JP2003096010A - 2,3,5−トリメチルハイドロキノンの製造方法 - Google Patents

2,3,5−トリメチルハイドロキノンの製造方法

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JP2003096010A
JP2003096010A JP2001286742A JP2001286742A JP2003096010A JP 2003096010 A JP2003096010 A JP 2003096010A JP 2001286742 A JP2001286742 A JP 2001286742A JP 2001286742 A JP2001286742 A JP 2001286742A JP 2003096010 A JP2003096010 A JP 2003096010A
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Japan
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acid
trimethylhydroquinone
hydrogen peroxide
trimethylphenol
carboxylic
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Atsuyuki Akiyama
敬幸 秋山
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DIC Corp
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成ビタミンEの原料、樹脂原料
および酸化防止剤として有用な2,3,5−トリメチル
ハイドロキノンを、過酸化水素、もしくはパーオキサイ
ド等の酸化剤を用いて製造する方法で、得られる2,
3,5−トリメチルハイドロキノンの用いた酸化剤に対
する選択率が、高選択率となるように製造する方法を提
供すること。 【解決手段】 2,3,6−トリメチルフェノー
ルを、カルボン酸類の存在下に過酸化水素で酸化して
2,3,5−トリメチルハイドロキノンを1段の反応工
程で製造し、かつ高選択率で製造する、2,3,5−ト
リメチルハイドロキノンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成ビタミンEの
原料、樹脂原料および酸化防止剤として有用な2,3,
5−トリメチルハイドロキノンを製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】2,3,5−トリメチルハイドロキノン
を製造する方法としては、特公昭55−30693号公
報で、2,3,6−トリメチルフェノールを、硫酸もし
くはその塩、またはスルホン酸もしくはその塩を触媒と
して存在させて、ケトンの存在下に過酸化水素で酸化し
て2,3,5−トリメチルハイドロキノンを得る方法が
開示され、また特公昭55−31763号公報で、2,
3,6−トリメチルフェノールを、硫酸もしくはその
塩、またはスルホン酸もしくはその塩の存在下にケトン
パーオキサイドで酸化して2,3,5−トリメチルハイ
ドロキノンを得る方法が開示されている。これらの方法
は、1段の反応工程で、目的とする2,3,5−トリメ
チルハイドロキノンが得られるという利点はあるもの
の、仕込み過酸化水素、もしくはパーオキサイドに対し
て得られる2,3,5−トリメチルハイドロキノンの選
択率(以下、対酸化剤選択率と略記する)が、17〜2
2%と低いという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、2,3,6−トリメチルフェノールから
2,3,5−トリメチルハイドロキノンを1段の反応工
程で製造し、かつ高選択率で製造する方法を提供するこ
とにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の各
種問題点に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、2,3,6−
トリメチルフェノールを、カルボン酸類の存在下に過酸
化水素で酸化することによって、35%以上の高い対酸
化剤選択率で2,3,5−トリメチルハイドロキノンを
製造できることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
【0005】すなわち本発明は、2,3,6−トリメチ
ルフェノール(A)を、カルボン酸類(B)の存在下に
過酸化水素(C)で酸化することを特徴とする2,3,
5−トリメチルハイドロキノンの製造方法を提供するも
のである。
【0006】本発明で用いるカルボン酸類(B)として
は、特に限定はなく、例えば、蟻酸、酢酸、無水酢酸、
モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリ
フルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草
酸、オクチル酸、ステアリン酸、蓚酸、アジピン酸、ク
エン酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット
酸、安息香酸等が挙げられる。なかでも、蟻酸、酢酸、
プロピオン酸が特に好ましい。
【0007】本発明で用いる過酸化水素(C)として
は、水溶液または有機溶剤溶液のいずれの形態でも良い
が、商品としてより容易に入手できるという理由から、
水溶液を用いるのが好ましく、例えば、20〜90重量
%の濃度の水溶液を使用することができる。なかでも6
0〜90重量%濃度のものが特に好ましい。本発明で
は、in-situで、過酸化水素(C)とカルボン酸類
(B)とが反応して得られた過カルボン酸が酸化剤とし
て作用することとなり、過酸化水素(C)の濃度が高く
なると、過カルボン酸が効率よく生成するため好まし
い。
【0008】2,3,6−トリメチルフェノール(A)
と過酸化水素(C)とのモル比(n )/(n)は、
対酸化剤選択率を高め、さらに原料の仕込み総量当たり
の得量を上げて未反応2,3,6−トリメチルフェノー
ルを減らすため、1/1〜30/1が好ましく、なかで
も2/1〜25/1がより好ましく、5/1〜25/1
が特に好ましい。
【0009】カルボン酸類(B)と過酸化水素(C)と
のモル比(n)/(n)は、対酸化剤選択率を向上
させ、さらに原料の仕込み総量当たりの得量を上げるた
め0.05/1〜5/1となる範囲が好ましい。なかで
も0.1/1〜3/1となる範囲がより好ましく、0.
