JP2002173457A - ケトン化合物の製造方法 - Google Patents

ケトン化合物の製造方法

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JP2002173457A
JP2002173457A JP2000370207A JP2000370207A JP2002173457A JP 2002173457 A JP2002173457 A JP 2002173457A JP 2000370207 A JP2000370207 A JP 2000370207A JP 2000370207 A JP2000370207 A JP 2000370207A JP 2002173457 A JP2002173457 A JP 2002173457A
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acid
compound
hydroxyl group
alcohol
secondary hydroxyl
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JP2000370207A
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Yasutaka Ishii
康敬 石井
Tatsuya Nakano
達也 中野
Yasushi Sato
靖 佐藤
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Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2級アルコールから高転化率及び高選択率で
対応するケトンを得る。 【解決手段】 還元性無機化合物又は酸の存在下、臭素
酸又はその塩を用い、少なくとも2級ヒドロキシル基を
有するアルコールを40℃以上の温度で酸化して、2級
ヒドロキシル基をオキソ基に変換し、対応するケトン化
合物を製造する。臭素酸又はその塩の割合は、前記2級
ヒドロキシル基に対して1当量未満であり、還元性無機
化合物又は酸の割合は、前記臭素酸に対して0.01〜
0.9当量である。前記アルコールとして、2級ヒドロ
キシル基と1級ヒドロキシル基とを有する多価アルコー
ル(プロピレングリコール、グリセリンなど)を用いる
と、対応するヒドロキシケトン化合物を生成できる。前
記還元性無機化合物としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素
塩、ピロ亜硫酸塩、チオ硫酸塩などが使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】医薬、農薬などのファインケ
ミカル分野における原料又は中間体などとして有用なケ
トン化合物(特にヒドロキシケトン化合物)の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】臭素酸又はその塩などのハロゲン酸類
は、反応系中でハロゲン分子を発生させることにより、
効率的に有機化合物を酸化し、医薬、農薬等のファイン
ケミカル分野における重要な中間体であるオキソ化合物
を得る目的で用いられている(Bull.Chem.S
oc.Jpn.,59(1986)747.,特開平9
−77705号公報、Bull.Chem.Soc.J
pn.,Vol.70,2561(1997),Tet
rahedron56(2000)1905)。
【0003】ハロゲン酸類は強力な酸化能を有するた
め、各種アルコールからアルデヒド、ケトン、エステル
の合成、エーテルからエステルの合成などの広い分野に
適用可能である。さらに、金属触媒が不要であるなど、
経済的にも有利である。
【0004】一方、ヒドロキシアセトンなどのヒドロキ
シケトン化合物は、化粧品、医薬、農薬などの原料とし
て、また、X線造影剤などとして有用な化合物である
が、比較的不安定な化合物であり、例えば、強い酸化性
雰囲気下では、ヒドロキシアセトン自体がグリコール開
裂などにより分解したりする。
【0005】ヒドロキシケトン化合物を製造する方法と
して、特開平4−356436号公報には、白金系担持
触媒を用いて、グリセリンを化学的に酸化することによ
り高い選択率でジヒドロキシアセトンが得られることが
開示されている。しかし、グリセリンの化学的酸化によ
