JP2002164384A - 半導体チップ実装体の製造方法、ボンディングツール - Google Patents

半導体チップ実装体の製造方法、ボンディングツール

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JP2002164384A JP2000359420A JP2000359420A JP2002164384A JP 2002164384 A JP2002164384 A JP 2002164384A JP 2000359420 A JP2000359420 A JP 2000359420A JP 2000359420 A JP2000359420 A JP 2000359420A JP 2002164384 A JP2002164384 A JP 2002164384A
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bonding
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浩 田沢
Soichi Honma
荘一 本間
Hiroshi Nomura
宏 野邑
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 フリップチップボンディングの生産性を向上
することが可能な半導体チップ実装体の製造方法、ボン
ディングツールを提供する。 【解決手段】 半導体チップ11とボンディング時に接
触するボンディングツール14の面の硬さを指定し、そ
の硬さを半導体チップ11の硬さと同等ないしほぼ1.
7倍の値のビッカース硬さのものとする。このように表
面硬さが指定されたボンディングツール14によれば、
半導体チップ11の裏面が削られて離脱物がボンディン
グツール14表面に堆積する程度が小さくなる。また、
ボンディングツール14の面が必要以上に軟らかくもな
いため、逆にボンディングツール14が削られて表面に
凹凸が生じる程度も小さい。したがって、ボンディング
ツール14の研磨ないし交換なしにボンディングできる
回数を増加させることができ、ボンディングの生産性を
向上することが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体チップを基
板に接続することによって得られる半導体チップ実装体
の製造方法、およびこの製造に用いられるボンディング
ツールに係り、特に、ボンディングの生産性を向上する
のに適する半導体チップ実装体の製造方法、ボンディン
グツールに関する。
【0002】
【従来の技術】半導体チップをフリップチップ接続する
ボンディングについて、図5を参照して説明する。図5
は、半導体チップをフリップチップ接続するためのボン
ディングの態様を示す正面断面図(図5(a))、およ
びボンディングツールの寿命にかかわるその劣化態様を
説明する図(図5(b))である。
【0003】半導体チップのフリップチップ接続は、図
5(a)に示すように、機能面に接続電極43と金属バ
ンプ42とが形成された半導体チップ41の背面をボン
ディングツール44でバキューム吸着し、基板45上に
形成された電極46の位置に金属バンプ42が合うよう
に配置することから始める。このような半導体チップ4
1と基板45との配置関係において、ボンディングツー
ル44は、面接触した半導体チップ41の背面を基板4
5方向に加圧しかつこれに超音波を供給する。
【0004】超音波は、その振動方向が図面横方向であ
り、この振動により半導体チップ41を介して金属バン
プ42が振動し、金属バンプ42が電極46に電気的・
機械的に接続されるものである。この接続部位での接続
自体のメカニズムはワイヤボンディングと同じである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなフリップチ
ップ接続を、ボンディングツール44を用いて繰り返し
行うと、ボンディングツール44には、ある劣化が生じ
る。図5(b)は、このような劣化の典型例を示すもの
であり、半導体チップ41との接触面に凹凸が生じるこ
とにより劣化する。
【0006】凹凸の深さは、ボンディングの回数により
増加するが、この深さが0.05μmないし0.1μm
程度に達したときまたは達していると想定されるとき、
ボンディングツール44の表面を研磨するかボンディン
グツールそのものを交換するかを行う。このような研磨
ないし交換をしないでボンディングを継続すると凸部が
支点となってボンディング加圧時に半導体チップ41が
割れるなどの不良が生じやすくなるからである。
【0007】このボンディングツール44の表面に生じ
る凹凸は、解析の結果、半導体チップ41の裏面が削れ
てその脱離物47が徐々に堆積することにより生じてい
るものであることが判明している。このように、現状の
ボンディングツールでは、その寿命にひとつの限界があ
り、交換ないし研磨を必要とすることで半導体チップ実
装体の生産性低下の原因となっている。
【0008】本発明は、上記した事情を考慮してなされ
たもので、半導体チップを基板にボンディング接続する
ことによって得られる半導体チップ実装体の製造方法、
およびこの製造に用いられるボンディングツールにおい
て、ボンディングの生産性を向上することが可能な半導
体チップ実装体の製造方法、ボンディングツールを提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る半導体チップ実装体の製造方法は、基
板上の導電体と半導体チップ上の導電体との間に金属バ
ンプがはさまれるように前記基板と前記半導体チップと
を配置する第1の工程と、前記半導体チップ上の前記導
電体が存在する第1の面とは反対の前記半導体チップの
第2の面に、前記第2の面の硬さと同等ないしほぼ1.
