JP7473707B1 - 缶蓋用アルミニウム合金板 - Google Patents

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Abstract

【課題】缶材由来のスクラップ原料を配合しつつ、高強度及び高靭性を両立できる缶蓋用アルミニウム合金板を提供する。【解決手段】本開示の一態様は、Siが0.20質量%以上0.47質量%以下、Feが0.30質量%以上0.59質量%以下、Cuが0.11質量%以上0.40質量%以下、Mnが0.70質量%以上0.98質量%以下、Mgが1.1質量%以上3.7質量%以下であり、圧延方向に対し0°方向、45°方向、及び90°方向それぞれにおいて、0.2%耐力σ0.2、引張強さσB、及び0.2%耐力と引張強さとの平均値σfmを用いて式(1)によって算出される評価値Sのうち、最小評価値Sminが330MPa以上410MPa以下である、缶蓋用アルミニウム合金板である。S=σfm/(σ0.2/σB) ・・・(1)【選択図】なし

Description

本開示は、缶蓋用アルミニウム合金板に関する。
近年、環境意識の高まりから製造工程においてCO排出量の少ないアルミニウム合金板が求められている。アルミニウムの製造工程においてCOの排出に間接的に大きく寄与するのは鋳造工程におけるアルミニウム新地金の配合である。
アルミニウム新地金の製造は、その精錬工程において大きな電力を使用し、大量のCO排出に繋がる。そのため、アルミニウム新地金の配合量を減らし、水平リサイクル率を上げることがアルミニウム合金板の製造にとってCO排出量削減に繋がる。
一般的にアルミニウムスクラップを再溶解して鋳造した場合のCO排出量は、アルミニウム新地金を製造する場合に対して約30分の1まで抑えられると言われている。特に世界中で使用される飲料缶用アルミニウム合金板の生産量は非常に多く、その水平リサイクル率をさらに向上させることは環境負荷低減に大きな意味を持つ。
その中でも、5182アルミニウム合金(AA5182合金)で形成される缶蓋は、3104アルミニウム合金(AA3104合金)で形成される缶胴に比べて、Si、Fe、Cu、Mn等の成分規格上限が低く、3104アルミニウム合金を混合した缶材由来のスクラップを配合しにくい。
例えば、市中から発生する缶スクラップ(UBC:Used Beverage Can)をそのまま配合すると、缶胴と缶蓋との重量比から3104アルミニウム合金の成分をより多く含むため、5182アルミニウム合金の成分上限を超えやすくなり、新地金で成分を希釈する必要が出てくる。
そのため、缶蓋用アルミニウム合金板は、缶胴用アルミニウム合金板に比べて新地金を多く使用して5182アルミニウム合金の成分に調整しており、リサイクル率が低い。したがって、缶蓋を3104アルミニウム合金が配合しやすい成分の合金に変更することにより、缶蓋の新地金使用率を大きく低減させることができる。
特許文献1-5ではリサイクル性に優れる3104アルミニウム合金の成分に比較的近づけた缶蓋用アルミニウム合金板が開示されている。
特開2001-73106号公報 特開平9-070925号公報 特開平11-269594号公報 特開2000-160273号公報 特開2016-160511号公報
缶蓋用の合金を3104アルミニウム合金に近い成分にする場合の課題として、缶蓋の耐圧及び材料の靭性の低下が挙げられる。缶蓋の耐圧とは、缶内部の圧力に対して缶蓋が反転するときの内圧値であり、外部環境の変化で缶の内圧が不慮に増加したときの抵抗値となる。
特にビールや炭酸飲料用途の陽圧缶は、高い耐圧が求められる。一般的に材料の強度が高くなるほど、また、板厚が厚くなるほど耐圧は増加する。そのため、陽圧缶の蓋には強度増加に寄与する成分であるMgを多く含有した高強度の5182アルミニウム合金が使用される。
これに対し従来の3104アルミニウム合金を缶蓋に使用すると耐圧が大きく低下し、不意に缶内圧が増加したときに蓋が反転して内容物が漏洩するおそれが高くなる。また、耐圧を増加させるために板厚を大きくすると、蓋重量の増加及び蓋原価の上昇を招く。
さらに、材料の靭性は蓋の成形性や開口性に影響する。材料の靭性が低いと、特に蓋のリベット部やカウンターシンク部で成形割れが生じることがある。また、不意に缶内圧が増加したときにスコア部で亀裂が生じ、缶の内容物が漏洩するおそれが高くなる。特に、これらの割れは圧延方向に沿って生じる。そのため、圧延方向に対して垂直な方向の引張応力及び曲げ応力に対する靭性が求められる。
