JP2002153691A - ミシン部品およびその製造方法 - Google Patents

ミシン部品およびその製造方法

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JP2002153691A
JP2002153691A JP2001225617A JP2001225617A JP2002153691A JP 2002153691 A JP2002153691 A JP 2002153691A JP 2001225617 A JP2001225617 A JP 2001225617A JP 2001225617 A JP2001225617 A JP 2001225617A JP 2002153691 A JP2002153691 A JP 2002153691A
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lubricating
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Hidekazu Iijima
秀和 飯島
Seiho O
性宝 応
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Juki Corp
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Juki Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 錆が生じること防ぐことができるとともに、
摺動部材の摺動性を向上させることができるミシン部品
およびその製造方法を提供すること。 【解決手段】 被摺動部材と、この被摺動部材に沿って
摺動しながら移動し得る摺動部材11,20との少なく
とも一方の金属の摺動面に、多数の微小凹部12を形成
するとともに潤滑性金属の被膜13,22を形成したこ
と。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ミシン部品およびその
製造方法に係り、特に、被摺動部材および摺動部材の少
なくとも一方に、潤滑油を貯留するための複数の微小凹
部を形成したミシン部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図5は、従来から使用されている一般的
なミシンの構成を示したものであり、このミシン1は、
図示しない駆動源に連結された上軸2を有しており、こ
の上軸2は、前記駆動源によって回転可能とされてい
る。
【0003】前記上軸2の端部に、釣合錘3が、前記上
軸2にともなって従動回転するように連結されている。
【0004】前記釣合錘3には、針棒クランク4が固定
されており、この針棒クランク4は、前記釣合錘3の回
転にともなって円運動を行うようになっている。
【0005】前記針棒クランク4には、前記針棒クラン
ク4の回転にともなって図5の上下方向に沿って往復運
動を行うように、針棒クランクロッド6が連結されてい
る。
【0006】そして、前記針棒クランクロット6には、
ミシン部品を構成する摺動部材の一例としての針棒7が
連結されている。さらに、前記針棒7の外周には、ミシ
ン部品を構成する被摺動部材の一例としての軸受け8
が、内周面に前記針棒7を摺接させることによってこの
針棒7の上下へ摺動可能に保持するように配設されてい
る。この軸受け8と前記針棒7とによってミシン部品の
摺動部が構成されている。
【0007】この針棒7は、前記針棒クランクロッド6
の往復運動にともなって被縫製物に対して上下動するこ
とによって縫製動作を行う。
【0008】そして、前記針棒7および前記軸受け8の
間には、前記針棒7の摺動性を良好に維持するための潤
滑油が供給されるようになっていた。
【0009】ところで、従来は、このような潤滑油を過
剰に供給することによって潤滑油が被縫製物側に飛び散
ってしまい、これによって被縫製物に汚れが生じてしま
うといった問題が生じていた。そこで、近年、このよう
な問題を解決するために、潤滑油の供給量を極力絞り込
むいわゆる微量給油方式や、油芯給油方式またはグリー
ス供給方式等の給油方式が採用されていた。
【0010】また、このように潤滑油の給油量を低減す
る一方で、針棒7の摺動性を良好に保持する必要がある
ため、前記針棒7および前記軸受け8の少なくとも一方
には、潤滑油を貯留するための複数の微小凹部9(図6
参照)が形成されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような微
