JP2002156727A - 熱現像感光材料 - Google Patents

熱現像感光材料

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JP2002156727A
JP2002156727A JP2001226091A JP2001226091A JP2002156727A JP 2002156727 A JP2002156727 A JP 2002156727A JP 2001226091 A JP2001226091 A JP 2001226091A JP 2001226091 A JP2001226091 A JP 2001226091A JP 2002156727 A JP2002156727 A JP 2002156727A
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JP2001226091A
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English (en)
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Yasuhiro Yoshioka
康弘 吉岡
Toyohisa Oya
豊尚 大屋
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱現像活性が高くかつ画像保存性にも優れ
た、高感度で迅速現像可能な熱現像感光材料を提供する
こと。 【解決手段】 支持体の一方面上に少なくとも1種類の
感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのた
めの還元剤及びバインダーを含有する熱現像感光材料に
おいて、Q1−NHNH−Q2で表される化合物[Q1
炭素原子で−NHNH−Q2と結合する芳香族基または
ヘテロ環基、Q2はカルバモイル基、アシル基、アルコ
キシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スル
ホニル基またはスルファモイル基]および水素結合性化
合物を含有し、かつ該バインダーのガラス転移温度が2
0℃以上であることを特徴とする熱現像感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像感光材料に関
するものである。特に熱現像活性が高くかつ画像保存性
にも優れた、高感度で迅速現像可能な熱現像感光材料に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、医療診断用フィルム分野や写真製
版フィルム分野において環境保全、省スペースの観点か
ら処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザ
ー・イメージセッターまたはレーザー・イメージャーに
より効率的に露光させることができ、高解像度および鮮
鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる医
療診断用フィルムおよび写真製版用フィルムとして熱現
像感光材料に関する技術が必要とされている。これら熱
現像感光材料によれば、溶液系の処理化学薬品を必要と
せず、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システム
を顧客に対して供給することができる。
【0003】一般の画像形成材料の分野でも同様の要求
はあるが、特に医療診断用画像は微細な描写が要求され
るため鮮鋭性、粒状性に優れる高画質が必要であるう
え、診断のし易さの観点から冷黒調の画像が好まれる特
徴がある。現在、インクジェットプリンター、電子写真
など顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステムが
一般画像形成システムとして流通しているが、医療用画
像の出力システムとしては満足できるものがない。
【0004】一方、有機銀塩を利用した熱画像形成シス
テムが、例えば、米国特許3152904号明細書、同
3457075号明細書およびD.クロスタボーア(Kl
osterboer)著「熱によって処理される銀システム(The
rmally Processed Silver Systems)」(イメージング
・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Pr
ocesses and Materials)Neblette第8版、J.スター
ジ(Sturge)、V.ウオールワース(Walworth)、A.
シェップ(Shepp)編集、第9章、第279頁、198
9年)に記載されている。特に、熱現像感光材料は、一
般に、触媒活性量の光触媒(例えば、ハロゲン化銀)、
還元剤、還元可能な銀塩(例えば、有機銀塩)、必要に
より銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリ
ックス中に分散した感光性層(画像形成層)を有してい
る。熱現像感光材料は、画像露光後、高温(例えば80
℃以上)に加熱し、還元可能な銀塩(酸化剤として機能
する)と還元剤との間の酸化還元反応により、黒色の銀
画像を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロ
ゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。そのた
め、黒色の銀画像は、露光領域に形成される。米国特許
2910377号明細書、特公昭43−4924号公報
をはじめとする多くの文献に開示されている。
【0005】熱現像感光材料は処理剤を必要とせず、か
つ多量の廃材も排出することがない。このため、近年重
視されてきている環境への負荷が少ない優れたシステム
として熱現像感光材料は市場で広がりを見せている。そ
れに伴って、処理量の増大が著しくなり更なる処理量の
向上が望まれている。このためには現像速度を上げるこ
とが必要で、高活性な還元剤、現像促進剤を開発するこ
とが望まれていた。しかし、熱現像感光材料は熱現像後
にも画像形成に必要な要素が感光材料中に残されるた
め、現像活性を高くすると画像保存性が悪化してしま
う。このため、熱現像活性と画像保存性を両立させるこ
とが相変わらず最大の課題となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来技術の問
題点に鑑みて、本発明は、熱現像活性が高くかつ画像保
存性にも優れた、高感度で迅速現像可能な熱現像感光材
料を提供することを課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、画像形成層に使用する材料を選択して組み
合わせることによって、所期の効果を示す熱現像感光材
料を提供しうることを見出し、本発明に到達した。すな
わち本発明は、支持体の一方面上に少なくとも1種類の
感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのた
めの還元剤及びバインダーを含有する熱現像感光材料に
おいて、下記一般式(D)で表される化合物および水素
結合性化合物を含有し、かつ該バインダーのガラス転移
温度(以下「Tg」という)が20℃以上であることを
特徴とする熱現像感光材料を提供する。 一般式(D) Q1−NHNH−Q2 [一般式(D)において、Q1は炭素原子で−NHNH
−Q2と結合する芳香族基またはヘテロ環基を表し、Q2
はカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基または
スルファモイル基を表し、カルバモイル基であることが
好ましい。]
【0008】本発明の熱現像感光材料では、還元剤とし
て下記一般式(I)で表される化合物を用いることが好
ましい。一般式(I)
【0009】
【化3】
【0010】[一般式(I)において、R1およびR1'
は各々独立にアルキル基を表す。R2およびR2'は各々
独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基を
表す。X 1およびX1'はそれぞれ独立に水素原子または
ベンゼン環に置換可能な基を表す。R1とX1、R1'とX
1'、R2とX1、およびR2'とX1'は、互いに結合して環
を形成してもよい。Lは−S−基または−CHR3−基
を表す。R3は水素原子またはアルキル基を表す。] 一般式(I)で表される化合物として、R1およびR1'
が各々独立に2級または3級のアルキル基であり、R2
およびR2'が各々独立にアルキル基であり、さらにR3
が水素原子またはアルキル基であり、X1およびX1'
いずれも水素原子である化合物;R1およびR1'が各々
独立に3級アルキル基であり、R2およびR 2'が各々独
立にアルキル基(好ましくは炭素数2以上のアルキル
基)であり、R 3が水素原子またはアルキル基(好まし
くは水素原子)である化合物;R1およびR1'が各々独
立に3級アルキル基であり、R2およびR2'が各々独立
にメチル基であり、R3が炭素数1〜12のアルキル基
である化合物が好ましい。
【0011】また、本発明の熱現像感光材料では、水素
結合性化合物として下記一般式(II)で表される化合物
を用いることが好ましい。一般式(II)
【0012】
【化4】
【0013】[一般式(II)において、R11、R12およ
びR13はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ア
ルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヘテロ
環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有
していてもよく、R11、R12およびR13のうち任意の2
つが互いに結合して環を形成してもよい。]
【0014】本発明の熱現像感光材料の画像形成層は、
バインダーを水性ラテックスとして含む画像形成層塗布
液を塗布、乾燥することにより形成されたものであるこ
とが好ましい。また、画像形成層のバインダーの平均ガ
ラス転移温度は23℃〜60℃であることが好ましい。
また、本発明の熱現像感光材料は、現像時間が5秒〜1
9秒で熱現像することが可能である。なお、本明細書に
おいて「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最
小値および最大値として含む範囲を示す。
【0015】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の熱現像感
光材料について詳細に説明する。本発明の熱現像感光材
料は、支持体の一方面上に少なくとも1種類の感光性ハ
ロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのための還元
剤及びバインダーを含有する。その特徴は、上記一般式
(D)で表される化合物および水素結合性化合物を含有
し、かつ該バインダーのTgが20℃以上である点にあ
る。このような条件を満たす本発明の熱現像感光材料
は、熱現像活性が高くて画像保存性にも優れているとと
もに、高感度で迅速現像が可能であるという利点を有す
る。以下において、本発明の熱現像感光材料に使用する
材料について順に説明する。
【0016】まず、一般式(D)で表される化合物につ
いて説明する。 一般式(D) Q1−NHNH−Q2 (式中、Q1は炭素原子で−NHNH−Q2と結合する芳
香族基、またはヘテロ環基を表し、Q2はカルバモイル
基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキ
シカルボニル基、スルホニル基、またはスルファモイル
基を表す。)
【0017】Q1で表される芳香族基またはヘテロ環基
としては5〜7員の不飽和環が好ましい。好ましい例と
しては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミ
ジン環、ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、
1,3,5−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール
環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,
2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4
−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、
1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジ
アゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,
2,5−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾ
ール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、チオ
フェン環などが好ましく、さらにこれらの環が互いに縮
合した縮合環も好ましい。
【0018】これらの環は置換基を有していてもよく、
2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は
同一であっても異なっていてもよい。置換基の例として
は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボン
アミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホ
ンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキ
ルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファ
モイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリール
スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキ
シカルボニル基、およびアシル基を挙げることができ
る。これらの置換基が置換可能な基である場合、さらに
置換基を有してもよく、好ましい置換基の例としては、
ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミ
ド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンア
ミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニ
ル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、
シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、
アリールスルホニル基、およびアシルオキシ基を挙げる
ことができる。
【0019】Q2で表されるカルバモイル基は、好まし
くは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40の
カルバモイル基であり、例えば、無置換カルバモイル、
メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プ
ロピルカルバモイル、N−sec−ブチルカルバモイ
ル、N−オクチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカ
ルバモイル、N−tert−ブチルカルバモイル、N−
ドデシルカルバモイル、N−(3−ドデシルオキシプロ
ピル)カルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、
N−{3−(2,4−tert−ペンチルフェノキシ)
プロピル}カルバモイル、N−(2−ヘキシルデシル)
カルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−(4−
ドデシルオキシフェニル)カルバモイル、N−(2−ク
ロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)カルバ
モイル、N−ナフチルカルバモイル、N−3−ピリジル
カルバモイル、N−ベンジルカルバモイルが挙げられ
る。
【0020】Q2で表されるアシル基は、好ましくは炭
素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアシル
基であり、例えば、ホルミル、アセチル、2−メチルプ
ロパノイル、シクロヘキシルカルボニル、オクタノイ
ル、2−ヘキシルデカノイル、ドデカノイル、クロロア
セチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−ドデ
シルオキシベンゾイル、2−ヒドロキシメチルベンゾイ
ルが挙げられる。Q2で表されるアルコキシカルボニル
基は、好ましくは炭素数2〜50、より好ましくは炭素
数6〜40のアルコキシカルボニル基であり、例えば、
メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブチル
オキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、
ドデシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル
が挙げられる。
【0021】Q2で表されるアリールオキシカルボニル
基は、好ましくは炭素数7〜50、より好ましくは炭素
数7〜40のアリールオキシカルボニル基で、例えば、
フェノキシカルボニル、4−オクチルオキシフェノキシ
カルボニル、2−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニ
ル、4−ドデシルオキシフェノキシカルボニルが挙げら
れる。Q2で表されるスルホニル基は、好ましくは炭素
数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルホニ
ル基で、例えば、メチルスルホニル、ブチルスルホニ
ル、オクチルスルホニル、2−ヘキサデシルスルホニ
ル、3−ドデシルオキシプロピルスルホニル、2−オク
チルオキシ−5−tert−オクチルフェニルスルホニ
ル、4−ドデシルオキシフェニルスルホニルが挙げられ
る。
【0022】Q2で表されるスルファモイル基は、好ま
しくは炭素数0〜50、より好ましくは炭素数6〜40
のスルファモイル基で、例えば、無置換スルファモイ
ル、N−エチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘ
キシル)スルファモイル、N−デシルスルファモイル、
N−ヘキサデシルスルファモイル、N−{3−(2−エ
チルヘキシルオキシ)プロピル}スルファモイル、N−
(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニ
ル)スルファモイル、N−(2−テトラデシルオキシフ
ェニル)スルファモイルが挙げられる。Q2で表される
基は、さらに、置換可能な位置に前記のQ1で表される
5〜7員の不飽和環の置換基の例として挙げた基を有し
ていてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、そ
れ等の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0023】次に、式(D)で表される化合物の好まし
い範囲について述べる。Q1としては5〜6員の不飽和
環が好ましく、ベンゼン環、ピリミジン環、1,2,3
−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テト
ラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,
4−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール
環、1,2,4−オキサジアゾール環、チアゾール環、
オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール
環、およびこれらの環がベンゼン環もしくは不飽和ヘテ
ロ環と縮合した環が更に好ましい。また、Q2はカルバ
モイル基が好ましく、特に窒素原子上に水素原子を有す
るカルバモイル基が好ましい。以下に、一般式(D)で
表される化合物の具体例を示すが、本発明に用いられる
化合物はこれらの具体例によって限定されるものではな
い。なお、本明細書の構造式において、(t)はtertia
ryの略であり、(i)はisoの略であり、何も表記され
ていないアルキル基等は直鎖(normal)であることを示
す。
【0024】
【化5】
【0025】
【化6】
【0026】
【化7】
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
【化11】
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】
【化14】
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】一般式(D)で表される化合物は、特開平
9−152702号公報、同8−286340号公報、
同9−152700号公報、同9−152701号公
報、同9−152703号公報、および同9−1527
04号公報等に記載の方法に従って合成することができ
る。一般式(D)で表される化合物は、溶液、粉末、固
体微粒子分散物、乳化物、オイルプロテクト分散物など
いかなる方法で材料に添加してもよい。固体微粒子分散
は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボール
ミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ロー
ラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する
際に分散助剤を用いてもよい。一般式(D)の化合物の
使用量は還元剤に対して0.01〜100モル%の範囲
で使用することが好ましい。より好ましい使用量は還元
剤に対して0.1〜50モル%の範囲で、さらに好まし
くは0.5〜20モル%の範囲、最も好ましくは1〜1
0モル%の範囲である。
【0037】次に、画像形成層に用いる水素結合性化合
物について説明する。本明細書でいう「水素結合性化合
物」とは、OH基および/またはNH基を有する化合物
と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性
の化合物をいう。OH基またはNH基と水素結合を形成
することが可能な基としては、ホスホリル基、スルホキ
シド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エス
テル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒
素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのは
ホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N
−H基を持たず、>N−R(RはH以外の置換基)のよ
うにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N
−H基を持たず、>N−R(RはH以外の置換基)のよ
うにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N
−H基を持たず、>N−R(RはH以外の置換基)のよ
うにブロックされている。)を有する化合物である。
【0038】本発明において、水素結合性化合物として
特に好ましいものは下記一般式(II)で表される化合物
である。一般式(II):
【0039】
【化17】
【0040】一般式(II)において、R11、R12および
13はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アル
コキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環
基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有し
ていてもよく、R11、R12およびR13のうち任意の2つ
が互いに結合して環を形成してもよい。R11、R12およ
びR13が置換基を有する場合の置換基としては、ハロゲ
ン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミ
ノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、ア
リールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オ
キシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル
基、スルホニル基、ホスホリル基などが挙げられ、好ま
しくはアルキル基またはアリール基であり、具体例とし
ては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert
−ブチル基、tert−オクチル基、フェニル基、4−
アルコキシフェニル基、4−アシルオキシフェニル基な
どが挙げられる。
【0041】R11、R12およびR13で表される基の具体
例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル
基、ドデシル基、イソプロピル基、tert−ブチル
基、tert−アミル基、tert−オクチル基、シク
ロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル
基、フェネチル基、2−フェノキシプロピル基などの置
換または無置換アルキル基;フェニル基、クレジル基、
キシリル基、ナフチル基、4−tert−ブチルフェニ
ル基、4−tert−オクチルフェニル基、4−アニシ
ジル基、3,5−ジクロロフェニル基などの置換または
無置換アリール基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ
基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、
3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオ
キシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘ
キシルオキシ基、ベンジルオキシ基などの置換または無
置換アルコキシル基;フェノキシ基、クレジルオキシ
基、イソプロピルフェノキシ基、4−tert−ブチル
フェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基など
の置換または無置換アリールオキシ基;アミノ基、ジメ
チルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、
ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ
基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、
N−メチル−N−フェニルアミノ基などの置換または無
置換アミノ基;2−ピリジル基、4−ピリジル基、2−
フラニル基、4−ピペリジニル基、8−キノリル基、5
−キノリル基などのヘテロ環基が挙げられる。
【0042】R11、R12およびR13は、好ましくは、ア
ルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオ
キシ基である。本発明の効果の点ではR11、R12および
13のうち一つ以上がアルキル基またはアリール基であ
ることが好ましく、二つ以上がアルキル基またはアリー
ル基であることがより好ましい。また、安価に入手する
事ができるという点ではR11、R12およびR13が同一の
基であることが好ましい。
【0043】以下に一般式(II)で表される化合物の具
体例を示すが、本発明で用いることができる化合物はこ
れらに限定されるものではない。
【0044】
【化18】
【0045】
【化19】
【0046】
【化20】
【0047】
【化21】
【0048】
【化22】
【0049】水素結合性化合物は、還元剤と同様に溶液
形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布
液に含有せしめ、熱現像感光材料中で使用することがで
きる。水素結合性化合物は、溶液状態でフェノール性水
酸基、アミノ基を有する化合物と水素結合性の錯体を形
成しており、還元剤と水素結合性化合物との組み合わせ
によっては錯体として結晶状態で単離することができ
る。このようにして単離した結晶粉体を固体分散微粒子
分散物として使用することは安定した性能を得る上で特
に好ましい。また、還元剤と水素結合性化合物を粉体で
混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミ
ル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いること
ができる。水素結合性化合物は還元剤に対して、1〜2
00モル%の範囲で使用することが好ましく、10〜1
50モル%の範囲で使用することがより好ましく、30
