JP2004172975A - 両偏波受信装置及びそのローカル位相雑音低減方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】独立した受信ローカルから発生する位相雑音による交差偏波間干渉補償特性の劣化を防止する両偏波受信装置を提供する。
【解決手段】互いに直交する2つの偏波(V偏波/H偏波)を用いて伝送された信号を受信し、それぞれの受信信号をIF信号に変換するための2つのRFローカル1、2と、各IF信号をそれぞれ2分岐した後、各偏波毎に各IF信号を準同期検波方式により復調する復調手段とを備え、各偏波毎の復調手段が、復調した出力信号より位相雑音成分を抽出してDC/AC成分に分離し、DC/AC成分を各偏波間で入れ替えた位相制御信号を用いて、各偏波それぞれの復調手段において補償対象とする偏波(自偏波)に対する直交偏波(異偏波)のRFローカルから受ける位相雑音量を抑圧する。
【選択図】 図1
【解決手段】互いに直交する2つの偏波(V偏波/H偏波)を用いて伝送された信号を受信し、それぞれの受信信号をIF信号に変換するための2つのRFローカル1、2と、各IF信号をそれぞれ2分岐した後、各偏波毎に各IF信号を準同期検波方式により復調する復調手段とを備え、各偏波毎の復調手段が、復調した出力信号より位相雑音成分を抽出してDC/AC成分に分離し、DC/AC成分を各偏波間で入れ替えた位相制御信号を用いて、各偏波それぞれの復調手段において補償対象とする偏波(自偏波)に対する直交偏波(異偏波)のRFローカルから受ける位相雑音量を抑圧する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信ローカル(局部発振器)同期方式を用いた両偏波受信装置に関し、特に独立した受信ローカルから発生する位相雑音による交差偏波間干渉補償特性の劣化を防止する両偏波受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタルマイクロ波通信装置においては、周波数利用効率を上げるため、直交する2つの偏波面、垂直(V)偏波と水平(H)偏波とを用いて、異なる信号の伝送を行う両偏波伝送方式が用いられている。この方式において、V偏波とH偏波とで同じ周波数が使用される時、アンテナや空間の偏波面の直交性にずれがある場合V偏波からH偏波あるいはH偏波からV偏波への信号の漏れ込みが発生する。
【0003】
この漏れ込みは交差偏波間干渉と呼ばれ、信号の伝送品質に悪影響を与える。特に両偏波伝送方式とQAMなどの多値変復調方式とを併用している場合は影響が顕著であるため、通常、交差偏波間干渉補償器(XPIC:Cross−Polarization Interference Canceler)を用いた干渉成分の除去が行われている。
【0004】
XPICを用いて補償対象とする偏波を自偏波、これと直交する偏波を異偏波と定義すると、受信側において異偏波からの干渉を補償するためには、自偏波信号と異偏波より受け渡されるXPIC参照信号との位相関係が、異偏波側干渉を受けるRF(Radio Frequency)帯の段階と同一でなければならない。
【0005】
この条件を満たすためには、自偏波と異偏波とのローカル(Local Oscillator、局部発振器)周波数が、送信側もしくは受信側の少なくともどちらか一方で一致していることが必要であり、このローカル周波数の設定として、送信ローカル同期方式と受信ローカル同期方式との2方式がある。
【0006】
送信ローカル同期方式では、復調器は本来の信号復調用のものだけで済むため受信側の構成は簡単であるが、送信側にローカル同期回路が必要となり回路構成が複雑になるほかに、送信側の保守時に異偏波側に影響を与えないようにするための手順が複雑になるという問題がある。
【0007】
これに対して、受信ローカル同期方式では、送信側のローカルを同期させる必要がないため、送信側の回路構成が簡単になるというメリットはあるが、逆に信号を復調するための本来の異偏波側の復調器とは別に交差偏波間干渉を推定するための復調器が自偏波の復調装置内に必要となるため、受信側の回路規模が増大するというデメリットがある。なお、復調器のキャリア再生として準同期検波方式を用いる場合には、ハードウェア構成で相性がよい受信ローカル同期方式が用いられる場合が多い。
【0008】
この受信ローカル同期方式の場合には、自偏波の受信機と異偏波の受信機とが1つのローカル発振器を共用する共通ローカル方式と、自偏波の受信機と異偏波の受信機とがローカル発振器を独立に保有しローカル発振器のリファレンス信号を共用する共通リファレンス方式との2方式がある。
【0009】
共通ローカル方式では、回路構成が簡単になる反面、ローカル発振器の機器故障の場合に両偏波の信号が同時に断となる可能性があり、共通リファレンス方式では逆に回路構成が複雑ではあるがローカル発振器の機器故障に対してその影響を片偏波に抑えることができる。このため電波利用効率に対する要求が厳しく、無線周波数での予備回線をV偏波とH偏波の両偏波で一つしかとれない場合には、共通リファレンス方式を用いて冗長性の高い構成とする場合が多い。
【0010】
また、受信ローカル同期方式では、送信側のローカルは非同期であるから、空間での干渉成分も自偏波信号とは送信ローカル周波数の差分だけずれている。受信機のローカルをRF(Radio Frequenncy)、IF(Imidiate Frequenncy)とも共通ローカル方式とすると、自偏波のBB(Base Band)信号と異偏波のBB信号との周波数差は、送信ローカルの周波数差に等しく、また、自偏波のBB信号と異偏波のBB信号との位相関係は、空間での位相関係と一致している。よって、この2つのBB信号から異偏波間の干渉成分を求めることが可能になる。すなわち、受信側のV偏波/H偏波のローカル信号が完全に位相同期している共通ローカル方式の場合には、上述のように異偏波間の干渉を除去することが可能であるが、冗長性の高い共通リファレンス方式、すなわち異なるローカル発振器を使用している場合では、共通のリファレンス信号を用いることにより発振周波数については両者を一定にすることは可能であるが、それぞれのローカル発振器で発生する位相雑音成分は独立であり、V偏波とH偏波のローカル位相差成分にも時間的変動項が残ってしまう。
【0011】
また、干渉成分除去のためのXPICは、時間的変動がない位相差に対しては複製信号を作ることができても、時間的に早く変動する位相差に対しては十分な複製信号を作ることができない。これはXPICがトランスバーサルフィルタで構成され、そのタップ係数が積分回路で生成されているためである。すなわち、積分段数を下げて追随速度を速めれば、位相雑音の抑圧量を大きくすることができるが、同時に定常時のXPIC出力の雑音成分が大きくなり、BER特性の劣化を招く。したがって、位相雑音抑圧のために、XPICのタップ係数生成の積分段数を下げることは、変調多値数に応じた積分段数の増加に相反し、結局、ローカル発振器の位相雑音成分が大きい場合、交差偏波干渉補償能力が劣化してしまうことになる。
【0012】
この問題を解決する技術として、互いに直交する偏波のそれぞれのRFローカルで発生する位相関係を検出するローカル位相差検出器と、該ローカル位相差検出器で検出した位相差を補償するEPS(End−less Phase Shifter、無限移相器)とを備え、RF段での自偏波送信信号と異偏波干渉信号との位相関係と、干渉除去を行うベースバンド段での自偏波ベースバンド信号とベースバンドのXPIC参照信号との位相関係とが同一となるように、XPIC参照信号に存在する位相及び位相雑音成分をXPICに入力する以前に補償することによって、両偏波間の交差偏波間干渉成分を除去することとしている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0013】
しかしながら、この従来技術は、RFローカルで発生する位相関係を検出するローカル位相差検出器が、RF帯の周波数を処理するためにデジタル化が容易ではなく、回路構成が複雑になるという課題が残る。
【0014】
