JP2002153277A - K1遺伝子 - Google Patents

K1遺伝子

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】肝臓に特異的に発現する新規な転写活性を有す
る遺伝子及びその遺伝子の利用法の提供。 【解決手段】以下の(a)〜(d)のポリヌクレオチドを含む
遺伝子:(a)ヒト由来の特定のアミノ酸配列のポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドまたはそれらの相補
鎖、(b)上記アミノ酸配列を含むポリペプチドをコード
するポリヌクレオチドに対して少なくとも95%の相同
性を持っているポリヌクレオチド、(c)上記アミノ酸配
列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換
若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ遺伝子
の転写活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチ
ド、(d)上記アミノ酸配列において、1若しくは複数個
のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配
列からなり、かつcAMP応答エレメント結合活性又は
box−B結合活性を有する蛋白質をコードするポリヌ
クレオチド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肝臓に特異的に発
現する新規な転写活性を有する遺伝子およびその遺伝子
の利用に関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子の組織特異的発現に対する重要な
因子のひとつは、転写因子であると考えられている。組
織特異的遺伝子のプロモーターにおいて、組織特異的転
写エレメントがしばしば見られ、転写因子はエレメント
に結合することによってそれらの発現を調節する。 組
織特異的遺伝子の発現調節に関係している転写因子の幾
つかの部分は、組織特異的方法で発現されることが知ら
れている。
【0003】例えば、典型的な筋特異的遺伝子である筋
クレアチン・キナーゼは、プロモーター内にE−box
エレメントを有している(Cell. 58, 823-831(1989))。
10個のE−boxエレメントが、ミオシン軽鎖1/3
(Gene Dev., 2, 1779-1790(1988)) 、またはトロポニ
ンC(Moll Cell Biol.,13, 6752- 6765 (1993))のよう
な筋特異的遺伝子の別のプロモーターにおいてみられて
いる。塩基性−ヘリックス−ループ−ヘリックス転写因
子であるMyoDは、プロモーター内においてE−bo
xエレメントに結合し、筋クレアチン・キナーゼの筋特
異的な遺伝子の発現の発現を調節する(Cell, 58, 823-
831 (1989))。MyoDの発現も、筋において特異的で
ある(Nature, 341 303-307 (1989))。
【0004】エリスロイドにおいて、α−及びβ−グロ
ビンは、エリスロイド特異的に発現され、該発現はそれ
らのプロモーター内において、GATAエレメントを通
して調節される(Cell, 58 877-885(1989): Nature, 33
9, 446-451 (1989): Exp. Hematol., 23, 99-107 (199
5))。亜鉛フィンガー転写因子であるGATA−1は、
GATAエレメントに結合することが知られており、エ
リスロイドにおいてグロビン発現を調節する。GATA
−1は、エリスロイドに主に発現されている( Nature,
339 446-451(1989))。
【0005】肝臓においては、典型的な肝臓特異な遺伝
子であるアルブミンの発現が、アルブミン・プロモータ
ー(ref)内のDサイトで相互作用する塩基性のロイシン
・ジッパー(b-Zip)に属しているC/EBP-αによって
調節される(Science, 244 (4902):343-346 (1989))。C
/EBPファミリーの発現パターンは、肝臓内に支配的
であるかまたは豊富である(Science, 240, 1759-1764
(1988): Gene Dev.,318,1146-1156(1989): Cell,61, 27
9-291(1990): Gene Dev., 4, 1541-1551 (1990))。ヒト
I型アルコール脱水素酵素(ADH)は、また肝臓におい
て、主に発現し、組織特異的な異なったパターンおよび
進化の遺伝子発現を表出する(Science, 171(966)71-73
(1971))。肝臓発達段階のそれら遺伝子の一時的な発現
は、C/EBP−α、LAP、HNF1およびADHプ
ロモーター(ref)内の幾つかの活性エレメントを通し
て、b−Zip蛋白質のメンバーであるD-エレメント結
合蛋白(DBP)によって異なるプロモーター活性と相関し
ている(Moll Cell Biol., 10, 5007-5010 (1990): Moll
Cell Biol., 12, 3023 -3031 (1992): J.Bio.Chem.,26
6(8)11594-11603(1991))。
【0006】ショウジョウバエADHは、哺乳動物の肝
臓の末端の機能的なアナログである脂肪体に発現されて
いる。ショウジョウバエADH遺伝子のプロモーターに
おいて、box−BエレメントはADH遺伝子の発現を
かり立てるものとして定義されており、脂肪体特異的な
エンハンサーとして作用する(Cell, 53(3), 451-461,(1
988): Nature, 332, 853-856(1988))。box−B様エ
レメントもまた哺乳動物の肝臓の特異的遺伝子であるA
DH−2、チロシン・アミノトランスフェラーゼのプロ
モーター内に特定されている(Gene Dev.,6,p466-480
(1992))。box−Bエレメントに結合する転写因子
は、ショウジョウバエから特定されているbox−Bエ
レメントに結合し、box−B結合因子2(BBF-2/dCREB
-B)と名付けられている(Gene Dev.,6, p466-480 (199
2): Moll Cell Biol.,12 (9) 4123-4131 (1992))。BB
F−2はb−Zip蛋白質のCREB/ATFファミリ
ーに属している。BBF−2は、哺乳動物の肝臓特異的
遺伝子として、box−B様エレメントに対しても結合
することが示されている。
【0007】しかしながら、box−B様エレメントに
結合する哺乳動物転写因子は特定されていない。b−Z
ipドメインまたはb−Zip領域の他の領域にあるB
BF−2に対して高い相同性を有するCREB/ATF
ファミリーの哺乳動物メンバーがクローニングされ、L
ZIP(Luman/CREB3)として名付けられている(Gene,25,
241-245 (1994): EMBO J.19(4)729-740(2000): Moll C
ell Biol., 20 (3) 919-928 (2000))。CRE(cAM
P responsive element)に結合するLZIPが特定さ
れ、CREを通して転写を活性化する。近年LZIP
は、C型肝炎ウィルス(HCV)コア蛋白質との相互作用お
よび細胞外の形質転換を増強することが知られている。
LZIPの発現パターンはヒト組織においてあちこちに
見られる(EMBO J., 19(4) 729-740 (2000))。
【0008】Box-B様エレメントに結合するLZI
Pの能力は評価されていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、肝臓
特異的に発現する新規な転写活性化作用を有する遺伝子
を提供することにある。本発明遺伝子によれば、ヒトC
型肝炎ウイルス(HCV)のコアタンパクと相互作用し、ヒ
トC型肝炎の遺伝子治療、遺伝子診断、ヒトC型肝炎に
対する候補化合物のスクリーニング方法が提供できる。
また、本発明遺伝子によれば肝臓薬物代謝酵素のプロモ
ーターに対して転写活性化作用を示し、肝臓の薬物代謝
に対する遺伝子診断方法が提供される。
【0010】
【課題を解決するための手段】ここに本発明者らは、肝
臓特異的に発現されるK1と名付けられたCREB/A
TFファミリーの新規なメンバーを単離した。K1はb
−ZipドメインにおいてBBF−2及びLZIPに対
してかなり親遠関係があった。本発明者らはK1がbo
x−Bエレメントに結合することを通じて転写を活性化
する能力を有することをここに発見した。
【0011】即ち、本発明は以下の発明を提供するもの
である。 項1. 以下の(a)、(b)、(c)または(d)の
ポリヌクレオチドを含む遺伝子: (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドまたはそれらの相補
鎖、 (b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列を含むポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して少なく
とも95%の相同性を持っているポリヌクレオチド、 (c)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、
1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加
されたアミノ酸配列からなり、かつ遺伝子の転写活性を
有する蛋白質をコードするポリヌクレオチド、 (d)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、
1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加
されたアミノ酸配列からなり、かつcAMP応答エレメ
ント結合活性またはbox−B結合活性を有する蛋白質
をコードするポリヌクレオチド。 項2. 以下の(a)または(b)のいずれかのポリヌ
クレオチドからなる遺伝子: (a)配列番号:2で示される塩基配列またはそれらの
相補鎖からなるポリヌクレオチド、 (b)上記(a)の塩基配列からなるポリヌクレオチド
とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリ
ヌクレオチド。
【0012】項3. 配列番号:2で示される塩基配列
である項2に記載の遺伝子。
【0013】項4. 配列番号:1で示されるアミノ酸
配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドである遺伝子。
【0014】項5. 項1〜4のいずれかに記載の遺伝
子の発現産物。
【0015】項6. 項1〜4のいずれかに記載の遺伝
子を有する組換え体発現ベクター。
【0016】項7. 項6に記載の組換え体発現ベクタ
ーを有する宿主細胞。
【0017】項8. 項1〜4のいずれかに記載の遺伝
子を発現するクローン化cDNAおよびその断片、その
誘導体およびその相同物。
【0018】項9. 配列番号:2で示される塩基配列
中の少なくとも15の連続するヌクレオチド配列を含ん
でおり、かつCREB/ATFファミリー遺伝子のDN
A配列とは異なるオリゴヌクレオチド・プローブまたは
プライマー。
【0019】項10. 配列番号:2で示される塩基配
列中の少なくとも30の連続するヌクレオチド配列を含
んでおり、かつCREB/ATFファミリー遺伝子のD
NA配列とは異なる、項9に記載のオリゴヌクレオチド
・プローブまたはプライマー。
【0020】項11. 項5に記載の遺伝子の発現産
物、またはそれらの部分断片に結合性を有する抗体。
【0021】項12. 項5に記載の遺伝子の発現産物
を有効成分として用いる肝癌予防または治療剤。
【0022】項13. 以下の(a)、(b)、(c)
または(d)のアミノ酸配列を含むポリペプチド: (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなるポ
リペプチド、 (b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列を含むポリ
ペプチドに対して少なくとも95%の相同性を持ってい
るポリペプチド、 (c)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、
1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加
されたアミノ酸配列からなり、かつ遺伝子の転写活性を
有するポリペプチド、 (d)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、
1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加
されたアミノ酸配列からなり、かつcAMP応答エレメ
ント結合活性またはbox−B結合活性を有するポリペ
プチド。
【0023】項14. a)生理的条件下において、転
写活性を促進するために被検物質を処理するのに十分な
時間の間、C型肝炎コアタンパクの存在下において項1
〜4のいずれかに記載の遺伝子発現産物に対して被検物
質を提示させる工程、 b)被検物質の存在下の活性に対する比較において、項
1〜4のいずれかに記載の遺伝子発現産物の転写活性の
促進を検出し、そしてC型肝炎コアタンパクの癌化を抑
制する化合物の被検物質の存在を特定する工程を含む、
項1〜4のいずれかに記載の遺伝子、または項5に記載
の遺伝子発現産物および項13に記載のポリペプチドを
用い、項1〜4のいずれかに記載の遺伝子、または項5
に記載の遺伝子発現産物、及び項13に記載のポリペプ
チドの転写活性を促進する候補化合物をスクリーニング
する、転写活性を促進する候補化合物のスクリーニング
方法。
【0024】項15. 項14の転写活性を促進する候
補化合物のスクリーニング方法に用いられるスクリーニ
ング用キット。
【0025】項16. 項1〜4のいずれかに記載の遺
伝子の遺伝子発現レベルの高低を測定し、前記遺伝子発
現レベルの高低の差異または、該遺伝子のポリモルフィ
ズムを分析し、C型肝炎による癌化を予測する方法。
【0026】項17. a)被検物質を項1〜4のいず
れかに記載の遺伝子発現産物に対して被検物質を反応さ
せる工程、 b)被検物質の存在下の転写活性に対する比較におい
て、項1〜4のいずれかに記載の遺伝子の発現産物の転
写活性の促進作用によって、被検物質の遺伝子発現レベ
ルが上昇される代謝酵素の存在を特定する工程を含む、
項1〜4のいずれかに記載の遺伝子、または項5に記載
の遺伝子発現産物および項13に記載のポリペプチドを
用い、項1〜4のいずれかに記載の遺伝子、または項5
に記載の遺伝子発現産物、及び項13に記載のポリペプ
チドの転写活性促進作用によって、遺伝子発現レベルが
上昇される候補代謝酵素をスクリーニングする候補代謝
酵素のスクリーニング方法。
【0027】また、本発明によれば、K1遺伝子または
遺伝子発現産物を用いる相互作用物のスクリーニング方
法が提供できる。
【0028】本発明によれば、K1ポリペプチドまたは
K1遺伝子発現産物の機能を刺激または抑制する化合物
を同定するためのスクリーニング法であって、(a) 候補
化合物と、該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物(また
は該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物を担持している
細胞もしくはその膜)またはその融合タンパク質との結
合を、該候補化合物に直接または間接的に結合させた標
識により測定する方法、(b) 候補化合物と、該ポリペプ
チドまたは遺伝子発現産物(または該ポリペプチドまた
は遺伝子発現産物を担持している細胞もしくはその膜)
またはその融合タンパク質との結合を、標識競合物質の
存在下で測定する方法、(c) 候補化合物が該ポリペプチ
ドまたは遺伝子発現産物の活性化または抑制により生ず
るシグナルをもたらすか否かを、該ポリペプチドまたは
遺伝子発現産物を担持している細胞または細胞膜に適し
た検出系を用いて調べる方法、(d) 候補化合物と、該ポ
リペプチドまたは遺伝子発現産物を含有する溶液とを同
時に混合して混合物を調製し、該混合物中の該ポリペプ
チドまたは遺伝子発現産物の活性を測定し、該混合物の
活性をスタンダードと比較する方法、および(e) 候補化
合物が細胞における該ポリペプチドをコードするmRN
Aおよび該ポリペプチドの産生に及ぼす効果を検出する
方法よりなる群から選択される方法を含んでなるスクリ
ーニング法が提供される。
【0029】以下、本明細書におけるアミノ酸、ペプチ
ド、塩基配列、核酸等の略号による表示は、IUPAC
−IUBの規定〔IUPAC-IUB Communication on Biologi
calNomenclature, Eur. J. Biochem., 138: 9 (198
4)〕、「塩基配列またはアミノ酸配列を含む明細書等の
作成のためのガイドライン」(特許庁編)および当該分
野における慣用記号に従うものとする。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明遺伝子の一具体例として
は、後述する実施例に示される「K1」と名付けられた
PCR産物のDNA配列から演繹されるものを挙げるこ
とができる。その塩基配列は、配列番号:3に示される
とおりである。
【0031】該遺伝子は、配列番号:1に示される46
1アミノ酸配列の新規な転写活性因子(K1蛋白質とい
う)をコードするヒトcDNAであり、全長2586塩
基からなっている。
【0032】本発明遺伝子K1でコードされるK1蛋白
質は、FASTAプログラム(Person W. R., et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 85, 2444-2448 (198
8))を利用したGenBank/EMBLデーターベー
スの検索の結果、ヒトLZIP、マウスOASIS、シ
ョウジョウバエのBBF−2などのCREB/ATFフ
ァミリーと相同性が検出された。また本発明遺伝子は、
2つのロイシン・ジッパー・ドメイン(Leucine-Zip)
と塩基性ドメイン(basic domain, basic region)を含
むb−Zipドメインからなる10のエクソンを有する
全長19.4キロ塩基対のゲノム配列からなっていた。
該ゲノム配列は、ヒト染色体19p13.3にマップさ
れた。
【0033】尚、本発明において遺伝子は、2本鎖DN
Aのみならず、それを構成するセンス鎖およびアンチセ
ンス鎖といった各1本鎖DNAを包含する趣旨であり、
またその長さに何ら制限されるものではない。従って、
本発明の遺伝子(DNA)には、特に言及しない限り、ヒト
ゲノムDNAを含む2本鎖DNA、およびcDNAを含
む1本鎖DNA(センス鎖)、並びに該センス鎖と相補
的な配列を有する1本鎖DNA(アンチセンス鎖)、お
よびそれらの断片のいずれもが含まれる。
【0034】本発明において、遺伝子は、リーダ配列、
コード領域、エキソン、イントロンを含む。ポリヌクレ
オチドは、RNA、DNAを例示できる。DNAは、c
DNA、ゲノムDNA、合成DNAを含み、特定アミノ
酸配列を有するポリペプチドは、その断片、同族体、誘
導体、変異体を含む。
【0035】変異体は、天然に存在するアレル変異体、
天然に存在しない変異体、欠失、置換、付加、および挿
入された変異体;コードされるポリペプチドの機能を実
質的に変更しないポリヌクレオチド配列を有する変異体
を意味する。
【0036】尚、これらアミノ酸配列の改変(変異等)
は、天然において、例えば突然変異や翻訳後の修飾等に
より生じることもあるが、天然由来の遺伝子(例えば本
発明の具体例遺伝子)を利用して人為的にこれを行なう
こともできる。
【0037】上記ポリペプチドは、アレル体、ホモロ
グ、天然の変異体で少なくとも90%、好ましくは、95
%、より好ましくは98%、さらにより好ましくは99%相
同なものを含む。
【0038】また、変異体は共通に保存する構造的な特
徴があり、本発明遺伝子発現産物の生物活性、例えばK
1遺伝子の過剰発現に基づく、転写活性因子としての他
の遺伝子の転写活性化作用、またはcAMP応答エレメ
ント結合活性またはbox−B結合活性などの配列特異
的結合活性により、他の蛋白質との相互作用を与える活
性、例えば、C型肝炎ウイルスコアタンパクと相互作用
し、ウイルスの癌化を抑制する作用、あるいは肝臓の代
謝酵素のプロモーターに存在するcAMP応答エレメン
ト結合活性またはbox−B結合活性などの配列特異的
結合し、該プロモーターの転写を活性化することにより
肝臓における薬物代謝遺伝子の発現を制御する活性な
ど、これら転写調節活性を有しているものをいう。以
下、遺伝子の転写活性化作用とは、K1遺伝子の発現物
(またはK1遺伝子のセンス鎖)が他の遺伝子の転写活
性化を促進し、他の遺伝子の発現を促進する作用をい
う。
【0039】なおポリペプチドの相同性は配列分析ソフ
トウェア、例えばFASTAプログラムを使用した測定
(Clustal,V., Methods Mol.Biol., 25, 307-318 (199
4))において、或いはSWISSPLOTSで解析する
ことが出来る。
【0040】変異体DNAは、アミノ酸置換についてサ
イレントまたは保存変異体を意味し、塩基配列によって
コードされるアミノ酸残基が変らない塩基配列の変異の
ことを表わす。
【0041】保存的なアミノ酸置換の数は以下に示され
ているとおりである: 元のアミノ酸残基 保存的な置換アミノ酸残基 Ala Ser Arg Lys Asn GlnまたはHis Asp Glu Cys Ser Gln Asn Glu Asp Gly Pro His AsnまたはGln Ile LeuまたはVal Leu IleまたはVal Lys Arg, AlnまたはGlu Met LeuまたはIle Phe Met, LeuまたはTyr Ser Thr Thr Ser Trp Tyr Tyr TrpまたはPhe Val IleまたはLeu 加えて、一般にシスティン残基をコードする1またはそ
れ以上のコドンは、特定のポリペプチドのジスフィド結
合に影響を与えるので、システイン残基の欠失の結果、
置換することが可能である。
【0042】置換基を選択することによって作られる機
能における実質的な変化は、上記アミノ酸のリストに記
載されたものより少し保存性が劣っている:例えば、a)
置換基の領域におけるポリペプチドの構造背景、 b)標的部位のポリペプチドの電荷または疎水性、 c)アミノ酸側鎖の大きさ(容積)。
【0043】蛋白の特性に最も大きな変化を生み出すと
一般的に期待される置換は、以下のものである: a) 親水性残基、例えばセリルまたはスレオニルが疎水
性残基、例えば、ロイシル、イソロイシル、ファニルア
ラニル、ヴァリル、またはアラニルに対して置換され
る、 b) システィンまたはプロリンは、いかなる他の残基に
対して置換される、 c) 電気的陽性側鎖を有している残基、例えば、リジ
ル、アルギニル、ヒスチジルは電気的陰性残基、例え
ば、バルタミルまたはアスパルチルによって置換される
が、 d) 非常に大きな側鎖を有している残基、例えば、フェ
ニルアラニンはグリシンのような側鎖を有しないものと
置換できる。
【0044】以上のとおり、本発明遺伝子K1およびそ
の遺伝子産物の提供は、転写活性因子としての新規遺伝
子の解明、把握、診断、予防および治療等に極めて有用
な情報乃至手段を与える。また、本発明遺伝子は、上記
C型肝炎ウイルスコアタンパクと相互作用し、ウイルス
の癌化を抑制する作用による肝癌予防および治療の処置
に利用される本発明遺伝子の発現の誘導を促進する新規
薬剤の開発の上でも好適に利用できる。更に、個体或は
組織における本発明遺伝子の発現またはその産物の発現
の検出や、該遺伝子の変異(欠失や点変異)乃至発現異
常の検出は、上記C型肝炎ウイルスコアタンパクと相互
作用の解明や本発明遺伝子発現タンパクとC型肝炎ウイ
ルスコアタンパクと相互作用に関する遺伝子診断におい
て好適に利用できる。
【0045】本発明遺伝子は、具体的には配列番号:1
で示されるアミノ酸配列をコードする配列番号:2の塩
基配列を含む遺伝子、または該配列番号:2で示される
塩基配列の全部またはその相補鎖を含むポリヌクレオチ
ドからなる遺伝子として示されるが、特にこれらに限定
されることなく、例えば、上記特定のアミノ酸配列にお
いて一定の改変を有するアミノ酸配列をコードする遺伝
子や、上記特定のアミノ酸配列や塩基配列と一定の相同
性を有する遺伝子であることができる。前記特定のアミ
ノ酸配列や塩基配列と一定の相同性は、例えば少なくと
も90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは
98%以上、更に好ましくは99%以上の相同性を有す
るものであり、これら相同物を含む。
【0046】本発明遺伝子改変体については、配列番
号:1に示されるアミノ酸配列において1または複数の
アミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列
(改変されたアミノ酸配列)をコードする塩基配列を含
む遺伝子もまた包含される。 ここで、「アミノ酸の欠
失、置換または付加」の程度およびそれらの位置など
は、改変された蛋白質が、配列番号:1で示されるアミ
ノ酸配列からなる蛋白質(K1蛋白)と同様の機能を有
する同効物であれば特に制限されないが、好ましくは1
から十数個、更に好ましくは1から数個程度の改変が、
K1蛋白と同様の機能を有するうえで好ましく例示され
る。
【0047】ここで「同様の機能」とは、転写活性因子
としての他の遺伝子の転写活性化作用、またはcAMP
応答エレメント結合活性またはbox−B結合活性など
の配列特異的結合活性により、他の蛋白質との相互作用
を与える活性、例えばC型肝炎ウイルスコアタンパクと
相互作用し、ウイルスの癌化を抑制する作用、あるいは
肝臓の代謝酵素のプロモーターに存在するcAMP応答
エレメント結合活性またはbox−B結合活性などの配
列特異的結合し、該プロモーターの転写を活性化するこ
とにより肝臓における薬物代謝遺伝子の発現を制御する
活性など、これら転写調節活性を例示できる。
【0048】かくしてK1は、CREB(cAMP responsi
ve element binding factor)/ATFファミリーのひと
つである。これらの特性を以後「K1活性」または「K
1ポリペプチド活性」または「K1の生物学的活性」と
いう。これらの活性の中には、前記K1ポリペプチドの
抗原性および免疫原性活性、特に配列番号1のポリペプ
チドの抗原性および免疫原性活性も含まれる。本発明の
ポリペプチドは、K1の少なくとも1つの生物学的活性
を示すことが好ましい。
【0049】また、上記改変されたアミノ酸配列をコー
ドする遺伝子は、その利用によって改変前のアミノ酸配
列をコードする本発明K1遺伝子が検出できるものであ
ってもよい。
【0050】さらに本発明のDNA分子としては、例え
ば配列番号:1に示されるアミノ酸配列からなる蛋白質
をコードする塩基配列を有するK1遺伝子を挙げること
ができるが、特にこれに限定されることなく、当該K1
遺伝子の相同物も包含される。
【0051】ここで「K1遺伝子の相同物」とは、本発
明K1遺伝子(またはその遺伝子産物)と配列相同性を
有し、上記構造的特徴並びに遺伝子発現パターンにおけ
る共通性、および上記したようなその生物学的機能の類
似性によりひとつの遺伝子ファミリーと認識される一連
の関連遺伝子を意味し、K1遺伝子のアレル体(対立遺
伝子)も当然含まれる。
【0052】上記遺伝子でコードされるアミノ酸配列の
改変(変異)などは、天然において、例えば突然変異や
翻訳後の修飾などにより生じることもあるが、天然由来
の蛋白または遺伝子(例えば本発明のヒトK1またはヒ
トK1遺伝子)に基づいて人為的に改変することもでき
る。本発明は、このような改変・変異の原因および手段
などを問わず、上記特性を有する全ての改変遺伝子を包
含する。本発明の遺伝子(ヒトK1遺伝子)には、配列
番号:1で示されるアミノ酸配列を有する蛋白質をコー
ドする遺伝子の対立遺伝子(アレル体)もまた包含され
る。
【0053】上記の人為的手段としては、例えばサイト
スペシフィック・ミュータゲネシス〔Methods in Enzym
ology, 154, 350, 367-382 (1987);同 100, 468 (198
3);Nucleic Acids Res., 12, 9441 (1984);続生化学
実験講座1「遺伝子研究法II」、日本生化学会編, p105
(1986)〕などの遺伝子工学的手法、リン酸トリエステ
ル法やリン酸アミダイト法などの化学合成手段〔J. Am.