しかしながら、従来の3104アルミニウム合金の成分に比較的近づけた缶蓋用アルミニウム合金板は、上記2つの課題、すなわち材料の強度(つまり蓋の耐圧)と靭性(つまり成形性及び開口性)とのどちらか、もしくは両方を満足するものではない。
本開示の一局面は、缶材由来のスクラップ原料を配合しつつ、高強度及び高靭性を両立できる缶蓋用アルミニウム合金板を提供することを目的とする。
本開示の一態様は、ケイ素(Si)の含有量が0.20質量%以上0.47質量%以下であり、鉄(Fe)の含有量が0.30質量%以上0.59質量%以下であり、銅(Cu)の含有量が0.11質量%以上0.40質量%以下であり、マンガン(Mn)の含有量が0.70質量%以上0.98質量%以下であり、マグネシウム(Mg)の含有量が1.1質量%以上3.7質量%以下であり、残部がアルミニウム(Al)及び不可避的不純物からなり、圧延方向に対し0°方向、45°方向、及び90°方向それぞれにおいて、0.2%耐力σ0.2、引張強さσ、及び0.2%耐力と引張強さとの平均値σfmを用いて下記式(1)によって算出される評価値Sのうち、最小値である最小評価値Sminが330MPa以上410MPa以下である、缶蓋用アルミニウム合金板である。
S=σfm/(σ0.2/σ) ・・・(1)
このような構成によれば、缶材由来のスクラップ原料を配合しつつ、アルミニウム合金板において高強度及び高靭性を両立できる。すなわち、缶胴用の3104アルミニウム合金のスクラップを一定量配合でき、新地金使用率を低減しCO排出量を削減できる。さらに、高耐圧が求められる陽圧缶蓋用途に使用し得る成形性の高い缶蓋用アルミニウム合金板が得られる。
図1は、L-ST断面の説明図である。 図2は、冷延率と強度異方性との関係の一例を示すグラフである。
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
<組成>
本開示の缶蓋用アルミニウム合金板(以下、単に「合金板」ともいう。)は、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)及びマグネシウム(Mg)を含む。
Siの含有量の下限としては、0.20質量%であり、0.30質量%が好ましい。Siの含有量が0.20質量%未満であると、熱間圧延及び溶体化処理後の冷間圧延の加工熱におけるSiの析出量が低下し、合金板の強度が不足するおそれがある。
また、JIS-H-4000:2014で規格される3104アルミニウム合金のSi成分規格の平均値は、0.30質量%である。そのため、Siの含有量を0.30質量%以上とすることで、3104アルミニウム合金のスクラップを多く配合できる。
Siの含有量の上限としては、0.47質量%であり、0.39質量%が好ましく、0.35質量%がより好ましい。Siの含有量が0.47質量%超であると、MgSi粒子が増加し、合金板の靭性が低下する。
Feの含有量の下限としては、0.30質量%であり、0.40質量%が好ましい。3104アルミニウム合金のFe成分規格の平均値は、0.40質量%である。そのため、Feの含有量を0.40質量%以上とすることで、3104アルミニウム合金のスクラップを多く配合できる。
Feの含有量の上限としては、0.59質量%である。Feの含有量が0.59質量%超であると、Al-Fe-Mn系、又はAl-Fe-Mn-Si系の金属間化合物(つまり第二相粒子)が増加する。その結果、亀裂の伝搬経路が生成され、合金板の靭性が低下する。
Cuの含有量の下限としては、0.11質量%であり、0.15質量%が好ましく、0.20質量%がより好ましい。Cuの含有量が0.11質量%未満であると、固溶又は析出によって強度を増加させるCuが不足し、合金板の強度が低下する。なお、熱間圧延及び溶体化処理後の冷間圧延の加工においてCuを析出させることで、合金板の強度は著しく増加する。
また、3104アルミニウム合金のCu成分規格の平均値は、0.15質量%である。そのため、Cuの含有量を0.15質量%以上とすることで、3104アルミニウム合金のスクラップを多く配合できる。
Cuの含有量の上限としては、0.40質量%であり、0.25質量%が好ましい。Cuの含有量が0.40質量%超であると、合金板の靭性が低下する。
Mnの含有量の下限としては、0.70質量%であり、0.75質量%が好ましい。Mnの含有量が0.70質量%未満であると、固溶又は析出によって強度を増加させるMnが不足し、合金板の平均強度が低下する。
また、3104アルミニウム合金のMn成分規格の平均値は、1.1質量%であり、5182アルミニウム合金のMn成分規格の平均値は、0.35質量%である。そのため、Mnの含有量を0.75質量%以上とすることで従来の5182アルミニウム合金に比べ、3104アルミニウム合金のスクラップを多く配合できる。
