JP2002141616A - 窒化物半導体の成長方法及びその方法により得られる素子 - Google Patents

窒化物半導体の成長方法及びその方法により得られる素子

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JP2002141616A
JP2002141616A JP2000336665A JP2000336665A JP2002141616A JP 2002141616 A JP2002141616 A JP 2002141616A JP 2000336665 A JP2000336665 A JP 2000336665A JP 2000336665 A JP2000336665 A JP 2000336665A JP 2002141616 A JP2002141616 A JP 2002141616A
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semiconductor layer
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Shinichi Nagahama
慎一 長濱
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Nichia Chemical Industries Ltd
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Nichia Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 窒化物半導体を用いた素子構造中に、Inを
含む窒化物半導体の層を有する場合に、反応容器内に残
存するAlを取り除き、優れた結晶性で窒化物半導体を
得る方法、及びそれを積層構造中に配した窒化物半導体
素子を得る。 【解決手段】 Alを含む窒化物半導体からなる第1の
窒化物半導体層1を成長させた後、Alの原料ガスの供
給を停止した状態で、第2の窒化物半導体層2を成長さ
せ、続いて反応容器内をN2雰囲気として、Inを含む
窒化物半導体からなる第3の窒化物半導体層3を成長さ
せる。このことで、第2の窒化物半導体層2中に、反応
容器内のAlを取り込んでAlを含む窒化物半導体から
なる第4の窒化物半導体層4が形成され、第3の窒化物
半導体層3の形成において、成長に悪影響を及ぼすAl
が除去された状態で結晶成長され、優れた結晶性の第3
の窒化物半導体層が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光ダイオード素
子(LED)、レーザダイオード素子(LD)等の発光
素子、太陽電池、光センサ等の受光素子、あるいはトラ
ンジスタ、パワーデバイス等の電子デバイスに用いられ
る窒化物半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦
Y、X+Y≦1)よりなる窒化物半導体素子に関し、特に
Inを含む窒化物半導体層を有する窒化物半導体素子に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、発光出力の良好な窒化物半導体か
らなるLEDが実用化されており、また寿命特性などの
良好な素子特性を有する窒化物半導体からなるLDの実
用性が高まってきている。
【0003】例えば実用可能な程度に素子特性の良好な
レーザ素子としては、J.Mater.Res.,Vo
l.14,No.7,Jul(1999)には、レーザ
素子の素子構造の図3に、GaN基板上に、n型GaN
コンタクト層、n型In0.1Ga0.86N層、超格子n型
Al0.14Ga0.86N/GaNクラッド層、n型GaNガ
イド層、多重量子井戸In0.02Ga0.98N/In0.15
0.85N活性層、p型Al0.2Ga0.8N電子閉じこめ
層、p型GaNガイド層、超格子p型Al0.14Ga0.86
N/GaNクラッド層、p型GaNコンタクト層を順に
積層してなる窒化物半導体レーザ素子が記載されてい
る。この窒化物半導体レーザ素子は、連続発振が約1
0,000時間となる良好な寿命特性を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来、活性層
などに用いられるInを含む窒化物半導体、具体的には
InαGa1- αN(0<α≦1)、の下に近接して、A
lを含む窒化物半導体、具体的にはAlβGa1- β
(0<β≦1)、を設けると、Inを含む窒化物半導体
の結晶性に悪影響を及ぼし、In組成が安定した結晶成
長層とならず、良好な窒化物半導体層を形成することが
困難であった。また、有機金属気相成長法において、A
lを含む窒化物半導体を成長させた後、Inを含む窒化
物半導体を成長させると、既に供給されたAlが、十分
に排気されず反応容器内に残り、容器内のコンタミネー
ションとして、さらには残存した活性なAlにより、I
nを含む窒化物半導体の成長が阻害され、良好な結晶
性、安定な成長が成されず、結果として安定した素子特
性の窒化物半導体素子が得られない傾向があった。これ
は、活性なAlが反応容器内に存在することで、Inが
面内に均一に分布して成長せず、偏って成長し、そのこ
とでIn高混晶領域が面内で偏在したり、Inの析出が
発生したり、するため、Inを含む窒化物半導体の形成
が困難となることによるものである。
【0005】逆に、活性層にInを含む窒化物半導体を
用いる場合において、In混晶比の高い領域(Inリッ
チ領域)と、In混晶比の低い領域(Inプア領域)と
を、面内に適度に分布させることで、量子細線・量子ド
ットを発生させて、素子特性が向上することが知られて
いる。しかし、従来、このような量子細線・量子ドット
の形成を制御する方法として、Inを含む窒化物半導体
