JP2002170969A - 太陽電池素子基板の製造方法 - Google Patents

太陽電池素子基板の製造方法

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JP2002170969A
JP2002170969A JP2000364696A JP2000364696A JP2002170969A JP 2002170969 A JP2002170969 A JP 2002170969A JP 2000364696 A JP2000364696 A JP 2000364696A JP 2000364696 A JP2000364696 A JP 2000364696A JP 2002170969 A JP2002170969 A JP 2002170969A
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sintering
sintered body
firing
solar cell
mold
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JP2000364696A
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English (en)
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Nobuyuki Kitahara
暢之 北原
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Original Assignee
Kyocera Corp
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

(57)【要約】 【課題】多結晶シリコンの基板作製において、さらなる
低コスト化・少資源の有効利用を図りつつも、性能面で
の特性向上の要求事項を満足する太陽電池素子基板の製
造方法を提供する。 【解決手段】貫通孔を有する冶具に、この貫通孔の両端
より上パンチ9Aと下パンチ9Bを挿入するように成し
た焼成用具を用いて、上記貫通孔の内部にサンプル粉体
7を充填し、次いでパンチでもって粉体を加圧するとと
もに、その加圧軸方向にパルス電流を流して、貫通孔の
内部に放電プラズマを発生させる工程を経て、前記サン
プル粉体7より多結晶体として焼結する太陽電池素子基
板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は太陽電池素子基板の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】次世代のエネルギーを賄うための一翼を
担う太陽電池は、性能面での効率、資源の有限性、環境
に対する負荷ならびに製造のコストといった市場のニー
ズを鑑みた場合、いずれの課題に対しても解決策を備え
たものであるのがよく、これによって市場のニーズにお
いて広く受け入れられる。
【0003】現在、研究開発されている太陽電池素子
は、多結晶シリコン、 アモルファス材料、 薄
膜の化合物半導体、 半導体粒子増感などに分類さ
れ、いずれの素子についても、製造コスト、変換効率、
資源、環境といった諸問題の解消が試みられている。今
日、総合的に見て、多結晶シリコン太陽電池が製品化に
おいてもっともバランスのとれた太陽電池として注目さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、多結晶
シリコン太陽電池素子に用いられる基板は、溶融炉によ
り溶解し、冷却結晶化させた後に切り出すという複雑な
工程をとっており、そのため、シリコン原料の利用率
(歩留まり)が低くなり、生産性の改善が望まれてい
る。
【0005】また、切り出しにおける物理的な基板厚み
の限界は約300μmであり、特性上必要とされる厚み
としての150μmを大きく上回っており、資源の有効
利用を図るという観点からも改善が望まれる。
【0006】本発明者は、そのような多結晶太陽電池基
板として、放電プラズマ焼結による、高特性な多結晶太
陽電池基板の製造方法を提案した(特願2000−25
9677号)。
【0007】しかしながら、グラファイトシート等の高
価な導電材料を用いているにも拘わらずバッチ式の製造
方法であったこと、作製した焼結体がグラファイトシー
トと強固に結合していたため、研磨により多結晶基板を
取出す必要があることなどから、生産性に関しては大幅