る方法は、上記特開平4−356436号公報に唯一開
示されているに過ぎず、酸化剤などを用いて簡便に酸化
する方法などは未だ報告されていない。このように、従
来、化学的な方法により、グリセリンの2級ヒドロキシ
ル基を選択的に酸化することは困難とされてきた。
【0006】また、特開昭48−44485号公報に
は、グリセリンを原料にした微生物発酵法によりジヒド
ロキシアセトンを製造することが開示されている。しか
し、この方法では、特に、微生物の排泄物由来成分など
を生成物から完全に除去するのが困難であり、ある程度
の高純度製品を得るためには、イオン交換樹脂、活性
炭、分離膜などを通過させる必要があり、精製工程が煩
雑となり、経済的にも不利である。さらには、このよう
な方法により工業的レベルで得られる製品の純度は、多
くの場合、一般の化学合成プロセス(蒸留、晶析など)
により得られる化合物よりも低い。このように、原料と
製品価格との格差が小さい、すなわち、経済的、工業的
に有利なヒドロキシケトン化合物の化学的合成法、例え
ば、臭素酸のような比較的取り扱いが容易で、化学的に
安定な酸化剤を用いる簡便な酸化方法の開発が望まれて
いる。
【0007】また、ヒドロキシアセトンを製造する方法
として、安価な原料であるプロピレングリコールを原料
として用いた酸化による製法が検討されている。しか
し、化学的な酸化法においては、高温及び高圧の条件が
必要であるとともに(米国特許2143383号(19
36))、良好な収率で得ることは困難であるため、主
に微生物法により合成されていた(J.Biol.Ch
em.,140(1941)531など)。しかし、上
記グリセリンからの微生物発酵法の場合と同様、微生物
を用いる方法は、経済的、工業的に不利である。
【0008】そこで、プロピレングリコールからヒドロ
キシアセトンへの酸化反応において、臭素酸などのハロ
ゲン酸類を用いる方法が検討されている(特開平9−7
7705号公報、Bull.Chem.Soc.Jp
n.,Vol.70,p.2561(1997))。例
えば、特開平9−77705号公報には、1,2−プロ
パンジオール及び臭素酸ナトリウムを含む混合液に、2
5℃で亜硫酸水素ナトリウムを添加して反応させ、ヒド
ロキシアセトンに1,2−プロパンジオールが付加した
ケタール化合物が得られることが開示されている。しか
し、このような室温での酸化では、転化率を改善でき
ず、結果として収率を改善できない。また、この方法で
は、二級ヒドロキシル基に対して、1当量以上と多くの
臭素酸が必要であり、環境に対する付加が大きく、経済
的にも不利である。また、反応系に残存する臭素量も多
いため、後工程への負担も大きい。
【0009】また、特開平9−87227号公報には、
1,2−プロパンジオールの溶液に、塩酸を添加し、こ
の混合液に攪拌下、臭素酸ナトリウムを添加して、反応
させ、ヒドロキシアセトンを得ることが開示されてい
る。しかし、この方法では、塩酸などの無機酸又は有機
酸を臭素酸に対して1当量以上と多量に使用する必要が
あり、経済的にも不利であるとともに、転化率及び収率
の改善効果が不十分である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、臭素酸類の使用量が少量であっても、副生成物の生
成を抑えて、高転化率及び高選択率でケトン化合物を製
造する方法を提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、工業的及び経済的に
有利に、ケトン化合物を効率よく製造する方法を提供す
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討した結果、臭素酸類と、還元性
無機化合物又は酸とを特定の割合で組み合わせて用い、
少なくとも室温より高い温度(例えば、40℃以上)で
反応を進行させることにより、臭素酸類の割合が少量で
あっても、安価な2級アルコールから対応するケトン化
合物が効率よく得られることを見出し、本発明を完成し
た。
【0013】すなわち、本発明では、還元性無機化合物
又は酸の存在下、臭素酸又はその塩を用い、少なくとも
2級ヒドロキシル基を有するアルコールを酸化して、前
記2級ヒドロキシル基をオキソ基に変換し、対応するケ
トン化合物を製造する方法において、前記2級ヒドロキ
シル基に対して1当量未満の臭素酸又はその塩と、前記
臭素酸に対して還元性無機化合物又は酸0.01〜0.
