JP2002130291A - 玉軸受用保持器 - Google Patents

玉軸受用保持器

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JP2002130291A
JP2002130291A JP2000328669A JP2000328669A JP2002130291A JP 2002130291 A JP2002130291 A JP 2002130291A JP 2000328669 A JP2000328669 A JP 2000328669A JP 2000328669 A JP2000328669 A JP 2000328669A JP 2002130291 A JP2002130291 A JP 2002130291A
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clearance
pocket
balls
radial
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JP2000328669A
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Tomoya Sakaguchi
智也 坂口
Yoshinobu Akamatsu
良信 赤松
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NTN Corp
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保持器回転周期の非繰り返し振れ精度の向上
を図ることのできる玉軸受用保持器を提供する。 【解決手段】 この発明は、ポケットすきまを、玉軸受
のラジアル剛性、アキシアル荷重、および玉の直径相互
差により決定される値としたものである。すなわち、ポ
ケットの半径すきまCを、C≦0.25×S/(Far
r )×Rp (m)とする。ここで、Far(N)は玉当
たりのアキシアル荷重によるラジアル方向分力、K
r (N/m)は玉当たりのラジアル方向の剛性、R
p (m)はピッチ円半径、S(m)は玉の直径相互差で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高い回転精度を
必要とする玉軸受の保持器に関する。
【0002】
【従来の技術】玉軸受の回転振れは、様々な回転体にお
ける振動の発生原因であるため、機器の寿命や騒音を悪
化させる。回転振れに対する要求精度が高い軸受の使用
分野には、工作機械の主軸や、ハードディスク等の記憶
装置に用いられるスピンドルモータが挙げられる。これ
らの分野では軸の回転精度が機器の性能に直接に影響す
る。玉の角位置は等配が理想であるが、保持器のポケッ
トすきまの大きさと玉軸受の回転精度に関する理論的な
知見は無く、ポケットすきまの大きさは保持器の加工精
度も考慮して、玉径に対して経験的に決定されている。
例えば、従来の冠形樹脂保持器では、玉の直径が2mm
の場合、ポケット内面の球面部の直径が玉直径より80
μm程度大きくされている。そのため、保持器のポケッ
ト位置が完全に等配と仮定すると、ポケットすきまの半
分、すなわち半径すきま分のピッチ円上でのずれが玉に
生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような玉軸受で
は、回転振れの中でも回転に同期しない非繰返し振れが
問題となる。非繰返し振れは、内輪成分、外輪成分、玉
成分、および保持器成分からなる。内輪、外輪、および
玉成分の発生原因は、傷およびうねりである。一般に保
持器成分は、保持器回転周期の1次からn次(たとえば
n=7)の振幅の和としているが、1次の振れの発生原
因は、玉の直径相互差と玉の等配角位置からのずれであ
る。非繰返し振れの中でも保持器成分の振れは大きく、
全体の約50%を占める。また、保持器成分の中でも、
保持器回転周期の1次の振幅が最も大きい。したがっ
て、保持器回転周期の振れを改善することが、玉軸受の
回転精度の向上における大きな課題である。
【0004】この発明の目的は、保持器回転周期の非繰
り返し振れ精度の向上を図ることのできる玉軸受用保持
器を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明における第1の
発明の玉軸受用保持器は、玉軸受において、Far(N)
を玉当たりのアキシアル荷重によるラジアル方向分力、
r (N/m)を玉当たりのラジアル方向の剛性、Rp