な改善が望まれていた。
【0008】本発明は叙上に鑑みて完成されたものであ
り、その目的は太陽電池の製造コスト面・性能面などの
全体としてのバランスを考慮して、もっとも優位である
多結晶シリコンの基板作製において、さらなる薄型化と
資源の有効利用を実現するとともに、その製造段階にお
いても材料のロスが少く高い生産性を達成することで、
さらなる低コスト化・少資源を図るものである。しか
も、性能面での特性に関しては、性能を低下させること
なく太陽電池素子基板の量産製造方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の太陽電池素子基
板の製造方法は、貫通孔を有する冶具に、この貫通孔の
両端よりそれぞれパンチを挿入するように成した焼成用
具を用いて、上記貫通孔の内部にシリコン結晶粒子およ
び/またはシリサイド結晶粒子を主成分とする粉体とグ
ラファイトからなる導電性のシートあるいは導電性の粉
体を交互に積層充填し、次いでパンチでもって粉体を加
圧するとともに、その加圧軸方向にパルス電流を流し
て、貫通孔の内部に放電プラズマを発生させる工程を経
て、前記結晶粒子を多結晶体として焼結せしめ、しかる
後に、この放電プラズマ焼結により作製した焼結体を、
かかる導電材との積層状態のまま、酸素あるいは水素の
少なくとも一方の存在する雰囲気中で加熱焼成処理し、
そして、積層された焼結体それぞれを取出すことを特徴
とする。
【0010】
【作用】短時間で各種材料の焼結が行なえる放電プラズ
マ焼結であっても、良好な焼結体作製のためには、焼成
型への均質なサンプル粉体充填を導電材のグラファイト
シートなどを用いながら行なう必要があるが、その反
面、生産性が極めて悪いものとなってしまう。
【0011】これに対し、本発明での焼結は焼成型内部
において、各サンプル粉体への導電性を確保しながら均
質にサンプル粉体を積層化し、さらには高圧力で均等な
加圧を行ないながら、放電プラズマを発生させながら焼
結を進行させるため、たとえ積層した場合であっても、
各焼結体毎に均一な焼結ができる。そして、その量産性
は、積層数に比例して向上させることができる。
【0012】一方、プラズマ焼結後の焼結体は導電材と
の結合が起こり剥離が困難なものであるため、その生産
性は極めて悪いものである。そこで、本発明における雰
囲気焼成処理では、その結合に関与しているグラファイ
トは酸素あるいは水素によって、優先的にエッチングさ
れガス化してしまうために、それぞれの焼結体が容易に
取出せるようになる。しかも、たとえ酸素雰囲気での処
理であったとしても、優先的にグラファイトが燃焼する
ことで、多結晶基板の酸化反応は抑制される。さらに、
導電材の膨張収縮とサンプル粉体の膨張収縮が異なるこ
とも、雰囲気焼成処理の進行に伴って接合部分に発生す
る応力が、両者をより剥離し易くすることへ寄与するも
のである。
【0013】以上の各作用により、量産性が高い太陽電
池素子基板が供給されるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図により詳細に説
明する。図1は本発明の製造方法に用いる放電プラズマ
焼結装置の概要構造を示す。図2は前記焼成用具として
の焼成用焼成型の分解斜視図であって、図3は焼成用焼
成型への試料充填の状態を示す。
【0015】(放電プラズマ焼結装置の概要構造)図1
に示す放電プラズマ焼結装置を説明するに、1は焼成型
であり、この焼成型1は加圧シリンダー2および加圧シ
リンダー3により挟み込まれてセットされている。そし
て、加圧シリンダー2には上側に配した電極が、加圧シ
リンダー3には下側に配した電極が、それぞれの内部に
設けられている。
【0016】加圧シリンダー2および加圧シリンダー3
には加圧機構が設けられ、その加圧機構でもって加圧シ
リンダー2および加圧シリンダー3の双方に対し、所要
とおりの加圧が与えられる。さらに各加圧シリンダー
2、3に設けた電極に対し、電流を流すための焼結電源
が配設されている。そして、これら加圧機構および焼結
電源をコントロールするための制御装置も設けている。
【0017】これら焼成型1、加圧シリンダー2および
加圧シリンダー3は真空チャンバー4内に設けられ、こ
れによって密閉された構造になっている。真空チャンバ
ー4の壁には測温用窓5が設けられ、この測温用窓5の
外側に温度測定用の放射温度計6が配置され、そして、
焼成型1の温度が測温用窓5を通して放射温度計6でも
って検知され、その温度がモニターされている。真空チ
