JP2002170575A - 非水電解液電池 - Google Patents
非水電解液電池Info
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Abstract
炭素を正極に用いた有機電解液電池を提供する。 【解決手段】 (002)面の面間隔が3.50Å以下
である易黒鉛化性炭素または黒鉛質材料を出発炭素材料
としたフッ化炭素からなる正極、リチウムイオンを放出
可能な負極、及びエチレンサルファイトを含有する有機
電解液を組み合わせ、さらに予備放電後の開路電圧を
3.5V以下とする。
Description
活物質とする非水電解液電池に関し、特に高温保存特性
及び間欠放電性能に優れた非水電解液電池に関する。
ウム金属またはその合金を用いた非水電解液電池は、エ
ネルギー密度が高く、また小型化および軽量化が可能で
あることから、小型の携帯機器の主電源をはじめとし、
据置き型機器のバックアップ用電源などさまざまな用途
に使用されている。これら機器からの要望に対して電池
特性の改善に関する提案が種々なされ、実用化されてき
た。例えば、正極活物質の利用率を向上させると共に4
5℃の環境下における保存特性を改善するために、フッ
化炭素の出発材料に(002)面の面間隔が3.40〜
3.50Åのコークスを用いた構成(特公昭56−46
670号公報)、また強負荷放電特性を向上させるため
に、電解液にプロピレンカーボネートあるいはエチレン
カーボネートと低粘度溶媒の1,2ジメトキシエタンと
の混合溶媒を用いた構成(特公昭58−12991号公
報)が提案されている。
化、多機能化に伴い、電源としての電池に対する要望も
厳しさを増しており、60℃以上に達する高温環境下で
の保存特性、及び高負荷での間欠放電特性の両立が求め
られている。しかしながら、現状ではこれら特性を満た
す電池は提供されていない。例えば、高温での保存特
性、及び放電特性を個々に改善する前記の各構成を組み
合わせた場合であっても、間欠放電がなされた電池を6
0℃以上の環境下で保存後、強負荷放電に再度供した場
合、放電初期に大幅な電圧の落込みが認められる。この
電圧降下が顕著になると放電電圧が1.0V以下まで低
下してしまい、機器の作動電圧を大幅に下まわるために
動作不能に陥る問題が生ずる。この問題は、高温保存に
伴う電池の内部抵抗の上昇に起因するが、具体的な改善
策を見いだすことはできない。
し、非水系電解液電池の溶媒として、S−O結合を有す
るサルファイト化合物を用い、正極集電体や電池缶にお
ける電解液との接液部分の材料をAl、Ti、Zr等の
弁金属またはその合金に用いる構成が提案されている。
この構成では、弁金属が電解液中での陽極酸化によって
表面に不動態皮膜を形成しており、S−O結合を有する
化合物の酸化分解が防止されるとしている。これによ
り、二次電池のサイクル特性と電池の長期保存特性とが
向上出来ることも示されている(特開平11−1625
11号公報)。しかし、電池ケース等の構成部材に弁金
属の使用が不可欠であることから、ステンレス等の汎用
的な金属材料が使用できず、生産性及び構成部材のコス
ト面で課題を有している。
環境下で保存した場合に生ずる電池の内部インピーダン
スの上昇を抑制すると同時に、間欠放電特性に優れた安
価な非水電解液電池を提供することを目的とする。
に鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは正極のフッ化炭
素の出発材料として(002)面の面間隔の値が3.5
0Å以下にある易黒鉛化性炭素または黒鉛質材料を用
い、電解液としてエチレンサルファイトを含有させると
同時に、適切な予備放電を施すことで、高温保存特性及
び間欠放電特性を満足する非水電解液電池が得られるこ
とを見いだした。すなわち、本発明の非水電解液電池
