JP2002133639A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2002133639A
JP2002133639A JP2000328641A JP2000328641A JP2002133639A JP 2002133639 A JP2002133639 A JP 2002133639A JP 2000328641 A JP2000328641 A JP 2000328641A JP 2000328641 A JP2000328641 A JP 2000328641A JP 2002133639 A JP2002133639 A JP 2002133639A
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JP2000328641A
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Yuji Sansawa
裕二 三佐和
Tsuguhiro Doi
嗣裕 土井
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Maxell Holdings Ltd
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Hitachi Maxell Ltd
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Publication date
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  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Recording Or Reproducing By Magnetic Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性層中の非磁性粒子のチャージアップによ
る出力対ノイズ比(C/N比)低下のない、MRヘッド
対応磁気記録媒体の提供。 【解決手段】 非磁性支持体上に、下塗層と、磁性粉お
よび非磁性粒子を結合剤中に分散させてなる磁性層とを
この順番で設けた磁気記録媒体において、磁性層の厚さ
を0.01〜0.15μmとし、磁性層中にカーボンブラッ
ク粒子を付着させた非磁性粒子を添加した構成とする。
これにより、磁性層中の非磁性粒子が静電気でチャジア
ップしなくなり、MRヘッドを使用した場合に出力対ノ
イズ比(C/N比)が高い磁気記録媒体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録容量、アクセ
ス速度、転送速度が高い磁気記録媒体に関し、特に磁気
抵抗効果素子を利用した再生ヘッド(以下、MRヘッ
ド)を使用する磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、オーデイオテープ、ビ
デオテープ、コンピユーターテープ、磁気ディスクなど
種々の用途がある。データバックアップ用テープの分野
ではバックアップ対象となるハードディスクの大容量化
に伴い、1巻当たり数十GB以上の記憶容量のものが商
品化されており、今後ハードディスクのさらなる大容量
化に対応するためバックアップテープの高容量化は不可
欠である。また、磁気ディスクの分野でも、ソフトの大
型化、ハードディスクの大容量化、デジタルカメラ等の
画像記録の発達に伴い、3.5インチ120MB以上の記
憶容量のものが商品化されており、今後も磁気ディスク
の高容量化は不可欠である。
【0003】また、データバックアップ用テープ、磁気
ディスク何れの分野でも、大容量を短時間で処理するた
めにアクセス速度、転送速度を大きくする必要があり、
磁気記録媒体と磁気ヘッド間の相対速度を高めることが
必要不可欠である。磁気記録媒体と磁気ヘッド間の相対
速度の高速化に対応するためには、磁気記録媒体の耐久
性向上と機械的特性の最適化等により、磁気記録媒体と
磁気ヘッド間のタッチを改良する手段などが必要であ
る。この機械的特性の最適化の要求は、磁気記録媒体の
全厚が極めて薄いデータバックアップ用磁気テープで特
に重要である。さらに、データバックアップ用磁気テー
プでは、テープの送り速度を速くするために、摩擦係数
の小さいバックコート層の形成が必要である。
【0004】磁気記録媒体の単位面積当たりの高容量化
のためには、磁性層厚さを0.15μm以下と極めてする
ことで厚さ減磁を小さくして記録波長を短くすると共
に、トラック幅を狭くして幅方向の記録密度を高くする
必要がある。また、デ−タバックアップ用磁気テープで
は、テープ全厚を薄くして1巻あたりのテープ長さを長
くすることも必要である。
【0005】磁性層厚さを0.15μm以下と極めて薄く
すると、一般的に表面粗さが大きくなってスペーシング
損失が大きくなったり、耐久性が劣化したりするので、
非磁性支持体と磁性層との間に少なくとも一層の下塗層
を設ける必要がある。また、幅方向の記録密度を高くす
ると磁気記録媒体からの漏れ磁束が小さくなるため、再
生ヘッドに微小磁束でも高い出力が得られるMRヘッド
を使用する必要がある。
【0006】MRヘッド対応の磁気記録媒体には、例え
ば特開平11−238225号、特開2000−402
17号、特開2000−40218号に記載されたもの
がある。これらの従来技術では、磁気記録媒体の磁束
(残留磁束密度と厚さの積)を特定の値に制御してMR
ヘッドの出力の歪を防止したり、磁性層表面のへこみを
特定の値以下にしてMRヘッドのサーマル・アスペリテ
ィを低減したりしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来公
知の磁気記録媒体は、磁性層中の研磨剤として電気抵抗
の極めて高い非磁性粉末を使用しているため、磁気記録
媒体の表面固有抵抗が低い場合にも、研磨剤自体がチャ
ージアップし易く、MRヘッドとの間で放電してノイズ
が発生するため、出力対ノイズ比(C/N)が小さくな
るという問題があった。
【0008】すなわち、磁気テープや磁気ディスクは、
電気抵抗の高い部品と接する部分が多く(磁気テープで
はガイド部品、磁気ディスクではライナー)、高速摺動
