JP2002138494A - 構造物および構造物の解体・構築方法 - Google Patents
構造物および構造物の解体・構築方法Info
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- JP2002138494A JP2002138494A JP2000333763A JP2000333763A JP2002138494A JP 2002138494 A JP2002138494 A JP 2002138494A JP 2000333763 A JP2000333763 A JP 2000333763A JP 2000333763 A JP2000333763 A JP 2000333763A JP 2002138494 A JP2002138494 A JP 2002138494A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 大きなコストアップを伴うことなく、容易に
杭頭に作用するせん断力および曲げモーメントを低減す
る。 【解決手段】 上部構造14の下面14aに、基礎杭1
3に並列して、基礎杭13より長さ寸法の短い短杭15
を下方に突出状態に設けるとともに、短杭15の杭頭1
5aと上部構造14の下面14aとを剛結合した。
杭頭に作用するせん断力および曲げモーメントを低減す
る。 【解決手段】 上部構造14の下面14aに、基礎杭1
3に並列して、基礎杭13より長さ寸法の短い短杭15
を下方に突出状態に設けるとともに、短杭15の杭頭1
5aと上部構造14の下面14aとを剛結合した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビル等に用いられ
て好適な構造物、および、このような構造物の解体・構
築方法に関するものである。
て好適な構造物、および、このような構造物の解体・構
築方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の構造物としては、図13に示す
建物1のように、地盤G内に設置されてその下端が支持
層2に到達するように形成された基礎杭3と、この基礎
杭3によって支持された上部構造4とを有するものが知
られている。
建物1のように、地盤G内に設置されてその下端が支持
層2に到達するように形成された基礎杭3と、この基礎
杭3によって支持された上部構造4とを有するものが知
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のような建物1
は、地震時においては、上部構造4に慣性力が作用する
ために、基礎杭3の杭頭3aに非常に大きな曲げモーメ
ントやせん断力が生じる。したがって、建物1が、高層
ビルなどであり慣性力が大きくなる場合には、杭頭3a
の大きな曲げモーメントに対応するために、図14
(a)に示すように、基礎杭3を、その杭頭部3aを拡
径した拡径杭5としたり、(b)に示すように、基礎杭
3の杭頭3aを鋼管6で補強するなどの対策が必要であ
り、これにより、コストアップや工期の長期化を招くこ
ととなっていた。
は、地震時においては、上部構造4に慣性力が作用する
ために、基礎杭3の杭頭3aに非常に大きな曲げモーメ
ントやせん断力が生じる。したがって、建物1が、高層
ビルなどであり慣性力が大きくなる場合には、杭頭3a
の大きな曲げモーメントに対応するために、図14
(a)に示すように、基礎杭3を、その杭頭部3aを拡
径した拡径杭5としたり、(b)に示すように、基礎杭
3の杭頭3aを鋼管6で補強するなどの対策が必要であ
り、これにより、コストアップや工期の長期化を招くこ
ととなっていた。
【0004】一方、杭頭3aに作用する曲げモーメント
を低減するために、基礎杭3の杭頭3aと上部構造4と
の間をピン結合により接続する工法も提案されている
が、この場合においてもせん断力を低減することはでき
ないために、やはり、杭頭の補強が必要であった。
を低減するために、基礎杭3の杭頭3aと上部構造4と
の間をピン結合により接続する工法も提案されている
が、この場合においてもせん断力を低減することはでき
ないために、やはり、杭頭の補強が必要であった。
【0005】また、これとは別に、図13のような建物
1を建て替える際には、コスト・工期の観点から、建て
替え以前の旧建物を支持していた杭(既存杭)を、建て
替え以後の新建物の杭として再利用することが望まれ
る。しかし、既存杭は、耐震基準が現在に比較して緩い
時代に構築されたものが多く、鉛直支持力はあるもの
の、水平耐力が小さく、上述のように、杭頭に大きな曲
げモーメントやせん断力が作用する場合には、結局利用
