JP2012172812A - 転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】転がり軸受の内部起点型剥離及び表面起点型剥離に起因する転がり疲労寿命の短縮を抑制できる軸受材料を提供し、且つ軸受のトルクと発塵現象を低減できる転がり軸受を提供する。
【解決手段】転がり軸受1は、転動体の転動面から50μmの深さ位置での硬さが、軌道輪の軌道面から50μmの深さ位置での硬さより硬く、その差はビッカース硬さ(HV)で50以上150以下であり、
前記転動体の転動面の圧縮残留応力は、最表面が最大で深さ方向に連続的に減少し、前記圧縮残留応力の最大値が600MPa以上であり、前記内輪及び前記外輪がSUJ2鋼によって形成され、軸受外径をD、軸受内径をd、転動体の玉径をDa、転動体の数をZとし、軸受平均径dmを(D+d)/2、パラメータAをDa・Z/(π・dm)としたとき、パラメータAが52%以上58%以下となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、転がり軸受に関する。
例えば、転がり軸受は、エアコンファン、冷却ファン、換気扇、クリーナー、及び洗濯機等の家電用モータ全般、並びに汎用モータ、工作機械スピンドル、サーボモータ、及びステッピングモータ等の産業用モータ全般において利用できる。
上記用途の転がり軸受には、軸受としての強度および剛性に加え、小型化、高い回転精度、長い音響寿命、低トルク化等の厳しい要求がある。
一方、近年の環境問題に対応して電化製品の省エネルギー化が求められており、そのために電化製品に組み込む軸受に対する低トルク化の要求は特に厳しいものとなっている。
軸受のトルクを低減する方法としては、軸受に作用する荷重、特に予圧を小さくする方法、軸受の内部に封入する潤滑剤(潤滑油またはグリース)の量を少なくする方法、潤滑油の粘度またはグリースの基油の粘度を低くする方法、軟らかいグリースを使用する方法が挙げられる。
そこで、支持剛性および音響寿命を低下させることなく、軸受のトルクを低減する転がり軸受が特許文献1に開示されている。
また、転がり軸受の転動体と軌道輪の表面硬さの関係については、下記の非特許文献1に、玉軸受の場合、転動体である玉の表面硬さが軌道輪の表面硬さよりもロックウエルC硬度(HRC)で1.5〜2.0だけ硬い場合に、最も寿命が長くなると記載されている。そのため、従来は、これに基づいて転動体と軌道輪の表面硬さを決めて転がり軸受を製造している。
また、下記の非特許文献2には、転動体の表面硬さが軌道輪の表面硬さよりもHRCで1〜2だけ高い場合には、軌道輪の軌道面の深さ方向で剪断応力が最大である位置(最大剪断応力位置)に残留圧縮応力が発生して、破損を抑制するという理論が記載されている。また、この理論は実験による証明もなされている。この理論では、軸受が良好な潤滑条件で使用された場合に、最大剪断応力位置の近くに存在する非金属介在物から発生する内部起点型剥離に起因する、転がり疲労寿命を対象としている。
特開2003−74545号公報
特殊鋼倶楽部、「特殊鋼ガイド 第4編 熱処理」、社団法人特殊鋼倶楽部、平成9年7月1日、p.100 E.V.Zaretsky et.al,「Transaction of ASEM,Journal of Lubrication Technology」,January(1967)
しかしながら、特許文献1に開示の転がり軸受においては、支持剛性および音響寿命を低下させることなく、軸受のトルクの低減を実現できたが、本願発明者は、転動体の大きさと個数が、トルクの大きさ及びグリース漏れの可能性に関わることが分かった(後述の図4及び図5参照)。
また、昨今の製鋼技術の進歩により、軸受鋼の清浄度が大幅に改善され、非金属介在物の含有率が激減したため、内部起点型剥離に起因する寿命の問題は減少している。これに代わって、潤滑油中の異物の噛み込みによって生じる圧痕から発生する表面起点型剥離に起因する寿命が問題となっている。
従って、転がり軸受の内部起点型剥離を抑制するとともに表面起点型剥離に起因する転がり疲労寿命の短縮を抑制できる軸受材料の開発、転がり軸受トルクの低減、グリース漏れや蒸発、飛散による発塵現象を低減することには、更に改善の余地がある。