の成長条件、成長の下地となる表面の状態(表面モフォ
ロジー、表面の凹凸)などを制御して形成する方法が試
みられているが、十分な制御性でもって、安定した量子
細線・量子ドットの形成までには、至っていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記
(1)〜(9)の構成により本発明の目的を達成するこ
とができる。
【0007】(1) 有機金属気相成長法により窒化物
半導体を成長させる方法において、反応容器内をH2
囲気として、Alを含む窒化物半導体からなる第1の窒
化物半導体層を成長させた後、Alの原料ガスの供給を
停止した状態で、第2の窒化物半導体層を成長させ、続
いて反応容器内をN2雰囲気として、Inを含む窒化物
半導体をからなる第3の窒化物半導体層を成長させるこ
とを特徴とする。この方法により、第3の窒化物半導体
層が良好な状態で成長することができ、結晶性に優れる
第3の窒化物半導体層が得られる。
【0008】(2) 前記第2の窒化物半導体層が、A
lを含有する第4の窒化物半導体層を有することを特徴
とする。この方法により、第2の窒化物半導体層内に、
第4の窒化物半導体層を形成でき、素子構造の任意の位
置に置いて、この第4の窒化物半導体層を利用すること
ができる。
【0009】(3) 前記第2の窒化物半導体層の膜厚
が、500Å以上であることを特徴とする。この方法に
より、上述したように、第2の窒化物半導体層を成長さ
せることによる第3の窒化物半導体層の良好な結晶成長
が可能となる反応容器の状態を作り出すことができ、一
方で、第4の窒化物半導体層の形成が促進させることが
可能となる。
【0010】(4) 請求項1乃至3記載の前記第1の
窒化物半導体層、第2の窒化物半導体層、第3の窒化物
半導体層とを少なくとも有することを特徴とする。この
構成により得られる窒化物半導体素子は、結晶性に優れ
た第3の窒化物半導体層を素子構造中に利用することが
できるため、従来困難であったInを含む窒化物半導体
を良好な結晶性で形成することができ、素子特性の向上
に寄与するものとなる。例えば、Alを含む窒化物半導
体層(第1の窒化物半導体層)の上にInを含む窒化物
半導体層(第3の窒化物半導体層)が設けられた構造
は、窒化物半導体を用いた様々な素子に用いられる構造
であることから、多くの素子に応用できる。
【0011】(5) 前記第3の窒化物半導体層を含む
活性層を有することを特徴とする。この構成により、例
えばLD、LEDなどの発光素子において、第3の窒化
物半導体層を活性層(発光層)に利用することで、素子
特性の向上が可能となる。この時、LDの場合に、第1
の窒化物半導体層を活性層より下に設けられた下部クラ
ッド層とし、第2の窒化物半導体層を下部光ガイド層と
し、第3の窒化物半導体層を活性層とする構造とするこ
とで、上述した効果が得られ好ましい。
【0012】(6) 前記第4の窒化物半導体層の膜厚
が、10Å以上100Å以下の範囲であることを特徴と
する。この構成により、より高いAl混晶比の第4の窒
化物半導体を、クラックの発生や、結晶性の悪化を招く
ことなく、第2の窒化物半導体層内に設けることが可能
となり、結果として、素子特性の向上に寄与するものと
なる。
【0013】(7) 前記第2の窒化物半導体層が活性
層に接して形成され、前記第4の窒化物半導体層と第3
の窒化物半導体層との距離が、500Å以下であること
を特徴とする。この構成により、第3の窒化物半導体層
に適度な凹凸設けられ、これを活性層に用いることで、
量子ドット、量子細線が発現され、素子特性の向上が可
能となる。この構成により、第4の窒化物半導体層が、
第3の窒化物半導体層に近づいて配置されると、第3の
窒化物半導体層を活性層に用いる場合に、量子揺らぎ、
量子ショットノイズの発生につながり、素子特性を悪化
させる場合があるが、これを回避でき好ましい。
【0014】(8) 前記第2の窒化物半導体層が活性
層に接して形成され、前記第4の窒化物半導体層と第3
の窒化物半導体層との距離が、500Å以上であること
を特徴とする。この構成により、結晶性に優れた活性層
が得られ、また活性層の機能も向上することから、優れ
た素子特性が得られる。
【0015】(9) 活性層を挟み込むように、上部ク
ラッド層、下部クラッド層が設けられた窒化物半導体レ
ーザ素子において、前記活性層が前記第3の窒化物半導
体層を有し、前記下部クラッド層が前記第1の窒化物半
導体層を有すると共に、前記第2の窒化物半導体層が活
性層と下部クラッド層との間、若しくは下部クラッド層
内、に設けられていることを特徴とする。この構成によ
り、上述したように優れた素子特性を有するレーザ素子
となる。また、第2の窒化物半導体層は、光ガイド層と
して利用できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、図1〜図3を用いて本発
明をさらに詳細に説明する。
【0017】図1、図2は、本発明の一実施の形態であ
る成長方法により得られた窒化物半導体レーザ素子の一
部分の素子構造のSIMS分析のAl原子のディプス−
プロファイル(Depth Profile)の結果
を、縦軸にAl量、横軸に素子の深さ方向を示したSI
MS分析データの分析図である。
【0018】本発明の成長方法は、有機金属気相成長法
を用いて、反応容器内をH2雰囲気としてAlを少なく
とも含む第1の窒化物半導体層を成長させた後、Alの
原料ガスの供給を停止した状態で、第2の窒化物半導体
層を成長させ、続いて、反応容器内をN2雰囲気として
Inを含む窒化物半導体からなる第3の窒化物半導体層
を成長させる。このことにより、第1の窒化物半導体成
長時に、反応容器内に供給されたAlを含むソースガス
が反応容器内に残り、活性なAlとして、次に成長させ
る第2の窒化物半導体層に取り込ませることができる。