Chem. Soc., 89, 4801(1967);同 91, 3350 (1969);S
cience, 150, 178 (1968);Tetrahedron Lett.,22, 185
9 (1981);同 24, 245 (1983)〕およびそれらの組合せ
方法などが例示できる。より具体的には、DNAの合成
は、ホスホルアミダイト法またはトリエステル法による
化学合成によることもでき、市販されている自動オリゴ
ヌクレオチド合成装置上で行うこともできる。二本鎖断
片は、相補鎖を合成し、適当な条件下で該鎖を共にアニ
ーリングさせるか、または適当なプライマー配列と共に
DNAポリメラーゼを用い相補鎖を付加するかによっ
て、化学合成した一本鎖生成物から得ることもできる。
【0054】本発明遺伝子の具体的態様としては、配列
番号:2に示される塩基配列を有する遺伝子を例示でき
る。この塩基配列中のコーディング領域は、配列番号:
1に示されるアミノ酸配列の各アミノ酸残基を示すコド
ンの一つの組合せ例を示している。本発明の遺伝子は、
かかる特定の塩基配列を有する遺伝子に限らず、各アミ
ノ酸残基に対して任意のコドンを組合せ、選択した塩基
配列を有することも可能である。コドンの選択は、常法
に従うことができ、例えば利用する宿主のコドン使用頻
度などを考慮することができる〔Ncleic Acids Res.,
9, 43 (1981)〕。
【0055】また、本発明DNA分子は、前記のとお
り、配列番号:2に示される塩基配列と一定の相同性を
有する塩基配列からなるものも包含する。
【0056】上記相同性は、配列番号:2に示される塩
基配列と少なくとも70%の同一性、好ましくは少なく
とも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95%
の同一性、最も好ましくは、98%の同一性を有するポ
リヌクレオチドおよびその相補鎖ポリヌクレオチドを言
う。
【0057】かかる遺伝子としては、例えば、0.1%
SDSを含む0.2×SSC中50℃または0.1%S
DSを含む1×SSC中60℃のストリンジェントな条
件下で配列番号:2に示される塩基配列からなるDNA
とハイブリダイズする塩基配列を有する遺伝子を例示す
ることもできる。
【0058】本発明遺伝子は、本発明により開示された
本発明遺伝子の具体例についての配列情報に基づいて、
一般的遺伝子工学的手法により容易に製造・取得するこ
とができる〔Molecular Cloning 2d Ed, Cold Spring H
arbor Lab. Press (1989);続生化学実験講座「遺伝子
研究法I、II、III」、日本生化学会編(1986)など参
照〕。
【0059】具体的には、本発明遺伝子が発現される適
当な起源より、常法に従ってcDNAライブラリーを調
製し、該ライブラリーから、本発明遺伝子に特有の適当
なプローブや抗体を用いて所望クローンを選択すること
により実施できる〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 7
8, 6613 (1981);Science, 222, 778 (1983)など〕。
【0060】上記において、cDNAの起源としては、
本発明の遺伝子を発現する各種の細胞、組織やこれらに
由来する培養細胞などが例示される。また、これらから
の全RNAの分離、mRNAの分離や精製、cDNAの
取得とそのクローニングなどはいずれも常法に従って実
施することができる。また、cDNAライブラリーは市
販されてもおり、本発明においてはそれらcDNAライ
ブラリー、例えばクローンテック社(Clontech Lab.In
c.)などより市販されている各種cDNAライブラリー
などを用いることもできる。
【0061】本発明の遺伝子をcDNAライブラリーか
らスクリーニングする方法も、特に制限されず、通常の
方法に従うことができる。
【0062】具体的には、例えばcDNAによって産生
される蛋白質に対して、該蛋白質の特異抗体を使用した
免疫的スクリーニングにより対応するcDNAクローン
を選択する方法、目的のDNA配列に選択的に結合する
プローブを用いたプラークハイブリダイゼーション、コ
ロニーハイブリダイゼーションなどやこれらの組合せな
どを例示できる。
【0063】ここで用いられるプローブとしては、本発
明の遺伝子の塩基配列に関する情報をもとにして化学合
成されたDNAなどが一般的に使用できるが、既に取得
された本発明遺伝子やその断片も良好に利用できる。ま
た、本発明遺伝子の塩基配列情報に基づき設定したセン
ス・プライマー、アンチセンス・プライマーをスクリー
ニング用プローブとして用いることもできる。
【0064】前記プローブとして用いられるヌクレオチ
ド配列は、配列番号2に対応する部分ヌクレオチド配列
であって、少なくとも15個の連続した塩基、好ましく
は20個の連続した塩基、より好ましくは30個の連続
した塩基、最も好ましくは50個の連続した塩基を有す
るものも含まれる、或いは前記配列を有する陽性クロー
ンそれ自体をプローブとして用いることも出来る。ここ
で本発明において選択されるプローブとして用いられる
ヌクレオチド配列は、配列番号2に対応する部分ヌクレ
オチド配列であって、かつ他のCREB/ATFファミ
リー遺伝子のDNA配列とは異なるオリゴヌクレオチド
配列のプライマー配列であることを必須の要件とするこ
とはいうまでもない。
【0065】本発明の遺伝子の取得に際しては、PCR
法〔Science, 230, 1350 (1985)〕によるDNA/RN
A増幅法が好適に利用できる。殊に、ライブラリーから
全長のcDNAが得られ難いような場合には、RACE
法〔Rapid amplification ofcDNA ends;実験医学、12
(6), 35 (1994)〕、特に5'-RACE法〔M.A. Frohma
n, etal., Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 8, 8998 (1
988)〕などの採用が好適である。
【0066】かかるPCR法の採用に際して使用される
プライマーは、本発明によって明らかにされた本発明の
遺伝子の配列情報に基づいて適宜設定でき、これは常法
に従って合成できる。尚、増幅させたDNA/RNA断
片の単離精製は、前記の通り常法に従うことができ、例
えばゲル電気泳動法などによればよい。
【0067】また、上記で得られる本発明遺伝子或いは
各種DNA断片は、常法、例えばジデオキシ法〔Proc.
Natl. Acad. Sci., USA., 74, 5463 (1977)〕やマキサ
ム−ギルバート法〔Methods in Enzymology, 65, 499
(1980)〕などに従って、また簡便には市販のシークエン
スキットなどを用いて、その塩基配列を決定することが
できる。
【0068】このようにして得られる本発明の遺伝子に
よれば、例えば該遺伝子の一部または全部の塩基配列を
利用することにより、個体もしくは各種組織における本
発明遺伝子の発現の有無を特異的に検出することができ
る。
【0069】かかる検出は常法に従って行うことがで
き、例えばRT−PCR〔Reverse transcribed-Polyme
rase chain reaction; E.S. Kawasaki, et al., Amplif
ication of RNA. In PCR Protocol, A Guide to method
s and applications, AcademicPress,Inc.,SanDiego, 2
1-27 (1991)〕によるRNA増幅やノーザンブロッティ
ング解析〔Molecular Cloning, Cold Spring Harbor La
b. (1989)〕、in situRT−PCR〔Nucl. Acids Re
s., 21, 3159-3166 (1993)〕や in situ ハイブリダイ
ゼーションなどを利用した細胞レベルでの測定、NAS
BA法〔Nucleicacid sequence-based amplification,
Nature, 350, 91-92 (1991)〕およびその他の各種方法
を挙げることができる。好適には、RT−PCRによる
検出法を挙げることができる。
【0070】尚、ここでPCR法を採用する場合に用い
られるプライマーとしては、本発明遺伝子のみを特異的
に増幅できる該遺伝子特有のものである限り、特に制限
はなく、本発明遺伝子の配列情報に基いて適宜設定する
ことができる。通常プライマーとして10〜35程度の
ヌクレオチド、好ましくは15〜30ヌクレオチド程度
の長さを有する本発明遺伝子の部分配列を有するものを
挙げることができる。
【0071】このように、本発明の遺伝子には、本発明
にかかるK1遺伝子を検出するための特異プライマーお
よび/または特異プローブとして使用されるDNA断片
もまた包含されるが、上記プライマーの要件と同様に他
のCREB/ATFファミリー遺伝子のDNA配列とは
異なるオリゴヌクレオチド・プライマー/またはプロー
ブであることを必須の要件とする。
【0072】ここで、「CREB/ATFファミリー遺
伝子のDNA配列とは異なる」オリゴヌクレオチドと
は、K1遺伝子のみを検出し他のCREB/ATFファ
ミリー遺伝子を検出しないために、K1遺伝子の塩基配
列中のヌクレオチド配列であって、他のCREB/AT
Fファミリー遺伝子のDNA配列に含まれる配列を除外
する意味である。
【0073】当該DNA断片は、配列番号:2に示され
る塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下
でハイブリダイズすることを特徴とするDNAとして規
定することできる。ここで、ストリンジェントな条件と
しては、プライマーまたはプローブとして用いられる通
常の条件を挙げることができ、特に制限はされないが、
例えば、前述するような0.1%SDSを含む0.2×
SSC中50℃の条件または0.1%SDSを含む1×
SSC中60℃の条件を例示することができる。
【0074】本発明のK1遺伝子によれば、通常の遺伝
子工学的手法を用いることにより、該遺伝子産物(K1
蛋白)またはこれを含む蛋白質を容易に大量に、安定し
て製造することができる。
【0075】従って本発明は、本発明遺伝子によってコ
ードされるK1蛋白質などの蛋白質を始め、該蛋白質の
製造のための、例えば本発明遺伝子を含有するベクタ
ー、該ベクターによって形質転換された宿主細胞、該宿
主細胞を培養して上記本発明蛋白質を製造する方法など
をも提供するものである。
【0076】本発明蛋白質の具体的態様としては、配列
番号:1に示すアミノ酸配列を有するK1蛋白質を挙げ
ることができるが、本発明蛋白質には、該K1蛋白質の
みならず、その相同物も包含される。該相同物として
は、上記配列番号:1に示されるアミノ酸配列におい
て、1もしくは数個乃至複数のアミノ酸が欠失、置換ま
たは付加されたアミノ酸配列を有し、且つ前記K1活性
を有する蛋白質を挙げることができる。ここで前記K1
活性とは、K1遺伝子の過剰発現に基づく、転写活性因
子としての他の遺伝子の転写活性化作用、またはcAM
P応答エレメント結合活性またはbox−B結合活性な
どの配列特異的結合活性により、他の蛋白質との相互作
用を与える活性、例えばC型肝炎ウイルスコアタンパク
と相互作用し、ウイルスの癌化を抑制する作用、あるい
は肝臓の代謝酵素のプロモーターに存在するcAMP応
答エレメント結合活性またはbox−B結合活性などの
配列特異的結合し、該プロモーターの転写を活性化する
ことにより肝臓における薬物代謝遺伝子の発現を制御す
る活性など、これら転写調節活性を例示できる。具体的
には、前記K1遺伝子の相同物(アレル体を含むK1同
等遺伝子)の遺伝子産物を挙げることができる。
【0077】また、本発明K1蛋白質の相同物には、配
列番号:1に示されるアミノ酸配列のK1蛋白質と同一
活性を有する、哺乳動物、例えばヒト、ウマ、ヒツジ、
ウシ、イヌ、サル、ネコ、クマ、ラット、ウサギなど由
来の蛋白質も包含される。
【0078】本発明の蛋白質は、本発明により提供され
るK1遺伝子の配列情報に基づいて、常法の遺伝子組換
え技術〔例えば、Science, 224, 1431 (1984) ; Bioche
m. Biophys. Res. Comm., 130, 692 (1985);Proc. Nat
l. Acad. Sci., USA., 80, 5990 (1983)など参照〕に従
って調製することができる。
【0079】該蛋白質の製造は、より詳細には、該所望
の蛋白をコードする遺伝子が宿主細胞中で発現できる組
換えDNA(発現ベクター)を作成し、これを宿主細胞
に導入して形質転換し、該形質転換体を培養し、次いで
得られる培養物から回収することにより行なわれる。
【0080】上記宿主細胞としては、原核生物および真
核生物のいずれも用いることができ、例えば原核生物の
宿主としては、大腸菌や枯草菌といった一般的に用いら
れるものが広く挙げられ、好適には大腸菌、とりわけエ
シェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12株に含ま
れるものを例示できる。また、真核生物の宿主細胞に
は、脊椎動物、酵母等の細胞が含まれ、前者としては、
例えばサルの細胞であるCOS細胞〔Cell, 23: 175 (1
981)〕やチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞およびその
ジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株〔Proc. Natl. Acad.
Sci., USA., 77:4216 (1980)〕などが、後者としては、
サッカロミセス属酵母細胞などが好適に用いられる。勿
論、これらに限定される訳ではない。
【0081】原核生物細胞を宿主とする場合は、該宿主
細胞中で複製可能なベクターを用いて、このベクター中
に本発明遺伝子が発現できるように該遺伝子の上流にプ
ロモーターおよびSD(シャイン・アンド・ダルガー
ノ)塩基配列、更に蛋白合成開始に必要な開始コドン
(例えばATG)を付与した発現プラスミドを好適に利
用できる。上記ベクターとしては、一般に大腸菌由来の
プラスミド、例えばpBR322、pBR325、pU
C12、pUC13などがよく用いられるが、これらに
限定されず既知の各種のベクターを利用することができ
る。大腸菌を利用した発現系に利用される上記ベクター
の市販品としては、例えばpGEX−4T(Amersham P
harmacia Biotech社)、pMAL−C2,pMAl−P
2(New England Biolabs社)、pET21,pET2
1/lacq(Invitrogen社)、pBAD/His(In
vitrogen社)等を例示できる。
【0082】脊椎動物細胞を宿主とする場合の発現ベク
ターとしては、通常、発現しようとする本発明遺伝子の
上流に位置するプロモーター、RNAのスプライス部
位、ポリアデニル化部位および転写終了配列を保有する
ものが挙げられ、これは更に必要により複製起点を有し
ていてもよい。該発現ベクターの例としては、具体的に
は、例えばSV40の初期プロモーターを保有するpS
V2dhfr〔Mol. Cell. Biol., 1: 854 (1981)〕等が例
示できる。上記以外にも既知の各種の市販ベクターを用
いることができる。動物細胞を利用した発現系に利用さ
れるかかるベクターの市販品としては、例えばpEGF
P−N,pEGFP−C(Clontrech社)、pIND(I
nvitrogen社)、pcDNA3.1/His(Invitroge
n社)などの動物細胞用ベクターや、pFastBac
HT(GibciBRL社)、pAcGHLT(PharMi
ngen社)、pAc5/V5−His,pMT/V5−H
is,pMT/Bip/V5−his(以上Invitrogen
社)などの昆虫細胞用ベクターなどが挙げられる。
【0083】また、酵母細胞を宿主とする場合の発現ベ
クターの具体例としては、例えば酸性ホスフアターゼ遺
伝子に対するプロモーターを有するpAM82〔Proc.
