JP2002168168A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

内燃機関の点火時期制御装置

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JP2002168168A
JP2002168168A JP2000365891A JP2000365891A JP2002168168A JP 2002168168 A JP2002168168 A JP 2002168168A JP 2000365891 A JP2000365891 A JP 2000365891A JP 2000365891 A JP2000365891 A JP 2000365891A JP 2002168168 A JP2002168168 A JP 2002168168A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明の目的は、内燃機関を冷機始動した
際の点火時期の遅角によるエンジン回転数の急激な低下
を防止し得て、ストールを回避することにある。 【構成】 このため、この発明は、内燃機関の冷機始動
後のアイドル運転時に点火時期が通常よりも遅角側の目
標点火時期になるよう制御している際に、エンジン回転
数検出手段の検出するエンジン回転数が、内燃機関のエ
ンジン冷却水温度により定められる目標エンジン回転数
からこの目標エンジン回転数保持のための第1の設定回
転数よりも大きい第2の設定回転数を越える回転数域に
降下した場合には、通常の目標点火時期に向かって通常
の進角変化率よりも大きい第1の進角変化率により進角
させるよう制御する制御手段を設けたことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は内燃機関の点火時
期制御装置に係り、特に、内燃機関を冷機始動した際の
点火時期の遅角によるエンジン回転数の急激な低下を防
止し得て、ストールを回避し得る内燃機関の点火時期制
御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両等に搭載される内燃機関は、排気中
の有害成分を浄化する触媒コンバータを排気通路に設け
ている。触媒コンバータは、触媒の温度が活性化温度に
達すると、排気有害成分の浄化機能が有効に機能する。
【0003】そこで、内燃機関には、冷機始動後のアイ
ドル運転時に、触媒の温度を活性化温度に早期に上昇さ
せて排気有害成分の浄化を促進するために、図4・図5
に示す如く、点火時期を通常の目標点火時期よりも遅角
側に設定された遅角側の目標点火時期になるよう制御す
る点火時期制御装置を設けているものがある。
【0004】この内燃機関の点火時期制御装置は、図4
に示す如く、制御がスタートすると(300)、内燃機
関の冷機始動後のアイドル運転時に、点火時期が遅角側
目標点火時期になるよう制御している際に(302)、
エンジン回転数Neが、内燃機関のエンジン冷却水温度
により定められる目標エンジン回転数NTRGT(W
T)からこの目標エンジン回転数NTRGT(WT)保
持のためのヒステリシスである第1の設定回転数Ne1
を引いた値よりも小さくなったか否か{Ne<NTRG
T(WT)−Ne1}を判断する(304)。
【0005】図5に示す如く、エンジン回転数Neが目
標エンジン回転数NTRGT(WT)から第1の設定回
転数Ne1を越える回転数域に降下して、判断(30
4)がYESの場合は、遅角側の目標点火時期から通常
の目標点火時期に向かって通常の進角変化率θ2/T2
により時間T2毎に角度θ2ずつ進角させ、エンジン回
転数Neが目標エンジン回転数NTRGT(WT)を越
える{Ne>NTRGT(WT)}まで制御する(30
6)。
【0006】この制御(306)により点火時期が通常
の目標点火時期に戻り、点火時期を遅角させる制御が終
了したか否かを判断する(308)。この判断(30
8)がYESの場合は、エンドにする(310)。この
判断(308)がNOの場合は、前記判断(304)に
戻る。なお、前記判断(304)がNOの場合は、判断
(308)にジャンプする。
【0007】このように、点火時期制御装置は、冷機始
動後のアイドル運転時に、点火時期が遅角側の目標点火
時期になるよう制御することにより、排気温度を高めて
