JP2002173321A - ゼオライト膜の製造方法 - Google Patents

ゼオライト膜の製造方法

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JP2002173321A JP2000370507A JP2000370507A JP2002173321A JP 2002173321 A JP2002173321 A JP 2002173321A JP 2000370507 A JP2000370507 A JP 2000370507A JP 2000370507 A JP2000370507 A JP 2000370507A JP 2002173321 A JP2002173321 A JP 2002173321A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望する性状のゼオライト膜を安定的に製造
し得るゼオライト膜製造方法を提供すること。 【解決手段】 上記課題を解決する本発明のゼオライト
膜製造方法は、(a).ゼオライト膜形成用の原料物質から
成る粒子が分散して成るゾルを調製する工程と、(b).当
該ゾル中の粒子の粒径を光学的に測定する工程と、(c).
当該粒径測定に基づいて、上記ゾルが粒径1nm〜50
0nmの粒子に富むものか否かを判定する工程と、(d).
当該粒径の粒子に富むものと判定されたゾルを用いてゼ
オライト膜を合成する工程とを包含する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、ゼオライト膜の
製造技術に関する。特に、微細孔を有するゼオライト膜
その他の高機能性ゼオライト多孔質膜を効率よく製造す
る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】 ゼオライト膜を製造する方法の一つと
してゾルを用いる方法がある。かかる製造方法では、ゼ
オライト膜を形成するための原料物質(種々の無機酸化
物等)を粒子として含むゾル(以下「ゼオライト膜形成
用ゾル」という。)を予め調製しておく。而して、浸漬
法等によって各種の支持体の表面に当該ゼオライト膜形
成用ゾルを付着させ、その後に水熱合成等を行うことに
よって当該支持体表面にゼオライト膜を形成する。
【0003】ところで、上述のゼオライト膜形成用ゾル
を用いる製造方法によって、製造者が所望する性状のゼ
オライト膜を安定して製造するためには、使用するゼオ
ライト膜形成用ゾルを常に適格なものに調整しておく必
要がある。ゾルの組成や状態(性質)が適切でないと、
所望する性状のゼオライト膜が安定的に製造されるとは
限らないからである。従って、所望する性状のゼオライ
ト膜を安定的に且つ大量に製造するためには、本来、そ
れに適する組成や状態(性質)のゾルをその均質性を失
うことなく繰返し調製すればよいことになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、従
来、機能的に均質なゼオライト膜形成用ゾルを安定的に
繰返し調製することは困難であった。すなわち、ゼオラ
イト膜形成用ゾルの調製には、使用する原料物質(出発
原料)の品質や形状、或いは種々のゾル調製条件(温
度、原料添加の方法や順序等)といった非常に多くの膜
形成能に関与すると考えられるパラメータが存在するか
らである。而して、これらパラメータの全てを制御する
のは困難である。むしろ、膜形成能に影響を与える主要
ないくつかのパラメータを選択し、それらを指標にして
ゾルを調製したり或いは調製したゾルの性能評価を行う
ことが、所望する性状のゼオライト膜を安定的に製造す
るうえで好ましい。このことに関して、例えば特開平8
−57275号公報には、ゾル調製に係る上記数多くの
パラメータの中から、ジルコニア系セラミック膜形成用
ゾルに含まれる粒子(ジルコニア)の表面積と結晶子サ
イズとの関係に着目し、当該表面積の結晶子サイズに対
する比率が所定の範囲内にあるように調製されたゾルを
用いることによって、限外濾過若しくは逆浸透に適する
高機能ジルコニア系セラミック膜を安定的に形成し得る
ことが記載されている。
【0005】しかしながら、上記公報に記載されている
ような粒子の表面積と結晶子サイズとの関係を指標とし
ては、セラミック膜形成用に調製されたゾルが所望する
性状のセラミック膜を安定的に製造し得るものであるか
否か(即ち所望する性状のセラミック膜製造用としての
適不適)を、調製したゾル毎に簡便に判定することは困
難である。上記粒子の表面積および結晶子サイズの測定
が煩雑であるとともに、その評価基準も一般的ではない
からである。このため、ゼオライト膜形成用として予め
調製したゾルが、所望する性状のゼオライト膜を形成す
るものとして適するか否かを事前(即ち当該ゾルをゼオ
ライト膜合成プロセスに使用する前)に評価する簡便な
方法が望まれている。かかる評価が簡便に行われると、
当該評価で不適と判断されたゾルを排除し、当該ゾルが
ゼオライト膜合成プロセスに使用されることを回避する
ことができる。その結果、所望したものとは異なる性状
のゼオライト膜が形成されるのを未然に防止しつつ目的
とするゼオライト膜を安定的に製造することが可能とな
る。
【0006】本発明は、ゼオライト膜形成用ゾルを用い
てゼオライト膜を製造する方法に関する上記従来の課題
