JP2002178435A - 積層体 - Google Patents

積層体

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JP2002178435A JP2000380206A JP2000380206A JP2002178435A JP 2002178435 A JP2002178435 A JP 2002178435A JP 2000380206 A JP2000380206 A JP 2000380206A JP 2000380206 A JP2000380206 A JP 2000380206A JP 2002178435 A JP2002178435 A JP 2002178435A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐屈曲性及びガスバリア性に優れた積層体を得
ることを課題とする。 【解決手段】熱可塑性樹脂(A)からなる基材層の少な
くとも片面に、無機化合物からなる薄膜(B)を設け、
更に薄膜(B)上に赤外線吸収スペクトルにおける15
00〜1600cm−1付近のδNHに基づく吸光度A
と2800〜3000cm−1付近のνC−H基づく吸
光度Aとの比(A/A)が0.80以上のウレタン
・ウレア化合物(C)層が積層されてなることを特徴と
する積層体を提供するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリア性に優
れたウレタン・ウレア化合物層を含む積層体及びその製
造方法に関する。さらに詳しくは、透明性、ガスバリア
性、耐水性に優れた食品、医薬品等の包装用フィルムに
好適な積層体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】食品、医薬品等の包装用として用いられ
る包装用フィルムは、内容物の視認性や美観などから透
明性が必要とされると共に、内容物の酸化などを防止す
るため、ガスバリア性が必要とされる。かかるガスバリ
ア性フィルムとして、二軸延伸ポリエステルや二軸延伸
ポリプロピレンのような熱可塑性樹脂フィルムの表面
に、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチ
レン−ビニルアルコール共重合体などのガスバリア性に
優れた樹脂をコーティングあるいはラミネートしたフィ
ルム、熱可塑性樹脂フィルムの表面に金属あるいは金属
酸化物を蒸着したフィルム等が知られている。
【0003】しかしながら、上述の金属あるいは金属酸
化物を蒸着したフィルムは、蒸着した薄膜の可とう性が
欠けるので、揉みや折り曲げに弱く、取り扱いに注意を
要し、印刷、ラミネート、製袋など包装材料の加工の際
に、簡単にクラックが発生しその結果、ガスバリア性が
著しく低下するという問題がある。かかる欠点を改良し
た積層フィルムとして蒸着薄膜上に水溶性高分子とアル
コキシドの加水分解物等を主剤とするコーティング剤を
塗布乾燥した積層フィルムが提案されている(特許第2
790054号公報)。
【0004】しかしながら、かかるコーティング剤は予
め加水分解物を調整する必要があったり、コーティング
後、水溶性高分子とアルコキシドの加水分解物等とを反
応させるために加熱乾燥に時間を要する等作業性が煩雑
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、蒸着
膜へのコーティングが容易で且つ、耐屈曲性が改良され
たガスバリア積層体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
【発明の概要】本発明は、熱可塑性樹脂(A)からなる
基材層の少なくとも片面に、無機化合物からなる薄膜
(B)を設け、更に薄膜(B)上に、赤外線吸収スペク
トルにおける1500〜1600cm−1付近のδNH
に基づく吸光度Aと2800〜3000cm−1付近の
νC−H基づく吸光度Aとの比(A/A)が0.8
0以上のウレタン・ウレア化合物(C)層が積層されて
なることを特徴とする積層体である。
【0007】
【発明の具体的説明】熱可塑性樹脂(A) 本発明にかかわる基材層に用いる熱可塑性樹脂(A)
は、シート状またはフィルム状になりうる熱可塑性樹脂
であって、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ4−メチル・1−ペンテン、ポリブ
テン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−6
6、ポリメタキシレンアジパミド等)、ポリ塩化ビニ
ル、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ
アクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、
アイオノマー、あるいはこれらの混合物等を例示するこ
とができる。これらのうちでは、ポリプロピレン、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリアミド等、延伸性、透明
性が良好な熱可塑性樹脂が好ましい。
【0008】基材層 本発明にかかわる基材層は上記熱可塑性樹脂(A)を種
々公知の成形法、例えばTダイ法やインフレーション法
などの溶融成形法、溶液を用いたキャスティング法など
で成形したフィルム、シート等であって、好ましくはを