3/1〜2/1が特に好ましい。
【0010】本発明の製造方法では、カルボン酸類
(B)として水中での酸解離定数(pKa)が4.0を
超えるカルボン酸類(B1)、例えば、酢酸、プロピオ
ン酸、酪酸、安息香酸等を用いる際、過酸化水素(C)
とカルボン酸類(B1)とが反応して得られる過カルボ
ン酸の生成を促進させる触媒として、水中での解離定数
(pKa)が−16.0〜4.0の酸化合物(D)を用
いることが好ましく、なかでも水中での解離定数(pK
a)が−11.0〜3.8の酸化合物が特に好ましい。
カルボン酸類(B1)以外のカルボン酸類(B)を用い
る場合には、酸化合物(D)は用いても用いなくても良
い。
【0011】酸化合物(D)としては、例えば、硫酸、
過塩素酸、塩化水素、フッ化水素、三フッ化ホウ素、三
フッ化ホウ素の錯体、三フッ化ホウ素のフッ化水素付加
体、硝酸、りん酸および硫化水素の無機酸類;蟻酸、ト
リフルオロ酢酸等のカルボン酸類;メタンスルホン酸、
ニトロベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホ
ン酸および強酸性陽イオン交換樹脂等のスルホン酸類;
タングストリン酸、タングストケイ酸、リンモリブデン
酸およびケイモリブデン酸等のヘテロポリ酸等が挙げら
れる。なかでも、硫酸、過塩素酸、蟻酸、またはメタン
スルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸が好まし
い。なおこれらの酸は単独でも2種以上を併用して用い
ても良い。
【0012】酸化合物(D)の使用量は、過酸化水素
(C)1モルに対して、0.00005〜0.2モルと
なる範囲の量が好ましく、なかでも0.0002〜0.
1モルとなる範囲がより好ましく、0.002〜0.0
5モルが特に好ましい。
【0013】本発明の2,3,5−トリメチルハイドロ
キノンの製造方法としては、例えば、2,3,6−トリ
メチルフェノール(A)とカルボン酸類(B)とを80
〜150℃で溶融して攪拌混合し、そこに過酸化水素
(C)を一括、分割または連続して添加して反応させる
方法、あるいは、2,3,6−トリメチルフェノール
(A)を80〜150℃で溶融して攪拌し、そこにカル
ボン酸類(B)と過酸化水素(C)とを順次または同時
に、一括、分割または連続して添加して反応させる方法
等が挙げられる。
【0014】また、カルボン酸類(B)として、水中で
の酸解離定数(pKa)が4.0を超えるカルボン酸類
(B1)を用いる場合は、過酸化水素(C)の添加前ま
たは過酸化水素(C)の添加と同時に、酸化合物(D)
を用いることが好ましい。
【0015】本発明では、in-situで、カルボン酸類
(B)と過酸化水素(C)とが反応して生成した過カル
ボン酸が酸化剤として作用することになる。カルボン酸
類(B)と過酸化水素(C)とが反応して得られる過カ
ルボン酸は、下記式(a)に示す平衡反応により生成す
る。反応の平衡を過カルボン酸の生成の方向に動かすた
め、反応系内の水分量は少ないほうがより好ましい。反
応系内の水分量が多くなると、過カルボン酸が生成しに
くくなり、過酸化水素(C)の自己分解が起こり、対酸
化剤選択率が低下するため、好ましくない。
【化1】 (式(a)中RCOOHは、カルボン酸類(B)を示し、RCO
OOHは、過カルボン酸を示す。)
【0016】また、本発明の製造方法は、必要に応じて
溶媒の存在下で行うこともできる。使用できる溶媒とし
ては、当該反応に対して不活性なものであればよく、例
えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t
ert−ブタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢
酸エチル、安息香酸メチル、フタル酸ジメチル、フタル
酸ジエチル等のエステル類;ジイソプロピルエーテル、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;n−
ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン等の炭化水素類;
ジクロロエタン、テトラクロロエタン等のハロゲン化水
素等が挙げられる。
【0017】反応の方法としては、回分方式、連続方式
いずれでもよいが、連続方式の場合、完全混合により近
い方式を採用することが好ましい。この際、圧力は減
圧、常圧、加圧いずれの状態でもよい。
【0018】反応終了後の反応液中には、目的物である
2,3,5−トリメチルハイドロキノンの分離精製を妨
害するものは含有されていないため、一般的な方法で容
易に分離することができる。例えば、反応液を冷却し、
触媒を除去した後に、蒸留、晶析、再結晶を適宜組み合
わせて精製することにより、2,3,5−トリメチルハ
イドロキノンを得ることができる。この際、分離したカ
ルボン酸(B)および未反応の2,3,6−トリメチル
フェノール(A)は循環して、次の反応に使用できる。
【0019】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0020】実施例、比較例における原料仕込みモル
数、および生成した2,3,5−トリメチルハイドロキ
ノンの対酸化剤選択率を第1表に示す。対酸化剤選択率
は、以下の計算式で算出した。 対酸化剤選択率(%)=[生成2,3,5−トリメチル
ハイドロキノン量(モル)]/仕込酸化剤(過酸化水素
またはパーオキサイド)量(モル))×100
【0021】実施例1 水分離器を有する還流冷却器、攪拌機、温度計を備えた
300mlの四つ口フラスコに、2,3,6−トリメチ