そうすることで、従来ではできなかった、Inを含む窒
化物半導体(第3の窒化物半導体層)を、その成長を阻
害するAlを完全に反応容器内から除去することがで
き、良好な状態で結晶成長させることができる。 図2
は、第1の窒化物半導体層をn型クラッド層として、第
2の窒化物半導体層をn型光ガイド層として、第3の窒
化物半導体を量子井戸構造の井戸層として、設けたレー
ザ素子であり、窒化物半導体レーザ素子を作製すること
ができる。
【0019】[第1の窒化物半導体層1]本発明におい
て、第1の窒化物半導体層は、Alを含む窒化物半導体
からなり、成長時に、Al源ガスが少なくとも反応容器
内に供給されて、N2雰囲気で成長させるものである。
第1の窒化物半導体層成長時には、Al源ガスの他に、
成長させる窒化物半導体の原料ガス、そして雰囲気ガス
などが供給されて成長させるものである。第1の窒化物
半導体層としては、AlxGa1-xN(0<x≦1)で表
される組成の窒化物半導体が好ましく用いられる。ま
た、第1の窒化物半導体層は、n型不純物、p型不純物
を添加して、所望の導電型としても良い。
【0020】[第2の窒化物半導体層2](第4の窒化
物半導体層4) 本発明において、第2の窒化物半導体層としては、第1
の窒化物半導体層成長後、Al源ガスの供給を停止した
状態で成長させることで形成するものである。この時、
第2の窒化物半導体層成長時には、窒化物半導体の原料
となる原料ガス、そして雰囲気ガスなどが供給され、A
l源ガスは、第1の窒化物半導体層を成長後に、供給を
停止して、その後第2の窒化物半導体層が成長される。
このようにして成長させた第2の窒化物半導体層は、そ
の内部にAlを含有した層となり、具体的には、Alが
面内若しくは膜厚方向に偏って分布した層、又はAlを
含む窒化物半導体からなる第4の窒化物半導体層を有す
る多層膜となる。第2の窒化物半導体層の組成として
は、Alを含まない窒化物半導体を用いることができ、
好ましくはInyGa1-yN(0≦y≦1)として成長さ
せること、好ましくはGaNを用いることである。すな
わち、Ga源ガス、N源ガスを供給して成長させること
が好ましい。これは、GaNとして成長させることで、
反応容器内に残存するAlを第2の窒化物半導体層に取
り込む際に、他の組成のものに比べて、取り込まれ易い
傾向があり、また、後述する第4の窒化物半導体層が形
成されやすい傾向にあるためである。
【0021】本発明の第2の窒化物半導体層には、Al
を含む窒化物半導体からなる第4の窒化物半導体層が形
成される。この時、第4の窒化物半導体層は、具体的に
は、第2の窒化物半導体層をGaNとして成長させる場
合に、AlyGa1-yN(0<y≦1)で表される組成の
窒化物半導体として得られる。図1,2から、第2の窒
化物半導体層を成長させることで、第4の窒化物半導体
層が形成されている様子が分かる。ここで、図4は、第
2の窒化物半導体層2の成長時(図4−a)、その上に
第3の窒化物半導体層3を成長させる様子(図4−b)
を示す模式断面図である。図4−aに示すように、第1
の窒化物半導体層1の上に、第2の窒化物半導体層2成
長させると、成長時に反応容器内に残るAlが、第2の
窒化物半導体層2内に取り込まれ、図4−bに示すよう
に、第2の窒化物半導体層2内に、第4の窒化物半導体
層4として、形成される。この時、第4の窒化物半導体
層を形成する場合には、Al源ガス以外のソースガス、
キャリアガスを反応容器内に供給することである。具体
的には、第4の窒化物半導体層成長時に、少なくとも、
2、N2などのキャリアガス、N源ガスを供給して、A
lを含む窒化物半導体層を成長させることであり、この
時、各ソースガスの供給量を調整することで、前記組成
式で表される窒化物半導体を形成することができる。
【0022】このような、第2の窒化物半導体層2内の
Alを含む第4の窒化物半導体層4は、図1,2に示す
ように、SIMS分析によりAlを有する窒化物半導体
層として検出される。その第4の窒化物半導体層4の位
置としては、図2に示すように、第2の窒化物半導体層
2とその上の層(第5の窒化物半導体層5)との界面近
傍、図1に示すように、第2の窒化物半導体層2の中央
付近など、様々な位置に配置することができる。
【0023】第4の窒化物半導体層は、Alを含む窒化
物半導体であり、この層を第2の窒化物半導体層内に設
けることで、第2の窒化物半導体層の表面に凹凸が形成
される。これにより、Inを含む窒化物半導体の第3、
5の窒化物半導体層に、そのような凹凸が引き継がれる
ものとなり、それが結果的にInの偏析、Inの濃度が
面内で分布した状態を発生させることが可能となり、こ
のことで、量子ドット、量子細線などが形成される。こ
の時、このような表面状態を発生させるには、第4の窒
化物半導体層のAl混晶比を0.3以上とすることが好
ましく、0.5以上とすると、凹凸が発生させる機能が
強くなり更に好ましい。また、第4の窒化物半導体層の
膜厚として具体的には、10Å以上300Å以下の範囲
であり、好ましくは10Å以上100Å以下の範囲とす
ることである。なぜなら、300Å以下とすることで、
クラックを発生させずにAlを含む窒化物半導体からな
る第4の窒化物半導体層を形成することができ、100
Å以下とすることで、より高い混晶比、例えば混晶比
0.5以上、のAlを含む窒化物半導体を結晶性良く形
成することができる。
【0024】また、第4の窒化物半導体層は、素子構造
を形成する他のAlを含む窒化物半導体と同様に、Al
源ガスを用いて、成長させることもできる。しかしなが
ら、Al源ガスを用いて成長させる場合には、上述した
ように反応容器内のAlを用いて成長させる場合に比べ
て、反応容器内にAlが残存することとなり、活性層
(第3、5の窒化物半導体層)などのInを含む窒化物
半導体の成長時に取り込まれるなどして、結晶性を悪化
