JP2009197894A - 転がり軸受、及びモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】高周波環境下で使用される転がり軸受の電食による損傷(具体的には、音響性能の劣化及び音響寿命の低下)を簡易に、且つ安価に防止する技術を提供する。
【解決手段】相対回転可能に対向して配置された軌道輪2,4と、当該軌道輪間に転動可能に組み込まれた複数の転動体6と、当該転動体を所定間隔で回転自在に保持する保持器8を備え、10kHzを超える高周波環境下で使用される転がり軸受であって、軸受内部には潤滑剤Gが封入されており、当該潤滑剤(グリース)の基油粘度は、40℃において10mm2/s以上で、且つ30mm2/s以下に設定されている。
【選択図】図1
【解決手段】相対回転可能に対向して配置された軌道輪2,4と、当該軌道輪間に転動可能に組み込まれた複数の転動体6と、当該転動体を所定間隔で回転自在に保持する保持器8を備え、10kHzを超える高周波環境下で使用される転がり軸受であって、軸受内部には潤滑剤Gが封入されており、当該潤滑剤(グリース)の基油粘度は、40℃において10mm2/s以上で、且つ30mm2/s以下に設定されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、エアコンファンモータに代表される家電モータなどに組み込まれ、高周波環境下で使用される転がり軸受に関し、特に、転がり軸受の電食による損傷防止技術に関する。
エアコンファンモータに代表される家電モータなどは、その回転軸(モータ軸)が軸受(例えば、転がり軸受)によって回転自在に支持されており、近年、当該モータ軸の回転状態(回転数や回転速度など)の制御を高精度に行うためにインバータ制御化される場合が多い。また、電源供給装置(一例として、商用電源)のノイズを抑制するために、当該電源供給装置から供給される電力の高周波化(電源周波数の高周波変換)がなされる場合も多い。
しかしながら、電源供給装置(商用電源)から供給される電力の制御周波数が高周波化される(制御周波数を高周波に変換する)に従って、モータに使用されている軸受のみならず、電気的には接続されていない周辺装置に使用されている軸受において、いわゆる電食と呼ばれる損傷が現出されるようになってきた。なお、電食とは、軸受の軌道輪(例えば、内外輪)間に電気が通電した際に、転動体(例えば、玉やころ)と内外輪軌道面の間で放電現象が発生し、局部的に素材を溶解させ、これらの軌道面や転動体の転動面に異常を生じさせる状態のことをいう。
軸受に対してこのような電食が発生した場合、その軌道輪(例えば、内輪や外輪)の軌道面や転動体(例えば、玉やころ)の転動面に面荒れ(例えば、クラックやフレーキングなど)が生じる虞があるとともに、リッジマークと呼ばれる筋状の凹凸が軌道面などに生じる虞もある。そして、このような電食による軸受の損傷が生じると、転動体が軌道輪の軌道面間を安定して転動することができずにガタつき、当該軸受が回転する時に騒音(異音)が発生する場合がある。
ここで、上述したようなエアコンファンモータなどに使用される軸受に対しては、従来から非常に高度な低騒音性(静粛性)が求められており、軸受回転時の騒音(異音)の発生、すなわち軸受の音響性能の劣化は、大きな問題とされてきた。
そこで、かかる電食による軸受の損傷を防止すべく、従来から各種の方策が講じられてきた。例えば、特許文献1には、転がり軸受の軌道輪の外表面(一例として、外輪の外周面)にセラミックなどの絶縁体を溶射して絶縁被膜を形成することで、当該軸受の非導電化を図る技術が開示されている。また、特許文献2には、転がり軸受の転動体(一例として、玉)を高純度アルミナ(Al2O3)などの酸化系セラミック材製とすることで、当該軸受の非導電化を図る技術が開示されている。
特開平5−52223号公報
特開2007−177956号公報
そこで、かかる電食による軸受の損傷を防止すべく、従来から各種の方策が講じられてきた。例えば、特許文献1には、転がり軸受の軌道輪の外表面(一例として、外輪の外周面)にセラミックなどの絶縁体を溶射して絶縁被膜を形成することで、当該軸受の非導電化を図る技術が開示されている。また、特許文献2には、転がり軸受の転動体(一例として、玉)を高純度アルミナ(Al2O3)などの酸化系セラミック材製とすることで、当該軸受の非導電化を図る技術が開示されている。
しかしながら、上述した特許文献1及び2に開示された方策は、いずれもその加工が難しく、軸受の製造コストの上昇を招く要因となる虞があり、より簡易で安価な方策が望まれているが、現状ではそのような方策は知られていない。