本発明の目的は、転がり軸受の内部起点型剥離及び表面起点型剥離に起因する転がり疲労寿命の短縮を抑制できる軸受材料を提供し、且つ軸受のトルクと発塵現象を低減できる転がり軸受を提供することである。
前記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、互いに対向配置される軌道面を有する内輪及び外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配置され、前記軌道面に対する転動面を有する転動体と、を備え、前記転動体が転動することにより、前記内輪及び前記外輪のうち一方が他方に対して相対移動する転がり軸受において、
転動体の転動面から50μmの深さ位置での硬さが、軌道輪の軌道面から50μmの深さ位置での硬さより硬く、その差はビッカース硬さ(HV)で50以上150以下であり、
前記転動体の転動面の圧縮残留応力は、最表面が最大で深さ方向に連続的に減少し、前記圧縮残留応力の最大値が600MPa以上であり、
前記外輪の軸受外径をDとし、前記内輪の軸受内径をdとし、転動体の玉径をDaとし、転動体の数をZとし、軸受平均径dmを(D+d)/2とし、パラメータAをDa・Z/(π・dm)としたときに、パラメータAが52%以上58%以下となることを特徴とする転がり軸受である。
本発明では、転がり軸受の内部起点型剥離及び表面起点型剥離に起因する転がり疲労寿命の短縮を抑制できる軸受材料を用い、玉径及び/又は転動体の数を小さくしてパラメータAが所定の範囲内としている。その結果、本発明によれば、現行品(SUJ2鋼を用いた通常の軸受モデル)と同じレベルの転がり疲労寿命を持ちながら、現行品と比べて軸受トルクが低い転がり軸受を提供できる。更に、グリース漏れや蒸発、飛散も低減でき、これによる発塵現象も低減できる。
本実施形態の転がり軸受の構成を示す図である。 玉の表面から深さ方向における、圧縮残留応力の変化を示す曲線のグラフである。 パラメータAと寿命比との関係を示す特性図である。 パラメータAと動トルク(動トルク比)との関係を示す特性図である。 パラメータAとグリース漏れ量(グリース漏れ量比)との関係を示す特性図である。 非接触シール付き転がり軸受の構成例を示す図である。 接触シール付き転がり軸受の構成例を示す図である。 非接触シールド付き転がり軸受の構成例を示す図である。 プラスチック製保持器を有する転がり軸受の構成例を示す斜視図である。 実施例1を説明する特性図である。 実施例2を説明する特性図である。 実施例3を説明する特性図である。 実施例4を説明する特性図である。
本実施形態は、転がり軸受である。
図1は、本実施形態の転がり軸受1の構成を示す。
図1に示すように、転がり軸受1は、互いに対向配置される軌道面2a,3aを有する内輪2及び外輪3と、内輪2及び外輪3の間に転動自在に配置され、軌道面2a,3aに対する転動面4aを有するボール4と、内輪2及び外輪3の間に転動自在に配置されたボール4を円周方向に等間隔に保持する保持器5と、を有する深溝玉軸受である。このような転がり軸受は、内輪2の外周面及び外輪3の内周面に設けた対向する軌道面2a,3a間に複数のボール4が保持器5により保持されつつ転動自在に配置され、ボール4が転動することにより、内輪2及び外輪3のうち一方が他方に対して相対移動する。
ここで、転がり軸受1は、以下の条件を満たしている。
(1)ボール4の転動面から50μmの深さ位置での硬さが、軌道輪の軌道面から50μmの深さ位置での硬さより硬く、その差はビッカース硬さ(HV)で50以上150以下である。
(2)ボール4の転動面の圧縮残留応力は、最表面が最大で深さ方向に連続的に減少し、前記圧縮残留応力の最大値が600MPa以上である。
(3)内輪2及び外輪3がJIS G 4805規格のSUJ2鋼によって形成されている。
(4)外輪3の軸受外径をDとし(図1参照)、内輪2の軸受内径をdとし(図1参照)、ボール4の玉径(ボール径)をDaとし(図1参照)、玉数をZとし、軸受平均径dmを(D+d)/2とし、パラメータAをDa・Z/(π・dm)としたときに、パラメータAが52%以上58%以下になっている。
