JP2002145823A - P−エチル安息香酸とε―カプロラクトンの同時製造法 - Google Patents

P−エチル安息香酸とε―カプロラクトンの同時製造法

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JP2002145823A
JP2002145823A JP2000338961A JP2000338961A JP2002145823A JP 2002145823 A JP2002145823 A JP 2002145823A JP 2000338961 A JP2000338961 A JP 2000338961A JP 2000338961 A JP2000338961 A JP 2000338961A JP 2002145823 A JP2002145823 A JP 2002145823A
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ethylbenzoic acid
caprolactone
ethylbenzaldehyde
cyclohexanone
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Kazuo Tanaka
一夫 田中
Etsuo Urabe
悦生 占部
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】P−エチルベンズアルデヒドとシクロヘキサノ
ンを分子状酸素により共酸化してP−エチル安息香酸と
ε−カプロラクトンを製造するに際して、過P−エチル
安息香酸の含量が少ないP−エチル安息香酸およびε―
カプロラクトンを選択性良く、同時に製造する方法を提
供する。 【解決手段】金属触媒存在下に、原料のモル比がP−エ
チルベンズアルデヒド1モルに対しシクロヘキサノン
0.5〜30モルの範囲であり、反応圧力が0.5〜5
MPaGの範囲であり、かつ反応温度が30〜55℃の範囲
であることを特徴とするP−エチル安息香酸とε−カプ
ロラクトンの同時製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はP−エチル安息香酸
およびε−カプロラクトンの同時製造方法に関する。P
−エチル安息香酸は塩化ビニルの安定化剤として有用で
ある。ε−カプロラクトンはウレタン原料として有用で
ある。
【0002】
【従来の技術】P−エチル安息香酸はP−エチルベンズ
アルデヒドを過酸化水素あるいは過酢酸などの有機過酸
を用いて酸化する方法により製造される。しかしなが
ら、過酸化水素あるいは過酢酸などの有機過酸は高価な
上に取り扱いに注意が必要である。またP−エチルベン
ズアルデヒドを酸素含有ガスで酸化する場合比較的温和
な条件が必要で、エチル基やアルデヒド基が酸化され、
不純物が生じ易い。しかも特開平7−188161号公
報に記載されているように比較的温和な条件では過P−
エチル安息香酸が生成し易い。過P−エチル安息香酸が
残存している場合、エチル基を酸化し、経時変化を受け
易く、品質上の問題がある。その為、選択性良く、不純
物を出来る限り少なく、しかも過P−エチル安息香酸の
含量が少ないP−エチル安息香酸を安価に製造すること
が要望されている。一方、ε―カプロラクトンはシクロ
ヘキサノンの酸化により製造され、芳香族アルデヒドあ
るいは脂肪族アルデヒドとの共酸化法や酸化剤に有機過
酸を用いる過酸酸化法がある。特開平5−65245号
公報には環状ケトンと芳香族アルデヒドとの共酸化で、
ラクトンと芳香族カルボン酸を製造するに際し、スルー
プットを特定することで、副生物をおさえる方法が記載
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、過P−
エチル安息香酸の含量が少ないP−エチル安息香酸を選
択性良く、安価に製造する方法が求められている。ま
た、ε―カプロラクトンを選択性良く製造する方法も求
められている。本発明の目的は、P−エチルベンズアル
デヒドとシクロヘキサノンを分子状酸素により共酸化し
てP−エチル安息香酸とε−カプロラクトンを製造する
に際して、過P−エチル安息香酸の含量が少ないP−エ
チル安息香酸およびε―カプロラクトンを選択性良く、
同時に製造する方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するため鋭意検討の結果、P−エチルベンズアルデ
ヒドとシクロヘキサノンを分子状酸素により共酸化して
P−エチル安息香酸とε−カプロラクトンを製造するに
際し、条件をえらぶことで不純物が少なく、選択性良く
P−エチル安息香酸が製造でき、さらに有用なε−カプ
ロラクトンを得ることができること、また、反応温度と
P−エチルベンズアルデヒドとシクロヘキサノンの反応
系への供給比率を最適にえらぶことで選択性良くP−エ
チル安息香酸とε−カプロラクトンを得ることができる
こと、さらにP−エチル安息香酸中の過P−エチル安息
香酸の含有量が少なくなり、品質も安定することを見出
し、本発明を完成した。即ち本発明は、P−エチルベン
ズアルデヒドとシクロヘキサノンを分子状酸素により共
酸化してP−エチル安息香酸とε−カプロラクトンを製
造するに際して、金属触媒存在下に、原料のモル比がP
−エチルベンズアルデヒド1モルに対しシクロヘキサノ