【特許文献1】
特開2002−158630号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の両偏波受信装置は、RFローカルで発生する位相関係を検出するローカル位相差検出器が、RF帯の周波数を処理するためにデジタル化が容易ではなく、回路構成が複雑になるという欠点がある。
【0016】
本発明の目的は、このような従来の欠点を除去するため、復調された出力信号からキャリアの位相情報を取り出すAPC信号を、V偏波側/H偏波側それぞれでDC成分とAC成分とに分離し、互いに相手偏波側のAC成分を用いて入れ替えた位相制御信号をXPIC側の復調回路に供給することにより、ローカル位相雑音による交差偏波間干渉補償能力の劣化を防止することができるデジタル化された両偏波受信装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の両偏波受信装置は、互いに直交する2つの偏波(V偏波/H偏波)を用いて伝送された信号を受信し、それぞれの受信信号をIF(Imidiate Frequenncy)信号に変換するための2つのRFローカル(局部発振器)を含む受信手段と、各IF信号をそれぞれ2分岐した後、各偏波毎に前記各IF信号を準同期検波方式により復調する復調手段とを備えて交差偏波間干渉除去を行う両偏波受信装置において、各偏波毎の前記復調手段が、復調した出力信号より位相雑音成分を抽出してDC/AC成分に分離し、前記DC/AC成分を各偏波間で入れ替えた位相制御信号を用いて、各偏波それぞれの前記復調手段において補償対象とする偏波(自偏波)に対する直交偏波(異偏波)のRFローカルから受ける位相雑音量を抑圧することを特徴としている。
【0018】
また、前記2つのRFローカルは、冗長構成の共通リファレンス発振器による同一周波数で同期がとられていることを特徴としている。
【0019】
また、前記復調手段は、復調した出力信号より位相雑音成分を抽出してDC/AC成分に分離し、他偏波(V偏波またはH偏波)の復調手段からのAC成分を入力して入れ替えた前記位相制御信号を生成することを特徴としている。
【0020】
また、前記復調手段は、2分岐された前記各IF信号をそれぞれ周波数変換する共通のIFローカルと、周波数変換されたそれぞれの信号をデジタル信号に変換する2つのA/D変換器と、それぞれのデジタル信号を復調する2つの復調回路と、補償対象とする自偏波の復調された信号に対して波形等化を行なう等化器と、異偏波側の復調された信号に対して異偏波からの干渉成分の複製信号を生成するXPIC(Cross−Polarization Interference Canceler)と、前記等化器出力の誤差信号と前記XPIC出力の複製信号とを加算して復調信号を出力する加算器と、前記復調信号からキャリア周波数のずれに対応したAPC(Automatic Phase Control)信号を生成する制御回路と、前記制御回路出力の前記APC信号を入力しDC成分とAC成分とに分離する分離器と、前記DC成分とAC成分とを各偏波間で入れ替えた前記位相制御信号を出力する合成器と、より構成されることを特徴としている。
【0021】
また、前記復調手段は、前記制御回路出力の前記APC信号を、自偏波のデジタル信号を復調する復調回路に出力するとともに、前記分離器出力のDC成分と他偏波(V偏波またはH偏波)の復調手段から出力されたAC成分とを合成した前記位相制御信号を、異偏波のデジタル信号を復調する復調回路に出力することを特徴としている。
【0022】
また、本発明の両偏波受信装置は、互いに直交する2つの偏波(V偏波/H偏波)を用いて伝送された信号をIF(Imidiate Frequenncy)信号に変換する第1、第2のRF(Radio Frequenncy)ミキサと、共通リファレンス信号で位相制御された第1、第2のRFローカル(局部発振器)と、各IF信号をそれぞれ2分岐した後、各偏波毎に前記各IF信号を準同期検波する共通のIFローカルおよび第1、第2のIFミキサと、準同期検波された各信号をデジタル信号に変換する第1、第2のA/D変換器と、変換された各信号を復調する第1、第2の復調回路と、補償対象とする偏波(自偏波)の復調された信号に対して波形等化を行なう等化器と、自偏波に対する異偏波側の復調された信号に対して異偏波からの干渉成分の複製信号を生成するXPIC(Cross−Polarization Interference Canceler)と、前記等化器出力の誤差信号と前記XPIC出力の複製信号とを加算して復調信号を出力する加算器と、前記復調信号からキャリア周波数のずれに対応したAPC(Automatic Phase Control)信号を生成して自偏波側の前記第1の復調回路に出力する制御回路と、前記APC信号をDC/AC成分に分離する分離器と、前記2つの偏波間で他偏波の分離器から出力されたAC成分を入力して入れ替えた位相制御信号を生成し、異偏波側の前記第2の復調回路に出力する合成器と、より構成されることを特徴としている。
【0023】
また、本発明の両偏波受信装置のローカル位相雑音低減方法は、互いに直交する2つの偏波(V偏波/H偏波)を用いて伝送された信号を共通リファレンス信号で位相制御された2つのRFローカル(局部発振器)によりIF(Imidiate Frequenncy)信号に変換し、各IF信号をそれぞれ2分岐した後、各偏波毎に前記各IF信号を準同期検波方式による復調器とXPIC(Cross−Polarization Interference Canceler)とを含む復調手段を用いて交差偏波間干渉除去を行う両偏波受信装置のローカル位相雑音低減方法であって、前記復調手段で復調された出力信号より位相雑音成分を抽出してDC/AC成分に分離し、前記2つの偏波間で他偏波の復調手段から出力されたAC成分を入力して入れ替えた位相制御信号を生成し、各偏波それぞれの前記復調手段において補償対象とする偏波(自偏波)に対する直交偏波(異偏波)のRFローカルから受ける位相雑音量を抑圧するために、前記位相制御信号を異偏波側の信号に対して異偏波からの干渉成分の複製信号を生成する前記XPICの入力側に帰還することを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の両偏波受信装置の一つの実施の形態を示すブロック図である。
【0025】
図1に示す本実施の形態は、互いに直交する2つの偏波(V偏波/H偏波)を用いて伝送された信号をIF(Imidiate Frequenncy)信号に変換するRF(Radio Frequenncy)ミキサ10、11と、共通のリファレンス信号で位相同期された2つのRFローカル(RF LO)1、2と、各偏波のIF信号を2分岐した後、各IF信号を準同期検波するIFローカル(IF LO)3、4およびIFミキサ12〜15と、準同期検波された各信号をデジタル信号に変換するA/D変換器20〜23と、変換された各信号を復調する復調回路30〜33と、補償対象とする偏波(自偏波)の復調された信号に対して波形等化を行なう等化器40、41と、自偏波に対する異偏波側の復調された信号に対して異偏波からの干渉成分の複製信号を生成するXPIC(Cross−Polarization Interference Canceler)50、51と、等化器40、41出力の自偏波側の誤差信号と異偏波側のXPIC50、51出力の複製信号とを加算して復調信号を出力する加算器80、81と、加算された復調信号からAPC(Automatic Phase Control)信号を生成して復調回路30、32に出力する制御回路70、71と、APC信号をDC/AC成分に分離する分離器60、61と、分離器60、61から出力されたDC/AC成分を入れ替えた位相制御信号を復調回路31、33に出力する合成器82、83とより構成されている。
【0026】
次に、本実施の形態の両偏波受信装置の動作を図1、図2および図3を参照して詳細に説明する。図2は図1に示すRFローカルの回路構成を示すブロック図であり、図3は図1に示す分離器の構成を示すブロック図である。
【0027】
