JP2002148854A - 磁性トナー、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

磁性トナー、画像形成方法及び画像形成装置

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JP2002148854A
JP2002148854A JP2000348147A JP2000348147A JP2002148854A JP 2002148854 A JP2002148854 A JP 2002148854A JP 2000348147 A JP2000348147 A JP 2000348147A JP 2000348147 A JP2000348147 A JP 2000348147A JP 2002148854 A JP2002148854 A JP 2002148854A
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carrier
magnetic toner
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JP2000348147A
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Keiji Kawamoto
恵司 河本
Takeshi Takiguchi
剛 瀧口
Tatsuhiko Chiba
建彦 千葉
Akira Hashimoto
昭 橋本
Michihisa Magome
道久 馬籠
Takeshi Kaburagi
武志 鏑木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境に左右されにくく、安定、且つ均一な帯
電性能を有し、アモルファスシリコン感光体との組み合
わせにおいて、カブリがなく、長期間の使用においても
画像濃度が高く、転写性も良好であり、感光体表面の電
位が低い場合でも高画質の画像を与えるトナー及び該ト
ナーに適した画像形成方法及び画像形成装置を提供す
る。 【解決手段】 像担持体としてa−Si系感光体を用
い、表面に磁性トナーを担持するためのトナー担持体を
像担持体に対して一定の間隔を設けて配置し、磁性トナ
ーを該トナー担持体表面に前記間隔よりも薄い厚さにコ
ートさせ、現像バイアスが印加されている現像領域にお
いて該磁性トナーを前記静電潜像に転移させて静電潜像
を現像するにあたり、少なくとも結着樹脂と磁性酸化鉄
とを含有し、平均円形度が0.970から0.995で
あり、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%から3.0
0%であり、表面に無機微粉末を有する磁性トナーを用
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
記録法、磁気記録法のごとき記録方法に用いるためのト
ナー、及び該トナーを用いた画像形成方法および装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真技術としては米国特許第2,2
97,691号明細書、特公昭42−23910号公報
および特公昭43−24748号公報に記載されている
ような多数の方法が知られている。一般には光導電性物
質を利用し、種々の手段により感光体上に静電荷潜像を
形成し、次いで該静電荷潜像をトナーを用いて現像し、
必要に応じて紙やフィルムなどの転写材にトナー画像を
転写した後、加熱、圧力、加熱加圧または溶剤蒸気によ
りトナー画像を定着し、トナー画像を得るものである。
【0003】静電荷潜像を可視化する方法としては、カ
スケード現像法、磁気ブラシ現像法、加圧現像方法等が
知られている。さらには、磁性トナーを用い、中心に磁
極を配した回転スリーブを用い感光体上とスリーブ上の
間を電界にて飛翔させる方法も用いられている。
【0004】例えば、特開昭54−43027号公報に
おいては、現像剤担持体上に磁性現像剤を薄く塗布し、
これを摩擦帯電せしめ、次いでこれを磁界の作用下で静
電潜像にきわめて近接させ、かつ接触することなく対向
させ、現像する方法が開示されている。この方法によれ
ば、磁性現像剤を現像剤担持体上に薄く塗布することに
より現像剤の十分な摩擦帯電を可能とし、しかも現像剤
を磁力によって支持しつつ静電潜像に接することなく現
像が行われるため、非画像部への現像剤の転移、いわゆ
るカブリが抑制されて高精細な画像を得ることが可能と
なる。
【0005】一成分現像方式は二成分方式のようにガラ
スビーズや鉄粉等のキャリア粒子が不要な為、現像装置
自体を小型化・軽量化出来る。さらには、二成分現像方
式はキャリア中のトナーの濃度を一定に保つ必要がある
為、トナー濃度を検知し必要量のトナーを補給する装置
が必要である。よって、ここでも現像装置が大きく重く
なる。一成分現像方式ではこのような装置は必要となら
ない為、相対的には、小さく軽く出来るのが一般的であ
る。
【0006】また、プリンター装置などの電子写真装置
は、技術の方向としてより高解像度即ち、従来300、
600dpiであったものが1200、2400dpi
となってきている。従って現像方式もこれにともなって
より高精細が要求されてきている。また、複写機におい
ても高機能化が進んでおり、そのためデジタル化の方向
に進みつつある。この方向は、静電荷像をレーザーで形
成する方法が主である為、やはり高解像度の方向に進ん
でおり、ここでもプリンターと同様に高解像・高精細の
現像方式が要求されてきている。
【0007】このためトナーの小粒径化が進んでおり、
特開平1−112253号公報、特開平1−19115
6号公報、特開平2−214156号公報、特開平2−
284158号公報、特開平3−181952号公報、
特開平4−162048号公報などでは特定の粒度分布
の粒径の小さいトナーが提案されている。しかし、トナ
ーを小粒径化するとトナー粒子の帯電性のバラツキが大
きくなりやすく、前記目的を達成するためには、そのコ
ントロールが重要になってくる。
【0008】一方、従来から磁性を有するトナーおよび
その製造方法に関しては多くの提案がなされている。
【0009】米国特許第3,909,258号明細書に
は電気的に導電性を有する磁性トナーを用いて現像する
方法が提案されている。これは内部に磁性を有する円筒
状の導電性スリーブ上に導電性磁性トナーを支持し、こ
れを静電像に接触せしめ現像するものである。この際、
現像部において、記録体表面とスリーブ表面の間にトナ
ー粒子により導電路が形成され、この導電路を経てスリ
ーブよりトナー粒子に電荷が導かれ、静電像の画像部と
の間のクーロン力によりトナー粒子が画像部に付着して
現像される。この導電性磁性トナーを用いる現像方法は
従来の二成分現像方法にまつわる問題点を回避した優れ
た方法であるが、反面トナーが導電性であるため、現像
した画像を、記録体から普通紙等の最終的な支持部材へ
静電的に転写することが困難であるという問題を有して
いる。
【0010】静電的に転写することが可能な高抵抗の磁
性トナーを用いる現像方法として、トナー粒子の誘電分
極を利用した現像方法がある。しかし、かかる方法は本
質的に現像速度がおそい、及び現像画像の濃度が十分に
得られていない等の問題点を有しており、実用上困難で
ある。
【0011】高抵抗の絶縁性の磁性トナーを用いるその
他の現像方法として、トナー粒子相互の摩擦、トナー粒
子とスリーブ等との摩擦等によりトナー粒子を摩擦帯電
し、これを静電像保持部材に接触して現像する方法が知
られている。しかしこの方法は、トナー粒子と摩擦部材
との接触回数が少なく、また、用いられる磁性トナーは
トナー粒子表面に磁性体が多く露出しているため、摩擦
帯電が不十分となりやすく帯電不良による画像不良など
の問題があった。
【0012】さらに、特開昭55−18656号公報等
において、ジャンピング現像方法が提案されている。こ
れはスリーブ上に磁性トナーを極めて薄く塗布し、これ
を摩擦帯電し、次いでこれを静電像に極めて近接して現
像するものである。この方法は、磁性トナーをスリーブ
上に薄く塗布することによりスリーブとトナーの接触す
る機会を増し、十分な摩擦帯電を可能にしている点で優
れた方法である。
【0013】しかしながら、絶縁性磁性トナーを用いる
現像方法には、用いる絶縁性磁性トナーに関わる不安定
要素がある。それは、絶縁性磁性トナー中には微粉体状
の磁性体が相当量混合分散されており、該磁性体の一部
がトナー粒子の表面に露出しているため、磁性トナーの
流動性及び摩擦帯電性に影響し、結果として、磁性トナ
ーの現像特性、耐久性等の磁性トナーに要求される種々
の特性の変動または劣化を引き起こすというものであ
る。
【0014】磁性体を含有する磁性トナーを用いた場合
に、上述した問題が生じてしまうのは、磁性トナーの表
面に磁性体が露出していることがその大きな原因と考え
られる。すなわち、磁性トナーの表面に、トナーを構成
する樹脂に比して相対的に抵抗の低い磁性体微粒子が露
出することにより、トナー帯電性能の低下、トナー流動
性の低下、その上、長期間の使用においては、トナー同
士または規制部材との摺擦による磁性体の剥離に伴う画
像濃度の低下やスリーブゴーストと呼ばれる濃淡のムラ
の発生などトナーの劣化などが引き起こされるのであ
る。
【0015】従来より、磁性トナーに含有される磁性酸
化鉄に関する提案は出されているが、いまだ改良すべき
点を有している。
【0016】例えば、特開昭62−279352号公報
においては、ケイ素元素を含有する磁性酸化鉄を含有す
る磁性トナーが提案されている。かかる磁性酸化鉄は、
意識的にケイ素元素を磁性酸化鉄内部に存在させている
が、該磁性酸化鉄を含有する磁性トナーの流動性に、い
まだ改良すべき点を有している。
【0017】また、特公平3−9045号公報において
は、ケイ酸塩を添加することで、磁性酸化鉄の形状を球
形に制御する提案がされている。この方法で得られた磁
性酸化鉄は、粒子形状の制御のためにケイ酸塩を使用す
るため磁性酸化鉄内部にケイ素元素が多く分布し、磁性
酸化鉄表面におけるケイ素元素の存在量が少なく、磁性
酸化鉄の平滑度が高いため、磁性トナーの流動性はある
程度改良されるが、磁性トナーを構成する結着樹脂と磁
性酸化鉄との密着性が不十分になる傾向にあるという問
題点を有している。
【0018】また、特開昭61−34070号公報にお
いては、四三酸化鉄への酸化反応中にヒドロシソケイ酸
塩溶液を添加して四三酸化鉄の製造方法が提案されてい
る。この方法による四三酸化鉄は、表面近傍にSi元素
を有するものの、Si元素が四三酸化鉄表面近傍に層を
成して存在し、表面が摩擦のごとき機械的衝撃に対して
弱いという問題点を有している。
【0019】従来より、トナーは、結着樹脂、着色剤等
を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置により粉
砕し、分級機により分級して、所望の粒径を有するトナ
ーとして製造(粉砕法)されて来たが、トナーの微小粒
径化には材料の選択範囲に制限がある。例えば、樹脂着
色剤分散体が充分に脆く、経済的に使用可能な製造装置
で微粉砕し得るものでなくてはならない。この要求か
ら、樹脂着色剤分散体を脆くするため、この樹脂着色剤
分散体を実際に高速で微粉砕する場合に、広い粒径範囲
の粒子が形成され易く、特に比較的大きな割合の微粒子
(過度に粉砕された粒子)がこれに含まれるという問題
が生ずる。更に、このように高度に脆性の材料は、複写
機等において現像用トナーとして使用する際、しばし
ば、更に微粉砕や粉化を受ける。
【0020】また、粉砕法では、磁性粉または着色剤等
の固体微粒子を樹脂中へ完全に均一に分散することは困
難であり、その分散の度合いによっては、かぶりの増
大、画像濃度の低下の原因となる。さらに、粉砕法は、
本質的に、トナーの表面に磁性酸化鉄粒子が露出してし
まうため、トナーの流動性や過酷環境下での帯電安定性
にどうしても問題が残る。
【0021】すなわち、粉砕法においては、高精細、高
画質化で要求されるトナーの微粒子化に限界があり、そ
れに伴い粉体特性特にトナーの均一帯電性および流動性
が著しく減衰する。
【0022】上述の様な粉砕法によるトナーの問題点を
克服するため、更には上記のごとき要求を満たすため懸
濁重合法によるトナーの製造方法が提案されている。
【0023】懸濁重合によるトナー(以後重合トナー)
は、トナーの微粒子化が容易に可能であり、更には、得
られるトナーの形状が球状であることから流動性に優
れ、高画質化に有利となる。
【0024】しかしながら、この重合トナー中に磁性体
を含有することにより、その流動性及び帯電特性は著し
く低下する。これは、磁性粒子は一般的に親水性である
ためにトナー表面に存在しやすいためである。また、重
合トナーを作る際の造粒工程において、親水性の磁性体
は一部水系へ移行してしまい、トナーから脱離した遊離
の磁性体として存在するためである。この問題を解決す
るためには磁性体の有する表面特性の改質が重要とな
る。
【0025】重合トナー中の磁性体の分散性、内包性向
上のため、磁性体の表面改質に関しては数多くの提案が
なされている。例えば、特開昭59−200254号公
報、特開昭59−200256号公報、特開昭59−2
00257号公報、特開昭59−224102号公報等
に磁性体の各種シランカップリング剤処理技術が提案さ
れており、特開昭63−250660号公報、特開平1
0−239897号公報では、ケイ素元素含有磁性粒子
をシランカップリング剤で処理する技術が開示されてい
る。
【0026】しかしながら、これらの処理によりトナー
中の分散性はある程度向上するものの、磁性体表面の疎
水化を均一に行うことが困難であり、トナー表面への磁
性体の露出は抑制されておらず、上記課題の解決は充分
では無い。
【0027】一方、トナー表面の磁性体量については、
特開平7−209904号公報にトナー表層に磁性微粒
子が存在しない特殊な構造のトナーの提案がなされてい
る。このトナーは磁性粉体の内包性に優れ、トナー表面
の磁性粉体の露出が無いという点で優れている。
【0028】しかし、実施例を行うと、トナーの製造方
法が複雑であり生産スケールでの製造は困難であるとと
もに、低湿下での長期にわたる繰り返し使用では、トナ
ーのチャージアップに起因する画質の低下が生じ、トナ
ー帯電の安定性には更なる改善が必要であった。
【0029】更に、潜像を現像するためのトナーとして
は、キャリアとトナーからなる二成分系現像剤、及びキ
ャリアを必要としない一成分系トナー(磁性トナー、非
磁性トナー)が知られている。二成分系では主にキャリ
アとトナーの摩擦によって、一成分系では主にトナーと
帯電付与部材との摩擦によって、トナーへの帯電が行わ
れる。また、トナーとしては、二成分系、一成分系の差
異によらず、トナー及びトナーの流動特性、帯電特性等
を改善する目的でトナー母粒子に外部添加剤として無機
微粉末を添加する方法が提案され、広く用いられてい
る。
【0030】例えば、特開平5−66608号公報、特
開平4−9860号公報等で疎水化処理を施した無機微
粉末若しくは疎水化処理した後さらにシリコーンオイル
等で処理した無機微粉末を添加、または特開昭61−2
49059号公報、特開平4−264453号公報、特
開平5−346682号公報で疎水化処理無機微粉末と
シリコーンオイル処理無機微粉末を併用添加する方法が
知られている。
【0031】また、外部添加剤として導電性微粒子を添
加する方法は数多く提案されている。例えば、導電性微
粒子としてのカーボンブラックは、トナーに導電性を付
与するため、またはトナーの過剰な帯電を抑制しトリボ
分布を均一化させるため等の目的で、トナー表面に付着
或いは固着するための外部添加剤として用いることが広
く知られている。また、特開昭57−151952号公
報、特開昭59−168458号公報、特開昭60−6
9660号公報では、高抵抗磁性トナーにそれぞれ酸化
スズ、酸化亜鉛、酸化チタンの導電性微粒子を外部添加
することが開示されている。また、特開昭56−142
540号公報では、高抵抗磁性トナーに酸化鉄、鉄粉、
フェライトの如き導電性磁性粒子を添加し、導電性磁性
粒子に磁性トナーへの電荷誘導を促進させることで現像
性と転写性を両立するトナーが提案されている。更に、
特開昭61−275864号公報、特開昭62−258
472号公報、特開昭61−141452号公報、特開
平02−120865号公報では、トナーにグラファイ
ト、マグネタイト、ポリピロール導電性粒子、ポリアニ
リン導電性粒子を添加することが開示されているほか、
多種多様な導電性微粒子をトナーに添加することが知ら
れている。
【0032】従来、画像形成方法としては、静電記録
法、磁気記録法、トナージェット法など多数の方法が知
られている。例えば、電子写真法は、一般には潜像担持
体としての光導電性物質を利用した感光体上に、種々の
手段により電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナー
で現像を行って可視像とし、必要に応じて紙などの記録
媒体にトナー像を転写した後、熱・圧力等により記録媒
体上にトナー画像を定着して画像を得るものである。
【0033】一般には、この際、転写後に潜像担持体上
に記録媒体に転写せずに残余したトナーが、種々の方法
でクリーニングされ廃トナーとして廃トナー容器に蓄え
られるクリーニング工程を経て、上述の工程が繰り返さ
れる画像形成方法が用いられてきた。
【0034】このクリーニング工程については、従来ブ
レードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ロー
ラークリーニング等が用いられていた。いずれの方法も
力学的に転写残余のトナーを掻き落とすか、またはせき
止めて廃トナー容器へと捕集されるものであった。よっ
て、このような部材が潜像担持体表面に押し当てられる
ことに起因する問題が生じていた。例えば、部材を強く
押し当てることにより潜像担持体を摩耗させ短命化する
ことが挙げられる。装置面からみると、かかるクリーニ
ング装置を具備するために装置が必然的に大きくなり装
置のコンパクト化を目指すときのネックになっていた。
更には、省資源、廃棄物削減の観点及びトナーの有効活
用と言う意味で廃トナーの少ない、または廃トナーので
ないシステム、定着性、耐オフセット性にすぐれたシス
テムが望まれていた。
【0035】これに対し、廃トナーのでないシステムと
して、現像兼クリーニング又はクリーナレスと呼ばれる
技術も提案されている。
【0036】しかしながら、従来の現像兼クリーニング
又はクリーナレスに関する技術の開示は、特開平5−2
287号公報にあるように画像上に転写残余のトナーの
影響によるポジメモリ、ネガメモリなどに焦点を当てた
ものが主であった。しかし、電子写真の利用が進んでい
る今日、様々な記録媒体に対してトナー像を転写する必
要性がでてきており、この意味で様々な記録媒体に対し
満足するものではなかった。
【0037】クリーナレスに関連する技術の開示を行っ
ているものに特開昭59−133573号公報、特開昭
62−203182号公報、特開昭63−133179
号公報、特開昭64−20587号公報、特開平2−3
02772号公報、特開平5−2289号公報、特開平
5−53482号公報、特開平5−61383号公報等
があるが、望ましい画像形成方法については述べられて
おらず、トナー構成についても言及されていない。
【0038】また、トナーにより可視像を形成する工程
についても種々の方法が知られている。
【0039】例えば、電気的潜像を可視化する方法とし
ては、カスケード現像法、加圧現像法、キャリアとトナ
ーからなる二成分系トナーを用いる磁気ブラシ現像法等
が知られている。さらに、トナー担持体が潜像担持体と
非接触でトナーをトナー担持体から潜像担持体へ飛翔さ
せる非接触一成分現像法、磁性トナーを用い中心に磁極
を配した回転スリーブを用い感光体上とスリーブ上の間
を電界にて飛翔させる磁性一成分現像方法、更にはトナ
ー担持体を潜像担持体に圧接させ電界によってトナーを
転移させる接触一成分現像法も用いられている。
【0040】現像兼クリーニング又はクリーナレスに好
ましく適用される現像方法として、従来は本質的にクリ
ーニング装置を有さない現像兼クリーニングでは、潜像
担持体表面をトナー及びトナー担持体により擦る構成が
必須とされてきたため、トナーが潜像担持体に接触する
接触現像方法が多く検討されてきた。これは、現像手段
において転写残トナーを回収するために、トナーが潜像
担持体に接触し、擦る構成が有利であると考えられるた
めである。しかしながら、接触現像方法を適用した現像
兼クリーニング又はクリーナレスプロセスでは、長期間
使用によるトナー劣化、トナー担持体表面劣化、感光体
表面劣化又は磨耗等を引き起こし、耐久特性に対して充
分な解決がなされていない。そのため、非接触現像方法
による現像兼クリーニング方法が望まれていた。
【0041】また、現像兼クリーニング方法、クリーナ
レス画像形成方法では、クリーニング部材を有さないた
めに転写残トナーが感光体上に残余する。その結果、帯
電性の低下が起こる。この被帯電体の帯電性の低下は、
トナー層厚が放電電圧を阻害する抵抗となるあたりから
急激に起こる。この被帯電体の一様帯電性の低下は、画
像露光後の静電潜像のコントラスト及び均一性の低下と
なり、画像濃度を低下させる、或いはカブリを増大させ
る。
【0042】すなわち、現像兼クリーニング方法、クリ
ーナレス画像形成方法では、感光体上の転写残トナーの
帯電極性及び帯電量を制御し、現像工程で安定して転写
残トナーを回収し、回収トナーが現像特性を悪化させな
いようにすることがポイントとなる。
【0043】前述の被帯電体となる、光導電物質で電子
写真用感光体として用いられることが公知のものとして
は、Se、CdS、OPC(有機系感光体)、アモルフ
ァスシリコン(以後a−Siと呼ぶ。)等がある。
【0044】Se系の感光体は、電子写真技術の創成期
から用いられた伝統的な感光体であり、その特性として
の感光度、耐久性が良好なため、実用における適用は数
多くなされている。現在では、純セレンに比べ感色性が
伸び、感光度が高いSeTeが主に使用されているが、
これでも、Se感光体が本質的に所有している、耐熱
性、耐摩耗性、機械強度、経時安定性に問題を有してい
る。すなわち、手を触れたり、息を吹きかけたり、温度
の上昇、クリーニング装置による摩擦接触により、結晶
化しやすく、性能の劣化を招きやすい。
【0045】OPC系は、優れた増感剤の発見や増感法
の開発により、かなり実用はなされているが、耐摩耗
性、耐久性に決定的な欠点を有しているため、それへの
対策が急務とされている。上述のように、現在、実用化
され、画像形成装置などに応用されている感光体は、感
度、耐久性、画質、無公害性等全てにわたって満足され
るものはなく、それぞれの感光体の持つ欠点を、トナー
またはプロセス的に補うことにより、画像形成装置が製
品化され市場化されているのが現状である。
【0046】近年、電子複写機やレーザービームプリン
ターなどの画像形成装置はカラー化、パーソナル化、イ
ンテリジェント化と多様化し、メンテナンスフリーを指
向するにつれ、新たな特性を有し、高い安定性及び低い
コストを持った感光体が望まれ、開発が進められてい
る。その中でも、a−Siが現有の感光体に変わるべき
ものとして注目されつつある。
【0047】a−Siは可視領域全域にわたって高い感
光度をもつため、半導体レーザーやカラー用にも対応で
きる。また表面硬度が高く、長寿命が期待でき、ビッカ
ース硬度で1500〜2000Kgf/mm2を有し、
現有で最も耐久性、耐摩耗性を持つといわれるCdS感
光体の数倍である50〜100万枚以上の耐刷性能を持
っている。耐熱性に対しても、画像形成装置の実用レベ
ルの範囲において十分使用できるものである。しかし、
a−Si感光体はこのような利点の反面、低コスト化、
量産化に問題を有している。
【0048】また、一般的にa−Si感光体の表面暗電
位は、膜厚に対応するといわれている。現在、実用化さ
れている感光体の表面暗電位は、CdS系では最低でも
500V、Se系、OPC系では、600〜800Vが
必要である。この電位をa−Siで達成するためには膜
厚を厚くする必要がある。このため、その膜厚を得るた
めにはa−Siの製造コストの上昇、生産能力の低下は
避けられない問題として生ずることになる。また膜厚の
増加は、製造工程時、a−Si膜の異常成長を引き起こ
しやすくなり、部分的に不均一なa−Si膜ができ、実
用上使用不可能となるなどの課題を抱えている。
【0049】このような問題に対し、a−Si感光体の
量産性とコストの面、性能面の両面を満足しうるものと
して、薄膜化が提案されている。けれども、この方法に
おいては、低電位で現像できるトナーを選択しなければ
ならない。というのは、a−Si膜の薄膜化は、コスト
及び生産能力、感光特性を満足しうるものの、その一方
で、表面電位がOPCに比べて低下してしまう。
【0050】従って、a−Si感光体を実用的に使用し
うるためには、高い現像能力を有したトナーを用いなけ
ればならない。また、高画質や高耐久性などの目的に応
じて、薄膜a−Si感光体においては特に、表面性をコ
ントロールする必要も出てくるのも事実である。
【0051】具体的なa−Si感光体の例としては、a
−Siに代表される珪素原子を主成分として含む非単結
晶質堆積膜として、例えば水素及び/又はハロゲン(例
えばフッ素、塩素等)を含む(例えば水素またはダング
リングボンドを補償する)a−Si等のアモルファス堆
積膜が高性能、高耐久、無公害な感光体として提案さ
れ、その幾つかは実用化されている。特開昭54−86
341号公報、USP4,265,991号には、光導
電層を主としてa−Siで形成した電子写真感光体の技
術が開示されている。また特開昭60−12554号公
報には珪素原子を含有する非晶質シリコンからなる光導
電層の表面に炭素及びハロゲン原子を含む表面層が開示
されており、更に特開平2−111962号公報には、
a−Si:H又は、a−C:H感光層上に表面保護潤滑
層を設けた感光体が開示されているが、何れも撥水性や
耐摩耗性を向上させる技術であり、電子写真プロセスと
感光体の表面層との関係に関する記載はない。
【0052】以上のように、長期に亘って高精細・高品
質な画像を得るために適した画像形成方法・装置および
それにマッチングしたトナーについては未だ検討の余地
が残されている。
【0053】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、環境
に左右されにくく、安定、且つ均一な帯電性能を有し、
アモルファスシリコン感光体との組み合わせにおいて、
カブリがなく、長期間の使用においても画像濃度が高
く、転写性も良好であり、感光体表面の電位が低い場合
でも高画質の画像を与えるトナー及び該トナーに適した
画像形成方法・装置を提供することにある。
【0054】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者らは
鋭意検討を重ねた結果、以下のトナーおよび画像形成方
法・装置により前述の課題を解決することができること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0055】すなわち、本発明は、少なくとも導電性支
持体と、シリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成
された光導電層とを有する像担持体を絶対値で250乃
至600Vに帯電させる帯電工程と、帯電した像担持体
に静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、表面に磁
性トナーを担持するためのトナー担持体を像担持体に対
して一定の間隔を設けて配置し、磁性トナーを該トナー
担持体表面に前記間隔よりも薄い厚さにコートさせ、現
像バイアスが印加されている現像領域において該磁性ト
ナーを前記静電潜像に転移させて静電潜像を現像する現
像工程と、像担持体上に形成されたトナー像を転写材に
静電転写させる転写工程とを含み、像担持体上に繰り返
して作像が行われる画像形成方法に用いられるトナーで
あって、少なくとも結着樹脂と磁性酸化鉄とを含有し、
平均円形度が0.970から0.995であり、鉄及び
鉄化合物の遊離率が0.05%から3.00%であり、
表面に無機微粉末を有することを特徴とする磁性トナー
を提供する。
【0056】また、本発明は、像担持体を帯電させる帯
電工程と、帯電した像担持体に静電潜像を形成する静電
潜像形成工程と、トナーを静電潜像に転移させて静電潜
像を現像する現像工程と、像担持体上に形成されたトナ
ー像を転写材に静電転写させる転写工程とを含み、像担
持体上に繰り返して作像が行われる画像形成方法におい
て、像担持体は、少なくとも導電性支持体と、シリコン
原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層と
を有し、絶対値で250乃至600Vに帯電され、現像
工程では、表面に磁性トナーを担持するためのトナー担
持体を像担持体に対して一定の間隔を設けて配置し、磁
性トナーを該トナー担持体表面に前記間隔よりも薄い厚
さにコートさせ、現像バイアスが印加されている現像領
域において該磁性トナーを前記静電潜像に転移させて該
静電潜像を現像し、トナーが、少なくとも結着樹脂と、
磁性酸化鉄とを含有し、平均円形度が0.970から
0.995であり、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05
%から3.00%であり、表面に無機微粉末を有する磁
性トナーであることを特徴とする画像形成方法を提供す
る。
【0057】また、本発明は、像担持体と、帯電部材を
有し帯電部材に電圧を印加して像担持体を帯電させる帯
電手段と、帯電した像担持体に静電潜像を形成させる静
電潜像形成手段と、トナーを収容し該トナーを静電潜像
に転移させて現像する現像手段と、像担持体上に形成さ
れたトナー像を転写材に静電転写させる転写手段とを有
し、像担持体上に繰り返して作像を行い転写材上に画像
を形成する画像形成装置において、像担持体は、少なく
とも導電性支持体と、シリコン原子を母体とする非単結
晶材料で構成された光導電層とを有し、絶対値で250
乃至600Vに帯電され、現像手段は、該静電潜像を表
面に保持する像担持体との間に一定の間隔を有して設け
られ表面に磁性トナーを担持するためのトナー担持体を
有し、磁性トナーを該トナー担持体表面に前記間隔より
も薄い厚さにコートさせ、現像バイアスが印加されてい
る現像領域において該磁性トナーを前記静電潜像に転移
させて該静電潜像を現像する手段であり、トナーは、少
なくとも結着樹脂と磁性酸化鉄とを含有し、平均円形度
が0.970から0.995であり、鉄及び鉄化合物の
遊離率が0.05%から3.00%であり、表面に無機
微粉末を有する磁性トナーであることを特徴とする画像
形成装置を提供する。
【0058】本発明では、現像バイアスが交流バイアス
であることが好ましい。
【0059】また、本発明では、像担持体が、好ましく
は250乃至550V、より好ましくは250乃至50
0Vに帯電されることが、十分な画像濃度と高画質とを
併せ持つ画像を形成する上で好ましい。
【0060】また、本発明では、磁性トナーの重量平均
粒径が3〜10μmであることが、磁性トナーの現像特
性や転写性を向上させる上で好ましい。
【0061】また、本発明では、磁性トナーのモード円
形度が0.99以上であることが、磁性トナーの転写性
をより向上させる上で好ましい。
【0062】また、本発明では、磁場79.6kA/m
における磁性トナーの磁化の強さが10〜50Am2
kgであることが、磁性トナーにおいて良好な搬送性及
び良好な転写性や帯電特性を維持する上で好ましい。
【0063】また、本発明では、磁性トナーの鉄及び鉄
化合物の遊離率が0.05%から2.00%、より好ま
しくは0.05%から1.50%、より一層好ましくは
0.05%から0.80%であることが、磁性トナーの
良好な帯電特性を維持する上で好ましい。
【0064】また、本発明では、磁性酸化鉄の体積平均
粒径が0.1〜0.3μmであり、かつ0.03〜0.
