JP2002146142A - エチレン−ビニルアルコール共重合体組成物およびそれを用いた多層容器 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール共重合体組成物およびそれを用いた多層容器

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伸二 田井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素、炭酸ガス等に対する良好なガスバリア
性、防湿性、保香性、フレーバーバリア性を有し、かつ
酸素掃去機能を有する樹脂組成物、および該樹脂組成物
でなる層を含み、外観、特に透明性が良好で、かつ耐衝
撃剥離性が大幅に改善された多層容器を提供する。 【解決手段】 エチレン−ビニルアルコール共重合体
(A)70〜99.9重量%および該エチレン−ビニル
アルコール共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂(B)
0.1〜30重量%を含有する樹脂組成物であって、該
エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン
含有量ETa(モル%)およびケン化度SDa(%)
が、下記式(1)および(2)を満足し: 25≦ETa≦55 (1) 90≦SDa<99 (2)、 そして該樹脂組成物の酸素吸収速度が0.01ml/m
・day以上である、樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素、炭酸ガス等
に対する良好なガスバリア性、防湿性、保香性、および
フレーバーバリア性を有し、かつ酸素掃去機能を有する
樹脂組成物に関する。本発明はさらに、このような樹脂
組成物を用いた、外観、特に透明性が良好で、かつ耐衝
撃剥離性が大幅に改善された多層容器に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン−ビニルアルコール共重合体
(以下EVOHと略することがある)は、溶融成形が可
能で、酸素または炭酸ガスバリア性に優れている。その
ため、EVOHでなる層と、耐湿性、機械的特性等に優
れた熱可塑性樹脂(例えば、熱可塑性ポリエステル;以
下、熱可塑性ポリエステルをPESと略することがあ
る)の層とを含む多層構造体が、ガスバリア性を必要と
する各種成形体に利用されている。例えば、このような
多層構造体は、多層容器として、とりわけボトルの形態
で種々の分野で使用されている。例えば、食品、飲料、
医薬品、化粧品、トイレタリー等の分野で広く使用され
ている。
【0003】前記の多層容器は、酸素、炭酸ガス等のバ
リア性に優れるものの、缶詰等に使用される金属素材
や、瓶詰め等に使用されるガラスのように、酸素等のガ
スの透過性はゼロに限りなく近いというわけではなく、
無視し得ない量のガスを透過する。特に、食品等の容器
においては、長期間保存した場合の内容物の酸化による
品質の低下が懸念されるため、酸素バリア性の改良が強
く望まれている。
【0004】一方、内容物を充填する時に、内容物とと
もに酸素が容器内に混入することがある。内容物が酸化
されやすいものである場合、この微量の酸素によって
も、内容物の品質が低下するおそれがあり、これを防ぐ
ために、容器の材料に酸素掃去機能を付与することが提
案されている。この場合、容器外部から内部に侵入しよ
うとする酸素も掃去されるので、包装材料のガスバリア
性も向上するという利点がある。
【0005】例えば、容器の材料を構成するEVOHに
酸素掃去機能を付与する方法としては、EVOHに遷
移金属等の酸化触媒を加えることにより、EVOHを酸
化され易い状態にして酸素掃去機能を付与する方法(特
開平4−211444号公報);ポリオレフィンと酸
化触媒からなる樹脂組成物、すなわち酸化され易い状態
のポリオレフィンをEVOH中に分散させて、EVOH
に酸素掃去機能を付与する方法(特開平5−15609
5号公報);EVOH、ポリオレフィンおよび酸化触
媒を配合し、EVOHおよびポリオレフィンを酸化され
易い状態にして酸素掃去機能を付与する方法(特開平5
−170980号公報)等が知られている。しかしなが
ら、上記したの方法は酸素バリア性の向上効果が十分
でなく、またおよびの方法は、EVOHの透明性が
著しく損なわれるという問題を有している。
【0006】さらに、前記の多層容器においては、特に
層間に接着性樹脂層を設けない場合、熱可塑性樹脂層
(例えば、PES層)とEVOH層との間に剥離が生じ
やすく、外観上の大きな問題となっている。この問題を
解決するために、PES層および特定の構成を持つEV
OH組成物層からなる多層容器が提案されている(特開
平11−348196号公報)。しかし、このような多
層容器の酸素バリア性は、依然として従来のEVOHの
水準を超えるものではなく、さらなる改善が求められて
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、良好
なガスバリア性、防湿性、保香性、およびフレーバーバ
リア性を有し、さらに酸素掃去機能を有する樹脂組成物
を提供することにある。本発明の他の目的は、前記樹脂
組成物からなる層を含み、高い耐衝撃剥離性を有し、酸
素に対し感受性が高く劣化しやすい製品、特に食品、飲
料、医薬品、化粧品等の保存に有用な多層容器を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の樹脂組成
物は、EVOH(A)70〜99.9重量%および該E
VOH(A)以外の熱可塑性樹脂(B)0.1〜30重
量%を含有する樹脂組成物であって、該EVOH(A)
のエチレン含有量ETa(モル%)およびケン化度SD
a(%)は、下記式(1)および(2)を満足し: 25≦ETa≦55 (1) 90≦SDa<99 (2)、 そして該樹脂組成物の酸素吸収速度は0.01ml/m
・day以上である。
【0009】本発明の第2の樹脂組成物は、EVOH
(A)70〜99.9重量%および該EVOH(A)以
外の熱可塑性樹脂(B)0.1〜30重量%を含有する
樹脂組成物であって;該EVOH(A)は、少なくとも
2種類のEVOH(a1)および(a2)を含有し;該
EVOH(a1)および(a2)のそれぞれのエチレン
含有量ETa1(モル%)、ETa2(モル%)、およ
びそれぞれのケン化度SDa1(%)、SDa2(%)
は下記式(3)〜(6)を満足し: 25≦ETa1≦55 (3) 90≦SDa1<99 (4) 25≦ETa2≦55 (5) 99≦SDa2 (6) 該EVOH(a1)および(a2)の含有割合(a1/
a2)が重量比で5/95〜95/5であり;そして該
樹脂組成物の酸素吸収速度は0.01ml/m ・da
y以上である。
【0010】好適な実施態様においては、上記第1およ
び第2の樹脂組成物において、熱可塑性樹脂(B)は炭
素−炭素二重結合を含有する。
【0011】好適な実施態様においては、上記第1およ
び第2の樹脂組成物は、さらに遷移金属塩(C)を含有
する。
【0012】本発明の第3の樹脂組成物は、EVOH
(A)、該EVOH(A)以外の熱可塑性樹脂(B)、
および遷移金属塩(C)を含有する樹脂組成物であっ
て、該EVOH(A)のエチレン含有量ETa(モル
%)およびケン化度SDa(%)は、下記式(1)およ
び(2)を満足し: 25≦ETa≦55 (1) 90≦SDa<99 (2)、 そして該熱可塑性樹脂(B)は炭素−炭素二重結合を有
する。
【0013】本発明の第4の樹脂組成物は、EVOH
(A)、該EVOH(A)以外の熱可塑性樹脂(B)、
および遷移金属塩(C)を含有する樹脂組成物であっ
て;該EVOH(A)は、少なくとも2種類のEVOH
(a1)および(a2)を含有し;該EVOH(a1)
および(a2)のそれぞれのエチレン含有量ETa1
(モル%)、ETa2(モル%)、およびそれぞれのケ
ン化度SDa1(%)、SDa2(%)は下記式(3)
〜(6)を満足し: 25≦ETa1≦55 (3) 90≦SDa1<99 (4) 25≦ETa2≦55 (5) 99≦SDa2 (6) 該EVOH(a1)および(a2)の含有割合(a1/
a2)は重量比で5/95〜95/5であり;そして該
熱可塑性樹脂(B)は炭素−炭素二重結合を有する。
【0014】好適な実施態様においては、上記第1およ
び第2の樹脂組成物が遷移金属塩(C)を含有する場合
の該遷移金属塩(C)の組成物中の含有量、および第3
および第4の樹脂組成物に含有される遷移金属塩(C)
の組成物中の含有量は、上記EVOH(A)および熱可
塑性樹脂(B)の合計重量を基準として、金属元素換算
で1〜5000ppmである。
【0015】好適な実施態様においては、上記遷移金属
塩(C)は、鉄、ニッケル、銅、マンガンおよびコバル
トからなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属を
有する。
【0016】好適な実施態様においては、上記第1およ
び第2の樹脂組成物において、熱可塑性樹脂(B)が炭
素−炭素二重結合を含有する場合、および第3および第
4の樹脂組成物においては、熱可塑性樹脂(B)は、炭
素−炭素二重結合を0.0001eq/g以上の割合で
含有する。
【0017】好適な実施態様においては、上記熱可塑性
樹脂(B)は下記構造式(I)
【0018】
【化2】
【0019】(式中、Rは水素原子または炭素原子数
1〜5のアルキル基、Rは水素原子、炭素原子数1〜
10のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、
アリールアルキル基またはアルコキシ基であり、R
よびRは各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜1
0のアルキル基、置換されていてもよいアリール基、−
COOR、−OCOR、シアノ基、またはハロゲン
原子であり、RおよびRは各々独立して炭素原子数
1〜10のアルキル基、アリール基、アルキルアリール
基、アリールアルキル基またはアルコキシ基である)で
示される単位を有する。
【0020】好適な実施態様においては、上記熱可塑性
樹脂(B)の分子量は1000〜500000である。
【0021】好適な実施態様においては、上記熱可塑性
樹脂(B)は芳香族ビニル化合物単位およびジエン化合
物単位を有する。
【0022】好適な実施態様においては、上記ジエン化
合物単位はイソプレン単位およびブタジエン単位のうち
の少なくとも一方である。
【0023】好適な実施態様においては、上記芳香族ビ
ニル化合物単位はスチレン単位である。
【0024】好適な実施態様においては、上記熱可塑性
樹脂(B)はブロック共重合体である。
【0025】好適な実施態様においては、上記EVOH
(A)と熱可塑性樹脂(B)との屈折率の差は0.01
以下である。
【0026】好適な実施態様においては、上記熱可塑性
樹脂(B)からなる粒子は、EVOH(A)のマトリッ
クス中に分散している。
【0027】本発明の多層構造体は、上記第1から第4
のいずれかの樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含
む。
【0028】本発明の多層容器は、上記第1から第4の
いずれかの樹脂組成物からなる層、および熱可塑性ポリ
エステル層をそれぞれ少なくとも1層含む。
【0029】好適な実施態様においては、本発明の多層
容器は、上記樹脂組成物からなる層の両面に熱可塑性ポ
リエステル層が直接接触するように配置された構成を有
する。
【0030】好適な実施態様においては、上記多層容器
は共射出ブロー成形によって得られる。
【0031】
【発明の実施の形態】本明細書において、酸素を“掃去
する”とは、与えられた環境から酸素を吸収・消費し、
またはその量を減少させることを言う。
【0032】[エチレン−ビニルアルコール共重合体
(A)]本発明に用いられるエチレン−ビニルアルコー
ル共重合体(A)(EVOH(A))は、以下に述べる
ように、特定のエチレン含有量およびケン化度を有す
る。このEVOH(A)は、例えば、エチレンとビニル
エステルとの共重合体、あるいはさらに他の単量体(後
述)を含む共重合体を、アルカリ触媒等を用いてケン化
することにより得られる。ビニルエステルとしては、酢
酸ビニルが代表的な化合物として挙げられるが、その他
の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリ
ン酸ビニル等)も使用できる。
【0033】本発明の第1の樹脂組成物および第3の樹
脂組成物に含有される、EVOH(A)のエチレン含有
量ETa(モル%)およびケン化度SDa(%)は、下
記式(1)および(2)を満足する。
【0034】 25≦ETa≦55 (1) 90≦SDa<99 (2)
【0035】ETaが25モル%未満の場合、EVOH
(A)の高湿度下でのガスバリア性が低下し、溶融成形
性も悪化する。逆に、ETaが55モル%を超える場
合、EVOH(A)のガスバリア性が不十分となる。E
Taは好適には30モル%以上であり、より好適には3
