JP2002171744A - 渦電流式減速装置 - Google Patents
渦電流式減速装置Info
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Abstract
脱することがない、耐久性に優れた渦電流式減速装置を
提供する。 【解決手段】渦電流式減速装置の回転体の磁石と対向す
る面15の表面粗さが十点平均粗さRzで10μm以下であ
り、その上にニッケル合金からなる緩衝層14-0、銅また
は銅合金からなる第一層14-1、次にニッケル合金からな
る第二層14-2、さらにニッケルからなる第三層14-3が積
層された表面処理層を有する渦電流式減速装置であり、
緩衝層を省略することもできる。
Description
どの大型車両に使用される渦電流式減速装置に関する。
装置には、主ブレーキであるフットブレーキ、補助ブレ
ーキである排気ブレーキの他に、長い坂道の降坂時など
において安定した減速を行い、かつフットブレーキの焼
損を防止するために渦電流式減速装置が使用されてい
る。
断面図である。
アーム2を介して回転軸11に取り付けられて構成されて
いる。ロータの円筒部3は、回転軸11と一体に回転す
る。
れた支持リング7を内蔵し、その支持リングを軸方向に
往復運動させる空圧装置10を備えている。
装置10のピストンロッド9に連結され、複数本の案内棒1
2に沿ってステータ5の内部を回転軸11の軸方向に往復移
動する。永久磁石6がポールピース8の位置、すなわち円
筒部3の内周面13と磁気的に対向する位置まで挿入され
ると、制動オンの状態(図示の上側の状態)となる。反
対に、永久磁石6がポールピース8から離れた位置に引き
出されると制動オフの状態(図示の下側の状態)とな
る。
る磁束を横切って円筒部3が回転するので、円筒部3の内
周面13の近傍に渦電流が流れる。この渦電流と磁束の相
互作用によって、ロータ1には制動トルクが発生する。
この円筒部3は、渦電流にともなうジュール熱で加熱さ
れ、制動オフの状態で冷却フィン4によって冷却され
る。このため、円筒部3には、制動のオン・オフの繰返
しによって熱サイクルが負荷される。
使用し、永久磁石6は円筒部3の内周面13に対向して設け
られているが、円筒部の外周面に対向して設けることも
できる。また、磁石として電磁石を使用することもでき
る。
ても制動トルクの発生原理は、永久磁石の場合と同じで
ある。ただし、永久磁石を用いる場合には、前記のよう
に磁石が往復運動することによって制動のオン・オフを
切り替えるのに対して、電磁石を用いる場合には、電磁
石コイルの電流を調整することによって制動のオン・オ
フを切り替える。
両が増加しており、従来よりも積載量の大きなトラック
やトレーラーへの搭載が進められている。このため、渦
電流式減速装置に要求される制動能力は増大する傾向に
あり、渦電流式減速装置の制動中におけるロータの回転
面温度は、650℃以上に達し、さらに耐久性に優れた装
置が望まれている。
耐久性に優れた渦電流式減速装置が下記のとおり提案さ
れている。 (1) ロータの円筒部の磁石と対向する内面に、電気抵抗
の小さな材料(銅または銅合金など)からなる表面処理
層を設けた渦電流式減速装置(特開平1-288636号公報、
参照)。 (2) ロータの円筒部の磁石と対向する内面に、ニッケル
−銅−ニッケルクロム合金の3層で被覆した渦電流式減
速装置(特開平5-236732号公報、参照)。 (3) ロータの円筒部の磁石と対向する内面に、銅−ニッ
ケル合金−ニッケルの3層で被覆した渦電流式減速装置
(特開平10-155266号公報、参照)。 (4) ロータの円筒部の磁石と対向する内面に、ニッケル
合金−銅−ニッケル合金−ニッケルの4層で被覆した渦
