JP2002150734A - 磁気ヘッド及び磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

磁気ヘッド及び磁気ヘッドの製造方法

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JP2002150734A
JP2002150734A JP2000345102A JP2000345102A JP2002150734A JP 2002150734 A JP2002150734 A JP 2002150734A JP 2000345102 A JP2000345102 A JP 2000345102A JP 2000345102 A JP2000345102 A JP 2000345102A JP 2002150734 A JP2002150734 A JP 2002150734A
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秀治 佐藤
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正義 中川
Toru Nakazawa
徹 中澤
Soichiro Nomura
壮一郎 野村
Hideaki Abe
秀昭 阿部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 浮上式磁気ヘッドが不良品であった場合にフ
レキシャのみを再利用可能な磁気ヘッド及びその製造方
法を提供する。 【解決手段】 パッド部7…がスライダ5の一端面5a
に設けられてなる浮上式磁気ヘッド4と、浮上式磁気ヘ
ッド4を保持するフレキシャ3と、フレキシャ3に取り
付けられてパッド部7…側に付勢される付勢電極8…か
ら構成され、浮上式磁気ヘッド4は、フレキシャ3の接
着面3bにスライダ5の被接着面5cが接着樹脂11に
よって接合されることによりフレキシャ3に保持され、
接着樹脂11は、ゲル状態から温度Tgでゲル状態に変
化し、温度Tmでゲル状態から溶融状態に変化し、温度
Tcで溶融状態から硬化状態に変化するものであってT
g<Tm<Tcの関係を有し、前記の硬化状態または前
記ゲル状態で接着面3bと被接着面5cを接合させるも
のであることを特徴とする磁気ヘッド1を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ヘッド及びそ
の製造方法に関するものであり、特に、磁気ヘッドの構
成部品を製造工程にて再利用可能な磁気ヘッドの製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】記録媒体に対して非接触状態で磁気情報
を記録/再生を行う磁気ヘッドは、一般的に、サスペン
ションの先端に設けられたフレキシャに浮上式磁気ヘッ
ドを保持させて構成されている。上記の磁気ヘッドは、
フレキシャに浮上式磁気ヘッドを接着剤によって接着
し、次にフレキシャ側の電極を浮上式磁気ヘッドのパッ
ド部に金ボール等を介して電気的に接続し、更に浮上式
磁気ヘッドの電気特性を検査して良品のみを選別する、
といった工程を経て製造されるのが一般的である。電気
特性を検査して不良品と判定された浮上式磁気ヘッド
は、フレキシャに接合されたままの状態で廃棄されてい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで最近では、性
能向上のために、サスペンション自体にマイクロアクチ
ュエータや半導体素子を取り付けたものを用いる場合が
ある。従って、浮上式磁気ヘッドが不良品と判定された
場合であっても、サスペンション自体を再使用したいと
いう要望があった。
【0004】しかし、浮上式磁気ヘッドは接着剤によっ
てフレキシャに強固に固定されているため、一旦フレキ
シャに接着したあとで取り外そうとすると、フレキシャ
の強度が極めて低いためにサスペンションを損傷させる
可能性が高い。従ってフレキシャから浮上式磁気ヘッド
を分離してサスペンションのみを再利用することは極め
て困難であった。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であって、浮上式磁気ヘッドが不良品であった場合にサ
スペンションのみを再利用可能な磁気ヘッド及びその製
造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明の磁気ヘ
ッドは、スライダの媒体対向面に磁気ヘッド素子が露出
するとともに前記磁気ヘッド素子と電気的に接続される
パッド部が前記スライダの一端面に設けられてなる浮上
式磁気ヘッドと、前記浮上式磁気ヘッドを保持するフレ
キシャと、前記フレキシャに取り付けられて前記パッド
部側に付勢される付勢電極とから構成され、前記浮上式
磁気ヘッドは、前記フレキシャの接着面に前記スライダ
の前記媒体対向面反対側の被接着面が接着樹脂によって
接合されることにより前記フレキシャに保持され、前記
接着樹脂は、溶媒に分散されたゾル状態から温度Tgで
ゲル状態に変化し、温度Tmでゲル状態から溶融状態に
変化し、温度Tcで溶融状態から硬化状態に変化するも
のであってTg<Tm<Tcの関係を有しており、前記
の硬化状態または前記ゲル状態で前記接着面と前記被接
着面を接合させるものであることを特徴とする。
【0007】係る磁気ヘッドによれば、加熱によって化
学的に硬化する接着樹脂により浮上式磁気ヘッドをフレ
キシャに保持させているので、実際の使用によって磁気
ヘッドの温度が上昇した場合でも接着強度が低下するこ
とがなく、安定した磁気記録情報の記録再生を行うこと
が可能になる。また、接着樹脂がゲル状態の場合であっ
ても、充分な接着強度が得られるので、浮上式磁気ヘッ
ドとフレキシャを仮固定することができ、この状態で浮
上式磁気ヘッドの電気特性等を測定することができる。
更に接着樹脂がゲル状態の場合には、接着樹脂を更に加
熱して溶融状態とすることで、浮上式磁気ヘッドをフレ
キシャから容易に取り外せるので、フレキシャを損傷さ
せることがない。また、浮上式磁気ヘッドと外部との電
気的な接続をパッド部と付勢電極のみにより行うので、
浮上式磁気ヘッドをフレキシャから取りはずしてもフレ
キシャを損傷させることがない。
【0008】また本発明の磁気ヘッドは、先に記載の磁
気ヘッドであって、前記接着面の周囲に前記接着樹脂の
流動を防止する凸部が設けられ、前記凸部の上面に前記
スライダの被接着面が当接することにより生じる前記接
着面と前記被接着面の間の隙間に、前記接着樹脂が硬化
状態またはゲル状態で充填されていることを特徴とす
る。
【0009】係る磁気ヘッドによれば、接着樹脂の流動
