JP2001233818A - ビフェニリル酢酸の製造方法 - Google Patents
ビフェニリル酢酸の製造方法Info
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- JP2001233818A JP2001233818A JP2000051337A JP2000051337A JP2001233818A JP 2001233818 A JP2001233818 A JP 2001233818A JP 2000051337 A JP2000051337 A JP 2000051337A JP 2000051337 A JP2000051337 A JP 2000051337A JP 2001233818 A JP2001233818 A JP 2001233818A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 消炎、鎮痛、解熱作用を持つビフェニリル酢
酸を、収率よく、簡便に、工業的規模で製造できる方法
を提供する。 【解決手段】 ビニルビフェニルに酸化剤を作用させ
て、ビフェニリルオキシランに導き、これを転位反応に
付して、ビフェニリルアセトアルデヒドに変換したの
ち、これを酸化して一般式(4) 【化1】 で表されるビフェニリル酢酸とする。この際、生成した
ビフェニリルオキシラン又はビフェニリルアセトアルデ
ヒドを単離することなく、次の反応に付すことができ
る。
酸を、収率よく、簡便に、工業的規模で製造できる方法
を提供する。 【解決手段】 ビニルビフェニルに酸化剤を作用させ
て、ビフェニリルオキシランに導き、これを転位反応に
付して、ビフェニリルアセトアルデヒドに変換したの
ち、これを酸化して一般式(4) 【化1】 で表されるビフェニリル酢酸とする。この際、生成した
ビフェニリルオキシラン又はビフェニリルアセトアルデ
ヒドを単離することなく、次の反応に付すことができ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消炎、鎮痛、解熱
作用を持ち、医薬として有用な、ビフェニリル酢酸の製
造方法に関する。
作用を持ち、医薬として有用な、ビフェニリル酢酸の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビフェニリル酢酸が消炎、鎮痛、解熱作
用を持つことは、特開平8-175982号公報等で知られてい
る。また、ビフェニリル酢酸の製造方法としては、従
来、種々の方法が報告されている。それらを4−ビフェ
ニリル酢酸を例にとって大別すれば、次の通り。 (1)4−アセチルビフェニルに硫黄とモルフォリンを
作用させる所謂Willgerodt反応による方法(J. Amer. C
hem. Soc., 70, 2837 (1948)など)、(2)4−クロロ
メチルビフェニルにシアン化ナトリウムを作用させて4
−ビフェニリルアセトニトリルとし、次いでこれを加水
分解する方法(J. Org. Chem., 47, 2928(1982)な
ど)、(3)αーヒドロキシ或いはα−アセトキシ−4
−ビフェニリル酢酸を還元する方法(J. Amer. Chem. S
oc., 65, 1725 (1943)、特開平10-139724号公報な
ど)、(4)4−フォルミルビフェニルを還元して4−
ヒドロキシメチルビフェニルとし、触媒存在下で一酸化
炭素と反応させる方法(特開平01-132544号)、(5)
4−フォルミルビフェニルとグリシン誘導体又はヒダン
トイン化合物との縮合体をつくり、これを2段階の反応
で所望の4−ビフェニリル酢酸に導く方法(特開昭62-4
5553号、同62-4554号)、(6)ビフェニルとα−チオ
−α−クロロ酢酸エステルとの所謂Friedel-Crafts反応
で得られたα−チオ−4−ビフェニリル酢酸エステル
を、還元脱硫及び加水分解する方法(特開昭61-36243
号)。
用を持つことは、特開平8-175982号公報等で知られてい
る。また、ビフェニリル酢酸の製造方法としては、従
来、種々の方法が報告されている。それらを4−ビフェ
ニリル酢酸を例にとって大別すれば、次の通り。 (1)4−アセチルビフェニルに硫黄とモルフォリンを
作用させる所謂Willgerodt反応による方法(J. Amer. C
hem. Soc., 70, 2837 (1948)など)、(2)4−クロロ
メチルビフェニルにシアン化ナトリウムを作用させて4
−ビフェニリルアセトニトリルとし、次いでこれを加水
分解する方法(J. Org. Chem., 47, 2928(1982)な
ど)、(3)αーヒドロキシ或いはα−アセトキシ−4
−ビフェニリル酢酸を還元する方法(J. Amer. Chem. S
oc., 65, 1725 (1943)、特開平10-139724号公報な
ど)、(4)4−フォルミルビフェニルを還元して4−
ヒドロキシメチルビフェニルとし、触媒存在下で一酸化
炭素と反応させる方法(特開平01-132544号)、(5)
4−フォルミルビフェニルとグリシン誘導体又はヒダン
トイン化合物との縮合体をつくり、これを2段階の反応
で所望の4−ビフェニリル酢酸に導く方法(特開昭62-4
5553号、同62-4554号)、(6)ビフェニルとα−チオ
−α−クロロ酢酸エステルとの所謂Friedel-Crafts反応
で得られたα−チオ−4−ビフェニリル酢酸エステル
を、還元脱硫及び加水分解する方法(特開昭61-36243
号)。
【0003】これらの従来技術には、次のような問題点
がある。(1)の方法は最も一般的に行われている方法
であるが、硫黄化合物を中間体として経由するため、悪
臭が発生し、また副生成物が大量に発生するために、そ
れらの処理に多大なコストがかかる。(2)の方法で
は、原料は皮膚刺激性の強いクロロメチルビフェニルで
あり、また猛毒の青酸化合物を用いるため、工業的製造
法としては好ましくない。(3)の方法で用いるα−ヒ