7倍の値以下のビッカース硬さの面を有するボンディン
グツールを接触させる第2の工程と、前記ボンディング
ツールを前記基板方向に加圧しかつ前記ボンディングツ
ールから超音波を発することにより前記基板と前記半導
体チップとを電気的および機械的に接続する第3の工程
とを有することを特徴とする。
【0010】すなわち、本発明では、半導体チップとボ
ンディング時に接触するボンディングツールの面の硬さ
を指定し、その硬さを半導体チップの硬さと同等ないし
ほぼ1.7倍の値のビッカース硬さのものとする。この
ように表面硬さが指定されたボンディングツールによれ
ば、半導体チップの裏面が削られて離脱物がボンディン
グツール表面に堆積する程度が小さくなる。また、ボン
ディングツールの面が必要以上に軟らかくもないため、
逆にボンディングツールが削られて表面に凹凸が生じる
程度も小さい。
【0011】したがって、ボンディングツールの研磨な
いし交換なしにボンディングできる回数を増加させるこ
とができる。よって、ボンディングの生産性を向上する
ことが可能になる。
【0012】なお、基板は、それ自体が導電体であって
もよい。これには、例えば、リードフレームを挙げるこ
とができる。
【0013】また、本発明に係るボンディングツール
は、被接続体との接触面と、前記接触面に超音波を供給
する超音波発生部とを有し、前記接触面が600ないし
1200の範囲のビッカース硬さであることを特徴とす
る。
【0014】すなわち、ボンディングツールの被接続体
との接触面の硬さを600ないし1200の範囲のビッ
カース硬さに限定する。この範囲は、GaAs半導体チ
ップの表面硬さと同等ないしほぼ1.7倍の値のビッカ
ース硬さであり、GaAs半導体チップをフリップチッ
プ接続する場合に、その研磨ないし交換の頻度を小さく
することができる。したがって、そのボンディングの生
産性を向上することが可能になる。
【0015】なお、ここで被接続体とはボンディングが
施されるものいい、例えば、半導体チップ、リードフレ
ームをも含む基板などである。
【0016】また、ビッカース硬さとは、JIS Z
2244に規定される試験法により計測される硬さをい
い、試験加重と永久くぼみ表面積とから算出される値で
ある。
【0017】また、本発明は、ボンディングツールの被
接続体との接触面の硬さを900ないし1700の範囲
のビッカース硬さに限定することもできる。この範囲
は、Si半導体チップの表面硬さと同等ないしほぼ1.
7倍の値のビッカース硬さであり、Si半導体チップを
フリップチップ接続する場合に、その研磨ないし交換の
頻度を小さくすることができる。したがって、そのボン
ディングの生産性を向上することが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の形態とし
て、請求項1において、前記第1、第2、および第3の
工程は、前記半導体チップがGaAs基板のチップであ
り、前記第2の工程は、前記ボンディングツールが有す
る前記面の硬さが、600ないし1200の範囲のビッ
カース硬さである。
【0019】これは、上述のように、この範囲の硬さが
GaAs半導体チップの表面硬さと同等ないしほぼ1.