図1は、V偏波側およびH偏波側の双方の構成を示しているが、RFミキサ10、11以降の復調装置は、V偏波側とH偏波側とで構成および動作が同一であるため、この復調装置の動作に関しては、特に断らない限りV偏波側についてのみ以下に説明する。
【0028】
また、直交変調方式の場合では、IF信号をBB信号に変換するミキサやアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器などは、I/Qチャンネルそれぞれに備えられるが、ここでは両チャンネル分を複素数表現で表すものとして簡略化している。
【0029】
図1を参照すると、RFミキサ10、11は、V偏波側のRF信号(VRF)およびH偏波側のRF信号(HRF)をそれぞれ入力し、V偏波側RFローカル1またはH偏波側RFローカル2の信号と掛け算してそれぞれのIF信号に変換する。
【0030】
RFローカル1、2は、図2に示すように、冗長構成のリファレンス発振器5、6と、リファレンス発振器5、6のどちらかを選択するセレクタ100、101と、RF帯のVCO7、8と、VCO7、8出力を分周する分周器107、108と、分周器107、108出力とリファレンス信号との位相比較を行う位相比較器103、104と、位相比較器103、104出力の高調波成分を抑圧しVCO7、8の制御信号を出力するループフィルタ105、106とから構成されている。VCO7、8の出力周波数は、PLL動作によりリファレンス信号と同期が図られて安定しているが、VCO7、8自体が持つ位相雑音は、ループバンドを外れるに従って抑圧されず出力される。したがって、V偏波/H偏波それぞれのRFローカル信号は、位相同期により周波数は一致しているが、発生する位相雑音は無相関であり、周波数変換されたそれぞれのIF信号にも位相雑音が含まれることになる。
【0031】
続いて、V偏波側のIFミキサ12、13は、RFミキサ10、11出力を入力し、IFローカル3と掛け算してBB信号に変換する。この変換により、キャリア周波数fc、変調速度fsの変調波は、周波数fc’のIFローカル信号との乗算により、僅かな周波数差fc−fc’のBB信号になる。
【0032】
IFローカル3は、RFローカル1、2のリファレンス発振器5、6と同様に水晶発振器が使用され、その出力が2分岐されて自偏波用および異偏波用としてそれぞれに出力される。したがって、その位相雑音は非常に少なく、RFローカル1、2に比べて無視できるレベルである。
【0033】
A/D変換器20、21は、IFミキサ12、13出力のBB信号をデジタル信号にそれぞれ変換する。また、A/D変換器20、21のサンプリングクロックは、自偏波の送信側のクロックに位相同期しているものとする。周波数は、変調速度の2n倍(n=1、2・・・)である。
【0034】
次に、自偏波の復調回路(DEM)30は、複素乗算回路と数値制御発振器(NCO)とを備えて構成され、制御回路70から出力されたキャリア周波数のずれに対応したデジタルのAPC(Automatic Phase Control)信号を積分して位相量に変換した後、その位相量に対応したデジタル表現の正弦波(sin、cos)を生成する。この正弦波は、復調回路30の入力信号の位相回転方向と逆方向の回転対称変換が行われているため、入力されたA/D変換器20出力信号と複素乗算することにより、残っていた位相回転が除去されてキャリア同期が確立する。この正弦波の周波数は、キャリア同期が確立したときわずかな周波数誤差fc−fc’となる。
【0035】
等化器(EQL)40は、制御回路70から出力される誤差信号と復調回路30からの出力信号との相関をとることによって、自偏波の周波数特性の劣化要因である符号間干渉の逆特性を生成し、これを自偏波の復調信号に与えることにより、復調信号内の符号間干渉を除去する。自偏波の等化器40としては、一般にトランスバーサル型等化器のような線形等化器、もしくは判定帰還型等化器(DFE)が用いられる。
【0036】
加算器80は、等化器40出力と異偏波側からの干渉成分の逆特性であるXPIC50出力とを加算して、その中に含まれる異偏波側からの干渉成分が補償された最終的な自偏波側の復調信号を出力する。ただし、等化器40がDFEの場合、後方等化器入力信号は、最終的な判定を行うための信号になっていなければならないため、XPIC50出力との加算は、前方等化器と後方等化器の間で行われる。
【0037】
制御回路70は、理想的な信号点の位置と受信信号とのずれに応じた誤差信号、あるいはキャリアの位相情報を取り出し、ループフィルタを通すことにより、得られたAPC信号を復調回路30およびDIV60に出力する。このAPC信号は、そのPLL特性に応じて、自偏波の位相雑音に追随する成分を含んでいる。
【0038】
分離器60は、図3に示すように、加算器84と積分器90とより構成されている。積分器90では、その時定数によってDC成分を出力する。送受信機のRFおよびIFのローカル周波数変動は、緩やかな温度変化による変動であり、十分遅いと仮定すれば周波数変動に対応するDC成分の抽出が得られる。また、加算器84では、もとのAPC信号から積分器90出力のDC成分を引いたAC成分、すなわち周波数変動分に対する位相雑音の成分を出力する。
【0039】
合成器82は、分離器60、61出力を入力し、V偏波側の情報として周波数変動に対応するDC成分と、H偏波側の情報として位相雑音に対応するAC成分とを合わせて出力する。
【0040】
一方、異偏波側の復調回路31は、復調回路(DEM)30と同様の機能を持つが、入力信号の周波数が自偏波側と送信側V偏波/H偏波のローカル周波数分ずれているため、自偏波側の復調回路30と同じ位相回転を与えた出力には、入力信号の周波数差分がそのまま現れる。ここで、V偏波側のローカル位相雑音の影響を付加しないように、制御回路70からの信号に替えて、自偏波側の分離器60から出力されるDC成分と、H偏波側の分離器61から出力されるAC成分を加算した信号を位相制御信号として、位相回転を受ける。これにより、自偏波であるV偏波側のキャリアAPC信号から位相雑音に対応している成分を除去することができる。
【0041】
XPIC50は、異偏波側の復調回路31出力を入力とし、自偏波側から供給される誤差信号との相関をとることにより得られるタップ係数を用いて、異偏波側からの干渉成分の逆特性(反転レプリカ)を生成し出力する。
【0042】
以上の説明で、V偏波側の復調装置各部の動作について示したが、これはH偏波側についても全く同じである。
【0043】
次に、ローカル位相雑音の低減動作について説明する。
【0044】
まず、自偏波の復調回路30では、RFローカル1より出力された位相雑音がキャリア同期再生を行うことによって抑圧されるため、最終的な復調信号に含まれる位相雑音の影響はほとんど除去される。これを数式を用いて表現すると、以下のようになる。
【0045】
V偏波側の送受のローカル周波数差(V偏波側送信ローカルと自偏波側ローカルとの周波数差)をΔfv、ローカル位相雑音をPvとすると、図示しないキャリア再生回路のPLLによって抑圧されるため、Δfvを“0”にし、Pvを“0”に近づけるように作用する。つまり、復調回路30出力では、
Δfv+Pv−(Δfv+Pv)=0
となり、最終的な復調信号に含まれる位相雑音の影響はほとんど除去される。
【0046】
これに対し、異偏波側では、自偏波の復調キャリア信号と同じキャリア信号で復調された変調波は、送信ローカル周波数の差分だけではなく、受信側V偏波/H偏波のローカル、それぞれの位相雑音の差分に相当する位相雑音を持つ。よって、H偏波側の送受のローカル周波数差をΔfh、H偏波側のローカルの位相雑音をPhとすると、異偏波側(XPIC側)の復調回路31出力では、自偏波側と同じ位相回転が与えられた場合、
Δfh+Ph−(Δfv+Pv)=(Δfh−Δfv)+(Ph−Pv)
の周波数と位相雑音を持つことになる。
【0047】
ここで、Δfh−Δfvは、干渉が発生している空間での周波数差であるから、本来求めるものである。しかし、位相雑音のPh−Pvは不要な成分であり、ローカル位相雑音が無視できる程度に小さくない限り、干渉補償特性を劣化させる。
