JP2002180173A - エンド部用樹脂被覆アルミニウム合金板 - Google Patents

エンド部用樹脂被覆アルミニウム合金板

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JP2002180173A
JP2002180173A JP2000375797A JP2000375797A JP2002180173A JP 2002180173 A JP2002180173 A JP 2002180173A JP 2000375797 A JP2000375797 A JP 2000375797A JP 2000375797 A JP2000375797 A JP 2000375797A JP 2002180173 A JP2002180173 A JP 2002180173A
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Hiroshi Saito
洋 齊藤
Mitsuru Saito
充 齊藤
Koichi Ohori
紘一 大堀
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Mitsubishi Aluminum Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スコア刃を摩耗させない飲料缶のエンド部用
のアルミニウム合金板を提供しようとするものである。 【解決手段】 重量%でMn:0.9〜1.2%、M
g:2.0〜3.5%、Si:0.25〜0.45%、
Cu:0.25〜0.45%、Fe:0.35〜0.6
%、Zn:0.05〜0.40%、Ti:0.25%以
下を含有し、残部が不可避的不純物を含むアルミニウム
からなる組成を有し、0.65≦0.1Mg+0.5S
i+Cu≦0.95なる関係を満足するとともに、顕微
鏡組織中の直径6μm以上の大きさの金属間化合物が1
mm2 当たり300個以下であるエンド部用樹脂被覆ア
ルミニウム合金板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、飲料用缶のエン
ド(缶蓋)部に用いる樹脂被覆アルミニウム合金板に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、食品容器等のリサイクルに対する
社会的要求が益々高まっており、また、製造時やリサイ
クル過程で有害物質の排出など環境への悪影響が無いこ
とがますます重要となってきている。飲用缶の開口方式
としては、缶蓋に取り付けられたタブを引き上げること
により、タブと缶蓋の一部(飲み口部分)が缶から完全
に分離するいわゆるプルオンタイプ方式と、開缶時にタ
ブ及び缶蓋の飲み口部分が缶から完全に分離されないい
わゆるステイオンタブ方式がある。ステイオンタブ方式
の缶蓋の概略平面図は図1に示すとおりである。ステイ
オンタブ方式の飲料缶を開缶するには、タブ2の把持部
2Aを引き上げることにより、タブ2の取付部(リベッ
ト)5を支点としてテコの作用によりタブ2の先端部2
Bを押し下げ、これによりエンド部材1の開口部3を押
し下げて、開口部3の一部をエンド部材1に残したまま
スコア4から引き裂くことにより開缶する。このように
イージーオープンエンド方式では、開缶時において飲み
口部分がスムースに引き裂かれるように、適正な材質の
素材を選択するとともに、スコア4の形状や刻み込み寸
法を決定する。
【0003】アルミニウム合金製飲料用缶(以下単に
「飲料用缶」と称する)は、ボディ部と缶蓋を取り付け
たエンド部の2ピースで構成されており、ボディ部には
3004、3104合金などの3000番系アルミニウ
ム合金が主として用いられており、エンド部には518
2合金などの5000番系アルミニウム合金が主として
用いられている。飲料用缶をリサイクルする場合には、
ボディ部とエンド部とを分離することは難しく、300
0番系アルミニウム合金から構成されるボディ部は、缶
全体の平均組成と近似しているので、使用済みの飲料用
缶( Used Beverage Can、以下UBCと称する)を主原
料としても軽微な成分調整で足りるが、5182合金な
ど5000番系アルミニウム合金から構成されるエンド
部は、UBCを主原料として使用する場合相当の成分調
整が必要となる。したがって、エンド部を製造する場
合、UBCを主原料とすることは見送られており、この
ことが飲料用缶のリサイクル効率向上を阻止する一要因
となっていた。
【0004】本発明者らは先に特開平11−26959
4において、リサイクル性に優れたエンド部用のアルミ
ニウム合金積層板を提案している。すなわち、重量%で
Mn:0.6〜1.2%、Mg:1.5〜3.2%、S
i:0.2〜0.5%、Cu:0.3〜0.5%、F
e:0.3〜0.6%を含有し、残部が不可避的不純物