7倍の値のビッカース硬さだからであり、GaAs半導
体チップのフリップチップ接続に適するからである。
【0020】また、本発明の好ましい実施の形態とし
て、請求項1において、前記第1、第2、および第3の
工程は、前記半導体チップがSi基板のチップであり、
前記第2の工程は、前記ボンディングツールが有する前
記面の硬さが、900ないし1700の範囲のビッカー
ス硬さである。
【0021】これは、上述のように、この範囲の硬さが
Si半導体チップの表面硬さと同等ないしほぼ1.7倍
の値のビッカース硬さだからであり、Si半導体チップ
のフリップチップ接続に適するからである。
【0022】また、本発明の好ましい実施の形態とし
て、請求項1において、前記第2の工程は、前記ボンデ
ィングツールの前記面を構成する材料が超硬合金であ
る。
【0023】超硬合金によれば、ビッカース硬さの指定
されたボンディングツール面を形成することが容易であ
る。例えば、WC−Co系の超硬合金であれば、Coの
含有率が少なく、また、炭化物WCの粒径が小さいほど
硬度が大きくなる。また、WC−TiC−TaC−Co
系の超硬合金であれば、Coの含有率が小さく、また、
TiCの含有率が多いほど硬度が大きくなる。
【0024】なお、超硬合金とは、金属炭化物粉末と金
属粉末を配合して圧縮成形ののち燒結して製造される合
金のことである。
【0025】また、本発明の好ましい実施の形態とし
て、請求項1において、前記第2の工程は、前記ボンデ
ィングツールの前記面の大きさが、前記半導体チップの
第2の面に内包される大きさである。
【0026】半導体チップの第2の面よりボンディング
ツールの接触面の方が大きいと、ボンディングツールの
接触面の周縁部付近が半導体チップのエッジで削られ段
差が生じ易くなる。この段差は、やはり、ボンディング
時の半導体チップの割れを引き起こす原因となり得るか
らである。
【0027】また、本発明の好ましい実施の形態とし
て、請求項1において、前記第1の工程は、前記金属バ
ンプに、Au、Cu、Ni、Pd、Sn、Pb、Ag、
Bi、Zn、In、Sb、Ge、これらの一部を組成と
する合金、これらの一部を含有する化合物、これらの一
部からなる混合物、のうちのいずれかを適用することが
できる。
【0028】金属バンプとしては、半導体チップのパッ
ド(接続電極)および基板のパッド(接続電極)と加圧
接合できるものである必要がある。これらの材料であれ
ば加圧接合に適するものとなり得る。
【0029】また、本発明の好ましい実施の形態とし
て、請求項1において、前記第1および第3の工程は、
前記基板に、セラミック、樹脂、ガラスのうちのいずれ
かを適用することができる。
【0030】基板は、ボンディングツールと直接接触す
ることがないので、種々のものを用いることができる。
セラミックには、窒化アルミニウムなどを例示すること
ができる。樹脂には、例えばポリイミドのようなフレキ
シブルな材料、ガラスエポキシ樹脂のようなリジッドな
材料いずれも用いることができる。ガラスは、例えば液
晶表示装置用の基板として用いることができる。
【0031】また、本発明の好ましい実施の形態とし
て、請求項1において、前記第1の工程は、前記基板上
の前記導電体の表面が、Auを有し、前記第1および第
2の工程は、前記半導体チップ上の前記導電体の表面が
Auを有する。
【0032】ボンディング技術として最も一般的な金ボ
ンディングを適用するものである。
【0033】また、本発明の好ましい実施の形態とし
て、請求項1において、前記第1の工程は、前記金属バ
ンプの存在する線密度が、1mm当り5個ないし20個
である。すなわち、本発明は狭ピッチの接続電極同士の
接続にも適用できる。
【0034】また、本発明の好ましい実施の形態とし
て、請求項10または11において、ボンディングツー
ルの半導体チップとの接触面を構成する材料は超硬合金
である。この理由はすでに述べた通りである。
【0035】以下、本発明の実施形態を図面を参照しな
がら説明する。
【0036】図1は、本発明の一実施形態を説明する図
である。同図(a)は、半導体チップ11の機能面を示
す平面図である。半導体チップ11には、外部との接続
のためパッド(半導体チップ上の導電体に相当する。)
12が形成されている。パッド12は、例えば2層の金
属で形成され、その下層がバリア金属としてNi、上層
がボンディング金属としてのAuである。同図(b)
は、図1(a)におけるA1−A2に沿う断面図であ
る。
【0037】半導体チップ11の各パッド12上には、
図1(c)に示すように、ボールバンプボンダ17によ
り金属バンプ13が形成される。なお、この金属バンプ
13の形成は、ダイシング前のウエハの状態の半導体チ
ップに施すようにしてもよい。この場合は、各パッド1
2への金属バンプ13の形成を終えたあとダイシングす
る。
【0038】金属バンプ13が形成されかつダイシング
されている半導体チップ11は、図1(d)に示すよう
に、その背面をボンディングツール14により面接触さ
れて基板15上に配置され、このとき基板15の接続ラ
ンド(基板上の導電体に相当する。)16それぞれと半
導体チップ11の各金属バンプ13とが接触する。ここ