ャンバー4はガス雰囲気での焼成を行うことができるも
のである。
【0018】この焼成型1を真空チャンバー4内に設置
し、雰囲気調整のもと加圧シリンダー2および加圧シリ
ンダー3による加圧下でもって通電をおこない、焼結さ
せる構造である。
【0019】このような焼成型1はホットプレスなどに
用いられるものと同等の型でもよく、それらを構成する
材質も、SiCやカーボンなどの材料でよく、特にカー
ボン製であれば、加工コストや消耗寿命などの点で好適
である。
【0020】つぎに焼結対象とする少なくともシリコン
結晶粒子あるいはシリサイド結晶粒子を主成分とする粉
体7(以下、かかる粉体をサンプル粉体と称す)と導電
材料10の充填について解説する。
【0021】(焼成型1の加圧構造)上記焼成型1の加
圧構成を図により説明する。図2にて焼成型1の概略を
示し、さらに図3によりサンプル粉体7と導電材10を
交互に充填した状態の焼成型1を示す。焼成型1は前記
貫通孔を有する冶具としての型リング8と、その型リン
グ8の中空に挿入される上パンチ9Aと下パンチ9Bと
から成る。上パンチ9Aは加圧シリンダー2でもって下
方に加圧し、下パンチ9Bは加圧シリンダー3でもって
上方に加圧する。これらの図において、焼成型1での加
圧方向をZ軸とし、このZ軸と垂直な方向の面をX−Y
面でもって示す。
【0022】そして、焼成型1の中に充填されたサンプ
ル粉体7は型リング8のなかで上パンチ9Aと下パンチ
9Bの間に充填される。
【0023】サンプル粉体7と上パンチ9Aとの間、サ
ンプル粉体7と下パンチ9Bとの間には、スペーサーと
してグラファイトシート10Aが挿入されている。これ
によって、焼成時の加圧・パルス通電の均質化が図ら
れ、さらにサンプル粉体7と上パンチ9Aとが、もしく
はサンプル粉体7と下パンチ9Bとが直接接触しなくな
り、反応を起きなくなり、これによって離型性が保持さ
れる。このようなグラファイトシート10Aには、たと
えばユニオンカーバイド社製グラファイトシート(GR
AFOIL)がある。また、サンプル粉体7と交互に積
層する導電剤10としては上記グラファイトシートの使
用も可能なものであるが、同様の効果があるものとして
グラファイト粉体(例えばロンザ社製グラファイトSF
G)などがコスト面からは適するものである。また、こ
れら導電材10として積層する厚さについては特に限定
されるものではないが、内部での短絡を避けるためにサ
ンプル粉体7の粒子径以上であることが望ましい。そし
て、厚すぎるとサンプル粉体7との接触面の平坦度がと
りにくいことなどを考慮して厚みは選択するとよい。
【0024】サンプル粉体7には、少なくともシリコン
結晶粒子および/またはシリサイド結晶粒子を用いるこ
とができるものである。たとえば、Si、SiGe、S
iFe2など半導体材料として用いられるグレードが好
適である。
【0025】(焼成型1の通電構造)充填した焼成型1
に対し、さらにその上に電流供給上パンチ11を配し、
その下に電流供給下パンチ12を配している。
【0026】焼成型1において、放電プラズマを発生さ
せ、そして、焼結をおこなうという工程で使用するパル
ス通電は、電流の流れる方向が成形加圧され焼成される
サンプル粉体7への加圧軸方向、すなわち図中Z軸方向
の上下パンチの方向に重畳することになる。また、これ
ら通電用のパンチの材質は耐熱性、導電性および強度の
点から、焼成型1の部材と同じ材質を用いることが望ま
しい。
【0027】(焼成型1の試料充填方法)つぎに焼成型
1に積層したサンプル粉体7と導電材10の積層状態を
図3に示す。
【0028】最初に、パンチの上にグラファイトシート
10Aを配置した後、サンプル粉体7を図3に示したよ
うに焼成型1内部に充填したのち、大気雰囲気中で上パ
ンチ9Aと下パンチ9Bとを10MPaの加圧にてプレ
スを行った。このとき作業性のし易さからグラファイト
シートが望ましいものであるが、パンチとの反応性の低
さと剥離のし易さといった点から、導電材10Bとして
グラファイト粉体もその機能には全く支障がない。
【0029】さらに、充填したサンプル粉体7の上か
ら、導電材であるグラファイ粉体10Bをのせ再度加圧
にてプレスを行なった。このとき、導電材10Bはグラ
ファイトシートでも問題はないが、コストと充填のし易
さからグラファイト粉体が望ましい。
【0030】このサンプル粉体7と導電材10の交互の
積層動作を繰り返し行ないを、焼成型1のなかに積層体
を作製した。このとき、焼成型1の形状は円筒型である
が、焼成時の温度と圧力に対して強度を維持できるもの
