JP2002156751A - 近赤外レーザー露光用光重合性組成物、光重合性平版印刷版及び印刷版の製造方法 - Google Patents

近赤外レーザー露光用光重合性組成物、光重合性平版印刷版及び印刷版の製造方法

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JP2002156751A
JP2002156751A JP2000369416A JP2000369416A JP2002156751A JP 2002156751 A JP2002156751 A JP 2002156751A JP 2000369416 A JP2000369416 A JP 2000369416A JP 2000369416 A JP2000369416 A JP 2000369416A JP 2002156751 A JP2002156751 A JP 2002156751A
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Japan
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meth
photopolymerizable
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JP2000369416A
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English (en)
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Hideaki Okamoto
英明 岡本
Kazuhiro Kobori
和広 児堀
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度で、可視画性に優れた近赤外レーザー
用光重合性組成物を提供する。 【解決手段】 (A)エチレン性不飽和化合物、(B)
ポリメチン鎖を介して複素環が結合した構造のシアニ
ン系増感色素カチオン及び/又はフタロシアニン系増感
色素、(C)有機硼素アニオン及び/又はハロメチル基
含有化合物、を含有する近赤外レーザー露光用光重合性
組成物において、該組成物が(D)450〜650nm
に吸収極大を有する着色染料を、3〜20重量%含有す
ることを特徴とする近赤外レーザー露光用光重合性組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光重合性組成物及
び光重合性平版印刷版に関し、特に、近赤外レーザー光
に対して高感度を示し、平版印刷版、印刷校正用カラー
プルーフ、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用
カラーフィルターレジスト、半導体素子の集積回路用フ
ォトレジスト、配線板やグラビア製版用銅エッチングレ
ジスト等に好適に用いられる光重合性組成物、光重合性
平版印刷版及び平版印刷版の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、光重合性組成物の露光による
画像形成方法として、例えば、エチレン性不飽和化合物
と光重合開始剤系、或いは更に有機高分子結合材等から
なる光重合性組成物の層を支持体表面に形成し、画像露
光して露光部のエチレン性不飽和化合物を重合、硬化さ
せた後、非露光部を溶解除去することにより硬化レリー
フ画像を形成する方法、露光により光重合性組成物層の
支持体への接着強度に変化を起こさせた後、支持体を剥
離することにより画像を形成する方法、及び、光重合性
組成物層の光によるトナー付着性の変化を利用した画像
形成方法等の各種の方法が知られており、その光重合開
始剤としては、いずれも、ベンゾイン、ベンゾインアル
キルエーテル、ベンジルケタール、ベンゾフェノン、ア
ントラキノン、ベンジルケトン、或いはミヒラーケトン
等の、400nm以下の紫外線領域を中心とした短波長
の光に対して感応し得るものが用いられていた。
【0003】一方、近年、画像形成技術の発展に伴い、
可視領域の光に対して高感度を示す感光性材料が強く要
請され、例えば、アルゴンイオンレーザーの488nm
の発振ビームを用いたレーザー製版方式に対応して50
0nm前後迄感度域を拡げた光重合性組成物が多数提案
され、更に、He−Neレーザーや半導体レーザーを用
いたレーザー製版方式や、フルカラー画像の複製技法に
対応して600nmを越える長波長領域の光に対する光
重合性組成物の研究も活発化している。
【0004】しかしながら、従来の光重合開始剤の活性
ラジカル発生能力は、500nm以上、とりわけ600
nmを越えた波長の光に対しては、光励起エネルギーの
低下に伴って急激に感応性が減少することが知られてお
り、このような長波長領域の光に対して従来より提案さ
れている光重合性組成物は、いずれも感度的に満足でき
るものではなかった。
【0005】これに対して、半導体レーザーの著しい進
歩によって750〜1200nmの長波長領域の近赤外
レーザー光源を容易に利用できるようになったことに伴
い、該レーザー光を用いた画像形成方法が注目され、例
えば、光重合開始剤系として、硼素アニオン含有塩色素
を含有する光重合性組成物(例えば、特開昭62−14
3044号、特開昭62−150242号、特開平5−
5988号、特開平5−197069号、各公報参
照。)、特定のシアニン系色素とs−トリアジン系化合
物とを含有する光重合性組成物(例えば、特開平4−3
1863号公報参照。)、特定のスクアリリウム系色素
とs−トリアジン系化合物とを含有する光重合性組成物
(例えば、特開平6−43633号公報参照。)等の層
を支持体上に形成した光重合性感光性材料が提案されて
いる。
【0006】ところで、光重合性組成物に可視画性を持
たせるために450〜650nmに吸収極大を有する着
色剤(顔料や染料)を含有することが従来から行われて
いる。しかしながら、従来から広く提案されている可視
レーザー、特に500nm前後のレーザー用の光重合性
組成物においては、かかる波長に吸収極大を有する染料
を含有させることにより光重合性組成物の感度が著しく
低下するため、具体的には、該染料を0.1〜0.2重
量%といった少量で用いるか、顔料を用いるのが一般的
であった。この場合、染料の含有量が少量では実用上可
視画性に劣る問題があり、一方、顔料を使用する場合に
は、分散性が不良となることがあり、分散剤を選択する
等、製造上、問題があった。
【0007】一方、近赤外線露光に適した光重合性組成
物に着色剤を含有することも知られており、例えば、特
開平10−195119号公報には、特定のウレタン化
合物、色素カチオン及び特定のホウ素アニオンを含有す
る光重合性組成物の任意成分として、顔料、染料などの
着色剤を0.1〜20%含有できることが記載されてい
るが、具体的に着色剤を含有する例は示されていない。
又、着色染料と耐刷性の関係については知られていな
い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、近赤外領域
の光に対して高感度を維持しつつ、可視画性に優れ、分
散等の製造上の問題がなく、取り扱い性に優れさらに耐
印刷性にも優れた光重合性組成物、及び支持体上に該光
重合性組成物からなる層を有する感光性平版印刷版を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
の結果、特定近赤外レーザー露光用の光重合性組成物に
おいては、450〜650nmに吸収極大を有する染料
をある範囲であれば比較的多量に含有しても、感度の大
きな低下を引き起こすことなく可視画性が良好となると
ともに、分散等の処理が不要でかつ顔料の凝集等の問題
もないため安定性も良好となること、さらには耐印刷性
も良好になることを見出し、本発明に到達した。
【0010】即ち、本発明の要旨は、(A)エチレン性
不飽和化合物、(B) ポリメチン鎖を介して複素環が
結合した構造のシアニン系増感色素カチオン及び/又は
フタロシアニン系増感色素、(C)有機硼素アニオン及
び/又はハロメチル基含有化合物、を含有する近赤外レ
ーザー露光用光重合性組成物において、該組成物が
(D)450〜650nmに吸収極大を有する着色染料
を、3重量%を越え、20重量%以下含有することを特
徴とする近赤外レーザー露光用光重合性組成物に存す
る。
【0011】他の要旨は、支持体上に上記光重合性組成
物からなる層を有する光重合性平版印刷版に存する。更
に他の要旨は、該光重合性平版印刷版を750〜120
0nmに発振波長を有する近赤外レーザーで画像様露光
後、アルカリ現像液で現像することを特徴とする平版印
刷版の製造方法に存する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の光重合性組成物を構成す
る(A)成分のエチレン性不飽和化合物は、光重合性感
光性組成物が活性光線の照射を受けたときに、後述する
(B)成分及び(C)成分を含む光重合開始系の作用に
より付加重合し、場合により架橋、硬化するような、ラ
ジカル重合性のエチレン性不飽和二重結合を有する単量
体である。尚、ここで単量体の意味するところは、いわ