9当量とを用い、40℃以上の温度で酸化する。前記臭
素酸又はその塩の割合は、2級ヒドロキシル基に対し
て、0.03〜0.9当量程度であってもよい。反応温
度は、40℃以上、かつ90℃未満の温度であってもよ
い。前記アルコールとして2級ヒドロキシル基と1級ヒ
ドロキシル基とを有する多価アルコールを用いると、2
級ヒドロキシル基がオキソ基に変換され、対応するヒド
ロキシケトン化合物を生成できる。反応系中、前記ヒド
ロキシケトン化合物と前記多価アルコールとのケタール
化合物を生成させてもよい。前記アルコールは、C3-8
ジオール又はトリオール(プロピレングリコール、グリ
セリンなど)などであってもよい。前記還元性無機化合
物としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、
チオ硫酸塩などが使用できる。
【0014】
【発明の実施の形態】臭素酸又はその塩には、臭素酸、
臭素酸アルカリ金属塩(臭素酸ナトリウム、臭素酸カリ
ウムなど)、臭素酸アルカリ土類金属塩(臭素酸マグネ
シウム、臭素酸カルシウムなど)、周期表12族金属の
臭素酸塩(臭素酸亜鉛など)、周期表13族金属の臭素
酸塩(臭素酸アルミニウムなど)などが含まれる。好ま
しい臭素酸類は、臭素酸、臭素酸アルカリ金属塩などで
ある。前記臭素酸又はその塩は、1種で又は2種以上組
合せて使用できる。このような臭素酸類は、反応系中、
酸化剤として作用する。
【0015】臭素酸又はその塩の割合は、基質であるア
ルコールの2級ヒドロキシル基に対して1当量未満(例
えば、0.01〜0.95当量程度)、好ましくは0.
9当量以下(例えば、0.01〜0.9当量程度)、さ
らに好ましくは0.02〜0.9当量(例えば、0.0
3〜0.9当量)、0.03〜0.8当量(例えば、
0.05〜0.8当量)程度である。前記割合が1当量
以上では、反応活性はあるものの、後の分離精製工程に
おいて、過剰な未反応臭素酸を処理したり、臭素酸に由
来する無機塩を除去したりする必要が生じ、プロセスが
煩雑となる虞がある。なお、臭素酸の割合が0.5当量
以下では基質の転化率が100%以下となるものの、微
量であっても十分に高い選択率で反応が進行する。
【0016】還元性無機化合物としては、アルカリ金属
(ナトリウム、カリウム、リチウムなど)、アルカリ土
類金属(マグネシウム、カルシウムなど)、アルミニウ
ム、クロム、マンガン、遷移金属(鉄、ニッケルな
ど)、銅、亜鉛などの金属単体、又はこれらの金属又は
アンモニアと無機酸との塩(例えば、硫酸塩、亜硫酸
塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、ピロ亜硫酸塩、硝酸
塩、塩酸塩、リン酸塩、炭酸塩など)などが挙げられ
る。臭素酸類の活性を高める上で、アルカリ金属、アル
カリ金属塩及びアンモニウム塩などが好ましい。このよ
うな塩類としては、亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウ
ムNa2SO3、亜硫酸カリウムなどの亜硫酸アルカリ金
属塩;亜硫酸アンモニウムなど)、亜硫酸水素塩(例え
ば、亜硫酸水素ナトリウムNaHSO3,亜硫酸水素カ
リウムなどの亜硫酸水素アルカリ金属塩;亜硫酸アンモ
ニウム塩など)、ピロ亜硫酸塩(ピロ亜硫酸ナトリウ
ム、ピロ亜硫酸カリウムなどのピロ亜硫酸アルカリ金属
塩;ピロ亜硫酸アンモニウムなど)、チオ硫酸塩(例え
ば、チオ硫酸ナトリウムNa223 、チオ硫酸カリウ
ムなどのチオ硫酸アルカリ金属塩;チオ硫酸アンモニウ
ムなど)などが挙げられ、特に亜硫酸水素アルカリ金属
塩が好ましい。これらの還元性無機化合物は、単独で又
は二種以上組み合わせて使用できる。
【0017】酸としては、臭素酸以外の各種酸(特定の
無機酸、有機酸など)が使用される。無機酸には、塩
酸、硫酸、硝酸及びリン酸が含まれる。有機酸には、有
機カルボン酸[例えば、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸な
どの飽和カルボン酸(飽和C1- 8カルボン酸など);
(メタ)アクリル酸などの不飽和C3-8カルボン酸;シ
ュウ酸、マロン酸などの飽和C2-8ジカルボン酸;マレ
イン酸などの不飽和C4-8ジカルボン酸;グリコール
酸、乳酸などのオキシC2-8カルボン酸など]、スルホ
ン酸(メタンスルホン酸などのC1-6アルカンスルホン