5モル%以上である。また、ETaは好適には50モル
%以下であり、より好適には45モル%以下である。す
なわち、ETaの範囲としては、好適には30〜50モ
ル%であり、より好適には35〜45モル%である。
【0036】本発明の第1の樹脂組成物および第3の樹
脂組成物に含有されるEVOH(A)は、ケン化度SD
aが99%未満である。このようなEVOH(A)を用
いる本発明の樹脂組成物は、接着性樹脂を使用しない場
合においても、他の樹脂との接着性が良好である。その
ため、例えば、本発明の組成物でなる層と他の樹脂、例
えばPES、でなる層とが互いに直接接触するような多
層容器を製造した場合にも、該容器は十分な耐衝撃剥離
性を有する。
【0037】SDaが90モル%未満の場合、EVOH
(A)の特に高湿度下におけるガスバリア性が不十分と
なる。さらに、熱安定性が悪化し、ゲル・ブツが発生
し、得られる成形物に含有されやすくなる。SDaは好
適には95%以上であり、より好適には96%以上であ
る。一方、SDaが99%を超える場合、得られる樹脂
組成物層とPES層との耐衝撃剥離性が不十分となる。
SDaは好適には98.5%以下であり、より好適には
98%以下である。すなわち、SDaの範囲としては、
好適には95〜98.5%であり、より好適には96〜
98%である。
【0038】本発明の第2の樹脂組成物および第4の樹
脂組成物に含有されるEVOH(A)は、少なくとも2
種類のEVOH(EVOH(a1)およびEVOH(a
2))からなり、EVOH(a1)およびEVOH(a
2)のそれぞれのエチレン含有量ETa1(モル%)、
ETa2(モル%)、およびそれぞれのケン化度SDa
1(%)、SDa2(%)は、下記式(3)〜(6)を
満足する。
【0039】 25≦ETa1≦55 (3) 90≦SDa1<99 (4) 25≦ETa2≦55 (5) 99≦SDa2 (6)
【0040】ETa1またはETa2が25モル%未満
の場合、EVOH(A)の高湿度下でのガスバリア性が
低下し、溶融成形性も悪化する。逆に、ETa1または
ETa2が55モル%を超える場合、EVOH(A)の
ガスバリア性が不十分となる。ETa1およびETa2
は好適には30モル%以上であり、より好適には35モ
ル%以上である。また、ETa1およびETa2は好適
には50モル%以下であり、より好適には45モル%以
下である。すなわち、ETa1およびETa2の範囲と
しては、好適には30〜50モル%であり、より好適に
は35〜45モル%である。
【0041】上記EVOH(a1)のケン化度SDa1
は99%未満であり、EVOH(a2)のケン化度SD
a2は99%以上である。このようなEVOH(a1)
とEVOH(a2)とを含むEVOH(A)を含有する
本発明の樹脂組成物は、その熱安定性、および他の樹脂
(例えばPES)との多層容器とした場合のガスバリア
性および耐衝撃剥離性において優れている。例えば、ケ
ン化度99%以上のEVOHを単独で用いた場合と比較
すると、樹脂組成物層とPES層との耐衝撃剥離性が顕
著に向上する。一方、ケン化度99%に満たないEVO
Hを単独で用いた場合と比較すると、ガスバリア性およ
び熱安定性が向上する。
【0042】SDa1が90モル%未満の場合、EVO
H(A)の特に高湿度下におけるガスバリア性が不十分
となる。さらに、熱安定性が悪化し、ゲル・ブツが発生
し、得られる成形物に含有されやすくなる。SDa1は
好適には95%以上であり、より好適には96%以上で
ある。一方、SDa1が99%を超える場合、得られる
樹脂組成物層とPES層との耐衝撃剥離性が不十分とな
る。SDa1は好適には98.5%以下であり、より好
適には98%以下である。すなわち、SDa1の範囲と
しては、好適には95〜98.5%であり、より好適に
は96〜98%である。
【0043】また、SDa2が99モル%未満の場合、
得られる樹脂組成物のガスバリア性および熱安定性が低
下する。SDa2は好適には99.3%以上であり、よ
り好適には99.5%以上である。
【0044】本発明の第2の樹脂組成物および第4の樹
脂組成物に含有されるEVOH(a1)およびEVOH
(a2)の含有割合(a1/a2)は重量比で5/95
〜95/5である。a1/a2が5/95未満の場合、
得られる樹脂組成物層と他の樹脂層(例えば、PES
層)との耐衝撃剥離性が不十分となる。a1/a2は、
ガスバリア性および樹脂組成物の酸素掃去機能、溶融成
形性、および該組成物でなる層と他の樹脂層(例えば、
PES層)とで構成される多層容器とした場合の、該樹
脂層との耐衝撃剥離性のバランスから、好適には10/
90〜90/10であり、より好適には15/85〜6
0/40であり、さらに好適には15/85〜50/5
0である。
【0045】本発明の第2の樹脂組成物および第4の樹
脂組成物において、上記EVOH(a)およびEVOH
(a2)に加えて、さらに第3のEVOH(EVOH
(a3))を含有する場合は、該EVOH(a3)のエ
チレン含有量ETa3(モル%)およびケン化度SDa
3は、下記式(3)’および(4)’を満足するか、ま
たは下記式(5)’および(6)’を満足する必要があ
る。さらに、第4のEVOH(EVOH(a4))を含
有する場合も同様である。
【0046】 25≦ETan≦55 (3)’ 90≦SDan<99 (4)’ 25≦ETan≦55 (5)’ 99≦SDan (6)’ ここで、nは「第n番目のEVOH」を表す添字であ
り、3以上の整数である。
【0047】この場合、EVOH(a1)と、上記式
(3)’および(4)’を満足するEVOH(an)と
の合計(S1)と、EVOH(a2)と、上記式
(5)’および(6)’を満足するEVOH(an)と
の合計(S2)との、重量比(S1/S2)は、5/9
5〜95/5である。
【0048】2種類以上のEVOHを含有する場合に
は、エチレン含有量が最も離れたEVOH同士のエチレ
ン含有量の差が25モル%以下であり、かつケン化度の
差が8%以下であることが好ましい。これらの条件から
外れる場合には、樹脂組成物層の透明性が損なわれる場
合がある。エチレン含有量の差は、より好適には20モ
ル%以下であり、さらに好適には15モル%以下であ
る。また、ケン化度の差はより好適には7%以下であ
り、さらに好適には5%以下である。
【0049】EVOHのエチレン含有量およびケン化度
は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができ
る。
【0050】このEVOHには、上述のように、本発明
の目的が阻害されない範囲で、エチレンおよびビニルア
ルコール以外の単量体を共重合成分として少量含有する
こともできる。このような単量体の例としては、次の化
合物が挙げられる:プロピレン、1−ブテン、イソブテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン等のα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル
酸、アクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン
酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリ
ル、そのアミド、その無水物;ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メト
キシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピ
ルトリメトキシシラン等のビニルシラン系化合物;不飽
和スルホン酸またはその塩;アルキルチオール類;ビニ
ルピロリドン類等。
【0051】中でも、EVOHに共重合成分としてビニ
ルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する
場合は、該EVOHを含む本発明の組成物を、基材とな
るべき樹脂(例えば、PES)と共に、共押出成形また
は共射出成形して多層構造体を得る際に、該基材樹脂と
の溶融粘性の整合性が改善され、均質な成形物の製造が
可能である。ビニルシラン系化合物としては、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に
用いられる。
【0052】さらに、EVOHにホウ素化合物が添加さ
れている場合にも、EVOHの溶融粘性が改善され、均
質な共押出または共射出成形物が得られる点で有効であ
る。ここでホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸エ
ステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具
体的には、ホウ酸類としては、オルトホウ酸(以下、ホ
ウ酸と略記することがある)、メタホウ酸、四ホウ酸等
が挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチ
ル、ホウ酸トリメチル等が挙げられ、ホウ酸塩としては
上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金
属塩、ホウ砂、水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられ
る。これらの化合物うちでもオルトホウ酸、水素化ホウ
素ナトリウムが好ましい。
【0053】ホウ素化合物が添加される場合に、その含
有量は好適にはホウ素元素換算で20〜2000pp
m、より好適には50〜1000ppmである。この範
囲にあることで加熱溶融時のトルク変動が抑制されたE
VOHを得ることができる。20ppm未満ではホウ素
化合物の添加効果が不十分となる場合がある。一方、2
000ppmを超えるとゲル化しやすく、成形性不良と
なる場合がある。
【0054】EVOHに、アルカリ金属塩を好適にはア
ルカリ金属元素換算で5〜5000ppm添加しておく
ことも層間接着性や相容性の改善のために効果的であ
る。アルカリ金属塩の添加量は、より好適にはアルカリ
金属元素換算で20〜1000ppm、さらに好適には
30〜500ppmである。アルカリ金属としては、リ
チウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ
金属塩としては、アルカリ金属の脂肪族カルボン酸塩、
芳香族カルボン酸塩、リン酸塩、金属錯体等が挙げられ
る。例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナ
トリウム、リン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、
ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナト
リウム塩等が挙げられ、これらの中でも酢酸ナトリウ
ム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウムが好適である。
【0055】EVOHに対し、リン酸化合物を好適には
リン酸根換算で20〜500ppm、より好適には30
〜300ppm、最適には50〜200ppmの割合で
添加することも好ましい。上記範囲でリン酸化合物を配
合することにより、EVOHの熱安定性を改善すること
ができる。特に、長時間にわたる溶融成形を行なう際の
ゲル状ブツの発生や着色を抑制することができる。
【0056】EVOHに添加するリン化合物の種類は特
に限定されず、リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩
等を用いることができる。リン酸塩は第1リン酸塩、第
2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形であってもよ
い。リン酸塩のカチオン種も特に限定されないが、カチ
オン種がアルカリ金属、アルカリ土類金属であることが
好ましい。中でも、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二
水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二
カリウムの形でリン化合物を添加することが好ましい。
【0057】EVOHの好適なメルトフローレート(M
FR)(210℃、2160g荷重下、JIS K72
10に基づく)は0.1〜100g/10分、より好適
には0.5〜50g/10分、さらに好適には1〜30
g/10分である。
【0058】本発明においては、本発明の目的を阻害し
ない範囲で、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着
色剤、フィラー、他の樹脂(ポリアミド、ポリオレフィ
ン等)をEVOHにブレンドすることもできる。
【0059】[熱可塑性樹脂(B)]本発明の第1の樹
脂組成物および第2の樹脂組成物に含有される熱可塑性
樹脂(B)は、EVOH(A)に単独で、または遷移金
属塩(C)と共に配合することによって、得られる樹脂