を解決すべく創出されたものであり、その目的とすると
ころは、所望する性状のゼオライト膜を安定して製造す
るのに適するゾルを容易に判断し得る評価基準及び評価
方法を提供することである。併せて、かかる評価によっ
て目的のゼオライト膜を形成するのに不適なゾルを排除
しつつ、結果として所望する性状のゼオライト膜を安定
的に製造し得るゼオライト膜製造方法を提供することで
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明者は、所定のゼ
オライト膜形成用ゾルに含まれている当該ゼオライト膜
を形成するための原料物質から成る粒子(以下「ゾル粒
子」と略称する。)の粒径分布に着目し、かかる粒径分
布を指標にすると、所望する性状のゼオライト膜を安定
して製造するのに適するゾルを容易に判断し得ることを
見出し、以下に説明する発明を完成するに至った。すな
わち、本発明によって提供されるゼオライト膜製造方法
は、(a).ゼオライト膜形成用の原料物質から成る粒子が
分散して成るゾルを調製する工程と、(b).当該ゾル中の
粒子の粒径を光学的に測定する工程と、(c).当該粒径測
定に基づいて、上記ゾルが粒径(即ち光学的測定データ
に基づく粒径をいう。以下同じ。)1nm〜500nm
の粒子に富むものか否かを判定する工程と、(d).当該粒
径の粒子に富むものと判定されたゾルを用いてゼオライ
ト膜を合成する工程とを包含する。
【0008】かかる構成の本発明のゼオライト膜製造方
法では、予め調製したゼオライト膜形成用ゾルに含まれ
るゾル粒子の粒径を光学的手段によって測定する。次い
で、その測定データに基づき、当該ゾル粒子として粒径
が1nm〜500nmのものに富むものと判定されたゾ
ルのみを使用してゼオライト膜の合成(形成)を行うこ
とを特徴とする。なお、本明細書において、ゼオライト
膜形成用ゾルについて「所定の粒径範囲(例えば1nm
〜500nm)の粒子に富む」とは、次の3つの要件の
少なくとも1つの要件を具備することをいう。すなわ
ち、かかる要件とは、(i).当該ゾルに含まれるゾル粒子
の粒径分布(即ちゾル粒子の散乱光強度又は粒子数に基
づく粒径別の存在比率)に関して、上記所定の粒径範囲
に少なくとも一つの極値(ピーク)を有すること、(i
i).当該ゾル1g当り、上記所定の粒径範囲に属する粒
子を少なくとも100μg含有すること、(iii).当該ゾ
ルに含まれるゾル粒子全体(数)の50%以上が上記粒
径範囲に属する粒子で占められること、である。かかる
粒径範囲のゾル粒子に富むゾルは、支持体上での膜形成
や良好な結晶成長を促し、顕著な欠陥の認められない緻
密な多孔質膜等を形成することができる。このことによ
って本発明のゼオライト膜製造方法では、上記判定によ
って不適(典型的には粒径1nm〜500nmの粒子を
実質上含んでいない)とされたゾルを排除し、続くゼオ
ライト膜合成工程において当該ゾルを使用しない。この
ため、本発明のゼオライト膜製造方法によると、所望し
たものとは異なる性状のゼオライト膜が形成されるのを
未然に防止しつつ目的とするゼオライト膜を安定的に製
造することができる。
【0009】上記本発明のゼオライト膜製造方法として
好ましい一つの方法では、上記ゼオライト合成工程は、
上記粒径測定に基づいて粒径1nm〜100nmの粒子
に富むものと判定されたゾルを用いて行われる。かかる
粒径範囲のゾル粒子に富むゾルは、支持体上での膜形成
や結晶成長をより促進し、結果、顕著な欠陥のない緻密
な多孔質膜等を形成することができる。このため、本構
成のゼオライト膜製造方法によると、ガス分離膜や分子
篩い膜等の高機能性ゼオライト膜を安定的に製造するこ
とができる。
【0010】また、上記本発明のゼオライト膜製造方法
としてさらに好ましい一つの方法では、(e).上記ゾル中
において上記粒径1nm〜500nmの粒子を富ませる
工程をさらに包含する。かかる構成の本発明のゼオライ
ト膜製造方法では、所望する性状のゼオライト膜を形成
するために好適に使用し得るゾルを高率に調製すること
ができる。従って、本構成のゼオライト膜製造方法によ
ると、上記(a).工程で調製したゾルのゼオライト合成プ
ロセス(上記(d).工程)への利用率(歩留まり)を向上
させることができる。このため、所望する性状を備えた
高機能性ゼオライト膜をより安定的に且つ効率よく製造
することができる。すなわち、上記目的を実現する他の
側面として、本発明は、目的のゼオライト膜を製造する
のに好適なゾルを効率よく製造し得るゾル製造方法を提
供する。
【0011】本発明のゼオライト膜製造方法によると、
所望したものとは異なる性状のゼオライト膜が形成され
るのを未然に防止しつつ目的とするゼオライト膜を安定
的に製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】 以下、本発明のゼオライト膜製
造方法の好適な実施形態を説明する。なお、以下で詳述
する具体的な内容以外の条件設定や補助的処理工程等の
追加は、従来のゼオライト膜製造分野で一般的に用いら
れている手法に準じればよく、特に制限されない。上述
のとおり、本発明のゼオライト膜製造方法は、ゼオライ
ト膜形成用ゾルを調製後に当該ゾル中のゾル粒子の粒径
分布を測定し、その結果に基づいて当該ゾルが所望する
性状のゼオライト膜を安定的に製造し得るものであるか
