JP2002155087A - 新規ベンゾキノン系抗生物質 - Google Patents

新規ベンゾキノン系抗生物質

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JP2002155087A
JP2002155087A JP2000353913A JP2000353913A JP2002155087A JP 2002155087 A JP2002155087 A JP 2002155087A JP 2000353913 A JP2000353913 A JP 2000353913A JP 2000353913 A JP2000353913 A JP 2000353913A JP 2002155087 A JP2002155087 A JP 2002155087A
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Japan
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antibiotic
benzoquinone
producing
acridinomycin
culture
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JP2000353913A
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Akihiro Yoshimoto
明弘 吉本
Osamu Shiromichi
修 城道
Hideo Nomura
秀雄 野村
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Mercian Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】制がん剤として有用な新規ベンゾキノン系抗生
物質、それらの製造方法および生産する微生物の提供。 【解決手段】 ベンゾキノン系抗生物質アクリジノマイ
シンA、およびアクリジノマイシンB。ストレプトマイ
セス(Streptomyces)属に属し、前記抗生
物質を生産する能力を有する微生物を培養して、培養物
から前記抗生物質を採取する前記抗生物質の製造方法。
前記抗生物質を生産する能力を有するストレプトマイセ
ス・ハルステディ(Streptomyces hal
stedi)KB012株(FERM P−1806
2)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ストレプトマイセ
ス(Streptomyces)属に属する微生物が生
産する新規なベンゾキノン系抗生物質に関する。
【0002】
【発明の背景】がんは、1981年以降、我が国の死因
のトップを占める疾患であり、その克服は大きな課題と
なっている。その対策として、手術などの外科的療法や
放射線照射などともに化学療法が大きな柱の一つとなっ
ている。現在、抗腫瘍性物質は、既に多数のものが知ら
れているが、それらのうちの、極めて少数の化合物が、
抗腫瘍剤として実用化されているに過ぎない。しかも、
これらのものは、薬効と副作用の点で必ずしも満足でき
るものではない。その上、抗腫瘍剤は、試験管内試験や
動物試験の結果が必ずしも直接人間での抗腫瘍作用とし
て反映できないため、多角的な研究が要求される。その
ため、腫瘍細胞に特異的に作用する新規な化合物の提案
が望まれている。
【0003】一方、抗腫瘍活性を示すベンゾキノン系抗
生物質として、ナフチリジノマイシン(naphthy
lidinomycin:J.Antibiotic
s,28,497〜502(1975))や、バイオキ
サロマイシン(bioxalomycin:J.Or
g.Chem.,59,4045〜4047(199
4))が知られているが、これらの物質は強力な殺細胞
活性を有する反面、空気酸化で簡単に分解されるという
極めて不安定な性質を持つため、その医薬品としての開
発は著しく困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ストレプト
マイセス(Streptomyces)属に属する微生
物が生産する新規なベンゾキノン系抗生物質、それらの
製造方法および生産する微生物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、より有用
な抗腫瘍性物質を効率よく見出すため、その検索方法に
ついて検討していたところ、変異原性テスト(Rec
assay)の改変法を用いることにより、抗腫瘍性物