〜100モル%の範囲で使用することがさらに好まし
い。
【0050】本発明では、画像形成層のバインダーとし
て、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上であるバイン
ダーを用いる。本明細書では、Tgが20℃以上である
バインダーを「高Tgバインダー」、Tgが20℃未満
であるポリマーを「低Tgポリマー」と呼ぶことがあ
る。バインダーのTgは、20℃〜80℃であることが
好ましく、23℃〜60℃であることがより好ましい。
Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する
場合には、その重量平均が上記の範囲に入ることが好ま
しい。
【0051】なお、本明細書においてTgは下記の式で
計算される値を示す。 1/Tg=Σ(Xi/Tgi) ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマ
ー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマ
ーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマ
ーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。
ただしΣはi=1からnまでの和である。尚、各モノマ
ーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolyme
r Handbook(3rd Edition)(J. Brandrup, E. H. Imme
rgut著(Willey-interscience、1989))の値を採
用した。
【0052】本発明で用いるポリマーは、Tgが20℃
以上になるように下記に示すモノマー群から独立かつ自
由に組み合わせた単独または共重合体が好ましい。使用
可能なモノマー単位に特に制限はなく、通常のラジカル
重合またはイオン重合法で重合可能なものであれば好適
に用いることができる。
【0053】モノマー群 1)オレフィン・ジエン類 エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、
6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、シクロペンタジエン、
4−ペンテン酸、8−ノネン酸メチル、ビニルスルホン
酸、トリメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラ
ン、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタ
ジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プ
ロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,
3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、
1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル
−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブ
タジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロ
モ−1,3−ブタジエン、1−クロロブタジエン、2−
フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−
1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3
−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、1,
4−ジビニルシクロヘキサン、1,2,5−トリビニル
シクロヘキサンなど
【0054】2)α,β−不飽和カルボン酸およびその
塩類 アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、
アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、イ
タコン酸カリウムなど
【0055】3)α,β−不飽和カルボン酸の誘導体 3a)アルキルアクリレート類 メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピ
ルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチ
ルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブ
チルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ア
ミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロ
ヘキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレー
ト、n−オクチルアクリレート、tert−オクチルア
クリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレ
ート、ベンジルアクリレート、2−クロロエチルアクリ
レート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブ
チルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、2
−アセトキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチ
ルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−
クロロシクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリ
レート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、5−ヒ
ドロキシペンチルアクリレート、2,2−ジメチル−3
−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチ
ルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコール
アクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=
2〜100のもの)、3−メトキシブチルアクリレー
ト、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエ
チルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチ
ルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアク
リレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアク
リレート、グリシジルアクリレートなど
【0056】3b)アルキルメタクリレート類 メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プ
ロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、
n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレー
ト、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチル
メタクリレート、アミルメタクリレート、n−ヘキシル
メタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−
エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリ
レート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリ
レート、フェニルメタクリレート、アリルメタクリレー
ト、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリ
ルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチル
メタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、トリエチレ
ングリコールモノメタクリレート、ジプロピレングリコ
ールモノメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリ
レート、3−メトキシブチルメタクリレート、ω−メト
キシポリエチレングリコールメタクリレート(ポリオキ
シエチレンの付加モル数:n=2〜100のもの)、ポ
リエチレングリコールモノメタクリレート(ポリオキシ
エチレンの付加モル数:n=2〜100のもの)、ポリ
プロピレングリコールモノメタクリレート(ポリオキシ
プロピレンの付加モル数:n=2〜100のもの)、2
−アセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチ
ルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレー
ト、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレー
ト、グリセリンモノメタクリレート、グリシジルメタク
リレート、3−N,N−ジメチルアミノプロピルメタク
リレート、クロロ−3−N,N,N−トリメチルアンモ
ニオプロピルメタクリレート、2−カルボキシエチルメ
タクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、4
−オキシスルホブチルメタクリレート、3−トリメトキ
シシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレー
ト、2−イソシアナトエチルメタクリレートなど
【0057】3c)不飽和多価カルボン酸のエステル類 マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン
酸ジブチル、イタコン酸モノメチル、イイタコン酸ジメ
チル、タコン酸ジブチル、クロトン酸ブチル、クロトン
酸ヘキシル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなど
【0058】3d)多官能アルコールのエステル類 エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコー
ルジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレ
ート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエ
チレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコ
ールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジアク
リレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチ
ロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタ
ントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメ
タクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレー
ト、1,2,4−シクロヘキサンテトラメタクリレー
ト、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(ポリ
オキシプロピレンの付加モル数:n=2〜100のも
の)など
【0059】3e)α、β−不飽和カルボン酸のアミド
類 アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリ
ルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメ
チルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリル
アミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−t
ert−オクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシ
ルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミ
ド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトア
セトキシエチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリ
ルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトン
アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、N−メチルマレ
イミド、2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン
酸、メチレンビスアクリルアミド、ジメタクリロイルピ
ペラジンなど
【0060】4)不飽和ニトリル類 アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど
【0061】5)スチレンおよびその誘導体 スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−te
rt−ブチルスチレン、p−ビニル安息香酸、p−ビニ
ル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメ
チルスチレン、ビニルナフタレン、p−メトキシスチレ
ン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−アセトキシス
チレン、p−スチレンスルホン酸、p−スチレンスルホ
ン酸ナトリウム塩、p−スチレンスルフィン酸カリウム
塩、p−アミノメチルスチレン、p−ジビニルベンゼ
ン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエス
テルなど
【0062】6)ビニルエーテル類 メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシ
ルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなど
【0063】7)ビニルエステル類 酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪
酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ
酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニル
など
【0064】8)その他の重合性単量体 N−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、N−ビ
ニルピロリドン、ジビニルスルホン、メチルビニルケト
ン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケト
ン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキ
サゾリンなど
【0065】これらのモノマーを組み合わせた共重合に
より合成されるポリマーの物性制御の観点から、必要と
なるモノマーの1種以上を任意に選択して用いることが
できる。重合の行い易さの点から、上記のモノマー群の
うち、α、β不飽和カルボン酸誘導体、ビニルエステル
類、共役ジエン類、スチレン類が好ましく用いられる。
ラテックスとしては主成分がアクリル・メタクリル樹
脂、スチレン樹脂、共役ジエン系樹脂、塩化ビニル樹
脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂等の単独または共重合ポリマーからなるもので
あり、これらの中でも共役ジエン類(例えばイソプレ
ン、ブタジエンなど)の少なくとも1種を構成モノマー
成分として有する単独重合体もしくは共重合体であるこ
とが特に好ましい。その中でもSBRラテックスが最も
好ましい。
【0066】本発明においては画像形成層の高Tgバイ
ンダーが25℃、相対湿度60%での平衡含水率が2質
量%以下のポリマーであることが好ましい。更に好まし
い形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になる
ように調製されたものであり、このような調製法として
ポリマー合成後に分離機能膜を用いて精製処理する方法
が挙げられる。
【0067】「25℃、相対湿度60%における平衡含
水率」とは、25℃、相対湿度60%の雰囲気下で調湿
平衡にあるポリマーの重量W1と25℃で絶乾状態にあ
るポリマーの重量W0を用いて以下のように表すことが
できる。 {(W1−W0)/W0}×100(質量%)
【0068】含水率の定義と測定法については、例えば
高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会
編、地人書館)を参考にすることができる。
【0069】バインダーポリマーの25℃、相対湿度6
0%における平衡含水率は2質量%以下であることが好
ましいが、より好ましくは0.01質量%〜1.5質量
%、さらに好ましくは0.02質量%〜1質量%であ
る。
【0070】以下の表1に本発明で好ましく用いられる
高Tgポリマーの具体例を挙げるが、本発明はこれらに
限定されるものではない。ここで特に断りの無い限り、
各モノマーの組成比を示す数値は質量百分率を、分子量
は数平均分子量を表す。多官能モノマーを使用した架橋
粒子の場合は分子量の概念が適用不可能であるため記載
を省略する。
【0071】
【表1】
【0072】これらのポリマーは単独で用いてもよい
し、必要に応じて2種以上を併用してもよい。また、T
gが20℃以上のものとTgが20℃未満のものを組み
合わせて用いてもよい。
【0073】本発明において熱現像画像記録材料の画像
形成層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散
媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含
む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルア
ルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホ
ルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を
用いてよい。塗布液の溶媒の水含有率は50質量%以
上、より好ましくは70質量%以上が好ましい。好まし
い溶媒組成の例を挙げると、水の他、水/メチルアルコ
ール=90/10、水/メチルアルコール=70/3
0、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=8
0/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソル
ブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロ
ピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質
量%)。
【0074】本発明で用いる高Tgポリマーは、画像形
成層がこのような水系溶媒の塗布液を用いて塗布し、乾
燥して形成される場合に、水性ラテックスとして用いる
ことが好ましい。「水性ラテックス」とは、ポリマーを
水系媒体中に微粒子状で分散させた分散物のことを言
う。
【0075】ここでいう水系溶媒とは、水または水に7
0質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したものであ
る。水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアル
コール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のア
ルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブ
チルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチ
ルホルミアミドなどを挙げることができる。
【0076】ポリマーのラテックスは、写真感光材料の
製造に適用可能なものであればその詳細は特に制限され
ない。通常、ポリマーのラテックスとしてはポリマーの
水非混和性溶媒溶液(例えば酢酸エチル、パーフルオロ
アルカンなど)を水媒体中で界面活性剤や保護コロイド
の存在下で乳化分散した「ポリマー乳化物」や水媒体中
でポリマー合成時に直接分散物化された「ポリマーラテ
ックス」などを例として挙げることができる。特に後者
のラテックスは粒子微細化が可能な点、分散安定性の良
好な点、併用する界面活性剤量が少なくて済む点などか
ら本発明には好ましい製造法である。
【0077】本発明で用いることができる高Tgポリマ
ー微細分散物は乳化重合、分散重合、懸濁重合、など通
常の重合反応により得ることができる。しかしながら写
真感光材料の塗布の多くが水を媒体とし、該共重合体の
様な非水溶性物質は水分散物の形態で扱われるため、塗
布液調製の観点で乳化重合または分散重合が好ましく、
乳化重合で合成されることが特に好ましい。該ラテック
スを使用する場合は、通常微粒子の粒径は300nm以
下で用いられる。その中でも粒径が200nm以下であ
ることが好ましく、150nm以下であることが特に好
ましい。
【0078】乳化重合法は、例えば、水あるいは水と水
に混和しうる有機溶媒(例えばメタノール、エタノー
ル、アセトンなど)との混合溶媒を分散媒とし、分散媒
に対して5〜40質量%のモノマー混合物と、モノマー
に対して0.05〜5質量%の重合開始剤、0.1〜2
0質量%の乳化剤を用い、30〜100℃程度、好まし
くは60〜90℃で3〜8時間、攪拌下重合させること
により行われる。分散媒、モノマーの濃度、開始剤量、
乳化剤量、反応温度、時間、モノマー添加方法などの条
件は使用するモノマーの種類や粒子の目標粒径などを考
慮し、適宜設定される。
【0079】乳化重合に好ましく用いられる開始剤とし
ては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過
酸化物、アゾビスシアノ吉草酸のナトリウム塩等のアゾ
ニトリル化合物、2,2′−アゾビス(2−アミジノプ
ロパン)二塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2′−
アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−
イル)プロパン〕塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、
2,2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1′−ビ
ス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロ
ピオンアミド}等のアゾアミド化合物が挙げられる。こ
の中でも過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムが特に好
ましい。
【0080】分散剤としてはアニオン性界面活性剤、ノ
ニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面
活性剤のいずれも用いることができるが、好ましくはア
ニオン性界面活性剤である。
【0081】本発明で用いる高Tgラテックスは通常の
乳化重合法の手法に則り、容易に合成可能である。一般
的な乳化重合の方法については「合成樹脂エマルジョン
(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(197
8))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖
男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(19
93))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高
分子刊行会発行(1970))」に詳しく記載されてい
る。
【0082】本発明の熱現像感光材料の画像形成層には
必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキ
シメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加しても
よい。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の
全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質
量%以下が好ましい。
【0083】画像形成層の全バインダー量は0.2〜3
0g/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好
ましく、全バインダー/有機銀塩の重量比としては、1
/10〜10/1、更には1/5〜4/1の範囲が好ま
しく、全バインダー/ハロゲン化銀の重量比としては4
00〜5が好ましく、200〜10の範囲がより好まし
い。
【0084】本発明に用いることのできる非感光性有機
銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光
触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の存
在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画
像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元で
きる源を含む任意の有機物質であってよい。このような
非感光性の有機銀塩については、特開平10−6289
9号公報の段落番号[0048]〜[0049]、欧州
特許公開EP第0803764A1号公報の第18ペー
ジ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開EP
第0962812A1号公報に記載されている。有機酸
の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜
28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。有機
銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸
銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カ
プロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、これら
の混合物などを含む。本発明においては、これら有機銀
塩の中でも、ベヘン酸銀含有率75モル%以上の有機酸
銀を用いることが好ましい。
【0085】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん
片状でもよい。本発明においてはりん片状の有機銀塩を
用いることが好ましい。本明細書において、りん片状の
有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機酸銀塩を
電子顕微鏡で観察し、有機酸銀塩粒子の形状を直方体と
近似し、この直方体の辺を1番短い方からa、b、cと
した(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の
数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。 x=b/a
【0086】このようにして200個程度の粒子につい
てxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平
均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好
ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは2
0≧x(平均)≧2.0である。因みに針状とは1≦x
(平均)<1.5である。
【0087】りん片状粒子において、aはbとcを辺と
する面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることがで
きる。aの平均は0.01μm〜0.23μmが好まし
く0.1μm〜0.20μmがより好ましい。c/bの
平均は好ましくは1〜6、より好ましくは1.05〜
4、さらに好ましくは1.1〜3、特に好ましくは1.