少なくとも一方向、更に好ましくは二軸延伸したもので
ある。又、基材層として透湿度が5g/m未満、更に
は4g/m未満のものを用いると、包装材料として用
いた場合、外気(高湿度)と被包装物側(低湿度)で湿
度差が生じた場合にも酸素バリア性に優れた積層体が得
られるので好ましい。かかる透湿度が低い材料として
は、例えば石油樹脂等を防湿剤として添加して得られる
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、
所謂高防湿OPPフィルムを例示することができる。延
伸法としては公知の延伸法、例えば、テンター延伸、チ
ューブラー延伸、ロール延伸、圧延延伸、ベルト延伸
や、これらを組み合わせた延伸などが採用できる。
【0009】この基材層に用いられる熱可塑性樹脂
(A)には、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑
剤、滑材、着色剤等の公知の添加剤を、必要に応じて適
宜添加することができる。さらに基材層の少なくとも片
面は表面処理またはアンカーコート処理がされていても
よい。表面処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処
理、グロー放電処理、逆スパッタ処理、火炎処理、クロ
ム酸処理、溶剤処理、粗面化処理などがある。アンカー
コート剤としては、種々の樹脂、例えば熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂、光線硬化性樹脂やカップリング剤で構成
することができる。
【0010】無機化合物からなる薄膜(B) 本発明にかかわる無機化合物からなる薄膜(B)は、無
機薄膜であれば特に限定はされないが、好ましくは珪
素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、錫、マグネ
シウム、またはその酸化物、チッ化物、ふっ化物の単
体、あるいはそれらの複合物からなり、通常、真空蒸着
法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD
法)などの真空プロセスにより形成される薄膜である。
これらのうち特に酸化アルミニウムおよび酸化珪素から
なる薄膜は、無色透明であり、本発明で好適に用いるこ
とができる。
【0011】ウレタン・ウレア化合物(C) 本発明にかかわるウレタン・ウレア化合物(C)は、赤
外線吸収スペクトルにおける1500〜1600cm
−1付近のδNHに基づく吸光度Aと2800〜300
0cm−1付近のνC−H基づく吸光度Aとの比(A
/A)が0.80以上、好ましくは0.90以上、更
に好ましくは0.95〜1.5のウレタン・ウレア化合
物である。A/A0が0.80未満の化合物では、ガス
バリア性に優れた積層体が得られない虞がある。
【0012】本発明にかかわる上記特性を有するウレタ
ン・ウレア化合物(C)は、ポリイソシアネート、ポリ
オール及びポリアミンあるいはアミノアルコールを適宜
反応させ、化合物中のウレア基の濃度を上げることによ
り得られ得る。本発明における赤外線吸収スペクトルに
おける1500〜1600cm−1付近のδNHに基づ
く吸光度Aと2800〜3000cm−1付近のνC−
H基づく吸光度Aは、以下の方法により求めた。
【0013】δNHに基づく吸光度Aの測定:赤外線吸
収スペクトルの1500cm−1と1600cm−1の
吸光度とを直線(L)で結び、1500〜1600cm
−1間の最大吸光度から垂直に直線(M)を下し、当該
直線(M)と直線(L)との交点と最大吸光度との吸光
度の距離(長さ)を吸光度Aとした。
【0014】νC−H基づく吸光度Aの測定:赤外線
吸収スペクトルの2800cm−1と3000cm−1
の吸光度とを直線(N)で結び、2800〜3000c
間の最大吸光度から垂直に直線(O)を下し、当
該直線(O)と直線(N)との交点と最大吸光度との吸
光度の距離(長さ)を吸光度Aとした。
【0015】原料として用いられるポリイソシアネート
は、分子内に少なくとも2つ以上のイソシアネート基を
有する化合物であって、例えば、芳香族ポリイソシアネ
ート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソ
シアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられ
る。
【0016】芳香族ポリイソシアネートとしては、例え
ば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレン
ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネ
ート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’
−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,
4−または2,6−トリレンジイソシアネート(TD
I)もしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソ
シアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシア
ネート等の芳香族ジイソシアネート、例えば、トリフェ
ニルメタン−4,4' ,4''−トリイソシアネート、