であれば、円筒あるいは角型のいずれのものでもよく、
仕上げる多結晶基板の形状に対応するものを選択するの
が望ましい。
【0031】また、このプレスはサンプル粉体7や導電
材10を構成している粒子の性状によって使い分ける必
要があり、粒子が大きい状態で加圧しすぎると、グラフ
ァイ層を突き破って短絡の原因となったりするので、前
述したように厚みと粒子の大きさの選択を行なう必要が
ある。積層の最後は、導電材のグラファイトシート10
Aを再度充填し、最終的にパンチにより挟みこんだ状態
にて、焼成型1をくみ上げた。
【0032】この焼成型1へ積層して充填する段階では
必ずしも、上下のパンチ9は焼成時用いるものと同じも
のである必要は無く、生産性を考慮して充填と積層の工
程を別途準備した成形装置により行なって後、パンチの
みを入れ替えて焼成を行なうことによってもよい。
【0033】(放電プラズマ焼結装置による焼成方法)
つぎに、内部にサンプル粉体7と導電材10を交互積層
した焼成型1を真空チャンバー4内にセットした状態
で、焼結体中に気孔を残留させないという目的で真空引
きによるサンプル粉体7からの脱気を行った。
【0034】この脱気は真空度1.3Paまで真空引き
をし、その状態で上パンチ9Aと下パンチ9Bに対し、
所定の圧力以下の圧力に上げては一旦止め、そして、下
げることを繰り返しながら、徐々に所定の圧力まで段階
的に加圧しながら行った。
【0035】サンプル粉体7の粒子間の接触を十分にと
り、パルス電流によるプラズマ発生の効果が著しく損な
われないためには10MPaでの加圧は最低限必要とす
るものである。すなわち、加圧は低すぎると粒子間の接
触が確保できず十分に焼結による粒子接合が進まなくな
り、逆に高すぎると型の耐圧や導電材の短絡などを引き
起こすことを考慮して、焼成対象とするサンプル粉体7
ごとに圧力を選択することが望ましい。
【0036】焼成を行う雰囲気については、気孔除去の
観点から真空雰囲気で行ったが、サンプル粉体7を構成
するシリコン結晶粒子やシリサイド結晶粒子の酸化を防
ぎ、十分なプラズマを発生させるという点では、還元雰
囲気や不活性雰囲気においても焼成可能であり、必ずし
も真空雰囲気で限られるものではない。このため、不純
物の混入等対象とする焼結体に支障が生じない範囲で選
択すればいいものである。ここでは真空引きのチャンバ
ー内圧力は1.3×10-2Pa以下まで減圧した。
【0037】かかる減圧の後に、上パンチ9Aと下パン
チ9Bとの間に流れる電流を2000A/cm2以下に
して、パルス電流の通電を行い、焼成型1の温度を熱伝
対あるいは放射温度計による温度をモニターしながら放
電プラズマ焼結を行った。2000A/cm2を超える
電流密度は、サンプル粉体7自体が急激な加熱により溶
融が瞬間的に進行し、その制御が困難となってしまうた
め、2000A/cm2を超えない電流密度で行った。しか
しながら、この電流値も圧力との関連によって材料によ
って選択する必要があるものである。その判断の基準は
例えば抵抗溶接(スポットウェルド)などの条件のよう
に、大電流による加熱溶融が瞬間的に起こり対象とする
物質が溶解と同時に加圧により飛散してしまうことを避
けるのと同様で、圧力との関係において対象とする粒子
の溶解・飛散を起さない条件にて焼結を制御するもので
ある。
【0038】また、このパルス状の通電を行うことはプ
ラズマ状態を作り出すものであり、パルスの条件は一般
的な放電プラズマ焼結装置の設定条件である通電時間と
非通電時間との比率をON:12、OFF:2の条件に
て行った。しかしながら、先にも述べたように電流およ
びパルスの条件は必ずしも固定されたものではなく、本
焼結の目的とする粒子間においてプラズマ発生が可能な
ものであれば選択した材料によっても変更可能なもので
ある。
【0039】焼結はパルス電流の流れる方向にそって、
粒子間にプラズマを発生させながら進むものであり、そ
のため、太陽電池素子として用いる場合には、発生した
キャリアの流れる方向での伝搬がすみやかに行われるよ
うに、太陽電池素子基板における受光面と垂直な方向に
加圧し通電することが望ましい。
【0040】(サンプル粉体およびグラファイト粉体の
粒子径)上述のような工程において使用するサンプル粉
体7を構成する粒子の粒子径については、特に規定され
るものではない。しかしながら、前述したように粒子径
は焼成後の基板の厚みを左右するものであるということ
と、焼結を進めるには粒子同士の接触面積を大きくする
ことの必要から最適な粒子径を選択するものである。そ
