JP2002158630A - 交差偏波間干渉補償回路 - Google Patents

交差偏波間干渉補償回路

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 受信リファレンス同期方式のXPICにおけ
る自偏波と異偏波のローカル位相雑音による交差偏波間
干渉補償特性の劣化を防止する。 【解決手段】 互いに直交する偏波のそれぞれの受信ロ
ーカル発振器16,16’で発生する位相関係を検出す
るローカル位相差検出器19と、該ローカル位相差検出
器で検出した位相差を補償する無限移相器(EPS)2
0,20’を装備し、RF段での自偏波送信信号と異偏
波干渉信号との位相関係と干渉除去を行うベースバンド
段での自偏波ベースバンド信号とベースバンドXPIC
参照信号との位相関係とが同一となるように、XPIC
に入力する以前にXPIC参照信号に存在する位相及び
位相雑音成分を補償する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直交する2つの偏
波を用いて伝送を行う両偏波伝送方式に関し、特に、両
偏波間の交差偏波間干渉成分を除去する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】デジタルマイクロ波通信装置において
は、周波数利用効率を上げるため電波の直交する2つの
偏波面、垂直偏波(V)と水平偏波(H)を用いて信号
の伝送を行う両偏波伝送方式が用いられている。この方
式においてはV偏波とH偏波が同じ周波数を使用するた
め、アンテナや空間の偏波面の直交性にずれがある場合
V偏波からH偏波あるいはH偏波からV偏波への信号の
漏れ込みが発生する。
【0003】この漏れ込みは交差偏波間干渉と呼ばれ、
信号の伝送品質に悪影響を与える。特に両偏波伝送方式
とQAMなどの多値変復調方式を併用している場合は影
響が顕著であるため、通常交差偏波間干渉補償器(XP
IC:Cross Polarization Interference Canceller)
を用いた干渉成分除去を行う。なお、XPICの詳細に
ついては、例えば特開2000−165339号公報等
に開示されている。
【0004】XPICにおいて対象とする偏波を自偏
波、またそれと直交するように偏波された電波を異偏波
と定義するが、受信側において異偏波からの干渉を補償
するためには、異偏波より受け渡されるXPIC参照信
号と自偏波信号との位相関係が、異偏波側干渉を受ける
RF段階での異偏波と自偏波の位相関係と同一でなけれ
ばならない。
【0005】この条件を満たすための自偏波と異偏波の
局部発信(ローカル)周波数の設定として、送信ローカ
ル同期方式と受信ローカル同期方式の2方式が存在す
る。復調器のキャリア再生として準同期方式を用いる場
合には、ハードウェア構成で相性がよい受信ローカル同
期方式が用いられる場合が多い。受信ローカル同期方式
に関しては例えば特開昭63−222534号公報に開
示されている。
【0006】この受信ローカル同期方式には、自偏波の
受信器と異偏波の受信器とが1つのローカル発信器を共
用する共通ローカル方式と、自偏波の受信器と異偏波の
受信器とがローカル発振器を独立に保有しローカル発振
器のリファレンス信号を共用する共通リファレンス方式
の2方式が存在する。
【0007】共通ローカル方式では回路構成が簡単にな
る反面、ローカル発振器の機器故障の場合に両偏波の信
号が同時に断となる可能性があり、共通リファレンス方
式では逆に回路構成が複雑な分ローカル発振器の機器故
障に対してその影響を片偏波に抑えることができる。
【0008】そのため電波利用効率に対する要求が厳し
く、無線周波数での予備回線をV偏波とH偏波の両偏波
で一つしかとれない場合には、リファレンス同期方式を
用いて冗長性の高い構成とする場合が多い。
【0009】図5は、従来のリファレンス同期を用いた
受信ローカル同期方式の復調システムを示すブロック図
である。図5において、V/Hの送信データ信号は、端
子1/1’から変調器11/11’にそれぞれ入力さ
れ、変調を受けた送信IF信号は、送信器12/12’
でRF信号に周波数変換され送信アンテナ13/13’
から放射される。
【0010】V偏波の受信系において、V偏波送信器1
2から送信された送信信号100とH偏波送信器12’