触媒の温度を活性化温度に早期に上昇させ、排気有害成
分の浄化を促進している。
【0008】このような内燃機関の点火時期制御装置と
しては、特開平11−107822号公報、特開平11
−280531号公報に開示されるものがある。
【0009】特開平11−107822号公報に開示さ
れるものは、触媒が未暖機状態になっているときに、点
火時期を遅角させて排気温度を高めることにより、触媒
の昇温を促進する制御装置において、始動後初期の期間
にエンジンのアイドル状態が検出されたとき、吸入空気
量可変手段の作動によりスロットル弁をバイパスする吸
入空気量を増量させて、エンジン回転数を設定アイドル
回転数よりも高めるアイドルアップ制御手段を設けたも
のである。
【0010】特開平11−280531号公報に開示さ
れるものは、機関始動時の所定期間中に機関回転数が所
定回転数になるように点火時期を制御する点火時期制御
手段と、この点火時期制御手段による点火時期に基づき
燃料噴射手段に対する制御値を決定する制御値決定手段
と、この制御値決定手段によって決定された制御値に基
づき前記燃料噴射手段を駆動する駆動手段とを有するも
のである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、内燃機関の
点火時期制御装置においては、図4・図5に示す如く、
冷機始動後のアイドル運転時に、排気温度を高めて触媒
の温度を活性化温度に早期に上昇させ、排気有害成分の
浄化を促進するために、点火時期を上死点近くまで大幅
に遅角している。
【0012】ところが、内燃機関は、冷機始動後に点火
時期を遅角させると、燃焼性やリーンリミットの悪化を
招くおそれがある。特に、揮発量の少ない重質ガソリン
を燃料として使用した場合には、冷機始動後の点火時期
の遅角によって燃焼性が悪化し、エンジン回転数の急激
な低下を招き、ストールを招く不都合がある。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
述の不都合を除去するために、内燃機関の冷機始動後の
アイドル運転時に点火時期が通常よりも遅角側の目標点
火時期になるよう制御する内燃機関の点火時期制御装置
において、前記内燃機関のエンジン回転数検出手段を設
け、前記内燃機関の冷機始動後のアイドル運転時に点火
時期が通常よりも遅角側の目標点火時期になるよう制御
している際に、前記エンジン回転数検出手段の検出する
エンジン回転数が前記内燃機関のエンジン冷却水温度に
より定められる目標エンジン回転数からこの目標エンジ
ン回転数保持のための第1の設定回転数よりも大きい第
2の設定回転数を越える回転数域に降下した場合には、
通常の目標点火時期に向かって通常の進角変化率よりも
大きい第1の進角変化率により進角させるよう制御する
制御手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】この発明の内燃機関の点火時期制
御装置は、内燃機関の冷機始動後のアイドル運転時に、
エンジン回転数がアイドル運転時の目標エンジン回転数
から第2の設定回転数を超える回転数域まで大きく降下
した場合には、遅角側の目標点火時期を通常の目標点火
時期に向かって通常の進角変化率よりも大きい第1の進
角変化率によって進角させるよう制御することにより、
点火時期を迅速に通常の目標点火時期に戻すことがで
き、通常の目標点火時期による制御によって燃焼性の悪
化を回避することができ、エンジン回転数を目標エンジ
ン回転数に戻すことができる。
【0015】
【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を説明
する。図1〜図3は、この発明の実施例を示すものであ
る。図3において、2は示しない車両に搭載された内燃
機関である。内燃機関2は、シリンダブロック4と、シ
リンダヘッド6と、ヘッドカバー8と、ピストン10
と、燃焼室12と、吸気ポート14と、排気ポート16
と、吸気弁18と、排気弁20と、吸気カム軸22と、
排気カム軸24とを有している。
【0016】内燃機関2は、吸気系としてエアクリーナ
26と吸気管28とスロットルボディ30とサージタン
ク32と吸気マニホルド34とを順次に接続し、吸気ポ
ート14に連通する吸気通路36を設けている。スロッ
