JP2002148224A - 蛍光x線を用いた亜鉛めっき鋼板の表面処理被膜の付着量の測定方法 - Google Patents

蛍光x線を用いた亜鉛めっき鋼板の表面処理被膜の付着量の測定方法

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山本  公
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幸夫 臼井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】軽元素を含む特定元素を構成要素に含む表面被
膜をもつ亜鉛めっき鋼板の表面被膜の付着量を蛍光X線
分析法により大気中で測定する方法。 【解決手段】下地鋼板および表面被膜のいずれにも微量
に含まれる特定元素からの蛍光X線を複数の取出し角で
測定し、その強度比を用いて被膜の付着量を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛めっき鋼板の
上に施される化成処理被膜、有機無機複合被膜などの表
面処理被膜の付着量の蛍光X線分析法による測定方法に
関する。より具体的には、下地鋼板と表面処理被膜のい
ずれにも含まれる特定の元素の蛍光X線強度を大気中で
測定し、表面処理被膜の付着量を算出する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】化成処理被膜や有機無機複合被膜などの
表面処理被膜の付着量は、めっき鋼板の耐食性、化成処
理性、導電性などの特性に直接に影響を与える重要な指
標である。したがって製品の品質管理上、その付着量は
上記した特性を発現すべく所定の範囲に厳密に管理され
ねばならない。そのため、例えばクロメート被膜におい
ては被膜中のクロムからの蛍光X線強度をオンラインで
測定し、これをクロメート被膜の付着量に換算すること
により連続的な付着量測定およびその結果に基づいた操
業条件の制御がなされている。一方、測定対象となる元
素が22Ti以下の軽元素の場合、発生する蛍光X線が大
気中で大きく減衰されるため、その強度測定を行うに
は、蛍光X線の通路を真空あるいは不活性ガス雰囲気に
する必要がある。しかし、高速で移動する鋼板に対して
真空あるいは不活性ガス雰囲気の蛍光X線通路を設ける
ことは極めて困難であり、そのため軽元素の蛍光X線強
度をオンラインで計測することは実質的に不可能であっ
た。そのため、亜鉛めっき鋼板の表面被膜が樹脂等で有
機物のみによって構成される場合、樹脂中の特定の結
合、例えばC−H結合やO−H結合など、の振動を赤外
分光により検出し、その強度から付着量を求める方法が
用いられている。しかし、被膜特性を向上させる目的
で、被膜中に金属元素の酸化物あるいは水酸化物などの
化合物が添加されると、これら化合物の赤外吸収スペク
トルが、上述した樹脂中の特定の結合による赤外吸収ス
ペクトルと吸収波長が重複する場合があり、赤外分析法
を用いたオンライン測定は著しく分析精度が低下する。
また、被膜中に大気中での蛍光X線測定が可能な元素、
例えば、マンガンのような金属元素が存在する場合、上
記のクロメート被膜の付着量のオンライン測定と同様
に、被膜中の該元素の蛍光X線を測定することで被膜の
付着量を求めることができるが、測定対象とする元素が
下地鋼板にも含まれる場合、下地鋼板からの蛍光X線と
被膜からの蛍光X線は、同一種類の元素から発生するも
のであることから、両者を識別することはできず蛍光X
線分析法によるオンライン測定は困難であった。このた
め、これらの被膜の付着量は従来、めっき鋼板からの打
ち抜きなどの方法で試料片を採取し、真空中での測定が
可能な市販の蛍光X線装置を用いて、真空中で被膜中の
軽元素の蛍光X線強度をオフライン測定するか、採取し
た試料の被膜を化学溶解し、特定の元素を化学分析する
ことによって求められていた。これらの方法はいずれも
試料採取が必要であり、鋼板全長にわたって測定するこ
とができない。また、測定には長時間を要するため、操
業にフィードバックすることができず厳密な付着量制御
を行うことができないという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の従来
技術の問題点を解決し、軽元素を主要な構成元素とする
亜鉛めっきの表面処理被膜の付着量を、大気中で測定す