【0048】
したがって、Δfv+Pvの代りに、Δfv+PhをXPIC側の復調回路31に加えれば、Δfh−Δfvが得られることが明らかである。
【0049】
ここで、キャリア再生ループが同期しているときのAPC信号は、図4に示すように、送信側ローカルの周波数差に対応するDC成分と、瞬間的な位相変動を与える位相雑音に対応するAC成分とが合成されたものとみることができる。
【0050】
分離器61は、制御回路70から出力されたキャリアAPC信号を入力して、DC成分とAC成分とに分離する。
【0051】
合成器82は、V偏波側の分離器60から出力されたDC成分とH偏波側の分離器61から出力されたAC成分とを加算する。すなわち、V偏波側の送受のローカル周波数差ΔfvとH偏波側のローカルの位相雑音Phとを加算した信号(Δfv+Ph)を生成する。この結果、自偏波側の位相雑音に影響されず、異偏波側の位相雑音に追随できて、かつ自偏波側の周波数変動に追随できる位相制御信号をAPC信号の代わりとして得ることができる。
【0052】
この位相制御信号を用いて、異偏波側の復調回路31の位相回転を行うと、V偏波/H偏波双方の受信側ローカル位相雑音の影響が除去されたH偏波側の復調信号が得られる。したがって、復調回路31出力では、V偏波側の位相雑音を含まず、H偏波側の雑音成分が抑圧され、空間でのV偏波/H偏波の周波数関係が保たれることになる。
【0053】
なお、H偏波側の復調装置がキャリア非同期となった場合は、H偏波側のAPC信号から正しい情報が得られなくなる。このような場合には、偏波間でのAPC信号のやりとりを止めればよい。H偏波側の位相雑音の追随性がなくなるためXPIC特性が劣化するが、偏波間のD/U比が極端に悪い場合を除き、特に問題は起こらない。
【0054】
また、従来からXPIC付の復調装置では、異偏波側の動作状況により、XPIC機能をリセット、つまり出力を“0”にすることが行われている。本発明に、これらのXPICリセット方式を組み合わせることは、当然可能である。
【0055】
また、クロック同期回路についても、方式は問わず、送信側のクロックに対し位相同期が取れればよく、本発明の回路の動作に対して影響が無いため、省略している。
【0056】
なお、本図には記載を省略したが、この復調装置に対応する変調装置では、V偏波側とH偏波側のローカルの周波数関係には制約は無い。つまり、同期していても、非同期であっても良い。また、それぞれの変調装置へ入力されるクロックについても、その周波数関係に制約はない。
【0057】
また、本発明の趣旨であるV偏波/H偏波での冗長構成とは異なるが、V偏波/H偏波ともに予備回線を持っているシステムでは、V偏波/H偏波が同時に切れてもシステムとしての信頼性は確保できる。このようなシステムにおいては、V偏波/H偏波の復調装置を完全に一体化することによる回路の共用化が可能である。図5に示すような構成にすれば、他の機能と重なっている回路が無いため、コスト削減を図ることができる。一体化することにより、V偏波/H偏波間のAPC信号の受け渡しも簡単になる。
【0058】
以上の説明では、DC成分を含むBB信号をA/D変換するBBサンプリング方式の復調装置について説明したが、IFのミキサで一旦低いIF帯の信号に落としてから、DC成分を含まないIF信号のままA/D変換するIFサンプリング方式の復調装置にもそのまま適用が可能である。
【0059】
なお、図1の構成において、RFからIF、IFからBBへの周波数変換器であるミキサ出力には本来、不要な周波数成分を抑圧し、所望の周波数成分だけを取り出す帯域通過フィルタ、あるいは低域通過フィルタが必要であるが、これは自明の事象であり、本発明の趣旨とは直接関係しないため、省略している。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の両偏波受信装置及びそのローカル位相雑音低減方法によれば、V偏波/H偏波それぞれに復調した出力信号より位相雑音成分を抽出してDC/AC成分に分離し、両偏波間でAC成分を入れ替えた位相制御信号を用いて、異偏波側の復調回路に帰還することにより、V偏波/H偏波で独立のローカル位相雑音によるXPIC特性の劣化を防止することができるため、準同期検波方式の復調器を用いた受信ローカル同期方式のXPICを構成することが可能となる。
【0061】
したがって、受信共通リファレンス方式のXPIC付復調器で冗長構成を実現するために、高価な位相雑音特性のよいローカルを使う必要がなくなるという経済的な効果がある。
【0062】
さらに、片偏波の故障時に信号の瞬断が発生しない両偏波伝送冗長構成を実現することが可能となり、システムの信頼性を向上させることができる。
【0063】
この効果を実現するために、従来の回路構成に対して追加する必要のある回路は、積分器と加算器から構成されるキャリアAPC信号のAC成分、DC成分の分離器だけであり、これは非常に小規模なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の両偏波受信装置の一つの実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示すRFローカルの回路構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す分離器の構成を示すブロック図である。
【図4】キャリア再生ループが同期しているときのAPC信号を示す図である。
【図5】本発明の両偏波受信装置の他の実施の形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1、2 RFローカル(RF LO)
3、4 IFローカル(IF LO)
5、6 リファレンス発振器
7、8 VCO
10、11 RFミキサ
12〜15 IFミキサ
20〜23 A/D変換器
30〜33 復調回路
40、41 等化器
50、51 XPIC
60、61 分離器
70、71 制御回路
80、81 加算器
82、83 合成器
84 加算器
90 積分器
100、101 セレクタ
103、104 位相比較器
105、106 ループフィルタ
107、108 分周器
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信ローカル(局部発振器)同期方式を用いた両偏波受信装置に関し、特に独立した受信ローカルから発生する位相雑音による交差偏波間干渉補償特性の劣化を防止する両偏波受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタルマイクロ波通信装置においては、周波数利用効率を上げるため、直交する2つの偏波面、垂直(V)偏波と水平(H)偏波とを用いて、異なる信号の伝送を行う両偏波伝送方式が用いられている。この方式において、V偏波とH偏波とで同じ周波数が使用される時、アンテナや空間の偏波面の直交性にずれがある場合V偏波からH偏波あるいはH偏波からV偏波への信号の漏れ込みが発生する。
【0003】
この漏れ込みは交差偏波間干渉と呼ばれ、信号の伝送品質に悪影響を与える。特に両偏波伝送方式とQAMなどの多値変復調方式とを併用している場合は影響が顕著であるため、通常、交差偏波間干渉補償器(XPIC:Cross−Polarization Interference Canceler)を用いた干渉成分の除去が行われている。
【0004】
XPICを用いて補償対象とする偏波を自偏波、これと直交する偏波を異偏波と定義すると、受信側において異偏波からの干渉を補償するためには、自偏波信号と異偏波より受け渡されるXPIC参照信号との位相関係が、異偏波側干渉を受けるRF(Radio Frequency)帯の段階と同一でなければならない。
【0005】
この条件を満たすためには、自偏波と異偏波とのローカル(Local Oscillator、局部発振器)周波数が、送信側もしくは受信側の少なくともどちらか一方で一致していることが必要であり、このローカル周波数の設定として、送信ローカル同期方式と受信ローカル同期方式との2方式がある。
【0006】