小凹部9を有するミシン部品は、例えば該部品のみ単体
で保管する時などの未使用期間中においては、微小凹部
9に湿気が溜まって錆が生じやすいといった問題が生じ
ていた。
【0012】さらに、微小量の潤滑油のみでは、例えば
針棒7等の摺動部材の摺動性を良好に維持することが困
難であるといった問題が生じていた。
【0013】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
もので、錆が生じること防ぐことができるとともに、摺
動部材の摺動性を向上させることができるミシン部品お
よびその製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の請求項1に係るミシン部品の特徴は、被摺
動部材と、この被摺動部材に沿って摺動しながら移動し
得る摺動部材との少なくとも一方の金属の摺動面に、多
数の微小凹部を形成するとともに潤滑性金属の被膜を形
成した点にある。
【0015】そして、このような構成を採用したことに
より、微小凹部および潤滑性金属の薄膜によって潤滑油
の供給量を低減しつつ摺動部材の摺動性を確保すること
ができるとともに、この微小凹部に錆が生じることを防
止することができる。
【0016】請求項2に係るミシン部品の特徴は、請求
項1において、前記潤滑性金属の被膜の厚さを、3μm
以下にした点にある。
【0017】そして、このような構成を採用したことに
より、摺動部材の摺動性を向上させることができる。
【0018】請求項3に係るミシン部品の特徴は、請求
項1において、前記被膜を構成する潤滑性金属は、スズ
または高速度工具鋼である点にある。
【0019】そして、このような構成を採用したことに
より、無潤滑環境において自己潤滑性を有する安価なス
ズまたは高速度工具鋼によって、摺動部材の摺動性の向
上および微小凹部の防錆ならびに製造コストの低廉化を
図ることができる。
【0020】請求項4に係るミシン部品の特徴は、請求
項1において、前記微小凹部が形成された前記摺動面内
部に、前記潤滑性金属を拡散させた拡散層を形成した点
にある。
【0021】そして、このような構成を採用したことに
より、潤滑性金属の微小凹部への密着性を向上すること
ができるため、摺動部材の摺動性および製品寿命を向上
することができる。
【0022】請求項5に係るミシン部品の特徴は、請求
項1において、前記微小凹部が形成された摺動面内部に
潤滑性炭化物層を形成した点にある。
【0023】そして、このような構成を採用したことに
より、硬度の大きな潤滑性炭化物層によって摺動部の耐
摩耗性を向上することができる。
【0024】請求項6に係るミシン部品の特徴は、被摺
動部材と、この被摺動部材に沿って移動し得る摺動部材
の少なくとも一方の摺動面に、多数の微小凹部を形成す
るとともに潤滑性金属粒をWPC処理によって打ち付け
ることによって潤滑性金属の被膜を形成する点にある。
【0025】そして、このような方法を採用したことに
より、摺動部に形成された微小凹部および潤滑性金属の
被膜によって潤滑油の供給量を低減しつつ摺動部材の摺
動性を確保することができるとともに、この微小凹部に
錆が生じることを防止することができる。
【0026】請求項7に係るミシン部品の製造方法の特
徴は、請求項6において、前記微小凹部が形成される少
なくとも一方の前記摺動面に、前記潤滑性金属粒を摺動
面内部に拡散させることによって、潤滑性金属の拡散層
を形成する点にある。
【0027】そして、このような方法を採用したことに
より、潤滑性金属の微小凹部への密着性を向上すること
ができるため、摺動部材の摺動性および製品寿命を向上
することができる。
【0028】請求項8に係るミシン部品の製造方法の特
徴は、請求項6において、前記微小凹部が形成される少
なくとも一方の前記摺動面をもつ母材に炭素を混入し、
焼入れによって、前記炭素と潤滑性金属とが結合し核生
成により潤滑性炭化物を生成して、摺動面内に潤滑性炭
化物層を形成する点にある。
【0029】そして、このような方法を採用したことに
より、浸炭焼き入れ、焼き戻し等の工程を経て、母材に
混入した炭素を摺動面の表面側に含浸させることができ
るため、摺動面の耐摩耗性を向上することができ、ま
た、前記含浸させた炭素と潤滑性金属粒とが結合して核
生成により潤滑性炭化物を生成して潤滑性炭化物層が形
成されるため、摺動面の耐摩耗性をさらに向上すること
ができる。
【0030】請求項9に係るミシン部品の製造方法の特
徴は、請求項6において、前記微小凹部がセラミックス