ルフェノール136.0g(1.0モル)を加え100
℃に加熱して攪拌し、酢酸3.0g(0.050モ
ル)、硫酸0.20g(2.0ミリモル)を加えた後、
60重量%過酸化水素2.84g(0.050モル)を
一括で加え30分間反応させた。反応後、反応液をガス
クロマトグラフィーで分析したところ、2,3,5−ト
リメチルハイドロキノン3.7gが生成していた。対酸
化剤選択率は48.6%であった。
【0022】実施例2 実施例1において、硫酸を無添加とし、酢酸3.0gを
蟻酸2.3g(0.050)に変更した以外は同様にし
て反応をおこなった。反応後、反応液をガスクロマトグ
ラフィーで分析したところ、2,3,5−トリメチルハ
イドロキノン3.5gが生成していた。対酸化剤選択率
は46.1%であった。
【0023】実施例3 実施例1において、硫酸0.2gをトリフルオロメタン
スルホン酸0.2g(1.3ミリモル)に変更し、60
重量%過酸化水素2.84gを5.67g(0.10モ
ル)とした以外は同様にして反応をおこなった。反応
後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析したとこ
ろ、2,3,5−トリメチルハイドロキノン6.0gが
生成していた。対酸化剤選択率は39.5%であった。
【0024】比較例1 水分離器を有する還流冷却器、撹拌機、温度計を備えた
300mlの四つ口フラスコに、2,3,6−トリメチ
ルフェノール136.0g(1.0モル)を加えて10
0℃に加熱し攪拌し、メチルエチルケトン5.8g
(0.080モル)、硫酸0.30g(3.0ミリモ
ル)を加えた後、60重量%過酸化水素2.84g
(0.050モル)を一括で加え60分間反応させた。
反応後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析したと
ころ、2,3,5−トリメチルハイドロキノン1.6g
が生成していた。対酸化剤選択率は21.1%であっ
た。
【0025】比較例2 水分離器を有する還流冷却器、撹拌機、温度計を備えた
300mlの四つ口フラスコに、2,3,6−トリメチ
ルフェノール136.0g(1.0モル)を加えて10
0℃に加熱し攪拌し、硫酸0.30g(3.0ミリモ
ル)を加えた後、メチルエチルケトンパーオキサイド
7.5g(活性酸素として0.050モル)を一括で加
え60分間反応させた。反応後、反応液をガスクロマト
グラフィーで分析したところ、2,3,5−トリメチル
ハイドロキノン1.5gが生成していた。対酸化剤選択
率は19.7%であった。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、2,3,6−トリメチ
ルフェノールから2,3,5−トリメチルハイドロキノ
ンの製造を1段の反応で行うことができ、さらに従来の
硫酸を触媒とする方法よりも高い対酸化剤選択率で製造
することができるため、工業的に好適な2,3,5−ト
リメチルハイドロキノンを製造する方法を提供すること
ができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2,3,6−トリメチルフェノール
    (A)を、カルボン酸類(B)の存在下に過酸化水素
    (C)で酸化することを特徴とする2,3,5−トリメ
    チルハイドロキノンの製造方法。
  2. 【請求項2】 カルボン酸類(B)が、蟻酸、酢酸およ
    びプロピオン酸からなる群から選ばれる1種以上のカル
    ボン酸である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 カルボン酸類(B)として、水中での酸
    解離定数(pKa)が4.0を超えるカルボン酸類(B
    1)を用い、該カルボン酸類(B1)と、水中での酸解
    離定数(pKa)が−16.0〜4.0の酸化合物
    (D)との共存下で2,3,6−トリメチルフェノール
    (A)を過酸化水素(C)で酸化する請求項1または2
    記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 カルボン酸類(B1)が、酢酸、プロピ
    オン酸、酪酸、および安息香酸からなる群から選ばれる
    1種以上の酸で、酸化合物(D)が、硫酸、過塩素酸、
    蟻酸、メタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンス
    ルホン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸である、
    請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 カルボン酸類(B)と過酸化水素(C)
    とのモル比(n)/(n)が0.05/1〜5/1
    であり、かつ2,3,6−トリメチルフェノール(A)
    と過酸化水素(C)とのモル比(n)/(n)が1
    /1〜30/1である請求項1〜4のいずれか1項記載
    の製造方法。
JP2001286742A 2001-09-20 2001-09-20 2,3,5−トリメチルハイドロキノンの製造方法 Pending JP2003096010A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011124429A (ja) * 2009-12-11 2011-06-23 Murata Mfg Co Ltd セラミック電子部品

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