組成物の酸素掃去機能が増加するものであればよく、そ
の種類はEVOH(A)以外であれば特に限定されな
い。この熱可塑性樹脂(B)は、好適には炭素−炭素二
重結合を含有する。この炭素−炭素二重結合部分は酸素
と効率よく反応するので、このような熱可塑性樹脂
(B)は酸素掃去機能を有する。また、本発明の第3の
樹脂組成物および第4の樹脂組成物に含有される熱可塑
性樹脂(B)は、炭素−炭素二重結合を含有することが
必要である。なお、本発明において、炭素−炭素二重結
合とは共役二重結合を包含するが、芳香環に含まれる多
重結合は包含しない。
【0060】この炭素−炭素二重結合は、好適には熱可
塑性樹脂(B)に0.0001eq/g以上、より好適
には0.0005eq/g(当量/g)以上、さらに好
適には0.001eq/g以上含有される。炭素−炭素
二重結合の含有量が0.0001eq/g未満である場
合、得られる樹脂組成物の酸素掃去機能が不十分となる
場合がある。
【0061】炭素−炭素二重結合は、熱可塑性樹脂
(B)の主鎖に含まれてもよく、側鎖に含まれてもよい
が、側鎖に含まれる二重結合の量が多い方が(すなわ
ち、炭素−炭素二重結合を有している基が側鎖に多い方
が)、酸素との反応の効率の観点から好ましい。側鎖に
含まれる炭素−炭素二重結合として、下記構造式(I)
で示される構造単位に含まれる二重結合が好ましい:
【0062】
【化3】
【0063】(式中、Rは水素原子または炭素原子数
1〜5のアルキル基、Rは水素原子、炭素原子数1〜
10のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、
アリールアルキル基またはアルコキシ基であり、R
よびRは各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜1
0のアルキル基、置換されていてもよいアリール基、−
COOR、−OCOR、シアノ基、またはハロゲン
原子であり、RおよびRは各々独立して炭素原子数
1〜10のアルキル基、アリール基、アルキルアリール
基、アリールアルキル基またはアルコキシ基である)。
上記アリール基の炭素原子数は、好ましくは6〜10で
あり、アルキルアリール基およびアリールアルキル基の
炭素原子数は好ましくは7〜11であり、アルコキシ基
の炭素原子数は好ましくは1〜10である。アルキル基
の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基が、アリール基の例としてはフェニル基が、アルキル
アリール基の例としてはトリル基が、アリールアルキル
基の例としてはベンジル基が、アルコキシ基の例として
はメトキシ基、エトキシ基が、ハロゲン原子の例として
は塩素原子が、それぞれ挙げられる。
【0064】構造式(I)で示される構造単位の中で
も、ジエン化合物由来の構造単位が好ましい。該構造を
有する熱可塑性樹脂の製造が容易であるためである。こ
のようなジエン化合物としては、イソプレン、ブタジエ
ン、2−エチルブタジエン、2−ブチルブタジエン等が
挙げられる。これらの1種のみを使用してもよいし、2
種以上を併用してもよい。ジエン化合物の例と、該ジエ
ン化合物から誘導される構造式(I)における基の種類
との関係を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】これらの中でも、酸素との反応の効率の観
点から、Rが炭素数1〜5のアルキル基であるものが
好ましく、Rがメチル基であるもの(すなわち、イソ
プレン由来の構造単位)がより好ましい。イソプレンは
入手が容易であり、他の単量体との共重合も可能である
ので、熱可塑性樹脂(B)の製造コストの点からも好適
である。また、入手が容易であり、他の単量体との共重
合が可能であるという観点からは、ブタジエンも好まし
い。
【0067】構造式(I)で示される構造単位がジエン
化合物由来である場合、ジエン化合物由来の全構造単位
に対する、構造式(I)で示される構造単位の割合は、
10%以上であることが好ましく、20%以上がより好
ましく、30%以上がさらにより好ましい。前記割合を
10%以上にするためには、不活性な有機溶媒中で、ル
イス塩基を共触媒として用いてジエン化合物をアニオン
重合する、当該分野で一般に用いられる方法が採用され
る。
【0068】構造式(I)で示される構造単位を有する
熱可塑性樹脂(B)を得るためには、ジエン化合物を含
む単量体を重合させる際に、共触媒としてルイス塩基を
使用することが好ましい。ルイス塩基としては、例えば
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エチレン
グリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメ
チルエーテル等のグリコールエーテル類、N,N,
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMED
A)、トリエチレンジアミン等の第三級アミン類、N−
メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等のエーテル
含有アミン類等が挙げられる。これらのルイス塩基は、
通常、後述の開始剤100重量部あたり0.1〜400
重量部使用される。
【0069】本発明の樹脂組成物に含有される熱可塑性
樹脂(B)は、芳香族ビニル化合物と上記ジエン化合物
との共重合体であることが好ましい。熱可塑性樹脂
(B)が該共重合体である場合、ジエン化合物に由来す
る炭素−炭素二重結合部分が酸素と反応し易くなり、得
られる組成物の酸素バリア性および酸素掃去機能が向上
する。さらに、芳香族ビニル化合物とジエン化合物との
共重合比率を調節することにより、熱可塑性樹脂(B)
の硬度、成形性および加工性を制御することができる。
加えて、熱可塑性樹脂(B)の屈折率を所望の値にする
ことができる。従って、EVOH(A)の屈折率と熱可
塑性樹脂(B)の屈折率との差を小さくすることがで
き、その結果、透明性に優れた製品が得られる。
【0070】上記芳香族ビニル化合物としては、スチレ
ン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3
−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピ
ルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシ
ルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−
(フェニルブチル)スチレン等が挙げられる。これらの
中でも、コストおよび重合の容易さの観点からスチレン
が最も好ましい。一方、ジエン化合物としては、前述の
化合物が例として挙げられる。
【0071】芳香族ビニル化合物とジエン化合物の共重
合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重
合体、グラフト共重合体、またはそれらの複合物等いず
れの形態であってもよい。製造の容易さ、得られる熱可
塑性樹脂(B)の機械的特性、取り扱いの容易さ、およ
び酸素掃去機能の観点から、ブロック共重合体であるこ
とが好ましい。
【0072】上記ブロック共重合体において、芳香族ビ
ニル化合物ブロックの分子量は、好適には300〜10
0000であり、より好適には1000〜50000で
あり、さらに好適には3000〜50000である。芳
香族ビニル化合物ブロックの分子量が300未満の場合
は、熱可塑性樹脂(B)の溶融粘度が低くなり、得られ
る樹脂組成物の成形性、加工性およびハンドリング性に
問題が生じる場合がある。さらに、成形物とした場合の
機械的特性が低下する場合がある。加えて、熱可塑性樹
脂(B)のEVOH(A)への分散性が低下し、透明
性、ガスバリア性および酸素掃去機能が低下する場合が
ある。一方、芳香族ビニル化合物ブロックの分子量が1
00000を越える場合には、熱可塑性樹脂(B)の溶
融粘度が高くなって熱可塑性が損なわれるので、得られ
る樹脂組成物の成形性および加工性が低下する場合があ
る。また、上記と同様に熱可塑性樹脂(B)のEVOH
(A)への分散性が低下し、透明性、ガスバリア性およ
び酸素掃去機能が低下する場合がある。
【0073】ブロック共重合体のブロック形態として
は、例えばX(YX)、(XY)等が挙げられる。
ここで、Xは芳香族ビニル化合物ブロック、Yはジエン
化合物ブロックを示し、nは1以上の整数である。これ
らの中でも、2元ブロック共重合体および3元ブロック
共重合体が好ましく、機械的特性の観点から3元ブロッ
ク共重合体がより好ましい。中でも、芳香族ビニル化合
物ブロックがポリスチレンブロックであり、ジエン化合
物ブロックがポリイソプレンブロックであることがコス
トおよび重合の容易さの観点から好適である。
【0074】上記ブロック共重合体の製造方法は特に限
定されないが、アニオン重合法が好適である。具体的に
は、アルキルリチウム化合物を開始剤として芳香族ビニ
ル化合物とジエン化合物とを共重合し、カップリング剤
によってカップリングする方法、ジリチウム系化合物を
開始剤として、ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを
逐次重合する方法等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。アルキルリチウム化合物としては、ア
ルキル基の炭素原子数が1〜10のアルキルリチウム化
合物、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、ベン
ジルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリ
チウム、tert−ブチルリチウム等が好ましい。
【0075】カップリング剤としてはジクロロメタン、
ジブロモメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン等が
用いられる。ジリチウム化合物としては、例えば、ナフ
タレンジリチウム、オリゴスチリルジリチウム、ジリチ
オヘキシルベンゼン等が挙げられる。使用量は、重合に
用いられる全モノマー100重量部に対し、開始剤0.
01〜0.2重量部、カップリング剤0.04〜0.8
重量部が適当である。
【0076】熱可塑性樹脂(B)を製造するための溶媒
としては、上記の開始剤、カップリング剤およびルイス
塩基に対して不活性な有機溶媒が使用される。これらの
中でも、炭素原子数が6〜12の飽和炭化水素、環状飽
和炭化水素、芳香族炭化水素が好ましい。例えば、ヘキ
サン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、
トルエン、ベンゼン、キシレン等が挙げられる。熱可塑
性樹脂(B)を製造するための重合反応は通常−20〜
80℃の温度範囲で、1〜50時間行われる。
【0077】例えば、重合反応液をメタノール等の貧溶
媒中に滴下し、沈殿物を析出させた後、該沈殿物を加熱
または減圧乾燥するか、重合反応液を沸騰水中に滴下
し、溶媒を共沸・除去した後、加熱または減圧乾燥する
ことにより、熱可塑性樹脂(B)が得られる。なお、重
合後に存在する二重結合は、本発明の樹脂組成物の効果
を阻害しない範囲で、その一部が水素により還元されて
いても構わない。
【0078】こうして得られた熱可塑性樹脂(B)の、
ジエン化合物ブロックにおけるtanδの主分散ピーク
温度は、得られる樹脂組成物の酸素掃去機能の観点か
ら、−40℃〜60℃であることが好ましく、−20℃
〜40℃がより好ましく、−10℃〜30℃がさらによ
り好ましい。tanδの主分散ピーク温度が−40℃未
満である場合、得られる樹脂組成物の酸素掃去機能が低
下する場合がある。一方、tanδの主分散ピーク温度
が60℃を超える場合、得られる樹脂組成物の特に低温
における酸素掃去機能が低下する場合がある。
【0079】熱可塑性樹脂(B)の分子量は、好適には
1000〜500000であり、より好適には1000
0〜250000であり、さらに好適には40000〜
200000の範囲である。熱可塑性樹脂(B)の分子
量が1000未満の場合には、EVOH(A)への分散
性が低下し、透明性、ガスバリア性および酸素掃去機能
が低下する場合がある。分子量が500000を超える
場合、同様の問題に加えて樹脂組成物の加工性も悪くな
る場合がある。
【0080】熱可塑性樹脂(B)は、単一の樹脂であっ
ても複数の樹脂からなる混合物であってもよい。いずれ
の場合にも、透明性の良好な成形物を得たい場合には、
厚み20μmのフィルムにおいて、その内部ヘイズ値が
10%以下であるのが好ましい。
【0081】本発明に用いられる熱可塑性樹脂(B)の
屈折率については、EVOH(A)との屈折率の差が
0.01以下であることが好ましい。EVOH(A)と
熱可塑性樹脂(B)との屈折率の差が0.01を超える
場合、得られる多層構造体の透明性が悪化する場合があ
る。屈折率の差は0.007以下がより好ましく、0.