本発明は、このような要望に応えるためになされており、その目的は、高周波環境下で使用される転がり軸受の電食による損傷(具体的には、音響性能の劣化及び音響寿命の低下)を簡易に、且つ安価に防止する技術を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明に係る転がり軸受は、相対回転可能に対向して配置された軌道輪と、当該軌道輪間に転動可能に組み込まれた複数の転動体と、当該転動体を所定間隔で回転自在に保持する保持器を備え、10kHzを超える高周波環境下で使用されている。かかる転がり軸受において、軸受内部には潤滑剤として少なくとも基油と増ちょう剤からなるグリースが封入されており、当該基油の粘度は、40℃において10mm2/s以上で、且つ30mm2/s以下に設定する。
その際、前記グリースは、その混和ちょう度を170以上で、且つ240以下に設定すればよい。
その際、前記グリースは、その混和ちょう度を170以上で、且つ240以下に設定すればよい。
また、上述したような目的を達成するために、本発明に係るモータは、前記モータ軸を上記いずれかの転がり軸受によって回転自在に支持すればよい。
本発明の転がり軸受によれば、内部に封入するグリースの基油粘度や混和ちょう度を所定値(例えば、40℃における基油粘度を10mm2/s以上で、且つ30mm2/s以下)に設定することで、10kHz超の高周波環境下で使用される場合であっても、電食による損傷(具体的には、音響性能の劣化及び音響寿命の低下)を簡易に、且つ安価に防止することができる。
これにより、転がり軸受を長期に亘ってスムーズに回転させ、極めて優れた低騒音性(静粛性)を保ち続けることが可能なモータを容易に、且つ低コストに実現することができる。
これにより、転がり軸受を長期に亘ってスムーズに回転させ、極めて優れた低騒音性(静粛性)を保ち続けることが可能なモータを容易に、且つ低コストに実現することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る転がり軸受について、添付図面を参照して説明する。
本実施形態に係る転がり軸受(以下、単に軸受ともいう)は、相対回転可能に対向して配置された軌道輪と、当該軌道輪間に転動可能に組み込まれた複数の転動体と、当該転動体を所定間隔で回転自在に配置する保持器を備えており、10kHzを超える高周波環境下で使用されている。かかる軸受が組み込まれる装置は、当該軸受が10kHzを超える高周波環境下で使用される(例えば、その軸受組込部位が高周波環境となる)各種の機械装置であればよく、例えば冷却ファン用モータや換気扇などの家電モータを想定することができるが、本実施形態においては、一例としてエアコンファンモータを想定する。
本実施形態に係る転がり軸受(以下、単に軸受ともいう)は、相対回転可能に対向して配置された軌道輪と、当該軌道輪間に転動可能に組み込まれた複数の転動体と、当該転動体を所定間隔で回転自在に配置する保持器を備えており、10kHzを超える高周波環境下で使用されている。かかる軸受が組み込まれる装置は、当該軸受が10kHzを超える高周波環境下で使用される(例えば、その軸受組込部位が高周波環境となる)各種の機械装置であればよく、例えば冷却ファン用モータや換気扇などの家電モータを想定することができるが、本実施形態においては、一例としてエアコンファンモータを想定する。
かかるエアコンファンモータにおいては、所定の制御装置によって、モータ軸の回転状態(回転数や回転速度)の制御を高精度に行うためにインバータ制御化されているとともに、電源供給装置(一例として、商用電源)のノイズを抑制するために、当該電源供給装置から供給される電力の高周波化(電源周波数の高周波変換)がなされている。
なお、転がり軸受は、エアコンファンモータの使用条件や使用目的などに応じて任意の構成(大きさ、形状及び数、あるいは材質や動作など)とすることができる。
例えば、図1(a),(b)には、軌道輪を一対の内輪2及び外輪4とし、転動体を玉6とした軸受の構成を示している。この場合、内輪2の外周面、及び外輪4の内周面には、これらの全周に亘って玉6を転動させるための軌道面2a,4aが対向して形成されており、当該軌道面2a,4a間に各玉6が組み込まれている。
例えば、図1(a),(b)には、軌道輪を一対の内輪2及び外輪4とし、転動体を玉6とした軸受の構成を示している。この場合、内輪2の外周面、及び外輪4の内周面には、これらの全周に亘って玉6を転動させるための軌道面2a,4aが対向して形成されており、当該軌道面2a,4a間に各玉6が組み込まれている。