Natl. Acad. Sci., USA., 80: 1 (1983)〕などが例示で
きる。市販の酵母細胞用発現ベクターには、例えばpP
ICZ(Invitrogen社)、pPICZα(Invitrogen
社)なとが包含される。
【0084】プロモーターとしても特に限定なく、エッ
シェリヒア属菌を宿主とする場合は、例えばトリプトフ
ァン(trp)プロモーター、lppプロモーター、la
cプロモーター、recAプロモーター、PL/PRプ
ロモーターなどを好ましく利用できる。宿主がバチルス
属菌である場合は、SP01プロモーター、SP02プ
ロモーター、penPプロモーターなどが好ましい。酵
母を宿主とする場合のプロモーターとしては、例えばp
H05プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロ
モーター、ADHプロモーターなどを好適に利用でき
る。また、動物細胞を宿主とする場合の好ましいプロモ
ーターとしては、SV40由来のプロモーター、レトロ
ウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモータ
ー、ヒートショックプロモーター、サイトメガロウイル
スプロモーター、SRαプロモーターなどを例示でき
る。
【0085】尚、本発明遺伝子の発現ベクターとして
は、通常の融合蛋白発現ベクターも好ましく利用でき
る。該ベクターの具体例としては、グルタチオン−S−
トランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白として発現
させるためのpGEX(Promega社)などを例示でき
る。
【0086】また、成熟ポリペプチドのコード配列が宿
主細胞からのポリペプチドの発現、分泌を助けるポリヌ
クレオチド配列としては、分泌配列、リーダ配列が例示
でき、細菌宿主に対して融合成熟ポリペプチドの精製に
使用されるマーカー配列(ヘキサヒスチジン・タグ、ヒス
チジン・タグ)、哺乳動物細胞の場合はヘマグルチニン(H
A)・タグを例示できる。
【0087】所望の組換えDNA(発現ベクター)の宿
主細胞への導入法およびこれによる形質転換法として
は、特に限定されず、一般的な各種方法を採用すること
ができる。
【0088】また得られる形質転換体は、常法に従い培
養でき、該培養により所望のように設計した遺伝子によ
りコードされる本発明の目的蛋白質が、形質転換体の細
胞内、細胞外または細胞膜上に発現、生産(蓄積、分
泌)される。
【0089】該培養に用いられる培地としては、採用し
た宿主細胞に応じて慣用される各種のものを適宜選択利
用でき、培養も宿主細胞の生育に適した条件下で実施で
きる。
【0090】かくして得られる本発明の組換え蛋白質
は、所望により、その物理的性質、化学的性質などを利
用した各種の分離操作〔「生化学データーブックII」、
1175-1259 頁、第1版第1刷、1980年 6月23日株式会社
東京化学同人発行;Biochemistry, 25(25), 8274 (198
6); Eur. J. Biochem., 163, 313 (1987)など参照〕に
より分離、精製できる。
【0091】該方法としては、具体的には、通常の再構
成処理、蛋白沈澱剤による処理(塩析法)、遠心分離、
浸透圧ショック法、超音波破砕、限外濾過、分子篩クロ
マトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィ
ー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロ
マトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)などの各種液体クロマトグラフィー、透析法、これ
らの組合せが例示でき、特に好ましい方法としては、本
発明蛋白質に対する特異的な抗体を結合させたカラムを
利用したアフィニティクロマトグラフィーなどを例示す
ることができる。
【0092】尚、本発明蛋白質をコードする所望の遺伝
子の設計に際しては、配列番号:2に示されるK1遺伝
子の塩基配列を良好に利用することができる。該遺伝子
は、所望により、各アミノ酸残基を示すコドンを適宜選
択変更して利用することも可能である。
【0093】また、K1遺伝子でコードされるアミノ酸
配列において、その一部のアミノ酸残基ないしはアミノ
酸配列を置換、欠失、付加などにより改変する場合に
は、例えばサイトスペシフィック・ミュータゲネシスな
どの前記した各種方法により行うことができる。
【0094】本発明蛋白質は、また、配列番号:1に示
すアミノ酸配列に従って、一般的な化学合成法により製
造することができる。該方法には、通常の液相法および
固相法によるペプチド合成法が包含される。
【0095】かかるペプチド合成法は、より詳しくは、
アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐
次結合させて鎖を延長させていく所謂ステップワイズエ
ロンゲーション法と、アミノ酸数個からなるフラグメン
トを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング
反応させるフラグメント・コンデンセーション法とを包
含し、本発明蛋白質の合成は、そのいずれによってもよ
い。
【0096】上記ペプチド合成に採用される縮合法も、
常法に従うことができ、例えば、アジド法、混合酸無水
物法、DCC法、活性エステル法、酸化還元法、DPP
A(ジフェニルホスホリルアジド)法、DCC+添加物
(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシ
サクシンアミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボキシイミドなど)法、ウッドワード法
などを例示できる。
【0097】これら各方法に利用できる溶媒も、この種
ペプチド縮合反応に使用されることのよく知られている
一般的なものから適宜選択することができる。その例と
しては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメ
チルスルホキシド(DMSO)、ヘキサホスホロアミ
ド、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸
エチルなどおよびこれらの混合溶媒などを挙げることが
できる。
【0098】尚、上記ペプチド合成反応に際して、反応
に関与しないアミノ酸乃至ペプチドにおけるカルボキシ
ル基は、一般にはエステル化により、例えばメチルエス
テル、エチルエステル、第3級ブチルエステルなどの低
級アルキルエステル、例えばベンジルエステル、p−メ
トキシベンジルエステル、p−ニトロベンジルエステル
などのアラルキルエステルなどとして保護することがで
きる。
【0099】また、側鎖に官能基を有するアミノ酸、例
えばチロシン残基の水酸基は、アセチル基、ベンジル
基、ベンジルオキシカルボニル基、第3級ブチル基など
で保護されてもよいが、必ずしもかかる保護を行う必要
はない。更に、例えばアルギニン残基のグアニジノ基
は、ニトロ基、トシル基、p−メトキシベンゼンスルホ
ニル基、メチレン−2−スルホニル基、ベンジルオキシ
カルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダ
マンチルオキシカルボニル基などの適当な保護基により
保護することができる。
【0100】上記保護基を有するアミノ酸、ペプチドお
よび最終的に得られる本発明蛋白質におけるこれら保護
基の脱保護反応もまた、慣用される方法、例えば接触還
元法や、液体アンモニア/ナトリウム、フッ化水素、臭
化水素、塩化水素、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、メ
タンスルホン酸などを用いる方法などに従って実施する
ことができる。
【0101】かくして得られる本発明蛋白質は、前記し
た各種の方法、例えばイオン交換樹脂、分配クロマトグ
ラフィー、ゲルクロマトグラフィー、向流分配法などの
ペプチド化学の分野で汎用される方法に従って、適宜精
製を行うことができる。
【0102】本発明K1蛋白質は、その特異抗体を作成
するための免疫抗原としても好適に利用でき、この抗原
を利用することにより、所望の抗血清(ポリクローナル
抗体)およびモノクローナル抗体を取得することができ
る。
【0103】該抗体の製造法自体は、当業者によく理解
されているところであり、本発明においてもこれら常法
に従うことができる〔例えば、続生化学実験講座「免疫
生化学研究法」、日本生化学会編(1986)など参照〕。
【0104】かくして得られる抗体は、例えばK1蛋白
の精製およびその免疫学的手法による測定ないしは識別
などに有利に利用することができる。
【0105】また、本発明のK1遺伝子発現産物、また
はK1ポリペプチドおよびそれらの部分は、転写活性因
子として、肝癌に対する抗癌化作用を有することから、
前記K1遺伝子発現産物、またはK1ポリペプチドおよ
びそれらの部分を有効成分とする肝癌の予防・治療剤と
しての医薬組成物として有用である。
【0106】医薬組成物において有効成分とする蛋白質
には、その医薬的に許容される塩もまた包含される。か
かる塩には、当業界で周知の方法により調製される、例
えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マ
グネシウム、バリウム、アンモニウムなどの無毒性アル
カリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩など
が包含される。更に上記塩には、本発明蛋白質と適当な
有機酸ないし無機酸との反応による無毒性酸付加塩も包
含される。代表的無毒性酸付加塩としては、例えば塩酸
塩、塩化水素酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、
酢酸塩、蓚酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、ラウリン酸
塩、硼酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、p−トル
エンスルホン酸塩(トシレート)、クエン酸塩、マレイ
ン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、スルホン
酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、アスコルビン酸
塩、ベンゼンスルホン酸塩およびナプシレートなどが例
示される。
【0107】上記医薬組成物は、本発明蛋白質を活性成
分として、その薬学的有効量を、適当な無毒性医薬担体
ないし希釈剤と共に含有するものが含まれる。
【0108】上記医薬組成物(医薬製剤)に利用できる
医薬担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使用さ
れる、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面
活性剤、滑沢剤などの希釈剤或は賦形剤などを例示で
き、これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜
選択使用される。
【0109】特に好ましい本発明医薬製剤は、通常の蛋
白製剤などに使用され得る各種の成分、例えば安定化
剤、殺菌剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、pH調整
剤、界面活性剤などを適宜使用して調製される。
【0110】上記安定化剤としては、例えばヒト血清ア
ルブミンや通常のL−アミノ酸、糖類、セルロース誘導
体などを例示でき、これらは単独でまたは界面活性剤な
どと組合せて使用できる。特にこの組合せによれば、有
効成分の安定性をより向上させ得る場合がある。
【0111】上記L−アミノ酸としては、特に限定はな
く例えばグリシン、システィン、グルタミン酸などのい
ずれでもよい。
【0112】上記糖としても特に限定はなく、例えばグ
ルコース、マンノース、ガラクトース、果糖などの単糖
類、マンニトール、イノシトール、キシリトールなどの
糖アルコール、ショ糖、マルトース、乳糖などの二糖
類、デキストラン、ヒドロキシプロピルスターチ、コン
ドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などの多糖類などおよび
それらの誘導体などを使用できる。
【0113】界面活性剤としても特に限定はなく、イオ
ン性および非イオン性界面活性剤のいずれも使用でき、
例えばポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキ
ルエステル系、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル
系、ソルビタンモノアシルエステル系、脂肪酸グリセリ
ド系などを使用できる。
【0114】セルロース誘導体としても特に限定はな
く、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチル
セルロースナトリウムなどを使用できる。
【0115】上記糖類の添加量は、有効成分1μg当り
約0.0001mg程度以上、好ましくは約0.01〜
10mg程度の範囲とするのが適当である。界面活性剤
の添加量は、有効成分1μg当り約0.00001mg
程度以上、好ましくは約0.0001〜0.01mg程
度の範囲とするのが適当である。ヒト血清アルブミンの
添加量は、有効成分1μg当り約0.0001mg程度
以上、好ましくは約0.001〜0.1mg程度の範囲
とするのが適当である。アミノ酸は、有効成分1μg当
り約0.001〜10mg程度とするのが適当である。
また、セルロース誘導体の添加量は、有効成分1μg当
り約0.00001mg程度以上、好ましくは約0.0
01〜0.1mg程度の範囲とするのが適当である。
【0116】本発明医薬製剤中に含まれる有効成分の量
は、広範囲から適宜選択されるが、通常約0.0000
1〜70重量%、好ましくは0.0001〜5重量%程
度の範囲とするのが適当である。
【0117】また本発明医薬製剤中には、各種添加剤、
例えば緩衝剤、等張化剤、キレート剤などをも添加する
ことができる。ここで緩衝剤としては、ホウ酸、リン
酸、酢酸、クエン酸、ε−アミノカプロン酸、グルタミ
ン酸および/またはそれらに対応する塩(例えばそれら
のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシ
ウム塩などのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩)な
どを例示できる。等張化剤としては、例えば塩化ナトリ
ウム、塩化カリウム、糖類、グリセリンなどを例示でき
る。またキレート剤としては、例えばエデト酸ナトリウ
ム、クエン酸などを例示できる。
【0118】本発明医薬製剤は、溶液製剤として使用で
きる他に、これを凍結乾燥化し保存し得る状態にした
後、用時水、生埋的食塩水などを含む緩衝液などで溶解
して適当な濃度に調製した後に使用することも可能であ
る。
【0119】本発明の医薬製剤の投与単位形態として
は、各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表
的なものとしては、錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒
剤、カプセル剤などの固体投与形態や、溶液、懸濁剤、
乳剤、シロップ、エリキシルなどの液剤投与形態が含ま
れ、これらは更に投与経路に応じて経口剤、非経口剤、
経鼻剤、経膣剤、坐剤、舌下剤、軟膏剤などに分類さ
れ、それぞれ通常の方法に従い、調合、成形乃至調製す
ることができる。
【0120】例えば、錠剤の形態に成形するに際して
は、上記製剤担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリ
ウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カ
オリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウムなど
の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロッ
プ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合
剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキ
シメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプ
ロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウ
ム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、
炭酸カルシウムなどの崩壊剤、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ス
テアリン酸モノグリセリドなどの界面活性剤、白糖、ス
テアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制
剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム
などの吸収促進剤、グリセリン、デンプンなどの保湿
剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイ
ド状ケイ酸などの吸着剤、精製タルク、ステアリン酸
塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤な
どを使用できる。
【0121】更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した
錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィ
ルムコーティング錠とすることができ、また二重錠ない
しは多層錠とすることもできる。
【0122】丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担
体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、
硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤、アラビア
ゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結
合剤、ラミナラン、カンテンなどの崩壊剤などを使用で
きる。
【0123】カプセル剤は、常法に従い通常本発明の有
効成分を上記で例示した各種の製剤担体と混合して硬質
ゼラチンカプセル、軟質カプセルなどに充填して調整さ
れる。
【0124】経口投与用液体投与形態は、慣用される不
活性希釈剤、例えば水を含む医薬的に許容される溶液、
エマルジョン、懸濁液、シロップ、エリキシルなどを包
含し、更に湿潤剤、乳剤、懸濁剤などの助剤を含ませる
ことができ、これらは常法に従い調製される。
【0125】非経口投与用の液体投与形態、例えば滅菌
水性乃至非水性溶液、エマルジョン、懸濁液などへの調
製に際しては、希釈剤として例えば水、エチルアルコー
ル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イ
ソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステルおよびオリーブ油などの植物油などを
使用でき、また注入可能な有機エステル類、例えばオレ
イン酸エチルなどを配合できる。これらには更に通常の
溶解補助剤、緩衝剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、保存
剤、分散剤などを添加することもできる。滅菌は、例え
ばバクテリア保留フィルターを通過させる濾過操作、殺
菌剤の配合、照射処理および加熱処理などにより実施で
きる。また、これらは使用直前に滅菌水や適当な滅菌可
能媒体に溶解することのできる滅菌固体組成物形態に調
製することもできる。
【0126】坐剤や膣投与用製剤の形態に成形するに際
しては、製剤担体として、例えばポリエチレングリコー
ル、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエス
テル類、ゼラチンおよび半合成グリセライドなどを使用
できる。
【0127】ペースト、クリーム、ゲルなどの軟膏剤の
形態に成形するに際しては、希釈剤として、例えば白色
ワセリン、パラフイン、グリセリン、セルロース誘導
体、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
シリコン、ベントナイトおよびオリーブ油などの植物油
などを使用できる。
【0128】経鼻または舌下投与用組成物は、周知の標
準賦形剤を用いて、常法に従い調製することができる。
【0129】尚、本発明薬剤中には、必要に応じて着色
剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品な
どを含有させることもできる。
【0130】上記医薬製剤の投与方法は、特に制限がな
く、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾
患の程度などに応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、
液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤は経口投
与され、注射剤は単独でまたはブドウ糖やアミノ酸など
の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応
じ単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与され、
坐剤は直腸内投与され、経膣剤は膣内投与され、経鼻剤
は鼻腔内投与され、舌下剤は口腔内投与され、軟膏剤は
経皮的に局所投与される。
【0131】上記医薬製剤中に含有されるべき有効成分
の量およびその投与量は、特に限定されず、所望の治療
効果、投与法、治療期間、患者の年齢、性別その他の条
件などに応じて広範囲より適宜選択される。一般的に
は、該投与量は、通常、1日当り体重1kg当り、約
0.01μg〜10mg程度、好ましくは約0.1μg
〜1mg程度とするのがよく、該製剤は1日に1〜数回
に分けて投与することができる。
【0132】現在のところ、C型肝炎を発症すると、高
率で肝癌を発症するが、その根本的な治療法は、見つか
っておらず、画期的治療法が期待されている。C型肝炎
はC型肝炎ウイルスが、肝細胞に感染し発症することは
よく知られているところであり、該C型肝炎ウイルスの
構成成分である、コアタンパクを強制発現させたトラン
スジェニックマウスは、肝癌を発症することが知られて
おり、肝癌の発症と深い関係があると考えられている。
このC型肝炎ウイルスコアタンパクは、転写因子LZI
Pと相互作用し、LZIPの転写活性化能を抑制し、さ
らに、細胞を癌化させる作用があることが知られてい
る。 本発明者らは、後記実施例に示されるように、本
発明の転写因子K1はこのLZIPと高いアミノ酸配列
の相同性を示し、肝臓特異的な発現をすることを見い出
した。このことは、転写因子K1が、直接または、LZ
IPを介して間接的に、または、LZIPの転写標的遺
伝子への結合を競合することを介して間接的に、C型肝
炎ウイルスコアタンパクと相互作用し、肝癌の発症に関
与する可能性を示唆している。従って、本発明のK1遺
伝子を発現するベクターを使って遺伝子治療を行い、K
1遺伝子をウイルス感染細胞に過剰に発現させることに
よって、コアタンパクの癌化作用を打ち消すことによっ
てC型肝炎ウイルスによる肝癌の発症を予防治療できる
可能性がある。
【0133】即ち、本発明K1遺伝子の全部または一部
のセンス鎖を包含する任意の遺伝子発現ベクターを作成
し、該発現ベクターをこれら組織において強制的に発現
させることにより、K1遺伝子の過剰発現に基づく、転
写活性因子としての他の遺伝子の転写活性化作用、また
はcAMP応答エレメント結合活性またはbox−B結
合活性などの配列特異的結合活性により、他の蛋白質と
の相互作用を与える活性、例えばC型肝炎ウイルスコア
タンパクと相互作用し、ウイルスの癌化を抑制する作
用、あるいは肝臓の代謝酵素のプロモーターに存在する
cAMP応答エレメント結合活性またはbox−B結合
活性などの配列特異的結合し、該プロモーターの転写を
活性化することにより肝臓における薬物代謝遺伝子の発
現を制御する活性など、これら転写調節活性を有する遺
伝子治療用組成物として、或いは遺伝子治療剤として利
用できると考えられる。
【0134】従って、本発明は、K1遺伝子の全部また
は一部のセンス鎖を含有する遺伝子治療用ベクターおよ
び該ベクターによりK1遺伝子のセンス鎖を導入した細
胞を有効成分とする医薬を提供しようとするものであ
る。
【0135】即ち、本発明によれば、配列番号:2で示
される塩基配列の全部または一部を含むK1遺伝子のセ
ンス鎖を含有する遺伝子治療用導入用ベクターおよび該