送信ローカル同期方式では、復調器は本来の信号復調用のものだけで済むため受信側の構成は簡単であるが、送信側にローカル同期回路が必要となり回路構成が複雑になるほかに、送信側の保守時に異偏波側に影響を与えないようにするための手順が複雑になるという問題がある。
【0007】
これに対して、受信ローカル同期方式では、送信側のローカルを同期させる必要がないため、送信側の回路構成が簡単になるというメリットはあるが、逆に信号を復調するための本来の異偏波側の復調器とは別に交差偏波間干渉を推定するための復調器が自偏波の復調装置内に必要となるため、受信側の回路規模が増大するというデメリットがある。なお、復調器のキャリア再生として準同期検波方式を用いる場合には、ハードウェア構成で相性がよい受信ローカル同期方式が用いられる場合が多い。
【0008】
この受信ローカル同期方式の場合には、自偏波の受信機と異偏波の受信機とが1つのローカル発振器を共用する共通ローカル方式と、自偏波の受信機と異偏波の受信機とがローカル発振器を独立に保有しローカル発振器のリファレンス信号を共用する共通リファレンス方式との2方式がある。
【0009】
共通ローカル方式では、回路構成が簡単になる反面、ローカル発振器の機器故障の場合に両偏波の信号が同時に断となる可能性があり、共通リファレンス方式では逆に回路構成が複雑ではあるがローカル発振器の機器故障に対してその影響を片偏波に抑えることができる。このため電波利用効率に対する要求が厳しく、無線周波数での予備回線をV偏波とH偏波の両偏波で一つしかとれない場合には、共通リファレンス方式を用いて冗長性の高い構成とする場合が多い。
【0010】
また、受信ローカル同期方式では、送信側のローカルは非同期であるから、空間での干渉成分も自偏波信号とは送信ローカル周波数の差分だけずれている。受信機のローカルをRF(Radio Frequenncy)、IF(Imidiate Frequenncy)とも共通ローカル方式とすると、自偏波のBB(Base Band)信号と異偏波のBB信号との周波数差は、送信ローカルの周波数差に等しく、また、自偏波のBB信号と異偏波のBB信号との位相関係は、空間での位相関係と一致している。よって、この2つのBB信号から異偏波間の干渉成分を求めることが可能になる。すなわち、受信側のV偏波/H偏波のローカル信号が完全に位相同期している共通ローカル方式の場合には、上述のように異偏波間の干渉を除去することが可能であるが、冗長性の高い共通リファレンス方式、すなわち異なるローカル発振器を使用している場合では、共通のリファレンス信号を用いることにより発振周波数については両者を一定にすることは可能であるが、それぞれのローカル発振器で発生する位相雑音成分は独立であり、V偏波とH偏波のローカル位相差成分にも時間的変動項が残ってしまう。
【0011】
また、干渉成分除去のためのXPICは、時間的変動がない位相差に対しては複製信号を作ることができても、時間的に早く変動する位相差に対しては十分な複製信号を作ることができない。これはXPICがトランスバーサルフィルタで構成され、そのタップ係数が積分回路で生成されているためである。すなわち、積分段数を下げて追随速度を速めれば、位相雑音の抑圧量を大きくすることができるが、同時に定常時のXPIC出力の雑音成分が大きくなり、BER特性の劣化を招く。したがって、位相雑音抑圧のために、XPICのタップ係数生成の積分段数を下げることは、変調多値数に応じた積分段数の増加に相反し、結局、ローカル発振器の位相雑音成分が大きい場合、交差偏波干渉補償能力が劣化してしまうことになる。
【0012】
この問題を解決する技術として、互いに直交する偏波のそれぞれのRFローカルで発生する位相関係を検出するローカル位相差検出器と、該ローカル位相差検出器で検出した位相差を補償するEPS(End−less Phase Shifter、無限移相器)とを備え、RF段での自偏波送信信号と異偏波干渉信号との位相関係と、干渉除去を行うベースバンド段での自偏波ベースバンド信号とベースバンドのXPIC参照信号との位相関係とが同一となるように、XPIC参照信号に存在する位相及び位相雑音成分をXPICに入力する以前に補償することによって、両偏波間の交差偏波間干渉成分を除去することとしている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0013】
しかしながら、この従来技術は、RFローカルで発生する位相関係を検出するローカル位相差検出器が、RF帯の周波数を処理するためにデジタル化が容易ではなく、回路構成が複雑になるという課題が残る。
【0014】
【特許文献1】
特開2002−158630号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の両偏波受信装置は、RFローカルで発生する位相関係を検出するローカル位相差検出器が、RF帯の周波数を処理するためにデジタル化が容易ではなく、回路構成が複雑になるという欠点がある。
【0016】
本発明の目的は、このような従来の欠点を除去するため、復調された出力信号からキャリアの位相情報を取り出すAPC信号を、V偏波側/H偏波側それぞれでDC成分とAC成分とに分離し、互いに相手偏波側のAC成分を用いて入れ替えた位相制御信号をXPIC側の復調回路に供給することにより、ローカル位相雑音による交差偏波間干渉補償能力の劣化を防止することができるデジタル化された両偏波受信装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の両偏波受信装置は、互いに直交する2つの偏波(V偏波/H偏波)を用いて伝送された信号を受信し、それぞれの受信信号をIF(Imidiate Frequenncy)信号に変換するための2つのRFローカル(局部発振器)を含む受信手段と、各IF信号をそれぞれ2分岐した後、各偏波毎に前記各IF信号を準同期検波方式により復調する復調手段とを備えて交差偏波間干渉除去を行う両偏波受信装置において、各偏波毎の前記復調手段が、復調した出力信号より位相雑音成分を抽出してDC/AC成分に分離し、前記DC/AC成分を各偏波間で入れ替えた位相制御信号を用いて、各偏波それぞれの前記復調手段において補償対象とする偏波(自偏波)に対する直交偏波(異偏波)のRFローカルから受ける位相雑音量を抑圧することを特徴としている。
【0018】
また、前記2つのRFローカルは、冗長構成の共通リファレンス発振器による同一周波数で同期がとられていることを特徴としている。
【0019】
また、前記復調手段は、復調した出力信号より位相雑音成分を抽出してDC/AC成分に分離し、他偏波(V偏波またはH偏波)の復調手段からのAC成分を入力して入れ替えた前記位相制御信号を生成することを特徴としている。
【0020】
また、前記復調手段は、2分岐された前記各IF信号をそれぞれ周波数変換する共通のIFローカルと、周波数変換されたそれぞれの信号をデジタル信号に変換する2つのA/D変換器と、それぞれのデジタル信号を復調する2つの復調回路と、補償対象とする自偏波の復調された信号に対して波形等化を行なう等化器と、異偏波側の復調された信号に対して異偏波からの干渉成分の複製信号を生成するXPIC(Cross−Polarization Interference Canceler)と、前記等化器出力の誤差信号と前記XPIC出力の複製信号とを加算して復調信号を出力する加算器と、前記復調信号からキャリア周波数のずれに対応したAPC(Automatic Phase Control)信号を生成する制御回路と、前記制御回路出力の前記APC信号を入力しDC成分とAC成分とに分離する分離器と、前記DC成分とAC成分とを各偏波間で入れ替えた前記位相制御信号を出力する合成器と、より構成されることを特徴としている。
【0021】
また、前記復調手段は、前記制御回路出力の前記APC信号を、自偏波のデジタル信号を復調する復調回路に出力するとともに、前記分離器出力のDC成分と他偏波(V偏波またはH偏波)の復調手段から出力されたAC成分とを合成した前記位相制御信号を、異偏波のデジタル信号を復調する復調回路に出力することを特徴としている。