否か(即ち所望する性状のゼオライト膜製造用としての
適不適)を判定することを特徴とするゼオライト膜製造
方法である。以下、本発明のゼオライト膜製造方法を、
上記工程毎に詳細に説明する。
【0013】先ず、上述の(a).ゾル調製工程について説
明する。本工程には、本発明特有の制限事項はなく、従
来から行われている一般的なゾル調製手段をそのまま適
用することができる。また、製造しようとするゼオライ
ト膜の材質に応じて種々の出発原料を用いることができ
る。例えば、アルミノケイ酸塩等の微粒子が分散して成
るゼオライト膜形成用ゾルを調製する場合には、典型的
には、種々のアルカリ源(水酸化ナトリウム、炭酸ナト
リウム等)、シリカ源(シリカゾル、水ガラス、珪酸ナ
トリウム等)、アルミナ源(アルミン酸ナトリウム、硝
酸アルミニウム、水酸化アルミニウム等)等の出発原料
をゼオライト種に応じた適切な組成比で混合した水溶液
を作製し、室温条件下で所定時間攪拌するとよい。な
お、アルミニウムを含まない組成のゼオライト膜を作成
する場合には、アルミナ源はなくてもよい。また、種々
の出発原料を含む原料混合物(ゾル、ゲル等)に臭化テ
トラプロピルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアン
モニウム等の有機結晶化剤(テンプレート)を適当量加
えてもよい。
【0014】次に、上記(b).粒径測定工程について説明
する。本発明の実施にあたっては、上記調製したゾル中
のゾル粒子の粒径を光学的に測定すればよく、その方法
(手段)は特に限定されない。例えば、限外顕微鏡等の
顕微鏡を用いて直接的に粒径を測定してもよいが、より
簡便に粒径を測定し得る光学的手段として、光散乱法に
基づく測定が好ましい。かかる光散乱法によると、光の
散乱を利用してゾル粒子の大きさを容易に測定すること
ができる。また、かかる光散乱法に基づく粒径測定は、
市販されている一般的なレーザー式散乱光強度測定装置
等によって、容易に行うことができる。また、後述する
実施例に示すように、かかる装置等の利用によってゼオ
ライト膜形成用ゾルに含まれるゾル粒子の粒径分布を容
易に調べることができる。
【0015】次に、上記(c).工程および(d).工程、すな
わちゾルの粒径分布判別とゼオライト合成工程について
説明する。本発明のゼオライト膜製造方法では、上述の
光学的手段による粒径測定およびそれから得られる粒径
分布から、粒径1nm〜500nm(より好ましくは粒
径1〜100nm)の粒子に富むものと判定されたゾル
のみをゼオライト合成に用いる。例えば、同時に多数の
相互に独立したゾルを調製した場合には、それら調製ゾ
ル各々について上記粒径測定を行う。而して、その測定
に基づいて粒径1nm〜500nm(より好ましくは粒
径1〜100nm)の粒子に富むものと判定されたゾル
のみをゼオライト膜合成に用いる。このことによって、
目的のゼオライト膜を形成することに対して潜在的に不
適なゾルを事前に排除することができ、結果として所望
する性状のゼオライト膜を安定的に製造することができ
る。すなわち、不良ゼオライト膜が製造されてしまう確
率を著しく低減することができる。
【0016】なお、ガス分離特性や分離篩い能に優れる
ゼオライト膜等の緻密な多孔質膜を形成する場合には、
ゼオライト膜形成用ゾル1g当り、上記所定の粒径範囲
に属する粒子を少なくとも100μg含有すること、及
び/又は、当該ゾルに含まれるゾル粒子全体(数)の5
0%以上が上記粒径範囲に属する粒子で占められること
が好ましい。また、水熱合成処理等によって、緻密なゼ
オライト膜を形成するには、粒径1000nm以上のゾ
ル粒子を実質的に含まないゾルが特に好ましい(後述の
実施例3参照)。
【0017】而して、上記判定によって好適なものとさ
れたゾル(即ち上記3つの要件のいずれかを具備したも
の)を用いて、ゼオライト膜を合成する。かかる合成方
法は、本発明では特に制限されず、従来使用されている
種々の合成方法を適用することができる。典型的には、
種々の支持体表面にゼオライト膜を形成する。ここで使
用する支持体はゼオライト膜を密着形成させ得るもので
あればよく、その材質及び/又は形状に特に制限はな
い。なお、本発明によって種々の分離膜を製造する場合
には多孔質の支持体(アルミナ製等)が好ましい。而し
て、上記ゾルが付加された支持体を水熱合成や焼成処理
に供することによって、当該支持体表面に目的のゼオラ
イト膜を形成することができる。
【0018】また、支持体表面にゼオライト膜を形成す
るには、従来から行われている水熱合成方法を特に制限
なく適用することができる。例えば、MFI型やY型ゼ
オライト膜をアルミナ等の多孔質支持体の表面に形成す
る場合、典型的には、オートクレーブ等の耐圧容器に上
記ゾルと上記支持体とを入れ、80〜250℃で3〜1
80時間の加熱処理(水熱合成)を行う。かかる水熱合
成後、ゼオライトを形成した支持体を水又は温水で洗浄
し、次いで室温または高温条件下で乾燥する。なお、乾
燥前に蒸留水置換させることが好ましい。また、上述の
有機結晶化剤のような熱分解性成分を含む場合には、乾
燥後、さらに加熱処理(例えば500℃〜600℃で2
〜3時間の焼成処理)を行って、かかる熱分解性成分を
除去するとよい。なお、上記水熱合成の回数を一回に限
定する必要はなく、複数回繰り返してもよい。水熱合成