005以下がさらに好ましい。ただし、EVOH(A)
が2種類以上のEVOHからなる場合は、各EVOHの
屈折率と重量割合とから算出される屈折率の平均値をも
ってEVOH(A)の屈折率とする。
【0082】熱可塑性樹脂(B)は、酸化防止剤を含有
していてもよい。酸化防止剤としては、例えば次の化合
物が挙げられる:2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノ
ン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,
4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,
2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチル
フェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−
t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノー
ル)、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブ
チル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メ
チルフェニルアクリレート、ペンタエリスリトールテト
ラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、2,6−
ジ−(t−ブチル)−4−メチルフェノール(BH
T)、2,2′−メチレンビス−(6−t−ブチル−p
−クレゾール)、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリ
ス−(ノニルフェニル)、チオジプロピオン酸ジラウリ
ル等。
【0083】酸化防止剤の添加量は、樹脂組成物中の各
成分の種類、含有量、樹脂組成物の使用目的、保存条件
等を考慮して適宜決定される。通常、熱可塑性樹脂
(B)に含有される酸化防止剤の量は、熱可塑性樹脂
(B)と酸化防止剤の合計重量を基準として、0.01
〜1重量%であることが好ましく、0.02〜0.5重
量%であることがより好ましい。酸化防止剤の量が多す
ぎると、熱可塑性樹脂(B)と酸素との反応が妨げられ
るため、本発明の樹脂組成物の酸素バリア性および酸素
掃去機能が不十分となる場合がある。一方、酸化防止剤
の量が少なすぎると、熱可塑性樹脂(B)の保存時また
は溶融混練時に、酸素との反応が進行し、本発明の樹脂
組成物の実使用前に酸素掃去機能が低下してしまう場合
がある。
【0084】例えば、熱可塑性樹脂(B)を比較的低温
で、もしくは不活性ガス雰囲気下で保存する場合、また
は窒素シールした状態で溶融混練して樹脂組成物を製造
する場合等は、酸化防止剤の量は少なくてもよい。ま
た、酸化を促進するために溶融混合時に酸化触媒を添加
する場合、熱可塑性樹脂(B)がある程度の量の酸化防
止剤を含んでいても、良好な酸素掃去機能を有する樹脂
組成物を得ることができる。
【0085】酸化防止剤は、熱可塑性樹脂(B)にあら
かじめ添加されていてもよいが、後述の他の添加剤と同
様に本発明の樹脂組成物の各成分を混合するときに加え
てもよい。
【0086】[遷移金属塩]本発明の第1の樹脂組成物
および第2の樹脂組成物は、遷移金属塩(C)を含有し
ていることが好ましい。本発明の第3の樹脂組成物およ
び第4の樹脂組成物は、遷移金属塩(C)を含有するこ
とが必要である。遷移金属塩(C)は、熱可塑性樹脂
(B)の酸化反応を促進することにより、樹脂組成物の
酸素掃去機能を向上させる効果がある。例えば、本発明
の樹脂組成物から得られる包装材料内部に存在する酸素
および包装材料中を透過しようとする酸素と熱可塑性樹
脂(B)との反応を促進し、包装材料の酸素バリア性お
よび酸素掃去機能が向上する。
【0087】遷移金属塩(C)は好適には金属元素換算
で1〜5000ppmの割合で含有される。つまり、遷
移金属塩(C)は、EVOH(A)および熱可塑性樹脂
(B)の合計量1,000,000重量部に対して、金
属元素換算で1〜5000重量部の割合で含有される。
より好適には、遷移金属塩(C)は5〜1000pp
m、さらに好適には10〜500ppmの範囲で含有さ
れる。遷移金属塩(C)の含有量が1ppmに満たない
場合は、その添加の効果が不十分となる場合がある。一
方、遷移金属塩(C)の含有量が5000ppmを超え
ると、樹脂組成物の熱安定性が低下し、分解ガスの発生
やゲル・ブツの発生が著しくなる場合がある。
【0088】遷移金属塩(C)に用いられる遷移金属と
しては、例えば鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバル
ト、ロジウム、チタン、クロム、バナジウム、ルテニウ
ム等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。これらの中でも、鉄、ニッケル、銅、マンガン、コ
バルトが好ましく、マンガンおよびコバルトがより好ま
しく、コバルトがさらにより好ましい。
【0089】遷移金属塩(C)に含まれる金属の対イオ
ンとしては、有機酸または塩化物由来のアニオンが挙げ
られる。有機酸としては、酢酸、ステアリン酸、アセチ
ルアセトン、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン
酸、2−エチルへキサン酸、ネオデカン酸、リノール
酸、トール酸、オレイン酸、樹脂酸、カプリン酸、ナフ
テン酸等が挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。特に好ましい塩としては、2−エチルへキサン酸
コバルト、ネオデカン酸コバルトおよびステアリン酸コ
バルトが挙げられる。また、金属塩は重合体性対イオン
を有する、いわゆるアイオノマーであってもよい。
【0090】[樹脂組成物]本発明の第1の樹脂組成物
および第2の樹脂組成物においては、EVOH(A)が
70〜99.9重量%、そして(A)以外の熱可塑性樹
脂(B)が0.1〜30重量%含有される。EVOH
(A)の含有割合が70重量%未満である場合、樹脂組
成物を用いた多層容器等の成形物における透明性に劣
り、酸素ガス、炭酸ガスなどに対するガスバリア性が低
下する。一方、含有割合が99.9重量%を超える場
合、熱可塑性樹脂(B)の含有割合が少なくなるため、
酸素バリア性および酸素掃去機能が低下する。含有割合
は、好適にはEVOH(A)80〜99重量%および熱
可塑性樹脂(B)1〜20重量%であり、より好適には
EVOH(A)85〜98.5重量%および熱可塑性樹
脂(B)1.5〜15重量%である。また、本発明の第
3の樹脂組成物および第4の樹脂組成物においても、E
VOH(A)と熱可塑性樹脂(B)の含有割合は、上記
の範囲であることが好ましい。
【0091】本発明の第1の樹脂組成物および第2の樹
脂組成物の酸素吸収速度は、0.01ml/m・da
y以上であることが必要であり、0.05ml/m
day以上が好ましく、0.1ml/m・day以上
がより好ましい。酸素吸収速度が0.01ml/m
day未満である場合、得られる樹脂組成物からなる成
形物の酸素バリア性および酸素掃去効果が不十分となる
虞がある。また、本発明の第3の樹脂組成物および第4
の樹脂組成物も、酸素吸収速度は上記の数値以上である
ことが好ましい。酸素吸収速度は、樹脂組成物のフィル
ムを一定容量の空気中に放置した場合に、単位表面積当
たり単位時間にそのフィルムが吸収した酸素の体積であ
る。具体的な測定方法については、後述の実施例に示
す。
【0092】本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損
なわない程度に、上記EVOH(A)および熱可塑性樹
脂(B)以外の熱可塑性樹脂(D)を含有していてもよ
い。熱可塑性樹脂(D)としては、特に限定されず、例
えば、次の化合物が挙げられる:ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンま
たはプロピレンの共重合体(エチレンまたはプロピレン
と以下の単量体の少なくとも1種との共重合体:1−ブ
テン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘ
キセン、1−オクテン等のα−オレフィン;イタコン
酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸等の不
飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステ
ル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ギ酸ビニ
ル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチレー
ト、ビニルオクタノエート、ビニルドデカノエート、ビ
ニルステアレート、ビニルアラキドネート等のカルボン
酸ビニルエステル類;ビニルトリメトキシシラン等のビ
ニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸またはその塩;
アルキルチオール類;ビニルピロリドン類等)、ポリ4
−メチル−1−ペンテン、ポリ1−ブテン等のポリオレ
フィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエス
テル;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレ
ート等。熱可塑性樹脂(D)は、製造する成形物の構造
および用途に応じて選択される。
【0093】本発明の樹脂組成物に含有される熱可塑性
樹脂(D)を選択するときには、該熱可塑性樹脂(D)
と、EVOH(A)および熱可塑性樹脂(B)との混和
性を考慮することが好ましい。これらの樹脂の混和性に
より、得られる製品のガスバリア性、清浄性、酸素掃去
性、機械的特性、製品自体のテキスチャー等が影響を受
けることがある。
【0094】本発明の樹脂組成物には、本発明の作用効
果が阻害されない範囲内で各種の添加剤を含有させても
よい。このような添加剤の例としては、酸化防止剤、可
塑剤、熱安定剤(溶融安定剤)、光開始剤、脱臭剤、紫
外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、充
填剤、顔料、染料、加工助剤、難燃剤、防曇剤、他の高
分子化合物等が挙げられる。
【0095】上記添加剤のうち、熱安定剤(溶融安定
剤)としては、ハイドロタルサイト化合物、高級脂肪族
カルボン酸の金属塩の1種または2種以上が好適に用い
られる。これらの化合物は、樹脂組成物の製造時におい
て、ゲルやフィッシュアイの発生を防止することがで
き、長時間の運転安定性をさらに改善することができ
る。これらの化合物は、樹脂組成物全体の0.01〜1
重量%の割合で含有されるのが好適である。
【0096】高級脂肪族カルボン酸の金属塩とは、炭素
数8〜22の高級脂肪酸の金属塩である。炭素数8〜2
2の高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ステアリン酸、
ミリスチン酸等が挙げられる。塩を構成する金属として
は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、亜鉛、バリウム、アルミニウム等が挙げられる。こ
のうちマグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカ
リ土類金属が好適である。このような高級脂肪族カルボ
ン酸の金属塩の中でも、ステアリン酸カルシウムおよび
ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
【0097】本発明の樹脂組成物の好適なメルトフロー
レート(MFR)(210℃、2160g荷重下、JI
S K7210に基づく)は0.1〜100g/10
分、より好適には0.5〜50g/10分、さらに好適
には1〜30g/10分である。本発明の樹脂組成物の
メルトフローレートが上記の範囲から外れる場合、溶融
成形時の加工性が悪くなる場合が多い。
【0098】本発明の樹脂組成物においては、熱可塑性
樹脂(B)からなる粒子が、EVOH(A)および必要
に応じて遷移金属塩(C)、熱可塑性樹脂(D)、各種
添加剤などを含むマトリックス中に分散していることが
好ましい。このような樹脂組成物からなる成形物は、透
明性、ガスバリア性および酸素掃去機能が良好である。
このとき、熱可塑性樹脂(B)からなる粒子の平均粒径
は10μm以下であることが好適である。平均粒径が1
0μmを超える場合には、熱可塑性樹脂(B)とEVO
H(A)などでなるマトリックスとの界面の面積が小さ
くなり、酸素ガスバリア性および酸素掃去機能が低下す
る場合がある。熱可塑性樹脂(B)の粒子の平均粒径は
5μm以下がより好ましく、2μm以下がさらに好まし
い。
【0099】[樹脂組成物の加工]本発明の樹脂組成物
の各成分は混合され、所望の製品に成形される。樹脂組
成物の各成分を混合する方法は特に限定されない。各成
分を混合する際の順序も特に限定されない。例えば、E
VOH(A)、熱可塑性樹脂(B)および遷移金属塩
(C)を混合する場合、これらを同時に混合してもよい
し、熱可塑性樹脂(B)および遷移金属塩(C)を混合
した後、EVOH(A)と混合してもよい。また、EV
OH(A)および遷移金属塩(C)を混合した後、熱可
塑性樹脂(B)と混合してもよいし、EVOH(A)お
よび熱可塑性樹脂(B)を混合した後、遷移金属塩
(C)と混合してもよい。さらに、EVOH(A)およ
び熱可塑性樹脂(B)を混合して得た混合物と、EVO
H(A)および遷移金属塩(C)を混合して得た混合物
とを混合してもよい。また、EVOH(A)として2種
類以上のEVOHを使用する場合、各EVOHをあらか
じめ混合しておいてもよいし、各EVOHを熱可塑性樹
脂(B)および遷移金属塩(C)と同時に混合してもよ
い。
【0100】混合の具体的な方法としては、工程の簡便
さおよびコストの観点から溶融混練法が好ましい。この
とき、高い混練度を達成することのできる装置を使用
し、各成分を細かく均一に分散させることが、酸素吸収
性能、透明性を良好にすると共に、ゲル、ブツの発生や
混入を防止できる点で好ましい。
【0101】高い混練度を達成することのできる装置と
しては、連続式インテンシブミキサー、ニーディングタ
イプ二軸押出機(同方向または異方向)、ミキシングロ
ール、コニーダー等の連続型混練機;高速ミキサー、バ
ンバリーミキサー、インテンシブミキサー、加圧ニーダ
ー等のバッチ型混練機;(株)KCK製のKCK混練押
出機等の石臼のような摩砕機構を有する回転円板を使用
