JP2002143620A - 気水分離器、蒸気発生器、及び、気水分離方法 - Google Patents

気水分離器、蒸気発生器、及び、気水分離方法

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康彦 平尾
Toshiyuki Mizutani
敏行 水谷
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廣 平野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】オリフィスに流入する液分の分離をより有効化
する。 【解決手段】筒状のライザ11の出口側に開口端が位置
づけられるオリフィス12で気液分離が促進される。オ
リフィス12の内周面は、その内周面を流動する液膜1
8を軸心線方向Lに直交する成分を持つ方向に付勢する
物理的性質を有している。ライザ11で気水分離されて
いるが、未分離の液分は、オリフィス12から軸心線方
向Lに直交する方向に放擲され、蒸気流から重力分離に
より有効に分離される。ライザ11に軸心線方向Lに導
入される同伴2相流7に軸心線方向Lに直交する成分を
与えて2相流7を旋回させる旋回羽根7が追加されてい
ることは特に好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気水分離器、及
び、気水分離方法に関し、特に、発電所のタービンのよ
うな設備で用いられる2相流の水分をその2相流の蒸気
から高効率に分離する気水分離器、及び、気水分離方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】タービン発電機のように水蒸気を用いて
発電する設備を構成する蒸気発生器は、エロージョン防
止とエネルギー伝達効率低下の防止のために、気水分離
器を備えている。図5は、原子力プラントで用いられて
いる蒸気発生器を示し、概略多数本のU字管群101と
気水分離器群111、及び、湿分分離器群112とで構
成されている。U字管群101は、コールドレグ領域1
01Aとホットレグ領域101Bに亘って配置されてい
る。図6は、多数本のU字管の集合体であるU字管群1
01の配置領域の上方領域(後流側領域)に配置される
多数の気水分離器要素102の集合を示している。U字
管群101の一方の各管端には、原子炉の炉心、火力発
電の燃焼炉のような蒸気発生部で高温の加圧水が流入
し、その高温加圧水は他方の各管端から流出して、その
蒸気発生部に流入する。U字管群101の配置領域に2
次的に導入される水103は、図5,6に示されるよう
に、U字管群101の外側面で加熱され蒸発する。水の
一部は、このように激しく蒸発する蒸気に撹拌され蒸気
に随伴し粒径が様々に異なる水滴になって、蒸気ととも
に気水分離器群111の気水分離器要素102に2相流
として流入する。このような2相流から液部分を分離し
て蒸気をタービン部に送ることが重要である。図5に示
されるように、一次冷却水(熱交換媒体)は、ホットレ
グ領域101Bの下方部位113から導入され、上方の
U字部で転回してコールドレグ領域101Aの下方部位
114から導出される。気水分離器群111により湿分
が除かれた蒸気114は、この蒸気発生器の頂部115
から取り出される。二次冷却媒体116は、U字管の間
にあって一次冷却媒体と熱交換する。
【0003】図7は、気水分離器群111の気水分離器
要素102の公知構造を示している。気水混合の2相流
103は、静翼である旋回羽根104を通り旋回流にな
って上昇し、2相流の内の蒸気分106はオリフィス1
05を通り、オリフィス105に流入した水分(液分)
は、重力分離空間107で更に蒸気分から分離される。
オリフィス105に流入する水分のうちの一部は、オリ
フィス105の内側面に付着して液膜108を形成す
る。液膜108は、蒸気流に随伴して更に上昇し、オリ
フィス105の上端縁から重力分離空間の上方に吹き飛
ばされる。このように吹き飛ばされる液分109は、蒸
気とともにタービンの方に向かう。このような液分の未