させる原因となる。このため、上述した反応容器内のA
lを用いて第4の窒化物半導体層を形成すると、反応容
器内のAlを除去でき、その後に続けて成長させるIn
を含む窒化物半導体を結晶性良く成長させることができ
る。
【0025】ここで、図1、2に示すように、第2の窒
化物半導体層に第4の窒化物半導体層が形成されること
で、第2の窒化物半導体層は2つに分離された状態で素
子構造内設けられると考えることもできる。すなわち、
第2の窒化物半導体層は、第4の窒化物半導体層の下に
形成されるA層と、第4の窒化物半導体層の上に形成さ
れるB層と、これらの層に挟まれた第4の窒化物半導体
層とで構成される層となる。この時、A層とB層は、ほ
ぼ同一の組成であっても良く、異なる組成の窒化物半導
体とすることもできる。具体的には、Alを含まない窒
化物半導体で、前記InyGa1-yN(0≦y≦1)で表
される窒化物半導体で、A層とB層とでIn混晶比yを
異なるようにすることである。しかしながら、A層とB
層の組成を異なるようにすると、第2の窒化物半導体層
を素子構造内の層として設けるものであるから、素子構
造における機能を損なわない程度としなければならな
い。具体的には、後述する光ガイド層として第2の窒化
物半導体層を設ける場合に、光ガイド層としての機能を
損なわないように第2の窒化物半導体層の組成を決定す
ることである。ここで、第3若しくは第5の窒化物半導
体層が第2の窒化物半導体層に接して形成される場合に
は、前記B層の膜厚でもって、第4の窒化物半導体層と
第3、5の窒化物半導体層の距離が決定されるため、こ
のB層の膜厚を調整して第4の窒化物半導体層を所望の
位置に配置することができる。
【0026】[第3の窒化物半導体層3]本発明の第3
の窒化物半導体層3は、第2の窒化物半導体層成長後、
反応容器内をN2雰囲気とした後、成長させたものであ
り、Inを含む窒化物半導体からなるものである。ここ
で、第3の窒化物半導体層の成長時に、Al源ガスを反
応容器内に供給しないことが好ましく、また組成として
具体的には、InzGa1-zN(0<z≦1)が好まし
い。これは、上述したように、Inを含む窒化物半導体
からなる第3の窒化物半導体層を成長させる際に、Al
が反応容器内に残存していると、Inを含む窒化物半導
体の結晶成長が阻害され、良好な結晶性の層が得られな
いからである。また、InGaNの3元混晶であると、
4元混晶若しくはそれ以上の場合に比べて、良好な結晶
成長がなされるからである。これは、窒化物半導体にお
いて、Inは他の元素に比べて良好な混晶が得られがた
く、Inの析出、Inの偏在が発生しやすく、半導体膜
の構成元素が多くなると、その現象が極めて高い割合で
発生し、結晶成長が困難になるからである。本発明で
は、第2の窒化物半導体層の成長時に反応容器内に残存
するAlが取り込まれることで、Alの存在しない環境
で第3の窒化物半導体層を形成することができ、加え
て、第2の窒化物半導体層とは異なる雰囲気で第3の窒
化物半導体層が成長することで、Inを含む窒化物半導
体の成長に適した雰囲気を選択することができ、良好な
結晶成長がなされる。また、第3の窒化物半導体層の膜
厚としては、10Å以上500Å以下とすることが好ま
しく、更に第3の窒化物半導体層を活性層内に設ける場
合には、300Å以下とすることが好ましい。
【0027】[第5の窒化物半導体層5]本発明におい
て、図1,2,4に示すように、第2の窒化物半導体層
2と、第3の窒化物半導体層3との間に、第5の窒化物
半導体層5を設けると好ましい。この時、第5の窒化物
半導体層は、第2の窒化物半導体層、第3の窒化物半導
体層に接して形成すると以下に示す効果が得られるた
め、好ましい。この第5の窒化物半導体層5は、第2の
窒化物半導体層2成長後、反応容器内の雰囲気をN2
囲気とした後に成長させる、若しくは第2の窒化物半導
体層2成長後、第5の窒化物半導体層成長時(途中)で
2雰囲気とすると好ましい成長が可能となる。この
時、第5の窒化物半導体層は、第2の窒化物半導体層と
第3の窒化物半導体層、及び雰囲気、の分離層として機
能し、第2の窒化物半導体層、第3の窒化物半導体層の
成長が互いの環境に干渉されないように、隔離させるこ
とができる。第5の窒化物半導体層としては、第3の窒
化物半導体層と同様に、Alを含まない窒化物半導体か
らなることが、上述した第3の窒化物半導体層の成長に
おいて好ましい。また、第3の窒化物半導体層との隔離
を図るには、Inを含まない窒化物半導体とすること
で、第2の窒化物半導体層と良好な隔離が実現でき、好
ましい。このため、第5の窒化物半導体層として、好ま
しくはAlを含まない窒化物半導体としてInaGa1-a
N(0≦a≦1)で表されるものであり、更に好ましく
はInをも含まないGaNとすることである。この時、
第5の窒化物半導体層の膜厚としては、10Å以上50
0Å以下の範囲とすることであり、後述するように障壁
層として用いる場合には300Å以下の膜厚とすると好
ましい。
【0028】本発明の成長方法は、有機金属気相成長法
を用いて行われる。本発明において用いることのできる
有機金属気相成長法としては、特に限定されないが、例
えば好ましくは、有機金属化学気相成長法(MOCV
D)、有機金属気相エピタキシャル成長法(MOVP
E)等を挙げることができる。
【0029】本発明において、N2、H2雰囲気として
は、窒化物半導体の原料となるソースガスの他に、フロ
ーガス、キャリアガスなどとして反応容器内に導入す
る、若しくは原料となるガスを雰囲気ガスとなるものを
適宜選択する、などして所望の雰囲気とする方法などが
挙げられる。また、反応容器内は、減圧下、加圧下、常
圧下でも、適用できる。また、第2の窒化物半導体層中
に、反応容器中のAlを取り込んで第4の窒化物半導体
層を形成を制御するには、これら反応条件を変化させる
こと、例えば反応温度、各ガスの供給量、供給比、H2