から送信されV偏波へ漏れ込んだ干渉信号101’は、
空間上で結合され受信アンテナ14にV偏波受信信号と
して入力する。V偏波受信信号は、共通リファレンス発
振器17に同期する受信ローカル発振器16よりの受信
ローカル信号を入力とする受信器15で周波数変換さ
れ、V偏波受信IF信号102となる。
【0011】同様にH偏波の受信系において、H偏波送
信器12’から送信された送信信号100’とV偏波送
信器12から送信されH偏波へ漏れ込んだ干渉信号10
1は、空間上で結合され受信アンテナ14’にH偏波受
信信号として入力する。H偏波受信RF信号は、共通リ
ファレンス発振器17に同期する受信ローカル発振器1
6’よりのローカル信号を入力とする受信器15’で周
波数変換され、H偏波受信IF信号102’となる。
【0012】V偏波の復調系において、復調器18はV
偏波受信IF信号102を復調し、更にH偏波受信IF
信号102’をXPIC参照信号として交差偏波干渉を
行い、最終的に復調及び干渉除去を行った受信データ信
号を端子2から出力する。同様にH偏波の復調系におい
て、復調器18’はH偏波受信IF信号102’を復調
し、更にV偏波受信IF信号102をXPIC参照IF
信号として交差偏波間干渉補償を行い、最終的に復調及
び干渉除去を行った復調データ信号を端子2’から出力
する。
【0013】次に、図6を用いて従来の復調器の詳細を
説明する。端子3から入力した自偏波のIF信号は、一
次キャリア発振器21の出力である一次キャリア信号1
11を用いて乗算器22で周波数変換され、その後低域
ろ波器23で高調波成分を除去され、さらにA/D変換
器24で量子化されデジタル信号に変換される。
【0014】このデジタル信号と数値演算制御発振器
(NCO:Numerical Controlled Oscillator)25で
生成した二次キャリア信号112とを無限移相器(EP
S:Endless Phase Shifter)26に入力し周波数変換
を行い、ベースバンド信号を復調する。キャリア同期制
御器27は、判定回路29で生成した誤差信号を元に位
相制御信号を作成し、NCO25で発生する二次キャリ
ア信号の周波数制御を行う。
【0015】また端子4から入力した異偏波のIF信号
は自偏波側と共通の一次キャリア信号111を用いて乗
算器22’で周波数変換され、その後低域ろ波器23’
で高調波成分を除去され、A/D変換器24’で量子化
されデジタル信号に変換される。このデジタル信号は更
に自偏波側と共通のNCO25で生成した二次キャリア
と共に無限移相器26’に入力し、周波数変換されてX
PIC参照信号となる。
【0016】このXPIC参照信号とタップ係数制御回
路31で生成されたXPICのタップ係数とがトランス
バーサルフィルタ30の入力となり、空間で受けた異偏
波からの干渉成分の複製信号が生成される。そして、自
偏波ベースバンド信号から異偏波干渉成分の複製信号を
加算器28で取り除くことにより交差偏波干渉除去を行
うことができる。
【0017】このように、交差偏波間干渉の除去を行う
ためにはXPIC回路にて空間で受けた交差偏波間干渉
成分の複製信号を作る必要がある。そのためには交差偏
波間干渉が発生するRF段での自偏波送信信号100と
異偏波干渉信号101との位相関係が、干渉除去を行う
ベースバンド段での自偏波ベースバンド信号103とベ
ースバンドXPIC参照信号104との位相関係と同一
でなければならない。
【0018】この条件を実現するため、従来、ローカル
発振器のリファレンス信号及び一次キャリア信号、二次
キャリア信号を共通とすることで両者の周波数関係を同
一とし、更に残った位相関係をXPICで補償してい
る。
【0019】次に、以上説明した従来の受信ローカル同
期のXPIC動作について数式を用いて説明する。
【0020】まず送信系に関して以下の信号を定義す
る。 V偏波のベースバンド信号:V(t)=V(t)+jV(t)、(V
(t):Pch成分、V(t):Qch成分) H偏波のベースバンド信号:H(t)=H(t)+jH(t)、(H
(t):Pch成分、H(t):Qch成分) V偏波送信キャリア:cos(ωVTt+θVT)、
(ωVT:V偏波の送信キャリア周波数、θVT:V偏
波の送信キャリア位相) H偏波送信キャリア:cos(ωHTt+θHT)、
(ωHT:H偏波の送信キャリア周波数、θHT:H偏