できないという問題点があった。
1を建て替える際には、コスト・工期の観点から、建て
替え以前の旧建物を支持していた杭(既存杭)を、建て
替え以後の新建物の杭として再利用することが望まれ
る。しかし、既存杭は、耐震基準が現在に比較して緩い
時代に構築されたものが多く、鉛直支持力はあるもの
の、水平耐力が小さく、上述のように、杭頭に大きな曲
げモーメントやせん断力が作用する場合には、結局利用
できないという問題点があった。
【0006】本発明は、以上のような事情に鑑みてなさ
れたものであり、大きなコストアップを伴うことなく、
容易に杭頭に作用するせん断力および曲げモーメントを
低減することのできるような構造物を提供することを課
題とする。また、既存杭を有効に利用して、建て替えの
コストを大幅に削減することができるような、構造物の
解体・構築方法を提供することを別の課題とする。
れたものであり、大きなコストアップを伴うことなく、
容易に杭頭に作用するせん断力および曲げモーメントを
低減することのできるような構造物を提供することを課
題とする。また、既存杭を有効に利用して、建て替えの
コストを大幅に削減することができるような、構造物の
解体・構築方法を提供することを別の課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明においては以下の手段を採用した。すなわち、
請求項1記載の発明は、下端が支持層に到達するように
形成された基礎杭と、該基礎杭によって支持された上部
構造とを有する構造物であって、前記上部構造の下面
に、前記基礎杭に並列して、前記基礎杭より長さ寸法の
小さい短杭を下方に突出状態に設けるとともに、前記短
杭の杭頭と前記上部構造の下面とを剛結合したことを特
徴としている。
に本発明においては以下の手段を採用した。すなわち、
請求項1記載の発明は、下端が支持層に到達するように
形成された基礎杭と、該基礎杭によって支持された上部
構造とを有する構造物であって、前記上部構造の下面
に、前記基礎杭に並列して、前記基礎杭より長さ寸法の
小さい短杭を下方に突出状態に設けるとともに、前記短
杭の杭頭と前記上部構造の下面とを剛結合したことを特
徴としている。
【0008】このような構成により、短杭は、支持層ま
で到達することが無く、その下端が支持層によって拘束
されることがない。さらに、短杭を極めて短く形成する
ことによって、短杭と地盤との間に作用する摩擦力を大
幅に低減することができる。また、短杭は、その杭頭が
上部構造の下面に剛結合されているので、、地震時に
は、上部構造とともに変位することとなり、これによっ
て、短杭が、上部構造に作用する水平力を地盤に伝達す
る機能を発揮することができる。
で到達することが無く、その下端が支持層によって拘束
されることがない。さらに、短杭を極めて短く形成する
ことによって、短杭と地盤との間に作用する摩擦力を大
幅に低減することができる。また、短杭は、その杭頭が
上部構造の下面に剛結合されているので、、地震時に
は、上部構造とともに変位することとなり、これによっ
て、短杭が、上部構造に作用する水平力を地盤に伝達す
る機能を発揮することができる。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明であって、前記短杭は、前記上部構造の下面に接する
地盤を改良した地盤改良体と、該地盤改良体の内部に挿
入されるとともに前記上部構造の下面に固定された構造
材とによって形成されていることを特徴としている。
明であって、前記短杭は、前記上部構造の下面に接する
地盤を改良した地盤改良体と、該地盤改良体の内部に挿
入されるとともに前記上部構造の下面に固定された構造
材とによって形成されていることを特徴としている。
【0010】このような構成により、短杭施工時の地盤
の掘削を最小限とすることができる。
の掘削を最小限とすることができる。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の発明であって、前記基礎杭と前記上部構造との間
は、ピン結合されていることを特徴としている。
記載の発明であって、前記基礎杭と前記上部構造との間
は、ピン結合されていることを特徴としている。
【0012】このような構成により、基礎杭の杭頭部に
伝達される上部構造の慣性力を低減することができ、短
杭が負担する水平力をより一層大きくすることができ
る。
伝達される上部構造の慣性力を低減することができ、短
杭が負担する水平力をより一層大きくすることができ
る。
【0013】請求項4記載の発明は、既存構造物を解体
して、同一位置に新たに新設構造物を構築するための方
