JP2002161069A - 有機銅化合物及び該化合物を含む混合液並びにそれを用いて作製された銅薄膜 - Google Patents

有機銅化合物及び該化合物を含む混合液並びにそれを用いて作製された銅薄膜

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JP2002161069A
JP2002161069A JP2000302406A JP2000302406A JP2002161069A JP 2002161069 A JP2002161069 A JP 2002161069A JP 2000302406 A JP2000302406 A JP 2000302406A JP 2000302406 A JP2000302406 A JP 2000302406A JP 2002161069 A JP2002161069 A JP 2002161069A
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Atsushi Sai
篤 齋
Katsumi Ogi
勝実 小木
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Mitsubishi Materials Corp
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成膜前の保存状態で分解しにくく寿命が長
い。より高い成膜速度が得られ、基板上で効率よく分解
して揮発性が高い。下地膜との密着性に優れる。 【解決手段】 有機銅化合物は、一価の銅に1,3−ジ
ヒドロキシ−1,3−プロパンジオンと不飽和炭化水素
化合物とを配位した次の式(1)で示される。 【化9】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置の配線
に用いられる銅(Cu)薄膜を有機金属化学蒸着(Meta
l Organic Chemical Vapor Deposition、以下、MOC
VDという。)法により作製するための有機銅化合物及
び該化合物を含む混合液並びにそれを用いてMOCVD
法により作製された銅薄膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】MOCVD法に用いられる有機銅化合物
として、厳格な化学的、構造的かつ電気的広範な必要条
件の組合せを充足させる選択蒸着能力のある室温で液体
の錯体銅(I)tmvs・hfac(tmvsはトリメチ
ルビニルシランの略語で、hfacはヘキサフルオロア
セチルアセトン陰イオンの略語である)が良く知られて
いる(特開平5−202476)。しかしこの化合物は
極めて安定性に欠け、室温で容易に分解し、金属銅の析
出と副生成物の銅(II)(hfac)2に変化し劣化が著
しい。そのため、この有機銅化合物は成膜時に安定して
供給することが難しく、成膜の再現性に劣る。
【0003】この点を解決するために、上記有機銅化合
物よりも安定した気化速度を得られるとともに優れた揮
発性と熱安定性を示す室温で液体の銅(I)atms・h
fac(atmsはアリルトリメチルシランの略語であ
る)が開示されている(特開平7−252266、特開
平10−135154)。一方、銅(I)hfacと(メト
キシ)(メチル)シリロレフィンリガンドを含み、気化温
度まで加熱されると、(メトキシ)(メチル)シリロレフィ
ンリガンド内の酸素の電子供与能力が銅と(メトキシ)
(メチル)シリロレフィンリガンドとの間に安定な結合を
提供する銅プリカーサ化合物が提案されている(特開平
10−195654)。この銅プリカーサ化合物では、
メトキシ基の酸素原子が主に銅プリカーサ化合物の揮発
性を抑制し、銅プリカーサ化合物の温度安定性及び寿命
を向上させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、銅(I)tmv
s・hfacは勿論のこと、特開平7−252266号
公報及び特開平10−135154号公報に示された銅
(I)atms・hfac、並びに特開平10−1956
54号公報に示された銅プリカーサ化合物では、いずれ
もスパッタリング法に代表される物理蒸着法に比べて成
膜速度が遅く、下地膜との密着性に劣る欠点があった。
