JP2002173320A - 誘導によるゼオライトの合成法およびゼオライト組成物 - Google Patents

誘導によるゼオライトの合成法およびゼオライト組成物

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JP2002173320A
JP2002173320A JP2000371773A JP2000371773A JP2002173320A JP 2002173320 A JP2002173320 A JP 2002173320A JP 2000371773 A JP2000371773 A JP 2000371773A JP 2000371773 A JP2000371773 A JP 2000371773A JP 2002173320 A JP2002173320 A JP 2002173320A
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zeolite
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silicon
aluminum
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Ikuhiro Ando
生大 安藤
Akio Henmi
彰男 逸見
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の化学組成になるように調整することが
困難な廃棄物等を原料とした場合においても、特定の種
類のゼオライト組成物を合成することを可能にした誘導
によるゼオライトの合成法およびその方法によって生成
されたゼオライト組成物を提供する。 【解決手段】 ケイ素とアルミニウムの組成比が特定さ
れていない固体原料及び/又は液体原料とアルカリ水溶
液とを混合してなるゼオライト原料中に、特定のケイ素
/アルミニウム比を有する一種又は二種以上の結晶鉱物
を添加してアルカリ処理することによって、上記課題を
解決し、その結晶鉱物に対応した特定の種類のゼオライ
ト組成物を合成することができる。このとき、合成され
たゼオライト組成物は、結晶鉱物のケイ素/アルミニウ
ム比以下のケイ素/アルミニウム比に誘導合成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導によるゼオラ
イトの合成法およびゼオライト組成物に関し、更に詳し
くは、廃棄物のようにケイ素とアルミニウムの組成比が
ある範囲で特定されないような原料中に特定の結晶鉱物
を共存させることによって、その結晶鉱物に対応した特
定の種類のゼオライト組成物を誘導することができるゼ
オライトの合成法およびその方法によって合成されたゼ
オライト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゼオライトは、ケイ素源およびアルミニ
ウム源を有する組成物がアルカリ処理されることによっ
て生成する結晶であり、陽イオン交換機能、吸着機能、
触媒機能など極めて有望な各種の特性を有すると共に、
新たな機能性の発現や用途の拡大など、さらなる可能性
を秘めた物質として多方面で注目されている。こうした
ゼオライトは、天然ゼオライト、合成ゼオライト、人工
ゼオライトに分類されており、一般的に、特定の組成を
有する液相から生成されるものを合成ゼオライトとい
い、主に廃棄物由来の固体原料及び/又は液体原料を原
料として生成されるものを人工ゼオライトといってい
る。
【0003】人工ゼオライトの原料としては、石炭灰、
溶融スラグ、ケイ素質汚泥(廃石英ガラス汚泥等)、ア
ルミドロス、含アルミニウム廃液、含ケイ素廃液等々、
さまざまな廃棄物を使用できることが知られている。こ
うしたことは、廃棄物のゼロエミッション化の要請から
近年注目されている。
【0004】こうした人工ゼオライトは、多くの種類を
有し、使用する原料中のケイ素/アルミニウム組成比を
予め調整することによって所望の種類の人工ゼオライト
組成物を生成することができると考えられてきた。しか
し、この方法では所望の種類の人工ゼオライト組成物を
生成するためには、原料の化学組成を人為的な配合によ
ってある一定の組成にあわせる必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、人工ゼ
オライトの原料になりうる廃棄物は多種多様であり、そ
うした廃棄物の配合を、特定の種類の人工ゼオライトが
生成されるような所望の化学組成になるように調整する
のはほとんど不可能である。
【0006】従って、廃棄物を人工ゼオライト原料とし
て有効に利用するには、生成されるゼオライトの種類を
自由にコントロールする技術が求められているが、そう
した技術は未だ開発されていない。