波の送信キャリア位相)。
【0021】このときV偏波及びH偏波の送信RF信
号、VTX(t)及びHTX(t)は以下の式で表すことができ
る。 VTX(t)=V(t)・cos(ωVTt+θVT)-V(t)・sin(ωVTt+θVT) =real[V(t)・exp(j(ωVTt+θVT))] HTX(t)=real[H(t)・exp(j(ωHTt+θHT))]。
【0022】各偏波の送信RF信号が空間上でH偏波→
V偏波に係数α及びV偏波→H偏波に係数αの関係
で結合すると仮定すると、V偏波及びH偏波の受信RF
信号、VRX(t)及びHRX(t)は以下の式で表すことがで
きる。 VRX(t)=real[V(t)・exp(j(ωVTt+θVT))+α・H(t)・exp(j(ωHTt+θ HT ))] HRX(t)=real[H(t)・exp(j(ωHTt+θHT))+α・V(t)・exp(j(ωVTt+θ VT ))]。
【0023】それぞれの受信RF信号は、受信器におい
て以下の受信ローカル信号により周波数変換される。な
お共通のリファレンス信号に同期しているためそれぞれ
のローカル信号の周波数は同一で位相のみが独立であ
る。 V偏波の受信ローカル信号:cos(ωt+θVR)、(ω
:受信ローカル周波数、θVR:V偏波の受信ローカ
ル位相) H偏波の受信ローカル信号:cos(ωt+θHR)、(θ
HR:H偏波の受信ローカル位相)。
【0024】ここでV偏波を自偏波とし、自偏波に着目
して展開を行う。自偏波の受信器を通過した受信IF信
号VIF(t)及び異偏波の受信器を通過したXPIC参照
信号VIX(t)は以下の式で表すことができる。 VIF(t)=real[V(t)・exp(j((ωVT)t+(θVTVR)))+α・H(t)・e xp(j((ωHT)t+(θHTVR)))] VIX(t)=real[H(t)・exp(j((ωHT)t+(θHTHR)))+α・V(t)・e xp(j((ωVT)t+(θVTHR)))]。
【0025】復調器18においては、受信IF信号の周
波数成分及び位相成分に内部の発振器の発振周波数を合
わせる同期操作を行うため、受信IF周波数と復調器内
部の発振周波数は等しくなり以下の式が成立する。 (ωVT)=(ωD1D2)、(ωD1:受信一次キ
ャリア周波数、ωD2:受信二次キャリア周波数) (θVTVR)=(θD1D2)、(θD1:受信一
次キャリア位相、θD2:受信二次キャリア位相)。
【0026】受信IF信号に対して復調操作の終わった
受信ベースバンド信号VBB(t)は、以下の式で表すこと
ができる。 VBB(t)=real[V(t)・exp(j((ωVTD1D2)t+(θVTVR D1D2)))+α・H(t)・exp(j((ωHTD1D2)t+(θHT VRD1D2)))] =V(t)+real[α・H(t)・exp(j((ωHTVT)t+(θHTVT)))]。
【0027】またXPIC内トランスバーサルフィルタ
の入力となるベースバンドXPIC参照信号VBX(t)
は、以下の式で表すことができる。 VBX(t)=real[H(t)・exp(j((ωHTD1D2)t+(θHTHR D1D2)))+α・V(t)・exp(j((ωVTD1D2)t+(θVT HRD1D2)))] =real[H(t)・exp(j((ωHTVT)t+(θHTHRVTVR))) +α・V(t)・exp(j(θVRHR))]。
【0028】ところでXPICは、参照信号をもとに受
信ベースバンド信号に存在する交差偏波干渉成分(受信
ベースバンド信号の第2項)の複製信号を作るよう働く
ので、XPICが理想的に動作した場合はXPIC複製
信号VXPIC(t)及びXPIC応答は以下の式で表すこと
ができる。 VXPIC(t)=real[-α・H(t)・exp(j((ωHTVT)t+(θHTVT)))] -α・α・V(t) XPIC応答:-α・exp(j(θHRVR))。
【0029】加算器28で、受信ベースバンド信号とX
PIC複製信号が加算されることにより、ベースバンド
信号V(t)は交差偏波干渉成分が除去され以下の式で表
すことができる。 V(t)=V(t)-α・α・V(t)。
【0030】ベースバンド信号の第2項は符号間干渉成
分となるが通常αとαは1より小さいためその成分
は無視する事ができる。またαとαが無視できない