防止用の凸部が設けられているので、接着樹脂が広範囲
に広がることがなく、これによりフレキシャと浮上式磁
気ヘッドの接着強度が低下することがないので、浮上式
磁気ヘッドをフレキシャに確実に固定することが可能に
なる。
【0010】また本発明の磁気ヘッドは、先に記載の磁
気ヘッドであって、前記付勢電極は、外部配線の先端を
折り曲げて形成され、この折曲部の付勢力により前記パ
ッド部に圧着されるものであることを特徴とする。また
本発明の磁気ヘッドは、先に記載の磁気ヘッドであっ
て、前記パッド部に前記付勢電極側に突出する接続電極
が取り付けられ、前記付勢電極は、フレキシャの一部を
浮上式磁気ヘッドより離れた側に折り曲げるように打ち
抜いて形成され、この折曲部の付勢力により前記接続電
極に圧着されるものであることを特徴とする。
【0011】係る磁気ヘッドによれば、折曲部の付勢力
によって付勢電極をパッド部または接続電極に圧着させ
ているので、付勢電極とパッド部を電気的に接続するこ
とができ、磁気記録情報を磁気ヘッドの外部に確実に送
受することが可能になる。また、浮上式磁気ヘッドをフ
レキシャから取り外す場合でもフレキシャを損傷させる
ことなく容易に取り外すことができる。
【0012】次に本発明の磁気ヘッド用のフレキシャ
は、浮上式磁気ヘッドが取り付けられるフレキシャ舌部
と、該フレキシャ舌部を弾性支持するフレキシャ本体
と、外部配線と、端子電極とを具備してなり、前記端子
電極が、前記フレキシャ本体または前記フレキシャ舌部
のいずれか一方により弾性支持された状態で前記フレキ
シャ本体と前記フレキシャ舌部との接続部近傍に設けら
れ、前記外部配線の先端がこの端子電極まで延在してい
ることを特徴とする。特に、前記端子電極の周囲にスリ
ットを設けることにより、該端子電極が前記フレキシャ
本体によって弾性支持されるように構成されたことが好
ましい。
【0013】係る磁気ヘッド用のフレキシャによれば、
端子電極が弾性支持されているので、例えば、端子電極
側に突出する接続電極を備えた浮上式磁気ヘッドをフレ
キシャ舌部に取り付けるだけで、端子電極が接続電極に
押圧されて、これらの電極同士を電気的に接続させるこ
とが可能になる。
【0014】次に、本発明の磁気ヘッドの製造方法は、
磁気ヘッド素子及び該磁気ヘッド素子に電気的に接続さ
れるパッド部がスライダに備えられてなる浮上式磁気ヘ
ッドを、付勢電極を備えたフレキシャに接着樹脂によっ
て接合することにより磁気ヘッドを製造する方法であ
り、前記接着樹脂は、溶媒に分散されたゾル状態から温
度Tgでゲル状態に変化し、温度Tmでゲル状態から溶
融状態に変化し、温度Tcで溶融状態から硬化状態に変
化するものであってTg<Tm<Tcの関係を有するも
のであり、該接着樹脂を前記フレキシャの接着面に塗布
するとともにTg以上Tm以下に加熱することにより前
記接着樹脂をゲル化して前記スライダの被接着面を前記
接着面に圧着することにより、前記パッド部に前記付勢
電極を圧着させた状態で前記浮上式磁気ヘッドを前記フ
レキシャに仮固定して仮止め品とする仮固定工程と、前
記付勢電極を介して前記浮上式磁気ヘッドの電気特性を
基準値と比較し、前記仮止め品を基準内のものと基準外
のものに選別する検査工程と、前記基準内の仮止め品
を、温度Tc以上に加熱することにより前記接着樹脂を
硬化状態にして、前記浮上式磁気ヘッドを前記フレキシ
ャに固定して磁気ヘッドとする完成化工程と、前記基準
外の仮止め品を、温度Tm以上Tc以下に加熱して前記
接着樹脂を溶融状態にして、前記浮上式磁気ヘッドと前
記フレキシャとを分離する分解工程と、前記分解工程に
より得られた前記フレキシャを、前記仮固定工程に返送
する返送工程とを具備してなることを特徴とする。
【0015】係る磁気ヘッドの製造方法によれば、フレ
キシャに浮上式磁気ヘッドを仮固定した状態で浮上式磁
気ヘッドの電気特性を測定し、電気特性が基準外のもの
のみを選別して接着樹脂を溶融状態とし、フレキシャと
浮上式磁気ヘッドを分離するので、フレキシャを損傷さ
せずに浮上式磁気ヘッドを取りはずすことができ、フレ
キシャの再利用が可能になる。また、電気特性が基準内
のものは、接着樹脂を加熱するだけで浮上式磁気ヘッド
をフレキシャに強固に固定できるので、特別な設備を必
要とせず、製造工程を簡略化することが可能になる。
【0016】また、本発明の磁気ヘッドの製造方法は、
磁気ヘッド素子及び該磁気ヘッド素子に電気的に接続さ
れるパッド部がスライダに備えられてなる浮上式磁気ヘ
ッドを、端子電極を備えたフレキシャに接着樹脂によっ
て接合することにより磁気ヘッドを製造する方法であ
り、前記接着樹脂は、溶媒に分散されたゾル状態から温
度Tgでゲル状態に変化し、温度Tmでゲル状態から溶
融状態に変化し、温度Tcで溶融状態から硬化状態に変
化するものであってTg<Tm<Tcの関係を有するも
のであり、前記浮上式磁気ヘッドのパッド部に接触突起
を有する接続電極を取り付ける電極形成工程と、前記接
着樹脂を前記フレキシャの前記接着面に塗布するととも
にTg以上Tm以下に加熱して前記接着樹脂をゲル化し
て前記スライダの被接着面を前記接着面に圧着すると同
時に、前記接触突起を前記端子電極に接触させた状態
で、前記浮上式磁気ヘッドを前記フレキシャに仮固定し
て仮止め品とする仮固定工程と、前記端子電極を介して
前記浮上式磁気ヘッドの電気特性を基準値と比較し、前
記仮止め品を基準内のものと基準外のものに選別する検
査工程と、前記基準内の仮止め品を、温度Tc以上に加
熱することにより前記接着樹脂を硬化状態にして前記浮
上式磁気ヘッドを前記フレキシャに固定するとともに、
前記接触突起を潰しつつ前記接続電極を前記端子電極に
圧着して磁気ヘッドとする完成化工程と、前記基準外の
仮止め品を、温度Tm以上Tc以下に加熱することによ
り前記接着樹脂を溶融状態にして、前記浮上式磁気ヘッ
ドと前記フレキシャとを分離する分解工程と、前記分解
工程により得られた前記フレキシャを、前記仮固定工程
に返送する返送工程とを具備してなることを特徴とす
る。
【0017】係る磁気ヘッドの製造方法によれば、接触
突起を潰しつつ前記接続電極を前記端子電極に圧着して
磁気ヘッドとするので、接続電極と端子電極との電気的
接続を確実なものとすることができ、磁気ヘッドの歩留
まりを向上させることが可能になる。
【0018】また、本発明の磁気ヘッドの製造方法は、
先に記載の磁気ヘッドの製造方法であって、前記電極形
成工程が、前記浮上式磁気ヘッドを接続電極形成用の型
面に対して前記パッド部の表面が起立した状態で配置
し、接続電極用材料を前記パッド部に接合すると同時に
前記型面に圧着して、前記型面に対応した接触突起を有