分離は回避されることが望まれる。
【0004】U字管群101の管内を通る高温加圧水
は、図6に示されるように、U字管の前半部分と後半部
分では、当然に温度が異なり、且つ、U字管群101の
中心面Sで分割される右半分領域と左半分領域で管外へ
加えられる熱量が異なる。管外において、水流量が小で
あり、且つ、蒸気流量が大である領域はホットレグ領域
といわれ、水流量が大であり、且つ、蒸気流量が小であ
る領域は、コールドレグ領域といわれる。ホットレグ領
域とコールドレグ領域とでは、それぞれの2相流の水と
蒸気の割合が異なっている。
【0005】気水分離器要素102は、蒸気/水で表さ
れる比に関係してその気水分離性能が異なる。気水分離
器要素102の設計は、分離して取り除く液分が蒸気/
水の比に対応して適正であることが望まれる。より高性
能化が求められる高性能気水分離器は、ホットレグ領域
とコールドレグ領域とで区分けされて設計され両領域で
分離性能が個別に適正化されることが更に望まれる。
【0006】第1にオリフィスに流入する液分の有効な
分離が求められる。第2に、オリフィスに流入する液分
の有効な低減化が同時的・追加的に望まれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、オリ
フィスに流入する液分の分離がより有効である気水分離
器、及び、気水分離方法を提供することにある。本発明
の課題は、オリフィスに流入する液分の分離がより有効
であり、且つ、オリフィスに流入する液分の低減化が有
効である気水分離器、及び、気水分離方法を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】その課題を解決するため
の手段が、下記のように表現される。その表現中に現れ
る技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添
記されている。その番号、記号等は、本発明の実施の複
数・形態又は複数の実施例のうちの少なくとも1つの実
施の形態又は複数の実施例を構成する技術的事項、特
に、その実施の形態又は実施例に対応する図面に表現さ
れている技術的事項に付せられている参照番号、参照記
号等に一致している。このような参照番号、参照記号
は、請求項記載の技術的事項と実施の形態又は実施例の
技術的事項との対応・橋渡しを明確にしている。このよ
うな対応・橋渡しは、請求項記載の技術的事項が実施の
形態又は実施例の技術的事項に限定されて解釈されるこ
とを意味しない。
【0009】本発明による気水分離器は、筒状のライザ
(11)と、ライザ(11)の出口側に開口端が位置づ
けられるオリフィス(12,12’)とを含んでいる。
オリフィス(12,12’)の内周面は、その内周面を
流動する液膜(18)を軸心線方向(L)に直交する成
分を持つ方向に付勢する物理的性質を有している。ライ
ザで気水分離されているが、未分離の液分は、オリフィ
ス(12)から軸心線方向(L)に直交する方向に放擲
され、蒸気流から重力分離により有効に分離される。ラ
イザ(11)に軸心線方向(L)に導入される同伴2相
流(7)に軸心線方向(L)に直交する成分を与えて2
相流(7)を旋回させる旋回羽根(13)が追加されて
いることは特に好ましい。
【0010】オリフィス内周面は、後流側で開口断面積
が広くなるように曲面化されている。その内周面は、オ
リフィスの後流側開口端で軸心方向に直交している。こ
の直交性は、既述の重力分離を有効に促進する。あるい
は、オリフィス(12)に穴(35)が開けられ、穴
(35)はその内周面からオリフィス(12)の外周面
に向かって貫通している。オリフィス(12)の内側の
蒸気の圧力により、内周面に付着する液分は、軸心線方
向(L)に直交する方向に放擲され、既述の通り重力分
離を促進する。
【0011】オリフィス(12)の周囲を囲む筒が追加
されている。オリフィス(12)の後流側開口端は、重
力分離空間の中に位置づけられている。ライザ(11)
を囲むダウンカマバレル(9)が更に追加されている。
ライザ(11)の内周面を流動する第1液分(16)