またhfac配位子はフッ素(F)を含むため、MOC
VD装置が腐食し易く、またMOCVD工程における排
ガス処理が複雑になる問題もあった。本発明の目的は、
保存状態で分解しにくく寿命が長い有機化合物及び該化
合物を含む混合液を提供することにある。本発明の別の
目的は、高い成膜速度が得られ、基板上で効率よく分解
して揮発性が高く、下地膜との密着性に優れた有機化合
物及び該化合物を含む混合液を提供することにある。本
発明の別の目的は、MOCVD装置が腐食しにくくMO
CVD工程における排ガス処理を複雑にしない有機化合
物及び該化合物を含む混合液を提供することにある。本
発明の別の目的は、下地膜と堅牢に密着する高純度の銅
薄膜を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため可能性を求めて、従来の銅薄膜形成用原
料液に広く用いられてきたhfacに代わるベータジケ
トン化合物を用いることを試みて種々の化合物を合成
し、MOCVDによる銅薄膜形成試験を続けた結果、
1,3−ジヒドロキシ−1,3−プロパンジオンを配位
子に用いた有機銅化合物がhfacと同様に、優れたM
OCVD用有機銅化合物ソースとなることを確認して本
発明に至った。
【0006】即ち、請求項1に係る発明は、一価の銅に
1,3−ジヒドロキシ−1,3−プロパンジオンと不飽
和炭化水素化合物とを配位した次の式(1)で示される
有機銅化合物である。但し、Rは不飽和炭化水素化合物
である。
【0007】
【化5】
【0008】請求項1に係る発明の有機銅化合物は、
1,3−ジヒドロキシ−1,3−プロパンジオンと不飽
和炭化水素化合物とを組合せることによりOH基からC
uに電子供与性を生じ、この電子供与性から式(1)に
示す有機銅化合物は保存状態で分解しにくく高い安定性
を示す。また式(1)に示す化合物は1,3−ジヒドロ
キシ−1,3−プロパンジオンと不飽和炭化水素化合物
によって立体障害を作り出すため、成膜速度が高い上、
基板上で効率よく分解して揮発性が高く、下地膜との密
着性に優れる。
【0009】また請求項2に係る発明は、請求項1に係
る発明であって、不飽和炭化水素化合物がアルケニル基
を有する化合物である次の式(2)で示される有機銅化
合物である。
【0010】
【化6】
【0011】但し、X1,X2,X3,X4はそれぞれ水素
であるか、又は炭素数が1〜4のアルキル基のいずれか
であって、互いに同一でも異なってもよい。このアルケ
ニル基を有する化合物は、エテン、プロペン、ブテン又
はペンテンのいずれかの置換体であることが好ましい。
【0012】また請求項4に係る発明は、請求項1に係
る発明であて、不飽和炭化水素化合物がアルキン基を有
する化合物である次の式(3)で示される有機銅化合物
である。
【0013】
【化7】
【0014】但し、X5,X6はそれぞれ水素であるか、
又は炭素数が1〜4のアルキル基のいずれかであって、
互いに同一でも異なってもよい。このアルキン基を有す
る化合物は、アセチレン、プロピン、ブチン、ペンチン
又はヘキシンのいずれかの置換体であることが好まし
い。
【0015】また請求項6に係る発明は、請求項1に係
る発明であって、不飽和炭化水素化合物がシリル基を結
合した不飽和炭化水素化合物である次の式(4)で示さ
れる有機銅化合物である。
【0016】
【化8】
【0017】但し、Y1,Y2,Y3はそれぞれ水素であ
るか、又は炭素数が1〜4のアルキル基若しくはアルコ
キシ基のいずれかであって、互いに同一でも異なっても
よい。R’は二重結合又は三重結合を有する不飽和炭化
水素基である。
【0018】また請求項7に係る発明は、請求項1ない
し6いずれか記載の有機銅化合物と、トリメチルビニル
シラン(以下、「tmvs」という。)、トリメトキシ
ビニルシラン(以下、「tmovs」という。)、アリ
ルトリメチルシラン(以下、「atms」という。)、
アリルトリメトキシシラン(以下、「atmos」とい
う。)、ビニルオキシトリメチルシラン(以下、「vo
tms」という。)、アリルオキシトリメチルシラン
(以下、「aotms」という。)、3−ヘキシン、2
−ブチン及びこれらを配位させたヘキサフルオロアセチ
ルアセトナート銅(I)錯体からなる群より選ばれた1種
又は2種以上の化合物とを混合してなる混合液である。