【0022】
また、本発明の両偏波受信装置は、互いに直交する2つの偏波(V偏波/H偏波)を用いて伝送された信号をIF(Imidiate Frequenncy)信号に変換する第1、第2のRF(Radio Frequenncy)ミキサと、共通リファレンス信号で位相制御された第1、第2のRFローカル(局部発振器)と、各IF信号をそれぞれ2分岐した後、各偏波毎に前記各IF信号を準同期検波する共通のIFローカルおよび第1、第2のIFミキサと、準同期検波された各信号をデジタル信号に変換する第1、第2のA/D変換器と、変換された各信号を復調する第1、第2の復調回路と、補償対象とする偏波(自偏波)の復調された信号に対して波形等化を行なう等化器と、自偏波に対する異偏波側の復調された信号に対して異偏波からの干渉成分の複製信号を生成するXPIC(Cross−Polarization Interference Canceler)と、前記等化器出力の誤差信号と前記XPIC出力の複製信号とを加算して復調信号を出力する加算器と、前記復調信号からキャリア周波数のずれに対応したAPC(Automatic Phase Control)信号を生成して自偏波側の前記第1の復調回路に出力する制御回路と、前記APC信号をDC/AC成分に分離する分離器と、前記2つの偏波間で他偏波の分離器から出力されたAC成分を入力して入れ替えた位相制御信号を生成し、異偏波側の前記第2の復調回路に出力する合成器と、より構成されることを特徴としている。
【0023】
また、本発明の両偏波受信装置のローカル位相雑音低減方法は、互いに直交する2つの偏波(V偏波/H偏波)を用いて伝送された信号を共通リファレンス信号で位相制御された2つのRFローカル(局部発振器)によりIF(Imidiate Frequenncy)信号に変換し、各IF信号をそれぞれ2分岐した後、各偏波毎に前記各IF信号を準同期検波方式による復調器とXPIC(Cross−Polarization Interference Canceler)とを含む復調手段を用いて交差偏波間干渉除去を行う両偏波受信装置のローカル位相雑音低減方法であって、前記復調手段で復調された出力信号より位相雑音成分を抽出してDC/AC成分に分離し、前記2つの偏波間で他偏波の復調手段から出力されたAC成分を入力して入れ替えた位相制御信号を生成し、各偏波それぞれの前記復調手段において補償対象とする偏波(自偏波)に対する直交偏波(異偏波)のRFローカルから受ける位相雑音量を抑圧するために、前記位相制御信号を異偏波側の信号に対して異偏波からの干渉成分の複製信号を生成する前記XPICの入力側に帰還することを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の両偏波受信装置の一つの実施の形態を示すブロック図である。
【0025】
図1に示す本実施の形態は、互いに直交する2つの偏波(V偏波/H偏波)を用いて伝送された信号をIF(Imidiate Frequenncy)信号に変換するRF(Radio Frequenncy)ミキサ10、11と、共通のリファレンス信号で位相同期された2つのRFローカル(RF LO)1、2と、各偏波のIF信号を2分岐した後、各IF信号を準同期検波するIFローカル(IF LO)3、4およびIFミキサ12〜15と、準同期検波された各信号をデジタル信号に変換するA/D変換器20〜23と、変換された各信号を復調する復調回路30〜33と、補償対象とする偏波(自偏波)の復調された信号に対して波形等化を行なう等化器40、41と、自偏波に対する異偏波側の復調された信号に対して異偏波からの干渉成分の複製信号を生成するXPIC(Cross−Polarization Interference Canceler)50、51と、等化器40、41出力の自偏波側の誤差信号と異偏波側のXPIC50、51出力の複製信号とを加算して復調信号を出力する加算器80、81と、加算された復調信号からAPC(Automatic Phase Control)信号を生成して復調回路30、32に出力する制御回路70、71と、APC信号をDC/AC成分に分離する分離器60、61と、分離器60、61から出力されたDC/AC成分を入れ替えた位相制御信号を復調回路31、33に出力する合成器82、83とより構成されている。
【0026】
次に、本実施の形態の両偏波受信装置の動作を図1、図2および図3を参照して詳細に説明する。図2は図1に示すRFローカルの回路構成を示すブロック図であり、図3は図1に示す分離器の構成を示すブロック図である。
【0027】
図1は、V偏波側およびH偏波側の双方の構成を示しているが、RFミキサ10、11以降の復調装置は、V偏波側とH偏波側とで構成および動作が同一であるため、この復調装置の動作に関しては、特に断らない限りV偏波側についてのみ以下に説明する。
【0028】
また、直交変調方式の場合では、IF信号をBB信号に変換するミキサやアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器などは、I/Qチャンネルそれぞれに備えられるが、ここでは両チャンネル分を複素数表現で表すものとして簡略化している。
【0029】
図1を参照すると、RFミキサ10、11は、V偏波側のRF信号(VRF)およびH偏波側のRF信号(HRF)をそれぞれ入力し、V偏波側RFローカル1またはH偏波側RFローカル2の信号と掛け算してそれぞれのIF信号に変換する。
【0030】
RFローカル1、2は、図2に示すように、冗長構成のリファレンス発振器5、6と、リファレンス発振器5、6のどちらかを選択するセレクタ100、101と、RF帯のVCO7、8と、VCO7、8出力を分周する分周器107、108と、分周器107、108出力とリファレンス信号との位相比較を行う位相比較器103、104と、位相比較器103、104出力の高調波成分を抑圧しVCO7、8の制御信号を出力するループフィルタ105、106とから構成されている。VCO7、8の出力周波数は、PLL動作によりリファレンス信号と同期が図られて安定しているが、VCO7、8自体が持つ位相雑音は、ループバンドを外れるに従って抑圧されず出力される。したがって、V偏波/H偏波それぞれのRFローカル信号は、位相同期により周波数は一致しているが、発生する位相雑音は無相関であり、周波数変換されたそれぞれのIF信号にも位相雑音が含まれることになる。
【0031】
続いて、V偏波側のIFミキサ12、13は、RFミキサ10、11出力を入力し、IFローカル3と掛け算してBB信号に変換する。この変換により、キャリア周波数fc、変調速度fsの変調波は、周波数fc’のIFローカル信号との乗算により、僅かな周波数差fc−fc’のBB信号になる。
【0032】
IFローカル3は、RFローカル1、2のリファレンス発振器5、6と同様に水晶発振器が使用され、その出力が2分岐されて自偏波用および異偏波用としてそれぞれに出力される。したがって、その位相雑音は非常に少なく、RFローカル1、2に比べて無視できるレベルである。
【0033】
A/D変換器20、21は、IFミキサ12、13出力のBB信号をデジタル信号にそれぞれ変換する。また、A/D変換器20、21のサンプリングクロックは、自偏波の送信側のクロックに位相同期しているものとする。周波数は、変調速度の2n倍(n=1、2・・・)である。
【0034】
次に、自偏波の復調回路(DEM)30は、複素乗算回路と数値制御発振器(NCO)とを備えて構成され、制御回路70から出力されたキャリア周波数のずれに対応したデジタルのAPC(Automatic Phase Control)信号を積分して位相量に変換した後、その位相量に対応したデジタル表現の正弦波(sin、cos)を生成する。この正弦波は、復調回路30の入力信号の位相回転方向と逆方向の回転対称変換が行われているため、入力されたA/D変換器20出力信号と複素乗算することにより、残っていた位相回転が除去されてキャリア同期が確立する。この正弦波の周波数は、キャリア同期が確立したときわずかな周波数誤差fc−fc’となる。
【0035】