その際、これらの玉6は、環状を成す保持器8のポケットに1つずつ所定間隔(一例として、等間隔)で配されるとともに、当該ポケット内で回転自在に保持された状態で、軌道面2a,4a間に組み込まれている。これにより、各玉6は、所定間隔を保った状態で、その転動面が相互に接触することなく、軌道面2a,4a間を転動することができ、結果として、当該各玉6が相互に接触して摩擦が生じることによる回転抵抗の増大や、焼付きなどを防止することができる。
なお、かかる転がり軸受においては、内外輪2,4のいずれを回転輪あるいは静止輪としてもよいし、転動体を図1(a),(b)に示すような玉6に代えて、各種のころ(円錐ころ、円筒ころ及び球面ころなど)としてもよい。また、保持器8としては、転動体の種類に応じて任意のタイプを適用すればよい。例えば、転動体を玉6とした場合、波型の合わせタイプ(図1(a),(b))や冠型などのタイプを適用することができ、転動体を各種のころとした場合、もみ抜き型、くし型及びかご型などのタイプを適用することができる。また、転がり軸受は、各種の金属製や樹脂製などの内外輪2,4、転動体6及び保持器8を任意に組み合わせて構成することができる。
また、図1(a)には、内外輪2,4の間の両側に、シール部材として一対の非接触型のシールド(例えば、例えば、ステンレス板、鉄板等の薄い金属板からプレス成形されたシールドなど)10を介在させた軸受構成の一例が示されている。かかるシールド10は、環状の平板状に成形されており、その外径部が外輪4に固定(例えば、嵌合や圧入など)され、かかる固定状態において、その内径部が内輪2と接触することなく対向するとともに、その内側面が玉6及び保持器8と接触することなく対向するように位置付けられている。この場合、外輪4の内周面には、その両端部に全周に亘ってシールド10の外径部を固定するための凹状の取付溝4bが形成されているとともに、内輪2の外周面には、その両端部に全周に亘って当該シールド10の内径部を対向させるための凹状のシール溝2bが形成されている。
このように、シールド10を設けることで、軸受の外部から内部への異物(例えば、水や塵埃など)の侵入を防止することができるとともに、軸受内部に潤滑剤(例えば、グリースや潤滑油など)を封入した場合、当該潤滑剤の軸受外部への漏洩を有効に防止することができる。これにより、転がり軸受の内部を外部から遮蔽し、その内部を密封状態(気密状態及び液密状態)に保つことができる。
なお、シール部材は、図1(a)に示す構成(大きさ、形状、数及び材質など)には特に限定されず、転がり軸受が組み込まれる装置(一例として、エアコンファンモータ)の使用条件や使用態様などに応じて任意の構成とすればよい。例えば、密封部材は、図1(a)に示すような非接触型のシールド10に代えて、非接触型のシール(例えば、鋼板製の芯金の全体若しくは一部を各種の弾性材で連結して成るシールなど)を適用してもよいし、内径部(リップ部)が内輪2に形成されたシール溝2bに摺接する接触型のシール(例えば、鋼板製の芯金の全体若しくは一部を各種の弾性材で連結して成るシールなど)を適用してもよい。シール部材を接触型シールとした場合、例えば、当該シール部材の内径部の先端に複数のリップ部を設け、当該各リップ部をシール溝2bの底部や側面部などにそれぞれ接触させることで、さらに軸受のシール性(気密性及び液密性)を高めることができる。
ここで、図1(b)には、内外輪2,4、玉6、及び保持器8の全体構成を示すため、便宜上、シールド10、取付溝4b及びシール溝2bを省いた状態の軸受構成を示す。
ここで、図1(b)には、内外輪2,4、玉6、及び保持器8の全体構成を示すため、便宜上、シールド10、取付溝4b及びシール溝2bを省いた状態の軸受構成を示す。
本実施形態においては、かかる転がり軸受に対し、内外輪2,4、玉6及び保持器8が相互に接触する部分(内外輪2,4の軌道面2a,4aや玉6の転動面など)の摩擦や摩耗の減少、焼付き防止、あるいは疲れ寿命の延長などを目的として、軸受内部にグリースGを封入することにより潤滑が行われている。なお、グリースGは、転がり軸受の使用条件や使用態様などに応じて、各種のグリース、あるいは潤滑油を選択して使用してもよい。
いずれを選択した場合であっても、潤滑剤は、その40℃における基油粘度を10mm2/s以上で、且つ30mm2/s以下に設定すればよい。またその際、かかる潤滑剤がグリースGである場合、その混和ちょう度(硬さ)を170以上で、且つ240以下に設定すればよい。
グリースGの基油粘度及び混和ちょう度をこのような設定とすることで、転がり軸受が10kHz超の高周波環境下で使用される場合であっても、電食による損傷(具体的には、音響性能の劣化及び音響寿命の低下)を簡易に、且つ安価に防止することができる。