1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6
−トリイソシアネートトルエン等の芳香族トリイソシア
ネート、例えば、4,4' −ジフェニルメタン−2,
2' ,5,5'−テトライソシアネート等の芳香族テト
ライソシアネート等が挙げられる。
【0017】芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、
例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシア
ネート(XDI)もしくはその混合物、ω,ω' −ジイ
ソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ま
たは1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエ
チル)ベンゼン(TMXDI)もしくはその混合物等の
芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−ト
リイソシアネートメチルベンゼン等の芳香脂肪族トリイ
ソシアネート等が挙げられる。
【0018】脂環族ポリイソシアネートとしては、例え
ば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4
−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘ
キサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−
3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート
(IPDI)、4,4' −メチレンビス(シクロヘキシ
ルイソシアネート)(H12MDI)、メチル−2,4−
シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シ
クロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4
−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6
XDI)もしくはその混合物等の脂環族ジイソシアネー
ト、例えば、1,3,5−トリイソシアネートシクロヘ
キサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロ
ヘキサン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,
5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2.2.
1)ヘプタン、2−(3−イソシアネートプロピル)−
2,6−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2.
2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアネートプロピ
ル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ
(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアネートエ
チル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシ
アネートプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタ
ン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシア
ネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−
ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシア
ネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3
−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2.2.1)
−ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−
イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロ
ピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン等の脂環族ト
リイソシアネート等が挙げられる。
【0019】脂肪族ポリイソシアネートとしては、例え
ば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(H
DI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プ
ロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシ
アネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3
−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,