る方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、下記の方法を提供する。 (1)下地鋼板上に亜鉛めっきを介して存在する表面処
理被膜の付着量の測定方法であって、下地鋼板と表面処
理被膜のいずれにも含まれる特定の元素の蛍光X線強度
を大気中で測定し、該蛍光X線強度に基づいて表面処理
被膜の付着量を算出することを特徴とする表面処理被膜
の付着量測定方法。 (2)複数の取出し角で該元素の蛍光X線強度を測定
し、測定された蛍光X線の強度比から、表面処理被膜の
付着量を算出する(1)の測定方法。 (3)前記表面処理被膜が軽元素を主要な構成元素とす
る(1)または(2)の測定方法。 (4)前記複数の取出し角で、下地鋼板からの鉄の蛍光
線X線強度を測定し、測定された蛍光X線の強度比から
亜鉛めっきの付着量をさらに求める(2)または(3)
の測定方法。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。下地鋼板と表面被膜のいずれにも特定の元素を含
む亜鉛めっき鋼板にクロム、ロジウムなどをターゲット
としたX線管球を用いてX線を照射すると、前記特定の
元素からの蛍光X線は、下地鋼板および表面被膜から発
生する。ただし、該元素は亜鉛めっき中には含有されて
いないものとする。該蛍光X線は、フッ化リチウムなど
の分光結晶で分光した後、検出器で計測することによ
り、該蛍光X線の全強度、すなわち下地鋼板からの蛍光
X線強度と表面被膜からの蛍光X線強度のいずれをも含
んだ全ての蛍光X線の強度が得られる。 1)ここで、入射X線波長がr(nm)で入射角aであ
る場合の、下地鋼板からの特定の元素iの特定の取出し
角bでの蛍光X線強度(I0ib )は、式(1)で表すこ
とができる。
【数1】 上記式(1)において、aは入射角であり、bは取出し
角であり、W0iは元素iの鋼板中における濃度であり、
r は入射X線強度であり、T1 は亜鉛めっきの付着量
であり、T2 は被膜の付着量であり、μi k は波長iに
対するkの質量吸収係数(k:0,1,2はそれぞれ下
地鋼板、亜鉛めっき相、上層被膜に対応)であり、Kは
定数である。式(1)に関して、用途が家電用あるいは
自動車用のめっき鋼板では通常、被膜付着量T2 は亜鉛
めっき付着量T1 の1/10以下と、T1 に比べてはる
かに少ない。そのため、式(1)中、最右辺をなす指数
項は無視することが可能であり、よって下地鋼板中の元
素iから取出し角bで測定される蛍光X線強度I0ib
は式(2)で表すことができる。
【数2】 上記式(2)において、各符号の定義は式(1)と同様
である。 2)同様に被膜からのi元素の取出し角bでの蛍光X線
強度(I2ib )は、入射X線波長がr(nm)に対して
式(3)で表すことができる。
【数3】 上記式(3)において、W2iは元素iの被膜中での濃度
であり、K' は定数であり、他の符号については、式
(1)と同様である。 3)ただし、表面被膜を有する亜鉛めっき鋼板の蛍光X
線分析を行った際に、実際に測定されるのは、下地鋼板
および被膜から発生するi元素の取出し角bでの蛍光X
線強度の和(I0ib +I2ib )である。ここで、蛍光X
線分析で実際に得られるi元素の蛍光X線強度は、上記
式(2)および式(3)から明らかなように、亜鉛めっ
き(T1 )および被膜の付着量(T2 )、下地鋼板およ
び被膜でのi元素の濃度(W0i,W2i)を変数とする
が、これらのうち被膜中でのi元素の濃度は、塗布する
薬液の濃度を管理することにより一定値に制御できるの
で、実際には既知濃度として取り扱うことができる。
【0006】本発明の方法では、図1に示すように、下
地鋼板(k=0)と表面処理被膜(k=2)のいずれに
も含まれる、特定の元素、例えばi元素の蛍光X線強度
を複数の取出し角、例えばbおよびcで測定し、測定さ
れた蛍光X線の強度比を求める。上述したように、測定
される蛍光X線強度は下地鋼板からの蛍光X線強度と表
面被膜からの蛍光X線強度の和であるので、2つの取出
し角bおよびcで測定した蛍光X線の強度比(Ri20
は式(4)で表される。
【数4】 式(4)において、bおよびcは取出し角であり、I0i
は下地鋼板からの特定元素iの蛍光X線強度であり、I
2iは表面被膜からの特定元素iの蛍光X線強度であり、
total は各々の取出し角で実際に測定される該元素の
蛍光X線強度である。 4)ここで、表面被膜をもたない、亜鉛単層めっき鋼板
の場合の、2つの取出し角b、cで測定した下地鋼板か