【0007】本発明は、所望の化学組成になるように調
整することが困難な廃棄物等を原料とした場合において
も、特定の種類のゼオライト組成物を合成することを可
能にした誘導によるゼオライトの合成法およびその方法
によって生成されたゼオライト組成物を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の誘導に
よるゼオライトの合成法は、ケイ素とアルミニウムの組
成比が特定されていない固体原料及び/又は液体原料と
アルカリ水溶液とを混合してなるゼオライト原料中に、
特定のケイ素/アルミニウム比を有する一種又は二種以
上の結晶鉱物を添加してアルカリ処理することによっ
て、当該結晶鉱物に対応した特定の種類のゼオライト組
成物が合成されることに特徴を有する。
【0009】この発明によれば、ケイ素とアルミニウム
の組成比が特定されていない固体原料及び/又は液体原
料をゼオライト原料として用いた場合であっても、特定
の種類のゼオライト組成物が、その結晶鉱物に対応して
誘導され、合成される。その結果、特定のゼオライト組
成物を生成するために固体原料及び/又は液体原料を所
望の化学組成になるように調整する必要がなく、例えば
廃棄物からなる固体原料及び/又は液体原料をゼオライ
ト原料として容易且つ有効に利用することができる。本
発明によれば、固体原料及び/又は液体原料の種類に特
に制限されずに特定のゼオライト組成物を合成すること
ができるので、例えば廃棄物の利用を有効且つ容易に行
うことができ、廃棄物のゼロエミッション化の要請に応
えることができる。
【0010】請求項2の発明は、請求項1に記載の誘導
によるゼオライトの合成法において、前記ゼオライト組
成物は、前記結晶鉱物のケイ素/アルミニウム比以下の
ケイ素/アルミニウム比を有することに特徴を有する。
【0011】この発明によれば、添加する結晶鉱物のケ
イ素/アルミニウム比を選定することによって、それ以
下のケイ素/アルミニウム比を有する特定のゼオライト
組成物を誘導により合成することができるので、ケイ素
とアルミニウムの組成比が特定できない廃棄物等からな
る固体原料及び/又は液体原料を用いた場合であって
も、特定のゼオライト組成物を合成することができる。
【0012】請求項3の発明は、請求項1または請求項
2に記載の誘導によるゼオライトの合成法において、前
記液体原料の全部又は一部として、前記ゼオライト組成
物の合成過程から排出された未反応物又は廃液を再利用
することに特徴を有する。
【0013】この発明によれば、前記ゼオライト組成物
の合成過程から排出された未反応物又は廃液を原料の全
部又は一部として再利用することができるので、廃棄物
のゼロエミッション化をさらに達成することができる。
【0014】請求項4に記載のゼオライト組成物は、ケ
イ素とアルミニウムの組成比が特定されていない固体原
料及び/又は液体原料とアルカリ水溶液とを混合してな
るゼオライト原料中に、特定のケイ素/アルミニウム比
を有する一種又は二種以上の結晶鉱物を添加してアルカ
リ処理することによって、当該結晶鉱物に対応して合成
されてなることに特徴を有する。
【0015】この発明によれば、ケイ素とアルミニウム
の組成比が特定されていない固体原料及び/又は液体原
料をゼオライト原料として用いた場合であっても、特定
の種類のゼオライト組成物が、その結晶鉱物に対応して
誘導され、合成される。こうして得られたゼオライト組
成物は、所望の結晶系に揃えることができるので、陽イ
オン交換機能、吸着機能、触媒機能など、その結晶系に
由来する特定の用途に好ましく使用することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の誘導によるゼオラ
イトの合成法およびゼオライト組成物について説明す
る。
【0017】本発明の誘導によるゼオライトの合成法
は、所望の化学組成になるように調整することが困難な
廃棄物等を原料とした場合においても、特定の種類のゼ
オライト組成物を合成することを可能にしたゼオライト
の合成法であって、ケイ素とアルミニウムの組成比が特
定されていない固体原料及び/又は液体原料とアルカリ
水溶液とを混合してなるゼオライト原料中に、特定のケ
イ素/アルミニウム比を有する一種又は二種以上の結晶
鉱物を添加してアルカリ処理することによって、その結
晶鉱物に対応した特定の種類のゼオライト組成物が誘導
され、合成されることに特徴を有するものである。
【0018】(1)ゼオライト原料 ゼオライト原料は、ケイ素とアルミニウムの組成比があ
る範囲で特定されていない任意の組成比を有する固体原
料及び/又は液体原料と、アルカリ水溶液とを混合して
なるものである。
【0019】固体原料及び/又は液体原料としては、本
発明の合成法によってゼオライト組成物が合成され得る