法であって、前記既存構造物を、基礎杭を残して、該基
礎杭により支持された上部構造のみを解体し、前記基礎
杭に並列して、該基礎杭よりも深さ寸法の小さい短杭を
設け、該短杭および前記基礎杭の双方の杭頭部に対して
接合するように、前記新設構造物の上部構造を設けるこ
とを特徴としている。
して、同一位置に新たに新設構造物を構築するための方
法であって、前記既存構造物を、基礎杭を残して、該基
礎杭により支持された上部構造のみを解体し、前記基礎
杭に並列して、該基礎杭よりも深さ寸法の小さい短杭を
設け、該短杭および前記基礎杭の双方の杭頭部に対して
接合するように、前記新設構造物の上部構造を設けるこ
とを特徴としている。
【0014】この場合、新設構造物においては、短杭が
上部構造に作用する水平力を負担することができるため
に、基礎杭の水平耐力が要求されず、したがって、既存
構造物の基礎杭の水平耐力が十分でない場合において
も、これを下部構造として有効利用することができる。
上部構造に作用する水平力を負担することができるため
に、基礎杭の水平耐力が要求されず、したがって、既存
構造物の基礎杭の水平耐力が十分でない場合において
も、これを下部構造として有効利用することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて説明する。図1および図2は、本発明の一
実施の形態を模式的に示す図であり、図中、符号11
は、建物(構造物)を示す。この建物11は、地盤G内
に設置されて下端が支持層12に到達するように形成さ
れた基礎杭13と、この基礎杭13によって支持された
上部構造14とを有するものである。
面に基づいて説明する。図1および図2は、本発明の一
実施の形態を模式的に示す図であり、図中、符号11
は、建物(構造物)を示す。この建物11は、地盤G内
に設置されて下端が支持層12に到達するように形成さ
れた基礎杭13と、この基礎杭13によって支持された
上部構造14とを有するものである。
【0016】この建物11においては、基礎杭13に並
列して、基礎杭13より深さ寸法の小さい短杭15が、
上部構造14の下面14aから下方に突出状態に設けら
れている。この短杭15は、例えば、鉄筋コンクリート
あるいは鋼管によって形成され、その長さ寸法は、杭径
の5倍以下(例えば3〜4m程度)となっている。これ
らの短杭15は、地盤Gを掘削して設置されたものであ
り、その杭頭15aが上部構造14の下面14aに剛結
合されている。また、この短杭15は、図2に示すよう
に、基礎杭13,13,…同士の間に打設されるととも
に、建物11の外周に接して設けられている。
列して、基礎杭13より深さ寸法の小さい短杭15が、
上部構造14の下面14aから下方に突出状態に設けら
れている。この短杭15は、例えば、鉄筋コンクリート
あるいは鋼管によって形成され、その長さ寸法は、杭径
の5倍以下(例えば3〜4m程度)となっている。これ
らの短杭15は、地盤Gを掘削して設置されたものであ
り、その杭頭15aが上部構造14の下面14aに剛結
合されている。また、この短杭15は、図2に示すよう
に、基礎杭13,13,…同士の間に打設されるととも
に、建物11の外周に接して設けられている。
【0017】このような構成により、短杭15は、支持
層12にまで到達することが無く、したがって、基礎杭
13とは異なり、その下端が支持層12によって拘束さ
れることがない。また、このように短杭15が極めて短
く形成されることによって、短杭15と地盤Gとの間に
作用する摩擦力も大きなものとならない。さらに、短杭
15は、その杭頭15aが、上部構造14の下面14a
に剛結合されているために、地震時に上部構造14に慣
性力が作用した場合には、短杭15は上部構造14とと
もに変位して、上部構造14に作用する水平力を地盤G
に対して伝達する機能を発揮することとなる。そして、
このように短杭15が上部構造14の慣性力の一部を負
担することにより、基礎杭13の杭頭13a付近に生じ
るせん断力および曲げモーメントを大幅に低減すること
ができる。
層12にまで到達することが無く、したがって、基礎杭
13とは異なり、その下端が支持層12によって拘束さ
れることがない。また、このように短杭15が極めて短
く形成されることによって、短杭15と地盤Gとの間に
作用する摩擦力も大きなものとならない。さらに、短杭
15は、その杭頭15aが、上部構造14の下面14a
に剛結合されているために、地震時に上部構造14に慣
性力が作用した場合には、短杭15は上部構造14とと
もに変位して、上部構造14に作用する水平力を地盤G
に対して伝達する機能を発揮することとなる。そして、