元素を含むアルミニウムからなる組成を有するアルミニ
ウム合金板に熱可塑性樹脂フィルムを積層したアルミニ
ウム合金積層板である。このような組成のアルミニウム
合金板を使用して適当な熱処理を施せば、従来の518
2合金と同等な耐圧強度を有すると共に、UBCを主原
料として飲用缶を製造する際にも、微量の成分調整をす
るだけで再利用が可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法で得たアルミニウム積層板は、エンド部にスコア加工
を施す際のスコア刃の摩耗が著しく、頻繁にスコアダイ
スを交換せねばならず、生産性が上がらないという問題
が新たに明らかになった。エンド部材にスコア4を形成
するには、図2に示すように工具鋼などからなるスコア
刃20を使用して板状のエンド部材1をプレスし、エン
ド部材1に所定形状の刻みをつける加工を施してエンド
部とする。ダイス先端部のいわゆるスコア刃の部分は、
所定形状の平坦部20Aとコーナー部20Bからなる。
加工を繰り返すほどにスコア刃のコーナー部20Bが摩
耗してくるので、スコア4部の刻みの断面形状が変化
し、エンドの諸特性が悪くなってくる。したがってエン
ドの諸特性の良いスコアを得るには、スコア刃の部分が
摩耗してきたら適度な頻度でスコアダイスを交換する必
要がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決するため、合金組成をさらに限定し適正な製造条件
を採用して金属間化合物の分布状態を制御すれば、スコ
ア刃の摩耗を減らすことができることを見出した。しか
も飲用缶としての内圧に耐えるのに十分な強度を有して
おり、スコアの引き裂き性もよく、さらにUBCのリサ
イクルによっても容易に製造することが可能なエンド部
用樹脂被覆アルミニウム合金板を提供することとした。
【0007】すなわち本発明のアルミニウム合金板は、
重量%でMn:0.9〜1.2%、Mg:2.0〜3.
5%、Si:0.25〜0.45%、Cu:0.25〜
0.45%、Fe:0.35〜0.6%、Zn:0.0
5〜0.40%、Ti:0.25%以下を含有し、残部
が不可避的不純物を含むアルミニウムからなる組成を有
し、0.65≦0.1Mg+0.5Si+Cu≦0.9
5なる関係を満足するとともに、顕微鏡組織中の直径6
μm以上の大きさの金属間化合物が1mm2 当たり30
0個以下であるエンド部用樹脂被覆アルミニウム合金板
である。金属間化合物の分布状態をこのように制御すれ
ば、材料強度を犠牲にすることなしに、スコア刃の摩耗
速度が低減できるので、スコアダイスの交換頻度が大幅
に少なくなり、設備稼働率の向上とコストダウンが図れ
るようになる。
【0008】また、上記のような金属間化合物の分布状
態を得るには、半連続鋳造法により製造されたスラブを
圧延して得られたアルミニウム合金板を使用することが
できる。上記のように制御された金属間化合物の分布状
態は、連続鋳造法あるいは半連続鋳造法により達成する
ことができるが、本発明のアルミニウム合金板において
はMgやMn等の含有量が比較的高いので、連続鋳造法
では安定して製造することが困難であり、また、中心線
偏析により必ずしもスコア刃の耐摩耗性が良くならない
場合がある。したがって半連続鋳造法により製造された
スラブを利用するのが好ましい。
【0009】本発明のエンド部用樹脂被覆アルミニウム
合金板は、前記のアルミニウム合金板の少なくとも一方
の面を、樹脂で被覆した樹脂被覆アルミニウム合金板で
ある。樹脂としては缶エンド用として広く使用されてい
る熱硬化性ビニル系塗料、ビニルオルガノゾル系塗料、
エポキシ尿素系塗料、エポキシフェノール系塗料、エポ
キシアクリル系塗料等の塗料を塗布しても良く、または
ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂をフィル
ムとして積層しても良い。
【0010】本発明のエンド部用樹脂被覆アルミニウム
合金板は、樹脂被覆後の耐力が300MPa以上、好ま
しくは310MPa以上で、かつ、引張強さと耐力との
比が1.1以上であることが好ましい。この程度の強度
があれば、特に飲用缶のエンド部材として十分な耐圧強
度となり、十分な耐ブローアップ性を備えたエンド部が
得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】まず、本発明のアルミニウム合金
板の合金組成について説明する。Mnは3004合金な
どのしごき加工が施されるボディ部用合金の必須添加元
素である。Mnは強度を向上する効果を有するが、A
l,Fe,Siなどと粗大な金属間化合物を形成し易
く、靱性を低下させ、スコア加工時に微細クラックを生
じ易くし、ブローアップを生じ易くする。また、粗大な
金属間化合物はスコア刃を摩耗させる原因となる。した
がって、含有量はあまり高過ぎない方が好ましく、1.
