JP2002155327A - 摺動部材用アルミニウム合金 - Google Patents

摺動部材用アルミニウム合金

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JP2002155327A JP2000354413A JP2000354413A JP2002155327A JP 2002155327 A JP2002155327 A JP 2002155327A JP 2000354413 A JP2000354413 A JP 2000354413A JP 2000354413 A JP2000354413 A JP 2000354413A JP 2002155327 A JP2002155327 A JP 2002155327A
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昭良 菅藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐熱性や耐摩耗性に優れると共にリサイクル性
も高く、しかも軽量化も図れる摺動部材用アルミニウム
合金を提供する。 【解決手段】10重量%以上45重量%以下のSiと、
3重量%以上15重量%以下のCuと、Al及び不可避
的不純物のみを含む残部とからなる組成を有する摺動部
材用アルミニウム合金10を製造した。この合金10で
は、初晶Si12がマトリックス14から高さh(約
0.1μm〜0.2μm)だけ突出した状態で分散して
析出し、多数の凸部が形成される。このため、隣り合う
初晶Si12の間には、凹部16が形成されることとな
る。この凹部16には、潤滑油、潤滑油脂、固体潤滑剤
などを貯めておくことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、過酷な摺動条件下
で使用される軸受などの部品や部材を作製するための合
金として好適な摺動部材用アルミニウム合金に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、各種の機器や装置には軸受な
どの摺動部材(部品)が使用されることが多い。例えば
OA機器のプリンタでは、高速プリンタ用ブッシュなど
が使用されている。このように家電やOA機器などで使
用される摺動部材を作製する場合、一般に、樹脂系複合
材料が使用される。また、自動車や二輪車では、エンジ
ンや足回り部品の一つとして軸受が使用されている。軸
受などの摺動部材を作製する場合、樹脂系複合材料の
他、給油式の砲金(Gun metal)や鋼製軸受な
どが材料として使われる。
【0003】上記したOA機器などではその性能が年々
向上しており、この向上に伴って摺動部材に高負荷が作
用することがある。従って、今まで以上に耐熱性や耐摩
耗性の優れた材料が望まれている。しかし、樹脂系複合
材料は、一般に、鋼と比べて耐熱性や耐摩耗性に劣る。
【0004】また、自動車などでは、その軽量化のため
に軸受などの軽量化を図っている。しかし、砲金や鋼製
軸受などは、一般に、樹脂系複合材料に比べて重い。
【0005】ところで、省資源や環境改善のためにリサ
イクルできる部品や部材が多く使用されるようになって
いる。また、各種の機器や装置として、環境を汚染しな
いものが望まれている。このような観点から上記の材料
をみた場合、樹脂系複合材料は複合材料であるので分別
しにくく、リサイクル性が低い。一方、給油式の砲金や
鋼製軸受などから作製した摺動部材では、これらの摺動
面に外部から油が供給されるので環境汚染の点で問題が
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑み、耐熱性や耐摩耗性に優れると共にリサイクル性も
高く、しかも軽量化も図れる摺動部材用アルミニウム合