する接続電極を形成し、前記接続電極を前記型面から剥
離する工程からなることを特徴とする。
【0019】係る磁気ヘッドの製造方法によれば、接続
電極形成用の型面を用いて接触突起付きの接続電極を形
成するので、一定の形状の接続電極を量産することがで
き、接続電極の生産性を高めることが可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下、本発明
の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。図1に
本発明の第1の実施形態である磁気ヘッド1の斜視図を
示し、図2に磁気ヘッド1の平面図を示し、図3には磁
気ヘッド1の側面図を示す。図1に示すように、この磁
気ヘッド1は、ロードビーム2の先端2aに取り付けら
れたフレキシャ3と、フレキシャ3に保持された浮上式
磁気ヘッド4とを主体として構成されている。これらフ
レキシャ3とロードビーム2とによりサスペンション3
dが構成されている。
【0021】図1に示すように、浮上式磁気ヘッド4
は、Ai23-TiC等の非磁性体からなるスライダ5
に磁気ヘッド素子6が形成されて構成されている。磁気
ヘッド素子6はスライダ5の一端面5a上に、再生ヘッ
ド部と書込ヘッド部とを積層して構成されている。そし
て、磁気ヘッド素子6の一部がスライダ5の媒体対向面
5bに露出している。また、図1及び図3に示すよう
に、スライダ5の一端面5a上には金等からなる4つの
パッド部7…が設けられている。これらのパッド部7…
は磁気ヘッド素子6に電気的に接続され、磁気ヘッド素
子6と外部との間でやりとりされる電気信号の端子とし
ての役割を果たす。尚、パッド部7…の数は4つに限ら
れるものではない。そして図1及び図3に示すように、
スライダ5の媒体対向面5bの反対面である被接着面5
cが、フレキシャ3のフレキシャ舌部3aに接着されて
いる。
【0022】図2に示すように、フレキシャ3は厚さ数
十μmのステンレス等の薄板からなり、その先端にはフ
レキシャ舌部3aが形成されている。フレキシャ舌部3
aは、フレキシャ3の先端中央を打ち抜いて舌状に形成
されたもので、フレキシャ3の先端側から基端側に向け
て延在している。そして、フレキシャ舌部3aの接着面
3bには、凸部3c…が形成されている。凸部3c…は
図3に示すように、接着面3bから浮上式磁気ヘッド4
側に突出して形成されている。
【0023】また図1〜図3に示すように、フレキシャ
3には、少なくとも表面が金からなる付勢電極8…が取
り付けられている。付勢電極8…は、フレキシャ3の基
端側から先端側に向けて延在する外部配線9…の先端に
設けられており、図1及び図3に示すように、外部配線
9…の先端が折り曲げられて折曲部10が形成され、付
勢電極8…はその折曲部10…を介して外部配線9…に
接続されている。そして付勢電極8…は、折曲部10…
を固定点とする片持ちばねとされ、浮上式磁気ヘッド4
のパッド部7…側に付勢されてパッド部7に圧着されて
いる。尚、パッド部7…が金で構成された場合は、付勢
力によって付勢電極8…がパッド部7…に若干くい込む
ため、付勢電極8…とパッド部7…との電気的な接続が
良好なものとなる。
【0024】そして、浮上式磁気ヘッド4のスライダ5
の被接着面5cが、フレキシャ3のフレキシャ舌部3a
の接着面3bに接着樹脂11により接着されている。即
ち図3に示すように、被接着面5cと接着面3bとの間
に接着樹脂11が充填され、浮上式磁気ヘッド4とフレ
キシャ3とがこの接着樹脂11により接合されている。
浮上式磁気ヘッド4の被接着面5cは、凸部3c…の上
面に当接し、被接着面5cと接着面3bとの間に微小な
隙間が設けられ、接着樹脂11はこの隙間に充填され
る。また凸部3cは、図2に示すように、接着面3bを
取り囲むように形成されている。そして接着樹脂11
は、凸部3c…によってせき止められ、凸部3c…に囲
まれた領域のみに塗布されている。このように、凸部3
c…は、浮上式磁気ヘッド4を支持するとともに接着樹
脂11の流動を防止する。
【0025】接着樹脂11は、温度Tgでゾル状態から
ゲル状態に変化し、温度Tmでゲル状態から溶融状態に
変化し、温度Tcで溶融状態から硬化状態に変化するも
のである。ここで、各温度は、Tg<Tm<Tcの関係
を示す。浮上式磁気ヘッド4とフレキシャ3を接合する
際には、接着樹脂11が硬化状態またはゲル状態とな
る。
【0026】この接着樹脂11は、通常、溶剤に溶解さ
れた状態でフレキシャ舌部3aの接着面3bに塗布され
る。溶剤に溶解された状態の接着樹脂11は、溶剤中に
溶解分散、若しくはコロイド状に分散した状態となって
おり、外見上は液状体あるいは半流動状体のような性状
を示し、いわゆるゾル状態になっている。そして温度T
gを越えると溶剤がほとんど揮発し、接着樹脂11が析
出したゲル状態になる。このゲル状態でフレキシャ3に
浮上式磁気ヘッド4を圧着させることにより、フレキシ
ャ3と浮上式磁気ヘッド4とを仮固定できる。図1〜図
3に示す磁気ヘッド1では、接着樹脂11がゲル状態で
あっても良い。
【0027】更に温度がTmを越えると、接着樹脂11
はゲル状態から溶融状態に変化し、ジェリー状から液状
若しくは半流動体状になる。溶融状態の接着樹脂11は
粘着性が著しく低下し、これによりフレキシャ3に機械
的な負荷を与えることなくフレキシャ3から浮上式磁気
ヘッド4を分離可能となる。そして、温度がTcを越え
ると、接着樹脂11は溶融状態から化学的な反応、例え
ば重合反応、縮合反応等の化学反応を経て硬化して硬化
状態になる。この硬化状態への反応は不可逆的反応であ
り、接着樹脂11が一旦硬化すると、温度が低下したと
しても溶融状態に戻ることがない。図1〜3に示す磁気
ヘッド1の接着樹脂11は硬化状態であり、これにより
フレキシャ3と浮上式磁気ヘッド4を強固に固定でき
る。
【0028】上記の接着樹脂11の具体例としては、ポ
リエステル系、アクリル系、ポリオレフィン系、エポキ
シ系、ポリウレタン系の樹脂を例示できるが、特にエポ
キシ系の樹脂が好ましい。また、溶剤の具体例として
は、グリコールエステル類、ケトン類、芳香族類等を例
示できるが、特にケトン類が好ましい。
【0029】上記の磁気ヘッド1によれば、化学的に硬
化した接着樹脂11により浮上式磁気ヘッド4をフレキ
シャ舌部3aに接着しているので、実際の使用によって
磁気ヘッドに温度が上昇した場合でも接着強度が低下す
ることがなく、安定した磁気記録情報の記録再生を行う
ことができる。また、接着樹脂11がゲル状態の場合で
あっても、充分な接着強度が得られるので、浮上式磁気
ヘッド4とフレキシャ3を仮固定することができ、この
状態で浮上式磁気ヘッド4の電気特性等を測定すること