を複数回繰り返すことによって、ゼオライトの結晶成長
及び膜厚を増大させることができる。
【0019】本発明のゼオライト膜製造方法では、調製
したゾルのゼオライト合成への利用率(歩留まり)を向
上させるため、上述した(a).〜(d).工程に加え、更に上
記(e).工程即ちゾル中において上記粒径1nm〜500
nm(好ましくは粒径1nm〜100nm)のゾル粒子
を富ませる工程を行ってもよい。かかる粒径範囲のゾル
粒子量の富化(増大)は、例えば調製ゾルのpH調整或
いは調製ゾルをエージングすることによって実現するこ
とができる。例えば、本発明のゼオライト膜製造方法を
ゼオライト膜製造に適用する場合、ゼオライト膜形成用
ゾルの調製後に上記(e).工程としてpH調整を行っても
よい。具体的には、当該ゾルのpHを11〜14(好ま
しくは13〜14)に調整する。このことによって、上
記粒径範囲のゾル粒子の形成を促進し、結果としてかか
る粒径範囲のゾル粒子量を増大させることができる。あ
るいは上記(e).工程として、かかるpH調整に代えて若
しくは当該pH調整とともに、ゾル調製後に所定の時
間、所定の温度条件下、当該ゾルをエージング(熟成)
する。このことによっても、かかる粒径範囲のゾル粒子
量の増大を実現し得る。なお、かかるpH調整やエージ
ング処理は、ゾルの粒径を適宜測定しつつ行ってもよ
い。かかる実施形態によると、ゾル中に粒径1nm〜5
00nm(好ましくは粒径1nm〜100nm)のゾル
粒子が増えてきたことを確認しつつ上記(e).工程を行う
ことができる。換言すれば、目的のゼオライト膜を製造
するのに好適なゾルを、効率よく調製し、タイミング良
く選別することができる。この結果、調製したゾルのゼ
オライト合成への利用率(歩留まり)をさらに向上させ
ることができる。
【0020】本発明は、所望する性状を備えた種々の高
機能性ゼオライト膜を安定的且つ高効率に製造する目的
に適用することができる。換言すれば、本発明のゼオラ
イト膜製造方法によって得られたゼオライト膜は種々の
用途に用いることができる。例えば、ガス分離膜(後述
する実施例参照)や分子篩い膜として用いることができ
る。また、パーベーパレーション、逆浸透等の処理を行
う際の分離膜としても用いることができる。或いは、種
々のセンサーを構築するための膜型デバイスやモジュー
ルに用いることができる。
【0021】
【実施例】 以下に説明する実施例によって、本発明を
更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すも
のに限定することを意図したものではない。
【0022】<実施例1:MFI型ゼオライト膜の形成
(種結晶無し、エージング無し)>本実施例では、出発
原料として、臭化テトラプロピルアンモニウム(TPA
Br)、水酸化ナトリウム、シリカゾル(触媒化成工業
製:SI−30)、蒸留水を用いた。先ず、このシリカ
ゾルのゾル粒子の粒径を一般的なレーザー式光散乱法に
より測定した。なお、本実施例では、大塚電子株式会社
製の測定装置「DLS−7000」を使用した。その測
定データより導き出された粒径分布をヒストグラムとし
て図1に示す。なお、図中の横軸(対数表示)は本法に
基づくゾル粒子径d(nm)の区分を示し、縦軸は散乱
光強度に基づく相対度数を示す。すなわち、本図では、
相対度数が高いほど、その粒径区分に属するゾル粒子の
存在比率が高いことを示している。図1に示すように、
5nm前後、70nm前後、800nm前後に散乱光強
度の極値(ピーク)が見られた。すなわち、このシリカ
ゾルは、かかるピークの粒径範囲に属する粒子に富むも
のと判定された。
【0023】次に、約20℃の室内で、上記出発原料か
らゼオライト膜形成用ゾルを調製した。すなわち、TP
ABr、NaO、SiO及びHOとして換算する
モル比が0.1:0.05:1:80となるように上記
出発原料を混合し、マグネティックスターラーで撹拌
し、ゾルを調製した。なお、得られたゾルのpHは12
〜13の範囲にあった。而して、上記と同様の光学的方
法によって、得られたゾル中のゾル粒子の粒径測定を行
った。その測定データより導き出された粒径分布をヒス
トグラムとして図2に示す。本図に示すように、このゼ
オライト膜形成用ゾルには15nm前後に散乱光強度の
ピークが見られた。すなわち、このゼオライト膜形成用
ゾルは、粒径1nm〜100nm(特に10〜50n
m)のゾル粒子に富むものと判定された。また、100
nmを越える粒径の粒子は数的に殆ど存在していないこ
とが、かかる粒径分布(図2)より確認された。
【0024】次に、上述のように粒径1nm〜100n
m(特に10〜50nm)のゾル粒子に富むものと判定
された本実施例に係るゼオライト膜形成用ゾルを使用
し、支持体表面にゼオライト膜を形成した。本実施例で
は、支持体として、孔隙率が40%、平均孔径が0.8
μm、外径10mm、内径7mm、長さ100mmの円
筒型アルミナ多孔質基材(以下、単に、基材という)を
用いた。先ず、基材と上記ゼオライト膜形成用ゾルとを
オートクレーブに入れ、そのオートクレーブ内を減圧し
て真空状態とした。これにより、基材の表面近傍の孔隙
部分をも上記ゾルで満たすことができる。そして、17
0℃で72時間の水熱合成を行った。その結果、ゼオラ
イト膜が基材上に形成された。次いでオートクレーブか
