JP2002186255A - スイッチング電源回路 - Google Patents

スイッチング電源回路

Info

Publication number
JP2002186255A
JP2002186255A JP2000381701A JP2000381701A JP2002186255A JP 2002186255 A JP2002186255 A JP 2002186255A JP 2000381701 A JP2000381701 A JP 2000381701A JP 2000381701 A JP2000381701 A JP 2000381701A JP 2002186255 A JP2002186255 A JP 2002186255A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
voltage
winding
circuit
switching
boost
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000381701A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayuki Yasumura
昌之 安村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2000381701A priority Critical patent/JP2002186255A/ja
Publication of JP2002186255A publication Critical patent/JP2002186255A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dc-Dc Converters (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フライバックトランス等に対する銅板による
磁気シールドを不要とする。 【解決手段】 電圧共振形コンバータ回路によるスイッ
チング電源回路おいて、コンバータ動作を陰極線管表示
装置で用いられている水平同期信号に同期するようにす
ることで、フライバックトランスの漏洩磁束と水平同期
信号が干渉して電源ビートを発生させるということをな
くし、これによってトランスに漏洩磁束をシールドする
ためのシールド部材を設ける必要をなくす。またリンギ
ング成分を抑制して電力変換効率を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばテレビジョ
ン受像器や映像モニタ装置などの、陰極線管(CRT)
を用いた表示装置に好適なスイッチング電源回路に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】例えばテレビジョン受像器用のスイッチ
ング電源として、一次側が一石構成の電圧共振形コンバ
ータ、二次側が半波整流方式電圧共振回路を組み合わせ
た複合共振形コンバータを用いるものを本出願人は提案
していた。この場合、交流入力電圧や負荷電力の変動に
対して、直流出力電圧を定電圧制御するためには、一次
側スイッチング素子のスイッチング周波数と導通角を同
時に制御する複合制御方式を採用していた。
【0003】図8の回路図は、先に本出願人が提案した
発明に基づいて構成することのできる、先行技術として
のテレビジョン受像器用のスイッチング電源回路の一例
を示している。この図に示す電源回路においては、先
ず、商用交流電源(交流入力電圧VAC)を入力して直流
入力電圧を得るための整流平滑回路として、ブリッジ整
流回路Di及び平滑コンデンサCiからなる全波整流回
路が備えられ、交流入力電圧VACの1倍のレベルに対応
する整流平滑電圧Eiを生成するようにされる。
【0004】上記整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を
入力して断続するスイッチングコンバータとしては、1
石のスイッチング素子Q1を備えて、いわゆるシングル
エンド方式によるスイッチング動作を行う電圧共振形コ
ンバータが備えられる。そしてこの図8の場合は、1石
のスイッチング素子Q1によりシングルエンド動作を行
う電圧共振形コンバータ回路として、自励式の構成が採
られる。この場合、スイッチング素子Q1には、高耐圧
のバイポーラトランジスタ(BJT;接合型トランジス
タ)が採用されている。
【0005】スイッチング素子Q1のベースと一次側ア
ース間には、駆動巻線NB、共振コンデンサCB、ベース
電流制限抵抗RBの直列接続回路よりなる自励発振駆動
用の直列共振回路が接続される。また、スイッチング素
子Q1のベースと平滑コンデンサCiの負極(1次側ア
ース)間に挿入されるクランプダイオードDDにより、
スイッチング素子Q1のオフ時に流れるクランプ電流の
経路を形成するようにされている。なお、起動抵抗RS
は、起動時のベース電流を整流平滑ラインから得るため
に挿入されるものである。
【0006】また、上記スイッチング素子Q1のコレク
タ−エミッタ間に対しては、並列共振コンデンサCrが
並列に接続されている。そして並列共振コンデンサCr
自身のキャパシタンスと、絶縁コンバータトランスPI
Tの一次巻線N1側のリーケージインダクタンスL1とに
より電圧共振形コンバータの一次側並列共振回路を形成
する。
【0007】この図に示す直交形制御トランスPRT
は、共振電流検出巻線ND、駆動巻線NB、及び制御巻線
NCが巻装された可飽和リアクトルである。この直交形
制御トランスPRTは、スイッチング素子Q1を駆動す
ると共に、定電圧制御のために設けられる。この直交形
制御トランスPRTには、図示するようにして、共振電
流検出巻線ND、駆動巻線NBが巻装され、また、これら
2つの巻線とは直交する方向に対して制御巻線NCが巻
装される。
【0008】直交形制御トランスPRTにおいては、共
振電流検出巻線NDに得られたスイッチング出力がトラ
ンス結合を介して駆動巻線NBに誘起される。これによ
り、自励発振駆動回路を形成する直列共振回路(NB,
CB)からベース電流制限抵抗RBを介してスイッチング
素子Q1のベースにドライブ電流が出力される。これに
より、スイッチング素子Q1は、直列共振回路の共振周
波数により決定されるスイッチング周波数でスイッチン
グ動作を行うことになる。そして、そのコレクタに得ら
れるとされるスイッチング出力を絶縁コンバータトラン
スPITの一次巻線N1に伝達するようにされている。
【0009】絶縁コンバータトランスPITは、スイッ
チング素子Q1のスイッチング出力を二次側に伝送す
る。この絶縁コンバータトランスPITは、EE型コア
に対して一次巻線N1と二次巻線N2を分割して巻装し、
中央磁脚に対してはギャップGを形成することで、所要
の結合係数による疎結合の状態が得られるようにして、