ゆる重合体に相対する概念であって、狭義の単量体以外
にも二量体、三量体、その他いわゆるオリゴマーをも包
含する概念である。
【0013】本発明におけるエチレン性不飽和化合物と
しては、エチレン性不飽和結合を1分子中に1個有する
化合物、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル
酸(尚、以降、「アクリル」及び「メタクリル」を纏め
て「(メタ)アクリル」と言う場合がある。)、クロト
ン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シト
ラコン酸等の不飽和カルボン酸、及びそのアルキルエス
テル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルア
ミド、スチレン等、であってもよい。但し、重合性、架
橋性、及び、それに伴う露光部と非露光部の現像液溶解
性の差異を拡大できる観点から、エチレン性不飽和結合
を1分子中に2個以上有する化合物が好ましい。
【0014】かかるエチレン性不飽和化合物としては、
(a)不飽和カルボン酸と脂肪族ポリヒドロキシ化合物
とのエステル類、(b)アクリロイルオキシ基又はメタ
クリロイルオキシ基含有ホスフェート類、(c)ウレタ
ン(メタ)アクリレート類、(d)エポキシ(メタ)ア
クリレート類等が挙げられる。不飽和カルボン酸と脂肪
族ポリヒドロキシ化合物とのエステル類(a)として
は、前記の如き不飽和カルボン酸と、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ト
リメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、テト
ラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキ
サメチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメ
チロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトー
ル、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の脂肪族
ポリヒドロキシ化合物とのエステル類があり、具体的に
は、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタン
ジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ
(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタントリ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリ
レート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペン
タエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリ
トールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メ
タ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリ
レート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソ
ルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、及び同様のク
ロトネート、イソクロトネート、マレエート、イタコネ
ート、シトラコネート等が挙げられる。
【0015】アクリロイルオキシ基又はメタクリロイル
オキシ基含有ホスフェート類(b)としては、その構造
中に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するホスフェー
ト化合物であれば特に限定されないが、特に、下記一般
式(Ia)又は(Ib)で表されるものが好ましい。
【0016】
【化1】
【0017】〔式(Ia)及び(Ib)中、R1 は水素原子又は
メチル基を示し、nは1〜25の整数、mは1、2、又
は3である。〕 ここで、nは1〜10、特に1〜4であるのが好まし
く、これらの具体例としては、例えば、メタクリロイル
オキシエチルホスフェート、ビス(メタクリロイルオキ
シエチル)ホスフェート、メタクリロイルオキシエチレ
ングリコールホスフェート等が挙げられ、これらはそれ
ぞれ単独で用いても混合物として用いてもよい。
【0018】ウレタン(メタ)アクリレート類(c)と
しては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ト
リメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポ
リイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネ
ート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシ
アネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香
族ポリイソシアネート等のポリイソシアネート化合物
と、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)
アクリレート、テトラメチロールエタントリ(メタ)ア
クリレート等の不飽和ヒドロキシ化合物とのウレタン
(メタ)アクリレート類があり、具体的には、例えば、
ヘキサメチレンビス〔(メタ)アクリロイルオキシメチ
ルウレタン〕、ヘキサメチレンビス〔(メタ)アクリロ
イルオキシエチルウレタン〕、ヘキサメチレンビス{ト
リス〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕メチルウレ
タン}、ヘキサメチレンビス{トリス〔(メタ)アクリ
ロイルオキシメチル〕エチルウレタン}等が挙げられ
る。
【0019】エポキシ(メタ)アクリレート類(d)と
しては、例えば、(ポリ)エチレングリコールポリグリ
シジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグ
リシジルエーテル、(ポリ)テトラメチレングリコール
ポリグリシジルエーテル、(ポリ)ペンタメチレングリ
コールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ネオペンチル
グリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ヘキサメ
チレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ト
リメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、(ポ
リ)グリセロールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ソ
ルビトールポリグリシジルエーテル等のポリエポキシ化
合物と、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メ
タ)アクリレート化合物とのエポキシ(メタ)アクリレ
ート類が挙げられる。
【0020】更に、上記以外のエチレン性不飽和化合物
としては、例えば、ヒドロキノンジ(メタ)アクリレー
ト、レゾルシンジ(メタ)アクリレート、ピロガロール
トリ(メタ)アクリレート等の芳香族ポリヒドロキシ化
合物と不飽和カルボン酸とのエステル類、エチレングリ
コールの(メタ)アクリロイルエチレンオキシド付加
物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンの
(メタ)アクリロイルジエチレンオキシド付加物等の
(メタ)アクリルヒドロキシ化合物類、及び、エチレン
グリコールと(メタ)アクリル酸とフタル酸との縮合
物、ジエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とマレ
イン酸との縮合物、ペンタエリスリトールと(メタ)ア
クリル酸とテレフタル酸との縮合物、ブタンジオールと
グリセリンと(メタ)アクリル酸とアジピン酸との縮合
物等のポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸と多価
カルボン酸との縮合物類が挙げられる。更に、前記の如
き不飽和カルボン酸と、メチレンジアミン、エチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン等の脂肪族ポリアミン化合物とのアミド類、具体的に
は、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エ
チレンビス(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリア
ミントリス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビ
ス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0021】上記の中で、(メタ)アクリロキルオキシ
基含有ホスフェート類を含有するのが好ましく、光重合
性組成物の一成分としての前記エチレン性不飽和化合物
全体に占める前記(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホ
スフェート類の含有量は、1〜60重量%、特には2〜
40重量%であるのが好ましい。この範囲においては、
感光層としての露光感度、耐刷性が向上すると共に、現
像性(非画線部の汚れ)が改善される。
【0022】又、ウレタン(メタ)アクリレート類を含
有するのが好ましく、光重合性組成物の一成分としての
前記エチレン性不飽和化合物全体に占める前記ウレタン
(メタ)アクリレート類の含有量は、10〜60重量
%、特には20〜50重量%であるのが好ましい。この
範囲においては、特に感光層としての耐刷性が向上す
る。
【0023】本発明の光重合性組成物を構成する(B)
成分のうち、シアニン系増感色素カチオンは、ポリメチ
ン鎖を介して複素環が結合された構造のものであり、フ
タロシアニン色素は、(アザ)ポリメチン鎖を介して複
素環が結合された構造のものであるが、これらは、波長
域750〜1200nmの近赤外線領域に吸収ピークを
有するのが特に有効である。これらのシアニン系増感色
素カチオン及びフタロシアニン増感色素は、前記波長域
の光を効率よく吸収し、その光励起エネルギーを後述す
る(C)成分の有機硼素アニオン又はハロメチル基含有
化合物に伝え、該(C)成分を分解し、(A)成分の前
記エチレン性不飽和化合物の重合を誘起する活性ラジカ
ルを発生させる増感機能を有する一方、紫外線領域の光
は殆ど吸収しないか、吸収しても実質的に低応であり、
白色蛍光灯に含まれるような弱い紫外線によっては組成
物を変成させる作用の少ない化合物である。
【0024】本発明において、これらのシアニン系色素
カチオンとしては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子
等を含む複素環がポリメチン(−CH=)n 鎖で結合さ
れた、広義の所謂シアニン系色素カチオンであって、具
体的には、例えば、キノリン系(所謂、シアニン系)、
インドール系(所謂、インドシアニン系)、ベンゾチア
ゾール系(所謂、チオシアニン系)、イミノシクロヘキ
サジエン系(所謂、ポリメチン系)、ピリリウム系、チ
アピリリウム系、スクアリリウム系、クロコニウム系、
アズレニウム系等の色素カチオンが挙げられ、中で、キ
ノリン系、インドール系、ベンゾチアゾール系、イミノ
シクロヘキサジエン系、ピリリウム系、チアピリリウム
系の色素カチオンが好ましい。尚、ここでシアニン系色
素カチオンは、分子内塩を形成する場合も含む。
【0025】本発明においては、前記シアニン系色素カ
チオンの中で、キノリン系色素カチオンとしては、特
に、下記一般式(Va) 、(Vb)、又は(Vc)で表されるもの
が好ましい。
【0026】
【化2】
【0027】〔式(Va)、(Vb)、及び(Vc)中、R1 及びR
2 は各々独立して、置換基を有していてもよいアルキル
基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を
有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有してい
てもよいフェニル基を示し、L1 は置換基を有していて
もよいトリ、ペンタ、ヘプタ、ノナ、又はウンデカメチ
ン基を示し、該ペンタ、ヘプタ、ノナ、又はウンデカメ
チン基上の2つの置換基が互いに連結して炭素数4〜7
のシクロアルケン環、シクロアルケノン環、シクロアル
ケンジオン環、又はシクロアルケンチオン環を形成して
いてもよく、キノリン環は置換基を有していてもよく、
その場合、隣接する2つの置換基が互いに連結して縮合
ベンゼン環を形成していてもよい。〕 ここで、式(Va)、(Vb)、及び(Vc)中のR1 及びR2 がア
ルキル基であるときの炭素数は通常1〜15、好ましく
は1〜5、アルケニル基、アルキニル基であるときの炭
素数は通常2〜15、好ましくは2〜5であり、それら
における置換基としては、アルコキシ基、フェノキシ
基、ヒドロキシ基、又はフェニル基等が挙げられ、L1
における置換基としては、アルキル基、アミノ基、ハロ
ゲン原子、アリールメルカプト基又は複素芳香族メルカ
プト基等が挙げられ、キノリン環における置換基として
は、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、又はハロゲ
ン原子等が挙げられる。
【0028】又、インドール系、及びベンゾチアゾール
系色素カチオンとしては、特に、下記一般式(VI)で表さ
れるものが好ましい。
【0029】
【化3】
【0030】〔式(VI)中、Y1 及びY2 は各々独立し
て、ジアルキルメチレン基又は硫黄原子を示し、R3
びR4 は各々独立して、置換基を有していてもよいアル
キル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換
基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有し
ていてもよいフェニル基を示し、L2 は置換基を有して
いてもよいトリ、ペンタ、ヘプタ、ノナ、又はウンデカ
メチン基を示し、該ペンタ、ヘプタ、ノナ、又はウンデ
カメチン基上の2つの置換基が互いに連結して炭素数4
〜7のシクロアルケン環、シクロアルケノン環、シクロ
アルケンジオン環、又はシクロアルケンチオン環を形成
していてもよく、縮合ベンゼン環は置換基を有していて
もよく、その場合、隣接する2つの置換基が互いに連結
して縮合ベンゼン環を形成していてもよい。〕 ここで、式(VI)中のR3 及びR4 がアルキル基であると
きの炭素数は通常1〜15、好ましくは1〜5、アルケ
ニル基、アルキニル基であるときの炭素数は通常2〜1
5、好ましくは2〜5であり、それらにおける置換基と
しては、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基、
又はフェニル基等が挙げられ、L2 における置換基とし
ては、アルキル基、アミノ基、アリールメルカプト基、
複素芳香族メルカプト基又はハロゲン原子等が挙げら
れ、ベンゼン環における置換基としては、アルキル基、
アルコキシ基、又はハロゲン原子等が挙げられる。
【0031】又、イミノシクロヘキサジエン系色素カチ
オンとしては、特に、下記一般式(VII) で表されるもの
が好ましい。
【0032】
【化4】
【0033】〔式(VII) 中、R5、R6 、R7 、及びR8
は各々独立して、アルキル基を示し、R9 及びR10
各々独立して、置換基を有していてもよいアリール基、
フリル基、又はチエニル基を示し、L3 は置換基を有し
ていてもよいモノ、トリ、ペンタ、又はヘプタメチン基
を示し、該トリ、ペンタ、又はヘプタメチン基上の2つ
の置換基が互いに連結して炭素数4〜7のシクロアルケ
ン環、シクロアルケノン環、シクロアルケンジオン環、
又はシクロアルケンチオン環を形成していてもよく、キ
ノン環及びベンゼン環は置換基を有していてもよい。〕 ここで、式(VII) 中のR5 、R6 、R7 、及びR8 がア
ルキル基であるときの炭素数は通常1〜15、好ましく
は1〜5であり、R9 及びR10がアリール基であるとき
の炭素数は通常6〜20、好ましくは6〜15であり、
9 及びR10として具体的には、フェニル基、1−ナフ
チル基、2−ナフチル基、2−フリル基、3−フリル
基、2−チエニル基、3−チエニル基等が挙げられ、そ
れらの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ジ
アルキルアミノ基、ヒドロキシ基、又はハロゲン原子等
が挙げられ、L3 における置換基としては、アルキル
基、アミノ基、アリールメルカプト基、複素芳香族メル
カプト基又はハロゲン原子等が挙げられる。
【0034】又、ピリリウム系、及びチアピリリウム系
色素カチオンとしては、特に、下記一般式(VIIIa) 、(V
IIIb) 、又は(VIIIc) で表されるものが好ましい。
【0035】
【化5】
【0036】〔式(VIIIa) 、(VIIIb) 、及び(VIIIc)
中、Z1 及びZ2 は各々独立して、酸素原子又は硫黄原
子を示し、R11、R12、R13、及びR14は各々独立し
て、水素原子又はアルキル基、又は、R11とR13、及び
12とR14が互いに連結して炭素数5又は6のシクロア
ルケン環を形成していてもよく、L4 は置換基を有して
いてもよいモノ、トリ、ペンタ、又はヘプタメチン基を
示し、該トリ、ペンタ、又はヘプタメチン基上の2つの
置換基が互いに連結して炭素数4〜7のシクロアルケン
環、シクロアルケノン環、シクロアルケンジオン環、又
はシクロアルケンチオン環を形成していてもよく、ピリ
リウム環及びチアピリリウム環は置換基を有していても
よく、その場合、隣接する2つの置換基が互いに連結し
て縮合ベンゼン環を形成していてもよい。〕ここで、式
(VIIIa) 、(VIIIb) 、及び(VIIIc) 中のR11、R12、R