金属粒をWPC処理により形成され、その後に、摺動面
の被膜が、潤滑性金属粒をWPC処理により形成される
点にある。
【0031】そして、このような方法を採用したことに
より、WPC処理により微小凹部および被膜が形成でき
るので工程が簡素化できる。
【0032】請求項10に係るミシン部品の製造方法の
特徴は、請求項6において、前記摺動面の微小凹部と被
膜とが、潤滑性金属粒をWPC処理により打ち付けるこ
とにより同時に形成される点にある。
【0033】そして、このような方法を採用したことに
より、工程をさらに簡単にし製造コストをさらに低廉に
することができる。
【0034】請求項11に係るミシン部品の製造方法の
特徴は、請求項6乃至請求項10のいずれか1項におい
て、前記潤滑性金属粒の粒径を、30乃至100μmに
する点にある。
【0035】そして、このような方法を採用したことに
より、前記微小凹部の形成と前記潤滑性金属被膜の形成
とを確実に行うことができる。
【0036】請求項12に係るミシン部品の製造方法の
特徴は、請求項6乃至請求項11のいずれか1項におい
て、前記潤滑性金属粒を、300m/sec以上の噴射
速度で打ち付ける点にある。
【0037】そして、このような方法を採用したことに
より、摺動部の表面に潤滑性金属の被膜を適正に形成す
ることができるため、摺動部材の摺動性および防錆性を
さらに向上することができ、また、潤滑性金属の拡散層
を形成する場合は、摺動部内部に潤滑性金属を簡易かつ
適正に拡散させて潤滑性金属と微小凹部との密着性を向
上させることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るミシン部品お
よびその製造方法の第1実施形態について図1乃至図3
を参照して説明する。なお、従来と基本的構成の同一若
しくはこれに類する箇所については、同一の符号を用い
て説明する。
【0039】図1は、本第1実施形態におけるミシン部
品の摺動部を構成する摺動部材として、被縫製物に対す
る縫製動作を行う針棒11を示したものである。
【0040】前記針棒11は、例えばクロムモリブデン
鋼鋼材等の炭素を含有した金属を母材としており、この
母材を針棒の形状に加工した後、浸炭焼き入れおよび焼
き戻しを行うことによって形成されている。このため、
針棒11内部の炭素が外周面近傍に含浸されており、こ
れによって針棒11の外周面近傍部位は高い硬度となっ
ている。
【0041】従って、針棒11の表面硬度を強化し、摺
動の際の耐摩耗性を向上することができるようになって
いる。なお、母材としてクロムモリブデン鋼鋼材を用い
る場合、この母材をSCM415とするとよい。
【0042】図2に示すように、前記針棒11の外周面
には、潤滑油を貯留するための多数の微小凹部12およ
び潤滑性金属からなる被膜13が形成されており、前記
各微小凹部12には、前記被膜13が充填されている。
この被膜13は、後述するように、いわゆるWPC(wi
de peaning cleaning)処理によってスズ(Sn)を前
記針棒11の外周面に打ち付けることによって形成され
ている。
【0043】従って、前記潤滑性金属の自己潤滑性によ
り、針棒11の摺動性が向上することができるようにな
っている。さらに、微小凹部12に潤滑性金属の被膜1
3が充填されているため、湿気等によって微小凹部12
に錆が生じることを防ぐことができるようになってい
る。
【0044】なお、前記潤滑性金属は、例えば、ケイ素
(Si)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム
(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッ
ケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、スズ(S
n)、モリブデン(Mo)、鉛(Pb)、タングステン
(W)、銀(Ag)または金(Au)等であってもよい
が、コストを安価にするには、スズ(Sn)を用いるの
が好ましい。
【0045】後述するように、前記微小凹部12は、前
記針棒11の外周面に、いわゆるWPC(wide peaning
cleaning)処理によって打ち付けることによって形成
されている。
【0046】前記潤滑性金属の被膜13の厚さは、針棒
11の摺動時に被膜13の剥離を低減し、また、仮に剥
離が生じたとしても軸受け8の内周面側への移着により
摺動抵抗を生じないようにする観点から、3μm以下に
することが好ましい。