により静電気が発生する。磁性粉末やカーボンブラック
粒子にたまった静電気は、下塗層を介して逃げるが、電
気抵抗の極めて高く、しかもその表面が電気抵抗の高い
結合剤樹脂で覆われている研磨剤粒子では、静電気が研
磨剤粒子から逃げず、そのまま留まる。このことは下塗
層を有する磁気記録媒体をSEM観察すると、研磨剤粒
子がチャージアップして白く光っていることからもわか
る。この研磨剤粒子にたまった静電気は、MRヘッドと
接触すると、MR素子に放電する。このためMRヘッド
にノイズが発生することになり、上述のようにC/Nが
小さくなる。従って、MRヘッドを使用した場合にもC
/Nを高くするためには、研磨剤粒子に静電気がたまら
ないようにする必要がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため、鋭意検討した結果、研磨剤粒子とし
て使用する非磁性粒子の表面に、カーボンブラック粒子
を付着させ、この粒子を磁性層中に含有させることによ
り、研磨剤粒子に静電気がたまらず(チャージアップし
なくなり)、MRヘッドを使用した場合にも、C/Nが
極めて高くなることを見出した。
【0010】本発明は、以上の知見をもとにして、完成
されたものである。すなわち、非磁性支持体上の少なく
とも一面に、少なくとも一層の下塗層と、磁性層とがこ
の順に形成された磁気記録媒体において、該磁性層の厚
さが0.01〜0.15μmであり、磁性層中の非磁性粒子
の表面に、カーボンブラック粒子が付着している磁気記
録媒体(請求項1)と、磁性層中の非磁性粒子の粒径が
0.15μm以下、モース硬度が5以上であり、カーボン
ブラック粒子の粒径が5〜50nmである磁気記録媒体
(請求項2)と、磁性層中の非磁性粒子が、該非磁性粒
子100重量部あたり0.5〜20重量部のカーボンブラ
ック粒子が付着した非磁性粒子である磁気記録媒体(請
求項3)と、磁性層の保磁力が160〜320kA/
m、残留磁束密度と厚さの積が0.0018μTm〜0.0
45μTmである磁気記録媒体(請求項4)と、磁気抵
抗効果型素子を利用した再生ヘッドによって磁気記録信
号が再生される磁気記録媒体(請求項5)とに係るもの
である。なお、本発明でいう粒子の粒径は、特に断らな
い限り、粒子100個の平均粒径を意味する。
【0011】
【発明の実施の形態】非磁性支持体上の少なくとも一面
に、少なくとも一層の下塗層と、磁性層とがこの順に形
成された磁気記録媒体において、該磁性層の厚さが0.0
1〜0.15μmの磁気記録媒体は、磁性層が極めて薄く
厚さ損失が小さいので磁気ヘッド走行方向の記録密度が
高い。磁性層の厚さは、0.01〜0.15μmが好まし
く、0.01〜0.12μmがより好ましく、0.01〜0.1
0μmがさらに好ましく、0.01〜0.07μmがいっそ
う好ましい。この範囲が好ましいのは、0.01μm未満
では均一な磁性層が得にくく、0.15μmを越えると厚
さ損失により、再生出力が小さくなるためである。
【0012】磁性層中の、表面にカーボンブラック粒子
が付着した非磁性粒子(研磨剤粒子)は、モース硬度5
以上が好ましく、モース硬度7以上がより好ましく、モ
ース硬度8以上がさらに好ましい。モース硬度5以上の
非磁性粒子(研磨剤粒子)が好ましいのは、モース硬度
5未満では研磨効果が小さく、磁気ヘッドが白濁した
り、磁気ヘッドの茶渋(磁気ヘッドに付着物がつきヘッ
ドが茶色になるもので、スペーシング損失の原因にな
る)発生の原因になる。
【0013】非磁性粒子(研磨剤粒子)の粒径は、0.1
5μm以下が好ましく、0.01〜0.15μmがより好ま
しく、0.01〜0.10μmがさらに好ましく、0.01〜
0.07μmがいっそう好ましい。この範囲が好ましいの
は、0.15μmを越えると、磁気ヘッドの摩耗が大きく
なるためである。また、0.01μm未満のものは、0.0
1μm以上のものに比べて研磨効果が小さい。なお、非
磁性粒子(研磨剤粒子)の粒径は、針状粒子では短軸
長、球状粒子、サイコロ状粒子、無定形粒子では最小径
である。
【0014】非磁性粒子(研磨剤粒子)の表面に付着さ
せるカーボンブラック粒子の粒径は、5〜50nmが好
ましく、5〜30nmがより好ましく、10〜30nm
がさらに好ましく、10〜25nmがいっそう好まし
く、10〜20nmが最も好ましい。この範囲が好まし
いのは、5nm未満のカーボンブラックは高価で、50
nmを越えると、多量のカーボンブラックを被着させな
いと、チャージアップ低減効果(静電気が研磨剤粒子か
ら逃がす効果)が不充分になるためである。
【0015】カーボンブラック粒子の付着量は、磁性層
中の非磁性粒子100重量部あたり0.5〜20重量部が
好ましく、0.5〜15重量部がより好ましく、0.5〜1
0重量部がさらに好ましく、0.5〜5重量部がいっそう
好ましい。この範囲が好ましいのは、0.5重量部未満で
は、粒径の大きいカーボンブラックを使用した場合にチ
ャージアップ低減効果が不充分になり易く、20重量部
を越えるとチャージアップ低減効果が飽和するためであ
る。
【0016】カーボンブラック粒子が付着した非磁性粒
子の好ましい形態は、非磁性粒子表面の見かけ被覆率2
0〜100%で一層のカーボンブラック粒子で覆われた
形態である。非磁性粒子表面の見かけ被覆率で30〜1
00%が覆われた形態がより好ましく、40〜90%が
さらに好ましく、50〜80%がいっそう好ましい。こ
の形態が好ましいのは、一層以上のカーボンブラック粒
子が付着したものは、サンドミル工程等の分散工程でカ
ーボンブラック粒子が脱落し易く、20%未満では、チ
ャージアップ低減効果が不充分になる場合があるためで
ある。
【0017】非磁性粒子表面の見かけ被覆率20〜10
0%で一層のカーボンブラック粒子で覆われた形態で
は、カーボンブラック粒子がチャージアップを低減する
と共に、カーボンブラック粒子が付着していない部分に
(非磁性粒子表面の見かけ被覆率100%で一層のカー
ボンブラック粒子で覆われた形態でも、カーボンブラッ
ク粒子は球形または無定形なので結着剤が吸着する表面
は残っている)、結合剤樹脂が吸着し、非磁性粒子の塗
膜からの脱落を防止する。
【0018】カーボンブラックを非磁性粒子(例えば、
アルミナ)の表面に付着させる方法には、非磁性粒子と