は、ライザ(11)の後流側端縁を経由して、ライザ
(11)の外周面とダウンカマバレル(9)の内周面と
を流動する。ライザ(11)の内周面を流動する第1液
分(16)とライザの外周面又はダウンカマバレル
(9)の内周面を流動する第2液分とは、互いに逆方向
に流動する。
【0012】ライザ(11)とダウンカマバレル(9)
との間の環状空間(14)には、第2液分の流動に抵抗
を与える抵抗器(22)が配置されている。ライザ(1
1)とオリフィス(12)とダウンカマバレル(9)と
は単位気水分離要素(8)を形成している。単位気水分
離要素(8)の複数が蒸気発生器(1)が生成する蒸気
と水とから形成される2相流(7)の中に配置され、2
相流(7)は、水流量が比較の上で少なく蒸気流量が比
較の上で多いホットレグ領域(3)の2相流と、水流量
が比較の上で多く蒸気流量が比較の上で少ないコールド
レグ領域(4)の2相流とから形成され、複数の単位気
水分離要素(8)のうちのいくつか(8h)はホットレ
グ領域(3)に配置され、複数の単位気水分離要素
(8)のうちの他のいくつか(8c)はコールド領域
(4)に配置されている。ホットレグ領域(3)の単位
気水分離要素(8h)のオリフィス(12)の開口端と
ホットレグ領域(3)のライザ(11)の後流側開口端
との間の隙間幅は、コールドレグ領域(4)の単位気水
分離要素(8c)のオリフィス(12)の開口端とコー
ルドレグ領域(4)のライザ(11)の後流側開口端と
の間の隙間幅よりも狭い。このような隙間幅は、環状隙
間(15)の断面積に対応している。両領域(3,4)
に固有な物理的性質を持つ両側のライザで有効に分離さ
れた蒸気分に未分離で含まれている液分が、既述の通
り、オリフィス(12)で更に高効率に分離される。
【0013】本発明による気水分離方法は、2相流
(7)のうちの水分流(16)を筒(11)の内周面上
に流動させること、筒(11)の中心領域の蒸気流をオ
リフィス(12)に導入すること、オリフィス(12)
から蒸気流を重力分離空間に放出すること、オリフィス
(12)の内周面を流動する水分流(18)をオリフィ
ス(12)の軸心線(L)に直交する方向に曲げること
とから構成されている。2相流に旋回を与えることは特
に好ましい。オリフィス(12)に2相流(7)を導入
する前に水分と蒸気流とを分離することは、オリフィス
(12)の気液分離効果を一層に高めることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】図に対応して、本発明による気水
分離器の実施の形態は、伝熱管群が気水分離器群ととも
に図5に示す蒸気発生器の容器の中に設けられている。
その伝熱管群1と気水分離器群2とは、図1に示される
ように、図7に示される蒸気発生器の容器壁の中に配置
されている。気水分離器群2は、通常、伝熱管群1に対
して鉛直方向上方側に配置されている。伝熱管群1は、
多数のU字管から構成されるU字管集合体である。各U
字管は、その一方の管端から熱交換前の熱交換用媒体
(高温の加圧水)が導入され他方の管端から熱交換後の
その媒体が導出される。その熱交換用媒体は、ボイラ
ー、炉心のような蒸気発生源とU字管とから構成される
循環路の中で循環している。
【0015】伝熱管群1が配置されている配置領域に
は、既述の蒸気発生器の容器壁の外側から2次熱交換媒
体が導入される。2次熱交換媒体として、通常は水が用
いられる。2次熱交換媒体は、蒸気発生器の中で概ね全
体的に、伝熱管群1の配置領域の下方領域からその上方
領域に流れる。その2次熱交換媒体は、伝熱管群1の各
管の管壁面に接触して蒸気化する。気化した蒸気は、自
らの蒸気圧により出口側に配置されている気水分離器群
2に向かって上昇する。その蒸気には、粒径が多様に異
なる液滴の状態の液分が含まれ、その液分は蒸気に随伴
して蒸気に同伴して上昇する。
【0016】このような気水混合の同伴2相流7は、気
水分離器群2の単位気水分離器8に流入する。単位気水
分離器8は、図2に示されるように、円筒状の本体筒を
構成するダウンカマバレル9と、ダウンカマバレル9の