トルボディ30の吸気通路36には、スロットルバルブ
38を設けている。また、内燃機関2は、排気系として
排気マニホルド40と排気管42と触媒コンバータ44
とを順次に接続し、排気ポート16に連通する排気通路
46を設けている。触媒コンバータ44は、触媒48を
内蔵して設けている。
【0017】内燃機関2は、シリンダヘッド6に点火プ
ラグ50を取付けて設けている。また、内燃機関2は、
PCVバルブ52を介してヘッドカバー8内とサージタ
ンク32の吸気通路36とを連通する第1ブローバイガ
ス通路54を設け、ヘッドカバー8内とエアクリーナ2
6直下流の吸気通路36とを連通する第2ブローバイガ
ス通路56を設けている。
【0018】内燃機関2は、吸気マニホルド34に燃焼
室12に指向させて燃料噴射弁58を設けている。燃料
噴射弁58は、燃料分配管60を介して燃料供給通路6
2により燃料タンク64に連絡されている。燃料タンク
64内には、燃料供給通路62に燃料を圧送する燃料ポ
ンプ66と、塵埃を除去する燃料フィルタ68とを設け
ている。
【0019】燃料供給通路62の途中には、燃料圧力調
整部70を設けている。燃料圧力調整部70は、サージ
タンク32の吸気通路36に連通した負圧通路72から
導入される吸気負圧により燃料圧力を調整し、余剰の燃
料を燃料戻し通路74により燃料タンク64に戻す。
【0020】燃料タンク64には、エバポ通路76の一
端側を連通している。エバポ通路76の他端側は、キャ
ニスタ78に連通している。キャニスタ78には、パー
ジ通路80の一端側を連通している。パージ通路80の
他端側は、スロットルボディ30の吸気通路36に連通
している。
【0021】この内燃機関2は、スロットルバルブ38
を迂回してスロットルボディ30の吸気通路36とサー
ジタンク32の吸気通路36とを連通するバイパス空気
通路82を設けている。バイパス空気通路82の途中に
は、アイドル運転時のエンジン回転数が目標エンジン回
転数になるようバイパス空気量を調整するアイドル空気
量制御弁84を設けている。また、この内燃機関2に
は、点火プラグ50に高電圧を供給するイグニションコ
イル86を設け、点火プラグ50に高電圧を分配するデ
ィストリビュータ88を設けている。
【0022】この内燃機関2には、エンジン冷却水温度
を検出する水温センサ90を吸気マニホルド34の冷却
水通路92に臨ませて設け、スロットルバルブ38のス
ロットル開度を検出するスロットルセンサ94をスロッ
トルボディ30に設け、サージタンク32に連通した圧
力検出通路96から導入される吸気管圧力を検出する吸
気管圧力センサ98を設け、排気中の酸素濃度を検出す
る酸素濃度センサ100を排気マニホルド40に設け、
内燃機関2のノッキングを検出するノックセンサ102
をシリンダブロック4に設け、触媒コンバータ44にフ
ューズ式の温度センサ104を設けている。ディストリ
ビュータ88にクランク角及びエンジン回転数を検出す
るクランク角センサ90を設け、
【0023】前記燃料噴射弁58と燃料ポンプ66とア
イドル空気量制御弁84とイグニションコイル86とデ
ィストリビュータ88と水温センサ90とスロットルセ
ンサ94と吸気管圧力センサ98と酸素濃度センサ10
0とノックセンサ102と温度センサ104とは、点火
時期制御装置106を構成する制御手段108に接続さ
れている。制御手段108には、前記温度センサ104
が警告灯110を介して接続され、また、イグニション
スイッチ112とフューズ114とを介してバッテリ1
16が接続されている。
【0024】点火時期制御装置106は、制御手段10
8によって、ディストリビュータ88〜温度センサ10
4から入力する信号により、内燃機関2の冷機始動後の
アイドル運転時に、点火時期が通常よりも遅角側の目標
点火時期になるよう制御して触媒48の活性化を促進
し、また、運転状態に応じて燃料噴射量やアイドル空気
量等を制御する。
【0025】この点火時期制御装置106は、エンジン
回転数Neを検出するエンジン回転数検出手段としてデ
ィストリビュータ88を設け、エンジン冷却水温度を検
出する手段として水温センサ90を設け、アイドル運転
時を検出する手段としてスロットルセンサ94を設け、
内燃機関2のエンジン冷却水温度WTにより定められた
目標エンジン回転数NTRGT(TW)と、この目標エ