飽和状態が得られにくいようにしている。
【0010】上記絶縁コンバータトランスPITの一次
巻線N1の巻始め端部は、スイッチング素子Q1のコレク
タと接続され、巻終り端部は検出巻線NDを介して平滑
コンデンサCiの正極(整流平滑電圧Ei)と接続され
ている。従って、一次巻線N1に対しては、スイッチン
グ素子Q1のスイッチング出力が供給されることで、ス
イッチング周波数に対応する周期の交番電圧が発生す
る。
【0011】絶縁コンバータトランスPITの二次側で
は、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線
N2に発生する。この場合、二次巻線N2に対しては、二
次側並列共振コンデンサC2が並列に接続されること
で、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次
側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって
並列共振回路が形成される。この並列共振回路により、
二次巻線N2に誘起される交番電圧は共振電圧となる。
つまり二次側において電圧共振動作が得られる。
【0012】即ち、この電源回路では、一次側にはスイ
ッチング動作を電圧共振形とするための並列共振回路が
備えられ、二次側には電圧共振動作を得るための並列共
振回路が備えられる。このように一次側及び二次側に対
して共振回路が備えられて動作する構成のスイッチング
コンバータが、本明細書でいう上述した「複合共振形ス
イッチングコンバータ」としての構成となる。
【0013】上記のようにして形成される電源回路の二
次側においては、フライバックトランスFBT及び直流
高電圧を得るための整流平滑回路から成る高圧発生回路
40Aが設けられる。まず二次巻線N2に対して並列
に、フライバックトランスFBTの一次巻線N4が接続
される。この場合、絶縁コンバータトランスPITが複
合共振形スイッチングコンバータとして動作することに
よって、二次側並列共振コンデンサC2の両端には共振
パルス電圧V2が発生する。そしてフライバックトラン
スFBTは、一次巻線N4に印加される共振電圧V2を
二次側に伝達する。このフライバックトランスFBT及
びその二次側の整流平滑回路では、一次巻線N4に発生
する共振電圧を昇圧して、例えばCRTのアノード電圧
レベルに対応した高電圧を生成する。このため、フライ
バックトランスFBTの二次側には、5組の昇圧巻線N
HV1,NHV2,NHV3,NHV4,NHV5が層間フィルム同軸
捲きによって分割されて巻装されている。そして各々の
昇圧巻線NHV1〜NHV5の巻始め端部に対しては、高圧整
流ダイオードDHV1,DHV2,DHV3,DHV4,DHV5のア
ノード側が接続されている。さらに、高圧整流ダイオー
ドDHV1のカソードが平滑コンデンサCOHVの正極端子に
接続され、残る高圧整流ダイオードDHV2〜DHV5の各カ
ソードが、それぞれ昇圧巻線NHV1〜NHV4の巻終り端部
に対して接続される。
【0014】即ち、フライバックトランスFBTの二次
側には、[昇圧巻線NHV1、高圧整流ダイオードDHV
1]、[昇圧巻線NHV2、高圧整流ダイオードDHV2]、
[昇圧巻線NHV3、高圧整流ダイオードDHV3]、[昇圧
巻線NHV4、高圧整流ダイオードDHV4]、[昇圧巻線N
HV5、高圧整流ダイオードDHV5]という5組の半波整流
回路が直列に接続された、いわゆるマルチシングラー方
式の半波整流回路が形成されていることになる。
【0015】従って、フライバックトランスFBTの二
次側においては、5組の半波整流回路が昇圧巻線NHV1
〜NHV5に誘起された電流を整流して平滑コンデンサCO
HVに対して充電するという動作が行われ、平滑コンデン
サCOHVの両端には、各昇圧巻線NHV1〜NHV5に誘起さ
れる誘起電圧の約5倍に対応するレベルの直流高電圧E
HVが得られることになる。そして、この平滑コンデンサ
COHVの両端に得られた直流高電圧EHVを、例えばCR
Tのアノード電圧として利用するようにしている。
【0016】なお、この場合、フライバックトランスF
BTの一次巻線N4は30〜50T(ターン)、昇圧巻
線NHV1〜NHV5はそれぞれ530T程度とされて、5層
の層間フィルム捲きで2650T程度とされる。結合係
数は0.9程度である。例えば直流高電圧EHVとして3
1.5KVが得られるようにする場合は、絶縁コンバー
タトランスPITの一次巻線N1=90T、二次巻線N
2=75T、共振コンデンサCr=2700pF、二次
側並列共振コンデンサC2=0.017μF、フライバ
ックトランスFBTの一次巻線N4=50T、昇圧巻線
NHV1〜NHV5=520Tが選定される。
【0017】直流高電圧EHVは、高圧抵抗R1,分割抵
抗R2によって分圧されて制御回路1に対して供給され
る。制御回路1においては、分圧された直流高電圧EHV
を用いて定電圧化のための制御信号を生成する。即ち制
御回路1では、直流高電圧EHVの電圧レベルの変化に応
じて、制御巻線NCに流す制御電流(直流電流)レベル
を可変するようにされている。これによって、駆動巻線
NBのインダクタンスLBが可変されて、自励発振駆動回
路内の直列共振回路の共振周波数、つまり、スイッチン
グ素子Q1のスイッチング周波数が可変制御される。こ
れにより直流高電圧EHVを定電圧化する。交流入力電圧
VAC=90V〜120V、高圧負荷電力PHV=126W
〜0Wの変動に対して、スイッチング周波数fsは、8
0KHz〜95KHzの範囲で制御される。ここで、ス
イッチング周波数を可変するのにあたってはスイッチン
グ素子Q1がオフとなる期間TOFFは一定とされたうえ
で、オンとなる期間TONを可変制御するように動作して
いる。本明細書では、このような複合的な制御を「複合
制御方式」ということとしている。
【0018】図9、図10は、上記図8に示した電源回
路における要部の動作を示す波形図である。図9は交流
入力電圧VAC=100V、最大高圧負荷電力PHV=12
6W(=31.5KV×4mA)時の動作波形であり、
図10は交流入力電圧VAC=100V、最大高圧負荷電
力PHV=0W(=31.5KV×0mA)時の動作波形
である。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記図8の
ような電源回路では、次のような問題を有している。絶
縁コンバータトランスPITは、図11(a)に示すよ
うに、例えばフェライト材によるE型コアCR1、CR
2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コ
アが備えられ、このEE型コアの中央磁脚に対して、分
割ボビンBを利用して一次巻線N1と、二次巻線N2をそ
れぞれ分割した状態で巻装している。そして、中央磁脚
に対しては図のようにギャップGを形成するようにして