らゼオライト膜が形成された基材を取り出し、80℃の
温水で洗浄し、蒸留水で置換した。その後、100℃で
24時間乾燥させた。その後、600℃で2時間焼成
し、ゼオライト膜を形成するゼオライト結晶中のTPA
Brを除去した。上記一連の工程を経て得られたゼオラ
イト膜の膜厚は、約50μmであった。
【0025】次に、得られたゼオライト膜の膜表面をX
RD測定した。その結果、本実施例で得られたゼオライ
ト膜は、MFI型の結晶であることが確認された。ま
た、XRD測定の結果から、本実施例のゼオライト膜の
有する平均孔径は、約0.6nmであることが確認でき
た。この値は、一般的なMFI型ゼオライトの平均孔径
に一致する。更に本実施例のゼオライト膜の表面及び破
断面をSEM観察した結果、本実施例のゼオライト膜は
上記基材の表面(基材の表面近傍の孔隙部分の表面も含
む)に形成されていることが確認された(図示省略)。
そして膜欠陥(SEM観察)も確認されなかった。
【0026】一方、上記と同様の光学的方法によって、
水熱合成後のゾルに残留するゾル粒子の粒径測定を行っ
た。その測定データより導き出された粒径分布をヒスト
グラムとして図3に示す。本図に示すように、上記水熱
合成後のゾルには、水熱合成前には確認されていた15
nm前後の散乱光強度ピークが消失していた。このこと
から、当該約15nmを中心とする粒径範囲のゾル粒子
が、基材上でMFI型ゼオライト結晶として成長し、上
記ゼオライト膜を形成したと考えられる。
【0027】<比較例1:粗大なゾル粒子を含むゾルの
使用>本比較例は、上記実施例1と同じ出発原料を異な
る比率で混合・攪拌し、ゼオライト膜形成用ゾルを調製
した。すなわち、本比較例では、約20℃の室内で、T
PABr、NaO、SiO 及びHOとして換算す
るモル比が0.1:0.4:1:80となるように上記
出発原料を混合し、マグネティックスターラーで撹拌
し、ゾルを調製した。而して、上記と同様の光学的方法
によって、得られたゾル中のゾル粒子の粒径測定を行っ
た。その測定データより導き出された粒径分布から、本
比較例で得られたゾルは、粒径1nm〜500nmのゾ
ル粒子に富むものではなく、それよりも遙かに大きい粒
径(約1.6μm)のゾル粒子を主として含むものであ
ることが確認された。従って、本来、本発明のゼオライ
ト膜(ここではゼオライト膜)製造方法においては、か
かるゾルはゼオライト合成プロセスに使用しないのであ
るが、ここでは比較例としてかかるゾルを用いて上述し
た実施例1と同様の条件で水熱合成処理を行った。その
結果、上記基材上に膜の形成は認められなかった。すな
わち、水熱合成処理後の基材表面及び破断面のSEM観
察の結果、MFI型ゼオライト結晶の付着は認められた
が、膜の形成は認められなかった。
【0028】<比較例2:低pHゾルの使用>本比較例
では、上記実施例1と同様にしてゼオライト膜形成用ゾ
ルを調整した後、硝酸を添加して当該ゾルのpH値を4
に調整した。而して、上記と同様の光学的方法によっ
て、得られたゾル中のゾル粒子の粒径測定を行った。そ
の測定データより導き出された粒径分布から、本比較例
で得られたゾルは、粒径1nm〜500nmのゾル粒子
を殆ど含んでいないものであることが確認された。次い
で、かかるゾルを用いて、上述した実施例1と同様の条
件で水熱合成処理を行った。その結果、上記基材上に膜
の形成は認められなかった。
【0029】<実施例2:MFI型ゼオライト膜の形成
(種結晶有り、エージング有り)>本実施例では、出発
原料として水酸化ナトリウム、水ガラス、アルミン酸ナ
トリウム、蒸留水を用いて、ゼオライト膜形成用ゾルを
調製した。すなわち、約20℃の室内で、NaO、S
iO、Al及びHOとして換算するモル比が
14:27:1:2800となるように上記出発原料を
混合し、マグネティックスターラーで撹拌し、ゾルを調
製した。なお、得られたゾルのpHは概ね14であっ
た。次いで、硫酸を添加してpH値を11に調整した。
而して、上記と同様の光学的方法によって、このpH調
整直後のゾル中のゾル粒子の粒径測定を行った。その測
定データより導き出された粒径分布をヒストグラムとし
て図4に示す。本図に示すように、このpH調整直後の
ゾルには20nm前後に散乱光強度のピークが見られ
た。すなわち、このゼオライト膜形成用ゾルは、粒径1
nm〜500nm(特に10〜100nm)のゾル粒子
に富むものと判定された。しかし、1000nmを越え
る粒径の粒子も比較的多く存在していることも、かかる
粒径分布(図4)より確認された。
【0030】次に、上記pH調整直後のゾルを、マグネ
ティックスターラーで24時間撹拌しつつエージング
(熟成)を行った。而して、上記と同様の光学的方法に
よって、かかるエージング後のゾル中のゾル粒子の粒径
測定を行った。その測定データより導き出された粒径分
布をヒストグラムとして図5に示す。本図に示すよう
に、このエージング後のゾルには20nm前後に散乱光
強度のピークが見られた。すなわち、このゼオライト膜
形成用ゾルは、粒径1nm〜100nm(特に10〜5
0nm)のゾル粒子に富むものと判定された。また、エ
ージング処理によって、1000nmを越える粒径の粒
子が殆ど存在していないことが、かかる粒径分布(図
5)より確認された。
【0031】次に、本実施例に係るゼオライト膜形成用