ンジン回転数NTRGT(TW)保持のためのヒステリ
シスである第1の設定回転数Ne1と、この第1の設定
回転数Ne1よりも大きい値の第2の設定回転数Ne2
とを設定して設け、また、時間T2毎に角度θ2ずつ緩
やかに進角させる通常の進角変化率θ2/T2と、この
通常の進角変化率θ2/T2よりも大きく迅速に進角さ
せる第1の進角変化率θ1/T1とを設定して設けてい
る。
【0026】点火時期制御装置106は、図2に示す如
く、内燃機関2の冷機始動後のアイドル運転時に、点火
時期が通常よりも遅角側の目標点火時期になるよう制御
している際に、エンジン回転数Neが、エンジン冷却水
温度WTにより定められる目標エンジン回転数NTRG
T(TW)からこの目標エンジン回転数NTRGT(T
W)保持のための第1の設定回転数Ne1よりも大きい
第2の設定回転数Ne2を越える回転数域に降下した場
合には、通常の目標点火時期に向かって通常の進角変化
率θ2/T2よりも大きい第1の進角変化率θ1/T1
により進角させるよう制御する。
【0027】また、この点火時期制御装置106は、内
燃機関2の冷機始動後のアイドル運転時に、点火時期が
通常よりも遅角側の目標点火時期になるよう制御してい
る際に、エンジン回転数Neが、エンジン冷却水温度W
Tにより定められる目標エンジン回転数NTRGT(T
W)からこの目標エンジン回転数NTRGT(TW)保
持のための第1の設定回転数Ne1を越え且つこの第1
の設定回転数Ne1よりも大きい第2の設定回転数Ne
2以内の回転数域に降下した場合には、通常の目標点火
時期に向かって通常の進角変化率θ2/T2により進角
させるよう制御する。
【0028】次に、作用を説明する。
【0029】内燃機関2の点火時期制御装置106は、
揮発量の少ない重質ガソリンを使用している場合に、図
1に示す如く、制御がスタートすると(200)、ディ
ストリビュータ88〜温度センサ104から入力する信
号によって、内燃機関2の冷機始動後のアイドル運転時
であって、点火時期が通常よりも遅角側の目標点火時期
になるよう制御している際に(202)、エンジン回転
数Neが、エンジン冷却水温度WTにより定められる目
標エンジン回転数NTRGT(WT)からこの目標エン
ジン回転数NTRGT(WT)保持のための第1の設定
回転数Ne1を引いた値よりも小さくなったか否か{N
e<NTRGT(WT)−Ne1}を判断する(20
4)。
【0030】エンジン回転数Neが目標エンジン回転数
NTRGT(WT)から第1の設定回転数Ne1を越え
る回転数域に降下して、判断(204)がYESの場合
は、エンジン回転数Neが、エンジン冷却水温度WTに
より定められる目標エンジン回転数NTRGT(TW)
から第1の設定回転数Ne1よりも大きい第2の設定回
転数Ne2を引いた値よりも小さくなったか否か{Ne
<NTRGT(WT)−Ne1}を判断する(20
6)。
【0031】エンジン回転数Neが目標エンジン回転数
NTRGT(WT)から第2の設定回転数Ne2を越え
る回転数域に降下して、判断(206)がYESの場合
は、図2に示す如く、点火時期を遅角側の目標点火時期
から通常の目標点火時期に向かって、通常の進角変化率
θ2/T2よりも大きい第1の進角変化率θ1/T1に
より時間T1毎に角度θ1ずつ進角させ(208)、点
火時期が通常の目標点火時期に戻り次第、点火時期を遅
角させる制御を終了し(210)、エンドにする(21
2)。
【0032】また、エンジン回転数Neが目標エンジン
回転数NTRGT(WT)から第2の設定回転数Ne2
を越える回転数域に降下していずに、判断(206)が
NOの場合は、図2に示す如く、遅角側の目標点火時期
から通常の目標点火時期に向かって、通常の進角変化率
θ2/T2により時間T2毎に角度θ2ずつ緩やかに進
角させ、エンジン回転数Neが目標エンジン回転数NT
RGT(WT)を越える{Ne>NTRGT(WT)}
まで制御する(214)。
【0033】この制御(214)により通常の目標点火
時期に戻り、点火時期を遅角させる制御が終了したか否
かを判断する(216)。この判断(216)がYES
の場合は、エンドにする(218)。この判断(21
6)がNOの場合は、前記判断(204)に戻る。な
お、前記判断(204)がNOの場合は、判断(21
6)にジャンプする。
【0034】このように、この内燃機関2の点火時期制