ような場合では、等化器を併用することによりその符号
間干渉成分を取り除くことができる。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常RF段
で使用されるローカル発振器は位相雑音成分が大きく、
周波数項を一定と考えた場合に位相項に時間変動成分が
発生する。受信リファレンス同期方式ではV偏波とH偏
波で異なるローカル発振器を使用しているため、共通リ
ファレンス発振器を用いることにより発振周波数につい
ては両者を一定にすることは可能であるが、それぞれの
ローカル発振器で発生する位相雑音成分は独立であり、
V偏波とH偏波のローカル位相差成分にも時間的変動項
が残ってしまう。
【0032】この様な状況でXPICが正常に動作する
ためには、XPICは単に交差偏波干渉成分:αの複
製を作るだけでなく、同時に時間的に変動するローカル
位相差:exp(j(θHRVR))に追随する動きも要求
される。
【0033】ところがXPICはトランスバーサルフィ
ルタで構成されているため、時間的変動がない位相差に
対しては複製信号を作ることができるが、時間的に早く
変動する位相差に対して追随して十分な複製信号を作る
ことができない。これはタップ係数制御回路への要求さ
れるダイナミック特性に対して、回路が十分に対応でき
ないからである。また位相差への追随特性はトランスバ
ーサルフィルタのタップ係数が大きくなればそれだけ劣
化するので、交差偏波干渉が大きくなればそれだけ追随
特性の劣化が大きくなる。
【0034】したがって、従来使用されている受信リフ
ァレンス同期式のXPICシステムは、ローカル発振器
の位相雑音成分の増加によって交差偏波干渉補償能力が
劣化するという問題がある。
【0035】本発明の目的は、上記問題点に鑑み、受信
リファレンス同期方式のXPICにおける自偏波と異偏
波のローカル位相雑音による交差偏波間干渉補償特性の
劣化を防止する手段を提供することにある。
【0036】
【課題を解決するための手段】交差偏波間干渉補償回路
(XPIC:Cross Polarization Interference Cancel
ler)にて交差偏波間干渉の除去を行うためには、干渉
が発生するRF段での自偏波送信信号と異偏波干渉信号
との位相関係が、干渉除去を行うベースバンド段での自
偏波ベースバンド信号とベースバンドXPIC参照信号
との位相関係と同一でなければならない。
【0037】そこで本発明の交差偏波間干渉補償回路で
は、互いに直交する偏波のそれぞれの受信ローカル発振
器で発生する位相関係を検出するローカル位相差検出器
と、該ローカル位相差検出器で検出した位相差を補償す
る無限移相器(EPS:Endless Phase Shifter)を装
備し、RF段での自偏波送信信号と異偏波干渉信号との
位相関係と干渉除去を行うベースバンド段での自偏波ベ
ースバンド信号とベースバンドXPIC参照信号との位
相関係とが同一となるように、XPICに入力する以前
にXPIC参照信号に存在する位相及び位相雑音成分を
補償したことを特徴とする。
【0038】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施形態を示す
リファレンス同期を用いた受信ローカル同期方式の送受
信システムのブロック構成図である。図1において、V
/Hの送信データ信号は端子1/1’から変調器11/
11’にそれぞれ入力され、変調を受けた送信IF信号
は送信器12/12’でRF信号に周波数変換され送信
アンテナ13/13’から放射される。
【0039】V偏波の受信系において、V偏波送信器1
2から送信された送信信号100とH偏波送信器12’
から送信されV偏波へ漏れ込んだ干渉信号101’は、
空間上で結合され受信アンテナ14にV偏波受信信号と
して入力する。V偏波受信信号は、共通リファレンス発
振器17に同期する受信ローカル発振器16よりの受信
ローカル信号を入力とする受信器15で周波数変換され
V偏波受信IF信号102となる。
【0040】同様にH偏波の受信系において、H偏波送
信器12’から送信された送信信号100’とV偏波送
信器12から送信されV偏波へ漏れ込んだ干渉信号10
1は、空間上で結合され受信アンテナ14’にH偏波受
信信号として入力する。H偏波受信信号は、共通リファ
レンス発振器17に同期する受信ローカル発振器16’