質の検索が迅速に行えることを見出し、先に論文に発表
した(J.Fac.Appl.Biol.Sci.,H
iroshimaUniversity,38,59−
69(1999))。
【0006】この検索方法は、rec-変異株(rec
ombination−deficient muta
nt)とrec+である親株を接種した平板上でのカッ
プ法による被検サンプルの抗菌活性(15mmの抗菌ゾ
ーンを与える濃度)のrec+/rec-比(Rec活
性)を求めるものである。この方法によれば、RNA合
成阻害剤に属する化合物はRec活性が1.1〜1.4
の値を、DNA合成阻害剤に属する化合物はRec活性
が1.5〜6.0の値を、DNA合成の阻害に至る代謝
拮抗物質(例えば、メトトレキセート、5−フルオロウ
ラシル等)は、1.0未満の値を示し、一方、通常の抗
菌性物質(例えば、細胞壁または蛋白質合成阻害あるい
は細胞膜障害性抗生物質等)は、1.0のRec活性を
示すので、抗腫瘍性物質の迅速な検出と、その作用機序
の推定が行える。
【0007】本発明者らは、上記のRec活性を指標と
する検索方法を用いて、各種微生物の培養物についてス
クリーニングを行なったところ、ストレプトマイセス
(streptomyces)属に属する一菌株が、新
規な抗腫瘍性のベンゾキノン系抗生物質を生産すること
を見出した。しかも、それらの物質は空気酸化に対して
極めて安定なことを見出し、本発明を完成した。
【0008】本発明により提供される新規ベンゾキノン
系抗生物質は、下記一般式(I)、
【化4】 (式中、Rは水素原子または水酸基を表す)で示される
化合物である。
【0009】本発明者らは、これらの化合物のうち、式
(I―A)、
【化5】 で示される化合物を抗生物質アクリジノマイシンA(A
clidinomycin A)、式(I―B)、
【化6】 で示される化合物を抗生物質アクリジノマイシンB(A
clidinomycin B)とそれぞれ命名した。
以後、これらの化合物は、上記名称を用いて説明する。
【0010】本発明に使用される微生物は、ストレプト
マイセス(Streptomyces)属に属し、本発
明のベンゾキノン系抗生物質を生産する能力を有する菌
株であれば、どのようなものでも使用できるが、代表例
としてストレプトミセス・ハルステディ(Storep
tomyces halstedi)KB012菌株を
挙げることができる。該菌株は、平成12年9月29日
付で工業技術院生命工学工業技術研究所に生命研菌寄第
18062号(FERM P−18062)として寄託
されている。
【0011】以下に、KB012菌株の菌学的性状を示
す。 1.形態学的性状 菌糸状繊維体は分断せず、気菌糸の形成と胞子の連鎖を
呈し、胞子のう様小胞を形成せず、胞子は輪生する胞子
柄に生じない。胞子表面は平滑で、胞子柄は直線状から
大きな径での屈曲(Rectiflexibiles)
を示す。コロニー色調は当初白色から次第に灰色を呈
し、コロニー裏面はやや黄色を呈する。
【0012】2.菌体脂肪酸組成(CFA) トリプティケース−ソーヤ培地に植菌し、28℃で4日
間振とう培養後、集菌し常法に従い脂肪酸を抽出して測
定した。主要菌体脂肪酸組成は12−methylte
tradecanoic(15:0 anteiso)
acid、14−methylpentadecano
ic(16:0 iso)acidおよびhexade
canoic(16:0 anteiso)acidで
全脂肪酸に対する各脂肪酸の割合は27.6%、15.
4%および11.3%であった。
【0013】本発明のベンゾキノン系抗生物質は上記菌
株を栄養培地に接種し、好気的に培養することにより製
造される。上記菌株の培養方法は、原則的には一般微生
物の培養方法に準ずるが、通常は液体培養による振とう
培養、通気撹拌培養などの好気的条件下で行なうのが好
適である。
【0014】培養に用いることのできる培地としては、
ストレプトマイセス(Streptomyces)属に
属する微生物が利用できる栄養源を含有する培地であれ
ばよく、各種の合成培地、半合成培地、天然培地などい
ずれも用いることができる。培地組成としては、例え
ば、炭素源として、グルコース、マルトース、シューク
ロース、水あめ、糖みつ、デキストリン、澱粉、グリセ
ロール、動物油、植物油などを単独または組み合わせて
使用することができ、また窒素源としては、大豆粉、小
麦胚芽、コーンスティープリカー、綿実粕、肉エキス、
ペプトン、酵母エキス、魚粉、尿素、硫酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、リン酸アンモ