金を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の摺動部材用アルミニウム合金は、(1−1)
10重量%以上45重量%以下のSiと、(1−2)3
重量%以上15重量%以下のCuと、(1−3)Al及
び不可避的不純物のみを含む残部とからなる組成を有す
ることを特徴とするものである。
【0008】ここで、上記の摺動部材用アルミニウム合
金は、(2)0.5重量%以上5重量%以下のMgを含
有してもよい。
【0009】また、上記の摺動部材用アルミニウム合金
は、(3)0.1重量%以上2重量%以下のFeを含有
してもよい。
【0010】さらに、上記の摺動部材用アルミニウム合
金は、(4)0.5重量%以上5重量%以下のMg、及
び0.1重量%以上2重量%以下のFeを含有してもよ
い。
【0011】さらにまた、(5)上記Siは、15重量
%以上25重量%以下の範囲内のものであってもよい。
【0012】さらにまた、(6)上記Cuは、5重量%
以上10重量%以下の範囲内のものであってもよい。
【0013】さらにまた、(7)上記Mgは、1重量%
以上3重量%以下の範囲内のものであってもよい。さら
にまた、(8)上記Feは、0.5重量%以上1重量%
以下の範囲内のものであってもよい。
【0014】上記した発明を創作するに当たり、本発明
者らは、アルミニウムが優れた熱伝導性やリサイクル性
を有し、鋼に比べて比重の小さいことに着目した。しか
し、アルミニウムは軟らかくて凝着性をもつので、摺動
材料としての大きな欠点がアルミニウムには存在してい
ることとなる。
【0015】本発明者らは、この欠点を解消するための
第1の対策として、アルミニウムの結晶粒を微細化して
そのマトリックス(地)の強度を高めると共にマトリッ
クスに硬質化合物を分散して析出させて耐摩耗性を向上
させることにより耐凝着性を改善した。アルミニウムの
結晶粒を微細化するために、アルミニウムに所定量のC
uなどを添加してアルミニウム合金にした。この添加に
より、強度の高いマトリックスをもつアルミニウム合金
が得られた。
【0016】また、上記の欠点を解消するための第2の
対策として、アルミニウムに多量のSiを添加した。こ
の添加により、初晶Siがマトリックスに分散して析出
し、耐摩耗性が向上して耐凝着性を大きく改善できた。
この析出とこれによる耐摩耗性の向上を、図1を参照し
て説明する。
【0017】図1は、本発明の摺動部材用アルミニウム
合金の一例を模式的に示す断面図である。
【0018】所定範囲内の重量%のSiが添加されたア
ルミニウム合金10では、初晶Si12がマトリックス
14から高さh(約0.1μm〜0.2μm)だけ突出
した状態で分散して析出し、多数の凸部が形成されてい
る。このため、隣り合う初晶Si12の間には、凹部1
6が形成されることとなる。この凹部16には、潤滑
油、潤滑油脂、固体潤滑剤などを貯めておくことができ
る。
【0019】アルミニウム合金10で例えば軸受を作製
した場合、分散している初晶Si12(凸部)が相手材
からの荷重を受ける。また、凹部16に貯まった潤滑油
18等は、相手材が摺動する際にこの相手材と初晶Si
12との間で被膜を形成する。従って、相手材からの荷
重を初晶Si12(凸部)が受けると共に荷重を受けて
いる凸部の上面に途切れなく潤滑油18等が供給される
こととなる。この結果、アルミニウム合金10で作製し
た軸受などでは、その耐摩耗性と潤滑性が非常に向上
し、耐凝着性も大きく改善される。
【0020】なお、アルミニウムにSiを添加した合金
としては、Siを16重量%〜18重量%添加したAD
C14(JIS)が知られている。しかし、本発明で
は、さらに多量のSiを添加することが多い。
【0021】ここで、本発明の摺動部材用アルミニウム
合金が含有する成分元素について説明する。 (1)Siについて 溶融しているアルミニウム合金を冷却していくと、Al