2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、
2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪
族ジイソシアネート、例えば、リジンエステルトリイソ
シアネート、1,4,8−トリイソシアネートオクタ
ン、1,6,11−トリイソシアネートウンデカン、
1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチル
オクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、
2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−
5−イソシアネートメチルオクタン等の脂肪族トリイソ
シアネート等が挙げられる。
【0020】これらポリイソシアネートは、単独で使用
してもよく、また2種以上併用してもよい。好ましく
は、芳香族、芳香脂肪族、脂環族及び脂肪族のジイソシ
アネートが挙げられる。
【0021】原料として用いられるポリオールは、分子
内に少なくとも2つ以上の水酸基を有する化合物であっ
て、例えば、低分子量ポリオール、高分子量ポリオール
が挙げられる。
【0022】低分子量ポリオールとしては、例えば、エ
チレングリコール、プロパンジオール、1,4−ブチレ
ングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−
ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、アルカン(C7〜C22)ジオー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノー
ル、アルカン−1,2−ジオール(C17〜C20)、
ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,4−
ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オ
クテン−3,8−ジオール、ビスヒドロキシエトキシベ
ンゼン、キシレングリコール、ビスヒドロキシエチレン
テレフタレート等の低分子量ジオール、例えば、グリセ
リン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プ
ロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキ
シメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、
1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ブタノール、
およびその他の脂肪族トリオール(C8〜C24)等の
低分子量トリオール、例えば、テトラメチロールメタ
ン、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトー
ル、D−マンニット等の水酸基を4個以上有する低分子
量ポリオール等が挙げられる。
【0023】高分子量ポリオールとしては、例えば、ポ
リエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ
カーボネートポリオール、アクリルポリオール、エポキ
シポリオール、天然油ポリオール、シリコンポリオー
ル、フッ素ポリオール、ポリオレフィンポリオール等が
挙げられる。
【0024】ポリアミンとしては、例えば、エチレンジ
アミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、ヒドラジン、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジ
アミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、1,6−
ジアミノヘキサン、ジアミノトルエン、ビス−(4−ア
ミノフェニル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−クロ
ロフェニル)メタン、ジ−(アミノメチル)ベンゼン、
ジ−(2−アミノ−2−プロピル)ベンゼン、1−アミ
ノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロ
ヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタ
ン、ジアミノシクロヘキサン、ジ−(アミノメチル)シ
クロヘキサン等の低分子量ジアミン、および、例えば、
ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テト
ラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、
2,2’−ジアミノジエチルアミン等のアミノ基を3個
以上有する低分子量アミン等が挙げられる。
【0025】アミノアルコールとしては、例えば、2−
ヒドロキシエチルヒドラジン、N−(2−ヒドロキシエ
チル)−1,2−ジアミノエタン、ヒドロキシエチルジ
エチレントリアミン、3−アミノプロパンジオール等の
少なくとも1個のアミノ基と少なくとも1個の水酸基と
を有する化合物等が挙げられる。