以上の条件(1)乃至(4)を満たす本実施形態の転がり軸受の寿命は、従来の内外輪及びボール全てにSUJ2鋼を使用したものと同等に維持されつつも、低トルクかつ低発塵のものとなる。図2乃至図5を用いて、その理由を説明する。
上記条件(1)に示すように、本実施形態の転がり軸受1は、転動体の転動面から50μmの深さ位置での硬さ(表面硬さ)が、軌道輪の軌道面から50μmの深さ位置での硬さ(表面硬さ)より硬く、その差はビッカース硬さ(HV)で50以上150以下である。前記差はビッカース硬さ(HV)で100以上130以下であることが好ましい。
また、上記条件(2)に示すように、本実施形態の転がり軸受1は、前記転動体の転動面の圧縮残留応力が、最表面が最大で深さ方向に連続的に減少し、前記圧縮残留応力の最大値が600MPa以上である。
転動体の耐疲労強度を高くする方法として表面に圧縮応力を残留させる方法があり、転動体が鋼製の玉(鋼球)の場合には、通常、ボールピーニング(鋼球をバレル形の容器に入れて回転させ、鋼球同士の衝突により鋼球の表面に塑性加工歪を付与する方法)が行われる。
ボールピーニング後の玉の表面から深さ方向における圧縮残留応力の変化は、図2(a)に示すような曲線(I型)となる。このように、圧縮残留応力の最大値が最表面ではなく、表面からある程度の深さの位置にあると、内部起点型剥離に起因する寿命を延長するために有効であるが、表面起点型剥離に起因する寿命の延長に対しては有効ではない。表面から玉の深さ方向における圧縮残留応力の変化が、図2(b)に示すような、最表面が最大で深さ方向に連続的に減少する曲線(II型)となるようにすることで、表面起点型剥離に起因する寿命を延長する効果が得られる。
また、圧縮残留応力の最大値が600MPa以上であると、600MPa未満である場合よりも表面起点型剥離に起因する寿命を著しく長くすることができる。
また、本実施形態の転がり軸受を構成する転動体の製造方法として、熱処理工程後の転動体をピーニング処理した後に研磨することで、転動体の転動面の圧縮残留応力を、最表面が最大で深さ方向に連続的に減少するように設けた転がり軸受の転動体を製造する。
転動体の転動面と軌道輪の軌道面とで表面硬さの差を50以上150以下とする方法としては、転動体の焼入れ温度を軌道輪の焼入れ温度よりも20〜40℃高くし、転動体の焼戻し温度を軌道輪の焼戻し温度よりも25〜55℃低くする方法が挙げられる。また、水焼入れや、焼入れ後にサブゼロ処理を施す方法を採用してもよい。
焼入れ温度を高くすると固溶炭素量が増加して表面硬さが硬くなり、焼戻し温度を低くすると材料内部の残留歪(転位)が抜けにくくなって表面硬さが硬くなる。一方、焼入れ温度を高くし過ぎると、固溶炭素量が多くなり過ぎて靱性が極端に低下する恐れがあり、焼戻し温度を低くし過ぎると、残留オーステナイト量が多くなり過ぎて大幅な寸法安定性の悪化が懸念される。これらの恐れや懸念を考慮して、差が前記範囲内となる温度で焼入れ、焼戻し温度を設定する。
具体的には、玉3の表面(転動面)から50μmの深さ位置での硬さを、内輪1および外輪2の軌道面1a,2aから50μmの深さ位置での硬さより硬くし、その差をビッカース硬さ(HV)で50以上150以下の範囲とした。そのために、玉3の焼入れ温度を内輪1および外輪2の焼入れ温度よりも高くし、玉3の焼戻し温度を内輪1および外輪2の焼戻し温度よりも低くした。
また、玉3の表面(転動面)の圧縮残留応力は、最表面が最大で深さ方向に連続的に減少し、圧縮残留応力の最大値が600MPa以上となっている。すなわち、この玉3の表面から深さ方向における圧縮残留応力の変化を示す曲線は、図2(b)に示すII型である。
そのために、この玉3は、高炭素クロム軸受鋼からなる素材を通常の方法で球状に加工し、所定の条件で焼入れ、焼戻し処理を行った後、所定の条件でボールピーニングを行ってから粗研磨を行い、さらにラップ盤による仕上げ研磨を行うことにより作製した。
これにより、この実施形態の玉軸受は、表面起点型剥離に起因する寿命が長くなる。
また、圧縮残留応力の変化を示す曲線がI型で、軌道輪の軌道面に対する表面硬さの差(ΔHV)が100〜117で、圧縮残留応力の最大値が344〜1098である玉(転動体)を使用して、転がり軸受を組み立てて異物混入潤滑下での寿命試験を行った。軌道輪の焼入れ温度は840℃とし、焼戻し温度は170℃とした。玉の焼入れ温度は860℃とし、焼戻し温度は130℃とした。