Mnの含有量の上限としては、0.98質量%であり、0.90質量%が好ましい。Mnの含有量が0.98質量%超であると、Al-Fe-Mn系、又はAl-Fe-Mn-Si系の金属間化合物(つまり第二相粒子)が増加する。その結果、亀裂の伝搬経路が生成され、合金板の靭性が低下する。
Mgの含有量の下限としては、1.1質量%であり、1.4質量%が好ましい。Mgの含有量が1.1質量%未満であると、固溶によって強度を増加させるMgが不足し、合金板の平均強度が低下する。なお、熱間圧延及び溶体化処理後の冷間圧延の加工においてMgを析出させることで、合金板の強度が著しく増加する。
Mgの含有量の上限としては、3.7質量%であり、3.1質量%が好ましい。3104アルミニウム合金のMg成分規格の平均値は、1.05質量%であり、5182アルミニウム合金のMg成分規格の平均値は、4.5質量%である。そのため、Mgの含有量を3.7質量%以下とすることで、3104アルミニウム合金のスクラップを多く配合しつつ、Mg含有原料の追加配合量を低減できる。
合金板は、チタン(Ti)を含んでもよい。Tiの含有量の上限としては、0.10質量%が好ましい。Tiを含むことで、合金板の鋳塊組織が微細化される。また、合金板は、亜鉛(Zn)を含んでもよい。Znの含有量の上限としては、0.25質量%が好ましい。さらに、合金板は、クロム(Cr)を含んでもよい。Crの含有量の上限としては、0.10質量%が好ましい。
合金板は、合金板の性能を著しく損なわない範囲で、不可避的不純物を含んでもよい。つまり、合金板は、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Ti、Zn及びCrをそれぞれ上述の範囲で含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなる。不可避的不純物の総量の上限としては、0.15質量%が好ましい。
<材料強度及び耐圧>
アルミニウム合金の圧延板は材料異方性があり、強度は圧延方向に対し0°方向、45°方向、及び90°方向で異なる値を示す。缶内部の圧力が増加した際の変形は、強度が最も低い方位から開始する。
そのため、本開示の合金板は、圧延方向に対し0°方向、45°方向、及び90°方向それぞれにおいて、0.2%耐力σ0.2、引張強さσ、及び0.2%耐力と引張強さとの平均値σfmを用いて下記式(1)によって算出される評価値S(S0°、S45°、及びS90°)のうち、最小値である最小評価値Smin(=min(S0°,S45°,S90°))が330MPa以上410MPa以下である。
S=σfm/(σ0.2/σ) ・・・(1)
アルミニウム合金板で形成される蓋の耐圧値は、経験的に最小評価値Sminと板厚tとで表される下記式(2)の値Vと正の相関が強い。
V=t2.27×Smin ・・・(2)
そのため、合金板の最小評価値Sminを330MPa以上とすることで、板厚を増加させることなく、十分な耐圧を有する蓋を成形することができる。さらに、最小評価値Sminとしては、360MPa以上が好ましい。最小評価値Sminを360MPa以上とすることで、蓋の耐圧性をさらに高められる。
また、最小評価値Sminが410MPaを超えると、材料強度が過度に高くなることで材料の靭性が低下する。すなわち、成形時に材料に生じる引張応力や曲げ応力に対するせん断帯が発生しやすくなり、成形割れが生じやすくなる。最小評価値Sminを410MPa以下とすることで、材料の強度(つまり蓋の耐圧)と靭性(つまり成形性及び開口性)とを両立することが可能である。
式(1)における0.2%耐力σ0.2及び引張強さσは、JIS-Z-2241:2011に規定されている方法で測定される。板厚tは、例えばマイクロゲージで測定される。
<靭性>
蓋の成形性、及びスコア部の開口に要する力(つまり開口力)には、アルミニウム合金板の靭性が影響することが知られている。
(繰り返し曲げ回数)
アルミニウム合金板の靭性の評価指標の一つとして、繰り返し曲げ試験がある。板厚が同じであれば繰り返し曲げ回数が多いほど、アルミニウム合金板は靭性に優れる。
繰り返し曲げ試験は、以下の手順で行われる。例えば、幅12.5mm、長さ200mmの短冊状に切り出した試験片を、曲げ稜線が合金板の圧延方向と平行となる向きに配置する。この試験片の両端をチャックで固定し、荷重200Nで張力をかける。
