×Eiの可変範囲が得ら
れる。
【0064】図1の本実施の形態の電源回路によれば、
複合共振形スイッチングコンバータの動作を、水平同期
周波数に同期させることができ、これによって高圧発生
トランスHVTの漏洩磁束と水平同期周波数の干渉によ
る電源ビートが発生しないようにできるものとなる。上
記したように一次側のスイッチング素子Q1は、ドライ
ブ巻線NB、共振コンデンサCB、インダクタLB、ベー
ス電流制限抵抗RBよりなる直列共振回路によってスイ
ッチング周波数fsが設定される。ここでスイッチング
周波数fs<水平同期周波数fhに設定すれば、水平同
期周波数に同期した電圧Vfhの外部同期トリガ信号に
よってfs=fhに引き込まれてスイッチング周波数f
sが固定されることになる。例えばfs=33.75K
Hzの固定周波数となる。このため電圧共振形スイッチ
ングコンバータの動作は水平同期信号の周波数と同期す
ることになり、従って高圧発生トランスHVTの漏洩磁
束と水平同期周波数の干渉による電源ビートは発生しな
い。もちろん本例の場合は、絶縁コンバータトランスP
ITは用いられないので、図8の先行技術において言及
した絶縁コンバータトランスPITの漏洩磁束に関する
問題は生じない。
【0065】図5は交流入力電圧VAC=100V、直流
高電圧EHV=31.5KV、直流高電流IHV=4mA時
の各部の動作波形であるが、この場合、水平同期周波数
fh=33.75KHzであり、スイッチング周波数f
sがこれに同期するため、図5に示すようにスイッチン
グ周期は、9μsec+20.6μsec=29.6μ
secで固定である。
【0066】また前述もしたように、本実施の形態にお
いては、高圧発生トランスHVTの一次側の巻線と二次
側の巻線が疎結合とされていることで、昇圧巻線NHV1
〜NHV5の分布容量や一次巻線N4と昇圧巻線NHV1〜N
HV5の漏洩インダクタンスによる高周波のリンギング
(振動)電流成分が発生しない。これにより大幅な電力
損失の低減が図られ、電力変換効率が向上する。本例の
場合、AC/DCの電力変換効率は図8の回路例の8
5.7%から88.0%に向上し、入力電力を低減させ
ることができる。例えば高圧負荷=126W時には入力
電力は3.8W低減される。
【0067】続いて図6により本発明の第2の実施の形
態のスイッチング電源回路を説明する。図6は、スイッ
チング素子Q1をMOS−FETとし、スイッチング素
子Q1に対してICによる他励発振回路を設けた例であ
る。なお、図1と同一部分は同一符号を付し、説明を省
略する。
【0068】この場合も、整流平滑電圧Ei(直流入力
電圧)を入力して断続するスイッチングコンバータとし
ては、1石のスイッチング素子Q1を備えて、いわゆる
シングルエンド方式によるスイッチング動作を行う電圧
共振形コンバータが備えられる。ここでの電圧共振形コ
ンバータは他励式の構成を採っており、MOS−FET
によるスイッチング素子Q1のドレインは、高圧発生ト
ランスHVTの一次巻線N4及び被制御巻線NRを介し
て平滑コンデンサCiの正極と接続され、ソースは一次
側アースに接続される。
【0069】また、スイッチング素子Q1のドレイン−
ソース間に対しては、並列共振コンデンサCrが並列に
接続される。この並列共振コンデンサCrのキャパシタ
ンスと、一次巻線N4及び被制御巻線NRに得られるリ
ーケージインダクタンス(L4+LR)とによって一次
側並列共振回路を形成する。そして、スイッチング素子
Q1のスイッチング動作に応じて、この並列共振回路に
よる共振動作が得られるようにされることで、スイッチ
ング素子Q1のスイッチング動作としては電圧共振形と
なる。
【0070】また、スイッチング素子Q1のドレイン−
ソース間に対しては、MOS−FETに備えられる、い
わゆるボディダイオードによるクランプダイオードDD
が並列に接続されていることで、スイッチング素子がオ
フとなる期間に流れるクランプ電流の経路を形成する。
【0071】スイッチング素子Q1は、発振回路2及び
ドライブ回路3を統合的に備える例えば1つの集積回路
(IC)によるスイッチング駆動部10によって、スイ
ッチング駆動される。また、このスイッチング駆動部1
0は、起動抵抗Rsを介して整流平滑電圧Eiのライン
と接続されており、例えば電源起動時において、上記起
動抵抗Rsを介して電源電圧が印加されることで起動す
るようにされている。
【0072】スイッチング駆動部10内の発振回路2で
は、発振動作を行って発振信号を生成して出力する。そ
