JP2002161405A - 婦人服 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 変色・褪色した高級着物用布地であっても、
その布地の持つ特徴を生かした婦人服を提供する 【解決手段】 腰に巻き付ける部分において、下前側端
縁１１の留め位置を横方向に可変できるようにすると共
に上前側端縁１４の留め位置を縦方向に可変できるよう
にし、裾の部分においては、下前側端縁１１と上前側端
縁１４とが曲線を描く花びら状に開いた形状にし、か
つ、上前側の前面に高級着物用布地の模様Ｍの一部分が
表れるようにデザインされた巻きスカート１と、袖口に
たもと状のふくらみ部２２を形成すると共に、そのふく
らみ部２２に高級着物用布地の模様Ｍの一部分を表すこ
とができるようにデザインされた上衣２とにより構成さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、礼装用留袖、訪問
着、附下げ訪問着など模様を有する高級着物用布地を用
いてデザインされる婦人服に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】我が国の伝統の着物文化は、手描き、染
色技術、刺繍技術、絞り染め技術など、各種の技術によ
って築き上げられ、世界に類をみない最高水準の衣服文
化と言える。しかし、最高水準の着物文化と言えるとし
ても、着物は高価であり、着物と共に特別な結び方の帯
もあるので一人での着付けには時間を要する。さらに、
着物を着たとしても、交通手段・職場環境など日常生活
においては、洋服に比較して不自由を感じることが多い
ので、伝統の着物文化が衰退の一途を辿っている。この
ため、礼装用留袖、訪問着、附下げ訪問着などのそれぞ
れ高級な着物に相応しい模様（絵羽根様など）を施した
布地（反物）が在庫品になることが多くなっている。

【０００３】これに対して、婦人服は当然のことながら
婦人服用の各種洋服布地を用いて縫製される。即ち、婦
人服は各種洋服布地を用いて縫製されるとしても、高級
着物用布地は、高価な上に着物に相応しい特殊な模様
（絵羽根様など）が施されているので、これが婦人服に
用いられることはなかった。ただし、アイデアとして
は、特開平７−３０５２０７号公報に示されたように、
反物を裁断しないで、他の布地を加えて洋服をつくる方
法が知られている。また、二部式着物にして現代社会に
対応させる衣服の考えも知られている。しかし、高級着
物用布地のように縫目にまたがる大柄の絵羽根様が施さ
れている布地（反物）で洋服をつくるアイデアは見当た
らない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、高級着
物用布地は高級着物以外に適当な用途がない上に、近
年、着物の需要が減少していることから高級着物用布地
が売れ残ることが多い。また、着物店では、店の見栄え
を良くするために高級着物用布地による着物を店頭に飾
ることが多いが、これらの着物もそのままになることが
多い。これらの反物や着物が売残ると、布地の一部分が
変色したり、汚れることもある。店頭に飾らない反物で
あっても、長期間の間には変色・褪色することがある。
このように、布地の一部分といえども変色・褪色すると
商品価値が低下し、高級着物用として使用できなくなる
ことがある。この発明は、上記のように変色・褪色した
高級着物用布地であっても、その布地の持つ特徴を生か
した婦人服を提供することにより、我が国の伝統の着物
文化を守るための一助になることを願うものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明における婦人服は、礼装用留袖、訪問着、付
下げ訪問着など模様を有する高級着物用布地を用いて縫
製されるものであり、腰に巻き付ける部分において、下
前側端縁の留め位置を横方向に可変できるようにすると
共に上前側端縁の留め位置を縦方向に可変できるように
し、裾の部分においては、下前側端縁と上前側端縁とが
曲線を描く花びら状に開いた形状にし、かつ、上記上前
側の前面に上記模様の一部分を表すことができるように
デザインされた巻きスカートと、袖口にたもと状のふく
らみ部を形成すると共に、そのふくらみ部に上記模様の
一部分を表すことができるようにデザインされた上衣と
により出来上がったものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】発明の実施の形態を実施例にもと
づき図面を参照して説明する。図１ないし図３におい
て、１は高級着物用布地を裁断して縫製した巻きスカー
トであり、図２に示すように、腰に巻き付ける部分にお
いて、下前側端縁１１の留め位置を横方向に可変できる
ように留め具１２，１３が設けてある。この実施例の場
合、留め具１３は、１３ａ，１３ｂ，１３ｃの３段階に
設けてあり、ウエストサイズの変化に対応できるように
なされている。この留め具１２，１３（１３ａ，１３
ｂ，１３ｃ）に対応して、上前側端縁１４の留め位置を
合わせるように留め具１５及び留め具１６（１６ａ，１
６ｂ，１６ｃ）が設けてある。上記留め具１２，１３及
び留め具１５，１６は、こはぜ、ボタン、スナップホッ
クあるいはマジックテープ（商品名）などの留め具の中
から適切な留め具を選択して用いる。

【０００７】上記の上前側端縁１４の下側近傍には切れ
目１４ａが入れてあり、その端縁１７の位置を縦方向に
可変できるようにしてある。即ち、１８は長さ調節留め
具であり、軟質の合成樹脂材もしくは比較的丈夫な布材
で図４のように形成されている。この長さ調節留め具１
８は、一方の面に、上下方向に三段階の係止帯１８ａ，
１８ｂ，１８ｃが設けてある。他方の面には、ボタン、
スナップホックあるいはマジックテープ（商品名）など
の内、いずれかの留め具１８ｄが設けてある。上前側端
縁１４の前側には、留め具１８ｄを留めるための留め具
１９が設けてある。上記上前側端縁１４の前側に設けた
留め具１９に長さ調節留め具１８を留める。そして、留
められた長さ調節留め具１８の係止帯１８ａ，１８ｂ，
１８ｃのいずれかに端縁１７を通すことにより端縁１７
の位置を縦方向に可変できるようになされている。