からN2雰囲気にかえるなどの雰囲気の変化、反応容器
内の気圧、等の条件を変えることで可能となる。
【0030】本発明において、第1の窒化物半導体層、
第2の窒化物半導体層は、H2雰囲気で成長させ、第3
の窒化物半導体層、第5の窒化物半導体層は、N2雰囲
気で成長させることが好ましい。
【0031】(窒化物半導体素子)本発明において、受
光素子、発光素子、レーザ素子などの活性層を有する窒
化物半導体素子について以下説明する。
【0032】本発明の窒化物半導体素子は、活性層を有
するものであり、具体的には、p型窒化物半導体と、n
型窒化物半導体とで、Inを含む窒化物半導体を有する
活性層を挟み込む構造を有するものである。このことに
より、例えば発光素子において、紫外域から可視光域
(赤色系)までの光を発光する素子が得られる。
【0033】ここで、活性層は、上述した第3の窒化物
半導体層を用いることができ、具体的には、第1の窒化
物半導体層、第2の窒化物半導体層、第3の窒化物半導
体層を有する活性層が積層された構造となる。従って、
活性層を有する窒化物半導体素子では、好ましくは第1
の窒化物半導体層、第2の窒化物半導体層、活性層が積
層された構造とすることで、活性なAlを反応容器から
除去した状態で活性層を形成することができ、良好な結
晶成長が実現される。この時、上述した第5の窒化物半
導体層は、活性層内、外のどちらに設けられていても良
く、第3の窒化物半導体の組成としては、上述したもの
を用いることができる。活性層が単一量子井戸構造、多
重量子井戸構造である場合には、第3の窒化物半導体層
を井戸層とし、更に、第5の窒化物半導体層を障壁層と
すると良い。
【0034】具体的には、図1,2に示すように、活性
層206とし、第5の窒化物半導体層からなる障壁層、
第3の窒化物半導体層からなる井戸層とすることができ
る。この時、第5の窒化物半導体層としては、障壁層と
なるように、第3の窒化物半導体層のバンドギャップエ
ネルギーより大きくなるような窒化物半導体とし、具体
的には第3の窒化物半導体のIn混晶比より低い混晶比
の窒化物半導体、好ましくはInGaN、GaNを用い
ることができる。
【0035】本発明の窒化物半導体素子は、第2の窒化
物半導体層中に形成される第4の窒化物半導体層がある
こと、すなわち、Alを含む窒化物半導体が第2の窒化
物半導体層に設けられることで、その上に接する活性層
に作用して、素子特性に優れた窒化物半導体が得られ
る。これは、第4の窒化物半導体層と、活性層との距離
が、500Å以下であると、Inを含む窒化物半導体を
有する活性層に適度な凹凸が設けられる傾向にあり、こ
のことにより量子ドット、量子細線として働き、発光素
子においては出力の向上などの素子特性の向上が図れ
る。具体的には、活性層中の第3の窒化物半導体層と第
4の窒化物半導体層との距離が500Å以下とすること
であり、この時、第5の窒化物半導体層がそれらの間に
介在していると、活性層中のInを含む窒化物半導体層
に近づきすぎずに、第4の窒化物半導体層を配置するこ
とができ好ましい。これは、従来、活性層若しくは活性
層中のInを含む窒化物半導体層に接近して、第4の窒
化物半導体層のようなAlを含む窒化物半導体層を形成
すると、InGaNなどのInを含む窒化物半導体層の
成長が阻害されて、良好な結晶性とならずに、かえって
素子特性を低下させる傾向にあることによるものであ
る。この時、第4の窒化物半導体層と活性層との距離
は、300Å以上とすることで、上述したような第4の
窒化物半導体層が活性層に近づくことによる悪影響を回
避でき好ましい。
【0036】また、本発明の窒化物半導体素子におい
て、活性層と第2の窒化物半導体層が接する場合におい
て、第4の窒化物半導体層と活性層との距離が、500
Å以上とすると、好ましい素子特性となる。これは、第
4の窒化物半導体層が、活性層若しくは活性層中の第3
の窒化物半導体層に上述のように、近接して配置される
と、上述した量子ドット、量子細線が形成させることが
可能となるものの、第4の窒化物半導体層が近づいて配
置されることで、量子ゆらぎ、量子ショットノイズが現
れる傾向にあり、後述するレーザ素子などにおいては、
問題となる場合がある。第4の窒化物半導体層と第3の
窒化物半導体層との距離を500Å以上とすることで、
このような量子ゆらぎ、量子ショットノイズの発生を抑
え、なおかつ上述した量子ドット、量子細線が設けられ
る傾向を維持して、窒化物半導体素子を得ることができ
るので、素子特性に優れたものとなる。
【0037】以上説明したように、本発明の窒化物半導
体素子において、第1の窒化物半導体層、第2の窒化物
半導体層、活性層(第5の窒化物半導体層、第3の窒化
物半導体層)とが積層された構造、好ましくは第2の窒
化物半導体層に接して活性層が設けられることで、素子
特性の向上に寄与する良好な活性層の形成が可能とな
る。また、第2の窒化物半導体層、第5の窒化物半導体
層、第3の窒化物半導体層とが接して設けられること
で、上述した第4の窒化物半導体層と第3の窒化物半導
体層との距離を制御して、様々な素子特性の窒化物半導
体素子が得られる。すなわち、本発明のレーザ素子で
は、第2の窒化物半導体層を光ガイド層とし、その上
に、第3の窒化物半導体層を少なくとも有する活性層が
設けられた構造となる。この時、好ましくは第2の窒化
物半導体層と活性層とを接して形成することであり、更
に好ましくは第3の窒化物半導体層を井戸層とすること
である。また、第5の窒化物半導体層を設ける場合に
は、活性層内の障壁層として形成することが好ましく、
更に、第2の窒化物半導体層と第3の窒化物半導体層と
を接して設けることで、素子特性に優れたレーザ素子を
得ることができる。
【0038】(レーザ素子の実施形態)以下、本発明に
おける窒化物半導体素子として、レーザ素子の実施形態