ニウム、などを単独または組み合わせて使用することが
できる。また必要に応じて、塩化ナトリウム、塩化カリ
ウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸塩、
金属塩などの無機塩を加えることができる。その他、上
記菌株の生育あるいは本発明のアントラサイクリン抗生
物質の生産を促進する有機物、例えば、ビタミン類、ア
ミノ酸類を加えることができる。さらに必要に応じて、
消泡剤、例えば、アデカノール(商品名:旭電化工業
(株)製)、シリコーン(商品名:信越化学工業(株)
製)などを添加することができる。
【0015】培養条件は、上記菌株が良好に生育して本
発明のベンゾキノン系抗生物質を生産し得る範囲内で適
宜選択すればよい。例えば、培地のpHは、5〜9程
度、通常6〜7とすることが好ましい。培養温度は、微
生物が良好に生育する温度、通常20〜40℃、好まし
くは25〜28℃に保つのがよい。培養時間は、2〜8
日間程度でよく、好ましくは4〜5日間である。もちろ
ん上述した各種の培養条件は、使用微生物の種類や特
性、外部条件などに応じて適宜変更でき、またそれに応
じて上記範囲から最適条件を選択、調整できる。その
際、培養液中の目的化合物の蓄積量が最大になったとき
に培養を停止して得た培養液を以下の精製工程に使用す
ればよい。
【0016】このようにして得た培養液中に蓄積された
本発明のベンゾキノン系抗生物質は、培養後、濾過、遠
心分離等の一般的固液分離手段によって菌体を分離し、
濾液または上澄液から回収可能である。濾液または上澄
液を、まずpH7〜9において、クロロホルム、トルエ
ン、酢酸エチルなどの有機溶媒で抽出するか、あるいは
アンバーライトXAD(ローム・アンド・ハース社
製)、ダイヤイオンHP−20(三菱化学(株)製)等
のポリスチレン系吸着樹脂に吸着、溶出させ、さらにシ
リカゲル、アルミナ、活性炭などの担体を用いるカラム
クロマトグラフィーにより処理することができる。これ
らの担体から目的物質を溶出させる方法は、担体の種
類、性質によって異なるが、一例として、ポリスチレン
系吸着樹脂の場合には、溶出溶媒として、含水アルコー
ル、含水アセトン等を用いることができる。
【0017】さらにセファデックス(Sephade
x)LH−20(ファルマシア社製)、バイオ・ゲルP
−2(バイオ・ラッド社製)等によるゲル濾過、シリカ
ゲル、アルミナ等による薄層クロマトグラフィー、順相
あるいは逆相カラムを用いた分取用高速液体クロマトグ
ラフィー(分取HPLC)等を用いることができ、これ
らの方法を単独または適宜組み合わせて、場合によって
は反復使用することにより、分離、精製することができ
る。
【0018】以上のようにして得られる本発明のベンゾ
キノン系抗生物質は、以下に示す物理化学的性質を有す
る。 1.抗生物質アクリジノマイシンAの物理化学的性質 (1)色および形状:黄色粉末。 (2)分子式:C212536
【0019】(3)紫外部吸収スペクトル:メタノール
溶液中で測定した結果は図1の通りである。また特徴的
な吸収は下記のとおりである。 λmax nm(ε):282(19000)、403
(3500) (4)赤外部吸収スペクトル):KBr法で測定した結
果は図2のとおりである。また特徴的な吸収は下記のと
おりである。 νmax cm-1:3370、1657、1628、1
604、1547 (5)マススペクトル EI−MS:図3に示すとおりである。 HRFAB−MS:m/z 416.1803 [M+
H]+(計算値:416.1823)
【0020】(6)1H−NMRスペクトル(500M
Hz):重クロロホルム中で測定した結果は図4に示す
とおりである。また、主要なシグナルの化学シフト、多
重度、スピン結合定数は下記のとおりである。 δ(ppm,TMSを基準にして) 5.42(1H,dd,J=15.6,2.8)、5.
33(1H,br q,J=2.8)、4.98(1
H,dd,J=15.6,2.8)、4.19(3H、
s)、4.08(1H,br s)、3.93(1H,
d,J=3.7)、3.79(1H,ddd,J=8.
3,7.3,1.8)、3.71(1H,dt,J=
9.2d,7.3t)、3.31(1H,br d,J
=7.3)、3.23(1H,dd,J=5.5,4.
6)、3.07(1H,d,J=1.8)、2.86
(1H,m)、2.53(1H,ddd,J=8.3,
7.3,1.8)、2.52(3H,s)、2.24
(1H,dt,J=9.2d,8.3t)、1.92
(3H,s)、1.79(1H,ddd,J=13.