らのi元素の蛍光X線の強度比(I0ib /I0i C )は、
式(2)およびこれにbをcに置き換えた式の比により
求められ、式(5)に示すようにT1 の関数となる。
【数5】 式(5)において、aは入射角であり、bおよびcは取
出し角であり、T1 は亜鉛めっきの付着量であり、μi
k は波長iに対するkの質量吸収係数(k:0,1,2
はそれぞれ下地鋼板、亜鉛めっき層、上層被膜に対応)
である。
【0007】このような亜鉛単層めっき鋼板では、従来
より、亜鉛の蛍光X線強度、または亜鉛と鉄の蛍光X線
強度比を用いて亜鉛の付着量が求められている。しか
し、上層に表面処理被膜を有する場合、表面処理被膜の
組成および付着量によって亜鉛の蛍光X線強度が変化す
るため、上記の方法では正確な亜鉛の付着量を求めるこ
とができない。 5)そのため、本発明の測定方法では、該複数の取出し
角で鉄の蛍光X線強度を測定し、測定された蛍光X線の
強度比を、さらに用いる。鉄の蛍光X線強度は、被膜と
下地鋼板との鉄濃度は極端に異なるので、鉄が下地鋼板
にのみ含まれていると考えてよい。図1および図2は、
それぞれX線の照射によるi元素および鉄の蛍光X線を
複数の取出し角a、bで取出し測定する様子を示す。図
において、0、1および2はそれぞれ下地鋼板、亜鉛め
っきおよび表面被膜を表す。図1および図2に示すよう
に、i元素の蛍光X線の測定強度は、下地鋼板からの蛍
光X線強度と表面被膜からの蛍光X線強度の和であるの
に対し、鉄の蛍光X線の測定強度は、下地鋼板からの蛍
光X線強度である。このことから、測定される鉄の蛍光
X線の強度比(I0Feb/I0Fec)は、表面処理被膜の組
成および付着量には影響されず、式(6)に示すように
1 の関数となる。
【数6】 上記式(6)において、aは入射角であり、bおよびc
は取出し角であり、T1は亜鉛めっきの付着量であり、
μr 0 は波長rに対する下地鋼板の質量吸収係数であ
り、μFeKa k はFeKaに対するkの質量吸収係数
(k:0,1はそれぞれ下地鋼板、亜鉛めっき層に対
応)である。従って、亜鉛めっきの付着量が既知の複数
の試料について、複数の取出し角で鉄の蛍光X線強度を
測定し、その強度比を求めると、亜鉛めっきの付着量
(T1)と鉄の蛍光X線の強度比(RFe)の間には図3
に示すような関係がなりたつ。但し、図3は、両者の関
係を模式的に例示したものである。ここから亜鉛めっき
の付着量が既知で、かつ付着量が異なる複数の試料を用
いて、鉄の蛍光X線の強度比と亜鉛めっき付着量の関係
を示す検量線を作成すれば、亜鉛めっきの付着量が未知
の亜鉛めっき鋼板について、複数の取出し角で鉄の蛍光
X線強度を測定し、その強度比を求めることで亜鉛めっ
きの付着量(T1 )を求めることができる。
【0008】なお、式(5)で示したように、亜鉛単層
めっき鋼板の下地鋼板に含まれる特定の元素の複数の取
出し角で測定した蛍光X線の強度比と亜鉛めっきの付着
量の関係もT1 の関数であることから、亜鉛めっきの付
着量(T1 )と複数の取出し角で測定した鉄および下地
鋼板に含まれる特定の元素iの蛍光X線強度比の関係は
図4で表される。但し、図4は、前記三者の関係を例示
した模式図である。同様に、表面被膜を有する亜鉛めっ
き鋼板の場合についても、亜鉛めっきの付着量が一定で
あれば、複数の取出し角で測定した特定元素の蛍光X線
強度(すなわち、下地鋼板からの蛍光X線強度と表面被
膜からの蛍光X線強度の和)は表面被膜の付着量T2
関数で表されると考えてよい。従って、亜鉛めっきおよ
び表面被膜の付着量が既知の複数の試料を用いて、複数
の取出し角で測定した特定の元素の蛍光X線の強度比
と、表面被膜の付着量の関係が同様に図5で表される。
ここから、亜鉛めっきおよび表面被膜の付着量が既知の
複数の試料を用いて、特定元素の蛍光X線の強度比と表
面被膜の付着量の関係を示す検量線を作成すれば、上記
のFeの蛍光X線強度の比から得た亜鉛めっきの付着量
を用いることにより、特定元素の蛍光X線の強度比か
ら、表面被膜の付着量が未知の亜鉛めっき鋼板につい
て、表面被膜の付着量を算出することができる。
【0009】本発明の測定方法によれば、亜鉛めっきの
付着量が未知または既知のいずれの場合であっても亜鉛
めっきを介して存在する表面処理被膜の付着量を算出す
ることができる。 (A)すなわち、亜鉛めっきの付着量が既知である場
合、下地鋼板および表面処理被膜のいずれにも含まれる
特定元素の蛍光X線強度を複数の取出し角で測定し、測