2%以下が良い。一方、0.9%以下とすると、UBC
を主原料として用いることができないため下限を0.9
%とした。UBCの使用率を最大とするためには、0.
9〜1%とすることが好ましい。
【0012】Mgは、強度を向上する効果を有し、耐
力、引張強さを向上するが、特に樹脂被覆後の引張強さ
を高め、引張強さと耐力との比(TS/YS)を高く
し、ブローアップを生じ難くする。しかし、2.0%未
満では、効果が不十分である。また、3.5%を超える
と、圧延性が著しく低下する。さらに、3.5%を超え
ると、合金の融点が低下するため、均質化温度や溶体化
処理を行う中間焼鈍温度を高くできなくなり、このため
Mg、Si、Cuなどの溶体化が困難になるとともに、
これらの元素の粗大な金属問化合物の量が増すため、耐
ブローアップ性が低下する。また、粗大な金属問化合物
によりスコア刃の摩耗が激しくなる。そこでMg含有量
の上限を3.5%とした。好ましくは、2.3〜3.2
%の範囲である。本合金のMg含有量は、飲料用缶のボ
ディ部を構成する合金より高いが、Mgは再溶解時に酸
化による損失を生じ易いため、本発明のアルミニウム合
金板を用いたUBCはボディ部の原料とし再利用するこ
とができる。
【0013】Siは、強度を向上する効果を有するとと
もに、鋳造時に晶出する金属間化合物を微細化させる効
果も有する。しかし、SiはMn、Mgなどと金属間化
合物を形成しやすく、添加量を0.45%以上とすると
溶体化ができないためかえって粗大な金属間化合物を形
成しやすくなるので、上限を0.45%とした。Si量
が高過ぎると、本合金をエンド部として用いた飲料用缶
のスクラツプを、ボデイ部用のスクラップとして用いる
ことも困難になるので、リサイクルの観点からもSi含
有量の上限は0.45%以下とするのが好ましい。Si
は、特に粗大な金属間化合物の数に及ぼす影響が顕著で
あり、Si含有量が0.25%未満では6μm以上の粗
大な金属間化合物の数を少なく抑えることができない。
スコア刃の摩耗量を少なくするためには、6μm以上の
粗大な金属間化合物の晶出数は1mm2 当たり300個
以下、好ましくは1mm2 当たり200個以下が良い。
したがって、スコア刃の摩耗の観点から、Si含有量は
0.25%以上とする必要がある。また、UBCを原料
として用いる点からもSi含有量は0.25%以上とす
るのが好ましい。
【0014】Cuは強度を向上する効果を有し、耐力、
引張強さを向上するが、特に樹脂被覆後の引張強さを向
上させ、引張強さと耐力との比(TS/YS)を高く
し、ブローアップを生じに難くする。 Cu含有量が
0.25%未満では十分な効果が得られず、一方0.4
5%を超えると、このアルミニウム合金板を用いた飲料
用缶を一般のボディ部用の原料スクラップとして用いる
ことが困難になる。そこで、Cu含有量を0.25〜
0.45%とした。なお、Si,MgもCuと同様の材
質強化作用を有しているので、耐力が300MPa以上
でかつ引張強さと耐力の比が1.1以上とするには、こ
れらSi,Mg,Cu3成分を当量換算して、0.65
≦0.1Mg+0.5Si+Cu≦0.95なる関係を
維持するのが好ましい。
【0015】Feは3004合金などのしごき加工が施
されるボディ部用合金のしごき加工性向上に必須の添加
元素であり、UBCに0.35〜0.5%程度含まれ
る。Feは、Al,Mn,Siなどと粗大な金属間化合
物を形成し、靱性を低下させ、スコア加工時に微細クラ
ックを生じ易くする。その結果、ブローアップが生じ易
くなる。また、粗大な金属間化合物はスコア刃を摩耗さ
せる原因となる。したがって、含有量は多過ぎない方が
好ましいが、0.6%以下であれば、これらの問題を回
避できる。また、0.35%未満とすると、UBCの原
料としての使用率が低くなるので、Feの含有量は0.