8,11.0,7.3)、1.69(1H,ddd,J
=13.8,7.3,11.8)
【0021】(7)13C−NMRスペクトル(125M
Hz):重クロロホルム中で測定した結果は図5に示す
とおりである。また、主要なシグナルの化学シフトは、
下記のとおりである。 δ(ppm,TMSを基準にして) 196.6、175.4、162.8、159.0、1
24.9、96.0、91.6、91.3、72.6、
71.4、65.9、63.4、62.4、61.2、
56.2、52.5、48.5、41.1、37.6、
19.2、9.2
【0022】(8)円偏光2色性:メタノール溶液中で
測定した結果は下記のとおりである。 [Θ]238 +3000、[Θ]265 −12000、
[Θ]293 +40000、[Θ]350 +7500、
[Θ]405 −8500
【0023】2.抗生物質アクリジノマイシンBの物理
化学的性質 (1)色および形状:黄色無定形固体。 (2)分子式:C212537 (3)比旋光度:[α]D 25 +188.1°(c
0.16、メタノール)
【0024】(4)紫外部吸収スペクトル:メタノール
溶液中で測定した結果は図6のとおりである。また特徴
的な吸収は下記のとおりである。 λmax nm(ε):286(21500)、398
(5000) (5)赤外部吸収スペクトル:KBr法で測定した結果
は図7のとおりである。また特徴的な吸収は下記のとお
りである。 νmax cm-1:3350、1655、1628、1
609、1551 (6)マススペクトル EI−MS:図8に示すとおりである。 HRFAB−MS:m/z 432.1796 [M+
H]+(計算値:432.1772)
【0025】(7)1H−NMRスペクトル(500M
Hz):重メタノール中で測定した結果は図9に示すと
おりである。また、主要なシグナルの化学シフト、多重
度、スピン結合定数は、下記のとおりである。 δ(ppm,TMSを基準にして) 6.49(1H,d,J=1.5)、5.59(1H,
br s)、4.13(1H,m)、4.12(3H、
s)、3.92(1H,d,J=3.8)、3.77
(1H,ddd,J=8.3,7.3,1.8)、3.
68(1H,dt,J=9.2d,7.3t)、3.3
6(1H,br d,J=7.6)、3.27(1H,
t,J=5.1)、3.14(1H,d,J=1.
9)、2.85(1H,m)、2.51(3H,s)、
2.48(1H,m)、2.24(1H,dt,J=
9.2d,8.3t)、1.94(3H,s)、1.7
7(1H,ddd,J=14.0,11.0,7.
6)、1.56(1H,ddd,J=14.0,8.
0,1.5)
【0026】(8)13C−NMRスペクトル(125M
Hz):重メタノール中で測定した結果は図10に示す
とおりである。また、主要なシグナルの化学シフトは、
下記のとおりである。 δ(ppm,TMSを基準にして) 195.8、175.8、162.4、157.4、1
26.5、97.7、96.8、91.1、90.7、
71.1、65.8、62.9、62.1、61.3、
55.2、52.5、48.5、40.9、37.6、
19.1、9.5
【0027】(9)円偏光2色性:メタノール溶液中で
測定した結果は下記のとおりである。 [Θ]216 −12600、[Θ]240 +30600、
[Θ]265 −1600、[Θ]294 +52400、
[Θ]402 −11300
【0028】本発明のベンゾキノン系抗生物質アクリジ
ノマイシンAおよびBは、いずれもRec活性が、1.
5〜6.0の範囲にあり、DNA合成阻害作用を有する
ことが推定される。実際にヒト白血病細胞K562に対
して、増殖抑制作用を示し、抗腫瘍剤として有用であ
る。
【0029】(Rec活性)55℃に保温した滅菌培地
(ポリペプトン0.5%、肉エキス0.5%、食塩0.