【0019】請求項7に係る混合液は、Cuのπ結合性
が高まることにより、成膜前の保存状態で有機銅化合物
の分解が抑制され、長寿命の溶液となるとともに、成膜
初期の銅(I)錯体が分解し易くなり、これにより下地膜
での初期の銅成長が起り易くなって、銅薄膜の成長速度
が増大するものと推定される。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の有機銅化合物は、前述し
た式(1)に示される一価の銅に1,3−ジヒドロキシ
−1,3−プロパンジオンと不飽和炭化水素化合物とを
配位した化合物である。この不飽和炭化水素化合物とし
ては、前述した式(2)に示されるアルケニル基を有す
る化合物、前述した式(3)に示されるアルキン基を有
する化合物、前述した式(4)に示されるシリル基を結
合した不飽和炭化水素化合物などが挙げられる。
【0021】また本発明の混合液は、前述した式(1)
〜(4)に示される有機銅化合物単独か、或いはこの有
機銅化合物を他の溶剤や別の一価の銅金属を含む有機銅
化合物に溶解することにより調製される。更に本発明の
混合液は、請求項7に記載するように、ベースとなる有
機銅化合物混合溶液にtmvs、tmovs、atm
s、atmos、votms、aotmsなどの有機ケ
イ素化合物や、ヘキシン、ブチンなどの不飽和炭化水素
を更に加えることによっても調製される。
【0022】式(1)に示される有機銅化合物におい
て、Rは不飽和炭化水素化合物である。式(2)に示さ
れる好ましい有機銅化合物は、X1,X2,X3,X4がそ
れぞれ水素であるか、又は炭素数が1〜4のアルキル基
のいずれかである場合である。特に好ましい有機銅化合
物はアルケニル基を有する化合物が、エテン、プロペ
ン、ブテン又はペンテンのいずれかの置換体である場合
である。次に式(2)に示される有機銅化合物の具体例
を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】表1のNo.1からNo.10までの有機銅化合物
をMOCVD法により180℃で成膜し、そのときの銅
薄膜の成膜速度、比抵抗値及び表面粗さを比較評価し
た。これらの結果を表1に示す。具体的には、No.1
(R:CH2=CH)の有機銅化合物の成膜速度を100とし
て、他のNo.2〜10の成膜速度を評価した。表1におい
て、A=91〜100、B=81〜90、C=71〜8
0である。同様に表1のNo.1(R:CH2=CH)の有機銅
化合物を成膜したときの銅薄膜の比抵抗値を100とし
て、他のNo.2〜10の銅薄膜の比抵抗値を評価した。表
1において、A=100〜105、B=106〜11
0、C=111〜120である。同様に表1のNo.1
(R:CH2=CH)の有機銅化合物を成膜したときの銅薄膜
の表面粗さを100として、他のNo.2〜10の銅薄膜の
表面粗さを評価した。表1において、A=98〜10
1、B=102〜106、C=107〜110である。
【0025】式(3)に示される好ましい有機銅化合物
は、X5,X6がそれぞれ水素であるか、又は炭素数が1
〜4のアルキル基のいずれかである場合である。特に好
ましい有機銅化合物はアルキン基を有する化合物が、ア
セチレン、プロピン、ブチン、ペンチン又はヘキシンの
いずれかの置換体である場合である。次に式(3)に示
される有機銅化合物の具体例を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】表2のNo.11からNo.20までの有機銅化合物
をMOCVD法により180℃で成膜し、そのときの銅
薄膜の成膜速度、比抵抗値及び表面粗さを比較評価し
た。これらの結果を表2に示す。表2における評価方法
は表1における評価方法と同じである。
【0028】式(4)に示される有機銅化合物は、前記
式(3)及び式(4)において、X 1,X2,X3,X4
はX5,X6のいずれかがシリル基である場合に相当し、
1,Y2,Y3はそれぞれ水素であるか、又は炭素数が
1〜4のアルキル基、或いは炭素数が1〜4のアルコキ
シ基のいずれかである場合である。Y1,Y2,Y3は互
いに同一でもよく、異なってもよい。特に好ましい有機
銅化合物は銅(I)(1−ブチン)(ヘキサフルオロアセチル
アセトナート)である。次に式(4)に示される有機銅
