JP2023124080A - 渦電流式減速装置 - Google Patents

渦電流式減速装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2023124080A
JP2023124080A JP2022027657A JP2022027657A JP2023124080A JP 2023124080 A JP2023124080 A JP 2023124080A JP 2022027657 A JP2022027657 A JP 2022027657A JP 2022027657 A JP2022027657 A JP 2022027657A JP 2023124080 A JP2023124080 A JP 2023124080A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hub
eddy current
spoke
rotor body
hardness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022027657A
Other languages
English (en)
Inventor
泰隆 野口
Yasutaka Noguchi
卓也 藤田
Takuya Fujita
哲也 山田
Tetsuya Yamada
純一 坂本
Junichi Sakamoto
憲治 今西
Kenji Imanishi
裕 野上
Yutaka Nogami
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2022027657A priority Critical patent/JP2023124080A/ja
Publication of JP2023124080A publication Critical patent/JP2023124080A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/64Electric machine technologies in electromobility

Landscapes

  • Dynamo-Electric Clutches, Dynamo-Electric Brakes (AREA)
  • Braking Arrangements (AREA)

Abstract

【課題】耐久性に優れる渦電流式減速装置を提供する。【解決手段】渦電流式減速装置(100)は、ロータ(10)及びステータ(20)を備える。ロータ(10)は、ロータ本体(11)と、ハブ(12)と、スポーク(13)とを含む。スポーク(13)は、ハブ(12)からロータ本体(11)に向かって延び、一端部がロータ本体(11)の軸方向の一端部に固定され、他端部がハブ(12)に設けられた凹部に挿入される。スポークにおいて、ハブ(12)の凹部に挿入されている部分の側面(135)の硬さが、ハブ(12)の凹部の内周面(122)の硬さより高い。【選択図】図1

Description

本開示は、渦電流式減速装置に関する。
トラックやバス等といった大型車両の補助ブレーキとして、従来、渦電流式減速装置が使用されている。例えば特許文献1に開示されているように、渦電流式減速装置は、車両の回転軸に固定されるロータと、車両の非回転部に固定されるステータとを備える。ロータは、円筒状の導電体であるロータ本体と、回転軸に取り付けられたハブと、スポークとを含む。スポークは、ハブからロータ本体に向かって延び、一端部がロータ本体の軸方向の一端部に固定され、他端部がハブに設けられた凹部に挿入される。これにより、ロータ本体が、複数のスポークを介し、ハブに接続されている。ステータは、ロータ本体の内側においてロータ本体の周方向に配列された複数の磁石を保持している。
渦電流式減速装置では、磁石による磁界内でロータを回転させ、導電体のロータ本体に発生する渦電流と磁界との相互作用によって、ロータの回転方向と反対方向の制動力を得る。制動力が発生している状態を制動状態という。制動状態では、渦電流が流れるロータ本体にジュール熱が発生し、ロータの温度が上昇する。制動時にロータ本体の温度が上昇すると、ロータ本体は熱膨張して拡径する。
ロータ本体が熱膨張した場合であっても、ロータ本体の塑性変形を抑制する技術が、特許文献2に開示されている。特許文献2では、ハブの凹部内にゴムブッシュを配置し、ゴムブッシュとスポークの一端とを固定する。特許文献2によれば、ロータ本体が熱膨脹により変形した場合、スポークは、その変形に追従してゴムブッシュの剪断力に抗して伸縮するため、ロータ本体に塑性変形が生じるのを抑制できる。
特開2001-78425号公報 実開平3-117375号公報
上述のとおり、渦電流式減速装置の制動状態では、渦電流が流れるロータ本体にジュール熱が発生し、ロータ本体の温度が上昇する。制動時にロータ本体の温度が上昇すると、ロータ本体は熱膨張して拡径する。一方、渦電流式減速装置の非制動状態ではロータ本体に磁界が作用しない。非制動状態では、ロータ本体には制動力が発生せず、ロータ本体は発熱しない。そのため、制動状態から非制動状態に切り替えるとロータ本体の温度は低下する。非制動時にロータ本体の温度が低下すると、熱膨張していたロータ本体は、縮径する。つまり、ロータ本体は、制動及び非制動の繰り返しにより、拡径及び縮径を繰り返す。
制動時にロータ本体が熱膨張すると、ハブの凹部に挿入されているスポークが径方向外側へ動くことにより、ロータ本体の熱膨張による変形が吸収される。これにより、熱膨張した状態であっても、ロータ本体がハブに接続された状態が維持される。非制動状態に切り替わり、ロータ本体が収縮すると、スポークはハブの凹部内を径方向内側へ動く。渦電流式減速装置の制動及び非制動の繰り返しにより、スポークは、ハブの凹部内を繰り返し移動する。この際、スポークのハブの凹部に挿入されている部分の側面は、ハブの凹部の内周面と摺動する。