【０００８】上記説明では、長さ調節留め具１８は上前
側端縁１４の前側に設けた留め具１９に留めるようにな
されているが、留め具１９を上前側端縁１４の中側に設
けて、中側で長さ調節するようにしてもよい。また、切
れ目１４ａを設けないで、着物の上げのようにして長さ
を調節してもよい。

【０００９】この巻きスカートの裾の部分は、下前側端
縁と上前側端縁とが曲線を描く花びら状に開いた形状に
縫製されている。この巻きスカート１においては、留め
具１２，１３により、ウエストサイズに対応できるよう
に縫製されている。また、長さ調節留め具１８は、上前
側の前面にできるドレープＤの状態を変化させるように
なされている。さらに、この巻きスカート１の上前側の
前面には、高級着物用布地の裾部分に施さられていた絵
羽模様の全部または一部分が模様Ｍとして表れるように
デザインして縫製されている。

【００１０】２は上記巻きスカート１と同様の高級着物
用布地を裁断して縫製した上衣であり、ブラウス状に縫
製されている。この上衣２は特に袖口２１にたもと状の
ふくらみ部２２が形成されている。このふくらみ部２２
には、高級着物用布地の袂部分に施さられていた絵羽模
様の全部または一部分が模様Ｍとして表れるようにデザ
インされている。また、前身ごろ２４にも、高級着物用
布地の絵羽模様の全部または一部分が表れるように、絵
羽模様が施されている部分を使用することもある。な
お、上衣２としては、ボタンあるいはスナップホックな
どの留め具は用いなくてもよいが、デザインによっては
留め具を用いてもよい。

【００１１】３は巻きスカート１のウエスト部分を結び
締めするように形成されたベルトであり、高級着物用布
地から、巻きスカート１及び上衣２のための布地をとっ
た残りの布地を用いて縫製したものである。従って、絵
羽模様の一部分が表れることもある。このベルト３は、
スカート１及び上衣２の関係から結び締めするものが望
ましいが、デザインの都合によっては留め具を用いても
よい。

【００１２】上記のように、巻きスカート１、上衣２、
ベルト３のデザインにあたり、高級着物用布地の絵羽模
様を有効に生かすように配慮されるが、仕立て上がりの
寸法は、フリーサイズになるように、特に、ウエストサ
イズは余裕を持たせるように配慮される。なお、この発
明による婦人服の要点は、上記のようにスカート１と上
衣２とベルト３により構成されるものであるが、上衣２
によりベルト３が見えないときは一般のベルトを使用し
ても発明の要点が無くなるものではない。

【００１３】

【発明の効果】本発明の婦人服は、以上説明したように
構成されているので、以下に記載されるような効果を奏
する。

【００１４】変色・褪色した高級着物用布地であって
も、その布地の持つ特徴を生かした高級婦人服を提供で
きる。

【００１５】高級着物用布地であっても、変色・褪色し
たものは安価に入手できるので、着物に比較して安価に
なり、提供が容易になる。

【００１６】着物と同様のフリーサイズにできるので、
長期間着ることができる。即ち、高級着物は、布地及び
模様ともに流行に左右され難いので、着物と同様に長期
間着ることができる。

【００１７】従って、本発明によれば、和服用の布地の
風合と、礼装用和服の絵羽模様あるいは附下訪問着用の
模様を洋服の中に、柄を大切に息づかせることにより、
最高のフォーマルの第一礼装の格調を備えた婦人服が得
られる。即ち、洋服でありながら、和服のイメージを合
わせ持ち、結婚式、披露宴など華やかなフォーマルのお
席に活躍できる。さらに、和と洋の融合により、日本の
手描き、染色技術、刺繍技術、絞り染め技術など各種の
技術の素晴らしさが改めて再確認され、日常生活の中で
身近なものになり、普通の和服の需要をも伸ばし発展さ
せる力になるものと期待できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の婦人服の実施例を示す正面図である。

【図２】本発明の巻きスカートを示す説明図である。

【図３】本発明の上衣を示す説明図である。

【図４】長さ調節留め具を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 巻きスカート １１ 下前側端縁 １２，１３ 留め具 １４ 上前側端縁 １５，１６ 留め具 １８ 長さ調節留め具 ２ 上衣 ２２ ふくらみ部 ３ ベルト Ｄ ドレープ Ｍ 模様

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 礼装用留袖、訪問着、附下げ訪問着など
   模様を有する高級着物用布地を用いて縫製されるもので
   あり、 腰に巻き付ける部分において、下前側端縁の留め位置を
   横方向に可変できるようにすると共に上前側端縁の留め
   位置を縦方向に可変できるようにし、裾の部分において
   は、下前側端縁と上前側端縁とが曲線を描く花びら状に
   開いた形状にし、かつ、上記上前側の前面に上記模様の
   一部分を表すことができるようにデザインされた巻きス
   カートと、袖口にたもと状のふくらみ部を形成すると共
   に、そのふくらみ部に上記模様の一部分を表すことがで
   きるようにデザインされた上衣とからなる婦人服。