【0047】図2に斜線で示すように、前記針棒11の
内部であって外周面近傍の所定範囲の部位には、潤滑性
金属18Aが拡散された拡散層15が形成されている。
【0048】前記拡散層15は、針棒11を構成する母
材の結晶11Aの間隙に潤滑性金属18Aを浸透させる
ことによって形成されており、この拡散層15によって
被膜13と針棒11との密着性が向上されるようになっ
ている。
【0049】なお、前記拡散層15の形成すなわち針棒
11の結晶11Aの間隙への潤滑性金属18Aの浸透の
みによって針棒11に十分な硬度を付与することができ
るならば、針棒11の母材に炭素を含有させなくてもよ
い。
【0050】次に、前記ミシン部品の製造方法について
説明する。
【0051】まず、SCM415等の炭素(C)を含む
金属を棒状に加工し、浸炭焼き入れおよび焼き戻しを行
うことによって、針棒11を形成する。
【0052】このとき、針棒11内部の炭素(C)が外
周面側に含浸されるため、針棒11の表面硬度を強化
し、摺動の際の耐摩耗性を向上することができる。
【0053】次に、噴射装置(図示せず)を用いたWP
C(wide peaning cleaning)処理によって、前記針棒
11の外周面に40μm以上の粒径のセラミックス粒を
打ち付ける。これにより、前記針棒11の外周面に前記
微小凹部12が形成される。
【0054】そして、次に、前記噴射装置に前記セラミ
ックス粒に換えて潤滑性金属粒18を供給し、図3に示
すように、前記微小凹部12が形成された前記針棒11
の外周面に対し、潤滑性金属粒18の噴射によってWP
C処理を行う。このとき、潤滑性金属粒18としては、
例えば、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、バナジウム
(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト
(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Z
n)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、鉛(P
b)、タングステン(W)、銀(Ag)または金(A
u)等の金属粒18を用いても良いが、スズ(Sn)を
用いればコストを安価にすることができる。また、潤滑
性金属粒18の粒径を30乃至100μmにすることに
よって微小凹部12の形成を確実に行うことができる。
【0055】なお、このWPC処理に用いる潤滑性金属
粒18の粒径を30μm以下にすると、潤滑性金属粒1
8の質量が小さすぎるため、噴射時に潤滑性金属粒18
がホップしてしまい、噴射方向が定まらなくなってしま
う。一方、100μm以上にすると、針棒11との衝突
時に力が分散し衝突エネルギーが小さくなり、針棒11
の外周面が荒れてしまう等の不具合が生じる虞がある。
【0056】従って、前記潤滑性金属粒18の粒径は、
30乃至100μmにすることが好ましい。
【0057】このような潤滑性金属粒18は、300m
/sec以上の噴射速度で噴射されて、針棒11の外周
面に衝突する。
【0058】この衝突の衝撃により、前記金属粒18の
形状が、衝突の際の衝撃によって扁平形状に変形され、
潤滑性金属18Aの皮膜13として針棒11外周面に形
成されるとともに、前記微小凹部12に充填される。
【0059】前述した前記潤滑性金属粒18によるWP
C処理の際に、前記潤滑性金属粒18を針棒11に対し
て300m/sec以上の高速度で噴射すると、前記潤
滑性金属粒18の一部が針棒11を構成する母材の結晶
11Aの間隙に浸透することにより、針棒11の外周面
から内部側の所定範囲にわたって潤滑性金属18Aの拡
散層15が形成される。従って、前記潤滑性金属の拡散
層15を簡易かつ適正に形成することができる。
【0060】なお、潤滑性金属粒18を300m/se
c以上の速度で噴射することは、拡散層15の適正な形
成に寄与するのみならず、針棒11外周面への潤滑性金
属被膜13の適正な形成にも寄与する。
【0061】なお、前記潤滑性金属の被膜18Aの厚さ
は、針棒11の摺動時に被膜13の剥離を低減し、ま
た、仮に剥離が生じたとしても軸受け8の内周面側への
移着により摺動抵抗を生じないようにする観点から、3
μm以下に形成することが好ましい。
【0062】従って、本第1実施形態によれば、針棒1
1の外周面に形成された微小凹部12およびこの微小凹
部12に充填するように形成された潤滑性金属18Aの
被膜13によって錆の発生を防止しつつ針棒の摺動性を