定された蛍光X線の強度比を求め、亜鉛めっきおよび表
面被膜の付着量が既知の複数の試料を用いて作成した該
元素の蛍光X線の強度比と表面被膜の付着量の関係につ
いての検量線と対比することにより、表面被膜の付着量
を算出する。 (B)一方、亜鉛めっきの付着量が未知である場合、上
層被膜を持つ亜鉛めっきの付着量(T1 )は、亜鉛めっ
き鋼板の鉄の蛍光X線強度を、複数の取出し角で測定
し、複数の取出し角での鉄の蛍光X線強度比を計算すれ
ば、上記図2の検量線から亜鉛めっきの付着量(T1
を求めることができる。 (C)さらに(B)で表面被膜の付着量を知ろうとする
場合、亜鉛めっきおよび表面被膜の付着量が既知の複数
の試料を用いて作成した特定元素の蛍光X線の強度比
と、表面被膜の付着量の関係についての対応する亜鉛め
っき付着量での検量線と測定された特定元素の蛍光X線
の強度比を対比することにより、表面被膜の付着量を算
出する。
【0010】本発明の方法において、下地鋼板および表
面被膜のいずれにも共通して存在する特定元素は、好ま
しくは靭性向上等の鋼板の特性を向上させる目的で鋼板
に付与され、鋼板中に含まれていることが既知であり、
かつ蛍光X線が大気中で減衰されない元素が好ましい。
このような元素としては、具体的にはマンガン、クロ
ム、モリブデン、ニッケル、バナジウム、ニオブ、銅が
例示される。なお、該特定元素は、表面被膜の成分とし
て含まれていることが好ましいが、本発明の方法を実施
するために、表面被膜中に該特定元素を添加してもよ
い。本発明の方法において、該特定元素は好ましくは、
下地鋼板および表面被膜のいずれにも微量に含まれる。
ここで「微量」とは、好ましくは、各々鋼板中および被
膜中での濃度が10%以下である。特定元素の濃度が上
記の場合、下地鋼板からの蛍光X線強度と表面被膜から
の蛍光X線強度の寄与が同程度となるため、蛍光X線分
析の際に下地鋼板からの蛍光X線強度の影響が無視でき
ず、通常の蛍光X線分析では、表面被膜の付着量を求め
ることができない。本発明の方法は、このような状況に
おいても亜鉛めっき鋼板の表面被膜の付着量を精度良く
測定することができる。本発明の方法において、複数の
取出し角は、好ましくは3または2個の取出し角であ
り、該下地鋼板中の特定元素からの蛍光X線の亜鉛めっ
き層による吸収が大きくなるように、できるだけ大きな
角度差を持たせることが好ましい。また、蛍光X線の分
析領域が等しくなるように、蛍光X線通路にはスリット
を設けることが好ましい。本発明の測定方法に用いる測
定装置は、入射X線源、複数の取出し角を持つ測定ヘッ
ド、ヘッド駆動機構およびデータ処理部を有するものが
好ましいが、これらの各要素はそれぞれ別装置として構
成されているものを組合わせて用いても良い。
【0011】
【実施例】以下、実施例により本発明の方法を具体的に
説明するが、本発明の方法はこれに限定されない。二つ
の取出し角を持つ測定ヘッドを蛍光X線分析装置を用い
て、表面被膜付着量および亜鉛めっき付着量(20g/
2 )のいずれもが既知で5%のマンガン酸化物を含む
表面被膜樹脂を有する亜鉛めっき鋼板について、マンガ
ンおよび鉄からの蛍光X線強度を二つの取出し角(30
°、70°)で計測した。なお、1回の計測における積
算時間は10秒とした。本実施例において、X線源はク
ロム管球であり、入射角は90度であった。図6に本実
施例における被膜付着量とマンガン強度比の関係を示
す。図6に示すように、被膜付着量とマンガン強度比の
間には良好な相関があり、本発明の方法により、被膜の
付着量を十分な精度で測定できることが認められた。図
6の曲線は図5に示すように亜鉛めっき付着量(T1
によって層別されるが、図6のT2 =0、すなわち表面
被膜がないときの強度比は、図4のRi の変化を示す曲
線より求められる下地鋼板からの特定元素の強度比と同
一であるので、あらかじめ図4のRi の変化を示す曲線
を種々のT1 において作成しておけば図6において特定
のT1 に該当する曲線を指定することができる。以上の
方法によるオンライン分析結果を表1に示す。 表1には、オンライン分析値が得られている鋼板の特定
位置を切り出しオフライン分析を行い、両法の分析値を
比較した。オフライン分析は、市販の真空型波長分散式
蛍光X線を用い、樹脂中に含まれる炭素の蛍光X線強度
を測定し、あらかじめ求めておいた炭素蛍光X線強度と
被膜付着量の検量線を用いて被膜付着量を定量した。表
1に示すように、本発明によるオンライン分析の分析結