中にダウンカマバレル9に同軸に配置される円筒状のラ
イザ11と、オリフィス12と、旋回羽根13とから構
成されている。旋回羽根13は、ライザ11の内周面に
固着される静翼であり、ライザ11の下端開口から導入
される同伴2相流7にライザ11の中心軸心線のまわり
の回転力を与える。旋回羽根13を通過した2相流は、
旋回しながらライザ11の中で上昇する。
【0017】オリフィス12の下端開口縁の高さ位置
は、ライザ11の上端開口縁の高さ位置とほぼ同じであ
る。オリフィス12は、それの中心軸心線に対して対称
に形成されている。オリフィス12の下半分は、円筒形
状に形成されている。オリフィス12の上半分は、ラッ
パ形状に形成され、より上側でその内径が連続的に滑ら
かにより大きくなっている。オリフィス12の上半分の
上端縁近傍の内側面(上側面)は、オリフィス12の中
心軸心線Lに概ね直交している。
【0018】同伴2相流7は、ライザ11に侵入して旋
回羽根13により回転力を与えられて旋回しながら上昇
する過程で、水分(液分)はライザ11の内周面に付着
し、特に、遠心力によりライザ11の内周面に押し付け
られてその面に強く吸着し、このようにライザ11の内
周面に吸着する水分はその内周面上で蒸気流から随伴力
を受けて上昇する。蒸気はライザ11の中心領域にその
多くが分布し、液分はライザ11の表面にその多くが分
布する。このように吸着して上昇する水分の流れは、液
膜16を形成する。
【0019】蒸気流は、オリフィス12に流入する。オ
リフィス12に流入する蒸気流17は、幾分かの液分を
同伴して含んでいる。旋回性を保持している液分は、オ
リフィス12の下半分の内周面に押し付けられその内周
面上で層流になって液膜又は液滴状膜18を形成する。
液滴状膜18は、蒸気流17に随伴して上昇するが、オ
リフィス12の内面に付着していて、オリフィス12の
上半分の滑らかな曲面(内周面)に沿って流れ、上端縁
近傍で軸直角方向に蒸気流に随伴して液滴状になって吹
き飛ばされる。このように飛ばされる液滴状液分19
は、軸直角方向に蒸気流に随伴しているので、オリフィ
ス12の上方側に形成されている重力分離空間21中で
激しく上昇することがなく、その重力分離空間21の中
で落下し蒸気流から重力分離される。
【0020】図1に示されるように、伝熱管群1の配置
領域を2分する鉛直中心面Sの両側に、ホットレグ領域
3とコールドレグ領域4とが形成されている。ホットレ
グ領域3の側の伝熱管群1の中の熱交換媒体の温度はコ
ールドレグ領域4の側の伝熱管群1の中の熱交換媒体の
温度よりも高いので、ホットレグ領域3の側の2次熱交
換媒体の蒸気流量割合はコールドレグ領域4の側の2次
熱交換媒体よりも高い。水流量(液状水の流量)5は、
比較上、ホットレグ領域3の側で少なくコールドレグ領
域4の側で多い。蒸気流量6は、比較上、ホットレグ領
域3の側で多くコールドレグ領域4の側で少ない。
【0021】単位気水分離器8は、ホットレグ領域3の
側に配置される複数の高温側単位気水分離器8hと、コ
ールドレグ領域4の側に配置される複数の低温側単位気
水分離器8cとから構成されている。図中に、オリフィ
ス12の外径特にその下端開口縁のオリフィス外径はD
で表され、ライザ11の内径特にその上端開口縁の内径
はAで表されている。ダウンカマバレル9とライザ11
の間の環状空間14は、オリフィス12又はその下端開
口縁とライザ11又はその上端開口縁との間の環状隙間
15を介して、ライザ11の内部の空間に接続・連通し
ている。
【0022】図1中に、各単位気水分離器8の各オリフ
ィス外径Dが示されている。低温側単位気水分離器8c
のオリフィス外径Dc1〜Dc3は、互いに異なるか又
は同じである。以下の記述では、低温側単位気水分離器
8cのオリフィス外径Dc1〜Dc3は同じであり、D
cで代表される。高温側単位気水分離器8hのオリフィ
ス外径Dh1〜Dh3は、互いに異なるか又は同じであ
る。以下の記述では、高温側単位気水分離器8hのオリ
フィス外径Dh1〜Dh3は同じであり、Dhで代表さ
れる。全ての単位気水分離器8のライザ11の内径Aが