渦電流式減速装置が制動状態にある場合、ロータ本体に発生した渦電流と磁界との相互作用により、ロータ本体において回転方向と逆向きの制動力が発生する。このとき、ロータ本体に固定された各スポークには、ロータ本体の周方向の荷重が負荷される。すなわち、回転方向と逆向きの制動力がロータ本体に作用することにより、各スポークに対して回転方向と逆向きの荷重が負荷される。これにより、渦電流式減速装置の制動時、各スポークのハブの凹部に挿入されている部分の側面は、回転方向の荷重が負荷された状態で、ハブの凹部の内周面と摺動する。
また、渦電流式減速装置が制動状態にある場合、ロータ本体が熱膨張して拡径する。このとき、ロータ本体の軸方向の一端部では、スポークが固定されていることにより、その変形が制限される。一方、ロータ本体の軸方向の他端部は、スポークが固定されていないため、自由に変形することができる。よって、ロータ本体では、スポーク側の端部の径よりも、これと反対側の端部の径の方が大きくなる。その結果、各スポークには、ロータ本体の軸方向の荷重が負荷される。これにより、渦電流式減速装置の制動時、各スポークのハブの凹部に挿入されている部分の側面は、軸方向の荷重が負荷された状態で、ハブの凹部の内周面と摺動する。
渦電流式減速装置が制動状態から非制動状態に切り替えられると、ロータ本体の温度が低下し、ロータ本体が縮径して元の形状に復帰する。制動状態と非制動状態との切り替えが繰り返されることにより、各スポークのハブの凹部に挿入されている部分の側面は、回転方向及び軸方向の荷重が負荷された状態で、ハブの凹部の内周面と繰り返し摺動する。
このように、スポークのハブの凹部に挿入されている部分の側面は、回転方向及び軸方向の荷重が負荷された状態で、ハブの凹部の内周面と繰り返し摺動する。しかしながら、特許文献1及び2に例示されるような従来の渦電流式減速装置では、スポークの摺動による摩耗及び折損について特に考慮されていない。上述のような荷重下での摺動に対する耐久性を高めることで、スポークの摩耗を抑制することができれば、渦電流式減速装置の耐久性が高まる。
本開示の目的は、耐久性に優れる渦電流式減速装置を提供することである。
本開示の渦電流式減速装置は、
円筒状のロータ本体と、回転軸に取り付けられるハブと、前記ハブから前記ロータ本体に向かって延び、一端部が前記ロータ本体の軸方向の一端部に固定され、他端部が前記ハブに設けられた凹部に挿入されるスポークと、を含み、前記回転軸とともに回転するロータと、
前記ロータ本体の内側又は外側に配置されるステータと、
を備え、
前記スポークにおいて、
前記ハブの前記凹部に挿入されている部分の側面の硬さが、前記ハブの前記凹部の内周面の硬さより高い。
本開示の渦電流式減速装置は、耐久性に優れる。
図1は、実施形態に係る渦電流式減速装置の概略構成を示す縦断面図である。 図2は、実施形態に係る渦電流式減速装置の正面図である。 図3は、図1及び図2に示す渦電流式減速装置に含まれるロータをスポーク側から見た図である。 図4は、渦電流式減速装置のロータにおいて、スポークに負荷される周方向の荷重を説明するための模式図である。 図5は、渦電流式減速装置のロータにおいて、スポークに負荷される軸方向の荷重を説明するための模式図である。 図6は、図1及び図2に示す渦電流式減速装置の制動状態を説明するための模式図である。 図7は、図1及び図2に示す渦電流式減速装置の非制動状態を説明するための模式図である。
上述した通り、渦電流式減速装置が制動状態にある場合、スポークは、ロータ本体の周方向及び軸方向の荷重が負荷された状態で、ハブの凹部の内周面と摺動する。図4は、渦電流式減速装置のロータにおいて、スポークに負荷される周方向の荷重を説明するための模式図である。図5は、渦電流式減速装置のロータにおいて、スポークに負荷される軸方向の荷重を説明するための模式図である。
図4に示すように、渦電流式減速装置のロータ10において、ロータ本体11に回転方向Rと逆向きの制動力Fが発生すると、ロータ本体11をハブ12に接続するスポーク13には、ロータ本体11の周方向zの荷重P1が負荷される。本明細書において、渦電流式減速装置の非制動時において、スポーク13の、ハブの凹部へ挿入されている部分を、挿入部131という。本明細書において、渦電流式減速装置の非制動時において、スポーク13の、ハブの凹部から露出している部分を、非挿入部132という。渦電流式減速装置の制動時には、スポーク13の、ロータ本体11と接続する端部において、制動力Fと同じ方向の荷重P1が負荷される。この時、挿入部131と非挿入部132との境界を支点として、挿入部131では、ロータ本体11の周方向zにおいて荷重P1と逆方向の荷重P2が負荷される。
一方、図5において破線で示すように、ロータ本体11が熱膨張し、ロータ本体11のうちスポーク13と反対側の端部が相対的に大きく拡径した場合、スポーク13には、ロータ本体11の軸方向xの荷重P3が負荷される。挿入部131と非挿入部132との境界を支点として、挿入部131では、ロータ本体11の軸方向xにおいて荷重P3と逆方向の荷重P4が負荷される。
上述のとおり、渦電流式減速装置の制動時において、ロータ本体11は熱膨張により拡径する。ロータ本体11の拡径に伴って、スポーク13は、ハブ12の凹部内を径方向yの外側へ移動する。この時、挿入部131の側面は、ハブ12の凹部の内周面と摺動する。制動状態から非制動状態に切り替えられることにより、スポーク13は、ハブ12の凹部内を径方向yの内側へ移動して元の位置に戻る。制動状態と非制動状態とが繰り返されることにより、挿入部131の側面は、ハブ12の凹部の内周面と繰り返し摺動する。