は、金属リチウム又はリチウム合金からなる負極、フッ
化炭素からなる正極、および有機電解液から構成されて
なり、該フッ化炭素が(002)面の面間隔が3.50
Å以下にある易黒鉛化性炭素または黒鉛質材料を出発炭
素材料とし、且つ該有機電解液がエチレンサルファイト
を含有してなり、さらに予備放電後の開路電圧が3.5
V以下にあることを特徴する。
もしくはその合金からなる負極、フッ化炭素からなる正
極及び非水電解液を基本構成してなり、フッ化炭素の出
発材料として(002)面の面間隔が3.50Å以下に
ある易黒鉛化性炭素または黒鉛質材料を用い、得られた
フッ化炭素とエチレンサルファイトを含有させた有機電
解液とを組み合わせることで、高温保存特性、及び間欠
放電特性に優れた電池を得ることができる。このため、
例えば放電後に60℃以上環境下で保存し、再度放電を
行った場合でも電圧低下は小さく、且つ強負荷放電特性
についても良好であった。さらに、保存前の放電状態に
ついても放電深度に関係なく、従来構成に比べて大幅に
向上した保存特性が得られた。これらの効果は、放電反
応によってリチウムがフッ化炭素に挿入される時に、エ
チレンサルファイトがフッ化炭素の表面に緻密な有機被
膜を形成するためと考えられ、これにより電気抵抗の高
い被膜の生成要因となる有機溶媒の分解が抑制される。
さらにエチレンサルファイトの被膜が良好な電導性を有
するので高温保存後の放電特性、特に間欠放電特性が向
上したと推察される。
備放電後の開路電圧を3.5V以下としている。一般に
非水電解液を組み立てた後の開路電圧は約3.6Vであ
るが、上述したようにエチレンサルファイトを含有する
非水電解液を用いた電池は高温雰囲気での保存特性の悪
化を招いてしまう。本発明者らの詳細な検討の結果、保
存後の放電特性は保存前の開路電圧の値に左右され、そ
の値が3.5V以下であると良好な特性が得られるのに
対して、3.5Vを超えると性能劣化することを見出し
た。さらにこれらの現象が、正極側の構成部材が金属リ
チウムに対して3.5Vを超える電位に有り、且つ高温
雰囲気、特に60℃以上の雰囲気に曝された際に、エチ
レンサルファイトによる正極側の構成部材の腐食に起因
する知見も得た。これらの知見に基づき、エチレンサル
ファイトを含有する電解液等を用いて電池を組み立てた
後、予備放電にて電池の開路電圧を3.5V以下にする
ことで、正極集電体や正極缶等にオーステナイト系ステ
ンレスや鉄など安価な材料の使用を可能としている。
尚、予備放電の工程において放電される電気量は組立直
後の放電容量に対して約1%程度であり、電池特性に与
える影響は極めて小さいものである。
について説明する。
の出発材料となる炭素材料は、熱処理によって易黒鉛化
性炭素の結晶化度をあげた黒鉛に近い構造をもつもので
あり、(002)面の面間隔の値が3.50Å以下にあ
る天然黒鉛、人造黒鉛等が好ましく、さらに面間隔の値
が3.50〜3.35Åにあるものがより好ましい。易
黒鉛化性炭素としては石油コ−クス、石炭コ−クス、メ
ソカ−ボンマイクロビ−ズ、メゾフェ−ズピッチ系炭素
繊維等があり、これらを1000℃以上で熱処理するこ
とによって(002)面の面間隔の値が3.50Å以下
の炭素材料を得られる。また、人造黒鉛はコ−クスを2
800℃以上で熱処理することによって得られる。さら
に、出発炭素材料の形状としては、フリュ−ドコ−ク
ス、ギルソナイトコ−クス等の球状コ−クス、およびピ
ッチの炭素化過程で生じるメソフェ−ズ小球体を原料と
したメソカ−ボンマイクロビ−ズ等の球状の材料が好ま
しい。
り大きい易黒鉛化性炭素を出発炭素材料としたフッ化炭
素の場合は、その面間隔が大きくなるに伴いフッ化炭素
の表面に緻密な有機被膜を形成するエチレンサルファイ
トの添加効果が低下するので望ましくない。尚、本発明
のフッ化炭素(CFx)nのフッ化度(x)はx=0.