電流式減速装置(特開平11-308851号公報、参照)。
渦電流式減速装置では、ロータの円筒部の磁石と対向す
る内面に設けた表面処理層は、使用中に剥離、脱落する
ことがある。
間使用した場合においても、ロータの回転体に設けた表
面処理層が剥離、離脱することがない、耐久性に優れた
渦電流式減速装置を提供することにある。
転体に設けた表面処理層が剥離、離脱しないようにする
ため、回転体の表面性状に着目して研究を行い、回転体
の表面粗さが十点平均粗さで10μm以下にすればよいこ
とを見いだし、本発明を完成した。
の渦電流式減速装置である。
軸に連結されたロータと、前記回転体と所定間隔をもっ
て対向する位置に設置された複数個の磁石とを備え、磁
石の磁束により前記ロータに渦電流を発生させて減速す
る方式の渦電流式減速装置であって、前記回転体3の磁
石と対向する面15の表面粗さが十点平均粗さRzで10μm
以下であり、その上に銅または銅合金からなる第一層14
-1、次にニッケル合金からなる第二層14-2、さらにニッ
ケルからなる第三層14-3からなる表面処理層14を有する
渦電流式減速装置。
t2(μm)とニッケルからなる第三層の厚みt3(μ
m)が、下記 (1)式または (2)式を満足することが望ま
しい。 t2+t3=5〜80(μm)・・・(1) t2/(t2+t3)=0.05〜0.8・・・(2) 強磁性材料からなる回転体を有し回転軸に連結された
ロータと、前記回転体と所定間隔をもって対向する位置
に周設された複数個の磁石とを備え、磁石の磁束により
前記ロータに渦電流を発生させて減速する方式の渦電流
式減速装置であって、前記回転体の磁石と対向する面15
の表面粗さが十点平均粗さRzで10μm以下であり、その
上にニッケル合金からなる緩衝層14-0、銅または銅合金
からなる第一層14-1、次にニッケル合金からなる第二層
14-2、さらにニッケルからなる第三層14-3からなる表面
処理層14を有する渦電流式減速装置。
t0(μm)、ニッケル合金からなる第二層の厚みt2
(μm)とニッケルからなる第三層の厚みt3(μm)
が、下記 (1)式ないし(3)式のいずれかを満足すること
が望ましい。 t2+t3=5〜80μm ・・・・・・(1) t2/(t2+t3)=0.05〜0.8・・・(2) t0=1〜30μm・・・・・・・・・(3) 本発明でいう「回転体」は、円筒体であっても、円板で
あってもよい。また、円筒体である場合、磁石に対向す
る面は、円筒部の内周面であっても、外周面であっても
よい。
転体の磁石と対向する面の表面粗さが十点平均粗さRzで
10μm以下であり、その上に表面処理層を形成したロー
タが回転軸に装着された装置である。
したロータ円筒部の表面処理層の拡大断面図であり、
(a)は3層からなる表面処理層を設けた断面、(b)は4層
からなる表面処理層を設けた断面である。
する表面15(以下、これを単に「円筒部の表面」とい
う)は、表面粗さが十点平均粗さRzで10μm以下に調整
されており、その上に銅または銅合金からなる第一層14
-1、次にニッケル合金からなる第二層14-2、さらにニッ
ケルからなる第三層14-3が積層された表面処理層14で覆
われている。また、図2(b)に示す表面処理層14-4は、
ニッケル合金からなる緩衝層14-0、銅または銅合金から
なる第一層14-1、次にニッケル合金からなる第二層14-
2、さらにニッケルからなる第三層14-3から構成されて
いる。
粗さを十点平均粗さRzで10μm以下に調整する理由につ
いて説明する。
式減速装置の円筒部を調査した結果、円筒部と表面処理
層との界面、またはその界面近傍に、き裂が観察され
た。そして、円筒部表面の表面粗さが粗いほど、多くの