ができる。更に、接着樹脂がゲル状態の場合には、接着
樹脂を更にTmまで加熱して溶融状態とすることによ
り、浮上式磁気ヘッド4をフレキシャ3から容易に取り
外せるので、フレキシャ3に機械的な負荷がかかること
がなく、サスペンション3dを損傷させることがない。
【0030】また、浮上式磁気ヘッド4と外部との電気
的な接続をパッド部7…と付勢電極8…のみにより行う
ので、従来のように金ボールを介して溶接する必要がな
く、部品点数が低減して信頼性の高い磁気ヘッドを構成
することが可能になる。更にパッド部7…と付勢電極8
…の接続は、付勢電極8…をパッド部7…に付勢して圧
着することのみで維持されているので、フレキシャ3か
ら浮上式磁気ヘッド4を取りはずす際に、パッド部7…
と付勢電極8…を切り離すための操作は特に必要なく、
単に接着樹脂11を溶融状態にするだけでフレキシャ3
から浮上式磁気ヘッド4を取りはずすことができ、パッ
ド部7…や付勢電極8…を損傷させることがない。
【0031】また、フレキシャ舌部3aの接着面3b上
に接着樹脂11の流動を防止する凸部3c…が設けられ
ているので、接着樹脂11が過度に広範囲に広がること
がなく、フレキシャ3と浮上式磁気ヘッド4の接着強度
が低下することがないので、浮上式磁気ヘッド4をフレ
キシャ3に確実に固定させることができる。
【0032】また、付勢電極に接続電極を取り付け、こ
の接続電極にパッド部を付勢させることによって、浮上
式磁気ヘッドを外部配線に電気的に接続しても良い。こ
の例の磁気ヘッドの要部を図4に示す。なお、図4に示
す磁気ヘッドの構成要素のうち、図1〜図3に示した磁
気ヘッド1と同一の構成要素には同一符号を付してその
説明を省略する。図4に磁気ヘッド20は、図1〜3に
示した磁気ヘッドと同様に、パッド部7…を有する浮上
式磁気ヘッド4と、フレキシャ23と、付勢電極28と
を主体として構成されている。
【0033】付勢電極28は、フレキシャ舌部23aの
一部を打ち抜いて舌状に形成されたもので、フレキシャ
舌部23aの先端側から基端側に向けて延在している。
付勢電極28は、浮上式磁気ヘッド4から離れる側に向
けてフレキシャ舌部23aから折り曲げられており、こ
の折り曲げられた部分が折曲部30とされている。そし
て、外部配線9の先端がこの折曲部30近傍に接続され
ている。
【0034】また、浮上式磁気ヘッド4のパッド部7…
には、接続電極40…が取り付けられている。接続電極
40…は、一端がパッド部7…に接合し、他端がフレキ
シャ舌部23a側に突出している。接続電極40…の他
端は、付勢電極18…の打ち抜きによって形成された打
抜孔18aを貫通して付勢電極18側に突出している。
そして付勢電極18…は、折曲部30…を固定点とする
片持ちばねとされ、浮上式磁気ヘッド4のパッド部7…
側に付勢され、接続電極40…に圧着されている。
【0035】上記の磁気ヘッド20によれば、先に説明
した磁気ヘッド1と同様な効果の他に次の効果が得られ
る。即ち、付勢電極18とパッド部7…との間に接続電
極40…が配置され、付勢電極18…が接続電極40…
側に付勢されているので、浮上式磁気ヘッドと外部配線
9とを確実に接続することができる。また、フレキシャ
舌部23aを打ち抜くだけで、あるいはエッチングする
ことにより付勢電極18…を形成できるので、構造が簡
略化されて磁気ヘッド20の信頼性を高めることができ
る。
【0036】次に、本発明の第1の実施形態の磁気ヘッ
ド1の製造方法を図面を参照して説明する。磁気ヘッド
1の製造方法は、浮上式磁気ヘッド4をフレキシャ3に
仮固定して仮止め品とする仮固定工程と、浮上式磁気ヘ
ッド4の電気特性に基づいて仮止め品を選別する検査工
程と、仮止め品が良品の場合に浮上式磁気ヘッド4をフ
レキシャ3に完全に固定する完成化工程と、仮止め品が
不良品の場合に浮上式磁気ヘッド4とフレキシャ3を分
離する分解工程と、フレキシャ3を仮固定工程に返送す
る返送工程とから構成されている。
【0037】まず仮固定工程では、図5の符号100で
示すように、フレキシャ舌部3aの接着面3bに接着樹
脂11を塗布する。接着樹脂11は凸部3c…に囲まれ
た領域に塗布することが望ましい。また、接着樹脂11
は前述したように、加熱によってゾル状態からゲル状態
へ、更に溶融状態から硬化状態に変化するものであり、
この仮固定工程においては溶剤に溶解されてゾル状態の
接着樹脂11を塗布する。そして、Tg以上Tm以下の
温度に加熱して溶剤を揮発させることにより接着樹脂1
1をゲル化する。接着樹脂11が例えばポリエステル系
樹脂の場合、Tgは25℃(室温)程度、Tmは100
℃程度である。
【0038】次に、図5の符号101で示すように、フ
レキシャ舌部3aに浮上式磁気ヘッド4を圧着して仮固
定し、仮止め品Aとする。ゲル状態の接着樹脂11は、
外見的にはジェリー状であり、粘着性を示す。従って接
着樹脂11がゲル状態のときに、フレキシャ3に浮上式
磁気ヘッド4を圧着させることにより、フレキシャ3と
浮上式磁気ヘッド4とを仮固定できる。フレキシャ3に
浮上式磁気ヘッド4を仮固定した状態では、図5の符号
101で示すように、パッド部7…に付勢電極8…が圧
着された状態になる。なお、浮上式磁気ヘッド4とフレ
キシャ3とを冶具等により固定した状態で接着樹脂11
を加熱してゲル状態とし、浮上式磁気ヘッド4とフレキ
シャ3を仮固定しても良い。
【0039】次に検査工程では、まず図5の符号102
に示すように、仮止め品Aの外部配線9に測定機器Bを
接続する。これにより測定装置Bを、外部配線9から付
勢電極8…及びパッド部7…を介して浮上式磁気ヘッド
4の磁気ヘッド素子(図示せず)に電気的に接続する。
浮上式磁気ヘッド4はフレキシャ3に仮固定された状態
であるが、付勢電極8…をパッド部7…に圧着した状態
であるので、付勢電極8…とパッド部7…との間の電気
的な接続が良好な状態に保たれている。この状態で、浮
上式磁気ヘッド4の磁気ヘッド素子の電気特性を測定機
器Bにより測定する。測定する電気特性としては、例え
ば、磁気ヘッド素子の再生ヘッド部に設けられたMR素
子の電気抵抗や、再生出力、出力波形の対称性、安定
性、磁気ヘッド素子の寸法、位置関係等を例示できる。
【0040】そして、測定した電気特性とあらかじめ決
められた基準値(若しくは許容範囲)とを比較し、測定
した仮止め品Aが基準内のものか、基準外のものかを選
別する。例えば、測定した電気特性がMR素子の電気抵
抗である場合には、この電気抵抗値を基準となる電気抵
抗値の許容範囲と比較する。そして、MR素子の電気抵
抗が許容範囲外である場合はその仮止め品を基準外のも
の(不良品)A1とし、MR素子の電気抵抗が許容範囲