ドロキシあるいはα−アセトキシ−4−ビフェニリル酢
酸は、通常、4−フォルミルビフェニルとシアン化合物
とで得られるシアンヒドリンを経由して合成する。すな
わち(4)、(5)の方法と同様に4−フォルミルビフ
ェニルを原料とする。4−フォルミルビフェニルの製造
には種々の方法が知られている。そのうち、工業的観点
からは、ビフェニルと一酸化炭素とを強酸存在下で反応
させる方法が適切と考えられるが、この方法では、腐食
性の高いフッ素系強酸や有毒な一酸化炭素を加圧下で用
い、かつ非水条件で操業するため、特殊な専用加圧反応
器が必要となる。
がある。(1)の方法は最も一般的に行われている方法
であるが、硫黄化合物を中間体として経由するため、悪
臭が発生し、また副生成物が大量に発生するために、そ
れらの処理に多大なコストがかかる。(2)の方法で
は、原料は皮膚刺激性の強いクロロメチルビフェニルで
あり、また猛毒の青酸化合物を用いるため、工業的製造
法としては好ましくない。(3)の方法で用いるα−ヒ
ドロキシあるいはα−アセトキシ−4−ビフェニリル酢
酸は、通常、4−フォルミルビフェニルとシアン化合物
とで得られるシアンヒドリンを経由して合成する。すな
わち(4)、(5)の方法と同様に4−フォルミルビフ
ェニルを原料とする。4−フォルミルビフェニルの製造
には種々の方法が知られている。そのうち、工業的観点
からは、ビフェニルと一酸化炭素とを強酸存在下で反応
させる方法が適切と考えられるが、この方法では、腐食
性の高いフッ素系強酸や有毒な一酸化炭素を加圧下で用
い、かつ非水条件で操業するため、特殊な専用加圧反応
器が必要となる。
【0004】(3)の方法で用いるα−ヒドロキシ−4
−ビフェニリル酢酸の別製造法としては、ビフェニルと
シュウ酸モノエステル塩化物とのFriedel-Crafts反応で
4−ビフェニリルグリオキシル酸エステルを作り、次い
で還元する方法がある。しかしこの方法や(6)の方法
は、原料に特殊な反応剤であるシュウ酸モノエステル塩
化物やα−チオ−4−ビフェニリル酢酸エステルを用い
る点や、触媒として回収再使用が困難な塩化アルミウム
のようなルイス酸を、実質的に化学量論量用いる点で、
大量製造には不向きである。更に、(3)の方法で用い
るα−ヒドロキシ−4−ビフェニリル酢酸の他の別製造
法としては、4−ハロゲン化アセチルビフェニルをアル
カリで加水分解する方法、4−ビフェニルアルデヒド
を、相間移動触媒の存在下にクロロホルム及びアルカリ
と反応させる方法なども知られているが、いずれも上記
のような問題が解決できるとはいえない。
−ビフェニリル酢酸の別製造法としては、ビフェニルと
シュウ酸モノエステル塩化物とのFriedel-Crafts反応で
4−ビフェニリルグリオキシル酸エステルを作り、次い
で還元する方法がある。しかしこの方法や(6)の方法
は、原料に特殊な反応剤であるシュウ酸モノエステル塩
化物やα−チオ−4−ビフェニリル酢酸エステルを用い
る点や、触媒として回収再使用が困難な塩化アルミウム
のようなルイス酸を、実質的に化学量論量用いる点で、
大量製造には不向きである。更に、(3)の方法で用い
るα−ヒドロキシ−4−ビフェニリル酢酸の他の別製造
法としては、4−ハロゲン化アセチルビフェニルをアル
カリで加水分解する方法、4−ビフェニルアルデヒド
を、相間移動触媒の存在下にクロロホルム及びアルカリ
と反応させる方法なども知られているが、いずれも上記
のような問題が解決できるとはいえない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特殊
な反応剤や専用反応器を使用せず、副産物が少なく、且
つ、簡便なビフェニリル酢酸の工業的製造法を提供する
ことである。
な反応剤や専用反応器を使用せず、副産物が少なく、且
つ、簡便なビフェニリル酢酸の工業的製造法を提供する
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(1)
【化3】 で表されるビニルビフェニルに酸化剤を作用させて、一
般式(2)
般式(2)
【化4】 で表されるビフェニリルオキシランに導き、これを転位
反応に付して、一般式(3)
反応に付して、一般式(3)
【化5】 で表されるビフェニリルアセトアルデヒドに変換したの
ち酸化して、一般式(4)
ち酸化して、一般式(4)
【化6】 で表されるビフェニリル酢酸とすることを特徴とするビ
フェニリル酢酸の製造方法である。また、本発明は、同
一反応器内にて、又はビフェニリルオキシラン若しくは
ビフェニリルアセトアルデヒドを単離することなく行う
上記のビフェニリル酢酸の製造方法である。更に、本発
明は、ビフェニリル酢酸が4−ビフェニリル酢酸である
上記の製造方法である。
フェニリル酢酸の製造方法である。また、本発明は、同
一反応器内にて、又はビフェニリルオキシラン若しくは
ビフェニリルアセトアルデヒドを単離することなく行う
上記のビフェニリル酢酸の製造方法である。更に、本発
明は、ビフェニリル酢酸が4−ビフェニリル酢酸である
上記の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる前記一般式(1)で表されるビニルビフ
ェニルは、熱媒体として工業的に大量生産され使用され
ているエチルビフェニルを、気相脱水素反応に付すこと
で、容易に製造できる(第33回日本芳香族工業会大会
技術・研究発表要旨集16〜24頁、平成11年10月
28日、広島)。熱媒体として使用されているエチルビ
フェニルは、通常、3−エチルビフェニルと4−エチル
ビフェニルとの混合物であるが、この混合物を精密蒸留
し、所望ならば溶媒再結晶などの操作を行うことによ
り、3−エチルビフェニル及び4−エチルビフェニル
を、それぞれ純品として単離することができる。これら
の純品を上述の気相脱水素反応にかけると、3−ビニル
ビフェニル及び4−ビニルビフェニルが、それぞれ得る