した装置;一軸押出機に混練部(ダルメージ、CTM
等)を設けたもの;リボンブレンダー、ブラベンダーミ
キサー等の簡易型の混練機等を挙げることができる。こ
れらの中でも、連続型混練機が好ましい。市販されてい
る連続式インテンシブミキサーとしては、Farrel
社製FCM、(株)日本製鋼所製CIM、(株)神戸製
鋼所製KCM、LCM、ACM等が挙げられる。これら
の混練機の下に一軸押出機を設置し、混練と押出ペレッ
ト化を同時に実施する装置を採用することが好ましい。
また、ニーディングディスクまたは混練用ロータを有す
る二軸混練押出機としては、例えば(株)日本製鋼所製
TEX、Werner&Pfleiderer社製ZS
K、東芝機械(株)製TEM、池貝鉄工(株)製PCM
等が挙げられる。
【0102】これらの連続型混練機においては、ロータ
ー、ディスクの形状が重要な役割を果たす。特にミキシ
ングチャンバとローターチップまたはディスクチップと
の隙間(チップクリアランス)は重要で、狭すぎても広
すぎても分散性の良好な混合物は得られない。チップク
リアランスとしては1〜5mmが最適である。
【0103】混練機のローターの回転数は、通常100
〜1200rpmであり、好ましくは150〜1000
rpmであり、より好ましくは200〜800rpmで
ある。また、混練機チャンバー内径(D)は通常30m
m以上であり、好ましくは50〜400mmである。さ
らに、混練機のチャンバー長さ(L)と内径(D)との
比L/Dは、4〜30が好適である。混練機は1機でも
よいし、また2機以上を連結して用いることもできる。
【0104】混練温度は、通常50〜300℃の範囲で
ある。熱可塑性樹脂(B)の酸化防止のためには、ホッ
パー口を窒素シールし、低温で押出すことが好ましい。
混練時間は、長い方が良い結果を得られるが、熱可塑性
樹脂(B)の酸化防止および生産効率の観点から、通常
10〜600秒であり、好ましくは15〜200秒であ
り、より好ましくは15〜150秒である。
【0105】本発明の樹脂組成物は、各種成形方法を適
宜採用することによって、種々の成形物、例えば、フィ
ルム、シート、容器その他の包装材料等に成形すること
ができる。このとき、本発明の樹脂組成物を一旦ペレッ
トとしてから成形に供してもよいし、樹脂組成物の各成
分をドライブレンドして、直接成形に供してもよい。
【0106】成形方法および成形物としては、例えば、
溶融押出成形によりフィルム、シート、パイプ等に、射
出成形により容器形状に、また中空成形によりボトル状
等の中空容器に成形することができる。中空成形として
は、押出成形によりパリソンを成形し、これをブローし
て成形を行う押出中空成形と、射出成形によりプリフォ
ームを成形し、これをブローして成形を行う射出中空成
形が好ましい。
【0107】[多層構造体および多層容器]本発明にお
いては、上記成形により得られる成形物は単層であって
もよいが、機械的特性、水蒸気バリア性、さらなる酸素
バリア性などの特性を付与するという観点から、他の層
と積層して多層構造体として用いることが好ましい。
【0108】多層構造体の層構成としては、本発明の樹
脂組成物以外の樹脂からなる層をx層、本発明の樹脂組
成物層をy層、接着性樹脂層をz層とすると、x/y、
x/y/x、x/z/y、x/z/y/z/x、x/y
/x/y/x、x/z/y/z/x/z/y/z/x等
が例示されるが、これらに限定されるものではない。複
数のx層を設ける場合は、その種類は同じであっても異
なっていてもよい。また、成形時に発生するトリム等の
スクラップからなる回収樹脂を用いた層を別途設けても
よいし、回収樹脂を他の樹脂からなる層にブレンドして
もよい。多層構造体の各層の厚み構成は、特に限定され
るものではないが、成形性およびコスト等の観点から、
全層厚みに対するy層の厚み比は2〜20%が好適であ
る。
【0109】上記のx層に使用される樹脂としては、加
工性等の観点から熱可塑性樹脂が好ましい。かかる熱可
塑性樹脂としては、次の樹脂が挙げれられるが、特にこ
れらに限定されない:ポリエチレン;ポリプロピレン;
エチレン−プロピレン共重合体;エチレンまたはプロピ
レン共重合体(エチレンまたはプロピレンと次の単量体
の少なくとも1種との共重合体:1−ブテン、イソブテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン等のα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル
酸、アクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン
酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリ
ル、そのアミド、その無水物;ギ酸ビニル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルオ
クタノエート、ビニルドデカノエート、ビニルステアレ
ート、ビニルアラキドネート等のカルボン酸ビニルエス
テル類;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン系
化合物;不飽和スルホン酸またはその塩;アルキルチオ
ール類;ビニルピロリドン類等)、ポリ4−メチル−1
−ペンテン、ポリ1−ブテン等のポリオレフィン;ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリ
カプロアミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリメ
タキシリレンアジパミド等のポリアミド;ポリ塩化ビニ
リデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロ
ニトリル、ポリカーボネート、ポリアクリレート等が挙
げられる。かかる熱可塑性樹脂層は無延伸のものであっ
てもよいし、一軸もしくは二軸に延伸または圧延されて
いるものであっても構わない。
【0110】これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフ
ィンは耐湿性、機械的特性、経済性、ヒートシール性等
の点で、また、ポリエステルは機械的特性、耐熱性等の
点で好ましい。
【0111】一方、z層に使用される接着性樹脂として
は、各層間を接着できるものであれば特に限定されず、
ポリウレタン系またはポリエステル系の一液型または二
液型硬化性接着剤、カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂
などが好適に用いられる。カルボン酸変性ポリオレフィ
ン樹脂は、不飽和カルボン酸またはその無水物(無水マ
レイン酸など)を共重合成分として含むオレフィン系重
合体または共重合体;あるいは不飽和カルボン酸または
その無水物をオレフィン系重合体または共重合体にグラ
フトさせて得られるグラフト共重合体である。
【0112】これらの中でも、カルボン酸変性ポリオレ
フィン樹脂がより好ましい。特に、x層がポリオレフィ
ン樹脂である場合、y層との接着性が良好となる。かか
るカルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂の例としては、
ポリエチレン{低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖
状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエ
チレン(VLDPE)}、ポリプロピレン、共重合ポリ
プロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン
−(メタ)アクリル酸エステル(メチルエステルまたは
エチルエステル)共重合体等をカルボン酸変性したもの
が挙げられる。
【0113】多層構造体を得る方法としては、押出ラミ
ネート法、ドライラミネート法、共射出成形法、共押出
成形法等が例示されるが、特に限定されるものではな
い。共押出成形法としては、共押出ラミネート法、共押
出シート成形法、共押出インフレーション成形法、共押
出ブロー成形法等を挙げることができる。
【0114】このようにして得られた多層構造体のシー
ト、フィルム、パリソン等を、含有される樹脂の融点以
下の温度で再加熱し、絞り成形等の熱成形法、ロール延
伸法、パンタグラフ式延伸法、インフレーション延伸
法、ブロー成形法等により一軸または二軸延伸して、延
伸された成形物を得ることもできる。
【0115】本発明の樹脂組成物は透明性が良好である
から、積層する他の樹脂からなる層も透明性が良好であ
ることが、内容物を視認しやすい包装容器を得られる点
から好ましい。かかる観点から、本発明の樹脂組成物層
を有する多層構造体のヘイズ値は、10%以下であるこ
とが好ましく、5%以下がより好ましく、3%以下がさ
らに好ましい。
【0116】上記の多層構造体を用いた成形物は各種用
途に用いられる。とりわけ、本発明の多層構造体の効果
は、多層容器としたときに大きく発揮される。さらに、
本発明の樹脂組成物層の両側または高湿度側に、水蒸気
バリア性の高い層を配置した多層構造体は、酸素掃去機
能の持続期間が特に延長され、結果として極めて高度な
ガスバリア性がより長い時間継続される観点から好適で
ある。一方、樹脂組成物層を最内層に有する多層容器
は、容器内の酸素掃去機能が速やかに発揮されるという
観点から好適である。
【0117】さらに、本発明の樹脂組成物は透明性が良
好であるから、内容物を視認しやすい包装容器としての
用途に最適である。かかる包装容器の内でも透明性に対
する要求性能が厳しく、本発明の樹脂組成物を使用する
ことの有用性が大きい態様として、以下の2種の態様が
挙げられる。すなわち、一つは本発明の樹脂組成物から
なる層を含み、全層厚みが300μm以下である多層フ
ィルムからなる容器であり、他の一つは本発明の樹脂組
成物からなる層および熱可塑性ポリエステル(PES)
層をそれぞれ少なくとも1層含む多層容器である。以
下、それらの実施態様について順次説明する。
【0118】本発明の樹脂組成物からなる層を含み、全
層厚みが300μm以下である多層フィルムからなる容
器は、全体層厚みが比較的薄い多層構造体からなるフレ
キシブルな容器であり、通常パウチ等の形態に加工され
ている。この容器はガスバリア性に優れ、さらには持続
的な酸素掃去機能を有し、かつ製造が簡便であるので、
酸素に対し感受性が高く劣化し易い製品の包装に極めて
有用である。
【0119】一般に良好な透明性が要求される容器とし
ては、多層構造体を構成する各樹脂層の厚みが薄く、全
体としての厚みの薄い容器が製造される。例えば、ポリ
オレフィン等の結晶性の樹脂を用いる場合に、厚みが大
きい場合には、結晶による散乱に由来して透明性が悪化
する場合が多いのに対し、厚みの薄い容器であれば、良
好な透明性が得られる。また一般に、無延伸で結晶化し
ている樹脂は透明性が不良であっても、延伸配向して結
晶化した樹脂は透明性が良好となる。かかる一軸あるい
は二軸に延伸されたフィルムは通常厚みが薄く、この点
からも厚みの薄い多層構造体が良好な透明性を与える場
合が多い。
【0120】本発明の樹脂組成物は透明性が良好であ
り、従って、透明性が要求されることの多い、厚みの薄
い多層フィルムからなる容器に好適に使用することが可
能である。このような薄いフィルムにおいては経時的に
透明性が悪化してもその程度は小さい。このような多層
フィルムの厚みは、特に限定されないが、透明性および
フレキシブル性を維持するという観点から好適には30
0μm以下であり、より好適には250μm以下であ
り、さらに好適には200μm以下である。一方、容器
としての機械的特性を考慮すると、全層厚みは好適には
10μm以上であり、より好適には20μm以上であ
り、さらに好適には30μm以上である。
【0121】上記の多層容器を多層フィルムから製造す
る場合、該多層フィルムの製造方法に特に制限はなく、
例えば、本発明の樹脂組成物層と他の熱可塑性樹脂層と
をドライラミネート、共押出ラミネート等の方法で積層
することによって多層フィルムを得ることができる。
【0122】ドライラミネートする場合には、無延伸フ
ィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、圧延フ
ィルム等が使用可能である。これらの中でも、二軸延伸
ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレートフィルム、二軸延伸ポリカプロアミドフィルム
が、機械的強度の観点から好ましく、防湿性も考慮する
と、二軸延伸ポリプロピレンフィルムが特に好ましい。
無延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムを使用する場
合、積層した後に多層フィルムを再加熱し、絞り成形等
の熱成形法、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法、イ
ンフレーション延伸法等により一軸または二軸延伸する
ことによって、延伸された多層フィルムを得ることもで
きる。
【0123】得られる多層容器を密封するために、多層
フィルムの製造段階において、少なくとも一方の最外層
表面にヒートシール可能な樹脂からなる層を設けること
も好ましい。かかる樹脂としては、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のポリオレフィンを挙げることができる。
【0124】こうして得られた多層フィルムは、例えば
袋状に加工され、内容物を充填するための包装容器とす
ることができる。フレキシブルで簡便であり、かつ透明
性および酸素掃去性に優れるので、酸素の存在により劣
化しやすい内容物、特に食品等の包装に極めて有用であ
る。
【0125】本発明の樹脂組成物からなる層およびPE
S層をそれぞれ少なくとも1層含む多層容器は、透明性
が良好でかつガスバリア性、酸素掃去機能に優れる。そ
のため、袋状容器、カップ状容器、中空成形容器等の種
々の形態で使用される。これらの中でも、中空成形容
器、特にボトルが重要である。
【0126】PESからなるボトルは、現在広く飲料容
器として使用されている。かかる用途においては内容物
の劣化を防ぐ必要があるとともに、内容物である飲料を
消費者が充分に視認できることが要求されている。しか
も、例えばビールのような酸素による風味の劣化を極め
て受けやすい内容物を充填する場合には、極めて高度な
ガスバリア性と酸素掃去性能を有することが望まれる。
【0127】本発明の樹脂組成物からなる層およびPE
S層をそれぞれ少なくとも1層含む多層容器は、透明性
を維持しながら、内容物の品質の保持性能が極めて優れ
ているので、かかる用途に最適である。多層容器の層構
成としては、樹脂組成物層とPES層との間に接着性樹
脂層を配置してもよいが、PES層が樹脂組成物層の両