内である場合はその仮止め品を基準内のもの(良品)A
2とする。
【0041】次に、上記の検査工程で基準内のもの(良
品)と判定された仮止め品A1は、完成化工程に進んで
以下の処理が行われる。完成化工程では仮止め品A1に
対し、図5の符号103で示すように、仮止め品A1を
温度Tc以上に加熱して接着樹脂11を化学反応させて
硬化状態とすることにより、浮上式磁気ヘッド4をフレ
キシャ3に完全に固定する。接着樹脂11を温度Tcま
で加熱すると、接着樹脂11は溶融状態を経て化学的な
反応、例えば重合反応、縮合反応等を引き起こして硬化
する。溶融状態から硬化状態への反応は不可逆的反応で
あり、接着樹脂11が一旦この硬化状態になると温度が
低下しても溶融状態に戻ることはない。また、加熱する
温度は、浮上式磁気ヘッド4の耐熱温度以下の温度とす
ることが好ましい。尚、接着樹脂11がポリエステル系
樹脂の場合、Tcは120〜130℃程度となる。この
ようにして磁気ヘッド1が得られる。
【0042】次に、上記の検査工程で基準外のもの(不
良品)と判定された仮止め品A2は、分解工程に進んで
以下の処理が行われる。分解工程では仮止め品A2に対
し、図5の符号104で示すように、仮止め品A2を温
度Tm以上Tc以下の範囲に加熱してゲル状態の接着樹
脂11を溶融状態にすることにより、浮上式磁気ヘッド
4をフレキシャ3から分離する。接着樹脂11を温度T
m以上Tc以下の範囲に加熱すると、ゲル状態の接着樹
脂11は溶融状態に変化し、液状若しくは半流動体状に
なる。溶融状態の接着樹脂11は粘着性が著しく低下
し、これによりフレキシャ3に機械的な負荷を与えるこ
となくフレキシャ3から浮上式磁気ヘッド4を分離する
ことができる。
【0043】特に浮上式磁気ヘッド4はフレキシャ舌部
3aに仮固定されており、このフレキシャ舌部3aはフ
レキシャ3の一部を切り欠いてフレキシャ3に対して撓
みやすく形成されている。従ってフレキシャ3自体の機
械的強度は極めて低いものであるが、溶融状態になった
接着樹脂11は粘着性が極めて低くなっているので、フ
レキシャ3を変形させることなく、浮上式磁気ヘッド4
を取りはずすことができる。更にパッド部7…と付勢電
極8…の接続は、付勢電極8…をパッド部7…に付勢し
て圧着することのみで維持されているので、フレキシャ
3から浮上式磁気ヘッド4を取りはずす際に、パッド部
7…と付勢電極8…を切り離すための操作は特に必要な
く、単に接着樹脂11を溶融状態にするだけでフレキシ
ャ3から浮上式磁気ヘッド4を取りはずすことができ、
パッド部7…や付勢電極8…を損傷させることがない。
【0044】そして検査工程に続く返送工程では、図5
の符号105で示すように、分解工程において浮上式磁
気ヘッド4を分離した後のフレキシャ3とロードビーム
2を含むサスペンション3dを、仮固定工程に返送す
る。このフレキシャ3には、仮固定工程にて再び別の浮
上式磁気ヘッド4が仮固定される。尚、返送工程におい
て、返送するフレキシャ3のフレキシャ舌部3aに接着
樹脂11の一部が残存している場合には、適当な溶剤中
にフレキシャ3ごと浸漬して接着樹脂11を除去するこ
とが好ましい。また本発明の磁気ヘッド1の製造方法に
よれば、サスペンション3dを再利用することができ
る。特にサスペンション3dに付加機能を追加すべくマ
イクロアクチュエータや半導体素子等を取り付けたもの
であっても、サスペンション3dを破棄することなく再
利用できるので、省資源化できるとともに磁気ヘッド1
の製造コストを大幅に低減できる。
【0045】(第2の実施形態)次に、本発明の第2の
実施形態を図面を参照して説明する。図6に本発明の第
2の実施形態である磁気ヘッド41の側面図を示し、図
7には上記の磁気ヘッド41のフレキシャ33の平面図
を示す。尚、図6及び図7に示す磁気ヘッド41の構成
要素のうち、第1の実施形態で説明した磁気ヘッド1の
構成要素と同一のものには、同一符号を付してその説明
の一部若しくは全部を省略する。図6に示す磁気ヘッド
41は、第1の実施形態の磁気ヘッド1と同様に、ロー
ドビーム2の先端に設けられたフレキシャ33と、フレ
キシャ33に保持された浮上式磁気ヘッド4とを主体と
して構成されている。また、フレキシャ33とロードビ
ーム2とによりサスペンションが構成されている。
【0046】浮上式磁気ヘッド4は、Ai23-TiC
等の非磁性体からなるスライダ5に図示しない磁気ヘッ
ド素子が形成されて構成され、スライダ5の一端面5a
上には金等からなるパッド部7…が設けられている。こ
れらのパッド部7…は磁気ヘッド素子に電気的に接続さ
れ、磁気ヘッド素子と外部との間でやりとりされる電気
信号の端子としての役割を果たす。そして図6に示すよ
うに、スライダ5の媒体対向面5bの反対面である被接
着面5cが、フレキシャ33のフレキシャ舌部33aに
接着されている。
【0047】図7に示すように、フレキシャ33は厚さ
数十μmのステンレス等の薄板からなり、フレキシャ舌
部33a及びフレキシャ本体33dを有し、更に外部配
線39と、端子電極38とを主体として構成されてい
る。フレキシャ33の中央にはフレキシャ舌部33aが
形成されている。フレキシャ舌部33aは、フレキシャ
33の先端中央を打ち抜いて舌状に形成されたもので、
フレキシャ本体33dにより弾性支持されている。ま
た、フレキシャ舌部33aの接着面33bには、凸部3
3c…が形成されている。凸部33c…は図6に示すよ
うに、接着面33bから浮上式磁気ヘッド4側に突出し
て形成されている。
【0048】また図6及び図7に示すように、フレキシ
ャ33の端子電極38…は、フレキシャ本体33dとフ
レキシャ舌部33aの接続部分において、フレキシャ舌
部33aの一部を打ち抜いて平面視コ字状のスリット3
9bを設けて形成され、フレキシャ舌部33aにより弾
性支持されている。そして端子電極38…は、フレキシ
ャ舌部33aとの接続部分を固定点とする片持ちばねと
されている。また端子電極38には、図6及び図7に示
すように、外部配線39の先端39aが位置している。
【0049】浮上式磁気ヘッド4のパッド部7と端子電
極38の外部配線の先端39aは、接続電極50により
電気的に接続されている。接続電極50は、金ボールを
超音波成形等により断面視略L字型に形成してなるもの
で、パッド部7と外部配線先端39aに双方に接合され
ている。
【0050】そして、浮上式磁気ヘッド4のスライダ5
の被接着面5cが、フレキシャ舌部33aの接着面33
bに接着樹脂11により接着されている。即ち図6に示
すように、被接着面5cと接着面33bとの間に接着樹
脂11が充填され、浮上式磁気ヘッド4とフレキシャ3