4〜1.0の範囲が好ましく、より好ましくはx=0.
5〜1.0である。
い、電池電圧を3.5V以下、望ましくは3.5V〜
3.4Vの範囲であって、予備放電電気量は正極設計容
量の1〜5%の範囲が望ましい。なお、開路電圧を3.
4V以下にした場合、腐食の抑制には十分効果を認めら
れるが、5%以上の予備放電を必要とし、電池容量が減
少するので好ましくない。尚、本実施形態に係る電池は
負極に金属リチウムあるいはリチウム合金を用いてお
り、電池電圧と正極電位とはほぼ同じ値を示すと考えら
れる。
有量は0.1〜15質量%であることが好ましい。含有
量が0.1%未満でも効果は認められるが、フッ化炭素
表面を完全に被覆できず、高温保存後の放電時に大きく
電圧低下を起こす危険性がある。また、15質量%より
多くなると、有機被膜の厚みが厚くなり、有機被膜は良
導電性ではあるものの抵抗性分が上昇し、有機被膜の厚
みに起因する電圧低下が見られはじめる。
チウムまたはLi−Al、Li−Si、Li−Sn、L
i−NiSi、Li−Pbなどのリチウム合金が挙げら
れる。
電池に使用されている公知の溶媒(高誘電率溶媒や低粘
度溶媒)を挙げることができる。高誘電率溶媒として
は、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレン
カーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(B
C)、γ―ブチロラクトン(GBL)等の環状エステル
が挙げられる。低粘度溶媒としては、1、2ジメトキシ
エタン(DME)、1、2ジエトキシエタン(DE
E)、1、3ジオキソラン(DOL)等の鎖状エ−テ
ル、およびジメチルカーボネート(DMC)、エチルメ
チルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート
(DEC)等の鎖状エステルが挙げられる。高誘電率溶
媒と低粘度溶媒とは、それぞれ単独で使用しても、複数
の溶媒を組み合わせて使用してもよいが、低粘度溶媒を
使用する場合には、低粘度溶媒の低電導性を補うために
高誘電率溶媒と組み合わせて使用するのが好ましい。高
誘電率溶媒と低粘度溶媒との組み合わせとしては、例え
ばEC―DME、PC―DME、GBL―DMEなどの
2成分溶媒系、EC―PC―DME、EC―GBL―D
ME、GBL―BC―DME、PC―GBL―DMEな
どの3成分溶媒系などが挙げられる。なお、高誘電率溶
媒と低粘度溶媒との割合は、たとえば体積比で40:6
0〜70:30が好ましい。
とγ―ブチロラクトン(GBL)とは凝固点が−40℃
以下と低く、またエチレンカーボネート(EC)はリチ
ウム塩の溶解能力が高く、さらに1、2ジメトキシエタ
ン(DME)は低粘度エーテルの中でリチウム塩の溶解
能力が比較的高い等の特徴を有することから、これら3
成分を組み合わせたPC―DME、GBL―DME、E
C―PC―DME、EC―GBL―DME等が−20℃
〜85℃と広範囲の使用環境に対応できる点で有利であ
る。尚、これら2成分溶媒系あるいは3成分溶媒系にお
いての混合割合は、プロピレンカーボネート(PC)あ
るいはγ―ブチロラクトン(GBL)が体積比で5〜6
0含むことがとくに好ましい。
O4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiB
BBまたはイミド結合を有するリチウム塩、例えばLi
N(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN
(CF3SO2)(C4F9SO2)などが挙げられる。こ
れらのリチウム塩は単独でも、組み合わせて使用しても