このように短杭15が上部構造14の慣性力の一部を負
担することにより、基礎杭13の杭頭13a付近に生じ
るせん断力および曲げモーメントを大幅に低減すること
ができる。
【0018】このような効果を具体的に示したのが図3
および図4である。図3および図4は、建物11に以下
のような条件を設定した場合における基礎杭13の深さ
位置(縦軸)と曲げモーメントおよびせん断力(横軸)
との関係を数値解析により調べた結果を示すグラフであ
る。また、図中には、短杭15を設けないとした場合の
結果を併せて示している。
および図4である。図3および図4は、建物11に以下
のような条件を設定した場合における基礎杭13の深さ
位置(縦軸)と曲げモーメントおよびせん断力(横軸)
との関係を数値解析により調べた結果を示すグラフであ
る。また、図中には、短杭15を設けないとした場合の
結果を併せて示している。
【0019】[条件] 建物慣性力 1130×6=6780kN 地盤条件 N値10の砂地盤 基礎杭 杭径1500mm L=27mのコンクリート杭 6
本 短杭 杭径1500mm L=27mの鋼管
本 短杭 杭径1500mm L=27mの鋼管
【0020】これらのグラフに示すように、短杭15を
設けた場合(図中、□で示す場合)は、基礎杭13に作
用する曲げモーメントおよびせん断力の双方とも、短杭
15を設けない場合(図中、●で示す場合)に比較して
大幅に低減されていることが理解される。したがって、
このような短杭15を設けることにより、コストアップ
や工期の長期化を招くことなく、杭頭13aに作用する
せん断力および曲げモーメントを軽減することが可能と
なり、建物11の安全性を向上させることができる。
設けた場合(図中、□で示す場合)は、基礎杭13に作
用する曲げモーメントおよびせん断力の双方とも、短杭
15を設けない場合(図中、●で示す場合)に比較して
大幅に低減されていることが理解される。したがって、
このような短杭15を設けることにより、コストアップ
や工期の長期化を招くことなく、杭頭13aに作用する
せん断力および曲げモーメントを軽減することが可能と
なり、建物11の安全性を向上させることができる。
【0021】なお、この場合、建物11は、新設建物に
限らず、既存建物を建て替えたものであってもよい。こ
の場合には、既存建物の基礎杭(既存杭)17(図1参
照)を残して既存杭17により支持された上部構造のみ
を解体し、さらに、この既存杭17に並列して、既存杭
17よりも深さ寸法の小さい短杭15を設け、さらに、
短杭15および既存杭17の双方の杭頭に対して接合す
るように、新設建物11の上部構造14を設けることに
より建て替えを行うことができる。
限らず、既存建物を建て替えたものであってもよい。こ
の場合には、既存建物の基礎杭(既存杭)17(図1参
照)を残して既存杭17により支持された上部構造のみ
を解体し、さらに、この既存杭17に並列して、既存杭
17よりも深さ寸法の小さい短杭15を設け、さらに、
短杭15および既存杭17の双方の杭頭に対して接合す
るように、新設建物11の上部構造14を設けることに
より建て替えを行うことができる。
【0022】この場合、新設建物11においては、短杭
15が上部構造14に作用する水平力を負担することが
できるために、基礎杭13として利用される既存杭17
の水平耐力が要求されない。したがって、既存杭17が
耐震基準の緩い時代に構築されたものであり、その水平
耐力が十分でない場合においても、これを下部構造とし
て有効利用することができる。その結果、建物の建て替
えコストおよび工期を大幅に低減することが可能とな
る。
15が上部構造14に作用する水平力を負担することが
できるために、基礎杭13として利用される既存杭17
の水平耐力が要求されない。したがって、既存杭17が
耐震基準の緩い時代に構築されたものであり、その水平
耐力が十分でない場合においても、これを下部構造とし
て有効利用することができる。その結果、建物の建て替
えコストおよび工期を大幅に低減することが可能とな
る。
【0023】また、上記実施の形態の建物は、その構造
あるいは各部の構成については、上記実施の形態に限定
されることなく、必要に応じて他の構成を採用すること
ができる。
あるいは各部の構成については、上記実施の形態に限定
されることなく、必要に応じて他の構成を採用すること
ができる。
【0024】例えば、図5および図6に示す建物20の
ように、敷地に余裕がある場合には、上部構造21の下
面に基礎スラブ22を設け、短杭15を基礎杭13の外
側に位置させて基礎スラブ22から下方に突出状態に設
けるようにすれば、より一層短杭15の水平力負担に関