酸;p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸な
ど)が含まれる。これらの酸成分は、単独で又は二種以
上組み合わせて使用でき、前記無機酸と有機酸とを組み
合わせて使用してもよい。
【0018】好ましい酸は、無機酸、有機カルボン酸な
どである。また、有機酸では、水溶性有機酸(例えば、
水溶性有機カルボン酸)、特に酢酸などの飽和カルボン
酸などを用いる場合が多い。
【0019】還元性無機化合物又は酸の割合は、臭素酸
又はその塩に対して、臭素酸換算で、0.01〜0.9
当量、好ましくは0.02〜0.85当量程度である。
還元性無機化合物を用いる場合、前記割合は、例えば、
0.1〜0.9当量、好ましくは0.2〜0.9当量程
度の範囲から選択してもよい。また、酸を用いる場合、
例えば、0.01〜5当量、好ましくは0.01〜3当
量(例えば0.01〜1当量)程度と少量であっても、
効率よく酸化反応を進行させることができる。
【0020】酸を用いる場合、反応系は、酸性、例え
ば、pH7未満(例えば、0.1〜6.5程度)、好ま
しくはpH6以下(例えば、0.5〜6程度)、さらに
好ましくはpH5以下(例えば、0.5〜5程度)とな
る。反応系の酸性の程度は、前記酸や臭素酸類などの割
合を適宜選択することにより調整可能である。なお、極
度の強酸性条件では、基質や反応生成物が分解するなど
の悪影響を及ぼす虞がある。
【0021】本発明では、前記還元性無機化合物又は酸
の存在下、前記臭素酸類を用い、少なくとも2級ヒドロ
キシル基を有するアルコールを酸化して、2級ヒドロキ
シル基をオキソ基に変換し、対応するケトン化合物を製
造する。このような基質アルコールとしては、種々の2
級アルコール(脂肪族又は脂環族2級アルコール、芳香
−脂肪族2級アルコールなど)が使用できる。本発明で
は、基質アルコールとして、2級ヒドロキシル基と1級
ヒドロキシル基とを有する多価アルコールを用いても、
前記2級ヒドロキシル基を選択的にオキソ基に変換で
き、対応するケト−オール化合物(ヒドロキシケトン化
合物)を生成させることができる。
【0022】このような多価アルコールとしては、例え
ば、脂肪族多価アルコール[アルカンジオール(プロピ
レングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブ
タンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペン
タンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,3−ペ
ンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−
ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,3
−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,
5−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールなど
のC3-12アルカンジオールなど);アルカントリオール
(グリセリン、1,2,3−トリヒドロキシブタン、
1,2,4−トリヒドロキシブタン、1,2,5−トリ
ヒドロキシペンタンなどのC3-12アルカントリオールな
ど)など];2−,3−又は4−ヒドロキシシクロヘキ
シルメタノールなどのヒドロキシC 5-8シクロアルキル
−C1-4アルキルアルコールなどの脂環族多価アルコー
ル;単糖類(例えば、キシロース、グルコース、ガラク
トース、フルクトースなど)、2〜10の単糖単位を含
むオリゴ糖類(例えば、スクロース、マルトースなどの
2糖類;ラフィノースなどの3糖類など)などの糖類;
エリトリット、アラビット、キシリット、ソルビット、
マンニット、イノシットなどの糖アルコール;ソルビッ
トの分子内脱水縮合物(1,4−ソルビタン、1,5−
ソルビタンなど)などの鎖状糖アルコールの分子内脱水
縮合生成物などが含まれる。
【0023】前記多価アルコールは、二重結合などの不
飽和結合を有していてもよく、各種置換基、例えば、ハ
ロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、カルボニル