13、及びR 14がアルキル基であるときの炭素数は通常1
〜15、好ましくは1〜5であり、L4 における置換基
としては、アルキル基、アミノ基、アリールメルカプト
基、複素芳香族メルカプト基又はハロゲン原子等が挙げ
られ、ピリリウム環及びチアピリリウム環における置換
基としては、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等
が挙げられる。
【0037】以上、前記一般式(Va 〜c)で表されるキノ
リン系色素カチオン、前記一般式(VI)で表されるインド
ール系又はベンゾチアゾール系色素カチオン、前記一般
式(VII) で表されるイミノシクロヘキサジエン系色素カ
チオン、及び前記一般式(VIIIa〜c)で表されるピリリウ
ム系又はチアピリリウム系色素カチオンの中で、本発明
においては、前記一般式(VI)で表されるインドール系又
はベンゾチアゾール系色素カチオンが特に好ましい。
【0038】これら各シアニン系色素カチオンの具体例
を以下に示す。但し(VI-11)は分子内塩を形成している
例である。
【0039】
【化6】
【0040】
【化7】
【0041】
【化8】
【0042】
【化9】
【0043】
【化10】
【0044】
【化11】
【0045】
【化12】
【0046】
【化13】
【0047】
【化14】
【0048】
【化15】
【0049】又、フタロシアニン系増感色素としては、
下記一般式で表わされるのが好ましい。
【0050】
【化16】
【0051】(式(IX)中、Mは水素原子SnCl2
Zn、Cu、AlCl、Niのいずれかを表わし、ベン
ゼン環はそれぞれのo−位又はm−位にアルコキシ基、
アルキルチオキシ基、アリールオキシ基、アリールチオ
キシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原
子、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を置換基とし
ていてもよく、さらに、フェニル環は、隣接する2つの
置換基が互いに連結して縮合ベンゼン環を形成していて
もよい。) ここで式(IX)中、MとしてはZn、SnCl2が好ま
しく、ベンゼン環状の置換基としてはC110のアルコ
キシ基、C110のアルキルチオキシ基、C11 0のアリ
ールオキシ基、C110のアリールチオキシ基、フッ素
原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、特にベンゼン環
のm−位に置換基を有するものが有機溶剤への溶解性に
優れ好ましい。
【0052】フタロシアニン系増感色素の具体例を下記
に示す。
【0053】
【化17】
【0054】本発明の光重合性組成物を構成する(C)
成分の有機硼素アニオンは、(B)成分のシアニン系増
感色素カチオン又はフタロシアニン系増感色素との共存
下で光照射された時に活性ラジカルを発生するラジカル
発生剤であって、例えば、特開昭62−143044
号、特開昭62−150242号、特開平9−1886
85号、特開平9−188686号、特開平9−188
710号、特許第2764769号等の各公報、及び、
Kunz,Martin “Rad Tech'98.Proceeding April 19-22,1
998,Chicago ”等に記載のものが挙げられるが、特に、
下記一般式(X)で表されるものが好ましい。
【0055】
【化18】
【0056】〔式(X)中、R15、R16、R17、及びR18
は各々独立して、置換基を有していてもよいアルキル
基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を
有していてもよいアルキニル基、置換基を有していても
よいアリール基、又は複素環基を示し、これらは互いに
連結して環状構造を形成していてもよく、これらのうち
少なくとも一つは置換基を有していてもよいアルキル基
である。〕ここで、式(X)中のR15、R16、R17、及び
18がアルキル基であるときの炭素数は通常1〜15、
好ましくは1〜5、アルケニル基、アルキニル基である
ときの炭素数は通常2〜15、好ましくは2〜5、アリ
ール基であるときの炭素数は通常6〜20、好ましくは
6〜15、複素環基であるときの炭素数は通常4〜2
0、好ましくは4〜15であり、それらにおける置換基
としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、
トリフルオロメチル基、トリメチルシリル基等が挙げら
れる。中でも、R15〜R17が独立にハロゲン原子で置換
されていてもよいフェニル基であり、R18が炭素数1〜
6のアルキル基であるのが好ましい。
【0057】これらの有機硼素アニオンとしては、具体
的には、例えば、n−ブチル−メチル−ジフェニル硼素
アニオン、n−ブチル−トリフェニル硼素アニオン、n
−ブチル−トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)
硼素アニオン、n−ブチル−トリス(p−メトキシフェ
ニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(p−フルオ
ロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(m−
フルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス
(2,6−ジフルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブ
チル−トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)硼
素アニオン、n−ブチル−トリス(2,3,4,5,6
−ペンタフルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル
−トリス(p−クロロフェニル)硼素アニオン、n−ブ
チル−トリス(トリフルオロメチル)硼素アニオン、n
−ブチル−トリス(2,6−ジフルオロ−3−ピロリル
フェニル)−硼素アニオン等が挙げられる。
【0058】本発明において、前記(B)成分のシアニ
ン系色素カチオンと前記(C)成分の有機硼素アニオン
を光重合性組成物中に存在させるには、(イ)前記シア
ニン系色素カチオンと前記有機硼素アニオンとの塩を配
合する方法、又は、(ロ)前記シアニン系色素カチオン
と適宜選択した対アニオンとの塩(分子内塩の場合を含
む)と、前記有機硼素アニオンと適宜選択した対カチオ
ンとの塩とを配合する方法等による。
【0059】又、前記(B)成分のフタロシアニン系増
感色素と前記(C)成分の有機硼素アニオンを光重合性
組成物中に存在させるには、フタロシアニン系増感色素
と、前記有機硼素アニオンと適宜選択した対カチオンと
の塩とを配合する方法等による。ここで、対アニオンと
しては、例えば、Cl- 、Br- 、I- 、ClO4 -
PF6 - 、及び、BF4 - 、BCl4 - 等の無機硼素ア
ニオン等の無機酸アニオン、ベンゼンスルホン酸、p−
トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、酢酸等の
有機酸アニオンを挙げることができる。
【0060】又、分子内塩を形成する場合は、前記一般
式(Va 〜c)、(VI)、(VII) 、及び(VIIIa〜c)におけるL
1 、L2 、L3 、及びL4 のポリメチン鎖の置換基とし
て、下記一般式(X) で表されるバルビツル酸アニオン基
又はチオバルビツル酸アニオン基を有することにより分
子内塩を形成しているものが好ましい。
【0061】
【化19】
【0062】〔式(XI) 中、Z3 は酸素原子又は硫黄原
子を示し、R19及びR20は各々独立して、水素原子、置
換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有してい
てもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアル
コキシ基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を
示す。〕 ここで、式(XI) 中のR19及びR20がアルキル基、アル
コキシ基であるときの炭素数は通常1〜15、好ましく
は1〜5、アルケニル基であるときの炭素数は通常2〜
15、好ましくは2〜5であるが、アルキル基であるの
が好ましく、そのアルキル基として具体的には、メチル
基、エチル基、プロピル基、又はブチル基等が挙げられ
る。
【0063】又、(B)成分がシアニン系増感色素であ
る場合、有機硼素アニオン以外の対アニオンとして、前
記一般式(Va 〜c)、(VI)、(VII) 、及び(VIIIa〜c)にお
けるL1 、L2 、L3 、及びL4 のポリメチン鎖中に、
下記一般式(XI)で表されるスクエア酸アニオン基又はチ
オスクエア酸アニオン基、クロコン酸アニオン基又はチ
オクロコン酸アニオン基を形成して分子内塩を形成して
いるものも好ましい。
【0064】
【化20】
【0065】〔式(XI)中、Z4 、Z5 、Z6 、Z7 、及