1〜2である。
【0088】有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散である
ことが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さ
の標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分
率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以
下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状
の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡
像より求めることができる。単分散性を測定する別の方
法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求
める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率
(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましく
は80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定
方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー
光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自
己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体
積加重平均直径)から求めることができる。
【0089】本発明に用いられる有機酸銀の製造及びそ
の分散法は、公知の方法を適用することができる。例え
ば上記の特開平10−62899号公報、欧州特許公開
EP第0803763A1号公報、欧州特許公開EP9
62812A1号公報を参考にすることができる。
【0090】なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を
共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下する
ため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことが
より好ましい。本発明は、分散される水分散液中での感
光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1molに対し
0.1mol%以下であり、積極的な感光性銀塩の添加
は行わないものである。
【0091】本発明において有機銀塩水分散液と感光性
銀塩水分散液を混合して熱現像画像記録材料を製造する
ことが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率
は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩
の割合は1〜30モル%の範囲が好ましく、更に3〜2
0モル%、特に5〜15モル%の範囲が好ましい。混合
する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光
性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のた
めに好ましく用いられる方法である。
【0092】有機銀塩は所望の量で使用できるが、銀量
として0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好ましく
は1〜3g/m2である。
【0093】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀
は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭
化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いること
ができる。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一で
あってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したも
のでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。ま
た、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ま
しく用いることができる。構造として好ましくいものは
2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコ
ア/シェル粒子である。また塩化銀または塩臭化銀粒子
の表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用いること
ができる。
【0094】感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界で
はよく知られており、例えば、リサーチディスクロージ
ャー1978年6月の第17029号、および米国特許
第3,700,458号明細書に記載されている方法を
用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他
のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合
物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、
その後で有機銀塩と混合する方法を用いることが好まし
い。また、特開平11−119374号公報の段落番号
[0217]〜[0224]に記載されている方法、特
願平11−98708号明細書、同11−84182号
明細書記載の方法も好ましい。
【0095】感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像
形成後の白濁を低く抑える目的のために小さい方が好ま
しく、具体的には0.20μm以下、より好ましくは
0.01μm〜0.15μm、更に好ましくは0.02
μm〜0.12μmがよい。ここでいう粒子サイズと
は、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主
平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径
をいう。
【0096】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ
状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特
に立方体状粒子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナ
ーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光
性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)に
ついては特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場
合の分光増感効率が高い{100}面の占める割合が高
いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ま
しく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好
ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸
着における{111}面と{100}面との吸着依存性
を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に
記載の方法により求めることができる。
【0097】本発明においては、六シアノ金属錯体を粒
子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子をもちることが
好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)
64 -、[Fe(CN)63-、[Ru(CN)64-
[Os(CN)64-、[Co(CN)63-、[Rh
(CN)63-、[Ir(CN)63-、[Cr(CN)
63-、[Re(CN)63-などが挙げられる。本発明
においては六シアノFe錯体を用いることが好ましい。
【0098】六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの
形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混
和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合してい
るナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオ
ン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ
金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウ
ムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テ
トラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモ
ニウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオ
ン)を用いることが好ましい。
【0099】六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和し
うる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル
類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類
等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することが
できる。
【0100】六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当
たり1×10-5モル〜1×10-2モルが好ましく、より
好ましくは1×10-4モル〜1×10-3モルである。
【0101】六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表
面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に
使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セ
レン増感およびテルル増感のカルコゲン増感や金増感等
の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終
了前、水洗工程中、分散工程中、または化学増感工程前
に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないた
めには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加す
ることが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好
ましい。
【0102】尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成
をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加
した後から開始してもよく、98質量%添加した後から
開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特
に好ましい。
【0103】これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了
する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハ
ロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほと
んどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。こ
の六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩
であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒
子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが
可能になる。
【0104】感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第
1〜18族までを示す)の第8族〜第10族の金属また
は金属錯体を含有することができる。周期律表の第8族
〜第10族の金属または金属錯体の中心金属として好ま
しくは、ロジウム、ルテニウム、イリジウムである。こ
れら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金
属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は
銀1モルに対し1×10-9モル〜1×10-3モルの範囲
である。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法
については特開平7−225449号公報、特開平11
−65021号公報段落番号[0018]〜[002
4]、特開平11−119374号公報段落番号[02
27]〜[0240]に記載されている。
【0105】さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒
子に含有させることのできる金属原子(例えば[Fe
(CN)64-)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増
感法については、特開平11−84574号公報段落番
号[0046]〜[0050]、特開平11−6502
1号公報段落番号[0025]〜[0031]、特開平
11−119374号公報段落番号[0242]〜[0
250]に記載されている。
【0106】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に
含有させるゼラチンとしては、種々のゼラチンを使用す
ることができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含
有塗布液中での分散状態を良好に維持するために、分子
量は、500〜60,000の低分子量ゼラチンを使用
することが好ましい。これらの低分子量ゼラチンは粒子
形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよい
が、脱塩処理後の分散時に使用することが好ましい。
【0107】本発明では増感色素を用いることができ
る。増感色素としては、ハロゲン化銀粒子に吸着した
際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感でき
るもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有す
るものを有利に選択することができる。増感色素及び添
加法については、特開平11−65021号公報の段落
番号[0103]〜[0109]、特開平10−186
572号公報一般式(II)で表される化合物、特開平1
1−119374号公報の一般式(I)で表される色素
及び段落番号[0106]、米国特許第5,510,2
36号明細書、同第3,871,887号明細書実施例
5に記載の色素、特開平2−96131号公報、特開昭
59−48753号公報に開示されている色素、欧州特
許公開EP第0803764A1号公報の第19ページ
第38行〜第20ページ第35行、特願2000−86
865号明細書、特願2000−102560号明細書
等に記載されている。これらの増感色素は単独で用いて
もよく、2種以上組合せて用いてもよい。本発明におい
て増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、脱
塩工程後、塗布までの時期が好ましく、より好ましくは
脱塩後から化学熟成の開始前までの時期である。本発明
における増感色素の添加量は、感度やカブリの性能に合
わせて所望の量にすることができるが、画像形成層のハ
ロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ましく、さ
らに好ましくは10-4〜10-1モルである。
【0108】本発明は分光増感効率を向上させるため、
強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色
増感剤としては、欧州特許公開EP第587,338号
公報、米国特許第3,877,943号明細書、同第
4,873,184号明細書、特開平5−341432
号公報、同11−109547号公報、同10−111
543号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0109】本発明における感光性ハロゲン化銀粒子
は、硫黄増感法、セレン増感法もしくはテルル増感法に
て化学増感されていることが好ましい。硫黄増感法、セ
レン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物
としては公知の化合物、例えば、特開平7−12876
8号公報等に記載の化合物等を使用することができる。
特に本発明においてはテルル増感が好ましく、特開平1
1−65021号公報段落番号[0030]に記載の文
献に記載の化合物、特開平5−313284号公報中の
一般式(II),(III),(IV)で示される化合物がよ
り好ましい。
【0110】本発明においては、化学増感は粒子形成後
で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩
後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)
分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。特に分光増
感後に行われることが好ましい。本発明で用いられる硫
黄、セレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハ
ロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハ
ロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましく
は10-7〜10-3モル程度を用いる。本発明における化
学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては
5〜8、pAgとしては6〜11、温度としては40〜
95℃程度である。本発明で用いるハロゲン化銀乳剤に
は、欧州特許公開EP第293,917号公報に示され
る方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよ
い。
【0111】本発明に用いられる熱現像画像記録材料中
の感光性ハロゲン化銀乳剤は、1種だけでもよいし、2
種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲ
ン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条
件の異なるもの)を併用してもよい。感度の異なる感光
性ハロゲン化銀を複数種用いることで階調を調節するこ
とができる。これらに関する技術としては特開昭57−
119341号公報、同53−106125号公報、同
47−3929号公報、同48−55730号公報、同
46−5187号公報、同50−73627号公報、同
57−150841号公報などに記載される技術が挙げ
られる。感度差としてはそれぞれの乳剤で0.2log
E以上の差を持たせることが好ましい。
【0112】感光性ハロゲン化銀の添加量は、熱現像感
光材料1m2当たりの塗布銀量で示して、0.03〜
0.6g/m2であることが好ましく、0.05〜0.
4g/m2であることがさらに好ましく、0.1〜0.
4g/m2であることが最も好ましく、有機銀塩1モル
に対しては、感光性ハロゲン化銀は0.01モル〜0.
5モルが好ましく、0.02モル〜0.3モルがより好
ましい。
【0113】別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機
銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製
終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボ
ールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモ
ジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調
製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロ
ゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等がある
が、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制
限はない。また、混合する際に2種以上の有機銀塩水分
散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合すること
は、写真特性の調節のために好ましい方法である。
【0114】ハロゲン化銀の画像形成層塗布液中への好
ましい添加時期は、塗布する180分前〜直前、好まし
くは60分前〜10秒前であるが、混合方法及び混合条
件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいて
は特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量
とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望
の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN. H
arnby、M. F. Edwards、A. W. Nienow著、高橋幸司訳"
液体混合技術"(日刊工業新聞社刊、1989年)の第
8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用
する方法がある。
【0115】本発明の熱現像感光材料は銀イオンのため
の還元剤を含む。銀イオンのための還元剤は、銀イオン
を金属銀に還元する任意の物質(好ましくは有機物質)
であってよい。このような還元剤は、特開平11−65
021号公報の段落番号[0043]〜[0045]
や、欧州特許公開EP第0803764A1号公報の第
7ページ第34行〜第18ページ第12行に記載されて
いる。
【0116】本発明においては、還元剤としてビスフェ
ノール類の還元剤を用いることが好ましく、特に下記一
般式(I)で表される化合物を用いることが好ましい。 一般式(I):
【0117】
【化23】
【0118】一般式(I)において、R1およびR1'は
各々独立にアルキル基を表す。R2およびR2'は各々独
立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基を表
す。X 1およびX1'はそれぞれ独立に水素原子またはベ
ンゼン環に置換可能な基を表す。R1とX1、R1'
1'、R2とX1、およびR2'とX1'は、互いに結合して
環を形成してもよい。Lは−S−基または−CHR3
基を表す。R3は水素原子またはアルキル基を表す。
【0119】一般式(I)において、R1およびR1'
それぞれ独立に置換または無置換の、直鎖、分岐または
環状のアルキル基である。アルキル基の炭素数は1〜2
0が好ましい。アルキル基の置換基は特に限定されるこ
とはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ア
リールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ス
ルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル
基、エステル基、ハロゲン原子などである。
【0120】R1およびR1'は、より好ましくは炭素数
3〜15の2級または3級のアルキル基であり、具体的
にはイソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル
基、tert−アミル基、tert−オクチル基、シク
ロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘ
キシル基、1−メチルシクロプロピル基などである。さ
らに好ましくは炭素数4〜12の3級アルキル基であ
り、その中でもtert−ブチル基、tert−アミル
基、および1−メチルシクロヘキシル基が特に好まし
く、tert−ブチル基が最も好ましい。
【0121】R2およびR2'はそれぞれ独立に、水素原
子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。X1および
1'はそれぞれ独立に、水素原子またはベンゼン環に置
換可能な基を表す。ベンゼン環に置換可能な基として
は、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原
子、アルコキシ基、アシルアミノ基などが挙げられる。
【0122】R2およびR2'は、好ましくは炭素数1〜
20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert
−ブチル基、tert−アミル基、シクロヘキシル基、
1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメ
チル基、メトキシエチル基などである。より好ましくは
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基また
はtert−ブチル基である。
【0123】X1およびX1'は、好ましくは水素原子、
ハロゲン原子またはアルキル基であり、特に好ましくは
水素原子である。R1とX1、R1'とX1'、R2とX1、お
よびR2'とX1'は、互いに結合して環を形成してもよ
い。この環としては、好ましくは5〜7員環であり、よ
り好ましくは飽和の6員環である。
【0124】Lは−S−基または−CHR3−基を表
す。Lは好ましくは−CHR3−基である。R3は水素原
子またはアルキル基である。R3で表されるアルキル基
は、直鎖、分岐または環状のいずれであってもよく、ま
た置換されていてもよい。R3で表されるアルキル基の
炭素数は好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1
〜15である。無置換のアルキル基の具体例としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル
基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチ
ル基、2,4,4−トリメチルペンチル基などが挙げら
れる。アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ア
ルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリ
ールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スル
ホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバ
モイル基、スルファモイル基などが挙げられる。R3
して好ましいのは、水素原子、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペ
ンチル基である。R3として特に好ましいのは水素原
子、メチル基、エチル基またはプロピル基である。
【0125】R3が水素原子である場合、R2およびR2'
は好ましくは炭素数2〜5のアルキル基であり、エチル
基、プロピル基がより好ましく、エチル基が最も好まし
い。R3が炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基
である場合、R2およびR2'はメチル基であることが好
ましい。R3がとりうる炭素数1〜8の1級または2級
のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基がより好ましく、メチル基、エチル
基、プロピル基が更に好ましい。
【0126】一般式(I)で表される化合物の中でも特
に好ましい化合物は、R1およびR1'が各々独立に2級
または3級のアルキル基、R2およびR2'が各々独立に
アルキル基、さらにR3が水素原子またはアルキル基で
あり、X1およびX1'はいずれも水素原子である化合
物;R1およびR1'が3級アルキル基、R2およびR2'が
アルキル基、R3が水素原子またはアルキル基である化
合物;R1およびR1'が各々独立に3級アルキル基であ
り、R2およびR2'が各々独立にメチル基であり、R3
炭素数1〜12のアルキル基である化合物;なかでも、
1およびR1'が3級アルキル基、R2およびR2'が炭素
数2以上のアルキル基、R3が水素原子である化合物で
ある。
【0127】以下に一般式(I)で表される化合物の具
体例を示すが、本発明で使用することができる化合物は
これらに限定されるものではない。
【0128】
【化24】
【0129】
【化25】
【0130】
【化26】
【0131】
【化27】
【0132】
【化28】
【0133】
【化29】
【0134】本発明において還元剤の添加量は0.01
〜5.0g/m2であることが好ましく、0.1〜3.
