JP2002172938A - ウェザーストリップとその取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 両面テープでの不均一な貼着個所が生じたと
しても、この個所でのシール性を維持できると共に、水
漏れが生じたり、遮音性が低下したりすることを確実に
防止可能なウェザーストリップとその取付構造を提供す
ること。 【解決手段】 車体の第１被取付面に対しクリップ１１
により取り付けられる第１取付面２ａと、車体の第２被
取付面に対し両面テープ１２により取り付けられる第２
取付面２ｂとを備えていて、第１取付面２ａと第２取付
面２ｂとの境界部に突状部２ｃを有するウェザーストリ
ップとその取付構造。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はウェザーストリップ
とその取付構造に関し、詳しくは、車体に対してクリッ
プと両面テープにより取り付けられるウェザーストリッ
プとその取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車等の車体を構成するドアや、ドア
開口部の周囲に取り付けられるウェザーストリップを車
体側フレームに対して取り付けるにあたり、クリップと
両面テープとを併用するドアウェザーストリップの取付
構造が知られている（例えば、特開平９−１２３７６０
号公報）。これは、クリップによる取り付けに加えて、
両面接着テープを併用することにより、ウェザーストリ
ップのフレームに対する取り付け密着性を高めようとす
るものである。

【０００３】このウェザーストリップは、車体側ドアフ
レームの被取付面に対して、クリップと両面接着テープ
（以下、両面テープという）により取り付けられるよう
になっている。ウェザーストリップは、中空シール部
と、取付基部と、シールリップとを有し、さらに、取付
基部は、クリップによる取り付けが行われるクリップ取
付面と、両面テープが予め接着されるテープ取付面とを
備える。中空シール部は、ドア開口部フレームにより押
し付けられて変形することにより、シール機能を発揮す
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術のウェザーストリップの構成では、両面テープの
接着面を介してウェザーストリップとドアフレームとが
一体的に貼着されて接合されているが、ウェザーストリ
ップと両面テープとはいずれも軟質の弾性体であるため
貼着時に容易に変形し、僅かな応力の偏りによって表面
に皺が形成されたり、凹み個所ができたりする。つま
り、ウェザーストリップのクリップ取付面にクリップを
挿入しておき、各型成形部と接続し、ループ状としてか
らテープ取付面に両面テープを貼り付ける工程を経、次
に両面テープの表層部（ライナー）を剥離して、これを
ドアフレームに貼着するが、ドアフレームへの貼着を、
通常、手作業で押圧しつつ行っているため、貼りつけ時
の僅かな押さえムラによる応力の偏りが生じ易いのであ
る。又、貼着面に塵・ほこり等が付着することにより不
均一な貼着となる場合もある。

【０００５】そのため、接着面に僅かな非接着個所が生
じ、そのような非接着個所は、それがたとえ僅かな部分
であっても、激しい風雨が走行中の自動車に吹き付けた
りすると、自動車内に雨水が侵入するおそれが生じる。
しかも、一旦このような水路の形成や塵・ほこり等によ
る不均一な貼着個所が生じると、この部分の接着力が復
元することはない。その際、遮音性も低下する。

【０００６】そこで、本発明の目的は、上記従来技術の
有する問題点に鑑みて、クリップと両面テープとを併用
するウェザーストリップにおいて、両面テープでの不均
一な貼着個所が生じたとしても、この個所でのシール性
を維持できると共に、水漏れが生じたり、遮音性が低下
したりすることを確実に防止可能なウェザーストリップ
とその取付構造を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的は各請求項記載
の発明により達成される。すなわち、本発明に係るウェ
ザーストリップの特徴構成は、車体の第１被取付面に対
しクリップにより取り付けられる第１取付面と、車体の
第２被取付面に対し両面テープにより取り付けられる第
２取付面とを備えていて、前記第１取付面と第２取付面
との境界部に突状部を有することにある。