ことができる。本発明においては、一般式(1)で表さ
れるビニルビフェニルとして3−ビニルビフェニルを用
いた場合には3−ビフェニリル酢酸が、4−ビニルビフ
ェニルを用いた場合には4−ビフェニリル酢酸が、それ
ぞれ製造される。
本発明で用いる前記一般式(1)で表されるビニルビフ
ェニルは、熱媒体として工業的に大量生産され使用され
ているエチルビフェニルを、気相脱水素反応に付すこと
で、容易に製造できる(第33回日本芳香族工業会大会
技術・研究発表要旨集16〜24頁、平成11年10月
28日、広島)。熱媒体として使用されているエチルビ
フェニルは、通常、3−エチルビフェニルと4−エチル
ビフェニルとの混合物であるが、この混合物を精密蒸留
し、所望ならば溶媒再結晶などの操作を行うことによ
り、3−エチルビフェニル及び4−エチルビフェニル
を、それぞれ純品として単離することができる。これら
の純品を上述の気相脱水素反応にかけると、3−ビニル
ビフェニル及び4−ビニルビフェニルが、それぞれ得る
ことができる。本発明においては、一般式(1)で表さ
れるビニルビフェニルとして3−ビニルビフェニルを用
いた場合には3−ビフェニリル酢酸が、4−ビニルビフ
ェニルを用いた場合には4−ビフェニリル酢酸が、それ
ぞれ製造される。
【0008】本発明では、前記のビニルビフェニルに酸
化剤を作用させて、前記一般式(2)のビフェニリルオ
キシランに導く。ここで使用する酸化剤としては、過安
息香酸、m−クロロ過安息香酸、過フタル酸、過酢酸、
過ギ酸などの有機系過酸、過ヨード酸ナトリウム、過ヨ
ード酸テトラブチルアンモニウム、過ホウ素酸ナトリウ
ム、カリウムペルオキシド、過硫酸水素カリウム、次亜
塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸リチウムなどの無機系酸
化剤、ヨードソベンゼン、2,6−ジクロロピリジン−
N−オキシド、ピリジン−N−オキシド、N−ヒドロキ
シフタルイミド、2,2−ビピリジン−N,N’−ジオ
キシド、t−ブチルペルオキシドなどの有機系酸化物
や、過酸化水素、酸素ガスが挙げられる。過酸化水素
は、通常、60〜20%水溶液として用い、酸素ガス
は、通常、空気として用いる。酸化剤の使用量は、種類
及び反応条件によって異なるが、通常、一般式(1)で
表されるビニルビフェニルに対して0.5倍モル量〜1
0倍モル量の範囲であり、等モル量〜5倍モル量が好ま
しい。但し、酸素ガスを用いる場合は、過剰量を加圧状
態で用いることもある。
化剤を作用させて、前記一般式(2)のビフェニリルオ
キシランに導く。ここで使用する酸化剤としては、過安
息香酸、m−クロロ過安息香酸、過フタル酸、過酢酸、
過ギ酸などの有機系過酸、過ヨード酸ナトリウム、過ヨ
ード酸テトラブチルアンモニウム、過ホウ素酸ナトリウ
ム、カリウムペルオキシド、過硫酸水素カリウム、次亜
塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸リチウムなどの無機系酸
化剤、ヨードソベンゼン、2,6−ジクロロピリジン−
N−オキシド、ピリジン−N−オキシド、N−ヒドロキ
シフタルイミド、2,2−ビピリジン−N,N’−ジオ
キシド、t−ブチルペルオキシドなどの有機系酸化物
や、過酸化水素、酸素ガスが挙げられる。過酸化水素
は、通常、60〜20%水溶液として用い、酸素ガス
は、通常、空気として用いる。酸化剤の使用量は、種類
及び反応条件によって異なるが、通常、一般式(1)で
表されるビニルビフェニルに対して0.5倍モル量〜1
0倍モル量の範囲であり、等モル量〜5倍モル量が好ま
しい。但し、酸素ガスを用いる場合は、過剰量を加圧状
態で用いることもある。
【0009】これらの酸化剤を作用させる際には触媒及
び/又は助酸化剤存在させることも好ましい実施態様の
一つである。特に、酸素ガスを用いる場合は、ルテニウ
ムやロジウムなどの貴金属やタングステンやマンガンな
どの金属類の錯体触媒や、助酸化剤としてイソブチルア
ルデヒドなどのアルデヒド類を用いるのが好ましい。ま
た、過酸化水素を用いる場合には、触媒としてはタング
ステン酸ナトリウム、酸化モリブデン、タングステン錯
体、マンガン錯体、モリブデン錯体などが好ましく、助
酸化剤としてはアセトニトリルやベンゾニトリルのよう
なニトリル類や、酢酸やギ酸のような有機カルボン酸が
好ましい。ニトリル類や有機カルボン酸は、これを反応
溶媒に兼ねて用いてもよい。
び/又は助酸化剤存在させることも好ましい実施態様の
一つである。特に、酸素ガスを用いる場合は、ルテニウ
ムやロジウムなどの貴金属やタングステンやマンガンな
どの金属類の錯体触媒や、助酸化剤としてイソブチルア
ルデヒドなどのアルデヒド類を用いるのが好ましい。ま
た、過酸化水素を用いる場合には、触媒としてはタング
ステン酸ナトリウム、酸化モリブデン、タングステン錯
体、マンガン錯体、モリブデン錯体などが好ましく、助
酸化剤としてはアセトニトリルやベンゾニトリルのよう
なニトリル類や、酢酸やギ酸のような有機カルボン酸が
好ましい。ニトリル類や有機カルボン酸は、これを反応
溶媒に兼ねて用いてもよい。
【0010】酸化剤を作用させる反応は通常、溶媒中で
行う。溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、石油エーテル
等の脂肪族炭化水素や、ベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、
四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロ
ゲン系溶剤、ニトロメタンやニトロベンゼン等の有機ニ
トロ化合物、アセトニトリルやベンゾニトリルのような
ニトリル類、ギ酸や酢酸等の有機カルボン酸、ジエチル
エーテルやテトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテ
ル化合物、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類、酢酸エチルなどのエステル類、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルイミダゾリジノ
ン、スルフォラン等の所謂非プロトン性極性溶媒などが
例示できる。また、水も好ましい溶媒の一つである。水
が溶媒の場合、塩化テトラメチルアンモニウム等の相間
移動触媒を用いることも好ましい。
行う。溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、石油エーテル
等の脂肪族炭化水素や、ベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、
四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロ
ゲン系溶剤、ニトロメタンやニトロベンゼン等の有機ニ
トロ化合物、アセトニトリルやベンゾニトリルのような
ニトリル類、ギ酸や酢酸等の有機カルボン酸、ジエチル
エーテルやテトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテ
ル化合物、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類、酢酸エチルなどのエステル類、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルイミダゾリジノ
ン、スルフォラン等の所謂非プロトン性極性溶媒などが
例示できる。また、水も好ましい溶媒の一つである。水
が溶媒の場合、塩化テトラメチルアンモニウム等の相間
移動触媒を用いることも好ましい。
【0011】反応温度は酸化剤によっても異なるが、通
常、−20℃〜150℃、好ましくは−10℃〜120
℃であり、過酸化水素を用いる場合は、0℃〜100℃
が好ましい。
常、−20℃〜150℃、好ましくは−10℃〜120
℃であり、過酸化水素を用いる場合は、0℃〜100℃
が好ましい。
【0012】本発明では、このようにして導かれた前記
一般式(2)で表されるビフェニリルオキシランは、転
位反応に付して、前記一般式(3)のビフェニリルアセ
トアルデヒドに変換される。この転位反応は、硫酸のよ
うなプロトン酸や、シリカやゼオライトのような固体
酸、塩化アルミニウムやトリエチルアルミニウム、トリ
フッ化ホウ素などのルイス酸、鉄、ジルコニウム、イリ
ジウム、パラジウム等の金属錯体などが触媒となって進
行する。また、過塩素酸リチウムや臭化リチウム、過塩
素酸銀も有効な触媒であるが、これらは、一般式(2)
で表されるビフェニリルオキシランに対して、ルイス酸
として作用すると考えられる。触媒の使用量は種類によ
り異なるが、通常、ビフェニリルオキシランに対して
0.01〜100モル等量であり、好ましくは0.1〜
10モル等量の範囲である。
一般式(2)で表されるビフェニリルオキシランは、転
位反応に付して、前記一般式(3)のビフェニリルアセ
トアルデヒドに変換される。この転位反応は、硫酸のよ
うなプロトン酸や、シリカやゼオライトのような固体
酸、塩化アルミニウムやトリエチルアルミニウム、トリ
フッ化ホウ素などのルイス酸、鉄、ジルコニウム、イリ
ジウム、パラジウム等の金属錯体などが触媒となって進
行する。また、過塩素酸リチウムや臭化リチウム、過塩
素酸銀も有効な触媒であるが、これらは、一般式(2)
で表されるビフェニリルオキシランに対して、ルイス酸
として作用すると考えられる。触媒の使用量は種類によ
り異なるが、通常、ビフェニリルオキシランに対して
0.01〜100モル等量であり、好ましくは0.1〜
10モル等量の範囲である。
【0013】この転位反応は気/固相の2相系で実施す
ることも可能であるが、操作が簡便な点から、通常、溶
媒中で行われる。溶媒としては、触媒が硫酸のようなプ
ロトン酸を用いる場合には、水やアルコール、ギ酸、酢
酸のようなプロトン性溶媒が好適である。また、触媒と
して固体酸、ルイス酸、金属錯体を用いる場合には溶媒
として、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル等の脂肪族
炭化水素系溶媒や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホル
ム、四塩化炭素、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン等
の有機ハロゲン系溶媒、ニトロメタンやニトロベンゼン
等のニトロ化合物系溶媒、アセトニトリルやベンゾニト
リルのようなニトリル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメ
トキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶
媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、
酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル系溶媒等が好適
である。
ることも可能であるが、操作が簡便な点から、通常、溶
媒中で行われる。溶媒としては、触媒が硫酸のようなプ
ロトン酸を用いる場合には、水やアルコール、ギ酸、酢
酸のようなプロトン性溶媒が好適である。また、触媒と
して固体酸、ルイス酸、金属錯体を用いる場合には溶媒
として、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル等の脂肪族
炭化水素系溶媒や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホル
ム、四塩化炭素、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン等