よりのローカル信号を入力とする受信器15’で周波数
変換されH偏波受信IF信号102’となる。
【0041】また、ローカル位相差検出器19はV偏波
及びH偏波の受信ローカル発振器16,16’からの受
信ローカル信号を入力とし、内蔵されたPLL回路で両
信号の位相差を検出し、EPS制御信号103,10
3’を出力する。
【0042】V偏波の復調系において、復調器18はV
偏波受信IF信号102を復調する。またH偏波受信I
F信号102’は乗算器で周波数変換された後EPS2
0に入力され、ローカル位相差検出器19で検出した位
相差を補償するよう位相回転が施される。このEPS2
0の出力信号をXPIC参照信号として交差偏波間干渉
補償を行い最終的に復調及び干渉補償を行った復調デー
タ信号を端子2から出力する。
【0043】同様にH偏波の復調系において、復調器1
8’はH偏波受信IF信号102’を復調する。またV
偏波受信IF信号102は乗算器で周波数変換された後
EPS20’に入力され、ローカル位相差検出器19で
検出した位相差を補償するよう位相回転が施される。こ
のEPS20’の出力信号をXPIC参照信号として交
差偏波間干渉補償を行い最終的に復調及び干渉補償を行
った復調データ信号を端子2’から出力する。
【0044】次に図2を用いて本発明の復調器18,1
8’の詳細を説明する。
【0045】端子3から入力した自偏波のIF信号は、
一次キャリア発振器21の出力である一次キャリア信号
111を用いて乗算器22で周波数変換され、その後低
域ろ波器23で高調波成分を除去され、さらにA/D変
換器24で量子化されデジタル信号に変換される。
【0046】このデジタル信号と数値演算制御発振器
(NCO)25で生成した二次キャリア信号112とを
無限移相器26に入力し周波数変換を行いベースバンド
信号を復調する。キャリア同期制御器27は判定器29
で生成した誤差信号を元に位相制御信号を作成し、NC
O25で発生する二次キャリア信号の周波数制御を行
う。
【0047】また端子4から入力した異偏波の受信IF
信号は自偏波側と共通の一次キャリア信号111を用い
て乗算器22’で周波数変換され、その後低域ろ波器2
3’で高調波成分を除去され、A/D変換器24’で量
子化されデジタル信号に変換される。
【0048】このデジタル信号は、EPS制御信号10
3に基づき位相回転を与える無限移相器20に入力さ
れ、受信ローカル発振器16、16’で独立に発生する
位相雑音成分の差分が除去される。このデジタル信号は
更に自偏波側と共通のNCO25で生成した二次キャリ
ア信号112と共に無限移相器26’に入力し、周波数
変換されてXPIC参照ベースバンド信号となる。
【0049】このXPIC参照ベースバンド信号とタッ
プ係数制御器31で生成されたXPICのタップ係数と
がトランスバーサルフィルタ30の入力となり、空間で
受けた異偏波からの干渉成分の複製信号が生成される。
自偏波ベースバンド信号から異偏波干渉成分の複製信号
を加算器28で取り除くことにより交差偏波干渉除去を
行うことができる。
【0050】図3は、本発明で用いるローカル位相差検
出器19の詳細を示すブロック図である。
【0051】図3において、端子7及び7’に入力する
V偏波及びH偏波の受信ローカル信号を乗算器51に入
力し、その乗算結果を低域ろ波器52を通過させること
により高調波成分を除去し、周波数差成分を導出する。
この信号をA/D変換器53でデジタル信号に変換した
後、内蔵されたNCO56で生成したローカル位相差信
号と位相比較器54で位相比較を行い、NCO56の発
振周波数を制御する。
【0052】この結果、NCO56の出力であるローカ
ル位相差信号はV偏波とH偏波の受信ローカル信号位相
の差分成分に同期し、V偏波の無限移相器20に対して
NCOの発振周波数に応じたEPS制御信号103を端
子8より出力する。またH偏波の無限移相器20’に対
してはEPS制御信号103の位相回転方向を反転させ
た信号103’を端子8’より出力する。
【0053】次に、本発明のXPICシステムの動作に
ついて数式を用いて詳細に説明する。なお説明に当たっ
て以下の信号を定義する。 V偏波のベースバンド信号:V(t)=V(t)+jV(t)、(V
(t):Pch成分、V(t):Qch成分) H偏波のベースバンド信号:H(t)=H(t)+jH(t)、(H