化合物の具体例を表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】表3のNo.21からNo.30までの有機銅化合物
をMOCVD法により180℃で成膜し、そのときの銅
薄膜の成膜速度、比抵抗値及び表面粗さを比較評価し
た。これらの結果を表3に示す。表3における評価方法
は表1における評価方法と同じである。
【0031】請求項1ないし5いずれかに記載された有
機銅化合物は、いずれもアルケン、アルキルなどの不飽
和炭化水素化合物とベータジケトンとの共同作用によ
り、銅化合物自体の化学的安定性が向上して成膜前の保
存状態で分解しにくく寿命が長くなるとともに、揮発性
が高く、基板上で効率よく分解して高い成膜速度が得ら
れ、下地膜との密着性にも優れており、MOCVD用の
混合液として有用である。また請求項6に記載された有
機銅化合物は、シリル基を挿入することで、より電子供
与能を高め、安定性を向上させただけでなく、嵩高いア
ルコキシシリル基により更なる立体障害性により、基板
上に銅原子がより接近し易い構造になっているものと考
えられる。このようなことから、請求項6に係る有機銅
化合物をMOCVDに用いて金属銅を堆積する際に優れ
たMOCVD特性が得られる。
【0032】上記請求項1ないし6いずれかに記載され
た有機銅化合物に、別の一価の銅を含む有機銅化合物又
は不飽和炭化水素化合物を混合溶解すると、基板上で核
発生が促され、堆積速度が増進する効果が見られる。こ
の一価の銅を含む有機銅化合物としては、前述した銅
(I)atms・hfac、銅(I)tmvs・hfac、又
は銅(I)tmovs・hfacが挙げられる。不飽和炭
化水素化合物としては3−ヘキシン、2−ブチンが好適
である。
【0033】請求項1ないし6いずれかに記載された有
機銅化合物(以下、化合物(a)という。)に別の一価の
銅を含む有機銅化合物(以下、化合物(b)という。)又
は不飽和炭化水素化合物(以下、化合物(c)という。)
を溶解する割合は、化合物(a)100重量%に対して化
合物(b)又は(c)が0.01〜20重量%であることが好
ましく、0.1〜2重量%であることが更に好ましい。
化合物(b)又は(c)の溶解量が上記下限値未満では化合物
(b)又は(c)を添加した効果が現れず、銅薄膜の成長速度
は向上しない。また化合物(b)又は(c)の溶解量が上記上
限値を越えると銅薄膜中の不純物濃度が高くなり、薄膜
の品質が劣化し易くなり、銅薄膜の成長速度もそれ程向
上しない。
【0034】上記表1〜表3に示されるNo.1〜No.30の
有機銅化合物を用いて作製された銅薄膜は、下地膜と堅
牢に密着し、高純度である特長を有する。この銅薄膜
は、例えばシリコン基板表面のSiO2膜上にスパッタ
リング法又はMOCVD法により形成されたTiN膜又
はTaN膜上にMOCVD法により形成される。なお、
本発明の基板はその種類を特に限定されるものではな
い。
【0035】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。 <実施例1>前述した式(2)に関連して表1のNo.1
に示した有機銅化合物を銅薄膜形成用原料液として用意
した。この有機銅化合物は次の方法により合成した。先
ず酸化銅(I)13.0gに十分に窒素脱気を行った乾燥
塩化メチレン150mlを注ぎ、懸濁液とした。この懸
濁液を激しく攪拌しながらエテン20gを懸濁液に添加
し、更に1,3−ジヒドロキシ−1,3−プロパンジオ
ン5.00gをこの懸濁液に1滴ずつ滴下ロートにより
滴下した。この液を4時間攪拌した後、窒素気流下でろ
過し、ろ液を35℃の温度、減圧下で留去し、濃緑色の
液体を得た。この液体をカラムクロマトグラフィにより
精製し、明黄色の液体の有機銅化合物である、銅(I)(エ
テン)(1,3−ジヒドロキシ−1,3−プロパンジオネ
ート)(銅(I)eten・dhpd)5.58gを得た。
得られた有機銅化合物の同定は、NMR及び元素分析に
より行った。
【0036】NMR分析の結果では、1H−NMR(C
DCL3)では、3.39(m,2H),5.39
(m,2H),6.12(s,1H)であり、元素分析
の結果では、Cu33.84%(理論値33.83
%)、O32.31%(理論値32.32%)であっ
た。