【０００８】この構成によれば、両面テープが貼着され
る第２取付面と、クリップが取り付けられる第１取付面
との境界部に突状部が形成されていることから、ウェザ
ーストリップが車体に取り付けられる場合に、突状部に
よりシール性が顕著に向上し、この個所での遮水性、遮
音性が確保される。しかも、両面テープを第２取付面に
熱風などを吹き付けて熱溶着によって貼着させる場合
に、熱風がクリップ側に向かうのを防止でき、クリップ
を溶かす事態を阻止できて都合がよい。更に、押出部の
端面どうしをつなぐ型形成をするような場合、つなぎ部
（通常、加硫接着されて接合・形成されるが、金型との
接触部近傍で隙間が生じ易い）がシール切れとなること
があるが、そのようなつなぎ部においても、第２取付面
と第１取付面との境界部に突状部が形成されている事か
ら、シール切れが生じるのを効果的に防止できる。

【０００９】その結果、たとえ両面テープでの不均一な
貼着個所が生じたとしても、この個所でのシール性を維
持できると共に、水漏れが生じたり、遮音性が低下した
りすることを確実に防止可能なウェザーストリップを提
供することができた。

【００１０】前記第２取付面が、前記第１取付面に対し
傾斜して形成されていてもよい。

【００１１】この構成によっても、上記したと同様にシ
ール性を維持できると共に、水漏れが生じたり、遮音性
が低下したりすることを確実に防止可能にできる。しか
も、両面テープを第２取付面に貼着する際、熱風を吹き
付けて熱溶着する場合に、熱風がクリップ側に向かうの
を一層確実に阻止できて都合がよい。尚、第１取付面に
対して与える熱的影響が少なくてすむ第２取付面の傾斜
角度は、１５〜９０度であることが好ましく、３０度で
あることがより好ましい。

【００１２】更に、本発明に係るウェザーストリップの
取付構造の特徴構成は、請求項１又は２のウェザースト
リップを車体に取り付けるウェザーストリップの取付構
造であって、前記ウェザーストリップの第１取付面が前
記車体の第１被取付面に対しクリップにより取り付けら
れると共に、前記ウェザーストリップの第２取付面が前
記車体の第２被取付面に対し両面テープにより取り付け
られることにある。

【００１３】この構成によれば、両面テープでの不均一
な貼着個所が生じたとしても、この個所でのシール性を
維持できると共に、水漏れが生じたり、遮音性が低下し
たりすることを確実に防止可能なウェザーストリップの
取付構造を提供することができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面を参
照して詳細に説明する。図１は、本実施形態に係るウェ
ザーストリップに両面テープを貼着した断面構造を示
し、図２にウェザーストリップの取付構造の断面を示
す。図２は、ウェザーストリップが取り付けられる対象
たる自動車を示す図３のＡ−Ａ断面構造を表す。

【００１５】＜第１実施形態＞このウェザーストリップ
Ｗは、中空シール部１と、ドアフレームに対して取り付
けられる取付基部２と、ドア側シールリップ３と、ドア
開口部側シールリップ４と、クリップ用中空部５と、中
空部６とを備える。

【００１６】中空シール部１は、ドア開口部フレーム１
３に押圧されて変形しシール機能を発揮する。取付基部
２は、ドアフレーム１０の第１被取付面１０ａに対して
取り付けられる第１取付面（クリップ取付面）２ａと、
ドアフレーム１０の第２被取付面１０ｂに対して取り付
けられる第２取付面（テープ取付面）とを備えている。
第１取付面２ａと第２取付面２ｂとは、隣接して形成さ
れており、第２取付面２ｂは第１取付面２ａに対して角
度θだけ傾斜している。これに対応して、ドアフレーム
１０の第１被取付面１０ａと第２被取付面１０ｂも同じ
角度θだけ傾斜している。

【００１７】そして、ウェザーストリップＷの第１取付
面２ａと第２取付面２ｂとの境界部に、ドアフレーム１
０側に突出する突状部２ｃが形成されている。この突状
部２ｃは、ウェザーストリップＷの長手方向（図１、２
の紙面に対し垂直方向）に延設されていて、これが設け
られていることにより、ウェザーストリップＷがドアフ
レーム１０に取り付けられると、図２に示すように突状
部２ｃが押し付けられて、この部分のシール効果が極め
て高いものとなり、外部からの水あるいは音などの侵入
を効果的に阻止できることになる（遮水、遮音効果）。
突状部２ｃは、ウェザーストリップＷを押出製造する場
合に一体的に形成されていてもよいし、ウェザーストリ
ップＷに突状部となる部材を別に取り付けて構成されて
もよい。