(t):Pch成分、H(t):Qch成分) V偏波送信キャリア:cos(ωVTt+θVT)、
(ωVT:V偏波の送信キャリア周波数、θVT:V偏
波の送信キャリア位相) H偏波送信キャリア:cos(ωHTt+θHT)、
(ωHT:H偏波の送信キャリア周波数、θHT:H偏
波の送信キャリア位相)。
【0054】このときV偏波及びH偏波の送信信号V
TX(t)及びHTX(t)は以下の式で表すことができる。 VTX(t)=V(t)・cos(ωVTt+θVT)-V(t)・sin(ωVTt+θVT) =real[V(t)・exp(j(ωVTt+θVT))] HTX(t)=real[H(t)・exp(j(ωHTt+θHT))]。
【0055】各偏波の送信信号が空間上でH偏波→V偏
波に係数α及びV偏波→H偏波に係数αの関係で結
合すると仮定すると、V偏波及びH偏波の受信RF信号
V (t)及びHRX(t)は以下の式で表すことができる。
なおこの結合量α及びα が交差偏波間干渉に相当す
る。 VRX(t)=real[V(t)・exp(j(ωVTt+θVT))+α・H(t)・exp(j(ωHTt+θ HT ))] HRX(t)=real[H(t)・exp(j(ωHTt+θHT))+α・V(t)・exp(j(ωVTt+θ VT ))]。
【0056】それぞれの受信RF信号は、受信器におい
て以下の受信ローカル信号により周波数変換される。な
お共通のリファレンス信号に同期しているためそれぞれ
のローカル信号の周波数は同一で位相のみが独立であ
る。 V偏波の受信ローカル信号:cos(ωt+θVR)、(ω
:受信ローカル周波数、θVR:V偏波の受信ローカ
ル位相) H偏波の受信ローカル信号:cos(ωt+θHR)、(θ
HR:H偏波の受信ローカル位相)。
【0057】ここでV偏波を自偏波とし、自偏波に着目
して展開を行う。自偏波の受信器を通過した受信IF信
号VIF(t)及び異偏波の受信器を通過したXPIC参照
IF信号VIX(t)は以下の式で表すことができる。 VIF(t)=real[V(t)・exp(j((ωVT)t+(θVTVR)))+α・H(t)・e xp(j((ωHT)t+(θHTVR)))] VIX(t)=real[H(t)・exp(j((ωHT)t+(θHTHR)))+α・V(t)・e xp(j((ωVT)t+(θVTHR)))]。
【0058】復調器18においては受信IF信号のキャ
リア周波数成分に内部の発振器の発振周波数を合わせる
キャリア同期再生を行うため、受信IF周波数と復調器
内部の発振周波数は等しくなり以下の式が成立する。 (ωVT)=(ωD1D2)、(ωD1:受信一次キ
ャリア周波数、ωD2:受信二次キャリア周波数) (θVTVR)=(θD1D2)、(θD1:受信一
次キャリア位相、θD2:受信二次キャリア位相)。
【0059】受信IF信号に対して復調操作の終わった
受信ベースバンド信号VBB(t)は、以下の式で表すこと
ができる。 VBB(t)=real[V(t)・exp(j((ωVTD1D2)t+(θVTVR D1D2)))+α・H(t)・exp(j((ωHTD1D2)t+(θHT VRD1D2)))] =V(t)+real[α・H(t)・exp(j((ωHTVT)t+(θHTVT)))]。
【0060】またローカル位相差検出器19は、内蔵の
PLL回路でローカル位相差信号を生成する。本回路で
生成されるローカル位相差信号は、exp(j(θHR
VR))で表される。
【0061】上記ローカル位相差信号を元にEPS回路
20で位相差の補償を行った結果、本発明のベースバン
ドXPIC参照信号VBX(t)は、以下の式で表すことが
できる。 VBX(t)=real[H(t)・exp(j((ωHTD1D2)t+(θHTHR D1D2)))+α・V(t)・exp(j((ωVTD1D2)t+(θVT HRD1D2)))]・exp(j(θHRVR)) =real[H(t)・exp(j((ωHTVT)t+(θHTVT)))+α・V(t)。
【0062】ベースバンドXPIC参照信号を使用して
XPICが理想的に動作した場合はXPIC複製信号V
XPIC(t)及びXPIC応答は以下の式で表すことができ
る。 VXPIC(t)=real[-α・H(t)・exp(j((ωHTVT)t+(θHTVT)))] -α・α・V(t) XPIC応答:-α 本発明のXPIC応答と上記従来のXPIC応答を比較