面に直接接触するように配置されてなる多層容器は、透
明性に極めて優れている上、樹脂組成物層とPES層と
の間の耐衝撃剥離性に優れるという本発明の効果を充分
に奏し得る観点から、特に好ましい。
【0128】上記本発明の樹脂組成物からなる層および
PES層からなる本発明の多層容器に用いられるPES
としては、芳香族ジカルボン酸またはそれらのアルキル
エステルと、ジオールとを主成分とする縮合重合体が用
いられる。特に本発明の目的を達成するには、エチレン
テレフタレート成分を主とするPESが好ましい。具体
的には、テレフタル酸単位とエチレングリコール単位と
の合計割合(モル%)が、PESを構成する全構造単位
の合計モル数に対して、70モル%以上であることが好
ましく、90モル%以上がより好ましい。テレフタル酸
単位とエチレングリコール単位の合計割合が70モル%
未満であると、得られるPESが非晶性となり、機械的
強度が不足する上に、延伸して容器とした後に内容物を
加熱充填(ホットフィル)すると、熱収縮が大きく使用
に耐えない虞がある。また、樹脂内に含有されるオリゴ
マーを低減するために固相重合を行うと、樹脂の軟化に
よる膠着が生じやすく、生産が困難になる虞がある。
【0129】上記PESは、必要に応じてテレフタル酸
単位およびエチレングリコール単位以外の二官能化合物
単位を、上記の問題が発生しない範囲において含有する
ことができる。その割合(モル%)としては、PESを
構成する全構造単位の合計モル数に対して、30モル%
以下であることが好ましく、20モル%以下がより好ま
しく、10モル%以下がさらに好ましい。このような二
官能化合物単位としては、ジカルボン酸単位、ジオール
単位、ヒドロキシカルボン酸単位等が挙げられ、脂肪
族、脂環式、芳香族のいずれでもよい。具体的には、ネ
オペンチルグリコール単位、シクロヘキサンジメタノー
ル単位、シクロヘキサンジカルボン酸単位、イソフタル
酸単位、ナフタレンジカルボン酸単位等が挙げられる。
【0130】これらの中でも、イソフタル酸単位は、得
られたPESを用いた場合、良好な成形物を得ることの
できる製造条件が広く、成形性に優れるため、不良品率
が低いという利点を有する。結晶化速度の抑制により、
成形品の白化を防止できる点からも好ましい。また、
1,4−シクロヘキサンジメタノール単位または1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸単位は、得られる成形物
の落下時の強度が一層優れるという点から好ましい。さ
らに、ナフタレンジカルボン酸単位は、得られるPES
のガラス転移温度が上昇し、耐熱性が向上する上に、紫
外線を吸収する能力が付与されるので好ましく、内容物
が紫外線による劣化を生じやすい場合に特に有用であ
る。例えば、ビールのように内容物が酸化によっても、
紫外線によっても劣化しやすい場合に特に有用である。
【0131】PESの製造に際して重縮合触媒を使用す
る場合は、PESの製造に通常用いられている触媒を使
用することができる。例えば、三酸化アンチモン等のア
ンチモン化合物;二酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテ
トラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド
等のゲルマニウム化合物;テトラメトキシチタン、テト
ラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テ
トライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等の
チタン化合物;ジ−n−ブチル錫ジラウレート、ジ−n
−ブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート等の錫
化合物等を使用することができる。これらの触媒は単独
で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよ
い。重縮合触媒の使用量としては、ジカルボン酸成分の
重量に基いて0.002〜0.8重量%の範囲が好まし
い。
【0132】これらの中でも、触媒コストの面からはア
ンチモン化合物が好ましく、三酸化アンチモンが特に好
ましい。一方、得られるPESの色調が良好となるとい
う面からはゲルマニウム化合物が好ましく、二酸化ゲル
マニウムが特に好ましい。また、成形性の観点からは、
ゲルマニウム化合物がアンチモン化合物よりも好まし
い。アンチモン化合物を触媒とした重合反応により得ら
れるPESは、ゲルマニウム化合物を触媒として重合し
たPESよりも結晶化速度が速く、射出成形時またはブ
ロー成形時に、加熱による結晶化が進行しやすく、結果
として得られたボトルに白化が生じて透明性が損なわれ
る場合がある。また、延伸配向性が低下して、賦形性が
悪化する場合もある。このように、良好な成形物を得る
ことのできる製造条件の範囲が狭くなり、不良品率が上
昇しやすくなる傾向にある。
【0133】特に、本発明に使用されるPESとして、
副生するジエチレングリコール以外の共重合成分を含ま
ないポリエチレンテレフタレートを使用する場合には、
該PESを製造する際に、結晶化速度を抑えるためにゲ
ルマニウム化合物を触媒として用いることが好ましい。
【0134】上記樹脂組成物からなる層およびPES層
をそれぞれ少なくとも1層含む、本発明の多層容器の製
造方法は特に限定されるものではないが、共射出ブロー
成形を用いることが生産性等の観点から好適である。共
射出ブロー成形においては、共射出成形によって得られ
た容器前駆体(パリソン)を延伸ブロー成形することに
より容器が製造される。
【0135】共射出成形においては、通常、多層構造体
の各層を構成すべき樹脂を2台またはそれ以上の射出シ
リンダーより同心円状のノズル内に導き、同時にまたは
タイミングをずらして交互に、単一の金型内に射出し、
1回の型締め操作を行うことにより成形が行われる。例
えば(1)先に内外層用のPES層を射出し、次いで、
中間層となる樹脂組成物を射出して、PES/樹脂組成
物/PESの3層構成の成形容器を得る方法、(2)先
に内外層用のPES層を射出し、次いで樹脂組成物を射
出して、それと同時にまたはその後にPES層を再度射
出し、PES/樹脂組成物/PES/樹脂組成物/PE
Sの5層構成の成形容器を得る方法等によりパリソンが
製造されるが、これらの製造方法に限定されるものでは
ない。
【0136】射出成形の条件としては、PESは250
〜330℃の温度範囲で射出することが好ましく、27
0〜320℃がより好ましく、280〜310℃がさら
に好ましい。PESの射出温度が250℃未満である場
合、PESが十分に溶融せず、成形物に未溶融物(フィ
ッシュアイ)が混入し外観不良を生じ、同時に成形物の
機械的強度の低下の原因となる虞がある。また、極端な
場合はスクリュートルクが上昇し、成形機の故障を引き
起こす虞がある。一方、PESの射出温度が330℃を
超える場合、PESの分解が著しくなり、分子量低下に
よる成形物の機械的強度の低下を引き起こす虞がある。
また、分解時に生じるアセトアルデヒド等のガスにより
成形物に充填する物質の性質を損なうだけでなく、分解
時に生じるオリゴマーにより金型の汚れが激しくなり成
形物の外観を損なう虞がある。
【0137】樹脂組成物は170〜250℃の温度範囲
で射出することが好ましく、180〜240℃がより好
ましく、190〜230℃がさらに好ましい。樹脂組成
物の射出温度が170℃未満である場合、樹脂組成物が
十分に溶融せず、成形物に未溶融物(フィッシュアイ)
が混入し外観不良を生じる虞がある。また、極端な場合
はスクリュートルクが上昇し、成形機の故障を引き起こ
す虞がある。一方、樹脂組成物の射出温度が250℃を
超える場合、熱可塑性樹脂(B)の酸化が進行し、樹脂
組成物のガスバリア性および酸素掃去機能が低下する虞
がある。同時に、着色やゲル化物による成形物の外観不
良が生じ、あるいは分解ガスやゲル化物により流動性が
不均一となりあるいは阻害されて、樹脂組成物層の欠落
部分を生じることもある。極端な場合には、ゲル化物の
発生により、射出成形が不可能となる。溶融時の酸化の
進行を抑制するためには、原料供給ホッパーを窒素でシ
ールすることも好ましい。
【0138】なお樹脂組成物は、前もってEVOH
(A)と熱可塑性樹脂(B)および必要に応じて遷移金
属塩(C)を溶融配合したペレットの形で成形機に供給
してもよいし、ドライブレンドした各成分を成形機に供
給してもよい。
【0139】PESおよび樹脂組成物が流入するホット
ランナー部分の温度は220〜300℃の範囲が好まし
く、240〜280℃がより好ましく、250〜270
℃がさらに好ましい。ホットランナー部分の温度が22
0℃未満である場合、PESが結晶化してホットランナ
ー部分で固化するため、成形が困難となる場合がある。
一方、ホットランナー部分の温度が300℃を超える場
合、熱可塑性樹脂(B)の酸化が進行し、樹脂組成物の
ガスバリア性および酸素掃去機能が低下する虞がある。
同時に、着色やゲル化物による成形物の外観不良が生
じ、あるいは分解ガスやゲル化物により流動性が不均一
となりあるいは阻害されて、樹脂組成物層の欠落部分を
生じることもある。極端な場合には、ゲル化物の発生に
より、射出成形が不可能となる。
【0140】金型温度としては、0〜70℃の範囲が好
ましく、5〜50℃がより好ましく、10〜30℃がさ
らに好ましい。これにより、パリソンのPESおよび樹
脂組成物の結晶化が抑制され、均一な延伸性が確保され
て、得られる多層容器の耐層間剥離性および透明性が向
上し、形状の安定した成形物を得ることができる。金型
温度が0℃未満である場合、金型の結露によりパリソン
の外観が損なわれ、良好な成形物が得られない虞があ
る。また、金型温度が70℃を超える場合、パリソンの
PESおよび樹脂組成物の結晶化が抑制されず、延伸性
が不均一となり、得られる成形物の耐層間剥離性および
透明性が低下する上、意図した形に賦形された成形物を
得ることが困難となる。
【0141】こうして得られたパリソンにおいては、総
厚みが2〜5mm、樹脂組成物層の厚みが合計で10〜
500μmであることが好ましい。
【0142】上記のパリソンは、高温の状態で直接、ま
たはブロックヒーター、赤外線ヒーター等の発熱体を用
いて再加熱された後、延伸ブロー工程に送られる。加熱
されたパリソンを、延伸ブロー工程において縦方向に1
〜5倍に延伸した後、圧縮空気等で1〜4倍に延伸ブロ
ー成形することにより、本発明の多層射出ブロー成形容
器を製造することができる。パリソンの温度は、85〜
140℃が好ましく、90〜130℃がより好ましく、
95〜120℃がさらに好ましい。パリソンの温度が1
40℃を超えると、PESが結晶化しやすくなり、得ら
れる容器が白化して外観が損なわれたり、容器の層間剥
離が増加する場合がある。一方、パリソンの温度が85
℃未満であると、PESにクレーズが生じ、パール調に
なって透明性が損なわれる場合がある。
【0143】こうして得られる多層容器の胴部の総厚み
は、一般的には100〜2000μm、好適には150
〜1000μmであり、用途に応じて使い分けられる。
このときの樹脂組成物層の合計厚みは、2〜200μm
の範囲であることが好ましく、5〜100μmがより好
ましい。
【0144】このようにして本発明の樹脂組成物からな
る層および熱可塑性ポリエステル層からなる多層容器が
得られる。この容器は透明性が良好であり、かつガスバ
リア性および酸素掃去機能に極めて優れる。従って、酸
素の存在により劣化しやすい内容物、例えば、食品、医
薬品等の容器として有用である。特にビール等の飲料の
容器として極めて有用である。
【0145】
【実施例】以下に、本発明を実施例によって具体的に説
明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。
【0146】本実施例における分析は次のようにして行
った。
【0147】(1)EVOHのエチレン含有量およびケ
ン化度:重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒とした
H−NMR(核磁気共鳴)測定(日本電子社製「JNM
−GX−500型」を使用)により得られたスペクトル
から算出した。
【0148】(2)EVOHのリン酸根含有量:試料と
する乾燥チップ10gを0.01規定の塩酸水溶液50
mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後の水溶
液を、イオンクロマトグラフィーを用いて定量分析し、
リン酸根含有量をリン酸イオン(PO 3−)含有量と
して得た。クロマトグラフィーのカラムとしては(株)
横川電機製のCIS−A23を使用し、溶離液としては
2.5mMの炭酸ナトリウムと1.0mMの炭酸水素ナ
トリウムを含む水溶液を使用した。なお、定量に際して
はリン酸水溶液で作製した検量線を用いた。
【0149】(3)EVOHのナトリウム塩、カリウム
塩およびマグネシウム塩含有量:試料とする乾燥チップ
10gを0.01規定の塩酸水溶液50mlに投入し、
95℃で6時間撹拌した。撹拌後の水溶液を、イオンク
ロマトグラフィーを用いて定量分析し、ナトリウム塩、
カリウム塩およびマグネシウム塩含有量をそれぞれのカ
チオン含有量として金属換算の量で得た。クロマトグラ
フィーのカラムとして、(株)横河電機製のICS−C
25を使用し、溶離液として5.0mMの酒石酸と1.
0mMの2,6−ピリジンジカルボン酸を含む水溶液を
使用した。なお、定量に際してはそれぞれの金属の塩化
物の水溶液で作成した検量線を用いた。
【0150】(4)共重合体のスチレン含有量、イソプ
レンブロックにおける構造式(I)で示される構造単位
の割合、および炭素−炭素二重結合含有量:これらはい
ずれも重クロロホルムを溶媒としたH−NMR(核磁
気共鳴)測定(日本電子社製「JNM−GX−500
型」を使用)により得られたスペクトルから算出した。
ここで、スチレン含有量とは、共重合体を構成する全単
量体単位に対するスチレンの割合(モル%)である。イ
ソプレンブロックにおける構造式(I)で示される構造
単位の割合とは、イソプレン由来の全構造単位(1,4
−イソプレン単位、3,4−イソプレン単位、および
1,2−イソプレン単位)に対する、構造式(I)で示
される構造単位(3,4−イソプレン単位および1,2
−イソプレン単位)の割合(%)である。さらに、これ
らの結果から、炭素−炭素二重結合含有量を樹脂1g中
に含まれる二重結合のモル数(eq/g)として算出し
た。
【0151】(5)メルトフローレート:試料とする樹
脂または樹脂組成物のチップを、メルトインデクサーL
244(宝工業株式会社製)の内径9.55mm、長さ
162mmのシリンダーに充填し、210℃で溶融した
後、溶融した樹脂に対して、重さ2160g、直径9.