1μm以下の粒子の個数%が40%以下であることが、
磁性トナーの帯電特性を向上させる上で好ましい。
【0065】また、本発明によれば、磁性酸化鉄が、水
系媒体中でカップリング剤を加水分解することにより表
面処理されたものであることが、磁性トナーの形状を球
形に近づけ、かつ磁性トナーの帯電特性を向上させる上
で好ましい。
【0066】また、本発明では、磁性トナーは、一次平
均粒径が4〜80nmの無機微粉末を有することが、磁
性トナーの流動性やクリーニング性を向上させる上で好
ましく、一次平均粒径が4〜80nmのシリカ、酸化チ
タン、アルミナから選ばれる少なくとも一種の無機微粉
末またはその複酸化物を有することがより好ましい。
【0067】また、本発明では、磁性トナーは、疎水化
処理されている無機微粉末を有することが、環境変化に
伴う現像特性の変動を抑制する上で好ましく、少なくと
もシリコーンオイルで処理されていることがより好まし
く、少なくともシラン化合物及びシリコーンオイルで処
理されていることがより一層好ましい。
【0068】また、本発明では、磁性トナーは、トナー
の体積平均粒径よりも小さい導電性微粉体を含有するこ
とが磁性トナーの帯電特性を調整する上で好ましく、導
電性微粉体の抵抗が1×109Ωcm以下であることが
より好ましく、導電性微粉体の抵抗が1×106Ωcm
以下であることがより一層好ましい。
【0069】また、本発明では、導電性微粉体が非磁性
であることが磁性トナーの流動性や現像特性及び転写性
等の低下を抑制する上で好ましい。
【0070】また、本発明では、磁性トナーは、トナー
全体に対し0.1〜20質量%のワックスを含有するこ
とが磁性トナーの耐オフセット性を向上させる上で好ま
しく、ワックスの示差熱分析による融点の吸熱ピークが
40〜110℃であることがより好ましく、ワックスの
示差熱分析による融点の吸熱ピークが45〜90℃であ
ることがより一層好ましい。
【0071】また、本発明では、像担持体を直接加温す
る手段を設けないことが、画像形成に要する消費電力の
省力化を達成するのに好ましい。また、トナー融着を抑
制する上でも効果が期待される。
【0072】また、本発明では、像担持体が、導電性支
持体と、シリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成
された光導電層と、該光導電層とは組成の異なる非単結
晶材料で構成された最表面層とを有することが、像担持
体の長寿命化や、環境変化に伴う帯電、現像特性等の変
化を抑制する上で好ましく、該最表面層が非単結晶水素
化炭素膜よりなることがより好ましい。
【0073】また、本発明では、現像工程がトナー像を
転写材上に転写した後に像担持体に残留したトナーを前
記トナー担持体に回収するクリーニング工程を兼ねてい
ることがエコロジー及び装置の小型化等の観点から好ま
しい。
【0074】また、本発明では、現像工程において、現
像領域におけるトナー担持体面の移動速度が像担持体面
の移動速度に対し、70%〜300%の速度であること
が、画像濃度が十分であり、かつ高画質の画像を安定し
て形成するのに好ましい。
【0075】また、本発明では、現像工程において、像
担持体とトナー担持体を対向させる間隔が100〜10
00μmであることが、現像特性を安定させ、高画質の
画像を形成する上で好ましい。
【0076】また、本発明では、現像工程は、トナー担
持体上に5〜50g/m2のトナー層を形成し、トナー
層からトナーを像担持体に転移させ静電潜像を現像する
工程であることが、十分な画像濃度の画像を形成し、か
つトナー飛散を防止する上で好ましい。
【0077】また、本発明では、トナー担持体上のトナ
ーの層厚を規制する層厚規制部材が用いられることが好
ましく、トナーを介してトナー担持体に当接する弾性部
材であると、環境変化の影響を受けにくくトナー飛散の
生じにくい均一な磁性トナーの帯電を行う上で好まし
い。また、層厚規制部材がトナー担持体と対向し所定の
間隔をもって配される強磁性金属ブレードであると、ト
ナーの劣化を防止し、長期にわたって安定した磁性トナ
ーの帯電を行う上で好ましい。
【0078】また、本発明では、交流バイアスが、ピー
クトゥーピークの電界強度で3×106〜1×107V/
m、周波数100〜5000Hzであることが、十分な
画像濃度と良好な解像度を備える画像を形成する上で好
ましい。
【0079】また、本発明では、転写工程において、転
写材を像担持体に接触させる転写用帯電部材により、現
像されたトナー像を該転写材に転写することが好まし
い。
【0080】
【発明の実施の形態】本発明の磁性トナー(以下、単に
「トナー」ともいう)は、少なくとも結着樹脂と磁性酸
化鉄とを含有し、平均円形度が0.970〜0.995
であり、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜3.00
%であり、表面に無機微粉末を有することを特徴とす
る。
【0081】平均円形度が0.970以上のトナー(ト
ナー粒子群で構成される粉体)から構成される磁性トナ
ーは転写性に非常に優れている。これはトナー粒子と感
光体との接触面積が小さく、鏡像力やファンデルワール
ス力等に起因するトナー粒子の感光体への付着力が低下
するためと考えられる。
【0082】さらに、トナーの円形度が非常に高い為、
磁性トナーは現像部で均一で細い穂を形成し潜像に対し
忠実な現像を行うことが可能となり、画質の向上が期待
出来る。
【0083】また、トナーの円形度分布において、モー
ド円形度が0.99以上であると、トナー粒子の多くが
真球に近い形状を有することを意味しており、上記作用
がより一層顕著になり、転写効率は非常に高いものとな
る。
【0084】従ってこのようなトナーを用いれば転写効
率が高く、転写残トナーが非常に低減する為、例えば、
帯電部材と感光体との間のような圧接部におけるトナー
が非常に少なくなり、安定した帯電が行われると共にト
ナー融着が防止され、画像欠陥が著しく抑制されるもの
と考えられる。
【0085】これらの効果は、転写中抜けの発生しやす
い接触転写工程を含む画像形成方法においては、より顕
著となって現れる。
【0086】さらに、平均円形度が0.970以上のト
ナー粒子は表面のエッジ部がほとんど無いため、感光体
に当接する部材が配設されている場合には、トナー粒子
が感光体表面に存在したまま当接部に到達しても感光体
表面を引っ掻くことが無いことから、感光体表面の傷や
削れが抑制されることも挙げられる。
【0087】その上、従来では困難であった小粒径を呈
するトナーの転写性が大幅に改善されると共に低電位潜
像に対する現像能力も格段に向上する。特にデジタル方
式の微小スポット潜像を現像する場合に有効である。す
なわち、本発明の画像形成方法に必須のアモルファスシ
リコン感光体とのマッチングは極めて良好となる。
【0088】平均円形度が0.970未満の場合、転写
性が悪化するばかりか、現像性が低下する場合がある。
また、平均円形度が0.995を超えるとトナー表面の
劣化が著しいものとなり耐久性等に問題を生じることが
ある。
【0089】この際、トナーの円形度分布において、モ
ード円形度が0.99以上であることがより好ましい。
モード円形度が0.99以上であると、トナー粒子の多
くが真球に近い形状を有することを意味しており、上記
したような感光体の削れや画像欠陥の抑制効果がより顕
著となる。また、0.970以上の平均円形度、0.9
9以上のモード円形度を有することによって、トナー担
持体上でのトナーの穂立ちが細かく密になることによっ
て、帯電が均一化され、さらにカブリが大幅に減少す
る。
【0090】本発明における平均円形度は、粒子の形状
を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであ
り、本発明では東亞医用電子製フロー式粒子像分析装置
「FPIA−1000」を用いて測定を行い、3μm以
上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形
度(Ci)を下式(1)によりそれぞれ求め、さらに下
式(2)で示すように測定された全粒子の円形度の総和
を全粒子数(m)で除した値を平均円形度(Ca)と定
義する。
【0091】
【数1】
【数2】
【0092】また、モード円形度は、円形度を0.40
から1.00までを0.01毎に61分割し、測定した
粒子の円形度をそれぞれの円形度に応じて各分割範囲に
割り振り、円形度頻度分布において頻度値が最大となる
ピークの円形度である。
【0093】なお、本発明で用いている測定装置である
「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、
平均円形度及びモード円形度の算出に当たって、粒子を
得られた円形度によって、円形度0.40〜1.00を
61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用
いて平均円形度及びモード円形度の算出を行う算出法を
用いている。しかしながら、この算出法で算出される平
均円形度及びモード円形度の各値と、上述した各粒子の
円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形
度及びモード円形度の各値との誤差は、非常に少なく、
実質的には無視出来る程度のものであり、本発明におい
ては、算出時間の短絡化や算出演算式の簡略化の如きデ
ータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を
直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのよ
うな算出法を用いても良い。
【0094】具体的な測定方法としては、界面活性剤を
約0.1mg溶解している水10mlに磁性トナー約5
mgを分散させて分散液を調整し、超音波(20KH
z、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5
000〜2万個/μlとして、前記装置により測定を行
い、3μm以上の円相当径の粒子群の平均円形度及びモ
ード円形度を求める。
【0095】本発明における平均円形度とは、磁性トナ
ーの凹凸の度合いの指標であり、磁性トナーが完全な球
形の場合1.000を示し、磁性トナーの表面形状が複
雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
【0096】なお、本測定において3μm以上の円相当
径の粒子群についてのみ円形度を測定する理由は、3μ
m未満の円相当径の粒子群にはトナー粒子とは独立して
存在する外部添加剤の粒子群も多数含まれるため、その
影響によりトナー粒子群についての円形度が正確に見積
もれないからである。
【0097】次に、鉄及び鉄化合物の遊離率について説
明する。遊離率とは、トナー粒子から遊離した磁性酸化
鉄の個数の割合である。遊離率は走査型電子顕微鏡等で
の観察、測定も可能であるが、プラズマを利用した粒子
の発光スペクトルから測定することができる。このよう
な測定法によれば、遊離率とは、結着樹脂の構成元素で
ある炭素原子の発光と、鉄原子の発光の同時性から次式
により求めたものと定義される。
【数3】
【0098】ここで、炭素原子の発光から2.6mse
c以内に発光した鉄原子の発光を同時発光とし、それ以
降の鉄原子の発光は鉄原子のみの発光とする。本発明で
は、磁性粉体としての磁性酸化鉄が多く含まれる為、炭
素原子と鉄原子が同時発光するという事は、トナー中に
磁性粉体が分散している事を意味し、鉄原子のみの発光
は、磁性粉体がトナーから遊離している事を意味すると
言い換えることも可能である。
【0099】プラズマを利用する測定法によれば、トナ
ー等の微粒子を一個ずつプラズマへ導入することによ
り、微粒子の発光スペクトルから発光物の元素、粒子
数、粒子の粒径を知る事が出来る。このような測定に
は、例えばパーティクルアナライザー(PT1000:
横河電機(株)製)を測定装置として用いることができ
る。パーティクルアナライザーはJapan Hard
copy97論文集の65−68ページに記載の原理で
測定を行う。
【0100】具体的な測定方法としては、0.1%酸素
含有のヘリウムガスを用い、23℃で湿度60%の環境
にて測定を行い、トナーサンプルは同環境下にて1晩放
置し、調湿したものを測定に用いる。また、チャンネル
1で炭素原子(測定波長247.860nm、Kファク
ターは推奨値を使用)、チャンネル2で鉄原子(測定波
長239.56nm、Kファクターは3.3764を使
用)を測定し、一回のスキャンで炭素原子の発光数が1
000から1400個となるようにサンプリングを行
い、炭素原子の発光数が総数で10000以上となるま
でスキャンを繰り返し、発光数を積算する。この時、炭
素元素の発光個数を縦軸に、元素の三乗根電圧を横軸に
とった分布において、該分布が極大を一つ有し、更に、
谷が存在しない分布となるようにサンプリングし、測定
を行う。そして、このデータを元に、全元素のノイズカ
ットレベルを1.50Vとし、上記計算式を用い、鉄及
び鉄化合物の遊離率を算出する。
【0101】又、荷電制御剤であるアゾ系の鉄化合物等
といった、鉄原子を含有する無機化合物以外の材料もト
ナー中に含まれている場合があるが、こういった化合物
は鉄原子と同時に有機化合物中の炭素も同時に発光する
ため、遊離の鉄原子としてはカウントされない。
【0102】本発明者らが検討を行ったところ、鉄及び
鉄化合物の遊離率と磁性体のトナー表面への露出量には
深い関連があり、遊離の磁性体量が3.00%以下であ
れば、おおむね磁性体のトナー表面への露出が抑制され
るとともに、高い帯電量を有する事が判明した。これは
磁性体の粒度分布、処理の均一性等に依存するものであ
るが、一例として、磁性体の表面処理が不均一である場
合、表面処理が充分に施されていない(親水性が強い)
磁性体はトナー表層に存在すると共に、その一部または
全てが遊離してしまう事に起因する。
【0103】この為、鉄及び鉄化合物の遊離率が低い程
トナーの帯電量は高い傾向を示す一方、遊離率が3.0
0%より大きいと、チャージのリーク点が多くなりすぎ
てしまい、トナーの帯電量が不十分となりやすい。この
傾向は高温高湿下で特に顕著なものとなる。また、帯電
量の低いトナーはカブリの増加を招くと共に、転写効率
が低く、帯電不良等を引き起こし好ましくない。さら
に、平均円形度が高く、鉄及び鉄化合物の遊離率が低い
トナーであると、均一な高い帯電量を有することが出来
るとともに、トナーの形状も相乗効果として働き、転写
効率は非常に高いものとなる。
【0104】一方、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05
%より少ないと、実質的に磁性体はトナーから遊離して
いないことを意味する。このように鉄及び鉄化合物の遊
離率が低いトナーは高い帯電量を有するものの、多数枚
画出し、特に低温低湿下における多数枚の画像出力時
に、トナーのチャージアップに起因する画像濃度の低
下、及び、画像のがさつきが生じてしまうことがある。
【0105】これは、次の様な理由であると考えてい
る。一般的に、トナー担持体上のトナーは感光体上へ全
て現像されることは無く、現像直後においてもトナー担
持体上にはトナーは存在する。特に磁性トナーを用いた
ジャンピング現像においてはその傾向が強く、現像効率
はさほど高くない。さらに円形度の高いトナーは前述の
通り、現像部において、均一な細い穂を形成しており、
穂の先端部に存在するトナーから現像されてしまい、ト
ナー担持体付近のトナーはなかなか現像されないものと
考えられる。
【0106】そのため、トナー担持体付近のトナーは繰
り返し帯電部材による摩擦帯電を受け、チャージアップ
してしまい、さらに現像されにくくなるという悪循環に
陥ってしまう。また、この様な状態では、トナーの帯電
均一性は損なわれ、画像のがさつきを生じてしまう。
【0107】ここで、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.0
5%以上のトナーを用いた場合、遊離の磁性体またはト
ナー表面にわずかに存在している磁性体によりトナーの
チャージアップが抑制されると共に、トナーの帯電量の
均一性が促され、がさつきは抑制される。
【0108】このため、円形度が高く、帯電量の高いト
ナーであっても、チャージのリークサイトである磁性体
が存在すれば、長期使用でのチャージアップを抑制でき
るので、遊離の磁性体は0.05%以上であることが重
要である。
【0109】これらの理由により、高い帯電量を安定し
て得る為には、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%か
ら3.00%であることが必要であり、さらに0.05
%から2.00%であることが好ましく、0.05%か
ら1.50%であることがより好ましく、0.05%か
ら0.80%であることがより一層好ましい。
【0110】本発明において、更に高画質化のため、よ
り微小な潜像ドットを忠実に現像するためには、トナー
の重量平均粒径が3μm〜10μm、更には4μmから
8μm未満であることが好ましい。重量平均粒径が3μ
m未満のトナーに於いては、転写効率の低下から感光体
上の転写残トナーが多くなり、トナー融着や接触帯電工
程においては感光体の削れの抑制が難しくなる。
【0111】さらに、トナー全体の表面積が増えること
に加え、粉体としての流動性及び攪拌性が低下し、個々
のトナー粒子を均一に帯電させることが困難となること
からカブリや転写性が悪化傾向となり、削れや融着以外
にも画像の不均一ムラの原因となりやすいため、本発明
で使用するトナーには好ましくない。
【0112】また、トナーの重量平均粒径が10μmを
越える場合には、文字やライン画像に飛び散りが生じや
すく、高解像度が得られにくい。さらに装置が高解像度
になっていくと8μm以上のトナーは1ドットの再現が
悪化する傾向にある。
【0113】ここで、トナーの平均粒径及び粒度分布は
コールターカウンターTA−II型またはコールターマル
チサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能
であるが、本発明においてはコールターマルチサイザー
(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力
するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パ
ーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液
は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調
整する。たとえば、上記電解液としてはISOTON
R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社
製)が使用できる。
【0114】測定法としては、前記電解水溶液100〜
150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはア
ルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、更
に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解
液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い前記コ
ールターマルチサイザーによりアパーチャーとして10
0μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子
の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出し
た。
【0115】それから、本発明に関わる所の体積分布か
ら求めた体積基準の重量平均粒径(D4)及び体積平均
粒径(Dv)、個数分布から求めた個数基準の個数平均
粒径(D1)を求めた。
【0116】ここで、本発明の磁性トナーに用いられる
磁性酸化鉄について説明する。磁性酸化鉄の形状として
は、八面体、六面体、球状、針状、鱗片状などがある
が、八面体、六面体、球状、不定形などの異方性の少な
いものが画像濃度を高める上で好ましい。こういった磁
性酸化鉄の形状はSEMなどによって確認することがで
きる。磁性酸化鉄の粒径としては体積平均粒径が0.1
〜0.3μmであり、かつ0.03〜0.1μmの粒子
の個数%が40%以下であることが好ましい。さらに、
0.3μm以上の粒子が10個数%以下であるとより好
ましい。
【0117】平均粒径が0.1μm未満の磁性酸化鉄を
用いた磁性トナーから画像を得ると、画像の色味が赤味
にシフトし、画像の黒色度が不足したり、ハーフトーン
画像ではより赤味が強く感じられる傾向が強くなるなど
一般的に好ましいものではない。また、このようなトナ
ーをカラー画像に用いた場合には、色再現性が得られに
くくなったり、色空間の形状がいびつになる傾向がある
ため好ましくない。さらに、磁性酸化鉄の表面積が増大
するために分散性が悪化し、製造時に要するエネルギー
が増大し、効率的ではない。また、磁性酸化鉄の添加量
から得られるべき画像の濃度が不足することもあり好ま
しいものではない。
【0118】一方、磁性酸化鉄の平均粒径が0.3μm
を越えると、一粒子あたりの質量が大きくなるため、製
造時にバインダーとの比重差の影響でトナー表面に露出
する確率が高まったり、製造装置の摩耗などが著しくな
る可能性が高まったり、分散物の沈降安定性などが低下
する傾向が高まるため、あまり好ましくない。
【0119】また、トナー中において該磁性酸化鉄の
0.1μm以下の粒子の個数%が40%を越えると、磁
性酸化鉄の表面積が増大して分散性が低下し、トナー中
にて凝集塊を生じやすくなりトナーの帯電性を損なった
り、着色力が低下したりする可能性が高まる傾向にある
ため好ましくない。個数%が30%以下となると、その
傾向はより小さくなるため、好ましいものである。
【0120】尚、0.03μm未満の磁性酸化鉄は、粒
子径が小さいことに起因してトナー製造時に受ける応力
が小さいため、トナー粒子の表面へ出る確率が低くな
る。さらに、仮に粒子表面に露出してもリークサイトと
して作用することはほとんど無く実質上問題とならな
い。そのため、本発明では、0.03〜0.1μmの粒
子に注目し、その個数%を定義するものである。磁性酸
化鉄中の0.3μm以上の粒子が10個数%を超える
と、着色力が低下し、画像濃度が低下する傾向にあるの
で好ましくない。より好ましくは5個数%以下とするの
が良い。
【0121】本発明においては、前述の粒度分布の条件
を満たすよう、磁性酸化鉄の製造条件を設定したり、予
め粉砕及び分級の如き粒度分布の調整を行ったものを使
用することが好ましい。分級方法としては、例えば、遠
心分離やシックナーといった沈降分離を利用したものや
例えばサイクロンを利用した湿式分級装置などの手段が
好適である。
【0122】磁性酸化鉄の体積平均粒径及び粒度分布の
決定は、以下の測定方法によって行うことができる。磁
性酸化鉄粒子を十分に分散させた状態で、透過型電子顕
微鏡(TEM)において3万倍の拡大倍率の写真で視野
中の100個の磁性酸化鉄粒子のそれぞれ投影面積を測
定し、測定された各磁性酸化鉄粒子の投影面積に等しい
円の相当径を各磁性酸化鉄粒子径として求める。さら
に、その結果を基に、体積平均粒径の算出ならびに0.