き裂が観察された。これは、制動オン・オフの繰り返し
による加熱・冷却の熱サイクルによって表面処理層の界
面近傍にひずみが集中するためであると考え、円筒部と
表面処理層の界面に生じる非弾性ひずみ範囲と円筒部の
表面粗さとの関係を、有限要素法解析で調査した。
じる非弾性ひずみ範囲と円筒部の表面粗さとの関係を示
す図である。
最高温度を650℃、最低温度を100℃としたとき、円筒部
と表面処理層との界面に生じる非弾性ひずみ範囲と円筒
部の表面粗さとの関係を有限要素法で解析した結果であ
る。実線で示す曲線は緩衝層を形成することなく複数の
表面処理層を形成したもの、破線は緩衝層を形成した後
複数の表面処理層を形成したものである。それらの表面
処理層は、緩衝層としてNiPめっき層(91%Ni−9%P合
金、厚さ5μm)、第一層として銅めっき層(厚さ200μ
m)、第二層としてNiPめっき層(91%Ni−9%P合金、
厚さ10μm)、第三層としてNiめっき層(厚さ20μm)
で構成されている。
歪みとの和であり、非弾性ひずみ範囲とは、繰り返し負
荷される非弾性ひずみの変動幅である。
面粗さが十点平均粗さRzで10μm以下であれば、円筒部
と表面処理層との界面に生じる非弾性ひずみ範囲が急減
する。すなわち、長期間の繰返し使用時においても、円
筒部と表面処理層の界面にき裂が発生し難く、また表面
処理層が剥離し難くなる。
ば、表面処理層を形成したとき円筒部と表面処理層との
界面に未結合部である空洞(めっき欠陥)が生じやすく
なる。
と表面処理層との界面に存在するめっき欠陥との関係を
示す図である。この図は、表面粗さを種々変化させた円
筒部の表面に、厚さ10μmのNiP層(91%Ni−9%P合
金)を無電解めっきによって形成した後、円筒部を軸方
向に切断して電子顕微鏡を用いて空洞の寸法を測定した
結果である。
によって十点平均粗さRzを測定し、基準長さを2.5mm、
測定長さを12.5mmとし、円筒部の円周部の6カ所で軸方
向に測定し、その平均値である。
面粗さが十点平均粗さRzで10μm以上では、円筒部と表
面処理層との界面に生じるめっき欠陥が増加する。
洞(めっき欠陥)が存在すると、制動オン・オフの繰返
しによる熱サイクルを受けたとき、空洞の周囲にひずみ
が集中する。このため、空洞からき裂が発生・進展し
て、長期間使用した場合には表面処理層が剥離する。し
かし、円筒部の表面の粗さが十点平均粗さRZで10μm
以下であれば、めっきによる空洞の発生が少なく、表面
処理層の剥離を抑制することができる。なお、表面処理
層のばらつきなどを考慮すれば円筒部表面の表面粗さ
は、十点平均粗さRZで8μm以下とするのが望まし
い。
る層との間に緩衝層を設ける発明について説明する。
ケル合金からなる層であり、円筒部3(一般に鋼)と第
一層の銅または銅合金からなる層14-1との熱膨張率の差
によって生じる非弾性ひずみ範囲を緩和するための層で
ある。これを、ニッケル合金としたのは、線膨張係数が
鉄に近いこと、および銅の鉄への拡散を抑制できるため
である。
である。第一層14-1の厚さが薄ければ、円筒部にも渦電
流が流れるので、電気抵抗が増し、渦電流が小さくなっ
て制動力が低下する。また、銅は非磁性のため、第一層
14-1の厚さが厚ければ、円筒部に達する磁束密度が小さ
くなり、制動トルクが低下する。したがって、第一層14
-1の厚さは、50〜400μmとするのが望ましい。
あり、第一層の銅または銅合金と第三層のニッケルとの
拡散によって生じる拡散ボイドの生成を抑制する。
金は、合金元素としてタングステン、鉄、ボロン、コバ
ルト、リンなどを含有する。これらのニッケル合金で
は、銅の拡散速度がニッケルに比べて小さく、銅原子を
ニッケルまたは鉄格子中に進入しにくくする。