して、ドライブ回路3においてはこの発振信号をドライ
ブ電圧に変換してスイッチング素子Q1のゲートに対し
て出力する。これにより、スイッチング素子Q1は、発
振回路2にて生成される発振信号に基づいたスイッチン
グ動作を行うようにされる。従って、スイッチング素子
Q1のスイッチング周波数、及び1スイッチング周期内
のオン/オフ期間のデューティは、発振回路2にて生成
される発振信号に依存して決定される。そして特に本例
の場合は、陰極線管表示装置の水平同期回路系で用いら
れている水平発振パルス電圧、又は水平ドライブパルス
電圧、或いは水平出力パルス電圧としての電圧Vfh
が、抵抗Rh、小容量のコンデンサChを介して発振回
路2に供給されて外部同期がとられる。即ち発振回路2
は、水平同期周波数に同期した発振信号を発生するもの
となり、これによってスイッチング素子Q1のスイッチ
ング動作は、水平同期周波数に同期したものとなる。
【0073】なお、本実施の形態の場合には、一次側の
構成としては図1の例のようなブースト回路、即ちブー
スト巻線N5、ブースト用平滑コンデンサCiB、ブー
スト用整流ダイオードDBは設けられていない。そして
後述するが、直流高電圧EHVの定電圧制御は、一次側電
圧共振パルス電圧のパルス幅を制御することで行われる
ものとなる。また直交形制御トランスPRTの構造も、
図2で説明したものと同様となる。
【0074】さらに高圧発生回路40の構成及び高圧発
生トランスHVTの構造については、一次側にブースト
巻線N5、ドライブ巻線NBが巻回されないことを除い
ては、図1、図3又は図4で説明したものと同様とな
る。従って、二次巻線N6に対して並列共振コンデンサ
C6が接続されて二次側にも電圧共振回路が形成され、
当該スイッチング電源回路が複合共振形コンバータの構
成を採ること、一次側の巻線(N4)と二次側の巻線
(N6、NHV1〜NHV5)とが疎結合とされること、
二次巻線N6と昇圧巻線NHV(1〜5)は密結合とさ
れることについては第1の実施の形態の場合と同様であ
る。
【0075】この図6のスイッチング電源回路の場合
も、複合共振形スイッチングコンバータの動作は水平同
期信号の周波数と同期することになり、従って高圧発生
トランスHVTの漏洩磁束と水平同期周波数の干渉によ
る電源ビートは発生しない。このため高圧発生トランス
HVTに磁気シールドを設ける必要はなくなる。さらに
一次側の巻線(N4)と二次側の巻線(N6、NHV1〜
NHV5)とが疎結合とされることで高周波のリンギング
成分が発生せず、AC/DC電力変換効率を向上させる
ことができる。
【0076】このスイッチング電源回路においては、直
流高電圧EHVの定電圧制御は次のように行われる。まず
制御回路1に対しては、上記第1の実施の形態と同様
に、検出電圧として、直流高電圧EHVを分圧抵抗R1−
R2により分圧して得られる電圧レベルが入力される。
さらに平滑コンデンサCOHVと二次側アース間には抵抗
R3が挿入され、抵抗R3の一端側の電圧が、制御回路
1に対しての検出電圧として供給されている。そして制
御回路1は誤差電圧増幅器として構成され、直流高電圧
EHVの変化に応じて、制御巻線NCに流す制御電流(直
流電流)レベルを可変することで、被制御巻線NRのイ
ンダクタンスLRを可変制御する。
【0077】制御回路1としては、直流高電圧EHVが一
定となるように直交形トランスPRTの制御巻線NCに
対して、直流高電圧EHVの変動に応じたレベルの制御電
流を流して、被制御巻線NRのインダクタンスLRを可変
するように動作する。一次側の並列共振回路は、一次巻
線N4と被制御巻線NRの合成インダクタンス(L4+
LR)と並列共振コンデンサCrのキャパシタンスとに
よって形成されるものとみることが出来るが、制御回路
1の動作によって被制御巻線NRのインダクタンスLRが
変化すると、一次側並列共振回路の共振条件が変化して
スイッチング素子Q1及び並列共振コンデンサCrの両
端に得られる共振電圧のパルス幅を制御する動作が得ら
れる。ここで、共振電圧のパルス幅とは、スイッチング
素子Q1のオフ期間であり、換言すれば、共振電圧のパ
ルス幅を制御することはスイッチング素子Q1のオン期
間を制御して、二次側の直流出力電圧を制御することに
他ならない。即ち、本実施の形態ではスイッチング素子
Q1のオン期間を制御することによって、直流高電圧EH
Vの安定化を図るように動作する。
【0078】例えば本例のスイッチング電源回路におい
て、一次巻線N4=60T、各昇圧巻線NHV=530
T、インダクタンスL1=1.5mH、並列共振コンデ