ゾルを使用し、支持体表面にゼオライト膜を形成した。
なお、本実施例でも実施例1と同じ基材を用いた。ま
た、本実施例では、予め基材表面に種結晶としてMFI
型ゼオライト結晶(市販のMFI粉体)を擦り込んでお
いた。而して、実施例1と同様に水熱合成処理(但しT
PABrを除去するための上記焼成処理は除く)を行
い、基材表面に膜厚が約20μmのゼオライト膜を形成
した。
【0032】次に、得られたゼオライト膜の膜表面をX
RD測定した。その結果、本実施例で得られたゼオライ
ト膜は、MFI型の結晶であることが確認された。ま
た、XRD測定の結果から、本実施例のゼオライト膜の
有する平均孔径は、約0.6nmであることが確認でき
た。更に本実施例のゼオライト膜の表面及び破断面をS
EM観察した結果、本実施例のゼオライト膜は上記基材
の表面(基材の表面近傍の孔隙部分の表面も含む)に形
成されていることが確認された(図示省略)。そして膜
欠陥(SEM観察)も確認されなかった。
【0033】一方、上記と同様の光学的方法によって、
水熱合成後のゾルに残留するゾル粒子の粒径測定を行っ
た。その測定データより導き出された粒径分布をヒスト
グラムとして図6に示す。本図に示すように、上記水熱
合成後のゾルには、水熱合成前には確認されていた20
nm前後の散乱光強度ピークが消失していた。このこと
から、当該約20nmを中心とする粒径範囲のゾル粒子
が、基材上でMFI型ゼオライト結晶として成長し、上
記ゼオライト膜を形成したと考えられる。
【0034】<実施例3:MFI型ゼオライト膜の形成
(種結晶有り、エージング無し)>本実施例では、上記
実施例2で得られたpH調整直後のゾルを用いて同様の
水熱合成処理を行った。その結果、基材表面に膜厚が約
10μmのゼオライト膜を形成した。次に、得られたゼ
オライト膜の膜表面をXRD測定した。その結果、本実
施例で得られたゼオライト膜は、MFI型の結晶である
ことが確認された。また、XRD測定の結果から、本実
施例のゼオライト膜の有する平均孔径は、約0.6nm
であることが確認できた。更に本実施例のゼオライト膜
の表面及び破断面をSEM観察した結果、本実施例のゼ
オライト膜は上記基材の表面(基材の表面近傍の孔隙部
分の表面も含む)に形成されていることが確認された
(図示省略)。そして膜欠陥(SEM観察)も確認され
なかった。なお、本実施例で製造されたゼオライト膜
は、実施例2で製造されたゼオライト膜と比べて、種結
晶の成長度合が小さく、膜形成量が少なかった。これ
は、本実施例に使用したゼオライト膜形成用ゾル(上記
pH調整直後のゾル)が1000nmを越える粒径のゾ
ル粒子を比較的多く含んでいるためと考えられる。すな
わち、水熱処理時において、1000nm以上の粒径の
ゾル粒子は、ゾル中で結晶核となって他のゾル粒子を取
り込んで結晶成長したり、あるいは他のゾル粒子と凝集
して粗大ゾル粒子となり得る。その結果、相対的に膜形
成に用いられるゾル粒子(数量)が減り、絶対的な膜形
成量が減少したものと考えられる。
【0035】<実施例4:Y型ゼオライト膜の形成(種
結晶有り、エージング有り>本実施例では、出発原料と
して水酸化ナトリウム、水ガラス、アルミン酸ナトリウ
ム、蒸留水を用いて、ゼオライト膜形成用ゾルを調製し
た。すなわち、約20℃の室内で、NaO、Si
、Al及びHOとして換算するモル比が1
0:14:1:798となるように上記出発原料を混合
し、マグネティックスターラーで撹拌し、ゾルを調製し
た。なお、得られたゾルのpHは13〜14の範囲にあ
った。而して、上記と同様の光学的方法によって、この
ゾル中のゾル粒子の粒径測定を行った。その測定データ
より導き出された粒径分布をヒストグラムとして図7に
示す。本図に示すように、かかる調製直後のゾルには3
0nm前後に散乱光強度の一つの小さいピークが見られ
た。すなわち、このゼオライト膜形成用ゾルは、30n
m前後の粒径を有するゾル粒子が含まれていることが判
定された。しかし、1000nm前後の粒径のゾル粒子
が多く存在していることも、かかる粒径分布(図7)よ
り確認された。
【0036】次に、上記調製したゾルを、マグネティッ
クスターラーで24時間撹拌しつつエージング(熟成)
した。而して、上記と同様の光学的方法によって、かか
るエージング後のゾル中のゾル粒子の粒径測定を行っ
た。その測定データより導き出された粒径分布をヒスト
グラムとして図8に示す。本図に示すように、このエー
ジング後のゾルでは、5nm前後および50nm前後に
散乱光強度のピークが見られた。すなわち、このゼオラ
イト膜形成用ゾルは、エージング処理によって粒径1n
m〜100nmのゾル粒子の存在比率が増大し、結果、
当該粒径範囲に属するゾル粒子に富むものと判定され
た。
【0037】次に、本実施例に係るエージング後のゼオ
ライト膜形成用ゾルを使用し、支持体表面にゼオライト
膜を形成した。なお、本実施例でも実施例1と同じ基材
を用いた。また、本実施例では、予め基材表面に種結晶
としてY型ゼオライト結晶(市販のY型ゼオライト粉
体)を擦り込んでおいた。その後、乾燥して当該基材表
面に膜厚が約20μmのゼオライト膜を形成した。
【0038】次に、得られたゼオライト膜の膜表面をX
RD測定した。その結果、本実施例で得られたゼオライ
ト膜は、Y型の結晶であることが確認された。また、X
RD測定の結果から、本実施例のゼオライト膜の有する