基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル
基、アミノ基、アルキルアミノ基などを有していてもよ
い。
【0024】好ましい多価アルコールは、1級ヒドロキ
シル基と2級ヒドロキシル基とを有する鎖状多価アルコ
ール、例えば、C3-8ジオール又はトリオール(特に鎖
状C3 -6ジオール又はトリオール)であり、特に少なく
とも1位及び2位にヒドロキシル基を有する多価アルコ
ール(プロピレングリコール、グリセリンなど)が好ま
しい。
【0025】前記ヒドロキシケトン化合物は、前記多価
アルコールの2級ヒドロキシル基がオキソ化された化合
物である。例えば、基質としてプロピレングリコールを
用いた場合、ヒドロキシアセトンが得られ、グリセリン
を用いた場合、ジヒドロキシアセトンなどが得られる。
また、多価アルコールが複数の2級ヒドロキシル基を有
する場合、2級ヒドロキシル基に対する臭素酸類の割合
を調整することにより、一部又は全部の2級ヒドロキシ
ル基がオキソ化された化合物も得ることができる。
【0026】反応温度は、反応圧力P/反応温度T=一
定の条件下、P=1atmであるとき、少なくとも室温
より高い温度、例えば、40℃以上(例えば、40℃以
上90℃未満)、好ましくは40〜85℃、さらに好ま
しくは45〜85℃(例えば45〜80℃)程度であ
る。温度が室温以下(例えば、40℃未満)では、反応
速度が遅くなる虞がある。また、反応温度が高すぎる
(例えば、90℃を超える)と、反応系で生成した臭素
が反応系外(気相部)に移行し、反応活性が大幅に低下
するとともに、副反応が進行する虞がある。
【0027】反応は、常圧又は加圧下で行うことができ
る。本発明では、常圧下でも、十分な反応活性が得られ
るため、常圧下での反応が工業的にも有利である。
【0028】酸化反応は、通常、液相で行う場合が多
い。反応溶媒としては、特に制限されず、例えば、基質
のアルコールを反応溶媒として用いてもよいが、通常水
溶性である臭素酸類を溶解させるため、少なくとも水を
含む溶媒(水溶媒、又は水及び有機溶媒の混合溶媒な
ど)を用いるのが好ましい。
【0029】水と混合する有機溶媒としては、水に対し
て混和性又は相溶性を有し、反応に不活性な有機溶媒、
例えば、ニトリル類(アセトニトリルなど)、アミド類
(ホルムアミド、ジメチルホルムアミドなど)、スルホ
キシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ケトン類(ア
セトンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロ
フランなど)、低級カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸な
ど)、3級アルコール(t−ブタノールなど)またはこ
れらの混合溶媒を使用し、均一系で反応してもよい。ま
た、水に対して非混和性の有機溶媒、例えば、炭化水素
類(ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなど)、エー
テル類(ジエチルエーテルなど)、ケトン類(メチルエ
チルケトンなど)、エステル類(酢酸エチルなど)又は
これらの混合溶媒を用い、水相と有機溶媒相との二相系
(不均一系)で反応させてもよい。また、二相系で反応
させる場合、基質アルコール類の溶解性などを考慮し
て、相間移動触媒(四級アンモニウム塩など)、界面活
性剤などを併用してもよい。なお、有機溶媒でも系を酸
性条件にすることで臭素酸が溶解する場合が多いので、
例えば、前記有機溶媒などを用いて非水系で反応を行っ
てもよい。
【0030】酸化反応は、空気中で行ってもよく、窒
素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよ
い。
【0031】本発明では、基質として前記多価アルコー
ルを用いた場合、反応系中、生成したケト−オール化合
物(ヒドロキシケトン化合物)は、残存する多価アルコ
ールと付加したケタール化合物として得ることもでき
る。なお、得られたケタール化合物から、慣用の方法に
より、ヒドロキシケトン化合物を得ることもできる。
【0032】反応終了後、得られたケトン化合物(ヒド
ロキシケトン化合物、ケタール化合物など)は、慣用の