35〜0.6%とした。UBCの使用率を最大とするた
めには、0.4〜0.5%とすることが好ましい。
【0016】Zn、Tiはいずれも本発明における積極
的な添加元素ではないが、UBCに含まれる元素であ
り、UBCを原料とする場合には、それぞれ、0.05
〜0.4%、0.25%以下の範囲で含有することがあ
る。そして、この範囲であれば、本発明に悪影響を与え
ない。
【0017】次に、本発明に使用する合金の金属組織に
ついて説明する。本発明に使用する合金の金属組織は合
金元素が固溶したマトリクス中に不定形の金属間化合物
が晶出した金属組織を呈する。そしてこの金属間化合物
は、Mn,Fe,Si等を含み、硬いのでスコア刃を摩
耗させる。特に直径が6μm以上の粗大な金属間化合物
は、スコア刃の摩耗を促進する。そこで本発明では、こ
の粗大な金属間化合物の数を1mm2 当たり300個以
下、さらに好ましくは200個以下に抑制して、スコア
刃の摩耗を防ぐこととした。このように粗大な金属間化
合物はスコア刃の摩耗に対して有害であるが、UBCを
原料として用いるためには、Mn,Fe,Si等の含有
は避けられない。そこで粗大な金属間化合物の晶出を抑
制し、スコア刃の摩耗を防ぐこととした。
【0018】ここで、本発明における金属間化合物の大
きさを定義しておく。本発明に使用する合金の金属組織
は、倍率500倍程度の光学顕微鏡で観察した場合、図
4に模式図を例示するように、マトリクス10中に不定
形の金属間化合物11が点在する組織を呈する。個々の
金属間化合物は複雑な形状をしているが、この複雑な形
状の金属間化合物と同じ面積を有する円の直径で金属間
化合物の大きさを定義する。金属間化合物の大きさを測
定するには、合金板の圧延方向及び板厚方向に平行な断
面を研磨し、電解研磨仕上げをする。この面を倍率50
0倍の光学顕微鏡を用いて板厚中心から厚さ方向に±約
65μmの領域の組織を観察し、その組織を画像解析装
置に取り込む。画像解析装置としては、例えば(株)ニ
レコ製の「LUZEX F」が利用できる。画像解析装
置により個々の金属間化合物面積を計測し、同じ面積を
有する円に換算する。さらに、このようにして得られた
金属間化合物のうち、大きさが6μm以上の粗大な金属
間化合物の分布密度を計測する。
【0019】本発明では、このようにして求めた6μm
以上の粗大な金属間化合物の分布密度を1mm2 当たり
300個以下に制限する。粗大な金属間化合物の量がこ
の程度であれば、スコア刃の摩耗に重大な影響は無く、
100万回以上のスコア加工に十分耐えられる。より好
ましくは、粗大な金属間化合物の量は1mm2 当たり2
00個以下である。
【0020】本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板は、
上記のような金属間化合物の分布状態を有するアルミニ
ウム合金板の少なくとも一方の表面を、樹脂により被覆
したものである。樹脂は塗料として塗布しても良く、ま
たはフィルムとして積層しても良い。塗料としては熱硬
化性ビニル系塗料、ビニルオルガノゾル系塗料、エポキ
シ尿素系塗料、エポキシフェノール系塗料、エポキシア
クリル系塗料等が使用できる。フィルムとしては熱可塑
性樹脂の延伸フィルムが使用できる。熱可塑性樹脂とし
ては例えばポリエチレンテレフタレートあるいはエチレ
ンテレフタレート単位を主成分として、エチレンイソフ
タレート単位、ブチレンイソフタレート単位、シクロヘ
キサンジメタノール単位等を含む共重合ポリエステル、
あるいは前記のポリエチレンテレフタレート、共重合ポ
リエステル、ポリブチレンテレフタレート等の混合物が
使用可能である。
【0021】また、本発明の樹脂被覆アルミニウム合金
板は、飲料用缶のエンド部として充分な耐圧強度を得る