【0037】このように合成された銅(I)eten・d
hpdからなる銅薄膜形成用原料液を3ヶ月間容器に密
閉して保管した後、容器から取出して用い、MOCVD
法により銅薄膜を形成した。基板として、基板表面のS
iO2膜(厚さ5000Å)上にスパッタリング法によ
りTiN膜(厚さ50nm)を形成したシリコン基板を
用い、基板温度を150℃、160℃、170℃、18
0℃、190℃、200℃、210℃の7段階に変え
た。気化温度を70℃、圧力を2torrにそれぞれ設
定した。キャリアガスとしてArガスを用い、その流量
を100ccmとした。銅薄膜形成用原料液を0.2c
c/分の割合で5分間供給し、その膜厚を膜の断面SE
M像から測定した。表4に上記時間内における最高の膜
厚を単位時間当りに換算して示す。また四探針式比抵抗
測定装置により膜の比抵抗値を、電子線表面粗さ解析装
置(エリオニクス社製、ERA−8000)により膜の
表面粗さをそれぞれ測定した。表面粗さは表面の最上部
と最下部の差をいう。これらの結果を表4に示す。
【0038】<実施例2〜10>実施例1と同様の手法
により、原料物質を変えて表1のNo.2〜No.10の化合物
を合成し、基板温度を180℃のみにした以外、実施例
1と同一条件でMOCVD法により銅薄膜を形成した。
成膜速度(膜厚)、比抵抗値、表面粗さも実施例1と同様
に測定した。これらの結果を表1の成膜試験の評価の欄
に示す。
【0039】<比較例1>銅(I)atms・hfacか
らなる銅薄膜形成用原料液を用いて、実施例1と同一条
件でMOCVD法により銅薄膜を形成した。成膜速度
(膜厚)、比抵抗値、表面粗さも実施例1と同様に測定し
た。この結果を表4に示す。
【0040】<実施例11>前述した式(3)に関連し
て表2のNo.11に示した有機銅化合物を銅薄膜形成用原
料液として用意した。この有機銅化合物は次の方法によ
り合成した。実施例1と同様に酸化銅(I)13.0gに
十分に窒素脱気を行った乾燥塩化メチレン150mlを
注ぎ、懸濁液とした。この懸濁液を激しく攪拌しながら
2−ブチン10.32gを懸濁液に添加し、更に1,3
−ジヒドロキシ−1,3−プロパンジオン5.32gを
この懸濁液に1滴ずつ滴下ロートにより滴下した。この
液を4時間攪拌した後、窒素気流下でろ過し、ろ液を3
5℃の温度、減圧下で留去し、濃緑色の液体を得た。こ
の液体をカラムクロマトグラフィにより精製し、明黄色
の液体の有機銅化合物である、銅(I)(2−ブチン)(1,
3−ジヒドロキシ−1,3−プロパンジオネート)(銅
(I)butyn・dhpd)5.41gを得た。得られ
た有機銅化合物の同定は、NMR及び元素分析により行
った。
【0041】NMR分析の結果では、1H−NMR(C
DCL3)では、δ0.065(s,6H),3.18
(m,2H),5.43(m,1H),6.10(s,
1H)であり、元素分析の結果では、Cu29.92%
(理論値29.91%)、O21.42%(理論値2
1.42%)であった。
【0042】このように合成された銅(I)butyn・
dhpdからなる銅薄膜形成用原料液を3ヶ月間容器に
密閉して保管した後、容器から取出して用い、実施例1
と同一の条件でMOCVD法により銅薄膜を形成した。
成膜速度(膜厚)、比抵抗値、表面粗さも実施例1と同様
にして測定した。これらの結果を表4に示す。
【0043】<実施例12〜20>実施例1と同様の手
法により、原料物質を変えて表2のNo.12〜No.20の化合
物を合成し、基板温度を180℃のみにした以外、実施
例1と同一条件でMOCVD法により銅薄膜を形成し
た。成膜速度(膜厚)、比抵抗値、表面粗さも実施例1と
同様に測定した。これらの結果を表2の成膜試験の評価
の欄に示す。
【0044】<実施例21>前述した式(4)に関連し
て表3のNo.31に示した有機銅化合物を銅薄膜形成用原
料液として用意した。この有機銅化合物は次の方法によ
り合成した。実施例1と同様に酸化銅(I)13.0gに
十分に窒素脱気を行った乾燥塩化メチレン150mlを
注ぎ、懸濁液とした。この懸濁液を激しく攪拌しながら
ビニルトリメチルシラン10.32gを懸濁液に添加
し、更に1,3−ジヒドロキシ−1,3−プロパンジオ
ン5.31gをこの懸濁液に1滴ずつ滴下ロートにより
滴下した。この液を4時間攪拌した後、窒素気流下でろ