ベクターによりK1遺伝子センス鎖を導入した細胞、並
びに該遺伝子治療用導入用ベクターおよび該ベクターに
よりK1遺伝子センス鎖を導入した細胞を有効成分とす
る遺伝子治療剤が提供される。
【0136】また、本発明によれば、配列番号:2で示
される塩基配列の全部または一部のセンス鎖を含むK1
遺伝子センス鎖を含有する遺伝子治療用導入用ベクター
および該ベクターによりK1遺伝子センス鎖を導入した
細胞を、C型肝炎の患者のC型肝炎ウイルスコアタンパ
クと相互作用させるため、C型肝炎の患者の肝臓内また
は患者の血管組織部位に投与することによってこれら組
織における転写活性化作用に基づく抗癌化作用、あるい
はこれら細胞におけるK1遺伝子の発現量を促進するこ
とを特徴とするC型肝炎の患者の癌化抑制およびK1活
性促進剤または抗癌薬を提供することができる。
【0137】更にまた、本発明によれば、上記K1遺伝
子センス鎖を含有する遺伝子治療用導入用のウイルスベ
クターを有効成分として含有する医薬、特に、K1活
性、即ち、転写活性作用、cAMP応答エレメント結合
活性またはbox−B結合活性などの配列特異的結合活
性作用、或いはこれら結合活性の亢進作用に基づく結合
した遺伝子の転写を活性化するための処置等に使用され
る当該医薬が提供される。
【0138】以下、かかる遺伝子治療につき詳述する。
尚、以下の遺伝子治療の実施においては、特記しないか
ぎり、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA、遺
伝学、および免疫学の慣用的な方法を用いることができ
る。これらは、例えばマニアティス(Maniatis,T., et a
l., Molecular cloning: A laboratory manual (ColdSp
ring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New Yo
rk (1982))、サムブルック(Sambrook,J., et al.,Molec
ular cloning: A laboratory manual, 2nd Ed. (Cold S
pring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New Y
ork (1981))、アウスベル(Ausbel,F.M., et al., Curre
nt Protocols in Molecular Biology,John Wiley and S
ons, New York, New York,(1992))、グローバー(Glove
r,D.,DNA Cloning,I and II(Oxford Press)(1985))、ア
ナンド(Anand,Techniques forthe Analysis of Complex
Genomes,(Academic Press(1992))、グスリー(Guthrie,
G., et al., Guide to Yeast Genetics and Molecular
Biology, (Academic Press)(1991))およびフィンク(Fin
k,et al., Hum. Gene Ther., 3, 11-19(1992)に記載さ
れている。
【0139】遺伝子治療は、本発明は、本発明K1遺伝
子の発現する細胞において、細胞内でのmRNA量を増
大させ、K1遺伝子の発現を促進するためのセンス医薬
の提供によるK1活性促進または転写活性化作用、cA
MP応答エレメント結合活性またはbox−B結合活性
などの配列特異的結合活性作用、或いはこれら結合活性
の亢進作用に基づく結合した遺伝子の転写を活性化作用
を促進する遺伝子治療法を提供する。該治療法は、例え
ばK1遺伝子を有するK1発現細胞本来のmRNAの転
写或いは翻訳の過程を促進することによって、標的とす
る遺伝子の発現を促進させる方法である。そのためには
遺伝子のmRNAと相補的なセンス・オリゴヌクレオチ
ドを製造し、該センス・オリゴヌクレオチドを標的細胞
に供給する方法としてとらえることができる。
【0140】かかるK1遺伝子の発現機能を促進する作
用を供給すれば、受容細胞/標的細胞におけるK1活性
を促進することができる。当該センス・オリゴヌクレオ
チドを含有するベクターまたはプラスミドを用いて染色
体外に維持し、目的の細胞に導入することができる。
【0141】上記センス・オリゴヌクレオチドを用いた
C型肝炎患者に対する遺伝子治療によれば、レトロウイ
ルス、アデノウイルス、AAV由来のベクターに該セン
ス・オリゴヌクレオチドを組み込み、これをK1活性発
現細胞に感染させてセンス・オリゴヌクレオチドを過剰
発現させることにより、所望の遺伝子の作用を得ること
が出来る。
【0142】このようにK1遺伝子を有する細胞にセン
ス・オリゴヌクレオチドを導入してK1蛋白の発現を促
進させる場合、当該センス・オリゴヌクレオチドは対応
するK1遺伝子の全長に対応するものである必要はな
く、例えば該K1遺伝子の発現機能を促進する機能と実
質的に同質な機能を保持する限りにおいて、前記した改
変体であっても、また特定の機能を保持した一部配列か
らなる遺伝子を使用することもできる。
【0143】かかる組換えおよび染色体外維持の双方の
ための所望遺伝子の導入のためのベクターは、当該分野
において既に知られており、本発明ではかかる既知のベ
クターのいずれもが使用できる。例えば、発現制御エレ
メントに連結したK1のセンス・オリゴヌクレオチドの
コピーを含み、かつ目的の細胞内で当該センス・オリゴ
ヌクレオチド産物を発現できるウイルスベクターまたは
プラスミドベクターを挙げることができる。かかるベク
ターとして、通常前述する発現用ベクターを利用するこ
ともできるが、好適には、例えば起源ベクターとして、
米国特許第5252479号明細書およびPCT国際公
開WO93/07282号明細書に開示されたベクター
(pWP−7A、pwP−19、pWU−1、pWP−
8A、pWP−21および/またはpRSVLなど)ま
たはpRC/CMV(Invitrogen社製)などを用いて、
調製されたベクターを挙げることができる。より好まし
くは、後述する各種ウイルス・ベクターである。
【0144】なお、遺伝子導入治療において用いられる
ベクターに使用されるプロモーターとしては、各種疾患
の治療対象となる患部組織に固有のものを好適に利用す
ることができる。
【0145】その具体例としては、例えば、肝臓に対し
ては、アルブミン、α−フェトプロティン、α1−アン
チトリプシン、トランスフェリン、トランススチレンな
どを例示できる。結腸に対しては、カルボン酸アンヒド
ラーゼI、カルシノエンブロゲンの抗原などを例示でき
る。子宮および胎盤に対しては、エストロゲン、アロマ
ターゼサイトクロームP450、コレステロール側鎖切
断P450、17アルファーヒドロキシラーゼP450
などを例示できる。
【0146】前立腺に対しては、前立腺抗原、gp91
−フォックス遺伝子、前立腺特異的カリクレインなどを
例示できる。乳房に対しては、erb−B2、erb−
B3、β−カゼイン、β−ラクトグロビン、乳漿蛋白質
などを例示できる。肺に対しては、活性剤蛋白質Cウロ
グロブリンなどを例示できる。皮膚に対しては、K−1
4−ケラチン、ヒトケラチン1または6、ロイクリンな
どを例示できる。
【0147】脳に対しては、神経膠繊維質酸性蛋白質、
成熟アストロサイト特異蛋白質、ミエリン塩基性蛋白
質、チロシンヒドロキシラーゼなどを例示できる。膵臓
においては、ヴィリン、グルカゴン、ランゲルハンス島
アミロイドポリペプチドなどを例示できる。甲状腺に対
しては、チログロブリン、カルシトニンなどを例示でき
る。骨に対しては、α1コラーゲン、オステオカルシ
ン、骨シアログリコプロティンなどを例示できる。腎臓
に対してはレニン、肝臓/骨/腎臓アルカリ性ホスフォ
ターゼ、エリスロポエチンなどを、膵臓に対しては、ア
ミラーゼ、PAP1などを例示できる。
【0148】なおセンス・オリゴヌクレオチド導入用ベ
クターの製造において、導入されるセンス・オリゴヌク
レオチド(K1遺伝子配列に対応する配列全部または一
部)は、本発明のK1遺伝子の塩基配列情報に基づい
て、前記の如く、一般的遺伝子工学的手法により容易に
製造・取得することができる。
【0149】かかるセンス・オリゴヌクレオチド導入用
ベクターの細胞への導入は、例えばエレクトロポレーシ
ョン、リン酸カルシウム共沈法、ウイルス形質導入など
を始めとする、細胞にDNAを導入する当該分野におい
て既に知られている各種の方法に従って行うことができ
る。なお、K1のセンス・オリゴヌクレオチドで形質転
換された細胞は、それ自体単離状態でK1活性を促進す
るための医薬や、治療研究のためのモデル系として利用
することも可能である。
【0150】遺伝子治療においては、上記のセンス・オ
リゴヌクレオチド導入用ベクターは、患者の対象とする
組織部位に局所的にまたは全身的に注射投与することに
より患者の標的細胞内に導入することができる。この際
全身的投与によれば、他の部位にK1mRNAが発現し
得るいずれの細胞にも到達させることができる。形質導
入された遺伝子が各標的細胞の染色体内に恒久的に取り
込まれない場合には、該投与を定期的に繰り返すことに
よって達成できる。
【0151】本発明の遺伝子治療方法は、前述するセン
ス・オリゴヌクレオチド導入用の材料(センス・オリゴ
ヌクレオチド導入用ベクター)を直接体内に投与するイ
ンビボ(in vivo)法と、患者の体内より一旦標的とす
る細胞を取り出して体外で遺伝子を導入して、その後、
該細胞を体内に戻すエクスビボ(ex vivo)法の両方の
方法を包含する。
【0152】またK1のセンス・オリゴヌクレオチドを
直接細胞内に導入する遺伝子治療も可能である。
【0153】後述する、本発明K1に対応する配列のセ
ンス・オリゴヌクレオチド全部もしくはその断片を含有
する遺伝子導入用ベクターおよび該ベクターによりヒト
K1のセンス・オリゴヌクレオチドが導入された細胞を
有効成分とする本発明の遺伝子治療剤は、特にC型肝炎
患者をその利用対象とするものであるが、上記の遺伝子
治療(処置)は、C型肝炎患者患者以外にも C型肝炎
ウイルスコア蛋白質に起因するC型肝炎合併症の治療を
も目的として行うことができる。
【0154】また、センス・オリゴヌクレオチドを導入
する標的細胞は、遺伝子治療(処置)の対象により適宜
選択することができる。例えば、標的細胞として、特に
脳・神経組織、脳細胞、脳神経細胞の他、K1発現が認
められる組織の細胞、心臓、胎盤、肺、肝臓、膵臓、脾
臓、小腸、末梢血組織以外に、神経細胞、リンパ球、線
維芽細胞、肝細胞、造血幹細胞、如き細胞などを挙げる
ことができる。
【0155】上記遺伝子治療におけるセンス・オリゴヌ
クレオチド導入方法には、ウイルス的導入方法および非
ウイルス的導入方法が含まれる。
【0156】ウイルス的導入方法としては、例えば、K
1のセンス・オリゴヌクレオチドが正常細胞に発現する
外来の物質であることに鑑みて、ベクターとしてレトロ
ウイルスベクターを用いる方法を挙げることができる。
その他のウイルスベクターとしては、アデノウイルスベ
クター、HIV(human immunodeficiency virus)ベク
ター、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV,adeno-as
sociated virus)、ヘルペスウイルスベクター、単純ヘ
ルペスウイルス(HSV)ベクターおよびエプスタイン
−バーウイルス(EBV,Epstein-Barr virus)ベクタ
ーなどがあげられる。
【0157】非ウイルス的な遺伝子導入方法としては、
リン酸カルシウム共沈法;DNAを封入したリポソーム
と予め紫外線で遺伝子を破壊した不活性化センダイウイ
ルスを融合させて膜融合リポソームを作成し、細胞膜と
直接融合させてDNAを細胞内に導入する膜融合リポソ
ーム法〔Kato,K.,et al., J. Biol. Chem., 266, 22071
-22074 (1991)〕;プラスミドDNAを金でコートして
高圧放電によって物理的に細胞内にDNAを導入する方
法〔Yang,N.S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 87,
9568-9572 (1990)〕;プラスミドDNAを直接インビボ
で臓器や腫瘍に注入するネイキッド(naked)DNA法
〔Wolff,J.A.,et al., Science, 247, 1465-1467 (199
0)〕;多重膜正電荷リポソームに包埋した遺伝子を細胞
に導入するカチオニック・リポソーム法〔八木国夫, 医
学のあゆみ, Vol.175, No.9, 635-637 (1995)〕;特定
細胞のみに遺伝子を導入し、他の細胞に入らないように
するために、目的とする細胞に発現するレセプターに結
合するリガンドをDNAと結合させてそれを投与するリ
ガンド−DNA複合体法〔Frindeis,et al., TrendsBio
technol., 11, 202 (1993); Miller,et al., FASEB J.,
9, 190 (1995)〕などを使用することができる。
【0158】上記リガンド−DNA複合体法には、例え
ば肝細胞が発現するアシアロ糖蛋白レセプターをターゲ
ットとしてアシアロ糖蛋白をリガンドとして用いる方法
〔Wu, et al., J. Biol. Chem., 266, 14338 (1991); F
erkol,et al.,FASEB J., 7,1081-1091 (1993)〕や、腫
瘍細胞が強く発現しているトランスフェリン・レセプタ
ーを標的としてトランスフェリンをリガンドとして用い
る方法〔Wagner et al., Proc. Natl. Acad. Sci., US
A., 87,3410 (1990)〕などが含まれる。
【0159】また本発明で用いられる遺伝子導入法は、
上記の如き各種の生物学的および物理学的な遺伝子導入
法を適宜組合せたものであってもよい。該組合せによる
方法としては、例えばあるサイズのプラスミドDNAを
アデノウイルス・ヘキソン蛋白質に特異的なポリリジン
抱合抗体と組合わせる方法を例示できる。該方法によれ
ば、得られる複合体がアデノウイルスベクターに結合
し、かくして得られる三分子複合体を細胞に感染させる
ことにより本発明センス・オリゴヌクレオチドの導入を
行い得る。この方法では、アデノウイルスベクターにカ
ップリングしたDNAが損傷される前に、効率的な結
合、内在化およびエンドソーム分解が可能となる。ま
た、前記リポソーム/DNA複合体は、直接インビボに
て遺伝子導入を媒介できる。
【0160】以下、具体的な本発明のセンス・オリゴヌ
クレオチド導入用ウイルスベクターの作成法並びに標的
細胞または標的組織へのセンス・オリゴヌクレオチド導
入法について述べる。
【0161】レトロウイルスベクター・システムは、ウ
イルスベクターとヘルパー細胞(パッケージング細胞)
からなっている。ここでヘルパー細胞は、レトロウイル
スの構造蛋白質gag(ウイルス粒子内の構造蛋白
質)、pol(逆転写酵素)、env(外被蛋白質)な
どの遺伝子を予め発現しているが、ウイルス粒子を生成
していない細胞を言う。一方、ウイルスベクターは、パ
ッケージングシグナルやLTR(long terminal repeat
s)を有しているが、ウイルス複製に必要なgag、po
l、envなどの構造遺伝子を持っていない。パッケー
ジング・シグナルはウイルス粒子のアセンブリーの際に
タグとなる配列で、選択遺伝子(neo,hyg)とク
ローニングサイトに組込まれた所望の導入センス・オリ
ゴヌクレオチド(K1に対応する全センス・オリゴヌク
レオチドまたはその断片)がウイルス遺伝子の代りに挿
入される。ここで高力価のウイルス粒子を得るにはイン
サートを可能な限り短くし、パッケージングシグナルを
gag遺伝子の一部を含め広くとることと、gag遺伝
子のATGを残さぬようにすることが重要である。
【0162】所望のK1のセンス・オリゴヌクレオチド
を組み込んだベクターDNAをヘルパー細胞に移入する
ことによって、ヘルパー細胞が作っているウイルス構造
蛋白質によりベクターゲノムRNAがパッケージされて
ウイルス粒子が形成され、分泌される。組換えウイルス
としてのウイルス粒子は、標的細胞に感染した後、ウイ
ルスゲノムRNAから逆転写されたDNAが細胞核に組
み込まれ、ベクター内に挿入されたセンス遺伝子が発現
する。
【0163】尚、所望の遺伝子の導入効率を上げる方法
として、フイブロネクチンの細胞接着ドメインとヘパリ
ン結合部位と接合セグメントとを含む断片を用いる方法
〔Hanenberg,H.,et al., Exp.Hemat., 23, 747 (199
5)〕を採用することもできる。
【0164】なお、上記レトロウイルスベクター・シス
テムにおいて用いられるベクターとしては、例えばマウ
スの白血病ウイルスを起源とするレトロウイルス〔McLa
chlin, J.R., et al., Proc. Natl. Acad. Res. Molec.
Biol., 38, 91-135 (1990)〕を例示することができ
る。
【0165】アデノウイルスベクターを利用する方法に
つき詳述すれば、該アデノウイルスベクターの作成は、
バークネル〔Berkner,K.L., Curr.Topics Microbiol.Im
munol., 158, 39-66 (1992)〕、瀬戸口康弘ら〔Setoguc
hi,Y.,et al., Blood, 84, 2946-2953 (1994)〕、鐘カ
江裕美ら〔実験医学, 12,28-34 (1994)〕およびケナー
ら〔Ketner,G.,et al., Proc.Natl.Acad.Sci.,USA., 9
1, 6186-6190 (1994)〕の方法に準じて行うことができ
る。
【0166】例えば、非増殖性アデノウイルスベクター
を作成するには、まずアデノウイルスの初期遺伝子のE
1および/またはE3遺伝子領域を除去する。次に、目
的とする所望の外来遺伝子発現単位(目的とする導入セ
ンス・オリゴヌクレオチド、即ち本発明K1のセンス・
オリゴヌクレオチド、そのセンス・オリゴヌクレオチド
を転写するためのプロモーター、転写された遺伝子の安
定性を賦与するポリAから構成)およびアデノウイルス
ゲノムDNAの一部を含むプラスミドベクターと、アデ
ノウイルスゲノムを含むプラスミドとを、例えば293
細胞に同時にトランスフェクションする。この2者間で
相同性組換えを起こさせて、遺伝子発現単位とE1とを
置換することにより、所望のK1のセンス・オリゴヌク
レオチドを包含する本発明ベクターである非増殖性アデ
ノウイルスベクターを作成することができる。また、コ
スミドベクターにアデノウイルスゲノムDNAを組み込
んで、末端蛋白質を付加した3’側アデノウイルスベク
ターを作成することもできる。更に組換えアデノウイル
スベクターの作成には、YACベクターも利用可能であ
る。
【0167】アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの
製造につき概略すると、AAVはアデノウイルスの培養
系に混入してくる小型のウイルスとして発見された。こ
れには、ウイルス複製にヘルパーウイルスを必要とせず
宿主細胞内で自律的に増殖するパルボウイルス属と、ヘ
ルパーウイルスを必要とするディペンドウイルス属の存
在が確認されている。該AAVは宿主域が広く、種々の
細胞に感染するありふれたウイルスであり、ウイルスゲ
ノムは大きさが4680塩基の線状一本鎖DNAからな
り、その両端の145塩基がITR(inverted terminal
repeat)と呼ばれる特徴的な配列を持って存在してい
る。このITRの部分が複製開始点となり、プライマー
の役割をなす。更にウイルス粒子へのパッケージングや
宿主細胞の染色体DNAへの組込みにも、該ITRが必
須となる。また、ウイルス蛋白質に関しては、ゲノムの
左半分が非構造蛋白質、即ち複製や転写をつかさどる調
節蛋白質のRepをコードしている。
【0168】組換えAAVの作成は、AAVが染色体D
NAに組み込まれる性質を利用して行うことができ、か
くして所望の遺伝子導入用ベクターが作成できる。この
方法は、より詳しくは、まず野生型AAVの5'と3'の
両端のITRを残し、その間に所望の導入用センス・オ
リゴヌクレオチド(K1 センス・オリゴヌクレオチ
ド)を挿入したプラスミド(AAVベクタープラスミ
ド)を作成する。一方、ウイルス複製やウイルス粒子の
形成に必要とされるウイルス蛋白質は、別のヘルパープ
ラスミドにより供給させる。この両者の間には共通の塩
基配列が存在しないようにし、遺伝子組換えによる野生
型ウイルスが出現しないようにする必要がある。その
後、両者のプラスミドを例えば293細胞へのトランス
フェクションにより導入し、さらにヘルパーウイルスと
してアデノウイルス(293細胞を用いる場合は非増殖
型のものでもよい)を感染させると、非増殖性の所望の
組換えAAVが産生される。続いて、この組換えAAV
は核内に存在するので、細胞を凍結融解して回収し、混
入するアデノウイルスを56℃加熱により失活させる。
更に必要に応じて塩化セシウムを用いる超遠心法により
組換えAAVを分離濃縮する。上記のようにして所望の
遺伝子導入用の組換えAAVを得ることができる。
【0169】EBVベクターの製造は、例えば清水らの
方法に準じて行うことができる〔清水則夫、細胞工学,
14(3), 280-287 (1995)〕。
【0170】本発明のセンス・オリゴヌクレオチド導入
用EBVベクターの製造につき概略すると、EBウイル
ス(Epstein-Barr virus: EBV)は、エプスタイン(Epst
ein)らによりバーキット(Burkitt)リンパ腫由来の培
養細胞より分離されたヘルペス科に属するウイルスであ
る〔Kieff, E. and Liebowitz, D.: Virology, 2nd ed.
Raven Press, New York, 1990, pp.1889-1920〕。該E
BVには細胞をトランスフォームする活性があるので、
遺伝子導入用ベクターとするためには、このトランスフ
ォーム活性を欠いたウイルスを調製しなければならな
い。これは次の如くして実施できる。
【0171】即ち、まず、所望の外来遺伝子を組み込む
標的DNA近傍のEBVゲノムをクローニングする。そ
こに外来遺伝子のDNA断片と薬剤耐性遺伝子を組込
み、組換えウイルス作製用ベクターとする。次いで適当
な制限酵素により切り出された組換えウイルス作製用ベ
クターをEBV陽性Akata細胞にトランスフェクト
する。相同組換えにより生じた組換えウイルスは抗表面
免疫グロブリン処理によるウイルス産生刺激により野生
型AkataEBVとともに回収できる。これをEBV
陰性Akata細胞に感染し、薬剤存在下で耐性株を選
択することにより、野生型EBVが共存しない所望の組
換えウイルスのみが感染したAkata細胞を得ること
ができる。さらに組換えウイルス感染Akata細胞に
ウイルス活性を誘導することにより、目的とする大量の
組換えウイルスベクターを産生することができる。
【0172】組換えウイルスベクターを用いることなく
所望のセンス・オリゴヌクレオチドを標的細胞に導入す
る、非ウイルスベクターの製造は、例えば膜融合リポソ
ームによる遺伝子導入法により実施することができる。
これは膜リポソーム(脂質二重膜からなる小胞)に細胞
膜への融合活性をもたせることにより、リポソームの内
容物を直接細胞内に導入する方法である。
【0173】上記膜融合リポソームによるセンス・オリ
ゴヌクレオチドの導入は、例えば中西らの方法によって
行うことができる〔Nakanishi,M.,et al.,Exp.Cell Re
s., 159, 399-499 (1985); Nakanishi,M.,et al., Gene
introduction into animal tissues.In Trends and Fu
ture Perspectives in Peptide and Protein Drug Deli
very (ed. by Lee, V.H. et al.)., Harwood Academic
Publishers Gmbh. Amsterdam, 1995, pp.337-349〕。
【0174】以下、該膜融合リポソームによるセンス・
オリゴヌクレオチドの導入法につき概略する。即ち、紫
外線で遺伝子を不活性化したセンダイウイルスと所望の
センス・オリゴヌクレオチドや発現蛋白質などの高分子
物質を封入したリポソームを37℃で融合させる。この
膜融合リポソームは、内側にリポソーム由来の空洞を、
外側にウイルス・エンベロープと同じスパイクがある疑
似ウイルスともよばれる構造を有している。更にショ糖
密度勾配遠心法で精製後、標的とする培養細胞または組
織細胞に対して膜融合リポソームを4℃で吸着させる。
次いで37℃にするとリポソームの内容物が細胞に導入
され、所望のセンス・オリゴヌクレオチドを標的細胞に
導入できる。ここでリポソームとして用いられる脂質と
しては、50%(モル比)コレステロールとレシチンお
よび陰電荷をもつ合成リン脂質で、直径300nmの1
枚膜リポソームを作製して使用するのが好ましい。
【0175】また、別のリポソームを用いてセンス・オ
リゴヌクレオチドを標的細胞に導入する方法としては、
カチオニック・リポソームによるセンス・オリゴヌクレ
オチド導入法を挙げることができる。該方法は、八木ら
の方法に準じて実施できる〔Yagi,K.,et al., B.B.R.