好ましい。1質量%未満では、銅の拡散抑制効果が小さ
く、50質量%を超えると、硬度が高くなり剥離や割れが
生じやすい。さらに、好適な含有量は、10〜40質量%で
ある。
質量%未満では銅の拡散抑制効果が小さく、15質量%を
超えると、熱膨張率が小さくなる。さらに、好適な含有
量は、3〜12質量%である。
い。1質量%未満では銅の拡散抑制効果が小さく、質量2
0%を超えると、硬度が高くなって靱性が低下するた
め、剥離や割れが生じやすい。さらに、好適な含有量
は、5〜18質量%である。
い。1質量%未満では銅の拡散抑制効果が小さく、20質
量%を超えると、硬度が高くなり剥離や割れが生じやす
い。さらに、好適な含有量は、5〜14質量%である。
それぞれの元素を単独に含有する場合の上限値を超えな
いようにして、合計含有量が1〜50質量%であるのが好
ましい。さらに、好適な含有量は、1〜40質量%であ
る。
ルは600〜700℃での耐酸化性に優れていること、また、
軟質で延性に富んでいるため、熱サイクルや熱衝撃に対
してもき裂の発生が少ないため、銅の酸化防止に寄与す
る。
〜30μmとするのが望ましい。緩衝層の厚さt0が1μ
m未満では、円筒部と第一層との熱膨張率の差によって
生じる非弾性ひずみ範囲の緩和効果が不十分となる。緩
衝層の厚さt0が30μmを超えると、緩衝効果が飽和し
高コストになるうえ、めっき層内に欠陥が生じる可能性
がある。さらに、好適な範囲は2〜20μmである。
層のニッケル層の厚さt3の和(t 2+t3)を5〜80
μmの範囲とし、t2/(t2+t3)を0.05〜0.8と
するのが望ましい。このような層の厚さでは、温度が65
0℃まで上昇しても、銅とニッケル間の拡散による空孔
の発生を防止することができ、熱ひずみや熱衝撃による
ニッケル合金の中間保護膜のき裂を抑制できる。
3)が80μmを超えると、第一層(銅層)の保護効果は
飽和し、コスト高となる。また、(t2+t3)が5μ
m未満では、最高温度が650℃程度の過酷な熱サイクル
を受けた場合に、銅の拡散による空孔の発生を防止する
ことができない。また、ニッケル合金層のき裂を防止す
ることができない。
高温度が650℃を超える過酷な熱サイクルを受けた場合
に、銅とニッケル間の拡散による空孔の発生を防止する
効果が不十分となり、部分的に空孔が生じる場合があ
る。t2/(t2+t3)が0.8を超えると、第二層の
ニッケル合金層の厚さに対して、第三層のニッケル層の
厚みが薄くなり、最高温度が650℃を超える過酷な熱サ
イクルを受けた場合に、第二層のニッケル合金層にき裂
が生じる場合がある。さらに好適な範囲は、(t 2+t
3)=15〜65μm、t2/(t2+t3)=0.1〜0.6で
ある。
タが円筒状である渦電流式減速装置について行ったが、
ロータがディスク状の渦電流式減速装置においても、同
様の効果が得られることは言うまでもない。さらに、磁
石としては図1に示した永久磁石ではなく、電磁石であ
っても同様の効果が得られる。
筒部の内周面に、表1に示す構成の表面処理層(第一
層、第二層および第三層または緩衝層、第一層、第二層
および第三層)を記載の順序で、いずれもめっき法によ
って被覆を施し、試験体とした。
らなり、円柱状の素材をローリング鍛造によりリング状
にし、その後、冷却フィンおよび円筒部の内周面を加工
し、所定の寸法に仕上げた。試験に供した渦電流式減速
装置は10トン車であり、円筒部の内半径は400m、肉厚は
10mm、軸方向長さは80mmである。
ることで円筒部内周面の表面粗さを変化させた。表面粗
さは、表面粗さ測定器を用いて円筒部内周面の表面粗さ
を測定した。基準長さは2.5mm、測定長さは12.5mmであ
り、円周の6カ所で円筒部の軸線方向に十点平均粗さRz