この状態で、一方の不動のチャックに固定された試験片端部から、試験片の長手方向150mmの位置に配置した曲げR2.0mmの治具を支点として、他方のチャックを左右に90°回転させることで繰り返し曲げを行い、試験片が破断するまでの曲げ回数を測定する。
曲げ回数は、左右どちらかに90°曲げる操作、及び元の位置に戻す操作をそれぞれ1回とカウントする。途中で破断した場合、その角度Θ(0°-90°)を読み取り、下記式(3)で繰り返し曲げ回数Nを計算する。式(3)中、Nは、左右どちらかに90°曲げる操作、及び90°曲げた位置から元の0°位置に戻す操作を、試験片が破断するまでに実行した怪異数の合計である。
N=N+Θ/90 ・・・(3)
繰り返し曲げ評価は、板厚が大きい程不利になるため基準となる板厚で補正して考える必要がある。そこで、板厚0.235mmを基準として下記式(4)により規格化された規格化繰り返し曲げ回数Nを求める。なお、t(mm)は試験片の板厚である。
=N×t/0.235 ・・・(4)
本開示のアルミニウム合金板の規格化繰り返し曲げ回数Nとしては、18回以上が好ましい。
(第二相粒子)
靭性には強度と第二相粒子の分布とが影響する。つまり、強度が高いほど、また、第二相粒子の密度が高いほど、靭性が低下する。特にMg及びSiの含有量が高くなると、MgSi粒子が形成されやすくなる。その結果、MgSi粒子が亀裂の起点及び伝播経路となり靭性の低下に影響する。
本開示のアルミニウム合金板は、図1に斜線で示す、幅方向中央部分のL-ST断面において、面積が0.3μm以上のMgSi粒子のL-ST断面における総面積の割合が0.2%以下であることが好ましい。なお、図1において、Lは長手方向、STは板厚方向、LTは幅方向を示す。
MgSi粒子の面積割合は、例えば以下の方法で測定できる。まず、測定サンプルを切断し、測定を行う面(つまりL-ST断面)を鏡面状に機械研磨する。次に、研磨面(つまりL-ST断面)を、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察し、板厚の中央領域で10個の視野を得る。SEMの加速電圧は15kV、倍率は1000倍とし、1つの視野の範囲を0.012mmとして撮影を行い、COMPO(反射電子組成)像を取得する。
撮影したCOMPO像に対し、画像解析ソフト「ImageJ」により解析を行う。具体的には、256階調での画像の輝度の最頻値をバックグラウンドの輝度とし、最頻値の輝度から30減じた値よりも低い輝度の粒子をMgSi粒子と判定する。
判定されたMgSi粒子のうち、0.3μm以上の面積を持つ粒子の総面積を計算し、10視野分の撮影面積(つまり撮影した総面積)で除することで、面積が0.3μm以上のMgSi粒子のL-ST断面における総面積の割合が算出される。
<コンピュータソフトウェアによる状態図の計算>
本開示の合金板では、材料の高靭性化を目的として、亀裂の起点及び伝播経路となり靭性の低下に影響するMgSi粒子を、鋳塊の均質化熱処理工程で再固溶させることが好ましい。
アルミニウムマトリクスの局所的な融解を避けつつ、MgSiを再固溶させるためには、固相線温度がMgSiの固溶温度よりも高いことが好ましく、さらに固相線温度からMgSiの固溶温度を引いた温度差が30℃以上であることが好ましい。
また、Al(Mn,Fe)の晶出温度がアルミニウムの凝固開始温度よりも高い材料では、鋳造時にAl(Mn,Fe)が粗大晶出物として生じることで、ピンホールなどの成形不具合の原因につながる。そのため、アルミニウムの凝固開始温度よりも初晶(つまりAl(Mn,Fe))の晶出温度が低いことが好ましい。
ここで言うMgSiの固溶温度は、平衡状態図においてMgSiが存在し得る最も高い温度を指しており、液相が存在し得る最も低い温度である。また、アルミニウムの凝固開始温度は、平衡状態図において固相Alが存在し得る最も高い温度を指しており、初晶の晶出温度は、Al(Mn,Fe)が存在し得る最も高い温度である。
MgSiの固溶温度、固相線温度、アルミニウムの凝固開始温度及び初晶の晶出温度は、熱力学計算ソフトウェアを用いて算出されるアルミニウム合金の平衡状態図から得られる。
MgSiの固溶温度、固相線温度、アルミニウムの凝固開始温度及び初晶の晶出温度は、アルミニウム合金の組成によって一意的に決まる。合金組成からこれらの境界温度を求める方法としては、各演算に必要な熱力学量をCALPHAD法で計算する方法が挙げられる。
多元系合金に対するこのような熱力学計算は、計算に必要な熱力学データベース、インターフェース、及び状態図作成機能を合わせた市販のシステムソフトウェア(例えば、Sente Software社により開発された「JMatPro」)で行うことができる。