【0026】これら、ポリイソシアネート、ポリオー
ル、ポリアミンあるいはアミノアルコールとしては、低
分子量の化合物がウレア基濃度を上げたウレタン・ウレ
ア化合物(C)が得られやすいので好ましい。
【0027】又、本発明のウレタン・ウレア化合物
(C)には、A/Aが0.80以上である限りは、ポ
リエーテルポリオール、ポリエステルポリオールからな
る構成成分を含んでいてもよい。
【0028】かかるポリエーテルポリオールとしては、
例えば、上記した低分子量ポリオールや低分子量ポリア
ミンを開始剤として、エチレンオキサイドおよび/また
はプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを
付加反応させることによって得られる、ポリエチレング
リコールおよび/またはポリプロピレングリコール(こ
れらのランダムおよび/またはブロック共重合体を含
む)や、例えば、テトラヒドロフランなどの開環重合に
よって得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール
等が挙げられる。
【0029】又、ポリエステルポリオールとしては、例
えば、上記した低分子量ポリオールの1種または2種以
上と、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチル
コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチ
ル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−
エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバチン酸、その
他の脂肪族ジカルボン酸(C11〜C13)、水添ダイ
マー酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、オルソフ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカル
ボン酸、ダイマー酸、ヘット酸等のカルボン酸、およ
び、これらのカルボン酸などから誘導される酸無水物、
例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン
酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C1
8)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメ
リット酸、さらには、これらのカルボン酸等から誘導さ
れる酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジ
ピン酸ジクロライド、セバチン酸ジクロライド等との反
応によって得られるポリエステルポリオール等が挙げら
れる。
【0030】ウレタン・ウレア化合物(C)には、水以
外の溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパ
ノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケト
ン等のケトン類、或いはその他ジエチルエーテル、テト
ラヒドロフラン等を必要に応じて、1種または2種以上
を組み合わせて加えることも可能である。又、ウレタン
・ウレア化合物(C)には、特徴を阻害しない範囲で濡
れ性向上剤、帯電防止剤、その他各種添加剤を加えるこ
とが可能である。
【0031】さらに、本発明では薄膜(B)とウレタン
・ウレア化合物(C)層との密着性向上、及び/または
皮膜の強度向上のためにウレタン・ウレア化合物(C)
層に架橋剤成分を添加しても良い。架橋剤成分として
は、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラ
ミン系架橋剤、シランカップリング剤、アミン系化合物
などがあるが、高湿度下でも密着性低下しないことから
イソシアネート系架橋剤、シランカップリング剤が好ま
しく、特にイソシアネート系架橋剤には水性の自己乳化
タイプが水溶液中で安定であるので好ましい。
【0032】水性イソシアネートは水分散型または乳化
型のポリイソシアネートやイソシアネート系プレポリマ
ーで、水系コーテイグ剤に添加しても一定期間有効イソ
シアネート基が活性で、アンカー効果や架橋効果を有す
るものである。
【0033】本発明で用いられるシランカップリング剤
としては、アルコキシシラン類の使用が好ましく、例え
ばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β
−(アミノメチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ランなどが挙げられる。
【0034】積層体 本発明の積層体は、熱可塑性樹脂(A)からなる基材層
の少なくとも片面に、無機化合物からなる薄膜(B)を
設け、更に薄膜(B)上に赤外線吸収スペクトルにおけ
る1500〜1600cm−1付近のδNHに基づく吸
光度Aと2800〜3000cm−1付近のνC−H基
づく吸光度Aとの比(A/A)が0.80以上のウ
レタン・ウレア化合物(C)が積層されてなることを特
徴とするガスバリア性の良い積層体が得られる。
【0035】本発明の積層体の各層の厚さは用途に応じ
て適宜決め得るが、通常、基材層(A)は5〜500μ