3%、寒天1.5%、脱イオン水、pH7.2)300
mlを入れた500ml容三角フラスコ2個を用意し、
Bacillus subtilis M45T株(r
ec-変異株)および同HA17株(rec+親株)の胞
子懸濁液を、それぞれ最終胞子細胞数が1.0〜2.0
x106/mlになるように接種した。これを、それぞ
れ滅菌シャーレ(内径90mm)に20mlずつ分注
し、固化させた。このrec-およびrec+平板の各1
枚ごとに力価検定用シリンダーカップ(内径8mm)の
4点を等間隔に配置し、アクリジノマイシンAおよびB
の各400μg/ml水溶液の2倍連続希釈液(20
0、100、50、25、12.5、6.25μg/m
l)をカップいっぱいに分注し、30℃で24時間培養
し、生じる増殖阻止円(mm)を測定した(1の濃度2
点)。片面対数方眼紙(サンプル濃度を対数表示)に阻
止円をプロットし、その直線関係からそれぞれ15mm
の阻止円を与えるサンプル濃度を算出し、その比rec
+平板/rec-平板をRec活性値(rec pote
ncy)として求めた。
【0030】表1に結果を示す
【表1】
【0031】(ヒト白血病K562細胞に対する増殖阻
害作用)10%仔牛血清を含むRPMI1640培地
(GIBCO BRL;フェノールレッドなし)へK5
62細胞を2.2×104個/mlとなるように接種
し、90μlずつ分注した。本発明の化合物の溶液を目
的終濃度の10倍濃度で10μlずつ添加し、37℃に
て炭酸ガス培養器中で72時間培養し対照区に対する5
0%増殖阻害濃度を求めた。なお、培養終了の2.5時
間前に、発色試薬WST−1(和光試薬)を10μlず
つ添加し、生細胞のカウントをおこなった。表2に結果
を示す。
【0032】
【表2】
【0033】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細
に説明する。
【実施例】実施例1 培養液の調製 ストレプトミセス・ハルステディ(Streptomy
ces halstedi)KB012菌株(FERM
P−18062)の保存用培地(グルコース1.0
%、L−アスパラギン0.05%、硝酸カリウム0.1
%、酵母エキス0.1%、寒天1.5%を海水に溶解し
て調製、pH7.0)斜面培養より一白金耳を採り、前
培養用液体培地(可溶性デンプン0.5%、グルコース
0.5%、大豆粉1.0%、リン酸二カリウム0.1
%、硫酸マグネシウム0.1%、塩化ナトリウム0.2
%を海水に溶解して調製、pH7.2)50mlを分
注、殺菌した500ml三角フラスコ6本に接種し、3
0℃、220rpmで48時間回転振とう培養し、種母
を作成した。
【0034】次に本培養用培地(グルコース1.5%、
スクロース1.5%、大豆粉1.5%、乾燥酵母0.7
5%、酵母エキス0.1%、ミネラル溶液0.1%(v
/v)、ハロゲン溶液1.0%(v/v)、アデカノー
ルLG126 0.01%を海水に溶解して調製、pH
7.0:但し、ミネラル溶液は、硫酸銅・5水和物1.
0g、硫酸亜鉛0.4g、硫酸コバルト・7水和物0.
4g、硫酸第一鉄・7水和物1.0gおよび硫酸マンガ
ン・4水和物1.0gを水200mlに溶解し、希硫酸
でpH2.3に調整したものである。またハロゲン溶液
は、臭化カリウム、ヨウ化カリウムおよびフッ化ナトリ
ウム各500mgを水50mgに溶解したものであ
る。)15Lを入れ、30Lジャー2基に、前記種母を
各150ml接種し、30℃、150rpmで2日間、
225rpmで2日間攪拌し、培養液27Lを得た。
【0035】実施例2 ベンゾキノン系抗生物質アクリ
ジノマイシンAおよびBの精製 実施例1に記載した方法で得た培養液27Lをシャープ
レス連続遠心機(12,000rpm)を用いて遠心分
離した。得られた上清をダイヤイオンHP−20カラム
(1L容)に付し、冷水3Lで洗浄後、70%アセトン
2Lで溶出した。得られた溶出液を1/3容まで減圧濃
縮後、炭酸水素ナトリウムでpH8.0に調整し、クロ
ロホルム500mlで2回抽出した。得られたクロロホ
ルム溶液を濃縮乾固し、粗抽出物1.5gを回収した。
【0036】粗抽出物をクロロホルム10mlに溶解
し、Wakogel C−200シリカゲルカラム(φ
45mm×250mm)に吸着させた。次いで、クロロ
ホルム100ml、クロロホルム−メタノール−水(3
0:1:0.1)200ml、クロロホルム−メタノー
ル−水(15:1:0.5)400ml、クロロホルム
−メタノール−水(10:1:0.5)400ml、ク
ロロホルム−メタノール−水(8:1:0.1)400
