JP2002146635A - 高黒鉛化炭素材、その製造方法及びその用途 - Google Patents
高黒鉛化炭素材、その製造方法及びその用途Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 メソフェーズピッチ系炭素繊維ミルド
を、ホウ素化合物系黒鉛化触媒の存在下で炭素粒子又は
/及び黒鉛粒子を添加した状態で黒鉛化した黒鉛化メソ
フェーズピッチ系炭素繊維材であって、該黒鉛化炭素繊
維材の表面のホウ素原子濃度+窒素原子濃度が、ESC
A法で測定して30原子%未満である黒鉛化炭素材。
該黒鉛化炭素材からなるリチウム二次電極負極材。
炭素原料を常法により所望の形状に成形(紡糸)
し、不融化し、更にそのまま或いは更に250℃以上1
500℃以下で不活性雰囲気中で軽度炭化処理した後に
ミルド化し、次にホウ素化合物系黒鉛化触媒の存在下で
炭素粒子又は/及び黒鉛粒子を添加した状態で2300
℃以上の温度で黒鉛化処理する方法。 【効果】 高度に黒鉛化し、且つ表面の黒鉛化触媒・窒
化物の生成量があっても、初回放電容量・充放電効率が
高く、且つ充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電
池や炭素−炭素複合材や強化プラスチック用補強材に適
した高黒鉛化炭素材を提供できる。
を、ホウ素化合物系黒鉛化触媒の存在下で炭素粒子又は
/及び黒鉛粒子を添加した状態で黒鉛化した黒鉛化メソ
フェーズピッチ系炭素繊維材であって、該黒鉛化炭素繊
維材の表面のホウ素原子濃度+窒素原子濃度が、ESC
A法で測定して30原子%未満である黒鉛化炭素材。
該黒鉛化炭素材からなるリチウム二次電極負極材。
炭素原料を常法により所望の形状に成形(紡糸)
し、不融化し、更にそのまま或いは更に250℃以上1
500℃以下で不活性雰囲気中で軽度炭化処理した後に
ミルド化し、次にホウ素化合物系黒鉛化触媒の存在下で
炭素粒子又は/及び黒鉛粒子を添加した状態で2300
℃以上の温度で黒鉛化処理する方法。 【効果】 高度に黒鉛化し、且つ表面の黒鉛化触媒・窒
化物の生成量があっても、初回放電容量・充放電効率が
高く、且つ充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電
池や炭素−炭素複合材や強化プラスチック用補強材に適
した高黒鉛化炭素材を提供できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホウ素化合物など
の黒鉛化触媒の存在下で炭素粒子又は/及び黒鉛粒子を
添加した状態で黒鉛化した、高黒鉛化炭素材、その製造
方法及びその用途リチウム二次電池負極材等に関するも
のである。更に、本発明は、放電容量が大きく、高エネ
ルギー密度を有し、充放電サイクル特性に優れたリチウ
ム二次電池用負極材や、炭素−炭素複合材、強化プラス
チック用補強繊維等として好適な高黒鉛化炭素材、特に
メソフェーズピッチ系高黒鉛化炭素材、及びその製造方
法に関する。
の黒鉛化触媒の存在下で炭素粒子又は/及び黒鉛粒子を
添加した状態で黒鉛化した、高黒鉛化炭素材、その製造
方法及びその用途リチウム二次電池負極材等に関するも
のである。更に、本発明は、放電容量が大きく、高エネ
ルギー密度を有し、充放電サイクル特性に優れたリチウ
ム二次電池用負極材や、炭素−炭素複合材、強化プラス
チック用補強繊維等として好適な高黒鉛化炭素材、特に
メソフェーズピッチ系高黒鉛化炭素材、及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、アルカリ金属、例えばリチウム
を負極活物質として用いた二次電池は、高エネルギー密
度及び高起電力である他、非水電解液を用いるために作
動温度範囲が広く、長期保存に優れ、さらに軽量小型で
ある等の多くの利点を有している。従って、このような
非水電解液リチウム二次電池は、携帯用電子機器電源を
はじめとして、電気自動車、電力貯蔵用などの高性能電
池としての実用化が期待されている。
を負極活物質として用いた二次電池は、高エネルギー密
度及び高起電力である他、非水電解液を用いるために作
動温度範囲が広く、長期保存に優れ、さらに軽量小型で
ある等の多くの利点を有している。従って、このような
非水電解液リチウム二次電池は、携帯用電子機器電源を
はじめとして、電気自動車、電力貯蔵用などの高性能電
池としての実用化が期待されている。
【0003】しかし、現状の試作電池はリチウム二次電
池が期待されている上記特性を充分に実現しておらず、
充放電容量、サイクル寿命、エネルギー密度などにおい
て不十分であった。その理由の一つは、二次電池に用い
られる負極にあった。例えば、リチウム二次電池に金属
リチウムからなる負極を用いた場合では、充電時に負極
表面に析出するリチウムが針状のデンドライトを形成
し、正・負極間の短絡を起こし易くなるため、サイクル
寿命が短く、安全性が低かった。
池が期待されている上記特性を充分に実現しておらず、
充放電容量、サイクル寿命、エネルギー密度などにおい
て不十分であった。その理由の一つは、二次電池に用い
られる負極にあった。例えば、リチウム二次電池に金属
リチウムからなる負極を用いた場合では、充電時に負極
表面に析出するリチウムが針状のデンドライトを形成
し、正・負極間の短絡を起こし易くなるため、サイクル
寿命が短く、安全性が低かった。
【0004】また、リチウムは反応性が非常に高く、負
極表面付近での電解液の分解反応を起こさせるため、こ
の分解反応によって負極表面が変成されて反復使用によ
る電池容量の低下が発生する恐れがあった。従来より、
このようなリチウム二次電池における問題点を解決する
ために、種々の負極材の検討がなされている。例えば、
リチウム二次電池の負極材として、リチウムを含む合
金、例えばリチウム−アルミニウム、ウッド合金等を用
いることが検討されている。しかし、このようなリチウ
ム合金製の負極では、作動温度及び充放電条件の違いに
よって結晶構造が変化するなどの問題があった。
極表面付近での電解液の分解反応を起こさせるため、こ
の分解反応によって負極表面が変成されて反復使用によ
る電池容量の低下が発生する恐れがあった。従来より、
このようなリチウム二次電池における問題点を解決する
ために、種々の負極材の検討がなされている。例えば、
リチウム二次電池の負極材として、リチウムを含む合
金、例えばリチウム−アルミニウム、ウッド合金等を用
いることが検討されている。しかし、このようなリチウ
ム合金製の負極では、作動温度及び充放電条件の違いに
よって結晶構造が変化するなどの問題があった。
【0005】また、リチウム二次電池の負極材として、
炭素材或いは黒鉛材を利用することが検討されている。
例えば、充電時に生成するリチウムイオンを、炭素材或
いは黒鉛材の中の黒鉛層間に取り込み(インターカレー
ション)、いわゆる層間化合物を形成することにより、
デンドライトの生成を阻止しようとする試みがなされて
いる。炭素材としては、石炭、コークス、PAN系炭素
繊維、等方性ピッチ系炭素繊維等が検討されている。
炭素材或いは黒鉛材を利用することが検討されている。
例えば、充電時に生成するリチウムイオンを、炭素材或
いは黒鉛材の中の黒鉛層間に取り込み(インターカレー
ション)、いわゆる層間化合物を形成することにより、
デンドライトの生成を阻止しようとする試みがなされて
いる。炭素材としては、石炭、コークス、PAN系炭素
繊維、等方性ピッチ系炭素繊維等が検討されている。
【0006】ところが、これら炭素材は黒鉛結晶子の大
きさが小さく結晶の配列も乱れているため、充放電容量
が不十分であり、充放電時の電流密度を高く設定すると
電解液の分解を生じ、サイクル寿命が低下するなど多く
の問題点を有していた。また、現在、天然黒鉛、人造黒
鉛などの黒鉛材料がリチウムイオン二次電池負極材の炭
素材として最も注目され、検討されている。天然黒鉛に
あっては、黒鉛化度が高い場合に、単位重量あたりの充
放電可能容量は相当に大きいが、無理なく取出せる電流
密度が小さく、また高電流密度での充放電を行うと充放
電効率が低下するという問題があった。このような材料
は、大電流を取出す必要があり、かつ充電時間を短縮す
るために、高電流密度で充電を行うことが要求される高
負荷電源、例えば駆動モーター等を有する機器用電源の
負極に用いるには不適であった。
きさが小さく結晶の配列も乱れているため、充放電容量
が不十分であり、充放電時の電流密度を高く設定すると
電解液の分解を生じ、サイクル寿命が低下するなど多く
の問題点を有していた。また、現在、天然黒鉛、人造黒
鉛などの黒鉛材料がリチウムイオン二次電池負極材の炭
素材として最も注目され、検討されている。天然黒鉛に
あっては、黒鉛化度が高い場合に、単位重量あたりの充
放電可能容量は相当に大きいが、無理なく取出せる電流
密度が小さく、また高電流密度での充放電を行うと充放
電効率が低下するという問題があった。このような材料
は、大電流を取出す必要があり、かつ充電時間を短縮す
るために、高電流密度で充電を行うことが要求される高
負荷電源、例えば駆動モーター等を有する機器用電源の
負極に用いるには不適であった。
【0007】また、従来の人造黒鉛を用いた負極では、
黒鉛化度が高ければ、全体としての黒鉛層間の容量が充
分で、大きな充放電容量を得られるものの、やはり高電
流密度での充放電には適していなかった。なお、現在の
黒鉛材を含む負極を用いたリチウムイオン二次電池で
は、充電時の電流密度は20〜35mA/gが一般的で
あり、充電容量から見て10時間程度の充電時間を要す
る。ところが、高電流密度での充電が可能となれば、例
えば100mA/gで3時間程度、600mA/gで3
0分程度と充電時間の短縮が可能となるはずである。
黒鉛化度が高ければ、全体としての黒鉛層間の容量が充
分で、大きな充放電容量を得られるものの、やはり高電
流密度での充放電には適していなかった。なお、現在の
黒鉛材を含む負極を用いたリチウムイオン二次電池で
は、充電時の電流密度は20〜35mA/gが一般的で
あり、充電容量から見て10時間程度の充電時間を要す
る。ところが、高電流密度での充電が可能となれば、例
えば100mA/gで3時間程度、600mA/gで3
0分程度と充電時間の短縮が可能となるはずである。
【0008】また、これらの黒鉛系材料には天然黒鉛、
人造黒鉛等が含まれるが、なかでも、特開平6−168
725号公報に開示されているように、メソフェーズピ
ッチを出発原料とした炭素繊維を黒鉛化処理したもの
(以下「黒鉛繊維」という)が、諸電池特性の測定結果
から優れることが開示されている。ところが、炭素材料
はその出発原料及び製造条件等により結晶子の大きさ、
形状、不純物の含有程度等多様であり、上記黒鉛繊維に
おいても繊維内部の組織構造がリチウムイオン二次電池
用炭素材料として最適な構造に制御されているとはいい
難く、サイクル寿命、充放電容量の全てを満足するもの
は開発されていないのが現状である。
人造黒鉛等が含まれるが、なかでも、特開平6−168
725号公報に開示されているように、メソフェーズピ
ッチを出発原料とした炭素繊維を黒鉛化処理したもの
(以下「黒鉛繊維」という)が、諸電池特性の測定結果
から優れることが開示されている。ところが、炭素材料
はその出発原料及び製造条件等により結晶子の大きさ、
形状、不純物の含有程度等多様であり、上記黒鉛繊維に
おいても繊維内部の組織構造がリチウムイオン二次電池
用炭素材料として最適な構造に制御されているとはいい
難く、サイクル寿命、充放電容量の全てを満足するもの
は開発されていないのが現状である。
【0009】また、黒鉛化触媒としてホウ素化合物を使
用する例として、特開平6−333601号公報、特開
平7−73898号公報には、黒鉛層を構成する炭素原
子の一部をホウ素原子で置換した炭素材をリチウム二次
電池用炭素材として用いたリチウムの充放電容量の大き
いリチウム二次電池が記載されているが、開示されてい
る方法は、いずれも塩化ホウ素(BCl3)とベンゼン
(C6H6)を用いたCVD法により合成する方法であ
り、また、このような黒鉛層の結晶格子を構成する炭素
原子自体を他の原子で置換するには、特別の複雑な装置
を要すると共に、その置換度を制御するのにかなり高度
の技術を要する欠点を有している。
用する例として、特開平6−333601号公報、特開