カーボンブラックをオルガノシラン化合物やオルガノチ
タン化合物で結合させる方法やメカノケミカル反応を利
用する方法がある。何れの方法を利用してもよいが、オ
ルガノシラン化合物やオルガノチタン化合物を利用する
方法は手軽であり、メカノケミカル反応を利用する方法
のものは、付着強度が高いというメリットがある。
【0019】カーボンブラック粒子で覆われた非磁性粒
子が磁性層表面に出ている部分は、カーボンブラック粒
子で覆われていない形態が好ましい。この形態が好まし
いのは、非磁性粒子が充分な研磨効果を発揮しヘッド汚
れがいっそう減少するためである。このような形態にす
るためには、磁気記録媒体表面をバーニッシング処理す
る方法が使用される。
【0020】カーボンブラック粒子を合わせた非磁性粒
子の見かけ上の粒径は、磁性層厚さの50〜150%が
好ましく、80〜150%がより好ましい。非磁性粒子
がチャージアップしても静電気が直ちに下塗層に逃げる
ためである。
【0021】上記のチャージアップ低減効果の他、本発
明の磁気記録媒体は次の副次的効果を発揮する。 カーボンブラックが非磁性粒子(研磨剤粒子)の表
面に付いていると、カーボンブラックに吸着した潤滑剤
が磁性層表面にでている非磁性粒子(研磨剤粒子)に絶
えず供給されるので、摩擦係数が下がり、ヘッドの過剰
磨耗が減少し、また、摺動ノイズも減少する。 カーボンブラックを過剰に入れる必要がないので、
塗料の分散性が向上して、磁性層の表面性が良くなる。 単独で入れるカーボンブラック量が減らせるので、
磁性層の強度が高くなり、磁性層からの粉落ちがなくな
り、ヘッド汚れがさらに減少する。 非磁性粒子、特にアルミナは表面活性が強く溶媒を
変成させやすいが、カーボンブラックはこの活性表面に
特に付着し易く、溶剤変成の触媒作用をする活性表面が
なくなるので、溶剤の変性物の生成が抑制されて、塗膜
強度が向上し、かつ溶剤変性物によるヘッド汚れが減
る。 カーボンブラック量を減らせるので、塗料粘度が下
がり、ウエット・オン・ウエット塗布適正が向上する。
【0022】磁性層の保磁力は、160〜320kA/
mが好ましく、180〜320kA/mがより好まし
く、200〜320kA/mがいっそう好ましい。この
範囲が好ましいのは、160kA/m未満では記録波長
を短くすると反磁界減磁で出力低下が起こり、320k
A/mを越えると磁気ヘッドによる記録が困難になるた
めである。
【0023】磁性層の残留磁束密度と当該磁性層厚さと
の積は0.0018〜0.045μTmが好ましく、0.00
36〜0.04μTmがより好ましく、0.004〜0.03
5μTmがさらに好ましく、0.004〜0.030μTm
がいっそう好ましい。この範囲が好ましいのは、0.00
18μTm未満では、MRヘッドによる再生出力が小さ
く、0.045μTmを越えるとMRヘッドによる再生出
力が歪みやすいからである。このような磁性層からなる
磁気記録媒体は、記録波長を短くでき、しかも、MRヘ
ッドで再生した時の再生出力を大きくでき、さらには再
生出力の歪を低減して出力対ノイズ比を大きくできるの
で好ましい。
【0024】下塗層の厚さは、0.3〜3.0μmが好まし
く、0.5〜2.5μmがより好ましく、0.5〜2.0μmが
さらに好ましく、0.5〜1.5μmがいっそう好ましい。
この範囲が好ましいのは、0.3μm未満では磁気記録媒
体の耐久性が悪くなる場合があり、3.0μmを越えると
磁気記録媒体の耐久性向上効果が飽和するばかりでな
く、磁気テープの場合は全厚が厚くなって、1巻当りの
テープ長さが短くなり、記憶容量が小さくなるためであ
る。
【0025】磁気テープの場合には、通常バックコート
層を形成するが、バックコート層の厚さは、0.2〜0.8
μmが好ましい。この範囲が好ましいのは、0.2μm未
満では磁気記録媒体の走行性が悪くなり、0.8μmを越
えると磁気記録媒体の全厚が厚くなって、1巻当りのテ
ープ長さが短くなり、記憶容量が小さくなるためであ
る。
【0026】以下に、各構成要素毎の好ましい形態を述
べる。ここでは、磁気テープを主体に示すが、使用形態
が異なる磁気ディスクについては、好ましい範囲の説明
を含めて相違点のみを述べる。 <非磁性支持体>磁気テープの場合、非磁性支持体の厚
さは、用途によって異なるが、通常、2〜6.5μmのも
のが使用される。より好ましくは2.5〜6.0μmであ
る。この範囲の厚さの非磁性支持体が使用されるのは、
2μm未満では製膜が難しく、またテープ強度が小さく
なり、6.5μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、テー
プ1巻当りの記憶容量が小さくなるためである。磁気デ
ィスクの場合、非磁性支持体の厚さは通常30〜100
μmのものが使用される。30μm未満では磁気ディス
クの強度が弱く、100μmを越えるとコストアップに
なるばかりでなく、磁気ディスクの剛性が高くなりす
ぎ、ヘッドタッチを良くするためにヘッドを押さえつけ
るスプリングを強くした場合に磁気ディスクの磁性面が
傷つきやすくなるためである。
【0027】4.5〜6.5μmの非磁性支持体を使用する
磁気テープの場合、通常、長手方向のヤング率が5.07
〜10.13GPa(500〜1000kg/mm2 )の非磁
性支持体が使用される。このような非磁性支持体には、
ポリエチレンテレフタレートフィルム、芳香族ポリアミ
ドフィルム、芳香族ポリイミドフィルム等がある。2.0
〜4.5μmの薄手非磁性支持体を使用する磁気テープの
場合、非磁性支持体の長手方向のヤング率が10.13G
Pa(1000kg/mm2 )以上が好ましく、11.14G
Pa(1100kg/mm2 )以上がより好ましい。薄手非
磁性支持体の長手方向のヤング率10.13GPa(10
00kg/mm2 )以上がよいのは、長手方向のヤング率1
0.13GPa(1000kg/mm2 )未満では、テープ走
行が不安定になるためである。また、ヘリキャルスキャ
ンタイプでは、長手方向のヤング率/幅方向のヤング率
は、0.60〜0.80の特異的範囲が好ましい。長手方向
のヤング率/幅方向のヤング率が、0.65〜0.75の範
囲がより好ましい。長手方向のヤング率/幅方向のヤン
グ率が、0.60〜0.80の特異的範囲がよいのは、0.6
0未満または0.80を越えると、メカニズムは現在のと