C., 196, 1042-1048 (1993)〕。この方法は、プラスミ
ドも細胞も負に荷電していることに着目して、リポソー
ム膜の内外両面に正の電荷を与え、静電気によりプラス
ミドの取り込みを増加させ、細胞との相互作用を高めよ
うとするものである。ここで用いられるリポソームは正
荷電を有する多重膜の大きなリポソーム(multilamella
r large vesicles: MLV)が有用であるが、大きな1
枚膜リポソーム(large unilamellar vesicles: LU
V)や小さな1枚膜リポソーム(small unilamellar ve
sicles: SUV)を使用してプラスミドとの複合体を作
製し、所望のセンス・オリゴヌクレオチドを導入するこ
とも可能である。
【0176】プラスミド包埋カチオニックMLVの調製
法について概略すると、これはまず脂質TMAG(N-
(α-trimethylammonioacetyl)-didodecyl-D-glutamate
chloride)、DLPC(dilauroyl phosphatidylcholin
e)およびDOPE(dioleoylphosphatidylethanolamin
e)をモル比が1:2:2となる割合で含むクロロホル
ム溶液(脂質濃度として1mM)を調製する。次いで総
量1μモルの脂質をスピッツ型試験管に入れ、ロータリ
ーエバポレーターでクロロホルムを減圧除去して脂質薄
膜を調製する。更に減圧下にクロロホルムを完全に除去
し、乾燥させる。次いで20μgの遺伝子導入用プラス
ミドを含む0.5mlのダルベッコのリン酸緩衝生理食塩
液−Mg,Ca含有を添加し、窒素ガス置換後、2分間
ボルテックスミキサーにより攪袢して、所望のセンス・
オリゴヌクレオチドを含有するプラスミド包埋カチオニ
ックMLV懸濁液を得ることができる。
【0177】上記で得られたプラスミド包埋カチオニッ
クMLVを遺伝子治療剤として使用する一例としては、
例えば発現目的センス・オリゴヌクレオチドを組み込ん
だ発現プラスミドを上記カチオニックMLVにDNA量
として0.6μg、リポソーム脂質量として30nモルに
なるように包埋し、これを2μlのリン酸緩衝生理食塩
液に懸濁させて患者より抽出した標的細胞または患者組
織に対して隔日投与する方法が例示できる。
【0178】本発明の遺伝子治療において、所望遺伝子
の標的細胞または標的組織への導入方法には、代表的に
は2種類の方法が含まれる。
【0179】その第1法は、治療対象とする患者から標
的細胞を採取した後、該細胞を体外で例えばインターロ
イキン−2(IL−2)などの添加の下で培養し、レトロ
ウイルスベクターに含まれる目的とするK1のセンス・
オリゴヌクレオチドを導入した後、得られる細胞を再移
植する手法(ex vivo法)である。該方法はADA欠損症
を始め、欠陥遺伝子によって発生する遺伝子病や動脈硬
化症、癌、AIDSなどの治療に好適であると報告され
ている。
【0180】第2法は、目的センス・オリゴヌクレオチ
ド(K1のセンス・オリゴヌクレオチド)を直接患者の
肝臓内や門脈内、血管組織などの標的部位に注入する遺
伝子直接導入法(直接法)である。
【0181】上記遺伝子治療の第1法は、より詳しく
は、例えば次のようにして実施される。即ち、患者から
採取した単核細胞を血液分離装置を用いて単球から分取
し、分取細胞をIL−2の存在下にAIM−V培地など
の適当な培地で72時間程度培養し、導入すべきセンス
・オリゴヌクレオチド(K1のセンス・オリゴヌクレオ
チド)を含有するベクターを加える。 センス・オリゴ
ヌクレオチドの導入効率をあげるために、プロタミン存
在下に32℃で1時間、2500回転にて遠心分離した後、
37℃で10%炭酸ガス条件下で24時間培養してもよ
い。この操作を数回繰り返した後、更にIL−2存在下
にAIM−V培地などで48時間培養し、細胞を生理食
塩水で洗浄し、生細胞数を算定し、センス・オリゴヌク
レオチド導入効率を前記in situ PCRや、例えば所望
の対象が本発明のようにK1活性(例えば、転写活性)で
あればその活性の程度を測定することにより、目的セン
ス・オリゴヌクレオチド導入効果を確認する。
【0182】活性の程度は、後記実施例で示されるよう
にイン・ビトロでのルシフェラーゼレポーター遺伝子の
転写活性化の程度によって確認することが可能である。
【0183】また、培養細胞中の細菌・真菌培養、マイ
コプラズマの感染の有無、エンドトキシンの検索などの
安全度のチェックを行い、安全性を確認した後、予測さ
れる効果用量のセンス・オリゴヌクレオチド(K1のセ
ンス・オリゴヌクレオチド)が導入された培養細胞を患
者に点滴静注により戻す。かかる方法を例えば数週間か
ら数カ月間隔で繰り返することにより遺伝子治療が施さ
れる。
【0184】ここでウイルスベクターの投与量は、導入
する標的細胞により適宜選択される。通常、ウイルス価
として、例えば標的細胞 1×108細胞に対して1×1
3cfuから1×108cfuの範囲となる投与量を採
用することが好ましい。
【0185】上記第1法の別法として、目的センス・オ
リゴヌクレオチド(K1のセンス・オリゴヌクレオチ
ド)を含有するレトロウイルスベクターを含有するウイ
ルス産生細胞と例えば患者の細胞とを共培養して、目的
とする細胞へセンス・オリゴヌクレオチド(K1のセン
ス・オリゴヌクレオチド)を導入する方法を採用するこ
ともできる。
【0186】遺伝子治療の第2法(直接法)の実施に当
たっては、特に体外における予備実験によって、遺伝子
導入法によって、実際に目的センス・オリゴヌクレオチ
ド(K1のセンス・オリゴヌクレオチド)が導入される
か否かを、予めベクター遺伝子cDNAのPCR法によ
る検索やイン・サイツゥPCR法によって確認するか、
あるいは目的センス・オリゴヌクレオチド(K1のセン
ス・オリゴヌクレオチド)の導入に基づく所望の治療効
果である特異的活性の上昇や標的細胞の増殖増加や増殖
抑制などを確認することが望ましい。また、ウイルスベ
クターを用いる場合は、増殖性レトロウイルスなどの検
索をPCR法で行うか、逆転写酵素活性を測定するか、
あるいは膜蛋白(env)遺伝子をPCR法でモニターする
などにより、遺伝子治療に際してセンス・オリゴヌクレ
オチド導入による安全性を確認することが重要であるこ
とはいうまでもない。
【0187】本発明遺伝子治療法において、特にC型肝
炎患者またはC型肝炎合併症を対象とする場合は、患者
から例えば末梢血細胞(K1発現細胞)を採取後、酵素処
理などを施して培養細胞を樹立した後、例えばレトロウ
イルスにて所望のセンス・オリゴヌクレオチドを標的と
する末梢血細胞(K1発現細胞)に導入し、G418細胞
にてスクリーニングした後、IL−12などの発現量を
測定(in vivo)測定し、次いで放射線処理を施行し、患
者末梢血や肝臓、門脈内に接種するC型肝炎およびその
合併症治療の癌化予防法または治療法を一例として挙げ
ることができる。
【0188】本発明はまた、本発明のセンス・オリゴヌ
クレオチド導入用ベクターまたは目的センス・オリゴヌ
クレオチド(K1のセンス・オリゴヌクレオチドど)が
導入された細胞を活性成分とし、それを薬学的有効量、
適当な無毒性医薬担体ないしは希釈剤と共に含有する医
薬組成物または医薬製剤(遺伝子治療剤)を提供する。
【0189】本発明の医薬組成物(医薬製剤)に利用で
きる医薬担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使
用される、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、
表面活性剤、滑沢剤などの希釈剤ないし賦形剤などを例
示でき、これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて
適宜選択使用できる。
【0190】例えば、本発明のセンス・オリゴヌクレオ
チド導入用ベクターを含む医薬製剤は、該ベクターをリ
ポソームに包埋された形態あるいは所望のセンス・オリ
ゴヌクレオチドが包含されるレトロウイルスベクターを
含むウイルスによって感染された培養細胞の形態に調製
される。
【0191】これらは、リン酸緩衝生理食塩液(pH
7.4)、リンゲル液、細胞内組成液用注射剤中に配合
した形態などに調製することもでき、またプロタミンな
どの遺伝子導入効率を高める物質と共に投与されるよう
な形態に調製することもできる。
【0192】上記医薬製剤の投与方法は、特に制限がな
く、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾
患の程度などに応じて決定される。
【0193】上記医薬製剤中に含有されるべき有効成分
の量およびその投与量は、特に限定されず、所望の治療
効果、投与法、治療期間、患者の年齢、性別その他の条
件などに応じて広範囲より適宜選択される。
【0194】一般には、医薬製剤としての所望センス・
オリゴヌクレオチド含有レトロウイルスベクターの投与
量は、1日当り体重1kg当り、例えばレトロウイルス
の力価として約1×103pfuから1×1015pfu
程度とするのがよい。
【0195】また所望の導入用センス・オリゴヌクレオ
チドが導入された細胞の場合は、1×104細胞/body
から1×1015細胞/body程度の範囲から選ばれるのが
適当である。
【0196】該製剤は1日に1回または数回に分けて投
与することもでき、1から数週間間隔で間欠的に投与す
ることもできる。尚、好ましくは、プロタミンなど遺伝
子導入効率を高める物質またはこれを含む製剤と併用投
与することができる。
【0197】本発明に従う遺伝子治療をC型肝炎の癌化
予防または治療に適用する場合は、前記した種々の遺伝
子治療を適宜組合わせて行う(結合遺伝子治療)ことも
でき、前記した遺伝子治療に、従来のインターフェロン
などの抗ウイルス剤、食事療法などを組合わせて行うこ
ともできる。さらに本発明遺伝子治療は、その安全性を
含めて、NIHのガイドラインを参考にして実施するこ
とができる〔Recombinant DNA Advisory Committee, Hu
man Gene Therapy, 4, 365-389 (1993)〕。
【0198】また本発明によれば、K1遺伝子の存在を
検出するために、血液または血清のごとき生物学的試料
を調製し、所望により核酸を抽出し、K1遺伝子が存在
する否かについて分析することが可能である。 該検出
方法は、例えば、K1DNA断片を作成し、K1遺伝子
のスクリーニングおよび/またはその増幅に用いられる
ように設計される。より具体的には、例えばプラークハ
イブリダイゼーション、コロニーハイブリダイゼーショ
ン、サザンブロット法、ノーザンブロット法などにおけ
るプローブとしての性質を有するもの、核酸配列をポリ
メラーゼで増幅するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に
より、増幅したK1の全部または一部のDNA断片を得
ることができるためのプローブとしての性質を有するも
のを作成できる。そのためにはまずK1と同じ配列を持
つプライマーを作成し、スクリーニング用プローブとし
て用い、生物学的試料(核酸試料)と反応させることに
より、当該K1配列を有する遺伝子の存在を確認するこ
とができる。該核酸試料は、標的配列の検出を容易にす
る種々の方法、例えば変性、制限消化、電気泳動または
ドットブロッティングで調製してもよい。
【0199】前記スクリーニング方法としては、特にP
CR法を用いるのが感度の点から好ましく、該方法は、
K1断片をプライマーとして用いる方法であればとくに
制限されず、従来公知の方法(Science, 230, 1350-1354
(1985))や新たに開発された、或いは将来使用されるP
CR変法(榊 佳之、ほか編、羊土社、実験医学、増刊,
8(9)(1990); 蛋白質・核酸・酵素、臨時増刊、共立出版
(株), 35(17)(1990))のいずれも利用することが可能で
ある。
【0200】プライマーとして使用されるDNA断片
は、化学合成したオリゴDNAであり、これらオリゴD
NAの合成は自動DNA合成装置など、例えばDNA合
成装置(PharmaciaLKB Gene Assembler Plus: ファルマ
シア社製)を使用して合成することができる。合成され
るプライマー(センスプライマーまたはアンチセンスプ
ライマー)の長さは約10〜30ヌクレオチド程度が好
ましく例示できる。上記スクリーニングに用いられるプ
ローブは、通常は標識したプローブを用いるが、非標識
であってもよく、直接的または間接的に標識したリガン
ドとの特異的結合によって検出してもよい。適当な標
識、並びにプローブおよびリガンドを標識する方法は、
本発明の技術分野で知られており、ニック・トランスレ
ーション、ランダム・プライミングムまたはキナーゼ処
理のような、既知の方法によって取り込ませることがで
きる放射性標識、ビオチン、蛍光性基、化学発光基、酵
素、抗体などがこれらの技術に包含される。
【0201】検出のために用いるPCR法としては、例
えばRT−PCR法が例示されるが、当該分野で用いら
れる種々の変法を適応することができる。
【0202】さらに本発明のK1遺伝子の利用におい
て、K1遺伝子の発現レベルやK1遺伝子のポリモルフ
ィズム(多型:個人差)を調べることにより(K1の遺
伝子診断)、C型肝炎による癌化の予測を行い、薬剤の
選択を始めとする治療法の選択のための診断・分析(よ
り副作用の少ない治療法の選択を促す)に有用である。
【0203】一般に、ヒトの薬物代謝には、大きな個人
差があることが知られているが、この個人差を判定する
ことは、ヒトに投与される薬物による副作用の軽減や、
負っている疾患の治療法の選択のために有用である。
【0204】近年、PCR−SSCP法やRFLP法な
どによる遺伝子の多型を診断することにより、患者の体
質を診断する遺伝子診断が注目されている。肝臓は、薬
物代謝において、最も重要な臓器であり、多くの薬物代
謝酵素が存在するが、これら薬物代謝酵素の発現は、肝
細胞に存在する転写因子によって制御されていることが
知られている。
【0205】本発明者らは、後記実施例に示されるよう
にK1遺伝子が、肝臓特異的な発現をしており、肝臓の
代謝酵素のプロモーター(転写発現制御部位)に良く見
られるCRE(cAMP resposible element)や、肝臓の代
謝酵素アルコールデヒドロゲナーゼのプロモーターに見
られるbox−Bに結合し、転写を活性化することを見
い出した。
【0206】これらの事実は、K1が肝臓の薬剤代謝酵
素の発現を制御していると考えられ、例えばK1遺伝子
の発現レベルやK1遺伝子のポリモルフィズム(多型:
個人差)の分析を行なうことにより(K1の遺伝子診
断)、転写因子K1の転写標的遺伝子である薬物代謝酵
素の発現レベルを予測し、患者の薬物に対する代謝体質
診断に利用することができる。
【0207】また、転写因子K1の転写活性化能を利用
し、薬物代謝酵素に関与するプロモーターを検索し、ポ
リモルフィズムを同定する手段に用いることができる。
このようにして見出される薬物代謝酵素のプロモーター
のポリモルフィズムを遺伝子解析するすることにより、
薬物代謝酵素の発現レベルを予測し、また患者の薬物に
対する代謝体質診断に役立てることができる。
【0208】本発明は、具体的には、a)生理的条件下
において、転写活性を促進するために被検物質を処理す
るのに十分な時間の間、C型肝炎コアタンパクの存在下
において本発明の遺伝子発現産物に対して被検物質を提
示させる工程、 b)被検物質の存在下の活性に対する比較において、遺
伝子発現産物の転写活性を促進を検出し、そしてC型肝
炎コアタンパクの癌化を抑制する化合物の被検物質の存
在を特定する工程を含む、本発明の遺伝子または遺伝子
発現産物およびポリペプチドを用い、本発明の遺伝子ま
たは遺伝子発現産物、及びポリペプチドの転写活性を促
進する候補化合物をスクリーニングする、転写活性を促
進する候補化合物のスクリーニング方法を提供するもの
である。
【0209】本発明における被検物質としては、低分子
化合物、高分子化合物、蛋白質、酵素、抗体等が例示で
きる。また、候補化合物とは、本発明の遺伝子発現産物
の転写活性に対して影響を与える上記被検物質を意味す
る。
【0210】また、本発明によれば、a)被検物質を本
発明の遺伝子発現産物に対して被検物質を反応させる工
程、 b)被検物質の存在下の転写活性に対する比較におい
て、本発明の遺伝子発現産物の転写活性を促進作用によ
って、そして被検物質の遺伝子発現レベルが上昇される
代謝酵素の存在を特定する工程を含む、本発明の遺伝子
または遺伝子発現産物およびポリペプチドを用い、本発
明の遺伝子または遺伝子発現産物、及びポリペプチドの
転写活性促進作用によって、遺伝子発現レベルが上昇さ
れる候補代謝酵素をスクリーニングする候補代謝酵素の
スクリーニング方法が提供できる。該方法においては、
被検物質とは、例えば、下記に示すような代謝酵素を意
味する。
【0211】従って、本発明によれば、本発明の遺伝子
の有する転写因子K1の薬物代謝酵素に関与するプロモ
ーター転写活性化能を利用し、その作用の影響を受けて
薬物代謝酵素の発現レベルの上昇する候補薬物代謝酵素
のスクリーニングを行なうことができる。これら候補薬
物代謝酵素としては、例えば、シトクローム(CYP)、エ
ポキシヒドロラーゼ(HPHX)、メチル転移酵素(MT)、グル
タチオンS−転移酵素(GST)、N−アセチル転移酵素(NA
T)、硫酸転移酵素(ST)、UDP−グリコシル転移酵素(U
GT)、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)、アルコール脱水素
酵素(ADH)、キノン酸化還元酵素(NQO)、エステラーゼ、
およびATP結合カセット(P糖タンパク、多剤耐性タ
ンパク)などの酵素およびそれらの分子種の酵素、例え
ばシトクローム(CYP)の分子種としては、CYP1A
1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CY
P2A7、CYP2A13、CYP2B3、CYP2C
6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、C
YP2C19、CYP2D6、CYP2D7AP、CY
P2D8P、CYP2E1、CYP2F1、CYP3A
3、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、
CYP3A7、CYP4A11、CYP4F2、CYP
4F3、CYP4F8、CYP4B1、CYP11B
2、およびCYP27などを例示できる。
【0212】また、本発明の測定方法は、試料中のK1
遺伝子の検出のための試薬キットを利用することによっ
て、簡便に実施することができる。
【0213】故に本発明は上記K1 DNA断片を含有
することを特徴とするK1の検出用試薬キットが提供さ
れる。
【0214】該試薬キットは、少なくとも配列番号:2
に示される塩基配列もしくはその相補的塩基配列の一部
または全てにハイブリダイズするDNA断片を必須構成
成分として含んでいれば、他の成分として、標識剤、P
CR法に必須な試薬(例えば、TaqDNAポリメラー
ゼ、デオキシヌクレオチド三リン酸、プライマーなど)
が含まれていてもよい。
【0215】また、上記K1遺伝子のポリモルフィズム
の測定の場合は、解析対象となるK1の多型の配列の変
化の中に制限酵素断片の長さに変化をもたらすような多
型(切断に用いた制限酵素の認識の配列変化、あるいは
かなりの長さの挿入または欠失)である場合は、RFL
P法による測定が好ましく例示される。しかしながら、
このようなDNA多型はほんの一部のみであるため、多
型の配列の変化の中に制限酵素断片の長さに変化をもた
らすような配列がない場合は、多型のある遺伝子の近傍
のDNA配列情報に基づいてプライマーを作成するPC
R−SSCP法の適応を好ましく例示できる。
【0216】標識剤としては、放射性同位元素または蛍
光物質などの化学修飾物質などが挙げられるが、DNA
断片自身が予め該標識剤でコンジュゲートされていても
よい。更に当該試薬キットには、測定の実施の便益のた
めに適当な反応希釈液、標準抗体、緩衝液、洗浄剤、反
応停止液などが含まれていてもよい。
【0217】更に、本発明は、前記測定方法を用いるK
1遺伝子の多型検出方法および該方法に用いる診断剤並
びに診断用キットをも提供するものである。
【0218】また、前記方法を用いることにより、被検
試料中から得られたK1配列を直接的若しくは間接的に
配列決定することにより、野生型K1と相同性の高い相
同物である新たなK1遺伝子に関連する関連遺伝子を見
出すことができる。
【0219】従って、本発明はかかる測定と被検試料中
のK1 DNAの配列決定により、被検試料中のヒトK
1遺伝子に関連する関連遺伝子のスクリーニング方法を
も提供するものである。
【0220】また、本発明の配列番号:1で示されるヒ
トK1遺伝子でコードされる蛋白質、または該配列番
号:1において、1もしくは数個乃至複数のアミノ酸が
欠失、置換または付加されたアミノ酸配列、またはこれ
らの断片から蛋白質を合成し、もしくは該蛋白質に対す
る抗体を合成することによって、野生型K1および/ま
たは変異K1の測定が可能となる。
【0221】従って、本発明は、野生型K1および/ま
たは変異K1の抗体測定法、抗原測定法を提供するもの
である。かかる変化は、この分野における前記慣用技術
によるK1配列分析によっても決定できるが、更に好ま
しくは、抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル抗
体)を用いて、K1蛋白質中の相違、またはK1蛋白質
の有無を検出することができる。本発明の測定法の具体
的な例示としては、K1抗体は、血液・血清などのヒト