平7−73898号公報には、黒鉛層を構成する炭素原
子の一部をホウ素原子で置換した炭素材をリチウム二次
電池用炭素材として用いたリチウムの充放電容量の大き
いリチウム二次電池が記載されているが、開示されてい
る方法は、いずれも塩化ホウ素(BCl3)とベンゼン
(C6H6)を用いたCVD法により合成する方法であ
り、また、このような黒鉛層の結晶格子を構成する炭素
原子自体を他の原子で置換するには、特別の複雑な装置
を要すると共に、その置換度を制御するのにかなり高度
の技術を要する欠点を有している。
【0010】特開平3−245458号公報は、フルフ
リルアルコール−無水マレイン酸共重合体或いはポリア
ミド系繊維を1200℃程度に低温焼成して得られ、か
つ0.1〜2.0重量%のホウ素を含有する炭素材又は
炭素繊維をリチウム二次電池の負極材として使用するこ
とを提案している。この場合に、残留ホウ素の増加によ
って内部抵抗が増大し、充放電容量の増加は必ずしも十
分でなく、特に電池電圧の点では何の改善も示していな
い。特開平5−251080号公報には、天然黒鉛にH
3BO3等を添加し1000℃で焼成した炭素材がリチウ
ムイオンを取り込み易くなり、負極材として電池性能を
向上することから最大10重量%までホウ素を添加する
ことが開示されているが、その機構については何等解明
されていない。
リルアルコール−無水マレイン酸共重合体或いはポリア
ミド系繊維を1200℃程度に低温焼成して得られ、か
つ0.1〜2.0重量%のホウ素を含有する炭素材又は
炭素繊維をリチウム二次電池の負極材として使用するこ
とを提案している。この場合に、残留ホウ素の増加によ
って内部抵抗が増大し、充放電容量の増加は必ずしも十
分でなく、特に電池電圧の点では何の改善も示していな
い。特開平5−251080号公報には、天然黒鉛にH
3BO3等を添加し1000℃で焼成した炭素材がリチウ
ムイオンを取り込み易くなり、負極材として電池性能を
向上することから最大10重量%までホウ素を添加する
ことが開示されているが、その機構については何等解明
されていない。
【0011】古くから、例えばホウ素は黒鉛化を進める
元素として知られているが、特開平8−31422号公
報、特開平8−306359号公報には、炭素粉末ある
いはピッチ系炭素繊維粉末にホウ素化合物を添加して2
500℃以上で黒鉛化処理することにより黒鉛化度を高
め、リチウム二次電池負極材として使用した場合、その
容量が改善されることが開示されている。しかし、この
方法は炭素材にホウ素化合物を添加した後、2500℃
以上の高温で熱処理するものであることから、本来黒鉛
化に必要とする量以上にホウ素化合物を加える必要があ
る。更に、その後の検討によると、上記の開示された方
法では、窒化ホウ素や炭化ホウ素などのホウ素化合物が
黒鉛材料の表面に生成し、これらの化合物が、リチウム
イオンのインターカレーションを阻害し、しかもこれら
の副生成物が導電性に劣るため、期待するほどの改善が
なされないという課題を有している。
元素として知られているが、特開平8−31422号公
報、特開平8−306359号公報には、炭素粉末ある
いはピッチ系炭素繊維粉末にホウ素化合物を添加して2
500℃以上で黒鉛化処理することにより黒鉛化度を高
め、リチウム二次電池負極材として使用した場合、その
容量が改善されることが開示されている。しかし、この
方法は炭素材にホウ素化合物を添加した後、2500℃
以上の高温で熱処理するものであることから、本来黒鉛
化に必要とする量以上にホウ素化合物を加える必要があ
る。更に、その後の検討によると、上記の開示された方
法では、窒化ホウ素や炭化ホウ素などのホウ素化合物が
黒鉛材料の表面に生成し、これらの化合物が、リチウム
イオンのインターカレーションを阻害し、しかもこれら
の副生成物が導電性に劣るため、期待するほどの改善が
なされないという課題を有している。
【0012】また、黒鉛材表面への窒化ホウ素の生成を
抑制する方法としては、黒鉛化熱処理の際にアルゴン雰
囲気下などの窒素ガスを含まない雰囲気下で熱処理する
ことが考えられるが、実験室規模では可能であるとして
も、工業用焼成炉は大気中で運転されるため黒鉛化熱処
理中の炉内は窒素雰囲気となり、窒化ホウ素の生成が避
けられないのが現状である。更に、特開平11−211
16号公報には、黒鉛化熱処理の際に窒素ガスの一部を
アルゴンガスで置換した不活性雰囲気下で熱処理するこ
とが記載されている。この場合、炭素材の表面の黒鉛化
触媒・窒化物の含有量はESCA法で測定して23原子
%程度であるが、この処理ではリチウム二次電池用負極
材としたとき、初回特性として充電容量の割には放電容
量はそれほど高くなく、初回充放電効率の低いものとな
り、実用には供し難い。また、特開平11−31507
号公報には、黒鉛化熱処理した黒鉛化炭素材を粉砕・摩
砕・分級など精製することにより、炭素材の表面の黒鉛
化触媒・窒化物の含有量を減少できることが記載されて
いる。この場合、炭素材の表面の黒鉛化触媒・窒化物の
含有量は8原子%程度であるが、材料自体の寸法が微細
になりすぎ、充放電サイクル特性等の電極特性に不具合
を生じることがある。また、この粉砕・摩砕品を高度に
分級したとしても回収率が低くなり、実用上好ましくな
い。
抑制する方法としては、黒鉛化熱処理の際にアルゴン雰
囲気下などの窒素ガスを含まない雰囲気下で熱処理する
ことが考えられるが、実験室規模では可能であるとして
も、工業用焼成炉は大気中で運転されるため黒鉛化熱処
理中の炉内は窒素雰囲気となり、窒化ホウ素の生成が避
けられないのが現状である。更に、特開平11−211
16号公報には、黒鉛化熱処理の際に窒素ガスの一部を
アルゴンガスで置換した不活性雰囲気下で熱処理するこ
とが記載されている。この場合、炭素材の表面の黒鉛化
触媒・窒化物の含有量はESCA法で測定して23原子
%程度であるが、この処理ではリチウム二次電池用負極
材としたとき、初回特性として充電容量の割には放電容
量はそれほど高くなく、初回充放電効率の低いものとな
り、実用には供し難い。また、特開平11−31507
号公報には、黒鉛化熱処理した黒鉛化炭素材を粉砕・摩
砕・分級など精製することにより、炭素材の表面の黒鉛
化触媒・窒化物の含有量を減少できることが記載されて
いる。この場合、炭素材の表面の黒鉛化触媒・窒化物の
含有量は8原子%程度であるが、材料自体の寸法が微細
になりすぎ、充放電サイクル特性等の電極特性に不具合
を生じることがある。また、この粉砕・摩砕品を高度に
分級したとしても回収率が低くなり、実用上好ましくな
い。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
に、黒鉛化触媒を添加して黒鉛化熱処理した場合に、黒
鉛化炭素材表面に黒鉛化触媒・窒化物が生成し、リチウ
ム二次電池が未だ初回放電容量が低く、初回充放電効率
も低く、充放電速度が遅く、さらにサイクル寿命が短い
という課題を、炭素粒子又は/及び黒鉛粒子を添加した
状態で黒鉛化触媒の存在下で黒鉛化熱処理することによ
り解決でき、黒鉛化炭素材の表面に黒鉛化触媒窒化物の
生成があっても、高放電容量・高充放電効率の材料で、
高度に黒鉛化した炭素材の効率的な製造方法をも提供す
ることを目的とする。
に、黒鉛化触媒を添加して黒鉛化熱処理した場合に、黒
鉛化炭素材表面に黒鉛化触媒・窒化物が生成し、リチウ
ム二次電池が未だ初回放電容量が低く、初回充放電効率
も低く、充放電速度が遅く、さらにサイクル寿命が短い
という課題を、炭素粒子又は/及び黒鉛粒子を添加した
状態で黒鉛化触媒の存在下で黒鉛化熱処理することによ
り解決でき、黒鉛化炭素材の表面に黒鉛化触媒窒化物の
生成があっても、高放電容量・高充放電効率の材料で、
高度に黒鉛化した炭素材の効率的な製造方法をも提供す
ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、炭素材ある
いは炭素粉末をホウ素化合物等の黒鉛化触媒の存在下で
黒鉛化処理する際に、更に炭素粒子及び/又は黒鉛粒子
を添加して黒鉛化処理することにより、高度に黒鉛化で
きることを見出した。この場合、当該黒鉛化炭素材は、
添加した炭素粒子及び/又は黒鉛粒子を分離除去し、リ
チウム電池電極として適用した場合、黒鉛化炭素材表面
に黒鉛化触媒窒化物の生成があっても、リチウムの出入
を阻害することなく、電池としてのサイクル特性の劣化
も少なくなることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
いは炭素粉末をホウ素化合物等の黒鉛化触媒の存在下で
黒鉛化処理する際に、更に炭素粒子及び/又は黒鉛粒子
を添加して黒鉛化処理することにより、高度に黒鉛化で
きることを見出した。この場合、当該黒鉛化炭素材は、
添加した炭素粒子及び/又は黒鉛粒子を分離除去し、リ
チウム電池電極として適用した場合、黒鉛化炭素材表面
に黒鉛化触媒窒化物の生成があっても、リチウムの出入
を阻害することなく、電池としてのサイクル特性の劣化
も少なくなることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0015】即ち、本発明は: メソフェーズピッチ原料から常法により得られたメ
ソフェーズピッチ系炭素繊維ミルドを、ホウ素化合物か
ら構成される黒鉛化触媒の存在下で炭素粒子又は/及び
黒鉛粒子を添加した状態で黒鉛化することを特徴とした
黒鉛化メソフェーズピッチ系炭素繊維材であって、該黒
鉛化炭素繊維材の表面のホウ素原子濃度+窒素原子濃度
が、ESCA法で測定して30原子%以下である、黒鉛
化炭素材を提供する。また、 該メソフェーズピッチ炭素繊維ミルドが、10〜5
0μmの平均粒径、及び1以上30以下のアスペクト比
を有する点にも特徴を有する。また、 該黒鉛化炭素繊維材の表面のホウ素原子濃度+窒素
原子濃度がESCA法で測定して10原子%以下である
該黒鉛化炭素材からなる点にも特徴を有する。また、 該黒鉛化炭素材からなることを特徴とするリチウム
二次電池負極材を提供する。また、 炭素原料を常法により紡糸、不融化し、更にそのま
ま或いは250℃以上1500℃以下で不活性雰囲気中
で軽度炭化処理した後にミルド化し、更に黒鉛化触媒の
存在下で炭素粒子又は/及び黒鉛粒子を添加した状態で
2300℃以上の温度で黒鉛化処理して、該黒鉛化炭素
材の表面のホウ素原子濃度+窒素原子濃度が、ESCA
法で測定して30原子%以下である黒鉛化炭素材を製造
する、黒鉛化炭素材の製造方法を提供する。また、 該炭素粒子又は/及び黒鉛粒子の添加量が、5重量
%以上35重量%以下であり、当該粒子の平均粒径が
0.1〜10mmである点にも特徴を有する。また、 該黒鉛化触媒がホウ素化合物を主体とし、かつ当該
ホウ素化合物をホウ素原子換算量で、ミルド化炭素材1
00重量%に対し0.2〜5重量%とする点にも特徴を
有する。
ソフェーズピッチ系炭素繊維ミルドを、ホウ素化合物か
ら構成される黒鉛化触媒の存在下で炭素粒子又は/及び
黒鉛粒子を添加した状態で黒鉛化することを特徴とした
黒鉛化メソフェーズピッチ系炭素繊維材であって、該黒
鉛化炭素繊維材の表面のホウ素原子濃度+窒素原子濃度
が、ESCA法で測定して30原子%以下である、黒鉛
化炭素材を提供する。また、 該メソフェーズピッチ炭素繊維ミルドが、10〜5
0μmの平均粒径、及び1以上30以下のアスペクト比
を有する点にも特徴を有する。また、 該黒鉛化炭素繊維材の表面のホウ素原子濃度+窒素
原子濃度がESCA法で測定して10原子%以下である
該黒鉛化炭素材からなる点にも特徴を有する。また、 該黒鉛化炭素材からなることを特徴とするリチウム
二次電池負極材を提供する。また、 炭素原料を常法により紡糸、不融化し、更にそのま
ま或いは250℃以上1500℃以下で不活性雰囲気中
で軽度炭化処理した後にミルド化し、更に黒鉛化触媒の
存在下で炭素粒子又は/及び黒鉛粒子を添加した状態で
2300℃以上の温度で黒鉛化処理して、該黒鉛化炭素
材の表面のホウ素原子濃度+窒素原子濃度が、ESCA
法で測定して30原子%以下である黒鉛化炭素材を製造
する、黒鉛化炭素材の製造方法を提供する。また、 該炭素粒子又は/及び黒鉛粒子の添加量が、5重量
%以上35重量%以下であり、当該粒子の平均粒径が
0.1〜10mmである点にも特徴を有する。また、 該黒鉛化触媒がホウ素化合物を主体とし、かつ当該
ホウ素化合物をホウ素原子換算量で、ミルド化炭素材1