(m)をピッチ円半径、S(m)を玉の直径相互差とし
た場合に、ポケットの半径すきまCを、 C≦0.25×S/(Far/Kr )×Rp (m) としたものである。保持器回転周期の振れ発生原因は、
玉の直径相互差、ならびにピッチ円上における玉の角位
置が等配から崩れることである。玉の等配位置からのず
れ量は、保持器のポケットすきまにより決定される。そ
こで、ポケットすきまを、上記の式で示されるように、
玉軸受のラジアル剛性、アキシアル荷重、および玉の直
径相互差により決定される値とした。これにより、玉軸
受の回転精度を向上させることができる。上記の式で定
められる範囲が保持器回転周期の非繰り返し振れ精度の
面で好ましいことは、シミュレーションの結果から得ら
れた。
【0006】この発明における第2の発明の玉軸受用保
持器は、玉軸受においてZを玉数、Rp (m)をピッチ
円半径とした場合に、ポケットの半径すきまCを、 C>(0.00133 ×Ln(Z)−0.00033)×Rp C<(0.00261 ×Ln(Z)−0.00084)×Rp としたものである。なお、Lnは自然対数である。この
半径すきまCの範囲が保持器回転周期の非繰り返し振れ
精度の面で好ましいことも、シミュレーションの結果か
ら得られた。なお、この半径すきまCの範囲は、 C≦0.25×S/(Far/Kr )×Rp (m) で規定される範囲内で定めることが望ましい。
【0007】この発明における第3の発明の玉軸受用保
持器は、セラミック製の玉を用いた玉軸受において、Z
を玉数、Rp (m)をピッチ円半径とした場合に、ポケ
ットの半径すきまCを、 C>(0.00144×Ln(Z)−0.00036)×Rp C<(0.00282×Ln(Z)−0.00091)×Rp としたものである。セラミック製の玉を用いた場合、所
定の計算範囲において、軸受鋼の鋼球に対して弾性変形
量が7.5 %程度減少する。よって、ポケットすきまの最
適値は8.1%増加する。なお、この半径すきまCの範
囲も、 C≦0.25×S/(Far/Kr )×Rp (m) で規定される範囲内で定めることが望ましい。
【0008】これら第1ないし第3の発明において、保
持器を樹脂製としても良い。
【0009】
【発明の実施の形態】この発明の実施形態を図面と共に
説明する。図1は、冠形樹脂保持器に適用した例であ
り、保持器の玉ピッチ円断面の一部を示す。保持器11
は、リング部11aの片側の幅面の周方向複数箇所にポ
ケット12が等配して設けられ、各ポケット12の一部
を形成する爪状の突部11bが、リング部11aの幅面
に突出している。ポケット12は、突部11bからリン
グ部11aに渡って設けられている。ポケット12の内
面は、転動体である玉13の外径よりも若干大きい内径
の球面に形成され、ポケット内面と玉13の球形外面と
の間に、半径隙間Cが生じている。半径隙間Cは、ポケ
ット12の内面の球面部の直径D1と、玉13の直径D
2との差D1−D2の1/2である。玉13は、鋼球か
らなるが、セラミックス製のものであっても良い。
【0010】半径すきまCは、次式に示す範囲に定めら
れている。すなわち、Far(N)を玉当たりのアキシア
ル荷重によるラジアル方向分力、Kr (N/m)を玉当
たりのラジアル方向の剛性、Rp (m)をピッチ円半
径、S(m)を玉の直径相互差とした場合に、ポケット
12の半径すきまCを、 C≦0.25×S/(Far/Kr )×Rp (m) とする。
【0011】半径すきまCは、次の範囲としても良い。
Zを玉数、Rp (m)をピッチ円半径とした場合に、 C>(0.00133 ×Ln(Z)−0.00033)×Rp C<(0.00261 ×Ln(Z)−0.00084)×Rp とする。上記の半径すきまCは、玉13が鋼球の場合で
あるが、玉13がセラミックス製の場合は、 C>(0.00144×Ln(Z)−0.00036)×Rp C<(0.00282×Ln(Z)−0.00091)×Rp とする。
【0012】この構成によると、ポケットすきまCを、
上記の式で示されるように、玉軸受のラジアル剛性、ア
キシアル荷重、および玉の直径相互差により決定される
値としたため、後述のように、玉軸受の回転精度、つま
り保持器回転周期の非繰り返し振れ精度を向上させるこ
とができる。以下に、上記のように規定された半径すき
まCが、玉軸受の回転精度の向上の面で好ましい理由を
説明する。
【0013】玉が完全な等配の場合は、玉の直径相互差
によりラジアル振れが生じる。また隣接した玉に同じ直
径相互差がある場合に、直径相互差によるラジアル振れ
は、玉軸受の回転振れを算出する所定のシミュレーショ