いる。これによって、所要の結合係数による疎結合が得
られるようにしている。結合係数は、例えば0.8程度
とされる。これにより絶縁コンバータトランスPITの
近辺には約20%の漏洩磁束が発生する。この漏洩磁束
の周波数は、上述のスイッチング周波数fsの制御によ
り80KHz〜95KHzとなる。
【0020】また図12にフライバックトランスFBT
の断面図を示すが、フライバックトランスFBTは、例
えばフェライト材による2つのコの字形コアCR11,
CR12の各磁脚を対向するように組み合わせることで
角形コアCR30が形成されている。そして、コの字形
コアCR11の端部と、コの字形コアCR12の端部と
が対向する部分にはギャップGが設けられている。例え
ば各ギャップGは0.35mmとされる。そして、図示
するように、角形コアCR30の一方の磁脚に対して、
低圧巻線ボビンLBと高圧巻線ボビンHBを取り付ける
ことで、これら低圧巻線ボビンLB及び高圧巻線ボビン
HBに対して、それぞれ一次側巻線N4及び昇圧巻線NH
Vを分割して巻装するようにしている。この場合、低圧
巻線ボビンLBには一次側巻線N4が巻装され、高圧巻
線ボビンHBには複数の昇圧巻線NHVが層間フィルムF
を挿入して巻き上げる層間巻きによって巻装されること
になる。このフライバックトランスFBTの場合も、そ
の近辺には80KHz〜95KHz程度の周波数の漏洩
磁束が発生する。
【0021】一方、テレビジョン受像器の水平同期信号
の周波数fhは、NTSC方式ではfh=15.75K
Hz、ハイビジョン方式ではfh=33.75KHz、
NTSC方式の倍速方式ではfh=31.5KHz、3
倍速方式ではfh=47.25KHz等、種々のテレビ
ジョン放送方式によって異なっている。この水平同期信
号に同期して動作している水平偏向回路に関しては、陰
極線管(CRT)のネック部に偏向ヨークが配され、ま
たプリント基板上には水平直線性補正コイル、ダイナミ
ックフォーカストランス等のリアクタ、インダクタが数
多くマウントされている。そして上記した絶縁コンバー
タトランスPITやフライバックトランスFBTの漏洩
磁束がこれらの水平偏向回路の構成部品に結合すると、
水平同期周波数fhとスイッチング周波数fsの干渉に
よる斜縞の電源ビートがブラウン管面上に発生してしま
う。
【0022】この対策のためには図11(a)に破線で
示すように、絶縁コンバータトランスPITのギャップ
Gの周辺に銅板を1ターン巻き付けて半田付けしたショ
ートリングSRを配している。図11(b)はショート
リングSRを巻き付けた状態の模式図である。ショート
リングSRは所要箇所Hが半田付けされる。このショー
トリングSRにより漏洩磁束を磁気シールドすること
で、電源ビートの発生を抑制する。またフライバックト
ランスFBTには図12に破線で模式的に示すように、
所要箇所を半田付けしたに銅板による磁気シールド板M
Sを配設し、漏洩磁束を抑制している。
【0023】しかしながら、このような絶縁コンバータ
トランスPITやフライバックトランスFBTのシール
ド処理のために、銅板の材料コストがかかることや、取
付/半田付け工程の必要性から、各トランス(PIT、
FBT)の製造工程の煩雑化やコストアップを招くとい
う問題があった。
【0024】また絶縁コンバータトランスPITでは、
フェライト磁心と銅板が振動によって可聴周波数帯域の
鳴きが生じないようにするために、トランス組立後にワ
ニス含浸を行って銅板を固定することも必要であった。
フライバックトランスFBTでは、絶縁板の上に銅板を
巻くか、或いは銅板をトランスから離して実装しなけれ
ばならない。これらのことも、絶縁コンバータトランス
PITやフライバックトランスFBTの製造工程の煩雑
化やコストアップを招く。
【0025】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記し
た課題を考慮して、陰極線管表示装置用のスイッチング
電源回路において、絶縁コンバータトランスPITやフ
ライバックトランスFBTに対する漏洩磁束のシールド
処理を不要とすることを目的とする。
【0026】このため本発明は、交流入力電圧を整流平
滑した整流平滑電圧としての直流入力電圧を得る整流平
滑手段と、上記直流入力電圧をスイッチングして出力す
るスイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手
段と、上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とする
一次側共振回路が形成されるようにして備えられる一次
側並列共振コンデンサと、上記陰極線管表示装置で用い
る水平同期信号に同期した信号を用いて、上記スイッチ
ング素子に水平同期信号に同期したスイッチング動作を
させるスイッチング駆動手段と、一次側巻線と二次側高
圧巻線が密結合とされ、上記一次側巻線に得られる上記
スイッチング手段の出力を上記二次側高圧巻線に伝送
し、二次側から昇圧された高圧交番電圧を得るようにさ
れたフライバックトランスと、上記フライバックトラン
スの二次側に得られる高圧交番電圧について半波整流動
作を行うことで、直流高電圧を得るように構成された直
流高電圧生成手段と、上記フライバックトランスの一次
側巻線を巻き上げたブースト巻線と該ブースト巻線に得
られる交番電圧を整流するブースト用整流ダイオードと
該ブースト用整流ダイオードによる整流出力を平滑化す
るブースト用平滑コンデンサを備えることでブースト電
圧を生成し、このブースト電圧を上記整流平滑電圧に重
畳してブースト整流平滑電圧を得るようにされているブ
ースト手段と、上記ブースト電圧を設定するインダクタ
ンス成分として機能するようにして設けられる被制御巻
線と該被制御巻線とその巻回方向が直交するようにされ
た制御巻線とが巻装される直交形制御トランスを備え上
記直流高電圧のレベルに応じて可変される制御電流を上
記制御巻線に流して上記被制御巻線のインダクタンスを
変化させることで上記ブースト電圧を制御し、上記直流
高電圧を定電圧化するようにされた定電圧制御手段とを
備えてスイッチング電源回路を構成する。
【0027】上記構成によれば、一次側においては電圧
共振形コンバータを形成するための一次側共振回路を備
えたスイッチングコンバータの動作を、水平同期周波数
に同期させることができ、これによって絶縁コンバータ
トランスや高圧発生トランスの漏洩磁束と水平同期周波
数の干渉による電源ビートが発生しないようになる。ま
た、一次側において整流平滑電圧に対してブースト電圧
を重畳することでブースト平滑電圧を得るブースト手段
が備えられ、これにより、スイッチングコンバータへの
見かけ上の直流入力電圧レベルを上昇させる。そしてこ
のブースト回路は直交形制御トランスのインダクタンス
制御によってブースト電圧が制御され、直流高電圧の安
定化が行われるように構成される。