00重量%に対し0.2〜5重量%とする点にも特徴を
有する。
【0016】更に、本発明は、下記の実施の態様をも包
含する。 (1) 該黒鉛化炭素材の表面のホウ素原子濃度+窒素原
子濃度が、ESCA法で測定して30原子%以下である
点にも特徴を有する。 (2) 黒鉛化炭素材は、X線回折による黒鉛層間距離
(d002 )が0.338nm以下、C軸方向の結晶子の
大きさ(Lc)が35nm以上、a軸方向の結晶子の大
きさ(La)が50nm以上、且つ(101)回折ピー
クと(100)回折ピークの強度比(P101 /P100 )
が1.2以上の構造特性を有する点にも特徴を有する。 (3) メソフェーズピッチ系炭素繊維材のBET比表面積
が0.1m2 /g以上10m2 /g以下である点にも特
徴を有する。 (4) 炭素粒子及び/又は黒鉛化粒子の平均粒径が0.1
mm以上10mm以下、好ましくは0.3〜8mm、更
に好ましくは0.5〜5mmである点にも特徴を有す
る。 (5) 黒鉛化処理した後、黒鉛化炭素材と炭素粒子及び/
又は黒鉛粒子とを、公知の方法により分別する点にも特
徴を有する。 (6) 炭素粒子及び/又は黒鉛粒子として黒鉛化ブリーズ
コークス又はミルド化炭素繊維の凝集物粒子を使用する
点にも特徴を有する。
含する。 (1) 該黒鉛化炭素材の表面のホウ素原子濃度+窒素原
子濃度が、ESCA法で測定して30原子%以下である
点にも特徴を有する。 (2) 黒鉛化炭素材は、X線回折による黒鉛層間距離
(d002 )が0.338nm以下、C軸方向の結晶子の
大きさ(Lc)が35nm以上、a軸方向の結晶子の大
きさ(La)が50nm以上、且つ(101)回折ピー
クと(100)回折ピークの強度比(P101 /P100 )
が1.2以上の構造特性を有する点にも特徴を有する。 (3) メソフェーズピッチ系炭素繊維材のBET比表面積
が0.1m2 /g以上10m2 /g以下である点にも特
徴を有する。 (4) 炭素粒子及び/又は黒鉛化粒子の平均粒径が0.1
mm以上10mm以下、好ましくは0.3〜8mm、更
に好ましくは0.5〜5mmである点にも特徴を有す
る。 (5) 黒鉛化処理した後、黒鉛化炭素材と炭素粒子及び/
又は黒鉛粒子とを、公知の方法により分別する点にも特
徴を有する。 (6) 炭素粒子及び/又は黒鉛粒子として黒鉛化ブリーズ
コークス又はミルド化炭素繊維の凝集物粒子を使用する
点にも特徴を有する。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。 (A) 黒鉛化炭素材 (i) 本発明の黒鉛化炭素材は、メソフェーズピッチ原料
から常法により得られたメソフェーズピッチ系炭素繊維
ミルドに、ホウ素化合物から構成される黒鉛化触媒をホ
ウ素原子換算量で炭素繊維ミルド100重量%に対し
0.2〜5重量%の存在下で、炭素粒子又は/及び黒鉛
粒子を添加した状態で黒鉛化した黒鉛化メソフェーズピ
ッチ系炭素繊維材であって、該黒鉛化炭素繊維材の表面
のホウ素原子濃度+窒素原子濃度が、ESCA法で測定
して30原子%以下、好ましくは20原子%以下、より
好ましくは15原子%以下である点に特徴を有する。こ
の場合、該黒鉛化炭素繊維材の表面に黒鉛化触媒窒化物
が存在しても、リチウムイオン二次電池用負極材にした
ときに、初回放電容量・充放電効率ともに高い材料とな
る。ここで、メソフェーズピッチとは、石油又は石炭等
から常法に従って誘導される光学的異方性ピッチに加え
て、焼成の過程で加熱により容易に光学的異方性ピッチ
に転化するピッチを指す。このメソフェーズピッチとし
てはメソフェーズ含有量が100%のものがより好まし
いが、所期の目的を達成できるならばメソフェーズ含有
量が100%以下のものでも、紡糸可能ならば特に限定
されるものではない。該黒鉛化炭素材の表面のホウ素原
子濃度+窒素原子濃度が30原子%を超えると、炭素粒
子又は/及び黒鉛粒子を添加した状態で黒鉛化しても、
得られる黒鉛化メソフェーズピッチ系炭素繊維材料は、
リチウム二次電池負極材として適用した場合に、初回放
電容量・充放電効率ともに低くなってしまう。
から常法により得られたメソフェーズピッチ系炭素繊維
ミルドに、ホウ素化合物から構成される黒鉛化触媒をホ
ウ素原子換算量で炭素繊維ミルド100重量%に対し
0.2〜5重量%の存在下で、炭素粒子又は/及び黒鉛
粒子を添加した状態で黒鉛化した黒鉛化メソフェーズピ
ッチ系炭素繊維材であって、該黒鉛化炭素繊維材の表面
のホウ素原子濃度+窒素原子濃度が、ESCA法で測定
して30原子%以下、好ましくは20原子%以下、より
好ましくは15原子%以下である点に特徴を有する。こ
の場合、該黒鉛化炭素繊維材の表面に黒鉛化触媒窒化物
が存在しても、リチウムイオン二次電池用負極材にした
ときに、初回放電容量・充放電効率ともに高い材料とな
る。ここで、メソフェーズピッチとは、石油又は石炭等
から常法に従って誘導される光学的異方性ピッチに加え
て、焼成の過程で加熱により容易に光学的異方性ピッチ
に転化するピッチを指す。このメソフェーズピッチとし
てはメソフェーズ含有量が100%のものがより好まし
いが、所期の目的を達成できるならばメソフェーズ含有
量が100%以下のものでも、紡糸可能ならば特に限定
されるものではない。該黒鉛化炭素材の表面のホウ素原
子濃度+窒素原子濃度が30原子%を超えると、炭素粒
子又は/及び黒鉛粒子を添加した状態で黒鉛化しても、
得られる黒鉛化メソフェーズピッチ系炭素繊維材料は、
リチウム二次電池負極材として適用した場合に、初回放
電容量・充放電効率ともに低くなってしまう。
【0018】ここで、ESCA法とは、光電子のエネル
ギーを測定することにより、試料表面の構成物質の化学
組成や結合状態を分析する手法を指す。高真空下、試料
台に固定した炭素粉末に単色軟X線を照射し、その時に
出てくる各元素の内殻電子の個数を計測し、各元素毎の
感度係数をかけることで、各元素の炭素粉末表面領域に
おける濃度が計測される。本発明の炭素粉末での測定に
際しては、B、C、N、Oのみを測定元素として、それ
らの原子濃度は、これらの4つを加えると1となるよう
に規格化する。
ギーを測定することにより、試料表面の構成物質の化学
組成や結合状態を分析する手法を指す。高真空下、試料
台に固定した炭素粉末に単色軟X線を照射し、その時に
出てくる各元素の内殻電子の個数を計測し、各元素毎の
感度係数をかけることで、各元素の炭素粉末表面領域に
おける濃度が計測される。本発明の炭素粉末での測定に
際しては、B、C、N、Oのみを測定元素として、それ
らの原子濃度は、これらの4つを加えると1となるよう
に規格化する。
【0019】(ii)黒鉛化炭素材の形状;本発明で言う黒
鉛化炭素材には、繊維状、ミルド繊維状、マット状、フ
エルト状、ペーパー状、及びフィルム状の炭素材やメソ
カーボンマイクロビーズのような球状の炭素材等種々の
形状のものを包含する。特に、本発明は、以下に記述の
ように、ミルド化した炭素繊維(特にメソフェーズピッ
チ系炭素繊維)やメソカーボンマイクロビーズを黒鉛化
熱処理したものが高度に黒鉛化されて好ましく使用され
る。
鉛化炭素材には、繊維状、ミルド繊維状、マット状、フ
エルト状、ペーパー状、及びフィルム状の炭素材やメソ
カーボンマイクロビーズのような球状の炭素材等種々の
形状のものを包含する。特に、本発明は、以下に記述の
ように、ミルド化した炭素繊維(特にメソフェーズピッ
チ系炭素繊維)やメソカーボンマイクロビーズを黒鉛化
熱処理したものが高度に黒鉛化されて好ましく使用され
る。
【0020】(iii) 黒鉛化炭素材の構造特性;更に、本
発明の黒鉛化炭素材は、X線回折による黒鉛層間距離
(d002 )が0.338nm以下、好ましくは0.33
6nm以下、C軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が35
nm以上、好ましくは45nm以上、a軸方向の結晶子
の大きさ(La)が50nm以上、好ましくは60nm
以上且つ(101)回折ピークと(100)回折ピーク
の強度比(P101 /P100 )が1.2以上、好ましくは
1.5以上の構造特性を有する。尚以後P101 /P100
を単に101 /100 と略記することがある。これらは、そ
れぞれ炭素材の黒鉛化の度合いを表す指標であり、すべ
てにおいて満足することが電池の性能を向上させる上で
要求される。
発明の黒鉛化炭素材は、X線回折による黒鉛層間距離
(d002 )が0.338nm以下、好ましくは0.33
6nm以下、C軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が35
nm以上、好ましくは45nm以上、a軸方向の結晶子
の大きさ(La)が50nm以上、好ましくは60nm
以上且つ(101)回折ピークと(100)回折ピーク
の強度比(P101 /P100 )が1.2以上、好ましくは
1.5以上の構造特性を有する。尚以後P101 /P100
を単に101 /100 と略記することがある。これらは、そ
れぞれ炭素材の黒鉛化の度合いを表す指標であり、すべ
てにおいて満足することが電池の性能を向上させる上で
要求される。
【0021】(iv)黒鉛化炭素材の構造決定;炭素材の構
造を規定するのに用いた種々のX線パラメータを簡単に
説明する。ここで、X線回折法とは、CukαをX線
源、標準物質に高純度シリコンを使用し、炭素繊維等に
対し回折パターンを測定するものである。そして、その
002回折パターンのピーク位置、半値幅からのそれぞ
れ黒鉛層間距離d(002) 、c軸方向の結晶子の大きさL
c(002) 、及び110回折パターンのピーク位置、半値
幅からa軸方向の結晶子の大きさLa(110) を算出す
る。算出方法は学振法に基づき算出する。101/10
0のピーク強度比の測定は、得られた回折線図にベース
ラインを引き、このベースラインから101(2θ≒4
4.5°)、100(2θ≒42.5°)の各ピークの
高さを測定し、101の回折ピーク高さを100回折ピ
ーク高さで除して求める。
造を規定するのに用いた種々のX線パラメータを簡単に
説明する。ここで、X線回折法とは、CukαをX線
源、標準物質に高純度シリコンを使用し、炭素繊維等に
対し回折パターンを測定するものである。そして、その
002回折パターンのピーク位置、半値幅からのそれぞ
れ黒鉛層間距離d(002) 、c軸方向の結晶子の大きさL
c(002) 、及び110回折パターンのピーク位置、半値
幅からa軸方向の結晶子の大きさLa(110) を算出す
る。算出方法は学振法に基づき算出する。101/10
0のピーク強度比の測定は、得られた回折線図にベース
ラインを引き、このベースラインから101(2θ≒4
4.5°)、100(2θ≒42.5°)の各ピークの
高さを測定し、101の回折ピーク高さを100回折ピ
ーク高さで除して求める。
【0022】(v) 用途;このように、本発明の黒鉛化炭
素材は、特に限定されるものではないが、構造特性の観
点から、特に黒鉛層間隔距離(d002 )が非常に小さく
て高度に黒鉛化しているため、高強度、高剛性であり、
更には高熱伝導性を有することから、機能性炭素−炭素
複合材、強化プラスチック用繊維材等としても好適な黒
鉛化炭素材を提供する。また、本発明では、黒鉛化炭素
材の表面に黒鉛化触媒・窒化物の生成があっても、黒鉛
層微細構造へのリチウムの出入を損なうことがなく、同
時に、電池としてのサイクル特性の劣化も少なくできる
ため、リチウム二次電池負極材などに好適な高黒鉛化炭
素材を提供する。
素材は、特に限定されるものではないが、構造特性の観
点から、特に黒鉛層間隔距離(d002 )が非常に小さく
て高度に黒鉛化しているため、高強度、高剛性であり、
更には高熱伝導性を有することから、機能性炭素−炭素
複合材、強化プラスチック用繊維材等としても好適な黒
鉛化炭素材を提供する。また、本発明では、黒鉛化炭素
材の表面に黒鉛化触媒・窒化物の生成があっても、黒鉛
層微細構造へのリチウムの出入を損なうことがなく、同
時に、電池としてのサイクル特性の劣化も少なくできる
ため、リチウム二次電池負極材などに好適な高黒鉛化炭
素材を提供する。
【0023】(B) 黒鉛化炭素材の製造: (i) 本発明の黒鉛化炭素材の製造は、基本的には、炭素
材原料、特にメソフェーズピッチを原料とし、常法によ
り成形(紡糸)し、不融化し、そのまま或いは更に15