03〜0.1μmの粒子と、0.3μm以上の粒子の個
数%を計算する。
【0123】トナー粒子中の磁性酸化鉄の体積平均粒径
及び粒度分布を決定する場合には、以下の測定方法によ
って行うことができる。エポキシ樹脂中へ観察すべきト
ナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中
で2日間硬化させ得られた硬化物を、ミクロトームによ
り薄片上のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TE
M)において1万倍乃至4万倍の拡大倍率の写真で視野
中の100個の磁性酸化鉄粒子のそれぞれ投影面積を測
定し、測定された各磁性酸化鉄粒子の投影面積に等しい
円の相当径を各磁性酸化鉄粒子径として求める。さら
に、その結果を基に、0.03〜0.1μmの粒子と、
0.3μm以上の粒子の個数%を計算する。
【0124】本発明に係わるトナーは、粉砕法によって
製造することも可能であるが、この粉砕法で得られるト
ナー粒子は一般に不定形のものであり、本発明に係わる
磁性トナーの必須要件である平均円形度が0.970か
ら0.995という物性、さらにはモード円形度が0.
99以上というより好ましい物性を得るためには機械
的、熱的または何らかの特殊な処理を行うことが必要と
なる。
【0125】そこで、上述の諸問題を解決するため、本
発明においては、トナーを懸濁重合法により製造するこ
とが好ましい。この懸濁重合法においては重合性単量体
および磁性酸化鉄や着色剤(更に必要に応じて重合開始
剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶
解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量
体組成物を分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)
中に適当な撹拌器を用いて分散し同時に重合反応を行わ
せ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この
懸濁重合法で得られるトナー(以後重合トナー)は、個
々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、平均
円形度が0.970から0.995という本発明に必須
な物性要件を満たす磁性トナーが得られやすく、さらに
こういった磁性トナーは帯電量の分布も比較的均一とな
るため高い転写性を有している。
【0126】しかしながら、重合トナー中に通常の磁性
酸化鉄を含有させても、粒子表面からの磁性酸化鉄の露
出を抑えることは難しい。さらにはトナー粒子の流動性
及び帯電特性が著しく低下するだけでなく、懸濁重合ト
ナーの製造時に磁性酸化鉄と水との相互作用が強いこと
により、平均円形度が0.970以上のトナーが得られ
難い。これは、(1)磁性酸化鉄粒子は一般的に親水性
であるためにトナー表面に存在しやすいこと、(2)水
溶媒撹拌時に磁性酸化鉄が乱雑に動き、それに単量体か
ら成る懸濁粒子表面が引きずられ、形状が歪んで円形に
なりにくいこと、等が原因と考えられる。こういった問
題を解決するためには磁性酸化鉄粒子の有する表面特性
の改質が重要である。
【0127】そこで、本発明の画像形成方法に関わる磁
性トナーに使用される磁性酸化鉄においては、その粒子
表面を疎水化する際、水系媒体中で、磁性酸化鉄粒子を
一次粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分
解しながら表面処理する方法を用いることが好ましい。
この疎水化処理方法は気相中で処理するより、磁性酸化
鉄粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による
磁性酸化鉄粒子間の帯電反発作用が働き、磁性酸化鉄は
ほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
【0128】カップリング剤を水系媒体中で加水分解し
ながら磁性酸化鉄表面を処理する方法は、クロロシラン
類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリ
ング剤を使用する必要もなく、さらに、これまで気相中
では磁性酸化鉄粒子同士が合一しやすくて、良好な処理
が困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるよ
うになり、疎水化の効果は絶大である。
【0129】本発明に係わる磁性酸化鉄の表面処理にお
いて使用できるカップリング剤としては、例えば、シラ
ンカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられ
る。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤
であり、一般式
【化1】Rm−Si−Yn [式中、Rはアルコオキシ基を示し、mは1〜3の整数
を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、
メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整
数を示す。]で示されるものである。
【0130】このようなシランカップリング剤として
は、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキ
シシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチル
トリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメ
チルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒ
ドロキシプロピリトリメトキシシラン、フェニルトリメ
トキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、
n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることが
できる。
【0131】特に、式
【化2】Cp2p+1−Si−(OCq2q+13 [式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数
を示す]で示されるアルキルトリアルコキシシランカッ
プリング剤を使用して水系媒体中で磁性酸化鉄粒子を疎
水化処理するのが良い。
【0132】上記式におけるpが2より小さいと、疎水
化処理は容易となるが、疎水性を十分に付与することが
困難であり、トナー粒子からの磁性酸化鉄粒子の露出を
抑制するのが難しくなる。またpが20より大きいと、
疎水性は十分になるが、磁性酸化鉄粒子同士の合一が多
くなり、トナー中へ磁性酸化鉄粒子を十分に分散させる
ことが困難になり、カブリや転写性が悪化傾向となる。
【0133】また、qが3より大きいとシランカップリ
ング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくく
なる。
【0134】特に、式中のpが2〜20の整数(より好
ましくは、3〜15の整数)を示し、qが1〜3の整数
(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルト
リアルコキシシランカップリング剤を使用するのが良
い。
【0135】前述したこれらのシランカップリング剤の
処理量は磁性酸化鉄100質量部に対して、0.05〜
20質量部、好ましくは0.1〜10質量部とするのが
良い。
【0136】ここで、水系媒体とは、水を主要成分とし
ている媒体である。具体的には、水系媒体として水その
もの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH
調製剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが
上げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコー
ルの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性
剤は、水に対して0.1〜5wt%添加するのが良い。
pH調製剤としては、塩酸の如き無機酸が挙げられる。
【0137】疎水化における撹拌は、例えば撹拌羽根を
有する混合機(具体的には、アトライター、TKホモミ
キサーの如き高剪断力混合装置)で、磁性酸化鉄粒子が
水系媒体中で、一次粒子になるように充分におこなうの
が良い。
【0138】こうして得られる磁性酸化鉄は粒子の凝集
が見られず、個々の粒子表面が均一に疎水化処理されて
いるため、重合トナー用の材料として用いた場合、トナ
ー粒子中への分散性が非常に良好である。しかもトナー
粒子表面からの露出が無く、ほぼ球形に近い重合トナー
が得られる。従って、こういった磁性酸化鉄を用いるこ
とにより、平均円形度が0.970以上、さらにはモー
ド円形度が0.99以上、磁性酸化鉄の遊離率が1.5
0%以下という磁性トナーを得ることが可能となる。こ
のトナーを本発明の画像形成方法で用いると、感光体の
削れやトナー融着がより一層抑制され、低湿環境下にお
いても高画質の安定化が達成可能となる。
【0139】本発明で使用される磁性トナーに用いられ
る磁性酸化鉄は、結着樹脂100質量部に対して、10
質量部乃至200質量部を用いることが好ましい。さら
に好ましくは20〜180質量部を用いることが良い。
10質量部未満では磁性トナーの着色力が乏しく、カブ
リの抑制も困難である。一方、200質量部を越える
と、トナー担持体への磁力による保持力が強まり現像性
が低下したり、個々のトナー粒子への磁性酸化鉄の均一
な分散が難しくなるだけでなく、定着性が低下してしま
うことがある。
【0140】これらの磁性酸化鉄の磁気特性としては、
磁場795.8kA/m下で飽和磁化が10〜200A
2/kg、残留磁化が1〜100Am2/kg、抗磁力
が1〜30kA/mであるものが用いられる。これらの
磁性酸化鉄は結着樹脂100質量部に対し、20〜20
0質量部で用いられる。このような磁性酸化鉄の中でも
マグネタイトを主とするものが特に好ましい。
【0141】また、本発明の磁性トナーは、磁場79.
6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強
さが10〜50Am2/kg(emu/g)である磁性
トナーであることが特に好ましい。
【0142】本発明において磁場79.6kA/mにお
ける磁化の強さを規定する理由を以下に説明する。磁性
酸化鉄の磁気特性を表す量としては、磁気飽和における
磁化の強さ(飽和磁化)が用いられるが、本発明におい
ては画像形成装置内で実際に磁性トナーに作用する磁場
における磁性トナーの磁化の強さが重要である。画像形
成装置に磁性トナーが適用される場合、磁性トナーに作
用する磁場は、画像装置外への磁場の漏洩を大きくしな
いため、及び磁場発生源のコストを低く抑えるため等の
理由により、市販されている多くの画像形成装置におい
て数十から百数十kA/mである。そこで本発明では、
画像形成装置内で実際に磁性トナーに作用する磁場の代
表的な値として磁場79.6kA/m(1000エルス
テッド)を選択し、磁場79.6kA/mにおける磁化
の強さを規定した。
【0143】なお、本発明において磁性トナーの磁化の
強さは、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業
社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場79.6k
A/mで測定した。また、磁性酸化鉄の磁気特性は、2
5℃の室温にて外部磁場769kA/mで測定した。
【0144】画像形成装置においては、現像手段内に磁
気力発生手段を設けることで、磁性トナーではトナーの
漏れを防止でき、トナーの搬送性または撹拌性を高めら
れるばかりでなく、トナー担持体上に磁力が作用するよ
うに磁気力発生手段を設けることで、現像兼回収システ
ムにおいては転写残トナーの回収性がさらに向上し、又
磁性トナーが穂立ちを形成するためにトナーの飛散を防
止することが容易となる。
【0145】しかし、トナーの磁場79.6kA/mに
おける磁化の強さが10Am2/kg未満であると、上
記の効果が得られず、トナー担持体上に磁力を作用させ
るとトナーの穂立ちが不安定となり、トナーへの帯電付
与が均一に行えないことによるカブリ、画像濃度ムラ、
転写残トナーの回収不良等の画像不良を生じやすくな
る。また、磁気力によるトナーのトナー担持体への搬送
も不十分になりやすい。トナーの磁場79.6kA/m
における磁化の強さが50Am2/kgよりも大きい
と、トナーに磁力を作用させると磁気凝集によりトナー
の流動性が著しく低下し、転写性が低下することで転写
残トナーが増加する。さらに磁化の強さを大きくするた
めに磁性酸化鉄量を増量すると定着性の悪化を引き起こ
しやすい。
【0146】さらに本発明の磁性トナーでは、磁性酸化
鉄以外に他の着色剤を併用しても良い。併用しうる着色
材料としては、磁性または非磁性無機化合物、公知の染
料および顔料が挙げられる。具体的には、例えば、コバ
ルト、ニッケルなどの強磁性金属粒子、またはこれらに
クロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元
素などを加えた合金、ヘマタイトなどの粒子、チタンブ
ラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フ
タロシアニン等が挙げられる。これらもまた、磁性酸化
鉄と同様に表面を処理して用いても良い。
【0147】本発明の磁性トナーに用いられる磁性酸化
鉄は、例えばマグネタイトの場合、下記方法で製造され
る。
【0148】第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量ま
たは当量以上の水酸化ナトリウムのようなアルカリを加
え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水
溶液のpHをpH7以上(好ましくはpH8〜10)に
維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加
温しながら水酸化第一鉄の酸化反応をおこない、磁性酸
化鉄粒子の芯となる種晶をまず生成させる。
【0149】次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加
えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一
鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6〜10に維持し
ながら空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進
め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。酸化
反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していく
が、液のpHは6未満にしない方が好ましい。酸化反応
の終期に液のpHを調整し、磁性酸化鉄が一次粒子にな
るよう十分に攪拌し、カップリング剤を添加して十分に
混合攪拌し、攪拌後に濾過し、乾燥し、軽く解砕するこ
とで疎水性処理をした磁性酸化鉄粒子が得られる。
【0150】または、酸化反応終了後、洗浄、濾過して
得られた酸化鉄粒子を、乾燥せずに別の水系媒体中に再
分散させた後、再分散液のpHを調整し、十分攪拌しな
がらシランカップリング剤を添加し、カップリング処理
を行っても良い。いずれにせよ、酸化反応終了後に乾燥
工程を経ずに表面処理を行うことが肝要であり、本発明
における重要なポイントである。
【0151】第一鉄塩としては、一般的に硫酸法による
チタン製造で副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って
副生する硫酸鉄の利用が可能であり、更に塩化鉄等が使
用可能である。
【0152】水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法は一
般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の溶
解度から鉄濃度0.5〜2mol/lが用いられる。硫
酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾
向を有する。又、反応に際しては、空気量が多い程、そ
して反応温度が低いほど微粒化しやすい。
【0153】このようにして製造された疎水性磁性酸化
鉄粒子を材料として使用することにより、感光体の削れ
及びトナー融着が発生せず、高画質及び高安定性の画像
形成を実現可能とする磁性トナーを得ることができる。
【0154】本発明に係わる磁性トナーは、磁性トナー
全体に対して0.1〜20質量%の離型剤(ワックス)
を含有することも好ましい使用形態の一つである。
【0155】転写材上に転写されたトナー像はその後、
熱・圧力等のエネルギーにより転写材上に定着され、半
永久的画像が得られる。この際、熱ロール式定着が一般
に良く用いられる。
【0156】先述したように、重量平均粒径が10μm
以下の磁性トナーを用いれば非常に高精細な画像を得る
ことができるが、粒径の細かいトナー粒子は紙等の転写
材を使用した場合に紙の繊維の隙間に入り込み、熱定着
用ローラーからの熱の受け取りが不十分となり、低温オ
フセットが発生しやすい。しかしながら、本発明に係わ
る磁性トナーにおいて、離型剤として適正量のワックス
を含有せしめることにより、高解像性と耐オフセット性
を両立させつつ感光体の削れを防止することが可能とな
る。
【0157】本発明に係わる磁性トナーに使用可能なワ
ックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリス
タリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及
びその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フ
ィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びそ
の誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワ
ックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリ
ラワックス等天然ワックス及びその誘導体などで、誘導
体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合
物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アル
コール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、また
はその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、
ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワック
ス、動物性ワックスなども使用できる。
【0158】これらのワックス成分の内でも、示差走差
熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時に
40〜110℃の領域に吸熱ピークを有するものが好ま
しく、45〜90℃の領域に有するものがより好まし
い。上記温度領域に吸熱ピークを有することにより、低
温定着に大きく貢献しつつ、離型性をも効果的に発現す
る。
【0159】該吸熱ピークが40℃未満であるとワック
ス成分の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフ
セット性が悪化する。一方、該吸熱ピークが110℃を
越えると定着温度が高くなり低温オフセットが発生しや
すくなり好ましくない。さらに、水系媒体中で造粒/重
合を行い重合方法により直接トナーを得る場合、該吸熱
ピーク温度が高いと主に造粒中にワックス成分が析出す
る等の問題を生じ好ましくない。
【0160】ワックス成分の吸熱ピーク温度の測定は、
「ASTM D 3418−8」に準じて行う。測定に
は、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用
い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用い
る。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対
照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測
定を行う。
【0161】本発明に係わる磁性トナーにおいて、これ
らのワックス成分の含有量としては、トナー全体に対し
て0.1〜20質量%の範囲が好ましい。含有量が0.