する効果を向上させることができる。
ように、敷地に余裕がある場合には、上部構造21の下
面に基礎スラブ22を設け、短杭15を基礎杭13の外
側に位置させて基礎スラブ22から下方に突出状態に設
けるようにすれば、より一層短杭15の水平力負担に関
する効果を向上させることができる。
【0025】また、図7に示す建物24のように、基礎
杭13の杭頭13aと上部構造14との間にピン結合構
造25を設けた構成であってもよい。この場合には、基
礎杭13の杭頭部13aに伝達される上部構造14の慣
性力を低減することができるために、短杭15が負担す
る水平力をより一層大きくすることができ、これによっ
て短杭15を設けたことによる杭頭13aのせん断力の
低減効果をより一層顕著なものとすることができる。な
お、この場合のせん断力の低減効果の解析結果を、図4
のグラフに併せて示す(図中、△で示した分布)。図4
中に示すように、ピン結合構造25を併用することによ
り、基礎杭13の杭頭13a近傍のせん断力がより一層
低減されることが理解される。
杭13の杭頭13aと上部構造14との間にピン結合構
造25を設けた構成であってもよい。この場合には、基
礎杭13の杭頭部13aに伝達される上部構造14の慣
性力を低減することができるために、短杭15が負担す
る水平力をより一層大きくすることができ、これによっ
て短杭15を設けたことによる杭頭13aのせん断力の
低減効果をより一層顕著なものとすることができる。な
お、この場合のせん断力の低減効果の解析結果を、図4
のグラフに併せて示す(図中、△で示した分布)。図4
中に示すように、ピン結合構造25を併用することによ
り、基礎杭13の杭頭13a近傍のせん断力がより一層
低減されることが理解される。
【0026】また、上記実施の形態においては、短杭1
5は、鋼管または鉄筋コンクリート構造とされている
が、これに代えて、図8,9に示すように、基礎杭13
と同径以上の径寸法を有する地盤改良体26を、上部構
造14の下面14aから下方に突出状態に設け、このよ
うな地盤改良体26内に図8、図9に示すように細径鋼
管27(あるいはH型鋼などの鋼材)を複数建て込ん
で、これら全体を短杭15として機能させることも考え
られる。また、このように細径鋼管27やH型鋼などを
用いずに、図10や図11に示すように、地盤改良体2
6に薄肉の蛇腹鋼管28を挿入したり、あるいは、口径
の大きいプレキャストコンクリート管を挿入してもよ
い。この場合、図10に示すように必要に応じて蛇腹鋼
管28内に鉄筋を配置してもよい。
5は、鋼管または鉄筋コンクリート構造とされている
が、これに代えて、図8,9に示すように、基礎杭13
と同径以上の径寸法を有する地盤改良体26を、上部構
造14の下面14aから下方に突出状態に設け、このよ
うな地盤改良体26内に図8、図9に示すように細径鋼
管27(あるいはH型鋼などの鋼材)を複数建て込ん
で、これら全体を短杭15として機能させることも考え
られる。また、このように細径鋼管27やH型鋼などを
用いずに、図10や図11に示すように、地盤改良体2
6に薄肉の蛇腹鋼管28を挿入したり、あるいは、口径
の大きいプレキャストコンクリート管を挿入してもよ
い。この場合、図10に示すように必要に応じて蛇腹鋼
管28内に鉄筋を配置してもよい。
【0027】また、上記実施の形態においては、短杭1
5を地盤Gを掘削して設置することとなっていたが、こ
の短杭15は、杭長を数m程度の短いものとすることが
でき、基礎杭13と異なり、支持層12などの硬質な地
盤に嵌入させる必要がないので、図12のように、建物
30の地下階部分30aを掘削した後、掘削底31から
地盤G内に鋼管32を圧入することにより設置してもよ
い。また、この場合、鋼管32等を圧入する部分の地盤
を、あらかじめ浅層改良しておけば、図8,9または図
10,11に示したような短杭15を実現することがで
きる。このような構成により、短杭施工時の地盤Gの掘
削を最小限にすることができ、より一層のコストの低減
および工期の短縮に貢献することができる。
5を地盤Gを掘削して設置することとなっていたが、こ
の短杭15は、杭長を数m程度の短いものとすることが
でき、基礎杭13と異なり、支持層12などの硬質な地
盤に嵌入させる必要がないので、図12のように、建物
30の地下階部分30aを掘削した後、掘削底31から
地盤G内に鋼管32を圧入することにより設置してもよ
い。また、この場合、鋼管32等を圧入する部分の地盤
を、あらかじめ浅層改良しておけば、図8,9または図
10,11に示したような短杭15を実現することがで
きる。このような構成により、短杭施工時の地盤Gの掘