本開示のアルミニウム合金板では、固相線温度よりもMgSiの固溶温度が低く、Al凝固開始温度よりも初晶の晶出温度が低いことから、鋳造時に粗大晶出物を生成することなく、粗大晶出物に起因する性能低下を避けられる。
また、固相線温度以下、かつMgSiの固溶温度以上の温度で均質化熱処理することでMgSiを再固溶し、亀裂の起点及び伝播経路となり靭性の低下に影響するMgSi粒子を減じることができる。
<強度異方性>
冷間圧延率(以下、冷延率と略記する)の低い材料は靭性が高いことが知られている。例えば、冷間圧延途中の圧延板に対し、連続焼鈍炉(CAL)で焼鈍を実施して最終的な冷延率(つまり焼鈍後の冷延率)を下げた材料は靭性が高くなる。
また、冷延率が高いほど、圧延方向に対し90°方向の0.2%耐力σ0.2_90°が、0°方向の0.2%耐力σ0.2_0°に比べて大きくなる。そのため、圧延方向に対し0°方向と90°方向とにおける0.2%耐力の差、すなわち強度異方性を材料の冷延率と対応付けることができる。
本開示の合金板は、式(5)で求められる、圧延方向に対し0°方向の0.2%耐力σ0.2_0°から、圧延方向に対し90°方向の0.2%耐力σ0.2_90°を引いた値Dが-13MPa以上13MPa以下であることが好ましい。
D=σ0.2_0°-σ0.2_90° ・・・(5)
圧延方向に対し0°方向の0.2%耐力σ0.2_0°から、圧延方向に対し90°方向の0.2%耐力σ0.2_90°を引いた強度異方性の材料組織的な意味は以下のように説明できる。
熱間圧延後又は焼鈍後の材料は再結晶状態であり、等方なcube方位の集積度が高い。ここから冷間圧延による塑性変形によって、cube方位が圧延方向に異方性を持つ圧延集合組織に変形していく。さらに、冷延率が大きいほど、結晶粒は圧延方向に細長く伸ばされるため、圧延方向に対し0°方向に沿った結晶粒の径は大きくなる一方で、圧延方向に対し90°方向に沿った結晶粒の径の変化は0°方向に比べて小さくなる。
これらの圧延により生じる組織的な変化と、0.2%耐力σ0.2との関係はホールペッチの式を参考にすると式(6)の関係を示す。式(6)中、κは結晶粒界の滑りに対する抵抗、dは結晶粒径である。
σ0.2∝κ×d-1/2 ・・・(6)
圧延方向に対し0°方向又は90°方向への引張に対して、抵抗κは異なる値となる。これは冷延率の増加に対して、圧延方向に異方性を持つ圧延集合組織の集積度が高くなることで、引張方向によって結晶粒界の滑りに対する抵抗が変化するためである。
また、圧延方向に対し0°方向では冷延率の増加に対して結晶粒が伸長して径が大きくなる一方で、圧延方向に対し90°方向では冷延率に対する結晶粒径の変化は相対的に小さい。これらの影響が積算されることで冷延率の増加に対して強度異方性が生じる。
<アルミニウム合金板の製造方法>
本開示のアルミニウム合金板は、例えば、以下のように製造することができる。まず、本開示のアルミニウム合金板の組成を有するアルミニウム合金に対し、常法にしたがって半連続鋳造法(つまりDC鋳造)を行い、鋳塊を製造する。
次に、鋳塊の前後端を除く4面を面削する。その後、鋳塊を均熱炉に投入して均質化処理を行う。均質化処理における温度は、例えば470℃以上620℃以下が好ましい。均質化処理の時間は、例えば1時間以上20時間以下が好ましい。
均質化処理における温度が400℃以上である場合、鋳塊組織の偏析を解消させやすい。さらに均質化処理における温度が450℃以上である場合、MgSi粒子を再固溶させ、合金板の強度及び靭性を向上させることができる。さらに均質化処理における温度が470℃以上、より好ましくはMgSiの固溶温度以上であると、MgSi粒子の再固溶が促進され、合金板の強度及び靭性をさらに向上させることができる。一方、均質化処理における温度が620℃以下、より好ましくは固相線温度以下である場合、アルミニウム合金の局部融解が生じ難い。
均質化処理の時間が1時間以上である場合、スラブ全体の温度が均一になり、鋳塊組織の偏析も解消しやすく、MgSi粒子を再固溶させやすい。均質化処理時間が長いほど、MgSi粒子を再固溶させることができる。ただし、均質化処理の時間が20時間を越えると、均質化処理の効果が飽和する。
均質化処理後、鋳塊を熱間圧延に供する。熱間圧延工程は、粗圧延工程と、仕上圧延工程とを有する。粗圧延工程では、リバース圧延によって、鋳塊を約数十mmの厚さの板材に加工する。仕上圧延工程では、例えばタンデム圧延等によって、板材の厚さを約数mmに落とすと共に、板材をコイル状に巻き取った熱間圧延コイルを形成する。