に足るケイ素とアルミニウムを少なくとも有するもので
あることは言うまでもないが、廃棄物のようにケイ素と
アルミニウムの組成比が特定されていないものを広く使
用することができ、特に限定されない。特に廃棄物の使
用は、近年のゼロエミッション化の要望から特に好まし
い。なお、固体原料や液体原料は、スラリー等のように
液体や固体が混在した粘土状、流動状のものであっても
よい。
【0020】具体的な固体原料及び/又は液体原料とし
ては、ケイ素とアルミニウムの一方又は両方を有する固
体廃棄物や、ケイ素とアルミニウムの一方又は両方を有
する液体廃棄物を用いたり、そうした固体廃棄物と液体
廃棄物の一方又は両方を有するものであっても、それら
をそれぞれ複数配合したものであってもよい。本発明で
は、固体原料と液体原料を任意に混ぜてゼオライトを合
成するための原料とすることができるので、ケイ素やア
ルミニウムがどのような組成で含有されているかわから
ない廃棄物等を好ましく使用することができ、廃棄物の
ゼロエミッション化の要請に応えることができる。
【0021】ケイ素とアルミニウムの両方を有するもの
の具体例としては、石炭灰、都市ゴミ焼却灰、活性汚泥
焼却灰、ゴミ固形化燃料灰等の焼却灰、製紙スラッジ、
鋳物スラッジ(廃砂)、灰の溶融スラグ、凝灰岩(大谷
石など)、火山灰、砂利のくず等を例示でき、ケイ素と
アルミニウムのいずれか一方を有するものの具体例とし
ては、脱水ケーキ、廃ガラス、シリコンウエハー製造時
の廃シリコン等の珪素含有物質、稲、麦等の禾目科植物
の焼却灰またはアルカリ抽出液や、アルミニウム廃液、
アルミニウムドロス、アルマイト加工廃液、アルミサッ
シ洗浄液等の廃液、廃アルミニウム缶、廃アルミニウム
ホイル等のアルミニウム含有物質を例示できる。
【0022】なお、液体原料として、ケイ素とアルミニ
ウムの一方又は両方を有する廃棄物を後述するアルカリ
処理により予め溶解したものも使用することができる。
ここで行うアルカリ処理は、ゼオライト原料として液体
原料を供給する際の前処理の一つとして行われる処理で
あり、廃棄物の種類によっては、こうした処理を好まし
く採用できる。また、本発明の誘導によるゼオライトの
合成過程から排出された未反応物又は廃液を、原料とし
て再利用することもできる。こうした再利用は、廃棄物
のゼロエミッション化において特に好ましい。
【0023】アルカリ水溶液は、ゼオライトの生成反応
には不可欠なものであり、上述した固体原料及び/又は
液体原料の種類によって、アルカリ水溶液の種類と濃度
が適宜選択される。具体的には、水酸化ナトリウム水溶
液、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ金属、アルカリ
土類金属等を陽イオンとするアルカリ水溶液を挙げるこ
とができる。
【0024】(2)結晶鉱物 結晶鉱物は、特定のケイ素/アルミニウム比を有する一
種又は二種以上のものであり、この結晶鉱物の種類、ケ
イ素/アルミニウム比ないし添加量に対応して、特定の
種類のゼオライト組成物が誘導され、合成される。
【0025】結晶鉱物としては、ゼオライトまたはゼオ
ライト以外の結晶性物質を用いることができる。
【0026】ゼオライトとしては、天然ゼオライト、合
成ゼオライト、人工ゼオライトのいずれも用いることが
できる。天然ゼオライトの例としてホウフッ石群、ホウ
ソーダ石群、リュウフッ石群、ソーダフッ石群、ジョウ
ジフッ石群、モルデンフッ石群等の各種のゼオライト族
に属する鉱物、合成ゼオライトの例としてLTA型(A
3型、A4型、A5型等のゼオライト)、FAU型(X
型:Si/Al比=1.0〜1.4、Y型:Si/Al
比=1.9〜2.8等のゼオライト)、ZSM−5等、
人工ゼオライトの例としてホージャサイト、フィリップ
サイト、水和ソーダライト等を挙げることができる。
【0027】また、ゼオライト以外の結晶性物質として
は、テクト珪酸塩、フィロ珪酸塩等の結晶性珪酸塩を挙
げることができる。
【0028】本発明の誘導によるゼオライトの合成法に
おいては、こうした結晶鉱物の微細結晶を用いることが
好ましく、通常、100μm以下のものが用いられる。
【0029】こうした一種又は二種以上の結晶鉱物の種
類、組合せ、ケイ素/アルミニウム比および添加量は、
誘導により合成しようとするゼオライト組成物の種類に
対応させて選択することができる。
【0030】(3)アルカリ処理 アルカリ処理は、固体原料及び/又は液体原料とアルカ
リ水溶液とを混合してなるゼオライト原料からゼオライ
ト組成物を合成する基本的なアルカリ反応処理であり、
(i)アルカリ水溶液の濃度、(ii)固相原料/液相原
料比、(iii)反応時間、(iv)撹拌効果、(v)圧力、
(vi)温度、を主な因子として挙げることができる。こ
うした因子は、固体成分の溶解性に直接関与するもので