削を最小限にすることができ、より一層のコストの低減
および工期の短縮に貢献することができる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明においては、短杭が、上部構造の慣性力の一部を負担
することにより、コストアップや工期の長期化を招くこ
となく、杭頭に作用するせん断力および曲げモーメント
を大幅に軽減することが可能となり、建物の安全性を向
上させることができる。
明においては、短杭が、上部構造の慣性力の一部を負担
することにより、コストアップや工期の長期化を招くこ
となく、杭頭に作用するせん断力および曲げモーメント
を大幅に軽減することが可能となり、建物の安全性を向
上させることができる。
【0029】請求項2に係る発明においては、短杭施工
時の地盤の掘削を最小限とすることができ、より一層コ
ストおよび工期の削減に貢献することができる。
時の地盤の掘削を最小限とすることができ、より一層コ
ストおよび工期の削減に貢献することができる。
【0030】請求項3に係る発明においては、短杭が負
担する水平力をより一層大きくすることができ、短杭を
設けたことによる杭頭のせん断力の低減効果をより一層
顕著なものとすることができる。
担する水平力をより一層大きくすることができ、短杭を
設けたことによる杭頭のせん断力の低減効果をより一層
顕著なものとすることができる。
【0031】請求項4に係る発明においては、基礎杭と
して利用される既存杭の水平耐力が要求されず、既存杭
の水平耐力が十分でない場合においても、これを下部構
造として有効利用することができる。その結果、建物の
建て替えコストの低減を図り、工期を大幅に短縮するこ
とが可能となる。
して利用される既存杭の水平耐力が要求されず、既存杭
の水平耐力が十分でない場合においても、これを下部構
造として有効利用することができる。その結果、建物の
建て替えコストの低減を図り、工期を大幅に短縮するこ
とが可能となる。
【図1】 本発明の一実施の形態を模式的に示す建物
の立断面図である。
の立断面図である。
【図2】 図1におけるI−I線矢視断面図である。
【図3】 本発明の効果を示すための図であって、短
杭を設けた場合と設けない場合とで、基礎杭の各部の深
さ位置(縦軸)と基礎杭に作用する曲げモーメント(横
軸)との関係を比較したグラフである。
杭を設けた場合と設けない場合とで、基礎杭の各部の深
さ位置(縦軸)と基礎杭に作用する曲げモーメント(横
軸)との関係を比較したグラフである。
【図4】 本発明の効果を示すための図であって、短
杭を設けた場合と設けない場合とで、基礎杭の各部の深
さ位置(縦軸)と基礎杭に作用するせん断力(横軸)と
の関係を比較したグラフである。
杭を設けた場合と設けない場合とで、基礎杭の各部の深
さ位置(縦軸)と基礎杭に作用するせん断力(横軸)と
の関係を比較したグラフである。
【図5】 本発明の他の実施の形態を模式的に示す建
物の立断面図である。
物の立断面図である。
【図6】 図5におけるII−II線矢視断面図であ
る。
る。
【図7】 本発明のさらに他の実施の形態を模式的に
示す建物の立断面図である。
示す建物の立断面図である。
【図8】 本発明のさらに他の実施の形態を模式的に
示す短杭の立断面図である。
示す短杭の立断面図である。
【図9】 図8におけるIII−III線矢視断面図
である。
である。
【図10】 本発明のさらに他の実施の形態を模式的
に示す短杭の立断面図である。
に示す短杭の立断面図である。
【図11】 図10におけるIV−IV線矢視断面図
である。
である。
【図12】 本発明のさらに他の実施の形態を模式的
に示す図であって、短杭の設置方法を示すための建物の
基礎部の立断面図である。
に示す図であって、短杭の設置方法を示すための建物の
基礎部の立断面図である。
【図13】 従来の建物に地震時に作用する力を説明
するための建物の立断面図である。
するための建物の立断面図である。
【図14】 従来の建物において採用される、杭頭に
作用する曲げモーメント、せん断力に対する対策の例を
示す図であって、(a)は、杭頭を拡径した場合、
(b)は、杭頭を鋼管補強した場合の例を示す建物の部
分立断面図である。
作用する曲げモーメント、せん断力に対する対策の例を
示す図であって、(a)は、杭頭を拡径した場合、
(b)は、杭頭を鋼管補強した場合の例を示す建物の部
分立断面図である。
11,20,24,30 建物 12 支持層 13 基礎杭 14,21 上部構造 14a 下面 15 短杭 17 既存杭 25 ピン結合構造 26 地盤改良体 27 細径鋼管(構造材) 28 蛇腹鋼管(構造材)