で、ボンディングツール14が半導体チップ11の背面
への付着を維持し図1(d)に示すような配置に移行す
るためには、ボンディングツール14の半導体チップ1
1との接触面においてバキューム吸着を利用することが
できる。
【0039】図1(d)に示す配置においてボンディン
グツール14を基板15方向に加圧し、かつ、横方向に
超音波を印加する。これにより、半導体チップ11は、
基板15にフリップチップ接続される。ここでボンディ
ングツール14の半導体チップ11との接触面の大きさ
は、上記のように半導体チップ11の背面の大きさに内
包される大きさとする方が好都合である。
【0040】なお、以上の実施形態では、半導体チップ
11のパッド12上に金属バンプ13をあらかじめ形成
してから、半導体チップ11を基板15にフリップチッ
プ接続するようにしたが、基板11の接続ランド16上
に金属バンプをあらかじめ形成してから、金属バンプの
形成されていない半導体チップ11を基板15にフリッ
プチップ接続してもよい。
【0041】
【実施例】以下、実施例を説明する。3インチ径のGa
Asウエハであって、チップサイズ1mm角のデバイス
が多数作り込まれたものを用意した。各チップには、1
00μm角のAuパッドが13箇所形成されている。ウ
エハの状態において、Auボールバンプをこのパッド上
に形成した。
【0042】Auボールバンプを形成した後、ダイシン
グし1mm角のチップを得、このチップを用いて、Au
表面の接続ランドを有するアルミナ基板と超音波フリッ
プチップ接続を行った。ここで、ボンディングツールの
接触面の大きさは0.9mm角としてチップより小さく
し、またその材質には超硬合金を用いて、半導体チップ
との接触面のビッカース硬さを種々変化させたものを用
意した。
【0043】ビッカース硬さが制御された超硬合金とし
ては、WC−Co系(タングステン炭化物−コバルト)
のものを用いた。WC−Co系超硬合金では、Coの含
有率が小さく、また、炭化物の粒径が小さいほど硬くな
る。例えば、ビッカース硬さを950にするには、Co
を25%、WCを75%とし、平均粒径を5μmとして
混合し生成する。また、ビッカース硬さを1300にす
る場合は、Coを11%、WCを89%として、粒径を
3〜5μmとして混合して生成する。
【0044】なお、WC−Co系の他にも、WC−Ti
C−TaC−Co系やWC−TiC−NbC−Co系の
ものを用いることもできる。これらのものでは、Coの
含有率が小さく、また、TiCの含有率が大きいほど硬
くなる。例えば、WC−TiC−TaC−Co系では、
WCを59%、TiCを7%、TaCを22%、Coを
12%とするとビッカース硬さは約1300になる。
【0045】超音波フリップチップ接続の実装条件は、
バンプ当り加重0.88N、超音波強度1W、超音波周
波数60kHz、超音波印加時間0.5s、温度200
度とした。これにより製造された実装体を試験した結
果、せん断方向に対しての強度(ダイシア強度)がバン
プ当り0.8N以上であり十分な強度が得られた。−6
5度/150度、1000サイクルの温度サイクル試験
においても問題となる不良発生がなかった。
【0046】図2は、ボンディングツールのビッカース
硬さを種々変えたときの、その半導体チップとの接触面
に生じる半導体の離脱物の付着量を測定した結果を示す
グラフである。それぞれ実装回数は9000回である。
この付着量の測定には表面粗さ計を用いた。
【0047】同図に示すように、ビッカース硬さが12
00程度より小さい場合には、付着量はごく小さいこと
が分かった。この程度の小ささであれば、その凹凸が原
因として生じるフリップチップ実装時の半導体チップの
割れは起こらないことは経験的に知見されている。した
がって、上限としてビッカース硬さが1200程度以下
にすることがGaAsチップ用のボンディングツールと
して適切であると結論づけられる。なお、GaAsチッ
プのビッカース硬さは約700であり、この数値との関
係で言うと約1.7倍である。
【0048】すなわち、定性的にはボンディングツール
を半導体チップよりやや硬めにするのが最も望ましく、
これは、ボンディングツールは何度も繰り返し加圧され
るところ、半導体チップは一つについて1度のみの加圧
であることに起因するものと考えられる。
【0049】次に、もう一つの実施例について説明す
る。6インチ径のSiウエハであって、チップサイズ1
mm角のデバイスが多数作り込まれたものを用意した。
各チップには、100μm角のAlパッドが13箇所形
成されている。ウエハの状態において、Auボールバン
プをパッド上に形成した。ダイシングおよびフリップ接
続工程については、ボンディングツールのビッカース硬
さを除き、上記の例と同様である。
【0050】これにより製造された実装体を試験した結
果、せん断方向に対しての強度がバンプ当り0.8N以
上であり十分な強度が得られた。−65度/150度、
1000サイクルの温度サイクル試験においても問題と
なる不良発生がなかった。
【0051】図3は、ボンディングツールのビッカース
硬さを種々変えたときの、その半導体チップとの接触面
に生じる半導体の離脱物の付着量を測定した結果を示す
グラフである。それぞれ実装回数は9000回である。