ために、アルミニウム合金板の耐力を300MPa以
上、好ましくは310MPa以上とし、また優れた耐ブ
ローアップ性を得るためには、引張強さと耐力との比
(TS/YS)を1.1以上とする必要がある。そし
て、UBCを原料として使用したアルミニウム合金板で
あっても、その組成と材料組織を限定することにより、
この機械的特性を達成できることを確認した。
【0022】次に、上記のような金属間化合物の分布状
態を有するアルミニウム合金板の製造方法を説明する。
本発明のアルミニウム合金板は、前記組成のアルミニウ
ム合金を溶製し、半連続鋳造法によりスラブとし、55
0℃以上融点未満の温度範囲で8時間以上保持する均質
化処理を施し、熱間圧延する。さらに所定の板厚まで冷
間圧延したのち、10〜200℃/秒の加熱速度で53
0℃まで加熱し、続いて530℃〜(融点−5℃)間で
60秒以下の時間一旦保持し、その後10〜200℃/
秒の冷却速度で100℃以下の温度まで冷却し、40〜
75%の冷間圧延を施して、最終板厚を有するアルミニ
ウム合金板とする。
【0023】なお、上記熱間圧延後あるいは所定の板厚
まで冷間圧延する途中で、中間焼鈍をしても良い。また
粗大な金属間化合物の量を少なくするためには、熱間圧
延から最終板厚までの総圧延率を80%以上、好ましく
は90%以上とするのが良い。また、粗大な金属間化合
物の量を少なくするためには、鋳造条件が最も重要であ
り、特に、スラブの厚さの上限を600mm以下に制限
することが好ましい。なお、連続鋳造圧延法を用いて
も、本発明の金属化合物が制御されたアルミニウム合金
板を得ることはできるが、Mg等の含有量の高い合金組
成の場合には、安定して製造することが困難であり、ま
た、中心線偏析により必ずしもスコア刃の摩耗は減少し
ない場合もある。
【0024】次いで、上記により得られたアルミニウム
合金板に樹脂塗料を塗装・焼き付けするか、あるいは熱
可塑性樹脂フィルムを熱圧着することにより、本発明の
樹脂被覆アルミニウム合金板を得る。塗装後の焼き付け
及び熱可塑性樹脂フィルムを熱圧着する際の、アルミニ
ウム合金板の最高加熱温度は290℃以下とし、220
〜290℃の温度範囲での総保持時間は1〜100秒の
範囲内とする。
【0025】本発明の合金組成からなるアルミニウム合
金板の耐力を300MPa以上、引張強さと耐力との比
(TS/YS)を1.1以上とするには、アルミニウム
合金板を10〜200℃/秒の加熱速度で530℃〜
(融点−5℃)の温度範囲まで加熱して1〜60秒間保
持し、その後100℃以下の温度まで10〜200℃/
秒の冷却速度で冷却した後、40〜75%の冷間圧延を
施して最終板厚とし、また、アルミニウム合金板を加熱
後、樹脂で被覆する際に、前記被覆工程中のアルミニウ
ム合金板の最高加熱温度が290℃以下であり、かつ2
20〜290℃の温度範囲の加熱時間を1〜100秒と
すればよい。
【0026】
【作用】本発明は、アルミニウム合金板中の粗大な金属
間化合物の数を少なくし、硬い金属間化合物によるスコ
ア刃の摩耗を防ぐこととした。6μm以上の粗大な金属
間化合物の個数を1mm2 当たり300個以下とすれ
ば、スコア刃の摩耗を防ぐことができる。
【0027】
【実施例】以下実施例を用いて説明する。 (実施例、比較例)表1に示す組成の合金を溶製し、半
連続鋳造により厚さ50cmのスラブに鋳造した。この
スラブを565℃で8時間の均質化熱処理を施し、熱間
圧延により厚さ約8mmの熱間圧延板とした。次いで、
冷間圧延により0.65mmの厚さの板とした。続いて
連続焼鈍炉を用いて530℃まで25℃/秒の加熱速度
で加熱し、530〜550℃の間で10秒間保持した
後、50℃/秒の冷却速度で冷却した。続いて冷間圧延
により厚さ0.28mmのアルミニウム合金板とした。