【0028】また本発明のスイッチング電源回路は、上
記構成において、上記直流高電圧生成手段は、分割され
た上記二次側高圧巻線ごとに整流ダイオードを直列に挿
入することで、上記高圧交番電圧を整流する多段型整流
回路と、この多段型整流回路の整流出力を平滑化する平
滑コンデンサを備えることで、所要のレベルの直流高電
圧を生成して出力すると共に、上記多段型整流回路の整
流電流経路に対してリンギング抑制回路が接続されてい
るようにする。又は、上記ブースト巻線に対して直列
に、リンギング抑制回路が接続されているようにする。
このような構成により、当該スイッチング電源回路の二
次側又は一次側に流れるリンギング電流を抑制する作用
を有する。
【0029】また本発明のスイッチング電源回路は、上
記構成において、上記直交形制御トランスの上記制御巻
線は、複数の線材を束ねて巻装するものとする。これに
より、起磁力を維持したまま制御巻線の時定数を小さく
でき、高速過渡応答が改善される。
【0030】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施の形
態としてのスイッチング電源回路の構成を示している。
この図1の回路は、いわゆるシングルエンド方式で自励
式によりスイッチング動作を行う電圧共振形コンバータ
を備えている。この電圧共振形コンバータに備えられる
1石のスイッチング素子Q1には、高耐圧のバイポーラ
トランジスタ(BJT;接合型トランジスタ)が採用さ
れている。
【0031】商用交流電源ACには、ブリッジ整流回路
Di及び平滑コンデンサCiから成る整流平滑回路が接
続されており、交流入力電圧VACのほぼ1倍のレベルに
対応する整流平滑電圧Eiを生成し、直流入力電圧とし
て後段の電圧共振形コンバータに供給する。
【0032】スイッチング素子Q1のベースは、起動抵
抗RSを介して平滑コンデンサCi(整流平滑電圧E
i)の正極側に接続されて、起動時のベース電流を整流
平滑ラインから得るようにしている。
【0033】また、スイッチング素子Q1のベースと一
次側アース間には、フライバックトランスFBTの一次
側に巻数1T(ターン)で施されたドライブ巻線NB
と、共振コンデンサCB−インダクタLB−ベース電流制
限抵抗RBの直列回路よりなる自励発振駆動用の直列共
振回路が接続される。この自励発振回路によってスイッ
チング素子Q1をオン/オフするスイッチング周波数f
sが生成される。例えば当該スイッチング電源回路が搭
載されるテレビジョン受像器等において水平同期周波数
fh=33.75KHzであるとすると、上記直列共振
回路によるスイッチング周波数fs=33.5KHz程
度に設定する。
【0034】さらに本例の場合は、水平同期周波数fh
と同期をとるために、陰極線管表示装置の水平同期回路
系で用いられている水平発振パルス電圧、又は水平ドラ
イブパルス電圧、又は水平出力パルス電圧としての電圧
Vfhが、抵抗Rh、コンデンサChを介してスイッチ
ング素子Q1のベースに印加される。これによってスイ
ッチング素子Q1のスイッチング動作が、外部同期がと
られることになる。
【0035】また、スイッチング素子Q1のベースと平
滑コンデンサCiの負極(1次側アース)間に挿入され
るクランプダイオードDDにより、スイッチング素子Q1
のオフ時に流れるクランプ電流の経路を形成するように
されており、また、スイッチング素子Q1のコレクタ
は、フライバックトランスFBTの一次巻線N4の一端
と接続され、エミッタは接地される。
【0036】また、スイッチング素子Q1 のコレクタ−
エミッタ間に対しては、並列共振コンデンサCrが並列
に接続されている。この並列共振コンデンサCrは、自
身のキャパシタンスと、フライバックトランスFBTの
一次巻線N4、及び直交形制御トランスPRT(Power
Regulating Transformer) の被制御巻線NR の直列接続
により得られる合成インダクタンス(L4+LR)とに
より電圧共振形コンバータの並列共振回路を形成する。
そして、スイッチング素子Q1 のオフ時には、この並列
共振回路の作用によって共振コンデンサCrの両端電圧
V1は、実際には正弦波状のパルス波形となって電圧共
振形の動作が得られるようになっている。
【0037】直交形制御トランスPRTは、被制御巻線
NR及び制御巻線NCが巻装された可飽和リアクトルであ
る。この直交形制御トランスPRTは、制御回路1によ
って制御巻線NCに流される制御電流によって被制御巻
線NRのインダクタンスLRが可変される。これによって
後述するブースト電圧VBを制御し、直流高電圧EHVの
安定化を行う。
【0038】この直交形制御トランスPRTの制御巻線
NCは、例えば各60μmφの3〜6束のリッツ線を用
いて、400〜200T(ターン)巻回されて成る。図
2に直交形制御トランスPRTの構造を示す。図2
(a)はその全体構造を説明するための外観斜視図、図
2(b)は巻装される巻線の巻線方向を説明するための
断面斜視図である。直交形制御トランスPRTは、2つ
のダブルコの字形コア21,22(フェライトコア)を
組み合わせた立体形コア20によって形成されている。
そして一方のダブルコの字形コア21は、4本の磁脚2
1a,21b,21c,21dを有し、また、他方のダ
ブルコの字形コア22も4本の磁脚22a,22b,2
2c,22dを有する。そして、これら2つのダブルコ
の字形コア21,22の互いの磁脚21a〜21d,2
2a〜22dの端部を接合することで立体形コア20が
形成されている。各ダブルコの字形コア21,22の各
接合部分はギャップGが設けられる。
【0039】この場合、例えばダブルコの字形コア21
の2本の磁脚21b,21cには制御巻線NC が巻回さ
れ、ダブルコの字形コア22の磁脚22c,22dには
被制御巻線NRが巻回されている。つまり被制御巻線NR
に対して制御巻線NC が直交する方向に巻回された可飽
和リアクトルとして構成される。
【0040】そして制御巻線NCは、図示するように例
えば各60μmφの3束のリッツ線NC1、NC2、NC3を束
ねた状態で、400T程度巻回される。なお、4束、5
束、6束のリッツ線を束ねて巻回してもよい。例えば6
束の場合は200T程度巻回する。このように複数束の
リッツ線を束ねて、ターン数を減らすことで、1束のリ
ッツ線を用いる場合に比べて、制御巻線NCの直流抵抗
値及びインダクタンスを下げることができ、即ち起磁力
を同等に維持したまま時定数を小さくできる。これは、
制御巻線NCに流される制御電流による被制御巻線NRの
インダクタンスLRの可変制御について、高速過渡応答
性を向上させるものとなる。
【0041】図1の回路において、スイッチング素子Q
1に得られるスイッチング出力は、高圧発生回路40を
形成するフライバックトランスFBTの一次巻線N4に
対して伝達される。フライバックトランスFBTは、図