に固溶できないSiが初晶Siとなって析出する。この
初晶Siは、小さな多角形状結晶として析出する。この
場合、溶融しているアルミニウム合金をダイカスト鋳造
法によって急冷凝固させたときは、初晶Siは微細結晶
として分散して析出する。さらに、冷却していくとSi
の一部とAlが結合してSiX AlY 系硬質化合物を形
成し、この化合物が分散して細い棒状に析出する。この
ため、上述した理由によりアルミニウム合金の耐摩耗性
と耐凝着性が向上する。また、添加されたSiの一部は
Alに固溶してマトリックスの強度や硬さが高まる。
【0022】但し、Siが10重量%未満のときは、上
記の効果が十分には発揮されない。一方、Siが45重
量%を超えたときは、アルミニウム合金の靭性が著しく
低下する。従って、10重量%以上45重量%以下のS
iとした。なお、Siが15重量%以上25重量%以下
の場合、初晶SiやSiXAl Y系硬質化合物が適量に析
出するので、耐摩耗性と耐凝着性がいっそう向上する。 (2)Cuについて CuはAlに固溶してアルミニウム合金の結晶粒を微細
化するので、そのマトリックスが強化される。また、C
uの一部はAlやSiと化合物を形成して時効硬化する
ので、アルミニウム合金のマトリックスの高温強度と硬
さを向上させる。
【0023】但し、Cuが3重量%未満のときは、アル
ミニウム合金のマトリックスが強化されにくい。一方、
Cuが15重量%を超えても、Cuの添加による効果は
変わらない。従って、3重量%以上15重量%以下のC
uとした。なお、Cuが5重量%以上10重量%以下の
場合は、アルミニウム合金の結晶粒がいっそう微細化す
る。 (3)Mgについて MgはAlに固溶して固溶体を形成することによりアル
ミニウム合金の靭性を向上させる。また、MgがSiと
共存した場合は時効硬化性を発揮するので、アルミニウ
ム合金のマトリックスが硬化し、耐摩耗性がさらに向上
する。但し、Mgが0.5重量%未満のときは、Al中
のMg2 Siの溶解度が著しく減少して時効硬化性が薄
れる。一方、Mgが5重量%を超えたときは、時効硬化
性をほとんど発揮しないので好ましくない。従って、
0.5重量%以上5重量%以下のMgとした。なお、M
gが1重量%以上3重量%以下の場合は、適切な量の固
溶体が形成されると共に、時効硬化性もいっそう良好に
発揮される。 (4)Feについて Feの一部とAlは互いに固溶体を形成して結晶粒を微
細化する。しかし、Feが多量に含有された場合はアル
ミニウム合金が脆弱化する。また、微量のFeは、アル
ミニウム合金を金型鋳造やダイカスト鋳造するときに型
離れを良好にする。但し、Feが0.1重量%未満のと
きは型離れを良好にできない。一方、Feが2重量%を
超えたときは、アルミニウム合金を脆弱化する。従っ
て、0.1重量%以上2重量%以下のFeとした。な
お、Feが0.5重量%以上1重量%以下の場合は、結
晶粒を微細化する作用と、型離れを良好にする作用とが
いっそう良好に発揮される。
【0024】
【実施例】[実施例1]25重量%のSiを含むAlS
i母合金と、50重量%のCuを含むAlCu母合金と
を準備し、Siが15重量%になりCuが10重量%
(残部Al)になるようにAlインゴットで調整し、こ
れらを電気炉にて780℃の温度で溶解した。
【0025】この溶解により得られた溶融アルミニウム
合金を周知のダイカスト鋳造法により鋳造し、板状のア
ルミニウム合金(本発明にいう摺動部材用アルミニウム
合金の一例である)を得た。このアルミニウム合金は、
15重量%のSiと、10重量%のCuと、残部Alと
からなる組成を有する。この板状のアルミニウム合金鋳
物を切削加工して、一辺が30mm、厚さが5mmの方
形板を作製し、これを試験片とした。試験条件について
は後述する。 [実施例2]25重量%のSiを含むAlSi母合金
と、50重量%のCuを含むAlCu母合金とを準備