について説明する。
【0039】本発明の窒化物半導体レーザ素子は、下部
クラッド層、活性層、上部クラッド層が積層された構造
を少なくとも有し、前記第1の窒化物半導体層、第2の
窒化物半導体層、第3の窒化物半導体層などが配置され
たものである。
【0040】本発明の窒化物半導体レーザ素子におい
て、第1の窒化物半導体層は、下部クラッド層内、若し
くは下部クラッド層として設けるものであり、第3の窒
化物半導体層は、活性層内、若しくは活性層として設け
るものである。第2の窒化物半導体層は、下部クラッド
層と活性層との間、若しくは下部クラッド層内であって
第1の窒化物半導体層の上に、設けることができる。こ
れらは、Alを含む窒化物半導体を有する下部クラッド
層、Inを含む窒化物半導体を有する活性層、とするこ
とができ、紫外域から可視光域(赤色系)までの光を発
振させうる構造となる。
【0041】本発明のレーザ素子において、第1の窒化
物半導体層は、下部クラッド層内若しくは下部クラッド
層として設けられるものであり、その組成は上述したも
のと同様である。また、下部クラッド層が多層膜で形成
される場合には、Alを含む窒化物半導体からなる第1
の窒化物半導体層を、その内の1層として設けることが
できる。
【0042】本発明のレーザ素子において、第2の窒化
物半導体層は、下部クラッド層と活性層との間、若しく
は下部クラッド層内にで第1の窒化物半導体層よりも
上、に設けることである。この時、下部クラッド層と活
性層との間の層として、光ガイド層を有するレーザ素子
においては、第2の窒化物半導体層を光ガイド層とし
て、若しくは光ガイド層内に設けることができる。第2
の窒化物半導体層としては、上述した組成の窒化物半導
体を用いることができる。
【0043】また、本発明のレーザ素子において、第5
の窒化物半導体層、第3の窒化物半導体層としては、上
述した窒化物半導体素子と同様に、活性層として、若し
くは活性層内に設けることが好ましい。
【0044】以下、本発明における窒化物半導体素子、
レーザ素子における各層の形態を説明する。
【0045】(クラッド層)本発明の窒化物半導体を用
いたレーザ素子において、下部クラッド層、上部クラッ
ド層として、窒化物半導体を用いたクラッド層を設ける
ことが好ましい。また、このクラッド層に用いられる窒
化物半導体としては、光を閉じ込めるのに十分な屈折率
差が設けられていれば良く、Alを含む窒化物半導体層
が好ましく用いられる。また、この層は、単一若しくは
多層膜であっても良く、具体的には実施例に示すよう
に、AlGaNとGaNとを交互に積層した超格子構造
であっても良い。さらに、この層は、p型不純物がドー
プされていても良いし、アンドープであっても良く、n
型不純物がドープされて、活性層を挟む下部クラッド
層、上部クラッド層とで、異なる導電型とする。この
時、不純物のドープは、実施例に示すように多層膜層に
おいて、それを構成する少なくとも1つの層にドープし
たものであっても良い。なお、発振波長が長波長の43
0〜550nmのレーザ素子では、このクラッド層は
n,p型不純物をドープしたGaNが好ましい。また、
膜厚としては、特に限定されるものではないが、100
Å以上2μm以下で形成すること、好ましくは500Å
以上1μm以下の範囲で形成することで、十分な光の閉
込めとして機能する。
【0046】また、本発明において、活性層とp型クラ
ッド層(上部クラッド層)との間に、後述する電子閉込
め層、光ガイド層を設けても良い。この時、光ガイド層
を設ける場合には、n型クラッド層と活性層との間に
も、光ガイド層を設けて、活性層を光ガイド層と、その
外側のクラッド層とで挟み込む構造とする。
【0047】(p型電子閉込め層)また、活性層とp型
クラッド層との間、好ましくは活性層とp型光ガイド層
との間に設けられるp型電子閉込め層としては、閾値電
流の低下により容易な発振に寄与し、活性層へのキャリ
アの閉込めとしても機能する層であり、具体的にはAl
GaNを用いる。特に、活性層の上部に、p型クラッド
層、p型電子閉込め層を設ける構成とすることで、この
ような効果が大きくなる傾向にある。このp型電子閉込
め層にAlGaNを用いる場合には、好ましくはp型不
純物をドープしたものとすることで上記機能を有し得る
が、ノンドープであっても上記キャリアの閉込めとして
機能する傾向にある。また、膜厚としては、500Å以
下で形成し、AlxGa1-xNの組成としては、xが0以
上、好ましくは0.2以上とする事で上記効果が十分に
期待できる。
【0048】(光ガイド層)本発明において、活性層を
挟むガイド層をクラッド層より内側に設けて、光導波路
を形成することで、窒化物半導体において優れた導波路
を形成することができる。この時、導波路(活性層とそ
れを挟み込む両ガイド層)の膜厚としては、具体的には
6000Å以下とし、発振閾値電流の急激な増大を抑制
し、好ましくは4500Å以下とすることで、低く抑え
られた発振閾値電流で、基本モード、長寿命での連続発
振が可能となる。また、両ガイド層として具体的には、
ほぼ同じ膜厚で、具体的には100Å以上1μm以下の
範囲であり、好ましくは500Å以上2000Å以下で
形成するで良好な光導波路を設けることができる。更
に、ガイド層としては、窒化物半導体からなり、その外
側に設けられるクラッド層と比較して、導波路形成に十
分なエネルギーバンドギャップを有していればよく、単
一の膜、多層膜のどちらでも良い。p側、n側光ガイド
層として具体的には、発振波長が370〜470nmで
はアンドープ若しくは、n,p型不純物をドープしたG
aNを用い、比較的長波長な領域(450μm以上)で
は、InGaN/GaNの多層膜構造を用いることであ
る。n型ガイド層として具体的には、p型ガイド層も同
様に、活性層のエネルギーバンドギャップを考慮して、
GaN、InGaNを用い、アンドープのGaN、活性