平均孔径は、約0.7nmであることが確認できた。こ
の値は、一般的なY型ゼオライトの平均孔径に一致す
る。更に本実施例のゼオライト膜の表面及び破断面をS
EM観察した結果、本実施例のゼオライト膜は上記基材
の表面(基材の表面近傍の孔隙部分の表面も含む)に形
成されていることが確認された(図示省略)。そして膜
欠陥(SEM観察)も確認されなかった。
【0039】一方、上記と同様の光学的方法によって、
水熱合成後のゾルに残留するゾル粒子の粒径測定を行っ
た。その測定データより導き出された粒径分布をヒスト
グラムとして図9に示す。本図に示すように、上記水熱
合成後のゾルには、水熱合成前には確認されていた粒径
100nm以下の二つの散乱光強度ピークがともに消失
していた。このことから、当該粒径範囲のゾル粒子が、
基材上でY型ゼオライト結晶として成長し、上記ゼオラ
イト膜を形成したと考えられる。
【0040】<比較例3:粗大なゾル粒子を含むゾルの
使用>本比較例は、上記実施例4と同じ出発原料を異な
る比率で混合・攪拌し、ゼオライト膜形成用ゾルを調製
した。すなわち、本比較例では、約20℃の室内で、N
O、SiO、Al 及びHOとして換算す
るモル比が10:14:0.5:798となるように上
記出発原料を混合し、マグネティックスターラーで撹拌
し、ゾルを調製した。而して、上記と同様の光学的方法
によって、得られたゾル中のゾル粒子の粒径測定を行っ
た。その測定データより導き出された粒径分布から、本
比較例で得られたゾルは、粒径1nm〜500nmのゾ
ル粒子に富むものではなく、それよりも遙かに大きい粒
径(数十μm以上)のゾル粒子を主として含むものであ
ることが確認された。そして、かかるゾルを用いて上述
した実施例4と同様の条件で水熱合成処理を行った。そ
の結果、上記基材上に膜の形成は認められなかった。す
なわち、水熱合成処理後の基材表面及び破断面のSEM
観察の結果、Y型ゼオライト結晶の付着は認められた
が、膜の形成は認められなかった。
【0041】<実施例5:得られたゼオライト膜のガス
分離性能の評価>実施例1〜4でそれぞれ作製したゼオ
ライト膜、及び比較例1で基材上にゼオライト結晶の付
着は認められたがゼオライト膜の形成は認められなかっ
た状態のもののガス分離性能(透過率、分離係数)の評
価を、以下のガス分離試験により行った。なお、比較例
2及び3は、基材上に膜が形成されていないため、かか
る評価を行っていない。先ず、図10に示すような管状
ガス分離モジュール1を作製した。図中の円筒状の基材
14の外周面には、上記実施例1、2、3又は4で作製
したゼオライト膜が形成されている。なお、比較例1に
係る基材14の外周面には、ゼオライト膜は形成されて
おらず、ゼオライト結晶が付着している。なお、図10
では、それらのゼオライト膜を符号12で示す。而し
て、基材14の一方の開口をアクリル板5で密封し、他
方の開口にスウェージロック6を取り付けた。その基材
14を密閉可能なケーシング2内に配置した。このと
き、図10に示すように、スウェージロック6の開口先
端部はケーシング2の外部に露出した状態とした。さら
に、基材14のアクリル板5、スウェージロック6取付
部分の近傍には、ガラス封着剤を塗ってシールした。ま
た、ケーシング2には、ガス供給管3と、ガス排出管4
とが設けられている。また、図示していないが、ケーシ
ング2の周囲にはヒーターおよび冷却器が設けられてお
り、ケーシング2内部のゼオライト膜12及び基材14
の温度を4℃〜800℃の範囲でコントロールすること
ができる。
【0042】スウェージロック6と接続する透過ガス排
出側流路には図示しないガスクロマトグラフが装備され
ている。従って、各実施例に係るゼオライト膜12が形
成されている外周面側(以下、単に供給側という)か
ら、そのゼオライト膜12及び基材14を通過して、基
材14の内周面側(以下、単に透過側という)に、流入
するガス濃度を測定し、その測定データをコンピュータ
システムによって解析することができる。また、ケーシ
ング2のガス供給管3は外部ガス供給源に接続してお
り、当該ガス供給管3を介して上記供給側が面するケー
シング内部空間7に二酸化炭素、窒素等の測定用ガスを
供給することができる。なお、ケーシング内部空間7の
ガスはガス排出管4から外部に排出可能である。
【0043】而して、かかる系において、供給側(即ち
ケーシング内部空間7)と透過側(即ち基材内周面側空
間16)との間に差圧が設けられることによって、ガス
供給管3からケーシング2内部に導入された測定用ガス
の一部は、ゼオライト膜12の孔、更には基材14の孔
隙を通過して、基材14の基材内周面側空間16に透過
されることとなる。本実施例では、上記のように構築し
た測定系(ガス分離モジュール1)を用いて、上記4種
類のゼオライト膜に対しての二酸化炭素10容量%と窒
素90容量%とから成る混合ガスを供給した場合のガス
透過率、及び二酸化炭素/窒素分離係数を評価した。詳
細な評価方法を以下に記す。
【0044】ヒーター及び冷却器を作動させて所定の温
度に調節した後、上記差圧を生じさせた状態で測定用ガ
ス(即ち上記混合ガス)をケーシング内部空間7に供給
した。他方、図示しないセッケン膜流量計によって、透
過側(即ちスウェージロック6と接続する透過ガス排出
側流路)の流速を測定しつつ、TCD検出器を備えたガ