果は、オフライン分析の分析結果とよく一致した。
【0012】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来、大気中で
の蛍光X線分析が困難な軽元素を主要構成要素とする表
面被膜の付着量を大気中で精度良く測定することができ
る。これにより、オンライン表面処理工程時のように短
時間で測定結果をフィードバックすることが必要な状況
であっても、軽元素を主要な構成元素とする化成処理被
膜や有機無機複合被膜などの表面処理被膜の付着量を連
続的にオンラインで大気中で分析できるようになり、製
品特性に影響を与える被膜付着量を厳密に制御できるよ
うになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表面被膜を有する亜鉛めっき鋼板において、
X線照射と特定元素の蛍光X線の関係を示す図である。
【図2】 表面被膜を有する亜鉛めっき鋼板において、
X線照射と鉄の蛍光X線の関係を示す図である。
【図3】 亜鉛めっきの付着量と、複数の取出し角で測
定した鉄の蛍光X線強度比の関係を示す模式図である。
【図4】 亜鉛めっき付着量と、下地鋼板中の鉄(実
線)および特定元素(破線)の各々蛍光X線強度比との
関係を示す模式図である。
【図5】 表面被膜の付着量と、亜鉛めっきの付着量
と、複数の取出し角で計測した特定元素からの蛍光X線
強度比との関係を示す模式図である。
【図6】 表面被膜の付着量と、下地鋼板および表面被
膜のいずれにも含まれるマンガンからの蛍光X線強度比
の関係を示す図である。
【符号の説明】
0:下地鋼板 1:亜鉛めっき 2:表面被膜 b、c:取出し角 I0i:下地鋼板からの元素iの蛍光X線強度 I2i:表面被膜からの元素iの蛍光X線強度 I0Fe :鉄の蛍光X線強度 RFe:複数の取出し角での鉄の蛍光X線の強度比 T1 :亜鉛めっき付着量 Ri :複数の取出し角での特定元素iの蛍光X線の強度
比 IFe:鉄の蛍光X線強度 Ii :特定元素iの蛍光X線強度 T11、T12、T13:各々異なる亜鉛めっきの付着量 T2 :表面被覆の付着量 RMn:複数の取出し角でのマンガンからの蛍光X線の強
度比
フロントページの続き (72)発明者 槙石 規子 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 2G001 AA01 BA04 BA11 CA01 DA01 GA01 GA13 HA01 KA01 KA09 LA02 MA05 NA13 NA17

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下地鋼板上に亜鉛めっきを介して存在する
    表面処理被膜の付着量の測定方法であって、下地鋼板と
    表面処理被膜のいずれにも含まれる特定の元素の蛍光X
    線強度を大気中で測定し、該蛍光X線強度に基づいて表
    面処理被膜の付着量を算出することを特徴とする表面処
    理被膜の付着量測定方法。
  2. 【請求項2】複数の取出し角で該元素の蛍光X線強度を
    測定し、測定された蛍光X線の強度比から、表面処理被
    膜の付着量を算出する請求項1に記載の測定方法。
  3. 【請求項3】前記表面処理被膜が軽元素を主要な構成元
    素とする請求項1または請求項2に記載の測定方法。
  4. 【請求項4】前記複数の取出し角で、下地鋼板からの鉄
    の蛍光X線強度を測定し、測定された蛍光X線の強度比
    から亜鉛めっきの付着量をさらに求める請求項2または
    3に記載の測定方法。
JP2000344890A 2000-11-13 2000-11-13 蛍光x線を用いた亜鉛めっき鋼板の表面処理被膜の付着量の測定方法 Withdrawn JP2002148224A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101046018B1 (ko) * 2005-09-14 2011-07-01 가부시키가이샤 리가쿠 형광 x선 분석 장치

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KR101046018B1 (ko) * 2005-09-14 2011-07-01 가부시키가이샤 리가쿠 형광 x선 분석 장치
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