00℃以下の温度で軽度に炭化処理した後にミルド化
し、しかる後に好適にはホウ素化合物を主体とする黒鉛
化触媒を添加し、更に炭素粒子又は/及び黒鉛化粒子を
添加して均一に混合し、2300℃以上の温度で黒鉛化
処理して高黒鉛化炭素材を製造するものである。
材原料、特にメソフェーズピッチを原料とし、常法によ
り成形(紡糸)し、不融化し、そのまま或いは更に15
00℃以下の温度で軽度に炭化処理した後にミルド化
し、しかる後に好適にはホウ素化合物を主体とする黒鉛
化触媒を添加し、更に炭素粒子又は/及び黒鉛化粒子を
添加して均一に混合し、2300℃以上の温度で黒鉛化
処理して高黒鉛化炭素材を製造するものである。
【0024】(ii)炭素材原料の純度;本発明の黒鉛化炭
素材は、黒鉛化触媒として主に使用するホウ素元素以外
の不純物を極力低下させることが充放電効率を高くする
上で望ましい。使用する炭素材原料は出発原料にもよる
が、通常、窒素、酸素、硫黄或いは種々の金属成分等の
炭素以外の元素を含む。特に、二次電池においては、リ
チウムは炭素以外の元素、例えば、硫黄、窒素、ハロゲ
ン等の元素と反応してリチウム化合物を形成するため、
この様な不純物を多く含む炭素材を負極材に用いると、
負極の充放電効率、特に、初回の充放電効率が著しく低
下する。これらホウ素元素以外の不純物の総量は、10
00ppm以下、好ましくは300ppm以下に抑えて
純度の高い炭素繊維とすることが肝要である。これら不
純物の総量は原子吸光分析、誘導結合プラズマ原子
発光分光法、蛍光X線分析等により測定できる。
素材は、黒鉛化触媒として主に使用するホウ素元素以外
の不純物を極力低下させることが充放電効率を高くする
上で望ましい。使用する炭素材原料は出発原料にもよる
が、通常、窒素、酸素、硫黄或いは種々の金属成分等の
炭素以外の元素を含む。特に、二次電池においては、リ
チウムは炭素以外の元素、例えば、硫黄、窒素、ハロゲ
ン等の元素と反応してリチウム化合物を形成するため、
この様な不純物を多く含む炭素材を負極材に用いると、
負極の充放電効率、特に、初回の充放電効率が著しく低
下する。これらホウ素元素以外の不純物の総量は、10
00ppm以下、好ましくは300ppm以下に抑えて
純度の高い炭素繊維とすることが肝要である。これら不
純物の総量は原子吸光分析、誘導結合プラズマ原子
発光分光法、蛍光X線分析等により測定できる。
【0025】(iii) ミルド繊維;本発明の炭素材として
は、ミルド化した炭素繊維、特にメソフェーズピッチ系
炭素繊維を黒鉛化処理したミルド繊維を用いることが好
ましい。 1)通常の炭素繊維では、繊維表面からのリチウムイオ
ンの進入が困難であり、繊維断面方向からの出入りのみ
であるため、充放電速度を早くすると容量低下が著しい
傾向を示す。そのために、繊維長を短く、即ち繊維断面
の割合を出来るだけ大きくし、リチウムイオンの出入り
を行いやすくすることが望ましい。しかしながら、繊維
をいたずらに微粉化すると、逆に活性な黒鉛層が露出し
電解液と反応するために容量低下等のデメリットが発生
する。このために、繊維形態を保持したまま繊維断面を
多くする、即ち、繊維長を極端に小さく切断する方法
や、或いは特開平7−57724号公報に開示されるよ
うな賦活を行い、繊維表面にリチウムイオンが進入でき
る細孔を開けることが必要である。
は、ミルド化した炭素繊維、特にメソフェーズピッチ系
炭素繊維を黒鉛化処理したミルド繊維を用いることが好
ましい。 1)通常の炭素繊維では、繊維表面からのリチウムイオ
ンの進入が困難であり、繊維断面方向からの出入りのみ
であるため、充放電速度を早くすると容量低下が著しい
傾向を示す。そのために、繊維長を短く、即ち繊維断面
の割合を出来るだけ大きくし、リチウムイオンの出入り
を行いやすくすることが望ましい。しかしながら、繊維
をいたずらに微粉化すると、逆に活性な黒鉛層が露出し
電解液と反応するために容量低下等のデメリットが発生
する。このために、繊維形態を保持したまま繊維断面を
多くする、即ち、繊維長を極端に小さく切断する方法
や、或いは特開平7−57724号公報に開示されるよ
うな賦活を行い、繊維表面にリチウムイオンが進入でき
る細孔を開けることが必要である。
【0026】2)繊維長;本発明で言うミルド繊維と
は、一般的に、繊維長が1mm以下の長さに粉砕された
ものの集合体を指し、例えば繊維長さが25mm〜1m
mである炭素繊維チョップドストランドとは区別され
る。 3)平均粒径;本発明のミルド繊維の平均粒径は、8〜
50μm、好ましくは10〜40μmの範囲が好まし
い。平均粒径が8μmより小さいと、活性な表面がいた
ずらに多くなり電解液の分解が激しくなり、初期充放電
効率が小さく、サイクル劣化も激しくなる。一方、50
μmより大きいと、電極の嵩密度が低くなり容積当りの
エネルギー密度が小さくなり好ましくないし、短絡の観
点からも好ましくない。上記平均粒径は、レーザー回折
方式による粒度分布から算出する。
は、一般的に、繊維長が1mm以下の長さに粉砕された
ものの集合体を指し、例えば繊維長さが25mm〜1m
mである炭素繊維チョップドストランドとは区別され
る。 3)平均粒径;本発明のミルド繊維の平均粒径は、8〜
50μm、好ましくは10〜40μmの範囲が好まし
い。平均粒径が8μmより小さいと、活性な表面がいた
ずらに多くなり電解液の分解が激しくなり、初期充放電
効率が小さく、サイクル劣化も激しくなる。一方、50
μmより大きいと、電極の嵩密度が低くなり容積当りの
エネルギー密度が小さくなり好ましくないし、短絡の観
点からも好ましくない。上記平均粒径は、レーザー回折
方式による粒度分布から算出する。
【0027】4)アスペクト比;本発明のミルド繊維の
アスペクト比(ミルド繊維の直径に対する長さの比)が
1以上30以下、好ましくは1以上20以下であること
が望ましい。アスペクト比が30を越えると、即ち、繊
維長の比較的長いミルド繊維を用いると嵩密度が低くな
り容積当りのエネルギー密度が小さくなり且つ、正、負
極の短絡の原因ともなり好ましくない。また、アスペク
ト比が1未満になると、繊維軸方向への縦割れを生じる
繊維が多くなり好ましくない。アスペクト比とは、得ら
れたミルド繊維の抜き取り個数100個の値の平均値で
示す。
アスペクト比(ミルド繊維の直径に対する長さの比)が
1以上30以下、好ましくは1以上20以下であること
が望ましい。アスペクト比が30を越えると、即ち、繊
維長の比較的長いミルド繊維を用いると嵩密度が低くな
り容積当りのエネルギー密度が小さくなり且つ、正、負
極の短絡の原因ともなり好ましくない。また、アスペク
ト比が1未満になると、繊維軸方向への縦割れを生じる
繊維が多くなり好ましくない。アスペクト比とは、得ら
れたミルド繊維の抜き取り個数100個の値の平均値で
示す。
【0028】5)上記平均粒径とアスペクト比の観点か
ら、ミルド化前の繊維径としては、ミルド化時、及び黒
鉛化処理時の体積減少も考慮し、4μm以上25μm以
下が好ましい。本発明のミルド繊維は、後記説明の高速
回転ミルやジェットミル等により粉砕と言うよりは微細
に寸断された1以上20以下のアスペクト比且つ10〜
50μmの平均粒径を有するものであって、従来法の1
つである摩砕又は圧縮力を応用したプレス又は加圧によ
り微細化された場合と異なって、繊維形状が維持され、
亀裂や微粉砕物の混入が極めて少なくなり、繊維軸にそ
った縦割れの発生が少なくなり好ましい。
ら、ミルド化前の繊維径としては、ミルド化時、及び黒
鉛化処理時の体積減少も考慮し、4μm以上25μm以
下が好ましい。本発明のミルド繊維は、後記説明の高速
回転ミルやジェットミル等により粉砕と言うよりは微細
に寸断された1以上20以下のアスペクト比且つ10〜
50μmの平均粒径を有するものであって、従来法の1
つである摩砕又は圧縮力を応用したプレス又は加圧によ
り微細化された場合と異なって、繊維形状が維持され、
亀裂や微粉砕物の混入が極めて少なくなり、繊維軸にそ
った縦割れの発生が少なくなり好ましい。
【0029】6)BET比表面積;本発明のミルド繊維
は上記特性を有するが、更にBET比表面積が0.1m
2/g以上10m2 /g以下であることが好ましい。B
ET比表面積が0.1m2 未満であると、リチウム二次
電池に用いる金属に対する濡れ性が低下し、成形時に繊
維と金属間に気泡が残存し、強度特性が劣る。BET比
表面積は、相対圧0.3における窒素ガスの吸脱着BE
T1点法により測定する。
は上記特性を有するが、更にBET比表面積が0.1m
2/g以上10m2 /g以下であることが好ましい。B
ET比表面積が0.1m2 未満であると、リチウム二次
電池に用いる金属に対する濡れ性が低下し、成形時に繊
維と金属間に気泡が残存し、強度特性が劣る。BET比
表面積は、相対圧0.3における窒素ガスの吸脱着BE
T1点法により測定する。
【0030】本発明の炭素材の好適な製造方法の例を以
下に説明する。 (iv) 炭素材原料;本発明に用いる炭素材原料として
は、任意の易黒鉛化質の炭化水素を使用することができ
る。例えば、ナフタレン、フェナントレン等の縮合多環
炭化水素化合物や石油、石炭系ピッチ等の縮合複素環化
合物等を挙げることができる。特に、石油、石炭系ピッ
チの使用、好ましくは光学的異方性ピッチ,すなわちメ
ソフェーズピッチを用いることが良い。このメソフェー
ズピッチとしてはメソフェーズ含有量100%のものが
好ましいが、紡糸可能ならば特に限定されるものでな
い。
下に説明する。 (iv) 炭素材原料;本発明に用いる炭素材原料として
は、任意の易黒鉛化質の炭化水素を使用することができ
る。例えば、ナフタレン、フェナントレン等の縮合多環
炭化水素化合物や石油、石炭系ピッチ等の縮合複素環化
合物等を挙げることができる。特に、石油、石炭系ピッ
チの使用、好ましくは光学的異方性ピッチ,すなわちメ
ソフェーズピッチを用いることが良い。このメソフェー
ズピッチとしてはメソフェーズ含有量100%のものが
好ましいが、紡糸可能ならば特に限定されるものでな
い。
【0031】(v) ミルド化炭素繊維の製造:上記原料
を、常法により紡糸、不融化し、さらにそのまま或いは
軽度炭化処理した後にミルド化する。 1)紡糸法;原料ピッチを溶融紡糸する方法としては、
特に限定されるものではなく、メルトスピニング、メル
トブロー、遠心紡糸、過流紡糸等種々の方法を使用する
ことが出来るが、紡糸時の生産性や得られる繊維の品質
の観点から、メルトブロー法が好ましい。 2)メルトブロー法; ・メルトブロー時の紡糸孔の大きさは、直径0.1mm
φ以上0.5mmφ以下、好ましくは0.15mmφ以
上0.3mmφ以下である。紡糸孔の大きさが0.5m
mφを越えると、繊維径が25μ以上と大きくなり易
く、かつ繊維径がバラツキ易く品質管理上好ましくな
い。紡糸孔の大きさが0.1mmφ未満では、紡糸時目
詰まりが生じ易く、また紡糸ノズルの製作が困難となり
好ましくない。 ・紡糸速度は、生産性の面から毎分500m以上、好ま
しくは毎分1500m以上、さらに好ましくは毎分20
00m以上である。 ・紡糸温度は、原料ピッチにより幾分変化するが、原料
ピッチの軟化点以上でピッチが変質しない温度以下であ
れば良く、通常300℃以上400℃以下、好ましくは
300℃以上380℃以下である。 ・メルトブロー法では、粘度は、数十ポイズ以下の低粘
度で紡糸し、かつ高速冷却することにより、黒鉛層面が
繊維軸に平行に配列し易くなる利点もある。
を、常法により紡糸、不融化し、さらにそのまま或いは
軽度炭化処理した後にミルド化する。 1)紡糸法;原料ピッチを溶融紡糸する方法としては、
特に限定されるものではなく、メルトスピニング、メル
トブロー、遠心紡糸、過流紡糸等種々の方法を使用する
ことが出来るが、紡糸時の生産性や得られる繊維の品質
の観点から、メルトブロー法が好ましい。 2)メルトブロー法; ・メルトブロー時の紡糸孔の大きさは、直径0.1mm
φ以上0.5mmφ以下、好ましくは0.15mmφ以
上0.3mmφ以下である。紡糸孔の大きさが0.5m
mφを越えると、繊維径が25μ以上と大きくなり易
く、かつ繊維径がバラツキ易く品質管理上好ましくな
い。紡糸孔の大きさが0.1mmφ未満では、紡糸時目
詰まりが生じ易く、また紡糸ノズルの製作が困難となり
好ましくない。 ・紡糸速度は、生産性の面から毎分500m以上、好ま
しくは毎分1500m以上、さらに好ましくは毎分20