示するように、一次側には一次巻線N4が巻装される。
また二次側高圧巻線として、5組の昇圧巻線NHV1,NH
V2,NHV3,NHV4,NHV5が巻装されている。これら昇
圧巻線NHV1〜NHV5は、実際には、分割されて各々独立
した状態でコアに巻装されている。これら昇圧巻線NHV
1〜NHV5は、一次巻線N4に対して逆極性となるように
巻装されていることで、フライバック動作が得られるよ
うになっている。
【0042】これら昇圧巻線NHV1,NHV2,NHV3,NH
V4,NHV5は、それぞれ図示するようにして、高圧整流
ダイオードDHV1,DHV2,DHV3,DHV4,DHV5の各々
と直列接続されることで、計5組の半波整流回路を形成
し、これら5組の半波整流回路がさらに直列に多段接続
されているものである。そして、これら5組の半波整流
回路から成る多段型整流回路に対して平滑コンデンサC
OHVが並列に接続されている。
【0043】但し、本実施の形態においては、図示する
ように、昇圧巻線NHV5の巻始め端部と、二次側アース
間に対して、図示するように、高圧整流ダイオードDHV
1〜DHV5と同一の導通方向によって、追加高圧整流ダイ
オードDHV6を直列に接続している。つまり、二次側整
流平滑回路の整流電流経路内における、多段型整流回路
の最下段に対して追加高圧整流ダイオードDHV6を設け
ているものである。この追加高圧整流ダイオードDHV6
は、リンギング抑制回路41Aとしての作用をなす。
【0044】上記した二次側整流平滑回路の動作として
は次のようになる。フライバックトランスFBTの一次
巻線N4と昇圧巻線NHV1〜NHV5とは密結合であり、一
次側電圧共振コンバータのスイッチング素子Q1がオフ
の時に一次巻線N4に発生する正極性の正弦波パルス電
圧を昇圧巻線NHV1〜NHV5で昇圧する。そして、フライ
バックトランスFBTの二次側においては、5組の半波
整流回路が昇圧巻線NHV1〜NHV5に誘起された電圧を、
高圧整流ダイオードDHV1〜DHV5(及び追加高圧整流ダ
イオードDHV6)により整流して平滑コンデンサCOHVに
対して充電するという動作が行われる。これによって、
平滑コンデンサCOHVの両端には、各昇圧巻線NHV1〜N
HV5に誘起される電圧の5倍に対応するレベルの直流電
圧が得られる。そして、この平滑コンデンサCOHVの両
端に得られた直流電圧が直流高電圧EHVとして出力され
ることになる。この直流高電圧EHVは、例えばCRTの
アノード電圧として利用される。
【0045】また、直流高電圧EHVが得られる平滑コン
デンサCOHVに対しては、分圧抵抗R1−R2の直列接続
回路が並列に設けられる。そして、この分圧抵抗R1−
R2の分圧点は、制御回路1に対して接続される。つま
り本実施の形態においては、制御回路1に対しては、検
出電圧として、直流高電圧EHVを分圧抵抗R1−R2によ
り分圧して得られる電圧レベルが入力されることにな
る。さらに、平滑コンデンサCOHVと二次側アース間に
は抵抗R3が挿入され、抵抗R3の一端側の電圧が、制
御回路1に対しての検出電圧として供給されている。
【0046】制御回路1は誤差電圧増幅器として構成さ
れ、直流高電圧EHVの変化に応じて、制御巻線NCに流
す制御電流(直流電流)レベルを可変することで、被制
御巻線NRのインダクタンスLRを可変制御する。これに
よりブースト電圧VBの制御を行い、直流高電圧EHVの
安定化を行う。
【0047】図3及び図4の断面図により、上記図1に
示す回路に備えられるフライバックトランスFBTの構
造例を示しておく。なお図1に示す駆動巻線NB、ブー
スト巻線N5については図示を省略している。先ず、図
3に示すフライバックトランスFBTでは、例えばフェ
ライト材による2つのU字型コアCR1,CR2の各磁
脚を対向するように組み合わせることでU−U字型コア
CRが形成される。そして、U字型コアCR1の磁脚端
部と、U字型コアCR2の磁脚端部との対向する部分に
はギャップG1,G2をそれぞれ設けるようにされる。
そして、図示するように、一次巻線N4を巻装した低圧
巻線ボビンLBをU−U字型コアCRの一方の磁脚に対
して貫通させるように取り付ける。そして、この低圧巻
線ボビンLBのさらに外側に対して、昇圧巻線NHV(1〜
5)を巻装した高圧巻線ボビンHBを貫通させるように
して取り付ける。これによって、一次巻線N4と昇圧巻
線NHV(1〜5)とについて分割して巻装する構造が得ら
れる。
【0048】ここで、高圧巻線ボビンHBに巻装する昇
圧巻線NHVとしては、例えば複数の昇圧巻線NHV(1〜
5)の各々を絶縁した状態で巻装する必要がある。この
ため、昇圧巻線NHVの巻き方は、各昇圧巻線NHV(1〜
5)を所定回数巻装して得られる巻線層ごとに層間フィ
ルムFを介在させた、いわゆる層間巻きとされている。
そのうえで、上記一次巻線N4及び昇圧巻線NHVとにつ
いて、例えば高分子のエポキシ樹脂等の充填剤により充
填することで、これらの絶縁を確保する。そして、上記
のようにして昇圧巻線NHV(1〜5)を巻装したうえで、
回路的には図1に示した態様が得られるように、各昇圧
巻線NHV(1〜5)に対して高圧整流ダイオードDHV(1〜
6)を接続して取り付ける。
【0049】また、昇圧巻線NHV(1〜5)の各々につい
て絶縁した状態が得られるようにするためには、上記図
3に示す構造のほか、図4に示すようにして、いわゆる
分割巻き(スリット巻き)による構造を採ることもでき
る。なお、図4において図3と同一部分には同一符号を
付して説明を省略する。昇圧巻線NHVを分割巻きによっ
て巻装する場合は、図示するように、高圧巻線ボビンH
B1の内側に対して一体的に仕切板DVを形成する。こ
れにより、隣り合う仕切板DVの間には、巻線領域であ
るスリットSが複数形成されることになる。そして、こ
の各スリットS内に対して昇圧巻線NHVを巻装すること
で昇圧巻線NHV間の絶縁を得るようにしているものであ
る。
【0050】これら図3又は図4に示すフライバックト
ランスFBTの構造によっては、一次巻線N4と二次側
の昇圧巻線NHV(1〜5)とについては、同一の磁脚に対
して巻装されているで、互いの結合状態として密結合の
状態が得られるようにされている。例えば実際として
は、結合係数k=0.98程度の密結合が得られている
ものである。そしてまた本例の場合は、図12で説明し
たような銅板による磁気シールド板MSは設けられな
い。
【0051】図1の回路ではさらに、フライバックトラ
ンスFBTにおいて、一次巻線N4を巻き上げるように
してブースト巻線N5が備えられる。このブースト巻線
N5の端部は、ブースト電圧生成用の平滑コンデンサC
iBの正極と接続される。平滑コンデンサCiBの負極は
平滑コンデンサCiの正極(Eiライン)と接続され
る。また、この図に示す電源回路においてはブースト用
ダイオードDBが設けられる。このブースト用ダイオー