ン0.5〜30モルの範囲であり、反応圧力が0.5〜
5MPaGの範囲であり、かつ反応温度が30〜55℃の範
囲であることを特徴とするP−エチル安息香酸とε−カ
プロラクトンの同時製造法である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において用いるP−エチル
ベンズアルデヒドはエチルベンゼンをホルミル化して、
所謂ガッターマン・コッホ反応により工業的に製造され
ているものを使用できる。本発明におけるP−エチルベ
ンズアルデヒドとシクロヘキサノンの反応系への供給比
率はモル比で、P−エチルベンズアルデヒド1モルに対
しシクロヘキサノン0.5〜30モル、好ましくは1〜
20モルの範囲である。P−エチルベンズアルデヒドの
供給比率を高くするとP−エチル安息香酸の選択率が低
下するとともに過P−エチル安息香酸の含量が高くな
る。一方、P−エチルベンズアルデヒドの供給比率を低
くするとシクロヘキサノンの共酸化速度が低下し、ε−
カプロラクトンの収率が低下する。
【0006】P−エチルベンズアルデヒドとシクロヘキ
サノンの共酸化反応の酸化剤には分子状酸素が用いられ
る。分子状酸素としては純酸素、空気、酸素濃度を高め
た空気、酸素と不活性ガス(二酸化炭素、窒素)の混合
ガスなどの形態で供給されるが、一般的には空気が用い
られる。
【0007】反応温度は30〜55℃、好ましくは35
〜50℃の範囲である。反応温度の選択が重要で、反応
温度が低すぎる場合には反応速度が低く、また過P−エ
チル安息香酸の含量が高くなる。反応温度が高すぎる場
合にはP−エチル安息香酸及びε−カプロラクトンの選
択率が低くなる。反応圧力は0.5〜5MPaGの範囲の加
圧下が好ましく、反応時、溶媒が液相を保つように選択
する。酸素分圧は0.01〜0.2MPaの範囲が好まし
い。酸素分圧が高すぎるとP−エチル安息香酸の選択率
が低下する。
【0008】共酸化反応は無触媒でも実施する事が出来
るが、反応終了後の過P−エチル安息香酸の含量が高く
なり易いので、コバルト、マンガン、鉄、銅、ニッケ
ル、白金、パラジウム、バナジウム、ルテニウム、アル
ミニウム、ジルコニウム、チタン、セリウム、ベリウム
などの金属触媒を用いる事が好ましく、特にコバルト触
媒が好適に用いられる。また、金属触媒はナフテン酸
塩、ステアリン酸塩など脂肪酸塩の形で用いことが好ま
しい。
【0009】コバルト触媒の使用量は反応液の全重量に
対して、0.01〜50ppmの範囲で、好ましくは
0.1〜30ppmの範囲である。コバルト触媒の使用
量が多すぎると副反応が多くなり、P−エチル安息香酸
選択率は低下する。コバルト触媒の使用量が少すぎると
反応速度が低下する。また過P−エチル安息香酸の含量
が高くなる。
【0010】反応器内の平均滞留時間は0.2〜10時
間の範囲で、好ましくは0.5〜4時間の範囲である。
P−エチルベンズアルデヒドの反応率は80モル%以下
となるように液相酸化し、滞留時間を好ましい範囲で行
い、副生物を出来るだけ少なくする。共酸化反応は通常
反応溶媒の不存在下で実施されるが、必要に応じて反応
溶媒を使用しても良い。反応溶媒としては、へキサン、
ベンゼン、キシレン、エチルベンゼンなどの炭化水素
類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢
酸エチル、安息香酸メチルなどのエステル類、アセトニ
トリル、ベンズニトリルなどのニトリル類、ぎ酸、酢
酸、プロピオン酸などの低級有機カルボン酸類が用いら
れる。本発明の反応はバッチ式、半連続式、連続式のい
ずれの方法でも行う事が出来るが、半連続式または連続
式で行う事が好ましい。
【0011】
【実施例】次に実施例および比較例により本発明を更に
具体的に説明する。但し本発明は以下の実施例により制
限されるものでない。なお、以下の実施例及び比較例に
おいて、特記しない限り「%」はモル%、「ppm」は
質量比である。また反応率および選択率は次の計算値に
よる数値である。 反応率=「原料反応量(モル)」/「原料供給量(モ
ル)」×100% 選択率=「生成量(モル)」/「原料反応量(モル)」
×100%
【0012】実施例1 内容積2Lのステンレス製攪拌機付き流通式オートクレ
ーブに、触媒としてナフテン酸コバルトをコバルトとし
て1ppm含むシクロヘキサノン800g、P−エチル
ベンズアルデヒド200gを仕込み、窒素加圧雰囲気で
2.5MPaG、40℃に維持し、仕込み液と同じ組成の原
料を1000g/hの割合で供給するとともに空気を導
入し、同じ液面に維持しながら、反応液の抜き出しを開
始した。この時の反応液中のコバルト濃度は0.8pp
mであった。また、反応器内の平均滞留時間は1時間で
あった。オフガスの酸素濃度を10vol%になるように調
整し、5時間反応を継続した。定常状態に達した後の反
応液を分析した結果、P−エチルベンズアルデヒド反応
率は30.0%、P−エチル安息香酸選択率は99.3
%、過P−エチル安息香酸選択率は0.5%であった。
シクロヘキサノン反応率は4.5%、ε―カプロラクト
ン選択率は95.0%であった。
【0013】実施例2 反応温度を51℃とした以外、実施例1と同様にした。
反応液を分析した結果、P−エチルベンズアルデヒド反
応率は61.4%、P−エチル安息香酸選択率は99.