00m以上である。 ・紡糸温度は、原料ピッチにより幾分変化するが、原料
ピッチの軟化点以上でピッチが変質しない温度以下であ
れば良く、通常300℃以上400℃以下、好ましくは
300℃以上380℃以下である。 ・メルトブロー法では、粘度は、数十ポイズ以下の低粘
度で紡糸し、かつ高速冷却することにより、黒鉛層面が
繊維軸に平行に配列し易くなる利点もある。
【0032】3)原料ピッチの軟化点 原料ピッチの軟化点も、特に限定されるものではない
が、前記紡糸温度との関係から、軟化点が低くまた不融
化反応速度の速いものが、製造コスト及び安定性の面で
有利である。これより、原料ピッチの軟化点は230℃
以上350℃以下、好ましくは250℃以上310℃以
下である。
が、前記紡糸温度との関係から、軟化点が低くまた不融
化反応速度の速いものが、製造コスト及び安定性の面で
有利である。これより、原料ピッチの軟化点は230℃
以上350℃以下、好ましくは250℃以上310℃以
下である。
【0033】4)不融化 紡糸後のピッチ繊維は常法により不融化処理する。不融
化方法としては、例えば、二酸化窒素や酸素等の酸化性
ガス雰囲気中で加熱処理する方法や、硝酸やクロム酸等
の酸化性水溶液中で処理する方法、さらには、光やγ線
等により重合処理する方法等を使用することが可能であ
る。より簡便な不融化方法は、空気中で加熱処理する方
法であり、原料により若干異なるが平均昇温速度3℃/
分以上、好ましくは5℃/分以上で、350℃程度まで
昇温させながら加熱処理する。
化方法としては、例えば、二酸化窒素や酸素等の酸化性
ガス雰囲気中で加熱処理する方法や、硝酸やクロム酸等
の酸化性水溶液中で処理する方法、さらには、光やγ線
等により重合処理する方法等を使用することが可能であ
る。より簡便な不融化方法は、空気中で加熱処理する方
法であり、原料により若干異なるが平均昇温速度3℃/
分以上、好ましくは5℃/分以上で、350℃程度まで
昇温させながら加熱処理する。
【0034】5)ミルド化の時期;次いで、不融化した
繊維又は該不融化繊維を軽度炭化した繊維をミルド化す
る。 (イ)この時、不融化処理した繊維を、250℃以上15
00℃以下の温度で不活性ガス中軽度に炭化した後に、
ミルド化することも可能である。250℃以上1500
℃以下、好ましくは500℃以上900℃以下の温度で
軽度に炭化した後にミルド化すると、ミルド化後の繊維
の縦割れが比較的防げること、及びミルド化時に新たに
表面に露出した黒鉛層面がより高温での黒鉛化処理時に
縮重合・環化反応が進み易くなる傾向があり、その表面
の活性度が低下し、電解液の分解を阻止する効果があり
有利である。 (ロ)1500℃を超えた温度での熱処理(炭化或いは黒
鉛化)後のミルド化は、繊維軸方向に発達した黒鉛層面
に沿って開裂が発生し易くなり、製造されたミルド化炭
素繊維の全表面積中に占める破断面表面積の割合が大き
くなり、破断黒鉛層面における電子の極在化による電解
液の分解が起こり好ましくない。また、250℃未満の
温度での熱処理は、炭化がほとんど起こらず処理する効
果がない。
繊維又は該不融化繊維を軽度炭化した繊維をミルド化す
る。 (イ)この時、不融化処理した繊維を、250℃以上15
00℃以下の温度で不活性ガス中軽度に炭化した後に、
ミルド化することも可能である。250℃以上1500
℃以下、好ましくは500℃以上900℃以下の温度で
軽度に炭化した後にミルド化すると、ミルド化後の繊維
の縦割れが比較的防げること、及びミルド化時に新たに
表面に露出した黒鉛層面がより高温での黒鉛化処理時に
縮重合・環化反応が進み易くなる傾向があり、その表面
の活性度が低下し、電解液の分解を阻止する効果があり
有利である。 (ロ)1500℃を超えた温度での熱処理(炭化或いは黒
鉛化)後のミルド化は、繊維軸方向に発達した黒鉛層面
に沿って開裂が発生し易くなり、製造されたミルド化炭
素繊維の全表面積中に占める破断面表面積の割合が大き
くなり、破断黒鉛層面における電子の極在化による電解
液の分解が起こり好ましくない。また、250℃未満の
温度での熱処理は、炭化がほとんど起こらず処理する効
果がない。
【0035】6)ミルド化法; (イ)本発明に適したミルド化を効率良く実施するために
は、上記各種方法に共通することであるが、例えばプレ
ートを取り付けたローターを高速に回転することによ
り、繊維軸に対し直角方向に繊維を剪断・寸断する方法
が適切である。ミルド化された繊維の繊維長は、ロータ
ーの回転数、プレートの角度及びローターの周辺に取り
付けられたフィルターの目の大きさ等を調整することに
よりコントロールすることが可能である。 (ロ)ミルド化に適する方法としては、更に、ハンマーミ
ル、ピンミル、スーパーミクロンミル等の高速回転ミル
(衝撃剪断ミル);固定衝撃型のビクトリーミル;ジエ
ットミル;クロスフローミル等を用いることができ、更
にこれによって微細に切断されてミルド化する方法が好
ましい。 (ハ)該ミルド化には、ヘンシェルミキサーやボールミ
ル、磨潰機等による方法もあるが、これらの方法による
と繊維の直角方向への加圧力が働き、繊維軸方向への縦
割れの発生が多くなり好ましくない。また、この方法は
ミルド化に長時間を要し、適切なミルド化方法とは言い
難い。 (ニ)特に、高嵩密度の二次電池負極を製造するために
は、黒鉛化後のミルド繊維のアスペクト比が1以上30
以下、好ましくは1以上20以下となるように製造条件
を調整することが好ましい。
は、上記各種方法に共通することであるが、例えばプレ
ートを取り付けたローターを高速に回転することによ
り、繊維軸に対し直角方向に繊維を剪断・寸断する方法
が適切である。ミルド化された繊維の繊維長は、ロータ
ーの回転数、プレートの角度及びローターの周辺に取り
付けられたフィルターの目の大きさ等を調整することに
よりコントロールすることが可能である。 (ロ)ミルド化に適する方法としては、更に、ハンマーミ
ル、ピンミル、スーパーミクロンミル等の高速回転ミル
(衝撃剪断ミル);固定衝撃型のビクトリーミル;ジエ
ットミル;クロスフローミル等を用いることができ、更
にこれによって微細に切断されてミルド化する方法が好
ましい。 (ハ)該ミルド化には、ヘンシェルミキサーやボールミ
ル、磨潰機等による方法もあるが、これらの方法による
と繊維の直角方向への加圧力が働き、繊維軸方向への縦
割れの発生が多くなり好ましくない。また、この方法は
ミルド化に長時間を要し、適切なミルド化方法とは言い
難い。 (ニ)特に、高嵩密度の二次電池負極を製造するために
は、黒鉛化後のミルド繊維のアスペクト比が1以上30
以下、好ましくは1以上20以下となるように製造条件
を調整することが好ましい。
【0036】(vi)黒鉛化処理:本発明の黒鉛化炭素材
の製造方法においては、黒鉛化触媒の存在下で炭素粒子
又は/及び黒鉛粒子を添加した状態で不活性雰囲気中、
2300℃以上の高温熱処理する黒鉛化処理が必要であ
る。 1)この操作により、高度に黒鉛化構造〔特に、X線回
折による黒鉛層間距離(d002 )が0.338nm以下
等〕を生成させ且つ、得られた黒鉛化炭素材表面の黒鉛
化触媒・窒化物の生成に関し、リチウム二次電池負極に
したときにリチウムの吸蔵・放出を損なわないようにす
ることができる点に大きな特徴がある。この場合、不融
化後或いは更に1500℃以下の温度で軽度な炭化処理
後にミルド化された炭素繊維に黒鉛化触媒、特にホウ素
化合物を添加し、黒鉛化処理することが必要である。
の製造方法においては、黒鉛化触媒の存在下で炭素粒子
又は/及び黒鉛粒子を添加した状態で不活性雰囲気中、
2300℃以上の高温熱処理する黒鉛化処理が必要であ
る。 1)この操作により、高度に黒鉛化構造〔特に、X線回
折による黒鉛層間距離(d002 )が0.338nm以下
等〕を生成させ且つ、得られた黒鉛化炭素材表面の黒鉛
化触媒・窒化物の生成に関し、リチウム二次電池負極に
したときにリチウムの吸蔵・放出を損なわないようにす
ることができる点に大きな特徴がある。この場合、不融
化後或いは更に1500℃以下の温度で軽度な炭化処理
後にミルド化された炭素繊維に黒鉛化触媒、特にホウ素
化合物を添加し、黒鉛化処理することが必要である。
【0037】2)黒鉛化触媒;黒鉛化触媒としては、一
般的にはホウ素化合物が使用できる。ホウ素化合物の添
加には、通常、固形のホウ素化合物を直接添加し必要に
応じ均一に混合する方法やホウ素化合物を溶媒溶液とし
浸漬する方法等が採用されるが特に制限されるものでは
ない。また、炭素材原料、例えば原料ピッチの段階でホ
ウ素化合物を添加する方法や原料ピッチにホウ素化合物
を添加し溶融状態で均一混合する方法も十分可能であ
る。黒鉛化触媒、特にホウ素化合物の添加量は、ミルド
化炭素材に対してホウ素原子(黒鉛化触媒構成元素)と
して0.2〜5重量%以下、好ましくは、0.3〜4重
量%である。0.2重量%未満では本発明の効果が少な
いし、5重量%を超えるとコストに対しての効果が低下
するとともに黒鉛化後の炭素材中にホウ素の残存量が増
加し炭素材同士が固着する等の問題を生じ好ましくな
い。
般的にはホウ素化合物が使用できる。ホウ素化合物の添
加には、通常、固形のホウ素化合物を直接添加し必要に
応じ均一に混合する方法やホウ素化合物を溶媒溶液とし
浸漬する方法等が採用されるが特に制限されるものでは
ない。また、炭素材原料、例えば原料ピッチの段階でホ
ウ素化合物を添加する方法や原料ピッチにホウ素化合物
を添加し溶融状態で均一混合する方法も十分可能であ
る。黒鉛化触媒、特にホウ素化合物の添加量は、ミルド
化炭素材に対してホウ素原子(黒鉛化触媒構成元素)と
して0.2〜5重量%以下、好ましくは、0.3〜4重
量%である。0.2重量%未満では本発明の効果が少な
いし、5重量%を超えるとコストに対しての効果が低下
するとともに黒鉛化後の炭素材中にホウ素の残存量が増
加し炭素材同士が固着する等の問題を生じ好ましくな
い。
【0038】3)黒鉛化触媒としてのホウ素化合物;ホ
ウ素化合物としては、ホウ素単体の他に、炭化ホウ素
(B4 C)、塩化ホウ素、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸
ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸銅、ホウ酸ニッケ
ル等が挙げられる。ホウ素化合物溶媒溶液とするための
溶媒としては、例えば水、メタノール、グリセリン、ア
セトン等が挙げられ、使用するホウ素化合物に合わせ適
宜選択すればよい。また、固形で使用する際は、炭素材
ミルドと均一に混合するために平均粒径を500μm以
下、好ましくは200μm以下のホウ素化合物として使
用するのがよい。
ウ素化合物としては、ホウ素単体の他に、炭化ホウ素
(B4 C)、塩化ホウ素、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸
ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸銅、ホウ酸ニッケ
ル等が挙げられる。ホウ素化合物溶媒溶液とするための
溶媒としては、例えば水、メタノール、グリセリン、ア
セトン等が挙げられ、使用するホウ素化合物に合わせ適
宜選択すればよい。また、固形で使用する際は、炭素材
ミルドと均一に混合するために平均粒径を500μm以
下、好ましくは200μm以下のホウ素化合物として使
用するのがよい。
【0039】4)黒鉛化触媒の種類;黒鉛化触媒として
は、ホウ素化合物の他、公知の黒鉛化触媒が使用可能で
ある。例えば、塩化鉄、酸化鉄、フェロセン、鉄錯体等
の鉄化合物;塩化ニッケル、酸化ニッケル、ニッケル錯
体等のニッケル化合物;酸化コバルト、塩化コバルト等
のコバルト化合物、塩化クロム、酸化クロム、クロム酸
塩等のクロム化合物;酸化ケイ素等のケイ素化合物など
が使用可能である。これら黒鉛化触媒の炭素材ミルドへ
の添加量は、ホウ素化合物の場合と本質的に変わらな
い。
は、ホウ素化合物の他、公知の黒鉛化触媒が使用可能で
ある。例えば、塩化鉄、酸化鉄、フェロセン、鉄錯体等
の鉄化合物;塩化ニッケル、酸化ニッケル、ニッケル錯
体等のニッケル化合物;酸化コバルト、塩化コバルト等
のコバルト化合物、塩化クロム、酸化クロム、クロム酸
塩等のクロム化合物;酸化ケイ素等のケイ素化合物など
が使用可能である。これら黒鉛化触媒の炭素材ミルドへ