1質量%未満では低温オフセット抑制効果に乏しく、2
0質量%を超えてしまうと長期間の保存性が悪化すると
共に、他のトナー材料の分散性が悪くなり、磁性トナー
の流動性の悪化や画像特性の低下につながる傾向にあ
る。
【0162】本発明の磁性トナーには、荷電特性を安定
化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤
としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが
速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制
御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法を用いて
製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体へ
の可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
【0163】上記荷電制御剤の具体的な化合物として
は、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリ
チル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカル
ボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料
またはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又
はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化
合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン
等が挙げられる。また、ポジ系荷電制御剤としては、四
級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有す
る高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化
合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。該荷電制御
剤は樹脂100質量部に対し0.5〜10質量部使用す
ることが好ましい。
【0164】中でも本発明の磁性トナーをネガトナーと
する際には、アゾ染料またはアゾ顔料の金属塩または金
属錯体が好ましく用いられる。しかしながら、本発明で
は、磁性トナーの層厚規制部材やトナー担持体との摩擦
帯電を積極的に利用することでトナーの荷電特性を制御
することもでき、トナー中に必ずしも荷電制御剤を含む
必要はない。
【0165】次に本発明における磁性トナーの懸濁重合
法による製造方法を説明する。本発明に関わる重合トナ
ーの結着樹脂を構成するための重合性単量体系を構成す
る重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
【0166】重合性単量体としては、スチレン、o−メ
チルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のス
チレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、ア
クリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アク
リル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アク
リル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アク
リル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロ
ピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシ
ル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ス
テアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等
のメタクリル酸エステル類その他のアクリロニトリル、
メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げ
られる。
【0167】これらの単量体は単独、または混合して使
用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチ
レン誘導体を単独で、またはほかの単量体と混合して使
用する事がトナーの現像特性及び耐久性の点から好まし
い。
【0168】本発明に係わる重合トナーの製造において
は、単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。例え
ば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して
乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン
酸基、水酸基、スルホン酸基、グリシジル基、ニトリル
基等親水性官能基含有の単量体成分をトナー中に導入し
たい時には、これらとスチレンまたはエチレン等ビニル
化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、また
はグラフト共重合体等、共重合体の形にして、またはポ
リエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、
ポリイミン等重付加重合体の形で使用が可能となる。
【0169】こうした極性官能基を含む高分子重合体を
トナー中に共存させると、前述のワックス成分を相分離
させ、より内包化が強力となり、耐オフセット性、耐ブ
ロッキング性、低温定着性の良好なトナーを得ることが
できる。このような極性官能基を含む高分子重合体を使
用する場合、その平均分子量は5,000以上が好まし
く用いられる。5,000以下、特に4,000以下で
は、本重合体が表面付近に集中し易い事から、現像性、
耐ブロッキング性等に悪い影響が起こり易くなり好まし
くない。
【0170】また、材料の分散性や定着性、または画像
特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を単量体系中
に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、
ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及び
その置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合
体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビ
ニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル
共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチ
レン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル
酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルア
ミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル
共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、
スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−
メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン
−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエ
チルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン
共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−
イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、
スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン
系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメ
タクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリビニルブチラール、シリコン樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリア
クリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フ
ェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香
族系石油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。
【0171】これら樹脂の添加量としては、単量体10
0質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未
満では添加効果が小さく、一方20質量部以上添加する
と重合トナーの種々の物性設計が難しくなる。
【0172】さらに、単量体を重合して得られるトナー
の分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶
解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性
の高いトナーを得ることが出来る。
【0173】本発明の磁性トナーを重合法により製造す
る場合において使用される重合開始剤としては、重合反
応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単
量体に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行
うと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体を
得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えるこ
とが出来る。
【0174】このような重合開始剤例としては、2,
2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1'
−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、
2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチル
バレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ
系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイ
ド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピ
ルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイ
ド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート等の過酸化物系重合開始剤が挙げら
れる。
【0175】本発明の重合トナーを製造する際は、架橋
剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、0.0
01〜15質量%である。
【0176】ここで架橋剤としては、主として2個以上
の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例え
ば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような
芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アク
リレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エ
ステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニ
ルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;
及び3個以上のビニル基を有する化合物;などが単独ま
たは混合物として用いられる。
【0177】本発明の重合トナーの製造方法では、一般
に上述のトナー組成物、すなわち重合性単量体中に磁性
酸化鉄、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤、場合に
よって着色剤等トナーとして必要な成分及びその他の添
加剤、例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下さ
せるために入れる有機溶媒、高分子重合体、分散剤等を
適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミ
ル、デゾルバー、超音波分散機等の分散機に依って均一
に溶解または分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含
有する水系媒体中に懸濁する。
【0178】この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機
のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子
のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシ
ャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性
単量体中に他の添加剤を添加すると同時に加えても良い
し、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。又、
造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体または
溶媒に溶解した重合開始剤を加える事も出来る。
【0179】造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状
態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の
撹拌を行えば良い。
【0180】本発明の重合トナーを製造する場合には、
分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤
が使用でき、中でも無機分散剤が有害な超微粉を生じ難
く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反
応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易で
トナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。
【0181】こうした無機分散剤の例としては、燐酸カ
ルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸
亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸
化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベント
ナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
【0182】これらの無機分散剤は、重合性単量体10
0質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用し
ても良く、平均粒径が5μm以下のトナー粒子を製造す
る際は、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用
しても良い。
【0183】また、前記界面活性剤としては、例えばド
デシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナト
リウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナ
トリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウ
ム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等
が挙げられる。
【0184】前述した無機分散剤を用いる場合には、そ
のまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、
水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させることが出
来る。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐
酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合し
て、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることが出
来、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時
に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中
に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が
抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難く
なるので、より好都合である。重合反応終期に残存重合
性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒
体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩したほうが良
い。無機分散剤は、重合終了後酸またはアルカリで溶解
して、ほぼ完全に取り除くことが出来る。
【0185】前記重合工程においては、重合温度は40
℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を
行う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられる
べき離型剤(ワックス)の類が、相分離により析出して
内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費
するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜1
50℃にまで上げる事は可能である。
【0186】重合トナー粒子は重合終了後、公知の方法
によって濾過、洗浄、乾燥を行い、無機微粉末を混合し
表面に付着させることで、トナーを得ることができる。
また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカット
することも、本発明の望ましい形態の一つである。
【0187】本発明に係わるトナーを粉砕法により製造
する場合は、公知の方法が用いられるが、例えば、結着
樹脂、磁性酸化鉄、離型剤、荷電制御剤、場合によって
着色剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤等
をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十
分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダ
ーの如き熱混練機を用いて熔融混練して樹脂類をお互い
に相熔せしめた中に磁性酸化鉄等の他のトナー材料を分
散又は溶解せしめ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応
じて表面処理を行ってトナー粒子を得、必要に応じて微
粉体等を添加混合することによって本発明に係わるとこ
ろの磁性トナーを得ることが出来る。分級及び表面処理
の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産
効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0188】粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の
公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。
本発明に係わる特定の円形度を有する磁性トナーを得る
ためには、さらに熱をかけて粉砕したり、または補助的
に機械的衝撃を加えたりする処理をすることが好まし
い。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒
子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる
方法などを用いても良い。
【0189】機械的衝撃力を加える手段としては、例え
ば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社
製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法、ま
た、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステム
や奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム
等の装置のように、高速回転する羽根によりトナーをケ
ーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦
力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法が挙
げられる。
【0190】機械的衝撃法を用いる場合においては、処
理温度をトナーのガラス転移点Tg付近の温度(Tg±
10℃)を加える熱機械的衝撃が、凝集防止、生産性の
観点から好ましい。さらに好ましくは、トナーのガラス
転移点Tg±5℃の範囲の温度で行うことが、転写効率
を向上させるのに特に有効である。
【0191】さらにまた、本発明に係わるトナーは、特
公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多
流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナ
ーを得る方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不
溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合
方法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナ
ーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重
合方法等を用いトナーを製造する方法でも製造が可能で
ある。
【0192】本発明のトナーを粉砕法により製造する場
合の結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトル
エンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレ
ン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共
重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレ
ン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸
エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合
体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン
−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン
−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアク
リル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチ
ル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエ
チル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合
体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレ
ン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン
−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル
共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタク
リレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラ
ール、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹
脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性
ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または
脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワ
ックス、カルナバワックスなどが単独または混合して使
用できる。特に、スチレン系共重合体及びポリエステル
樹脂が現像特性、定着性等の点で好ましい。
【0193】結着樹脂のガラス転移点温度(Tg)は、
50〜70℃であることが好ましく、50℃よりも低い
とトナーの保存性が低下しやすく、70℃よりも高いと
定着性が低下しやすい。
【0194】本発明の磁性トナーは、表面に無機微粉末
を有する。無機微粉末は主に磁性トナーの流動性を向上
させるために添加されるが、その作用は流動性向上のみ
には限定されない。上記無機微粉末は、その粒径につい
ては添加目的によって異なるが、一次平均粒径が4〜8
0nmであることが好ましい。無機微粉末の一次平均粒
径が4nmよりも小さいと、トナーに埋め込まれやすく
なり流動性の低下が著しくなることがあり、無機微粉末
の一次平均粒径が80nmよりも大きいと、トナーの流
動性が十分でないために帯電量分布が広くなることがあ
る。なお、無機微粉末は、添加目的を達成する状態であ
れば必ずしも一次粒子の状態に分散していなくても良
い。
【0195】流動性向上剤としては、磁性トナーに添加
することにより添加後の流動性が向上しうるものであれ
ば特に限定されるものではない。例えば、シリカ微粉
末、酸化チタン微粉末、アルミナ微粉末、これらの微粉
末の表面を疎水化処理したもの等を単体で、または二種
以上を併用して用いることができる。無機微粉末には、
一次平均粒径が4〜80nmのシリカ、酸化チタン、ア
ルミナから選ばれる少なくとも一種またはその複酸化物
が含まれることが好ましく、これらの中では、シリカを
使用することが好ましい。
【0196】例えば、ここで使用するシリカは、硅素ハ
ロゲン化物やアルコキシドの蒸気相酸化により生成され
たいわゆる乾式法により製造される乾式シリカ及びアル
コキシド水ガラス等から製造される、いわゆる湿式シリ
カの両者が使用可能であるが、シリカ表面及びシリカ微
粉末の内部にあるシラノール基が少なく、またNa
2O、SO3 2-等の製造残滓の少ない点で、乾式シリカを
使用するのが更に好ましい。また、製造工程において例
えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲ
ン化合物を硅素ハロゲン化合物と共に用いることによっ
て、シリカと他の金属酸化物の複合微粉末を得ることも
可能である。
【0197】そして、トナーに用いられる無機微粉末
は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30
2/g以上のもの、特に50〜400m2 /gの範囲
のものが良好な結果を与えることができるため好まし
い。
【0198】シリカ微粉末等の無機微粉末の配合量は、
トナー粒子100質量部に対して、0.1〜8質量部で
あるのが好ましく、0.5〜5質量部であるのがさらに
好ましく、0.5〜3.0質量部の範囲であるのが特に
好ましい。
【0199】また、本発明で用いられる流動性向上剤等
の無機微粉末は、必要に応じ、疎水化や帯電性制御等の
目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、
シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン
カップリング剤、官能基を有するシランカップリング
剤、その他の有機硅素化合物、有機チタン化合物等の処
理剤により、または、種々の処理剤と併用して疎水化処
理されていることが好ましい。
【0200】無機微粉末は少なくともシリコーンオイル
で処理されていることが好ましく、少なくともシラン化
合物及びシリコーンオイルで処理されていることがさら
に好ましい。このようなシリコーンオイルやシラン化合
物は、従来より知られている種々の化合物を用いること
ができ、処理対象の無機微粉末の種類によって適宜選択
すると良い。
【0201】流動性向上剤としての好適な無機微粉末と
しては、各種変性シリコーンオイルまたは各種変性シリ
コーンワニスで処理されているもの、特に疎水性シリカ
が、トナー粒子の摩擦帯電性及び転写性の改良効果が高
いため好ましい。
【0202】また、上記無機微粉末とは別に、クリーニ
ング性を向上させる等の目的で、一次粒径が30nmを
超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)微粒
子、より好ましくは一次粒径が50nm以上(好ましく
は比表面積が30m2/g未満)で球状に近い無機微粒
子または有機微粒子をさらに添加することも好ましい形
態の一つである。例えば球状のシリカ粒子、球状のポリ
メチルシルセスキオキサン粒子、球状の樹脂粒子等を用
いるのが好ましい。
【0203】本発明に用いられるトナーには、実質的な
悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフ
ロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフ
ッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;または酸化セリウ
ム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末な
どの研磨剤;更に、例えば酸化チタン粉末、酸化アルミ
ニウム粉末などの流動性付与剤;ケーキング防止剤;ま
たは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化
スズ粉末等の導電性付与剤;また、逆極性の有機微粒
子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量加えるこ
ともできる。これらの添加剤も、その表面を疎水化処理
して用いることも可能である。
【0204】なお、前述した無機微粉末及びその他の外
添剤の粒径は、走査型電子顕微鏡の観察によって測定す
ることができる。
【0205】また、前述した無機微粉末及びその他の外
添剤の比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装
置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試
料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比
表面積を算出することにより求められる。
【0206】本発明において、トナーの帯電特性を調節
する目的で導電性微粉体を使用することが可能である。
導電性微粉体をトナーに含有する場合のトナー全体に対
する含有量は、0.2〜10質量%であることが好まし
く良い。例えば、本発明のトナーの帯電量が高くなりす
ぎる場合には、導電性微粉体のトナー全体に対する含有
量が0.2質量%よりも少ないと、現像性が低下する傾
向にある。10質量%を超えると、トナーの流動性へ悪
影響を及ぼすことがあるため好ましくない。また、導電
性微粉体のトナー全体に対する含有量は、0.5〜5質
量%であることがより好ましく良い。
【0207】また、本発明の磁性トナーに含まれる導電
性微粉体は、磁性トナーの体積平均粒径よりも小さい平
均粒径のものを用いることが好ましく、その理由として
はトナーの平均粒径よりも大きくなると、トナーの流動
性を低下させる影響が大きくなるためである。
【0208】また、導電性微粉体は、透明、白色または
淡色の導電性微粉体であることが、転写材上に転写され
る場合には導電性微粉体がカブリとして目立たないため
好ましく良い。潜像形成工程における露光光の妨げとな
らない意味でも導電性微粉体は、透明、白色または淡色
の導電性微粉体であることがよく、より好ましくは、導
電性微粉体の露光光に対する透過率が30%以上である
ことが良い。
【0209】導電性微粉体の透過率の測定方法について
別段の特定はないが、本発明においては、粒子の光透過
性については以下の手順で測定した。片面に接着層を有
する透明のフィルムの導電性微粉体を一層分固定した状
態で透過率を測定する。光はシートの鉛直方向から照射
しフィルム背面に透過した光を集光し光量を測定した。
フィルムのみと粒子を付着したときの光量から正味の光
量として粒子の透過率を算出した。実際にはX−Rit
e社製310T透過型濃度計を用いて測定した。
【0210】本発明における導電性微粉体としては、例
えばカーボンブラック、グラファイトなどの炭素微粉
体;銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金属微
粉体;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化すず、酸化アルミニ
ウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、
酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングス
テンなどの金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウ
ム、チタン酸カリなどの金属化合物 、またはこれらの
複合酸化物などが必要に応じて粒度及び粒度分布を調整
することで使用できる。これらの中でも本発明の画像形
成方法には非磁性の導電性微粉体が好ましく、酸化亜
鉛、酸化すず、酸化チタン等の無機酸化物微粒子が特に
好ましい。
【0211】また、導電性無機酸化物の抵抗値を制御す
る等の目的で、アンチモン、アルミニウムなどの元素を
ドープした金属酸化物、導電性材料を表面に有する微粒
子なども使用できる。例えば酸化スズ・アンチモンで表
面処理された酸化チタン微粒子、アンチモンでドープさ
れた酸化第二スズ微粒子、または酸化第二スズ微粒子な
どである。
【0212】市販の酸化スズ・アンチモン処理された導
電性酸化チタン微粒子としては、例えばEC−300
(チタン工業株式会社)、ET−300、HJ−1、H
I−2(以上、石原産業株式会社)、W−P(三菱マテ
リアル株式会社)などが挙げられる。
【0213】市販のアンチモンドープの導電性酸化スズ