ある。
【0031】アルカリ水溶液の濃度としては0.01〜
6N(規定。以下同じ。)等の濃度で処理することがで
きるが、この範囲に限定されない。通常、3.5N程度
が好ましい。
【0032】固体原料及び/又は液体原料とアルカリ水
溶液との比は、固体原料及び/又は液体原料:アルカリ
水溶液=1:1〜1:8等の割合で処理することができ
るが、この範囲に限定されない。通常、1:4や1:8
等のように、アルカリ水溶液の割合の高いものが好まし
い。
【0033】反応時間は、ゼオライト組成物が生成する
のに必要な時間であり、この時間は、他の因子によって
大きく影響される。例えば、圧力、温度、撹拌状態等に
よって大きく影響する。通常、数十分から数時間、場合
によっては一日程度必要となる。
【0034】撹拌効果は、特に固体原料にアルカリ水溶
液中のOH基が効率的にアタックして固体成分の溶解性
に大きく影響する因子である。具体的には、プロペラ撹
拌等の機械的な撹拌や、乱流作用や超音波、マイクロ波
振動による撹拌も好ましく採用することができる。こう
した撹拌によって、固体原料へのアルカリ水溶液のアタ
ックや、固体原料と結晶鉱物との接触機会をさらに向上
させることができ、ゼオライトの生成反応をさらに促進
させることができる。こうした撹拌効果は、液体原料を
用いた場合においても効果的である。
【0035】圧力と温度は、大気圧下では約80℃以
上、特に90℃以上で行うことが好ましい。また、高圧
条件とすることによって約250℃程度の高温でも処理
することができる。高温高圧条件下で反応させることに
よって、アルカリ水溶液の熱振動を活発化させることが
でき、誘導によるゼオライトの合成反応をより促進させ
ることができる。
【0036】なお、本発明においては、こうした主因子
に、上述した(vii)結晶鉱物、が加えられることによ
って特定のゼオライト組成物が誘導され、合成される。
【0037】(4)誘導されるゼオライト組成物 本発明においては、上述したゼオライト原料中に、上述
した結晶鉱物を添加し、上述したアルカリ処理をするこ
とによって、添加した結晶鉱物に対応した特定のゼオラ
イト組成物が誘導され、合成される。
【0038】そうしたゼオライト組成物は、上述した結
晶鉱物の種類、ケイ素/アルミニウム比および添加量に
応じたものが誘導され、合成される。例えば、結晶鉱物
のケイ素/アルミニウム比以下のケイ素/アルミニウム
比を有する特定のゼオライト組成物が生成される。
【0039】さらに具体例を挙げれば、結晶鉱物として
LTA(A型など)構造のゼオライトを0.01〜10
重量%添加した場合においては、添加した結晶鉱物と同
じLTA(A型など)構造を有するゼオライトを合成す
ることができる。また、結晶鉱物としてFAU(Xない
しY型など)構造のゼオライトを0.01〜10重量%
添加した場合においては、添加したFAU(XないしY
型など)構造のゼオライトまたは、添加したFAU(X
ないしY型など)構造のゼオライトよりもケイ素/アル
ミニウム比の低いLTA(A型など)構造を有するゼオ
ライトを合成することができる。
【0040】
【実施例】以下に、実施例を示して本発明をさらに詳細
に説明する。なお、本発明の趣旨は、以下の実施例に限
定されるものではない。
【0041】(実施例1)固体原料として、四国電力の
石炭灰(フライアッシュ:シリカ45重量%以上、湿分
1重量%以下、強熱減量5重量%以下、比重1.95以
上、比面積2700cm2 /g以上、44μm標準ふる
いを75重量%以上通過したもの。)を使用し、固体原
料:アルカリ水溶液の比を1:8にしたものを,常圧下
約105℃前後で8時間沸点を維持させてアルカリ処理
を行った。こうして得た人工ゼオライト(フィリップサ
イト)を添加物結晶として用いた。
【0042】四国電力の石炭灰(7g)とアルカリ水溶
液(56ml)を三角フラスコに入れたものを所定数準
備し、そこに上述した添加物結晶の人工ゼオライトを添
加し、常圧下約105℃で8時間撹拌させながらアルカ
リ処理を行った。なお、人工ゼオライトの添加量として
は、無添加(0%)、0.07g(約1%)、0.21
g(約3%)、0.35g(約5%)、0.7g(約1
0%)のそれぞれについて行った。
【0043】試験後のCECは約150cmol/Kg
であった。また、人工ゼオライトの生成をXRDによっ
て確認した。得られた結果を表1に示した。
【0044】(実施例2)四国電力の石炭灰(7g)と
アルカリ水溶液(56ml)を三角フラスコに入れたも
のを所定数準備し、そこに結晶鉱物(添加物結晶)とし
てLTA(A4型)構造の合成ゼオライト(市販品)を
添加し、常圧下約105℃で20時間撹拌させながらア
ルカリ処理を行った。なお、合成ゼオライトの添加量と
しては、無添加(0%)、0.07g(約1%)、0.