図3は、横軸にパラメータAをとり、縦軸に転がり軸受の寿命比をとっている。そして、図3には、SUJ2鋼により形成されたボールと内外輪により得られる結果(従来例又は通常例)A、ボール及び内外輪が条件(1)乃至(3)(条件(3)については従来と同様)を満たし、ボールの玉径及び玉数が従来と同様であり、パラメータAを調整していない(パラメータAが約60%)のボールにより得られる結果(参照例)B、及び条件(1)乃至(4)(条件(3)については従来と同様)を満たす転がり軸受により得られる結果(実施形態の例)C及びDを示す。ここで、寿命比は、従来例Aの寿命を1.0とした場合の値である。
図3に示すように、参照例Bの寿命は、従来例Aの約1.2倍になる。その一方で、参照例Bに対して、条件(4)を加えた実施形態の例C及びDは、従来例Aと同等(寿命比=1.0)になる。
なお、図3中に実線や一点鎖線で示すように、転がり軸受の寿命は、パラメータAを連続的に変化させたとき、すなわち、玉数Zや玉径Daを連続的に変化させたとき、線形的に変化する。
ここで、図4は、パラメータAと動トルク(動トルク比)との関係を示す。
図4に示すように、パラメータAを小さくすると、すなわち、玉数Zや玉径Daを小さい値にすると、ボールの転がり摩擦抵抗の総和、保持器の保持ポケット内での滑り抵抗の総和、及びボールの慣性力の総和が小さくなるため、動トルクが小さくなる(低トルクになる)。
また、図5は、パラメータAとグリース漏れ量(グリース漏れ量比)との関係を示す。
図5に示すように、パラメータAを小さくすると(なお、このとき、軸受の内外径及び幅寸法は維持)、軸受の空間容積が大きくなる。これにより、封入されたグリースについて、回転時に軸受内で堆積する容量が増すため、グリース漏れ量が少なくなる、すなわち、グリース漏れや蒸発、飛散を低減でき、低発塵になる。
以上のように、従来例Aの約1.2倍の寿命を有する参照例Bに対して、条件(4)を加えた(パラメータAを52%以上58%以下と小さくした)実施形態の例C及びDは、従来例Aと同等(寿命比=1.0)になる。そして、実施形態の例C及びDは、パラメータAを小さくし抑えていることで、低トルクかつ低発塵になる(図4及び図5参照)。
つまり、本実施形態の転がり軸受は、条件(4)を満たすこと、すなわち、玉数Zや玉径Daを小さい値にすることで、それに伴う転がり軸受の寿命低下を条件(1)乃至(3)(特に条件(1)および(2))により補って、転がり軸受の寿命を従来のものと同等にしつつ、低トルクかつ低発塵を実現している。
すなわち、本実施形態の転がり軸受は、転動体について現行品(SUJ2鋼を用いた通常の軸受モデル)と比べてパラメータAを小さくしたことで(玉径及び/又は転動体の数を小さくしたことで)、軸受の内部空間を広げ、グリースの攪拌抵抗を小さくし、軸受トルクを低減できる。更に、本実施形態の転がり軸受は、グリース漏れや蒸発、飛散も低減でき、これによる発塵現象も低減できる。
また、転がり軸受の寿命延長のためには、セラミック球を用いることは効果的であるが、セラミック球は高価である。これに対して、本実施形態の転がり軸受は、安価に転がり軸受の寿命を所望のものとすることができる。
(本実施形態の変形例)
本実施形態では、転がり軸受に次のようなシール又はシールドを設けることもできる。
図6は、非接触シール付き転がり軸受の構成例を示す。
図6に示すように、非接触シール10は、内輪2と外輪3との間であって、その軸方向両端部にそれぞれ配置されている。非接触シール10は、一枚の円環状体である芯金11に、ゴムやエラストマー等の弾性材12を被覆して成形され、全体が円環板状に形成されている。この非接触シール10は、その外周縁部10aを外輪3の内周面の軸方向両端部に形成される外輪シール溝3bに嵌合されることによって、外輪3の内周面の軸方向端部に支持固定されている。
弾性材12の内周縁部には、軸方向内側に延び、内輪2の外周面の軸方向両端部に形成される内輪シール溝2bの軸方向内側面2b1に非接触の内側リップ12aと、内側リップ12aより軸方向外側に位置し、径方向内側に延び、内輪シール溝2bの径方向内側面2b2に非接触となって該径方向内側面2b2との間でラビリンス隙間13を形成する外側リップ12bと、が形成されている。