mlの各展開溶媒で順次溶出した。クロロホルム−メタ
ノール(5:1)を展開溶媒としてTLC分析(Sil
icagel 70F254:和光純薬社製)を行い、各
画分に含まれる成分を確認した。そのうち、クロロホル
ム−メタノール−水(8:1:0.1)で溶出された画
分に含まれる、Rf値0.58のスポットを示す成分
(黄色、アクリジノマイシンA)と、Rf値0.32の
スポットを示す成分(黄色、アクリジノマイシンB)を
それぞれ回収し、濃縮乾固して、90mgおよび60m
gの部分精製物を得た。
【0037】このようにして得られたアクリジノマイシ
ンAおよびBの各部分精製物を、逆相系HPLCを用い
て精製した。すなわち、各部分精製物をアセトニトリル
−水(3:7)混液2mlに溶解し、0.1mlずつ小
分けして注入し、溶出させた。なお、HPLCの条件は
下記のとおりである。
【0038】HPLC条件 カラム:Luna 5μC18(2) 250mm×1
0mm 移動相:アセトニトリル−水(3:7) 流速:2.0ml/min 検出:UV210nm
【0039】アクリジノマイシンAについては、保持時
間約15分に溶出する画分を集め、少量まで濃縮し、過
剰のn−ヘキサンを加えて沈殿させた。これを遠心分離
して集め、真空乾燥し、黄色粉末状のアクリジノマイシ
ンAを60mg得た。アクリジノマイシンBについて
は、保持時間約10分に溶出する画分を集め、濃縮乾固
し、黄色無定形固体のアクリジノマイシンBを34mg
得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ベンゾキノン系抗生物質アクリジノマイシン
Aのメタノール中での紫外部吸収スペクトルである。
【図2】 ベンゾキノン系抗生物質アクリジノマイシン
AのKBr法による赤外部吸収スペクトルである。
【図3】 ベンゾキノン系抗生物質アクリジノマイシン
Aのマススペクトルである。
【図4】 ベンゾキノン系抗生物質アクリジノマイシン
Aの重クロロホルム中での1H−NMRスペクトル(5
00MHz)である。
【図5】 ベンゾキノン系抗生物質アクリジノマイシン
Aの重クロロホルム中での13C−NMRスペクトル(1
25MHz)である。
【図6】 ベンゾキノン系抗生物質アクリジノマイシン
Bのメタノール中での紫外部吸収スペクトルである。
【図7】 ベンゾキノン系抗生物質アクリジノマイシン
BのKBr法による赤外部吸収吸収スペクトルである。
【図8】 ベンゾキノン系抗生物質アクリジノマイシン
Bのマススペクトルである。
【図9】 ベンゾキノン系抗生物質アクリジノマイシン
Bの重クロロホルム中での1H−NMRスペクトル(5
00MHz)である。
【図10】 ベンゾキノン系抗生物質アクリジノマイシ
ンBの重クロロホルム中での13C−NMRスペクトル
(125MHz)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12N 1/20 (C12N 1/20 A C12R 1:465) C12R 1:465) (C12P 17/18 (C12P 17/18 C C12R 1:465) C12R 1:465)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)、 【化1】 (但し、式中Rは水素原子または水酸基を表す)で示さ
    れるベンゾキノン系抗生物質。
  2. 【請求項2】 下記式(I−A)、 【化2】 で示されるベンゾキノン系抗生物質
  3. 【請求項3】 下記式(I−B)、 【化3】 で示されるベンゾキノン系抗生物質。
  4. 【請求項4】 ストレプトマイセス(Streptom
    yces)属に属し、請求項1〜3のいずれか1項に記
    載のベンゾキノン系抗生物質を生産する能力を有する微
    生物を培養し、培養物から請求項1〜3のいずれか1項
    に記載のベンゾキノン系抗生物質を採取することを特徴
    とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のベンゾキ
    ノン系抗生物質の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のベ
    ンゾキノン系抗生物質を生産する能力を有するストレプ
    トマイセス・ハルステディ(Streptomyces
    halstedi)KB012株(FERM P−1
    8062)。
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