よい。なかでもLiPF6またはLiBF4が好ましい。
溶質の塩濃度としては、0.1〜2mol/lの範囲が
好ましく、より好ましくは0.3〜1.5mol/lの
範囲である。
る。
ン型電池の断面図を示す。正極ケース1、負極ケース2
はそれぞれフェライト系ステンレス鋼(SUS444)
製であり、ポリプロピレン製の絶縁パッキング3を介し
て発電要素を密封口してなる。正極4、金属リチウムか
らなる負極5は、ポリプロピレン製の不織布からなるセ
パレータ6を介して対向配置されている。電解液は、環
状エステルであるプロピレンカーボネート(PC)の単
一溶媒に溶質としてホウフッ化リチウム(LiBF4)
を1mol/lの比率にて溶解させた。さらに調整され
た電解液に対してエチレンサルファイト(ES)を3質
量%の比率にて添加している。得られた電池の寸法は直
径が20mm、厚みが2.0mmとした。以下、正極4
の構成について詳しく説明する。
を窒素雰囲気、2000℃で焼成して得られた(00
2)面の面間隔が3.40Åの鱗片状の易黒鉛化性炭素
を得た。さらにこの易黒鉛化炭素を400℃でフッ素化
させることによりフッ化炭素とした。このフッ化炭素に
導電剤としてカーボンブラックを、結着剤としてフッ素
系樹脂を重量比で85:8:7の割合で混合し、正極合
剤とした。この正極合剤を2ton/cm2で直径16
mmのペレットに加圧成形した後、ドライ雰囲気中11
0℃で乾燥して重量190mgの正極を得た。この正極
の設計容量は100mAhである。この正極を用い、上
記組成の電解液を160μl注入して本発明の電池Aを
作製した。
変えてγ―ブチロラクトン(GBL)とした以外は、電
池Aと同じ構成の電池を本発明の電池Bとする。
変えてプロピレンカーボネートと1,2ジメトキシエタ
ン(DME)を体積比で50:50の混合溶媒とした以
外は、電池Aと同じ構成の電池を本発明の電池Cとす
る。
面間隔が3.50Åの鱗片状の易黒鉛化性炭素を用いた
以外は、電池Aと同じ構成の電池を本発明の電池Dとす
る。
球体(MCMB)を2200℃の焼成処理を施して得ら
れた(002)面の面間隔が3.40Åのメソカーボン
マイクロビーズを用い、電解液の溶媒をプロピレンカー
ボネートに変えてプロピレンカーボネートと1,2ジメ
トキシエタンとを体積比50:50の混合溶媒を用いた
以外は、電池Aと同じ構成の電池を本発明の電池Eとす
る。
い、電解液の溶媒をプロピレンカーボネートに変えてプ
ロピレンカーボネートと1,2ジメトキシエタンを体積
比で50:50の混合溶媒を用いた以外は、電池Aと同
じ構成の電池を本発明の電池Fとする。
ロピレンカーボネートの単一溶媒に溶質としてホウフッ
化リチウムのみを1mol/l溶解させ、エチレンサル
ファイトを含まない電解液を用いた以外は、電池Aと同
じ構成の電池を比較電池1とする。
セチレンブラックを400℃でフッ素化させて得られた
フッ化炭素を用いた以外は、電池Aと同じ構成の電池を
比較電池2とする。
2)面の面間隔が3.51Åの鱗片状の易黒鉛化性炭素
を出発炭素源としたフッ化炭素を用いた以外は、電池A
と同じ構成の電池を比較電池3とする。
および比較電池1〜3は各10個を1mAで2時間(設
計容量の2%)の予備放電と開路電圧の測定をした後、
各5個は85℃で20日間の保存を行い、残りの各5個
は室温で10kΩの抵抗(高負荷)で放電終止電圧1.
0Vまでの放電容量を調べた。85℃保存後の電池各5
個は上記と同条件で放電して、放電開始時の落込み電圧
の最低値(以降放電初期電圧と称す)と放電維持電圧と
を測定した。さらに、放電容量比率(%)(保存電池の
放電容量/未保存電池の放電容量×100)を算出し
た。これらの結果を表1に示す。
A、B、C、D、E、Fはいずれも放電初期電圧が2.