3とがこの接着樹脂11により接合されている。被接着
面5cは、凸部33c…の上面に当接し、被接着面5c
と接着面33bとの間に微小な隙間が設けられ、接着樹
脂11はこの隙間に充填される。また凸部33cは、図
7に示すように、接着面33bを取り囲むように形成さ
れている。そして接着樹脂11は、凸部33c…によっ
てせき止められ、凸部33c…に囲まれた領域のみに塗
布されている。このように、凸部33c…は、浮上式磁
気ヘッド4を支持するとともに接着樹脂11の流動を防
止する。
【0051】接着樹脂11は、第1の実施形態にて説明
した接着樹脂11と同様のもので、温度Tgでゾル状態
からゲル状態に変化し、温度Tmでゲル状態から溶融状
態に変化し、温度Tcで溶融状態から硬化状態に変化す
るものである。浮上式磁気ヘッド4とフレキシャ33を
接合する際には、接着樹脂11が硬化状態となる。
【0052】上記の磁気ヘッド41によれば、パッド部
7及び端子電極38(外部配線先端39a)とが接続電
極50に接合されているので、外部配線39と浮上式磁
気ヘッド4とを電気的に確実に接続することができる。
また、この磁気ヘッド41によれば、接着樹脂11によ
り浮上式磁気ヘッド4をフレキシャ33に接着している
ので、実際の使用によって磁気ヘッドに温度が上昇した
場合でも接着強度が低下することがなく、安定した磁気
記録情報の記録再生を行うことができる。また、接着樹
脂11がゲル状態の場合であっても、充分な接着強度が
得られるので、浮上式磁気ヘッド4とフレキシャ33を
仮固定することができ、この状態で浮上式磁気ヘッド4
の電気特性等を測定することができる。更に、接着樹脂
がゲル状態の場合には、接着樹脂を更にTmまで加熱し
て溶融状態とすることにより、浮上式磁気ヘッド4をフ
レキシャ33から容易に取り外せるので、フレキシャ3
3に機械的な負荷がかかることがなく、フレキシャ33
を損傷させることがない。
【0053】また、フレキシャ33の接着面33b上に
接着樹脂11の流動を防止する凸部33c…が設けられ
ているので、接着樹脂11が過度に広範囲に広がること
がなく、フレキシャ33と浮上式磁気ヘッド4の接着強
度が低下することがないので、浮上式磁気ヘッド4をフ
レキシャ33に確実に固定させることができる。
【0054】次に、上記の磁気ヘッド41の製造方法を
説明する。この磁気ヘッド41の製造方法は、浮上式磁
気ヘッド4に接続電極50を接合する電極形成工程と、
浮上式磁気ヘッド4をフレキシャ33に仮固定して仮止
め品とする仮固定工程と、浮上式磁気ヘッド4の電気特
性に基づいて仮止め品を選別する検査工程と、仮止め品
が良品の場合に浮上式磁気ヘッド4をフレキシャ33に
完全に固定するとともに接続電極50をフレキシャ33
に圧着する完成化工程と、仮止め品が不良品の場合に浮
上式磁気ヘッド4とフレキシャ33を分離する分解工程
と、フレキシャ33を仮固定工程に返送する返送工程と
から構成されている。
【0055】まず、電極形成工程では、図8の符号20
1に示すように、浮上式磁気ヘッド4を媒体対向面5a
を上にして接続電極形成用の型Cの型面C1上に配置す
る。この型Cの型面C1は例えばステンレス等により構
成されており、そして型面C1上にはディンプルDが設
けられている。浮上式磁気ヘッド4は、この型面C1に
対し、パッド部7…の表面が起立した状態で配置され
る。次に、金ボール等の接続電極用材料51をパッド部
7…と型面C1のディンプルDとに接触するように配置
し、超音波溶着を行って接続電極用材料50をパッド部
7…と型面C1に圧着させる。接続電極用材料51が型
面C1に圧着される際に、材料51の一部が型面C1上の
ディンプルDに充填される。このようにして、接続電極
50が形成される。接続電極用材料51が金ボールから
なるとともにパッド部7…も金から構成される場合に
は、接続電極50がパッド部7の表面に完全に接合す
る。一方、接続電極50は材質の異なる型面C1には完
全に接合せず、剥離可能な状態となる。
【0056】そして、図8の符号202に示すように、
型Cから接続電極50及び浮上式磁気ヘッド4を剥離す
る。接続電極50には、スライダ5の被接着面5cより
も図中下方に突出する接続突起50aが設けられる。こ
の接続突起50aは、型面C1上に設けられたディンプ
ルDに対応するものである。
【0057】次に図8の符号203で示すように、仮固
定工程では、第1の実施形態の仮固定工程と同様にし
て、フレキシャ舌部33aの接着面33bに接着樹脂1
1を塗布し、Tg以上Tm以下の温度に加熱して接着樹
脂11をゲル化し、そしてフレキシャ舌部33aに浮上
式磁気ヘッド4を圧着して仮固定し、仮止め品Aとす
る。フレキシャ舌部33aに浮上式磁気ヘッド4を仮固
定した状態では、図8の符号203で示すように、接続
電極50の接触突起50aが端子電極38に接触して端
子電極38を図中下側に付勢させた状態になる。
【0058】次に検査工程では、第1の実施形態にて説
明した検査工程と全く同様にして、図示しない測定機器
を外部配線39に接続し、接続電極50及びパッド部7
を介してこの測定機器を浮上式磁気ヘッド4に電気的に
接続し、浮上式磁気ヘッド4の磁気ヘッド素子の電気特
性を測定する。
【0059】そして、測定した電気特性とあらかじめ決
められた基準値(若しくは許容範囲)とを比較し、測定
した仮止め品Aが基準内のものか、基準外のものかを選
別する。例えば、測定した電気特性がMR素子の電気抵
抗である場合には、この電気抵抗値を基準となる電気抵
抗値の許容範囲と比較する。そして、MR素子の電気抵
抗が許容範囲外である場合はその仮止め品を基準外のも
の(不良品)とし、MR素子の電気抵抗が許容範囲内で
ある場合はその仮止め品を基準内のもの(良品)とす
る。
【0060】次に、上記の検査工程で基準内のもの(良
品)と判定された仮止め品は、完成化工程に進んで以下
の処理が行われる。完成化工程では図8の符号204で
示すように、仮止め品を温度Tc以上に加熱して接着樹
脂11を化学反応させて硬化状態とすることにより、浮
上式磁気ヘッド4をフレキシャ33に完全に固定する。
同時に、超音波溶着処理等によって接続電極50を端子
電極38に圧着する。圧着の際には、図中上側から超音
波溶着用のヘッドを接続電極50に押し当てるとともに
フレキシャ舌部33aの図中下方から図示しない冶具等
により端子電極38を支持し、接続電極50を上下方向
から挟む形で成形する。この圧着によって接続電極50
に設けられていた接触突起50aが潰され、接続電極5
0と端子電極38上の外部配線の先端39aが完全に接
合する。このようにして磁気ヘッド41が得られる。
【0061】次に、上記の検査工程で基準外のもの(不