0g/m2であることがより好ましく、画像形成層を有
する面の銀1モルに対しては5〜50%モル含まれるこ
とが好ましく、10〜40モル%で含まれることがさら
に好ましい。還元剤は画像形成層に含有させることが好
ましい。
【0135】還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微
粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せし
め、熱現像感光材料に含有させてもよい。よく知られて
いる乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリク
レジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートある
いはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシ
クロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的
に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
【0136】また、固体微粒子分散法としては、還元剤
の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミ
ル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ロー
ラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を
調製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド
(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例え
ばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合
物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。水
分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナト
リウム塩)を含有させることができる。
【0137】画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布
性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0138】本発明に用いることのできるカブリ防止
剤、安定剤および安定剤前駆体としては特開平10−6
2899号公報の段落番号[0070]、欧州特許公開
EP第0803764A1号公報の第20頁第57行〜
第21頁第7行に記載のものが挙げられる。また、本発
明に好ましく用いられるカブリ防止剤は有機ハロゲン化
物であり、これらについては、特開平11−65021
号公報の段落番号[0111]〜[0112]に記載さ
れているものが挙げられる。特に特願平11−8729
7号明細書の式(P)で表される有機ハロゲン化合物、
特開平10−339934号公報の一般式(II)で表さ
れる有機ポリハロゲン化合物が好ましい。
【0139】以下、本発明で好ましい有機ポリハロゲン
化合物について具体的に説明する。好ましいポリハロゲ
ン化合物は下記一般式(III)で表される化合物であ
る。 一般式(III): Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X 一般式(III)において、Qは置換基を有していてもよ
いアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Y
は2価の連結基を表し、nは0または1を表し、Z1
よびZ2はハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電
子求引性基を表す。
【0140】一般式(III)のQで表わされるアルキル
基とは、直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、好
ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特
に好ましくは1〜6である。例えば、メチル、エチル、
アリル、n−プロピル、iso−プロピル、sec−ブ
チル、iso−ブチル、tert−ブチル、sec−ペ
ンチル、iso−ペンチル、tert−ペンチル、te
rt−オクチル、1−メチルシクロヘキシル等が挙げら
れる。好ましくは3級のアルキル基である。
【0141】Qで表わされるアルキル基は置換基を有し
ていてもよく、置換基としては写真性能に悪影響を及ぼ
さない置換基であればどのような基でも構わないが、例
えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原
子、または沃素原子)、アルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(N−置換の含窒
素ヘテロ環基を含む、例えばモルホリノ基)、アルコキ
シカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバ
モイル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオ
カルボニル基、カルバゾイル基、シアノ基、チオカルバ
モイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環
オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリ
ールオキシ)カルボニルオキシ基、スルホニルオキシ
基、アシルアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、
チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリ
ールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミ
ノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、(ア
ルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、ニト
ロ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、スル
ファモイル基、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構
造を含む基、シリル基、カルボキシル基またはその塩、
スルホ基またはその塩、リン酸基、ヒドロキシ基、4級
アンモニウム基等が挙げられる。これら置換基は、これ
ら置換基でさらに置換されていてもよい。
【0142】一般式(III)のQで表わされるアリール
基は単環または縮合環のアリール基であり、好ましくは
炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好まし
くは6〜10であり、フェニル基またはナフチル基が好
ましい。Qで表わされるアリール基は置換基を有してい
てもよく、置換基としては写真性能に悪影響を及ぼさな
い置換基であればどのような基でも構わないが、例えば
前述のアルキル基の置換基と同様の基が挙げられる。特
に好ましいのは、Qがハメットのσpが正の値をとる電
子求引性基で置換されたフェニル基である場合である。
電子求引性基σp値は0.2〜2.0の範囲が好まし
く、0.4〜1.0の範囲がより好ましい。具体的に
は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキ
シカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキ
ルホスホリル基、スルホキシド基、アシル基、ヘテロ環
基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ホスホリル
基等があげられる。より好ましい電子吸引基は、カルバ
モイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニ
ル基、アルキルホスホリル基であり、なかでもカルバモ
イル基が最も好ましい。
【0143】一般式(III)のQで表わされるヘテロ環
基としては、ヘテロ環が窒素、酸素および硫黄原子から
なる群より選ばれるヘテロ原子を1個以上含む5または
7員の飽和または不飽和の単環または縮合環であるもの
が好ましい。ヘテロ環の例としては、好ましくはピリジ
ン、キノリン、イソキノリン、ピリミジン、ピラジン、
ピリダジン、フタラジン、トリアジン、フラン、チオフ
ェン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、
チアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンゾ
イミダゾール、チアジアゾール、トリアゾール等が挙げ
られ、さらに好ましくはピリジン、キノリン、ピリミジ
ン、チアジアゾール、ベンゾチアゾールであり、特に好
ましくは、ピリジン、キノリン、ピリミジンである。Q
で表わされるヘテロ環基は置換基を有してもよく、例え
ばQで表わされるアルキル基の置換基と同様の基が挙げ
られる。
【0144】Qとして特に好ましいのは、上記のハメッ
トのσpが正の値をとる電子求引性基で置換されたフェ
ニル基である。Qの置換基として、拡散性を低下させる
ために写真用素材で使用されるバラスト基や銀塩への吸
着基や水溶性を付与する基を有していてもよいし、互い
に重合してポリマーを形成してもよいし、置換基どうし
が結合してビス型、トリス型、テトラキス型を形成して
もよい。
【0145】一般式(III)において、Yは2価の連結
基を表わすが好ましくは−SO2−、−SO−、−CO
−であり、特に好ましくは−SO2−である。一般式(I
II)において、nは0または1を表わすが、好ましくは
1である。Z1およびZ2はそれぞれ独立にハロゲン原子
(例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素など)を表すが、
1およびZ2は両方とも臭素原子であることが最も好ま
しい。Xは水素原子または電子求引性基を表す。Xで表
される電子求引性基は、ハメットの置換基定数σpが正
の値を取りうる置換基であり、具体的には、シアノ基、
アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル
基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスル
ホニル基、アリールスルホニル基、ハロゲン原子、アシ
ル基、ヘテロ環基等が挙げられる。Xは好ましくは水素
原子またはハロゲン原子であり、最も好ましくは臭素原
子である。
【0146】一般式(III)のポリハロゲン化合物とし
ては、例えば米国特許第3,874,946号明細書、
米国特許第4,756,999号明細書、米国特許第
5,340,712号明細書、米国特許第5,369,
000号明細書、米国特許第5,464,737号明細
書、特開昭50−137126号公報、同50−890
20号公報、同50−119624号公報、同59−5
7234号公報、特開平7−2781号公報、同7−5
621号公報、同9−160164号公報、同10−1
97988号公報、同9−244177号公報、同9−
244178号公報、同9−160167号公報、同9
−319022号公報、同9−258367号公報、同
9−265150号公報、同9−319022号公報、
同10−197989号公報、同11−242304号
公報、特願平10−181459号公報、同10−29
2864号公報、同11−90095号公報、同11−
89773号公報、同11−205330号公報等に記
載された化合物が挙げられる。以下に一般式(III)で
表されるポリハロゲン化合物の具体例を示すが、本発明
で用いることができる化合物はこれらに限定されるもの
ではない。
【0147】
【化30】
【0148】
【化31】
【0149】
【化32】
【0150】
【化33】
【0151】一般式(III)で表されるポリハロゲン化
合物は、1種のみ用いても2種以上併用してもよい。一
般式(III)で表される化合物は画像形成層の非感光性
銀塩1モルあたり、10-4〜1モルの範囲で使用するこ
とが好ましく、より好ましくは10-3〜0.8モルの範
囲で、さらに好ましくは5×10-3〜0.5モルの範囲
で使用することが好ましい。本発明において、カブリ防
止剤を熱現像感光材料に含有せしめる方法としては、前
記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げられ、有機ポリ
ハロゲン化合物についても固体微粒子分散物で添加する
ことが好ましい。
【0152】その他のカブリ防止剤としては特開平11
−65021号公報段落番号[0113]の水銀(II)
塩、同号公報段落番号[0114]の安息香酸類、特願
平11−87297号明細書の式(Z)で表されるサリ
チル酸誘導体、特願平11−23995号明細書の式
(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合物、特
開平11−352624号公報の請求項9に係るトリア
ジン化合物、特開平6−11791号公報の一般式(II
I)で表される化合物、4−ヒドロキシ−6−メチル−
1,3,3a,7−テトラザインデン等が挙げられる。
【0153】本発明の熱現像感光材料はカブリ防止を目
的としてアゾリウム塩を含有してもよい。アゾリウム塩
としては、特開昭59−193447号公報記載の一般
式(XI)で表される化合物、特公昭55−12581号
公報記載の化合物、特開昭60−153039号公報記
載の一般式(II)で表される化合物が挙げられる。アゾ
リウム塩は熱現像画像記録材料のいかなる部位に添加し
てもよいが、添加層としては画像形成層を有する面の層
に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加する
ことがさらに好ましい。アゾリウム塩の添加時期として
は塗布液調製のいかなる工程で行ってもよく、有機銀塩
含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製
時のいかなる工程でもよいが有機銀塩調製後から塗布直
前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉末、溶
液、微粒子分散物などいかなる方法で行ってもよい。ま
た、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合し
た溶液として添加してもよい。本発明においてアゾリウ
ム塩の添加量としてはいかなる量でもよいが、銀1モル
当たり1×10-6モル〜2モルが好ましく、1×10-3
モル〜0.5モルがさらに好ましい。
【0154】本発明には現像を抑制あるいは促進させて
現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、
現像前後の保存性を向上させるためなどの目的でメルカ
プト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有
させることができ、特開平10−62899号公報の段
落番号[0067]〜[0069]、特開平10−18
6572号公報の一般式(I)で表される化合物及びそ
の具体例として段落番号[0033]〜[0052]、
欧州特許公開EP第0803764A1号公報の第20
ページ第36〜56行、特願平11−273670号明
細書等に記載されているものを用いることができる。中
でもメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
【0155】本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加
が好ましく、色調剤については、特開平10−6289
9号公報の段落番号[0054]〜[0055]、欧州
特許公開EP第0803764A1号公報の第21ペー
ジ第23〜48行、特開2000−35631号公報に
記載されており、特に、フタラジノン類(フタラジノ
ン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩;例えば4−
(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノ
ン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジ
ヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノン類
とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル
酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル
酸)との組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジ
ン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)
フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−ter
t−ブチルフラタジン、6−クロロフタラジン、5,7
−ジメトキシフタラジンおよび2,3−ジヒドロフタラ
ジン);フタラジン類とフタル酸類との組合せが好まし
く、特にフタラジン類とフタル酸類の組合せが好まし
い。
【0156】画像形成層に用いることのできる可塑剤お
よび潤滑剤については特開平11−65021号公報段
落番号[0117]、超硬調画像形成のための超硬調化
剤やその添加方法や量については、同号公報段落番号
[0118]、特開平11−223898号公報段落番
号[0136]〜[0193]、特願平11−8729
7号明細書の式(H)、式(1)〜(3)、式(A)、
(B)の化合物、特願平11−91652号明細書記載
の一般式(III)〜(V)の化合物(具体的化合物:化2
1〜化24)、硬調化促進剤については特開平11−6
5021号公報段落番号[0102]、特開平11−2
23898号公報段落番号[0194]〜[0195]
に記載されている。
【0157】蟻酸や蟻酸塩を強いかぶらせ物質として用
いるには、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を
有する側に銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1
ミリモル以下で含有することが好ましい。
【0158】本発明の熱現像感光材料で超硬調化剤を用
いる場合には、五酸化二リンが水和してできる酸または
その塩を併用して用いることが好ましい。五酸化二リン
が水和してできる酸またはその塩としては、メタリン酸
(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リ
ン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)
などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五
酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、
オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げる
ことができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリ
ウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン
酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがあ
る。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩の使
用量(熱現像画像記録材料1m2あたりの塗布量)は感
度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、
0.1〜500mg/m2が好ましく、0.5〜100
mg/m2がより好ましい。
【0159】本発明における熱現像感光材料には、画像
形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けること
ができる。表面保護層は単層でもよいし、複数層であっ
てもよい。表面保護層については、特開平11−650
21号公報段落番号[0119]〜[0120]に記載
されている。表面保護層のバインダーとしてはゼラチン
が好ましいがポリビニルアルコール(PVA)を用いる
ことも好ましい。ゼラチンとしてはイナートゼラチン
(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼラチン(例
えば新田ゼラチン801)など使用することができる。
PVAとしては、完全けん化物のPVA−105、部分
けん化物のPVA−205,PVA−335、変性ポリ
ビニルアルコールのMP−203(以上、クラレ(株)
製の商品名)などが挙げられる。保護層(1層当たり)
のポリビニルアルコール塗布量(支持体1m2当たり)
としては0.3〜4.0g/m2が好ましく、0.3〜
2.0g/m2がより好ましい。
【0160】特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発
明の熱現像感光材料を用いる場合には、表面保護層やバ
ック層にポリマーラテックスを用いることが好ましい。
このようなポリマーラテックスについては「合成樹脂エ
マルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行
(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝
明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会
発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井
宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などにも記
載され、具体的にはメチルメタクリレート(33.5質
量%)/エチルアクリレート(50質量%)/メタクリ
ル酸(16.5質量%)コポリマーのラテックス、メチ
ルメタクリレート(47.5質量%)/ブタジエン(4
7.5質量%)/イタコン酸(5質量%)コポリマーの
ラテックス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポ
リマーのラテックス、メチルメタクリレート(58.9
質量%)/2−エチルヘキシルアクリレート(25.4
質量%)/スチレン(8.6質量%)/2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート(5.1質量%)/アクリル酸
(2.0質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタ
クリレート(64.0質量%)/スチレン(9.0質量
%)/ブチルアクリレート(20.0質量%)/2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート(5.0質量%)/アク
リル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックスなどが
挙げられる。さらに、表面保護層用のバインダーとし
て、特願平11−6872号明細書のポリマーラテック
スの組み合わせ、特願平11−143058号明細書の
段落番号[0021]〜[0025]に記載の技術、特
願平11−6872号明細書の段落番号[0027]〜
[0028]に記載の技術、特開2000−19678
号公報の段落番号[0023]〜[0041]に記載の
技術を適用してもよい。表面保護層のポリマーラテック
スの比率は全バインダーの10質量%〜90質量%が好
ましく、特に20質量%〜80質量%が好ましい。表面
保護層(1層当たり)の全バインダー(水溶性ポリマー
及びラテックスポリマーを含む)塗布量(支持体1m2
当たり)としては0.3〜5.0g/m2が好ましく、
0.3〜2.0g/m2がより好ましい。
【0161】画像形成層塗布液の調製温度は30℃〜6
5℃がよく、さらに好ましい温度は35℃〜60℃未
満、より好ましい温度は35℃〜55℃である。また、
ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液の温度
が30℃〜65℃で維持されることが好ましい。また、
ポリマーラテックス添加前に還元剤と有機銀塩が混合さ
れていることが好ましい。
【0162】画像形成層は、支持体上に1またはそれ以
上の層で構成される。1層で構成する場合は有機銀塩、
感光性ハロゲン化銀、還元剤およびバインダーよりな
り、必要により色調剤、被覆助剤および他の補助剤など
の所望による追加の材料を含む。2層以上で構成する場
合は、第1画像形成層(通常は支持体に隣接した層)中
に有機銀塩および感光性ハロゲン化銀を含み、第2画像
形成層または両層中にいくつかの他の成分を含まなけれ
ばならない。多色感光性熱現像写真材料の構成は、各色
についてこれらの2層の組合せを含んでよく、また、米
国特許第4,708,928号明細書に記載されている
ように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。多染
料多色感光性熱現像写真材料の場合、各乳剤層は、一般
に、米国特許第4,460,681号明細書に記載され
ているように、各感光性層の間に官能性もしくは非官能
性のバリアー層を使用することにより、互いに区別され
て保持される。
【0163】画像形成層(感光性層)には色調改良、レ
ーザー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止
の観点から各種染料や顔料(例えばC. I. Pigment Blue
60、C. I. Pigment Blue64、C. I. Pigment Blue1