の添加量は、ホウ素化合物の場合と本質的に変わらな
い。
【0040】5)黒鉛化条件; (イ)黒鉛化温度;本発明では、ミルド化された炭素繊維
等を高度に黒鉛化させることが重要である。このために
は、黒鉛化触媒に加え炭素粒子及び/又は黒鉛粒子を添
加し、好ましくは2300℃以上、さらに好ましくは2
500℃以上の温度で黒鉛化処理をする必要がある。例
えば、黒鉛化触媒としてホウ素化合物を使用した場合、
ホウ素化合物の作用の原理は不明であるが、ホウ素化合
物の融点(ホウ素の融点は2177℃、炭化ホウ素の融
点は2470℃)近辺の温度以上に昇温して黒鉛化する
ことにより、黒鉛化をより促進させ得て、及び電池負極
材とした時の充放電容量を増加させること等ができる。
等を高度に黒鉛化させることが重要である。このために
は、黒鉛化触媒に加え炭素粒子及び/又は黒鉛粒子を添
加し、好ましくは2300℃以上、さらに好ましくは2
500℃以上の温度で黒鉛化処理をする必要がある。例
えば、黒鉛化触媒としてホウ素化合物を使用した場合、
ホウ素化合物の作用の原理は不明であるが、ホウ素化合
物の融点(ホウ素の融点は2177℃、炭化ホウ素の融
点は2470℃)近辺の温度以上に昇温して黒鉛化する
ことにより、黒鉛化をより促進させ得て、及び電池負極
材とした時の充放電容量を増加させること等ができる。
【0041】・一般的に、炭素材は熱処理温度を高くす
るほど黒鉛化が進行するが、メソフェーズピッチ系炭素
繊維を原料とした場合、本発明で意図する高度な黒鉛構
造のリチウム二次電池負極用炭素材を得ようとすると、
ホウ素化合物の存在下黒鉛化する場合は2300℃程度
の温度でも可能であるのに対して、ホウ素化合物を使用
しない場合は約700℃も高い2900℃以上の高温度
を要する。 ・さらに、X線回折測定結果により表される黒鉛構造
が、ほぼ同程度の炭素材においても、ホウ素化合物の存
在下黒鉛化された炭素材のほうが、ホウ素化合物を使用
しない場合の炭素材より、放電容量、充放電効率等の電
池の性能面で優れた結果を示した。このため、本発明で
得られる炭素材と同程度の電池性能を得ようとすると、
ホウ素化合物を使用しない場合は、さらに高温度の31
00℃程度が要求される。この3100℃というような
高温度は、コスト面もさることながら、現在の技術水準
では、安定連続運転が困難な状況にあり、また、炭素の
昇華温度(3370℃)により近づく点からも好ましく
ない。
るほど黒鉛化が進行するが、メソフェーズピッチ系炭素
繊維を原料とした場合、本発明で意図する高度な黒鉛構
造のリチウム二次電池負極用炭素材を得ようとすると、
ホウ素化合物の存在下黒鉛化する場合は2300℃程度
の温度でも可能であるのに対して、ホウ素化合物を使用
しない場合は約700℃も高い2900℃以上の高温度
を要する。 ・さらに、X線回折測定結果により表される黒鉛構造
が、ほぼ同程度の炭素材においても、ホウ素化合物の存
在下黒鉛化された炭素材のほうが、ホウ素化合物を使用
しない場合の炭素材より、放電容量、充放電効率等の電
池の性能面で優れた結果を示した。このため、本発明で
得られる炭素材と同程度の電池性能を得ようとすると、
ホウ素化合物を使用しない場合は、さらに高温度の31
00℃程度が要求される。この3100℃というような
高温度は、コスト面もさることながら、現在の技術水準
では、安定連続運転が困難な状況にあり、また、炭素の
昇華温度(3370℃)により近づく点からも好ましく
ない。
【0042】(ロ)炭素粒子及び/又は黒鉛粒子の添加;
本発明において、上記の黒鉛化処理を行う場合、黒鉛化
触媒に加え炭素粒子及び/又は黒鉛粒子を添加して黒鉛
化処理を行う。これら粒子を添加することにより、必ず
しも理由は明確ではないが、黒鉛化処理中に黒鉛化触媒
・窒化物をこれら粒子が吸着・吸収することよりは、黒
鉛化熱処理中に生成する例えばホウ素ガス、窒化ホウ素
ガスなどの黒鉛化処理層内における拡散性・放散性を向
上させることができる。その結果として黒鉛化粒子表面
への黒鉛化触媒・窒化物の生成・付着に関して、リチウ
ム二次電池負極にしたときにリチウムの吸蔵・放出を損
なわない様にすることができると考えられる。
本発明において、上記の黒鉛化処理を行う場合、黒鉛化
触媒に加え炭素粒子及び/又は黒鉛粒子を添加して黒鉛
化処理を行う。これら粒子を添加することにより、必ず
しも理由は明確ではないが、黒鉛化処理中に黒鉛化触媒
・窒化物をこれら粒子が吸着・吸収することよりは、黒
鉛化熱処理中に生成する例えばホウ素ガス、窒化ホウ素
ガスなどの黒鉛化処理層内における拡散性・放散性を向
上させることができる。その結果として黒鉛化粒子表面
への黒鉛化触媒・窒化物の生成・付着に関して、リチウ
ム二次電池負極にしたときにリチウムの吸蔵・放出を損
なわない様にすることができると考えられる。
【0043】(ハ)炭素粒子及び/又は黒鉛粒子;黒鉛化
処理前に添加する炭素粒子及び/又は黒鉛粒子として
は、本質的には黒鉛化処理の際に溶融、変質しない粒子
であれば特に限定されないが、例えば黒鉛(天然黒鉛、
人造黒鉛)粒子、黒鉛化ブリーズコークス、ミルド化炭
素繊維の凝集物粒子、黒鉛化炭素繊維などが挙げられ
る。ミルド化炭素繊維の凝集物粒子としては、黒鉛化さ
れたもの(即ちミルド化黒鉛繊維の凝集物粒子)の他、
黒鉛化の程度の低いもの、或いはいわゆる炭化レベルの
ものも使うことができる。
処理前に添加する炭素粒子及び/又は黒鉛粒子として
は、本質的には黒鉛化処理の際に溶融、変質しない粒子
であれば特に限定されないが、例えば黒鉛(天然黒鉛、
人造黒鉛)粒子、黒鉛化ブリーズコークス、ミルド化炭
素繊維の凝集物粒子、黒鉛化炭素繊維などが挙げられ
る。ミルド化炭素繊維の凝集物粒子としては、黒鉛化さ
れたもの(即ちミルド化黒鉛繊維の凝集物粒子)の他、
黒鉛化の程度の低いもの、或いはいわゆる炭化レベルの
ものも使うことができる。
【0044】(ニ)炭素粒子及び/又は黒鉛化粒子の平均
粒径;黒鉛化熱処理の際に添加する炭素粒子及び/又は
黒鉛化粒子の平均粒径は、0.1mm以上10mm以下
であり、好ましくは0.3mm以上8mm以下、更に好
ましくは0.5mm以上5mm以下である。平均粒径が
0.1mmより小さい場合は黒鉛化触媒窒化物などのガ
スの拡散効果が十分でないため、炭素材表面に生成する
黒鉛化触媒窒化物の低減効果が十分でないばかりでな
く、炭素材との分離も困難となる。また、平均粒径が1
0mmを越える場合は、当該粒子の嵩高さのため添加効
果は無くなり好ましくない。
粒径;黒鉛化熱処理の際に添加する炭素粒子及び/又は
黒鉛化粒子の平均粒径は、0.1mm以上10mm以下
であり、好ましくは0.3mm以上8mm以下、更に好
ましくは0.5mm以上5mm以下である。平均粒径が
0.1mmより小さい場合は黒鉛化触媒窒化物などのガ
スの拡散効果が十分でないため、炭素材表面に生成する
黒鉛化触媒窒化物の低減効果が十分でないばかりでな
く、炭素材との分離も困難となる。また、平均粒径が1
0mmを越える場合は、当該粒子の嵩高さのため添加効
果は無くなり好ましくない。
【0045】(ホ)炭素粒子及び/又は黒鉛化粒子の添加
量;炭素粒子及び/又は黒鉛化粒子の添加量は、黒鉛化
処理する炭素材又はミルド化炭素繊維に対して、5重量
%以上35重量%以下、好ましくは5重量%以上25重
量%以下であり、黒鉛化炭素材と均一に混合した後、黒
鉛化熱処理を行う。添加量が5重量%未満の場合は、例
えば窒化ホウ素ガスなど黒鉛化処理中に生成する黒鉛化
触媒窒化物などのガスの拡散効果が十分でないため、期
待する効果を得ることができない。また、添加量が35
重量%を越える場合には、効果はあまり変わらないが、
得られる黒鉛化炭素材の量が少なくなるため経済的に好
ましくない。これら粒子は、炭素材に黒鉛化触媒を加え
た後に添加してもよいし、黒鉛化触媒と同時に添加して
も良いし、粒子を添加した後に黒鉛化触媒を添加するこ
ともできる。 (ヘ)炭素粒子及び/又は黒鉛化粒子の形状;炭素粒子及
び/又は黒鉛化粒子の形状は、特に制限されないが、一
般的には球形、破砕粒子形、金平糖状、いがぐり状、不
定形状等を挙げることができる。
量;炭素粒子及び/又は黒鉛化粒子の添加量は、黒鉛化
処理する炭素材又はミルド化炭素繊維に対して、5重量
%以上35重量%以下、好ましくは5重量%以上25重
量%以下であり、黒鉛化炭素材と均一に混合した後、黒
鉛化熱処理を行う。添加量が5重量%未満の場合は、例
えば窒化ホウ素ガスなど黒鉛化処理中に生成する黒鉛化
触媒窒化物などのガスの拡散効果が十分でないため、期
待する効果を得ることができない。また、添加量が35
重量%を越える場合には、効果はあまり変わらないが、
得られる黒鉛化炭素材の量が少なくなるため経済的に好
ましくない。これら粒子は、炭素材に黒鉛化触媒を加え
た後に添加してもよいし、黒鉛化触媒と同時に添加して
も良いし、粒子を添加した後に黒鉛化触媒を添加するこ
ともできる。 (ヘ)炭素粒子及び/又は黒鉛化粒子の形状;炭素粒子及
び/又は黒鉛化粒子の形状は、特に制限されないが、一
般的には球形、破砕粒子形、金平糖状、いがぐり状、不
定形状等を挙げることができる。
【0046】(ト)混合後の黒鉛化処理;炭素繊維ミルド
に黒鉛化触媒と炭素粒子及び/又は黒鉛粒子を添加した
混合物を、例えばミキサーなどで均一に混合した後、黒
鉛化炉(例えば、アチソン炉)で不活性雰囲気下230
0℃以上、好ましくは2500℃以上3000℃以下の
温度で黒鉛化する。高度に黒鉛化するためには黒鉛化処
理温度はできるだけ高い方が好ましい。2300℃未満
では黒鉛化度が十分でなく、また3000℃を越えると
商業ベースでは炉材の損傷が著しく、また加熱コストも
極端に高くなるのであまり好ましくない。
に黒鉛化触媒と炭素粒子及び/又は黒鉛粒子を添加した
混合物を、例えばミキサーなどで均一に混合した後、黒
鉛化炉(例えば、アチソン炉)で不活性雰囲気下230
0℃以上、好ましくは2500℃以上3000℃以下の
温度で黒鉛化する。高度に黒鉛化するためには黒鉛化処
理温度はできるだけ高い方が好ましい。2300℃未満
では黒鉛化度が十分でなく、また3000℃を越えると
商業ベースでは炉材の損傷が著しく、また加熱コストも
極端に高くなるのであまり好ましくない。
【0047】(vii) 後処理等;以上のように黒鉛化処理
した後、黒鉛化炭素粉末と炭素粒子及び/又は黒鉛粒子
とを公知の方法、例えば篩い分けなどにより分離する。
更に、必要なら得られた高黒鉛化炭素材を分級、粒径分
布の調整、均一化などの処理を行っても良い。 (viii) 黒鉛化炭素材の精製;一般的に、炭素材中に含
まれる窒素、酸素、硫黄、金属分等の不純物は、大部分
が黒鉛化処理時に系外に排出されるが、さらに高純度の
炭素材を得るためには、炭素化或いは黒鉛化処理時に塩
素等のハロゲンガスを導入し炭素材中の不純物と反応さ
せ、不純物をハロゲン化物として系外に取り除く方法等
により高純度化処理することが可能である。もちろん、
炭素材用原料ピッチを製造する際には、出発原料として
出来るだけ不純物の少ない原料を選ぶとともに、濾過等
により不純物を減少させることが好ましい。
した後、黒鉛化炭素粉末と炭素粒子及び/又は黒鉛粒子
とを公知の方法、例えば篩い分けなどにより分離する。
更に、必要なら得られた高黒鉛化炭素材を分級、粒径分
布の調整、均一化などの処理を行っても良い。 (viii) 黒鉛化炭素材の精製;一般的に、炭素材中に含
まれる窒素、酸素、硫黄、金属分等の不純物は、大部分
が黒鉛化処理時に系外に排出されるが、さらに高純度の
炭素材を得るためには、炭素化或いは黒鉛化処理時に塩
素等のハロゲンガスを導入し炭素材中の不純物と反応さ
せ、不純物をハロゲン化物として系外に取り除く方法等
により高純度化処理することが可能である。もちろん、
炭素材用原料ピッチを製造する際には、出発原料として
出来るだけ不純物の少ない原料を選ぶとともに、濾過等
により不純物を減少させることが好ましい。
【0048】(C) リチウム二次電池負極材としての用
途; (i) 本発明の高黒鉛化炭素材の用途の例として、リチウ
ム二次電池負極材に適用した場合を示す。本発明により
得られた黒鉛化炭素材は、ポリテトラフルオロエチレン
やポリフッ化ビニリデン等のバインダーを添加し、負極
とするに好適な形状、例えばシート又は板状に加圧ロー
ル成形した後、対極にリチウム金属を用いて還元処理を