良品)と判定された仮止め品は、分解工程に進み、第1
の実施形態の場合と同様にして、以下の処理が行われ
る。分解工程では仮止め品を温度Tm以上Tc以下の範
囲に加熱してゲル状態の接着樹脂11を溶融状態にし
て、浮上式磁気ヘッド4をフレキシャ33から分離す
る。溶融状態の接着樹脂11は粘着性が著しく低下し、
これによりフレキシャ33に機械的な負荷を与えること
なくフレキシャ33から浮上式磁気ヘッド4を分離する
ことができる。
【0062】更にパッド部7…と端子電極38…の接続
は、接続電極50の接触突起50aによる点接触のみで
維持されているので、フレキシャ33から浮上式磁気ヘ
ッド4を取りはずす際に、パッド部7と端子電極38を
切り離すための操作は特に必要なく、パッド部7や端子
電極38を損傷させることがない。
【0063】そして検査工程に続く返送工程では、第1
の実施形態の場合と同様にして、フレキシャ33を仮固
定工程に返送する。このフレキシャ33には、仮固定工
程にて再び別の浮上式磁気ヘッド4が仮固定される。
【0064】上記の磁気ヘッド41の製造方法によれ
ば、フレキシャ33とロードビーム2からなるサスペン
ションを再利用することができる。特にサスペンション
に付加機能を追加すべくマイクロアクチュエータや半導
体素子等をサスペンションに取り付けたものであって
も、サスペンションを破棄することなく再利用できるの
で、省資源化できるとともに磁気ヘッド41の製造コス
トを大幅に低減できる。また完成化工程において、接続
電極50をパッド部7と端子電極38に完全に接合する
ので、浮上式磁気ヘッド4を外部配線39に確実に接続
することができ、磁気ヘッド41の歩留まりを構造させ
ることができる。
【0065】なお、上記の製造方法の仮固定工程におい
て、端子電極38が接続電極50によって付勢されてい
るが、付勢されないものであっても良い。即ち、端子電
極38がフレキシャ本体33dに対して剛性支持された
ものであってもよい。
【0066】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように本発明の磁
気ヘッドによれば、加熱によって硬化する接着樹脂によ
り浮上式磁気ヘッドをフレキシャに接着しているので、
実際の使用によって磁気ヘッドの温度が上昇した場合で
も接着強度が低下することがなく、安定した磁気記録情
報の記録再生を行うことができる。また、接着樹脂がゲ
ル状態の場合であっても、充分な接着強度が得られるの
で、浮上式磁気ヘッドとフレキシャを仮固定することが
でき、この状態で浮上式磁気ヘッドの電気特性等を測定
することができる。更に接着樹脂がゲル状態の場合に
は、更に接着樹脂を加熱して溶融状態とすることで、浮
上式磁気ヘッドをフレキシャから容易に取り外せるの
で、フレキシャを損傷させることがない。更に、浮上式
磁気ヘッドと外部との電気的な接続をパッド部と付勢電
極のみにより行うので、従来のように金ボールを介して
溶接する必要がなく、部品点数が低減して信頼性の高い
磁気ヘッドを構成することができる。
【0067】また、本発明の磁気ヘッドの製造方法によ
れば、フレキシャに浮上式磁気ヘッドを仮固定した状態
で浮上式磁気ヘッドの電気特性を測定し、電気特性が基
準外のもののみを選別して接着樹脂を溶融状態とし、フ
レキシャと浮上式磁気ヘッドを分離するので、フレキシ
ャを損傷させずに浮上式磁気ヘッドを取りはずすことが
でき、フレキシャを再利用することができる。また、電
気特性が基準内のものは、接着樹脂を加熱するだけで浮
上式磁気ヘッドをフレキシャに強固に固定できるので、
特別な設備を必要とせず、製造工程を簡略化することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態である磁気ヘッド
の斜視図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態である磁気ヘッド
のフレキシャの要部を示す平面図である。
【図3】 本発明の第1の実施形態である磁気ヘッド
の側面図である。
【図4】 本発明の第1の実施形態である他の磁気ヘ
ッドの要部を示す側面図である。
【図5】 本発明の第1の実施形態である磁気ヘッド
の製造方法を説明するための工程図である。
【図6】 本発明の第2の実施形態である磁気ヘッド
の側面図である。
【図7】 本発明の第2の実施形態である磁気ヘッド
のフレキシャの要部を示す平面図である。
【図8】 本発明の第2の実施形態である磁気ヘッド
の製造方法を説明するための工程図である。
【符号の説明】
1、20…磁気ヘッド、3…フレキシャ、3b…接着
面、3c…凸部、4…浮上式磁気ヘッド、5…スライ
ダ、5a…一端面、5b…媒体対向面、5c…被接着
面、6…磁気ヘッド素子、7…パッド部、8、18…付
勢電極、9…外部配線、10、30…折曲部、11…接
着樹脂、40…接続電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 正義 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 中澤 徹 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 野村 壮一郎 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 阿部 秀昭 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 Fターム(参考) 5D042 NA02 PA01 TA01 5D059 AA01 BA01 CA26 DA04 DA31 EA02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スライダの媒体対向面に磁気ヘッド素
    子が露出するとともに前記磁気ヘッド素子と電気的に接
    続されるパッド部が前記スライダの一端面に設けられて
    なる浮上式磁気ヘッドと、前記浮上式磁気ヘッドを保持
    するフレキシャと、前記フレキシャに取り付けられて前
    記パッド部側に付勢される付勢電極とから構成され、 前記浮上式磁気ヘッドは、前記フレキシャの接着面に前
    記スライダの前記媒体対向面反対側の被接着面が接着樹
    脂によって接合されることにより前記フレキシャに保持
    され、 前記接着樹脂は、溶媒に分散されたゾル状態から温度T
    gでゲル状態に変化し、温度Tmでゲル状態から溶融状
    態に変化し、温度Tcで溶融状態から硬化状態に変化す
    るものであってTg<Tm<Tcの関係を有しており、
    前記の硬化状態または前記ゲル状態で前記接着面と前記