5:6)を用いることができる。これらについては国際
公開WO98/36322号公報、特開平10−268
465号公報、同11−338098号公報等に詳細に
記載されている。
【0164】本発明の熱現像感光材料においては、アン
チハレーション層を画像形成層に対して光源から遠い側
に設けることができる。
【0165】熱現像感光材料は一般に、感光性層に加え
て非感光性層を有する。非感光性層は、その配置から
(1)感光性層の上(支持体よりも遠い側)に設けられ
る保護層、(2)複数の感光性層の間や感光性層と保護
層の間に設けられる中間層、(3)感光性層と支持体と
の間に設けられる下塗り層、(4)感光性層の反対側に
設けられるバック層に分類できる。フィルター層は、
(1)または(2)の層として熱現像画像記録材料に設
けられる。アンチハレーション層は、(3)または
(4)の層として熱現像画像記録材料に設けられる。
【0166】アンチハレーション層については特開平1
1−65021号公報段落番号[0123]〜[012
4]、特開平11−223898号公報、同9−230
531号公報、同10−36695号公報、同10−1
04779号公報、同11−231457号公報、同1
1−352625号公報、同11−352626号公報
等に記載されている。アンチハレーション層には、露光
波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含有す
る。露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を
用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない染
料が好ましい。可視域に吸収を有する染料を用いてハレ
ーション防止を行う場合には、画像形成後には染料の色
が実質的に残らないようにすることが好ましく、熱現像
の熱により消色する手段を用いることが好ましく、特に
非感光性層に熱消色染料と塩基プレカーサーとを添加し
てアンチハレーション層として機能させることが好まし
い。これらの技術については特開平11−231457
号公報等に記載されている。
【0167】消色染料の添加量は、染料の用途により決
定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光
学濃度(吸光度)が0.1を超える量で使用する。光学
濃度は、0.2〜2であることが好ましい。このような
光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.00
1〜1g/m2程度である。
【0168】なお、このように染料を消色すると、熱現
像後の光学濃度を0.1以下に低下させることができ
る。2種類以上の消色染料を、熱消色型記録材料や熱現
像感光材料において併用してもよい。同様に、2種類以
上の塩基プレカーサーを併用してもよい。このような消
色染料と塩基プレカーサーを用いる熱消色においては、
特開平11−352626号公報に記載のような塩基プ
レカーサーと混合すると融点を3℃以上降下させる物質
(例えば、ジフェニルスルホン、4−クロロフェニル
(フェニル)スルホン)を併用することが熱消色性等の
点で好ましい。
【0169】本発明においては、銀色調、画像の経時変
化を改良する目的で300〜450nmに吸収極大を有
する着色剤を添加することができる。このような着色剤
は、特開昭62−210458号公報、同63−104
046号公報、同63−103235号公報、同63−
208846号公報、同63−306436号公報、同
63−314535号公報、特開平01−61745号
公報、特願平11−276751号明細書などに記載さ
れている。このような着色剤は、通常、0.1mg/m
2〜1g/m2の範囲で添加され、添加する層としては画
像形成層の反対側に設けられるバック層が好ましい。
【0170】本発明における熱現像感光材料は、支持体
の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む
画像形成層を有し、他方の側にバック層を有する、いわ
ゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0171】本発明において、搬送性改良のためにマッ
ト剤を添加することが好ましく、マット剤については、
特開平11−65021号公報段落番号[0126]〜
[0127]に記載されている。マット剤は熱現像画像
記録材料1m2当たりの塗布量で示した場合、好ましく
は1〜400mg/m2、より好ましくは5〜300m
g/m2である。また、画像形成面のマット度は星屑故
障が生じなければいかようでもよいが、ベック平滑度が
30秒〜2000秒が好ましく、特に40秒〜1500
秒が好ましい。ベック平滑度は、日本工業規格(JI
S)P8119「紙および板紙のベック試験器による平
滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により
容易に求めることができる。
【0172】本発明においてバック層のマット度として
はベック平滑度が10秒〜1200秒が好ましく、20
秒〜800秒が好ましく、さらに好ましくは40秒〜5
00秒である。
【0173】本発明において、マット剤は熱現像画像記
録材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する
層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好まし
く、またいわゆる保護層として作用する層に含有される
ことが好ましい。
【0174】本発明に適用することのできるバック層に
ついては特開平11−65021号公報段落番号[01
28]〜[0130]に記載されている。
【0175】本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理前
の膜面pHが6.0以下であることが好ましく、さらに
好ましくは5.5以下である。その下限には特に制限は
ないが、3程度である。膜面pHの調節はフタル酸誘導
体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニア
などの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減さ
せるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発し
やすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できるこ
とから低膜面pHを達成する上で好ましい。なお、膜面
pHの測定方法は、特願平11−87297号明細書の
段落番号[0123]に記載されている。
【0176】画像形成層、保護層、バック層など各層に
は硬膜剤を用いてもよい。硬膜剤の例としてはT. H. Ja
mes著"THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURT
H EDITION"(Macmillian Publishing Co., Inc.刊、1
977年刊)77頁〜87頁に記載の各方法があり、ク
ロムみょうばん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−
s−トリアジンナトリウム塩、N,N−エチレンビス
(ビニルスルホンアセトアミド)、N,N−プロピレン
ビス(ビニルスルホンアセトアミド)の他、同書78頁
など記載の多価金属イオン、米国特許4,281,06
0号明細書、特開平6−208193号公報などのポリ
イソシアネート類、米国特許4,791,042号明細
書などのエポキシ化合物類、特開昭62−89048号
公報などのビニルスルホン系化合物類が好ましく用いら
れる。
【0177】硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の
保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前〜
直前、好ましくは60分前〜10秒前であるが、混合方
法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる
限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法とし
ては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞
留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合す
る方法やN. Harnby、M. F. Edwards、A. W. Nienow著、
高橋幸司訳"液体混合技術"(日刊工業新聞社刊、198
9年)の第8章等に記載されているスタチックミキサー
などを使用する方法がある。
【0178】本発明に適用できる界面活性剤については
特開平11−65021号公報段落番号[0132]、
溶剤については同号公報段落番号[0133]、支持体
については同号公報段落番号[0134]、帯電防止又
は導電層については同号公報段落番号[0135]、カ
ラー画像を得る方法については同号公報段落番号[01
36]に、滑り剤については特開平11−84573号
公報段落番号[0061]〜[0064]や特願平11
−106881号明細書段落番号[0049]〜[00
62]記載されている。
【0179】透明支持体は2軸延伸時にフィルム中に残
存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱
収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範囲
で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレ
フタレートが好ましく用いられる。医療用の熱現像感光
材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8
−240877号公報実施例記載の染料−1)で着色さ
れていてもよいし、無着色でもよい。支持体には、特開
平11−84574号公報の水溶性ポリエステル、同1
0−186565号公報のスチレンブタジエン共重合
体、特願平11−106881号明細書段落番号[00
63]〜[0080]の塩化ビニリデン共重合体などの
下塗り技術を適用することが好ましい。また、帯電防止
層若しくは下塗りについて特開昭56−143430号
公報、同56−143431号公報、同58−6264
6号公報、同56−120519号公報、特開平11−
84573号公報の段落番号[0040]〜[005
1]、米国特許第5,575,957号明細書、特開平
11−223898号公報の段落番号[0078]〜
[0084]に記載の技術を適用することができる。
【0180】熱現像感光材料は、モノシート型(受像材
料のような他のシートを使用せずに、熱現像感光材料上
に画像を形成できる型)であることが好ましい。
【0181】熱現像感光材料には、さらに、酸化防止
剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤
を添加してもよい。各種の添加剤は、感光性層あるいは
非感光性層のいずれかに添加する。それらについて国際
公開WO98/36322号公報、欧州特許公開EP8
03764A1号公報、特開平10−186567号公
報、同10−18568号公報等を参考にすることがで
きる。
【0182】本発明における熱現像感光材料はいかなる
方法で塗布されてもよい。具体的には、エクストルージ
ョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコ
ーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、
フローコーティング、または米国特許第2,681,2
94号明細書に記載の種類のホッパーを用いる押出コー
ティングを含む種々のコーティング操作が用いられ、St
ephen F. Kistler、Peter M. Schweizer著"LIQUID FILM
COATING"(CHAPMAN & HALL社刊、1997年)399
頁〜536頁記載のエクストルージョンコーティング、
またはスライドコーティングが好ましく用いられ、特に
好ましくはスライドコーティングが用いられる。スライ
ドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の
例は同書427頁のFigure11b.1にある。また、所
望により同書399頁〜536頁記載の方法、米国特許
第2,761,791号明細書および英国特許第83
7,095号明細書に記載の方法により2層またはそれ
以上の層を同時に被覆することができる。
【0183】本発明における有機銀塩含有層塗布液は、
いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。チ
キソトロピー性とは剪断速度の増加に伴い、粘度が低下
する性質を言う。粘度測定にはいかなる装置を使用して
もよいが、レオメトリックスファーイースト株式会社製
RFSフルードスペクトロメーターが好ましく用いら
れ、25℃で測定される。ここで、本発明における有機
銀塩含有層塗布液は剪断速度0.1S-1における粘度は
400mPa・s〜100,000mPa・sが好まし
く、さらに好ましくは500mPa・s〜20,000
mPa・sである。また、剪断速度1000S-1におい
ては1mPa・s〜200mPa・sが好ましく、さら
に好ましくは5mPa・s〜80mPa・sである。
【0184】チキソトロピー性を発現する系は各種知ら
れており高分子刊行会編「講座・レオロジー」、室井、
森野共著「高分子ラテックス」(高分子刊行会発行)な
どに記載されている。流体がチキソトロピー性を発現さ
せるには固体微粒子を多く含有することが必要である。
また、チキソトロピー性を強くするには増粘線形高分子
を含有させること、含有する固体微粒子の異方形でアス
ペクト比を大きくすること、アルカリ増粘、界面活性剤
の使用などが有効である。
【0185】本発明の熱現像感光材料に用いることので
きる技術としては、欧州特許公開EP803764A1
号公報、欧州特許公開EP883022A1号公報、国
際公開WO98/36322号公報、特開昭56−62
648号公報、同58−62644号公報、特開平9−
281637、同9−297367号公報、同9−30
4869号公報、同9−311405号公報、同9−3
29865号公報、同10−10669号公報、同10
−62899号公報、同10−69023号公報、同1
0−186568号公報、同10−90823号公報、
同10−171063号公報、同10−186565号
公報、同10−186567号公報、同10−1865
69号公報〜同10−186572号公報、同10−1
97974号公報、同10−197982号公報、同1
0−197983号公報、同10−197985号公報
〜同10−197987号公報、同10−207001
号公報、同10−207004号公報、同10−221
807号公報、同10−282601号公報、同10−
288823号公報、同10−288824号公報、同
10−307365号公報、同10−312038号公
報、同10−339934号公報、同11−7100号
公報、同11−15105号公報、同11−24200
号公報、同11−24201号公報、同11−3083
2号公報、同11−84574号公報、同11−650
21号公報、同11−109547号公報、同11−1
25880号公報、同11−129629号公報、同1
1−133536号公報〜同11−133539号公
報、同11−133542号公報、同11−13354
3号公報、同11−223898号公報、同11−35
2627号公報も挙げられる。
【0186】本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で
現像してもよいが、通常イメージワイズに露光した熱現
像感光材料を昇温して現像する。好ましい現像温度とし
ては80〜250℃であり、さらに好ましくは100〜
140℃である。現像時間としては、2〜30秒が好ま
しく、5〜19秒がより好ましく、5〜16秒が特に好
ましい。
【0187】熱現像の方式としてはプレートヒーター方
式が好ましい。プレートヒーター方式による熱現像方式
とは特開平11−133572号公報に記載の方法が好
ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて
加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装
置であって、前記加熱手段がプレートヒータからなり、
かつ前記プレートヒータの一方の面に沿って複数個の押
えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレー
トヒータとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現
像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレート
ヒータを2〜6段に分けて先端部については1〜10℃
程度温度を下げることが好ましい。このような方法は特
開昭54−30032号公報にも記載されており、熱現
像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外
させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱
されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を押
さえることもできる。
【0188】本発明の熱現像画像記録材料はいかなる方
法で露光されてもよいが、露光光源としてレーザー光が
好ましい。本発明によるレーザー光としては、ガスレー
ザー(Ar+、He−Ne)、YAGレーザー、色素レ
ーザー、半導体レーザーなどが好ましい。また、半導体
レーザーと第2高調波発生素子などを用いることもでき
る。好ましくは赤〜赤外発光のガス若しくは半導体レー
ザーである。
【0189】露光部及び熱現像部を備えた医療用のレー
ザーイメージャーとしては富士メディカルドライレーザ
ーイメージャーFM−DP Lを挙げることができる。
FM−DP Lに関しては、Fuji Medical Review No.
8,page39〜55に記載されており、それらの技術は
本発明の熱現像感光材料のレーザーイメージャーとして
適用することは言うまでもない。また、DICOM規格
に適応したネットワークシステムとして富士メディカル
システムが提案した「AD network」の中での
レーザーイメージャー用の熱現像感光材料としても適用
することができる。
【0190】本発明の熱現像感光材料は、銀画像による
黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、工業
写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、COM
用の熱現像感光材料として使用されることが好ましい。
【0191】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに
具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、
割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱し
ない限り適宜変更することができる。したがって、本発
明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈される
べきものではない。
【0192】以下に、本発明の実施例で用いた化合物の
化学構造を示す。
【0193】
【化34】
【0194】
【化35】
【0195】
【化36】
【0196】
【化37】
【0197】
【化38】
【0198】<実施例1> 《下塗り支持体の作製》 (PET支持体の作製)テレフタル酸とエチレングリコ
ールを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェ
ノール/テトラクロルエタン=6/4(重量比)中25
℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後1
30℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから
押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が175μmになる
ような厚みの未延伸フィルムを作製した。これを、周速
の異なるロールを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ
ーで4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれ
ぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃
で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和
した。この後テンターのチャック部をスリットした後、
両端にナール加工を行い、4kg/cm2で巻き取り、
厚み175μmのロールを得た。
【0199】(表面コロナ処理)ピラー社製ソリッドス
テートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両
面を室温下において20m/分で処理した。この時の電
流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV
・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。
この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロー
ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0200】 (下塗り支持体の作製) (1)下塗層塗布液の作製 処方1(画像形成層側下塗り層用) 高松油脂(株)製ペスレジンA−515GB(30質量%溶液) 234g ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル (平均エチレンオキシド数=8.5、10質量%溶液) 21.5g ポリマー微粒子(綜研化学(株)製、MP−1000、 平均粒径0.4μm) 0.91g 蒸留水 744ml
【0201】 処方2(バック面第1層用) スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス 158g (固形分40質量%、スチレン/ブタジエン重量比=68/32) 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩 (8質量%水溶液) 20g ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム(1質量%水溶液) 10ml 蒸留水 854ml
【0202】 処方3(バック面側第2層用) SnO2/SbO (9/1質量比、平均粒径0.038μm、17質量%分散物) 84g ゼラチン(10質量%水溶液) 89.2g 信越化学(株)製、メトローズTC−5(2質量%水溶液) 8.6g 綜研化学(株)製、MP−1000 0.01g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(1質量%水溶液) 10ml NaOH(1質量%) 6ml プロキセル(ICI社製) 1ml 蒸留水 805ml
【0203】(下塗り支持体の作製)上記厚さ175μ
mの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面
それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(画
像形成層面)に上記下塗り塗布液処方1をワイヤーバー
でウエット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)に
なるように塗布して180℃で5分間乾燥し、ついでこ
の裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方2をワイヤ
ーバーでウエット塗布量が5.7ml/m2になるよう
に塗布して180℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック
面)に上記下塗り塗布液処方3をワイヤーバーでウエッ
ト塗布量が7.7ml/m2になるように塗布して18
0℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
【0204】《バック面塗布液の調製》 (塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)
塩基プレカーサー化合物11を64g、ジフェニルスル
ホンを28gおよび花王(株)製界面活性剤デモールN
10gを蒸留水220mlと混合し、混合液をサンドミ
ル(アイメックス(株)製、1/4 Gallonサン
ドグラインダーミル)を用いてビーズ分散し、平均粒子
径0.2μmの塩基プレカーサー化合物の固体微粒子分
散液(a)を得た。
【0205】(染料固体微粒子分散液の調製)シアニン
染料化合物13を9.6gおよびp−ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム5.8gを蒸留水305mlと混
合し、混合液をサンドミル(アイメックス(株)製、1
/4 Gallonサンドグラインダーミル)を用いて
ビーズ分散して平均粒子径0.2μmの染料固体微粒子
分散液を得た。
【0206】(ハレーション防止層塗布液の調製)ゼラ
チン17g、ポリアクリルアミド9.6g、上記塩基プ
レカーサーの固体微粒子分散液(a)70g、上記染料
固体微粒子分散液56g、単分散ポリメチルメタクリレ
ート微粒子(平均粒子サイズ8.0μm、粒径標準偏差
0.4)1.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.03
g、ポリエチレンスルホン酸ナトリウム2.2g、青色
染料化合物14を0.2g、黄色染料化合物15を3.