【００１８】第１取付面２ａの内方には、クリップ１１
を挿入するためのクリップ用中空部５が形成されている
が、この中空部５には、クリップ１１の頭部１１ａが挿
入される。クリップ１１の形状は図１、２に示されてお
り、頭部１１ａと、頭部１１ａよりも小径の軸部１１ｂ
と、軸部１１ｂの先端に形成された爪状の係止部１１ｃ
とを有している。クリップ用中空部５のドア開口部寄り
に、中空シール部１が形成されている。

【００１９】クリップ用中空部５のドアフレーム１０側
に形成された軸穴から、クリップ１１の頭部１１ａを押
し込み挿入することによって、ウェザーストリップＷに
対してクリップ１１を取り付けることができる。このク
リップ１１は、ウェザーストリップＷの長手方向（紙面
に対し垂直方向）に沿って適宜の間隔を隔てて多数が取
り付けられる（図１、２では１個のみ示す）。クリップ
１１は、ナイロンやポリアセタール等の樹脂で形成さ
れ、ドアフレーム１０に形成された穴１０ｃに係止部１
１ｃを挿入することにより係止部１１ｃが弾性変形し、
ドアフレーム１０への取り付けを行うことができる。

【００２０】次に、両面テープ１２の構成を図６により
説明する。この両面テープ１２（熱融着テープ）は４層
構造をしており、順にライナー１２ａ（離型紙）、第１
接着剤層１２ｂ、アクリルフォームテープ１２ｃ、第２
接着剤層１２ｄとから構成される。第２接着剤層１２ｄ
がウェザーストリップの第２取付面２ｂに対して貼り付
けられる部分である。そして、ウェザーストリップＷを
ドアフレーム１０に取り付ける前に、予めウェザースト
リップＷと両面テープ１２とを一体化しておく。ドアフ
レーム１０に取り付ける（貼り付ける）時は、ライナー
１２ａを剥がして、第１接着剤層１２ｂによりドアフレ
ーム１０に対して貼り付ける。

【００２１】両面テープ１２の厚さは０．６〜１．２ｍ
ｍ程度であり、好ましくは０．８ｍｍ程度である。もち
ろん、両面テープ１２の構造については、図６に示すも
のに限定されるものではなく、本発明の枠内で適宜のも
のを採用することが可能である。

【００２２】＜両面テープ貼付装置＞図５は、ウェザー
ストリップに両面テープ１２を貼り付ける場合の貼付装
置の構成を示す概念図である。ウェザーストリップＷ
は、不図示の成形装置により押し出し成形された後、ク
リップ１１を自動挿入して型成形部と接続しループ状と
してから、貼付機にセットされ、搬送機構によって長手
方向（矢印Ｃ方向）に搬送される。搬送経路の上方に大
径の冷却兼圧着ローラ２０と、この冷却兼圧着ローラ２
０に外接する小径のガイドローラ２１，２２と、供給ロ
ーラ２３と、熱風を供給する加熱手段であるジェットヒ
ータ２４とを備えている。

【００２３】両面テープ１２は、リールに巻き取られた
巻取体（不図示）から順次矢印Ｂ方向に供給され、ガイ
ドローラ２１の端面とガイドローラ２２の端面にその幅
方向を挟持された状態で供給される。ジェットヒータ２
４は、ウェザーストリップの第２取付面２ｂと両面テー
プの第２接着剤層１２ｄに、２００℃〜４００℃の熱風
を送り込み、第２取付面２ｂの表面の埃などを焼却また
は吹き飛ばし、第２接着剤層１２ｄを溶融し冷却兼圧着
ローラ２０で押し当て接着させる。