    被接着面を接合させるものであることを特徴とする磁気
    ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記接着面の周囲に前記接着樹脂の流
    動を防止する凸部が設けられ、前記凸部の上面に前記ス
    ライダの被接着面が当接することにより生じる前記接着
    面と前記被接着面の間の隙間に、前記接着樹脂が硬化状
    態またはゲル状態で充填されていることを特徴とする請
    求項1に記載の磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記付勢電極は、外部配線の先端を折
    り曲げて形成され、この折曲部の付勢力により前記パッ
    ド部に圧着されるものであることを特徴とする請求項1
    または請求項2に記載の磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記パッド部に前記付勢電極側に突出
    する接続電極が取り付けられ、前記付勢電極は、フレキ
    シャの一部を浮上式磁気ヘッドより離れた側に折り曲げ
    るように打ち抜いて形成され、この折曲部の付勢力によ
    り前記接続電極に圧着されるものであることを特徴とす
    る請求項1または請求項2に記載の磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 浮上式磁気ヘッドが取り付けられるフ
    レキシャ舌部と、該フレキシャ舌部を弾性支持するフレ
    キシャ本体と、外部配線と、端子電極とを具備してな
    り、 前記端子電極が、前記フレキシャ本体または前記フレキ
    シャ舌部のいずれか一方により弾性支持された状態で前
    記フレキシャ本体と前記フレキシャ舌部との接続部近傍
    に設けられ、前記外部配線の先端がこの端子電極まで延
    在していることを特徴とする磁気ヘッド用のフレキシ
    ャ。
  6. 【請求項6】 前記端子電極の周囲にスリットを設け
    ることにより、該端子電極が前記フレキシャ本体によっ
    て弾性支持されたことを特徴とする請求項5に記載の磁
    気ヘッド用のフレキシャ。
  7. 【請求項7】 磁気ヘッド素子及び該磁気ヘッド素子
    に電気的に接続されるパッド部がスライダに備えられて
    なる浮上式磁気ヘッドを、付勢電極を備えたフレキシャ
    に接着樹脂によって接合することにより磁気ヘッドを製
    造する方法であり、 前記接着樹脂は、溶媒に分散されたゾル状態から温度T
    gでゲル状態に変化し、温度Tmでゲル状態から溶融状
    態に変化し、温度Tcで溶融状態から硬化状態に変化す
    るものであってTg<Tm<Tcの関係を有するもので
    あり、 該接着樹脂を前記フレキシャの接着面に塗布するととも
    にTg以上Tm以下に加熱して前記接着樹脂をゲル化し
    て前記スライダの被接着面を前記接着面に圧着すること
    により、前記パッド部に前記付勢電極を圧着させた状態
    で前記浮上式磁気ヘッドを前記フレキシャに仮固定して
    仮止め品とする仮固定工程と、 前記付勢電極を介して前記浮上式磁気ヘッドの電気特性
    を基準値と比較し、前記仮止め品を基準内のものと基準
    外のものに選別する検査工程と、 前記基準内の仮止め品を、温度Tc以上に加熱すること
    により前記接着樹脂を硬化状態にして、前記浮上式磁気
    ヘッドを前記フレキシャに固定して磁気ヘッドとする完
    成化工程と、 前記基準外の仮止め品を、温度Tm以上Tc以下に加熱
    することにより前記接着樹脂を溶融状態にして、前記浮
    上式磁気ヘッドと前記フレキシャとを分離する分解工程
    と、 前記分解工程により得られた前記フレキシャを、前記仮
    固定工程に返送する返送工程とを具備してなることを特
    徴とする磁気ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 磁気ヘッド素子及び該磁気ヘッド素子
    に電気的に接続されるパッド部がスライダに備えられて
    なる浮上式磁気ヘッドを、端子電極を備えたフレキシャ
    に接着樹脂によって接合することにより磁気ヘッドを製
    造する方法であり、 前記接着樹脂は、溶媒に分散されたゾル状態から温度T
    gでゲル状態に変化し、温度Tmでゲル状態から溶融状
    態に変化し、温度Tcで溶融状態から硬化状態に変化す
    るものであってTg<Tm<Tcの関係を有するもので
    あり、 前記浮上式磁気ヘッドのパッド部に、接触突起を有する
    接続電極を接合する電極形成工程と、 前記接着樹脂を前記フレキシャの前記接着面に塗布する
    とともにTg以上Tm以下に加熱して前記接着樹脂をゲ
    ル化して前記スライダの被接着面を前記接着面に圧着す
    ると同時に、前記接触突起を前記端子電極に接触させた
    状態で、前記浮上式磁気ヘッドを前記フレキシャに仮固
    定して仮止め品とする仮固定工程と、 前記端子電極を介して前記浮上式磁気ヘッドの電気特性
    を基準値と比較し、前記仮止め品を基準内のものと基準
    外のものに選別する検査工程と、 前記基準内の仮止め品を、温度Tc以上に加熱すること
    により前記接着樹脂を硬化状態にして前記浮上式磁気ヘ
    ッドを前記フレキシャに固定するとともに、前記接触突
    起を潰しつつ前記接続電極を前記端子電極に圧着して磁
    気ヘッドとする完成化工程と、 前記基準外の仮止め品を、温度Tm以上Tc以下に加熱
    することにより前記接着樹脂を溶融状態にして、前記浮
    上式磁気ヘッドと前記フレキシャとを分離する分解工程
    と、 前記分解工程により得られた前記フレキシャを、前記仮
    固定工程に返送する返送工程とを具備してなることを特
    徴とする磁気ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記電極形成工程は、前記浮上式磁気
    ヘッドを接続電極形成用の型面に対して前記パッド部の
    表面が起立した状態で配置し、 接続電極用材料を前記パッド部に接合すると同時に前記
    型面に圧着して、前記型面に対応した接触突起を有する
    接続電極を形成し、 前記接続電極を前記型面から剥離する工程からなること
    を特徴とする請求項8に記載の磁気ヘッドの製造方法。
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