共通であれば、下記関係が設定される。 Dc<Dh 但し、下記関係等は否定されない。 Dc3<Dc2<Dc1<Dh3<Dh<Dh1
【0023】上式は、下記式に等価である。 A−Dc>A−Dh 一般的には、ライザ11とオリフィス12との間の環状
隙間15を流れる単位時間当たりの流量がホットレグ領
域3の側で少なくコールドレグ領域4の側で多くなるよ
うに、外径Dと内径Aとが規定される。
【0024】同伴2相流7は、ライザ11に侵入して旋
回羽根13により回転力を与えられて旋回しながら上昇
する過程で、水分(液分)はライザ11の内周面に付着
し、特に、遠心力によりライザ11の内周面に押し付け
られてその面に強く吸着し、このようにライザ11の内
周面に吸着する水分はその内周面上で蒸気流から随伴力
を受けて上昇する。蒸気はライザ11の中心領域にその
多くが分布し、液分はライザ11の表面にその多くが分
布する。このように吸着して上昇する水分の流れは、液
膜16を形成する。液膜16の上端部の厚さが環状隙間
15の半径方向幅よりも大きい(広い)場合、液膜の一
部は環状空間14に流入しないで、オリフィス12の内
部に侵入する。このようなことがないように、環状隙間
15の幅は適正に大きく(広く)設定されている。液膜
16の上端部の厚さが環状隙間15の半径方向幅よりも
過度に小さい場合、蒸気分の一部はオリフィス12に流
入しないで、環状空間14に侵入する。このようなこと
がないように、環状隙間15の幅は適正に小さく設定さ
れている。
【0025】環状空間14に侵入する液分は、ダウンカ
マバレル9の内周面とライザ11の外周面に吸着して下
方に流下する。このように流下する液分は、図5で示さ
れる循環路を通されて再び伝熱管群1の下方領域に戻さ
れる。
【0026】ライザ11の内周面に吸着する液膜16の
厚さは、単位気水分離器8に流入する水流量と単位気水
分離器8に流入する蒸気流量の比に依存する。水流量の
割合が蒸気流量の割合に対してより大きい場合、その液
膜16の膜厚はより厚い。水流量の割合が蒸気流量の割
合に対してより小さい場合、その液膜16の膜厚はより
薄い。従って、液膜16の厚さは、比較上、ホットレグ
領域3の側でより薄くコールドレグ領域4の側でより厚
い。環状隙間15の幅は、比較上、ホットレグ領域3の
側でより薄く(狭く)コールドレグ領域4の側でより厚
い(広い)ので、液膜16の上端部の内周面とオリフィ
ス12の下端部の外周面との間の隙間は、ホットレグ領
域3の側とコールドレグ領域4の側でともに適正に規定
され、ホットレグ領域3の側のオリフィス12に流入す
る液分が多くなることが適正に抑制され、コールドレグ
領域4の側の環状空間14に流入する蒸気分が多くなっ
てダウンカマバレル9から多くの蒸気分がキャリアンダ
することが適正に抑制されている。このように、未分離
水のオリフィス12からの流出と、蒸気のダウンカマバ
レル9へのキャリアンダが有効に抑制・低減され、気水
分離性能が向上している。下降水のキャリアンダの低減
は、円滑な下降水の流れを有効に維持することができ
る。このように気水分離されているが未分離水を含む蒸
気が、オリフィス12を通って重力分離空間21に進入
する。
【0027】図3は、本発明による気水分離器の実施の
追加的形態を示している。本実施の形態は、既述の実施
の形態に更に流量制限構造22が有効に追加されること
を示している。ダウンカマバレル9とライザ11の間に
環状の流量制限構造体が配置されている。環状空間14
の中で重力的に、且つ、その中に流入した蒸気流に押さ
れて流下する液分の流れは、流量制限構造22により抵
抗を受け、その液分の流量が適正に維持される。流量制
限構造22の抵抗は、比較上、ホットレグ領域3の側で
より小さくコールドレグ領域4の側でより大きいこと
が、蒸気流の過度の流入を抑制することができる点で一
般的に好ましいが、環状隙間15の広狭の設計に対応し
てその抵抗は適正に規定され得る。
【0028】このような抵抗値がホットレグ領域3の側
とコールドレグ領域4の側とで異なるので、環状空間1
4に液が滞留して液がダウンカマバレル9から溢れてオ