ンプログラムを用いて計算すると図2のようなる。計算
対象の玉軸受は695で、玉の直径相互差は1μmとし
た場合である。このプログラムで用いた玉軸受の回転振
れのシミュレーション方法は、後に説明するが、内輪回
転、外輪静止、および純アキシアル荷重下における玉軸
受において、軌道輪および玉が剛体で、それらを互いに
接続させる仮想の線形ばねを仮定した静的なすきまのベ
クトルの釣り合いにより、内輪溝中心の回転振れをシミ
ュレートするものである。
【0014】図2より、直径相互差をSとすると、ラジ
アル振れの最大値は総玉数に因らず1.3Sとなる。一
方、最小のラジアル振れは、直径差を持つ玉の配置によ
り、0となる。よって、ラジアル振れの平均の期待値
を、最大と最小の中央値とするとすると、
【0015】
【数1】
【0016】ところで、図3は、玉数8個の695にお
いて、一つの玉のみを等配位置からずらした場合の玉の
ずれ量とラジアル振れの計算結果であるが、玉の等配崩
れによるラジアル振れの大きさは、玉のずれ量に比例す
る。また、アキシアル荷重の増加とともにラジアル振れ
も増加する。この増加量は、数値計算における、仮想の
線形ばねの弾性変形量δr に比例する。
【0017】玉が等配からずれた場合に、ラジアル振れ
を最大にする配置は、図4に示すような玉のピッチ円周
上におけるずれが生じた場合である。その場合のずれた
玉数とラジアル振れの関係は、シミュレーションによる
と図5のようになる。軸受は695、アキシアル荷重は
7.4N、ならびに玉の等配からのずれ量は30μmと
した場合の計算結果である。玉がずれた場合にラジアル
振れは最大となる。また、ラジアル振れの最大値は総玉
数に依存せず、ほぼ一定となる。図3および図5より、
最大のラジアル振れを引き起こす場合の等配位置からの
ずれ角とラジアル振れWp との関係は式(2)となる。
また、図5より式(2)の係数aは、W p =0.0094μm
、δr =0.55μm、θ=6.67×10-3 radより,a=2.5
6となる。 Wp =a×δr ×θ=a×(Far/Kr )×θ (2) ここで、a:係数,rad -1ar:玉当たりのアキシアル荷重によるラジアル方向分
力, N Kr :玉当たりのラジアル方向の仮想の線形ばねの剛
性, N/m θ:玉の完全等配からのずれ角,rad 玉当たりのラジアル方向の剛性は以下の式である。以下
に線形ばねの剛性の算出方法を示す。
【0018】
【数2】
【0019】D 玉の直径(mm) Ei,e,b 材料の縦弾性係数(N/mm2 ) E′i,e (1−k2 0.5 を母数とする第2種完全
楕円積分 Ki,e (1−k2 0.5 を母数とする第1種完全楕
円積分 ki,e 接触楕円の長軸半径と短軸半径の比 νi,e,b 材料のポアソン比 ri,e 溝曲率半径(mm) α 接触角 δ 玉の内輪および外輪との接触による接触角方
向への弾性変形量(mm)添字 b 玉 e 外輪 i 内輪 算出には弾性変形量と接触角および楕円積分の母数を収
束計算する必要がある。
【0020】ところで図4は玉の直径相互差によるラジ
アル振れを、玉の等配崩れが更に増加させる場合である
が、玉の等配崩れは玉の直径相互差によるラジアル振れ
cを増加させたり減少させたりする効果がある。その
場合の玉の等配位置からのずれ角とラジアル振れWc
の関係は式(3)のようになる。
【0021】
【数3】
【0022】ところで玉の等配からのずれ角θは、θc
=0.25S/Far×Kr を超えると上式の左辺は負になる
が、現実には負にはならず、玉直径相互差を減少させる
ずれ角という考えからより、左辺値は0となる。よっ
て、右辺と左辺の平均値が、
【0023】
【数4】
【0024】式(4)を図6に示す。また図6にはポケ
ットすきまの異なる2つの保持器を用いた,玉軸受のラ
ジアル振れの実測値をあわせて示した。実験値は、内輪
回転、外輪静止、およびアキシアル荷重0.8kgfにおける
玉軸受の回転中の振れを静電容量式変位計にて測定し、
周波数分析(FFT)にて800Hz、1600ライン、1
0回の平均化をした保持器回転周期の振れ振幅である。
対象軸受は695(内径5mm,外径13mm,幅3m
m)で玉数は8個である。また玉の直径相互差は0.0
1μm である。図6の計算値も実験条件に一致するもの
である。実験値の横軸は、保持器ポケットの半径すきま
のピッチ円上での角度を玉のずれ角としている。図6よ
り実験値の値は式(4)にほぼ一致し、式(4)の考え
方が妥当であることがわかる。保持器のポケットすきま
角をθc 以下にしても、
【0025】
【数5】