ンサCr=1000pFとするときに、交流入力電圧V
AC=100V±10%、直流高電圧EHV=31.5K
V、直流高電流IHV=4mA〜0mAの変動に対して、
被制御巻線NRのインダクタンスLRの可変範囲50μH
〜150μHで、直流高電圧EHVの定電圧化が可能であ
る。
【0079】次に図7により本発明の第3の実施の形態
のスイッチング電源回路を説明する。図7の例も、一次
側において整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を入力し
て断続するスイッチングコンバータとして、1石のスイ
ッチング素子Q1を備えて、いわゆるシングルエンド方
式によるスイッチング動作を行う電圧共振形コンバータ
が備えられる。そしてこの場合、第1の実施の形態と同
様にスイッチング素子Q1に対して自励発振形の構成を
採る。
【0080】なお、図1と同一部分は同一符号を付し説
明を省略するが、本実施の形態の場合には、一次側の構
成としては、図1の例のようなブースト回路、即ちブー
スト巻線N5、ブースト用平滑コンデンサCiB、ブー
スト用整流ダイオードDBは設けられていないこと、及
び直交形制御トランスPRTが設けられない(二次側に
設けられる)ことを除いて、図1と同様となる。
【0081】さらに高圧発生回路40の構成及び高圧発
生トランスHVTの構造については、一次側にブースト
巻線N5が巻回されないことを除いては、図1、図3又
は図4で説明したものと同様となる。従って、二次巻線
N6に対して並列共振コンデンサC6が接続されて二次
側にも電圧共振回路が形成され、当該スイッチング電源
回路が複合共振形コンバータの構成を採ること、一次側
の巻線(N4、NB)と二次側の巻線(N6、NHV1〜
NHV5)とが疎結合とされること、二次巻線N6と昇圧
巻線NHV(1〜5)は密結合とされることについては第1
の実施の形態の場合と同様である。
【0082】この場合、二次巻線N6に対して共振コン
デンサC6が接続されることで二次側共振回路が形成さ
れているが、さらにこの二次側共振回路に直交形制御ト
ランスPRTの被制御巻線NRが挿入された状態となっ
ており、つまり被制御巻線NRのインダクタンスLRは、
二次側共振回路の共振条件に関わるものとなる。なお、
直交形制御トランスPRTの構造は、図2で説明したも
のと同様となる。
【0083】この図7のスイッチング電源回路の場合
も、複合共振形スイッチングコンバータの動作は水平同
期信号の周波数と同期することになり、従って高圧発生
トランスHVTの漏洩磁束と水平同期周波数の干渉によ
る電源ビートは発生しない。このため高圧発生トランス
HVTに磁気シールドを設ける必要はなくなる。さらに
一次側の巻線(N4、NB)と二次側の巻線(N6、NH
V1〜NHV5)とが疎結合とされることで高周波のリンギ
ング成分が発生せず、AC/DC電力変換効率を向上さ
せることができる。
【0084】このスイッチング電源回路においては、直
流高電圧EHVの定電圧制御は次のように行われる。まず
制御回路1に対しては、上記第1の実施の形態と同様
に、検出電圧として、直流高電圧EHVを分圧抵抗R1−
R2により分圧して得られる電圧レベルが入力される。
さらに平滑コンデンサCOHVと二次側アース間には抵抗
R3が挿入され、抵抗R3の一端側の電圧が、制御回路
1に対しての検出電圧として供給されている。そして制
御回路1は誤差電圧増幅器として構成され、直流高電圧
EHVの変化に応じて、制御巻線NCに流す制御電流(直
流電流)レベルを可変することで、被制御巻線NRのイ
ンダクタンスLRを可変制御する。
【0085】この場合、二次側共振回路は、二次巻線N
6と被制御巻線NRの合成インダクタンス(L6+LR)
と並列共振コンデンサC6のキャパシタンスとによって
形成されるものとみることが出来るが、制御回路1の動
作によって被制御巻線NRのインダクタンスLRが変化す
ると、二次側共振回路の共振条件が変化して電圧共振周
波数が変化される。二次巻線N6に得られる共振電圧に
ついての共振周波数が変化されることで、二次巻線N6
から昇圧巻線NHVに伝達されるエネルギーが変化する。
即ち、本実施の形態では二次側電圧共振回路の共振周波
数を制御することによって、直流高電圧EHVの定電圧制
御を行うものである。
【0086】以上、本発明の実施の形態を説明してきた
が、本発明のスイッチング電源回路は上記各回路構成に
限られるものではなく、各種の変形例が考えられること
はいうまでもない。例えば高圧発生トランスHVTの二