Claims (4)
- 【請求項1】 下端が支持層に到達するように形成され
た基礎杭と、該基礎杭によって支持された上部構造とを
有する構造物であって、 前記上部構造の下面に、前記基礎杭に並列して、前記基
礎杭より深さ寸法の小さい短杭を下方に突出状態に設け
るとともに、前記短杭の杭頭と前記上部構造の下面とを
剛結合したことを特徴とする構造物。 - 【請求項2】 前記短杭は、前記上部構造の下面に接す
る地盤を改良した地盤改良体と、該地盤改良体の内部に
挿入されるとともに前記上部構造の下面に固定された構
造材とによって形成されていることを特徴とする請求項
1記載の構造物。 - 【請求項3】 前記基礎杭と前記上部構造との間は、ピ
ン結合されていることを特徴とする請求項1または2に
記載の構造物。 - 【請求項4】 既存構造物を解体して、同一位置に新た
に新設構造物を構築するための方法であって、 前記既存構造物を、基礎杭を残して、該基礎杭により支
持された上部構造のみを解体し、前記基礎杭に並列し
て、該基礎杭よりも深さ寸法の小さい短杭を設け、該短
杭および前記基礎杭の双方の杭頭部に対して接合するよ
うに、前記新設構造物の上部構造を設けることを特徴と
する構造物の解体・構築方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000333763A JP2002138494A (ja) | 2000-10-31 | 2000-10-31 | 構造物および構造物の解体・構築方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000333763A JP2002138494A (ja) | 2000-10-31 | 2000-10-31 | 構造物および構造物の解体・構築方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002138494A true JP2002138494A (ja) | 2002-05-14 |
Family
ID=18809792
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000333763A Pending JP2002138494A (ja) | 2000-10-31 | 2000-10-31 | 構造物および構造物の解体・構築方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002138494A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006037633A (ja) * | 2004-07-29 | 2006-02-09 | Taisei Corp | 基礎構造及びその構築方法 |
JP2007247317A (ja) * | 2006-03-17 | 2007-09-27 | Shimizu Corp | 杭基礎構造物の耐震補強構造及び耐震補強方法 |
-
2000
- 2000-10-31 JP JP2000333763A patent/JP2002138494A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006037633A (ja) * | 2004-07-29 | 2006-02-09 | Taisei Corp | 基礎構造及びその構築方法 |
JP2007247317A (ja) * | 2006-03-17 | 2007-09-27 | Shimizu Corp | 杭基礎構造物の耐震補強構造及び耐震補強方法 |
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Legal Events
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A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050131 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050215 |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050412 |
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A02 | Decision of refusal |
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