層に近づくに従いIn混晶比を小さくしたInGaNと
GaNとを交互に積層した多層膜で設けると好ましい導
波路となる。
【0049】
【実施例】以下に本発明の一実施の形態である実施例を
示す。しかし本発明はこれに限定されない。
【0050】[実施例1]実施例1として、図3に示さ
れる本発明の一実施の形態である窒化物半導体レーザ素
子を作製する。
【0051】但し、第1の窒化物半導体層1、第2の窒
化物半導体層2、第3の窒化物半導体層3、第4の窒化
物半導体層4、第5の窒化物半導体層5は、本発明の成
長方法により成長させる。
【0052】(素子構造)以下の素子構造を基板1上に
順に成長させる。 1)80μmのGaN基板201(サファイアC面異種
基板上にGaNバッファ層、GaN下地層の上に、Si
2からなるストライプ状のマスクを開口部5μm幅、
マスク15μm幅で複数形成して、開口部からGaNを
選択成長させて、横方向の成長を伴った成長により約1
00μmのGaN基板を得て、異種基板、バッファ層、
下地層などを除去して得る。) 2)3μmのn型GaNコンタクト層202 3)0.1μmのn型In0.1Ga0.86N層203 4)1.2μmの超格子n型Al0.14Ga0.86N/Ga
Nクラッド層204(第1の窒化物半導体層) 5)0.15μmのn型GaNガイド層205(第2の
窒化物半導体層) 6)500Åの多重量子井戸構造のIn0.02Ga0.98
(150Åの障壁層)/In0.1Ga0.9N(50Åの井
戸層)活性層206・・・障壁層(第5の窒化物半導体
層)/井戸層(第3の窒化物半導体層)/障壁層/井戸
層/障壁層 7)100Åのp型Al0.2Ga0.8N電子閉じ込め層2
07 8)0.15μmのp型GaNの光ガイド層208 9)0.6μmの超格子p型Al0.14Ga0.86N/Ga
Nクラッド層209 10)0.05μmのp型GaNコンタクト層210 以下にn型クラッド層204、n型ガイド層205、活
性層206の成長手順を示す。
【0053】(n型クラッド層204;第1の窒化物半
導体層4)反応容器内をH2雰囲気とし、温度を105
0℃にして、原料ガスにTMA(トリメチルアルミニウ
ム)、TMG(トリメチルガリウム)及びアンモニアを
用い、アンドープのAl0.14Ga0.86NよりなるA層を
25Åの膜厚で成長させ、続いて、TMAを止め、不純
物ガスとしてシランガスを用い、SiをドープしたGa
NよりなるB層を25Åの膜厚で成長させる。そして、
この操作をそれぞれ240回繰り返してA層とB層を積
層し、総膜厚1.2μmの多層膜(超格子構造)よりな
るn型クラッド層204を下部クラッド層として成長さ
せる。この時、第1の窒化物半導体層4は、前記A層の
内の1層として形成するか、この多層膜を単一膜と見な
して、第1の窒化物半導体層を各層の膜厚比からAl
0.07Ga 0.93Nよりなるn型クラッド層とする。
【0054】(n型光ガイド層205)その後、同様の
温度で、原料ガスにTMG及びアンモニアを用い、不純
物ガスとしてシランガスを用い、SiドープのGaNよ
りなるn型光ガイド層205を約0.1μmの膜厚で成
長させる。この時、n型光ガイド層205は下部光ガイ
ド層となり、本発明において第2の窒化物半導体層とな
る。また、形成されたn型光ガイド層205(第2の窒
化物半導体層2)には、図1に示すように、第4の窒化
物半導体層4が形成される。ここでは、第4の窒化物半
導体層4を形成するために、下部光ガイド層205(第
2の窒化物半導体層2)を600Å成長させたところ
で、反応容器内をH2雰囲気からN2雰囲気に切り換え
て、反応容器内に残存するAlを成長層に取り込んで、
第4の窒化物半導体層4を形成し、続いて反応容器内の
雰囲気をH2雰囲気とし、残り約400Åの下部光ガイ
ド層205を成長させる。
【0055】(反応容器内の雰囲気の切り換え)n型光
ガイド層205を成長させた直後に、NH3以外の用い
ているガスを止めて、NH3だけをそのまま流し続け、
反応容器内の雰囲気をH2雰囲気からN2雰囲気に切り換
え、さらに、そのままの状態でおよそ数分間〜10分間
程度そのままにしておく。
【0056】(活性層206)n型ガイド層205を成
長後に、反応容器内をN2雰囲気に切り換えて、原料ガ
スにTMI(トリメチルインジウム)、TMG及びアン
モニアを用い、不純物ガスとしてシランガスを用い、S
iをドープしたIn0.02Ga0.98Nよりなる障壁層、ア
ンドープのIn0.15Ga0.85Nよりなる井戸層を成長さ
せる。この操作を繰り返して多重量子井戸構造(MQ
W)の活性層206を成長させる。
【0057】以上のようにして得られた窒化物半導体レ
ーザ素子をSIMS分析により分析すると、図1に示す
ように活性層(第3の窒化物半導体層3、第5の窒化物
半導体層5)内にAl成分は確認されず、n型光ガイド
層205(第2の窒化物半導体層2)内に、第4の窒化
物半導体層4として20Åの膜厚でAlNからなる層が
成長していると観られ、第4の窒化物半導体層4と活性
層206との距離は約400Åの位置に形成される。
【0058】このようなレーザ素子は、活性層内に、量
子ドット、量子細線が形成されていると考えられ、従来
のレーザ素子に比べて、閾値電流の低減、出力の向上が
図れる。
【0059】[実施例2]実施例1において、第4の窒
化物半導体層5を活性層との距離が600Å離れたとこ
ろに設ける他は、実施例1と同様にしてレーザ素子を得
る。得られるレーザ素子は、実施例1に比べて、第4の
窒化物半導体層4が活性層から離れることで、閾値電
流、光出力が劣る傾向にあるものの、量子ゆらぎが小さ
くなり、それによって量子ショットノイズを低減するこ
とができる。さらに、本発明の量子ゆらぎを小さく抑え
られたレーザ素子は、従来のものに比べて、寿命特性も
良好となる。
【0060】