48mmのプランジャーを使用して均等に荷重をかけ
た。シリンダーの中央に設けた径2.1mmのオリフィ
スより単位時間あたりに押出される樹脂量(g/10
分)を測定し、これをメルトフローレートとした。
【0152】(6)屈折率:試料とする樹脂のチップ
を、押出温度210℃にてフィルム押出成形に供して、
厚み20μmの無延伸フィルムを得た。このフィルムの
屈折率を、アッベの屈折率計(株式会社アタゴ社製4T
型、株式会社東芝社製SL−Na−1ランプ)を用いて
測定した。
【0153】(7)ヘイズ値(曇価):試料とする樹脂
または樹脂組成物のチップを、押出温度210℃にてフ
ィルム押出成形に供して、厚み20μmの無延伸フィル
ムを得た。このフィルムのヘイズ値を、ASTM D1
003−61に準じて、ポイック積分球式光線透過率・
全光線反射率計(村上色彩技術研究所製「HR−100
型」)を用いて測定した。また、多層フィルムも同様に
測定した。さらに、多層ボトルについては、ボトル胴部
中央を円周上に4分割した4箇所について、各箇所にお
ける内部ヘイズ値を測定し、その平均値をボトルのヘイ
ズ値(曇価)とした。
【0154】(8)PETの各構造単位の含有率:重水
素化トリフルオロ酢酸を溶媒としたH−NMR(核磁
気共鳴)測定(日本電子社製「JNM−GX−500
型」を使用)により得られたスペクトルから算出した。
【0155】(9)PETの極限粘度:多層容器胴部の
PET層からサンプルのフィルム層を切り出し、フェノ
ールとテトラクロルエタンの等重量混合溶媒に溶解させ
た。得られた溶液の粘度を、30℃にてウベローデ型粘
度計(林製作所製「HRK−3型」)を用いて測定し
た。
【0156】(10)PETの融点およびガラス転移温
度:多層容器胴部のPET層からサンプルのフィルム層
を切り出し、JIS K7121に準じて、セイコー電
子工業(株)製示差走査熱量計(DSC)RDC220
/SSC5200H型を用いて測定した。280℃に試
料を5分間保持した後、速度100℃/分で30℃まで
降温し、5分間保持した後、速度10℃/分で昇温して
測定した。温度の校正にはインジウムと鉛を用いた。得
られたチャートから、前記JISでいう融解ピーク温度
(Tpm)および中間点ガラス転移温度(Tmg)を求
め、これを各々融点およびガラス転移温度とした。
【0157】実施例で使用したEVOHの物性を以下の
表に示す。
【0158】
【表2】
【0159】熱可塑性樹脂(B)として、以下の製造例
により調製した熱可塑性樹脂(B−1)を使用した。
【0160】(製造例)乾燥した窒素で浄化された攪拌
式オートクレーブ中にシクロヘキサン600体積部、
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン
(TMEDA)0.16体積部、および開始剤としてn
−ブチルリチウム0.094体積部を投入した。温度を
50℃に昇温し、スチレンモノマーを4.25体積部を
フィードし、1.5時間重合させた。次に温度を30℃
に下げ、イソプレンを120体積部フィードし2.5時
間重合させた。さらに再び温度を50℃に昇温し、スチ
レンモノマーを4.25体積部フィードし1.5時間重
合させた。
【0161】得られた反応混合物に、酸化防止剤として
2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−
2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフ
ェニルアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラ
キス(3−ラウリルチオプロピオネート)を、それぞれ
スチレンおよびイソプレンの合計量100重量部に対し
て0.15重量部ずつ加えた。反応混合物をメタノール
に注いで生成物を沈殿させ、これを分離・乾燥して、酸
化防止剤が添加された熱可塑性樹脂(B−1)を得た。
【0162】得られたスチレン−イソプレン−スチレン
トリブロック共重合体の数平均分子量は85000、共
重合体中のスチレンブロックの分子量はそれぞれ850
0、スチレン含有量は14モル%、イソプレンブロック
における構造式(I)で示される構造単位の割合は、5
5%であった。また、共重合体の炭素−炭素二重結合含
有量は0.014eq/gであり、メルトフローレート
(210℃−2160g荷重)は7.7g/10分であ
った。熱可塑性樹脂(B−1)中には、2−tert−
ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ
−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレ
ート0.12重量%およびペンタエリスリトールテトラ
キス(3−ラウリルチオプロピオネート)0.12重量
%が含まれていた。この熱可塑性樹脂の屈折率は1.5
31、ヘイズ値(曇価)は1.0%であった。
【0163】熱可塑性ポリエステルとして、二酸化ゲル
マニウムを触媒とした重合により得られたポリエチレン
テレフタレート(PET)を使用した。このポリエチレ
ンテレフタレート(PET(P−1)とする)における
テレフタル酸単位、エチレングリコール単位、およびジ
エチレングリコール単位の含有率はそれぞれ50.0モ
ル%、48.9モル%、および1.1モル%であった。
また、極限粘度は0.83dl/g、融点およびガラス
転移温度はそれぞれ252℃、80℃であった。
【0164】(実施例1)表2に示すEVOH(A−1
1)96.5重量部、熱可塑性樹脂(B−1)3.5重
量部、およびステアリン酸コバルト(II)0.212
1重量部(コバルト原子として0.0200重量部)を
ドライブレンドし、30mmφ二軸押出機((株)日本
製鋼所製TEX−30SS−30CRW−2V)を用
い、210℃でスクリュー回転数300rpm、押出樹
脂量25kg/時間の条件で押出してペレット化し、3
0℃で16時間減圧乾燥を行い樹脂組成物ペレットを得
た。この樹脂組成物のメルトフローレート(210℃−
2160g荷重)は11.8g/10分であった。樹脂
組成物ペレットの破断面を電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、熱可塑性樹脂(B−1)のおおむね1μm前後の粒
子が、EVOHからなるマトリックス中に分散してい
た。
【0165】得られた樹脂組成物ペレットを用いて、押
出温度210℃にて押出成形を行い、厚み20μmのフ
ィルムを得た。このフィルムのヘイズ値は1.0%であ
った。このフィルム0.9m(0.2m×4.5m;
表面積1.8m)をフィルム製膜の5時間後にロール
状に巻いて、20℃、65%RHの空気を満たしておい
た内部容量375mlの三角フラスコに入れた。三角フ
ラスコ中の空気は、体積比で21:79の酸素および窒
素を含有していた。三角フラスコの口を、エポキシ樹脂
を用いて、アルミニウム層を含む多層シートで封じてか
ら、20℃で放置した。封入2日後、4日後および8日
後の内部の空気をシリンジでサンプリングし、この空気
の酸素濃度をガスクロマトグラフィーを用いて測定し
た。測定時に多層シートに空いた細孔は、エポキシ樹脂
を用いてその都度封じた。測定によって得られた酸素と
窒素の体積比から、酸素の減少量(酸素吸収量)を計算
したところ、図1に示す結果を得た。2日後と8日後の
測定結果から算出した、フィルムの酸素吸収速度は1.
620ml/m・dayであった。
【0166】次に、得られたフィルムの両面に、厚さ2
0μmの延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ株式会社
製OP−#20 U−1)を、ウレタン系接着剤(東洋
モートン製、商品名:AD335A)と硬化剤(東洋モ
ートン製、商品名:Cat−10)のトルエン/メチル
エチルケトン混合溶液(重量比1:1)を使用して積層
し、多層フィルムを得た。この多層フィルムのヘイズ値
は2.2%であった。この多層フィルムを20℃−85
%RHに温湿度調節し、製膜後24時間経過した時点を
0として、酸素透過量測定装置(モダンコントロール社
製、OX−TRAN−2/20A)を用いて酸素透過速
度を500時間測定したところ、図2に示す結果を得
た。
【0167】次に、上記樹脂組成物ペレットと、製造例
で得られたPET(P−1)とを原料とし、日精ASB
製共射出延伸ブロー成形機(ASB−50HT型500
ml、2個取り)を使用して、PET/樹脂組成物/P
ETの2種3層のパリソンを得た。このとき、PET側
射出機温度は280℃、樹脂組成物側射出機温度は20
5℃、PETと樹脂組成物とが合流するホットランナー
ブロック部の温度は255℃、射出金型コア温度は15
℃、射出金型キャビティー温度は15℃であった。ま
た、サイクルタイムは40秒であった。その後、パリソ
ンの表面温度を105℃に加熱して延伸ブロー成形を行
い、胴部における平均厚みが内層PET100μm、中
間層樹脂組成物25μm、外層PET150μmである
2種3層の多層射出ブロー成形ボトルを得た。このボト
ルのヘイズ値は2.0%であった。
【0168】得られたボトルを、ボトル外部20℃−6
5%RH、ボトル内部20℃−100%RHに温湿度調
整し、酸素透過量測定装置(モダンコントロール社製、
OX−TRAN−10/50A)を使用して、成形10
日後の容器1個当たりの酸素透過速度を測定したとこ
ろ、0.00ml/container・day・at
mであった。
【0169】これとは別に、ボトルに内容物として水を
充填し、常圧下で密栓した。このボトル胴部を水平にし
た状態で30cmの高さから、90°の角度の角部を有
する長さ20cm三角柱の台の上に、該ボトル胴部の中
央が該三角柱の90°の角部に当たるように一回のみ自
然落下させた。1種類のボトルにつき100本の試験を
行い、層間剥離(デラミネーション)を生じたボトルの
本数Ndから、下記式によりデラミネーション発生率R
d(%)を算出したところ、12%であった。
【0170】Rd = (Nd/100)×100
【0171】(実施例2)表2に示すEVOH(A−1
2)19.5重量部、EVOH(A−21)78.0重
量部、熱可塑性樹脂(B−1)2.5重量部、およびス
テアリン酸コバルト(II)0.2121重量部(コバ
ルト原子として0.0200重量部)を用いて、実施例
1と同様にして樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のメ
ルトフローレート(210℃−2160g荷重)は1
2.7g/10分であった。樹脂組成物ペレットの破断
面を電子顕微鏡で観察したところ、熱可塑性樹脂(B−
1)のおおむね1μm前後の粒子が、EVOHからなる
マトリックス中に分散していた。
【0172】この樹脂組成物から、実施例1と同様にし
て厚み20μmのフィルムを得て、ヘイズ値を測定した
ところ、1.2%であった。また、酸素吸収量を測定し
たところ、図1に示す結果を得た。フィルムの酸素吸収
速度は1.176ml/m・dayであった。次に、
実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、ヘイズ値
を測定したところ、2.5%であった。また、酸素透過
速度を経時的に測定したところ、図2に示す結果を得
た。
【0173】さらに、実施例1と同様にしてボトルを作
製し、ヘイズ値を測定したところ、2.3%であった。
このボトルの酸素透過速度を実施例1と同様にして測定
したところ、0.00ml/container・da
y・atmであった。実施例1と同様にして落下試験を
行ったところ、デラミネーション発生率は8%であっ
た。
【0174】(実施例3)EVOH(A−12)38.
0重量部、EVOH(A−21)57.0重量部、熱可
塑性樹脂(B−1)5.0重量部、およびステアリン酸
コバルト(II)0.2121重量部(コバルト原子と
して0.0200重量部)を用いて、実施例1と同様に
して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のメルトフロー
レート(210℃−2160g荷重)は12.0g/1
0分であった。樹脂組成物ペレットの破断面を電子顕微
鏡で観察したところ、熱可塑性樹脂(B−1)のおおむ
ね1μm前後の粒子が、EVOHからなるマトリックス
中に分散していた。
【0175】この樹脂組成物から、実施例1と同様にし
て厚み20μmのフィルムを得て、ヘイズ値を測定した
ところ、1.1%であった。また、酸素吸収量を測定し
たところ、図1に示す結果を得た。フィルムの酸素吸収
速度は1.398ml/m・dayであった。次に、
実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、ヘイズ値
を測定したところ、2.3%であった。また、酸素透過
速度を経時的に測定したところ、図2に示す結果を得
た。
【0176】さらに、実施例1と同様にしてボトルを作
製し、ヘイズ値を測定したところ、2.1%であった。
このボトルの酸素透過速度を実施例1と同様にして測定
したところ、0.00ml/container・da
y・atmであった。実施例1と同様にして落下試験を
行ったところ、デラミネーション発生率は17%であっ
た。
【0177】(実施例4)EVOH(A−12)19.
2重量部、表2に示すEVOH(A−22)76.8重
量部、熱可塑性樹脂(B−1)4.0重量部、およびス
テアリン酸コバルト(II)0.2121重量部(コバ
ルト原子として0.0200重量部)を用いて、実施例
1と同様にして樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のメ
ルトフローレート(210℃−2160g荷重)は8.