ドDBは、アノードが平滑コンデンサCiBの負極と平滑
コンデンサCiの正極との接続点(Eiライン)と接続
され、カソードは直交型制御トランスPRTの被制御巻
線NRの直列接続を介して、一次巻線N4とブースト巻
線N5との接続点に対して接続される。このような接続
形態によると、ブースト巻線N5に得られたスイッチン
グ出力電圧をブースト用ダイオードDBにより整流して
平滑コンデンサCiBにより平滑化することで、平滑コ
ンデンサCiBの両端にブースト電圧VBを生成するブー
スト回路が形成されることになる。但し、上述のように
このブースト回路には被制御巻線NRが直列に挿入され
ている。
【0052】このブースト回路が設けられることで、ス
イッチング素子Q1を備えて成る電圧共振形スイッチン
グコンバータは、整流平滑電圧Eiに対して上記ブース
ト電圧VBを重畳して得られるブースト平滑電圧EBを動
作電源としてスイッチングを行うようにされる。つま
り、ブースト回路が動作することで、電圧共振形スイッ
チングコンバータに供給すべき見かけ上の直流入力電圧
レベルが上昇するものである。このようにして、ブース
ト回路によってブースト平滑電圧EBを得るようにされ
ていることで見かけ上の直流入力電圧の上昇が図られ、
例えば最大負荷電力としては、倍電圧整流回路により直
流入力電圧を得るようにした構成とほぼ同等となる程度
にまで増加させることが可能となる。
【0053】またブースト電圧VBは、VB=(1+N5
/N4)・(L4/(L4+LR))・Eiで表され、
つまり被制御巻線NRのインダクタンスLRを可変すれ
ば、ブースト電圧VBの制御が可能である。例えば一次
巻線N4を60T、ブースト巻線N5を20T、インダ
クタンスL4=1.5mHのときは、インダクタンスL
R=100μH〜750μHの可変範囲に対して、ブー
スト電圧VBは、1.27×Ei〜0.9×Eiの可変
範囲が得られる。
【0054】上記のように制御回路1としては、直流高
電圧EHVが一定となるように直交形トランスPRTの制
御巻線NCに対して、直流高電圧EHVの変動に応じたレ
ベルの制御電流を流して、被制御巻線NRのインダクタ
ンスLRを可変するように動作する。被制御巻線NRのイ
ンダクタンスLRは、ブースト回路に対して直列に挿入
される回路形態となっており、インダクタンスLRの変
化によりブースト回路内のインピーダンス特性を可変す
る。この結果、上記式により表されるブースト電圧VB
は可変制御される。つまり、この図に示す電源回路では
直流高電圧EHVに基づいてブースト電圧VBを制御し、
フライバックトランスFBTの一次側から二次側への伝
達エネルギーを制御することで、二次側の直流高電圧E
HVを定電圧化するものとなる。
【0055】図1の本実施の形態の電源回路によれば、
電圧共振形スイッチングコンバータの動作を、水平同期
周波数に同期させることができ、これによってフライバ
ックトランスFBTの漏洩磁束と水平同期周波数の干渉
による電源ビートが発生しないようにできるものとな
る。上記したように一次側のスイッチング素子Q1は、
ドライブ巻線NB、共振コンデンサCB、インダクタL
B、ベース電流制限抵抗RBよりなる直列共振回路によっ
てスイッチング周波数fsが設定される。ここでスイッ
チング周波数fs<水平同期周波数fhに設定すれば、
水平同期周波数に同期した電圧Vfhの外部同期トリガ
信号によってfs=fhに引き込まれてスイッチング周
波数fsが固定されることになる。例えばfs=33.
75KHzの固定周波数となる。このため電圧共振形ス
イッチングコンバータの動作は水平同期信号の周波数と
同期することになり、従ってフライバックトランスFB
Tの漏洩磁束と水平同期周波数の干渉による電源ビート
は発生しない。もちろん本例の場合は、絶縁コンバータ
トランスPITは用いられないので、図8の先行技術に
おいて言及した絶縁コンバータトランスPITの漏洩磁
束に関する問題は生じない。
【0056】図5は交流入力電圧VAC=100V、直流
高電圧EHV=31.5KV、直流高電流IHV=4mA時
の各部の動作波形であり、図6は交流入力電圧VAC=1
00V、直流高電流IHV=0W時の動作波形を示してい
る。この場合、水平同期周波数fh=33.75KHz
であり、スイッチング周波数fsがこれに同期するた
め、図5,図6に示すようにスイッチング周期は、9μ
sec+20.6μsec=29.6μsecで固定で
ある。また図5、図6を比較してわかるように、交流入
力電圧が低く、高圧負荷が重いときは、被制御巻線NR
のインダクタンスLRが減少されてブースト電圧VBが高
くなり、一次側に発生する電圧共振パルス電圧V1のピ
ーク値が上昇する。一方、交流入力電圧が高く高圧負荷
が軽いときは、被制御巻線NRのインダクタンスLRが増
加されてブースト電圧VBが低くなり、電圧共振パルス
電圧V1のピーク値が下降する。これにより直流高電圧
EHVの定電圧化が行われる。
【0057】また前述もしたように、本実施の形態にお
いては、フライバックトランスFBTの二次側整流平滑
回路において、多段型整流回路の整流電流経路に対して
リンギング抑制回路41Aとして追加高圧整流ダイオー
ドDHV6が設けられている。即ち、昇圧巻線NHV1〜NHV
5の分布容量や一次巻線N4と昇圧巻線NHV1〜NHV5の
漏洩インダクタンスにより、高周波のリンギング(振
動)電流成分が発生するが、追加高圧整流ダイオードD
HV6によってリンギング成分が低減される。結果とし
て、大幅な電力損失の低減が図られ、これにより電力変
換効率が向上する。本例の場合、AC/DCの電力変換
効率は図8の回路例の85.7%から88.5%に向上
し、入力電力を低減させることができる。最大高圧負荷
時には入力電力は4.6W低減され、また高圧無負荷時
には入力電力は3.5W低減できる。
【0058】図7に本発明の第2の実施の形態のスイッ
チング電源回路を示す。図7は、スイッチング素子Q1
をMOS−FETとし、スイッチング素子Q1に対して
ICによる他励発振回路を設けた例である。なお、図1
と同一部分は同一符号を付し、説明を省略する。
【0059】この場合も、整流平滑電圧Ei(直流入力
電圧)を入力して断続するスイッチングコンバータとし
ては、1石のスイッチング素子Q1を備えて、いわゆる
シングルエンド方式によるスイッチング動作を行う電圧
共振形コンバータが備えられる。ここでの電圧共振形コ
ンバータは他励式の構成を採っており、MOS−FET
によるスイッチング素子Q1のドレインは、フライバッ
クトランスFBTの一次巻線N4及び被制御巻線NRを
介して平滑コンデンサCiの正極と接続され、ソースは
一次側アースに接続される。
【0060】また、スイッチング素子Q1のドレイン−
ソース間に対しては、並列共振コンデンサCrが並列に
接続される。この並列共振コンデンサCrのキャパシタ
ンスと、一次巻線N4及び被制御巻線NRに得られるリ