としては、例えばT−1(三菱マテリアル株式会社)や
SN−100P(石原産業株式会社)などが、また市販
の酸化第二スズとしては、SH−S(日本化学産業株式
会社)などが挙げられる。
【0214】本発明における導電性微粉体の平均粒径及
び粒度分布の測定には、コールター社製、LS−230
型レーザー回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュー
ルを取り付けて0.04〜2000μmの測定範囲で測
定した。測定法としては、純水10mlに微量の界面活
性剤を添加し、これに導電性微粉体の試料10mgを加
え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分
間分散した後、測定時間90秒、測定回数1回で測定し
た。
【0215】本発明において、導電性微粉体の粒度及び
粒度分布の調整方法としては、導電性微粉体の一次粒子
が製造時において所望の粒度及び粒度分布が得られるよ
うに製造法、製造条件を設定する方法以外にも、一次粒
子の小さな粒子を凝集させる方法、一次粒子の大きな粒
子を粉砕する方法、または分級による方法等が可能であ
り、更には、所望の粒度及び粒度分布を有する基材粒子
の表面の一部または全部に導電性粒子を付着或いは固定
化する方法、所望の粒度及び粒度分布の粒子に導電性成
分が分散された形態を有する導電性微粒子を用いる方法
等も可能であり、これらの方法を組み合わせて導電性微
粉体の粒度及び粒度分布を調整することも可能である。
【0216】導電性微粉体の粒子が凝集体として構成さ
れている場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径と
して定義される。導電性微粉体は、一次粒子の状態で存
在するばかりでなく二次粒子の凝集した状態で存在する
ことも問題はない。どのような凝集状態であれ、凝集体
としてトナーの帯電量を調節する機能が実現できればそ
の形態は問わない。
【0217】前記導電性微粉体は、その抵抗が1×10
9Ωcm以下であることが好ましく、1×106Ωcm以
下であることがより好ましい。導電性微粉体の抵抗が1
×109Ωcmよりも大きいと、トナーの帯電量を調節
する効果を得られにくくなることがある。
【0218】導電性微粉体の抵抗測定は、粉体の抵抗を
測定できる方法であれば特に限定されないが、本発明で
は錠剤法により測定し正規化して求めた。即ち、底面積
2.26cm2の円筒内に凡そ0.5gの粉体試料を入
れ上下電極に15kgの加圧を行うと同時に100Vの
電圧を印加し抵抗値を計測、その後正規化して比抵抗を
算出した。
【0219】本発明の画像形成方法は、電子写真方式の
画像形成において、少なくとも導電性支持体と、シリコ
ン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層
とを有する像担持体を絶対値で250乃至600Vに帯
電して用いるとともに現像剤として前記磁性トナーを用
い、静電潜像を表面に保持する像担持体と、表面に前記
磁性トナーを担持するためのトナー担持体とを一定の間
隔の設けて配置し、磁性トナーをトナー担持体表面に前
記間隔よりも薄い厚さにコートさせ、現像バイアスが印
加されている現像領域において磁性トナーを静電潜像に
転移させて静電潜像を現像することを特徴とする。本発
明の画像形成方法は、上記の特徴を備える方法であれば
特に限定されず、従来より知られている種々の技術を用
いることができる。本発明の画像形成方法を実現するに
あたっては、後述する本発明の画像形成装置を用いるこ
とが好ましい。以下、本発明の画像形成方法及び画像形
成装置について説明する。
【0220】本発明では、像担持体として少なくとも導
電性支持体と、シリコン原子を母体とする非単結晶材料
で構成された光導電層とを有する像担持体、すなわちa
−Si感光層を有する感光体(以下、「a−Si系感光
体」ともいう)を使用することを1つの特徴とする。
【0221】本発明におけるa−Si系感光体は、周知
の導電性支持体と、シリコン原子を母体とする非単結晶
材料から成る光導電層を有する感光層とから構成される
感光体であり、必要に応じて特性を向上させた物が用い
られる。
【0222】該a−Si感光体の構成として感光層の下
部には、下部電荷注入防止層を設け、基板からの電荷の
進入を防ぐこともできる。また、必要に応じて感光層の
上部または下部に電荷注入阻止層(上部阻止層、下部阻
止層)、干渉現象防止のための干渉防止層(反射防止
層)、表面層等を設けることができる。
【0223】本発明に用いるa−Si系感光体は、これ
らの各層を必要に応じてその特性を実用に適合させるた
め、水素原子、及びホウ素、アルミニウム、ガリウム等
の周期律表第III族の原子、ゲルマニウム、スズ等の周
期律表第IV族の原子、窒素、リン、ヒ素等の周期律表第
V族の原子、酸素、イオウ、セレン等の周期律表第VI族
の原子、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子を単独又
は複合してa−Si形成時に導入して各層の各特性をコ
ントロールすることができ、各層の特性をコントロール
することにより負静電荷像担持体としてのa−Si感光
体を構成することができる。例えば、感光層に水素化a
−Siを、下部電荷注入防止層にリンをドープした水素
化a−Siを、上部電荷注入防止層にホウ素をドープし
た水素化a−Siを設ければ、負電荷の静電荷像を保持
する像担持体とすることができる。
【0224】以下、本発明における像担持体の具体例に
ついて図1及び図2を用いて説明する。
【0225】図1及び図2は本発明に用いられる像担持
体の模式的な断面図の一例であり図1は光導電層が機能
分離されていない単一層からなる単層型像担持体であ
る。また、図2は光導電層が電荷発生層と電荷輸送層と
に分離された機能分離型像担持体である。
【0226】図1に示すa−Si系感光体はアルミニウ
ム等の導電性支持体201と、導電性支持体201の表
面に順次積層された電荷注入阻止層202と光導電層2
03及び表面層204からなる。ここで、電荷注入阻止
層202は導電性支持体201から光導電層203への
電荷の注入を阻止するものであり、必要に応じて設けら
れる。また、光導電層203は少なくともシリコン原子
を含む非晶質材料で構成され、光導電性を示すものであ
る。更に表面層204は、画像形成装置における顕像を
保持する能力をもつ層であり、必要に応じて設けられ
る。
【0227】以下では、電荷注入阻止層202、表面層
204の有無により効果が異なる場合を除いては、電荷
注入阻止層202、表面層204は有るものとして説明
する。図2に示すa−Si系感光体は、光導電層203
が少なくともシリコン原子と炭素原子を含む非晶質材料
で構成された電荷輸送層206と、少なくともシリコン
原子を含む非晶質材料で構成された電荷発生層205が
順次積層された構成の機能分離型とした像担持体であ
る。この像担持体に光照射すると主として電荷発生層2
05で生成されたキャリアが電荷輸送層206を通過し
て導電性支持体201に至る。
【0228】尚、表面層204の成膜ガスとしては、C
4、C26、C38、C410等のガス、及びガス化し
得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられ
る。又、これらの炭素供給用の原料ガスを必要に応じて
2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用し
てもよい。
【0229】支持体の基材としては、導電性でも電気絶
縁性であってもよい。導電性支持体としては、Al、C
r、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、
Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金、例えばステ
ンレス等が挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチ
レン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミ
ド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラ
ミック等の電気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成
する側の表面を導電処理した支持体も用いることができ
る。
【0230】また、導電性支持体201の形状は、平滑
表面または凹凸表面の円筒状または板状無端ベルト状で
あることができ、その厚さは、所望通りの像担持体を形
成し得るように適宜決定するが、導電性支持体201は
製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は
10μm以上とされる。
【0231】特にレーザー光などの可干渉性光を用いて
像記録を行う場合には、可視画像において現れる、いわ
ゆる干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消する
ために、光生成キャリアの減少が実質的にない範囲で導
電性支持体201の表面に凹凸を設けてもよい。導電性
支持体201の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−
168156号公報、同60−178457号公報、同
60−225854号公報、同61−231561号公
報等に記載された公知の方法により作製される。
【0232】また、レーザー光等の可干渉光を用いた場
合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消する
さらに別の方法として、感光層200内または該層の下
側に、光吸収層等の干渉防止層またはそれに準じた領域
を設けても良い。
【0233】さらに、導電性支持体の表面に微細なキズ
をつける事により像担持体表面の微細粗さを制御する事
もできる。キズの作製は研磨材を使用しても良いし、化
学反応によるエッチングやプラズマ中のいわゆるドライ
エッチング、スパッタリング法等を用いても良い。この
際に該キズの深さ、大きさは光生成キャリアの減少が実
質的にない範囲であれば良い。
【0234】本発明において、光導電層203は、真空
堆積膜形成方法によって所望特性が得られるように適宜
成膜パラメーターの数値条件が設定されて作製される。
【0235】具体的には、例えばグロー放電法(低周波
CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等
の交流放電CVD法、または直流放電CVD法等)、ス
パッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング
法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法に
よって形成することができる。これらの薄膜堆積法は、
製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作成
される画像形成装置用感光体に所望される特性等の要因
によって適宜選択されて採用されるが、所望の特性を有
する画像形成装置用感光体を製造するに当たっての条件
の制御が比較的容易であることからしてグロー放電法、
特にRF帯、μW帯またはVHF帯の電源周波数を用い
た高周波グロー放電法が好適である。
【0236】グロー放電法によって光導電層203を形
成するには、基本的には周知のごとくシリコン原子(S
i)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子
(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/及びハ
ロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、
内部が減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入
して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじ
め所定の位置に設置されてある所定の導電性支持体20
1上にa−Si:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0237】また、シリコン原子の未結合手を補償し、
層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上
させるために、光導電層203中に水素原子または/及
びハロゲン原子が含有されることが必要であるが、水素
原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子とハ
ロゲン原子の和の量はシリコン原子と水素原子または/
及びハロゲン原子の和に対して10〜30原子%、より
好ましくは15〜25原子%とされるのが望ましい。
【0238】そして、形成される光導電層203中に水
素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御を
いっそう容易になるように図り、本発明の目的を達成す
る膜特性を得るために、これらのガスに更にH2および
/またはHeまたは水素原子を含む珪素化合物のガスも
所望量混合して層形成することが必要である。また、各
ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合して
も差し支えないものである。
【0239】また本発明において使用されるハロゲン原
子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲ
ンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化
合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状の
またはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられ
る。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構
成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原
子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げるこ
とができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン
化合物としては、具体的には弗素ガス(F2)、Br
F、ClF、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF
7等のハロゲン間化合物を挙げることができる。
【0240】ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆる
ハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体
的には、たとえばSiF4、Si26等の弗化珪素が好
ましいものとして挙げることができる。
【0241】光導電層203中に含有される水素原子ま
たは/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば導
電性支持体201の温度、水素原子または/及びハロゲ
ン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容
器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0242】本発明においては、光導電層203には必
要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好
ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層203中に
万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、ま
たは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分
があってもよい。
【0243】前記伝導性を制御する原子としては、半導
体分野におけるいわゆる不純物を挙げることができ、p
型伝導特性を与える周期律表IIIb族に属する原子(以
後「第IIIb族原子」と略記する)またはn型伝導特性
を与える周期律表IIIb族に属する原子(以後「第IIIb
族原子」と略記する)を用いることができる。
【0244】第IIIb族原子としては、具体的には、硼
素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、
インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B、Al、Gaが好適である。第Vb族原子としては、
具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(S
b)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適
である。
【0245】光導電層203に含有される伝導性を制御
する原子の含有量としては、好ましくは1×10-2〜1
×104原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5×
103原子ppm、最適には1×10-1〜1×103原子
ppmとされるのが望ましい。
【0246】伝導性を制御する原子、たとえば、第III
b族原子または第Vb族原子を構造的に導入するには、
層形成の際に、第IIIb族原子導入用の原料物質または
第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中
に、光導電層203を形成するための他のガスとともに
導入してやればよい。第IIIb族原子導入用の原料物質
または第Vb族原子導入用の原料物質となり得るものと
しては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成
条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望ま
しい。
【0247】そのような第IIIb族原子導入用の原料物
質として具体的には、硼素原子導入用としては、B
26、B410、B59、B511、B610、B612
614等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3等の
ハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3
GaCl3、Ga(CH33、InCl3、TlCl3
も挙げることができる。
【0248】第Vb族原子導入用の原料物質として有効
に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3、P2
4等の水素化燐、PH4I、PF3、PF5、PCl3
PCl5、PBr3、PBr5、PI3 等のハロゲン化燐
が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、AsC
3、AsBr3、AsF5、SbH3、SbF3、Sb
5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、B
iBr3等も第Vb族原子導入用の出発物質の有効なも
のとして挙げることができる。また、これらの伝導性を
制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2及び
/又はHeにより希釈して使用してもよい。
【0249】さらに本発明においては、光導電層203
に炭素原子及び/または酸素原子及び/又は窒素原子を
含有させることも有効である。炭素原子、及び/又は酸
素原子、及び/又は窒素原子の含有量はシリコン原子、
炭素原子、酸素原子及び窒素原子の和に対して、好まし
くは1×10-5〜10原子%、より好ましくは1×10
-4〜8原子%、最適には1×10-3〜5原子%が望まし
い。炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原
子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されても良い
し、光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不均
一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0250】本発明において、光導電層203の層厚は
所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の
点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは1〜
50μm、より好ましくは5〜45μm、最適には10
〜40μmとされるのが望ましい。
【0251】さらに、導電性支持体201の温度は、層
設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の
場合、好ましくは200〜350℃、より好ましくは2
30〜330℃、最適には250〜310℃とするのが
望ましい。
【0252】光導電層を形成するための支持体温度、ガ
ス圧等の条件は通常は独立的に別々に決められるもので
はなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的
且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望まし
い。
【0253】本発明においては、上述のようにして導電
性支持体201上に形成された光導電層203の表面
に、更に非単結晶材料からなる表面層(最表面層)20
4を形成することが好ましい。この表面層204は自由
表面を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気
的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的
を達成するために設けられる。
【0254】表面層204は、非単結晶材料であればい
ずれの材質でも可能であるが、例えば、水素原子(H)
及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原
子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−Si
C:H,X」と表記する)、水素原子(H)及び/また
はハロゲン原子(X)を含有し、更に酸素原子を含有す
るアモルファスシリコン(以下「a−SiO:H,X」
と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原
子(X)を含有し、更に窒素原子を含有するアモルファ
スシリコン(以下「a−SiN:H,X」と表記す
る)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)
を含有し、更に炭素原子、酸素原子、窒素原子の少なく
とも一つを含有するアモルファスシリコン(以下「a−
SiCON:H,X」と表記する)等の材料が好適に用
いられる。
【0255】該表面層204は、例えばグロー放電法
(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波C
VD法等の交流放電CVD法、または直流放電CVD法
等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーテ
ィング法、光CVD法、熱CVD法など周知の薄膜堆積
法によって形成することができる。これらの薄膜堆積法
は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、
作成される画像形成装置用感光体に所望される特性等の
要因によって適宜選択されて採用されるが、感光体の生
産性から光導電層と同等の堆積法によることが好まし
い。
【0256】例えば、グロー放電法によってa−Si
C:H,Xよりなる表面層204を形成するには、基本
的にはシリコン原子(Si)を供給し得る、Si供給用
の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の
原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原
料ガスまたは/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX
供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内に
所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電
を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された光導電
層203を形成した導電性支持体201上にa−Si
C:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0257】表面層をa−SiCを主成分として構成す
る場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和に対し
て30%から90%の範囲が好ましい。特に表面層内の
水素含有量を30原子%以上70%以下に制御すること
で電気的特性面及び高速連続使用性において飛躍的な向
上を図り、表面層の高い硬度を確保できる。
【0258】表面層中の水素含有量は、H2ガスの流
量、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し
得る。また、表面層204中に含有される水素原子また
は/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば導電
性支持体201の温度、水素原子または/及びハロゲン
原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器
内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0259】炭素原子及び/または酸素原子及び/また
は窒素原子等の原子は、表面層中に万遍なく均一に含有
されても良いし、表面層の層厚方向に含有量が変化する
ような不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0260】さらに本発明においては、表面層204に
は必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させること
が好ましい。伝導性を制御する原子は、表面層204中
に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、
または層厚方向には不均一な分布状態で含有している部
分があってもよい。
【0261】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、「第IIIb族原子」または「第Vb族原子」を用い
ることができる。また、これらの伝導性を制御する原子
導入用の原料物質を必要に応じてH2、He、Ar、N
e等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0262】本発明における表面層204の層厚として
は、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μ
m、最適には0.1〜1μmとされるのが望ましいもの
である。層厚が0.01μmよりも薄いと感光体を使用
中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまう傾向に
あり、3μmを越えると残留電位の増加等の電子写真特
性の低下がみられることがある。
【0263】本発明の目的を達成するのに好適な特性を
有する表面層204を形成するには、導電性支持体20
1の温度、反応容器内のガス圧を所望にしたがって、適
宜設定する必要がある。
【0264】表面層を形成するための支持体温度、ガス
圧等の条件は通常は独立的に別々に決められるものでは
なく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的且
つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望まし
い。
【0265】さらに本発明においては、光導電層と表面
層の間に、炭素原子、酸素原子、窒素原子の含有量を表
面層より減らしたバッファ層(下部表面層)を設けるこ
とも帯電能等の特性を更に向上させるためには有効であ
る。
【0266】また表面層204と光導電層203との間
に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子
の含有量が光導電層203に向かって減少するように変
化する領域を設けても良い。これにより表面層と光導電
層の密着性を向上させ、界面での光の反射による干渉の
影響をより少なくすることができる。
【0267】本発明では、表面層として非単結晶水素化
炭素膜として、炭素を主体とする非晶質炭素膜(以下
「a−C:H」と表記する)を使用することが、さらに
好ましい。
【0268】a−C:Hもまた、高硬度で耐久性に優れ
ている。また、低摩擦であり、撥水性にも優れ、環境対
策ヒーターを除去した状態においても高湿環境下での画
像のぼけを防止する効果がある。また、導電性微粉体や
その他の粒子等の、機械的な摩擦による感光体への移動
を低減できる。
【0269】本発明においては、a−C:Hからなる表
面層は、膜中に含まれる水素量はH/(C+H)で41
%〜60%、好適には45%〜55%が適している。水
素量が40%以下だと像担持体としての感度が不足し画
像形成装置に適さない場合がある。また60%を越える
と膜の緻密化が損なわれ、機械的強度が損なわれる傾向
にある。
【0270】さらに本発明に用いられる像担持体の表面
層の膜厚としては表面層の磨耗量と画像形成装置の寿命
との関係から最適な膜厚が決定できるが、一般的には
0.01μm〜10μm、好適には0.1μm〜1μm
の範囲が望ましい。表面層の膜厚が0.01μm以下だ
と機械的強度が損なわれ、10μm以上になると残留電
位が高くなる場合がある。また、本発明において、表面
層の屈折率は1.8〜2.8程度であれば好適に用いら
れる。
【0271】炭素供給用ガスとなり得る物質としては、
CH4、C26、C38、C410等のガス状態の、また
はガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして
挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、炭素供給効率
の良さ等の点でCH4、C2 6が好ましいものとして挙
げられる。また、これらの炭素供給用の原料ガスを必要
に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈し
て使用してもよい。
【0272】また、基板(導電性支持体)温度は室温か
ら350℃までに調整されるが、あまり基板温度が高過
ぎるとバンドギャップが低下して透明度が低下するため
低めの温度設定が好ましい。高周波電力については、出
来るだけ高い方が炭化水素の分解が充分に進むため好ま
しく、具体的には炭化水素の原料ガスに対して5×10
-6J/(sec/m3)以上が好ましいが、あまり高く
なると異常放電が発生してしまい、像担持体の特性を劣
化させるので、異常放電が発生しない程度の電力に抑え
る必要がある。放電空間の圧力については通常のRF
(代表的には13.56MHz)電力を用いる場合には
1.33×10-2〜1.33kPa、VHF帯(代表的
には50〜450MHz)を用いる場合には1.33×
10-5〜1.33×10-3kPa程度に保たれる。
【0273】また、本発明に用いられるa−C:Hから
なる表面層には、必要に応じてハロゲン原子が含まれて
いても良い。その中でも、表面層として炭素を主体とし
て、内部且つ/又は最表面にフッ素との結合を有する非
晶質炭素膜(以下「a−C:H:F」と表記する)は、
フッ素の作用により、更に撥水性に優れ、低摩擦であ
り、環境対策ヒーターを除去した状態においても高湿環
境下での画像のぼけを防止する効果がある。
【0274】このような表面層の製造については、a−
C:H膜の製造方法に準ずるが、ハロゲン原子供給用ガ
スを使用する。前記ハロゲン原子供給用ガスとなり得る
物質としては、たとえばF2、BrF、ClF、Cl
3、BrF3、BrF5、IF3、IF7等のハロゲン間
化合物を挙げることができる。さらにフッ素原子を導入
する際には、CF4、CHF3、C26、ClF3、CH
ClF2、F2、C38、C410等のフッ素含有ガスが
好適に用いられる。
【0275】また、光導電層と表面層の間に、像担持体
としての機能を向上させる目的で非晶質材料からなる層
を設けることも好適に用いられる。その一例としては、
非単結晶珪素、非単結晶炭化珪素、非単結晶水素化炭素
などが挙げられる。
【0276】本発明に用いられる画像形成装置用感光体
においては、導電性支持体と光導電層との間に、支持体
側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止
層を設けるのがいっそう効果的である。すなわち、電荷
注入阻止層は感光層が一定極性の帯電処理をその自由表
面に受けた際、支持体側より光導電層側に電荷が注入さ
れるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受
けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極
性依存性を有している。そのような機能を付与するため
に、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光導電
層に比べ比較的多く含有させる。
【0277】該層に含有される伝導性を制御する原子
は、該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、また
は層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に
分布する状態で含有している部分があってもよい。分布
濃度が不均一な場合には、支持体側に多く分布するよう
に含有させるのが好適である。いずれの場合にも支持体
の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏な
く含有されることが面内方向における特性の均一化をは
かる点からも必要である。
【0278】電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御
する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純
物を挙げることができ、「第III族原子」または「第V
族原子」を用いることができる。
【0279】本発明において、電荷注入阻止層の層厚は
所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等
の点から好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは
0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとされるのが
望ましい。
【0280】本発明においては、電荷注入阻止層を形成
するための希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持
体温度の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げら
れるが、これらの層作成ファクターは通常は独立的に別
々に決められるものではなく、所望の特性を有する表面
層を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて各層
作成ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
【0281】また、本発明に用いられる画像形成装置用