分離精製手段、例えば、蒸留、濃縮、抽出、再結晶、ク
ロマトグラフィーなどにより容易に分離精製可能であ
る。
【0033】このような方法により得られたケトン化合
物(特にヒドロキシケトン化合物)は、医薬、農薬、化
粧品等のファインケミカル分野における原料や中間体と
して、また、X線造影剤などとして有用である。
【0034】
【発明の効果】本発明では、臭素酸類と、還元性無機化
合物又は酸とを特定の割合で組み合わせて用い、少なく
とも室温より高い温度(40℃以上)で反応させるの
で、臭素酸類の割合が少量であっても、安価な2級アル
コールから高い転化率及び選択率で、対応するケトン化
合物を効率よく製造でき、工業的及び経済的に有利であ
る。
【0035】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0036】実施例1 100mLガラス製反応器に、臭素酸ナトリウムNaB
rO3 4529mg(30.0mmol)、H2O 1
0mL、CH3CN 20mL、プロピレングリコール
3816mg(50.2mmol)の順に仕込み、室
温で攪拌した。得られた溶液に、H2O 5mLに溶解
させた亜硫酸水素ナトリウムNaHSO31312mg
(12.6mmol)を30分かけて滴下した。滴下
中、反応液はBr2由来の橙色となった。滴下終了後、
反応系を75℃に昇温した。滴下開始から4時間後、反
応溶液をガスクロマトグラフィーにより分析したとこ
ろ、プロピレングリコールの転化率98%で、ヒドロキ
シアセトンが収率75%で得られた。
【0037】実施例2 反応系を50℃に昇温する以外は、実施例1と同様に反
応を行った。滴下開始から10時間後、反応溶液をガス
クロマトグラフィーにより分析したところ、プロピレン
グリコールの転化率95%で、ヒドロキシアセトンが収
率78%で得られた。
【0038】実施例3 100mLガラス製反応器に、NaBrO3 4537
mg(30.1mmol)、H2O 20mL、プロピ
レングリコール 30.03g(395mmol)の順
に仕込み、室温で攪拌した。得られた溶液に、H2
5mLに溶解させたNaHSO3 1306mg(1
2.6mmol)を30分かけて滴下した。滴下中、反
応液はBr2由来の橙色となった。滴下終了後、反応系
を75℃に昇温した。滴下開始から2時間後に、反応溶
液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、プ
ロピレングリコールの転化率20%で、ヒドロキシアセ
トンが収率17%で得られた。なお、生成したヒドロキ
シアセトン17%のうち1%は、未反応のプロピレング
リコールとのアセタールとして系中に存在していた。
【0039】実施例4 100mLガラス製反応器に、NaBrO3 6796
mg(45.0mmol)、H2O 10mL、プロピ
レングリコール 15.3g(200mmol)の順に
仕込み、室温で攪拌した。得られた溶液に、H2
2.5mLに溶解させたNaHSO3 1780mg
(7.5mmol)を30分かけて滴下した。滴下中、
反応液はBr2由来の橙色となった。滴下終了後、反応
系を75℃に昇温した。滴下開始から2時間後に、反応
溶液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、
プロピレングリコールの転化率54%で、ヒドロキシア
セトンが収率42%で得られた。なお、生成したヒドロ
キシアセトン42%のうち2%は、未反応のプロピレン
グリコールとのアセタールとして系中に存在していた。
【0040】実施例5 100mLガラス製反応器に、NaBrO3 6796
mg(45.0mmol)、H2O 10mL、プロピ
レングリコール 15.3g(200mmol)の順に
仕込み、室温で攪拌した。得られた溶液に、H2
2.5mLに溶解させたHCl 90mg(2.5mm
ol)を30分かけて滴下した。滴下中、反応液はBr
2由来の橙色となった。滴下終了後、反応系を75℃に
昇温した。滴下開始から2時間後に、反応溶液をガスク
ロマトグラフィーにより分析したところ、プロピレング
リコールの転化率58%で、ヒドロキシアセトンが収率
45%で得られた。なお、生成したヒドロキシアセトン
45%のうち2%は、未反応のプロピレングリコールと
のアセタールとして系中に存在していた。
【0041】実施例6 100mLガラス製反応器に、NaBrO3 4545