すると、従来含まれていた時間変動を伴うローカル位相
差成分exp(j(θHRVR))が除かれていることが分
かる。
【0063】XPICは一般に二次元のトランスバーサ
ルフィルタで構成されているため、位相成分を付加する
ことは問題ない。ところがこの位相成分が時間的に変動
する場合には、位相成分の変動に追随してトランスバー
サルフィルタのタップ係数を調整しなければならない。
このタップ係数は交差偏波間干渉量の増加に伴い大きく
なるため、位相調整もそれだけ困難になる。
【0064】このため、従来のXPICでは位相雑音成
分の増加に伴い交差偏波間干渉補償特性が劣化していた
が、本発明のXPICでは、位相差成分の時間変動は別
途設けられた無限移相器20,20’で補償されるた
め、XPIC応答の時定数は交差偏波間干渉の時間変動
成分に応じて最適に設定することができる。
【0065】図4は、本発明の他の実施形態を示す交差
偏波間干渉補償回路ブロック図である。本実施の形態
は、図1に示した実施形態から、受信ローカル信号用の
共通リファレンス発振器17を取り除いた構成となって
いる。
【0066】本実施の形態では、無限移相器41は位相
雑音のみでなく各受信ローカルの周波数差まで追随する
能力が要求されるが、V偏波及びH偏波のローカル発振
器が独立に発振することにより回路構成の簡単化をはか
ることができる。またV偏波とH偏波の独立性を高める
ことにより、片偏波の保守を行う際や障害発生時の対応
が簡単化される。
【0067】なおこの実施の形態においても、基本的な
動作は図1で説明した実施の形態と同様であり、相違点
は無限移相器30の機能が位相差追随から周波数差追随
に拡張されることのみである。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、従来の受信リファレン
ス同期方式のXPICにおいて問題となった自偏波と異
偏波のローカル位相雑音によるXPIC特性の劣化を防
止することができる。
【0069】また、リファレンス発振器をV偏波とH偏
波で独立とすることにより、さらに回路構成の簡素化及
び保守操作性の向上をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリファレンス同期を用いた受信ローカ
ル同期方式の送受信システムを示すブロック構成図であ
る。
【図2】本発明の復調器の詳細を示すブロック図であ
る。
【図3】本発明で用いるローカル位相差検出器の詳細を
示すブロック図である。
【図4】本発明の他の実施形態を示す交差偏波間干渉補
償回路ブロック図である。
【図5】従来のリファレンス同期を用いた受信ローカル
同期方式の復調システム構成を示すブロック図である。
【図6】従来の復調器の詳細を示すブロック図である。
【符号の説明】
1/1’ V/Hの送信データ信号 2/2’ 復調データ信号 3 自偏波のIF信号入力端子 4 異偏波のIF信号入力端子 5 復調器出力端子 7/7’ V/H偏波の受信ローカル信号 8/8’ EPS20/20’の制御端子 11/11’ V/H変調器 12/12’ V/H送信器 13/13’ V/H送信アンテナ 14/14’ V/H受信アンテナ 15/15’ V/H受信器 16/16’ V/H受信ローカル発振器 17 共通リファレンス発振器 18/18’ V/H復調器 19 ローカル位相差検出器 20,20’,26,26’ 無限移相器(EPS:En
dless Phase Shifter) 21 一次キャリア発振器 22,22’,51 乗算器 23,23’,52 低域ろ波器 24,24’,53 A/D変換器 25,56 数値演算制御発振器(NCO:Numerical
Controlled Oscillator) 27 キャリア同期制御器 28 加算器 29 判定回路 30 トランスバーサルフィルタ 31 タップ係数制御回路 54 移相比較器 55 ループフィルタ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに直交する2つの偏波を用いて伝送
    された信号を受信する手段と、受信した各偏波の信号を
    それぞれIF信号に変換するための2つの受信ローカル
    発振器と、変換された自偏波のIF信号からベースバン
    ド信号を復調する復調手段、変換された異偏波のIF信