を測定し、その平均値を表1に示した。
を用いて電気めっき法によって形成した。この際のめっ
き浴の温度は、50℃、電流密度は2.5A/dm2であった。
形成されためっき層は、厚さが200μmで、99.9質量%
以上の銅を含むものであった。
いて電気めっき法によって形成した。この際のめっき浴
の温度は、50℃、電流密度は1.5A/dm2であった。形成
されためっき層は99.9重量%以上のニッケルを含むもの
であった。
は、次に示すめっき法で形成した。 ニッケル−タングステンめっき層;電気めっき法、浴温
度50℃、電流密度2.0A/dm2、 ニッケル−鉄めっき層;電気めっき法、浴温度50℃、電
流密度2.0A/dm2、 ニッケル−ボロンめっき層;無電解めっき法、浴温度65
℃、 ニッケル−リンめっき層;無電解めっき法、浴温度90
℃、 ニッケル−コバルトめっき層;電気めっき法、浴温度50
℃、電流密度2.0A/dm 2。
ミッション後部のプロペラシャフトの途中に装備して、
耐久性を調査するための繰返し制動試験を実施し、耐久
性を調査した。耐久試験は、プロペラシャフトの回転速
度を2000rpmに一定として制動をオンとし、円筒部内表
面の温度が650℃になったときオフとする。そして、円
筒部内表面の温度が100℃になったとき再び制動をオン
とする。この繰り返しを8000回行った後、ロータの円筒
部内表面の損傷状況およびミクロ調査を行った。また、
1回目および8000回目の制動トルクを測定した。それら
の結果を表2にまとめて示した。
筒部の内表面を十点平均粗さRzで10μm以下とし、緩衝
層を設けない試験体である。その耐久試験の結果では、
表2に示すように円筒部内表面および円筒部と銅層との
界面にき裂が一部観察されたが、トルクの低下率は11.2
%であり、実用上問題となるものではない。
筒部の内表面を十点平均粗さRzで10μm以下とし、緩衝
層を設けないで(1)式および(2)式を満足する第二層なら
びに第三層を形成した試験体である。その耐久試験の結
果では、表2に示すように円筒部内表面の外観は僅かに
変色し、円筒部と銅層との界面の一部にき裂が観察され
たが、トルクの低下率は10.9%であり、実用上問題とな
るものではない。
の円筒部の内表面を十点平均粗さRzで10μm以下とし、
緩衝層を設けた試験体である。その耐久試験の結果で
は、表2に示すように発明例3の場合、円筒部内表面の
外観では僅かに変色が観察され、円筒部と銅層との界面
には一部にき裂が観察された。一方、発明例4〜6の場
合、円筒部の内表面の一部にき裂が観察されたが、円筒
部と銅層との界面にはき裂は発生していなかった。発明
例3〜6の試験体のトルク低下率は、9.5〜11.3%であ
り、いずれも実用上問題となるものではない。
の円筒部の内表面を十点平均粗さRzで10μm以下とし、
緩衝層を設け、かつ(1)式および(2)式を満足する第二層
ならびに第三層を形成した試験体である。それらの耐久
試験の結果では、表2に示すように、いずれも円筒部内
表面の外観が僅かに変色しただけで、円筒部と銅層との
界面には、き裂は観察されなかった。また、トルクの低
下率は6.1〜8.2%の範囲であり、実用上問題となるもの
ではない。
面の表面粗さが十点平均粗さRzで12.7μmで、緩衝層を
設けない試験体である。その耐久試験の結果では、表2
に示すように円筒部内表面の外観は剥離による脱落が多
く観察され、円筒部と銅層との界面の一部にも剥離によ
る脱落が多く観察された。また、トルクの低下率は36.6
%と大きい。
表面の表面粗さが十点平均粗さRzで15.0μmおよび10.6
μmで、緩衝層を設け(1)式ならびに(2)式を満足する第
二層ならびに第三層を形成した試験体である。その耐久