0%、過P−エチル安息香酸選択率は0.4%であっ
た。シクロヘキサノン反応率は7.6%、ε―カプロラ
クトン選択率は89.5%であった。
【0014】比較例1 反応温度を60℃とした以外、実施例1と同様にした。
反応液を分析した結果、P−エチルベンズアルデヒド反
応率は76.0%、P−エチル安息香酸選択率は91.
1%、過P−エチル安息香酸選択率は0.2%であっ
た。シクロヘキサノン反応率は10.5%、ε−カプロ
ラクトン選択率は81.0%であった。
【0015】比較例2 実施例1において、原料をP−エチルベンズアルデヒド
のみとした以外、実施例1と同様な条件で酸化反応を行
った。反応液を分析した結果、P−エチルベンズアルデ
ヒド反応率は29%、P−エチル安息香酸選択率は86
%、過P−エチル安息香酸選択率は1.5%であった。
実施例1に比べ、P−エチル安息香酸酸選択率が低い。
【0016】実施例3 反応温度を45℃とし、原料供給量を、ナフテン酸コバ
ルトをコバルトとして2ppm含むシクロヘキサノン7
50g/h、P−エチルベンズアルデヒド250g/hとし
た以外、実施例1と同様にした。反応液を分析した結
果、P−エチルベンズアルデヒド反応率は57.4%、
P−エチル安息香酸選択率は99.1%、過P−エチル
安息香酸選択率は0.4%であった。シクロヘキサノン
反応率は12.1%、ε−カプロラクトン選択率は9
4.1%であった。
【0017】
【発明の効果】以上の実施例から、本発明によりP−エ
チルベンズアルデヒドとシクロヘキサノンを分子状酸素
により共酸化してP−エチル安息香酸とε−カプロラク
トンを製造するに際して、コバルト触媒存在下、P−エ
チルベンズアルデヒドとシクロヘキサノンのモル比、反
応温度を適正にすることで、選択性良く、有用なP−エ
チル安息香酸とε−カプロラクトンを工業的に有利に製
造する事が出来る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】P−エチルベンズアルデヒドとシクロヘキ
    サノンを分子状酸素により共酸化してP−エチル安息香
    酸とε−カプロラクトンを製造するに際して、金属触媒
    存在下に、原料のモル比がP−エチルベンズアルデヒド
    1モルに対しシクロヘキサノン0.5〜30モルの範囲
    であり、反応圧力が0.5〜5MPaGの範囲であり、かつ
    反応温度が30〜55℃の範囲であることを特徴とする
    P−エチル安息香酸とε−カプロラクトンの同時製造
    法。
  2. 【請求項2】金属触媒がコバルト触媒である請求項1記
    載のP−エチル安息香酸とε−カプロラクトンの同時製
    造法。
  3. 【請求項3】反応液中のコバルト濃度が質量比で0.0
    1〜50ppmである請求項2記載のP−エチル安息香
    酸とε−カプロラクトンの同時製造法。
  4. 【請求項4】反応器内の平均滞留時間が0.2〜10時
    間の範囲である請求項1記載のP−エチル安息香酸とε
    −カプロラクトンの同時製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020058981A (ja) * 2018-10-10 2020-04-16 旭化成株式会社 エステルの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020058981A (ja) * 2018-10-10 2020-04-16 旭化成株式会社 エステルの製造方法
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