リフィス12に侵入することが抑制され、更に、環状空
間14の中の液が過度に流れて液に同伴する蒸気(キャ
リアンダ蒸気)が多くなることが抑制される。
【0029】環状隙間15の幅が適正に規定されて環状
空間14に流入する適正な量の液分は、流量制限構造2
2により適正な量に制限され、分離された液分の流れが
適正に制御され、液分がオリフィス12に流入する量が
適正に制限され、且つ、分離された蒸気のうち環状空間
14の中で同伴流下するキャリアンダ蒸気の量が適正に
制限される。
【0030】図4は、本発明による気水分離器の実施の
他の形態を示している。図4は、既述のオリフィス12
が改変されたオリフィス12’を示している。ダウンカ
マバレル9の頂部を貫通するオリフィス12’は、2重
筒を形成している。その2重筒は、内側筒31と、外側
筒32とから形成されている。内側筒31の上端と外側
筒32の上端の間は、環状蓋33で閉じられている。ダ
ウンカマバレル9の頂面部34を貫通して内側筒31が
上方に延びる内側筒上方部分には、複数位置でスリット
又は穴35が開けられている。スリット35は、内側筒
31の内側面とそれの外側面とを接続し内側筒31の内
側面からその外側面に向かって貫通する穴である。
【0031】内側筒31の内周面に形成され上昇する液
膜18は、内側筒31の内側の旋回する蒸気による遠心
力によってスリット35に侵入して、内側筒31と外側
筒32の間の環状空間に放出される。このように放出さ
れる液滴は、外側筒32の内面に当たり流下し、重力分
離空間21の上方に向かわない。
【0032】
【発明の効果】本発明による気水分離器、蒸気発生器、
及び、気水分離方法は、オリフィス部で気水分離効率が
より高くなる。特に、ライザにより既に気水分離されい
るが、その未分離の液分がオリフィスで有効に分離され
る。このような気水分離器を備えた蒸気発生器により、
より湿分の少ない蒸気を発生させて供給できることにな
り、タービン発電機におけるタービン部でのエロージョ
ン防止に有効となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による気水分離器の実施の形態
を示す断面図である。
【図2】図2は、気水分離器の単位を示す断面図であ
る。
【図3】図3は、気水分離器の他の単位を示す断面図で
ある。
【図4】図4は、気水分離器の更に他の単位を示す断面
図である。
【図5】図5は、原子力プラントで一般に用いられてい
る蒸気発生器の一例を示す断面図である。
【図6】図6は、公知の蒸気発生器を示す断面図であ
る。
【図7】図7は、公知の気水分離器の単位を示す断面図
である。
【符号の説明】
1…蒸気発生器 3…ホットレグ領域 4…コールドレグ領域 7…同伴2層流(2相流) 8…単位気水分離要素 8h…単位気水分離要素8のうちのいくつか 8c…単位気水分離要素8のうちの他のいくつか 9…ダウンカマバレル 11…ライザ(筒) 12,12’…オリフィス 14…環状空間 15…環状隙間 18…液膜(水分流) 16…第1液分(水分流) 22…抵抗器 L…軸心線方向(軸心線)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F22B 37/32 F22B 37/32 C G21D 1/00 GDP G21C 15/16 // G21C 15/16 G21D 1/00 GDPS (72)発明者 平尾 康彦 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 水谷 敏行 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 平野 廣 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 Fターム(参考) 4D031 AB10 AC05 BA07 BA10 BB04 DA02 EA01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】筒状のライザと、 前記ライザの出口側に開口端が位置づけられるオリフィ