して、粒子径が大きな結晶粒子を含むサンプル粉体7を
用いた場合、導電材による積層時に短絡の可能性を避け
るため、サンプル粉体7の粒子径に合わせてグラファイ
トなど導電材10の厚みを厚くする必要がある。このた
め、コストと生産性の観点から最適な導電材厚みも決定
されるものである。
【0041】(雰囲気焼成処理)このようにしてプラズ
マ焼結により焼結された、焼結体と導電材との積層体
(以下積層焼結体と略す)は、焼成型から取出した状態
では完全に一体となったものである。この積層焼結体中
の積層した各層の間は、強固に結びついており、容易に
は剥離することはできない。無理に剥離して焼結体を取
出そうとすると、焼結体そのものを破損してしまうもの
である。そのためこのような状態の積層焼結体を雰囲気
焼成処理炉中にて加熱焼成処理により、各焼結体の剥離
促進を行なう。雰囲気としては、酸素あるいは水素の少
なくともいずれかのガスを含む雰囲気での焼成が必要で
ある。圧力は、常圧を含む、減圧下、加圧下いずれにお
いても可能なものである。即ち、装置のランニングコス
トおよび操作性など総合して、焼結体の特性変化を引き
起こすようなものでなければ、生産性の高い条件を選択
できるものであり特に限定されるものではない。また、
大気中での焼成処理であっても可能なものであるが、不
純物ガスの混入・拡散を考慮すると焼成処理炉はガス置
換可能な焼成炉であることが望ましい。さらに、焼成処
理の温度はプラズマ焼結を行なった温度より低い温度で
行なうものが望ましい。これは、積層焼結体の導電材と
焼結体の結合部分の剥離を容易にするための処理の段階
で、焼結体中の多結晶粒子の界面が不純物を取り込むよ
うな反応や酸化などによる変質を起すのを避けるためで
ある。しかしながら、本来の目的とする焼結体それぞれ
の特性変化を引き起こさないものであれば、処理の温度
は特に限定されるものではない。
【0042】この雰囲気焼成処理を行なった積層焼結体
は室温付近まで冷却されたことを確認して後炉から取出
す。取出された積層焼結体はそのままの状態では見かけ
上、放電プラズマ焼結により焼成したままの状態のよう
に見受けられる。しかしながら、このような完全にグラ
ファイトが残留した状態で取出された積層焼結体であっ
ても、導電材のグラファイトと焼結体の間は、エッチン
グによって接触面でのカーボンの除去が進みさらに膨張
収縮による応力差によって接合は切り離され、それぞれ
の焼結体を簡単に取出すことができようになるものであ
る。
【0043】かくして本発明の太陽電池素子基板の製造
方法によれば、上述した放電プラズマ焼結装置による焼
成を行うことで、すなわち、シリコン結晶粒子および/
またはシリサイド結晶粒子を主成分とするサンプル粉体
7を焼成型1内に充填し、次いで上パンチ9Aと下パン
チ9Bでもってサンプル粉体7を加圧しついで導電材1
0を充填し、同様に加圧することで、サンプル粉体7と
導電材10を焼成型1内に交互に積層するともに、その
加圧軸方向にパルス電流を流して、焼成型1の内部に放
電プラズマを発生させる工程を経ることで、サンプル粉
体7と導電材10よりなる多結晶体の積層体として焼結
される。ついで、上記積層された焼結体を、酸素あるい
は水素の少なくとも一方のガスを含む雰囲気中にて加熱
焼成処理し、積層した焼結体をそれぞれ取出すことで、
対象とする多結晶基板を製造することができる。このよ
うな方法であれば、従来の多結晶基板の切出しの際に生
じていた切しろ自体も必要とせず、生産性の高いきわめ
て単純な工程にて、省資源で多結晶基板の作製が可能と
なるため、製造コストが下がる。
【0044】
【実施例】(実施例1)25μm以下の粒子径をもつ純
度6Nのn−Si結晶粒子0.12gをサンプル粉体7
として用い、上述にしたがって放電プラズマ焼結により
焼結した。焼成型1は内径20mmφ(上下パンチ20
mmφ)の構成であって、折り曲げ強度60MPa以上
の強度を有するカーボン型である。図3に示したように
サンプル粉体5層をグラファイトシート上下2層に加え
て導電剤としてグラファイト(ロンザ社製SFG)4層
により交互に積層を行ない、全部で11層積層した。焼
結は全加圧148MPaにて、焼結保持時の全電流15
00Aにて行った。このときの焼結温度は1200℃で
あった。
【0045】焼結時の温度測定はカーボン型を放射温度
計にて測定した。チャンバーの覗き窓を通じてカーボン
型の表面にフォーカスし、放射率をグラファイトの放射
率を1.00に合わせ測温した。焼結による加熱は次の