21g(約3%)、0.35g(約5%)、0.7g
(約10%)のそれぞれについて行った。得られた結果
を表1に示した。
【0045】(実施例3)結晶鉱物(添加物結晶)とし
てFAU(F9型)構造の合成ゼオライト(ホージャサ
イト:市販品)を使用し、反応時間を4時間とした他
は、実施例1と同じ方法で行った。得られた結果を表1
に示した。
【0046】
【表1】
【0047】なお、CEC( Cation Exchang Capacit
y)値は以下の側定によって求めた。1N塩化カルシウ
ム溶液にて交換性陽イオンをCa2+に置き換え、80%
エタノール溶液にて十分洗浄した後、1N塩化アンモニ
ウム溶液にてCa2+とNH4 +のイオン交換を行い、原子
吸光光度法によりCa2+イオン濃度の測定を行い、各試
料のCEC値を算出した。
【0048】(実施例1〜3の結果)実施例1におい
て、フィリップサイト(人工ゼオライト)を添加する
と、フィリップサイトが誘導合成された。0.35g
(約5%)添加して合成させると、当初に比べて20%
程度増量しているのがX線回折法によって確認された。
【0049】実施例2において、LTA(A4型)構造
の合成ゼオライトを0.07g(約1%)添加して合成
させるとフィリップサイトが増量しているのが確認され
た。0.21g(約3%)添加して合成させるとLTA
(A4型)構造のゼオライトが現れ、0.35g(約5
%)添加して合成させるとLTA(A4型)構造のゼオ
ライトが優勢となり、0.70g(約10%)添加して
合成させるとLTA(A4型)構造のゼオライトがさら
に優勢となっているのが確認された。
【0050】実施例3において、FAU(F9型)構造
のゼオライトを0.07g(約1%)添加して合成させ
るとLTA(A4型)構造のゼオライトが現れているの
が確認された。0.21g(約3%)添加して合成させ
ると新たにFAU(F9型)構造のゼオライトが現れた
がLTA(A4型)構造のゼオライトが優勢であった。
0.35g(約5%)添加して合成させると今度はFA
U(F9型)構造のゼオライトが優勢となり、0.70
g(約10%)添加して合成させるとFAU(F9型)
構造のゼオライトがさらに優勢となっているのが確認さ
れた。
【0051】以上の結果から、結晶鉱物を添加すること
によってより多くの可溶性Si成分および可溶性Al成
分が消費されるので、固相の溶解が促進されると共に結
晶化が促進され、ゼオライトの増量効果をもたらすと推
察される。また、FAU(F9型)構造のゼオライトの
ような高いSi/Al比を有する結晶鉱物を添加したと
きに低いSi/Al比を有するLTA(A4型)構造の
ゼオライトが誘導合成されるのは、Si成分がより多く
消費されるため結果的に反応系内のSi/Al比が低下
するためと推察される。なお、誘導合成されたLTA
(A4型)構造のゼオライトは、添加された結晶鉱物と
同じ役割を果たしてさらにゼオライトの誘導合成を促進
させることができる。
【0052】従って、Si、Alを含む固相が関与する
反応型においては、添加する結晶鉱物の種類や添加量に
よって、固相から溶出するSi/Al比をコントロール
することができ、合成されるゼオライト組成物を任意に
誘導することができる。また、未反応物や廃液には、反
応に寄与しなかったSi、Al成分が残存するものと考
えられ、これらを再利用することも可能である。
【0053】(実施例4)ケイ素源として、廃石英粉
末、脱水ケーキ(白)又は脱水ケーキ(茶)を使用し、
アルミニウム源として、アルミ集塵灰又はACL汚泥を
使用し、アルカリ水溶液として、3Nの水酸化ナトリウ
ム水溶液又は2.85Nの苛性アルカリ廃液を使用し、
表2のように組み合わせてゼオライト原料とした。この
とき、ゼオライト原料のSi/Al比を1又は3とし、
固液比を1:4とした。なお、脱水ケーキ(白)と脱水