【発明の効果】また本発明の素子は、本発明の成長方法
により、活性層と活性層の下部に隣接する層との海面付
近に物性検査装置(SIMS)等により分析しても、A
l成分は確認されず、量子ゆらぎの小さい、寿命特性の
良好な窒化物半導体レーザ素子である。また、活性層に
近接する位置にAlを含む窒化物半導体層を設けること
で、活性層若しくは活性層中のInを含む窒化物半導体
層に好適に作用して、量子ドット・量子細線の形成を促
すことが可能となり、閾値電流を低減させ、出力の向上
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態である成長方法
により得られた窒化物半導体レーザ素子の一部分の素子
構造のSIMS分析のAl原子のディプス−プロファイ
ル(Depth Profile)の結果を、縦軸にA
l量、横軸に素子の深さ方向を示したSIMS分析デー
タの模式的分析図である。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態である成長方法
により得られた窒化物半導体レーザ素子の一部分の素子
構造のSIMS分析のAl原子のディプス−プロファイ
ル(Depth Profile)の結果を、縦軸にA
l量、横軸に素子の深さ方向を示したSIMS分析デー
タの模式的分析図である。
【図3】図3は、本発明の一実施の形態である成長方法
により得られた窒化物半導体レーザ素子の素子構造を示
した窒化物半導体レーザ素子の模式的断面図である。
【図4】図4は本発明の一実施形態を説明する模式的断
面図である。
【符号の説明】
1・・・第1の窒化物半導体層 2・・・第2の窒化物半導体層 3・・・第3の窒化物半導体層 4・・・第4の窒化物半導体層 5・・・第5の窒化物半導体層 201・・・基板 202・・・n型コンタクト層 203・・・n型クラック防止層 204・・・n型クラッド層(第1の窒化物半導体層) 205・・・n型ガイド層(第2の窒化物半導体層) 206・・・活性層(第3の窒化物半導体層) 207・・・p型電子閉じ込め層 208・・・p型ガイド層 209・・・p型クラッド層 210・・・p型コンタクト層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F041 AA40 CA05 CA34 CA40 CA46 CA65 CB11 5F045 AA04 AB14 AB17 AC08 AC12 BB05 BB14 CA10 CA12 CA13 DA53 DA54 DA55 DA56 DA57 EE18 5F049 MB07 NA20 QA16 SS01 5F073 AA43 AA74 AA75 CA07 CB05 DA05 EA05 EA23 EA28

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機金属気相成長法により窒化物半導体
    を成長させる方法において、反応容器内をH2雰囲気と
    して、Alを含む窒化物半導体からなる第1の窒化物半
    導体層を成長させた後、Alの原料ガスの供給を停止し
    た状態で、第2の窒化物半導体層を成長させ、続いて反
    応容器内をN2雰囲気として、Inを含む窒化物半導体
    からなる第3の窒化物半導体層を成長させることを特徴
    とする窒化物半導体の成長方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の窒化物半導体層が、Alを含
    有する第4の窒化物半導体層を有することを特徴とする
    請求項1記載の窒化物半導体の成長方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の窒化物半導体層の膜厚が、5
    00Å以上であることを特徴とする請求項1又は2記載
    の窒化物半導体の成長方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3記載の前記第1の窒化物
    半導体層、第2の窒化物半導体層、第3の窒化物半導体
    層とを少なくとも有することを特徴とする窒化物半導体
    素子。
  5. 【請求項5】 前記第3の窒化物半導体層を含む活性層
    を有することを特徴とする請求項4記載の窒化物半導体
    素子。
  6. 【請求項6】 前記第4の窒化物半導体層の膜厚が、1
    0Å以上100Å以下の範囲であることを特徴とする請
    求項4又は5記載の窒化物半導体素子。
  7. 【請求項7】 前記第2の窒化物半導体層が活性層に接
    して形成され、前記第4の窒化物半導体層と第3の窒化
    物半導体層との距離が、500Å以下であることを特徴
    とする請求項1乃至6記載の窒化物半導体素子。
  8. 【請求項8】 前記第2の窒化物半導体層が活性層に接
    して形成され、前記第4の窒化物半導体層と第3の窒化
    物半導体層との距離が、500Å以上であることを特徴
    とする請求項1乃至7記載の窒化物半導体素子。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8記載の窒化物半導体素子
    が、上部クラッド層、活性層、下部クラッド層が積層さ
    れた構造を有する窒化物半導体レーザ素子において、 前記活性層が前記第3の窒化物半導体層を有し、前記下
    部クラッド層が前記第1の窒化物半導体層を有すると共
    に、前記第2の窒化物半導体層が活性層と下部クラッド
    層との間、若しくは下部クラッド層内であって、に設け
    られていることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
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