タイムチャートにしたがって行った。昇温は設定温度ま
で室温から5分で上昇させ、保持を5分、保持を終えて
からはパルス通電を停止し、プログラムを終了すると同
時に加圧力を開放し炉冷により降温した。十分に型が冷
却したことを確認し、チャンバー内を大気圧開放した。
焼成型を取出してから型より積層焼結体を取出した。本
発明者は、いまだ詳細は不明であるが、加圧を焼成直後
に解除することにより、焼成後の積層焼結体の型から取
出しが容易になることを見出した。サンプル粉体の充填
からこのプラズマ焼結を終えて積層焼結体を取出すまで
に要した時間は45分であった。
【0046】焼成型より取り出した積層焼結体では各焼
結体が導電材のグラファイトシート及びグラファイトと
付着した状態であった。ついでこの取出した積層焼結体
を、大気雰囲気で720℃にて2時間の焼成処理を行な
った。昇温降温に要した時間はそれぞれ2時間である。
室温にまで冷却されたことを確認し、この積層体を取出
した。
【0047】処理後グラファイトは完全に除去されてお
らず、目視ではサンプル粉体の焼結体がグラファイトと
接触しているかのような状態が確認された。しかしなが
ら、焼結体自体を取出す際には、グラファイトと焼結体
表面は完全に分離できており、剥離面には残留物は残っ
ていなかった。これは接合部分が雰囲気ガスによりエッ
チング除去されたことと、膨張収縮率の差によって生じ
た応力差により剥離して、各焼結体が容易に取出し可能
となったためであると考える。取出した焼結体の厚みを
測定したところ、平均で165μmであった。また、焼
結体の表面粗さを測定したところRa=10μm、Ry
=25μmであった。
【0048】取出した焼結体を5mm×5mmの寸法に
加工した後、酸によるエッチングと純水による洗浄を行
い、清浄表面を出した。焼結体の表面粗さを測定したと
ころ表面に2000Aの厚さにAuを真空蒸着した後、
真空中にて450℃のアニール処理を行い、オーミック
な電極を形成した。このようにして電極を形成した供試
体において、ホール測定によりキャリアの移動度の測定
を行ったところ、1240cm2/V・sであった。
【0049】(比較例1)実施例1で用いたサンプル粉
体を、積層の1層分に相当する0.12gだけを用い単
層にて実施例1と同様に放電プラズマ焼結を行なった。
サンプル粉体の充填から焼結を終えて積層焼結体を取出
すまでに要した時間は40分であった。焼結後やはり実
施例1同様に、大気雰囲気処理を行なって後、焼結体を
取出し表面の粗さを測定したが、実施例1との差異は認
められなかった。この焼結体に実施例同様に電極を形成
した後、ホール測定によりキャリア移動度の測定を行な
った。その結果、1230cm2/V・sであった。
【0050】以上より、サンプル粉体と導電材を交互に
用いた積層体を焼結した場合、その生産性はほぼその積
層数に比例して向上することが確認された。また、その
作製された焼結体は単層で焼結した場合と同じ特性が得
られることが確認された。
【0051】(比較例2)サンプル粉体0.18gを積
層しないで単層にて実施例1の場合と全く同様にして焼
結を行なった。焼結後、グラファイトを研磨により除去
した。このときの厚みは248μmであった。さらに実
施例1で作製した焼結体の厚みにあわせて焼結体両面の
研磨を行なった。研磨後の焼結体の表面粗さを測定した
ところRa=8μm、Ry=20μmであった。この加
工済みの焼結体について、実施例同様にホール測定を行
ない平均値をもとめた。その結果を下記の示す。表2に
表示する。
【0052】実施例1…キャリア移動度:1240cm
2/V・s 比較例1(研磨処理)…キャリア移動度:1290cm
2/V・s 以上より、熱処理によって取出した多結晶焼結体であっ
ても、熱処理を行なわない未処理焼結体と同様の電子移
動度が得られることが確認できた。即ち実施例、比較例
のいずれにおいても、その電子移動度にはおおきな差異
は認められなかったと言え、熱処理による多結晶焼結体
の電気特性への影響は軽微なものであり、処理しなかっ
た場合同様の移動度が確保できることが確認できた。
【0053】かくして本発明で示した焼結ならびに熱処
理による取出しによって作製される多結晶基板では特性
面での性能低下を引き起こすことなく、また、焼結時に
サンプル粉体と積層に用いた導電剤が焼結体と一体とな
っていたとしても、雰囲気調整を行なった熱処理するこ
とで、各々の焼結体が容易に取出せるものであり、大幅
な生産性の向上によるコストダウンと省資源化が図れる
ものである。