荷重下での繰り返しの摺動により、スポーク13の挿入部131が摩耗して損傷が生じれば、スポーク13が折損する可能性がある。一方、荷重下での繰り返しの摺動により、ハブ12の凹部の内周面が摩耗して損傷が生じれば、ハブ12の凹部が拡大して変形する。この場合、スポーク13をハブ12の凹部内の所定位置に保持できない、いわゆるがたつきが生じる。渦電流式減速装置の耐久性を考慮した場合、スポーク13の折損と、ハブ12のがたつきとでは、スポーク13の折損の方が影響が大きい。そこで、ハブ12の凹部の内周面の硬さと比較して、スポーク13の挿入部131の側面の硬さを高めることにより、スポーク13の折損を抑制する。これにより、渦電流式減速装置の耐久性が高まる。
以上の知見に基づき完成した本実施形態の渦電流式減速装置は、以下の構成を有する。
[1]
渦電流式減速装置であって、
円筒状のロータ本体と、回転軸に取り付けられるハブと、前記ハブから前記ロータ本体に向かって延び、一端部が前記ロータ本体の軸方向の一端部に固定され、他端部が前記ハブに設けられた凹部に挿入されるスポークと、を含み、前記回転軸とともに回転するロータと、
前記ロータ本体の内側又は外側に配置されるステータと、
を備え、
前記スポークにおいて、
前記ハブの前記凹部に挿入されている部分の側面の硬さが、前記ハブの前記凹部の内周面の硬さより高い、
渦電流式減速装置。
[1]の構成の渦電流式減速装置のスポークにおいて、ハブの凹部に挿入されている部分(挿入部)の側面の硬さが、ハブの凹部の内周面の硬さより高い。これにより、渦電流式減速装置の制動及び非制動の繰り返しにより、径方向及び軸方向への荷重が負荷された状態で繰り返し摺動しても、スポークの挿入部の摩耗を抑制できる。これにより、スポークの折損を抑制できる。その結果、渦電流式減速装置の耐久性が高まる。
渦電流式減速装置には、車両への搭載性の向上や車両の燃費の向上等の観点から、小型軽量化が求められる。渦電流式減速装置を小型軽量化するためには、スポークも小型化する必要がある。[1]の構成によれば、スポークが折損しにくくなるため、スポークを小型化することが可能となる。よって、渦電流式減速装置を小型軽量化することができる。
渦電流式減速装置には、例えば積載量が大きい車両の制動性能不足を解消するため、高制動力化が求められる。高制動力化された渦電流式減速装置では、その高い制動力、及びこれに伴う大きな発熱量により、スポークに負荷される荷重が増大し、スポークが折損しやすくなる。しかしながら、[1]の構成によれば、ロータ本体の周方向及び軸方向に荷重が負荷された状態であっても、スポークの折損を抑制することができる。そのため、[1]の構成に係る渦電流式減速装置は、高制動力化に対応することができる。
[2]
[1]に記載の渦電流式減速装置であって、
前記スポークにおいて、
前記ハブの前記凹部に挿入されている部分の側面のビッカース硬さが、前記ハブの前記凹部の内周面のビッカース硬さの2.00倍以上4.00倍以下である、
渦電流式減速装置。
[2]の構成によれば、スポークの挿入部の側面のビッカース硬さが、ハブの凹部の内周面のビッカース硬さの2.00倍以上4.00倍以下である。そのため、より安定してスポークの摩耗を抑制でき、これにより、より安定してスポークの折損を抑制できる。さらに、ハブの凹部の摩耗が抑制でき、ハブのがたつきが抑制できる。
[3]
[1]又は[2]に記載の渦電流式減速装置であって、
前記スポークにおいて、
前記ハブの前記凹部に挿入されている部分の側面の硬さが、前記ハブの前記凹部から露出している部分の表面の硬さより高い、
渦電流式減速装置。
[3]の構成によれば、スポークの挿入部の側面のビッカース硬さが、スポークの非挿入部の表面のビッカース硬さより高い。これにより、スポークがロータ本体に溶接により固定される場合であっても、スポークの、ロータ本体に固定されている端部の溶接性を高め、溶接割れを抑制できる。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
[渦電流式減速装置の構成]
図1は、本実施形態に係る渦電流式減速装置100の概略構成を示す縦断面図である。渦電流式減速装置100は、例えば、トラックやバス等といった車両の補助ブレーキとして使用される。縦断面とは、渦電流式減速装置100が用いられる車両の回転軸200の軸心Xを含む平面で切断したときの断面をいう。回転軸200は、例えば、プロペラシャフトや、ドライブシャフトである。以下、軸心Xが延びる方向を軸方向xといい、軸心Xを中心とする円環又は円筒の径方向y及び周方向zを単に径方向y及び周方向zという。
図1を参照して、渦電流式減速装置100は、ロータ10と、ステータ20とを備える。ロータ10は、車両の回転軸200とともに軸心X周りに回転する。ステータ20は、回転軸200とともに回転しないよう、例えばトランスミッションカバー等といった車両の非回転部に固定されている。
ロータ10は、ロータ本体11と、ハブ12と、複数のスポーク13とを含む。ロータ本体11は、実質的に、回転軸200の軸心Xを中心とする円筒状である。ロータ本体11は、例えば、炭素鋼、低合金鋼、又は鋳鋼等の強磁性材料で構成されている。より具体的には、ロータ本体11は、例えば、クロムモリブデン鋼、又は低合金鋼鋳鋼等で構成される。また、例えば、質量%で、C:0.05~0.15%、Si:0.10~0.40%、Mn:0.5~1.0%、P:0.05%以下、Ni:0.50%以下、Mo:0.2~1.0%、Nb:0.01~0.03%、V:0.03~0.07%、B:0.0005~0.003%、Sol.Al:0.02~0.09%、N:0.01%以下、及び、残部はFe及び不純物からなる鋼により、ロータ本体11が構成されていてもよい。ロータ本体11を構成する材料は、高い耐熱性を有するものであることが好ましい。ロータ本体11の内周面は、導電率が高い銅めっき層で被覆されてもよい。ロータ本体11の外周面には、複数の放熱フィン14が設けられている。