7g/10分であった。樹脂組成物ペレットの破断面を
電子顕微鏡で観察したところ、熱可塑性樹脂(B−1)
のおおむね1μm前後の粒子が、EVOHからなるマト
リックス中に分散していた。
【0178】この樹脂組成物から、実施例1と同様にし
て厚み20μmのフィルムを得て、ヘイズ値を測定した
ところ、1.4%であった。また、酸素吸収量を測定し
たところ、図1に示す結果を得た。フィルムの酸素吸収
速度は0.883ml/m・dayであった。次に、
実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、ヘイズ値
を測定したところ、2.6%であった。また、酸素透過
速度を経時的に測定したところ、図2に示す結果を得
た。
【0179】さらに、実施例1と同様にしてボトルを作
製し、ヘイズ値を測定したところ、2.4%であった。
このボトルの酸素透過速度を実施例1と同様にして測定
したところ、0.00ml/container・da
y・atmであった。実施例1と同様にして落下試験を
行ったところ、デラミネーション発生率は19%であっ
た。
【0180】(実施例5)表2に示すEVOH(A−1
3)95.0重量部、熱可塑性樹脂(B−1)5.0重
量部、およびステアリン酸コバルト(II)0.212
1重量部(コバルト原子として0.0200重量部)を
用いて、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。この
樹脂組成物のメルトフローレート(210℃−2160
g荷重)は7.2g/10分であった。樹脂組成物ペレ
ットの破断面を電子顕微鏡で観察したところ、熱可塑性
樹脂(B−1)のおおむね1μm前後の粒子が、EVO
Hからなるマトリックス中に分散していた。
【0181】この樹脂組成物から、実施例1と同様にし
て厚み20μmのフィルムを得て、ヘイズ値を測定した
ところ、1.1%であった。また、酸素吸収量を測定し
たところ、図1に示す結果を得た。フィルムの酸素吸収
速度は0.993ml/m・dayであった。次に、
実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、ヘイズ値
を測定したところ、2.3%であった。また、酸素透過
速度を経時的に測定したところ、図2に示す結果を得
た。
【0182】さらに、実施例1と同様にしてボトルを作
製し、ヘイズ値を測定したところ、2.2%であった。
このボトルの酸素透過速度を実施例1と同様にして測定
したところ、0.00ml/container・da
y・atmであった。実施例1と同様にして落下試験を
行ったところ、デラミネーション発生率は14%であっ
た。
【0183】(比較例1)EVOH(A−21)を単独
で用いて、実施例1と同様にして厚み20μmのフィル
ムを得て、ヘイズ値を測定したところ、0.9%であっ
た。また、酸素吸収量を測定したところ、図1に示す結
果を得た。フィルムの酸素吸収速度は0.000ml/
・dayであった。次に、実施例1と同様にして多
層フィルムを作製し、ヘイズ値を測定したところ、2.
1%であった。また、酸素透過速度を経時的に測定した
ところ、図2に示す結果を得た。
【0184】さらに、実施例1と同様にしてボトルを作
製し、ヘイズ値を測定したところ、2.1%であった。
このボトルの酸素透過速度を実施例1と同様にして測定
したところ、0.03ml/container・da
y・atmであった。実施例1と同様にして落下試験を
行ったところ、デラミネーション発生率は64%であっ
た。
【0185】(比較例2)EVOH(A−21)97.
5重量部、熱可塑性樹脂(B−1)2.5重量部、およ
びステアリン酸コバルト(II)0.2121重量部
(コバルト原子として0.0200重量部)を用いて、
実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。この樹脂組成
物のメルトフローレート(210℃−2160g荷重)
は13.5g/10分であった。樹脂組成物ペレットの
破断面を電子顕微鏡で観察したところ、熱可塑性樹脂
(B−1)のおおむね1μm前後の粒子が、EVOHか
らなるマトリックス中に分散していた。
【0186】この樹脂組成物から、実施例1と同様にし
て厚み20μmのフィルムを得て、ヘイズ値を測定した
ところ、1.5%であった。また、酸素吸収量を測定し
たところ、図1に示す結果を得た。フィルムの酸素吸収
速度は1.104ml/m・dayであった。次に、
実施例1と同様にして多層フィルムを作製し、ヘイズ値
を測定したところ、2.7%であった。また、酸素透過
速度を経時的に測定したところ、図2に示す結果を得
た。
【0187】さらに、実施例1と同様にしてボトルを作
製し、ヘイズ値を測定したところ、2.5%であった。
このボトルの酸素透過速度を実施例1と同様にして測定
したところ、0.00ml/container・da
y・atmであった。実施例1と同様にして落下試験を
行ったところ、デラミネーション発生率は89%であっ
た。
【0188】上記の樹脂組成物の構成を表3に、各種評
価の結果を表4にまとめて示す。
【0189】
【表3】
【0190】
【表4】
【0191】表4の結果から、本発明の組成物を用いて
得られるフィルムは、透明性が良好であり、酸素掃去性
に優れることがわかる。このフィルムを用いて得られる
多層容器は、酸素を透過させにくく、しかも耐衝撃性に
優れ、層間剥離を生じない。
【0192】
【発明の効果】本発明によれば、良好なガスバリア性、
防湿性、保香性、フレーバーバリア性を有し、さらに酸
素掃去機能を有する樹脂組成物が得られる。この樹脂組
成物からなる層を含む多層容器は、高い耐衝撃剥離性を
有する。この容器は、例えば、酸素に対し感受性が高く
劣化しやすい製品、特に食品、飲料、医薬品、化粧品等
の保存に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜5、および比較例1および2で得ら
れた単層フィルムの酸素吸収量を時間に対してプロット
したグラフである。
【図2】実施例1〜5および比較例1および2で得られ
た多層フィルムの酸素透過速度を時間に対してプロット
したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 23/26 C08L 101:00) 101:00) (C08L 29/04 B (C08L 29/04 101:00) 101:00) B65D 1/00 B (72)発明者 中谷 正和 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 Fターム(参考) 3E033 AA01 BA14 BA22 BB08 CA01 CA16 FA02 FA03 4F100 AK01A AK07B AK07C AK69A AK73A AK73J AL02A AL05A AT00B BA02 BA03 BA06 BA07 BA10A BA10B BA10C BA15 DA01 GB16 GB23 GB66 GB71 JA20A JB16A JD02 JD14 JK06 JK10 JN01 YY00A 4J002 AA012 AC022 AC082 BB221 BC012 BC052 BC082 BE031 BN142 BP012 DD076 EE046 EG046 GF00 GG01

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン−ビニルアルコール共重合体
    (A)70〜99.9重量%および該エチレン−ビニル
    アルコール共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂(B)
    0.1〜30重量%を含有する樹脂組成物であって、 該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレ
    ン含有量ETa(モル%)およびケン化度SDa(%)
    が、下記式(1)および(2)を満足し: 25≦ETa≦55 (1) 90≦SDa<99 (2)、そして 該樹脂組成物の酸素吸収速度が0.01ml/m・d
    ay以上である、 樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 エチレン−ビニルアルコール共重合体
    (A)70〜99.9重量%および該エチレン−ビニル
    アルコール共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂(B)
    0.1〜30重量%を含有する樹脂組成物であって、 該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が、少な
    くとも2種類のエチレン−ビニルアルコール共重合体
    (a1)および(a2)を含有し、 該エチレン−ビニルアルコール共重合体(a1)および
    (a2)のそれぞれのエチレン含有量ETa1(モル
    %)、ETa2(モル%)、およびそれぞれのケン化度
    SDa1(%)、SDa2(%)が下記式(3)〜
    (6)を満足し: 25≦ETa1≦55 (3) 90≦SDa1<99 (4) 25≦ETa2≦55 (5) 99≦SDa2 (6) 該エチレン−ビニルアルコール共重合体(a1)および
    (a2)の含有割合(a1/a2)が重量比で5/95
    〜95/5であり、そして該樹脂組成物の酸素吸収速度
    が0.01ml/m・day以上である、 樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性樹脂(B)が炭素−炭素二
    重結合を含有する、請求項1または2に記載の樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 さらに遷移金属塩(C)を含有する、請
    求項1から3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 エチレン−ビニルアルコール共重合体
    (A)、該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)
    以外の熱可塑性樹脂(B)、および遷移金属塩(C)を
    含有する樹脂組成物であって、 該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレ
    ン含有量ETa(モル%)およびケン化度SDa(%)
    が、下記式(1)および(2)を満足し: 25≦ETa≦55 (1) 90≦SDa<99 (2)、そして 該熱可塑性樹脂(B)が炭素−炭素二重結合を有する、 樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 エチレン−ビニルアルコール共重合体
    (A)、該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)
    以外の熱可塑性樹脂(B)、および遷移金属塩(C)を
    含有する樹脂組成物であって、 該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が、少な
    くとも2種類のエチレン−ビニルアルコール共重合体
    (a1)および(a2)を含有し、 該エチレン−ビニルアルコール共重合体(a1)および
    (a2)のそれぞれのエチレン含有量ETa1(モル
    %)、ETa2(モル%)、およびそれぞれのケン化度
    SDa1(%)、SDa2(%)が下記式(3)〜
    (6)を満足し: 25≦ETa1≦55 (3) 90≦SDa1<99 (4) 25≦ETa2≦55 (5) 99≦SDa2 (6) 該エチレン−ビニルアルコール共重合体(a1)および
    (a2)の含有割合(a1/a2)が重量比で5/95
    〜95/5であり、そして該熱可塑性樹脂(B)が炭素
    −炭素二重結合を有する、 樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記エチレン−ビニルアルコール共重合
    体(A)および熱可塑性樹脂(B)の合計重量を基準と
    して、遷移金属塩(C)を金属元素換算で1〜5000
    ppmの割合で含有する請求項4から6のいずれかに記
    載の樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記遷移金属塩(C)が鉄、ニッケル、
    銅、マンガンおよびコバルトからなる群より選ばれる少
    なくとも1種の遷移金属を有する、請求項4から7のい
    ずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記熱可塑性樹脂(B)が、炭素−炭素
    二重結合を0.0001eq/g以上の割合で含有する
    請求項3、5、または6に記載の樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 熱可塑性樹脂(B)が下記構造式
    (I) 【化1】 (式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜5のアル
    キル基、Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキ
    ル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアル
    キル基またはアルコキシ基であり、RおよびRは各
    々独立して、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル
    基、置換されていてもよいアリール基、−COOR
    −OCOR、シアノ基、またはハロゲン原子であり、
    およびRは各々独立して炭素原子数1〜10のア
    ルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリール
    アルキル基またはアルコキシ基である)で示される単位
    を有する、請求項1から9のいずれかに記載の樹脂組成
    物。
  11. 【請求項11】 前記熱可塑性樹脂(B)の分子量が1
    000〜500000である、請求項1から10のいず
    れかに記載の樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 前記熱可塑性樹脂(B)が芳香族ビニ
    ル化合物単位およびジエン化合物単位を有する、請求項
    1から11のいずれかに記載の樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 前記ジエン化合物単位がイソプレン単
    位およびブタジエン単位のうちの少なくとも一方であ
    る、請求項12に記載の樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 前記芳香族ビニル化合物単位がスチレ
    ン単位である、請求項12または13に記載の樹脂組成
    物。
  15. 【請求項15】 前記熱可塑性樹脂(B)がブロック共
    重合体である、請求項12から14のいずれかに記載の
    樹脂組成物。
  16. 【請求項16】 前記エチレン−ビニルアルコール共重
    合体(A)と熱可塑性樹脂(B)との屈折率の差が0.
    01以下である、請求項1から15のいずれかに記載の
    樹脂組成物。
  17. 【請求項17】 前記熱可塑性樹脂(B)からなる粒子
    が、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のマト
    リックス中に分散している、請求項1から16のいずれ
    かに記載の樹脂組成物。
  18. 【請求項18】 請求項1から17のいずれかに記載の
    樹脂組成物からなる層を、少なくとも1層含む多層構造
    体。
  19. 【請求項19】 請求項1から17のいずれかに記載の
    樹脂組成物からなる層、および熱可塑性ポリエステル層
    をそれぞれ少なくとも1層含む多層容器。
  20. 【請求項20】 前記樹脂組成物からなる層の両面に熱
    可塑性ポリエステル層が直接接触するように配置された
    構成を有する、請求項19に記載の多層容器。
  21. 【請求項21】 共射出ブロー成形によって得られる、
    請求項19または20に記載の多層容器。
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