ころ不明であるが、磁気ヘッドのトラックの入り側から
出側間の出力のばらつき(フラットネス)が大きくなる
ためである。このばらつきは長手方向のヤング率/幅方
向のヤング率が0.70付近で最小になる。さらに、リニ
アレコーディングタイプでは、長手方向のヤング率/幅
方向のヤング率は、理由は明らかではないが、0.70〜
1.50が好ましい。このような特性を満足する非磁性支
持体には二軸延伸の芳香族ポリアミドベースフィルム、
芳香族ポリイミドフィルム等がある。磁気ディスクの場
合、非磁性基体には通常ヤング率が2.03〜15.20G
Pa(200〜1500kg/mm2 )、厚さが30μm〜
100μmのものが使用できるが、磁気ディスク用の非
磁性支持体としては、専ら安価なポリエチレンテレフタ
レートフィルムが使用される。磁気ディスク用の非磁性
支持体としては、ヤング率が何れの方向でも等しい等方
支持体が使用される。
【0028】<下塗層>上述のように、下塗層の厚さ
は、0.3〜3.0μmが好ましく、0.5〜2.5μmがより
好ましく、0.5〜2.0μmがさらに好ましく、0.5〜1.
5μmがいっそう好ましい。この範囲が好ましいのは、
0.3μm未満では磁気記録媒体の耐久性が悪くなる場合
があり、3.0μmを越えると磁気記録媒体の耐久性向上
効果が飽和するばかりでなく、磁気テープの場合は全厚
が厚くなって、1巻当りのテープ長さが短くなり、記憶
容量が小さくなるためである。
【0029】下塗層には、導電性改良の目的でカーボン
ブラック、塗料粘度やテープ剛性の制御を目的に非磁性
粒子を添加する。下塗層は、磁性層のように直接MRヘ
ッドと摺接しないので、チャージアップ低減による再生
C/Nの向上効果はないが、下塗層にカーボンブラック
付着非磁性粒子を使用した場合にも、下記の効果はあ
る。 (a) カーボンブラックの量を減らせるので、分散性
が向上して、下塗層の表面性が良くなり、結果的に磁性
層の表面性向上に寄与する。 (b) カーボンブラック量が減らせるので、下塗層の
強度が高くなる。 (c) 非磁性粒子、特にアルミナは表面活性が強く溶
媒を変成させやすいが、カーボンブラックはこの活性表
面に特に付着し易く、その結果として溶剤変成の触媒作
用をする活性表面がなくなるので、溶剤の変性物の生成
が抑制される。
【0030】下塗層に使用する非磁性粒子としては、酸
化チタン、酸化鉄、アルミナ等があるが、酸化鉄単独ま
たは酸化鉄とアルミナの混合系が使用される。
【0031】磁気テープの下塗層には、導電性改良の目
的でカーボンブラック、テープ剛性の制御を目的に非磁
性粉末を添加する。下塗層に、下塗層中の全無機粉体の
重量を基準にして、粒径10〜100nmのカーボンブ
ラックを15〜35重量%、長軸長0.05〜0.20μ
m、短軸長5〜200nmの非磁性の酸化鉄を35〜8
3重量%、必要に応じて粒径10〜100nmのアルミ
ナを0〜20重量%含有させると、ウエット・オン・ウ
エットで、その上に形成した磁性層の表面粗さが小さく
なるので好ましい。なお、非磁性酸化鉄は通常針状であ
るが、粒状または無定形の非磁性酸化鉄を使用する場合
には粒径5〜200nmの酸化鉄が好ましい。磁気ディ
スクの下塗層には、粒径が10〜100nmのカーボン
ブラック(以下、CBともいう)を、全無機粉体の重量
を基準にして、15〜40重量%、長軸長0.05〜0.4
0μm、短軸長5〜400nmの非磁性の酸化鉄を35
〜83重量%、必要に応じて粒径10〜100nmのア
ルミナを0〜20重量%含有させると、電気抵抗が低減
され、かつ、磁気ディスクの回転むらが小さくなる。な
お、表面の平滑性を損なわない範囲で100nm以上の
大粒径CBを添加することを排除するものではない。そ
の場合のCB量は、小粒径CBと大粒径CBの和を上記
範囲内にすることが好ましい。
【0032】下塗層に添加するカーボンブラックとして
は、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマ
ルブラック等を使用できる。通常、粒径が5nm〜20
0nmのものが使用されるが、粒径10〜100nmの
ものが好ましい。この範囲が好ましいのは、カーボンブ
ラックがストラクチャーを持っているため、粒径が10
nm以下になるとCBの分散が難しく、100nm以上
では平滑性が悪くなるためである。CB添加量は、CB
の粒子径によって異なるが、15〜35重量%が好まし
い。この範囲が好ましいのは、15重量%未満では導電
性向上効果が乏しく、35重量%を越えると効果が飽和
するためである。粒径15nm〜80nmのCBを15
〜35重量%使用するのがより好ましく、粒径20nm
〜50nmのCBを20〜30重量%用いるのがさらに
好ましい。このような粒径・量のカーボンブラックを添
加することにより電気抵抗が低減され、かつ走行むら、
回転むらが小さくなる。
【0033】磁気テープの下塗層に添加する非磁性の酸
化鉄としては、針状の場合、長軸長0.05〜0.20μ
m、短軸長(粒径)5〜200nmのものが好ましく、
粒状または無定形のものでは、粒径5〜200nmが好
ましい。粒径0.05〜150nmがより好ましく、粒径
0.05〜100nmがさらに好ましい。なお、針状のも
のが磁性層の配向がよくなるのでより好ましい。添加量
は、35〜83重量%が好ましく、40〜80重量%が
より好ましく、50〜75重量%がさらに好ましい。こ
の範囲の粒径(針状の場合は短軸長)が好ましいのは、
粒径5nm未満では均一分散が難しく、200nmを越
えると下塗層と磁性層の界面の凹凸が増加するためであ
る。この範囲の添加量が好ましいのは、35重量%未満
では塗膜強度向上効果が小さく、83重量%を越えると
反って塗膜強度が低下するためである。磁気ディスクの
下塗層の非磁性酸化鉄としては、磁気テープと同様な理
由で、粒径0.05〜0.40μmのものが好ましく、0.0
5〜0.35μmがより好ましく、0.1〜0.3μmがさら
に好ましい。また、磁気テープと同様な理由で、添加量
は、全無機粉体の重量を基準にして30〜83重量%が
好ましく、40〜80重量%がより好ましく、50〜7
5重量%がさらに好ましい。
【0034】下塗層には酸化鉄に加えてアルミナを添加
してもよい。アルミナの粒径は、10〜100nmが好