図1を参照して、ハブ12は、径方向yにおいてロータ本体11よりも内側に配置されている。図1を参照して、ハブ12は、ロータ本体11から軸方向xの一方側に位置をずらして配置されている。ハブ12は、回転軸200の軸心Xを中心とする概略円環板状をなす。ハブ12は、支持部材15を介し、回転軸200に取り付けられる。ハブ12は、例えば鋼製であり、典型的には鋳鉄で構成されている。ハブ12は、例えば、JIS G4051(2016)に記載される機械構造用炭素鋼鋼材、又はJIS G5502(2001)に記載される球状黒鉛鋳鉄品で構成される。
図2は、渦電流式減速装置100の正面図である。図2を参照して、複数のスポーク13は、ハブ12の周りにおいて放射状に配置されている。各スポーク13は、ハブ12からロータ本体11に向かって径方向yに延びている。各スポーク13は、回転軸200に取り付けられたハブ12に対し、ロータ本体11を接続する。そのため、ロータ本体11は、回転軸200、ハブ12、及びスポーク13とともに軸心X周りに回転する。特に限定されるものではないが、ロータ本体11とハブ12との間には、例えば8~10本程度のスポーク13が設けられる。
図3は、図1及び図2に示す渦電流式減速装置100に含まれるロータ10をスポーク13側から見た図である。図3を参照して、各スポーク13の径方向yの外側の端部133は、ロータ本体11の軸方向xの一端部に固定されている。各スポーク13の径方向yの内側の端部134は、ハブ12の外周面に設けられた凹部121に挿入されている。端部134は、ハブ12に固定されていない。
スポーク13は、例えば、炭素鋼や鋳鋼等の強磁性材料で構成されている。より具体的には、スポーク13は、例えば、クロムモリブデン鋼、又は低合金鋼鋳鋼等で構成される。スポーク13を構成する材料は、高い強度を有するものであることが好ましい。スポーク13を構成する材料はたとえば、JIS G4053(2016)に記載されるSCM415、SCM420、SCM435、及びSCM440が使用できる。スポーク13の材料は、ロータ本体11の材料と異なっていてもよいし、同一であってもよい。
図1を参照して、ステータ20は、径方向yにおいてロータ本体11の内側に配置されている。ステータ20は、ステータケース21と、磁石保持部材22と、複数の永久磁石23と、複数のポールピース24とを含んでいる。
ステータケース21は、ケース本体211と、本体保持部材212とを含む。ケース本体211は、軸心Xを中心とする概略円環板状に形成されている。ケース本体211は、スポーク13の表面と対向する。ケース本体211のスポーク13側の表面は、スポーク13の表面と実質的に平行な平面であることが好ましい。ケース本体211は、本体保持部材212に固定されている。
本体保持部材212は、ケース本体211に対向する側部212aと、側部212aからケース本体211に向かって突出する底部212bとを含む。底部212bは、支持部212cを介し、車両の非回転部に取り付けられる。ケース本体211と、本体保持部材212の側部212a及び底部212bとにより、ステータ20の内部に収容空間が形成される。この収容空間内に、磁石保持部材22、複数の永久磁石23、及び複数のポールピース24が配置されている。
磁石保持部材22は、軸心Xを中心とする円筒状をなす。磁石保持部材22は、実質的にロータ本体11と同軸に配置されている。磁石保持部材22は、例えば、炭素鋼や鋳鋼等の強磁性材料で構成されている。
磁石保持部材22は、例えばリング状のスライドプレート(図示略)を介し、ステータケース21に対して周方向zに摺動可能に取り付けられる。磁石保持部材22は、リンク機構(図示略)により、エアシリンダや電動アクチュエータ等の駆動装置(図示略)に接続されている。この駆動装置が作動することにより、磁石保持部材22が回転軸200周りに回転し、ステータケース21に対して周方向zに移動する。磁石保持部材22を回転軸200周りに回転させることにより、渦電流式減速装置100において制動状態と非制動状態とが切り替えられる。
図6は、渦電流式減速装置100を回転軸200の軸心Xに垂直な平面で切断したときの部分断面図である。図6では、ステータケース21が省略されている。
図6に示すように、磁石保持部材22は、その外周面上に複数の永久磁石23を保持している。これらの永久磁石23は、所定の間隔を空けて周方向zに配列されている。永久磁石23の各々は、例えば接着剤により、磁石保持部材22の外周面に固定されている。永久磁石23は、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、又はサマリウムコバルト磁石等である。
永久磁石23の各々は、一対の磁極(N極,S極)を有する。各永久磁石23の磁極の向きは、径方向yに沿うとともに、両隣の永久磁石23の磁極の向きと反転している。すなわち、各永久磁石23は、径方向yの内側にN極又はS極を有し、径方向yの外側にこれと反対のS極又はN極を有する。
ポールピース24は、例えば、炭素鋼や鋳鋼等の強磁性材料で構成されている。ポールピース24は、ロータ本体11と永久磁石23との間において、所定の間隔を空けて周方向zに配列されている。本実施形態の例において、ポールピース24の数は、永久磁石23の数と等しい。
[ロータの詳細構成]
以下、図3を参照し、ロータ10の構成をより詳細に説明する。