9g、水を844ml混合し、ハレーション防止層塗布
液を調製した。
【0207】(バック面保護層塗布液の調製)容器を4
0℃に保温し、ゼラチン50g、ポリスチレンスルホン
酸ナトリウム0.2g、N,N−エチレンビス(ビニル
スルホンアセトアミド)2.4g、tert−オクチル
フェノキシエトキシエタンスルホン酸ナトリウム1g、
ベンゾイソチアゾリノン30mg、フッ素系界面活性剤
(F−1:N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−
プロピルアラニンカリウム塩)37mg、フッ素系界面
活性剤(F−2:ポリエチレングリコールモノ(N−パ
ーフルオロオクチルスルホニル−N−プロピル−2−ア
ミノエチル)エーテル[エチレンオキサイド平均重合度
15])0.15g、フッ素系界面活性剤(F−3)6
4mg、フッ素系界面活性剤(F−4)32mg、アク
リル酸/エチルアクリレート共重合体(共重合重量比5
/95)8.8g、エアロゾールOT(アメリカンサイ
アナミド社製)0.6g、流動パラフィン乳化物を流動
パラフィンとして1.8g、水を950ml混合してバ
ック面保護層塗布液とした。
【0208】《ハロゲン化銀乳剤1の調製》蒸留水14
21mlに1質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加
え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、
フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス
製反応壺中で攪拌しながら、34℃に液温を保ち、硝酸
銀22.22gに蒸留水を加え95.4mlに希釈した
溶液Aと臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量9
7.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけ
て全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水
溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの1
0質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸
銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈
した溶液Cと臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量
400mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で2
0分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維
持しながらコントロールドダブルジェット法で添加し
た。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イ
リジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを
添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶
液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム
水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。
0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調
整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなっ
た。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH
5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を
作製した。
【0209】上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら3
8℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソ
チアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、
40分後に分光増感色素Aのメタノール溶液を銀1モル
当たり1×10-3モル加え、1分後に47℃に昇温し
た。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウ
ムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5
モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール
溶液で銀1モル当たり1.9×10-4モル加えて91分
間熟成した。N,N'−ジヒドロキシ−N"−ジエチルメ
ラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加
え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベン
ゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり3.
7×10-3モル及び1−フェニル−2−ヘプチル−5−
メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶
液で銀1モルに対して4.9×10-3モル添加して、ハ
ロゲン化銀乳剤1を作製した。調製できたハロゲン化銀
乳剤中の粒子は、平均球相当径0.046μm、球相当
径の変動係数20%の純臭化銀粒子であった。粒子サイ
ズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から
求めた。この粒子の{100}面比率は、クベルカムン
ク法を用いて80%と求められた。
【0210】《ハロゲン化銀乳剤2の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温34℃を4
9℃に変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シ
アノ鉄(II)カリウムを除去した以外は同様にして、ハ
ロゲン化銀乳剤2の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤1
と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。更に分光増
感色素Aの添加量を銀1モル当たり7.5×10-4
ル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり1.1×
10-4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカ
プト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに対して
3.3×10-3モルに変えた以外は乳剤1と同様にして
分光増感、化学増感及び5−メチル−2−メルカプトベ
ンゾイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル−5−
メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を行い、
ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2の乳剤
粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径の変動
係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0211】《ハロゲン化銀乳剤3の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温34℃を2
7℃に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3
の調製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈
殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aを固体
分散物(ゼラチン水溶液)で添加量を銀1モル当たり6
×10-3モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当た
り5.2×10-4モルに変えた以外は乳剤1と同様にし
て、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳剤3の
乳剤粒子は、平均球相当径0.038μm、球相当径の
変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0212】《塗布液用混合乳剤Aの調製》ハロゲン化
銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量
%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチ
アゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当
たり7×10-3モル添加した。
【0213】《脂肪酸銀分散物の調製》ベヘン酸(ヘン
ケル社製、製品名Edenor C22−85R)8
7.6kg、蒸留水423L、5mol/L濃度のNa
OH水溶液49.2L、tert−ブタノール120L
を混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸
ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4kgの水
溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて
保温した。635Lの蒸留水と30Lのtert−ブタ
ノールを入れた反応容器を30℃に保温し、撹拌しなが
ら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の
全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて
添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間
は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベ
ヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液の添
加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみ
が添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度
は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロ
ールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配
管は、スチームトレースにより保温し、添加ノズル先端
の出口の液温度が75℃になるようにスチーム開度を調
製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管
の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン
酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置
は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に
接触しないような高さに調製した。
【0214】ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そ
のままの温度で20分間撹拌放置し、25℃に降温し
た。その後、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過
水の伝導度が45μS/cmになるまで水洗した。こう
して脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させな
いでウエットケーキとして保管した。得られたベヘン酸
銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、
平均値でa=0.14μm、b=0.4μm、c=0.
6μm、平均アスペクト比5.2、平均球相当径0.5
2μm、球相当径の変動係数15%のりん片状の結晶で
あった。(a,b,cは本文の規定) 乾燥固形分100g相当のウエットケーキに対し、ポリ
ビニルアルコール(商品名:PVA−217)7.4g
および水を添加し、全体量を385gとしてからホモミ
キサーにて予備分散した。次に予備分散済みの原液を分
散機(マイクロフルイデックス・インターナショナル・
コーポレーション製、商品名:マイクロフルイダイザー
M−110S−EH、G10Zインタラクションチャン
バー使用)の圧力を1750kg/cm2に調節して、
3回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管
式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々
装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度
に設定した。
【0215】《還元剤の25質量%分散物の調製》表2
の一般式(I)の化合物10kgと変性ポリビニルアル
コール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20
質量%水溶液10kgに、水16kgを添加して、良く
混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラム
ポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビー
ズを充填した横型サンドミル(アイメックス(株)製、
UVM−2)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイ
ソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元
剤の濃度が25質量%になるように調製し、還元剤分散
物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤
粒子はメジアン径0.42μm、最大粒子径2.0μm
以下であった。得られた還元剤分散物は孔径10.0μ
mのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ
等の異物を除去して収納した。
【0216】《水素結合性化合物の20%分散物の調
製》表2に記載される水素結合性化合物10kgと変性
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP
203)の20質量%水溶液10kgに、水16kgを
添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリー
をダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmの
ジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−
2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散した
のち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと
水を加えて水素結合性化合物の濃度が20質量%になる
ように調製し、分散物を得た。こうして得た分散物に含
まれる添加剤粒子はメジアン径0.42μm、最大粒子
径1.6μm以下であった。得られた分散物は孔径1
0.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0217】《メルカプト化合物の10質量%分散物の
調製》1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−
1,3,4−トリアゾールを5kgと変性ポリビニルア
ルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20
質量%水溶液5kgに、水8.3kgを添加して、良く
混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラム
ポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビー
ズを充填した横型サンドミル(アイメックス(株)製、
UVM−2)にて6時間分散したのち、水を加えてメル
カプト化合物の濃度が10質量%になるように調製し、
メルカプト分散物を得た。こうして得たメルカプト化合
物分散物に含まれるメルカプト化合物粒子はメジアン径
0.40μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得
られたメルカプト化合物分散物は孔径10.0μmのポ
リプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異
物を除去して収納した。また、使用直前に再度孔径10
μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過した。
【0218】《有機ポリハロゲン化合物−1の20質量
%分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物−1(トリブ
ロモメチルナフチルスルホン)5kgと変性ポリビニル
アルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の
20質量%水溶液2.5kgと、トリイソプロピルナフ
タレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液213
gと、水10kgを添加して、良く混合してスラリーと
した。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平
均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サ
ンドミル(アイメックス(株)製、UVM−2)にて5
時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム
塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度
が20質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化
合物分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分
散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン
径0.36μm、最大粒子径2.0μm以下であった。
得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μ
mのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ
等の異物を除去して収納した。
【0219】《有機ポリハロゲン化合物−2の25質量
%分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物の20質量%
分散物−1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチル
スルホン5kgの代わりに有機ポリハロゲン化合物−2
(トリブロモメチル(4−(2,4,6−トリメチルフ
ェニルスルホニル)フェニル)スルホン)5kgを用
い、分散し、この有機ポリハロゲン化合物が25質量%
となるように希釈し、ろ過を行った。こうして得た有機
ポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン
化合物粒子はメジアン径0.38μm、最大粒子径2.
0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物
分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルター
にてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0220】《有機ポリハロゲン化合物−3の26質量
%分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物の20質量%
分散物−1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチル
スルホン5kgの代わりに有機ポリハロゲン化合物−3
(トリブロモメチルフェニルスルホン)5kgを用い、
20質量%MP203水溶液を5kgとし、分散し、こ
の有機ポリハロゲン化合物が26質量%となるように希
釈し、ろ過を行った。こうして得た有機ポリハロゲン化
合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメ
ジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であ
った。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径
3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。また、収納後、
使用までは10℃以下で保管した。
【0221】《フタラジン化合物−1の5質量%溶液の
調製》8kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコー
ルMP203を水174.57kgに溶解し、次いでト
リイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20
質量%水溶液3.15kgとフタラジン化合物−1(6
−イソプロピルフタラジン)の70質量%水溶液14.
28Kgを添加し、フタラジン化合物−1(6−イソプ
ロピルフタラジン)の5質量%液を調製した。
【0222】《顔料の20質量%分散物の調製》C.I.Pi
gment Blue 60を64gと花王(株)製デモールNを
6.4gに水250gを添加し良く混合してスラリーと
した。平均直径0.5mmのジルコニアビーズ800g
を用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機
(アイメックス(株)製、1/4Gサンドグラインダー
ミル)にて25時間分散し顔料分散物を得た。こうして
得た顔料分散物に含まれる顔料粒子は平均粒径0.21
μmであった。
【0223】《SBRラテックス40質量%の調製》下
記のSBRラテックスを蒸留水で10倍に希釈したもの
を限外濾過(UF)精製用モジュール(ダイセン・メン
ブレン・システム(株)製、FS03−FC−FUY0
3A1)を用いてイオン伝導度が1.5mS/cmにな
るまで希釈精製し、三洋化成(株)製サンデット−BL
を0.22質量%になるよう添加した。更にNaOHと
NH4OHを用いてNa+イオン:NH4 +イオン=1:
2.3(モル比)になるように添加し、pH8.4に調
整した。この時のラテックス濃度は40質量%であっ
た。 (SBRラテックス:-St(71)-Bu(26)-AA(3)-のラテッ
クス)平均粒径0.1μm、濃度45質量%、25℃、
相対湿度60%における平衡含水率0.6質量%、イオ
ン伝導度4.2mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜
電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し、ラテッ
クス原液(40質量%)を25℃にて測定)、pH8.
2。
【0224】《画像形成層塗布液の調製》上記で得た顔
料の20質量%分散物を1.1g、脂肪酸銀分散物10
3g、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA
−205)の20質量%水溶液5g、還元剤の25質量
%分散物25.0g、水素結合性化合物の20%分散物
を表2に記載される量、有機ポリハロゲン化合物分散物
−1,−2,−3を5:1:3(重量比)で総量14.
0g、メルカプト化合物の10質量%分散物5.8g、
限外濾過(UF)精製してpH調整したSBRラテック
ス(Tg:24℃)40質量%を106g、フタラジン
化合物−1の5質量%溶液18ml、表2に記載される
種類の一般式(D)の化合物を等モル量のアンモニア水
とともに5%メタノール/水(1/1)に溶解した溶液
を表2に記載される量で順次添加し、塗布直前にハロゲ
ン化銀混合乳剤Aを10gを良く混合した画像形成層
(乳剤層、感光性層)塗布液をそのままコーティングダ
イへ70ml/m2となるように送液し、塗布した。な
お、表2に記載されるモル%は、試料001の還元剤の
使用量に対する相対モル%で示している。上記画像形成
層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、4
0℃(No.1ローター、60rpm)で85[mPa
・s]であった。レオメトリックスファーイースト株式
会社製RFSフルードスペクトロメーターを使用した2
5℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、
100、1000[1/秒]においてそれぞれ150
0、220、70、40、20[mPa・s]であっ
た。
【0225】《画像形成面中間層塗布液の調製》ポリビ
ニルアルコール(クラレ(株)製、PVA−205)の
10質量%水溶液772g、顔料の20質量%分散物
5.3g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルア
クリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリ
ル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)
ラテックス27.5質量%液226gにエアロゾールO
T(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を
2ml、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液
を10.5ml、総量880gになるように水を加え、
pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗
布液とし、10ml/m2になるようにコーティングダ
イへ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(N
o.1ローター、60rpm)で21[mPa・s]で
あった。
【0226】《画像形成面保護層第1層塗布液の調製》
イナートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリ
レート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエ
チルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量
比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%
液80g、フタル酸の10質量%メタノール溶液を23
ml、4−メチルフタル酸の10質量%水溶液23m
l、0.5mol/L濃度の硫酸を28ml、エアロゾ
ールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水
溶液を5ml、フェノキシエタノール0.5g、ベンゾ
イソチアゾリノン0.1gを加え、総量750gになる
ように水を加えて塗布液とし、4質量%のクロムみょう
ばん26mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合し
たものを18.6ml/m2になるようにコーティング
ダイへ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(N
o.1ローター、60rpm)で17[mPa・s]で
あった。
【0227】《画像形成面保護層第2層塗布液の調製》
イナートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリ
レート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエ
チルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量
比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%
液102g、フッ素系界面活性剤(F−1:N−パーフ
ルオロオクチルスルホニル−N−プロピルアラニンカリ
ウム塩)の5質量%溶液を3.2ml、フッ素系界面活
性剤(F−2:ポリエチレングリコールモノ(N−パー
フルオロオクチルスルホニル−N−プロピル−2−アミ
ノエチル)エーテル[エチレンオキシド平均重合度=1
5])の2質量%水溶液を32ml、エアロゾールOT
(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%溶液を23
ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.