ましく、20〜100nmがより好ましく、30〜10
0nmがさらに好ましい。この範囲の粒径が好ましいの
は、粒径10nm未満では均一分散が難しく、100n
mを越えると下塗層と磁性層の界面の凹凸が増加するた
めである。アルミナの添加量は、通常0〜20重量%で
あるが、2〜10重量%がより好ましく、4〜8重量%
がさらに好ましい。
【0035】<潤滑剤>下塗層と磁性層からなる塗布層
に、役割の異なる潤滑剤を使用する。磁気テープでは、
下塗層には全粉体に対して0.5〜4.0重量%の高級脂肪
酸を含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステ
ルを含有させると、磁気テープと走行系のキャプスタン
等との摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の
高級脂肪酸添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、
摩擦係数低減効果が小さく、4.0重量%を越えると下塗
層が可塑化してしまい強靭性が失われるからである。ま
た、この範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいの
は、0.5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、
3.0重量%を越えると磁性層への移入量が多すぎるた
め、磁気テープと走行系のキャプスタン等が貼り付く等
の副作用があるためである。
【0036】磁気テープでは、磁性層には強磁性粉末に
対して0.5〜3.0重量%の脂肪酸アミドを含有させ、0.
2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させる
と、磁気テープと走行系のキャプスタン等との摩擦係数
が小さくなるので好ましい。この範囲の脂肪酸アミドが
好ましいのは、0.2重量%未満ではヘッド/磁性層界面
での直接接触が起りやすく焼付き防止効果が小さく、3.
0重量%を越えるとブリードアウトしてしまいドロップ
アウトなどの欠陥が発生する。脂肪酸アミドとしてはパ
ルミチン酸、ステアリン酸等のアミドが使用可能であ
る。また、上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ま
しいのは、0.2重量%未満では摩擦係数低減効果が小さ
く、3.0重量%を越えると磁気テープが走行系の摺動部
等に貼り付く等の副作用があるためである。なお、磁性
層の潤滑剤と下塗層の潤滑剤の相互移動を排除するもの
ではない。
【0037】磁気ディスクでも、下塗層と磁性層からな
る塗布層に、役割の異なる潤滑剤を使用する。下塗層に
は全粉体に対して0.5〜4.0重量%の高級脂肪酸を含有
させ、2〜14重量%の高級脂肪酸のエステルを含有さ
せると、磁気ディスクと磁気ヘッドとの摩擦係数が小さ
くなるので好ましい。この範囲の高級脂肪酸添加が好ま
しいのは、0.5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小
さく、4.0重量%を越えると下塗層が可塑化してしまい
強靭性が失われる。また、この範囲の高級脂肪酸のエス
テル添加が好ましいのは、2重量%未満では、摩擦係数
低減効果が小さく、14重量%を越えると磁性層への移
入量が多すぎるため、磁気ディスクと磁気ヘッドが貼り
付く等の副作用があるためである。なお、下塗層と磁性
層間の潤滑剤の移行を制限するものではない。
【0038】磁気ディスクの下塗層に使用する潤滑剤
は、磁性層にも使用できるが、脂肪酸は脂肪酸エステル
よりも磁性層への浸出性に劣るため、通常、下塗層には
脂肪酸エステルの添加比率を高くする。下塗層・磁性層
用に使用する潤滑剤は、従来公知の脂肪酸、脂肪酸エス
テル等の何れでもよいが、中でも、炭素数10以上、好
ましくは12〜30の脂肪酸と、融点35℃以下、好ま
しくは10℃以下の脂肪酸エステルとを併用するのが好
ましい。
【0039】磁気ディスクに使用する炭素数10以上の
脂肪酸としては、直鎖、分岐、シス・トランスなどの異
性体のいずれでもよいが、潤滑性能にすぐれる直鎖型が
好ましい。このような脂肪酸としては、たとえば、ラウ
リン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、
ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸などが挙げられる。
これらの中でも、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミ
チン酸などが好ましい。
【0040】磁気ディスクに使用する融点35℃以下の
脂肪酸エステルには、オレイン酸n−ブチル、オレイン
酸ヘキシル、オレイン酸n−オクチル、オレイン酸2−
エチルヘキシル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸n−
ブチル、ラウリン酸ヘプチル、ミリスチン酸n−ブチ
ル、オレイン酸n−ブトキシエチル、トリメチロールプ
ロパントリオレート、ステアリン酸n−ブチル、ステア
リン酸s−ブチル、ステアリン酸イソアミル、ステアリ
ン酸ブチルセロソルブなどがある。これら脂肪酸エステ
ルは、分子量や構造の違い、融点の違いにより、油膜強
度や油出量を制御できるので、組み合わせによる最適化
を行つてもよい。上記融点を有することにより、低温低
湿下にさらされても、磁性層と磁気ヘツドとの高速摺接
時に磁性層表面に容易に滲出移行し、そのすぐれた潤滑
作用を効果的に発揮させることができる。
【0041】<磁性層>磁性層の厚さは上述のように、
0.01〜0.15μmが好ましく、0.02〜0.12μm以
下がより好ましく、0.01〜0.10μmがさらに好まし
く、0.01〜0.07μmがいっそう好ましい。また、上
述のように、磁性層の保磁力は、160〜320kA/
mが好ましく、180〜320kA/mがより好まし
く、200〜320kA/mがいっそう好ましい。残留
磁束密度と磁性層厚さとの積は0.0018〜0.045μ
Tmが好ましく、0.0036〜0.04μTmがより好ま
しく、0.004〜0.035μTmがさらに好ましく、0.