【0054】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の太陽電池素子基
板の製造方法によれば、貫通孔を有する冶具に、この貫
通孔の両端よりそれぞれパンチを挿入するように成した
焼成用具を用いて、上記貫通孔の内部にシリコン結晶粒
子および/またはシリサイド結晶粒子を主成分とする粉
体を充填し、次いで導電材を充填するというように積層
により粉体を充填して後、加圧するとともに、その加圧
軸方向にパルス電流を流して、貫通孔の内部に放電プラ
ズマを発生させる工程を経ることで、前記粉体より多結
晶体として焼結せしめ、さらには、作製した導電材と焼
結体の積層体を雰囲気調整した条件下で、加熱焼成処理
することにより、これまで放電プラズマ焼結による多結
晶基板の製造上困難であった、生産性の高い基板作製を
図ることができた。
【0055】しかも、その熱処理による基板の特性変化
を殆ど起すことなく実施ができ、さらに基板厚みを従来
の多結晶基板作製に比較し格段に薄膜化した作製が可能
な上、スリットにかかるシリコンなど原料の無駄を省く
ことができるものである。したがって、生産性が極めて
高い製造方法であり、製造コストを下げることができ
た。
【0056】さらに付言するに、資源的な不足が懸念さ
れるシリコンなど太陽電池の活性層物質を必要最少量用
いることで製造することが可能なため、太陽電池におい
て、資源的な不足が懸念される、シリコンなどの活性層
物質を無駄なく利用し、少量の原料によって多結晶シリ
コン基板を効率よく供給でき、かつ素子としての重要な
特性である光電変換の効率を低下させることのない実用
上可能なレベルの太陽電池基板を、低コスト・省資源に
て高い生産性を併せ持って供給するができた。
【0057】以上のように、太陽電池特性を損なうこと
無く、生産性の高い製造方法によって多結晶基板を製造
できるという点から優れた発明であり、その有用性はき
わめて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製法にて用いた放電プラズマ焼結装置
の概要図である。
【図2】本発明の製法に係る焼結用焼成型の概略図であ
る。
【図3】本発明の製法に係る焼結用焼成型への積層充填
の概略図である。
【符号の説明】
1・・・焼成型 2・・・加圧シリンダー 3・・・加圧シリンダー 4・・・真空チャンバー 5・・・測温用窓 6・・・放射温度計 7・・・サンプル粉体 8・・・型リング 9A・・・上パンチ 9B・・・下パンチ 10A・・・導電材(グラファイトシート) 10B・・・導電材(グラファイト粉体) 11・・・電流供給上パンチ 12・・・電流供給下パンチ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】貫通孔を有する冶具に、この貫通孔の両端
    よりそれぞれパンチを挿入するように成した焼成用具を
    用いて、上記貫通孔の内部にシリコン結晶粒子および/
    またはシリサイド結晶粒子を主成分とする粉体とグラフ
    ァイトからなる導電性のシートあるいは導電性の粉体を
    交互に積層充填し、次いでパンチでもって粉体を加圧す
    るとともに、その加圧軸方向にパルス電流を流して、貫
    通孔の内部に放電プラズマを発生させる工程を経て、前
    記結晶粒子を多結晶体として焼結せしめ、しかる後に酸
    素または水素の少なくとも一方の存在する雰囲気中で加
    熱処理したことを特徴とする太陽電池素子基板の製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004055909A1 (en) * 2002-12-13 2004-07-01 Samwha Electronics Co., Ltd. Silicon wafer for solar cell and the same manufacturing method
CN117153954A (zh) * 2023-10-31 2023-12-01 杭州晶宝新能源科技有限公司 一种太阳电池电致瞬态烧结设备及生产线

Cited By (3)

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CN117153954B (zh) * 2023-10-31 2024-02-06 杭州晶宝新能源科技有限公司 一种太阳电池电致瞬态烧结设备及生产线

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