し、Siが23重量%になりCuが6重量%(残部A
l)になるようにAlインゴットで調整し、これらを電
気炉にて780℃の温度で溶解した。
【0026】この溶解により得られた溶融アルミニウム
合金を周知のダイカスト鋳造法により鋳造し、板状のア
ルミニウム合金(本発明にいう摺動部材用アルミニウム
合金の一例である)を得た。このアルミニウム合金は、
23重量%のSiと、6重量%のCuと、残部Alとか
らなる組成を有する。この板状のアルミニウム合金鋳物
を切削加工して、一辺が30mm、厚さが5mmの方形
板を作製し、これを試験片とした。試験条件については
後述する。 [実施例3]25重量%のSiを含むAlSi母合金
と、50重量%のCuを含むAlCu母合金と、Mgイ
ンゴットとを準備し、Siが23重量%、Cuが6重量
%、及びMgが1重量%(残部Al)になるようにAl
インゴットで調整し、これらを電気炉にて780℃の温
度で溶解した。
【0027】この溶解により得られた溶融アルミニウム
合金を周知のダイカスト鋳造法により鋳造し、板状のア
ルミニウム合金(本発明にいう摺動部材用アルミニウム
合金の一例である)を得た。このアルミニウム合金は、
23重量%のSiと、6重量%のCuと、1重量%のM
gと、残部Alとからなる組成を有する。この板状のア
ルミニウム合金鋳物を切削加工して、一辺が30mm、
厚さが5mmの方形板を作製し、これを試験片とした。
試験条件については後述する。
【0028】上記のアルミニウム合金鋳物の組織を光学
顕微鏡で観察した組織写真を図2に示す。図2におい
て、多角形状に見えるものが初晶Siであり、棒状に見
えるものがAl−Siの共晶であり、これらはマトリッ
クスに分散して析出している。この結果、上述した図1
を参照して説明したように、耐摩耗性と潤滑性に優れた
摺動部材用アルミニウム合金が得られる。 [実施例4]25重量%のSiを含むAlSi母合金
と、50重量%のCuを含むAlCu母合金と、50重
量%のFeを含むAlFe母合金とを準備し、Siが2
3重量%、Cuが6重量%、及びFeが1重量%(残部
Al)になるようにAlインゴットで調整し、これらを
電気炉にて780℃の温度で溶解した。
【0029】この溶解により得られた溶融アルミニウム
合金を周知のダイカスト鋳造法により鋳造し、板状のア
ルミニウム合金(本発明にいう摺動部材用アルミニウム
合金の一例である)を得た。このアルミニウム合金は、
23重量%のSiと、6重量%のCuと、1重量%のF
eと、残部Alとからなる組成を有する。この板状のア
ルミニウム合金鋳物を切削加工して、一辺が30mm、
厚さが5mmの方形板を作製し、これを試験片とした。
試験条件については後述する。 [実施例5]25重量%のSiを含むAlSi母合金
と、50重量%のCuを含むAlCu母合金と、50重
量%のFeを含むAlFe母合金と、Mgインゴットと
を準備し、Siが23重量%、Cuが6重量%、Feが
1重量%、及びMgが1重量%(残部Al)になるよう
にAlインゴットで調整し、これらを電気炉にて780
℃の温度で溶解した。
【0030】この溶解により得られた溶融アルミニウム
合金を周知のダイカスト鋳造法により鋳造し、板状のア
ルミニウム合金(本発明にいう摺動部材用アルミニウム
合金の一例である)を得た。このアルミニウム合金は、
23重量%のSiと、6重量%のCuと、1重量%のF
eと、1重量%のMgと、残部Alとからなる組成を有
する。この板状のアルミニウム合金鋳物を切削加工し
て、一辺が30mm、厚さが5mmの方形板を作製し、
これを試験片とした。試験条件については後述する。 [比較例]比較例として、耐摩耗部品用途に使用されて
いる日本工業規格(JIS)のH5302、記号ADC
14で規定される17重量%のSi、4.5重量%のC
u、0.55重量%のMg、1.3重量%のFe、1.