ここで、グリースGの基油粘度の最適範囲、並びに混和ちょう度の最適範囲を設定すべく、以下に示す各種の音響試験を行った。
図2には、グリースGの基油粘度の変化に対する電食による軸受の音上昇(すなわち、音響劣化)の評価試験(以下、第1試験という)の結果が示されている。この場合、サンプルとして同一型式の転がり軸受を9個用意し、これらに対して同一のアキシアル荷重を負荷した状態でそれぞれ同一の回転数で回転させ、その回転中は各軸受内に同一の大きさの電流を流した。そして、グリースGとして同一のグリースの基油粘度を10mm2/s〜70mm2/s程度の任意の粘度に設定し、軸受ごとに異なる基油粘度に設定されたグリースをそれぞれ同一量だけ内部に封入した。
図2には、グリースGの基油粘度の変化に対する電食による軸受の音上昇(すなわち、音響劣化)の評価試験(以下、第1試験という)の結果が示されている。この場合、サンプルとして同一型式の転がり軸受を9個用意し、これらに対して同一のアキシアル荷重を負荷した状態でそれぞれ同一の回転数で回転させ、その回転中は各軸受内に同一の大きさの電流を流した。そして、グリースGとして同一のグリースの基油粘度を10mm2/s〜70mm2/s程度の任意の粘度に設定し、軸受ごとに異なる基油粘度に設定されたグリースをそれぞれ同一量だけ内部に封入した。
図2に示すように、グリースの基油粘度が比較的高い場合(35mm2/s〜70mm2/s程度)、軸受の音上昇が大きく、音響性能の劣化が生じた。これに対し、グリースの基油粘度が低い場合(10mm2/s〜30mm2/s程度)、軸受の音上昇はほとんどなく、音響性能の劣化に対する抑制効果が高いことが第1試験により検証できた。
図3には、所定の基油粘度に設定したグリースGの経時的な温度変化に対する電食による軸受の音上昇(音響劣化)の評価試験(以下、第2試験という)の結果が示されている。この場合、上述した第1試験と同一型式の4個の転がり軸受をサンプルとし、これらに設定する試験条件を当該第1試験と同一条件(アキシアル荷重、及び軸受内に流す電流値)とした。ただし、回転数は第1試験よりも大きな設定とし、各軸受をより高速で回転させた。そして、グリースGとして基油粘度を変えた4つのグリース(具体的には、10、20、30、50mm2/sに設定)を、各軸受に対してそれぞれ同一量だけ内部に封入した後、回転中の軸受温度(グリース温度)を経時的に20℃〜100℃まで上昇させた。
図3に示すように、グリースの基油粘度が比較的低い場合(10mm2/s及び20mm2/s)、電食が発生しない状態であっても、特に高温環境下(80℃〜100℃程度)においては、油膜の形成能力が低下するため、軸受の経時的な音響性能の劣化を招き易く、低騒音性(静粛性)が要求される家電モータ(一例として、エアコンファンモータなど)では一定以上の粘度が必要となることが判明した。なお、グリースの基油粘度が比較的高い場合(30mm2/s及び50mm2/s)、高温環境下(80℃〜100℃程度)においても軸受の音上昇は小さく、音響性能の劣化に対する抑制効果が高いことが検証された。
その一方、一般的に家電製品が使用される環境は、最高でも40℃以下と想定されること、また、当該製品に搭載されたモータ自体の発熱も30℃程度と想定されることを考慮すれば、当該モータに使用される転がり軸受は、最高で70℃程度までの環境下での耐用性を有していれば充分と考えられる。したがって、経時的な温度変化を考慮した場合であっても、グリースの基油粘度を10mm2/s以上に設定することで、音響性能の劣化に対する高い抑制効果が得られることが第2試験により検証できた。
図4には、グリースGによって形成される油膜の状態変動(具体的には、膜厚の変動)が激しい場合(以下、変動易という)と、油膜の状態変動(膜厚変動)がほとんどない場合(以下、変動難という)における電食による軸受の音上昇(音響劣化)の評価試験(以下、第3試験という)の結果が示されている。
なお、油膜の安定性(具体的には、油膜の厚さ)は、グリースの混和ちょう度によって影響を受け、混和ちょう度が低い方が油膜の厚さは安定した状態となる。また、電食は、軌道輪(内外輪2,4)と転動体(玉6)との間の放電により発生するため、油膜の状態変動(膜厚変動)が激しいと前記放電が起こり易くなり、結果として、電食が発生し易くなる。したがって、グリースの混和ちょう度を低くすれば、軸受における電食の発生を抑制するためには有効であるが、その一方で、混和ちょう度を低くするためにはグリース中の油分率を極端に少なくする必要があり、潤滑性が損なわれる可能性がある。また、混和ちょう度を低く設定し過ぎると、グリースの軸受への封入が困難になるという弊害が生じる。