7μm)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均
粒径4.5μm)21g、4−メチルフタル酸1.6
g、フタル酸4.8g、0.5mol/L濃度の硫酸4
4ml、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量650
gとなるよう水を添加して、4質量%のクロムみょうば
んと0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液445
mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを
表面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるように
コーティングダイへ送液した。塗布液の粘度はB型粘度
計40℃(No.1ローター,60rpm)で9[mP
a・s]であった。
【0228】《熱現像感光材料001〜020の作製》
上記下塗り支持体のバック面側に、ハレーション防止層
塗布液を固体微粒子染料の固形分塗布量が0.04g/
2となるように、またバック面保護層塗布液をゼラチ
ン塗布量が1.7g/m2となるように同時重層塗布
し、乾燥し、バック層を作製した。バック面と反対の面
に下塗り面から画像形成層(ハロゲン化銀の塗布銀量
0.14g/m2)、中間層、保護層第1層、保護層第
2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布
し、熱現像感光材料の試料を作製した。塗布乾燥条件以
下のとおりである。塗布はスピード160m/minで
行い、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.1
0〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して
196〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイ
オン風にて除電した。引き続くチリングゾーンにて、乾
球温度10〜20℃の風にて塗布液を冷却した後、無接
触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球
温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾
燥させた。乾燥後、25℃で相対湿度40〜60%で調
湿した後、膜面を70〜90℃になるように加熱した。
加熱後、膜面を25℃まで冷却した。作製された熱現像
感光材料のマット度はベック平滑度で画像形成層面側が
550秒、バック面が130秒であった。また、画像形
成面側の膜面のpHを測定したところ6.0であった。
【0229】《評価》 (写真性能の評価)富士メディカルドライレーザーイメ
ージャーFM−DP L(最大60mW(IIIB)出力
の660nm半導体レーザー搭載)にて作成された熱現
像感光材料の各試料を露光・熱現像(約120℃)し、
得られた画像の評価を濃度計により行った。
【0230】これらのサンプルにレーザー露光を行い、
上記の方法で熱現像を行った後、各試料の相対感度(Δ
S)、最小濃度(Dmin)、最大濃度(Dmax)を
測定した。さらに、各試料を60℃相対湿度50%条件
下で3日間保管し、この間に増加したカブリ濃度(ΔD
min)を測定した。これらの値も表2中に記載した。
【0231】
【表2】
【0232】表2より、一般式(I)の還元剤に対して
一般式(D)の化合物を使用した場合、大きな感度上昇
が認められるが、同時にカブリ(Dmin)および画像
保存性(ΔDmin)が著しく悪化してしまうことが分
かる。しかし、更に水素結合性化合物を併用すること
で、カブリおよび画像保存性を悪化させることなく高い
感度の熱現像画像記録材料を得ることができることが分
かる。
【0233】<実施例2>以下の手順にしたがって還元
剤錯体の25質量%分散物と有機ポリハロゲン化合物−
4の25質量%分散物を調製し、これらを用いて画像形
成層塗布液を調製した。該画像形成層塗布液と、黄色染
料化合物15を除去した実施例1のアンチハレーション
防止層塗布液を用いた他は、実施例1と同様にして熱現
像感光材料の試料101〜120を作製した。
【0234】《還元剤錯体の25質量%分散物の調製》
表3に記載される還元剤錯体10kgと変性ポリビニル
アルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の
20質量%水溶液10kgに、水16kgを添加して、
良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフ
ラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニア
ビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメ
ックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベン
ゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて
還元剤の濃度が25質量%になるように調製し、還元剤
錯体分散物を得た。こうして得た還元剤錯体分散物に含
まれる還元剤錯体粒子はメジアン径0.46μm、最大
粒子径2.0μm以下であった。得られた還元剤錯体分
散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルター
にてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0235】《有機ポリハロゲン化合物−4の25質量
%分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物の20質量%
分散物−1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチル
スルホン5kgの代わりに有機ポリハロゲン化合物−4
(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンズ
アミド)5kgを用い、分散し、この有機ポリハロゲン
化合物が25質量%となるように希釈し、ろ過を行っ
た。こうして得た有機ポリハロゲン化合物分散物に含ま
れる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41
μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有
機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプ
ロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を
除去して収納した。
【0236】《画像形成層塗布液の調製》上記で得た顔
料の20質量%水分散物を1.1g、脂肪酸銀分散物1
03g、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PV
A−205)の20質量%水溶液5g、上記還元剤錯体
の25質量%分散物を表3に記載される量(例えば試料
101の場合は26.0g)、有機ポリハロゲン化合物
分散物−3,−4を1:3(重量比)で総量7.5g、
メルカプト化合物10%分散物9.5g、限外濾過(U
F)精製しpH調整したSBRラテックス(−St(7
0.5)−Bu(26.5)−AA(3)−のラテック
ス:Tg:23℃)40質量%を106g、フタラジン
化合物の5質量%溶液18ml、表3に記載される一般
式(D)の化合物を表3に記載される量で順次添加し、
塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤Aを10gを良く混合
した画像形成層塗布液をそのままコーティングダイへ7
0ml/m2となるように送液し、塗布した。なお、表
3の各化合物の使用量は試料101の還元剤錯体の使用
量に対する相対モル%で示してある。
【0237】これらの試料についても実施例1と同様な
評価を行った。その結果を表3に示した。
【0238】
【表3】
【0239】表3から還元剤を水素結合性化合物との錯
体の形で使用しても一般式(D)の化合物と併用するこ
とで、画像保存性を悪化させることなく感度を高くする
ことができることが分かる。
【0240】<実施例3>実施例2の試料117〜12
0の熱現像時間を表4に示したように変更した他は実施
例3と全く同様に処理して、相対感度(ΔS)と最大濃
度(Dmax)の測定を行った。その結果を表4に示し
た。このとき相対感度は試料117,118については
試料117の24秒処理を基準に、試料119,120
については試料119の24秒処理を基準に表4に示し
た。
【0241】
【表4】
【0242】表4より、現像時間を短縮しても本発明の
熱現像感光材料は十分な画像濃度、相対感度を得られる
ことがわかる。本発明にしたがって材料を組み合わせて
用いることにより、現像時間の短縮が可能となり処理能
力を向上させることが可能となる。
【0243】<実施例4>実施例2の試料117〜12
0に対して、それぞれ使用するSBRラテックスのTg
を表5に示すように変更(スチレンとブタジエンの比率
で調製)した他は実施例2と全く同様にして試料を11
7A〜120Dを作製し、実施例2と同様に画像保存性
の評価を行った。その結果を表5に示した。
【0244】
【表5】
【0245】表5より、Tgが20℃以上のラテックス
と組み合わせたときに高感度でかつ優れた画像保存性を
示すことが分かる。
【0246】<実施例5> (PET支持体の作成)テレフタル酸とエチレングリコ−
ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テ
トラクロルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPET
を得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、
300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、熱固定後
の膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作
成した。
【0247】これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍
に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施し
た。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。
この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方
向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリッ
トした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cm2で巻き取
り、厚み175μmのロ−ルを得た。
【0248】(表面コロナ処理)ピラー社製ソリッドス
テートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を
室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧
の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2の処
理がなされていることがわかった。この時の処理周波数
は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランス
は1.6mmであった。
【0249】 (下塗り支持体の作成) (1)下塗層塗布液の作成 処方(画像形成層側下塗り層用) 高松油脂(株)製ペスレジンA-520(30質量%溶液) 59g ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル (平均エチレンオキシド数=8.5) 10質量%溶液 5.4g 綜研化学(株)製 MP-1000(ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm) 0.91g 蒸留水 935ml
【0250】 処方(バック面第1層用) スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス 158g (固形分40質量%、スチレン/ブタジエン重量比=68/32) 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S− トリアジンナトリウム塩 8質量%水溶液 20g ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml 蒸留水 854ml
【0251】 処方(バック面側第2層用) SnO2/SbO (9/1質量比、平均粒径0.038μm、17質量%分散物) 84g ゼラチン(10質量%水溶液) 89.2g 信越化学(株)製 メトローズTC-5(2質量%水溶液) 8.6g 綜研化学(株)製 MP-1000 0.01g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml NaOH(1質量%) 6ml プロキセル(ICI社製) 1ml 蒸留水 805ml
【0252】上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ
放電処理を施した後、片面(画像形成層面)に上記下塗
り塗布液処方をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6m
l/m2(片面当たり)になるように塗布して180℃で5分
間乾燥し、ついでこの裏面(バック面)に上記下塗り塗
布液処方をワイヤーバーでウエット塗布量が5.7ml/m2
になるように塗布して180 ℃で5分間乾燥し、更に裏面
(バック面)に上記下塗り塗布液処方をワイヤーバー
でウエット塗布量が7.7ml/m2になるように塗布して180
℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
【0253】(バック面塗布液の調製) (塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)塩
基プレカーサー化合物11を64g、ジフェニルスルホン
を28gおよび花王(株)製界面活性剤デモールN 10gを蒸
留水220mlと混合し、混合液をサンドミル(1/4 Gallon
サンドグラインダーミル、アイメックス(株)製)を用
いてビーズ分散し、平均粒子径0.2μmの塩基プレカー
サー化合物の固体微粒子分散液(a)を得た。
【0254】(染料固体微粒子分散液の調製)シアニン
染料化合物13を9.6gおよびp-ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム5.8gを蒸留水305mlと混合し、混合液を
サンドミル(1/4 Gallonサンドグラインダーミル、アイ
メックス(株)製)を用いてビーズ分散して平均粒子径
0.2μmの染料固体微粒子分散液を得た。
【0255】(ハレーション防止層塗布液の調製)ゼラ
チン17g、ポリアクリルアミド9.6g、上記塩基プレカー
サーの固体微粒子分散液(a)56g、上記染料固体微粒子分
散液50g、単分散ポリメチルメタクリレート微粒子(平
均粒子サイズ8μm、粒径標準偏差0.4)1.5g、ベンゾイ
ソチアゾリノン0.03g、ポリエチレンスルホン酸ナトリ
ウム2.2g、青色染料化合物14を0.1g、黄色染料化合物
15を0.1g、水を844ml混合し、ハレーション防止層塗
布液を調製した。
【0256】(バック面保護層塗布液の調製)容器を40
℃に保温し、ゼラチン50g、ポリスチレンスルホン酸ナ
トリウム0.2g、N,N-エチレンビス(ビニルスルホンアセ
トアミド) 2.4g、t-オクチルフェノキシエトキシエタ
ンスルホン酸ナトリウム1g、ベンゾイソチアゾリノン30
mg、フッ素系界面活性剤(F−1:N-パーフルオロオク
チルスルフォニル-N-プロピルアラニンカリウム塩)37m
g、フッ素系界面活性剤(F−2:ポリエチレングリコ
ールモノ(N-パーフルオロオクチルスルホニル-N-プロ
ピル-2-アミノエチル)エーテル[エチレンオキサイド平
均重合度15])150mg、フッ素系界面活性剤(F−3) 6
4mg、フッ素系界面活性剤(F−4)32mg、アクリル酸
/エチルアクリレート共重合体(共重合重量比5/95)
8.8g、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)
0.6g、流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして1.
8g、水を950ml混合してバック面保護層塗布液とした。
【0257】(ハロゲン化銀乳剤の調製) 《ハロゲン化銀乳剤1の調製》蒸留水1421mlに1質量%
臭化カリウム溶液3.1mlを加え、さらに0.5mol/L濃度の
硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をス
テンレス製反応壺中で攪拌しながら、30℃に液温を保
ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mlに希釈した溶液
Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水
にて容量97.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間か
けて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水
溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量
%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸
留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cと臭化カリウム4
4.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量400mlに希
釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量
添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロール
ドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4
モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を
溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量
添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン
化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全
量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調
整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。
1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整
し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作成した。
【0258】上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38
℃に維持して、0.34質量%の1,2-ベンゾイソチアゾリン
-3-オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に分光増感
色素Aと増感色素Bのモル比で1:1のメタノール溶液
を銀1モル当たり増感色素AとBの合計として1.2×10-3
モル加え、1分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベ
ンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀
1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテル
ル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-4
モル加えて91分間熟成した。N,N'-ジヒドロキシ-N"-ジ
エチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加
え、さらに4分後に、5-メチル-2-メルカプトベンゾイミ
ダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3
ル及び1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-ト
リアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×1
0-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作成した。
【0259】調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、
平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%のヨウ
素を均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒
子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均か
ら求めた。この粒子の[100]面比率は、クベルカムンク
法を用いて80%と求められた。
【0260】《ハロゲン化銀乳剤2の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を47℃
に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容
量97.4mlに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウ
ム45.8gを蒸留水にて容量400mlに希釈することに変更
し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアノ鉄(II)カ
リウムを除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤
2の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/
脱塩/水洗/分散を行った。更に分光増感色素Aと分光
増感色素Bのモル比で1:1のメタノール溶液の添加量
を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として
7.5×10-4モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当た
り1.1×10-4モル、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプ
ト-1,3,4-トリアゾールを銀1モルに対して3.3×10-3
ルに変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増
感及び5-メチル-2-メルカプトベンゾイミダゾール、1-
フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-トリアゾー
ルの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン
化銀乳剤2の乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相
当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0261】《ハロゲン化銀乳剤3の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を27℃
に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3の調
製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/
脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感
色素Bのモル比で1:1を固体分散物(ゼラチン水溶液)
として添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素B
の合計として6×10-3モル、テルル増感剤Cの添加量を
銀1モル当たり5.2×10-4モルに変えた以外は乳剤1と同
様にして、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳
剤3の乳剤粒子は、平均球相当径0.034μm、球相当径の
変動係数20%のヨウ素を均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀
粒子であった。
【0262】《塗布液用混合乳剤Aの調製》ハロゲン化
銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量%、
ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチアゾリ
ウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×
10-3モル添加した。さらに塗布液用混合乳剤1kgあた
りハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように
加水した。
【0263】《脂肪酸銀分散物の調製》ヘンケル社製ベ
ヘン酸(製品名Edenor C22-85R)87.6Kg、蒸留水423L、
5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール1
20Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸
ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液20
6.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸
留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を3
0℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリ
ウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれ
ぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀
水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加され
るようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開
始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸
ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このと
き、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になる
ように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウ
ム溶液の添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環さ
せる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が
75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系
の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより
保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀
水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置と
し、また反応液に接触しないような高さに調製した。
【0264】ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そ
のままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇
温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、
遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が
30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得
た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキ
として保管した。
【0265】得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微
鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.14μm、b=
0.4μm、c=0.6μm、平均アスペクト比5.2、平均球相当
径0.52μm、球相当径の変動係数15%のりん片状の結晶
であった。(a,b,cは本文の規定)
【0266】乾燥固形分260Kg相当のウエットケーキに
対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA-217)19.3K
gおよび水を添加し、全体量を1000Kgとしてからディゾ
ルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー
(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
【0267】次に予備分散済みの原液を分散機(商品
名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフル
イデックス・インターナショナル・コーポレーション
製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を12
60kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物
を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクション
チャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節する
ことで18℃の分散温度に設定した。
【0268】(還元剤分散物の調製)
【0269】《還元剤錯体−1分散物の調製》還元剤錯
体―1(6,6'-di-t-ブチル-4,4'-ジメチル-2,2'-ブチリ
デンジフェノール)とトリフェニルホスフィンオキシド
の1:1錯体)10Kg、トリフェニルホスフィンオキシド
0.12Kgおよび変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)
製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16Kgに、水10Kg
を添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリ
ーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジ
ルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:ア
イメックス(株)製)にて4時間30分分散したのち、ベ
ンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還
元剤の濃度が22質量%になるように調製し、還元剤錯体
―1分散物を得た。こうして得た還元剤錯体分散物に含
まれる還元剤錯体粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子
径1.4μm以下であった。得られた還元剤錯体分散物は孔
径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0270】《還元剤−2分散物の調製》還元剤―2
(6,6'-di-t-ブチル-4,4'-ジメチル-2,2'-ブチリデンジ
フェノール)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ
(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16Kgに、水1
0Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このス
ラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mm
のジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−
2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したの
ち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加
えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製し、還元
剤―2分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含ま
れる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.5μ
m以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmの
ポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の
異物を除去して収納した。
【0271】《水素結合性化合物−1分散物の調製》水
素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)
ホスフィンオキシド)10Kgと変性ポリビニルアルコール
(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16K
gに、水10Kgを添加して、良く混合してスラリーとし
た。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均
直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミ
ル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散
したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと
水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製
し、水素結合性化合物−1分散物を得た。こうして得た
水素結合性化合物−1分散物に含まれる水素結合性化合
物−1粒子はメジアン径0.35μm、最大粒子径1.5μm以
下であった。得られた水素結合性化合物−1分散物は孔
径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0272】《現像促進剤−1分散物の調製》現像促進
剤−1を10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)
製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20Kgに、水10Kg
を添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリ
ーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジ
ルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:ア
イメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベ
ンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還
元剤の濃度が20質量%になるように調製し、現像促進剤
−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤−1分散物
に含まれる現像促進剤−1粒子はメジアン径0.48μm、
最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤−
1分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターに
てろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0273】現像促進剤−2および色調調整剤−1の固
体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により
分散し、20質量%の分散液を得た。
【0274】(ポリハロゲン化合物の調製) 《有機ポリハロゲン化合物−3分散物の調製》有機ポリ
ハロゲン化合物−3(トリブロモメタンスルホニルベン
ゼン)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製
ポバールMP203)の20質量%水溶液10Kgと、トリイソプ
ロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶
液0.4Kgと、水14Kgを添加して、良く混合してスラリー
とした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、
平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サン
ドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散
したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと
水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が26質量%に
なるように調製し、有機ポリハロゲン化合物−3分散物
を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含ま
れる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μ
m、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリ
ハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン
製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して
収納した。
【0275】《有機ポリハロゲン化合物−4分散物の調
製》有機ポリハロゲン化合物−4(N−ブチル−3−ト
リブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10Kgと変性ポ
リビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の1
0質量%水溶液20Kgと、トリイソプロピルナフタレンス
ルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4Kgを添加し
て、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイ
アフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニア
ビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメック
ス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾ
リノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン
化合物の濃度が30質量%になるように調製した。この
分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合
物−4分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物
分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジア
ン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られ
た有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプ
ロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を
除去して収納した。
【0276】《フタラジン化合物−1溶液の調製》8Kg
のクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP203を水1
74.57Kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15Kgとフタラ
ジン化合物―1(6-イソプロピルフタラジン)の70質量
%水溶液14.28Kgを添加し、フタラジン化合物―1の5質
量%溶液を調製した。
【0277】(メルカプト化合物の調製) 《メルカプト化合物−1水溶液の調製》メルカプト化合
物―1(1−(3−スルホフェニル)−5−メルカプト
テトラゾールナトリウム塩)7gを水993gに溶解し、0.