ーケージインダクタンス(L4+LR)とによって一次
側並列共振回路を形成する。そして、スイッチング素子
Q1のスイッチング動作に応じて、この並列共振回路に
よる共振動作が得られるようにされることで、スイッチ
ング素子Q1のスイッチング動作としては電圧共振形と
なる。
【0061】また、スイッチング素子Q1のドレイン−
ソース間に対しては、MOS−FETに備えられる、い
わゆるボディダイオードによるクランプダイオードDD
が並列に接続されていることで、スイッチング素子がオ
フとなる期間に流れるクランプ電流の経路を形成する。
【0062】スイッチング素子Q1は、発振回路2及び
ドライブ回路3を統合的に備える例えば1つの集積回路
(IC)によるスイッチング駆動部10によって、スイ
ッチング駆動される。また、このスイッチング駆動部1
0は、起動抵抗Rsを介して整流平滑電圧Eiのライン
と接続されており、例えば電源起動時において、上記起
動抵抗Rsを介して電源電圧が印加されることで起動す
るようにされている。
【0063】スイッチング駆動部10内の発振回路2で
は、発振動作を行って発振信号を生成して出力する。そ
して、ドライブ回路3においてはこの発振信号をドライ
ブ電圧に変換してスイッチング素子Q1のゲートに対し
て出力する。これにより、スイッチング素子Q1は、発
振回路2にて生成される発振信号に基づいたスイッチン
グ動作を行うようにされる。従って、スイッチング素子
Q1のスイッチング周波数、及び1スイッチング周期内
のオン/オフ期間のデューティは、発振回路2にて生成
される発振信号に依存して決定される。そして特に本例
の場合は、陰極線管表示装置の水平同期回路系で用いら
れている水平発振パルス電圧、又は水平ドライブパルス
電圧、或いは水平出力パルス電圧としての電圧Vfh
が、抵抗Rh、小容量のコンデンサChを介して発振回
路2に供給されて外部同期がとられる。即ち発振回路2
は、水平同期周波数に同期した発振信号を発生するもの
となり、これによってスイッチング素子Q1のスイッチ
ング動作は、水平同期周波数に同期したものとなる。
【0064】また、さらに本実施の形態の場合には、ブ
ースト巻線N5の端部と、ブースト用平滑コンデンサC
iBの正極端子との間に対して、リンギング抑制回路4
1Bが直列に挿入される。このリンギング抑制回路41
Bは、図示するようにして、インダクタL10、コンデン
サC10、及び抵抗R10を備える。インダクタL10は、ブ
ースト巻線N5の巻終わり端部と、ブースト用平滑コン
デンサCiBの正極端子との間に対して直列に挿入され
る。そして、このインダクタL10に対して、コンデンサ
C10−抵抗R10の直列接続回路が並列に接続される。つ
まり、いわゆるLCR並列共振回路を形成しているもの
であり、このLCR並列共振回路が、ブースト巻線N5
に対して直列に接続されている態様を採っているもので
ある。なお、図1に示したリンギング抑制回路41Aは
設けられない。
【0065】このようなスイッチング電源回路の場合
も、電圧共振形スイッチングコンバータの動作は水平同
期信号の周波数と同期することになり、従ってフライバ
ックトランスFBTの漏洩磁束と水平同期周波数の干渉
による電源ビートは発生しない。このためフライバック
トランスFBTに磁気シールドを設ける必要はなくな
る。さらに、リンギング抑制回路41Bによってリンギ
ング成分が低減され、AC/DC電力変換効率を向上さ
せることができる。
【0066】以上、本発明の実施の形態を説明してきた
が、本発明のスイッチング電源回路は上記各回路構成に
限られるものではなく、各種の変形例が考えられること
はいうまでもない。例えばフライバックトランスFBT
の二次側の整流回路は、上記構成に限定されるものでは
なく、直流高電圧EHVとして必要とされるレベルが得ら
れるのであれば、他の回路構成が採用されて構わないも
のである。例えば1組の高圧巻線と4倍圧整流方式とし
ての回路構成が採られてもよい。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、電圧共振
形コンバータ回路によるスイッチング電源回路おいて、
スイッチング動作によるコンバータ動作が陰極線管表示
装置で用いられている水平同期信号に同期するようにし
ているため、コンバータトランスやフライバックトラン
スの漏洩磁束と水平同期信号が干渉して電源ビートを発
生させるということがなくなる。従って、例えばフライ
バックトランスに、漏洩磁束をシールドするための銅板
によるシールド板を設ける必要がなくなる。これによっ
てトランスの製造コストの低下、製造の簡略化、効率化
を実現できるという効果がある。さらにシールド板を設
けないことは、トランスの温度上昇を低下させるという
利点も生ずる。
【0068】また、フライバックトランスの高周波リン
ギング成分を抑制するリンギング抑制手段を備えている
ことにより電力変換効率が向上し、入力電力を低減でき
るという効果もある。
【0069】また、直交形制御トランスの制御巻線は複
数束のリッツ線を束ねて巻装することで、起磁力を維持
したまま時定数を小さくしている。これにより高速過渡
応答特性が改善され、高圧負荷の急峻な変化等にも適切
に対応した安定化動作が可能となる。さらに、直交形制
御トランスの製造時の制御巻線工程において巻き数が従
来の1/3(リッツ線3束の場合)〜1/6(リッツ線
6束の場合)等となり、巻線工程の時間が大幅に短縮さ
れ、生産性を改善できるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態としてのスイッチン
グ電源回路の構成を示す回路図である。
【図2】実施の形態の直交形制御トランスの説明図であ
る。
【図3】実施の形態のフライバックトランスの構造例の
説明図である。
【図4】実施の形態のフライバックトランスの構造例の
説明図である。
【図5】実施の形態の電源回路における要部の動作を示
す波形図である。
【図6】実施の形態の電源回路における要部の動作を示
す波形図である。
【図7】第2の実施の形態としてのスイッチング電源回
路の構成を示す回路図である。
【図8】先行技術としてのスイッチング電源回路の構成
例を示す回路図である。
【図9】先行技術に示す電源回路の要部の動作を示す波
形図である。
【図10】先行技術に示す電源回路の要部の動作を示す
波形図である。
【図11】絶縁コンバータトランスの磁気シールドの説
明図である。
【図12】フライバックトランスの磁気シールドの説明
図である。
【符号の説明】
1 制御回路、2 発振回路、3 ドライブ回路、10
スイッチング駆動部、40 高圧発生回路、41A,
41B リンギング抑制回路、Q1 スイッチング素
子、PRT 直交形制御トランス、FBT フライバッ
クトランス、N4一次巻線、N5 ブースト巻線、NHV
昇圧巻線、Cr 一次側並列共振コンデンサ、DHV