【００２４】第１取付面２ａと第２取付面２ｂとは、所
定角度θだけ傾斜しているから、第２取付面２ｂに熱風
を供給しても、第１取付面２ａには熱風が与える影響が
少ないので、クリップ１１が溶けてしまうことはない。
その場合、角度θは１５〜９０度にすることが好まし
く、より好ましくは３０度である。このようにすること
により、ドアフレームとウェザーストリップＷのシール
性を向上すると共に、ドアフレームに対する取り付け性
を確保することができて都合がよい。しかも、ウェザー
ストリップＷの長手方向Ｃに沿って形成されている突状
部２ｃの存在により、第１取付面２ａに与える熱風の影
響を一層少なくできることになる。

【００２５】したがって、予め第１取付面２ａにクリッ
プ１１を取り付けた状態にしておいても支障はない。よ
って、ウェザーストリップの押出成形からクリップの装
着、型成形部と接続してループ状とすること、両面テー
プの貼り付けを機械で行い自動化することができる。ま
た、両面テープ貼り付け前の脱脂とプライマー塗布を行
わなくてもよく、この点においても、コストダウンに寄
与することができる。さらに、第１取付面２ａと第２取
付面２ｂとが傾斜しているので、ライナー１２ａを剥が
しやすくなり、作業性が向上する。

【００２６】＜第２実施形態＞図４は、第２実施形態に
係るウェザーストリップＷにクリップ１１と両面テープ
１２を取り付けた状態の断面構造を示す。第１実施形態
のウェザーストリップＷとの違いは、第１取付面２ａと
第２取付面２ｂとが同一平面上にあり、傾斜していない
ことである。その他の構成は第１実施形態と同じであ
る。このように構成しても、第１取付面２ａと第２取付
面２ｂとの境界部に形成された突状部２ｃの作用によ
り、第１実施形態のウェザーストリップＷと同様に、外
部から水が侵入するのを確実に防止すると共に、遮音効
果を発揮し得る。

【００２７】〔別実施の形態〕 （１）ウェザーストリップの第１取付面２ａと第２取付
面２ｂとの境界部に形成される突状部の形状は、上記実
施形態に示した断面形状のものに限定されるものではな
く、断面が一方または双方に緩やかな傾斜を有する突状
部であってもよく、突状部を所定間隔を隔てて２列ある
いは複数列となるように形成してもよく、突状部の高
さ、幅、突出する山の形状などは適宜変更可能である。

【００２８】（２）本発明を応用できるウェザーストリ
ップの形状については、実施形態のものに限定されるも
のではなく、本発明の枠内で適宜の変形例が考えられ
る。突出部によるシール効果が発揮できれば、第１取付
面と第２取付面とは、必ずしも平面である必要はなく曲
面に形成されていてもよい。

【００２９】（３）本発明は、自動車のみならず、シー
ル性を高くしたい開口部に広く採用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態に係るウェザーストリッ
プの断面図

【図２】図１のウェザーストリップを用いたウェザース
トリップの取付構造を示し、図３のＡ−Ａ断面図

【図３】ウェザーストリップが取り付けられる自動車を
例示する斜視図

【図４】本発明の第２実施形態に係るウェザーストリッ
プの断面図

【図５】ウェザーストリップに両面テープを貼り付ける
場合の貼付装置の概略構成斜視図

【図６】両面テープの構成を説明する図

【符号の説明】

２ａ 第１取付面 ２ｂ 第２取付面 ２ｃ 突状部 １０ａ 第１被取付面 １０ｂ 第２被取付面 １１ クリップ １２ 両面テープ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体の第１被取付面に対しクリップによ
   り取り付けられる第１取付面と、車体の第２被取付面に
   対し両面テープにより取り付けられる第２取付面とを備
   えるウェザーストリップであって、 前記第１取付面と第２取付面との境界部に突状部を有す
   ることを特徴とするウェザーストリップ。
2. 【請求項２】 前記第２取付面が、前記第１取付面に対
   し傾斜して形成されている請求項１のウェザーストリッ
   プ。
3. 【請求項３】 請求項１又は２のウェザーストリップを
   車体に取り付けるウェザーストリップの取付構造であっ
   て、前記ウェザーストリップの第１取付面が前記車体の
   第１被取付面に対しクリップにより取り付けられると共
   に、前記ウェザーストリップの第２取付面が前記車体の
   第２被取付面に対し両面テープにより取り付けられるウ
   ェザーストリップの取付構造。