図3は、図1及び図2に示す渦電流式減速装置100に含まれるロータ10をスポーク13側から見た図である。図3を参照して、スポーク13は、ロータ本体11とハブ12との間で径方向yに延びている。スポーク13の径方向yの両端部133,134のうち、外側の端部133は、例えば溶接により、円筒状のロータ本体11の端面に固定されている。内側の端部134は、スポーク13がハブ12に対して径方向yに移動可能なよう、ハブ12の凹部121内に挿入されている。ハブ12の凹部121は、内周面122及び底面123を含む。
スポーク13の挿入部131は、側面135及び底面136を含む。スポーク13の挿入部131の側面135の硬さは、ハブ12の凹部121の内周面122の硬さより高い。スポーク13の挿入部131に対してたとえば、焼入れ、浸炭処理、窒化処理、及び、めっき層形成からなる群から選択される処理を行うことで、挿入部131の側面135の硬さを高めることができる。スポーク13の全体の表面硬さを高めてもよいし、スポーク13の挿入部131のみ表面硬さを高めてもよい。好ましくは、挿入部131の側面135の硬さは、非挿入部132の表面硬さより高い。これにより、スポーク13が、非挿入部132においてロータ本体と溶接により固定されている場合であっても、スポーク13の、ロータ本体11に固定されている端部133の溶接性を高め、溶接割れを抑制できる。
焼入れによりスポーク13の表面硬さを高めてもよい。スポーク13全体の表面硬さを高める場合、スポーク13全体を焼入れすることにより表面硬さを高めてもよい。スポーク13の挿入部131のみ表面硬さを高める場合、スポーク13の挿入部131のみを加熱して焼入れしてもよいし、スポーク13全体を焼入れしたあと、非挿入部132のみを焼戻しして軟化してもよい。焼入れの条件は周知の条件でよい。焼入れの条件はたとえば、830~900℃で30~60分保持後、急冷である。
浸炭処理又は窒化処理によりスポーク13の表面硬さを高めてもよい。浸炭処理及び窒化処理の条件は周知の条件でよい。浸炭処理の条件はたとえば、CO含有ガス雰囲気下、900~950℃で60~240分である。窒化処理の条件はたとえば、アンモニアガス雰囲気下、500~580℃、24~72時間である。スポーク13全体を浸炭処理又は窒化処理してもよい。これにより、スポーク13全体の表面硬さが高まる。スポーク13の挿入部131のみ表面硬さを高める場合、スポーク13の非挿入部132に浸炭防止剤又は窒化防止剤を塗布した後、上述の条件で浸炭処理又は窒化処理してもよい。
めっき層形成によりスポーク13全体、又は、スポーク13の挿入部131のみの表面硬さを高めてもよい。めっき層はたとえば、クロムめっき、ニッケルリンめっき、及び、ニッケルボロンめっきからなる群から選択される。めっき条件は周知の条件でよい。クロムめっきを形成する場合、無水クロム酸:175~300g/L、硫酸:1.75~3.0g/L、温度:40~55℃のめっき液を使用し、電流密度はたとえば10~60dA/mとしてもよい。ニッケルリンめっきを形成する場合、硫酸ニッケル:15~150g/L、次亜リン酸ナトリウム:5~130g/L、pH:4~11、温度:30~100℃のめっき液を使用してもよい。ニッケルボロンめっきを形成する場合、硫酸ニッケル:15~80g/L、水素化ホウ素ナトリウム:0.2~2.0g/L、pH:12~14、温度:60~100℃のめっき液を使用してもよい。めっき浴は、上述の成分の他に、界面活性剤や還元剤などの他の成分を含有してもよい。
[表面硬さの測定方法]
スポーク13の挿入部131の側面135の硬さ、非挿入部132の表面硬さ、及び、ハブ12の凹部121の内周面122の硬さは、ビッカース硬さ(HV)を測定することで求める。JIS Z 2244(2009)に準拠したビッカース硬さ試験を実施する。試験力は9.8N(1kgf)とする。測定は室温(23±5℃)で行う。スポーク13の挿入部131の側面135を研磨した後、挿入部131の側面135の任意の5箇所において、ビッカース硬さを測定する。スポーク13の非挿入部132の表面を研磨した後、非挿入部132の表面の任意の5箇所において、ビッカース硬さを測定する。ハブ12については、ハブ凹部121の内周面122が露出するように切断(例えば、凹部121の中心を、径方向y(凹部121の底面123に垂直な方向)に切断)して、凹部121の内周面122を露出させ、研磨する。研磨後の内周面122の任意の5箇所において、ビッカース硬さを測定する。任意の5箇所で得られた値の算術平均値を、各部分の表面硬さとする。
好ましくは、スポーク13の挿入部131の側面135のビッカース硬さは、ハブ12の凹部121の内周面122のビッカース硬さの2.00倍以上4.00倍以下である。スポーク13の挿入部131の側面135のビッカース硬さが、ハブ12の凹部121の内周面122のビッカース硬さの2.00倍以上であれば、スポーク13の摩耗がより安定して抑制できる。これにより、より安定してスポーク13の折損を抑制できる。一方、スポーク13の挿入部131の側面135のビッカース硬さが、ハブ12の凹部121の内周面122のビッカース硬さの4.00倍以下であれば、ハブ12の凹部121の内周面122の摩耗が抑制でき、ハブ12のがたつきが抑制できる。
好ましくは、スポーク13の挿入部131の側面135のビッカース硬さの下限は、ハブ12の凹部121の内周面122のビッカース硬さの、2.10倍であり、さらに好ましくは2.20倍であり、さらに好ましくは2.30倍であり、さらに好ましくは2.50倍であり、さらに好ましくは2.70倍である。好ましくは、スポーク13の挿入部131の側面135のビッカース硬さの上限は、ハブ12の凹部121の内周面122のビッカース硬さの、3.90倍であり、さらに好ましくは3.70倍であり、さらに好ましくは3.50倍であり、さらに好ましくは3.30倍であり、さらに好ましくは3.10倍である。