高圧整流ダイオード、COHV 平滑コンデンサ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰極線管表示装置用のスイッチング電源
    回路において、 交流入力電圧を整流平滑した整流平滑電圧としての直流
    入力電圧を得る整流平滑手段と、 上記直流入力電圧をスイッチングして出力するスイッチ
    ング素子を備えて形成されるスイッチング手段と、 上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側
    共振回路が形成されるようにして備えられる一次側並列
    共振コンデンサと、 上記陰極線管表示装置で用いる水平同期信号に同期した
    信号を用いて、上記スイッチング素子に水平同期信号に
    同期したスイッチング動作をさせるスイッチング駆動手
    段と、 一次側巻線と二次側高圧巻線が密結合とされ、上記一次
    側巻線に得られる上記スイッチング手段の出力を上記二
    次側高圧巻線に伝送し、二次側から昇圧された高圧交番
    電圧を得るようにされたフライバックトランスと、 上記フライバックトランスの二次側に得られる高圧交番
    電圧について半波整流動作を行うことで、直流高電圧を
    得るように構成された直流高電圧生成手段と、 上記フライバックトランスの一次側巻線を巻き上げたブ
    ースト巻線と、該ブースト巻線に得られる交番電圧を整
    流するブースト用整流ダイオードと、該ブースト用整流
    ダイオードによる整流出力を平滑化するブースト用平滑
    コンデンサを備えることでブースト電圧を生成し、この
    ブースト電圧を上記整流平滑電圧に重畳してブースト整
    流平滑電圧を得るようにされているブースト手段と、 上記ブースト電圧を設定するインダクタンス成分として
    機能するようにして設けられる被制御巻線と、該被制御
    巻線とその巻回方向が直交するようにされた制御巻線と
    が巻装される直交形制御トランスを備え、上記直流高電
    圧のレベルに応じて可変される制御電流を上記制御巻線
    に流して上記被制御巻線のインダクタンスを変化させる
    ことで、上記ブースト電圧を制御し、上記直流高電圧を
    定電圧化するようにされた定電圧制御手段と、 を備えたことを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 【請求項2】 上記直流高電圧生成手段は、 分割された上記二次側高圧巻線ごとに整流ダイオードを
    直列に挿入することで、上記高圧交番電圧を整流する多
    段型整流回路と、この多段型整流回路の整流出力を平滑
    化する平滑コンデンサを備えることで、所要のレベルの
    直流高電圧を生成して出力すると共に、上記多段型整流
    回路の整流電流経路に対してリンギング抑制回路が接続
    されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ
    ング電源回路。
  3. 【請求項3】 上記ブースト巻線に対して直列に、リン
    ギング抑制回路が接続されていることを特徴とする請求
    項1に記載のスイッチング電源回路。
  4. 【請求項4】 上記直交形制御トランスの上記制御巻線
    は、複数のリッツ線を束ねて巻装したことを特徴とする
    請求項1に記載のスイッチング電源回路。
JP2000381701A 2000-12-11 2000-12-11 スイッチング電源回路 Pending JP2002186255A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000381701A JP2002186255A (ja) 2000-12-11 2000-12-11 スイッチング電源回路

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000381701A JP2002186255A (ja) 2000-12-11 2000-12-11 スイッチング電源回路

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002186255A true JP2002186255A (ja) 2002-06-28

Family

ID=18849661

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000381701A Pending JP2002186255A (ja) 2000-12-11 2000-12-11 スイッチング電源回路

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002186255A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6370041B2 (en) Switching power supply circuit for generating DC high voltage
US20010019491A1 (en) High voltage stabilizing circuit
US6590787B2 (en) Wide range zero voltage switching resonance type converter
JP3680747B2 (ja) スイッチング電源回路
JP2002186255A (ja) スイッチング電源回路
JP2002186256A (ja) スイッチング電源回路
JP2002186257A (ja) スイッチング電源回路
JP2002136135A (ja) スイッチング電源回路
JP2001197744A (ja) スイッチング電源回路
JP2002136136A (ja) スイッチング電源回路
JP2002136134A (ja) スイッチング電源回路
JP2001178125A (ja) スイッチング電源回路
JP2002084752A (ja) 高電圧安定化回路
JP2001218460A (ja) スイッチング電源回路
JP2001178128A (ja) スイッチング電源回路
JP2002272106A (ja) スイッチング電源回路
JP2001218458A (ja) 高電圧安定化回路
JP2002034244A (ja) スイッチング電源回路
JP2002233149A (ja) スイッチング電源回路
JP2002325446A (ja) スイッチング電源回路
JP2002171757A (ja) スイッチング電源回路
JP2002136131A (ja) スイッチング電源回路
JP2002354806A (ja) スイッチング電源回路
JP2002136132A (ja) スイッチング電源回路
JP2002354807A (ja) スイッチング電源回路