過し、ろ液を35℃の温度、減圧下で留去し、濃緑色の
液体を得た。この液体をカラムクロマトグラフィにより
精製し、明黄色の液体の有機銅化合物である、銅(I)(ト
リメチルシリルエテン)(1,3−ジヒドロキシ−1,3
−プロパンジオネート)(銅(I)tmvs・dhpd)
5.48gを得た。得られた有機銅化合物の同定は、N
MR及び元素分析により行った。
【0045】NMR分析の結果では、1H−NMR(C
DCL3)では、δ0.055(s,9H),3.13
(m,2H),5.45(m,1H),6.08(s,
1H)であり、元素分析の結果では、Cu32.90%
(理論値33.00%)、O31.51%(理論値3
1.52%)であった。
【0046】このように合成された銅(I)tmvs・d
hpdからなる銅薄膜形成用原料液を3ヶ月間容器に密
閉して保管した後、容器から取出して用い、実施例1と
同一の条件でMOCVD法により銅薄膜を形成した。成
膜速度(膜厚)、比抵抗値、表面粗さも実施例1と同様に
して測定した。これらの結果を表4に示す。
【0047】<比較例2>銅(I)tmvs・hfacか
らなる銅薄膜形成用原料液を用いて、実施例1と同一条
件でMOCVD法により銅薄膜を形成した。成膜速度
(膜厚)、比抵抗値、表面粗さも実施例1と同様に測定し
た。この結果を表4に示す。
【0048】<実施例22〜30>実施例1と同様の手
法により、原料物質を変えて表3のNo.22〜No.30の化合
物を合成し、基板温度を180℃のみにした以外、実施
例1と同一条件でMOCVD法により銅薄膜を形成し
た。成膜速度(膜厚)、比抵抗値、表面粗さも実施例1と
同様に測定した。これらの結果を表3の成膜試験の評価
の欄に示す。
【0049】<比較例3>銅(I)tmovs・hfac
からなる銅薄膜形成用原料液を用いて、実施例1と同一
条件でMOCVD法により銅薄膜を形成した。成膜速度
(膜厚)、比抵抗値、表面粗さも実施例1と同様に測定し
た。この結果を表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】表4から明らかなように、1分間に成長し
た膜厚に関して、実施例1〜3ではすべての基板温度に
おいて比較例1〜3のほぼ2倍であり、成膜速度が高か
った。また銅薄膜の比抵抗値に関して、比較例1〜3が
2.5μΩcmであるのに対して、実施例1〜3は理論
値1.6μΩcmに近い1.9μΩcmであった。更に
銅薄膜の表面粗さに関して、比較例1〜3が1.5〜
3.0nmであるのに対して、実施例1〜3は0.3〜
0.5nmであり、極めて平滑であった。
【0052】<実施例31〜40>次に、前述した表1
のNo.1,No.4、表2のNo.11,No.14、表3のNo.21,N
o.22,No.23及びNo.27に示される8種類の化合物(a)
と、tmvs、tmovs、atms、aotms、銅
(I)atms・hfac、銅(I)tmvs・hfac、h
exyne銅(I)hfac及びbutyn銅(I)hfac
からなる8種類の化合物(b)と、ヘキシン及びブチンか
らなる2種類の不飽和炭化水素化合物(助剤)(c)を選
び、化合物(a)100重量%に対して化合物(b)又は(c)
を次の表5に示す0.02〜20重量%の割合で添加し
て均一に混合することにより、10種類の混合液を調製
した。これらの原料液を3ヶ月間容器に密閉して保管し
た後、それぞれ容器から取出して用い、基板温度を18
0℃に統一した以外、実施例1と同一の条件でMOCV
D法により銅薄膜を形成した。化合物(a)に化合物(b)又
は(c)を混合した原料液によって、成膜速度が向上した
か否かについての結果を表5に示す。また形成した銅薄
膜の成膜速度(膜厚)、比抵抗値、表面粗さも実施例1と
同様にして測定した。その結果を表6に示す。
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】表6から明らかなように、実施例31〜4
0では、化合物(b)又は(c)の添加量が0.02〜20重
量%の範囲で、1分間で成長した膜の厚さが400〜4
18nmと大きかった。また膜の抵抗値は理論値1.6
μΩcmに対して1.9〜2.0μΩcmであった。更
に表面粗さは実施例31〜35で0.2〜0.4nmで
あったのに対して、実施例36〜40では0.1〜0.