の有機ハロゲン系溶媒、ニトロメタンやニトロベンゼン
等のニトロ化合物系溶媒、アセトニトリルやベンゾニト
リルのようなニトリル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメ
トキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶
媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、
酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル系溶媒等が好適
である。
【0014】反応温度は触媒の活性により大きく左右さ
れるが、触媒として硫酸のようなプロトン酸を使う場合
には、0〜150℃、好ましくは10〜90℃の範囲で
あり、固体酸、ルイス酸、金属錯体を用いる場合には、
−50〜150℃の範囲である。例えば、触媒を活性シ
リカ、溶媒に酢酸エチルを用いる場合には室温付近で、
触媒が過塩素酸リチウム、溶媒がジエチルエーテルの場
合は氷冷下で、それぞれ転位反応は速やかに進行する。
れるが、触媒として硫酸のようなプロトン酸を使う場合
には、0〜150℃、好ましくは10〜90℃の範囲で
あり、固体酸、ルイス酸、金属錯体を用いる場合には、
−50〜150℃の範囲である。例えば、触媒を活性シ
リカ、溶媒に酢酸エチルを用いる場合には室温付近で、
触媒が過塩素酸リチウム、溶媒がジエチルエーテルの場
合は氷冷下で、それぞれ転位反応は速やかに進行する。
【0015】本発明では、上述のようにして導かれた、
前記一般式(3)で表されるビフェニルアルデヒドを酸
化して、前記一般式(4)で表されるビフェニリル酢酸
を製造する。ここで用いる酸化の方法には、通常、アル
デヒドからカルボン酸に酸化する方法が広範に適用でき
る。すなわち、過マンガン酸カリウム、クロム系酸化
剤、銀酸化物、有機過酸化物等の各種の酸化剤を用いる
方法や、空気中の酸素による自己酸化等を用いることが
できる(S. Psatai, Z. Rappoport編 "Synthesisof Car
boxylic Acids, Esters and Their Derivatives" 1991,
pp40-51及びpp357-360参照)。各種の酸化剤のうち、
過酸化水素は好適に使用出来るものの一つである。過酸
化水素を用いて酸化を実施する際、溶媒としてギ酸や酢
酸のような有機カルボン酸を用いたり、タングステン錯
体等を触媒として用いることも好ましい方法である。こ
の場合の反応温度は−10〜150℃、好ましくは−5
〜90℃であり、用いる過酸化水素は、工業的に入手が
容易な30〜40%水溶液が、簡便に使用出来る。過酸
化水素の使用量は、一般式(3)で表されるビフェニリ
ルアセトアルデヒドに対して、0.5〜10モル等量、
好ましくは1〜5モル等量である。
前記一般式(3)で表されるビフェニルアルデヒドを酸
化して、前記一般式(4)で表されるビフェニリル酢酸
を製造する。ここで用いる酸化の方法には、通常、アル
デヒドからカルボン酸に酸化する方法が広範に適用でき
る。すなわち、過マンガン酸カリウム、クロム系酸化
剤、銀酸化物、有機過酸化物等の各種の酸化剤を用いる
方法や、空気中の酸素による自己酸化等を用いることが
できる(S. Psatai, Z. Rappoport編 "Synthesisof Car
boxylic Acids, Esters and Their Derivatives" 1991,
pp40-51及びpp357-360参照)。各種の酸化剤のうち、
過酸化水素は好適に使用出来るものの一つである。過酸
化水素を用いて酸化を実施する際、溶媒としてギ酸や酢
酸のような有機カルボン酸を用いたり、タングステン錯
体等を触媒として用いることも好ましい方法である。こ
の場合の反応温度は−10〜150℃、好ましくは−5
〜90℃であり、用いる過酸化水素は、工業的に入手が
容易な30〜40%水溶液が、簡便に使用出来る。過酸
化水素の使用量は、一般式(3)で表されるビフェニリ
ルアセトアルデヒドに対して、0.5〜10モル等量、
好ましくは1〜5モル等量である。
【0016】本発明では、同一反応器内にて、ビフェニ
リルオキシランを生成させる反応、ビフェニリルオキシ
ランからビフェニリルアセトアルデヒドを生成させる反
応及びビフェニリルアセトアルデヒドからビフェニリル
酢酸を生成させる反応の2つ又は全部を行うことができ
る。また、本発明では、ビフェニリルオキシランを生成
させる反応で得られたビフェニリルオキシランを単離す
ることなくビフェニリルアセトアルデヒドを生成させる
反応に供すること又はビフェニリルアセトアルデヒドを
生成させる反応で得られたビフェニリルアセトアルデヒ
ドを単離することなくビフェニリル酢酸を生成させる反
応に供することができる。
リルオキシランを生成させる反応、ビフェニリルオキシ
ランからビフェニリルアセトアルデヒドを生成させる反
応及びビフェニリルアセトアルデヒドからビフェニリル
酢酸を生成させる反応の2つ又は全部を行うことができ
る。また、本発明では、ビフェニリルオキシランを生成
させる反応で得られたビフェニリルオキシランを単離す
ることなくビフェニリルアセトアルデヒドを生成させる
反応に供すること又はビフェニリルアセトアルデヒドを
生成させる反応で得られたビフェニリルアセトアルデヒ
ドを単離することなくビフェニリル酢酸を生成させる反
応に供することができる。
【0017】例えば、ビニルビフェニルに酸化剤を作用
させる反応の後、転位反応を進行させる前述の触媒を反
応混合物に添加して該反応を生起させ、反応混合物中の
ビフェニルオキシランをビフェニリルアルデヒドに変換
する。この場合、反応溶媒が同一ないしは相互に親和性
が高く溶解し易いものが好ましい。また、酸化剤を作用
させる反応で用いた触媒が、転位反応を進行させる触媒