m、好ましくは5〜250μm、無機化合物からなる薄
膜(B)層は10Å〜5000Å、ガスバリア性、薄膜
の連続性、クラックの発生し難さ、可撓性の点で好まし
くは20Å〜3000Å、ウレタン・ウレア化合物
(C)層は0.01〜10μm、好ましくは0.03〜
10μm、より好ましくは0.05〜10μmの範囲に
ある。
【0036】本発明の積層体を包装材料として用いる際
には、ヒートシール性を付与するために基材層のウレタ
ン・ウレア化合物(C)を積層しない面、あるいはウレ
タン・ウレア化合物(C)層面に熱融着層を積層してお
くと、被包装物を容易に熱で封緘できる点で好ましい。
かかる熱融着層としては、通常熱融着層として公知のエ
チレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−
メチル・ペンテン−1、オクテン−1等のα−オレフィ
ンの単独若しくは共重合体として知られる、高圧法低密
度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLD
PE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリプロピレンランダム共重合体、ポリ
ブテン、ポリ4−メチル・ペンテン−1、低結晶性ある
いは非晶性のエチレン・プロピレンランダム共重合体、
エチレン・ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン・
ブテン−1ランダム共重合体等のポリオレフィンの単独
若しくは2種以上の組成物、エチレン・酢酸ビニル共重
合体(EVA)あるいはEVAとポリオレフィンとの組
成物等を例示できる。
【0037】本発明の積層体に熱融着層を積層する際に
は、被接着面である基材層、若しくはガスバリ層の表面
に種々公知のアンカー剤、例えば、有機チタン系、ポリ
エチレンイミン系、ウレタン系、ポリブタジエン系アン
カー剤、あるいはラミネート接着剤、例えば一液型、二
液型のポリオールと多価イソシアネート、水系ウレタン
アイオノマーと硬化剤等の組合せからなるポリウレタン
系接着剤に代表されるドライラミネート接着剤、アクリ
ル系、酢酸ビニル系、ウレタン系、ポリエステル樹脂等
を主原料とした水性ドライラミネート接着剤、ポリウレ
タン系接着剤に代表される無溶剤ラミネート接着剤等で
処理しておいてもよい。
【0038】積層体の製造方法 本発明の積層体は、熱可塑性樹脂(A)からなる基材層
の少なくとも片面に、無機化合物からなる薄膜(B)を
設け、更に薄膜(B)上に赤外線吸収スペクトルにおけ
る1500〜1600cm−1付近のδNHに基づく吸
光度Aと2800〜3000cm−1付近のνC−H基
づく吸光度Aとの比(A/A)が0.80以上のウ
レタン・ウレア化合物(C)の溶液および分散液をコー
ティングして積層体を得る。
【0039】本発明にかかわる基材層は上記熱可塑性樹
脂(A)を種々公知の成形法、例えばTダイ法やインフ
レーション法などの溶融成形法、溶液を用いたキャステ
ィング法などで成形したフィルム、シート等であって、
好ましくはを少なくとも一方向、更に好ましくは二軸延
伸した成形される。
【0040】基材層(A)層上に無機化合物からなる薄
膜(B)を積層する方法は、真空蒸着法、スパッタリン
グ法、プラズマ気相成長法(CVD法)などの真空プロ
セスにより形成される。
【0041】ウレタン・ウレア化合物(C)のコーティ
ング法は、特に限定されるものではなく、グラビアロー
ルコーティング法、リバースロールコーティング法、マ
イヤバーコーティング法、スプレーコート法、エアナイ
フコート法、ダイコーティング法等を採用し形成され
る。
【0042】
【発明の効果】本発明の積層体は、酸素、水蒸気等に対
するガスバリア性を有している。さらに耐屈曲性が向上
し、フィルムが屈曲されてもバリア性の低下が少ない。
したがって、本発明の積層体はかかる特徴を活かして、
水分活性値が低い食品から水分活性値が高い食品迄幅広
い分野の食品包装材料として、特に好適に用いることが
できる。勿論、かかる食品包装材料だけではなく、水分
や酸素をを嫌う、医薬品、化学薬品、精密電子・電気機
器等の包装材料あるいは、精密電子・電気機器の材料に
も使用することができる。
【0043】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例により何等限定され
るものではない。
【0044】物性値は以下の方法で測定した。 測定方法 ・酸素透過度:積層フィルムに50μmのLLDPEを
ドライラミネートしたラミネートフィルムをモダンコン
トロール社 MOCON OXTRAN2/20を用
い、20℃80%RHの条件で測定した。 ・透湿度 :積層フィルムに50μmのLLDPEを
ドライラミネートしたラミネートフィルム及び屈曲試験
を行ったラミネートフィルムに、夫々内容物として塩化
カルシウムを入れ、ヒートシールにより、表面積が0.
01mになるように袋を作成する。これを40℃90
%RHに数日放置し、その吸湿量を測定した。 ・赤外線吸収スペクトルの測定:基材フィルムにウレタ
ン・ウレア化合物を塗布・乾燥した後、基材からウレタ
ン・ウレア化合物を剥がした試料をフーリエ変換赤外分
光光度計(日本分光製 FT/IR−350)を用いて
吸光度を測定した。 ・屈曲試験 :積層フィルムに50μmのLLDPEを
ドライラミネートしたラミネートフィルム90mm幅