ケーキ(茶)は、脱水ろ過工程から排出されるものであ
る。
【0054】このゼオライト原料を三角フラスコに入れ
たものを準備し、常圧下約105℃前後で4時間撹拌さ
せながらアルカリ処理を行った。結晶鉱物としては、L
TA(A4型)構造のゼオライト及びFAU(F9型)
構造のゼオライトを用い、それらをケイ素源及びアルミ
ニウム源からなる原料に対して10重量%(7g)添加
した。試験後のCECと結晶系の確認については、実施
例1と同様とした。結果を表2に示した。
【0055】
【表2】
【0056】以上の結果から、実施例1〜3と同様に、
添加する結晶鉱物によって、合成されるゼオライト組成
物を任意に誘導することができる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の誘導によ
るゼオライトの合成法によれば、ケイ素とアルミニウム
の組成比が特定されていない固体原料及び/又は液体原
料をゼオライト原料として用いた場合であっても、特定
の種類のゼオライト組成物が、その結晶鉱物に対応して
誘導され、合成される。その結果、特定のゼオライト組
成物を生成するために固体原料及び/又は液体原料を所
望の化学組成になるように調整する必要がなく、例えば
廃棄物からなる固体原料及び/又は液体原料をゼオライ
ト原料として容易且つ有効に利用することができる。本
発明によれば、固体原料及び/又は液体原料の種類に特
に制限されずに特定のゼオライト組成物を合成すること
ができるので、例えば廃棄物の利用を有効且つ容易に行
うことができ、廃棄物のゼロエミッション化の要請に応
えることができる。
【0058】また、本発明のゼオライト組成物によれ
ば、得られたゼオライト組成物は、所望の結晶系に揃え
ることができるので、陽イオン交換機能、吸着機能、触
媒機能など、その結晶系に由来する特定の用途に好まし
く使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 逸見 彰男 愛媛県松山市来住町645−20 Fターム(参考) 4G073 BA57 BA63 CZ01 CZ08 FB03 FB04 FB18 FB30 FB45 FE02 GA01 UA06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケイ素とアルミニウムの組成比が特定さ
    れていない固体原料及び/又は液体原料とアルカリ水溶
    液とを混合してなるゼオライト原料中に、特定のケイ素
    /アルミニウム比を有する一種又は二種以上の結晶鉱物
    を添加してアルカリ処理することによって、当該結晶鉱
    物に対応した特定の種類のゼオライト組成物が合成され
    ることを特徴とする誘導によるゼオライトの合成法。
  2. 【請求項2】 前記ゼオライト組成物は、前記結晶鉱物
    のケイ素/アルミニウム比以下のケイ素/アルミニウム
    比を有することを特徴とする請求項1に記載の誘導によ
    るゼオライトの合成法。
  3. 【請求項3】 前記液体原料の全部又は一部として、前
    記ゼオライト組成物の合成過程から排出された未反応物
    又は廃液を再利用することを特徴とする請求項1または
    請求項2に記載の誘導によるゼオライトの合成法。
  4. 【請求項4】 ケイ素とアルミニウムの組成比が特定さ
    れていない固体原料及び/又は液体原料とアルカリ水溶
    液とを混合してなるゼオライト原料中に、特定のケイ素
    /アルミニウム比を有する一種又は二種以上の結晶鉱物
    を添加してアルカリ処理することによって、当該結晶鉱
    物に対応して合成されてなることを特徴とするゼオライ
    ト組成物。
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