行うことによって容易に高性能な負極とすることができ
る。このようにして作られた炭素材からの負極は、単位
体積当たりの容量が大きく、電池の小型化に好適であ
る。
途; (i) 本発明の高黒鉛化炭素材の用途の例として、リチウ
ム二次電池負極材に適用した場合を示す。本発明により
得られた黒鉛化炭素材は、ポリテトラフルオロエチレン
やポリフッ化ビニリデン等のバインダーを添加し、負極
とするに好適な形状、例えばシート又は板状に加圧ロー
ル成形した後、対極にリチウム金属を用いて還元処理を
行うことによって容易に高性能な負極とすることができ
る。このようにして作られた炭素材からの負極は、単位
体積当たりの容量が大きく、電池の小型化に好適であ
る。
【0049】(ii) 電解液;本発明による黒鉛化炭素材
を負極に用い、リチウムイオン二次電池を作製する場合
には、電解液としてはリチウム塩を溶解し得るものであ
ればよいが、特に非プロトン性の誘電率が大きい有機溶
媒が好ましい。上記有機溶媒としては、例えば、プロピ
レンカーボネート、エチレンカーボネート、テトラヒド
ロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラ
ン、4−メチル−ジオキソラン、アセトニトリル、ジメ
チルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチ
ルカーボネート等を挙げることができる。これらの溶媒
を単独あるいは適宜混合して用いることが可能である。
を負極に用い、リチウムイオン二次電池を作製する場合
には、電解液としてはリチウム塩を溶解し得るものであ
ればよいが、特に非プロトン性の誘電率が大きい有機溶
媒が好ましい。上記有機溶媒としては、例えば、プロピ
レンカーボネート、エチレンカーボネート、テトラヒド
ロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラ
ン、4−メチル−ジオキソラン、アセトニトリル、ジメ
チルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチ
ルカーボネート等を挙げることができる。これらの溶媒
を単独あるいは適宜混合して用いることが可能である。
【0050】(iii) 電解質;電解質としては、安定なア
ニオンを生成するリチウム塩、例えば、過塩素酸リチウ
ム、ホウフッ化リチウム、六塩化アンチモン酸リチウ
ム、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)等が好適で
ある。 (iv)正極;また、リチウムイオン二次電池の正極として
は、例えば、酸化クロム、酸化チタン、酸化コバルト、
五酸化バナジウム等の金属酸化物や、リチウムマンガン
酸化物(LiMn2O4)、リチウムコバルト酸化物(L
iCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)
等のリチウム金属酸化物;硫化チタン、硫化モリブデン
等の遷移金属のカルコゲン化合物;及びポリアセチレ
ン、ポリパラフェニレン、ポリピロール等の導電性を有
する共役系高分子物質等を用いることが出来る。
ニオンを生成するリチウム塩、例えば、過塩素酸リチウ
ム、ホウフッ化リチウム、六塩化アンチモン酸リチウ
ム、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)等が好適で
ある。 (iv)正極;また、リチウムイオン二次電池の正極として
は、例えば、酸化クロム、酸化チタン、酸化コバルト、
五酸化バナジウム等の金属酸化物や、リチウムマンガン
酸化物(LiMn2O4)、リチウムコバルト酸化物(L
iCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)
等のリチウム金属酸化物;硫化チタン、硫化モリブデン
等の遷移金属のカルコゲン化合物;及びポリアセチレ
ン、ポリパラフェニレン、ポリピロール等の導電性を有
する共役系高分子物質等を用いることが出来る。
【0051】(vi)電池の構成;これらの正極と負極と
の間に合成繊維製又はガラス繊維製の不織布、織布やポ
リオレフィン系多孔質膜、ポリテトラフルオロエチレン
の不織布等のセパレータを設ける。また、従来の電池と
同様に集電体を使用することができる。負極集電体とし
ては、電極、電解液等に電気化学的に不活性な導体、例
えば銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼などの金属を
板、箔、棒の形態で使用できる。本発明の二次電池は、
前記セパレータ、集電体、ガスケット、封口板、ケース
等の電池構成要素と本発明の特定の負極を用い、常法に
従って円筒型、角型或いはボタン型等の形態のリチウム
イオン二次電池に組立てることができる。
の間に合成繊維製又はガラス繊維製の不織布、織布やポ
リオレフィン系多孔質膜、ポリテトラフルオロエチレン
の不織布等のセパレータを設ける。また、従来の電池と
同様に集電体を使用することができる。負極集電体とし
ては、電極、電解液等に電気化学的に不活性な導体、例
えば銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼などの金属を
板、箔、棒の形態で使用できる。本発明の二次電池は、
前記セパレータ、集電体、ガスケット、封口板、ケース
等の電池構成要素と本発明の特定の負極を用い、常法に
従って円筒型、角型或いはボタン型等の形態のリチウム
イオン二次電池に組立てることができる。
【0052】
【作用】このようにホウ素化合物のような黒鉛化触媒の
存在下、好適にはミルド化炭素繊維に炭素粒子及び/又
は黒鉛粒子を添加した状態で黒鉛化処理することによ
り、ホウ素化合物などの黒鉛化触媒の作用原理は明らか
ではないが、高度に黒鉛化が進み、充放電効率が大き
く、かつ電圧効率が安定化する等性能の優れた、リチウ
ム二次電池用、炭素−炭素複合材、強化プラスチック用
補強繊維等として好適な高黒鉛化炭素材、特にメソフェ
ーズピッチ系高黒鉛化炭素材を提供することができる。
存在下、好適にはミルド化炭素繊維に炭素粒子及び/又
は黒鉛粒子を添加した状態で黒鉛化処理することによ
り、ホウ素化合物などの黒鉛化触媒の作用原理は明らか
ではないが、高度に黒鉛化が進み、充放電効率が大き
く、かつ電圧効率が安定化する等性能の優れた、リチウ
ム二次電池用、炭素−炭素複合材、強化プラスチック用
補強繊維等として好適な高黒鉛化炭素材、特にメソフェ
ーズピッチ系高黒鉛化炭素材を提供することができる。
【0053】
【実施例】以下実施例により更に具体的に説明するが、
これらは本発明の範囲を制限するものではない。 (実施例1)光学的に異方性で比重1.25の石油系メ
ソフェーズピッチを原料として、幅3mmのスリットの
中に直径0.2mmφの紡糸孔を一列に500個有する
口金を用い、スリットから加熱空気を噴出させて、溶融
ピッチを牽引して平均直径13μmのピッチ繊維を製造
した。この時、紡糸温度は360℃、吐出量は0.8g
/H・分であった。紡出された繊維を、補修部分が20
メッシュのステンレス製金網で出来たベルトの背面から
吸引しつつベルト上に捕集した。
これらは本発明の範囲を制限するものではない。 (実施例1)光学的に異方性で比重1.25の石油系メ
ソフェーズピッチを原料として、幅3mmのスリットの
中に直径0.2mmφの紡糸孔を一列に500個有する
口金を用い、スリットから加熱空気を噴出させて、溶融
ピッチを牽引して平均直径13μmのピッチ繊維を製造
した。この時、紡糸温度は360℃、吐出量は0.8g
/H・分であった。紡出された繊維を、補修部分が20
メッシュのステンレス製金網で出来たベルトの背面から
吸引しつつベルト上に捕集した。
【0054】この捕集したマットを空気中、室温から3
00℃まで平均昇温速度6℃/分で昇温して不融化処理
を行った。引続き、この不融化糸を700℃で軽度に炭
化処理した後、クロスフローミルで粉砕し平均粒径18
μの炭素繊維ミルドを得た。この前駆体ミルド100重
量%に対し、平均粒径150μmの酸化ホウ素を3重量
%、及び平均粒子径0.3〜8mmの黒鉛化ブリーズコ
ークス(以後GBと略記することがある)を10重量%
それぞれ添加し、均一になるように撹拌混合した後、3
000℃まで3℃/分の速度で昇温し、さらに3000
℃で1時間保持した。得られた高黒鉛化炭素繊維表面を
光電子分光(ESCA)法により測定したところ、表面の
ホウ素と窒素の存在量は合わせて5.5原子%であっ
た。黒鉛化したミルド繊維のX線回折の測定結果を表1
に示した。この黒鉛化ミルド繊維4.00gを0.15
gのポリテトラフルオロエチレンと混練しペレットを作
製し負極とした後、3極セルで充放電試験を行った。
00℃まで平均昇温速度6℃/分で昇温して不融化処理
を行った。引続き、この不融化糸を700℃で軽度に炭
化処理した後、クロスフローミルで粉砕し平均粒径18
μの炭素繊維ミルドを得た。この前駆体ミルド100重
量%に対し、平均粒径150μmの酸化ホウ素を3重量
%、及び平均粒子径0.3〜8mmの黒鉛化ブリーズコ
ークス(以後GBと略記することがある)を10重量%
それぞれ添加し、均一になるように撹拌混合した後、3
000℃まで3℃/分の速度で昇温し、さらに3000
℃で1時間保持した。得られた高黒鉛化炭素繊維表面を
光電子分光(ESCA)法により測定したところ、表面の
ホウ素と窒素の存在量は合わせて5.5原子%であっ
た。黒鉛化したミルド繊維のX線回折の測定結果を表1
に示した。この黒鉛化ミルド繊維4.00gを0.15
gのポリテトラフルオロエチレンと混練しペレットを作
製し負極とした後、3極セルで充放電試験を行った。
【0055】試験は、陽極及び参照電極に金属リチウム
を用い、エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカー
ボネート(DMC)を体積比で1/1に調整した混合炭
酸エステル溶媒に、電解質として過塩素酸リチウム(L
iCl04)を1モルの濃度で溶解させた電解液中で実
施し、充放電容量特性を測定した。充放電容量特性の測
定は、100mA/gの定電流充放電下で行い、測定電
位範囲は対参照電極電位(0〜2V/Li/Li+ )
で、10回繰返し測定した。測定結果を合わせて表1に
示す。初回の放電容量345mAh/g、充放電効率9
2.4%といずれも高い値を示した。
を用い、エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカー
ボネート(DMC)を体積比で1/1に調整した混合炭
酸エステル溶媒に、電解質として過塩素酸リチウム(L
iCl04)を1モルの濃度で溶解させた電解液中で実
施し、充放電容量特性を測定した。充放電容量特性の測
定は、100mA/gの定電流充放電下で行い、測定電
位範囲は対参照電極電位(0〜2V/Li/Li+ )
で、10回繰返し測定した。測定結果を合わせて表1に
示す。初回の放電容量345mAh/g、充放電効率9
2.4%といずれも高い値を示した。
【0056】(実施例2)黒鉛化ブリーズコークスを平
均粒子径約100μmの炭素繊維凝集粒子とし、実施例
1と同様に前駆体ミルドを黒鉛化処理した。実施例1と
同様に負極を作製し、充放電容量特性を測定した。得ら
れた黒鉛化ミルド繊維の、光電子分光(ESCA)法によ
る繊維表面のホウ素と窒素の存在量は合わせて5.9原
子%であった。また、X線回折の測定結果、及び充放電
容量特性の測定結果を実施例1と合わせて表1に示し
た。
均粒子径約100μmの炭素繊維凝集粒子とし、実施例
1と同様に前駆体ミルドを黒鉛化処理した。実施例1と
同様に負極を作製し、充放電容量特性を測定した。得ら
れた黒鉛化ミルド繊維の、光電子分光(ESCA)法によ
る繊維表面のホウ素と窒素の存在量は合わせて5.9原
子%であった。また、X線回折の測定結果、及び充放電
容量特性の測定結果を実施例1と合わせて表1に示し
た。
【0057】
【表1】
【0058】(実施例3)実施例1に記載の平均粒子径
0.3〜8mmの黒鉛化ブリーズコークスの添加量のみ
を変え、以下実施例1と同様にして黒鉛化ミルド繊維を
作製し、X線回折、光電子分光(ESCA)分析による繊
維表面のホウ素と窒素の合計存在量、及び充放電容量特
性の測定を行った。その結果を表2に示した。