感光体においては、導電性支持体201と光導電層20
3または電荷注入阻止層202との間の密着性の一層の
向上を図る目的で、例えば、Si34、SiO2、Si
O、またはシリコン原子を母体とし、水素原子及び/ま
たはハロゲン原子と、炭素原子及び/または酸素原子及
び/または窒素原子とを含む非晶質材料等で構成される
密着層を設けても良い。更に、前述のごとく、支持体か
らの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸
収層を設けても良い。
【0282】以下、本発明に用いられる感光体の製造装
置と製造方法についてより具体的に説明する。図3は、
高周波電源を用いたRFプラズマCVD法による像担持
体の堆積装置の一例を模式的に示した図である。
【0283】この装置は大別すると、堆積装置210
0、原料ガスを供給するガス供給装置2200、反応容
器2110内を減圧する為の排気装置(図示せず)から
構成されている。堆積装置2100中の反応容器211
0内にはアースに接続された円筒状被成膜基体である導
電性支持体2112、導電性支持体の加熱用ヒーター2
113、原料ガスを導入するためのガス導入管2114
が設置され、更に高周波マッチングボックス2115を
介して高周波電源2120が接続されている。
【0284】原料ガス供給装置2200は、SiH4
2、CH4、NO、B26、CF4等の原料ガスボンベ
2221〜2226とバルブ2231〜2236、流入
バルブ2241〜2246、流出バルブ2251〜22
56及びマスフローコントローラー2211〜2216
から構成され、各構成ガスのボンベは補助バルブ226
0を介して反応容器2110内のガス導入管2114に
接続されている。
【0285】導電性支持体2112は導電性受け台21
23の上に設置されることによってアースに接続され
る。
【0286】以下、図3の装置を用いた、像担持体の形
成方法の手順の一例について説明する。
【0287】反応容器2110内に導電性支持体211
2を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)に
より反応容器2110内を排気する。続いて加熱用ヒー
ター2113により導電性支持体2112の温度を20
℃〜500℃の所望の温度に制御する。次いで、像担持
体形成用の原料ガスを反応容器2110内に流入させ
る。原料ガスの流入には、ガスボンベのバルブ2231
〜2236、反応容器のリークバルブ2117が閉じら
れている事を確認し、又、流入バルブ2241〜224
6、流出バルブ2251〜2256、補助バルブ226
0が開かれている事を確認し、メインバルブ2118を
開いて反応容器2110及びガス配管2116を排気す
る。
【0288】その後、真空計2119の読みが0.67
mPaになった時点で補助バルブ2260、流出バルブ
2251〜2256を閉じる。その後原料ガスボンベ2
221〜2226より各ガスをバルブ2231〜223
6を開いて導入し圧力調整器2261〜2266により
各ガス圧を196kPaに調整する。次に流入バルブ2
241〜2246を徐々に開けて各ガスをマスフローコ
ントローラー2211〜2216内に導入する。
【0289】以上の手順によって成膜準備を完了した
ら、導電性支持体2112側から、すなわち下層から順
に感光層を導電性支持体2112上に形成する。ここで
は光導電層の形成について説明する。
【0290】即ち、導電性支持体2112が所望の温度
になったところで、各流出バルブ2251〜2256の
うちの必要なものと補助バルブ2260とを徐々に開
き、各ガスボンベ2221〜2226から所望の原料ガ
スをガス導入管2114を介して反応容器2110内に
導入する。次に、各マスフローコントローラー2211
〜2216によって、各原料ガスが所望の流量になる様
に調整する。その際、反応容器2110内が133.3
Pa以下の所望の圧力になる様に、真空計2119を見
ながらメインバルブ2118の開口を調整する。
【0291】内圧が安定したところで、高周波電源21
20を所望の電力に設定して例えば、周波数1MHz〜
450MHz、より具体的には例えば13.56MHz
の高周波電力を高周波マッチングボックス2115を通
じてカソード電極2111に供給し高周波グロー放電を
生起させる。この放電エネルギーによって反応容器21
10内に導入させた各原料ガスが分解され、導電性支持
体2112上に所望のシリコン原子を主成分とする光導
電層が堆積される。所望の膜厚の形成が行われた後、高
周波電力の供給を止め、各流出バルブ2251〜225
6を閉じて反応容器2110への各原料ガスの流入を止
め、光導電層の形成を終える。
【0292】光導電層の組成や膜厚は公知のものを使用
することができる。上記光導電層に表面層を形成する場
合も基本的には上記の操作を繰り返せばよい。
【0293】図4は、VHF電源を用いたVHFプラズ
マCVD法による像担持体の堆積装置の一例を模式的に
示した図である。この装置は図3に示した堆積装置21
00を図4の堆積装置3100に置き換えることで構成
される。
【0294】VHFプラズマCVD法によるこの装置で
の堆積膜の形成は、以下のように行うことができる。
【0295】まず、反応容器3111内に導電性支持体
3112を設置し、駆動装置3120によって導電性支
持体3112を回転し、不図示の排気装置(例えば拡散
ポンプ)により反応容器3111内を排気管3121を
介して排気し、反応容器3111内の圧力を1.33×
10-5Pa以下に調整する。続いて、加熱用ヒーター3
113により導電性支持体3112の温度を50℃乃至
500℃の所定の温度に加熱保持する。
【0296】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器311
1に流入させるには、ガスボンベのバルブ、反応容器の
リークバルブ(不図示)が閉じられていることを確認
し、又、流入バルブ、流出バルブ、補助バルブが開かれ
ていることを確認して、まずメインバルブ(不図示)を
開いて反応容器3111およびガス配管内を排気する。
【0297】次に真空計(不図示)の読みが約6.65
×10-4Paになった時点で補助バルブ、流出バルブを
閉じる。
【0298】その後、ガスボンベより各ガスを各ボンベ
のバルブを開いて導入し、圧力調整器により各ガス圧を
2×105Paに調整する。次に、流入バルブを徐々に
開けて、各ガスをマスフローコントローラー内に導入す
る。
【0299】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下のようにして導電性支持体3112上に堆積膜
の形成を行う。
【0300】導電性支持体(3112)が所定の温度に
なったところで流出バルブのうちの必要なものおよび補
助バルブを徐々に開き、ガスボンベから所定のガスをガ
ス導入管(不図示)を介して反応容器3111内の放電
空間3130に導入する。次にマスフローコントローラ
ーによって各原料ガスが所定の流量になるように調整す
る。その際、放電空間3130内の圧力が133Pa以
下の所定の圧力になるように真空計(不図示)を見なが
らメインバルブ(不図示)の開口を調整する。
【0301】圧力が安定したところで、50MHz〜4
50MHz、例えば周波数105MHzのVHF電源
(不図示)を所望の電力に設定して、マッチングボック
ス3116を通じて放電空間3130にVHF電力を導
入し、グロー放電を生起させる。かくして導電性支持体
3112により取り囲まれた放電空間3130におい
て、導入された原料ガスは放電エネルギーにより励起さ
れて解離し、導電性支持体3112上に所定の堆積膜が
形成される。このときVHF電力導入と同時に、加熱用
ヒーター3113の出力を調整し、導電性支持体の温度
を所定の値で変化させる。この時、層形成の均一化を図
るため駆動装置3120によって、所望の回転速度で回
転させる。
【0302】所望の膜厚の形成が行われた後、VHF電
力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガス
の流入を止め、堆積膜の形成を終える。同様の操作を複
数回繰り返すことによって、所望の多層構造の像担持体
が形成される。
【0303】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うま
でもなく、また、それぞれのガスが反応容器3111
内、流出バルブから反応容器3111に至る配管内に残
留することを避けるために、流出バルブを閉じ、補助バ
ルブを開き、さらにメインバルブ(不図示)を全開にし
て系内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行
う。
【0304】上述のガス種およびバルブ操作は各々の層
の作製条件にしたがって変更が加えられることは言うま
でもない。
【0305】図5は画像形成プロセスの一例を説明する
為に、画像形成装置の一例を示す概略図である。以下、
本発明の画像形成装置の概略と、本発明の画像形成方法
の概略を一例に基づき説明する。
【0306】像担持体401は内側に設けられた面状ヒ
ーター423によって温度コントロール可能とされ、必
要に応じて矢印X方向に回転する。像担持体401の周
辺には、主帯電器402、静電潜像形成部位403、現
像器404、転写材供給系405、転写帯電器406
(a)、分離帯電器406(b)、クリーナー425、
搬送系408、除電光源409等が必要に応じて配設さ
れている。
【0307】以下、さらに具体的に画像形成プロセスの
一例を説明する。像担持体401は+6〜8kvの高電
圧を印加した主帯電器402により一様に帯電される。
すなわち主帯電器402は本発明における帯電手段に該
当する。
【0308】帯電した像担持体401には静電潜像部位
から、ランプ410から発した光が原稿台ガラス411
上に置かれた原稿412に反射し、ミラー413、41
4、415を経由し、レンズユニット417のレンズ4
18によって結像され、ミラー416を経由して導か
れ、情報を担った光として投影され、像担持体401上
に静電潜像が形成される。この潜像に現像器404から
ネガ極性の磁性トナーが供給されてトナー像が形成され
る。すなわち、原稿412を除くランプ410からミラ
ー416までが本発明における静電潜像形成手段に該当
する。尚、本発明に用いられる静電潜像形成手段は、形
成すべき画像の情報を担った光を、帯電した像担持体に
照射できる手段であれば特に限定されず、上記のごとく
原稿412からの反射によらず、LEDアレーやレーザ
ービーム、または液晶シャッター等を用いて情報を担っ
た光を走査露光する様にしても良い。
【0309】静電潜像が形成された像担持体401には
現像器404から前述した本発明の磁性トナーが供給さ
れ、静電潜像が現像される。すなわち現像器404は、
本発明における現像手段に該当する。現像工程及び現像
手段については後に詳しく説明するが、上記現像と同時
に像担持体401上のトナーを像担持体401上からト
ナー担持体へ回収する現像兼クリーニング工程を実施可
能な現像器であっても良い。この場合ではクリーナー4
25は必要とされない。また、主帯電器402も非接触
で像担持体401を帯電する帯電手段であることが望ま
しい。
【0310】一方、紙等の転写材Pは転写材供給系40
5を通って、レジストローラー422によって先端供給
タイミングを調整され、像担持体401方向に供給され
る。転写材Pは、+7〜8kvの高電圧を印加した転写
帯電器406(a)と像担持体401の間隙において背
面から、磁性トナーとは逆極性の正電界を転写帯電器4
06(a)により与えられ、これによって像担持体表面
のネガ極性のトナー像は転写材Pに転写する。すなわ
ち、転写帯電器406(a)は、本発明における転写手
段に該当する。
【0311】次いで転写材Pは、12〜14kVp−
p、300〜600Hzの高圧AC電圧を印加した分離
帯電器406(b)により、像担持体401から分離さ
れる。続いて転写材Pは搬送系408を通って定着装置
424に至り、トナー像が定着されて装置外に搬出され
る。
【0312】像担持体401上に残留する磁性トナーは
クリーナー425のクリーニングローラー407、及び
シリコーンゴムやウレタンゴム等の弾性材料からなるク
リーニングブレード421によって回収され、残留する
静電潜像は除電光源409によって消去される。
【0313】尚、420はブランク露光LEDで像担持
体401の転写材Pの幅を越える部分及び余白部分等の
非画像部領域に不要な磁性トナーが付着しないように必
要に応じて像担持体401を露光する為に設けられる。
【0314】本発明に用いられる像担持体は、帯電部材
によって帯電せしめられるが、像担持体上の電位は絶対
値で250乃至600Vに一次帯電されなければならな
い。像担持体上の電位が250V未満であると、画像部
の濃度とバックグラウンド部のカブリのバランスをとる
ことが極めて困難になる。一方、600Vを越えると像
担持体を所望の一次電位に帯電させるために必要な電流
量が多くなり、またそれに起因してリークの発生による
画像不良が極めて起こりやすくなる。また、同様な理由
により、帯電した像担持体上の電位は250乃至550
Vが好ましく、250乃至500Vがより好ましい。こ
の一次帯電電位の正負については、画像形成方法・装置
などその他の現像・帯電・静電潜像形成・転写などのプ
ロセスに合わせて適宜使い分ければ良い。
【0315】本発明では、得られる画像に影響を与えな
い限り、像担持体を直接加温する手段を設けない構成が
好ましい。その理由としては、加温手段により消費され
る電力が減少することなどが挙げられる。しかし、必要
に応じて加温手段を設けることは何ら差し支えない。
【0316】次に、本発明の画像形成方法における各工
程、及び本発明の画像形成装置における各手段等につい
て、さらに詳しく説明する。まず、本発明の画像形成方
法において好ましく適用される接触転写工程について具
体的に説明する。
【0317】接触転写工程とは、感光体と転写材を介し
て転写手段を当接しながら現像画像を転写材に静電転写
するものであるが、転写手段の当接圧力としては線圧
2.9N/m(3g/cm)以上であることが好まし
く、より好ましくは19.6N/m(20g/cm)以
上である。当接圧力としての線圧が2.9N/m(3g
/cm)未満であると、転写材の搬送ずれや転写不良の
発生が起こりやすくなるため好ましくない。
【0318】また、接触転写工程における転写手段とし
ては、転写ローラーまたは転写ベルト等の転写用帯電部
材を有する装置が使用される。図6に転写ローラーの構
成の一例を示す。転写ローラー34は少なくとも芯金3
4aと導電性弾性層34bからなり、導電性弾性層はカ
ーボン等の導電材を分散させたウレタンやEPDM等
の、体積抵抗106〜1010Ωcm程度の弾性体で作ら
れており、転写バイアス電源35により転写バイアスが
印加されている。
【0319】また、接触転写方法を適用する場合の本発
明の画像形成方法は、直径が50mm以下の小径の感光
体を有する画像形成装置に対し特に有効に用いられる。
即ち、小径感光体の場合には、同一の線圧に対する曲率
が大きく、当接部における圧力の集中が起こりやすいた
めである。ベルト感光体でも同一の現象があると考えら
れるが、本発明は、転写部での曲率半径が25mm以下
の画像形成装置に対しても有効である。
【0320】本発明に使用されるトナー担持体は、アル
ミニウム、ステンレススチールの如き金属又は合金で形
成された導電性円筒(現像ローラー)が好ましく使用さ
れる。充分な機械的強度及び導電性を有する樹脂組成物
で導電性円筒が形成されていても良く、導電性のゴムロ
ーラーを用いても良い。また、上記のような円筒状に限
られず、回転駆動する無端ベルトの形態をしても良い。
【0321】本発明において、トナー担持体上に5〜5
0g/m2より好ましくは5〜30g/m2のトナー層を
形成することが好ましく良い。トナー担持体上のトナー
量が5g/m2よりも小さいと、十分な画像濃度が得ら
れにくく、トナーの帯電が過剰になることによるトナー
層のムラを生じ易くなる。トナー担持体上のトナー量が
50g/m2よりも多くなると、トナー飛散を生じ易く
なる。
【0322】また本発明の画像形成方法においては、カ
ブリの無い高画質を得るためにトナー担持体上にトナー
担持体−感光体(像担持体)の最近接距離(S−D間)
よりも小さい層厚で、磁性トナーを塗布し、現像バイア
スを印加して現像を行う現像工程で現像される。このよ
うな現像を行うにはトナー担持体上の磁性トナーを規制
する層厚規制部材を設けることが好ましく、この層厚規
制部材によって、トナー担持体上のトナー層厚よりも感
光体とトナー担持体の最近接間隙が広くなるように設定
することができる。
【0323】また本発明においては、トナー担持体上の
トナーを規制する部材がトナーを介してトナー担持体に
当接される弾性ブレード等の規制部材であることが、ト
ナーが温湿度環境の影響を受けにくく、トナー飛散の起
こりにくい均一な帯電を得る観点から好ましい。
【0324】さらにトナー担持体と微小間隔をもって配
する強磁性の金属ブレードによりトナーを規制すること
が、トナー劣化を抑止してトナーの帯電性を長期間に亘
り安定させるため、より好ましい。トナー担持体と強磁
性金属ブレードからなる規制部材との間隔は、100〜
1000μmであることが好ましい。前記間隔が100
μm未満であるとトナー担持体上のトナー量が少ないこ
とにより画像濃度が低くなる傾向が強く、1000μm
を超えるとトナーの帯電性が不均一になる傾向が強く所
望の画像品位が得られないことがある。
【0325】また本発明においては、トナーを担持する
トナー担持体表面は、像担持体表面の移動方向と同方向
に移動していてもよいし、逆方向に移動していてもよ
い。その移動方向が同方向である場合像担持体の移動速
度に対して、比で100%以上であることが望ましい。
100%未満であると、画像品質が悪くなりはじめる傾
向があり、70%未満であるとその傾向はより顕著にな
る。移動速度比が高まれば高まるほど現像領域に供給さ
れるトナーの量は多く、潜像に対しトナーの脱着頻度が
多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分には付
与されるという繰り返しにより、潜像に忠実な画像が得
られる。具体的には、トナー担持体表面の移動速度が像
担持体表面の移動速度に対し、70%〜300%の速度
であることが好ましい。300%の速度を越えると、ト
ナーの劣化が激しくなる傾向が強くなる。
【0326】また、トナー担持体は像担持体に対して1
00〜1000μmの離間距離を有して対向して設置さ
れることが好ましく良い。トナー担持体の像担持体に対
する離間距離が100μmよりも小さいと、離間距離の
振れに対するトナーの現像特性の変化が大きくなるた
め、安定した画像性を満足する画像形成装置を量産する
ことが困難となる。トナー担持体の像担持体に対する離
間距離が1000μmよりも大きいと、像担持体上の潜
像に対するトナーの追従性が低下するために、解像性の
低下、画像濃度の低下等の画質低下を招くことがある。
また現像兼回収システムでは、現像装置への転写残トナ
ーの回収性が低下し、回収不良によるカブリを生じ易く
なる。好ましくは120〜500μmがよい。
【0327】本発明において、現像工程ではトナー担持
体に対して現像バイアスとして交番電界を印加して現像
を行う現像工程で現像されることが好ましく、印加現像
バイアスは直流電圧に交番電圧(交流電圧)を重畳して
もよい。
【0328】交番電圧の波形としては、正弦波、矩形
波、三角波等適宜使用可能である。また、現像バイアス
としては、直流電源を周期的にオン/オフすることによ
って形成されたパルス波であっても良い。このように現
像バイアスとしては周期的にその電圧値が変化するよう
なバイアスが使用できる。
【0329】また、本発明では、トナーを担持するトナ
ー担持体と像担持体との間に、少なくともピークトゥー
ピークの電界強度で3×106〜1×107V/m、周波
数100〜5000Hzの交番電界を現像バイアスとし
て印加することが好ましく良い。
【0330】トナー担持体と像担持体との間に印加され
る現像バイアスの電界強度が3×106V/mよりも小
さいと、現像力が小さいために画像濃度の低い画像とな
り易い。一方、現像バイアスの電界強度が1×107
/mよりも大きいと現像力が大き過ぎることによる細線
の潰れによる解像性の低下、カブリの増大による画質低
下を生じ易く、現像バイアスの像担持体へのリークによ
る画像欠陥を生じ易くなる。
【0331】また、トナー担持体と像担持体との間に印
加される現像バイアスのAC成分の周波数が100Hz
よりも小さいと、潜像に対するトナーの脱着頻度が少な
くなり、現像装置への転写残トナーの回収性が低下しや
すく、画像品質も低下し易い。現像バイアスのAC成分
の周波数が5000Hzよりも大きいと、電界の変化に
追従できるトナーが少なくなるために、現像性が低下し
易い。また現像兼回収システムにおいては、転写残トナ
ーの回収性が低下し易くなる。
【0332】帯電手段としては、コロトロン、スコロト
ロンなどのコロナ帯電器を用いる手段や、帯電ローラ
ー、帯電ブレード及び導電性ブラシ等の帯電部材を用い
る手段がある。
【0333】帯電手段に用いられる帯電ローラー及び帯
電ブレード等の材質としては、導電性ゴムが好ましく、
その表面に離型性被膜を設けてもよい。離型性被膜とし
ては、ナイロン系樹脂、PVdF(ポリフッ化ビニリデ
ン)、PVdC(ポリ塩化ビニリデン)、フッ素アクリ
ル樹脂などが適用可能である。
【0334】本画像形成方法においては、パッシェンの
法則に基づく放電機構支配による帯電方法により像担持
体を帯電させることが好ましい。
【0335】本発明の画像形成方法を実施するために用
いることができる具体的な装置の一例を図7に示すが、
これは本発明を何ら限定するものではない。
【0336】本発明において磁性トナーは、円筒スリー
ブの如きトナー担持体から感光体の如き負静電荷像保持
体へトナーを飛翔させながら負静電荷像を現像する方法
に適用するのが好ましい。すなわち、磁性トナーは主に
スリーブ表面との接触によってトリボ電荷が付与され、
スリーブ表面上に薄層状に塗布される。磁性トナーの薄
層の層厚は現像領域における感光体とスリーブとの間隙
よりも薄く形成される。感光体上の負静電荷像の現像に
際しては、感光体とスリーブとの間に交互電界を印加し
ながらトリボ電荷を有する磁性トナーをスリーブから感
光体へ飛翔させるのが良い。
【0337】交互電界としては、パルス電界、交流バイ
アス又は交流と直流バイアスが相乗したもの等が例示さ
れる。
【0338】本発明に好適に用いられる現像手段の一例
を図8に示す。図8の現像装置において、例えば本発明
に用いるトナー担持体たる非磁性スリーブ12として直
径32mmのステンレススリーブ(SUS304)を用
い、スリーブ内のマグネット14の磁極N1=850ガ
ウス、N2=500ガウス、S1=650ガウス、S2
=500ガウスとし、ブレード11aには磁性体である
鉄を用い、ブレード11aと非磁性スリーブ12の間隙
は250μm、トナー13は本発明に係る磁性トナー、
バイアス電源21としてはACにDCを重畳させたもの
を用い、Vpp=1400V、f=2000(Hz)、
DC=−120Vとした反転現像装置が挙げられる。ま
たスリーブ12と負静電荷像保持体19との最短距離を
300μと設定したものを挙げることができる。
【0339】また本発明で表面に磁性トナーを担持する
トナー担持体においてトナー担持体表面が不定形粒子に
よるサンドブラスト処理により、特定の凹凸状態の凹凸
粗面となしたものを用いることにより、そのトナー担持
体表面に一様で均一なムラのない、長期に渡って常に、
良好なトナーコート状態を維持することができる。その
目的とする表面は、トナー担持体の表面が全域にわたっ
て、微細な無数の切り込みまたは突起がランダムな方向
に構成されている態様のものである。
【0340】しかしながら、かかる特定の表面状態を有
するトナー担持体を用いる現像装置では、適用する磁性
トナーによっては、トナー又はトナー中の成分が、該表
面に付着し、トナー担持体表面への汚染が起こり、その
結果、初期画像の濃度低下が生じることがある。これ
は、トナー中の成分が、トナー担持体表面の凸部の斜面
及び凹部に付着するため、磁性トナー粒子の帯電不良が
生じ、トナー層の電荷量が低下によって生ずるものであ
る。磁性トナー担持体への汚染を防止または、低減させ
る方法として、トナー担持体の表面をより平滑にする方
法も用いることができる。
【0341】本発明に係る現像方法の磁性トナー担持体
においては、その表面が複数の球状痕跡窪みによる特定
の凹凸を形成している場合には、該表面にトナー成分が
付着しにくくなり、長期にわたって汚染の防止又は低減
することができ、また、磁性トナーをトナー担持体に均
一にトナーコートさせる性能としても優れている。
【0342】このような表面形状を呈したトナー担持体
は摩擦帯電付与能力にも優れており、本発明に係る磁性
トナーの摩擦帯電能力を十分に引き出し、帯電性を安定
化させることができる。
【0343】従って、静電荷像の電位に対する追従性は
さらに向上し、ハーフトーンに対する階調性に優れ、し
っとりとした画像が得られる。また白画像部への電位−
濃度曲線の切れもよくなり、かぶりに対してもより効果
がある。
【0344】以下、トナー担持体を以下スリーブと称
し、特定の凹凸を表面に有するトナー担持体について説
明する。
【0345】前記の複数の球状痕跡窪みによる凹凸を形
成した表面を有するスリーブ表面状態を得る方法として
は、定形粒子によるブラスト処理方法が使用できる。定
形粒子としては、例えば、特定の粒径を有するステンレ
ス、アルミニウム、鋼鉄、ニッケル、真鍮等の金属から
なる各種剛体球又はセラミック、プラスチック、グラス
ビーズ等の各種剛体球を使用することができる。特定の
粒径を有する定形粒子を用いて、スリーブ表面をブラス
ト処理することにより、ほぼ同一の直径Rの複数の球状
痕跡窪みを形成することができる。
【0346】また、スリーブ表面の複数の球状痕跡窪み
の直径Rは20〜250μmが好ましく、直径Rが20
μm以下であると、磁性トナー中の成分による、汚染を
増す傾向にあり、逆に直径Rが250μm以上である
と、スリーブ上のトナーのコート均一性が低下する傾向
にある。従って、スリーブ表面のブラスト処理時に使用
する定形粒子も、直径が20〜250μmのものが良
い。
【0347】さらに、スリーブ表面の凹凸のピッチP及
び表面粗さdは、JIS10点平均あらさ(Rz)「J
IS B 0601」によって規定することができる。
また、表面粗さの測定には、微小表面粗さ計(発売元、
テイラーホプソン社、小坂研究所等)を使用して測定す
ることができる。
【0348】即ち、図9に示すように、断面曲線から基
準長さlだけ抜き取った部分の平均線に平行な直線で高
い方から3番目の山頂を通るものと、深い方から3番目
の谷底を通るものの、2直線の間隔をマイクロメータ
(μm)で表したもので、基準長さl=0.25mmと
する。またピッチPは凸部が両側の凹部に対して0.1
μ以上の高さのものを、一つの山として数え基準長さ
0.25mmの中にある山の数により、下記のように求
めたものである。
【数4】
【0349】スリーブ表面の凹凸のピッチPは、2〜1
00μmが好ましく、Pが2μm未満であると、磁性ト
ナー中の成分によるスリーブ汚染が増す傾向にあり、逆
にPが100μmを超える場合であると、スリーブ上の
トナーコートの均一性が低下する傾向にある。またスリ
ーブ表面の凹凸の表面粗さdは0.1〜5μmが好まし
く、dが5μmを超える場合は、スリーブと負静電荷像
保持体との間に交番電圧を印加してスリーブ側から負静
電荷像面へ磁性トナーを飛翔させて現像を行う方式にあ
っては、凹凸部分に電界が集中して画像に乱れを生じる
傾向となり、逆にdが0.1μm未満であると、スリー
ブ上のトナーコートの均一性が低下する傾向にある。
【0350】さらに、本発明に係わる磁性トナーは高い
帯電能力を有するために、現像に際しては磁性トナーの
総帯電量をコントロールすることが望ましく、本発明に
係わるトナー担持体の表面は導電性微粒子及び/又は滑
剤を分散した樹脂層で被覆されていることが好ましい。
【0351】トナー担持体の被覆層において、樹脂材料
に含まれる導電性微粒子は、120kg/cm2(1.
18×104kPa)で加圧した後の抵抗値が0.5Ω
・cm以下であるものが好ましい。
【0352】導電性微粒子としては、カーボン微粒子、
カーボン微粒子と結晶性グラファイトとの混合物、また
は結晶性グラファイトが好ましい。導電性微粒子は、粒
径0.005〜10μmを有するものが好ましい。
【0353】樹脂材料は、例えば、スチレン系樹脂、ビ
ニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド
樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂の如
き熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ア
ルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウ
レタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹
脂の如き熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を使用するこ
とができる。
【0354】中でもシリコーン樹脂、フッ素樹脂のよう
な離型性のあるもの、またはポリエーテルスルホン、ポ
リカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアミ
ド、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ス
チレン系樹脂のような機械的性質に優れたものがより好
ましい。特に、フェノール樹脂が好ましい。
【0355】導電性微粒子は、樹脂成分10質量部当た
り、3〜20質量部使用するのが好ましい。カーボン微
粒子とグラファイト粒子を組み合わせて使用する場合
は、グラファイト10質量部当たり、カーボン微粒子1
〜50質量部を使用するのが好ましい。
【0356】導電性微粉体が分散されているスリーブの
樹脂コート層の体積抵抗率は10-6〜106Ω・cmが
好ましい。
【0357】本発明に係わる各種物性データの測定法を
以下に詳述する。
【0358】(1)定着画像のカブリの測定方法 カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMET
ER MODEL TC−6DSを使用して測定した。
【0359】フィルターとしてはグリーンフィルターを
用い、下記式より算出した。数値が小さい程、カブリが
少ない。
【0360】
【数5】
【0361】(2)像担持体の一次帯電電位 像担持体の一次帯電電位は、像担持体の帯電器により帯
電された部位が所定の周速度で所定の方向に回転し、現
像器のスリーブの最近接位置に到達したときに測定され
る表面電位を電位計から読み取った値の3点平均値であ
り、測定部位は像担持体の両端部からそれぞれ50mm
±10mm中央側の範囲(2点)と像担持体の中央部の
左右10mmの範囲(1点)として定義される。具体的
な電位測定装置としては、TRek社製の非接触電位計
344などが挙げられる。
【0362】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0363】<表面処理磁性体の製造例1>硫酸第一鉄
水溶液中に、鉄イオンに対して1.0〜1.1当量の苛
性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調
製した。
【0364】水溶液のpHを9前後に維持しながら空気
を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生
成させるスラリー液を調製した。
【0365】次いで、このスラリー液に当初のアルカリ
量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.
2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリ
ー液をpH8に維持して、空気を吹き込みながら酸化反
応をすすめ、酸化反応後に生成した磁性酸化鉄粒子を洗
浄、濾過して一旦取り出した。この時、含水サンプルを
少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サ
ンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、
再分散液のpHを約6に調製し、十分攪拌しながらシラ
ンカップリング剤(n−C1021Si(OCH33)を
磁性酸化鉄に対し1.8質量部(磁性酸化鉄の量は含水
サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加
し、カップリング処理を行った。生成した疎水性酸化鉄
粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、次いで若干凝集
している粒子を解砕処理して、表面処理磁性体1を得
た。
【0366】<表面処理磁性体の製造例2>表面処理磁
性体の製造例1に於いてシランカップリング剤を(n−
613Si(OCH33)とする以外は同様にして表
面処理磁性体2を得た。
【0367】<表面処理磁性体の製造例3>表面処理磁
性体の製造例1に於いてシランカップリング剤を(n−
1837Si(OCH33)とする以外は同様にして表
面処理磁性体3を得た。
【0368】<表面処理磁性体の製造例4>表面処理磁
性体の製造例1に於いてシランカップリング剤を(n−
49Si(OCH33)とし、カップリング剤量を
1.0質量部とする以外は同様にして表面処理磁性体4
を得た。
【0369】<表面処理磁性体の製造例5>表面処理磁
性体の製造例1に於いてシランカップリング剤を(n−
49Si(OCH33)とし、カップリング剤量を
0.7質量部とする以外は同様にして表面処理磁性体5
を得た。
【0370】<表面処理磁性体の製造例6>表面処理磁
性体の製造例1に於いてシランカップリング剤を(n−
49Si(OCH33)とし、カップリング剤量を
0.3質量部とする以外は同様にして表面処理磁性体6
を得た。上記表面処理磁性体の表面処理剤及びその添加
量を表1に示す。
【0371】
【表1】
【0372】<磁性体の製造例1>硫酸第一鉄水溶液中
に、鉄イオンに対して1.0〜1.1当量の苛性ソーダ
溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
【0373】水溶液のpHを9前後に維持しながら、空
気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を
生成させるスラリー液を調製した。
【0374】次いで、このスラリー液に当初のアルカリ
量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.
2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリ
ー液をpH8に維持して、空気を吹き込みながら酸化反
応をすすめ、酸化反応後に生成した磁性酸化鉄粒子を洗
浄、濾過して一旦取り出し、生成した酸化鉄粒子を常法
により洗浄、濾過、乾燥し、次いで若干凝集している粒
子を解砕処理して、磁性体1を得た。
【0375】<導電性微粉末1>体積平均粒径3.8μ
m、粒度分布における0.5μm以下が5.8体積%、
5μm以上が8個数%の微粒子酸化亜鉛を風力分級して
得られた、体積平均粒径2.6μm、粒度分布における
0.5μm以下が3.8体積%、5μm以上が0個数%
の微粒子酸化亜鉛(抵抗1500Ω・cm、透過率36
%)を導電性微粉末1とする。
【0376】この導電性微粉末1は、走査型電子顕微鏡
にて3000倍及び3万倍で観察したところ、0.1〜
0.3μmの酸化亜鉛一次粒子と1〜5μmの凝集体か
らなっていた。
【0377】実施例の画像形成装置で画像露光に用いら
れるレーザービームスキャナの露光光波長675nmに
あわせて、波長675nmの光源を用いて、この波長域
における透過率をX−Rite社製310T透過型濃度
計を用い測定したところ、この導電性微粉末1の透過率
はおよそ36%であった。
【0378】<導電性微粉末2>酸化スズ・アンチモン
で表面処理された体積平均粒径2.6μmのホウ酸アル
ミニウムを風力分級することによってこのホウ酸アルミ
ニウムから粗粒子を除いた後に、水系への分散及び濾過
を繰り返し行うことで微粒子を除き、体積平均粒径3.