    スとを含み、 前記オリフィスの内周面は、前記内周面を流動する液膜
    を前記軸心線方向に直交する成分を持つ方向に付勢する
    物理的性質を有している気水分離器。
  2. 【請求項2】前記ライザに前記軸心線方向に導入される
    同伴2相流に前記軸心線方向に直交する成分を与えて前
    記2相流を旋回させる旋回羽根を更に含む請求項1の気
    水分離器。
  3. 【請求項3】前記内周面は後流側で開口断面積が広くな
    るように曲面化されている請求項1又は2の気水分離
    器。
  4. 【請求項4】前記内周面は、前記オリフィスの後流側開
    口端で前記軸心方向に直交している請求項1又は2の気
    水分離器。
  5. 【請求項5】前記オリフィスに穴が開けられ、前記穴は
    前記内周面から前記オリフィスの外周面に向かって貫通
    している請求項1又は2の気水分離器。
  6. 【請求項6】前記オリフィスの周囲を囲む筒を更に含む
    請求項5の気水分離器。
  7. 【請求項7】前記オリフィスの後流側開口端は、重力分
    離空間の中に位置づけられている請求項1〜6から選択
    される1請求項の気水分離器。
  8. 【請求項8】前記ライザを囲むダウンカマバレルを更に
    含み、 前記ライザの前記内周面を流動する第1液分は、前記ラ
    イザの後流側端縁を経由して、前記ライザの外周面と前
    記ダウンカマバレルの内周面とを流動し、 前記ライザの前記内周面を流動する前記第1液分と前記
    ライザの外周面又は前記ダウンカマバレルの内周面を流
    動する第2液分とは、互いに逆方向に流動する請求項1
    〜7から選択される1請求項の気水分離器。
  9. 【請求項9】前記ライザと前記ダウンカマバレルとの間
    の環状空間には、前記第2液分の流動に抵抗を与える抵
    抗器が配置されている請求項8の気水分離器。
  10. 【請求項10】前記ライザと前記オリフィスと前記ダウ
    ンカマバレルとは単位気水分離要素を形成し、 前記単位気水分離要素の複数が蒸気発生器が生成する蒸
    気と水とから形成される2相流の中に配置され、 前記2相流は、水流量が比較の上で少なく蒸気流量が比
    較の上で多いホットレグ領域の2相流と、水流量が比較
    の上で多く蒸気流量が比較の上で少ないコールドレグ領
    域の2相流とから形成され、 前記複数の単位気水分離要素のうちのいくつかは前記ホ
    ットレグ領域に配置され、 前記複数の単位気水分離要素のうちの他のいくつかは前
    記コールド領域に配置され、 前記ホットレグ領域の単位気水分離要素のオリフィスの
    前記開口端と前記ホットレグ領域のライザの後流側開口
    端との間の隙間幅は、前記コールドレグ領域の単位気水
    分離要素のオリフィスの前記開口端と前記コールドレグ
    領域のライザの後流側開口端との間の隙間幅よりも狭い
    請求項8〜9から選択される1請求項の気水分離器。
  11. 【請求項11】請求項1〜10から選択される1請求項
    の気水分離器と、 原子炉の一次系からの冷却水を加熱媒体とする逆U字管
    群と、 湿分分離器とを含む蒸気発生器。
  12. 【請求項12】2相流のうちの水分流を筒の内周面上に
    流動させること、 前記筒の中心領域の蒸気流をオリフィスに導入するこ
    と、 前記オリフィスから前記蒸気流を重力分離空間に放出す
    ること、 前記オリフィスの内周面を流動する水分流を前記オリフ
    ィスの軸心線に直交する方向に曲げることとを含む気水
    分離方法。
  13. 【請求項13】前記2相流に旋回を与えることを更に含
    む請求項12の気水分離方法。
  14. 【請求項14】前記オリフィスに前記2相流を導入する
    前に前記水分と前記蒸気流とを分離することを更に含む
    請求項12又は13の気水分離方法。
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