特に限定されないが、スポーク13の挿入部131の側面135のビッカース硬さはたとえば、300HV超である。スポーク13の挿入部131の側面135のビッカース硬さの下限はさらに好ましくは350HVであり、さらに好ましくは400HVであり、さらに好ましくは500HVであり、さらに好ましくは600HVであり、さらに好ましくは650HVである。スポーク13の挿入部131の側面135のビッカース硬さの上限は特に限定されないが、たとえば、750HVである。
スポーク13の非挿入部132の表面硬さが小さければ、非挿入部132の溶接性を安定的に高めることができる。好ましくは、スポーク13の非挿入部132の表面のビッカース硬さは、400HV以下である。スポーク13の非挿入部132の表面のビッカース硬さの上限はさらに好ましくは390HVであり、さらに好ましくは370HVであり、さらに好ましくは350HVであり、さらに好ましくは330HVであり、さらに好ましくは300HVであり、さらに好ましくは280HVであり、さらに好ましくは240HVである。スポーク13の非挿入部132の表面のビッカース硬さの下限は特に限定されないが、たとえば、170HVである。
特に限定されないが、ハブ12の凹部121の内周面122のビッカース硬さはたとえば、300HV以下である。ハブ12の凹部121の内周面122のビッカース硬さの上限はさらに好ましくは280HVであり、さらに好ましくは250HVであり、さらに好ましくは200HVであり、さらに好ましくは160HVである。ハブ12の凹部121の内周面122のビッカース硬さの下限は特に限定されないが、たとえば、120HVである。
[渦電流式減速装置の動作]
以下、主に図6及び図7を参照して、渦電流式減速装置100の動作について説明する。図6及び図7は、それぞれ、渦電流式減速装置100の制動状態及び非制動状態を説明するための模式図である。
(制動状態)
まず、図6を参照して、渦電流式減速装置100が制動状態にある場合、各永久磁石23は、ポールピース24の直下に配置される。そのため、各永久磁石23からの磁束Bは、ポールピース24を通過し、回転軸200とともに回転するロータ本体11に到達する。これにより、ロータ本体11の内周面に渦電流が発生する。この渦電流と永久磁石23が生成する磁界との相互作用により、ロータ本体11には、回転方向Rと逆向きの制動力Fが発生する。また、渦電流の発生に伴い、ロータ本体11でジュール熱が発生し、ロータ本体11の温度が上昇する。これにより、ロータ本体11の熱膨張が生じる。
(非制動状態)
図7を参照して、渦電流式減速装置100が制動状態から非制動状態へと切り替わる際には、磁石保持部材22が回転し、各永久磁石23が隣り合うポールピース24を跨ぐように配置される。非制動状態では、磁石保持部材22、永久磁石23、及びポールピース24の間で磁気回路が形成され、永久磁石23からの磁束Bがロータ本体11に到達しない。そのため、ロータ本体11に対する制動力は解除される。
[効果]
本実施形態の渦電流式減速装置100では、スポーク13において、挿入部131の側面135の硬さが、ハブ12の凹部121の内周面122の硬さより高い。これにより、渦電流式減速装置100の制動及び非制動の繰り返しにより、径方向y及び軸方向xへの荷重が負荷された状態で繰り返し摺動しても、スポーク13の摩耗を抑制できる。これにより、渦電流式減速装置100の耐久性が高まる。
実施例により本実施形態の渦電流式減速装置の効果をさらに具体的に説明する。以下の実施例での条件は、本実施形態の渦電流式減速装置の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例である。したがって、本実施形態の渦電流式減速装置はこの一条件例に限定されない。
渦電流式減速装置を製造し、制動及び非制動を繰り返す熱負荷耐久試験を実施し、スポークの摩耗の発生有無を調査した。
渦電流式減速装置は、ロータと、ステータとを備えた。ロータは、ロータ本体と、ハブと、スポークとを備えた。ロータ本体は、質量%で、C:0.05~0.15%、Si:0.10~0.40%、Mn:0.5~1.0%、P:0.05%以下、Ni:0.50%以下、Mo:0.2~1.0%、Nb:0.01~0.03%、V:0.03~0.07%、B:0.0005~0.003%、Sol.Al:0.02~0.09%、N:0.01%以下、及び、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有した。ロータ本体の内径は390mm、外径は440mm、フィン高さは14mmであった。
ハブには、球状黒鉛鋳鉄であるJIS G 5502(2001)FCD450、又は、機械構造用炭素鋼鋼材であるJIS G 4051(2016)S45Cを用いた。試験番号1~3及び7のハブは、鋳造後、機械加工して製造した。試験番号4~6及び8のハブは、熱間鍛造した後、機械加工して製造した。ハブのサイズは、外径325mmであり、中心部にプロペラシャフトを通すための孔を設けた。この孔の直径は最大部で230mm、最小部で160mmであった。試験番号1~3及び7については、FCD450の規格の範囲内においてハブの化学組成を変化させ、ハブ凹部の内周面の硬度を表1に示す値に調整した。試験番号4~6及び8については、機械加工後のハブに対して、820~880℃の範囲で温度を変化させた焼ならしを行い、ハブ凹部の内周面の硬度を表1に示す値に調整した。
Figure 2023124080000002