これらを考慮し、第3試験においては、上述した第1試験及び第2試験と同一型式の10個の転がり軸受をサンプルとし、これらに設定する試験条件を当該第1試験と同一条件(アキシアル荷重、回転数及び軸受内に流す電流値)とした。そして、グリースGとして変動易のグリースを5個の軸受に対してそれぞれ同一量だけ内部に封入するとともに、変動難のグリースを残りの5個の軸受に対してそれぞれ前記変動易のグリースと同一量だけ内部に封入した。
図4に示すように、グリースが変動易である場合(240よりも大)、5個の軸受のうち、2個の軸受で音上昇が起こり、音響性能の劣化が生じた。これに対し、グリースが変動難である場合(170〜240程度)、すべての軸受で音上昇は起こらず、音響性能の劣化は生じなかった。すなわち、グリースの混和ちょう度を170以上で、且つ240以下に設定することで、グリースの潤滑性能、及び軸受内部への封入時の作業性を確保しつつ、音響性能の劣化に対する抑制効果を高められることが第3試験により検証できた。
以上のように、本実施形態に係る転がり軸受によれば、内部に封入するグリースの基油粘度(特に40℃における粘度)を10mm2/s以上で、且つ30mm2/s以下に設定するとともに、混和ちょう度を170以上で、且つ240以下に設定することで、当該軸受が10kHz超の高周波環境下で使用される場合であっても、電食による損傷(具体的には、音響性能の劣化及び音響寿命の低下)を簡易に、且つ安価に防止することができる。
これにより、転がり軸受を長期に亘ってスムーズに回転させ、極めて優れた低騒音性(静粛性)を保ち続けることが可能なモータ(一例として、エアコンファンモータ)を容易に、且つ低コストに実現することができる。
これにより、転がり軸受を長期に亘ってスムーズに回転させ、極めて優れた低騒音性(静粛性)を保ち続けることが可能なモータ(一例として、エアコンファンモータ)を容易に、且つ低コストに実現することができる。
2 内輪
4 外輪
6 転動体(玉)
8 保持器
G 潤滑剤(グリース)
4 外輪
6 転動体(玉)
8 保持器
G 潤滑剤(グリース)
Claims (3)
- 相対回転可能に対向して配置された軌道輪と、当該軌道輪間に転動可能に組み込まれた複数の転動体と、当該転動体を所定間隔で回転自在に保持する保持器を備え、10kHzを超える高周波環境下で使用される転がり軸受であって、
軸受内部には潤滑剤として少なくとも基油と増ちょう剤からなるグリースが封入されており、当該基油の粘度は、40℃において10mm2/s以上で、且つ30mm2/s以下に設定されていることを特徴とする転がり軸受。 - 前記グリースは、その混和ちょう度が170以上で、且つ240以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
- 請求項1又は2に記載の転がり軸受によってモータ軸が回転自在に支持されていることを特徴とするモータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008039885A JP2009197894A (ja) | 2008-02-21 | 2008-02-21 | 転がり軸受、及びモータ |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018119689A (ja) * | 2018-04-25 | 2018-08-02 | 株式会社東芝 | 転がり軸受 |
JP2019138474A (ja) * | 2019-05-07 | 2019-08-22 | 株式会社東芝 | 転がり軸受 |
CN116337451A (zh) * | 2023-05-29 | 2023-06-27 | 山东金帝精密机械科技股份有限公司 | 一种椭圆形轴承保持器静音优化方法、设备及介质 |
-
2008
- 2008-02-21 JP JP2008039885A patent/JP2009197894A/ja active Pending
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CN116337451B (zh) * | 2023-05-29 | 2023-08-22 | 山东金帝精密机械科技股份有限公司 | 一种椭圆形轴承保持器静音优化方法、设备及介质 |
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