その後、このアルミニウム合金板にクロメート処理を施
し、さらに両側に厚さ9μmのPETフィルムを熱圧着
した。熱圧着時の材料の最高到達温度は240℃であ
り、220℃以上の温度に保持された時間は約5秒であ
った。
【0028】
【表1】
【0029】フィルム積層アルミニウム合金板の樹脂フ
ィルムを剥離し、アルミニウム合金板の引っ張り試験を
した結果を表2に示す。また、このアルミニウム合金板
の顕微鏡組織観察をして金属間化合物の大きさと量を測
定した。金属間化合物の測定には(株)ニレコ製の画像
解析装置「LUZEX F」を使用した。この結果も表
2に併記する。
【0030】続いて、表面を硬化コーティングした粉末
ハイス鋼からなる、平坦部の幅Aが30μmの台形形状
のスコア刃を用いて、残厚が85μmとなるようにスコ
ア成形加工を施し、60万回加工後、120万回加工後
のスコア刃をSEMで観察して、スコア刃の摩耗量を測
定した。スコア刃の摩耗量は加工前と加工後の台形上面
の平坦部の幅を測定し、両者の差で表すこととした。結
果を表2に併記する。なお、摩耗量は図3に示す両端の
B1,B2の合計量で示した。
【0031】
【表2】
【0032】表2の結果から、本発明のフィルム積層ア
ルミニウム合金板では、6μm以上の金属間化合物の量
は、1mm2 当たり250個以下である。さらに、60
万回加工後のスコア刃の摩耗量は2μm以下であり、1
20万回加工後のスコア刃の摩耗量は3μm以下で、比
較例と比べて20%以上少なくなっているのが判かる。
【0033】
【発明の効果】本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板を
使用すれば、スコア加工する際のスコア刃の摩耗が少な
く寿命が長くなるので、スコア刃の交換頻度が少なくな
り、生産性の向上とコストダウンが達成させる効果をも
たらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ステイオンタブ方式のエンド部の概略平面図
である。
【図2】 スコア加工を説明する図である。
【図3】 スコア刃の先端形状と摩耗状況を示す模式図
である。
【図4】 本発明のアルミニウム合金の顕微鏡組織の模
式図である。
【符号の説明】
1・・・・・エンド部材、2・・・・・・タブ、3・・・・・・開口部、4
・・・・・・スコア、5・・・・・・取付部、10・・・・・・マトリク
ス、11・・・・・・金属間化合物、20・・・・・・スコア刃

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でMn:0.9〜1.2%、M
    g:2.0〜3.5%、Si:0.25〜0.45%、
    Cu:0.25〜0.45%、Fe:0.35〜0.6
    %、Zn:0.05〜0.40%、Ti:0.25%以
    下を含有し、残部が不可避的不純物を含むアルミニウム
    からなる組成を有し、0.65≦0.1Mg+0.5S
    i+Cu≦0.95なる関係を満足するとともに、顕微
    鏡組織中の直径6μm以上の大きさの金属間化合物が1
    mm2 当たり300個以下であり、かつ樹脂で被覆した
    後の耐力が300MPa以上で、かつ引張強さと耐力と
    の比が1.1以上であることを特徴とするエンド部用樹
    脂被覆アルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 アルミニウム合金板が半連続鋳造法によ
    り製造されたスラブを圧延して得られたものであること
    を特徴とする請求項1に記載のエンド部用樹脂被覆アル
    ミニウム合金板。
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