に、1.5kgの荷重をかけ、先の鋭い金属板を支えに
約60度に折り曲げながらラミネートフィルムのPET
面またはOP面側を擦ってサンプルを得た。
【0045】実施例1 厚さ12μmのニ軸延伸ポリエステルフィルム(以下P
ETフィルム)に、真空蒸着法により酸化アルミニウム
を100Å蒸着した。さらに蒸着層上に、A/Aが、
0.96のウレタン・ウレア化合物の水分散液(武田薬
品工業製 WPB60−1)を乾燥後の膜が0.6μm
になるように塗布し、積層フィルムを得た。各物性の測
定結果を、表1に示す。
【0046】実施例2 厚さ12μmのPETフィルムに、真空蒸着法により酸
化アルミニウムを100Å蒸着した。さらに蒸着層上
に、A/Aが0.96のウレタン・ウレア化合物の水
分散液(武田薬品工業製 WPB60−1)を乾燥後の
膜が1.3μmになるように塗布し、積層フィルムを得
た。各物性の測定結果を表1に示す。
【0047】実施例3 厚さ12μmのPETフィルムに、真空蒸着法により酸
化アルミニウムを100Å蒸着した。さらに蒸着層上
に、A/Aが0.96のウレタン・ウレア化合物の水
分散液(武田薬品工業製 WPB60−1)を乾燥後の
膜が2.5μmになるように塗布し、積層フィルムを得
た。各物性の測定結果を表1に示す。
【0048】実施例4 厚さ12μmのPETフィルムに、真空蒸着法により酸
化アルミニウムを100Å蒸着した。さらに蒸着層上
に、水性イソシアネート(武田薬品工業製 WD72
6)を不揮発分比で10%になるように添加した、A/
が0.96のウレタン・ウレア化合物の水分散液
(武田薬品工業製 WPB60−1)を乾燥後の膜が
1.3μmになるように塗布し、積層フィルムを得た。
各物性の測定結果を表1に示す。
【0049】実施例5 厚さ12μmのPETフィルムに、真空蒸着法により酸
化アルミニウムを100Å蒸着した。さらに蒸着層上
に、シランカップリング剤(武田薬品工業製 XS−
1)を不揮発分比で10%になるように添加した、A/
が0.96のウレタン・ウレア化合物の水分散液
(武田薬品工業製 WPB60−1)を乾燥後の膜が
1.3μmになるように塗布し、積層フィルムを得た。
各物性の測定結果を表1に示す。
【0050】実施例6 メルトフローレートが2.0g/10分のポリプロピレ
ンと接着性樹脂層として、無水マレイン酸でグラフト重
合した変性ポリプロピレン(三井化学製 アドマーQF
500)を別々の押出し機で溶融したものを一台のダイ
内で層状に重ねて押出し、未延伸二層シートを得た。こ
の未延伸二層シートを周速の異なる加熱ロール群からな
る縦延伸機で5倍に延伸し、つづいて、この縦延伸シー
トの変性ポリプロピレン面にコロナ放電処理を施した。
次にA/Aが0.96のウレタン・ウレア化合物の水
分散液(武田薬品工業製 WPB60−1)を横延伸後
の膜が0.6μmになるように塗布した後、テンター横
延伸機に連続的に導入し延伸倍率10倍で横延伸し厚さ
25.6μm(接着性樹脂層の厚さ1μm)の二軸延伸
フィルムを得た。次いで、二軸延伸フィルムのウレタン
・ウレア層上に真空蒸着法で酸化アルミニウムを150
Å蒸着し基材フィルムを得た。かかる基材フィルムの蒸
着層上に、A/Aが0.96のウレタン・ウレア化合
物の水分散液(武田薬品工業製 WPB60−1)を乾
燥後の膜が0.6μmになるように塗布し、積層フィル
ムを得た。各物性の測定結果を表1に示す。
【0051】比較例1 厚さ12μmのPETフィルムに、真空蒸着法により酸
化アルミニウムを100Å蒸着した。さらに蒸着層上
に、A/Aが、0.77のウレタン・ウレア化合物の
水分散液(武田薬品工業製 W605)を乾燥後の膜が
0.6μmになるように塗布し、積層フィルムを得た。
各物性の測定結果を、表1に示す。
【0052】比較例2 厚さ12μmのPETフィルムに、真空蒸着法により酸
化アルミニウムを100Å蒸着した。さらに蒸着層上
に、ポリエステル水散液(大日本インキ化学工業ES2
200)を乾燥後の膜が0.6μmになるように塗布
し、積層フィルムを得た。各物性の測定結果を、表1に
示す。
【0053】比較例3 厚さ12μmのPETフィルムに、真空蒸着法により酸
化アルミニウムを100Å蒸着し、積層フィルムを得
た。各物性の測定結果を、表1に示す。
【0054】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F006 AA35 AB37 AB73 AB74 BA02 BA05 CA07 DA01 DA04 4F100 AA00B AA19 AH03C AH03K AK01A AK42 AT00A BA03 BA07 EH46 EH66 GB23 GB66 JB16A JD02 JD04 JK17 JM02B

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂(A)からなる基材層の少な
    くとも片面に、無機化合物からなる薄膜(B)を設け、
    更に当該薄膜(B)上に赤外線吸収スペクトルにおける
    1500〜1600cm−1付近のδNHに基づく吸光
    度Aと2800〜3000cm−1付近のνC−H基づ
    く吸光度Aとの比(A/A)が0.80以上のウレ
    タン・ウレア化合物(C)が積層されてなることを特徴
    とする積層体。
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