スポークには、クロムモリブデン鋼であるJIS G 4051(2009)SCM415を用いた。熱間鍛造で成形後、非挿入部の表面に浸炭防止剤を塗布してガス浸炭焼入れを実施し、挿入部の側面の硬さを高めた。挿入部及び非挿入部を含むスポーク全体の長さは85mmであった。挿入部は円柱状であり、挿入部の直径は15mm、挿入部の長さは22mmであった。ガス浸炭焼入れの条件はCO含有ガス雰囲気下、900~930℃、60~180分の範囲内で適宜調整して、挿入部の側面の硬さを変化させた。スポークの本数は8本であり、ハブの円周方向に等間隔に配置した。
表1に記載されるとおりに硬さを調整したハブ及びスポークを用いて、各試験番号の渦電流式減速装置を組み立てた。
[熱負荷耐久試験]
各試験番号の渦電流式減速装置に対して、熱負荷耐久試験を実施した。ロータ本体の内表面の軸方向中央位置において、肉厚方向に2mm深さの点を測温点とした。ロータの回転数を3000rpmで一定に保持しながら、渦電流式減速装置の制動と非制動とを繰り返した。渦電流式減速装置を制動状態にして、測温点の温度が700℃になった時点で非制動状態に切り替えた。渦電流式減速装置を非制動状態にして、測温点の温度が100℃になった時点で制動状態に切り替えた。制動状態と非制動状態とを繰り替える操作を2万回繰り返した。
熱負荷耐久試験後のスポークの挿入部の表面を目視観察した。擦過痕が無かった場合、「E」(Excellent)と判定した。幅1mm未満の細い筋状の擦過痕のみが確認された場合、「A」(Acceptable)と判定した。幅1mm以上の面状の擦過痕及び/又は欠損部が確認された場合、「NA」(Not Acceptable)と判定した。結果を表1の「評価結果」、「スポーク」の欄に示す。
熱負荷耐久試験後の、スポークの、ハブの凹部への挿入状態を目視観察した。スポークのぐらつきが無かった場合、「E」(Excellent)と判定した。スポークのぐらつきは無いが、スポークとハブの凹部との間に微小な隙間が確認された場合、「G」(Good)と判定した。スポークのぐらつきが確認された場合、「A」(Acceptable)と判定した。結果を表1の「評価結果」、「ハブ」の欄に示す。
[表面硬さの測定試験]
スポークの挿入部の側面、非挿入部の表面、及び、ハブの凹部の内周面のビッカース硬さを測定した。JIS Z 2244(2009)に準拠したビッカース硬さ試験を実施した。試験力は9.8N(1kgf)であった。測定は室温(23±5℃)で行った。ビッカース硬さ試験は、各試験番号のスポーク及びハブと同条件で製造した試験片に対して実施した。スポークの挿入部に相当する試験片の表面を研磨した後、試験片の表面の任意の5箇所において、ビッカース硬さを測定し、スポークの挿入部の側面のビッカース硬さとした。結果を、表1の「スポーク」、「挿入部の側面の硬さ(HV)」の欄に示す。スポークの非挿入部に相当する試験片の表面を研磨した後、試験片の表面の任意の5箇所において、ビッカース硬さを測定し、スポークの非挿入部の表面のビッカース硬さとした。結果を、表1の「スポーク」、「非挿入部の表面硬さ(HV)」の欄に示す。ハブに相当する試験片の表面を研磨した後、試験片の表面の任意の5箇所において、ビッカース硬さを測定し、ハブ凹部の内周面のビッカース硬さとした。結果を、表1の「ハブ」、「内周面の硬さ(HV)」の欄に示す。各部分のビッカース硬さは、任意の5箇所で得られた値の算術平均値から求めた。
表1の「摺動部の硬さ比」、「(スポークの硬さ/ハブの硬さ)」欄には、スポークの挿入部の側面に相当するビッカース硬さを、ハブの凹部の内周面に相当するビッカース硬さで除した数値が記載されている。
[評価結果]
試験番号1~6の渦電流式減速装置は、スポークにおいて、ハブの凹部に挿入されている部分(挿入部)の側面の硬さが、ハブの凹部の内周面の硬さより高かった。その結果、熱負荷耐久試験後のスポークの挿入部の側面において、擦過痕が確認されなかった、あるいは、幅1mm未満の細い筋状の擦過痕のみが確認された。すなわち、試験番号1~6の渦電流式減速装置は、スポークの摩耗による損傷を抑制でき、耐久性に優れた。
さらに、試験番号2~5の渦電流式減速装置は、スポークにおいて、ハブの凹部に挿入されている部分(挿入部)の側面のビッカース硬さが、ハブの凹部の内周面のビッカース硬さの2.00倍以上4.00倍以下であった。その結果、熱負荷耐久試験後のスポークの挿入部において、擦過痕が確認されず、さらに、熱負荷耐久試験後のスポークのぐらつきが確認されなかった。すなわち、試験番号2~5の渦電流式減速装置は、より安定してスポークの摩耗による損傷を抑制でき、さらに、ハブの凹部の内周面の摩耗を抑制できた。
一方、試験番号7及び8の渦電流式減速装置は、スポークにおいて、ハブの凹部に挿入されている部分(挿入部)の側面のビッカース硬さが、ハブの凹部の内周面の硬さより低かった。その結果、試験番号7の渦電流式減速装置については、熱負荷耐久試験後のスポークの挿入部において、幅1mm以上の面状の欠損部が確認された。試験番号8の渦電流式減速装置については、熱負荷耐久試験後のスポークの挿入部において、幅1mm以上の面状の擦過痕が確認された。すなわち、試験番号7及び8の渦電流式減速装置は、スポークの摩耗による損傷を抑制できず、耐久性を高めることができなかった。
以上、本開示の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は、本開示を実施するための例示にすぎない。したがって、本開示は、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
上記実施形態において、スポーク13のロータ本体11側の表面は、実質的に平らな面である。しかしながら、スポーク13の表面の形状は、これに限定されるものではない。スポーク13の表面は、例えば、ロータ本体11側に凸の曲面であってもよいし、これと逆向きの凹曲面であってもよい。