仕上圧延の総圧下率が高いと、巻き取り後に再結晶組織となり等方なcube方位の集積度を高めることができる。仕上圧延の巻取温度が高いと、巻き取り後に再結晶組織となりcube方位の集積度を高めることができる。
熱間圧延に続いて板材の冷間圧延を行う。冷間圧延では、製品板厚となるまで熱間圧延コイルを圧延する。冷間圧延は、シングル圧延及びタンデム圧延のどちらであってもよい。シングル圧延による冷間圧延では2パス以上の複数回に分けて圧延を実施するとよい。
また、冷間圧延の途中でコイルを溶体化処理し、Mgなどを再固溶させることで材料を高強度化しつつ、最終的な冷延率を下げて材料の異方性を抑制した合金板を得ることができる。例えば連続焼鈍炉(CAL)を用いて目標実体温度440℃以上の熱処理(つまり焼鈍)を実施し、その後、空冷などで強制冷却することで、合金板の強度を効果的に増加させることが可能である。
また、最終パス以外の途中パスにおける冷間圧延の上がり温度を120℃以上とすることで、Si、Cu及びMgが微細析出し、時効硬化するため、合金板の強度を増加させることができる。さらに上がり温度を130℃以上とすることで、合金板の強度をより増加させることができる。
冷間圧延の途中に溶体化処理をしない場合、冷延率は80%以上が好ましい。冷延率が80%以上である場合、合金板の強度を高められる。また、冷延率が低いほど等方なcube方位が残存するため、冷延率は92%以下が好ましい。
冷間圧延の途中に溶体化処理を行う場合、溶体化処理(つまり焼鈍)後の冷延率は50%以上が好ましい。溶体化処理によってMgなどを再固溶させることで冷延率が低くとも、合金板の強度を高められる。また、冷延率が低いほど等方なcube方位が残存するため、冷延率は80%以下が好ましい。
冷延率R(%)は、熱間圧延後又は溶体化処理後の板厚t(mm)、冷間圧延後の製品板厚t(mm)を用いて、下記式(7)で求められる。
R=(t-t)/t×100 ・・・(7)
製品板厚は所望の耐圧が得られるよう適宜選択することができる。上述の式(2)に示すように、板厚が増加するほど耐圧が向上する。製品板厚は、式(2)の値Vに応じて選択することが可能であり、値Vが13.0以上、好ましくは14.0以上となる条件であるとよい。上述のように、本開示のアルミニウム合金板によれば耐圧を高く保つための板厚の増加を抑えることができる。
製品板厚まで冷間圧延したコイルに対し、塗装ラインなどでプレコートを実施する。冷間圧延されたコイルは、表面に対する脱脂、洗浄、及び化成処理が施され、さらに塗料が塗布された後、塗装焼付処理される。
化成処理では、クロメート系、ジルコニウム系等の薬液が用いられる。塗料は、エポキシ系、ポリエステル系等が用いられる。これらは用途に合わせて選択可能である。塗装焼付処理ではコイルの実体温度(PMT:Peak Metal Temperature)で220℃以上270℃以下、およそ30秒以内の間、加熱される。このときPMTが低いほど、材料の回復が抑制され、合金板の強度を高く維持することができる。
[1-2.効果]
以上、詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)缶材由来のスクラップ原料を配合しつつ、アルミニウム合金板の高強度及び高靭性を両立できる。すなわち、缶胴用の3104アルミニウム合金のスクラップを一定量配合でき、新地金使用率を低減しCO排出量を削減できる。さらに、高耐圧が求められる陽圧缶蓋用途に使用し得る成形性の高い缶蓋用アルミニウム合金板が得られる。
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
(2a)本開示には、上記実施形態のアルミニウム合金板以外に、このアルミニウム合金板で構成される部材、及びこのアルミニウム合金板の製造方法等の種々の形態も含まれる。
(2b)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
[3.実施例]
以下に、本開示の効果を確認するために行った試験の内容とその評価結果とについて説明する。
<アルミニウム合金板の製造>
実施例及び比較例として、表1及び表2に示すS1-S17のアルミニウム合金板を製造した。具体的な製造手順を以下に説明する。
まず、表3に示す合金番号1-9の成分(質量%)を含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなる鋳塊を半連続鋳造法により製造した。鋳塊は、0.10質量%以下のTi、0.25質量%以下のZn、0.10質量%以下のCr、及び0.15質量%以下の不可避的不純物を含む。