0V以上で放電維持電圧と同等で、電圧低下が少なく、
また放電容量比率においても90%以上の高い値を示
す。また、有機電解液の溶媒が環状エステルのみとした
電池A、B、Dよりも、環状エステルに低粘度エーテル
の1,2ジメトキエタンを混合した混合溶媒を用いた電
池C、E、Fがより良好な結果が得られた。また、出発
炭素材料に球状の易黒鉛化性炭素を用いた電池Eは最も
優れた高負荷放電特性が得られた。
加されていない比較電池1は、放電初期の電圧低下が大
きく、加えて容量劣化も激しい。また、エチレンサルフ
ァイトを添加した場合においても、出発材料が非晶質炭
素のアセチレンブラックの比較電池2、および(00
2)の面間隔が3.51Åの易黒鉛化性炭素の比較電池
3は、いずれも本発明の電池に比べていずれの特性も劣
る。このように出発材料の比表面積が非常に大きい場
合、あるいは(002)の面間隔が3.50Åを超えた
場合には、エチレンサルファイトの添加の効果が得られ
ない。尚、比較電池2および3も開路電圧は3.5V以
下で構成部材の腐食は認められなかった。
へのエチレンサルファイトの添加量を変化させ、その影
響を検討した。有機電解液に対するエチレンサルファイ
ト(ES)の添加量を、0.05〜18質量%の範囲で
変化させた以外は実施例1の本発明の電池Aと同じ構成
とした本発明の電池G〜Kを作製し、実施例1と同様の
評価をおこなった、その結果を表2に示す。
t%の範囲にある電池H、A、I、Jは、電圧及び保存
特性の両面で優れている。一方、電池Gは高温保存によ
る内部抵抗の上昇を抑制できるが、放電初期電圧及び容
量比率の面で他の電池に比べて特性が劣っており、電池
Kも同様の傾向を示している。このことから、0.1w
t%以下および15wt%を超えた場合には、添加によ
る改善を認められるがその効果が不十分である。このこ
とから、電解液に対してエチレンサルファイトの含有量
は0.1〜15wt%の範囲が好ましいことがわかる。
影響について検討をした。本実施例3に係る電解液に
は、高誘電率溶媒としてプロピレンカーボネート(P
C)およびエチレンカーボネート(EC)を用い、低粘
度溶媒として1、2ジメトキシエタン(DME)を用
い、これらを選択した2成分系及び3成分系の溶媒を作
成し、それぞれの溶媒にフッ化リチウム(LiBF4)
を1mol/lになるように溶解したものを使用した。
さらに各電解液にエチレンサルファイトを電解液に対し
て3質量%の比率にて添加した。これら電解液を用いた
以外は、実施例1の電池Aと構成が同じである電池L〜
Rを作製し、実施例1と同様の評価を行った。尚、実施
例3では高温保存が保存後の低温放電特性への影響を明
確にするために、保存後の放電条件を雰囲気温度−20
℃で負荷抵抗30kΩで行った。その結果を表3に示
す。
のプロピレンカーボネートの体積比が5〜60%の電池
N〜Qは、いずれの特性も優れている。これに対して溶
媒に占めるPCの比率が5%未満の電池L及び電池M、
加えてPCの比率が70%以上の電池Rでは、放電電圧
および放電容量比率も大幅に低下している。これは、エ
チレンサルファイトの添加によって高温保存時の内部抵
抗の上昇は抑制できているが、低温での放電特性が他の
電池に比べて劣る。これは、−20℃の低温における電
解液の導電性による影響が顕著になり、凝固点の低いプ
ロピレンカーボネートの比率が5%未満の場合、あるい
はプロピレンカーボネートが70%の高率で添加されて
いるにも関わらず低粘度溶媒の1、2ジメトキシエタン
(DME)の比率が低くなる場合には、電解液の電導性
が低下し、これにより低温での放電特性の悪化を招いた
と考えられる。したがって、溶媒組成が2成分系、3成