上記実施形態では、ステータ20は、径方向yにおいてロータ本体11の内側に配置されている。しかしながら、ステータ20は、径方向yにおいてロータ本体11の外側に配置されていてもよい。
上記実施形態では、永久磁石式の渦電流式減速装置100に、スポーク13を含むロータ10が使用されている。しかしながら、電磁石式の渦電流式減速装置にロータ10を使用することもできる。すなわち、渦電流式減速装置100において、磁石保持部材22、永久磁石23、及びポールピース24等に代えて電磁石を設けることもできる。上記実施形態におけるスポーク13の横断面形状を採用するに際し、ステータ20の構造は、特に限定されるものではない。
100:渦電流式減速装置
10:ロータ
11:ロータ本体
12:ハブ
13:スポーク
20:ステータ
121:凹部
122:内周面
131:挿入部
132:非挿入部
135:側面
200:回転軸

Claims (3)

  1. 渦電流式減速装置であって、
    円筒状のロータ本体と、回転軸に取り付けられるハブと、前記ハブから前記ロータ本体に向かって延び、一端部が前記ロータ本体の軸方向の一端部に固定され、他端部が前記ハブに設けられた凹部に挿入されるスポークと、を含み、前記回転軸とともに回転するロータと、
    前記ロータ本体の内側又は外側に配置されるステータと、
    を備え、
    前記スポークにおいて、
    前記ハブの前記凹部に挿入されている部分の側面の硬さが、前記ハブの前記凹部の内周面の硬さより高い、
    渦電流式減速装置。
  2. 請求項1に記載の渦電流式減速装置であって、
    前記スポークにおいて、
    前記ハブの前記凹部に挿入されている部分の側面のビッカース硬さが、前記ハブの前記凹部の内周面のビッカース硬さの2.00倍以上4.00倍以下である、
    渦電流式減速装置。
  3. 請求項1又は2に記載の渦電流式減速装置であって、
    前記スポークにおいて、
    前記ハブの前記凹部に挿入されている部分の側面の硬さが、前記ハブの前記凹部から露出している部分の表面の硬さより高い、
    渦電流式減速装置。
JP2022027657A 2022-02-25 2022-02-25 渦電流式減速装置 Pending JP2023124080A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022027657A JP2023124080A (ja) 2022-02-25 2022-02-25 渦電流式減速装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022027657A JP2023124080A (ja) 2022-02-25 2022-02-25 渦電流式減速装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023124080A true JP2023124080A (ja) 2023-09-06

Family

ID=87886421

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022027657A Pending JP2023124080A (ja) 2022-02-25 2022-02-25 渦電流式減速装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023124080A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20080077084A (ko) 레이저 경화 처리에 의해 슬라이딩-링 밀봉부의 슬라이딩링 및/또는 정합 링을 제조하기 위한 방법
JP4837288B2 (ja) ロータ
JP2006250294A (ja) 転がり軸受
JP2014041789A (ja) 誘導加熱装置及び誘導加熱方法
US7581628B2 (en) Electromagnetic clutch
JP2023124080A (ja) 渦電流式減速装置
US6328142B1 (en) Eddy-current deceleration apparatus
CN113710827B (zh) 涡电流式减速装置用转子
JP7311758B2 (ja) 渦電流式減速装置
US11764661B2 (en) Eddy current deceleration device
JP2013108114A (ja) ブレーキディスク用材料及びブレーキディスク
CN111271397A (zh) 双金属复合制动盘及其制造方法
JP7343818B2 (ja) 渦電流式減速装置
JP2023053637A (ja) 渦電流式減速装置用ロータ
JPH04141572A (ja) Mn―Cr系非磁性鋼の機械構造部品
US12003160B2 (en) Eddy current deceleration device
JP2002171744A (ja) 渦電流式減速装置
KR102672524B1 (ko) 와전류식 감속 장치
JPWO2018216603A1 (ja) 比例ソレノイド、その製造方法、および、比例ソレノイドの特性制御方法
JP3859509B2 (ja) 電磁式リターダ装置
WO2024116347A1 (ja) 渦電流式減速装置用ロータ及び渦電流式減速装置用ロータの製造方法
JP2005102490A (ja) 渦電流式減速装置
JP4858352B2 (ja) 渦電流減速装置
JP2024016667A (ja) 玉軸受
JP2021112039A (ja) ステータ及び渦電流式減速装置の製造方法