【0026】よって、ラジアル振れに対するポケットす
きま角の最適値はθc となる。例えば図4の場合、θc
=0.0046rad となり、最適なポケットの半径すきま値は
0.0046×4.5=0.0241mmとなる。
【0027】そこで、この実施形態は、玉の等配崩れに
よる非繰返し精度の平均の期待値が変化しない領域のポ
ケットすきまを持つ保持器とした。すなわちポケットの
半径すきまCを、 C≦0.25×S/(Far/Kr )×Rp (m) とした。なお、上記のポケットすきまCの範囲は、冠形
の樹脂保持器に限らず、玉軸受の保持器一般に適用でき
る。例えば、アンギュラ玉軸受のもみ抜き型樹脂保持器
にも適用できる。
【0028】代表例として非繰り返し精度が重要な小型
モーターに使用される玉軸受のポケットすきまを示す。
なお全ての条件において、玉の直径相互差Sは0.01μm
、ピッチ円半径Rp は4.5mm 、および玉に対する軌道
断面の曲率半径比は内輪が1.06、外輪が1.08とした。 アキシアル荷重 Fa,N 7.3 〜19.6 玉数 Z 8 玉の直径,mm 2 軸受内部すきま,mm 0.013 〜0.020 Fa=7.3 Nの場合、ポケットの半径すきまは、軸受内
部すきまにより、0.020 〜0.022mm となる。Fa=19.6
Nの場合、ポケットの半径すきまは、軸受内部すきまに
より0.010 〜0.011mm となる。
【0029】同様に玉数10個の場合は以下の通りであ
る。 アキシアル荷重 Fa,N 7.3 〜19.6 玉の直径,mm 1.5875 軸受内部すきま,mm 0.013 〜0.020 とすると、Fa=7.3 Nの場合、ポケットの半径すきま
は、軸受内部すきまにより0.022 〜0.024mm となる。F
a=19.6Nの場合、ポケットの半径すきまは、軸受内部
すきまにより0.012 〜0.013mm となる。
【0030】同様に玉数12個の場合は次のようにな
る。 アキシアル荷重 Fa,N 7.3 〜19.6 玉の直径,mm 1.2 軸受内部すきま,mm 0.013 〜0.020 とすると,Fa=7.3N の場合,ポケットの半径すきまは,
軸受内部すきまにより0.024 〜0.026mm となる。Fa=1
9.6 Nの場合、ポケットの半径すきまは、軸受内部すき
まにより0.013 〜0.014mm となる。
【0031】同様に玉数16個の場合は次のようにな
る。 アキシアル荷重 Fa,N 7.3 〜19.6 玉の直径,mm 0.8 軸受内部すきま,mm 0.013 〜0.020 とすると,Fa=7.3N の場合,ポケットの半径すきまは,
軸受内部すきまにより0.029 〜0.031mm となる。Fa=1
9.6 Nの場合、ポケットの半径すきまは、軸受内部すき
まにより0.015 〜0.016mm となる。
【0032】玉数と保持器ポケットの半径すきまCの最
適値の関係は、図7のようになる。Fa=7.4 Nの場
合、ポケットの半径すきまCの最適値は、 C[mm]=0.0118×Ln(Z) - 0.0038 (5) またFa=19.6Nの場合、 C[mm]=0.0060×Ln(Z) - 0.0015 (6) となる。
【0033】図7には、玉数16個で玉の直径を1mm とし
た場合のポケットすきまの最適値を丸のプロットで示し
た。玉径を25%拡大しても、ポケットすきまの最適値は
3%増加したのみであり、玉の直径が及ぼすポケットす
きまの最適値への影響は小さいことがわかる。玉径によ
る軸受内部の接触剛性への影響が小さいためである。図
7の三角のプロットは軸受のピッチ円径を小さくした場
合の計算結果である。図7ではピッチ円径の影響が大き
く現れる。図7の結果を、ポケットの半径すきまの最適
値をピッチ円上の角度に換算して整理すると、図8とな
る。図8より、ピッチ円径を変更しても、ポケットすき
ま角は殆ど変化しないことがわかる。式(5)および式
(6)をピッチ円上の角度θに換算すると、Fa=7.4
N場合、 θ[rad]= 0.00261×Ln(Z) - 0.00084 (7) またFa=19.6Nの場合、 θ[rad]= 0.00133×Ln(Z) - 0.00033 (8) となる。ところで、ポケットすきまを非常に小さくする
ためには保持器の製造誤差の低減が必須となるため、小
さすぎても製作コストが増加する。そこで,本発明では
実用域の荷重に対して、玉の等配崩れが起因する振動に
対するポケットの半径すきまCの最適範囲を以下の式と
定義する。
【0034】
【数6】
【0035】セラミック製の玉を用いた場合、上記の計
算範囲において、軸受鋼の鋼球に対して弾性変形量が7.