びZ8 は各々独立して、酸素原子又は硫黄原子を示
す。〕 又、対カチオンとしては、例えば、アルカリ金属カチオ
ン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ス
ルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン等のオニウ
ム化合物、及び、ピリリウムカチオン、チアピリリウム
カチオン、インドリウムカチオン等を挙げることができ
るが、テトラアルキルアンモニウム等の有機アンモニウ
ムカチオンが好ましく、特に炭素数1〜6のアルキル基
のテトラアルキルアンモニウムカチオンが好ましい。
【0066】本発明において、(C)成分のハロメチル
基含有化合物は、(B)成分の前記シアニン系増感色素
カチオン又はフタロシアニン系増感色素との共存下で光
照射されたときに、活性ラジカルを発生するラジカル発
生剤であって、少なくとも一つのモノ、ジ、又はトリハ
ロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−
トリアジン化合物が好ましく、下記一般式(XIII) で表
されるものが特に好ましい。
【0067】
【化21】
【0068】〔式(XIII) 中、Xはハロゲン原子を示
し、Wは置換基を有していてもよいアリール基又は複素
環基を示し、R21は水素原子、ハロゲン原子、アルキル
基、又はアリール基を示し、rは0〜2の整数であ
る。〕 これらのs−トリアジン化合物としては、具体的には、
例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチ
ル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビ
ス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,
α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロ
ロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−
ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p
−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチ
ル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニ
ル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリア
ジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(ト
リクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−
メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6
−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ス
チリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリ
アジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス
(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i
−プロピルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロ
ロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−
4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリク
ロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−
4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)
−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブ
ロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6
−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げ
られ、中でも、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロ
メチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビ
ス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−
メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチ
ル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニ
ル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリア
ジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−
ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−
s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,
6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−
(p−i−プロピルオキシスチリル)−4,6−ビス
(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が経時安定性
に優れ好ましい。
【0069】本発明(D)成分の450〜650nmに
吸収極大ピークを有する着色染料としては、塩基性染
料、反応性染料、酸性染料、直接染料が挙げられるが、
着色染料添加の際、650〜1200nmレーザー露光
における感度の低下が少なく、また耐印刷性向上という
本発明の効果の点で特に塩基性染料が好ましく、中でも
発色性に優れたトリフェニルメタン系染料が特に好まし
い。
【0070】具体的には、下記一般式(D−I)で表わ
される染料である。
【0071】
【化22】
【0072】(式(D−I)中、X- は、対アニオンを
表わし、Ra1〜Ra6は同じでも異なっていてもよく、水
素原子、アルキル基、アリール基を表わし、ベンゼン環
は置換基を有していてもよく、その場合、隣接する2つ
の置換基が互いに連結して縮合ベンゼン環を形成してい
てもよい。pは0又は1を表わす。) 好ましくは、X- がCl-、Br-、I-、ClO4 -、P
6 -、BF4 -及びBCl4 -、ベンゼンスルホン酸、P−
トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、酢酸のい
ずれかであり、Ra1〜Ra6が同じでも異なっていてもよ
くC1〜10のアルキル基、水素原子、フェニル基であ
り、ベンゼン環が縮合ベンゼン環を形成する時の縮合ベ
ンゼン環がナフタレン環であり、pが0又は1である。
【0073】これら(D−I)の具体例を以下に示す。
【0074】
【化23】
【0075】
【化24】
【0076】上記のトリフェニルメタン染料以外の本発
明の着色染料としては、特公平7−60268号公報に
水溶性染料として例示の染料が挙げられる。前記(D)
成分の450〜650nmに吸収極大を有する着色染料
は、光重合性組成物全体に対して、3重量%を越え、2
0重量%以下の範囲で含有する必要がある。好ましく
は、3.5〜15重量%である。3重量%以下では、耐
刷性が不十分となる。一方、20重量%を越えると、7
50〜1200nmのレーザー露光での著しい感度低下
を引き起こす。特に添加量が4〜15重量%、さらには
4〜12重量%の範囲が大きな感度の低下がなく、且つ
著しい耐印刷性の向上が見られ好ましい。
【0077】上記の高濃度着色染料添加による、本発明
の特異物な特徴は、以下のような機構により発現するも
のと考えられる。800〜1100μmの近赤外レーザ
ー光線を10μm径程度に集光した、後述する高光強度
密度レーザースポットの走査露光により、レーザー光線
の光吸収で発生する熱(それにより形成される200〜
1000℃の高温度状態)と、高密度光吸収による多光
子光増感反応の誘起等、小型可視レーザー、キャノンラ
ンプ、高圧水銀灯による通常の低光強度露光とは大きく
異なる反応場により光重合が進行する為、一般的な光重
合系では大きく減感作用を受け、大きく配合率の制限を
受ける着色染料を高濃度に配合できるようになった。ま
た、さらに、極性の高い発色団を有する着色染料を高い
配合率で添加すると、感光性層中の有機高分子結合材の
カルボン酸基と着色染料間に水素結合によるマトリック
ス構造を形成し、光強化感光性層の膜強度を増し、高い
耐印刷性を発現するものと考えられる。