スクロマトグラフによってガス組成を分析した。
【0045】なお、上記混合ガスの透過率は次の式「Q
=A/((Pr−Pp)・S・t)」から算出した。こ
こでQはガス透過率(モル/m2・秒・Pa)、Aはガス透過
量(mol)、Prは供給側圧力(Pa)、Ppは透過
側圧力(Pa)、Sは膜面積(m)、tは時間(秒)
を表す。また、上記混合ガス中の二酸化炭素の透過率は
次の式「Q=(Rp・Cp・To・P/(T・P
p))/(S・60・(Cr・Pr−Cp・P
p))」から算出した。ここでQは二酸化炭素透過率
(モル/m2・秒・Pa)、Rpは透過側流量(モル/分)、
Cpは透過側二酸化炭素濃度(%)、Crは供給側
二酸化炭素濃度(%)、Pは開放圧(Pa)、Toは
標準温度(K)、Tは試験温度(K)を表す。同様に上
記混合ガス中の窒素の透過率は次の式「Q=(Rp・
Cp・To・P/(T・Pp))/(S・60・
(Cr・Pr−Cp・Pp))」から算出した。こ
こでQは窒素透過率(モル/m2・秒・Pa)、Cpは透
過側窒素濃度(%)、Crは供給側窒素濃度(%)を
表す。
【0046】二酸化炭素/窒素分離係数は、二酸化炭素
透過率と窒素透過率との比率すなわち式「α=Q/Q
」から算出した。ここでαは二酸化炭素/窒素分離係
数を表す。測定した混合ガス透過率および二酸化炭素/
窒素分離係数を表1に示す。本実施例においては、上述
の実施例1〜4でそれぞれ作製したゼオライト膜につい
て、200℃の温度条件で測定を行った。なお、表1に
は、上述の各実施例又は比較例の結果、すなわちゼオラ
イトの型、ゾル中の粒径1〜500nmのゾル粒子の有
無(○はかかる粒径範囲のゾル粒子に富むものを示し、
×はかかる粒径範囲のゾル粒子の存在比率が極めて小さ
いか或いは存在しないものを示す。)、ならびに基材表
面における膜形成状態についても併せて示している。
【0047】
【表1】
【0048】表1から明らかなように、上述の実施例
1、2、4で得られたゼオライト膜は、優れた二酸化炭
素/窒素分離係数(それぞれ25、5.8、2.5)を
示した。また、混合ガス透過率の値から、実施例1〜4
のゼオライト膜は緻密な多孔質膜であることが示唆され
た。
【0049】
【発明の効果】 以上の各実施例からも明らかなよう
に、上記粒径範囲(1〜500nm、好ましくは1〜1
00nm)のゾル粒子に富むゾルは、支持体上での膜形
成や良好な結晶成長を促し、顕著な欠陥の認められない
緻密な多孔質膜等を形成することができる。従って、か
かる粒径範囲のゾル粒子に富むゾルを選別してゼオライ
ト膜合成プロセスに供することで、所望したものとは異
なる性状のゼオライト膜が形成されるのを未然に防止し
つつ目的とするゼオライト膜を安定的に製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1に係るシリカゾルに含まれるゾル粒
子の粒径分布を示すヒストグラムである。
【図2】 実施例1に係るゼオライト膜形成用ゾルに含
まれるゾル粒子の粒径分布を示すヒストグラムである。
【図3】 実施例1に係る水熱合成後のゾルに含まれる
ゾル粒子の粒径分布を示すヒストグラムである。
【図4】 実施例2に係るpH調整直後のゾルに含まれ
るゾル粒子の粒径分布を示すヒストグラムである。
【図5】 実施例2に係るエージング後のゾルに含まれ
るゾル粒子の粒径分布を示すヒストグラムである。
【図6】 実施例2に係る水熱合成後のゾルに含まれる
ゾル粒子の粒径分布を示すヒストグラムである。
【図7】 実施例4に係る調製直後のゾルに含まれるゾ
ル粒子の粒径分布を示すヒストグラムである。
【図8】 実施例4に係るエージング後のゾルに含まれ
るゾル粒子の粒径分布を示すヒストグラムである。
【図9】 実施例4に係る水熱合成後のゾルに含まれる
ゾル粒子の粒径分布を示すヒストグラムである。
【図10】 ゼオライト膜を用いて構築した管状ガス分
離モジュールの構造を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1:管状ガス分離モジュール 12:ゼオライト膜 14:基材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゼオライト膜形成用の原料物質から成る
    粒子が分散して成るゾルを調製する工程と、 前記ゾル中の粒子の粒径を光学的に測定する工程と、 前記粒径測定に基づいて、前記ゾルが粒径1nm〜50
    0nmの粒子に富むものか否かを判定する工程と、 前記粒径の粒子に富むものと判定されたゾルを用いてゼ
    オライト膜を合成する工程とを包含するゼオライト膜の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ゼオライト合成工程は、前記粒径測
    定に基づいて粒径1nm〜100nmの粒子に富むもの
    と判定されたゾルを用いて行われる、請求項1に記載の
    ゼオライト膜製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ゾル中において前記粒径1nm〜5
    00nmの粒子を富ませる工程をさらに包含する、請求
    項1に記載のゼオライト膜製造方法。
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