向上することができる。
【0063】また、潤滑性金属18Aの拡散層15によ
って潤滑性金属18Aと微小凹部12との密着性を向上
することができるため、潤滑性金属18Aの針棒11か
らの剥離を抑制し、製品寿命を向上することができる。
【0064】次に、本発明に係るミシン部品およびその
製造方法の第2実施形態について図4を参照して説明す
る。
【0065】なお、第1実施形態と基本的構成の同一若
しくはこれに類する箇所については、同一の符号を用い
て説明する。
【0066】本第2実施形態におけるミシン部品は、摺
動部材として、針棒20を例としている。前記針棒20
は、例えばクロムモリブデン鋼鋼材等の炭素(C)を含
有した金属を母材としており、また、外周面に潤滑油を
貯留するための多数の微小凹部12および潤滑性金属の
被膜22を有している。第2の実施の形態で適用してい
る潤滑性金属粒18は、後述するように高速度工具鋼鋼
材(SKH)であり、炭素(C)、クロム(Cr)、タ
ングステン(W)、モリブデン(Mo)およびバナジウ
ム(V)元素を含んでいる。
【0067】また、本第2実施形態においては、前記針
棒20の外周面から内側の所定範囲にわたって図4に斜
線で示す潤滑性炭化物層21が形成されている。
【0068】この潤滑性炭化物層21により、潤滑性お
よび耐摩耗性の向上がはかられるようになっている。
【0069】次に、前記ミシン部品の製造方法について
説明する。
【0070】まず、SCM415等の炭素(C)を含む
金属を棒状に加工した後、浸炭焼き入れおよび焼き戻し
を行うことによって、針棒20を形成する。
【0071】このとき、針棒11内部の炭素(C)が外
周面側に含浸されるため、針棒20の表面硬度を大きく
し、針棒20の摺動の際の耐摩耗性を向上することがで
きる。
【0072】次に、前記針棒20の外周面に対し、SK
Hによる潤滑性金属粒18の噴射によってWPC処理を
行う。また、潤滑性金属粒18の粒径は、30乃至10
0μmとする。
【0073】潤滑性金属粒18を、噴射装置により前記
針棒20に対して噴射すると、この潤滑性金属粒18が
針棒20の外周面に衝突する。
【0074】この衝突の衝撃により、前記針棒20の外
周面に微小凹部12が形成されるとともに、前記金属粒
18が、衝突の際の衝撃によって扁平形状に変形され、
潤滑性金属18Aの被膜22として前記微小凹部12に
充填される。
【0075】このとき、潤滑性金属粒18を300m/
s以上の速度で噴射することにより、微小凹部12およ
び潤滑性金属18Aの被膜22の形成を適正に行うこと
ができる。
【0076】このように、微小凹部12の形成と、この
微小凹部12への前記潤滑性金属18Aの被膜22の充
填とが同時に行われる。
【0077】第2の実施の形態で適用している潤滑性金
属粒18は、高速度工具鋼鋼材(SKH)であり、炭素
(C)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブ
デン(Mo)、バナジウム(V)元素を含んでいる。
【0078】そして、衝突の衝撃により、針棒20の外
周面付近は温度が瞬間的に1000℃近傍に上昇するた
め、瞬間的に焼入れ状態となり、この焼入れによってS
KHに含まれる、タングステン(W)、モリブデン(M
o)、バナジウム(V)元素が、自身が持つ炭素(C)
や、母材中の炭素(C)と結合し、「分離核生成」や
「その場核生成」により微細な炭化タングステン(W2
C)、炭化モリブデン(Mo2 C)、炭化バナジウム
(VC)等の潤滑性炭化物18Bが析出する。この潤滑
性炭化物18Bは、図4に示すように、母材の結晶11
Aに浸透し、針棒20の外周面近傍に析出するので、外
周面近傍に潤滑性炭化物層21を形成する。
【0079】従って、本第2実施形態によれば、針棒2
0の外周面近傍に潤滑性炭化物層21を形成することに
よって、針棒20の摺動の際の潤滑性及び耐摩耗性を向
上することができる。
【0080】なお、本発明では、粉末が存在し、WPC
処理にすぐに適用できるという観点から、潤滑性金属粒
としてSKHを使用しているが、SKHに限られず、タ
ングステン(W)、モリブデン(Mo)、バナジウム
(V)元素を含み、炭化タングステン(W2 C)、炭化
モリブデン(Mo2 C)、炭化バナジウム(VC)等の
微細な潤滑性炭化物が形成され、潤滑性および耐摩耗性
を向上できる材料であればよい。
【0081】また、前記針棒20の母材は、クロムモリ
ブデン鋼鋼材を用いる場合はSCM415にしてもよ
い。また、これに限らず、例えば一般肌焼鋼、炭素鋼を