非接触シール付き転がり軸受は、このような非接触シール10により、軸受内部にダストや水等が浸入することを防止できる。そして、非接触シール付き転がり軸受は、前述のようなグリース漏れや蒸発、飛散の低減による発塵現象も低減できる。
図7は、接触シール付き転がり軸受の構成例を示す。
図7に示すように、接触シール20は、内輪2と外輪3との間であって、その軸方向両端部にそれぞれ配置されている。接触シール20は、一枚の円環板状体を所要の形状に加工してなる芯金21に、ゴムやエラストマー等の弾性材22を被覆して成形され、全体が円環板状に形成されている。この接触シール20は、その外周縁部20aを外輪3の内周面の軸方向両端部に形成される外輪シール溝3bに嵌合されることによって、外輪3の内周面の軸方向端部に支持固定されている。
弾性材22の内周縁部には、軸方向内側に延び、内輪2の外周面2cと非接触の内側リップ22aと、内側リップ22aより軸方向外側に位置し、径方向内側に延び、内輪2の外周面の軸方向両端部に形成される内輪シール溝2bの軸方向の内側に向く面2b3に接触する外側リップ22bと、が形成されている。
接触シール付き転がり軸受は、このような接触シールにより、軸受内部にダストや水等が浸入することを防止できる。そして、接触シール付き転がり軸受は、前述のようなグリース漏れや蒸発、飛散の低減による発塵現象も低減できる。
図8は、非接触シールド付き転がり軸受の構成例を示す。
図8に示すように、非接触シールド30は、内輪2と外輪3との間であって、その軸方向両端部にそれぞれ配置されている。非接触シールド30は、鉄板やステンレス板などの薄い金属板をプレス加工などにより、一枚の円環状体として形成されている。非接触シールド30は、その外径が外輪3の外径よりも小径、且つ外輪3の内径よりも大径で、その内径が内輪2の外径よりも小径、且つ内輪2の内径よりも大径をなすように形成されている。この非接触シールド30は、その外周縁部30aを外輪3の内周面の軸方向両端部に形成される外輪シール溝3bに嵌合することによって、外輪3の内周面の軸方向端部に支持固定されている。そして、非接触シールド30は、内周縁部30bが内輪2の外周面の軸方向両端部に形成される内輪シール溝2bの径方向内側面2b2に非接触となって該径方向内側面2b2との間でラビリンス隙間31を形成している。
非接触シールド付き転がり軸受は、このような非接触シールドにより、軸受内部にダストや水等が浸入することを防止できる。そして、非接触シールド付き転がり軸受は、前述のようなグリース漏れや蒸発、飛散の低減による発塵現象も低減できる。
また、本実施形態では、保持器をプラスチック製保持器とすることもできる。
図9は、プラスチック製保持器40を有する転がり軸受1の構成例を示す。
図9に示すように、転がり軸受1は、内輪2及び外輪3の間に転動自在に配置されたボール4を円周方向に等間隔に保持するプラスチック製保持器40を有する。
転がり軸受1は、このように、標準的な鉄製保持器ではなく、プラスチック製保持器40を有することにより、保持器40とボール4との接触による摩擦粉の発生を低減できる。これにより、転がり軸受1は、さらに、グリースの劣化を抑制できる。
(実施例1)
条件(1)乃至(4)の条件を満たすボール及び内外輪を用い、軸受内径dが8mm、軸受外径Dが22mm、幅が7mmの軸受を用いた場合に、玉数Zを減少させて(7個から6個に減少させて)、パラメータAにしたときの結果を図10に示す。
図10に示すように、玉数Zが7個である参照例(例えば、日本精工株式会社製、名番608 玉径3.969mm×玉数7個)の場合、転がり軸受の寿命は、従来例の約1.19倍になり、パラメータAは、約59%になる。
これに対して、玉数Zを6個とした実施例は、パラメータAが約52%となり(条件(4)を満たし)、転がり軸受の寿命が従来例(SUJ2)と同様の寿命比1.0に維持される。そして、この実施例では、パラメータAが約52%に減少しているので、低トルクかつ低発塵となる(図4及び図5参照)。
(実施例2)