【0078】前記(A)成分の光重合性組成物全体に占
める割合は、後述する他の成分の含有もあって、20〜
80重量%であるのが好ましく、30〜70重量%であ
るのが特に好ましい。又、前記(B)成分の光重合性組
成物全体に占める割合、及び、前記(C)成分の光重合
性組成物全体に占める割合は、各々、0.05〜20重
量%であるのが好ましく、0.2〜10重量%であるの
が更に好ましい。これらの成分が前記範囲未満では、光
重合性組成物として感度の低下を生じる傾向となり、前
記範囲超過では、現像時に未露光部の残渣が生じ易い傾
向となる。
【0079】尚、本発明の光重合性組成物には、前記成
分以外に、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アク
リル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)
アクリルアミド、マレイン酸、スチレン、酢酸ビニル、
塩化ビニリデン、マレイミド等の単独又は共重合体、並
びに、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ
ウレタン、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリド
ン、ポリエチレンオキシド、アセチルセルロース等の有
機高分子が結合材(E)成分として、光重合性組成物全
体に占める割合として20〜80重量%、特には30〜
70重量%の範囲で含有されているのが好ましい。
【0080】中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸 2−
エチルヘキシル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ベンジル(メタ)アクリレート等の置換されていて
もよい(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一種と
(メタ)アクリル酸を共重合成分として含有する、分子
内にカルボキシル基を含有する共重合体(以下、「カル
ボキシル基含有共重合体」と称する)が好ましい。
【0081】カルボキシル基含有共重合体の好ましい酸
価の値は10〜250KOH・mg/gであり、好まし
いポリスチレン換算重量平均分子量(以下Mwと略す)
は5,000から1,000,000である。更に好ま
しくは10,000から500,000である。これら
の高分子結合材は、側鎖に不飽和結合を有する事が望ま
しく、前記の如きカルボキシル基含有共重合体にエポキ
シ基と不飽和基を併せ有する化合物を反応させた樹脂が
挙げられる。
【0082】エポキシ基と不飽和基を併せ有する化合物
としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メ
タ)アクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジ
ルイソクロトネート、クロトニルグリシジルエーテル、
イタコン酸モノアルキルモノグリシジルエステル、フマ
ール酸モノアルキルモノグリシジルエステル、マレイン
酸モノアルキルモノグリシジルエステル等の脂肪族エポ
キシ基含有不飽和化合物、又は、3,4-エポキシシク
ロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等を挙げること
ができる。
【0083】中でも、アリルグリシジルエーテル、グリ
シジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロ
ヘキシルメチル(メタ)アクリレートが好ましく、さら
に、好ましくは3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
(メタ)アクリレートである。以上挙げたカルボキシル
基と側鎖二重結合を併せ有する樹脂の好ましい分子量は
Mwで10000〜1000000、好ましくは、20
000〜500000の範囲である。さらに、側鎖二重
結合は主鎖モノマーユニット100に対して1〜50、
好ましくは5〜40ユニット導入されているものが好ま
しい。
【0084】又、本発明の光重合性組成物には、必要に
応じて、その他(F)成分として、(1)前記(B)成分
と(C)成分を含む光重合開始剤系以外の重合開始剤成
分として、チオール化合物、及びアミン化合物 、(2)
ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリク
レジルホスフェート、ジオクチルアジペート、トリエチ
レングリコールジカプリレート等の可塑剤、(3) ヒドロ
キノン、レゾルシノール、ピロガロール、p−メトキシ
フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾー
ル、β−ナフトール等の熱重合防止剤、等が添加されて
いてもよい。
【0085】本発明の光重合性組成物は、通常、前記の
各成分を適当な溶媒に溶解した溶液として支持体表面に
塗布した後、加熱、乾燥させることにより、支持体表面
に前記光重合性組成物の層が形成された光重合性平版印
刷版とされる。尚、通常、前記光重合性組成物層の上に
は、酸素による重合禁止作用を防止するために、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン
オキシド、セルロース等の酸素遮断層が設けられる。
【0086】ここで、その溶媒としては、使用成分に対
して十分な溶解度を持ち、良好な塗膜性を与えるもので
あれば特に制限はないが、例えば、メチルセロソルブ、
エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチ
ルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコ
ールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブ
チルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテ
ルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテ
ルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテ
ル等のプロピレングリコール系溶媒、酢酸ブチル、酢酸
アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ジエチルオキサレー
ト、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレ
ート、エチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチ
ル、3−メトキシプロピオン酸メチル等のエステル系溶
媒、ヘプタノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコー
ル、フルフリルアルコール等のアルコール系溶媒、シク
ロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン系溶媒、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メ
チルピロリドン等の高極性溶媒、或いはこれらの混合溶
媒、更にはこれらに芳香族炭化水素を添加したもの等が
挙げられる。溶媒の使用割合は、光重合性組成物の総量
に対して、通常、重量比で1〜20倍程度の範囲であ
る。
【0087】又、その塗布方法としては、従来公知の方
法、例えば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗
布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布、及
びカーテン塗布等を用いることができる。塗布量は用途
により異なるが、乾燥膜厚として、通常、3〜70mg
/dm2、好ましくは5〜50mg/dm2、特に好まし
くは10〜30mg/dm2の範囲とする。尚、その際
の乾燥温度としては、例えば、60〜170℃程度、好
ましくは70〜150℃程度、乾燥時間としては、例え
ば、5秒〜10分間程度、好ましくは10秒〜5分間程
度が採られる。
【0088】又、その支持体としては、例えば、アルミ
ニウム、マグネシウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、
鉄等の金属又はそれらを主成分とした合金の板、それら
の金属又は合金をメッキ又は蒸着した金属板、それらの
金属箔を貼着した紙、上質紙、アート紙、剥離紙等の
紙、ガラス、セラミックス等の無機物板、ポリエチレン
テレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアミ
ド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、セ
ルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレ
ート等のプラスチックシート、それらのプラスチックを
塗布した紙等が挙げられ、中で、アルミニウム板が特に
好ましく、その厚さは、通常、0.01〜10mm、好
ましくは0.05〜1mm程度である。
【0089】アルミニウム板支持体としては、その表面
への光重合性組成物層の形成に先立ち、通常、脱脂処
理、粗面化処理(砂目立て処理)、陽極酸化処理、及び
水洗浄処理等の表面処理が施されたものが用いられる。
脱脂処理は、溶剤を用いて拭き取り、浸漬、蒸気洗浄す
る方法、アルカリ水溶液を用いて浸漬、噴霧した後、酸
水溶液で中和する方法、界面活性剤を用いて洗浄、噴霧
する方法等の常法に従い、通常、室温〜80℃程度の温
度で、1秒〜1分程度の時間でなされる。
【0090】次いで施される粗面化処理(砂目立て処
理)は、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨
法、ホーニング研磨法、パフ研磨法等の機械的処理方
法、電解エッチング法、化学エッチング法等の常法に従
ってなされる。中で、塩酸又は硝酸電解液中で交流又は
直流により電解を行う電解エッチング法が好適であり、
その際、酸濃度0.1〜5重量%で、印加電圧1〜50
V、電流密度10〜200A/dm2 、電気量100〜
2000c/dm2 、温度10〜50℃程度の範囲内の
条件でなされるのが好ましい。
【0091】次いで、電解エッチング法により粗面化さ
れた支持体は、表面のスマットの除去やピット形状のコ
ントロール等のために、硫酸、過硫酸、燐酸、硝酸、塩
酸、弗酸等の酸、又は、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等のアルカリの水溶液に浸漬してデスマット処理が
施されるのが好ましい。次いで施される陽極酸化処理
は、硫酸、修酸、燐酸、クロム酸、マロン酸等の1種又
は2種以上を含む水溶液を電解液とし、アルミニウム板
を陽極として電解を行うことによりなされ、これにより
形成される酸化皮膜量は、通常、1〜50mg/dm2
である。中で、硫酸又は/及び燐酸の水溶液を電解液と
する方法が好適であり、具体的には、例えば、酸濃度1
0〜50重量%で、電流密度1〜60A/dm2 、温度
5〜50℃で5〜60秒間程度行われる。
【0092】その後施される水洗浄処理は、水道水、地
下水等をそのまま、又は軟化して用い、通常、室温〜4
0℃程度の温度で、1秒〜5分程度の時間、シャワー、
スプレー、浸漬、塗布等することによりなされる。支持
体表面の粗さとしては、JIS B0601に規定され
る平均粗さRa で、通常、0.3〜1.0μm、好まし
くは0.4〜0.8μm程度とされる。
【0093】次に本発明の感光性組成物を用いた画像形
成方法及び印刷版の製造方法について説明する。本発明
の感光性組成物を用いて画像形成するためには、感光性
平版印刷版等の画像形成材料を、750〜1200nm
に発振波長を有する近赤外レーザーにより、有利には1
3W/cm2以上の光強度密度で露光後、現像して未露
光部を除去することにより画像形成することが可能であ
り、感光性平版印刷版を露光・現像する場合には、該画
像形成方法は、印刷版の製造方法に相当する。
【0094】本発明の組成物に適用し得る露光光源とし
ては、750〜1200nmに発振波長を有するするレ
ーザーであれば特に限定されないが、好ましくは800
〜850nm又は900〜1100nmに発振波長を有
するレーザーである。露光は、レーザーの出力光強度
0.1〜100W、好ましくは0.5〜70Wのレーザ
ー光線を、2〜30μm好ましくは4〜20μm径のビ
ームスポットとし、0.1〜500m/s、好ましくは
0.3〜400m/sの走査速度にて該ビームスポット
を移動することにより行われる。画像形成材料上のレー
ザー光露光量が、200mJ/cm2以下、好ましく
は、150mJ/cm2 以下となるように画像様露光す
る。下限は小さいほど好ましいが通常、実用上1mJ/
cm 2 以上である。
【0095】本発明の感光性組成物は、かかる光源にて
画像露光を行った後、水を主体とし、該感光性組成物を
現像可能な水性現像液、好ましくはアルカリ現像液、特
に、界面活性剤とアルカリを含有する水溶液を用いて現
像すれば支持体上に画像を形成することができる。この
水溶液には、更に有機溶剤、緩衝剤を含有することがで
きる。適当なアルカリ剤としては、珪酸ナトリウム、珪
酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウ
ム等の無機アルカリ剤、及びトリメチルアミン、ジエチ
ルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モ
ノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミン類などの有機アミン化合物などが挙げられ、
これらは単独もしくは組み合わせて使用できる。アルカ
リ現像液のpHは、通常9〜14程度、好ましくは11
〜14である。
【0096】界面活性剤としては、例えば、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアル
キルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキル
エステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリ
セリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;
アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレン
スルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン
酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン界面
活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面
活性剤が使用可能である。また、有機溶剤としては例え
ば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エ
チルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソル
ブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等を
必要により含有させることが可能である。
【0097】現像方法としては特に限定されないが、現
像液に浸漬揺動する方法や物理的にブラシなどで現像液
で溶解しかかった非画像部を除去する方法や、現像液を
スプレー状に吹き付けて非画線部を除く方法などが挙げ
られる。現像時間は、上記現像方法に応じて未露光部が
十分に除去できる時間を選定すればよく5秒〜10分の
範囲から適宜選ばれる。
【0098】現像後は、特に印刷版に置いて必要に応じ
てアラビアガムなどの親水化処理などを適宜行っても良
い。また、必要に応じて現像前に予め酸素遮断層を水洗
しても良い。本発明の光重合性組成物は、800〜85
0nm又は900〜1100nmに発振波長を有するレ
ーザーを用いた高露光強度密度での露光で高感度を維持
しつつ、露光可視画性を備え、白色灯下での取り扱い性
にも優れる。好ましくは、9.5×103W/cm2以上
の光強度密度での露光においての画像形成可能な最小露
光量が、100mJ/cm2以下、より好ましくは70m
J/cm2以下、更に好ましくは50mJ/cm2以下で
ある。尚、下限は小さいほど好ましいが、露光強度密度
との関係から通常1mJ/cm2以上である。
【0099】かかる最小露光量は、直径7cmの回転ド
ラムに固定した感光材試料上に、30mWの光強度のレ
ーザー光線を直径20μmのスポットとなるように集光
した後、回転ドラムを回転して試料上のレーザースポッ
トを走査させることにより露光を行い、試料をアルカリ
現像液に浸漬し、支持体上に硬化画像を形成させ、この
画像を100倍の顕微鏡で観測して画像が再現する最高
回転数を求め、該回転数から算出される。現像処理は、
光重合性組成物の種類に応じて現像液の種類、現像温
度、現像時間等を変化させて決定される最適現像条件で
現像を行い、通常、pH11〜14のアルカリ現像液で
25℃で30秒〜3分浸漬することにより行われる。
尚、回転ドラムの回転数が520rpmの時、画像形成
可能な最小露光量は100mJ/cm2となる。
【0100】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例及
び比較例において光重合性組成物の各成分には以下のも
のを用いた。
【0101】実施例1 厚さ0.24mmのアルミニウム板を用い、その表面
を、5重量%水酸化ナトリウム水溶液中で60℃で1分
間脱脂処理した後、0.5モル/リットルの塩酸水溶液
中で、28℃、60A/dm2 の電流密度で40秒間電
解エッチング処理し、次いで、4重量%水酸化ナトリウ
ム水溶液中で60℃で12秒間デスマット処理した後、
20重量%硫酸水溶液中で、20℃、3.5A/dm2
の電流密度で1分間陽極酸化処理し、更に、80℃の熱
水で20秒間封孔処理し、水洗、乾燥して光重合性平版