母材とし、この母材に対して浸炭焼き入れおよび焼き戻
しを行うことによって針棒20を形成するようにしても
よい。また、合金鋼、工具鋼またはステンレス鋼等を母
材としてもよい。
【0082】なお、本発明は前記各実施形態のものに限
定されるものではなく、必要に応じて種々変更すること
が可能である。
【0083】例えば、前記第1および第2実施形態にお
いては、前記微小凹部12および前記潤滑性金属の被膜
13を針棒11,20にのみ形成しているが、これに限
る必要はなく、この微小凹部12を例えば軸受け8の
み、もしくは針棒11,20と軸受け8の双方に形成す
るようにしてもよい。
【0084】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の請求項1に
係るミシン部品によれば、微小凹部および潤滑性金属の
薄膜によって潤滑油の供給量を低減しつつ摺動部材の摺
動性を確保することができるとともに、この微小凹部に
錆が生じることを防止することができる。
【0085】請求項2に係るミシン部品によれば、請求
項1に係るミシン部品の効果に加えて摺動部材の摺動性
を向上させることができる。
【0086】請求項3に係るミシン部品によれば、請求
項1に係るミシン部品の効果に加えて、無潤滑環境にお
いて自己潤滑性を有する安価なスズまたは高速度工具鋼
によって、摺動部材の摺動性の向上および微小凹部の防
錆ならびに製造コストの低廉化を図ることができる。
【0087】請求項4に係るミシン部品によれば、潤滑
性金属の微小凹部への密着性を向上することができるた
め、請求項1に係るミシン部品の効果に加えて、摺動部
材の摺動性および製品寿命を向上することができる。
【0088】請求項5に係るミシン部品によれば、請求
項1に係るミシン部品の効果に加えて硬度の大きな潤滑
性炭化物層によって摺動部の耐摩耗性を向上することが
できる。
【0089】請求項6に係るミシン部品の製造方法によ
れば、摺動部に形成された微小凹部および潤滑性金属の
被膜によって潤滑油の供給量を低減しつつ摺動部材の摺
動性を確保することができるとともに、この微小凹部に
錆が生じることを防止することができる。
【0090】請求項7に係るミシン部品の製造方法によ
れば、潤滑性金属の微小凹部への密着性を向上すること
ができるため、請求項6に係るミシン部品の製造方法の
効果に加えて摺動部材の摺動性および製品寿命を向上す
ることができる。
【0091】請求項8に係るミシン部品の製造方法によ
れば、浸炭焼き入れ、焼き戻し等の工程を経て、母材に
混入した炭素を摺動面の表面側に含浸させることができ
るため、請求項6に係るミシン部品の製造方法の効果に
加えて摺動面の耐摩耗性を向上することができ、また、
前記含浸させた炭素と潤滑性金属粒とが結合して核生成
により潤滑性炭化物を生成して潤滑性炭化物層が形成さ
れるため、摺動面の耐摩耗性をさらに向上することがで
きる。
【0092】請求項9に係るミシン部品の製造方法によ
れば、WPC処理により微小凹部および被膜が形成でき
るので請求項6に係るミシン部品の製造方法の効果に加
えて製造工程を簡素化できる。
【0093】請求項10に係るミシン部品の製造方法に
よれば、請求項6に係るミシン部品の製造方法の効果に
加えて工程をさらに簡単にし製造コストをさらに低廉に
することができる。
【0094】請求項11に係るミシン部品の製造方法に
よれば、請求項6乃至請求項10のいずれか1項に係る
ミシン部品の製造方法の効果に加えて前記微小凹部の形
成と前記潤滑性金属被膜の形成とを確実に行うことがで
きる。
【0095】請求項12に係るミシン部品の製造方法に
よれば、摺動部の表面に潤滑性金属の被膜を適正に形成
することができるため、請求項6乃至請求項11のいず
れか1項に係るミシン部品の製造方法の効果に加えて摺
動部材の摺動性および防錆性をさらに向上することがで
き、また、潤滑性金属の拡散層を形成する場合は、摺動
部内部に潤滑性金属を簡易かつ適正に拡散させて潤滑性
金属と微小凹部との密着性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るミシン部品の実施形態において、
針棒の全体を示す図
【図2】本発明に係るミシン部品の実施形態において、
針棒の外周面近傍の構成を示す断面概略図および拡散層
の構成を示した拡大図
【図3】針棒に対するWPC処理を示す図
【図4】本発明に係るミシン部品の実施形態において、
針棒の外周面近傍の構成を示す断面概略図および潤滑性
炭化物層の構成を示した拡大図
【図5】従来から使用されているミシンの一部を示す斜