より採取した生体材料試料含有溶液からK1蛋白質を免
疫沈降し、かつポリアクリルアミドゲルのウェスタン・
ブロットまたはイムノブロット上でK1蛋白質と反応す
ることができる。また、K1抗体は免疫組織化学的技術
を用いてパラフィンまたは凍結組織切片中のK1蛋白質
を検出することができる。
【0222】抗体産生技術および精製する技術は当該分
野においてよく知られているので、これらの技術を適宜
選択することができる。
【0223】野生型K1またはその突然変異体を検出す
る方法に関連するより好ましい具体例には、モノクロー
ナル抗体および/または、ポリクローナル抗体を用いる
サンドイッチ法を含む、酵素結合イムノソルベントアッ
セイ(ELISA)、放射線免疫検定法(RIA)、免疫放
射線検定法(IRMA)、および免疫酵素法(IEMA)が
含まれる。
【0224】また、本発明は、K1蛋白に対するK1結
合活性を有する細胞膜画分または細胞表面上に存在する
K1レセプターをも提供することが可能である。該K1
レセプターの取得は、細胞膜画分を含む生体材料試料中
において標識したK1蛋白をコンジュゲートさせ、K1
結合反応物を抽出・単離、精製し、単離物のアミノ酸配
列を特定することによって達成され、該K1レセプター
蛋白の取得並びに配列決定は、この分野の当業者には容
易に達成できる。
【0225】また本発明は、K1レセプター蛋白質また
はその結合断片を種々の薬剤のいずれかをスクリーニン
グする技術に用いることによって、化合物(K1レセプ
ター反応物:化合物は低分子化合物、高分子化合物、蛋
白質、蛋白質部分断片、抗原、または抗体など言う)を
スクリーニングすることに利用可能である。好ましく
は、K1レセプターを利用する。かかるスクリーニング
試験に用いるK1レセプターポリペプチドまたはその断
片は、固体支持体に付着するか、または細胞表面に運ば
れている溶液中の遊離物であってもよい。
【0226】薬剤スクリーニングの一例としては、例え
ば、K1蛋白質またはその断片を発現する組換え蛋白質
で安定して形質転換した原核生物または真核生物の宿主
細胞を、好ましくは競合的結合アッセイにおいて利用す
ることができる。また遊離のまたは固定した形態のかか
る細胞を標準結合アッセイに用いることもできる。より
具体的には、K1レセプター蛋白質またはその断片と、
試験する物質との間の複合体の形成を測定し、K1レセ
プター蛋白質またはその断片とK1蛋白質またはその断
片との間の複合体の形成が試験する物質によって阻害さ
れる程度を検出することによって化合物をスクリーニン
グすることが可能である。
【0227】かくして、本発明は、当該分野で既知の方
法によって、かかる物質とK1レセプター蛋白質または
その断片とを接触させ、次いで、該物質とK1レセプタ
ー蛋白質またはその断片との間の複合体の存在、または
K1レセプター蛋白質またはその断片とリガンドとの間
の複合体の存在について測定することを特徴とする薬剤
のスクリーニング方法を提供することができる。さら
に、K1レセプター活性を測定して、かかる物質がK1
レセプターを阻害でき、かくして上記定義されたK1の
活性、例えば、遺伝子の転写を促進する作用、あるいは
cAMP応答エレメントまたはbox−B配列の結合さ
せた後、該cAMP応答エレメントまたはbox−B配
列と結合した遺伝子産物を転写活性化を促進させる作用
などの作用を調節できるかどうか、或いは蛋白−蛋白相
互結合の調節または複合体形成能の調節ができるかどう
か判断する。かかる競合結合アッセイにおいて、より具
体的には、K1レセプター蛋白質またはその断片を標識
する。遊離のK1レセプター蛋白質またはその断片を、
蛋白質:蛋白質複合体で存在するものから分離し、遊離
(複合体未形成)標識の量は、各々、試験される因子の
K1レセプターに対する結合またはK1レセプター:K
1蛋白質結合の阻害の尺度となる。K1蛋白質の小さな
ペプチド(ペプチド疑似体)をこのように分析し、K1レ
セプター阻害活性を有するものを測定できる(後記b)。
【0228】本発明において、薬剤スクリーニングのた
めの他の方法は、K1レセプター蛋白質に対して適当な
結合親和性を有する化合物についてのスクリーニング法
であって、該略すると、多数の異なるペプチド試験化合
物をプラスチックのピンまたは他の物質の表面のごとき
固体支持体上で合成し、次いでペプチド試験化合物をK
1レセプター蛋白質と反応させ、洗浄する。次いで既知
の方法を用いて反応結合K1レセプター蛋白質を検出す
る方法も例示できる(PCT特許公開番号:WO84−
03564号)。精製されたK1レセプターは、直接、
前記の薬剤スクリーニング技術で使用するプレート上に
被覆することができる。しかしながら、ポリペプチドに
対する非−中和抗体を用いて抗体を補足し、K1レセプ
ター蛋白質を固相上に固定することができる。さらに本
発明は、競合薬剤スクリーニングアッセイの使用をも目
的とし、K1レセプター蛋白質またはその断片に対する
結合性につき、K1レセプター蛋白質に特異的に結合で
きる中和抗体と試験化合物とを競合させる。抗体による
該競合によって、K1レセプター蛋白質の1またはそれ
以上の抗原決定部位を有するいずれのペプチドの存在を
も検出することが可能である。
【0229】また、本発明のK1活性を阻害する薬剤の
候補化合物をスクリーニングする方法において、例え
ば、K1遺伝子発現産物またはK1蛋白質(以下、K1
蛋白質と併せて称する)、またはそれらの断片に対する
抗体と、被検液および標識化されたK1蛋白質、K1蛋
白質の部分ペプチドまたはそれらの塩とを競合的に反応
させ、該抗体に結合した標識化されたK1蛋白質、K1
蛋白質の部分ペプチドまたはそれらの塩の割合を測定す
ることを特徴とする被検液中のK1蛋白質、K1蛋白質
の部分ペプチドまたはそれらの塩を定量するスクリーニ
ング方法も可能である(後記(b))。
【0230】また被検液と担体上に不溶化した前記抗体
および標識化された別の異なるK1蛋白質に対する抗体
とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体
上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中
のK1蛋白質、K1蛋白質の部分ペプチドまたはそれら
の塩の定量法も可能である。
【0231】さらに、K1蛋白質、K1蛋白質の部分ペ
プチドまたはそれらの塩に基質を接触させた場合とK1
蛋白質、K1蛋白質の部分ペプチドまたはそれらの塩に
基質および試験化合物を接触させた場合における、K1
蛋白質、K1蛋白質の部分ペプチドまたはそれらの塩の
活性を測定して、比較することによってK1蛋白質また
はその塩の活性(例、K1活性)を阻害する化合物また
はその塩をスクリーニングすることも可能である(後記
(d))。
【0232】本発明によれば、K1ポリペプチドまたは
K1遺伝子発現産物の機能を刺激または抑制する化合物
を同定するためのスクリーニング法であって、(a) 候補
化合物と、該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物(また
は該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物を担持している
細胞もしくはその膜)またはその融合タンパク質との結
合を、該候補化合物に直接または間接的に結合させた標
識により測定する方法、(b) 候補化合物と、該ポリペプ
チドまたは遺伝子発現産物(または該ポリペプチドまた
は遺伝子発現産物を担持している細胞もしくはその膜)
またはその融合タンパク質との結合を、標識競合物質
(K1抗体またはK1レセプター)の存在下で測定する方
法、(c) 候補化合物が該ポリペプチドまたは遺伝子発現
産物の活性化または抑制により生ずるシグナルをもたら
すか否かを、該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物を担
持している細胞または細胞膜に適した検出系を用いて調
べる方法、(d) 候補化合物と、配列番号1に示されるア
ミノ酸配列のポリペプチドまたは遺伝子発現産物を含有
する溶液とを同時に混合して混合物を調製し、該混合物
中の該ポリペプチドまたは遺伝子発現産物の活性を測定
し、該混合物の活性をスタンダードと比較する方法、お
よび(e) 候補化合物が細胞における該ポリペプチドをコ
ードするmRNAおよび該ポリペプチドの産生に及ぼす
効果を検出する方法よりなる群から選択される方法を含
んでなるスクリーニング法が提供される。
【0233】また、薬剤スクリーニングに関し、さらな
る方法としては、非機能性K1遺伝子を含有する宿主真
核細胞系または細胞の使用が挙げられる。宿主細胞系ま
たは細胞を薬剤化合物の存在下において一定期間増殖さ
せた後、該宿主細胞の増殖速度を測定して、該化合物が
例えば、細胞の成長を調節できるかどうか、或いは蛋白
−蛋白相互結合の調節または複合体形成能の調節できる
かどうかを確認する。増殖速度を測定する1手段とし
て、K1レセプターの生物活性を測定することも可能で
ある。
【0234】また本発明によれば、より活性または安定
した形態のK1蛋白質誘導体または例えば、イン・ビボ
(in vivo)でK1蛋白質の機能を高めるかもしくは妨害
する薬剤を開発するために、それらが相互作用する目的
の生物学的に活性な蛋白質または構造アナログ、例えば
K1アゴニスト、K1アンタゴニスト、K1インヒビタ
ーなどを作製することが可能である。前記構造アナログ
は例えばK1と他の蛋白質の複合体の三次元構造をX線
結晶学、コンピューター・モデリングまたは、これらの
組み合わせた方法によって決定することができる。ま
た、構造アナログの構造に関する情報は、相同性蛋白質
の構造に基づく蛋白質のモデリングによって得ることも
可能である。
【0235】また上記より活性または安定した形態のK
1蛋白質誘導体を得る方法としては、例えばアラニン・
スキャンによって分析することが可能である。該方法は
アミノ酸残基をアラニンで置換し、ペプチドの活性に対
するその影響を測定する方法でペプチドの各アミノ酸残
基をこのように分析し、当該ペプチドの活性や安定性に
重要な領域を決定する方法である。該方法によって、よ
り活性な、または安定なK1誘導体を設計することがで
きる。
【0236】また機能性アッセイによって選択した標的
−特異的抗体を単離し、次いでその結晶構造を解析する
ことも可能である。原則として、このアプローチによ
り、続く薬剤の設計の基本となるファーマコア(pharmac
ore)を得る。機能性の薬理学的に活性な抗体に対する抗
−イディオタイプ抗体を生成させることによって、化学
的または生物学的に生成したペプチドのバンクよりペプ
チドを同定したり単離したりすることが可能である。故
に選択されたペプチドもファーマコアとして作用すると
予測される。
【0237】このようにして、改善されたK1活性もし
くは安定性またはK1活性のインヒビター、アゴニス
ト、アンタゴニストなどとしての作用を有する薬剤を設
計・開発することができる。
【0238】かくして上記に例示した薬剤スクリーニン
グ方法のいずれかを用いて、所望のK1タンパクとC型
肝炎コアタンパクとの相互作用を阻害するような候補化
合物を合成し、その化合物を用いて更にC型肝炎コアタ
ンパクの癌化への作用を打ち消すことが可能な候補化合
物を選択することができる。
【0239】また、本発明のK1タンパクとC型肝炎コ
アタンパクとの相互作用を指標として候補物を上記いず
れかのスクリーニング方法を用いてスクリーニングする
ことにより、C型肝炎コアタンパクの癌化作用を打ち消
す作用のある候補物のスクリーニングに用いることがで
きる。
【0240】また本発明によれば、K1遺伝子含有ノッ
クアウト・マウス(変異マウス)を作成することによって
K1遺伝子配列のどの部位が生体内で上記したような多
様なK1活性に影響を与えるかどうか、即ちK1遺伝子
産物、並びに改変K1遺伝子産物が生体内でどのような
機能を有するかを確認することができる。
【0241】該方法は、遺伝子の相同組換えを利用し
て、生物の遺伝情報を意図的に修飾する技術であり、マ
ウスの胚性幹細胞(ES細胞)を用いた方法を例示できる
(Capeccchi, M. R., Science, 244, 1288-1292 (198
9))。
【0242】尚、上記変異マウスの作製方法はこの分野
の当業者にとって既に通常の技術であり、この改変技術
(野田哲生編、実験医学,増刊, 14 (20) (1996)、羊土
社)に、本発明のヒト野生型K1遺伝子および変異K1
遺伝子を適応して容易に変異マウスを作製し得る。従っ
て前記技術の適応により、改善されたK1活性もしくは
安定性またはK1活性のインヒビター、アゴニスト、ア
ンタゴニストなどとしての作用を有する薬剤を設計・開
発することができる。
【0243】
【発明の効果】本発明によれば、肝臓に特異的に高発現
する新規な転写活性因子K1遺伝子が提供される。
【0244】本発明によれば、K1オリゴヌクレオチド
をプローブとして用いて、該オリゴヌクレオチド・プロ
ーブと結合する検体中のK1 遺伝子または遺伝子産物
を検出することによって、K1遺伝子のポリモルフィズ
ム(多型:個人差)の解析により、C型肝炎による癌化
の予測が可能となり、薬物治療などの治療方法の選択の
ための分析に有用である。
【0245】本発明遺伝子の利用によれば、K1遺伝子
発現産物またはK1ポリペプチドを製造でき、これを抗
原とする抗体をも製造することが出来る。本発明によれ
ば、該K1遺伝子発現産物またはK1ポリペプチドを有
効成分とするC型肝炎による癌化の予防または治療に対
する医薬組成物並びに医薬が提供される。
【0246】また、K1遺伝子の提供によれば、該遺伝
子がコードするK1蛋白質を遺伝子工学的に大量に製造
することができ、該蛋白質の提供によれば、K1蛋白質
活性やK1蛋白質の結合活性などの機能を調べることも
できる。
【0247】またK1蛋白質は、K1遺伝子およびその
産物が関与する疾患(例えば、C型肝炎、およびC型肝
炎合併症)の癌化の解明や診断、治療などに有用であ
る。
【0248】本発明によれば、更にK1センス・オリゴ
ヌクレオチドを含有する遺伝子治療に有用な遺伝子導入
用ベクター、該K1センスセンス・オリゴヌクレオチド
導入された細胞および該ベクターまたは細胞を有効成分
とする遺伝子治療剤、並びにその利用による遺伝子治療
法などが提供される。
【0249】本発明によれば、K1タンパクまたは遺伝
子発現産物とC型肝炎コアタンパクとを用いる相互作用
物のスクリーニング方法が提供される。
【0250】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため、実
施例を挙げる。
【0251】実施例1 (1-1) ヒト小腸完全長cDNAライブラリーからクロー
ンの単離 ヒト小腸組織から、アイソジェン(Isogen:日本ジーン社
製)を用いて全RNA2mgを単離し、オリゴテックス
−dT30 スーパー(oligotex-dT30super:第一薬品社
製)を用いてポリ(A)+RNA−dT30を精製した。5
0μgのポリ(A)+RNAを用いてオリゴキャッピング
法(Szuki Y, and Sugano S, et al., Gene, 200, 149-
156(1997))により完全長cDNAライブラリーを作製
した。ベクターには、pME18−FL3(Genebank ac
cession No. AB009864)を用いた。
【0252】次いで、上記で得られたプラスミドDNA
をPI−100ロボットを用いて単離した(クラボウ社
製)。
【0253】このようにして得られたcDNAライブラ
リーのサイズは、全長エンリッチドcDNAライブラリ
ーに対して約20000クローン/μgのポリ(A)+
NAであった。
【0254】このライブラリーから、4000クローン
についてABI377自動シーケンサー(ABI社)を用
いて5’ランダムシーケンスを行い、インサートの全長
シーケンスを行った。
【0255】(1-2) クローンの選別 上記(1-1)で得られたデータからBLASTプログラム
(Altschu, SF et al. Nucleic Acid Res,25,3389-3402
(1997))を利用したGenBankデーターベースの検
索の結果、CREB/ATFファミリーと予測されるク
ローンを得た。
【0256】上記(1-2)で選別したクローンについて、
ABI377自動シーケンサー(ABI社)を用いてFA
STAプログラム(Person,W.R.,et al.,Proc. Natl.Aca
d. Sci.,USA, 85, 2444-2448 (1988))を使用するGen
Bank/EMBLデータ・ベース中のDNA配列とこ
のヌクレオチドのデータとの比較より、この遺伝子が他
の如何なる公知のDNA配列とも相同性を有しないこと
が明らかとなった。
【0257】本発明者らはこの配列の全体の配列を決定
し、このクローンがCREB/ATFファミリーの新規
なメンバーであることを見出した。この遺伝子の全長配
列を得る為に本発明者らは、全長エンリッチドcDNA
ライブラリーをスクリーニングし、この遺伝子に対して
同一の4つのクローンを同定した。4つのうちの2つが
ほとんど同じサイズであり、mRNAの開始部位がほぼ
同一であった。
【0258】このように、本発明者らは、配列番号:1
で示されるように461アミノ酸からなるオープン・リ
ーディング・フレーム(ORF)を含んでいる2.5kbの
推定の全長cDNAを得、該遺伝子をK1(Kai1)
と命名した。また配列番号:2は1383塩基からなる
配列番号:1のアミノ酸配列をコードする核酸配列を示
し、全長核酸配列は、2586塩基からなる配列番号:
3に示されるとおりである(図1)。
【0259】ゲノム配列データベースの検索の結果、本
発明者らは、K1遺伝子のエクソン配列を含んでいる一
つのコスミドの完全配列(cosmid No. R33590 Genbank a
ccession No. AC005620)を特定した。図2に得られたK
1のゲノムの構造を示す。K1のゲノムの構造は、10
のエクソンを有する全長19.4キロ塩基対の領域のゲ
ノム配列であり、ヒト染色体19p13.3にマップさ
れた。
【0260】最初のAUGコドンの周りの配列はコザッ
クのコンセンサス配列に相応していた(Nucleic Acids R
es. 15(20), 8125-48, 1987)。
【0261】図3Aに本発明のK1(Kai1)、LZ
IP、OASISの3つの CREB/ATFファミリ
ー遺伝子とのアミノ酸配列構造比較を、図3Bに本発明
のK1と別のCREB/ATFファミリー遺伝子を含む
アミノ酸配列の整列比較図をそれぞれ示す。 図3A中
には、b−Zipドメインである塩基性ドメイン(basi
c domain)及びロイシン・ジッパー・ドメイン(Leucin
e-Zip)、並びにD/EHXYがそれぞれ示されてい
る。また、図3B中には、塩基性ドメイン(basicregio
n)とロイシン・ジッパー・ドメイン(leucine zippe
r)がそれぞれ示されている。
【0262】蛋白のデータベースの検索において、K1
のアミノ酸配列は、ショウジョウバエのBBF−2、ヒ
トLZIP、およびマウスOASISの3つの CRE
B/ATFファミリー遺伝子とより広範囲いに渡って相
同性を示した。
【0263】マウスOASISは、最近、星状細胞から
クローニングされたが、蛋白の機能は未だ分析されてい
ない (Brain Res Mol Brain Res. 69, 93-103 (199
9))。
【0264】これらの遺伝子の間は、保存領域は、b−
Zipドメインだけでなく、b−Zipドメインの周辺
にもあった。LZIP、OASIS、及びBBF−2の
間とK1の塩基性Zip領域のアミノ酸類似性は、それ
ぞれ84%、69%、71%であった。
【0265】K1、LZIP、およびOASISはb−
Zip周辺の配列類似性が認められたが,一方では、そ
れらは構造的な違いがあった。
【0266】K1は、「LXNXTXX」配列の3つの
繰り返しからなるb−ZipドメインではないC末端領
域において別のロイシン・ジッパー・モチーフを持って
いた。この特徴は、LZIP、または他のCREB/A
TFファミリーにおいては見られなかった。ロイシン・
ジッパーは、しばしば蛋白−蛋白作用ドメインにおいて
みられる(Science, 259(5092): 230-234(1993))。
【0267】K1のこの第2のロイシン・ジッパー・ド
メインは、他の蛋白に対して相互作用を与えるかもしれ
ない。
【0268】また、K1には、b−Zipドメインの直
後に、膜貫通領域と推定される(Putative Transmembra
ne domain)、疎水性ドメインが存在する。
【0269】別のCREB/ATFファミリーの一つ、
ATF−6にも、これと似た膜貫通領域が存在し、AT
F−6は平常時は小胞体膜に存在し、ツニカマイシンな
どによる小胞体ストレス刺激により、ATF−1は、遊
離され、核に移行し、転写を活性化させることが知られ
ている。(JBC2000, 275 27103-27020)。K1もこれに似
た機構で、転写活性化能が制御されているのかもしれな
い。
【0270】対照的に、LZIPは、単純ヘルペスウイ
ルス転写活性因子VP16に作用することが知られてい
る宿主細胞因子(HCF:host cell factor)に関連するD/
EHXYモチーフを保有している (Gene Dev, 11 3122-
3127(1997))。K1はD/EHXYモチーフを示さなか
った。
【0271】実施例2 ノーザン・ブロット分析 組織におけるK1の発現プロファイルを調べる為、各種
のヒト組織を用いたノーザン・ブロット分析を行なっ
た。ノーザン・ブロット分析には、ヒトMTN(Multipl