次に、鋳塊の前後端を除く4面を面削した。その後、鋳塊を炉に入れ、均質化処理を行った。均質化処理の温度は、表1に示す通りである。均質化処理後、炉から鋳塊を出し、すぐに熱間圧延を開始して圧延板とした。
さらに、S1―S7、S14、S15及びS17については、熱間圧延後の圧延板に対し、表1に示すCAL板厚になるまで冷間圧延を実施した。その後、CAL板厚となった圧延板に対し、連続焼鈍炉(CAL)にて焼鈍を実施した。焼鈍時のCAL温度は表1に示す通りである。焼鈍後、圧延板を空冷で室温まで冷却した。冷却後、圧延板に対し再度冷間圧延を実施した。焼鈍後の冷間圧延における狙いの冷延率は表1に示す通りである。
S8-S13及びS16については、熱間圧延後の圧延板に対し、焼鈍を行わずに冷間圧延を実施した。冷間圧延における狙いの冷延率は、表1に示す通りである。
S1-S17における冷間圧延後の製品板厚(つまり式(7)におけるt)はおよそ0.235±0.03mmの範囲とした。
S1-S17において、冷間圧延後、板面に塗料を塗布し、約30秒間の塗装焼付処理を実施した。塗装焼付時の実体温度(PMT)は表1に示す通りである。塗装の焼付により、S1-S17のアルミニウム合金板が得られた。また、S1-S17のアルミニウム合金板において、マイクロゲージにより測定した板厚(つまり製品板厚)を表1に示す。
Figure 0007473707000001
Figure 0007473707000002
Figure 0007473707000003
<アルミニウム合金板の評価>
(引張特性)
S1-S17のアルミニウム合金板からJIS-Z-2241:2011に規定される5号試験片をフライス加工によって3つずつ作製した。3つの試験片の長手方向は、それぞれ、圧延方向に対して0°、45°及び90°の角度をなす方向に延びる。
これらの試験片について、JIS-Z-2241:2011に準拠して引張試験を行い、0.2%耐力及び引張強さを測定した。0.2%耐力σ0.2及び引張強さσの測定結果と、0.2%耐力と引張強さとの平均値σfmとを表1及び表2に示す。
また、圧延方向に対し、0°方向、45°方向、及び90°方向それぞれの引張試験の測定結果と式(1)とから3つの評価値Sを算出した。これらの評価値Sの最小値である最小評価値Sminを表2に示す。
(靭性)
S1-S17のアルミニウム合金板において、実施形態において説明した測定方法により、面積が0.3μm以上のMgSi粒子のL-ST断面における総面積の割合(面積率)を算出した。その測定結果を表2に示す。
S1-S17のアルミニウム合金板において、実施形態において説明した測定方法と、式(3)及び式(4)とから、繰り返し曲げ回数及び規格化繰り返し曲げ回数を算出した。その結果を表2に示す。
(強度異方性)
S1-S17のアルミニウム合金板において、実施形態において説明した式(5)から強度異方性(つまり値D)を算出した。その結果を表2に示す。
(状態図計算)
合金番号1-9の成分(質量%)に基づいて算出した、MgSiの固溶温度、固相線温度、アルミニウムの凝固開始温度及び初晶(つまりAl(Mn,Fe))の晶出温度を表3に示す。
各境界温度は、「JMatPro」を用いて主要5成分(Si、Fe、Cu、Mn、Mg)に基づいて求めた平衡状態図に基づいて算出した。ここではTi、Zn、Cr及び不可避的不純物の影響は考慮していない。
(スクラップ配合率)
S1-S17のアルミニウム合金板の組成に関し、3104アルミニウム合金のスクラップの可能配合率が50質量%以上となるか否か判断した。その結果を表2に示す。
表2中、「≧50」とされているアルミニウム合金板は、3104アルミニウム合金を50質量%以上配合することが可能である。なお、3104アルミニウム合金のスクラップの可能配合率は、表4に基づいて判断される。
表4は、3104アルミニウム合金と5182アルミニウム合金との配合比率と、成分規格の平均値との対応を表している。表4の1行目は、3104アルミニウム合金の成分規格の平均値であり、2行目は、5182アルミニウム合金の成分規格の平均値である。
例えば、3104アルミニウム合金の配合割合が50質量%の場合、Siの平均値は0.20質量%、Feの平均値は0.29質量%、Cuの平均値は0.11質量%、Mnの平均値は、0.7質量%、Mgの平均値は2.8質量%となる。