視図
【図6】従来のミシン部品の一例としての針棒を示す拡
大図
【符号の説明】
1 ミシン 8 軸受け 11,20 針棒 12 微小凹部 13 被膜 15 拡散層 17 微細な炭化物 18 潤滑性金属粒 21 潤滑性炭化物層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B150 CE08 CE22 CE23 CE26 CE27 DB02 HA12 HA15 4K044 AA02 AB05 BA02 BA04 BA06 BA08 BA10 BA18 BB03 BB14 BC01 CA12 CA23 CA51 CA53

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被摺動部材と、この被摺動部材に沿って
    摺動しながら移動し得る摺動部材との少なくとも一方の
    金属の摺動面に、多数の微小凹部を形成するとともに潤
    滑性金属の被膜を形成したことを特徴とするミシン部
    品。
  2. 【請求項2】 前記潤滑性金属の被膜の厚さを、3μm
    以下にしたことを特徴とする請求項1に記載のミシン部
    品。
  3. 【請求項3】 前記被膜を構成する潤滑性金属は、スズ
    または高速度工具鋼鋼材からなることを特徴とする請求
    項1に記載のミシン部品。
  4. 【請求項4】 前記微小凹部が形成された前記摺動面内
    部に、前記潤滑性金属を拡散させた拡散層を形成したこ
    とを特徴とする請求項1に記載のミシン部品。
  5. 【請求項5】 前記微小凹部が形成された摺動面内部に
    潤滑性炭化物層を形成したことを特徴とする請求項1に
    記載のミシン部品。
  6. 【請求項6】 被摺動部材と、この被摺動部材に沿って
    移動し得る摺動部材の少なくとも一方の摺動面に、多数
    の微小凹部を形成するとともに潤滑性金属粒をWPC処
    理によって打ち付けることによって潤滑性金属の被膜を
    形成することを特徴とするミシン部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記微小凹部が形成される少なくとも一
    方の前記摺動面に、前記潤滑性金属粒を摺動面内部に拡
    散させることによって、潤滑性金属の拡散層を形成する
    ことを特徴とする請求項6に記載のミシン部品の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記微小凹部が形成される少なくとも一
    方の前記摺動面をもつ母材に炭素を混入し、焼入れによ
    って、前記炭素と潤滑性金属とが結合し核生成により潤
    滑性炭化物を生成して、摺動面内に潤滑性炭化物層を形
    成することを特徴とする請求項6に記載のミシン部品の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記微小凹部がセラミックス金属粒をW
    PC処理により形成され、その後に、摺動面の被膜が、
    潤滑性金属粒をWPC処理により形成されることを特徴
    とする請求項6に記載のミシン部品の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記摺動面の微小凹部と被膜とが、潤
    滑性金属粒をWPC処理により打ち付けることにより同
    時に形成されることを特徴とする請求項6に記載のミシ
    ン部品の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記潤滑性金属粒の粒径を、30乃至
    100μmにすることを特徴とする請求項6乃至請求項
    10のいずれか1項に記載のミシン部品の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記潤滑性金属粒を、300m/se
    c以上の噴射速度で打ち付けることを特徴とする請求項
    6乃至請求項11のいずれか1項に記載のミシン部品の
    製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項6乃至請求項12にいずれか1
    項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする
    ミシン部品。
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