試験の結果では、表2に示すようにいずれも円筒部内表
面の外観は一部に膨れの発生が観察され、円筒部と銅層
との界面にも剥離が観察された。また、トルクの低下率
は20.6%および20.1%と大きい。
の表面粗さが十点平均粗さRzで10.4〜20.3μmで、緩衝
層を設け(1)式ないし(3)式のいずれか1つを満足しない
第二層および第三層を形成した試験体である。その耐久
試験の結果では、表2に示すように円筒部内表面の外観
には、膨れやき裂の発生が観察され、円筒部と銅層との
界面にも剥離やき裂が観察された。また、トルクの低下
率は27.4〜29.6%と大きい。
回転体の磁石に対向する面の表面粗さが十点平均粗さRz
で10μm以下であり、その上に銅または銅合金のめっき
層のほかにニッケルまたはニッケル合金のめっき層を複
合した表面処理層を有するので、耐久性に優れており、
長時間使用においても安定した制動力が得られる。
る。
筒部の表面処理層の拡大断面図であり、(a)は3層から
なる表面処理層を設けた断面、(b)は4層からなる表面
処理層を設けた断面である。
の強磁性材料と表面処理層の界面に生じる非弾性ひずみ
範囲と、円筒部の強磁性材料の表面粗さとの関係を示す
図である。
形成時に強磁性材料と表面処理層の界面に生じる空洞
(めっき欠陥)との関係を示す図である。
フィン 5.ステータ6.永久磁石 7.支持リン
グ 8.ポールピース 9.ピストンロッド10.空
圧装置 11.回転軸 12.案内棒 13.内周面
14.表面処理層15.円筒部の表面
Claims (4)
- 【請求項1】強磁性材料からなる回転体を有し回転軸に
連結されたロータと、前記回転体の内壁面と所定間隔を
もって対向する位置に設置された複数個の磁石とを備
え、磁石の磁束により前記ロータに渦電流を発生させて
減速する方式の渦電流式減速装置であって、前記回転体
の磁石と対向する面の表面粗さが十点平均粗さRzで10μ
m以下であり、その上に銅または銅合金からなる第一
層、ニッケル合金からなる第二層、ニッケルからなる第
三層が順次設けられていることを特徴とする渦電流式減
速装置。 - 【請求項2】ニッケル合金からなる第二層の厚みt
2(μm)とニッケルからなる第三層の厚みt3(μ
m)が、下記 (1)式または (2)式を満足することを特徴
とする請求項1に記載の渦電流式減速装置。 t2+t3=5〜80μm・・・(1) t2/(t2+t3)=0.05〜0.8・・・(2) - 【請求項3】強磁性材料からなる回転体を有し回転軸に
連結されたロータと、前記回転体の内壁面と所定間隔を
もって対向する位置に設置された複数個の磁石とを備
え、磁石の磁束により前記ロータに渦電流を発生させて
減速する方式の渦電流式減速装置であって、前記回転体
の磁石と対向する面の表面粗さが十点平均粗さRzで10μ
m以下であり、その上にニッケル合金からなる緩衝層、
銅または銅合金からなる第一層、ニッケル合金からなる
第二層、ニッケルからなる第三層が順次設けられている
ことを特徴とする渦電流式減速装置。 - 【請求項4】ニッケル合金からなる緩衝層の厚みt
0(μm)、ニッケル合金からなる第二層の厚みt
2(μm)とニッケルからなる第三層の厚みt3(μ
m)が、下記 (1)式ないし(3)式のいずれかを満足する
ことを特徴とする請求項3に記載の渦電流式減速装置。 t2+t3=5〜80μm・・・(1) t2/(t2+t3)=0.05〜0.8・・・(2) t0=1〜30μm・・・(3)
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Cited By (4)
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