次側の整流回路は、上記構成に限定されるものではな
く、直流高電圧EHVとして必要とされるレベルが得られ
るのであれば、他の回路構成が採用されて構わないもの
である。例えば1組の高圧巻線と4倍圧整流方式として
の回路構成が採られてもよい。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、電圧共振
形コンバータ回路によるスイッチング電源回路おいて、
スイッチング動作によるコンバータ動作が陰極線管表示
装置で用いられている水平同期信号に同期するようにし
ているため、コンバータトランスや高圧発生トランスの
漏洩磁束と水平同期信号が干渉して電源ビートを発生さ
せるということがなくなる。従って、例えば高圧発生ト
ランスに、漏洩磁束をシールドするための銅板によるシ
ールド板を設ける必要がなくなる。これによってトラン
スの製造コストの低下、製造の簡略化、効率化を実現で
きるという効果がある。さらにシールド板を設けないこ
とは、トランスの温度上昇を低下させるという利点も生
ずる。
【0088】また本発明では、高圧発生トランスについ
て一次側の巻線と二次側の巻線とが疎結合の状態となる
ように構成している。これによってリンギング電流の発
生が抑制され、電力変換効率が向上し、入力電力を低減
できるという効果もある。
【0089】また高圧発生トランスでは、樹脂等による
モールドを巻線に対して施す必要がないことから、巻線
の発熱を空気中に輻射することができ、高圧発生トラン
スの発熱を低下させることが可能になる。さらに高圧発
生トランスは、一次側の巻線と二次側の巻線とについ
て、それぞれ異なる磁脚に巻回されて疎結合状態を得る
ようにしていることで、絶縁トランスとしての安全規格
の空間、沿面距離について、既に充分確保されているこ
とにもなるので、安全規格の取得は非常に容易となる。
【0090】また直流高電圧の安定化については、直交
形制御トランスのインダクタンス制御によって、ブース
ト電圧の制御、もしくは一次側電圧共振パルス電圧のパ
ルス幅の制御、もしくは二次側電圧共振周波数の制御が
行われることで適切に実現できる。
【0091】また、直交形制御トランスの制御巻線は複
数束のリッツ線を束ねて巻装することで、起磁力を維持
したまま時定数を小さくしている。これにより高速過渡
応答特性が改善され、高圧負荷の急峻な変化等にも適切
に対応した安定化動作が可能となる。さらに、直交形制
御トランスの製造時の制御巻線工程において巻き数が従
来の1/3(リッツ線3束の場合)〜1/6(リッツ線
6束の場合)等となり、巻線工程の時間が大幅に短縮さ
れ、生産性を改善できるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態としてのスイッチン
グ電源回路の構成を示す回路図である。
【図2】実施の形態の直交形制御トランスの説明図であ
る。
【図3】実施の形態の高圧発生トランスの構造例の説明
図である。
【図4】実施の形態の高圧発生トランスの構造例の説明
図である。
【図5】実施の形態の電源回路における要部の動作を示
す波形図である。
【図6】第2の実施の形態としてのスイッチング電源回
路の構成を示す回路図である。
【図7】第3の実施の形態としてのスイッチング電源回
路の構成を示す回路図である。
【図8】先行技術としてのスイッチング電源回路の構成
例を示す回路図である。
【図9】先行技術に示す電源回路の要部の動作を示す波
形図である。
【図10】先行技術に示す電源回路の要部の動作を示す
波形図である。
【図11】絶縁コンバータトランスの磁気シールドの説
明図である。
【図12】高圧発生トランスの磁気シールドの説明図で
ある。
【符号の説明】
1 制御回路、2 発振回路、3 ドライブ回路、10
スイッチング駆動部、40 高圧発生回路、Q1 ス
イッチング素子、PRT 直交形制御トランス、HVT
高圧発生トランス、N4 一次巻線、N5 ブースト
巻線、N6 二次巻線、NHV 昇圧巻線、Cr 一次側
並列共振コンデンサ、C6 二次側並列共振コンデン
サ、DHV 高圧整流ダイオード、COHV 平滑コンデン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰極線管表示装置用のスイッチング電源
    回路において、 交流入力電圧を整流平滑した整流平滑電圧としての直流
    入力電圧を得る整流平滑手段と、 上記直流入力電圧をスイッチングして出力するスイッチ