e-Tissue Northern)ブロットIとII(クローンテック社
製)を使用した。
【0272】プライマーは、クロスハイブリダイゼーシ
ョンを避けるためにb−Zipドメインを含んでいない
K1cDNAの5’領域の708塩基対をプローブとし
て用い、35サイクルのPCR増幅を行い発現の有無を
調べた。プライマーは、以下に示すP7およびBam3
を作製した。 配列番号:4 P7:5'- TGGGCCACCAGCTTGGAGCAGAGAC -
3' 配列番号:5 Bam3:5'- AAGGATCCtcaCTCCTGACAGTGCCC
AGCCCCAGGTC -3' PCR産物はQIAクイック・ゲル・キット(Quoagen
社製)によって精製され、ランダム・プライマーDNA
標識キットVer.2(タカラ社製宝)を使用して[α
32P]−dCTPで標識した。
【0273】ブロットは、1時間プレハイブリダイゼー
ションを行ない、それから50%フォルムアミド、5x
SSC、5xデンハルト氏液、および500μg/ml
の熱変性サケ精子DNAを含む0.5%SDSの混合液
において42℃で18時間ハイブリダイズした。
【0274】ハイブリダイズしたブロットは、2xSS
Cおよび0.1%SDSで30分間室温で洗浄した、そ
して0.1xSSCおよび0.1%SDSで55℃で6
0分間洗浄した。洗浄した膜は乾燥し、BAS−250
0バイオ・イメージ分析器(フジフイルム社製)を使用し
てオートラジオグラムで分析した。
【0275】その結果を図4に示す。
【0276】その結果、ヒト成人16組織中、肝臓のみ
で、2.5kbのバンドのK1mRNAの発現が確認さ
れた(小腸での発現は、ノーザン・ブロット分析では検
出限界以下であった)。K1発現パターンのこの組織特
異性は、哺乳動物においてユビキタスに発現されたLZ
IPあるいはOASISのそれとは異なっていた(Lu,
R., et al.,Mol Cell Biol.,17,5117-5126(1997): Koza
k, M., Nucleic Acids Res. , 15 (20) 8125-8148 (198
7))。
【0277】尚、用いたヒト組織は、心臓(Heart)、
脳(brain)、胎盤(Placenta)、肺(Lung)、肝臓(L
iver)、骨格筋(Skeletal muscle)、腎臓(Kidne
y)、膵臓(Pancreas)、脾臓(Spleen)、胸腺(Thymu
s)、前立腺(Prostate)、精巣(Testis)、卵巣(Ova
ry)、小腸(Small intestine)、結腸(Colon)及び末
梢血白血球(Peripheral blood leukocyte; P.B.L.)で
ある。
【0278】実施例3 GAL4−K1融合タンパクの
発現によるK1の転写活性化能の評価 幾つかのCREB/ATFファミリーは、転写活性因子
または、転写抑制因子として作用する。
【0279】K1が転写活性化因子であるかどうか特定
するために、本発明者らは、GAL4−K1融合蛋白を
発現させるプラスミドを構築し、COS7細胞に対して
GAL4結合エレメントを含んでいるルシフェラーゼ・
リポーター・プラスミドで遺伝子導入を行った。
【0280】本発明者らは、以下のようなGAL4DN
Aに融合したK1の種々の欠失変異体を構築し、ルシフ
ェラーゼ・リポーター・プラスミドで遺伝子導入し、そ
れぞれのルシフェラーゼ活性を調べた。
【0281】1)GAL4−K1融合タンパクの発現ベ
クター GAL4−K1融合タンパク発現プラスミドpGAL4
−K1は、EF1−alphaプロモーターをもつ、哺
乳類細胞発現プラスミド pSG5 (プロメガ社製:Pro
mega)に、GAL4のDNA結合部位の遺伝子とK1の
デリーションミュータントをインフレームで組み込んで
作成した。
【0282】2)GAL4 エレメントを含むルシフェ
ラーゼ発現ベクター ルシフェラーゼレポーター発現プラスミドpGAL−L
ucは、ルシフェラーゼ遺伝子をもつプラスミドpGL
2ベーシック (プロメガ社製) にウサギグロビン遺伝子
のTATA−boxと合成オリゴDNA由来のエレメン
トをタンデムに組み込んで作成したpRGP3にGAL
4結合配列を組み込んで作成した(Yamamoto, Nature,3
67,568-572(1994))。
【0283】3) トランスフェクション トランスフェクションには、リポフェクタミン2000
(Life technology社製)を用い、操作はこの試薬に添
付のプロトコールに沿った。COS7細胞を6ウエル・
プレートに植え継ぎ後、24時間後にトランスフェクシ
ョンした。
【0284】上記プラスミドを1.0μg含むベクター
溶液を1μl、スーパーフェクトを10μl、OPTI
−MEM無血清培地(ライフ・テクノロジー社製)を1
00μl含むトランスフェクション溶液を、OPTI−
MEM無血清培地で洗浄した細胞のプレートに加えた。
24時間後にルシフェラーゼの活性を測定した。
【0285】4) ルシフェラーゼの活性測定 デュアル-ルシフェラーゼ・リポター・アッセイ・シス
テム(Dual-LuciferaseReporter Assay System:プロメガ
社製)を用い、操作はこの試薬に添付のプロトコールに
沿った。培養プレートにキットに添付の溶解緩衝液40
0μlを加え、細胞を溶解させた後、卓上遠心機で15
00rpm、5秒遠心し、この上清20μlを、添付の
反応試薬LARII100μlに混合し、1回目の化学発
光をルミノメーターで測定した。続いて、キット添付の
ストップ&グロー試薬100μlを加え、2回目の化学
発光を測定した。これらの比により、ルシフェラーゼの
活性を算出した。
【0286】その結果を図5に示す。
【0287】転写因子は大きく、転写活性化能を有する
転写活性化因子と転写抑制能を有する、転写抑制因子に
分けられる。GAL4-完全長K1がルシフェラーゼ発
現を活性化することから、K1は転写活性化能をもつ、
転写活性化因子であることがわかった。
【0288】K1の転写活性ドメインの領域を調べるた
めに、本発明者らは、GAL4DNAに融合したK1の
種々の欠失変異体を構築し、ルシフェラーゼ・リポータ
ー・プラスミドで同時形質転換させた。C末端領域(D
1、D2、D3、D4およびD5)で欠失させたGAL
4−K1融合蛋白は、リポーター発現を活性化すること
ができた。またN末端領域(D6及びD7)で欠失させた
構築物は、活性化させる能力を失った。活性化する能力
を持つ最小の領域はアミノ酸配列1−149を含んでい
るD5であった。したがって、N末側、149アミノ酸
だけでも活性化できることからこの部分に転写活性化部
位があると考えられる。この領域において、K1蛋白
は、プロリン・リッチな領域を有している。プロリン・
リッチな領域は、しばしば転写因子の転写活性ドメイン
において見られた(Cell, 79,93-105(1994))。
【0289】膜貫通ドメインを欠失した欠失変異体(D
2、D3、D4およびD5)は、膜貫通ドメインを保持
したもの(FL、D1)よりも、顕著に高い活性を示し
た。これは、膜貫通ドメインを除去することにより、遊
離型のK1が核に移行しやすくなり、転写活性化能が高
められたためと考えられる。
【0290】実施例4 グルタチオンSトランスフェラ
ーゼ(GST)−K1融合タンパクによる、K1の転写活
性化エレメントへの結合能の検討 CREB/ATFファミリー蛋白はCREコンセンサス
配列TGACGTCA(Montminy, M.R., PNAS, 83 6682
-6686(1986))の特異的配列に結合する能力を有してい
る。BBF−2はbox−B、CREに結合することが
知られており、LZIPもまたCREに結合する(Abel,
T., et al., Genes Dev., 6(3)466-480 (1992) : Lu,
R., et al.,Mol Cell Biol., 17, 5117-5126(1997))。
【0291】K1のDNA結合配列特異性を特定するた
めに、本発明者らはゲルシフトアッセイを実施した。
【0292】方法:1) GST融合タンパクの発現ベ
クター GST−K1融合蛋白を発現するプラスミドpGST−
K1は、GST発現プラスミドpGEX−3X(ファル
マシア・バイオテック社製)の制限酵素BamHIとE
coRI認識部位間の全体のORFを含むK1のインフ
レーム挿入によって構築された。
【0293】ORFの全体を含んでいるK1のPCR産
物は、pfuTURBO(ストラタジーン社製)で配列番
号6で示されるBam5’と配列番号7で示されるEc
oRI3’プライマーを用いて増幅することにより産生
させた。
【0294】Bam5’プライマー: 配列番号6;5'-TTGGATCCCCATGAATACGGATTTAGCTGCTGG-
3' EcoRI3’プライマー: 配列番号7;5'-GTCGAATTCGATCTGTTTCAGGCTGTGTCTGGGTC
TG-3' クローンの配列は、377自動シーケンサー(PEバイオ
システムズ社製)によって確認した。
【0295】2)GST融合タンパクの精製 大腸菌株 XL−1buleをGST−K1融合タンパ
ク発現プラスミドpGST−K1で形質転換し、LB培
地2mlで37℃で一晩、前培養した後、LB培地20
mlで本培養を2時間行い、1mM IPTGにより発現
誘導を行い、さらに2時間培養を行った。大腸菌を集菌
し、破砕溶液(50mM Tris-HCl (pH8.0),50mM NaCl, 5mM
EDTA 、 2mM DDT )に懸濁後、超音波破砕を1分間行
い、抽出液を得た。これを卓上遠心機で5000rpm
で5分遠心を行い、上清1mlに200μl のにグル
タチオン・セファロース4B (アマシャム・ファルマシ
ア・バイオテク社製)に結合させた後、1mlの破砕溶
液で2回洗い、20mMグルタチオンで溶出する。各結
合反応のために、GST−K1の0.1μgを用いた。
【0296】3) ゲルシフトアッセイ 以下に示す、合成オリゴを各組ごとにアニーリングを行
い、[γ-32P]−ATPにより、メカラベルDNA5’末
端標識キット(Megalabel DNA 5'-end labelingkit :タ
カラ社製)を用いて放射性標識を行い、以下に示す配列
番号8および配列番号9で示されるBox−B[Box-Bプ
ローブ:D.mulleri Adh-1 promoter (Cell, 53451-461
(1988))]、配列番号10および配列番号11で示される
CRE[CREプローブ:somatostatin promoter (Mol. Ce
ll Biol., 20 (10) 3470-3481 (2000)]、配列番号12
および配列番号13で示されるC/EBP[C/EBPプロー
ブ:albumin promoter (Gene Dev., 5 1553-1567(199
1))]、配列番号14および配列番号15で示されるAP
−1[AP-1プローブ:c-jun promoter (Cell 55 875-885
(1988))]、および配列番号16および配列番号17で示
されるNF−ΚB[NF-kBプローブ:IL-2 receptor-alph
a promoter (J. Biol. Chem.,264, 8475-8478 (1989))]
検出たのめのプローブをそれぞれ合成した。 [Box-Bプローブ:D.mulleri Adh-1 promoter (Cell, 53
451-461(1988))] 配列番号8: 5'-TCGAGCTCGGATGTACACGTAATCGTATTACTC
-3' 配列番号9: 5'-CGAGAGTAATACGATTACGTGTACATCCGAGCT-
3' [CREプローブ:somatostatin promoter (MCB,20(10),
3470-3481(2000))] 配列番号10: 5'-TCGAGCTCGGATGGCTGACGTCAGAGATTACT
C-3' 配列番号11: 5'-CGAGAGTAATCTCTGACGTCAGCCATCCGAGC
T-3' [C/EBPプローブ:albumin promoter (Gene Dev., 5 155
3-1567 (1991))] 配列番号12: 5'-TCGAGCTCGGATGATTTTGTAATGGGGTTACT
C-3' 配列番号13: 5'-CGAGAGTAACCCCATTACAAAATCATCCGAGC
T-3' [AP-1プローブ:c-jun promoter (cell 55 875-885 (19
88))] 配列番号14: 5'-TCGAGCTCGGATCAAAGTTTAGTCAATTACTC
-3' 配列番号15: 5'-CGAGAGTAATTGACTAAACTTTGATCCGAGCT
-3' [NF-kBプローブ:IL-2 receptor-alpha promoter (JBC,
264,8475-8478(1989))] 配列番号16: 5'-TCGAGCTCGGAGGGGAATCTCCCGGGTTACTC
-3' 配列番号17: 5'-CGAGAGTAACCCGGGAGATTCCCCTCCGAGCT
-3'. GST−K1融合タンパク溶液を1回のゲルシフトアッ
セイあたり、4μlと、20fmolの上記各プローブ
を10μlの結合反応溶液[50mM トリス−塩酸(p
H 8.0)、5mM EDTA、1mM DTT、50mM
KCl、0.1μg/μlポリ(dI・dC)、20
%のグリセロール]を加え、室温で30分保温し、4%
アクリルアミドゲルにアプライした。電気泳動には、ゲ
ルシャフトアッセイ(GelShift Assay Kit:ストラタジ
ーン社製)添付の1x泳動バッファーを用い、10mA
の定電圧で2時間泳動した。
【0297】電気泳動終了後、ゲルを乾燥し、オートラ
ジオグラムはBAS−2500バイオ・イメージ・アナ
ライザー(フジフィルム社製)で解析を行った。
【0298】その結果を図6に示す。
【0299】図6から分かるようにGST−K1融合タ
ンパクはCRE、box−Bに結合し、C/EBP、A
P−1、NFΚBには、結合しなかった。また、過剰の
未標識オリゴを加えると、CRE、box−Bへの結合
は競合的に阻害されることから、K1は配列特異的な結
合をしていることがわかる。
【0300】実施例5 K1の発現によるbox−B転
写活性化エレメントを介した転写活性化能の測定 1)K1発現ベクター K1発現プラスミド、pME−K1オリゴキャップライ
ブラリから、得られたクローンを用いた。即ち、K1蛋
白を発現するプラスミドpME−K1は、前記全長エン
リッチドcDNAライブラリーから単離され(Gene, 20
0, 149-156 (1997): Nature Genet., 21, 191-194 (199
9))、SPphaによって発現誘導がかかるベクターp
ME18に全長K1cDNAの2586塩 基対を含ん
でいる。
【0301】K1の膜貫通領域欠失変異体発現プラスミ
ドpME−K1TMは、配列番号18および配列番号1
9で示されるプライマー: 配列番号18: 5'Eco-P1 :TTgaattcCATCTGCAGACAGAAC
TGGATGGAC 配列番号19: TM-XBE:AAggatccgaattcTCTAGATCATGTC
TGGGCTGACTTGCTGGTGGACTGC を用いて、増幅したPCR産物(アミノ酸番号 1-320)
をEcoRIとXbaI制限酵素サイトで、pME18
Sに導入したものである。
【0302】2) 転写活性化エレメントを含むルシフ
ェラーゼ発現ベクター ルシフェラーゼ・レポーター・プラスミドpBox−L
ucは、ウサギ・ベータ−グロビンTATA ボックス
を含んでいるpGL2−ベーシックから構築したpRB
GP3(Nature 336, 544-51 (1988))の XhoI部位中
にBox−Bオリゴヌクレオチド(配列番号8)の挿入
によって構築された。
【0303】各プラスミドは、製品説明書に従いQia
genプラスミド・キット(QiagenPlasmid Kit ;キアジ
ン社製(Qiagen))を用いて精製し、DNA配列はABI
377自動シーケンサー(PEバイオシステムズ社製)に
よって分析した。
【0304】3)トランスフェクション 実施例3と同様の方法で、活性測定を行った。
【0305】4) ルシフェラーゼの活性測定 実施例3と同様の方法で、活性測定を行った。
【0306】その結果を図7に示す。図7中に左側にK
1の構築物をそれぞれ示す。
【0307】図7より、完全長K1タンパクは、Box
−Bエレメント依存的に約3.5倍のルシフェラーゼの
転写活性化を示した。また、膜貫通部位を欠失した構造
物は、16.4倍の転写活性化を示した。このことか
ら、生体内でもK1がADHなどの肝臓の代謝酵素など
の転写活性化をコントロールする可能性が考えられる。
【0308】上記各実施例より得られた結果から、K1
と他の相同メンバー、BBF−2、LZPおよびOAS
ISの関係について、検討するとCREB/ATFファ
ミリーの全てのメンバーは、それらのb−Zipにおけ
る類似性を分ち合っているが、幾つかのメンバーは、他
の領域における付加的な類似性およびサブファミリーの
中で更にグループ分けすることが可能である。
【0309】例えばATF1、CREB及びCREMは
一つのサブ・ファミリーにグループ分けすることが出来
る(Hai, T.W., et al., Genes Dev., (12B) 2083-2090
(1989): Hoeffler, J.P., et al., Science, 242 (488
4) 1430-1433(1988): Foulkes, N.S., et al., Cell, 6
4 (4)739-749(1991))。
【0310】K1は、b−ZipドメインにおいてCR
EB/ATF1ファミリー遺伝子と相同性を有し、そし
て2つの哺乳動物のCREB/ATF1ファミリーメン
バー、LZIP及びOASISとより高い相同性を有す
る。
【0311】相同性領域はb−Zipドメインだけでな
く、b−ZIPドメイン周囲でもあった。b−Zipド
メインにおけるこれらの相同性は、それらがCREB/
ATF1ファミリーのサブ・ファミリーと特徴付けられ
るかもしれない。
【0312】b−Zipドメインにおける塩基性DNA
結合ドメインは、標的エレメントのDNA配列を認識
し、塩基性ドメインにおける類似性を有しているメンバ
ーは、類似配列エレメントに結合するかもしれない(Cel
l, 71 (7): 1223-37 (1992))。
【0313】実際、K1とBBF−2はbox−Bエレ
メントに結合する。LZPおよびOASISもまたbo
x−Bエレメントに結合するかもしれない、K1、LZ
PおよびOASISのこれら3つの因子は、哺乳動物細
胞において類似の標的遺伝子のひとつの転写を調節する
可能性がある。
【0314】また、b−Zip転写因子は、ロイシン・
ジッパーを通してひとつのダイマーを形作ることが知ら
れている。それらはときどき他のb−Zip因子との間
にヘテロダイマーを形作り、別の作用を示す(Science,2
401759-1764(1988))。ヘテロダイマーを形作る能力はロ
イシン・ジッパードメインの類似性に依存する。例えば
CREBまたはCREMは、ヘテロダイマーを形作るこ
とができ、ロイシン・ジッパードメインは有意な類似性
を有する(Cell, 64 (4): 739-49 (1991))。
【0315】K1、LZPおよびOASISは、ロイシ
ン・ジッパードメインの部分的な類似性を有す(図3
A)。
【0316】K1、LZPおよびOASISは、それら
の間にヘテロダイマーを形作り、直接相互に影響し合
い、機能的な関係を持っている潜在性がある。近年、L
ZIPはHCVコア蛋白に対して相互作用すること、そ
してCREを通して転写活性を調節し、細胞形質転換と
相関するが報告された(Jin,D.Y.,et al., EMBO J., 19
(4) 729-740(2000))。
【0317】HCVコア蛋白は、LZIP、K1に対す
る構造的な類似性がHCVコア蛋白に対して潜在的に相
互作用し、肝細胞癌の発生に関係している理由のために
HCVの他のコンポーネントなしにトランスジェニック
・マウスの肝細胞癌を誘導することができた(Moriya,
K. et al., Nat. Med., 4(9)1065-1067 (1998))。
【0318】LZIPのユビキタスな発現パターンと対
照的に、K1は肝臓特異的な発現を示した。もし、K1
とHCVコア蛋白が相互作用することが出来たならば、
肝臓におけるK1の発現の特異性は、肝臓においてHC
Vの病因に関連しているかもしれない。また、K1に
は、b−Zipドメインの直後に、膜貫通領域と推定さ
れる、疎水性ドメインが存在する。
【0319】別のCREB/ATFファミリーの一つ、
ATF−6にも、これと似た膜貫通領域が存在し、AT
F−6は平常時は小胞体膜に存在し、ツニカマイシンな
どによる小胞体ストレス刺激により、ATF−1は、遊
離され、核に移行し、転写を活性化させることが知られ
ている。(J. Biol. Chem.,275,27103-27020(2000))。K
1もこれに似た機構で、転写活性化能が制御されている
のかもしれない。小胞体ストレス応答は、ウイルスの感
染による過剰タンパク発現でもみられることが知られて
いることからも(Genes & Development,13,1211- 1233
(1999))、HCVの感染と、K1遺伝子の機能に関係す
る可能性が示唆される。
【0320】組織特異的な転写エレメントは、多くの組
織特異的遺伝子において存在することが知られている。
組織特異的エレメントに結合する転写因子は、しばしば
組織特異的な発現が見られる。それらの多くは、転写活
性化因子であり、細胞の適当なタイプにおいてそれ自身
の発現レベルを活性化させることによって組織特異的遺
伝子の発現を上昇させるように調節する(Exp Hematol.