分系のいずれにおいてもプロピレンカーボネートは体積
比で5〜60%の範囲が好ましい。なお、本実施例は高
誘電率溶媒にプロピレンカーボネートを使用したが、γ
―ブチロラクトン(GBL)の場合も同様の結果が得ら
れる。
池Aを用いて高温保存前の開路電圧が保存特性に及ぼす
影響を調べた。実施例1で作成した電池を用い、組み立
て後の約3.6Vの電池を予備放電(部分放電)するこ
とによって、異なる開路電圧を有する電池を得た。具体
的には、1mAの定電流放電で時間を変えることで予備
放電深度を正極設計容量(100mAh)の0〜5%の
範囲に設定して、開路電圧が3.6〜3.4Vとなる電
池を各10個作製した。これら電池は実施例1と同様の
評価を行い、その結果の放電容量比率を表4に示す。
が3.46V以下の電池は高温保存による容量劣化もな
くエチレンサルファイトの添加効果が認められる。一
方、3.51V以上の電池では容量劣化が激しく、分解
して調べたところリチウム表面に正極ケ−ス材質のステ
ンレスの析出が認められた。以上のことから、開路電圧
を3.5〜3.4Vにすることでエチレンサルファイ添
加の効果を十分に発揮させることができることがわか
る。また、この電圧値を得るには、正極設計容量の1〜
5%の容量を予備放電することが好ましい。
べたが、本発明は円筒型など様々な形状の電池について
も同様の結果が得られる。
2)面の面間隔が3.50Å以下である易黒鉛化性炭素
または黒鉛質材料を出発炭素材料としたフッ化炭素から
なる正極、リチウムイオンを放出可能な負極とエチレン
サルファイトを含有する有機電解液を組み合わせて電池
を構成し、開路電圧を3.5V以下にすることにより、
高温保存特性に優れ、保存後の高負荷放電においても電
圧低下が生じず、且つ間欠放電特性に優れる非水電解液
電池が得られる。同時にステンレス鋼等を電池構成部材
に用いても特性の劣化を招かず、その工業的価値は大な
るものである。
断面図
Claims (8)
- 【請求項1】 金属リチウム又はリチウム合金からなる
負極、フッ化炭素からなる正極、および有機電解液から
構成される非水電解液電池であって、該フッ化炭素は、
(002)面の面間隔が3.50Å以下にある易黒鉛化
性炭素または黒鉛質材料を出発炭素材料とし、該有機電
解液がエチレンサルファイトを含有してなり、さらに予
備放電後の開路電圧が3.5V以下にあることを特徴す
る非水電解液電池。 - 【請求項2】 エチレンサルファイトが該有機電解液に
対して0.1〜15質量%の比率にて含有される請求項
1記載の非水電解液電池。 - 【請求項3】 該有機電解液を構成する有機溶媒が環状
エステルからなる請求項2記載の非水電解液電池。 - 【請求項4】 該有機溶媒が、エチレンカーボネート、
プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ―
ブチロラクトンから選択される少なくとも一種の環状エ
ステルである請求項3記載非水電解液電池。 - 【請求項5】 該有機電解液が、低粘度のエーテルもし
くは鎖状エステルと、環状エステルとの混合溶媒からな
る請求項2記載の非水電解液電池。 - 【請求項6】 該低粘度のエーテルが1、2ジメトキシ
エタンである請求項5記載の非水電解液電池。 - 【請求項7】 前記混合溶媒の環状エステルがγ―ブチ
ロラクトン及びプロピレンカーボネートの少なくとも一
種であり、該環状エステルを5〜60体積%の比率にて
含有する請求項5記載の非水電解液電池。 - 【請求項8】 該易黒鉛化性炭素の形状が球状である請
求項3〜7の何れか記載の非水電解液電池。
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