JP4988187B2 - ゼオライトの製造方法 - Google Patents
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また、ゼオライトの生成を阻害するカルシウムイオンに対するブロック剤として、EDTAを反応溶媒中に添加してもよい。
市販の陶器または磁器から得られる陶器片または磁器片を粉砕機により1mm以下まで粉砕した。こうして得られた粉末10gに水酸化ナトリウムを12g添加し、粉砕・混合した。得られた混合物をニッケル製のるつぼに入れ、電気炉により600℃で6時間加熱溶融した。溶融前の陶器、磁器の粉末および溶融屑について、以下の方法によりSiおよびAlの溶出量を求めた。
市販の陶器屑を粉砕機により1mm以下まで粉砕した。この粉末10gにそれぞれ水酸化ナトリウム0、4、8、12、16、20gを混合した、混合比0、0.4、0.8、1.2、1.6、2.0の試料を調製した。こうして得られた混合物をニッケル製のるつぼに入れ、電気炉中で200、400、600、800℃の各温度で1時間加熱した。処理後の試料粉末について、実施例1と同様の方法により、Siの溶出量を求めた。結果は図1に示すとおりであり、添加量が低い場合は溶解量が低いが、水酸化ナトリウムの添加量を増やすことにより200℃でも十分溶解させることができることがわかった。
実施例1の溶融処理により得られた、磁器由来の溶融屑0.5gを、蒸留水2mlに添加し、24時間振盪させた。その後、恒温槽を用いて80℃で6時間加熱した。生成物の粉末X線回折パターンを図2に示す。溶融せずに残った石英とともにゼオライトXの生成が確認された。
磁器粉、実施例1および3において得られた磁器由来の溶融屑、24時間振盪後の生成物および80℃で6時間加熱後の生成物の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図3に示す。破砕片の形状の磁器粉が、溶融処理により団子状になっており、振盪後にはゲル状の塊に変化し、さらに加熱後は小さな結晶(ゼオライトX)が集まった状態を呈していることが確認できる。
実施例3において得られたゼオライトXの吸着能力の指標として、陽イオン交換容量(CEC)を、迅速型ショーレンベルガー法により測定した。結果は表2に示すとおりである。
実施例1において得られた溶融屑0.5gを、河川水、海水、温泉水それぞれ2mlに添加し、24時間振盪させ、恒温槽を用いて80℃で6時間加熱した。得られた生成物の粉末X線回折パターンは図4に示すとおりであり、蒸留水を用いて反応を行った場合と同様にゼオライトXが得られることが確認される。
実施例3および6において、磁器粉を原料固体として使用して得られた生成物のCECを表3に示す。
実施例1において得られた溶融屑0.5gを蒸留水2mlに添加し、24時間振盪させた。その後、恒温槽を用いて80℃で0、1、6、12時間加熱した。得られた生成物の粉末X線回折パターンを図5に示す。この条件(反応温度80℃)では、ゼオライトX能勢以西に要する反応時間は最低6時間であることが確認される。
実施例8において得られた生成物の、BET法により求めた比表面積を表4に示す。
実施例8において得られた生成物の細孔径分布を窒素ガス吸着法により測定した。それぞれの試料について得られた細孔系分布を図6に示す。磁器粉には見られない細孔が形成されており、加熱時間とともにゼオライトXの特徴である13Åの細孔が増加しているのが確認される。
市販の磁器を粉砕機により1mm以下まで粉砕した。こうして得られた粉末5gをそれぞれニッケル製のるつぼに入れ、それぞれのるつぼに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムの3種類の固体状塩基6gを添加し、粉砕・混合した。その後、電気炉により600℃で1時間加熱し、それぞれの溶融屑を作成した。各溶融屑は、それぞれ50mlの蒸留水に添加し、24時間振盪した後、80℃に設定した恒温槽で、0、1、3、6、12、24時間加熱した。それぞれの生成物の粉末X線回折パターンを図7に示す。水酸化ナトリウムを添加した場合、6時間加熱によりフォージャサイト様ゼオライトが、水酸化カリウムを添加した場合、加熱前からKAlSiO4が、水酸化リチウムを添加した場合には、1時間加熱後にLi2SiO3がそれぞれ生成しているのが確認される。
砕石現場より発生する砕石屑10gと水酸化ナトリウム12gを混合し、ニッケル製のるつぼに入れたのち、電気炉により600℃で6時間加熱することにより、溶融屑を作成した。溶融処理前の砕石屑および溶融後の溶融屑の粉末X線回折パターンを図8に示す。石英等の結晶により構成されている砕石屑の回折パターンにおいては、石英に由来する強度の高いピークを有するが、溶融処理することにより得られた溶融屑においては、石英に由来するピークの強度は低くなり、アルミン酸ナトリウムやアルミノ珪酸ナトリウム等の易溶性成分に由来するピークが出現していることが確認される。
実施例12において得られた溶融屑0.5gを蒸留水2mlに添加し、24時間振盪させた後、耐圧容器に封入し、80℃、120℃、160℃で6時間加熱した。6時間経過後、耐圧容器を流水中で急速冷却し生成物を得た。得られた生成物の粉末X線回折パターンおよびSEM写真をそれぞれ図9と図10に示す。加熱温度により、異なった生成物が生成し、80℃で八面体のゼオライトXと球状のソーダライトが、120℃で塊状になったソーダライトが、160℃で層状のトバモライトが生成したことが確認される。
実施例12において得られた生成物のCECを、実施例5と同様の方法により測定した。結果を表5に示す。
砕石屑5gと水酸化ナトリウム8gを混合し、ニッケル製のるつぼに入れた後、電気炉を用いて600℃で1時間加熱し溶融屑を得た。こうして得られた溶融屑0.5gを蒸留水2mlに添加し、0、6、12、24、48、72時間振塗させた。得られた生成物0.1gを1MHCl溶液20mlに添加して、実施例1と同様の方法により求めたSi、AlおよびFeの溶出量を図11に示す。振盪時間の増大につれ各元素、特にSiの溶出量が増加し、12時間以降で一定になることが確認される。
実施例15において得られたそれぞれの混合物を、80℃の恒温槽中で6時間加熱した。得られた最終生成物の粉末X線回折パターンを図12に示す。振盪時間の増大に伴い、主生成物がハイドロキシソーダライトからゼオライトXを含む生成物へと変化することが確認される。
実施例17において、反応終了後に反応溶液中に残存するカルシウム量を、ICP発光分光法により定量した結果を表7に示す。
実施例17で得られた生成物のCECを表7に示す。
Claims (4)
- 砕石、陶磁器、コンクリート、アスベスト、がれき、またはこれらを主成分とする廃棄物から選ばれ、少なくともSiおよびAlを含有する原料固体に、水酸化ナトリウムである固体状塩基を添加・混合する工程と、
上記工程で得られた混合物を、600〜1000℃の加熱温度で溶融して溶融屑を生成させる工程と、
上記工程で得られた溶融屑を水に添加し、80〜200℃の反応温度で水熱反応させる工程と、
上記溶融屑を水に添加して得られた混合物を上記水熱反応工程の前または上記水熱反応工程と同時に振盪する工程とを含むことを特徴とする、ゼオライトXの製造方法。 - 上記溶融屑を生成させる工程を600℃の温度で加熱することによって行う請求項1に記載の方法。
- 上記水熱反応工程の前に、上記振盪を少なくとも12時間行う請求項1または2に記載の方法。
- 上記添加・混合する水酸化ナトリウムと上記原料の重量比が0.8〜2.0である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
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