等化器(EQL)40は、制御回路70から出力される誤差信号と復調回路30からの出力信号との相関をとることによって、自偏波の周波数特性の劣化要因である符号間干渉の逆特性を生成し、これを自偏波の復調信号に与えることにより、復調信号内の符号間干渉を除去する。自偏波の等化器40としては、一般にトランスバーサル型等化器のような線形等化器、もしくは判定帰還型等化器(DFE)が用いられる。
【0036】
加算器80は、等化器40出力と異偏波側からの干渉成分の逆特性であるXPIC50出力とを加算して、その中に含まれる異偏波側からの干渉成分が補償された最終的な自偏波側の復調信号を出力する。ただし、等化器40がDFEの場合、後方等化器入力信号は、最終的な判定を行うための信号になっていなければならないため、XPIC50出力との加算は、前方等化器と後方等化器の間で行われる。
【0037】
制御回路70は、理想的な信号点の位置と受信信号とのずれに応じた誤差信号、あるいはキャリアの位相情報を取り出し、ループフィルタを通すことにより、得られたAPC信号を復調回路30およびDIV60に出力する。このAPC信号は、そのPLL特性に応じて、自偏波の位相雑音に追随する成分を含んでいる。
【0038】
分離器60は、図3に示すように、加算器84と積分器90とより構成されている。積分器90では、その時定数によってDC成分を出力する。送受信機のRFおよびIFのローカル周波数変動は、緩やかな温度変化による変動であり、十分遅いと仮定すれば周波数変動に対応するDC成分の抽出が得られる。また、加算器84では、もとのAPC信号から積分器90出力のDC成分を引いたAC成分、すなわち周波数変動分に対する位相雑音の成分を出力する。
【0039】
合成器82は、分離器60、61出力を入力し、V偏波側の情報として周波数変動に対応するDC成分と、H偏波側の情報として位相雑音に対応するAC成分とを合わせて出力する。
【0040】
一方、異偏波側の復調回路31は、復調回路(DEM)30と同様の機能を持つが、入力信号の周波数が自偏波側と送信側V偏波/H偏波のローカル周波数分ずれているため、自偏波側の復調回路30と同じ位相回転を与えた出力には、入力信号の周波数差分がそのまま現れる。ここで、V偏波側のローカル位相雑音の影響を付加しないように、制御回路70からの信号に替えて、自偏波側の分離器60から出力されるDC成分と、H偏波側の分離器61から出力されるAC成分を加算した信号を位相制御信号として、位相回転を受ける。これにより、自偏波であるV偏波側のキャリアAPC信号から位相雑音に対応している成分を除去することができる。
【0041】
XPIC50は、異偏波側の復調回路31出力を入力とし、自偏波側から供給される誤差信号との相関をとることにより得られるタップ係数を用いて、異偏波側からの干渉成分の逆特性(反転レプリカ)を生成し出力する。
【0042】
以上の説明で、V偏波側の復調装置各部の動作について示したが、これはH偏波側についても全く同じである。
【0043】
次に、ローカル位相雑音の低減動作について説明する。
【0044】
まず、自偏波の復調回路30では、RFローカル1より出力された位相雑音がキャリア同期再生を行うことによって抑圧されるため、最終的な復調信号に含まれる位相雑音の影響はほとんど除去される。これを数式を用いて表現すると、以下のようになる。
【0045】
V偏波側の送受のローカル周波数差(V偏波側送信ローカルと自偏波側ローカルとの周波数差)をΔfv、ローカル位相雑音をPvとすると、図示しないキャリア再生回路のPLLによって抑圧されるため、Δfvを“0”にし、Pvを“0”に近づけるように作用する。つまり、復調回路30出力では、
Δfv+Pv−(Δfv+Pv)=0
となり、最終的な復調信号に含まれる位相雑音の影響はほとんど除去される。
【0046】
これに対し、異偏波側では、自偏波の復調キャリア信号と同じキャリア信号で復調された変調波は、送信ローカル周波数の差分だけではなく、受信側V偏波/H偏波のローカル、それぞれの位相雑音の差分に相当する位相雑音を持つ。よって、H偏波側の送受のローカル周波数差をΔfh、H偏波側のローカルの位相雑音をPhとすると、異偏波側(XPIC側)の復調回路31出力では、自偏波側と同じ位相回転が与えられた場合、
Δfh+Ph−(Δfv+Pv)=(Δfh−Δfv)+(Ph−Pv)
の周波数と位相雑音を持つことになる。
【0047】
ここで、Δfh−Δfvは、干渉が発生している空間での周波数差であるから、本来求めるものである。しかし、位相雑音のPh−Pvは不要な成分であり、ローカル位相雑音が無視できる程度に小さくない限り、干渉補償特性を劣化させる。
【0048】
したがって、Δfv+Pvの代りに、Δfv+PhをXPIC側の復調回路31に加えれば、Δfh−Δfvが得られることが明らかである。
【0049】
ここで、キャリア再生ループが同期しているときのAPC信号は、図4に示すように、送信側ローカルの周波数差に対応するDC成分と、瞬間的な位相変動を与える位相雑音に対応するAC成分とが合成されたものとみることができる。
【0050】
分離器61は、制御回路70から出力されたキャリアAPC信号を入力して、DC成分とAC成分とに分離する。
【0051】
合成器82は、V偏波側の分離器60から出力されたDC成分とH偏波側の分離器61から出力されたAC成分とを加算する。すなわち、V偏波側の送受のローカル周波数差ΔfvとH偏波側のローカルの位相雑音Phとを加算した信号(Δfv+Ph)を生成する。この結果、自偏波側の位相雑音に影響されず、異偏波側の位相雑音に追随できて、かつ自偏波側の周波数変動に追随できる位相制御信号をAPC信号の代わりとして得ることができる。
【0052】
この位相制御信号を用いて、異偏波側の復調回路31の位相回転を行うと、V偏波/H偏波双方の受信側ローカル位相雑音の影響が除去されたH偏波側の復調信号が得られる。したがって、復調回路31出力では、V偏波側の位相雑音を含まず、H偏波側の雑音成分が抑圧され、空間でのV偏波/H偏波の周波数関係が保たれることになる。
【0053】
なお、H偏波側の復調装置がキャリア非同期となった場合は、H偏波側のAPC信号から正しい情報が得られなくなる。このような場合には、偏波間でのAPC信号のやりとりを止めればよい。H偏波側の位相雑音の追随性がなくなるためXPIC特性が劣化するが、偏波間のD/U比が極端に悪い場合を除き、特に問題は起こらない。
【0054】
また、従来からXPIC付の復調装置では、異偏波側の動作状況により、XPIC機能をリセット、つまり出力を“0”にすることが行われている。本発明に、これらのXPICリセット方式を組み合わせることは、当然可能である。
【0055】
また、クロック同期回路についても、方式は問わず、送信側のクロックに対し位相同期が取れればよく、本発明の回路の動作に対して影響が無いため、省略している。
【0056】
なお、本図には記載を省略したが、この復調装置に対応する変調装置では、V偏波側とH偏波側のローカルの周波数関係には制約は無い。つまり、同期していても、非同期であっても良い。また、それぞれの変調装置へ入力されるクロックについても、その周波数関係に制約はない。
【0057】
また、本発明の趣旨であるV偏波/H偏波での冗長構成とは異なるが、V偏波/H偏波ともに予備回線を持っているシステムでは、V偏波/H偏波が同時に切れてもシステムとしての信頼性は確保できる。このようなシステムにおいては、V偏波/H偏波の復調装置を完全に一体化することによる回路の共用化が可能である。図5に示すような構成にすれば、他の機能と重なっている回路が無いため、コスト削減を図ることができる。一体化することにより、V偏波/H偏波間のAPC信号の受け渡しも簡単になる。
【0058】
以上の説明では、DC成分を含むBB信号をA/D変換するBBサンプリング方式の復調装置について説明したが、IFのミキサで一旦低いIF帯の信号に落としてから、DC成分を含まないIF信号のままA/D変換するIFサンプリング方式の復調装置にもそのまま適用が可能である。
【0059】