3nmであった。
【0056】
【発明の効果】以上述べたように、本願請求項1〜6に
係る発明によれば、この有機銅化合物を単独で銅薄膜形
成用原料液として、この原料液からMOCVD法により
銅薄膜を形成することにより、下地膜との密着性が高ま
るとともに成膜速度がより一層向上する。成膜前の有機
銅化合物はその分解が抑制され、長い寿命を有する。ま
た本発明の有機銅化合物を用いてMOCVD法により成
膜した銅薄膜は、従来のものと比べてバルク銅と同程度
の理論値に近い抵抗値を有する高純度を示し、下地膜と
堅牢に密着し、かつ表面粗さが小さい特長を有する。こ
の銅薄膜は銅多層配線用の深いコンタクトホールの埋込
みにおいても極めて有効である。
【0057】更に本願請求項1に係る有機銅化合物は、
配位子がC、H、Oよりなり、hfacのようにF(フ
ッ素)を含まないため、MOCVD装置が腐食しにくく
MOCVD工程における排ガス処理を容易にする利点も
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 16/18 C23C 16/18 H01L 21/285 H01L 21/285 C 301 301Z // C07F 1/08 C07F 1/08 Z Fターム(参考) 4H006 AA01 AB80 AB84 BS10 BS70 4H048 AA01 AB80 AB84 VA20 VA56 VB10 VB40 4H049 VN01 VP01 VQ03 VQ04 VU31 VU36 VW02 4K030 AA11 BA01 CA04 CA12 FA10 4M104 BB04 DD45 HH08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一価の銅に1,3−ジヒドロキシ−1,
    3−プロパンジオンと不飽和炭化水素化合物とを配位し
    た次の式(1)で示される有機銅化合物。 【化1】 但し、Rは不飽和炭化水素化合物である。
  2. 【請求項2】 不飽和炭化水素化合物がアルケニル基を
    有する化合物である次の式(2)で示される請求項1記
    載の有機銅化合物。 【化2】 但し、X1,X2,X3,X4はそれぞれ水素であるか、又
    は炭素数が1〜4のアルキル基のいずれかであって、互
    いに同一でも異なってもよい。
  3. 【請求項3】 アルケニル基を有する化合物がエテン、
    プロペン、ブテン又はペンテンのいずれかの置換体であ
    る請求項2記載の有機銅化合物。
  4. 【請求項4】 不飽和炭化水素化合物がアルキン基を有
    する化合物である次の式(3)で示される請求項1記載
    の有機銅化合物。 【化3】 但し、X5,X6はそれぞれ水素であるか、又は炭素数が
    1〜4のアルキル基のいずれかであって、互いに同一で
    も異なってもよい。
  5. 【請求項5】 アルキン基を有する化合物がアセチレ
    ン、プロピン、ブチン、ペンチン又はヘキシンのいずれ
    かの置換体である請求項4記載の有機銅化合物。
  6. 【請求項6】 不飽和炭化水素化合物がシリル基を結合
    した不飽和炭化水素化合物である次の式(4)で示され
    る請求項1記載の有機銅化合物。 【化4】 但し、Y1,Y2,Y3はそれぞれ水素であるか、又は炭
    素数が1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基のいず
    れかであって、互いに同一でも異なってもよい。R’は
    二重結合又は三重結合を有する不飽和炭化水素基であ
    る。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6いずれか記載の有機銅
    化合物と、トリメチルビニルシラン、トリメトキシビニ
    ルシラン、アリルトリメチルシラン、アリルトリメトキ
    シシラン、ビニルオキシトリメチルシラン、アリルオキ
    シトリメチルシラン、3−ヘキシン、2−ブチン及びこ
    れらを配位させたヘキサフルオロアセチルアセトナート
    銅(I)錯体からなる群より選ばれた1種又は2種以上の
    化合物とを混合してなる混合液。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし6いずれか記載の有機銅
    化合物又は請求項7記載の混合液を用いて有機金属化学
    蒸着法により作製された銅薄膜。
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