御装置106は、制御手段108によって、内燃機関2
の冷機始動後のアイドル運転時に、エンジン回転数Ne
がアイドル運転時の目標エンジン回転数NTRGT(T
W)から第2の設定回転数Ne2を超える回転数域まで
大きく降下した場合には、遅角側の目標点火時期を通常
の目標点火時期に向かって通常の進角変化率θ2/T2
よりも大きい第1の進角変化率θ1/T2によって進角
させるよう制御することにより、点火時期を通常の目標
点火時期に迅速に戻すことができ、通常の目標点火時期
による制御によって燃焼性の悪化を回避することがで
き、大きく降下したエンジン回転数Neを目標エンジン
回転数NTRGT(TW)に迅速に戻すことができる。
【0035】このため、この内燃機関2の点火時期制御
装置106は、特に揮発性の低い重質ガソリンを燃料と
して使用する内燃機関2を冷機始動した際の、触媒48
を早期に活性化させるための点火時期の遅角によるエン
ジン回転数Neの急激な低下を防止することができ、ス
トールを回避することができる。
【0036】また、この点火時期制御装置106は、内
燃機関2の冷機始動後のアイドル運転時に、点火時期が
通常よりも遅角側の目標点火時期になるよう制御してい
る際に、エンジン回転数Neが目標エンジン回転数NT
RGT(TW)から第1の設定回転数Ne1を越え且つ
第2の設定回転数Ne2以内の回転数域に降下した場合
には、通常の目標点火時期に向かって通常の進角変化率
θ2/T2により進角させるよう制御することにより、
点火時期を通常の目標点火時期に緩やかに戻すことがで
き、目標エンジン回転数NTRGT(TW)をわずかに
下回ったエンジン回転数Neを上昇させることができ
る。
【0037】このため、この内燃機関2の点火時期制御
装置106は、内燃機関2生産時のばらつきによるエン
ジン回転数Neの変動である場合には、揮発性の低い重
質ガソリンを燃料として使用した場合と比較して、点火
時期の遅角によるストール発生の惧れが低いので、徐々
に点火時期を進角させてエンジン回転数Neの低下を回
復し、目標エンジン回転数NTRGT(TW)に保持さ
せることができる。
【0038】なお、上述実施例においては、エンジン回
転数Neが、目標エンジン回転数NTRGT(TW)か
ら第2の設定回転数Ne2を越える回転数域に降下した
場合に大きな傾きの進角変化率θ1/T1によって通常
の目標点火時期に迅速に戻すように制御し、第1の設定
回転数Ne1を越え且つ第2の設定回転数Ne2以内の
回転数域に降下した場合に小さな傾きの進角変化率θ2
/T2によって通常の目標点火時期に緩やかに戻すよう
に制御したが、種々応用改変が可能である。
【0039】例えば、点火時期制御装置16は、エンジ
ン回転数Neが時間当たりに降下する割合から回転数降
下率を算出し、この回転数降下率に応じた進角変化率θ
/Tによって通常の目標点火時期に向かって進角させる
よう制御することにより、エンジン回転数Neの降下状
態に応じて点火時期を進角させることができ、エンジン
回転数Neを目標エンジン回転数NTRGT(TW)に
向かって降下状態に応じて適切に戻すように制御するこ
とができる。
【0040】また、点火時期制御装置106は、前記回
転数降下率からエンジン回転数Neが第2の設定回転数
Ne2を越える回転数域や第1の設定回転数Ne1を越
え且つ第2の設定回転数Ne2以内の回転数域に降下す
ることを予測し、降下するエンジン回転数Neが第2の
設定回転数Ne2や第1の設定回転数Ne1に近づいた
場合に、回転数降下率に応じた進角変化率θ/Tによっ
て進角させるよう制御することにより、エンジン回転数
Neが第2の設定回転数Ne2を越える回転数域や第1
の設定回転数Ne1を越える回転数域に降下到達する前
に、目標エンジン回転数NTRGT(TW)に向かって
戻すように制御することができる。
【0041】なお、この点火時期制御装置106は、傾
きの大きい第1の進角変化率θ1/T1によって通常の
目標点火時期に向かって進角させるよう制御するための
回転数として、第1の設定回転数Ne1よりも大きい第
2の設定回転数Ne2を設定したが、この第2の設定回
転数Ne2を冷却水温度に応じて設定することもでき
る。例えば、極低温時のようにエンジン回転数Neの上
昇が困難で降下し易い冷機運転状態においては、第2の