なお、図1の構成において、RFからIF、IFからBBへの周波数変換器であるミキサ出力には本来、不要な周波数成分を抑圧し、所望の周波数成分だけを取り出す帯域通過フィルタ、あるいは低域通過フィルタが必要であるが、これは自明の事象であり、本発明の趣旨とは直接関係しないため、省略している。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の両偏波受信装置及びそのローカル位相雑音低減方法によれば、V偏波/H偏波それぞれに復調した出力信号より位相雑音成分を抽出してDC/AC成分に分離し、両偏波間でAC成分を入れ替えた位相制御信号を用いて、異偏波側の復調回路に帰還することにより、V偏波/H偏波で独立のローカル位相雑音によるXPIC特性の劣化を防止することができるため、準同期検波方式の復調器を用いた受信ローカル同期方式のXPICを構成することが可能となる。
【0061】
したがって、受信共通リファレンス方式のXPIC付復調器で冗長構成を実現するために、高価な位相雑音特性のよいローカルを使う必要がなくなるという経済的な効果がある。
【0062】
さらに、片偏波の故障時に信号の瞬断が発生しない両偏波伝送冗長構成を実現することが可能となり、システムの信頼性を向上させることができる。
【0063】
この効果を実現するために、従来の回路構成に対して追加する必要のある回路は、積分器と加算器から構成されるキャリアAPC信号のAC成分、DC成分の分離器だけであり、これは非常に小規模なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の両偏波受信装置の一つの実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示すRFローカルの回路構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す分離器の構成を示すブロック図である。
【図4】キャリア再生ループが同期しているときのAPC信号を示す図である。
【図5】本発明の両偏波受信装置の他の実施の形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1、2 RFローカル(RF LO)
3、4 IFローカル(IF LO)
5、6 リファレンス発振器
7、8 VCO
10、11 RFミキサ
12〜15 IFミキサ
20〜23 A/D変換器
30〜33 復調回路
40、41 等化器
50、51 XPIC
60、61 分離器
70、71 制御回路
80、81 加算器
82、83 合成器
84 加算器
90 積分器
100、101 セレクタ
103、104 位相比較器
105、106 ループフィルタ
107、108 分周器
Claims (7)
- 互いに直交する2つの偏波(V偏波/H偏波)を用いて伝送された信号を受信し、それぞれの受信信号をIF(Imidiate Frequenncy)信号に変換するための2つのRFローカル(局部発振器)を含む受信手段と、各IF信号をそれぞれ2分岐した後、各偏波毎に前記各IF信号を準同期検波方式により復調する復調手段とを備えて交差偏波間干渉除去を行う両偏波受信装置において、各偏波毎の前記復調手段が、復調した出力信号より位相雑音成分を抽出してDC/AC成分に分離し、前記DC/AC成分を各偏波間で入れ替えた位相制御信号を用いて、各偏波それぞれの前記復調手段において補償対象とする偏波(自偏波)に対する直交偏波(異偏波)のRFローカルから受ける位相雑音量を抑圧することを特徴とする両偏波受信装置。
- 前記2つのRFローカルは、冗長構成の共通リファレンス発振器による同一周波数で同期がとられていることを特徴とする請求項1記載の両偏波受信装置。
- 前記復調手段は、復調した出力信号より位相雑音成分を抽出してDC/AC成分に分離し、他偏波(V偏波またはH偏波)の復調手段からのAC成分を入力して入れ替えた前記位相制御信号を生成することを特徴とする請求項1又は2記載の両偏波受信装置。
- 前記復調手段は、2分岐された前記各IF信号をそれぞれ周波数変換する共通のIFローカルと、周波数変換されたそれぞれの信号をデジタル信号に変換する2つのA/D変換器と、それぞれのデジタル信号を復調する2つの復調回路と、補償対象とする自偏波の復調された信号に対して波形等化を行なう等化器と、異偏波側の復調された信号に対して異偏波からの干渉成分の複製信号を生成するXPIC(Cross−Polarization Interference Canceler)と、前記等化器出力の誤差信号と前記XPIC出力の複製信号とを加算して復調信号を出力する加算器と、前記復調信号からキャリア周波数のずれに対応したAPC(Automatic Phase Control)信号を生成する制御回路と、前記制御回路出力の前記APC信号を入力しDC成分とAC成分とに分離する分離器と、前記DC成分とAC成分とを各偏波間で入れ替えた前記位相制御信号を出力する合成器と、より構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の両偏波受信装置。
- 前記復調手段は、前記制御回路出力の前記APC信号を、自偏波のデジタル信号を復調する復調回路に出力するとともに、前記分離器出力のDC成分と他偏波(V偏波またはH偏波)の復調手段から出力されたAC成分とを合成した前記位相制御信号を、異偏波のデジタル信号を復調する復調回路に出力することを特徴とする請求項1、2又は4記載の両偏波受信装置。
- 互いに直交する2つの偏波(V偏波/H偏波)を用いて伝送された信号をIF(Imidiate Frequenncy)信号に変換する第1、第2のRF(Radio Frequenncy)ミキサと、共通リファレンス信号で位相制御された第1、第2のRFローカル(局部発振器)と、各IF信号をそれぞれ2分岐した後、各偏波毎に前記各IF信号を準同期検波する共通のIFローカルおよび第1、第2のIFミキサと、準同期検波された各信号をデジタル信号に変換する第1、第2のA/D変換器と、変換された各信号を復調する第1、第2の復調回路と、補償対象とする偏波(自偏波)の復調された信号に対して波形等化を行なう等化器と、自偏波に対する異偏波側の復調された信号に対して異偏波からの干渉成分の複製信号を生成するXPIC(Cross−Polarization Interference Canceler)と、前記等化器出力の誤差信号と前記XPIC出力の複製信号とを加算して復調信号を出力する加算器と、前記復調信号からキャリア周波数のずれに対応したAPC(Automatic Phase Control)信号を生成して自偏波側の前記第1の復調回路に出力する制御回路と、前記APC信号をDC/AC成分に分離する分離器と、前記2つの偏波間で他偏波の分離器から出力されたAC成分を入力して入れ替えた位相制御信号を生成し、異偏波側の前記第2の復調回路に出力する合成器と、より構成されることを特徴とする両偏波受信装置。
- 互いに直交する2つの偏波(V偏波/H偏波)を用いて伝送された信号を共通リファレンス信号で位相制御された2つのRFローカル(局部発振器)によりIF(Imidiate Frequenncy)信号に変換し、各IF信号をそれぞれ2分岐した後、各偏波毎に前記各IF信号を準同期検波方式による復調器とXPIC(Cross−Polarization Interference Canceler)とを含む復調手段を用いて交差偏波間干渉除去を行う両偏波受信装置のローカル位相雑音低減方法であって、前記復調手段で復調された出力信号より位相雑音成分を抽出してDC/AC成分に分離し、前記2つの偏波間で他偏波の復調手段から出力されたAC成分を入力して入れ替えた位相制御信号を生成し、各偏波それぞれの前記復調手段において補償対象とする偏波(自偏波)に対する直交偏波(異偏波)のRFローカルから受ける位相雑音量を抑圧するために、前記位相制御信号を異偏波側の信号に対して異偏波からの干渉成分の複製信号を生成する前記XPICの入力側に帰還することを特徴とする両偏波受信装置のローカル位相雑音低減方法。
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