を兼ねてもよい。好ましい実施態様としては、酸化剤に
過酸化水素を用いてギ酸や酢酸溶媒中でビニルビフェニ
ルと反応させ、ついで硫酸を加えて加熱してビフェニル
アルデヒドに変換させる方法や、酸化剤として次亜塩素
酸アルカリを用い、酸化剤を作用させる反応及び転位反
応の触媒としてマンガン錯体用いる方法等が例示でき
る。
させる反応の後、転位反応を進行させる前述の触媒を反
応混合物に添加して該反応を生起させ、反応混合物中の
ビフェニルオキシランをビフェニリルアルデヒドに変換
する。この場合、反応溶媒が同一ないしは相互に親和性
が高く溶解し易いものが好ましい。また、酸化剤を作用
させる反応で用いた触媒が、転位反応を進行させる触媒
を兼ねてもよい。好ましい実施態様としては、酸化剤に
過酸化水素を用いてギ酸や酢酸溶媒中でビニルビフェニ
ルと反応させ、ついで硫酸を加えて加熱してビフェニル
アルデヒドに変換させる方法や、酸化剤として次亜塩素
酸アルカリを用い、酸化剤を作用させる反応及び転位反
応の触媒としてマンガン錯体用いる方法等が例示でき
る。
【0018】また、ビフェニリルオキシラン及び前記一
般式(3)で表されるビフェニリルアセトアルデヒドを
単離することなく、前記一般式(4)で表されるビフェ
ニリル酢酸を製造する場合は、ビニルビフェニルに酸化
剤を作用させた後、転位反応を進行させる触媒を添加し
て転位反応を生起させ、更に、酸化剤及び所望ならば触
媒を添加して、ビフェニリル酢酸を製造する。この場
合、反応溶媒が同一ないしは相互に親和性が高く溶解し
易いものが好ましい。また、酸化剤を作用させる反応で
用いた触媒が、転位反応を進行させる触媒とビフェニリ
ルアセトアルデヒドを酸化する触媒を兼ねてもよい。好
ましい実施態様としては、酸化剤に過酸化水素を用いて
ギ酸や酢酸溶媒中でビニルビフェニルと反応させ、つい
で硫酸を加えて加熱してビフェニルアルデヒドに変換さ
せ、更に過酸化水素を添加して、ビフェニルアルデヒド
をビフェニリル酢酸に酸化する方法等が例示できる。
般式(3)で表されるビフェニリルアセトアルデヒドを
単離することなく、前記一般式(4)で表されるビフェ
ニリル酢酸を製造する場合は、ビニルビフェニルに酸化
剤を作用させた後、転位反応を進行させる触媒を添加し
て転位反応を生起させ、更に、酸化剤及び所望ならば触
媒を添加して、ビフェニリル酢酸を製造する。この場
合、反応溶媒が同一ないしは相互に親和性が高く溶解し
易いものが好ましい。また、酸化剤を作用させる反応で
用いた触媒が、転位反応を進行させる触媒とビフェニリ
ルアセトアルデヒドを酸化する触媒を兼ねてもよい。好
ましい実施態様としては、酸化剤に過酸化水素を用いて
ギ酸や酢酸溶媒中でビニルビフェニルと反応させ、つい
で硫酸を加えて加熱してビフェニルアルデヒドに変換さ
せ、更に過酸化水素を添加して、ビフェニルアルデヒド
をビフェニリル酢酸に酸化する方法等が例示できる。
【0019】
【実施例】以下、実施例にて本発明を更に詳細に説明す
る。 実施例1 (4−ビフェニリルオキシランの製造)4−ビニルビフ
ェニル(90g、0.5mol)をジクロロメタン(5
00ml)に溶かし、氷冷下、撹拌した。これに、m−
クロロ過安息香酸(90g、0.52mol)のジクロ
ロメタン溶液(500ml)を滴下し、氷冷下で更に2
4時間撹拌した。反応混合物に炭酸水素ナトリウムの飽
和水溶液(200mlx2回)を加えて振り混ぜた後、
有機層を分離した。有機層を水洗(100mlx2回)
し、乾燥(硫酸マグネシウム)後、減圧濃縮して、4−
ビフェニリルオキシランの粗生成物92g(収率94
%)を無色結晶として得た。このものは、精製せずに次
の反応に供した。融点:84〜86℃(メタノール)。
る。 実施例1 (4−ビフェニリルオキシランの製造)4−ビニルビフ
ェニル(90g、0.5mol)をジクロロメタン(5
00ml)に溶かし、氷冷下、撹拌した。これに、m−
クロロ過安息香酸(90g、0.52mol)のジクロ
ロメタン溶液(500ml)を滴下し、氷冷下で更に2
4時間撹拌した。反応混合物に炭酸水素ナトリウムの飽
和水溶液(200mlx2回)を加えて振り混ぜた後、
有機層を分離した。有機層を水洗(100mlx2回)
し、乾燥(硫酸マグネシウム)後、減圧濃縮して、4−
ビフェニリルオキシランの粗生成物92g(収率94
%)を無色結晶として得た。このものは、精製せずに次
の反応に供した。融点:84〜86℃(メタノール)。
【0020】(4−ビフェニリルアセトアルデヒドの製
造)過塩素酸リチウムのジエチルエーテル溶液(5M、
20ml)を氷冷下、撹拌した。これに、上記の反応で
得られた4−ビフェニリルオキシラン(19.6g、
0.1mol )のジエチルエーテル溶液(100m
l)を滴下し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を水
洗(20mlx3回)し、乾燥(硫酸マグネシウム)
後、減圧濃縮して油状残留物20.2gを得た。これを
カラムクロマトグラフイー(シリカゲル、トルエン)で
精製して、4−ビフェニリルアセトアルデヒド15.8
g(収率80%)を粘凋な無色油状物質として得た。
造)過塩素酸リチウムのジエチルエーテル溶液(5M、
20ml)を氷冷下、撹拌した。これに、上記の反応で
得られた4−ビフェニリルオキシラン(19.6g、
0.1mol )のジエチルエーテル溶液(100m
l)を滴下し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を水
洗(20mlx3回)し、乾燥(硫酸マグネシウム)
後、減圧濃縮して油状残留物20.2gを得た。これを
カラムクロマトグラフイー(シリカゲル、トルエン)で
精製して、4−ビフェニリルアセトアルデヒド15.8
g(収率80%)を粘凋な無色油状物質として得た。
【0021】(4−ビフェニリル酢酸の製造)上記の反
応で得られた4−ビフェニリルアセトアルデヒド(9.