5 %程度減少する。よって、ポケットすきまCの最適値
は8.1%増加する(0.25S/Far×Kr =0.25S/δr
り,1/0.925=1.081 )。よって、セラミック製の玉を用
いた場合のポケットの半径すきまC の最適値は次式とな
る。
【0036】
【数7】
【0037】つぎに、上記のシミュレーション方法の具
体例を示す。このシミュレーション方法は、特願平10
−062696に示した方法である。この玉軸受の回転
振れのシミュレーション方法は、内輪回転、外輪静止の
玉軸受における内輪の回転振れを算出する場合の例であ
る。シミュレーション対象となる玉軸受は、軌道輪であ
る内輪1と外輪2の間に、保持器6に保持された転動体
である玉3を介在させたものである。内外輪1,2は、
円弧状断面の軌道面1B,2Bを有している。この軸受
は深溝玉軸受等からなる。
【0038】純アキシアル荷重下における玉3と軌道輪
である内外輪1,2とは、図9のように軸方向へ内輪1
と外輪2が互いにずれた状態で弾性接触する。この状態
における内外輪1,2と玉3は、互いの接触力が釣り合
う位置において、安定し、静止している。このシミュレ
ーション方法では、この状態のラジアル面内の安定位置
を求める場合に、図10に示すような内外輪1,2およ
び玉3のアキシアル方向への移動が無く、軌道面1B,
2Bの溝底と玉中心が同一平面上にある状態におけるモ
デルを考える。このとき、玉3と軌道面1B,2Bの間
にはすきまが存在するが、そのすきまに仮想の線形のば
ね4があり、この仮想ばね4で内外輪1,2と玉3とが
接続されているとする。
【0039】したがって、軸受の内外輪1,2および玉
3がラジアル面内で安定する位置は、これら全ての仮想
ばね4による力が釣り合う状態であるということにな
る。モデル化における仮定条件としては、内外輪1,2
および玉3は剛体であり、かつ質量は無しとする。すな
わち慣性力は無視する。内外輪1,2および玉3の自由
度は、ラジアル平面内の移動と回転のみとする。仮想の
線形ばね4は、図11に示すように接触部品間の中心を
結んだ線上のすきまの部分に存在する。各玉3と軌道面
1B,2Bの接触部における仮想の線形ばね4の硬さ
は、全て等価で理想的な線形ばねとし、仮想ばねによる
力すなわち接触力は、各部品間のすきまのベクトル5に
比例する(すきまが負の場合は負の干渉力が発生す
る)。
【0040】また,アキシアル方向の移動量とラジアル
すきまの関係は、接触角をα、ラジアルすきまをrg、
アキシアル移動量をag/2とすると、 (ag/2)/rg=(cotα)/2…(1) であり、ラジアルすきまとアキシアル移動量は、接触角
の余接に比例する。そこで、この発明では、アキシアル
方向の振れを求めるためにラジアルすきまの大きさに接
触角の余接を掛けた値を用いる。このとき接触角は、予
め平均ラジアルすきまより求めた値を用い、接触角は回
転中において一定としている。
【0041】計算の手順は,図12のフローチャートの
とおりである。初期設定では、玉個数、内外輪1,2の
うねり、玉3のうねり、玉3の直径相互差、玉3の初期
配置公転角、および保持器拘束角の各パラメータを設定
する。図11に示すように、各接触部におけるすきまベ
クトル5を算出し、それらの和を求める(ステップS
1)。すきまベクトルの和が小さければ、軸受の各構成
部品の位置は安定しているとみなすが、大きい場合は、
内輪1の位置を移動させる(S2,S7)。このとき、
玉3の位置が内輪1および外輪2の軌道面1B,2Bの
接触点間の中心に来るように、玉3の軸受中心からの距
離を変更する。ただし、玉3の公転角度位置は不変とす
る。
【0042】安定であると判定された場合は、ラジアル
すきまの計算と記録を行う(S2,S3)。ラジアルす
きまは、すきまベクトルの長さの和より求める。簡略化