5重量%のZn、0.5重量%のMn、残部Alからな
るアルミニウム合金を用いた。このアルミニウム合金か
ら一辺が30mm、厚さが5mmの方形板を作製し、こ
れを比較例の試験片とした。
【0031】上述した実施例1から5までに記載した試
験片、及び比較例に記載した試験片を用いて、下記の試
験条件で摩擦試験を行った。試験結果と各試験片の組成
や硬さを表1に示す。また、摩擦試験の方法を図3に模
式的に示す。 [試験条件]摩擦試験としては、図3に示すように、試
験片20を固定しておき、摩擦の相手材になるSUS3
04製の円筒ブッシュ22を試験片20の上から(矢印
A方向から)その表面20aに所定の荷重で押し付けな
がら、円筒ブッシュ22を矢印B方向に回転させるスラ
スト試験を行った。円筒ブッシュ22の内径は20.0
mm、外径は25.6mmである。また、この摩擦試験
を開始するに先立って、試験片20の表面20aに、1
0重量%の黒鉛を含有したリチウム系グリースを塗布し
た。
【0032】円筒ブッシュ22を矢印B方向に回転させ
る速度(摺動速度)は10m/分とした。また、所定の
荷重として、摩擦試験開始から10分間は2kgf/c
2(面圧)の荷重(初期荷重)を円筒ブッシュ22に
負荷した。摩擦試験開始から10分経過後に荷重を1k
gf/cm2 増やし、その後も、10分経過毎に1kg
f/cm2 ずつ荷重を増やす累積荷重にした。 [試験結果]実施例3の試験片と比較例の試験片を用い
た試験結果のグラフを図4に示す。図4の縦軸は摩擦係
数(μ)を示し、横軸は累積荷重(面圧)を示す。図4
に示すように、実施例3の試験片を用いた摩擦試験で
は、この試験を開始した直後の摩擦係数は約0.15で
あるが、その後は、累積荷重で26kgf/cm2 まで
摩擦係数が約0.12程度を維持していたことが分か
る。なお、累積荷重が約26kgf/cm2 を超えた時
点から摩擦係数が上昇し始めた。これに対し、比較例の
試験片を用いた摩擦試験では、この試験を開始した直後
の摩擦係数は約0.4であるが、試験が進行するに伴っ
て摩擦係数が低下し、累積荷重が約8.0kgf/cm
2 になったときの摩擦係数は約0.3であった。しか
し、累積荷重が約8.0kgf/cm2 を超えた時点か
ら摩擦係数が上昇し始めた。
【0033】他の実施例の試験片を用いた実験でも、ほ
ぼ実施例3の試験片を用いた摩擦試験結果と同じ傾向に
あり、比較例に比べ、耐摩耗性に優れていることが判明
した。また、凝着は生じなかった。
【0034】ここで、上述したように試験結果と各試験
片の組成や硬さを表1に示す。
【0035】
【表1】 表1に記載した耐荷重性とは、上記の摩擦試験において
摩擦係数が上昇し始めた時点の荷重(面圧)の値をい
い、この耐荷重性が大きいほど、耐摩耗性に優れてい
る。また、摩擦係数は試験開始後、安定域に移行したと
きの値を示した。
【0036】各実施例の耐荷重性を比較した場合、表1
に示すように、実施例1の試験片の耐荷重性が一番小さ
くて18kgf/cm2 であり、一方、実施例3の試験
片の耐荷重性が一番大きくて26kgf/cm2 であっ
た。しかし、比較例の試験片の耐荷重性は8kgf/c
2 であるので、実施例1の試験片であっても、比較例
の試験片に比べて2倍以上の耐荷重性を有する。また、
各実施例の摩擦係数は0.14から0.18の範囲内で
あるのに対し、比較例の摩擦係数は0.30であった。
この結果、実施例の試験片は、比較例に比べて耐摩耗性
に非常に優れていることが判明した。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明の(請求項1
に記載された)摺動部材用アルミニウム合金では、多量
に含有されているSiの一部がAlに固溶して固溶体を
形成することによりアルミニウム合金のマトリックスを
微細な共晶組織にするので、このマトリックスの強度や
硬さが高まる。また、SiとAlがSiXAl Y系硬質化
合物を分散して析出するので耐摩耗性と耐凝着性が向上
する。さらに、CuはAlに固溶してアルミニウム合金
を強化し時効硬化するので、このアルミニウム合金のマ