7質量%の水溶液とした。
【0278】《メルカプト化合物−2水溶液の調製》メ
ルカプト化合物―2(1−(3−メチルウレイド)−5
−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)20gを水980
gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
【0279】《顔料−1分散物の調製》C.I.Pigment Bl
ue 60を64gと花王(株)製デモールNを6.4gに水250gを添
加し良く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジ
ルコニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッ
セルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:
アイメックス(株)製)にて25時間分散し、顔料−1分
散物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒
子は平均粒径0.21μmであった。
【0280】《SBRラテックス液の調製》Tg=22℃
のSBRラテックスは以下により調整した。重合開始剤
として過硫酸アンモニウム、乳化剤としてアニオン界面
活性剤を使用し、スチレン70.0質量、ブタジエン2
7.0質量およびアクリル酸3.0質量を乳化重合させ
た後、80℃で8時間エージングを行った。その後40
℃まで冷却し、アンモニア水によりpH7.0とし、さら
に三洋化成(株)製サンデットBLを0.22%になるよう
に添加した。次に5%水酸化ナトリウム水溶液を添加し
pH8.3とし、さらにアンモニア水によりpH8.4になる
ように調整した。このとき使用したNa+イオンとNH4 +
オンのモル比は1:2.3であった。さらに、この液1
Kg対してベンゾイソチアゾリンノンナトリウム塩7%
水溶液を0.15ml添加しSBRラテックス液を調製した。
【0281】(SBRラテックス:-St(70.0)-Bu(27.0)-AA
(3.0)-のラテックス) Tg22℃ 平均粒径0.1μm、濃度43質量%、25℃60%RHにおける平衡
含水率0.6質量%、イオン伝導度4.2mS/cm(イオン伝導度
の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM-30S使用し、ラ
テックス原液(43質量%)を25℃にて測定)、pH8.4。Tg
の異なるSBRラテックスはスチレン、ブタジエンの比
率を適宜変更し、同様の方法により調整できる。
【0282】《乳剤層(画像形成層)塗布液−1の調
製》上記で得た脂肪酸銀分散物1000g、水276ml、顔料−
1分散物33.2g、有機ポリハロゲン化合物−3分散物21
g、有機ポリハロゲン化合物−4分散物58g、フタラジン
化合物―1溶液173g、SBRラテックス(Tg:22℃)液1082
g、還元剤錯体−1分散物299g、現像促進剤−1分散物
6g、メルカプト化合物−1水溶液9ml、メルカプト化合
物−2水溶液27mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化
銀混合乳剤A117gを添加して良く混合した乳剤層塗布液
をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
【0283】上記乳剤層塗布液の粘度は東京計器のB型
粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で2
5[mPa・s]であった。レオメトリックスファーイースト
株式会社製RFSフルードスペクトロメーターを使用し
た25℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、10
0、1000[1/秒]においてそれぞれ230、60、46、24、18[m
Pa・s]であった。
【0284】塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり
0.38mgであった。
【0285】《乳剤層(画像形成層)塗布液−2の調
製》上記で得た脂肪酸銀分散物1000g、水276ml、顔料−
1分散物32.8g、有機ポリハロゲン化合物−3分散物21
g、有機ポリハロゲン化合物−4分散物58g、フタラジン
化合物―1溶液173g、SBRラテックス(Tg:20℃)液1082
g、還元剤−2分散物155g、水素結合性化合物−1分散
物55g、現像促進剤−1分散物6g、現像促進剤−2分散
物2g、現像促進剤−3分散物3g、色調調整剤−1分散物
2g、メルカプト化合物−2水溶液6mlを順次添加し、塗
布直前にハロゲン化銀混合乳剤A117gを添加して良く混
合した乳剤層塗布液をそのままコーティングダイへ送液
し、塗布した。上記乳剤層塗布液の粘度は東京計器のB
型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で
40[mPa・s]であった。レオメトリックスファーイース
ト株式会社製RFSフルードスペクトロメーターを使用
した25℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、10
0、1000[1/秒]においてそれぞれ530、144、96、51、28
[mPa・s]であった。
【0286】塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり
0.25mgであった。
【0287】《乳剤面中間層塗布液の調製》ポリビニル
アルコールPVA-205(クラレ(株)製)1000g、顔料の5質量
%分散物272g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチル
アクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリ
ル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス19
質量%液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナ
ミド社製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二アンモニ
ウム塩の20質量%水溶液を135ml、総量10000gになるよ
うに水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中
間層塗布液とし、9.1ml/m2になるようにコーティングダ
イへ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ロ
ーター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
【0288】《乳剤面保護層第1層塗布液の調製》イナ
ートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレート
/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタ
クリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20
/5/2)ラテックス27.5質量%液80g、フタル酸の10質量
%メタノール溶液を23ml、4-メチルフタル酸の10質量%
水溶液23ml、0.5mol/L濃度の硫酸を28ml、エアロゾール
OT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を5m
l、フェノキシエタノール0.5g、ベンゾイソチアゾリノ
ン0.1gを加え、総量750gになるように水を加えて塗布液
とし、4質量%のクロムみょうばん26mlを塗布直前にス
タチックミキサーで混合したものを18.6ml/m2になるよ
うにコーティングダイへ送液した。塗布液の粘度はB型
粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]で
あった。
【0289】《乳剤面保護層第2層塗布液の調製》イナ
ートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレート
/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタ
クリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20
/5/2)ラテックス27.5質量%液102g、フッ素系界面活性
剤(F−1:N-パーフルオロオクチルスルフォニル-N-
プロピルアラニンカリウム塩)の5質量%溶液を3.2ml、
フッ素系界面活性剤(F−2:ポリエチレングリコール
モノ(N-パーフルオロオクチルスルホニル-N-プロピル-2
-アミノエチル)エーテル[エチレンオキシド平均重合度=
15])の2質量%水溶液を32ml、エアロゾールOT(アメリ
カンサイアナミド社製)の5質量%溶液を23ml、ポリメチ
ルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)4g、ポリメ
チルメタクリレート微粒子(平均粒径4.5μm)21g、4-
メチルフタル酸1.6g、フタル酸4.8g、0.5mol/L濃度の硫
酸44ml、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量650gとなる
よう水を添加して、4質量%のクロムみょうばんと0.67
質量%のフタル酸を含有する水溶液445mlを塗布直前に
スタチックミキサーで混合したものを表面保護層塗布液
とし、8.3ml/m2になるようにコーティングダイへ送液し
た。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rp
m)で19[mPa・s]であった。
【0290】《熱現像感光材料−1の作成》上記下塗り
支持体のバック面側に、ハレーション防止層塗布液を固
体微粒子染料の固形分塗布量が0.04g/m2となるように、
またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.7g/m2
となるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を作成
した。
【0291】バック面と反対の面に下塗り面から乳剤
層、中間層、保護層第1層、保護層第2層の順番でスラ
イドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材
料の試料を作成した。このとき、乳剤層と中間層は31℃
に、保護層第一層は36℃に、保護層第一層は37℃に温度
調整した。乳剤層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の
通りである。
【0292】 ベヘン酸銀 5.55 顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036 ポリハロゲン化合物−3 0.12 ポリハロゲン化合物−4 0.37 フタラジン化合物−1 0.19 SBRラテックス 9.97 還元剤錯体−1 1.41 現像促進剤−1 0.024 メルカプト化合物−1 0.002 メルカプト化合物−2 0.012 ハロゲン化銀(Agとして) 0.091
【0293】塗布乾燥条件は以下のとおりである。塗布
はスピード160m/minで行い、コーティングダイ先端と支
持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気
圧に対して196〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前に
イオン風にて除電した。引き続くチリングゾーンにて、
乾球温度10〜20℃の風にて塗布液を冷却した後、無接触
型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温
度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
乾燥後、25℃で湿度40〜60%RHで調湿した後、膜面を70
〜90℃になるように加熱した。加熱後、膜面を25℃まで
冷却した。
【0294】作製された熱現像感光材料のマット度はベ
ック平滑度で画像形成層面側が550秒、バック面が130秒
であった。また、画像形成層面側の膜面のpHを測定した
ところ6.0であった。
【0295】《熱現像感光材料−2の作成》熱現像感光
材料−1に対して、乳剤層塗布液−1を乳剤層塗布液−
2に変更し、さらにハレーション防止層から黄色染料化
合物15を除き、バック面保護層および乳剤面保護層のフ
ッ素系界面活性剤をF−1、F−2、F−3およびF−
4からそれぞれF−5、F−6、F−7およびF−8に
変更した他は熱現像感光材料−1と同様にして熱現像感
光材料−2を作製した。このときの乳剤層の各化合物の
塗布量(g/m2)は以下の通りである。
【0296】 ベヘン酸銀 5.55 顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036 ポリハロゲン化合物−3 0.12 ポリハロゲン化合物−4 0.37 フタラジン化合物−1 0.19 SBRラテックス 9.67 還元剤−2 0.81 水素結合性化合物−1 0.30 現像促進剤−1 0.024 現像促進剤−2 0.015 色調調整剤−1 0.010 メルカプト化合物−2 0.002 ハロゲン化銀(Agとして) 0.091
【0297】(写真性能の評価)得られた試料は半切サイ
ズに切断し、25℃50%の環境下で以下の包装材料に
包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行っ
た。 (包装材料)PET 10μm/PE 12μm/アルミ箔9μm/Ny
15μm/(カーボン3%を含むポリエチレン50μm)酸素透
過率:0ml/atm・m2・25℃・day、水分透過率:0g/atm・
m2・25℃・day。
【0298】試料は富士メディカルドライレーザーイメ
ージャーFM−DP L(最大60mW(IIIB)出力の660nm半
導体レーザー搭載)にて露光・熱現像(112℃−119℃−
121℃−121℃に設定した4枚のパネルヒータで熱現像感
光材料−1は合計24秒、熱現像感光材料−2は合計1
4秒)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。
【0299】上記感光材料−1に対して本発明の現像促
進剤を表6に示したように変更した他は感光材料―1と
全く同様にして試料201〜205を作製した。現像促
進剤の塗布量は感光材料―1の現像促進剤−1を除去す
るかまたはこれと同モル量で置き換える変更を行った。
これらの感光材料は24秒の熱現像処理を行い、感度お
よび最大濃度を評価した。また、上記感光材料―2に対
して本発明の現像促進剤を表6に示したように変更した
他は感光材料―2と全く同様にして試料206〜210
を作製した。現像促進剤の塗布量は感光材料―2の現像
促進剤−1を除去するかまたはこれと同モル量で置き換
える変更を行った。これらの感光材料は14秒の熱現像
処理を行い、感度および最大濃度を評価した。以上の結
果をまとめて表6に示した。
【0300】
【表6】
【0301】表6より、本発明の現像促進剤を使用する
ことで感度、現像濃度を大幅に向上できることが明らか
である。また、これらの感光材料は熱現像カブリが低
く、処理後経時でのカブリの上昇も少なく抑えられてお
り、保存性の優れた感光材料であった。
【0302】
【発明の効果】本発明の熱現像感光材料は、熱現像活性
が高くて、画像保存性にも優れている。また、高感度で
迅速現像可能であるという特徴を備えている。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の一方面上に少なくとも1種類の
    感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのた
    めの還元剤及びバインダーを含有する熱現像感光材料に
    おいて、下記一般式(D)で表される化合物および水素
    結合性化合物を含有し、かつ該バインダーのガラス転移
    温度が20℃以上であることを特徴とする熱現像感光材
    料。 一般式(D) Q1−NHNH−Q2 [一般式(D)において、Q1は炭素原子で−NHNH
    −Q2と結合する芳香族基またはヘテロ環基を表し、Q2
    はカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル
    基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基または
    スルファモイル基を表す。]
  2. 【請求項2】 前記還元剤が下記一般式(I)で表され
    る化合物であることを特徴とする請求項1に記載の熱現
    像感光材料。 一般式(I) 【化1】 [一般式(I)において、R1およびR1'は各々独立に
    アルキル基を表す。R2およびR2'各々独立に水素原子
    またはベンゼン環に置換可能な置換基を表す。X1およ
    びX1'はそれぞれ独立に水素原子またはベンゼン環に置
    換可能な基を表す。R1とX1、R1'とX1'、R2とX1
    およびR2'とX1'は、互いに結合して環を形成してもよ
    い。Lは−S−基または−CHR3−基を表す。R3は水
    素原子またはアルキル基を表す。]
  3. 【請求項3】 前記水素結合性化合物が下記一般式(I
    I)で表される化合物であることを特徴とする請求項1
    または2に記載の熱現像感光材料。 一般式(II) 【化2】 [一般式(II)において、R11、R12およびR13はそれ
    ぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、
    アリールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基を表し、
    これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよ
    く、R11、R12およびR13のうち任意の2つが互いに結
    合して環を形成してもよい。]
  4. 【請求項4】 前記一般式(D)で表される化合物にお
    いて、Q2がカルバモイル基であることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  5. 【請求項5】 前記一般式(I)で表される化合物にお
    いて、R1およびR1 'が各々独立に2級または3級のア
    ルキル基であり、R2およびR2'が各々独立にアルキル
    基であり、さらにR3が水素原子またはアルキル基であ
    り、X1およびX 1'はいずれも水素原子であることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱現像感光材
    料。
  6. 【請求項6】 前記一般式(I)で表される化合物にお
    いて、R1およびR1'が各々独立に3級アルキル基であ
    り、R2およびR2'が各々独立にアルキル基であり、R3
    が水素原子またはアルキル基であることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  7. 【請求項7】 前記一般式(I)で表される化合物にお
    いて、R1およびR1'が各々独立に3級アルキル基であ
    り、R2およびR2'が各々独立に炭素数2以上のアルキ
    ル基であり、R3が水素原子であることを特徴とする請
    求項6に記載の熱現像感光材料。
  8. 【請求項8】 前記一般式(I)で表される化合物にお
    いて、R1およびR1'が各々独立に3級アルキル基であ
    り、R2およびR2'が各々独立にメチル基であり、R3
    炭素数1〜12のアルキル基であることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  9. 【請求項9】 前記画像形成層が、前記バインダーを水
    性ラテックスとして含む画像形成層塗布液を塗布、乾燥
    することにより形成されたことを特徴とする請求項1〜
    8のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  10. 【請求項10】 前記バインダーの平均ガラス転移温度
    が23℃〜60℃であることを特徴とする請求項1〜9
    のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  11. 【請求項11】 現像時間が5秒〜19秒で熱現像され
    ることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の
    熱現像感光材料。
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