2μm、粒度分布における0.5μm以下が0.5体積
%、5μm以上が1個数%の灰白色の導電性粒子を得た
(抵抗40Ω・cm)。これを導電性微粉末2とする。
【0379】<現像剤の製造例1>イオン交換水709
質量部に0.1M−Na3PO4水溶液451質量部を投
入し60℃に加温した後、塩化カルシウム添加後のpH
が5.6になるように塩酸を投入し、次に1.0M−C
aCl2水溶液67.7質量部を添加してリン酸カルシ
ウム塩を含む水系媒体を得た。
【0380】 スチレン 78質量部 n−ブチルアクリレート 22質量部 ビスフェノールAのP.O.及びE.O.付加物とフマル酸の縮合反応により 得られる不飽和ポリエステル樹脂 2質量部 ビスフェノールAのP.O.及びE.O.付加物と テレフタル酸の縮合反応により得られる飽和ポリエステル樹脂 3質量部 負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 1質量部 表面処理磁性体1 90質量部 上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用
いて均一に分散混合した。
【0381】この単量体組成物を60℃に加温し、そこ
にエステルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大
値72℃)4部を添加混合溶解し、これに重合開始剤
2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)[t1/2=140分,60℃条件下]5質量部を溶
解した。
【0382】前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投
入し、60℃、N2 雰囲気下においてTK式ホモミキサ
ー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで1
5分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌し
つつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃
とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、80℃で更
に2時間蒸留を行い、その後、懸濁液を冷却し、塩酸を
加えてリン酸カルシウム塩を溶解し、濾過,水洗,乾燥
して重量平均粒径7.0μmの黒色粒子1を得た。
【0383】この黒色粒子100部と、ヘキサメチルジ
シラザンで処理をした後シリコーンオイルで処理し、処
理後のBET値が180m2/gの疎水性シリカ微粉体
0.9部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機
(株))で混合して、現像剤1を調製した。現像剤1の
物性を表2に示す。
【0384】<現像剤の製造例2>表面処理磁性体1に
代えて表面処理磁性体2を用い、重合開始剤としてt−
ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートを用いるこ
と以外は現像剤1の製造例と同様に現像剤2を得た。現
像剤2の物性を表2に示す。
【0385】<現像剤の製造例3>表面処理磁性体1に
代えて表面処理磁性体3を用い、pH調整をしないこと
以外は現像剤1の製造例と同様に現像剤3を得た。この
ときの水系媒体のpHは、10.5であった。現像剤3
の物性を表2に示す。
【0386】<現像剤の製造例4>表面処理磁性体1に
代えて表面処理磁性体4を用いること以外は現像剤1の
製造例と同様に現像剤4を得た。現像剤4の物性を表2
に示す。
【0387】<現像剤の製造例5>表面処理磁性体1に
代えて表面処理磁性体5を用いること以外は現像剤1の
製造例と同様に現像剤5を得た。現像剤5の物性を表2
に示す。
【0388】<現像剤の製造例6>現像剤の製造例1で
得た黒色粒子1を100質量部と、ヘキサメチルジシラ
ザンで処理し、処理後のBET値が230m2/gの疎
水性シリカ微粉体0.8質量部とをヘンシェルミキサー
(三井三池化工機(株))で混合して、現像剤6を調製
した。現像剤6の物性を表2に示す。
【0389】<現像剤の製造例7>負荷電性制御剤(モ
ノアゾ染料系のFe化合物)1質量部に代えてニグロシ
ン2質量部を用い、BET値が180m2/gの疎水性
シリカ微粉体0.9質量部に代えて、BET値が200
2/gの正荷電性疎水性乾式シリカ微粉体0.8質量
部を用いること以外は現像剤1の製造例と同様に現像剤
7を得た。現像剤7の物性を表2に示す。
【0390】<現像剤の製造例8>現像剤の製造例1に
おいて、Na3PO4水溶液とCaCl2水溶液の投入量
を増やし、重量平均粒径4.1μmの黒色粉体8を得
た。この黒色粒子100質量部と、現像剤の製造例1で
使用した疎水性シリカ微粉体1.5質量部とをヘンシェ
ルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、現像
剤8を調製した。現像剤8の物性を表2に示す。
【0391】<現像剤の製造例9>現像剤の製造例1に
おいて、Na3PO4水溶液とCaCl2水溶液の投入量
を減らし、重量平均粒径10.5μmの黒色粒子を得
た。この黒色粒子100質量部と、現像剤の製造例1で
使用した疎水性シリカ微粉体0.6質量部とをヘンシェ
ルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、現像
剤9を調製した。現像剤9の物性を表2に示す。
【0392】<現像剤の製造例10>エステルワックス
の量を1.0質量部とする以外は現像剤の製造例1と同
様に現像剤10を得た。現像剤10の物性を表2に示
す。
【0393】<現像剤の製造例11>エステルワックス
の量を55質量部とする以外は現像剤の製造例1と同様
に現像剤11を得た。現像剤11の物性を表2に示す。
【0394】<現像剤の製造例12>エステルワックス
に代えてポリエチレンワックス(DSCにおける吸熱ピ
ークの極大値100℃)とする以外は現像剤の製造例1
と同様に現像剤12を得た。現像剤12の物性を表2に
示す。
【0395】<現像剤の製造例13>表面処理磁性体1
の量を40質量部とする以外は現像剤の製造例1と同様
に現像剤13を得た。現像剤13の物性を表2に示す。
【0396】<現像剤の製造例14>表面処理磁性体の
量を150質量部とする以外は現像剤の製造例1と同様
に現像剤14を得た。現像剤14の物性を表2に示す。
【0397】<現像剤の製造例15>黒色粒子1を10
0質量部と、現像剤の製造例1で用いたシリカ0.9質
量部と、導電性微粉末1とを1.5質量部ヘンシェルミ
キサーで混合して、現像剤15を得た。現像剤15の物
性を表2に示す。
【0398】<現像剤の製造例16>黒色粒子1を10
0質量部と、現像剤の製造例1で用いたシリカ0.9質
量部と、導電性微粉末2を2.0質量部とをヘンシェル
ミキサーで混合して、現像剤16を得た。現像剤16の
物性を表2に示す。
【0399】<現像剤の比較製造例1>表面処理磁性体
1に代えて表面処理磁性体6を用いること以外は現像剤
1の製造例と同様に比較用現像剤1を得た。比較用現像
剤1の物性を表2に示す。
【0400】<現像剤の比較製造例2>表面処理磁性体
1に代えて磁性体1を用いること以外は現像剤1の製造
例と同様に比較用現像剤2を得た。比較用現像剤2の物
性を表2に示す。
【0401】 <現像剤の比較製造例3> スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体(重量比80/20) 100質量部 不飽和ポリエステル樹脂 2質量部 飽和ポリエステル樹脂 3質量部 負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 1質量部 表面処理磁性体1 90質量部 現像剤1で用いたエステルワックス 4質量部 上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した
2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物を
ハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微
粉砕後、得られた微粉砕物を風力分級して重量平均粒径
8.9μmの黒色粒子3を得た。この比較用黒色粒子3
を100質量部に対して現像剤の製造例1で使用した疎
水性シリカ微粉体1.2質量部を加えた混合物をヘンシ
ェルミキサーで混合し比較用現像剤3を得た。比較用現
像剤3の物性を表2に示す。
【0402】<現像剤の製造例17>現像剤の比較製造
例3において、粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社
製)で微粉砕する以外は同様の手法により、トナーを得
た。その後衝撃式表面処理装置(処理温度50℃、回転
式処理ブレード周速90m/sec.)を用いて重量平
均粒径8.6μmの球形化された黒色粒子17を得た。
【0403】次に、得られた球形化された黒色粒子17
を100質量部に対して現像剤の製造例6で使用した疎
水性コロイダルシリカ1.0質量部を加えた混合物をヘ
ンシェルミキサーで混合し現像剤17を調製した。現像
剤17の物性を表2に示す。
【0404】得られた現像剤の磁場79.6kA/mに
おける磁化の強さは、現像剤13は17.3、現像剤1
4は37.2であり、他の現像剤はいずれも26〜30
Am 2/kgであった。
【0405】
【表2】
【0406】<像担持体製造例1>図2に記載のプラズ
マCVD装置を用いて下記の条件により肉厚3mmのア
ルミニウム製円筒状導電性基体上に阻止層、光導電層を
積層した後、下記の条件での表面層を0.5μm堆積し
光受容部材を製造した。これを像担持体1とする。
【0407】 (光受容部材の製造条件) 電荷注入阻止層‥SiH4 300ml/min(normal) H2 500ml/min(normal) NO 8ml/min(normal) PH3 800ppm(対SiH4) パワー 400W(13.56MHz) 内圧 53.3Pa 基板温度 250℃ 膜厚 1μm 光導電層・・‥‥‥SiH4 500ml/min(normal) H2 500ml/min(normal) パワー 800W(13.56MHz) 内圧 66.7Pa 基板温度 250℃ 膜厚 20μm バッファ層・・・・・・SiH4 50ml/min CH4 350ml/min パワー 200W(13.56MHz) 内圧 66.7Pa 基板温度 250℃ 膜厚 0.2μm
【0408】(像担持体1の表面層の製造条件) SiH4 20ml/min(normal) CH4 500ml/min(normal) パワー 300W(13.56MHz) 内圧 40.0Pa 基板温度 250℃
【0409】<像担持体製造例2>図3に記載のプラズ
マCVD装置を用いて下記の条件により肉厚3mmのア
ルミニウム製円筒状導電性基体上に阻止層、光導電層を
積層した後、下記の条件での表面層を0.2μm堆積し
光受容部材を製造した。これを像担持体2とする。
【0410】 (光受容部材の製造条件) 電荷注入阻止層‥SiH4 100ml/min(normal) H2 500ml/min(normal) NO 5ml/min PH3 500ppm(対SiH4) パワー 100W(105MHz) 内圧 1.0Pa 基板温度 250℃ 膜厚 1μm 光導電層‥‥‥・・SiH4 500ml/min(normal) H2 500ml/min(normal) パワー 300W(105MHz) 内圧 1.0Pa 基板温度 250℃ 膜厚 15μm バッファ層‥‥‥SiH4 50ml/min(normal) CH4 500ml/min(normal) パワー 300W(105MHz) 内圧 1.0Pa 基板温度 250℃ 膜厚 0.2μm
【0411】(像担持体2の表面層の製造条件) CH4 500ml/min(normal) パワー 1000W(105MHz) 内圧 0.27Pa 基板温度 100℃
【0412】<像担持体製造例3>図2に記載のプラズ
マCVD装置を用いて下記の条件により肉厚3mmのア
ルミニウム製円筒状導電性基体上に阻止層、光導電層を
積層した後、下記の条件での表面層を0.5μm堆積し
光受容部材を製造した。これを像担持体3とする。
【0413】 (光受容部材の製造条件) 電荷注入阻止層‥SiH4 100ml/min(normal) H2 300ml/min(normal) NO 5ml/min(normal) B26 2000ppm(対SiH4) パワー 400W(13.56MHz) 内圧 53.3Pa 基板温度 290℃ 膜厚 2μm 光導電層・・‥‥‥SiH4 200ml/min(normal) H2 800ml/min(normal) B26 1ppm(対SiH4) パワー 800W(13.56MHz) 内圧 66.7Pa 基板温度 290℃ 膜厚 27μm
【0414】 (像担持体3の表面層の製造条件) SiH4 10ml/min(normal) CH4 500ml/min(normal) パワー 300W(13.56MHz) 内圧 66.7Pa 基板温度 290℃
【0415】<比較用像担持体製造例1...CTL>感
光体としては30φ(mm)のAlシリンダーを基体と
した。これに、図10に示すような構成の層を順次浸漬
塗布により積層して、感光体を作製した。
【0416】(1)導電性被覆層:酸化錫及び酸化チタ
ンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とす
る。膜厚15μm。 (2)下引き層:変性ナイロン、及び共重合ナイロンを
主体とする。膜厚0.6μm。 (3)電荷発生層:長波長域に吸収を持つアゾ顔料をブ
チラール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚0.6
μm。 (4)電荷輸送層:ホール搬送性トリフェニルアミン化
合物をポリカーボネート樹脂(オストワルド粘度法によ
る分子量2万)に8:10の質量比で溶解したものを主
体とし、さらにポリ4フッ化エチレン粉体(粒径0.2
μm)を総固形分に対して10質量%添加し、均一に分
散した。膜厚25μm。水に対する接触角は95度であ
った。なお、接触角は、純水を用い、協和界面科学
(株)製の接触角計CA−X型装置を用いて測定した。
これを比較用像担持体1とする。
【0417】<実施例1>画像形成装置として、GP4
05(図6:キヤノン製)の帯電装置および転写装置を
改造したものを用いた。
【0418】静電荷像坦持体としては像担持体1を用い
た。この像担持体に、一次帯電部材としてコロナ帯電器
を配設し、直流電圧のみからなるバイアスを印加して像
担持体上を一様に帯電する。一次帯電に次いで、675
nmの波長を有するレーザー光で画像部分を露光するこ
とにより静電潜像を形成する。この時、現像器のスリー
ブ位置(本体手前、中央部、本体奥の3点平均)の暗部
電位Vd=−400V、明部電位VL=−20Vとし
た。
【0419】像担持体(感光ドラム)と現像スリーブと
の間隙は200μmとし、トナー担持体としては、表面
をガラスビーズによりブラスト処理した直径20φ(m
m)のアルミニウム円筒上に、下記の構成の層厚約10
μm塗工して、JIS中心線平均粗さ(Ra)0.85
μmとなるように樹脂層を形成した現像スリーブを使用
し、現像磁極95mT(950ガウス)、トナー規制部
材としてドラム側を削ったナイフエッジ型の強磁性ブレ
ード(鉄−ニッケル合金)をスリーブとの間隙を210
μmで配設させた。 フェノール樹脂 100部 グラファイト(粒径約7μm) 36部 カーボンブラック 4部
【0420】次いで、現像バイアスとして直流バイアス
成分Vdc=−270V、重畳する交流バイアス成分V
p−p=800V、f=1900Hzを用いた。また、
現像スリーブの周速は感光体周速(210mm/se
c)に対して順方向に180%のスピード(378mm
/sec)とした。また、転写装置はコロナ転写装置に
改造した。
【0421】さらに、クリーニング部材と帯電部材の間
に前露光装置(波長660nm)を配設した。定着方法
としてはGP405の熱ローラー定着装置をそのまま用
いた。
【0422】まず、現像剤として現像剤1を使用し、後
述する常温常湿環境下においてトナーを逐次補給しなが
ら画出し試験を行った。転写材としては64g/m2
紙を使用した。その結果、初期において高い転写性を示
し、文字やラインの転写中抜け及び定着オフセットによ
る裏汚れもなく、非画像部へのカブリもない良好な画像
が得られた。
【0423】次に、TC−A1チャート(キヤノン製テ
ストチャート:FY9−9045−000)を使用して
A4横サイズの画像を連続モードで10万枚複写して耐
久性の評価を行った。画像評価は以下のように行った。
【0424】(1)画像濃度通常の複写機用普通紙(6
4g/m2)の画像濃度により評価した。尚、画像濃度
については「マクベス反射濃度計 RD918」(マク
ベス社製)を用いて、0.00の白地部分と画像との相
対濃度を測定した。 A:非常に良好 1.40以上 B:良好 1.35以上1.40未満 C:実用上問題なし 1.00以上1.35未満 D:やや難あり 1.00未満
【0425】(2)画像カブリ 「REFLECTMETER MODEL TC−6D
S」(東京電色社製)により測定したプリントアウト画
像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブ
リ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。フィル
ターは、グリーンフィルターを用いた。 A:非常に良好 1.0%未満 B:良好 1.0%以上2.0%未満 C:実用上問題なし 2.0%以上3.0%未満 D:やや難あり 3.0%以上
【0426】(3)転写性(転写効率) 転写効率は、ベタ黒画像(原稿にキヤノン製テストチャ
ート:FY9−9073−000を使用)転写後の感光
体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピング
してはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値を
C、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテー
プを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼
ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、近似
的に以下の式で計算した。
【数6】 転写効率(%)={(D−C)/(D−E)}×100 転写効率は90%以上であれば問題の無い画像である。
【0427】(4)細線再現性 細線再現性は次に示すような方法によって測定を行っ
た。すなわち、正確に幅100μmとした細線のオリジ
ナル原稿を、適正なる複写条件でコピーした画像を測定
用サンプルとし、測定装置として、ルーゼックス450
粒子アナライザーを用いて、拡大したモニター画像から
インジケーターによって線幅の測定を行う。このとき、
線幅の測定位置はトナーの細線画像の幅方向に凹凸があ
るため、凹凸の平均的線幅をもって測定点とする。これ
より、細線再現性の値(%)は、下記式によって算出し
た。
【数7】 この式により得られる値が100に近いほど再現性は良
好である。
【0428】(5)解像力 解像力の測定は次の方法によって行った。即ち、線幅及
び間隔の等しい5本の細線よりなるパターンで、1mm
の間に2.8、3.2、3.6、4.0、4.5、5.
0、5.6、6.3、7.1又は8.0本あるように描
かれているオリジナル画像をつくる。この10種類の線
画像を有するオリジナル原稿を適正なる複写条件でコピ
ーした画像を拡大鏡にて観察し、細線間が明確に分離し
ている画像の本数(本/mm)をもって解像力の値とし
た。この数字が大きいほど、解像力が高いことを示す。
【0429】(6)がさつき がさつきの評価には、各環境下で、サンプルとなるトナ
ーと像担持体を投入した画像形成装置を、各環境に72
時間以上の適宜な時間放置して、機内を該環境に安定さ
せた。その後、10万枚の複写耐久を行い、その後装置
の電源をOFFにして24時間放置した。放置後に下記
のチャートを使用して、画像出しを連続100枚行い、
その時の画像をもって判断した。
【0430】評価画像を複写原稿には、NA−7チャー
ト(キヤノン製テストチャート:FY9−9060−0
00)、及びハーフトーンチャート(キヤノン製テスト
チャート:FY9−9042−000またはFY9−9
098−000)を使用した。
【0431】がさつきについては、画像を顕微鏡による
画像観察を含む目視により判定し、特に細線ががさつき
により切れる範囲によって、A:非常に良好、B:良
好、C:実用上問題なし、D:やや難ありの4段階にラ
ンク分けした。
【0432】判定基準は、下記の通りである A:細線が切れる範囲が7.1以上、またハーフトーン
の濃度ムラが目視で判別不可能 B:細線が切れる範囲が5.0以上、またハーフトーン
の濃度ムラが目視でほぼ判別不可能 C:細線が切れる範囲が4.5以上、またハーフトーン
の濃度ムラが目視で判別可能 D:細線が切れる範囲が4.5未満、またハーフトーン
の濃度ムラが目視で明確に判別可
【0433】各環境の温度および湿度条件は次のとおり
である。 30±2℃、80±10%RHの環境(以下、単に高温
高湿環境という) 25±2℃、50± 5%RHの環境(以下、単に常温
常湿環境という) 25±2℃、10± 5%RHの環境(以下、単に常温
低湿環境という) 15±2℃、10± 5%RHの環境(以下、単に低温
低湿環境という) 各環境において、最も画質が悪い状態の画像を用いて評
価した。
【0434】評価(1)〜(5)は常温常湿環境にて、
評価(6)はすべての環境にて実施した。なお、上記の
各評価に際して、環境対策ヒーター(ドラムヒーター)
等を排除した状態で行った。また、通紙耐久は、原稿に
TC−A1(キヤノン製テストチャート:FY9−90
45−000)を使用して行った。その際、適宜な枚数
毎に上記の各テストチャートの画像を複写した。評価
(1)〜(5)について初期の画像と10万枚複写後の
画像の評価結果、および評価(6))について得られた
結果を表3及び表4に示す。
【0435】<実施例2>像担持体1を像担持体2に、
現像剤1を現像剤2に変える以外は、実施例1と同様に
した。得られた評価結果を表3及び表4に示す。
【0436】<実施例3>転写装置は改造を施さずに、
現像剤1を現像剤3に変える以外は、実施例1と同様に
した。得られた評価結果を表3及び表4に示す。
【0437】<実施例4〜6>現像剤1を、各実施例に
おいて表4に示す現像剤に変える以外は、実施例1と同
様にした。得られた評価結果を表3及び表4に示す。
【0438】<実施例7>像担持体1を正帯電性像担持
体である像担持体3に、現像剤1を正帯電性現像剤であ
る現像剤7に変え、帯電バイアス、現像バイアスの直流
成分、転写バイアスの極性を実施例1とは逆極性となる
よう印加する以外は、実施例1と同様にした。得られた
評価結果を表3及び表4に示す。
【0439】<実施例8〜17>現像剤1を、各実施例
において表4に示す現像剤に変える以外は、実施例1と
同様にした。得られた評価結果を表3及び表4に示す。
【0440】<実施例18>像担持体の暗部電位を−5
90Vに、明部電位を−140Vになるよう帯電させ、
現像バイアスの直流バイアス成分を−440Vとする以
外は、実施例2と同様にした。得られた評価結果を表3
及び表4を示す。
【0441】<実施例19>像担持体の暗部電位を−5
40Vに、明部電位を−100Vになるよう帯電させ、
現像バイアスの直流バイアス成分を−400Vとする以
外は、実施例2と同様にした。得られた評価結果を表3
及び表4に示す。
【0442】<実施例20>像担持体の暗部電位を−4
90Vに、明部電位を−80Vになるよう帯電させ、現
像バイアスの直流バイアス成分を−360Vとする以外
は、実施例2と同様にした。得られた評価結果を表3及
び表4に示す。
【0443】<実施例21>像担持体の暗部電位を−3
10Vに、明部電位を−10Vになるよう帯電させ、現
像バイアスの直流バイアス成分を−200Vとする以外
は、実施例2と同様にした。得られた評価結果を表3及
び表4に示す。
【0444】<実施例22>像担持体の暗部電位を−2
90Vに、明部電位を−5Vになるよう帯電させ、現像
バイアスの直流バイアス成分を−190Vとする以外
は、実施例2と同様にした。得られた評価結果を表3及
び表4に示す。
【0445】<実施例23>像担持体と現像スリーブと
の間隙を300μmとし、現像バイアスの交流バイアス
成分Vp−p=1200Vとする以外は、実施例2と同
様にした。得られた評価結果を表3及び表4に示す。
【0446】<実施例24>現像剤1に変えて現像剤1
5を用い、クリーニング部材を取り外す以外は実施例1
と同様にした。得られた評価結果を表3及び表4に示
す。
【0447】<実施例25>現像剤3に変えて現像剤1
6を用い、クリーニング部材を取り外す以外は実施例3
と同様にした。得られた評価結果を表3及び表4に示
す。
【0448】<実施例26>画像形成装置の感光体の周
速を263mm/sec、現像スリーブの表面粗さRa
を1.10μmとし、周速を426mm/secとする
以外は実施例1と同様にした。得られた評価結果を表3
及び表4に示す。
【0449】<比較例1>現像剤1に変えて比較用現像
剤1を用いる以外は実施例1と同様にした。得られた評
価結果を表3及び表4に示す。
【0450】<比較例2>現像剤1に変えて比較用現像
剤2を用いる以外は実施例1と同様にした。得られた評
価結果を表3及び表4に示す。
【0451】<比較例3>現像剤1に変えて比較用現像
剤3を用いる以外は実施例1と同様にした。得られた評
価結果を表3及び表4に示す。
【0452】<比較例4>像担持体2を比較用像担持体
1に変える以外は、実施例21と同様にした。得られた
評価結果を表3及び表4に示す。
【0453】<比較例5>像担持体の暗部電位を−65
0Vに、明部電位を−150Vになるよう帯電させ、現
像バイアスの直流バイアス成分を−480Vとする以外
は、実施例2と同様にした。得られた評価結果を表3及
び表4に示す。<比較例6>像担持体の暗部電位を−2
40Vに、明部電位を0Vになるよう帯電させ、現像バ
イアスの直流バイアス成分を−170Vとする以外は、
実施例2と同様にした。得られた評価結果を表3及び表
4に示す。
【0454】
【表3】
【0455】
【表4】
【0456】また、実施例10および12を除いてはい
ずれの磁性トナーはゴースト・複写画像の裏面汚れもな
く、像担持体,転写装置,定着装置の汚れもなく本発明
の画像形成方法ならびに画像形成装置とのマッチングに
優れるものであった。実施例10および12において
は、定着装置の加圧ローラーにトナーが僅かに付着して
いた。また、画像の裏面汚れは実施例10ではほとんど
見られず、実施例12では8万枚前後から僅かに裏面汚
れが認められたが、何れも実用上問題になるレベルのも
のではなかった。
【0457】比較例4は、画質劣化が激しかったため、
がさつきの評価をするに至らなかった。比較例5は、耐
久性評価をはじめて5000枚後に像担持体のリークが
発生し評価を中止した。
【0458】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、高濃度で
転写性に優れ、像担持体上の電位が低い領域でも忠実に
高精細な画像を与え、スリーブ、像担持体等への汚染も
少なくすることができることから、環境に左右されにく
く、安定、且つ均一な帯電性能を有し、アモルファスシ
リコン感光体との組み合わせにおいて、カブリがなく、
長期間の使用においても画像濃度が高く、転写性も良好
であり、感光体表面の電位が絶対値で250乃至600
Vの範囲において高画質の画像を与えるトナー及び該ト
ナーに適した画像形成方法及び画像形成装置を提供する
ができる。
【0459】また、本発明では、現像バイアスが交流バ
イアスであることが、上記の効果を達成する上でより効
果的である。
【0460】また、本発明では、像担持体が、好ましく
は250乃至550V、より好ましくは50乃至500
Vに帯電されると、十分な画像濃度と高画質の画像を形
成する上でより一層効果的である。
【0461】また、本発明では、磁性トナーの重量平均
粒径が3〜10μmであると、磁性トナーの現像特性や
転写性を向上させる上でより一層効果的である。
【0462】また、本発明では、磁性トナーのモード円
形度が0.99以上であると、磁性トナーの転写性をよ
り向上させる上でより一層効果的である。
【0463】また、本発明では、磁場79.6kA/m
における磁性トナーの磁化の強さが10〜50Am2
kgであると、磁性トナーにおいて良好な搬送性及び良
好な転写性や帯電特性を維持する上でより効果的であ
る。
【0464】また、本発明では、磁性トナーの鉄及び鉄
化合物の遊離率が0.05%から2.00%、より好ま
しくは0.05%から1.50%、より一層好ましくは
0.05%から0.80%であると、磁性トナーの良好
な帯電特性を維持する上でより一層効果的である。
【0465】また、本発明では、磁性酸化鉄の体積平均
粒径が0.1〜0.3μmであり、かつ0.03〜0.