004〜0.030μTmがいっそう好ましい。
【0042】磁性層に添加する磁性粉には、強磁性鉄系
金属粉末、六方晶バリウムフェライト粉末が使用され
る。強磁性鉄系金属粉末、六方晶バリウムフェライト粉
末の保磁力は、160〜320kA/mが好ましく、飽
和磁化量は、強磁性鉄系金属粉末では、120〜200
A・m2 /kg(120〜200emu/g)が好まし
く、130〜180A・m2 /kg(130〜180em
u/g)がより好ましい。六方晶バリウムフェライト粉
末では、50〜70A・m2 /kg(50〜70emu/
g)が好ましい。なお、この磁性層の磁気特性と、強磁
性粉末の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部
磁場1.28MA/m(16kOe)での測定値をいうも
のである。
【0043】また、本発明の強磁性鉄系金属粉末の平均
長軸長としては、0.03〜0.2μmが好ましく、0.03
〜0.18μmがより好ましく、0.04〜0.15μmがさ
らに好ましい。この範囲が好ましいのは、平均長軸長が
0.03μm未満となると、磁性粉の凝集力が増大するた
め塗料中への分散が困難になり、0.2μmより大きい
と、保磁力が低下し、また粒子の大きさに基づく粒子ノ
イズが大きくなるからである。また、六方晶バリウムフ
ェライト粉末では、同様な理由により、板径5〜200
nmが好ましい。なお、上記の平均長軸長、粒径は、走
査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した写真の粒子サイ
ズを実測し、100個の平均値により求めたものであ
る。また、この強磁性鉄系金属粉末のBET比表面積
は、35m2 /g以上が好ましく、40m2 /g以上が
より好ましく、50m2 /g以上が最も好ましい。六方
晶バリウムフェライト粉末のBET比表面積は、1〜1
00m2/g以上が好ましく用いられる。
【0044】下塗層、磁性層には、塩化ビニル樹脂、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−ビニル
アルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニ
ルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無
水マレイン酸共重合樹脂、塩化ビニル−水酸基含有アル
キルアクリレート共重合樹脂、ニトロセルロースなどの
中から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂との
組み合わせがある。中でも、塩化ビニル−水酸基含有ア
ルキルアクリレート共重合樹脂とポリウレタン樹脂を併
用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエス
テルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエ
ーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポ
リウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタ
ンなどがある。
【0045】官能基としてCOOH、SO3 M、OSO
2 M、P=O(OM)3 、O−P=O(OM)2 [Mは
水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩]、OH、N
R'R''、N+ R''' R''''R''''' [R' 、R''、
R''' 、R''''、R''''' は水素または炭化水素基]、
エポキシ基を有する高分子からなるウレタン樹脂等の結
合剤が使用される。このような結合剤を使用するのは、
上述のように磁性粉等の分散性が向上するためである。
2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一
致させるのが好ましく、中でも−SO3 M基どうしの組
み合わせが好ましい。
【0046】これらの結合剤は、強磁性粉末100重量
部に対して、7〜50重量部、好ましくは10〜35重
量部の範囲で用いられる。特に、結合剤として、塩化ビ
ニル系樹脂5〜30重量部と、ポリウレタン樹脂2〜2
0重量部とを、複合して用いるのが最も好ましい。
【0047】これらの結合剤とともに、結合剤中に含ま
れる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤
を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソ
シアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を
複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート
類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ま
しい。これらの架橋剤は、結合剤100重量部に対し
て、通常3〜50重量部の割合で用いられる。より好ま
しくは3〜20重量部である。
【0048】上述のように、カーボンブラック付着非磁
性粒子(研磨剤粒子)を磁性層に添加すると、研磨剤粒
子に静電気がたまらず(チャージアップしなくなり)、
MRヘッドを使用した場合にも、C/Nが極めて高くな
る。非磁性粒子表面に付着させるカーボンブラック粒子
の粒径は、5〜50nmが好ましく、5〜30nmがよ
り好ましく、10〜30nmがさらに好ましく、10〜
25nmがいっそう好ましく、10〜20nmが最も好
ましい。
【0049】カーボンブラック粒子の付着量は、上述の
ように、磁性層中の非磁性粒子100重量部あたり0.5
〜20重量部が好ましく、0.5〜15重量部がより好ま
しく、0.5〜10重量部がさらに好ましく、0.5〜5重
量部がいっそう好ましい。
【0050】カーボンブラック粒子を付着させる非磁性
粒子(研磨剤粒子)としては、酸化鉄(モース硬度:5.