この付着量の測定には表面粗さ計を用いた。
【0052】同図に示すように、この場合、ビッカース
硬さが1700程度より小さい場合には、付着量はごく
小さいことが分かった。この程度の小ささであれば、そ
の凹凸が原因として生じるフリップチップ実装時の半導
体チップの割れは起こらないことは経験的に知見されて
いる。したがって、上限としてビッカース硬さが170
0程度以下にすることがSiチップ用のボンディングツ
ールとして適切であると結論づけられる。なお、Siチ
ップのビッカース硬さは約1000であり、この数値と
の関係で言うとやはり上限は半導体チップのビッカース
硬さの約1.7倍となっている。
【0053】次に、上記2つの実施例のうち前者におい
てボンディングツールのビッカース硬さを種々変えたと
きの耐久実装回数を調べた結果について説明する。図4
は、ボンディングツールのビッカース硬さを種々変えた
ときの耐久実装回数を調べた結果を示すグラフである。
ここで、耐久実装回数は、ボンディングツールの半導体
チップとの接触面に最大0.1μmの凹凸が生じたとき
の回数である。凹凸は表面粗さ計を用いて測定した。ま
た、図4において、ビッカース硬さ600〜1200に
ついては、9000回実装においても上記の大きさの凹
凸は生じず、それ以上の試行はしていないことを示して
いる。
【0054】図4に示すように、ビッカース硬さの上限
については、1200程度まで良好に実装回数の高い水
準を維持していることがわかり、これは、図2に示した
結果とも符合する。すなわち、この上限近辺においては
ボンディングツールの接触面に生じた凹凸は半導体チッ
プの離脱物による付着物である。
【0055】また、ボンディングツールのビッカース硬
さが600程度より小さい場合にも、その接触面に凹凸
が生じやすくなることが示される。これは、GaAsチ
ップのビッカース硬さが約700であることから、逆に
ボンディングツールの方が半導体チップにより削られ、
表面が荒れたものと考えられる。すなわち、この結果か
ら、ボンディングツールとして、その生産性を向上する
ためには接触面の硬さの下限についても条件があり、そ
れは、ほぼ半導体チップと同程度のビッカース硬さ(こ
の場合は約600以上のビッカース硬さ)であるという
ことである。
【0056】なお、以上より、ボンディングツールのビ
ッカース硬さは、半導体チップのビッカース硬さに比し
てほぼ1.3倍程度(ここでは、ビッカース硬さ900
程度)のときが高水準の耐久実装回数の中でも中央に位
置し最適であると言える。
【0057】上記2つの実施例のうち後者においても同
様の測定を行えば同様の結果が得られるものと考えら
れ、この場合下限については約900以上のビッカース
硬さであることが条件となる。
【0058】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る半導
体チップ実装体の製造方法によれば、半導体チップとボ
ンディング時に接触するボンディングツールの面の硬さ
を半導体チップの硬さと同等ないしほぼ1.7倍の値の
ビッカース硬さのものとすることにより、半導体チップ
の裏面が削られて離脱物がボンディングツール表面に堆
積する程度を小さくできる。また、ボンディングツール
の面が必要以上に軟らかくもないため、逆にボンディン
グツールが削られて表面に凹凸が生じる程度も小さい。
したがって、ボンディングツールの研磨ないし交換なし
にボンディングできる回数を増加させることができ、よ
って、ボンディングの生産性を向上することが可能にな
る。
【0059】また、本発明に係るボンディングツール
は、被接続体との接触面と、前記接触面に超音波を供給
する超音波発生部とを有し、前記接触面が600ないし
1200の範囲のビッカース硬さ、または、900ない
し1700のビッカース硬さ、すなわち、GaAs半導
体チップの表面硬さ、またはSi半導体チップの表面硬
さと同等ないしほぼ1.7倍の値のビッカース硬さであ
り、半導体チップの裏面を削る程度が小さく、かつボン
ディングツールが削られる程度も小さい。したがって、
ボンディングツールの研磨ないし交換の頻度を小さくす
ることができ、ボンディングの生産性を向上することが
可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を説明する図。
【図2】ボンディングツールのビッカース硬さを種々変
えたときの、その半導体チップとの接触面に生じる半導
体の離脱物の付着量を測定した結果を示すグラフ(半導
体チップはGaAs)。
【図3】ボンディングツールのビッカース硬さを種々変
えたときの、その半導体チップとの接触面に生じる半導
体の離脱物の付着量を測定した結果を示すグラフ(半導
体チップはSi)。
【図4】ボンディングツールのビッカース硬さを種々変
えたときの耐久実装回数を調べた結果を示すグラフ(半
導体チップはGaAs)。
【図5】半導体チップをフリップチップ接続するための
ボンディングの態様を示す正面断面図(図5(a))、
およびボンディングツールの寿命にかかわるその劣化態
様を説明する図(図5(b))。
【符号の説明】
11…半導体チップ 12…パッド 13…金属バンプ
14…ボンディングツール 15…基板 16…接続