トリックスの高温強度と硬さがさらに向上する。このよ
うにAlに適宜の量のSiとCuを含有させることによ
り、高温強度と硬さが向上したマトリックスを有すると
共に耐摩耗性及び耐凝着性に優れた摺動部材用アルミニ
ウム合金が得られる。また、アルミニウム合金であるの
でリサイクル性も高く、軽量化も図れる。
【0038】ここで、上記の摺動部材用アルミニウム合
金が、0.5重量%以上5重量%以下のMgを含有した
場合は、MgがAlに固溶して固溶体を形成することに
よりアルミニウム合金の靭性を向上させる。また、Mg
がSiと共存した場合は時効硬化性を発揮するので、ア
ルミニウム合金のマトリックスが硬化し、耐摩耗性がさ
らに向上する。なお、Mgが1重量%以上3重量%以下
の場合は、適切な量の固溶体が形成されると共に、時効
硬化性もいっそう良好に発揮される。
【0039】また、上記の摺動部材用アルミニウム合金
が、0.1重量%以上2重量%以下のFeを含有した場
合は、Feの一部とAlは互いに固溶体を形成して結晶
粒を微細化する。また、微量のFeは、アルミニウム合
金を金型鋳造やダイカスト鋳造するときに型離れを良好
にする。なお、Feが0.5重量%以上1重量%以下の
場合は、結晶粒を微細化する作用と、型離れを良好にす
る作用とがいっそう良好に発揮される。
【0040】さらに、上記Siは、15重量%以上25
重量%以下の範囲内のものである場合は、Siの成分範
囲をいっそう厳密に限定したので、耐摩耗性及び耐凝着
性に優れた摺動部材用アルミニウム合金がいっそう確実
に得られる。
【0041】さらにまた、上記Cuは、5重量%以上1
0重量%以下の範囲内のものである場合は、Cuの成分
範囲をいっそう厳密に限定したので、高温強度にいっそ
う優れた摺動部材用アルミニウム合金がいっそう確実に
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摺動部材用アルミニウム合金の一例を
模式的に示す断面図である。
【図2】本発明のアルミニウム合金の一例の組織を光学
顕微鏡で観察した組織写真である。
【図3】摩擦試験の方法を模式的に示す斜視図である。
【図4】実施例3の試験片と比較例の試験片を用いた試
験結果を比較して示すグラフである。
【符号の説明】
10 アルミニウム合金 12 初晶Si 14 マトリックス

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 10重量%以上45重量%以下のSi
    と、 3重量%以上15重量%以下のCuと、 Al及び不可避的不純物のみを含む残部とからなる組成
    を有することを特徴とする摺動部材用アルミニウム合
    金。
  2. 【請求項2】 0.5重量%以上5重量%以下のMgを
    含有することを特徴とする請求項1に記載の摺動部材用
    アルミニウム合金。
  3. 【請求項3】 0.1重量%以上2重量%以下のFeを
    含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の摺動
    部材用アルミニウム合金。
  4. 【請求項4】 前記Siは、15重量%以上25重量%
    以下の範囲内のものであることを特徴とする請求項1,
    2,又は3に記載の摺動部材用アルミニウム合金。
  5. 【請求項5】 前記Cuは、5重量%以上10重量%以
    下の範囲内のものであることを特徴とする請求項1から
    4までのうちのいずれか一項に記載の摺動部材用アルミ
    ニウム合金。
  6. 【請求項6】 前記Mgは、1重量%以上3重量%以下
    の範囲内のものであることを特徴とする請求項2から5
    までのうちのいずれか一項に記載の摺動部材用アルミニ
    ウム合金。
  7. 【請求項7】 前記Feは、0.5重量%以上1重量%
    以下の範囲内のものであることを特徴とする請求項3か
    ら6までのうちのいずれか一項に記載の摺動部材用アル
    ミニウム合金。
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