mg(30.1mmol)、H2O 20mL、グリセ
リン 37.0g(401mmol)の順に仕込み、室
温で攪拌した。得られた溶液にH2O 5mLに溶解さ
せたNaHSO31042mg(10.0mmol)を
30分かけて滴下した。滴下中、反応液はBr2由来の
橙色となった。滴下終了後、反応系を75℃に昇温し
た。滴下開始から2時間後に、反応溶液をガスクロマト
グラフィーにより分析したところ、グリセリンの転化率
16%で、ヒドロキシアセトンが収率13%で得られ
た。
【0042】比較例1 (室温で反応を行った場合)昇温することなく反応温度
を25℃(室温)にする以外は、実施例1と同様に反応
を行った。滴下開始から15時間後に、反応溶液をガス
クロマトグラフィーにより分析したところ、アセタール
化しているものも含め、ヒドロキシアセトンへの選択率
は、87%と高かったものの、プロピレングリコールの
転化率は30%までしか上がらなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC43 AC44 BA02 BA36 BA66 BC10 BC31 BC34 BE36 GN30 GP01 GP10 4H039 CA62 CC20

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還元性無機化合物又は酸の存在下、臭素
    酸又はその塩を用い、少なくとも2級ヒドロキシル基を
    有するアルコールを酸化して、前記2級ヒドロキシル基
    をオキソ基に変換し、対応するケトン化合物を製造する
    方法であって、前記2級ヒドロキシル基に対して1当量
    未満の臭素酸又はその塩と、前記臭素酸に対して還元性
    無機化合物又は酸0.01〜0.9当量とを用い、40
    ℃以上の温度で酸化するケトン化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 2級ヒドロキシル基に対して、0.03
    〜0.9当量の臭素酸又はその塩を用いる請求項1記載
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 40℃以上、かつ90℃未満の温度で酸
    化する請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルコールとして2級ヒドロキシル基と
    1級ヒドロキシル基とを有する多価アルコールを用い、
    前記2級ヒドロキシル基をオキソ基に変換し、対応する
    ヒドロキシケトン化合物を生成する請求項1記載の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 アルコールが、C3-8ジオール又はトリ
    オールである請求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 アルコールが、プロピレングリコール又
    はグリセリンである請求項1記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 還元性無機化合物が、亜硫酸塩、亜硫酸
    水素塩、ピロ亜硫酸塩及びチオ硫酸塩から選択された少
    なくとも1種であり、酸が無機酸及び有機酸から選択さ
    れた少なくとも1種である請求項1記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 亜硫酸水素アルカリ金属塩又は無機酸の
    存在下、臭素酸又はその塩を用い、基質としてのプロピ
    レングリコール又はグリセリンを酸化して、前記基質の
    2級ヒドロキシル基をオキソ基に変換し、対応するケト
    ン化合物を製造する方法であって、前記2級ヒドロキシ
    ル基に対して0.03〜0.8当量の臭素酸又はその塩
    と、前記臭素酸に対して亜硫酸水素アルカリ金属塩又は
    無機酸0.02〜0.85当量とを用い、45〜85℃
    の温度で酸化するケトン化合物の製造方法。
  9. 【請求項9】 反応系中、ヒドロキシケトン化合物と多
    価アルコールとのケタール化合物を生成させる請求項4
    記載の製造方法。
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