ランド 17…ボールバンプボンダ
フロントページの続き (72)発明者 野邑 宏 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝マイクロエレクトロニクスセン ター内 Fターム(参考) 5F044 PP16

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上の導電体と半導体チップ上の導電
    体との間に金属バンプがはさまれるように前記基板と前
    記半導体チップとを配置する第1の工程と、 前記半導体チップ上の前記導電体が存在する第1の面と
    は反対の前記半導体チップの第2の面に、前記第2の面
    の硬さと同等ないしほぼ1.7倍の値以下のビッカース
    硬さの面を有するボンディングツールを接触させる第2
    の工程と、 前記ボンディングツールを前記基板方向に加圧しかつ前
    記ボンディングツールから超音波を発することにより前
    記基板と前記半導体チップとを電気的および機械的に接
    続する第3の工程とを有することを特徴とする半導体チ
    ップ実装体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1、第2、および第3の工程は、
    前記半導体チップがGaAs基板のチップであり、 前記第2の工程は、前記ボンディングツールが有する前
    記面の硬さが、600ないし1200の範囲のビッカー
    ス硬さであることを特徴とする請求項1記載の半導体チ
    ップ実装体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第1、第2、および第3の工程は、
    前記半導体チップがSi基板のチップであり、 前記第2の工程は、前記ボンディングツールが有する前
    記面の硬さが、900ないし1700の範囲のビッカー
    ス硬さであることを特徴とする請求項1記載の半導体チ
    ップ実装体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第2の工程は、前記ボンディングツ
    ールの前記面を構成する材料が超硬合金であることを特
    徴とする請求項1記載の半導体チップ実装体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記第2の工程は、前記ボンディングツ
    ールの前記面の大きさが、前記半導体チップの第2の面
    に内包される大きさであることを特徴とする請求項1記
    載の半導体チップ実装体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第1の工程は、前記金属バンプが、
    Au、Cu、Ni、Pd、Sn、Pb、Ag、Bi、Z
    n、In、Sb、Ge、これらの一部を組成とする合
    金、これらの一部を含有する化合物、これらの一部から
    なる混合物、のうちのいずれかであることを特徴とする
    請求項1記載の半導体チップ実装体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第1および第3の工程は、前記基板
    が、セラミック、樹脂、ガラスのうちのいずれかである
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体チップ実装体の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第1の工程は、前記基板上の前記導
    電体の表面が、Auを有し、前記第1および第2の工程
    は、前記半導体チップ上の前記導電体の表面がAuを有
    することを特徴とする請求項1記載の半導体チップ実装
    体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記第1の工程は、前記金属バンプの存
    在する線密度が、1mm当り5個ないし20個であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の半導体チップ実装体の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 被接続体との接触面と、 前記接触面に超音波を供給する超音波発生部とを有し、 前記接触面のビッカース硬さが600ないし1200の
    範囲であることを特徴とするボンディングツール。
  11. 【請求項11】 被接続体との接触面と、 前記接触面に超音波を供給する超音波発生部とを有し、 前記接触面のビッカース硬さが900ないし1700の
    範囲であることを特徴とするボンディングツール。
  12. 【請求項12】 前記接触面を構成する材料が超硬合金
    であることを特徴とする請求項10または11記載のボ
    ンディングツール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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