のため、転動体数が奇数の場合でも、転動体3の2個分
のすきまベクトルの大きさをラジアルすきまとする。そ
の後、既定量の回転に達したかの確認を行う(S4)。
未完了の場合は、回転輪である内輪1を単位時間当たり
の任意の微少角度だけ回転させる(S5)。また、それ
に応じた量の公転ならびに自転を各玉3に与える(S
6)。このとき、保持器6の拘束を考える場合は、保持
器6による玉3の拘束角度を超えないように、玉3の公
転角量のみを調整する。この保持器6の拘束角度とは、
保持器6のポケット部6aの中心と玉3の中心位置の公
転角度差を示す。また、保持器6の公転速度は、全ての
玉3の平均径と平均ピッチ円径による平均公転速度を用
いる。
【0043】回転量が既定量に達した場合は(S4)、
ラジアル振れの最大値およびアキシアル振れの大きさの
計算(S8)、ならびに内輪1の各位相における回転振
れの幅から非繰り返し振れを算出し終了となる(S
9)。
【0044】
【発明の効果】この発明の玉軸受用保持器は、玉軸受の
保持器のポケットすきまを軸受の内部仕様と荷重条件か
ら規定したため、保持器回転周期の非繰返し精度の向上
が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかる玉軸受用保持器
の玉ピッチ円断面を示す部分断面図である。
【図2】隣接して配置した直径相互差のある玉数とラジ
アル振れの関係を示すグラフである。
【図3】等配角位置からの玉のずれ量とラジアル振れの
大きさの関係を示すグラフである。
【図4】玉のずれと直径相互差が同時に存在する場合の
最大の振れを発生する配置の説明図である。
【図5】振れが最大になる配置にした場合の等配からず
れた玉数とラジアル振れの関係を示すグラフである。
【図6】玉の等配崩れ量とラジアル振れとの関係を示す
グラフである。
【図7】玉数とポケット半径すきまの最適値の関係を示
すグラフである。
【図8】玉数とポケット半径すきま角の最適値の関係を
示すグラフである。
【図9】シミュレーションの想定モデルの断面図であ
る。
【図10】シミュレーションの解析モデルの断面図であ
る。
【図11】シミュレーションの解析モデルにおけるすき
まベクトルを示す図である。
【図12】シミュレーション方法のフローチャートであ
る。
【符号の説明】
11…保持器 12…ポケット 13…玉 C…半径すきま D1…ポケット内面の球面部の直径 D2…玉の直径

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 玉軸受において、Far(N)を玉当たり
    のアキシアル荷重によるラジアル方向分力、Kr (N/
    m)を玉当たりのラジアル方向の剛性、Rp(m)をピ
    ッチ円半径、S(m)を玉の直径相互差とした場合に、
    ポケットの半径すきまCを、 C≦0.25×S/(Far/Kr )×Rp (m) とした玉軸受用保持器。
  2. 【請求項2】 玉軸受において、Zを玉数、Rp (m)
    をピッチ円半径とした場合に、ポケットの半径すきまC
    を、 C>(0.00133 ×Ln(Z)−0.00033)×Rp C<(0.00261 ×Ln(Z)−0.00084)×Rp とした玉軸受用保持器。
  3. 【請求項3】 セラミック製の玉を用いた玉軸受におい
    て、Zを玉数、Rp(m)をピッチ円半径とした場合
    に、ポケットの半径すきまCを、 C>(0.00144×Ln(Z)−0.00036)×Rp C<(0.00282×Ln(Z)−0.00091)×Rp とした玉軸受用保持器。
  4. 【請求項4】 樹脂製とした請求項1ないし請求項3の
    いずれかに記載の玉軸受用保持器。
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