したがって、アルミニウム合金板の各成分の割合が上記のSi、Fe、Cu、Mn、Mgの数値以上であるとき、3104アルミニウム合金板の可能配合率が50質量%以上となる。3104アルミニウム合金の配合割合が大きくなるほど、Si、Fe、Cu、及びMnの含有量は上がり、Mgの含有量は下がる。S1-S10のアルミニウム合金板は、3104アルミニウム合金のスクラップを50質量%以上配合可能である。
Figure 0007473707000004
(評価)
S1-S15のアルミニウム合金板は、S16のアルミニウム合金板に比べて高い強度(つまりSmin)を有する。特に、S1-S7及びS14-S15のアルミニウム合金板では、S17に示す従来の缶蓋向け5182アルミニウム合金に比べて、Mg含有量が低いにもかかわらず同等の強度を達成することができた。
一般に材料の強度が高いほど繰り返し曲げ回数、すなわち靭性は低下する傾向があるが、高温で均質化処理してMgSiを再固溶させたS14は、MgSiの再固溶が不十分なS15に比べて、合金成分が同じで同等の強度を有するにも関わらず、繰り返し曲げ回数が多い。つまり、S14は、高靭性と高強度とが両立している。
S1-S7では、中間焼鈍工程によって冷延率が下げられている。そのため、S1-S7は、冷延率が80%を超えるS8-S13に比べて、強度異方性が小さい。つまり、強度異方性と冷延率とが対応していることが分かる。中間焼鈍工程により冷延率を下げたS1-S7は、冷延率が80%を超えるS8-S13に比べ、高強度と高靭性(つまり繰り返し曲げ回数の多さ)が両立されている。
図2に示すように、合金成分が同じで冷延率の異なるS1、S7及びS8を比較すると、冷延率に対して強度異方性は負の相関がある。中間焼鈍等で冷延率を50%以上80%以下に抑えた高靭性な材料では、強度異方性の絶対値は負の方向において冷延率80%で最大になると考えられる。ここで、図2の傾向から冷延率80%での強度異方性は-13MPaになると推定されることから、-13MPaが強度異方性の下限であるといえる。
同様に、強度異方性の絶対値は正の方向において冷延率50%で最大になると考えられ、図2の傾向からは冷延率50%での強度異方性は7MPaになると推定される。一方で、S3、S5等の強度異方性を参照すると、強度異方性にある程度のばらつきが生じることは避けられないことがわかる。そのため、冷延率50%での強度異方性は13MPa程度が妥当と考えられる。

Claims (3)

  1. イ素(Si)の含有量が0.20質量%以上0.39質量%以下であり、
    鉄(Fe)の含有量が0.30質量%以上0.59質量%以下であり、
    銅(Cu)の含有量が0.11質量%以上0.40質量%以下であり、
    マンガン(Mn)の含有量が0.75質量%以上0.98質量%以下であり、
    マグネシウム(Mg)の含有量が1.4質量以上3.1質量%以下であり、
    残部がアルミニウム(Al)及び不可避的不純物からなり、
    圧延方向に対し0°方向、45°方向、及び90°方向それぞれにおいて、0.2%耐力σ0.2、引張強さσ、及び0.2%耐力と引張強さとの平均値σfmを用いて下記式(1)によって算出される評価値Sのうち、最小値である最小評価値Sminが30MPa以上410MPa以下であり、
    固相線温度からMgSiの固溶温度を引いた温度差が30℃以上であり、
    アルミニウムの凝固開始温度よりも初晶の晶出温度が低く、
    幅方向中央部分のL-ST断面において、面積が0.3μm以上のMgSi粒子の前記L-ST断面における総面積の割合が0.2%以下である、缶蓋用アルミニウム合金板。
    S=σfm/(σ0.2/σ) ・・・(1)
  2. 請求項1に記載の缶蓋用アルミニウム合金板であって、
    圧延方向に対し0°方向の0.2%耐力σ0.2_0°から、圧延方向に対し90°方向の0.2%耐力σ0.2_90°を引いた値が-13MPa以上13MPa以下である、缶蓋用アルミニウム合金板。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の缶蓋用アルミニウム合金板であって、
    幅が12.5mm、長さが200mmの短冊状に切り出した試験片に対し、曲げ稜線が圧延方向と平行となる向きで、90°曲げて0°位置に戻す曲げ操作を繰り返した際に、前記試験片の破断までの前記曲げ操作の回数である繰り返し曲げ回数Nを、前記試験片の板厚t及び下記式(2)により規格化した規格化繰り返し曲げ回数Nが18回以上である、缶蓋用アルミニウム合金板。
    =N×t/0.235 ・・・(2)
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