5〜6.5)、α−アルミナ(モース硬度:9)、β−ア
ルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、人造
ダイアモンド、窒化珪素(モース硬度:9.5)、炭化珪
素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化
ホウ素、などのモース硬度5以上のものが単独または組
合せで使用されるが、これらの中でもモース硬度が9の
アルミナは高硬度で少量の添加量でヘッドクリーニング
効果に優れるため特に好ましい。研磨材の粒径として
は、0.01〜0.15μmと薄い磁性層では、通常粒径で
0.15μm以下が好ましく、0.005〜0.15μmがよ
り好ましく、粒径0.005〜0.10μmがより好まし
い。
【0051】カーボンブラック粒子を付着させた非磁性
粒子(研磨剤粒子)の磁性層への添加量は強磁性粉末に
対して5〜20重量%が好ましく、8〜18重量%がよ
り好ましく、8〜18重量%がさらに好ましく、8〜1
8重量%がいっそう好ましい。この範囲が好ましいの
は、5重量%未満では、研磨効果や耐久性が不充分にな
りやすく、20重量%を越えると、磁気ヘッドを傷つけ
やすくなるためである。
【0052】カーボンブラック付着非磁性粒子を磁性層
に添加すれば、必ずしもカーボンブラック(CB)を添
加しなくてもよいが、さらに、一層の導電性向上と表面
潤滑性向上を目的に従来公知のCBを添加してもよい。
これらのCBとしては、アセチレンブラック、ファーネ
スブラック、サーマルブラック、等を使用できる。粒子
径が5nm〜200nmのものが使用されるが、粒径1
0nm〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ま
しいのは、粒径が5nm以下になるとCBの分散が難し
く、200nm以上では多量のCBを添加することが必
要になり、何れの場合も表面が粗くなり、出力低下の原
因になるためである。添加量は強磁性粉末に対して3重
量%以下が好ましく、0.02〜2.5重量%がより好まし
く、0.03〜2.0重量%がさらに好ましく、0.05〜1.
5重量%がいっそう好ましい。この範囲が好ましいの
は、3重量%を越えるCBを添加すると、磁性層表面が
粗くなりやすいからである。
【0053】<バックコート層>磁気テープでは走行性
向上を目的に、厚さ0.2〜0.8μmの従来公知のバック
コートを使用できる。この範囲が良いのは、0.2μm未
満では、走行性向上効果が不充分で、0.8μmを越える
とテープ全厚が厚くなり、1巻当たりの記憶容量が小さ
くなるためである。カーボンブラック(CB)として
は、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマ
ルブラック、等を使用できる。通常、小粒径カーボンと
大粒径カーボンを使用する。小粒径カーボンには、粒子
径が5nm〜200nmのものが使用されるが、粒径1
0nm〜100nmのものがより好ましい。この範囲が
より好ましいのは、粒径が10nm以下になるとCBの
分散が難しく、粒径が100nm以上では多量のCBを
添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くな
り、磁性層への裏移り(エンボス)原因になるためであ
る。大粒径カーボンとして、小粒径カーボンの5〜15
重量%、粒径300〜400nmの大粒径カーボンを使
用すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きく
なる。小粒径カーボンと大粒径カーボン合計の添加量は
無機粉体重量を基準にして60〜98重量%が好まし
く、70〜95重量%がより好ましい。表面粗さRaは
3〜8nmが好ましく、4〜7nmがより好ましい。
【0054】また、バックコート層には、強度向上を目
的に、粒子径が0.1μm〜0.6μmの酸化鉄を添加する
のが好ましく、0.2μm〜0.5μmがより好ましい。添
加量は無機粉体重量を基準にして2〜40重量%が好ま
しく、5〜30重量%がより好ましい。
【0055】本発明のテープを組み込んだカセットテー
プは、1巻当たりの容量が大きく、MR再生ヘッドを使
用した場合の出力対ノイズ比(C/N比)が高く、ハー
ドディスクドライブのバックアップ用テープとして、信
頼性も高く、特に優れている。また、本発明の磁気ディ
スクは、容量が大きく、MR再生ヘッドを使用した場合
の出力対ノイズ比(C/N比)が高い。
【0056】
【実施例】以下に実施例によって本発明を詳しく説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、実施例、比較例の部は重量部を示す。
【0057】 実施例1 《下塗層用塗料成分》 (1) 酸化鉄粉末(粒径:0.11×0.02μm) 68部 α−アルミナ(粒径:0.07μm) 8部 カーボンブラック(粒径:25nm) 24部 ステアリン酸 2.0部 塩化ビニル共重合体 8.8部 (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g) ポリエステルポリウレタン樹脂 4.4部 (Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10-4当量/g) シクロヘキサノン 25部 メチルエチルケトン 40部 トルエン 10部 (2) ステアリン酸ブチル 1部 シクロヘキサノン 70部 メチルエチルケトン 50部 トルエン 20部 (3) ポリイソシアネート 1.4部 シクロヘキサノン 10部 メチルエチルケトン 15部 トルエン 10部
【0058】 《磁性層用塗料成分》 (1) 強磁性鉄系金属粉(Co/Fe:30at%、Y/(Fe+Co):3at% 、Al/(Fe+Co):5wt%、Ca/Fe:0、σs:155A・m2 / kg、Hc:188.2kA/m、pH:9.4、長軸長:0.10μm) 100部 塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 12.3部 (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g) ポリエステルポリウレタン樹脂 5.5部 (含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g) α−アルミナ(平均粒径:0.12μm) 8部 (10nmのカーボンブラックを2重量%被着) α−アルミナ(平均粒径:0.07μm) 2部 (8nmのカーボンブラックを2重量%被着) カーボンブラック 1.0部 (平均粒径:75nm、DBP吸油量:72cc/100g) メチルアシッドホスフェート 2部 パルミチン酸アミド 1.5部 ステアリン酸n−ブチル 1.0部 テトラヒドロフラン 65部 メチルエチルケトン 245部 トルエン 85部 (2) ポリイソシアネート 2.0部 シクロヘキサノン 167部
【0059】上記の下塗層用塗料成分において(1)を