8g、0.05 mol)をギ酸(90%、30ml)
に溶かし、氷冷下撹拌した。これに、過酸化水素の30
%水溶液(17ml、0.15mol)を徐々に滴下
し、更に0〜4℃で一夜間撹拌した。反応混合物の水
(50ml)を加え、酢酸エチルで抽出(50mlx3
回)した。抽出液を水洗(20mlx3回)後、チオ硫
酸ナトリウムの飽和水溶液(10ml)で洗い、更に水
洗(20ml)した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。
この抽出液を減圧濃縮して無色固体9.8gを得た。こ
れをアセトンから再結晶して4−ビフェニリル酢酸7.
5g(収率71%)を無色結晶として得た。融点:16
3〜165℃。
応で得られた4−ビフェニリルアセトアルデヒド(9.
8g、0.05 mol)をギ酸(90%、30ml)
に溶かし、氷冷下撹拌した。これに、過酸化水素の30
%水溶液(17ml、0.15mol)を徐々に滴下
し、更に0〜4℃で一夜間撹拌した。反応混合物の水
(50ml)を加え、酢酸エチルで抽出(50mlx3
回)した。抽出液を水洗(20mlx3回)後、チオ硫
酸ナトリウムの飽和水溶液(10ml)で洗い、更に水
洗(20ml)した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。
この抽出液を減圧濃縮して無色固体9.8gを得た。こ
れをアセトンから再結晶して4−ビフェニリル酢酸7.
5g(収率71%)を無色結晶として得た。融点:16
3〜165℃。
【0022】実施例2 4−ビニルビフェニル(9g、50mmol)のジクロ
ロメタン溶液(100ml)に加え、窒素雰囲気下、室
温で撹拌した。これにテトラフェニルポルフィリンマン
ガン(III)の酢酸塩(0.3mmol)、塩化ベンジ
ル−ジメチル−テトラデシル−アンモニウム(0.5m
mol)、ピリジン(500mg、6.3mmol)を
加え、次亜塩素酸ナトリウムの0.4M水溶液(200
ml、80mmol)を滴下した。室温で更に1時間撹
拌後、静置し、有機層を分離した。水層をジクロロメタ
ンで抽出(50ml)し、抽出液を有機層に合わせ、水
洗(50mlx2回)、乾燥(硫酸ナトリウム)後、減
圧濃縮して、4−ビフェニリルオキシランの粗生成物
8.2g(収率84%)を無色固体として得た。これを
実施例1と同様に転位反応に付して4−ビフェニリルア
セトアルデヒドに変換したのち酸化して、4−ビフェニ
リル酢酸を得た。
ロメタン溶液(100ml)に加え、窒素雰囲気下、室
温で撹拌した。これにテトラフェニルポルフィリンマン
ガン(III)の酢酸塩(0.3mmol)、塩化ベンジ
ル−ジメチル−テトラデシル−アンモニウム(0.5m
mol)、ピリジン(500mg、6.3mmol)を
加え、次亜塩素酸ナトリウムの0.4M水溶液(200
ml、80mmol)を滴下した。室温で更に1時間撹
拌後、静置し、有機層を分離した。水層をジクロロメタ
ンで抽出(50ml)し、抽出液を有機層に合わせ、水
洗(50mlx2回)、乾燥(硫酸ナトリウム)後、減
圧濃縮して、4−ビフェニリルオキシランの粗生成物
8.2g(収率84%)を無色固体として得た。これを
実施例1と同様に転位反応に付して4−ビフェニリルア
セトアルデヒドに変換したのち酸化して、4−ビフェニ
リル酢酸を得た。
【0023】実施例3 4−ビニルビフェニル(90g、0.5mol)をギ酸
(90%、300ml)に加え、室温で撹拌した。これ
に過酸化水素の30%水溶液(70ml、0.62mo
l)を1時間で滴下し、室温で2時間、40℃で3時間
撹拌した。反応容器を減圧(30Torr)にして、ギ
酸を約200ml留出させた後、2N硫酸水溶液(50
0ml)を加えて、50℃で1時間撹拌し、ついで加熱
環流温度で2時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却
後、酢酸エチルで抽出(200mlx3回)した。抽出
液を水洗(100mlx3回)後、減圧濃縮して油状残
留物95gを得た。これを、実施例2と同様に転位反応
に付し、カラムクロマトグラフイー(シリカゲル、トル
エン)で精製して、4−ビフェニリルアセトアルデヒド
52g(収率53%)を得た。これを実施例1と同様な
操作で酸化し、4−ビフェニリル酢酸を得た。
(90%、300ml)に加え、室温で撹拌した。これ
に過酸化水素の30%水溶液(70ml、0.62mo
l)を1時間で滴下し、室温で2時間、40℃で3時間
撹拌した。反応容器を減圧(30Torr)にして、ギ
酸を約200ml留出させた後、2N硫酸水溶液(50
0ml)を加えて、50℃で1時間撹拌し、ついで加熱
環流温度で2時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却
後、酢酸エチルで抽出(200mlx3回)した。抽出
液を水洗(100mlx3回)後、減圧濃縮して油状残
留物95gを得た。これを、実施例2と同様に転位反応
に付し、カラムクロマトグラフイー(シリカゲル、トル
エン)で精製して、4−ビフェニリルアセトアルデヒド
52g(収率53%)を得た。これを実施例1と同様な
操作で酸化し、4−ビフェニリル酢酸を得た。
【0024】実施例4 4−ビニルビフェニル(90g、0.5mol)をギ酸
(90%、300ml)に加え、室温で撹拌した。これ
に過酸化水素の30%水溶液(70ml、0.62mo
l)を1時間で滴下し、室温で2時間、40℃で3時間
撹拌した。これに、6N硫酸水溶液(200ml)を加
えて、50℃で1時間撹拌し、ついで加熱環流温度で2
時間撹拌した。反応混合物を氷冷して撹拌し、過酸化水
素の30%水溶液(70ml、0.62mol)を徐々
に滴下し、0〜4℃で2時間、室温で2時間、60℃で
1時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却後、酢酸エチ
ルで抽出(200mlx3回)した。酢酸エチル層を水
洗(100mlx3回)後、チオ硫酸ナトリウムの飽和
水溶液(50ml)で洗い、更に水洗(100ml)し
た後、水酸化ナトリウムの2M水溶液で抽出(200m
lx3回)した。抽出液を水洗(50mlx3回)し、
次いで濃塩酸を加えてpH1以下とし、氷冷下で一夜間
放置した。析出した沈殿物を濾取し、水洗後、減圧乾燥
した。これをアセトンから再結晶して4−ビフェニリル