1μm以下の粒子の個数%が40%以下であると、磁性
トナーの帯電特性を向上させる上でより一層効果的であ
る。
【0466】また、本発明によれば、磁性酸化鉄が、水
系媒体中でカップリング剤を加水分解することにより表
面処理されたものであると、ほぼ球形の磁性トナーを
得、かつ磁性トナーの帯電特性を向上させる上でより一
層効果的である。
【0467】また、本発明では、磁性トナーは、一次平
均粒径が4〜80nmの無機微粉末を有すると、磁性ト
ナーの流動性やクリーニング性を向上させる上でより効
果的であり、一次平均粒径が4〜80nmのシリカ、酸
化チタン、アルミナから選ばれる少なくとも一種の無機
微粉末またはその複酸化物を有することがより一層効果
的である。
【0468】また、本発明では、磁性トナーは、疎水化
処理されている無機微粉末を有すると、環境変化に伴う
現像特性の変動を抑制する上でより効果的であり、少な
くともシリコーンオイルで処理されていること、さらに
は少なくともシラン化合物及びシリコーンオイルで処理
されていることがより一層効果的である。
【0469】また、本発明では、磁性トナーは、トナー
の体積平均粒径よりも小さい導電性微粉体を含有すると
磁性トナーの帯電特性を調整する上でより効果的であ
り、導電性微粉体の抵抗が1×109Ωcm以下である
こと、さらには導電性微粉体の抵抗が1×106Ωcm
以下であることがより一層効果的である。
【0470】また、本発明では、導電性微粉体が非磁性
であると、磁性トナーの流動性や現像特性及び転写性等
の低下を抑制する上でより一層効果的である。
【0471】また、本発明では、磁性トナーは、トナー
全体に対し0.1〜20質量%のワックスを含有する
と、磁性トナーの耐オフセット性を向上させる上でより
効果的であり、ワックスの示差熱分析による融点の吸熱
ピークが40〜110℃であること、さらにはワックス
の示差熱分析による融点の吸熱ピークが45〜90℃で
あることがより一層効果的である。
【0472】また、本発明では、像担持体を直接加温す
る手段を設けないと、画像形成に要する消費電力の省力
化を達成する上でより一層効果的である。また、トナー
融着を抑制する上でも効果が期待される。
【0473】また、本発明では、像担持体が、導電性支
持体と、シリコン原子を母体とする非単結晶材料で構成
された光導電層と、該光導電層とは組成の異なる非単結
晶材料で構成された最表面層とを有すると、像担持体の
長寿命化や、環境変化に伴う帯電、現像特性等の変化を
抑制する上でより効果的であり、該最表面層が非単結晶
水素化炭素膜よりなることがより一層効果的である。
【0474】また、本発明では、現像工程がトナー像を
転写材上に転写した後に像担持体に残留したトナーを前
記トナー担持体に回収するクリーニング工程を兼ねてい
ると、現像兼クリーニング方式の画像形成装置等に適用
することができ、エコロジー及び装置の小型化等の観点
からより一層効果的である。好ましい。
【0475】また、本発明では、現像工程において、現
像領域におけるトナー担持体面の移動速度が像担持体面
の移動速度に対し、70%〜300%の速度であると、
画像濃度が十分であり、かつ高画質の画像を安定して形
成する上でより一層効果的である。
【0476】また、本発明では、現像工程において、像
担持体とトナー担持体を対向させる間隔が100〜10
00μmであると、現像特性を安定させ、高画質の画像
を形成する上でより一層効果的である。
【0477】また、本発明では、現像工程は、トナー担
持体上に5〜50g/m2のトナー層を形成し、トナー
層からトナーを像担持体に転移させ静電潜像を現像する
工程であると、十分な画像濃度の画像を形成し、かつト
ナー飛散を防止する上でより一層効果的である。
【0478】また、本発明では、トナー担持体上のトナ
ーの層厚を規制する層厚規制部材が用いられることが効
果的であり、トナーを介してトナー担持体に当接する弾
性部材であると、環境変化の影響を受けにくくトナー飛
散の生じにくい均一な磁性トナーの帯電を行う上でより
一層効果的である。また、層厚規制部材がトナー担持体
と対向し所定の間隔をもって配される強磁性金属ブレー
ドであると、トナーの劣化を防止し、長期にわたって安
定した磁性トナーの帯電を行う上でより一層効果的であ
る。
【0479】また、本発明では、交流バイアスが、ピー
クトゥーピークの電界強度で3×106〜1×107V/
m、周波数100〜5000Hzであると、十分な画像
濃度と良好な解像度を備える画像を形成する上でより一
層効果的である。
【0480】また、本発明では、転写工程において、転
写材を像担持体に接触させる転写用帯電部材により、現
像されたトナー像を該転写材に転写すると、より一層効
果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる像担持体の一例を示す模式
的断面図である。
【図2】本発明に用いられる像担持体の他の一例を示す
模式的断面図である。
【図3】本発明に用いられる像担持体を製造する製造装
置の一例を示す模式的構成図である。
【図4】本発明に用いられる像担持体を製造する製造装
置の他の一例を示す模式的構成図である。
【図5】本発明の画像形成装置の一例を示す模式的断面
図である。
【図6】本発明で好適に用いられる接触転写手段の一例
を示す図である。
【図7】本発明の画像形成方法を実施するために用いる
ことができる具体的な装置の一例を示す図である。
【図8】本発明の画像形成方法を実施するのに適した現
像装置の概略的説明図である。
【図9】トナー担持体における表面粗さとピッチの定義
を説明する図である。
【図10】比較用の感光体の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
201 導電性支持体 202 電荷注入阻止層 203 光導電層 204 表面層 205 電荷発生層 206 電荷輸送層 2100、3100 堆積装置 2110、3110 反応容器 2111、3111 カソード電極 2112、3112 導電性支持体 2113、3113 加熱用ヒーター 2114、3114 ガス導入管 2115、3115 高周波マッチングボックス 2116、3116 ガス配管 2117、3117 リークバルブ 2118、3118 メインバルブ 2119、3119 真空計 2120、3119 高周波電源 2121、3121 絶縁材料 3122 絶縁シールド板 2123、3123 導電性受け台 2200、3200 ガス供給装置 2211〜2216、3211〜3216 マスフロー
コントローラー 2221〜2226、3221〜3226 原料ガスボ
ンベ 2231〜2236、3231〜3236 バルブ 2241〜2246、3241〜3246 流入バルブ 2251〜2256、3251〜3256 流出バルブ 2260、3260 補助バルブ 2261〜2266、3261〜3266 圧力調整器 3120 駆動装置 3130 放電空間 401 光受容部材 402 主帯電器 403 静電潜像形成部位 404 現像器 405 転写材供給系 406(a) 転写帯電器 406(b) 分離帯電器 407 クリーニングローラー 408 搬送系 409 除電光源 410 ランプ 411 原稿台 412 原稿 413〜416 ミラー 417 レンズユニット 418 レンズ 419 給紙ガイド 420 ブランク露光LED 421 クリーニングブレード 422 レジストローラー 423 面状ヒーター 424 定着装置 425 クリーナー 34a 芯金 34b 導電性弾性層 35 転写バイアス電源 100 感光ドラム(像担持体) 1 潜像担持体(像担持体) T トナー(磁性トナー) 302 転写ローラー(転写手段) 306 一次帯電ローラー(帯電手段) 307 現像器(現像手段) 308a、308b 搬送ローラー 309a、309b 転写入り口ガイド 310 除電針 311 搬送ガイド 312 クリーナー 312a クリーニングブレード 312b スクリュー 313 定着器 313a 定着ローラー 313b 加圧ローラー 313c 定着ローラーの加熱部材 313d 定着ローラー表面温度検知素子 313e 定着ローラーバイアス印加電源 313f 定着分離爪 L レーザー光 P 転写材 11a 磁性ブレード(層厚規制部材) 12 スリーブ(トナー担持体) 13 塗布磁性トナー 14 固定磁石ローラー 17 現像容器 19 感光ドラム(像担持体) 20 磁性トナー 21 交番電圧電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 9/08 374 G03G 9/08 375 375 15/02 102 15/02 102 15/06 101 15/06 101 15/08 501Z 15/08 501 504A 504 504B 506A 506 9/08 101 507 302 15/08 507B (72)発明者 千葉 建彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 橋本 昭 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 馬籠 道久 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 鏑木 武志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 Fターム(参考) 2H003 AA02 BB11 CC04 CC05 DD03 2H005 AA02 AA03 AA08 AA15 CA12 CA14 CA26 CB03 CB07 CB13 EA01 EA02 EA03 EA05 EA07 2H068 DA12 DA23 2H073 AA02 BA04 BA07 BA13 BA43 CA02 2H077 AA37 AB22 AC16 AD02 AD06 AD13 AD16 AD18 AD24 AD36 AD37 AE04 BA07 EA13 EA16 FA01 FA03 FA19 GA00

Claims (61)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも導電性支持体と、シリコン原
    子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層とを
    有する像担持体を絶対値で250乃至600Vに帯電さ
    せる帯電工程と、 帯電した像担持体に静電潜像を形成させる静電潜像形成
    工程と、 表面に磁性トナーを担持するためのトナー担持体を像担
    持体に対して一定の間隔を設けて配置し、磁性トナーを
    該トナー担持体表面に前記間隔よりも薄い厚さにコート
    させ、現像バイアスが印加されている現像領域において
    該磁性トナーを前記静電潜像に転移させて静電潜像を現
    像する現像工程と、 像担持体上に形成されたトナー像を転写材に静電転写さ
    せる転写工程とを含み、像担持体上に繰り返して作像が
    行われる画像形成方法に用いられるトナーであって、 少なくとも結着樹脂と磁性酸化鉄とを含有し、平均円形
    度が0.970から0.995であり、鉄及び鉄化合物
    の遊離率が0.05%から3.00%であり、表面に無
    機微粉末を有することを特徴とする磁性トナー。
  2. 【請求項2】 前記現像バイアスが交流バイアスである
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁性トナー。
  3. 【請求項3】 前記像担持体が、絶対値で250乃至5
    50Vに帯電されることを特徴とする請求項1に記載の
    磁性トナー。
  4. 【請求項4】 前記像担持体が、絶対値で250乃至5
    00Vに帯電されることを特徴とする請求項1に記載の
    磁性トナー。
  5. 【請求項5】 前記磁性トナーの重量平均粒径が3〜1
    0μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれ
    か一項に記載の磁性トナー。
  6. 【請求項6】 前記磁性トナーのモード円形度が0.9
    9以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれ
    か一項に記載の磁性トナー。
  7. 【請求項7】 磁場79.6kA/mにおける前記磁性
    トナーの磁化の強さが10〜50Am2/kgであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の
    磁性トナー。
  8. 【請求項8】 前記磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離
    率が0.05%から2.00%であることを特徴とする
    請求項1乃至7のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  9. 【請求項9】 前記磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離
    率が0.05%から1.50%であることを特徴とする
    請求項1乃至7のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  10. 【請求項10】 前記磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊
    離率が0.05%から0.80%であることを特徴とす
    る請求項1乃至7のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  11. 【請求項11】 前記磁性酸化鉄の体積平均粒径が0.
    1〜0.3μmであり、かつ0.03〜0.1μm以下
    の粒子の個数%が40%以下であることを特徴とする請
    求項1乃至10のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  12. 【請求項12】 前記磁性酸化鉄が、水系媒体中でカッ
    プリング剤を加水分解することにより表面処理されたも
    のであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか
    一項に記載の磁性トナー。
  13. 【請求項13】 前記磁性トナーは、一次平均粒径が4
    〜80nmの無機微粉末を有することを特徴とする請求
    項1乃至12のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  14. 【請求項14】 前記磁性トナーは、一次平均粒径が4
    〜80nmのシリカ、酸化チタン、アルミナから選ばれ
    る少なくとも一種の無機微粉末またはその複酸化物を有
    することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項
    に記載の磁性トナー。
  15. 【請求項15】 前記磁性トナーは、疎水化処理されて
    いる無機微粉末を有することを特徴とする請求項1乃至
    14のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  16. 【請求項16】 前記無機微粉末は少なくともシリコー
    ンオイルで処理されていることを特徴とする請求項1乃
    至15のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  17. 【請求項17】 前記無機微粉末は少なくともシラン化
    合物及びシリコーンオイルで処理されていることを特徴
    とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の磁性ト
    ナー。
  18. 【請求項18】 前記磁性トナーは、トナーの体積平均
    粒径よりも小さい導電性微粉体を含有することを特徴と
    する請求項1乃至17のいずれか一項に記載の磁性トナ
    ー。
  19. 【請求項19】 前記導電性微粉体の抵抗が1×109
    Ωcm以下であることを特徴とする請求項18に記載の
    磁性トナー。
  20. 【請求項20】 前記導電性微粉体の抵抗が1×106
    Ωcm以下であることを特徴とする請求項18または1
    9に記載の磁性トナー。
  21. 【請求項21】 前記導電性微粉体が非磁性であること
    を特徴とする請求項18乃至20のいずれか一項に記載
    の磁性トナー。
  22. 【請求項22】 前記磁性トナーは、トナー全体に対し
    0.1〜20質量%のワックスを含有することを特徴と
    する請求項1乃至21のいずれか一項に記載の磁性トナ
    ー。
  23. 【請求項23】 前記ワックスの示差熱分析による融点
    の吸熱ピークが40〜110℃であることを特徴とする
    請求項22に記載の磁性トナー。
  24. 【請求項24】 前記ワックスの示差熱分析による融点
    の吸熱ピークが45〜90℃であることを特徴とする請
    求項22または23に記載の磁性トナー。
  25. 【請求項25】 前記像担持体を直接加温する手段を設
    けないことを特徴とする請求項1乃至24のいずれか一
    項に記載の磁性トナー。
  26. 【請求項26】 前記像担持体が、導電性支持体と、シ
    リコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導
    電層と、該光導電層とは組成の異なる非単結晶材料で構
    成された最表面層とを有することを特徴とする請求項1
    乃至25のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  27. 【請求項27】 前記像担持体の最表面層において、該
    最表面層が非単結晶水素化炭素膜よりなることを特徴と
    する請求項26に記載の磁性トナー。
  28. 【請求項28】 像担持体を帯電させる帯電工程と、 帯電した像担持体に静電潜像を形成する静電潜像形成工
    程と、 トナーを前記静電潜像に転移させて静電潜像を現像する
    現像工程と、 像担持体上に形成されたトナー像を転写材に静電転写さ
    せる転写工程とを含み、像担持体上に繰り返して作像が
    行われる画像形成方法において、 前記像担持体は、少なくとも導電性支持体と、シリコン
    原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層と
    を有し、絶対値で250乃至600Vに帯電され、 前記現像工程では、表面に磁性トナーを担持するための
    トナー担持体を像担持体に対して一定の間隔を設けて配
    置し、磁性トナーを該トナー担持体表面に前記間隔より
    も薄い厚さにコートさせ、現像バイアスが印加されてい
    る現像領域において該磁性トナーを前記静電潜像に転移
    させて該静電潜像を現像し、 前記トナーが、少なくとも結着樹脂と、磁性酸化鉄とを
    含有し、平均円形度が0.970から0.995であ
    り、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%から3.00
    %であり、表面に無機微粉末を有する磁性トナーである
    ことを特徴とする画像形成方法。
  29. 【請求項29】 前記現像バイアスが交流バイアスであ
    ることを特徴とする請求項28に記載の画像形成方法。
  30. 【請求項30】 前記現像工程におけるトナー担持体上
    のトナーが、請求項5〜24のいずれか一項に記載の磁
    性トナーであることを特徴とする請求項28または29
    のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  31. 【請求項31】 前記現像工程がトナー像を転写材上に
    転写した後に像担持体に残留したトナーを前記トナー担
    持体に回収するクリーニング工程を兼ねていることを特
    徴とする請求項28乃至30のいずれか一項に記載の画
    像形成方法。
  32. 【請求項32】 前記像担持体が、絶対値で250乃至
    550Vに帯電されることを特徴とする請求項28乃至
    31のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  33. 【請求項33】 前記像担持体が、絶対値で250乃至
    500Vに帯電されることを特徴とする請求項28乃至
    31のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  34. 【請求項34】 前記像担持体を直接加温する手段を設
    けないことを特徴とする請求項28乃至33のいずれか
    一項に記載の画像形成方法。
  35. 【請求項35】 前記像担持体が、導電性支持体と、シ
    リコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導
    電層と、該光導電層とは組成の異なる非単結晶材料で構
    成された最表面層とを有することを特徴とする請求項2
    8乃至34のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  36. 【請求項36】 前記像担持体の最表面層において、該
    最表面層が非単結晶水素化炭素膜よりなることを特徴と
    する請求項35に記載の画像形成方法。
  37. 【請求項37】 前記現像工程において、現像領域にお
    けるトナー担持体面の移動速度が像担持体面の移動速度
    に対し、70%〜300%の速度であることを特徴とす
    る請求項28乃至36のいずれか一項に記載の画像形成
    方法。
  38. 【請求項38】 前記現像工程において、像担持体とト
    ナー担持体を対向させる間隔が100〜1000μmで
    あることを特徴とする請求項28乃至37のいずれか一
    項に記載の画像形成方法。
  39. 【請求項39】 前記現像工程は、トナー担持体上に5
    〜50g/m2のトナー層を形成し、トナー層からトナ
    ーを像担持体に転移させ静電潜像を現像する工程である
    ことを特徴とする請求項28乃至38のいずれか一項に
    記載の画像形成方法。
  40. 【請求項40】 前記トナー担持体上のトナーの層厚を
    規制する層厚規制部材が用いられることを特徴とする請
    求項28乃至39のいずれか一項に記載の画像形成方
    法。
  41. 【請求項41】 前記層厚規制部材が、トナーを介して
    トナー担持体に当接する弾性部材であることを特徴とす
    る請求項40に記載の画像形成方法。
  42. 【請求項42】 前記層厚規制部材が、前記トナー担持
    体と対向し所定の間隔をもって配される強磁性金属ブレ
    ードであることを特徴とする請求項40に記載の画像形
    成方法。
  43. 【請求項43】 前記交流バイアスが、ピークトゥーピ
    ークの電界強度で3×106〜1×107V/m、周波数
    100〜5000Hzであることを特徴とする請求項2
    9乃至42のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  44. 【請求項44】 前記転写工程において、転写材を前記
    像担持体に接触させる転写用帯電部材により、現像され
    たトナー像を該転写材に転写することを特徴とする請求
    項28乃至43のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  45. 【請求項45】 像担持体と、帯電部材を有し帯電部材
    に電圧を印加して像担持体を帯電させる帯電手段と、帯
    電した像担持体に静電潜像を形成させる静電潜像形成手
    段と、トナーを収容し該トナーを前記静電潜像に転移さ
    せて現像する現像手段と、像担持体上に形成されたトナ
    ー像を転写材に静電転写させる転写手段とを有し、像担
    持体上に繰り返して作像を行い転写材上に画像を形成す
    る画像形成装置において、 前記像担持体は、少なくとも導電性支持体と、シリコン
    原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導電層と
    を有し、絶対値で250乃至600Vに帯電され、 前記現像手段は、像担持体との間に一定の間隔を有して
    設けられ表面に磁性トナーを担持するためのトナー担持
    体を有し、磁性トナーを該トナー担持体表面に前記間隔
    よりも薄い厚さにコートさせ、現像バイアスが印加され
    ている現像領域において該磁性トナーを前記静電潜像に
    転移させて該静電潜像を現像する手段であり、 前記トナーは、少なくとも結着樹脂と磁性酸化鉄とを含
    有し、平均円形度が0.970から0.995であり、
    鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%から3.00%で
    あり、表面に無機微粉末を有する磁性トナーであること
    を特徴とする画像形成装置。
  46. 【請求項46】 前記現像バイアスが交流バイアスであ
    ることを特徴とする請求項45に記載の画像形成装置。
  47. 【請求項47】 前記現像手段におけるトナー担持体上
    のトナーが、請求項5〜24のいずれか一項に記載の磁
    性トナーであることを特徴とする請求項45乃至46の
    いずれか一項に記載の画像形成装置。
  48. 【請求項48】 前記現像手段が、トナー像を記録媒体
    上に転写した後に像担持体に残留したトナーを前記トナ
    ー担持体に回収するクリーニング手段を兼ねていること
    を特徴とする請求項45乃至47のいずれか一項に記載
    の画像形成装置。
  49. 【請求項49】 前記像担持体が、絶対値で250乃至
    550Vに帯電されることを特徴とする請求項45乃至
    48のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  50. 【請求項50】 前記像担持体が、絶対値で250乃至
    500Vに帯電されることを特徴とする請求項45乃至
    48のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  51. 【請求項51】 前記像担持体を直接加温する手段を設
    けないことを特徴とする請求項45乃至50のいずれか
    一項に記載の画像形成装置。
  52. 【請求項52】 前記像担持体が、導電性支持体と、シ
    リコン原子を母体とする非単結晶材料で構成された光導
    電層と、該光導電層とは組成の異なる非単結晶材料で構
    成された最表面層とを有することを特徴とする請求項4
    5乃至51のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  53. 【請求項53】 前記像担持体の最表面層において、該
    最表面層が非単結晶水素化炭素膜よりなることを特徴と
    する請求項45乃至52のいずれか一項に記載の画像形
    成装置。
  54. 【請求項54】 前記現像手段において、現像領域にお
    けるトナー担持体面の移動速度が、静電荷像担持体面の
    移動速度に対し70%〜300%の速度であることを特
    徴とする請求項45乃至53のいずれか一項に記載の画
    像形成装置。
  55. 【請求項55】 前記現像手段において、像担持体とト
    ナー担持体との間隔が100〜1000μmであること
    を特徴とする請求項45乃至54のいずれか一項に記載
    の画像形成装置。
  56. 【請求項56】 前記現像手段は、トナー担持体上に5
    〜50g/m2のトナー層を形成し、トナー層からトナ
    ーを静電荷像担持体に転移させ静電潜像を現像する手段
    であることを特徴とする請求項45乃至55のいずれか
    一項に記載の画像形成装置。
  57. 【請求項57】 前記トナー担持体上のトナーの層厚を
    規制する層厚規制部材を有することを特徴とする請求項
    45乃至56のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  58. 【請求項58】 前記層厚規制部材が、トナーを介して
    トナー担持体に当接される弾性部材であることを特徴と
    する請求項57に記載の画像形成装置。
  59. 【請求項59】 前記層厚規制部材が、前記トナー担持
    体と対向し所定の間隔をもって配される強磁性金属ブレ
    ードであることを特徴とする請求項57に記載の画像形
    成装置。
  60. 【請求項60】 前記交流バイアスが、ピークトゥーピ
    ークの電界強度で3×106〜1×107V/m、周波数
    100〜5000Hzであることを特徴とする請求項4
    6乃至59のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  61. 【請求項61】 前記転写手段において、転写材を前記
    像担持体に接触させる転写用帯電部材により、静電潜像
    上に現像されたトナー像を該転写材に転写することを特
    徴とする請求項45乃至60のいずれか一項に記載の画
    像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004258299A (ja) * 2003-02-26 2004-09-16 Canon Inc トナーの製造方法

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