条件(1)乃至(4)の条件を満たすボール及び内外輪を用い、軸受内径dが8mm、軸受外径Dが22mm、幅が7mmの転がり軸受を用いた場合に、玉径Daを減少させて(3.969mmから3.65mmに減少させて)、パラメータAにしたときの結果を図11に示す。
図11に示すように、玉径Daが3.969mmである参照例(例えば、日本精工株式会社製、名番608 玉径3.969mm×玉数7個)の場合、転がり軸受の寿命は、従来例の約1.19倍になり、パラメータAは、約59%になる。
これに対して、玉径Daが3.65mmである実施例は、パラメータAが約57%となり(条件(4)を満たし)、転がり軸受の寿命が従来例(SUJ2)と同様の寿命比1.0に維持される。そして、この実施例では、パラメータAが約57%に減少しているので、低トルクかつ低発塵となる(図4及び図5参照)。
(実施例3)
実施例3では、実施例1に対して、軸受内径d、軸受内径D、及び幅を変えている。すなわち、条件(1)乃至(4)の条件を満たすボール及び内外輪を用い、軸受内径dが12mm、軸受外径Dが32mm、幅が11mmの転がり軸受を用いた場合に、玉数Zを減少させて(7個から6個に減少させて)、パラメータAにしたときの結果を図12に示す。
図12に示すように、玉数Zが7個である参照例(例えば、日本精工株式会社製、名番6201 玉径5.953mm×玉数7個)の場合、転がり軸受の寿命は、従来例の約1.19倍になり、パラメータAは、約60%になる。
これに対して、玉数Zが6個である実施例は、パラメータAが約54%となり(条件(4)を満たし)、転がり軸受の寿命が従来例(SUJ2)と同様の寿命比1.0に維持される。そして、この実施例では、パラメータAが約54%に減少しているので、低トルクかつ低発塵となる(図4及び図5参照)。
(実施例4)
実施例4では、実施例2に対して、軸受内径d、軸受外径D、幅、及び玉径Daを変えている。すなわち、条件(1)乃至(4)の条件を満たすボール及び内外輪を用い、軸受内径dが12mm、軸受内径Dが32mm、幅が11mmの転がり軸受を用いた場合に、玉径Daを減少させて(5.953mmから5.7mmに減少させて)、パラメータAにしたときの結果を図13に示す。
図13に示すように、玉径Daが5.953mmである参照例(例えば、日本精工株式会社製、名番6201 玉径5.953mm×玉数7個)の場合、転がり軸受の寿命は、従来例の約1.19倍になり、パラメータAは、約60%になる。
これに対して、玉径Daが5.7mmである実施例は、パラメータAが約58%となり(条件(4)を満たし)、転がり軸受の寿命が従来例(SUJ2)と同様の寿命比1.0に維持される。そして、この実施例では、パラメータAが約58%に減少しているので、低トルクかつ低発塵となる(図4及び図5参照)。
なお、実施例1乃至4を説明する図10乃至図13中に実線で示すように、転がり軸受の寿命は、パラメータAを連続的に変化させたとき、すなわち、玉数Zや玉径Daを連続的に変化させたとき、線形的に変化する。
1 転がり軸受
2 内輪
2a,3a 軌道面
3 外輪
4 ボール
4a 転動面
5 保持器

Claims (1)

  1. 互いに対向配置される軌道面を有する内輪及び外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配置され、前記軌道面に対する転動面を有する転動体と、を備え、前記転動体が転動することにより、前記内輪及び前記外輪のうち一方が他方に対して相対移動する転がり軸受において、
    転動体の転動面から50μmの深さ位置での硬さが、軌道輪の軌道面から50μmの深さ位置での硬さより硬く、その差はビッカース硬さ(HV)で50以上150以下であり、
    前記転動体の転動面の圧縮残留応力は、最表面が最大で深さ方向に連続的に減少し、前記圧縮残留応力の最大値が600MPa以上であり、
    前記内輪及び前記外輪がSUJ2鋼によって形成され、
    前記外輪の軸受外径をDとし、前記内輪の軸受内径をdとし、転動体の玉径をDaとし、転動体の数をZとし、軸受平均径dmを(D+d)/2とし、パラメータAをDa・Z/(π・dm)としたときに、パラメータAが52%以上58%以下となることを特徴とする転がり軸受。
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