酢酸45g(収率42%)を無色結晶として得た。この
ものの赤外吸収スペクトルは実施例4で得た4−ビフェ
ニリル酢酸のスペクトルと一致した。
(90%、300ml)に加え、室温で撹拌した。これ
に過酸化水素の30%水溶液(70ml、0.62mo
l)を1時間で滴下し、室温で2時間、40℃で3時間
撹拌した。これに、6N硫酸水溶液(200ml)を加
えて、50℃で1時間撹拌し、ついで加熱環流温度で2
時間撹拌した。反応混合物を氷冷して撹拌し、過酸化水
素の30%水溶液(70ml、0.62mol)を徐々
に滴下し、0〜4℃で2時間、室温で2時間、60℃で
1時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却後、酢酸エチ
ルで抽出(200mlx3回)した。酢酸エチル層を水
洗(100mlx3回)後、チオ硫酸ナトリウムの飽和
水溶液(50ml)で洗い、更に水洗(100ml)し
た後、水酸化ナトリウムの2M水溶液で抽出(200m
lx3回)した。抽出液を水洗(50mlx3回)し、
次いで濃塩酸を加えてpH1以下とし、氷冷下で一夜間
放置した。析出した沈殿物を濾取し、水洗後、減圧乾燥
した。これをアセトンから再結晶して4−ビフェニリル
酢酸45g(収率42%)を無色結晶として得た。この
ものの赤外吸収スペクトルは実施例4で得た4−ビフェ
ニリル酢酸のスペクトルと一致した。
【0025】実施例5 実施例1において、4−ビニルビフェニルの代わりに3
−ビニルビフェニルを用いて同様の操作を行い、3−ビ
フェニリルアセトアルデヒドを得た。これを実施例1と
同様に酸化して、3−ビフェニリル酢酸を無色結晶とし
て得た。融点:135〜136℃(アセトンより再結
晶)
−ビニルビフェニルを用いて同様の操作を行い、3−ビ
フェニリルアセトアルデヒドを得た。これを実施例1と
同様に酸化して、3−ビフェニリル酢酸を無色結晶とし
て得た。融点:135〜136℃(アセトンより再結
晶)
【0026】
【発明の効果】本発明の方法により、消炎、鎮痛、解熱
作用を持ち、医薬として有用な、ビフェニリル酢酸が、
特殊な反応剤や専用反応器を使用せず、副産物が少なく
簡便に、工業的規模で製造できる。
作用を持ち、医薬として有用な、ビフェニリル酢酸が、
特殊な反応剤や専用反応器を使用せず、副産物が少なく
簡便に、工業的規模で製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 孝行 福岡県北九州市戸畑区大字中原先の浜46番 地の80 新日鐵化学株式会社総合研究所内 (72)発明者 野本 英朗 福岡県北九州市戸畑区大字中原先の浜46番 地の80 新日鐵化学株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC45 AC46 BD70 BE30 BE32 BE33 BE36 BJ50 BS10
Claims (4)
- 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 で表されるビニルビフェニルに酸化剤を作用させて、ビ
フェニリルオキシランに導き、これを転位反応に付し
て、ビフェニリルアセトアルデヒドに変換したのち、酸
化することを特徴とする一般式(4) 【化2】 で表されるビフェニリル酢酸の製造方法。 - 【請求項2】 ビニルビフェニルに酸化剤を作用させ
て、ビフェニリルオキシランに導いたのち、生成したビ
フェニリルオキシランを単離することなく転位反応に付
す請求項1記載のビフェニリル酢酸の製造方法。 - 【請求項3】 ビフェニリルオキシランを転位反応に付
して、ビフェニリルアセトアルデヒドに変換したのち、
生成したビフェニリルアセトアルデヒド単離することな
く酸化を行う請求項1又は2記載のビフェニリル酢酸の
製造方法。 - 【請求項4】 ビフェニリル酢酸が4−ビフェニリル酢
酸である請求項1記載のビフェニリル酢酸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000051337A JP2001233818A (ja) | 2000-02-28 | 2000-02-28 | ビフェニリル酢酸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000051337A JP2001233818A (ja) | 2000-02-28 | 2000-02-28 | ビフェニリル酢酸の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001233818A true JP2001233818A (ja) | 2001-08-28 |
Family
ID=18572999
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000051337A Withdrawn JP2001233818A (ja) | 2000-02-28 | 2000-02-28 | ビフェニリル酢酸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001233818A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013234166A (ja) * | 2012-05-09 | 2013-11-21 | Lanzhou Inst Of Chemical Physics Chinese Academy Of Sciences | トルエンのカルボニル化によるフェニル酢酸の合成方法 |
-
2000
- 2000-02-28 JP JP2000051337A patent/JP2001233818A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013234166A (ja) * | 2012-05-09 | 2013-11-21 | Lanzhou Inst Of Chemical Physics Chinese Academy Of Sciences | トルエンのカルボニル化によるフェニル酢酸の合成方法 |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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