    号を復調して異偏波からの干渉成分の複製信号を生成す
    るXPIC参照信号生成手段、及び前記ベースバンド信
    号と前記異偏波からの干渉成分の複製信号とを加算する
    ことにより交差偏波干渉成分を除去して復調信号を再生
    する手段からなり、前記各偏波受信信号をそれぞれ復調
    する2つの復調器と、を有する交差偏波間干渉補償回路
    において、 前記2つの受信ローカル発振器から出力されるローカル
    信号間の位相差を検出するローカル位相差検出器と、該
    ローカル位相差検出器から出力される位相差信号によっ
    て前記ベースバンド信号と前記各XPIC参照信号の位
    相が同一となるように制御する位相制御手段とを備えた
    ことを特徴とする交差偏波間干渉補償回路。
  2. 【請求項2】 前記ローカル位相差検出器は、前記2つ
    の受信ローカル発振器から出力されるローカル信号間の
    位相差を検出してその位相回転方向が互いに逆方向の関
    係にある2つの位相差信号を出力するように構成され、
    前記位相制御手段は、前記ローカル位相差検出器から出
    力される前記2つの位相差信号を入力して前記各XPI
    C参照信号生成手段に入力される信号の位相をその移相
    方向が互いに逆方向となるよう制御する2つの可変移相
    器によって構成されていることを特徴とする請求項1記
    載の交差偏波間干渉補償回路。
  3. 【請求項3】 前記2つの受信ローカル発振器は、共通
    リファレンス発振器に接続されて同期がとられているこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の交差偏波間干渉
    補償回路。
  4. 【請求項4】 前記各復調器はそれぞれ、入力された自
    偏波のIF信号及び異偏波のIF信号をそれぞれ更に周
    波数変換する共通の一次キャリア発振器と、該周波数変
    換された自偏波のIF信号及び異偏波のIF信号をそれ
    ぞれ自偏波のデジタル信号及び異偏波のデジタル信号に
    変換するA/D変換器と、前記自偏波のデジタル信号と
    数値演算制御発振器で生成した二次キャリア信号を入力
    してベースバンド信号を復調する第1の無限移相器と、
    前記異偏波のデジタル信号と前記数値演算制御発振器で
    生成した二次キャリア信号を入力してXPIC参照信号
    を生成する第2の無限移相器と、該XPIC参照信号を
    入力して異偏波からの干渉成分の複製信号を生成するト
    ランスバーサルフィルタと、前記ベースバンド信号と前
    記異偏波からの干渉成分の複製信号を加算して交差偏波
    干渉除去を行う加算器と、該加算器の出力を判定して復
    調データを出力する判定回路と、該判定回路で生成した
    誤差信号を元に位相制御信号を作成し、前記数値演算制
    御発振器で発生する二次キャリア信号の周波数制御を行
    うキャリア同期制御器と、前記判定回路で生成した誤差
    信号を元にタップ係数制御信号を作成し、前記トランス
    バーサルフィルタのタップ係数を制御するタップ係数制
    御回路を備えており、前記可変移相器は、前記第2の無
    限移相器の前段に接続された第3の無限移相器によって
    構成されていることを特徴とする請求項2または3記載
    の交差偏波間干渉補償回路。
  5. 【請求項5】 前記ローカル位相差検出器は、前記2つ
    のローカル発振器の出力を乗算して周波数差信号を導出
    する乗算器及び低域ろ波器と、該周波数差信号をデジタ
    ル信号に変換するA/D変換器と、ローカル位相差信号
    を出力する数値制御発振器と、該数値制御発振器で生成
    したローカル位相差信号と前記デジタル信号に変換され
    た周波数差信号とを比較して差信号を出力する移相比較
    器と、該差信号により前記前記数値制御発振器の発振周
    波数を制御するループフィルタを備えていることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載の交差偏波間干渉
    補償回路。
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