    ング素子を備えて形成されるスイッチング手段と、 上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側
    共振回路が形成されるようにして備えられる一次側並列
    共振コンデンサと、 上記陰極線管表示装置で用いる水平同期信号に同期した
    信号を用いて、上記スイッチング素子に水平同期信号に
    同期したスイッチング動作をさせるスイッチング駆動手
    段と、 少なくとも一次側に一次巻線、二次側に二次巻線と昇圧
    巻線が施され、一次側の巻線と二次側の巻線は疎結合、
    上記二次巻線と上記昇圧巻線は密結合とされ、一次側の
    巻線に得られる上記スイッチング手段の出力を、上記二
    次巻線に伝送し、さらに上記二次巻線に得られる電圧を
    上記昇圧巻線に伝送して、二次側から昇圧された高圧交
    番電圧を得るようにされた高圧発生トランスと、 上記二次巻線から上記昇圧巻線に対して共振電圧が伝送
    されるようにする二次側共振回路を形成するために、上
    記二次巻線に接続される二次側並列共振コンデンサと、 上記昇圧巻線に得られる高圧交番電圧について半波整流
    動作を行うことで、直流高電圧を得るように構成された
    直流高電圧生成手段と、 上記直流高電圧を定電圧化する定電圧制御手段と、 を備えたことを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 【請求項2】 上記高圧発生トランスの上記一次巻線を
    巻き上げたブースト巻線と、該ブースト巻線に得られる
    交番電圧を整流するブースト用整流ダイオードと、該ブ
    ースト用整流ダイオードによる整流出力を平滑化するブ
    ースト用平滑コンデンサを備えることでブースト電圧を
    生成し、このブースト電圧を上記整流平滑電圧に重畳し
    てブースト整流平滑電圧を得るようにされているブース
    ト手段をさらに備えるとともに、 上記定電圧制御手段は、上記ブースト電圧を設定するイ
    ンダクタンス成分として機能するようにして設けられる
    被制御巻線と、該被制御巻線とその巻回方向が直交する
    ようにされた制御巻線とが巻装される直交形制御トラン
    スを備え、上記直流高電圧のレベルに応じて可変される
    制御電流を上記制御巻線に流して上記被制御巻線のイン
    ダクタンスを変化させることで、上記ブースト電圧を制
    御し、上記直流高電圧を定電圧化するようにされている
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回
    路。
  3. 【請求項3】 上記定電圧制御手段は、上記高圧発生ト
    ランスの上記一次巻線と直列接続され上記一次側共振回
    路のインダクタンス成分として機能するようにして設け
    られる被制御巻線と、該被制御巻線とその巻回方向が直
    交するようにされた制御巻線とが巻装される直交形制御
    トランスを備え、上記直流高電圧のレベルに応じて可変
    される制御電流を上記制御巻線に流して上記被制御巻線
    のインダクタンスを変化させることで、上記一次側共振
    回路の電圧共振パルスを制御して、上記直流高電圧に対
    する定電圧制御を行うようにされていることを特徴とす
    る請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  4. 【請求項4】 上記定電圧制御手段は、上記高圧発生ト
    ランスの上記二次巻線と接続され上記二次側共振回路の
    インダクタンス成分として機能するようにして設けられ
    る被制御巻線と、該被制御巻線とその巻回方向が直交す
    るようにされた制御巻線とが巻装される直交形制御トラ
    ンスを備え、上記直流高電圧のレベルに応じて可変され
    る制御電流を上記制御巻線に流して上記被制御巻線のイ
    ンダクタンスを変化させることで、上記二次側共振回路
    の電圧共振周波数を制御して、上記直流高電圧に対する
    定電圧制御を行うようにされていることを特徴とする請
    求項1に記載のスイッチング電源回路。
  5. 【請求項5】 上記直交形制御トランスの上記制御巻線
    は、複数のリッツ線を束ねて巻装したことを特徴とする
    請求項2、請求項3、又は請求項4に記載のスイッチン
    グ電源回路。
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