,(2):99-107(1995):,Mol Cell Biol.,13(11):6752-65,
(1993))。
【0321】本発明者らは、K1の発現が16のヒト成
人組織において肝臓特異的であったこと、そしてK1が
box−Bエレメントを通して直接的にルシフェラーゼ
・レポーターの発現を活性化することを示した。 bo
x−Bエレメントは、最初にショウジョウバエのADH
遺伝子のプロモーターにおいて見出され、脂肪体特異的
エンハンサーとして作用した(Cell 6;53(3):451-61 (19
88))。 box−Bエレメントは、また肝臓において主
に発現しているヒトのADH遺伝子のプロモーターにお
いても見出されている(Abel, T., et al., Genes Dev.,
6(3)466-480(1992))。しかしながら、ショウジョウバ
エのBBF−2は、ヒトのADHのbox−B様エレメ
ントに結合するが、このエレメントに結合する哺乳動物
の因子は特定されていなかった。
【0322】このように、本発明者らが、見出した本発
明のK1は肝臓特異的発現を示すそのような最初の因子
であろう。K1はbox-B様エレメントを通してAD
Hの肝臓優勢な発現を調節するであろう。K1の肝臓特
異的な発現のために、K1が他の肝臓特異的な遺伝子の
発現を調節することに関連している可能性がある。本発
明者らはヒトADHプロモータにおいて見出されたbo
x-B様エレメントの領域周辺においてこれを研究して
いる。肝臓特異的遺伝子のプロモーター領域の分析は、
何がK1の主要な標的であるかを示すであろうし、K1
と関係したシグナルの形質導入経路のヒントを提供する
であろう。
【0323】本発明のK1によれば、C型肝炎ウイルス
のコアタンパクと相互作用することにより、肝臓、特に
C型肝炎疾患との関連が考えられ、遺伝子治療のターゲ
ットや、薬剤のターゲット、薬剤スクリーニングのター
ゲット、遺伝子診断のターゲットとなりうる。
【0324】また、本発明のK1はアルコールデヒドロ
ゲナーゼプロモーターに相互作用し、発現をコントロー
ルするかもしれず、これにより遺伝子診断のターゲット
となりうる。また、同様に肝臓の薬剤代謝酵素などのプ
ロモーターに相互作用する可能性もあり、同様に遺伝子
診断のターゲットとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】K1遺伝子の配列を示す図である。
【図2】本発明K1のゲノムの構造を示す図面である。
【図3】図3Aは、本発明K1、LZIPおよびOAS
ISのシェーマ・ダイアグラム図である。図3Bは、本
発明K1とCREB/ATFファミリーの他のメンバー
の間のb−Zipドメインの複数整列比較を示す図面で
ある。
【図4】ノーザンブロッティングによる、組織における
本発明のK1の発現パターンの図面代用写真である。
【図5】本発明K1における転写活性化領域のマッピン
グ図面と対応する転写活性を示す図面である。
【図6】ゲル・シャフトアッセイによる本発明K1のD
NA結合能力を示す図面代用写真である。
【図7】本発明K1のCREおよびBox−Bエレメン
トを通した転写活性化を示す図面である。
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. <120> K1 gene <130> 38300JP <140> <141> <160> 19 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 461 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 1 Met Asn Thr Asp Leu Ala Ala Gly Lys Met Ala Ser Ala Ala Cys Ser 1 5 10 15 Met Asp Pro Ile Asp Ser Phe Glu Leu Leu Asp Leu Leu Phe Asp Arg 20 25 30 Gln Asp Gly Ile Leu Arg His Val Glu Leu Gly Glu Gly Trp Gly His 35 40 45 Val Lys Asp Gln Gln Val Leu Pro Asn Pro Asp Ser Asp Asp Phe Leu 50 55 60 Ser Ser Ile Leu Gly Ser Gly Asp Ser Leu Pro Ser Ser Pro Leu Trp 65 70 75 80 Ser Pro Glu Gly Ser Asp Ser Gly Ile Ser Glu Asp Leu Pro Ser Asp 85 90 95 Pro Gln Asp Thr Pro Pro Arg Ser Gly Pro Ala Thr Ser Pro Ala Gly 100 105 110 Cys His Pro Ala Gln Pro Gly Lys Gly Pro Cys Leu Ser Tyr His Pro 115 120 125 Gly Asn Ser Cys Ser Thr Thr Thr Pro Gly Pro Val Ile Gln Val Pro 130 135 140 Glu Ala Ser Val Thr Ile Asp Leu Glu Met Trp Ser Pro Gly Gly Arg 145 150 155 160 Ile Cys Ala Glu Lys Pro Ala Asp Pro Val Asp Leu Ser Pro Arg Cys 165 170 175 Asn Leu Thr Val Lys Asp Leu Leu Leu Ser Gly Ser Ser Gly Asp Leu 180 185 190 Gln Gln His His Leu Gly Ala Ser Tyr Leu Leu Arg Pro Gly Ala Gly 195 200 205 His Cys Gln Glu Leu Val Leu Thr Glu Asp Glu Lys Lys Leu Leu Ala 210 215 220 Lys Glu Gly Ile Thr Leu Pro Thr Gln Leu Pro Leu Thr Lys Tyr Glu 225 230 235 240 Glu Arg Val Leu Lys Lys Ile Arg Arg Lys Ile Arg Asn Lys Gln Ser 245 250 255 Ala Gln Glu Ser Arg Lys Lys Lys Lys Glu Tyr Ile Asp Gly Leu Glu 260 265 270 Thr Arg Met Ser Ala Cys Thr Ala Gln Asn Gln Glu Leu Gln Arg Lys 275 280 285 Val Leu His Leu Glu Lys Gln Asn Leu Ser Leu Leu Glu Gln Leu Lys 290 295 300 Lys Leu Gln Ala Ile Val Val Gln Ser Thr Ser Lys Ser Ala Gln Thr 305 310 315 320 Gly Thr Cys Val Ala Val Leu Leu Leu Ser Phe Ala Leu Ile Ile Leu 325 330 335 Pro Ser Ile Ser Pro Phe Gly Pro Asn Lys Thr Glu Ser Pro Gly Asp 340 345 350 Phe Ala Pro Val Arg Val Phe Ser Arg Thr Leu His Asn Asp Ala Ala 355 360 365 Ser Arg Val Ala Ala Asp Ala Val Pro Gly Ser Glu Ala Pro Gly Pro 370 375 380 Arg Pro Glu Ala Asp Thr Thr Arg Glu Glu Ser Pro Gly Ser Pro Gly 385 390 395 400 Ala Asp Trp Gly Phe Gln Asp Thr Ala Asn Leu Thr Asn Ser Thr Glu 405 410 415 Glu Leu Asp Asn Ala Thr Leu Val Leu Arg Asn Ala Thr Glu Gly Leu 420 425 430 Gly Gln Val Ala Leu Leu Asp Trp Val Ala Pro Gly Pro Ser Thr Gly 435 440 445 Ser Gly Arg Ala Gly Leu Glu Ala Ala Gly Asp Glu Leu 450 455 460 <210> 2 <211> 1383 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 2 atgaatacgg atttagctgc tggaaagatg gcttctgctg cctgctccat ggaccccatc 60 gacagctttg agctcctgga tctcctgttt gaccggcagg acggcatcct gagacacgtg 120 gagctgggcg agggctgggg tcacgtcaag gaccagcagg tcctgccaaa ccccgactct 180 gacgacttcc tcagctccat cctgggctct ggagactcac tgcccagctc cccactctgg 240 tcccccgaag gcagtgatag tggcatctcc gaagacctcc cctccgaccc ccaggacacc 300 cctccacgca gcggaccagc cacctccccc gccggctgcc atcctgccca gcctggcaag 360 gggccctgcc tctcctatca tcctggcaac tcttgctcca ccacaacccc agggccagtg 420 atccaagtac ctgaagcctc tgtgaccata gacctggaaa tgtggagccc aggaggaagg 480 atctgtgctg agaagccggc tgatccggtg gacctgtccc cacgatgcaa tctcaccgtg 540 aaagacctcc tcctttcggg cagcagtggg gacctgcaac agcatcacct gggggcctcc 600 tacctcctgc gacctggggc tgggcactgt caggagctgg tgctcaccga ggatgagaag 660 aagctgctgg ctaaagaagg catcaccctg cccactcagc tgcccctcac taagtacgag 720 gagcgagtgc tgaaaaaaat ccgccggaaa atccggaaca agcagtcggc gcaagaaagc 780 aggaagaaga agaaggaata tatcgatggc ctggagactc ggatgtcagc ttgcactgct 840 cagaatcagg agttacagag gaaagtcttg catctcgaga agcaaaacct gtccctcttg 900 gagcaactga agaaactcca ggccattgtg gtgcagtcca ccagcaagtc agcccagaca 960 ggcacctgtg tcgcagtcct gttgctgtcc tttgccctca tcatcctccc ctccatcagc 1020 ccttttggcc ccaacaaaac cgagagccct ggggactttg cgcctgtacg agtgttctcc 1080 agaactttgc acaacgatgc tgcctcccgc gtggctgctg atgctgtgcc aggctccgag 1140 gccccaggac cccgacccga ggctgacaca acccgagaag agtctccagg aagccccggg 1200 gcagactggg gcttccagga caccgcgaac ctgaccaatt cgacggagga gctggacaac 1260 gccaccctgg tcctgaggaa tgcaacagag gggctgggcc aggtcgccct gctggactgg 1320 gtggcgcctg ggccgagcac tggctcagga cgtgcagggc tggaggcggc gggagacgag 1380 ctg 1383 <210> 3 <211> 2586 <212> DNA <213> Homo sapiens <220> <221> CDS <222> (117)..(1502) <400> 3 acagagccac agagggctgt gagcttgccc agccccaggt aacgctggcg gtgggtgggc 60 ctccagcttg gagcagagac cccccgaggc atctgcagac agaactggat ggaccc atg 119 Met 1 aat acg gat tta gct gct gga aag atg gct tct gct gcc tgc tcc atg 167 Asn Thr Asp Leu Ala Ala Gly Lys Met Ala Ser Ala Ala Cys Ser Met 5 10 15 gac ccc atc gac agc ttt gag ctc ctg gat ctc ctg ttt gac cgg cag 215 Asp Pro Ile Asp Ser Phe Glu Leu Leu Asp Leu Leu Phe Asp Arg Gln 20 25 30 gac ggc atc ctg aga cac gtg gag ctg ggc gag ggc tgg ggt cac gtc 263 Asp Gly Ile Leu Arg His Val Glu Leu Gly Glu Gly Trp Gly His Val 35 40 45 aag gac cag cag gtc ctg cca aac ccc gac tct gac gac ttc ctc agc 311 Lys Asp Gln Gln Val Leu Pro Asn Pro Asp Ser Asp Asp Phe Leu Ser 50 55 60 65 tcc atc ctg ggc tct gga gac tca ctg ccc agc tcc cca ctc tgg tcc 359 Ser Ile Leu Gly Ser Gly Asp Ser Leu Pro Ser Ser Pro Leu Trp Ser 70 75 80 ccc gaa ggc agt gat agt ggc atc tcc gaa gac ctc ccc tcc gac ccc 407 Pro Glu Gly Ser Asp Ser Gly Ile Ser Glu Asp Leu Pro Ser Asp Pro 85 90 95 cag gac acc cct cca cgc agc gga cca gcc acc tcc ccc gcc ggc tgc 455 Gln Asp Thr Pro Pro Arg Ser Gly Pro Ala Thr Ser Pro Ala Gly Cys 100 105 110 cat cct gcc cag cct ggc aag ggg ccc tgc ctc tcc tat cat cct ggc 503 His Pro Ala Gln Pro Gly Lys Gly Pro Cys Leu Ser Tyr His Pro Gly 115 120 125 aac tct tgc tcc acc aca acc cca ggg cca gtg atc caa gta cct gaa 551 Asn Ser Cys Ser Thr Thr Thr Pro Gly Pro Val Ile Gln Val Pro Glu 130 135 140 145 gcc tct gtg acc ata gac ctg gaa atg tgg agc cca gga gga agg atc 599 Ala Ser Val Thr Ile Asp Leu Glu Met Trp Ser Pro Gly Gly Arg Ile 150 155 160 tgt gct gag aag ccg gct gat ccg gtg gac ctg tcc cca cga tgc aat 647 Cys Ala Glu Lys Pro Ala Asp Pro Val Asp Leu Ser Pro Arg Cys Asn 165 170 175 ctc acc gtg aaa gac ctc ctc ctt tcg ggc agc agt ggg gac ctg caa 695 Leu Thr Val Lys Asp Leu Leu Leu Ser Gly Ser Ser Gly Asp Leu Gln 180 185 190 cag cat cac ctg ggg gcc tcc tac ctc ctg cga cct ggg gct ggg cac 743 Gln His His Leu Gly Ala Ser Tyr Leu Leu Arg Pro Gly Ala Gly His 195 200 205 tgt cag gag ctg gtg ctc acc gag gat gag aag aag ctg ctg gct aaa 791 Cys Gln Glu Leu Val Leu Thr Glu Asp Glu Lys Lys Leu Leu Ala Lys 210 215 220 225 gaa ggc atc acc ctg ccc act cag ctg ccc ctc act aag tac gag gag 839 Glu Gly Ile Thr Leu Pro Thr Gln Leu Pro Leu Thr Lys Tyr Glu Glu 230 235 240 cga gtg ctg aaa aaa atc cgc cgg aaa atc cgg aac aag cag tcg gcg 887 Arg Val Leu Lys Lys Ile Arg Arg Lys Ile Arg Asn Lys Gln Ser Ala 245 250 255 caa gaa agc agg aag aag aag aag gaa tat atc gat ggc ctg gag act 935 Gln Glu Ser Arg Lys Lys Lys Lys Glu Tyr Ile Asp Gly Leu Glu Thr 260 265 270 cgg atg tca gct tgc act gct cag aat cag gag tta cag agg aaa gtc 983 Arg Met Ser Ala Cys Thr Ala Gln Asn Gln Glu Leu Gln Arg Lys Val 275 280 285 ttg cat ctc gag aag caa aac ctg tcc ctc ttg gag caa ctg aag aaa 1031 Leu His Leu Glu Lys Gln Asn Leu Ser Leu Leu Glu Gln Leu Lys Lys 290 295 300 305 ctc cag gcc att gtg gtg cag tcc acc agc aag tca gcc cag aca ggc 1079 Leu Gln Ala Ile Val Val Gln Ser Thr Ser Lys Ser Ala Gln Thr Gly 310 315 320 acc tgt gtc gca gtc ctg ttg ctg tcc ttt gcc ctc atc atc ctc ccc 1127 Thr Cys Val Ala Val Leu Leu Leu Ser Phe Ala Leu Ile Ile Leu Pro 325 330 335 tcc atc agc cct ttt ggc ccc aac aaa acc gag agc cct ggg gac ttt 1175 Ser Ile Ser Pro Phe Gly Pro Asn Lys Thr Glu Ser Pro Gly Asp Phe 340 345 350 gcg cct gta cga gtg ttc tcc aga act ttg cac aac gat gct gcc tcc 1223 Ala Pro Val Arg Val Phe Ser Arg Thr Leu His Asn Asp Ala Ala Ser 355 360 365 cgc gtg gct gct gat gct gtg cca ggc tcc gag gcc cca gga ccc cga 1271 Arg Val Ala Ala Asp Ala Val Pro Gly Ser Glu Ala Pro Gly Pro Arg 370 375 380 385 ccc gag gct gac aca acc cga gaa gag tct cca gga agc ccc ggg gca 1319 Pro Glu Ala Asp Thr Thr Arg Glu Glu Ser Pro Gly Ser Pro Gly Ala 390 395 400 gac tgg ggc ttc cag gac acc gcg aac ctg acc aat tcg acg gag gag 1367 Asp Trp Gly Phe Gln Asp Thr Ala Asn Leu Thr Asn Ser Thr Glu Glu 405 410 415 ctg gac aac gcc acc ctg gtc ctg agg aat gca aca gag ggg ctg ggc 1415 Leu Asp Asn Ala Thr Leu Val Leu Arg Asn Ala Thr Glu Gly Leu Gly 420 425 430 cag gtc gcc ctg ctg gac tgg gtg gcg cct ggg ccg agc act ggc tca 1463 Gln Val Ala Leu Leu Asp Trp Val Ala Pro Gly Pro Ser Thr Gly Ser 435 440 445 gga cgt gca ggg ctg gag gcg gcg gga gac gag ctg tga gccccgccag 1512 Gly Arg Ala Gly Leu Glu Ala Ala Gly Asp Glu Leu 450 455 460 gactatgctc ccaggcccct ctgcccaggg gtgccttggg gatgctgcac tgggcagcta 1572 cccacctggg gatgggacgt gaggccaaga ccccagcaga gatgccagaa tgggggaggc 1632 acagctcata gccacacacc cagggcctga ctgaggccca cgcaggaacc gacactcaga 1692 cacaaggcaa agagggccac aggacccggg aaatacacac agagccagga gcagaagcaa 1752 agagcagaca cacatacagc ctgaaacaga cctggacaga cagacacagc ctgaaacaga 1812 cccggacaga cagacacagc ctgaaacaga cccagacaaa cagacagaca gacacagcct 1872 gaaacagacc cagacagaca gacagacagc ctgaaacaga cccagacaca gcctgaaaca 1932 gatccggaca gacagacaga aacagcctga aacagaccca gacagacaga cagacacagc 1992 ctgaaacaga cccggacaga cagacagaca cagcctgaaa cagacccgga cagacagaca 2052 gacacagcct gaaacagacc cggacagaca gacagacaca gcctgaaaca gacctagaca 2112 gacagacaca gattgaaaca gacccagaca aacagacaga cacagcctga aacagaccca 2172 gacacagcct gaaacagacc cggacagaca gacagacaca gcctgaaaca gacccagaca 2232 gacagacaga cacagcctga aacagaccca gacagacaga ccgacgcagc ctgaaagaga 2292 cccagacaga gagacaggca gacacagcct aaaacagacc tggacagaca ggcagacgta 2352 gtctgaaaca gacctgaaca gacagacaga cgcacacaca caacagatgc gcagcaactc 2412 cccgcccagg gacccctccc ggcctccctc gcacactggg aggaggaagc cgccgagact 2472 gcagggagcc tggccccgga gccccgggtg cgccctggtc tttggagcag ccacggccca 2532 caatcacccc ccttttctaa gactgcctga tccgaaataa agtattttga caaa 2586 <210> 4 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 4 tgggccacca gcttggagca gagac 25 <210> 5 <211> 37 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 5 aaggatcctc actcctgaca gtgcccagcc ccaggtc 37 <210> 6 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 6 ttggatcccc atgaatacgg atttagctgc tgg 33 <210> 7 <211> 37 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 7 gtcgaattcg atctgtttca ggctgtgtct gggtctg 37 <210> 8 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:probe <400> 8 tcgagctcgg atgtacacgt aatcgtatta ctc 33 <210> 9 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:probe <400> 9 cgagagtaat acgattacgt gtacatccga gct 33 <210> 10 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:probe <400> 10 tcgagctcgg atggctgacg tcagagatta ctc 33 <210> 11 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:probe <400> 11 cgagagtaat ctctgacgtc agccatccga gct 33 <210> 12 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:probe <400> 12 tcgagctcgg atgattttgt aatggggtta ctc 33 <210> 13 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:probe <400> 13 cgagagtaac cccattacaa aatcatccga gct 33 <210> 14 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:probe <400> 14 tcgagctcgg atcaaagttt agtcaattac tc 32 <210> 15 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:probe <400> 15 cgagagtaat tgactaaact ttgatccgag ct 32 <210> 16 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:probe <400> 16 tcgagctcgg aggggaatct cccgggttac tc 32 <210> 17 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:probe <400> 17 cgagagtaac ccgggagatt cccctccgag ct 32 <210> 18 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 18 ttgaattcca tctgcagaca gaactggatg gac 33 <210> 19 <211> 51 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 19 aaggatccga attctctaga tcatgtctgg gctgacttgc tggtggactg c 51
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/47 C12N 1/15 4C057 16/18 1/19 4C084 C12N 1/15 1/21 4H045 1/19 C12Q 1/00 Z 1/21 1/68 A 5/10 G01N 33/15 Z C12Q 1/00 33/50 Z 1/68 33/53 D G01N 33/15 C12P 21/08 33/50 C12Q 1/66 33/53 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 A61K 37/02 C12Q 1/66 C12N 5/00 A Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 AA40 BB20 CB01 DA12 DA13 DA14 DA77 DA78 FB01 FB02 FB03 4B024 AA01 AA11 BA07 BA08 BA41 BA80 CA04 CA07 CA09 DA02 DA06 FA01 GA11 HA04 HA12 HA17 4B063 QA01 QA05 QA12 QA19 QQ08 QQ21 QQ22 QQ43 QR32 QR48 QR51 QR56 QR62 QR77 QS16 QS25 QS33 QS34 4B064 AG01 AG27 CA02 CA10 CA20 CC24 DA01 DA13 4B065 AA26X AA90X AA93Y AB02 BA02 BA08 CA24 CA25 CA28 CA44 CA46 4C057 BB02 DD01 MM01 MM09 4C084 AA06 AA13 CA53 CA56 CA59 NA14 ZB262 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 BA41 CA40 DA75 DA76 EA20 EA50 FA72 FA73 FA74 HA06

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(a)、(b)、(c)または
    (d)のポリヌクレオチドを含む遺伝子: (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列のポリペプ
    チドをコードするポリヌクレオチドまたはそれらの相補
    鎖、 (b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列を含むポリ
    ペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して少なく
    とも95%の相同性を持っているポリヌクレオチド、 (c)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、
    1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加
    されたアミノ酸配列からなり、かつ遺伝子の転写活性を
    有する蛋白質をコードするポリヌクレオチド、 (d)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、
    1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加
    されたアミノ酸配列からなり、かつcAMP応答エレメ
    ント結合活性またはbox−B結合活性を有する蛋白質
    をコードするポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 以下の(a)または(b)のいずれかの
    ポリヌクレオチドからなる遺伝子: (a)配列番号:2で示される塩基配列またはそれらの
    相補鎖からなるポリヌクレオチド、 (b)上記(a)の塩基配列からなるポリヌクレオチド
    とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリ
    ヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 配列番号:2で示される塩基配列である
    請求項2に記載の遺伝子。
  4. 【請求項4】 配列番号:1で示されるアミノ酸配列を
    有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであ
    る遺伝子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子
    の発現産物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子
    を有する組換え体発現ベクター。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の組換え体発現ベクター
    を有する宿主細胞。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子
    を発現するクローン化cDNAおよびその断片、その誘
    導体およびその相同物。
  9. 【請求項9】 配列番号:2で示される塩基配列中の少
    なくとも15の連続するヌクレオチド配列を含んでお
    り、かつCREB/ATFファミリー遺伝子のDNA配
    列とは異なるオリゴヌクレオチド・プローブまたはプラ
    イマー。
  10. 【請求項10】 配列番号:2で示される塩基配列中の
    少なくとも30の連続するヌクレオチド配列を含んでお
    り、かつCREB/ATFファミリー遺伝子のDNA配
    列とは異なる、請求項9に記載のオリゴヌクレオチド・
    プローブまたはプライマー。
  11. 【請求項11】 請求項5に記載の遺伝子の発現産物、
    またはそれらの部分断片に結合性を有する抗体。
  12. 【請求項12】 請求項5に記載の遺伝子の発現産物を
    有効成分として用いる肝癌予防または治療剤。
  13. 【請求項13】 以下の(a)、(b)、(c)または
    (d)のアミノ酸配列を含むポリペプチド: (a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列からなるポ
    リペプチド、 (b)配列番号:1で示されるアミノ酸配列を含むポリ
    ペプチドに対して少なくとも95%の相同性を持ってい
    るポリペプチド、 (c)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、
    1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加
    されたアミノ酸配列からなり、かつ遺伝子の転写活性を
    有するポリペプチド、 (d)配列番号:1で示されるアミノ酸配列において、
    1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加
    されたアミノ酸配列からなり、かつcAMP応答エレメ
    ント結合活性またはbox−B結合活性を有するポリペ
    プチド。
  14. 【請求項14】 a)生理的条件下において、転写活性
    を促進するために被検物質を処理するのに十分な時間の
    間、C型肝炎コアタンパクの存在下において請求項1〜
    4のいずれかに記載の遺伝子発現産物に対して被検物質
    を提示させる工程、 b)被検物質の存在下の活性に対する比較において、請
    求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子発現産物の転写活
    性の促進を検出し、そしてC型肝炎コアタンパクの癌化
    を抑制する化合物の被検物質の存在を特定する工程を含
    む、 請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子、または請求項
    5に記載の遺伝子発現産物および請求項13に記載のポ
    リペプチドを用い、請求項1〜4のいずれかに記載の遺
    伝子、または請求項5に記載の遺伝子発現産物、及び請
    求項13に記載のポリペプチドの転写活性を促進する候
    補化合物をスクリーニングする、転写活性を促進する候
    補化合物のスクリーニング方法。
  15. 【請求項15】 請求項14の転写活性を促進する候補
    化合物のスクリーニング方法に用いられるスクリーニン
    グ用キット。
  16. 【請求項16】 請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝
    子の遺伝子発現レベルの高低を測定し、前記遺伝子発現
    レベルの高低の差異または、該遺伝子のポリモルフィズ
    ムを分析し、C型肝炎による癌化を予測する方法。
  17. 【請求項17】 a)被検物質を請求項1〜4のいずれ
    かに記載の遺伝子発現産物に対して被検物質を反応させ
    る工程、 b)被検物質の存在下の転写活性に対する比較におい
    て、請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子発現産物の
    転写活性の促進作用によって、被検物質の遺伝子発現レ
    ベルが上昇される代謝酵素の存在を特定する工程を含
    む、 請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子、または請求項
    5に記載の遺伝子発現産物および請求項13に記載のポ
    リペプチドを用い、請求項1〜4のいずれかに記載の遺
    伝子、または請求項5に記載の遺伝子発現産物、及び請
    求項13に記載のポリペプチドの転写活性促進作用によ
    って、遺伝子発現レベルが上昇される候補代謝酵素をス
    クリーニングする候補代謝酵素のスクリーニング方法。
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