印刷版用の支持体を作製した。
【0102】次いで、得られたアルミニウム板支持体表
面に、下記感光性組成物液を室温で10分間攪拌して調
液した塗布液をワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で
2分間乾燥させて膜厚20mg/dm2の光重合性組成
物層を形成し、更にその上に、ポリビニルアルコール:
ポリビニルピロリドン(95:5重量比)からなる水溶
液を塗布し、80℃で2分間乾燥させて膜厚30mg/
dm2のオーバーコート層を形成して光重合性平版印刷
版を作製した。 <感光性組成物液> (A)成分 エチレン性モノマー1 22重量部 エチレン性モノマー2 22重量部 エチレン性モノマー3 11重量部 (B)成分(増感色素、表−1に記載) 表−1に記載の量 (C)成分(ラジカル発生剤、表−1に記載) 表−1に記載の量 (D)成分(着色染料、表−1に記載) 表−1に記載の量 (E)成分(高分子結合材) 50重量部 溶媒 シクロヘキサン 500重量部 メチルセロソルブ 500重量部
【0103】
【化25】
【0104】着色染料(成分(D)) CCC−1 エチルバイオレット (前記D−2,λmax 596nm) CCC−2 ビクトリアピュアーブルーBO (前記D−1,λmax 619nm) ラジカル発生剤(成分(C))
【0105】
【化26】
【0106】
【化27】
【0107】得られた光重合性平版印刷版を、直径7c
mのアルミニウム製回転ドラムに、光重合性組成物層が
外側になるように固定した後、830nm、30mWの
半導体レーザー(日立製作所製「HL8325C」)の
ビームを20μmに集光した光強度密度9.5×104
W/cm2 のビームスポットを用いて、0〜1500r
pmの各種回転数にて走査露光し、次いで、0.5重量
%のケイ酸ナトリウムと0.5重量%のアニオン性界面
活性剤(花王社製「ペレックスNBL」)とを含有する
水溶液を用いて現像することにより走査線画像を形成さ
せ、線画像が形成される露光ドラムの最高回転数により
換算された露光量(mJ/cm2 )を求め感度を評価し
た結果を表−1に示した。
【0108】更に、実施例1の光重合性平版印刷版をク
レオ社製830nmレーザー露光装置(Trend S
etter 3442 T)により70mJ/cm2
画像露光及び現像処理を行った後、三菱重工(株)社製
印刷機ダイヤF−2、東洋インキ製印刷インキ“ハイプ
ラス紅”、日研化学製浸し水“アストロNo.1 マー
クII”と三菱製紙製印刷紙“特菱アート”を用いて、耐
印刷テストを行った所、10万枚印刷した後でも175
線の1〜3%の小点網画像の消失がまったくなく、良好
な印刷物が得られた。
【0109】比較例1 実施例1に於いて着色染料を使用しなかった以外同様に
して感度を評価した。結果を表−1に示す。又、比較例
1の感光性試料を実施例1と同様に30mJ/cm2
画像露光、現像し、耐印刷テストを行った所、10万枚
後に、3%の小点網画像の消失が見られた。
【0110】比較例2 実施例1において、(B)成分、(C)成分及び着色染
料及び含有量を表−1に記載の通りに変更した以外他は
同様に感光性試料を作製評価した。感度は40mJ/c
2 で明瞭な青の可視画性が得られた。この感光性試料
をTrendSetterにて40mJ/cm2 にて画
像露光及び現像処理を行った後、耐印刷評価を行った
所、10万枚印刷した後に、175線1%の網点画像の
消失が見られた。
【0111】一方、前記で得られた実施例1の光重合性
平版印刷版を白色蛍光灯(三菱電機社製36W白色蛍光
灯「ネオルミスーパーFLR40S−W/M/36」)
の400ルクス(6.2×10-5W/cm2:これは、
“光学”、石黒浩三著、共立出版(株)出版、p269
(1972)に記載の550nmにおける比視感度1に
おける光の強度を1ルックス=1.55×10-7W/c
2を用いて換算した。)ルクスの光強度照射下に10
分間放置した後、前記と同様の現像処理を行い、組成物
層が残留せずに溶解除去されることが確認された。
【0112】
【表1】
【0113】参考例 実施例1における増感色素(成分(B))とラジカル発
生剤(成分(C))の変わりに、下記の増感色素、ラジ
カル発生剤を使用、さらに着色染料(CCC−2)を2
重量部(組成物中1.7重量%)添加したものと添加し
ないもの2種の感光性試料を作製した。
【0114】
【化28】
【0115】この2種の感光性試料を、分光感度測定装
置(ナルミ社製)を用い、キセノンランプ(ウシオ電機
社製「UI−501C」を光源としてその分光した光
を、横軸方向に露光波長が直線的に、縦軸方向に露光強
度が対数的に変化するように設定して10秒間照射して
露光し、次いで、実施例1と同様アルカリ現像処理を行
い、得られた画像から、532nmにおける画像形成に
必要な最小露光量を求めた。この最小露光量が小さい程
高い感度であることを示す。
【0116】上記の評価より、着色染料が添加されてい
ない時の露光量は140μJ/cm -2であったが、2重
量部CCC−2を添加した試料の露光量は530μJ/
cm -2と著しい感度低下を示した。即ち、本参考例より
本発明の成分(B)及び(C)を含有せず、532nm
のレーザーで画像形成可能な光重合性組成物においては
本発明の着色染料の有無で感度が大きく変化することが
わかる。
【0117】
【発明の効果】本発明によれば、近赤外線領域の光に対
して高感度を示し、経時安定性に優れると共に、白色蛍
光灯下における取扱性にも優れさらに耐印刷性にも優れ
た光重合性組成物及び光重合性平版印刷版を提供するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA00 AA01 AB03 AC08 AD01 AD03 BC31 BC51 CA14 CA50 CC13 CC20 FA03 FA17 2H096 AA00 AA07 AA23 AA26 AA27 BA05 BA16 BA20 EA04 GA08 4J011 QA02 QA08 QA09 QA13 QA23 QA24 QA38 QA42 QA46 QB14 QB19 QB24 SA87 SA88 UA02 VA01 WA01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)エチレン性不飽和化合物、(B)
    ポリメチン鎖を介して複素環が結合した構造のシアニ
    ン系増感色素カチオン及び/又はフタロシアニン系増感
    色素、(C)有機硼素アニオン及び/又はハロメチル基
    含有化合物、を含有する近赤外レーザー露光用光重合性
    組成物において、該組成物が(D)450〜650nm
    に吸収極大を有する着色染料を、3重量%を越え、20
    重量%以下含有することを特徴とする近赤外レーザー露
    光用光重合性組成物。
  2. 【請求項2】 シアニン系増感色素カチオン及びフタロ
    シアニン系増感色素の吸収ピークが、750〜1200
    nmにあることを特徴とする請求項1に記載の光重合性
    組成物。
  3. 【請求項3】 着色染料が塩基性染料である請求項1又
    は2に記載の光重合性組成物。
  4. 【請求項4】 着色染料がトリフェニルメタン系染料で
    ある請求項3のいずれかに記載の光重合性組成物。
  5. 【請求項5】 波長750〜1200nm、光強度密度
    9.5×103W以上のレーザー露光用である請求項1
    〜4のいずれかに記載の光重合性組成物。
  6. 【請求項6】 光重合性組成物が、800〜850nm
    又は900〜1100nmに発振波長を有するレーザー
    で画像形成可能な最小露光量が200mJ/m2以下で
    ある、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載
    の光重合性組成物。
  7. 【請求項7】 支持体上に、請求項1〜6のいずれかに
    記載の光重合性組成物からなる層を有する光重合性平版
    印刷版。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の光重合性平版印刷版を
    750〜1200nmに発振波長を有する近赤外レーザ
    ーで画像様露光後、アルカリ現像液で現像することを特
    徴とする平版印刷版の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8758966B2 (en) 2011-11-29 2014-06-24 Cheil Industries Inc. Photosensitive resin composition for color filter and color filter prepared using the same
WO2017145476A1 (ja) * 2016-02-26 2017-08-31 富士フイルム株式会社 平版印刷版の作製方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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