ニ―ダで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンド
ミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに
(3)を加え攪拌・濾過した後、下塗層用塗料とした。
これとは別に、上記の磁性層用塗料成分(1)をニ―ダ
で混練したのち、サンドミルで滞留時間を45分として
分散し、これに磁性層用塗料成分(2)を加え攪拌・濾
過後、磁性塗料とした。上記の下塗層用塗料を、芳香族
ポリアミドフイルム(厚さ3.9μm、MD(長手方向の
ヤング率)=11GPa、MD/TD(長手方向のヤン
グ率/幅方向のヤング率)=1.3、試作品:ミクトロ
ン、東レ社製)からなる支持体上に、乾燥、カレンダ後
の厚さが1.5μmとなるように塗布し、この下塗層上
に、さらに上記の磁性塗料を磁場配向処理、乾燥、カレ
ンダー処理後の磁性層の厚さが0.15μmとなるように
ウエット・オン・ウエットで塗布し、磁場配向処理後、
ドライヤを用いて乾燥し、磁気シートを得た。なお、磁
場配向処理は、ドライヤ前にN−N対抗磁石(5kG)
を設置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側7
5cmからN−N対抗磁石(5kG)を2基50cm間隔で
設置して行った。塗布速度は100m/分とした。
【0060】 《バックコート層用塗料成分》 カーボンブラック(粒径:25nm) 80部 カーボンブラック(粒径:370nm) 10部 酸化鉄(粒径:0.4μm) 10部 ニトロセルロース 45部 ポリウレタン樹脂(SO3 Na基含有) 30部 シクロヘキサノン 260部 トルエン 260部 メチルエチルケトン 525部
【0061】上記バックコート層用塗料成分をサンドミ
ルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネ
ート15部を加えてバックコート層用塗料を調整し濾過
後、上記で作製した磁気シ−トの磁性層の反対面に、乾
燥、カレンダ後の厚みが0.5μmとなるように塗布し、
乾燥した。このようにして得られた磁気シートを金属ロ
ールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧15
0kg/cmの条件で鏡面化処理し、磁気シートをコアに巻
いた状態で70℃で72時間エージングしたのち、1/
2幅に裁断し、これを200m/分で走行させながら磁
性層表面をラッピングテープ研磨、ブレード研磨そして
表面拭き取りの後処理を行い、磁気テープを作製した。
この時、ラッピングテープにはK10000、ブレード
には超硬刃、表面拭き取りにはトレシーを用い、走行テ
ンション30gで処理を行った。上記のようにして得ら
れた磁気テープを、カートリッジに組み込み、コンピュ
ータ用テープを作製した。
【0062】実施例2〜6 一部条件を表1の条件に変更したことを除き、実施例1
と同様にして実施例2〜8のコンピュータ用磁気テープ
を作製した。
【0063】比較例1、2 一部条件を表1の条件に変更したことを除き、実施例1
と同様にして比較例1〜4のコンピュータ用磁気テープ
を作製した。
【0064】評価の方法は、以下のように行った。 <磁性層中の非磁性粉末のチャージアップの有無>倍率
10,000倍SEM観察を行い、非磁性粒子が白く光
っているかどうかで、磁性層中の非磁性粉末のチャージ
アップの有無を調べた。 <磁性面の表面粗さ>磁性面の表面粗さは、光干渉三次
元表面粗さ計を用いて測定した。 <再生出力と出力対ノイズ>再生出力と出力対ノイズ
は、薄手テープ用に改造したLTOドライブを用いて記
録(記録波長0.55μm,記録トラック幅27.5μm)
・再生(再生トラック幅15μm)することによって求
めた。再生出力と出力対ノイズは、比較例1テープを0
dBとした時の値である。
【0065】評価結果を表1、表2および表3に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【発明の効果】表1ないし表3の実施例1〜6および比
較例1〜4から明らかなように、非磁性支持体上と、下
塗層と、磁性層とからなる磁気記録媒体において、磁性
層の厚さが0.01〜0.15μmであり、磁性層中にカー
ボンブラック粒子を付着させた非磁性粒子を添加するこ
とにより、磁性層中の非磁性粒子が静電気でチャージア
ップしなくなり、MRヘッドを使用した場合出力対ノイ
ズ比(C/N比)が高い磁気記録媒体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G076 AA02 AB02 BC08 BF04 CA02 CA26 DA07 5D006 BA02 BA07 BA10 5D091 AA01 DD03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上の少なくとも一面に、少
    なくとも一層の下塗層と、磁性粉および非磁性粒子を結
    合剤中に分散させてなる磁性層とがこの順に形成された
    磁気記録媒体において、前記磁性層の厚さが0.01〜0.
    15μmであり、前記磁性層中の非磁性粒子の表面に、
    カーボンブラック粒子が付着していることを特徴とする
    磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記磁性層中の非磁性粒子の粒径が0.1
    5μm以下、モース硬度が5以上であり、前記カーボン
    ブラック粒子の粒径が5〜50nmである、請求項1記
    載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記磁性層中の非磁性粒子の表面には、
    当該非磁性粒子100重量部あたり0.5〜20重量部の
    カーボンブラック粒子が付着している請求項1または2
    記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記磁性層は、その保磁力が160〜3
    20kA/m、残留磁束密度と厚さとの積が0.0018
    μTm〜0.045μTmである、請求項1ないし3のい
    ずれかに記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 磁気抵抗効果型素子を利用した再生ヘッ
    ドによって磁気記録信号が再生される請求項1ないし4
    のいずれかに記載の磁気記録媒体。
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JP2010513209A (ja) * 2006-12-20 2010-04-30 チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド 親水性無機集合体、その製造方法、並びにそれを含む親水性複合材及び燃料電池用バイポーラプレート

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