設定回転数Ne2が第1の設定回転数Ne1に近づくよ
うな小さい値に設定することにより、エンジン回転数N
eが目標エンジン回転数NTRGT(TW)から大きく
降下する前に、大きな傾きの進角変化率θ1/T1によ
って通常の目標点火時期に迅速に戻すことができ、目標
エンジン回転数NTRGT(TW)に向かって戻すよう
に制御することができる。
【0042】
【発明の効果】このように、この発明の内燃機関の点火
時期制御装置は、内燃機関の冷機始動後のアイドル運転
時に、エンジン回転数がアイドル運転時の目標エンジン
回転数から第2の設定回転数を超える回転数域まで大き
く降下した場合には、遅角側の目標点火時期を通常の目
標点火時期に向かって迅速に進角させるよう制御するこ
とにより、点火時期を通常の目標点火時期に迅速に戻す
ことができ、通常の目標点火時期による制御によって燃
焼性の悪化を回避することができ、エンジン回転数を目
標エンジン回転数に迅速に戻すことができる。
【0043】このため、この内燃機関の点火時期制御装
置は、特に揮発性の低い重質ガソリンを燃料として使用
する内燃機関を冷機始動した際の、触媒を早期に活性化
させるための点火時期の遅角によるエンジン回転数の急
激な低下を防止し得て、ストールを回避することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す点火時期制御装置のフ
ローチャートである。
【図2】内燃機関の冷機始動時におけるエンジン回転数
と点火時期との関係を示すタイミングチャートである。
【図3】内燃機関の点火時期制御装置の概略構成図であ
る。
【図4】従来例を示す点火時期制御装置のフローチャー
トである。
【図5】内燃機関の冷機始動時におけるエンジン回転数
と点火時期との関係を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
2 内燃機関 12 燃焼室 36 吸気通路 46 排気通路 88 ディストリビュータ 90 水温センサ 94 スロットルセンサ 106 点火時期制御装置 108 制御手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の冷機始動後のアイドル運転時
    に点火時期が通常よりも遅角側の目標点火時期になるよ
    う制御する内燃機関の点火時期制御装置において、前記
    内燃機関のエンジン回転数検出手段を設け、前記内燃機
    関の冷機始動後のアイドル運転時に点火時期が通常より
    も遅角側の目標点火時期になるよう制御している際に、
    前記エンジン回転数検出手段の検出するエンジン回転数
    が前記内燃機関のエンジン冷却水温度により定められる
    目標エンジン回転数からこの目標エンジン回転数保持の
    ための第1の設定回転数よりも大きい第2の設定回転数
    を越える回転数域に降下した場合には、通常の目標点火
    時期に向かって通常の進角変化率よりも大きい第1の進
    角変化率により進角させるよう制御する制御手段を設け
    たことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
  2. 【請求項2】 内燃機関の冷機始動後のアイドル運転時
    に点火時期が通常よりも遅角側の目標点火時期になるよ
    う制御する内燃機関の点火時期制御装置において、前記
    内燃機関のエンジン回転数検出手段を設け、前記内燃機
    関の冷機始動後のアイドル運転時に点火時期が通常より
    も遅角側の目標点火時期になるよう制御している際に、
    前記エンジン回転数検出手段の検出するエンジン回転数
    が前記内燃機関のエンジン冷却水温度により定められる
    目標エンジン回転数からこの目標エンジン回転数保持の
    ための第1の設定回転数を越え且つこの第1の設定回転
    数よりも大きい第2の設定回転数以内の回転数域に降下
    した場合には、通常の目標点火時期に向かって通常の進
    角変化率により進角させるよう制御する制御手段を設け
    たことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
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