0.3〜8mmの黒鉛化ブリーズコークスの添加量のみ
を変え、以下実施例1と同様にして黒鉛化ミルド繊維を
作製し、X線回折、光電子分光(ESCA)分析による繊
維表面のホウ素と窒素の合計存在量、及び充放電容量特
性の測定を行った。その結果を表2に示した。
【0059】(実施例4)実施例1に記載の黒鉛化触媒
を炭化ホウ素に変え、添加量を3重量%として、以下実
施例3と同様にして黒鉛化ミルド繊維を作製し、X線回
折、光電子分光(ESCA)分析による繊維表面のホウ素
と窒素の合計存在量、及び充放電特性の測定を行った。
結果を表3に示した。
を炭化ホウ素に変え、添加量を3重量%として、以下実
施例3と同様にして黒鉛化ミルド繊維を作製し、X線回
折、光電子分光(ESCA)分析による繊維表面のホウ素
と窒素の合計存在量、及び充放電特性の測定を行った。
結果を表3に示した。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】(比較例1)実施例1と同様の原料を、黒
鉛化ブリーズコークスを添加しない状態で、黒鉛化処理
し、負極を作製し、実施例1と同様に充放電特性を測定
した。得られた黒鉛化ミルド繊維表面を光電子分光法に
より測定したところ、繊維表面のホウ素と窒素の存在量
は合わせて19.6原子%であった。また、X線回折の
測定結果、及び充放電容量特性の測定結果を表4に示し
た。X線回折結果は、実施例1相当ではあるが、充放電
容量特性は異なるものであった。
鉛化ブリーズコークスを添加しない状態で、黒鉛化処理
し、負極を作製し、実施例1と同様に充放電特性を測定
した。得られた黒鉛化ミルド繊維表面を光電子分光法に
より測定したところ、繊維表面のホウ素と窒素の存在量
は合わせて19.6原子%であった。また、X線回折の
測定結果、及び充放電容量特性の測定結果を表4に示し
た。X線回折結果は、実施例1相当ではあるが、充放電
容量特性は異なるものであった。
【0063】
【表4】
【0064】(比較例2)実施例4に記載の黒鉛化ブリ
ーズコークスの平均粒子径を10〜25mmとして、以
下実施例4と同様に黒鉛化ミルド繊維を作製し、X線回
折、光電子分光(ESCA)分析による繊維表面のホウ
素と窒素の合計存在量、及び充放電特性の測定を行っ
た。結果を表5に示した。黒鉛化ブリーズコークスの平
均粒子径が10mmを越えると、ホウ素と窒素の合計存
在量は、当該ブリーズコークスを添加しない系と同様な
傾向を示し、放電容量ならびに初回効率ともに低いもの
となった。
ーズコークスの平均粒子径を10〜25mmとして、以
下実施例4と同様に黒鉛化ミルド繊維を作製し、X線回
折、光電子分光(ESCA)分析による繊維表面のホウ
素と窒素の合計存在量、及び充放電特性の測定を行っ
た。結果を表5に示した。黒鉛化ブリーズコークスの平
均粒子径が10mmを越えると、ホウ素と窒素の合計存
在量は、当該ブリーズコークスを添加しない系と同様な
傾向を示し、放電容量ならびに初回効率ともに低いもの
となった。
【0065】
【表5】
【0066】
【発明の効果】本発明により、炭素材を黒鉛化触媒の存
在下で炭素粒子及び/又は黒鉛粒子を添加した状態で黒
鉛化処理することにより、高度に黒鉛化し、且つ表面の
黒鉛化触媒・窒化物の生成量があっても、初回放電容量
・充放電効率が高く、且つ充放電サイクル特性に優れた
リチウム二次電池や炭素−炭素複合材や強化プラスチッ
ク用補強材に適した高黒鉛化炭素材を提供できる。
在下で炭素粒子及び/又は黒鉛粒子を添加した状態で黒
鉛化処理することにより、高度に黒鉛化し、且つ表面の
黒鉛化触媒・窒化物の生成量があっても、初回放電容量
・充放電効率が高く、且つ充放電サイクル特性に優れた
リチウム二次電池や炭素−炭素複合材や強化プラスチッ
ク用補強材に適した高黒鉛化炭素材を提供できる。
フロントページの続き (72)発明者 山本 哲夫 茨城県鹿島郡神栖町東和田4番地 株式会 社ペトカ内 (72)発明者 吉川 利浩 茨城県鹿島郡神栖町東和田4番地 株式会 社ペトカ内 Fターム(参考) 4G046 EA02 EB04 EC01 EC06 4L037 CS04 FA02 PF07 PG02 PP02 PP03 PP38 PS12 UA01 UA04 5H029 AJ03 AJ05 CJ02 CJ22 CJ28 DJ10 DJ15 DJ16 EJ03 HJ01 HJ02 HJ05 HJ14 5H050 AA07 AA08 BA17 CB08 DA16 EA01 FA16 FA17 FA18 GA02 GA22 GA27 HA01 HA02 HA05 HA14
Claims (7)
- 【請求項1】 メソフェーズピッチ原料から常法により
得られたメソフェーズピッチ系炭素繊維ミルドを、ホウ
素化合物から構成される黒鉛化触媒の存在下で炭素粒子
又は/及び黒鉛粒子を添加した状態で黒鉛化した黒鉛化
メソフェーズピッチ系炭素繊維材であって、 該黒鉛化炭素繊維材の表面のホウ素原子濃度+窒素原子
濃度が、光電子分光法(ESCA法と略称)で測定して
30原子%未満であることを特徴とする、黒鉛化炭素
材。 - 【請求項2】 該メソフェーズピッチ系炭素繊維ミルド
が、10〜50μmの平均粒径及び1以上30以下のア
スペクト比を有することを特徴とする、請求項1記載の
黒鉛化炭素材。 - 【請求項3】 該黒鉛化炭素繊維材の表面のホウ素原子
濃度+窒素原子濃度がESCA法で測定して15原子%
未満である該黒鉛化炭素材からなることを特徴とする、
請求項1又は2記載の黒鉛化炭素材。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の黒鉛化
炭素材からなることを特徴とするリチウム二次電池負極
材。 - 【請求項5】 炭素原料を常法により所望の形状に成形
(紡糸)し、不融化し、更にそのまま或いは更に250
℃以上1500℃以下で不活性雰囲気中で軽度炭化処理
した後にミルド化し、次にホウ素化合物から構成される
黒鉛化触媒の存在下で炭素粒子又は/及び黒鉛粒子を添
加した状態で2300℃以上の温度で黒鉛化処理して、
該黒鉛化炭素材の表面のホウ素原子濃度+窒素原子濃度
が、ESCA法で測定して30原子%未満である黒鉛化
炭素材を製造することを特徴とする、黒鉛化炭素材の製
造方法。 - 【請求項6】 該炭素粒子又は/及び黒鉛粒子の添加量
が、5重量%以上35重量%以下であり、当該粒子の平
均粒子径を0.1〜10mmとすることを特徴とする、
請求項5記載の黒鉛化炭素材の製造方法。 - 【請求項7】 該黒鉛化触媒がホウ素化合物を主体と
し、かつ該ホウ素化合物を、ミルド化炭素材100重量
%に対してホウ素原子換算量で0.2〜5重量%とする
ことを特徴とする、請求項5又は6記載の黒鉛化炭素材
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000337174A JP2002146635A (ja) | 2000-11-06 | 2000-11-06 | 高黒鉛化炭素材、その製造方法及びその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000337174A JP2002146635A (ja) | 2000-11-06 | 2000-11-06 | 高黒鉛化炭素材、その製造方法及びその用途 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002146635A true JP2002146635A (ja) | 2002-05-22 |
Family
ID=18812600
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000337174A Pending JP2002146635A (ja) | 2000-11-06 | 2000-11-06 | 高黒鉛化炭素材、その製造方法及びその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002146635A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005289661A (ja) * | 2004-03-31 | 2005-10-20 | Jfe Chemical Corp | 炭素材料、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 |
KR100817745B1 (ko) | 2004-11-04 | 2008-03-31 | 롬 앤드 하아스 컴패니 | 에너지 저장 장치에 유용한 탄소 |
JP2010262925A (ja) * | 2009-04-30 | 2010-11-18 | Ls Mtron Ltd | リチウム二次電池用アノード活物質とこれを含むリチウム二次電池 |
US7854913B2 (en) | 2005-11-22 | 2010-12-21 | Samsung Sdi Co., Ltd. | Mesoporous carbon, method of preparing the same, and fuel cell using the carbon |
KR101432541B1 (ko) * | 2012-07-13 | 2014-08-25 | 한국과학기술연구원 | 그라핀 탄소섬유 조성물 및 탄소섬유의 제조방법 |
KR20200022650A (ko) * | 2018-08-23 | 2020-03-04 | 한국화학연구원 | 폐 pet를 활용한 흑연의 제조방법 |
CN111916773A (zh) * | 2020-06-28 | 2020-11-10 | 中南大学 | 一种一体化PtCu/纳米碳纤维催化层及其制备方法和在燃料电池中的应用 |
CN115135822A (zh) * | 2020-03-03 | 2022-09-30 | 帝人株式会社 | 沥青基极细碳纤维和沥青基极细碳纤维分散体 |
-
2000
- 2000-11-06 JP JP2000337174A patent/JP2002146635A/ja active Pending
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP4628007B2 (ja) * | 2004-03-31 | 2011-02-09 | Jfeケミカル株式会社 | 炭素材料の製造方法、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 |
KR100817745B1 (ko) | 2004-11-04 | 2008-03-31 | 롬 앤드 하아스 컴패니 | 에너지 저장 장치에 유용한 탄소 |
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US10407801B2 (en) | 2012-07-13 | 2019-09-10 | Korea Institute Of Science And Technology | Carbon fiber composition including graphene nano-powder and fabrication method for carbon fiber using the same |
KR20200022650A (ko) * | 2018-08-23 | 2020-03-04 | 한국화학연구원 | 폐 pet를 활용한 흑연의 제조방법 |
KR102158039B1 (ko) * | 2018-08-23 | 2020-09-21 | 한국화학연구원 | 폐 pet를 활용한 흑연의 제조방법 |
CN115135822A (zh) * | 2020-03-03 | 2022-09-30 | 帝人株式会社 | 沥青基极细碳纤维和沥青基极细碳纤维分散体 |
CN115135822B (zh) * | 2020-03-03 | 2024-04-30 | 帝人株式会社 | 沥青基极细碳纤维和沥青基极细碳纤维分散体 |
CN111916773A (zh) * | 2020-06-28 | 2020-11-10 | 中南大学 | 一种一体化PtCu/纳米碳纤维催化层及其制备方法和在燃料电池中的应用 |
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